JP2021008411A - ヒドロキシ化合物、組成物、硬化物及び積層体 - Google Patents

ヒドロキシ化合物、組成物、硬化物及び積層体 Download PDF

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悦子 鈴木
和郎 有田
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和郎 有田
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Abstract

【課題】 本発明の課題は、金属表面、特に汚染された金属表面であっても高い接着性とプライマー性を発揮する化合物を提供することにある。また、該化合物を含有する組成物、及び金属用プライマー、及び該組成物層と基材とを有することを特徴とする積層体を提供することにある。【解決手段】 芳香環構造を有する特定の構造を有することを特徴とする、ヒドロキシ化合物Aを提供することで、前記課題を解決する。また、当該ヒドロキシ化合物Aを含有する組成物を提供することで、前期課題を解決する。【選択図】 なし

Description

本発明は、特定の構造を有するヒドロキシ化合物、及び該ヒドロキシ化合物を有する組成物、該組成物を硬化してなる硬化物に関する。また、該硬化物層を有する積層体に関する。
CO削減・燃費向上などから自動車・飛行機の軽量化は益々進み、これに伴いスポット溶接数の低減や繊維強化樹脂と金属の併用などによる軽量化が進められ、これらに用いられる構造材料用接着剤の高性能化が強く求められている。特に、熱膨張差の大きい金属と繊維強化樹脂との加熱接着においては、膨張と収縮に伴う、界面応力による反りや波打ちの発生による接着力の低下が課題となっている。
一方、半導体封止材料や多層プリント基板用絶縁層などに用いられる先端電子材料にも、金属とプラスチックやシリコンチップの積層体が用いられている。このとき、伝送速度等の関係から表面が平滑な金属を用いる必要があるが、アンカー効果の減少から接着力の低下が深刻な問題となっており、特に接着が難しい金属側の接着剤や接着剤用プライマーが求められている。
一方、産業上利用する金属表面は、大気中に存在する有機物や無機物により汚染されていることが多い。これら有機物や無機物は酸化物層の上に堆積し、金属の接着性をさらに低下させる。よって、有機物等によって汚染された状態であっても高い接着性を発揮するプライマーが求められている。
例えば特許文献1では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、ノボラック型エポキシ樹脂とを併用する金属用プライマー組成物が開示されている。しかし、これらのような通常のエポキシ樹脂を用いたプライマーは、汚染された金属表面に対する接着性という課題は解決していない。
特開2007−77358号公報
本発明の課題は、金属表面、特に汚染された金属表面であっても高い接着性とプライマー性を発揮する化合物を提供することにある。
また、該化合物を含有する組成物、及び金属用プライマー、及び該組成物層と基材とを有することを特徴とする積層体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記式(1)で表されるヒドロキシ化合物Aを提供することで、前記課題が解決できることを見出した。すなわち本発明は、一般式(1)の構造を有するヒドロキシ化合物Aを提供するものである。

・・・(1)
(式(1)中、Arは無置換または置換基を有する芳香環を有する構造を表し、n=3〜6の整数であって、mは繰り返しの平均値でありmは0.5〜10であって、
Yは式(2−1)およびまたは式(2−2)で表される構造であって、
Qはそれぞれ独立して水酸基、または式(3−1)で表される構造のいずれかである
(但し、繰り返し単位中に存在する各繰り返し単位はそれぞれ同一であっても異なっていても構わない)

・・・(2−1)
・・・(2−2)
(式(2−1)及び式(2−2)中、p及びpはそれぞれ独立して4〜16の整数であって、
、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1または2のアルキル基を表し、
、Rは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、
Arは無置換または置換基を有する芳香環を有する構造を表す。)

・・・(3−1)
(式(3−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、
Arは無置換または置換基を有する芳香環を有する構造を表す)。)
さらに、また、該ヒドロキシ化合物Aを含有する組成物、また、該化合物を含有する組成物、及び金属用プライマー、及び該組成物層と基材とを有することを特徴とする積層体を提供することで、前記課題を解決する。
本発明のヒドロキシ化合物Aは、金属表面、特に汚染された金属表面であっても高い接着性とプライマー性を発揮することができる。
<ヒドロキシ化合物A>
本発明のヒドロキシ化合物Aは、下記式(1)で表される化合物である。

・・・(1)
(式(1)中、Arは無置換または置換基を有する芳香環を有する構造を表し、n=3〜6の整数であって、mは繰り返しの平均値でありmは0.5〜10であって、
Yは式(2−1)およびまたは式(2−2)で表される構造であって、
Qはそれぞれ独立して水酸基、または式(3−1)で表される構造のいずれかである
(但し、繰り返し単位中に存在する各繰り返し単位はそれぞれ同一であっても異なっていても構わない)

・・・(2−1)
・・・(2−2)
(式(2−1)及び式(2−2)中、p及びpはそれぞれ独立して4〜16の整数であって、
、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1または2のアルキル基を表し、
、Rは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、
Arは無置換または置換基を有する芳香環を有する構造を表す。)

・・・(3−1)
(式(3−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、
Arは無置換または置換基を有する芳香環を有する構造を表す)。)
これらの中でも、前記ヒドロキシ化合物Aの水酸基当量が100〜10000g/eqであるものは接着剤層との反応性や、金属表面への配位性が適当であり、柔軟強靭性と耐熱性とを兼備できる点から好ましく、特に100〜2000g/eqであることが好ましい。
前記一般式(1)において、それぞれ独立してArは無置換または置換基を有する芳香環を有する構造を表す。ここでいう芳香環とは、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環が挙げられる。これら芳香環を有する構造であるArとしては、好ましくは下記式(2)で表される構造を表す。

・・・(4)
(式(4)において、芳香環は置換または無置換であってよく、式(1)中のArはそれぞれ独立してn=3〜6の整数であって、式(2−2)のArはn=2であって、*は結合点を表す。)
また、式(1)においては、以下のような式(5)で表される構造もArとして挙げられる。
・・・(5)
(式中、芳香環は置換または無置換であってよく、n=1〜4あって、*は結合点を表す。)
本発明のヒドロキシ化合物Aにおいて、硬化物の柔軟性、弾性率および接着性のバランスに優れる点から、Arの構造としては以下のものが特に好ましい。
式(1)のArとしては以下の構造が好ましい。
式(1)のArとしては以下の構造が特に好ましい。
式(2−2)のArとしては以下の構造が好ましい。
式(2−2)のArとしては以下の構造が特に好ましい。
Arが置換基を有する場合、置換基としては好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられる。好ましくはアルキル基と水酸基であり、水酸基を有する場合は接着剤層との反応性や、金属表面への配位性が優れることから特に好ましい。
置換基を有するArとしての特に好ましい構造としては、以下の構造が挙げられる。
前記式(1)で表されるヒドロキシ化合物Aにおいて、n=3〜6の整数であって、好ましくはn=3〜4である。
mは繰り返しの平均値でありmは0.5〜10である。この繰り返しの平均値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定することで得ることが出来る。mとしては、柔軟強靭性と耐久性を兼備する点から、好ましくはmが0.6〜5.0である。
<ヒドロキシ化合物Aの製造方法>
本発明のヒドロキシ化合物Aの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)とを、芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)のフェノール性水酸基1モルに対して、(a1)を1.01〜3.0モルの範囲で反応させて得られるエポキシ化合物Bを得、これに更に芳香族系ヒドロキシ化合物(a3)と反応させてヒドロキシ化合物A得る方法を用いることが、原料入手や反応が容易である点から好ましい。
<エポキシ化合物B>
脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)とを反応させて得られるエポキシ化合物Bを得、これに更に芳香族系ヒドロキシ化合物(a3)と反応させてヒドロキシ化合物Aを得る場合、エポキシ化合物Bとしては、芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)のフェノール性水酸基1モルに対して、(a1)を1.01〜3.0モルの範囲で反応させることで得ることができる。
エポキシ化合物B中には未反応の脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)が含まれるが、本発明ではそのまま用いてもよく、また、脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)を取り除いて用いても良い。
未反応の前記脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)の除去方法としては種々の方法に準じて行うことができる。例えば、極性の違いを利用するカラムクロマトグラフィー分離法、沸点の違いを利用する蒸留分留法などが挙げられる。なかでも、簡便な方法として、蒸留分留法が好ましく、熱変質を抑制するために高真空下で減圧蒸留分留が特に好ましい。得られるヒドロキシ化合物A中の未反応の前記脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)の存在率は質量%で0.1〜30であることが硬化物の強靱性と柔軟性とのバランスが良好となる点から好ましい。
前記脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)としては、特に限定されるものではなく、例えば1,11−ウンデカンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,9−ノナンジオールジグリシジルエーテル、1,12−ドデカンジオールジグリシジルエーテル、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオールジグリシジルエーテル、1,15−ペンタデカンジオールジグリシジルエーテル、1,16−ヘキサデカンジオールジグリシジルエーテル、2−メチル−1,11−ウンデカンジオールジグリシジルエーテル、3−メチル−1,11−ウンデカンジオールジグリシジルエーテル、2,6,10−トリメチル−1,11−ウンデカンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、ヒドロキシ化合物のグリシジルエーテル化において生成する有機塩素不純物を含有していても良く、下記構造で表される1−クロロメチル−2−グリシジルエーテル(クロルメチル体)等の有機塩素を含有していても良い。これらのジグリシジルエーテルは単独でも、2種類以上を併用しても良い。
・・・クロロメチル体
これらの中でも、得られる硬化物の柔軟性と耐熱性のバランスに優れる点から炭素数4〜16のアルキレン鎖の両末端にエーテル基を介してグリシジル基が連結した構造である化合物であることが好ましく、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,9−ノナンジオールジグリシジルエーテル、1,12−ドデカンジオールジグリシジルエーテル、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオールジグリシジルエーテル、1,16−ヘキサデカンジオールジグリシジルエーテルを用いることが最も好ましい。
前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)としては、フェノール性水酸基を3個以上有せば、特に限定されるものではなく、例えば、ピロガロール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等のトリヒドロキシベンゼン類、4,4‘,4“−トリヒドロキシトリフェニルメタン等のトリフェニルメタン型フェノール類、1,3,6−トリヒドロキシナフタレン等のトリヒドロキシナフタレン類、ジヒドロキシナフタレン類をカップリング反応させた、1,1‘−メチレンビスー(2,7−ナフタレンジオール)、1,1’−ビナフタレン−2,2‘,7,7’−テトラオール、1,1‘−オキシビスー(2,7−ナフタレンジオール)等の4官能フェノール類、(1,1’―ビフェニル)―2,4,4’―トリオール、(1,1‘―ビフェニル)―3,4‘,5―トリオール、(1,1’―ビフェニル)―3,3‘,5,5’―テトラオール等のビフェノール類、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのノボラック樹脂、フェノールとジシクロペンタジエンとの重付加物、及びフェノールとテルペン系化合物との重付加物等の脂環式構造含有フェノール類、ジヒドロキシナフタレンの脱水縮合反応から得られるナフチレンエーテル類、フェノールとフェニレンジメチルクロライド又はビフェニレンジメチルクロライドとの縮合反応生成物である所謂ザイロック型フェノール樹脂が挙げられ、単独でも、2種以上を併用して用いても良い。更に、上記の各化合物の芳香核に置換基としてメチル基、t−ブチル基、又はハロゲン原子が置換した構造の2官能性フェノール化合物も挙げられる。尚、前記脂環式構造含有フェノール類や、前記ザイロック型フェノール樹脂は、3官能性以上の成分のみならず、2官能性以下の成分も同時に存在し得るが、本発明ではそのまま用いてもよく、又、カラム等の精製工程を経て、2官能性以下の成分のみを取り除いて用いても良い。
これらの中でも、硬化物にした際の柔軟性と強靭性のバランスに優れる点からトリヒドロキシベンゼン類が最も好ましく、耐熱性を重視する場合には、4,4‘,4“−トリヒドロキシトリフェニルメタン、1,1‘−メチレンビスー(2,7−ナフタレンジオール)が好ましい。又、硬化物の耐湿性を重視する場合には、脂環式構造を含有するフェノール類を用いることが好ましい。
前記脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)との反応比率は、芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)のフェノール性水酸基1モルに対して、(a1)を1.01〜3.0モルの範囲で反応させることが好ましく、柔軟性と耐熱性をバランスよく兼備する点から、芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)のフェノール性水酸基1モルに対して、(a1)を1.1〜2.0モルであることがさらに好ましい。
前記脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)との反応は、触媒の存在下で行うことが好ましい。前記触媒としては、種々のものが使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム等のアルカリ(土類)金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物、DMP−30、DMAP、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム等のクロライド、ブロマイド、ヨーダイド、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、ベンジルトリブチルホスホニウム等のクロライド、ブロマイド、ヨーダイド等の4級アンモニウム塩、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類等が挙げられる。これらは2種以上の触媒を併用しても構わない。なかでも反応が速やかに進行すること、および不純物量の低減効果が高い点から水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリフェニルホスフィン、DMP−30が好ましい。これら触媒の使用量は特に限定されるものではないが、前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)のフェノール性水酸基1モルに対し0.0001〜0.01モル用いるのが好ましい。これら触媒の形態も特に限定されず、水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用しても構わない。
また、前記脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)との反応は、無溶剤下で、あるいは有機溶剤の存在下で行うことができる。用いうる有機溶剤としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどが挙げられる。有機溶剤の使用量としては、仕込んだ原料の総質量に対して通常50〜300質量%、好ましくは100〜250質量%である。これらの有機溶剤は単独で、あるいは数種類を混合して用いることが出来る。反応を速やかに行うためには無溶媒が好ましく、一方、最終生成物の不純物を低減できる点からはジメチルスルホキシドの使用が好ましい。
前記反応を行う場合の反応温度としては、通常50〜180℃、反応時間は通常1〜10時間である。最終生成物の不純物を低減できる点からは反応温度は100〜160℃が好ましい。また、得られる化合物の着色が大きい場合は、それを抑制するために、酸化防止剤や還元剤を添加しても良い。酸化防止剤としては特に限定されないが、例えば2,6−ジアルキルフェノール誘導体などのヒンダードフェノール系化合物や2価のイオウ系化合物や3価のリン原子を含む亜リン酸エステル系化合物などを挙げることができる。還元剤としては特に限定されないが、例えば次亜リン酸、亜リン酸、チオ硫酸、亜硫酸、ハイドロサルファイトまたはこれら塩などが挙げられる。
前記反応の終了後、反応混合物のpH値が3〜7、好ましくは5〜7になるまで中和あるいは水洗処理を行うこともできる。中和処理や水洗処理は常法にしたがって行えばよい。例えば塩基性触媒を用いた場合は塩酸、第一リン酸水素ナトリウム、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の酸性物質を中和剤として用いることができる。中和あるいは水洗処理を行った後、必要時には減圧加熱下で溶剤を留去し生成物の濃縮を行い、化合物を得ることが出来る。
エポキシ化合物Bの好ましい構造としては、以下の構造が挙げられる。
<ヒドロキシ化合物A>
脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)とを反応させて得られるエポキシ化合物Bを得、これに更に芳香族系ヒドロキシ化合物(a3)と反応させてヒドロキシ化合物Aを得る場合、ヒドロキシ化合物Aとしては、前記エポキシ化合物Bと芳香族系ヒドロキシ化合物(a3)とを、芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)のフェノール性水酸基1モルに対して、(a3)を1.01〜3.0モルの範囲で反応させることで得ることができる。
ヒドロキシ化合物A中には未反応の芳香族系ヒドロキシ化合物(a3)が含まれるが、本発明ではそのまま用いてもよく、また、芳香族系ヒドロキシ化合物(a3)を取り除いて用いても良い。
未反応の前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a3)の除去方法としては種々の方法に準じて行うことができる。例えば、極性の違いを利用するカラムクロマトグラフィー分離法、沸点の違いを利用する蒸留分留法、アルカリ水への溶解度の違いを利用するアルカリ水溶抽出法などが挙げられる。なかでも、熱変質を伴わないため、アルカリ水溶抽出法が効率などの点で好ましく、この時目的物を溶解させるために使用する有機溶媒はトルエンやメチルイソブチルケトンなど水と混合しないものなら使用可能であるが、目的物との溶解性の観点からメチルイソブチルケトンが好ましい。得られるヒドロキシ化合物B中の未反応の前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a3)の存在率は質量%で0.1〜60であることが硬化物の強靱性と柔軟性とのバランスが良好となる点から好ましい。
前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a3)としては、特に限定されるものではなく、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等のジヒドロキシベンゼン類、ピロガロール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等のトリヒドロキシベンゼン類、4,4‘,4“−トリヒドロキシトリフェニルメタン等のトリフェニルメタン型フェノール類、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、及び2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類、ジヒドロキシナフタレン類をカップリング反応させた、1,1‘−メチレンビスー(2,7−ナフタレンジオール)、1,1’−ビナフタレン−2,2‘,7,7’−テトラオール、1,1‘−オキシビスー(2,7−ナフタレンジオール)等の4官能フェノール類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、及び1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、及びビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のビスフェノール類、2,2’―ビフェノール、4,4‘−ビフェノール、(1,1’−ビフェニル)−3,4−ジオール、3,3’−ジメチル−(1,1‘−ビフェニル)−4,4’−ジオール、3−メチル−(1,1‘−ビフェニル)−4,4’−ジオール、3,3’、5,5’−テトラメチルビフェニル−2,2’−ジオール、3,3’、5,5’−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジオール、5−メチル−(1,1‘−ビフェニル)−3,4’ジオール、3‘−メチル−(1,1‘−ビフェニル)−3,4’ジオール、4’−メチル−(1,1‘−ビフェニル)−3,4’ジオール等のビフェノール類、フェノールとジシクロペンタジエンとの重付加物、及びフェノールとテルペン系化合物との重付加物等の脂環式構造含有フェノール類、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタン、及びビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)プロパン等のナフトール類、フェノールとフェニレンジメチルクロライド又はビフェニレンジメチルクロライドとの縮合反応生成物である所謂ザイロック型フェノール樹脂が挙げられ、単独でも、2種以上を併用して用いても良い。更に、上記の各化合物の芳香核に置換基としてメチル基、t−ブチル基、又はハロゲン原子が置換した構造の2官能性フェノール化合物も挙げられる。尚、前記脂環式構造含有フェノール類や、前記ザイロック型フェノール樹脂は、2官能成分のみならず、3官能性以上の成分も同時に存在し得るが、本発明ではそのまま用いてもよく、又、カラム等の精製工程を経て、2官能成分のみを取り出して用いても良い。
これらの中でも、硬化物にした際の柔軟性と強靭性のバランスに優れる点からビスフェノール類が好ましく、特に靱性付与の性能が顕著である点からビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。又、硬化物の硬化性や耐熱性を重視する場合には、ジヒドロキシナフタレン類が好ましく,特に速硬化性の付与が顕著である点から2,7−ジヒドロキシナフタレンが好ましい。又、硬化物の耐湿性を重視する場合には、脂環式構造を含有するフェノール類を用いることが好ましい。
前記エポキシ化合物Bと前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a3)との反応比率は、芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)のフェノール性水酸基1モルに対して、(a3)を1.01〜3.0モルの範囲で反応させることが好ましく、柔軟性と耐熱性をバランスよく兼備する点から、芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)のフェノール性水酸基1モルに対して、(a3)を1.1〜2.0モルであることがさらに好ましい。
前記エポキシ化合物Bと前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a3)との反応は、触媒の存在下で行うことが好ましい。前記触媒としては、種々のものが使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム等のアルカリ(土類)金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物、DMP−30、DMAP、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム等のクロライド、ブロマイド、ヨーダイド、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、ベンジルトリブチルホスホニウム等のクロライド、ブロマイド、ヨーダイド等の4級アンモニウム塩、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類等が挙げられる。これらは2種以上の触媒を併用しても構わない。なかでも反応が速やかに進行すること、および不純物量の低減効果が高い点から水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリフェニルホスフィン、DMP−30が好ましい。これら触媒の使用量は特に限定されるものではないが、前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a3)のフェノール性水酸基1モルに対し0.0001〜0.01モル用いるのが好ましい。これら触媒の形態も特に限定されず、水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用しても構わない。
また、前記エポキシ化合物Bと前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a3)との反応は、無溶剤下で、あるいは有機溶剤の存在下で行うことができる。用いうる有機溶剤としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどが挙げられる。有機溶剤の使用量としては、仕込んだ原料の総質量に対して通常50〜300質量%、好ましくは100〜250質量%である。これらの有機溶剤は単独で、あるいは数種類を混合して用いることが出来る。反応を速やかに行うためには無溶媒が好ましく、一方、最終生成物の不純物を低減できる点からはジメチルスルホキシドの使用が好ましい。
前記反応を行う場合の反応温度としては、通常50〜180℃、反応時間は通常1〜10時間である。最終生成物の不純物を低減できる点からは反応温度は100〜160℃が好ましい。また、得られる化合物の着色が大きい場合は、それを抑制するために、酸化防止剤や還元剤を添加しても良い。酸化防止剤としては特に限定されないが、例えば2,6−ジアルキルフェノール誘導体などのヒンダードフェノール系化合物や2価のイオウ系化合物や3価のリン原子を含む亜リン酸エステル系化合物などを挙げることができる。還元剤としては特に限定されないが、例えば次亜リン酸、亜リン酸、チオ硫酸、亜硫酸、ハイドロサルファイトまたはこれら塩などが挙げられる。
前記反応の終了後、反応混合物のpH値が3〜7、好ましくは5〜7になるまで中和あるいは水洗処理を行うこともできる。中和処理や水洗処理は常法にしたがって行えばよい。例えば塩基性触媒を用いた場合は塩酸、第一リン酸水素ナトリウム、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の酸性物質を中和剤として用いることができる。中和あるいは水洗処理を行った後、必要時には減圧加熱下で溶剤を留去し生成物の濃縮を行い、化合物を得ることが出来る。
ヒドロキシ化合物Aの好ましい構造としては、以下の構造が挙げられる。
<組成物>
本発明の組成物は、本発明のヒドロキシ化合物Aを含有するものである。
本発明の組成物としては、ヒドロキシ化合物A以外に、該ヒドロキシ化合物Aと反応する化合物を含有していても良い。該ヒドロキシ化合物Aと反応する化合物としては、エポキシ化合物、及びまたはイソシアネート化合物等が挙げられる。
併用できるエポキシ化合物としては、なんら制限されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等の液状エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ、単独でも、2種以上を併用してもよく、目的とする用途や硬化物の物性等に応じて種々選択して用いることが好ましい。
また、エポキシ化合物の硬化剤としてアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物を併用しても構わない。
本発明の組成物中にエポキシ化合物とエポキシ硬化剤を含有する場合の配合量としては、特に制限されるものではないが、得られる硬化物の機械的物性等が良好である点から、エポキシ化合物全量中のエポキシ基の合計1当量に対して、ヒドロキシ化合物Aの水酸基及び硬化剤中の活性基の合計が、0.7〜1.5当量になる量が好ましい
イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらイソシアネート化合物は1種もしくは2種以上を使用することができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いても構わない。
<硬化促進剤>
例えば、本発明の組成物は硬化促進剤を含有しても構わない。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、ウレア化合物、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。接着剤用途として使用する場合には、作業性、低温硬化性に優れる点から、ウレア化合物、特に3,4−ジクロロフェニル−ジメチルウレア(DCMU)が好ましい。半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルホスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセンが好ましい。
<フィラー>
本発明の組成物は、更にフィラーを含有してもよい。フィラーとしては、無機フィラーと有機フィラーが挙げられる。無機フィラーとしては、例えば無機微粒子が挙げられる。
無機微粒子としては、例えば、耐熱性に優れるものとしては、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、シリカ(石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等)等;熱伝導に優れるものとしては、窒化ホウ素、窒化アルミ、酸化アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、ダイヤモンド等;導電性に優れるものとしては、金属単体又は合金(例えば、鉄、銅、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、白金、亜鉛、マンガン、ステンレスなど)を用いた金属フィラー及び/又は金属被覆フィラー、;バリア性に優れるものとしては、マイカ、クレイ、カオリン、タルク、ゼオライト、ウォラストナイト、スメクタイト等の鉱物等やチタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム;屈折率が高いものとしては、チタン酸バリウム、酸化ジルコニア、酸化チタン等;光触媒性を示すものとしては、チタン、セリウム、亜鉛、銅、アルミニウム、錫、インジウム、リン、炭素、イオウ、テリウム、ニッケル、鉄、コバルト、銀、モリブデン、ストロンチウム、クロム、バリウム、鉛等の光触媒金属、前記金属の複合物、それらの酸化物等;耐摩耗性に優れるものとしては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化マグネシウム等の金属、及びそれらの複合物及び酸化物等;導電性に優れるものとしては、銀、銅などの金属、酸化錫、酸化インジウム等;絶縁性に優れるものとしては、シリカ等;紫外線遮蔽に優れるものとしては、酸化チタン、酸化亜鉛等である。
これらの無機微粒子は、用途によって適時選択すればよく、単独で使用しても、複数種組み合わせて使用してもかまわない。また、上記無機微粒子は、例に挙げた特性以外にも様々な特性を有することから、適時用途に合わせて選択すればよい。
例えば無機微粒子としてシリカを用いる場合、特に限定はなく粉末状のシリカやコロイダルシリカなど公知のシリカ微粒子を使用することができる。市販の粉末状のシリカ微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製アエロジル50、200、旭硝子(株)製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製E220A、E220、富士シリシア(株)製SYLYSIA470、日本板硝子(株)製SGフレ−ク等を挙げることができる。
また、市販のコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製メタノ−ルシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。
表面修飾をしたシリカ微粒子を用いてもよく、例えば、前記シリカ微粒子を、疎水性基を有する反応性シランカップリング剤で表面処理したものや、(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾したものがあげられる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾した市販の粉末状のシリカとしては、日本アエロジル(株)製アエロジルRM50、R711等、(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾した市販のコロイダルシリカとしては、日産化学工業(株)製MIBK−SD等が挙げられる。
前記シリカ微粒子の形状は特に限定はなく、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、または不定形状のものを用いることができる。また一次粒子径は、5〜200nmの範囲が好ましい。5nm未満であると、分散体中の無機微粒子の分散が不十分となり、200nmを超える径では、硬化物の十分な強度が保持できないおそれがある。
酸化チタン微粒子としては、体質顔料のみならず紫外光応答型光触媒が使用でき、例えばアナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンなどが使用できる。更に、酸化チタンの結晶構造中に異種元素をドーピングさせて可視光に応答させるように設計された粒子についても用いることができる。酸化チタンにドーピングさせる元素としては、窒素、硫黄、炭素、フッ素、リン等のアニオン元素や、クロム、鉄、コバルト、マンガン等のカチオン元素が好適に用いられる。また、形態としては、粉末、有機溶媒中もしくは水中に分散させたゾルもしくはスラリーを用いることができる。市販の粉末状の酸化チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製アエロジルP−25、テイカ(株)製ATM−100等を挙げることができる。また、市販のスラリー状の酸化チタン微粒子としては、例えば、テイカ(株)TKD−701等が挙げられる。
<繊維質基質>
本発明の組成物は、更に繊維質基質を含有してもよい。本発明の繊維質基質は、特に限定はないが、繊維強化樹脂に用いられるものが好ましく、無機繊維や有機繊維が挙げられる。
無機繊維としては、カーボン繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等の無機繊維のほか、炭素繊維、活性炭繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、タングステンカーバイド繊維、シリコンカーバイド繊維(炭化ケイ素繊維)、セラミックス繊維、アルミナ繊維、天然繊維、玄武岩などの鉱物繊維、ボロン繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ホウ素繊維、及び金属繊維等を挙げることができる。上記金属繊維としては、例えば、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維を挙げることができる。
有機繊維としては、ポリベンザゾール、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート等の樹脂材料からなる合成繊維や、セルロース、パルプ、綿、羊毛、絹といった天然繊維、タンパク質、ポリペプチド、アルギン酸等の再生繊維等を挙げる事ができる。
中でも、カーボン繊維とガラス繊維は、産業上利用範囲が広いため、好ましい。これらのうち、一種類のみ用いてもよく、複数種を同時に用いてもよい。
本発明の繊維質基質は、繊維の集合体であってもよく、繊維が連続していても、不連続状でもかまわず、織布状であっても、不織布状であってもかまわない。また、繊維を一方方向に整列した繊維束でもよく、繊維束を並べたシート状であってもよい。また、繊維の集合体に厚みを持たせた立体形状であってもかまわない。
<分散媒>
本発明の組成物は、組成物の固形分量や粘度を調整する目的として、分散媒を使用してもよい。分散媒としては、本発明の効果を損ねることのない液状媒体であればよく、各種有機溶剤、液状有機ポリマー等が挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン等の環状エーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類が挙げられ、これらを単独又は併用して使用可能であるが、中でもメチルエチルケトンが塗工時の揮発性や溶媒回収の面から好ましい。
前記液状有機ポリマーとは、硬化反応に直接寄与しない液状有機ポリマーであり、例えば、カルボキシル基含有ポリマー変性物(フローレンG−900、NC−500:共栄社)、アクリルポリマー(フローレンWK−20:共栄社)、特殊変性燐酸エステルのアミン塩(HIPLAAD ED−251:楠本化成)、変性アクリル系ブロック共重合物(DISPERBYK2000;ビックケミー)などが挙げられる。
<樹脂>
また、本発明の組成物は、本発明の前述した各種化合物以外の樹脂を有していてもよい。樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば公知慣用の樹脂を配合すればよく、例えば熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができる。
熱硬化性樹脂とは、加熱または放射線や触媒などの手段によって硬化される際に実質的に不溶かつ不融性に変化し得る特性を持った樹脂である。その具体例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、活性エステル樹脂、アニリン樹脂、シアネートエステル樹脂、スチレン・無水マレイン酸(SMA)樹脂、マレイミド樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。
熱可塑性樹脂とは、加熱により溶融成形可能な樹脂を言う。その具体例としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、酢酸セルロース樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリケトン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。
<その他の配合物>
本発明の組成物は、その他の配合物を有していてもかまわない。例えば、触媒、重合開始剤、無機顔料、有機顔料、体質顔料、粘土鉱物、ワックス、界面活性剤、安定剤、流動調整剤、カップリング剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、可塑剤等が挙げられる。
<硬化物>
本発明の組成物においては、脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテルと芳香族系ヒドロキシ化合物との反応物を適用することで、従来になく柔軟で強靱な硬化物を得ることが可能となる。例えば、前記した液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂をダイマー酸やセバシン酸のような脂肪族ジカルボン酸を分子鎖延長剤として反応させた高分子量化エポキシ化合物は、柔軟な構造の硬化物を与えるが、エステル基の凝集によりその効果は十分なものではない。
これに対して本発明では脂肪族系化合物から生じる骨格が、柔軟性を付与する所謂ソフトセグメントとして機能するため、本発明のヒドロキシ化合物Aを硬化させて得られる硬化物は極めて柔軟なものとなる。一方、芳香族系ヒドロキシ化合物から生じる骨格が、本発明のヒドロキシ化合物Aに剛直性を付与する所謂ハードセグメントとして機能するため、柔軟性と靭性とを兼備する硬化物を与えることができる。
特に本発明のヒドロキシ化合物Aの場合は、ハードセグメントとして機能する部分と、ソフトセグメントとして機能する部分とが結合することにより、ヒドロキシ化合物構造に柔軟性を付与すると共に優れた耐湿性を発現させることができる。更に、本発明では芳香核に直接ヒドロキシ基が結合することにより、硬化物の靱性が極めて優れたものとなる。即ち、例えば、低分子量タイプの液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂をエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドで変性して得られるヒドロキシ化合物骨格自体が柔軟になるものの、ヒドロキシ基自体の活性に劣り、硬化時に靱性を発現するに充分な架橋が得られないものであったところ、本発明のヒドロキシ化合物Aは、ヒドロキシ基が直接芳香核に結合することによりヒドロキシ基の活性が高くなる為、樹脂自体が柔軟であるにも拘わらず、硬化反応時には適度な架橋を形成して優れた靱性を発現する。更に、前記ハードセグメントが架橋点となるヒドロキシ基に隣接することで架橋点における物理的な強度が高まり靱性が向上するものである。
本発明の組成物を硬化させる場合には、常温または加熱による硬化をおこなえばよい。硬化する際には、公知慣用の硬化触媒や、硬化剤としてエポキシ化合物やイソシアネート化合物を用いれば良い。
熱硬化を行う場合、1回の加熱で硬化させてもよいし、多段階の加熱工程を経て硬化させてもかまわない。
硬化触媒を用いる場合には、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイソプロピル、酢酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の無機塩基類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン酸エステル類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、イミダゾール、2−エチル−4−メチル−イミダゾール、1−メチルイミダゾール、N,N−ジメチルー4−アミノピリジン(DMAP)等の各種の塩基性窒素原子を含有する化合物類;テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩等の各種の4級アンモニウム塩類であって、対アニオンとして、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートもしくはハイドロオキサイドなどを有する4級アンモニウム塩類;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、オクチル酸錫又はステアリン酸錫など錫カルボン酸塩、;過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトン過酸化物、t−ブチルパーベンゾエートなどの有機過酸化物等を使用することができる。触媒は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
<積層体>
本発明の組成物は基材と積層することで積層体とすることができる。
積層体の基材としては、金属やガラス等の無機材料や、プラスチックや木材といった有機材料等、用途によって適時使用すればよく、積層体の形状としても、平板、シート状、あるいは三次元構造を有していても立体状であってもかまわない。全面にまたは一部に曲率を有するもの等目的に応じた任意の形状であってよい。また、基材の硬度、厚み等にも制限はない。
本発明の組成物は、金属及びまたは金属酸化物に対する接着性が特に高い為、金属用のプライマーとして特に良好に使用可能である。金属としては銅、アルミ、金、銀、鉄、プラチナ、クロム、ニッケル、錫、チタン、亜鉛、各種合金、及びこれらを複合した材料が挙げられ、金属酸化物としてはこれら金属の単独酸化物及びまたは複合酸化物が挙げられる。特に鉄、銅、アルミに対しての接着力に優れる為、鉄、銅、アルミ用のプライマーとして良好に使用可能である。
本発明の積層体において、組成物層は、基材に対し直接塗工や成形により形成してもよく、すでに成形したものを積層させてもかまわない。直接塗工する場合、塗工方法としては特に限定は無く、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法等が挙げられる。直接成形する場合は、インモールド成形、インサート成形、真空成形、押出ラミネート成形、プレス成形等が挙げられる。
<第2基材および接着剤層>
本発明の積層体は、基材と組成物層に対し、さらに第2基材を形成しても構わない。このとき第2基材の材質には特に限定は無く、前記基材で挙げられた各種材質について利用可能である。好ましくは、基材と第2基材の組合せが、金属または金属酸化物とプラスチックとのいずれかの組合せである場合である。
また、本発明の積層体は、基材と、本発明の組成物層と、接着剤層と、第2基材とがこの順に積層してなる積層体であっても良い。本発明の組成物は、金属または金属酸化物のプライマーとして良好に働くことから、基材が金属または金属酸化物の時に特に良好である。接着剤層を形成する接着剤としては特に限定は無いが、エポキシ樹脂系の接着剤であると接着性が良好であることから好ましい。
<繊維強化樹脂>
本発明の組成物が繊維質基質を有し、該繊維質基質が強化繊維の場合、繊維質基質を含有する組成物は繊維強化樹脂として用いることができる。
組成物に対し繊維質基質を含有させる方法は、本発明の効果を損なわない範囲であればとくに限定はなく、繊維質基質と組成物とを、混練、塗布、含浸、注入、圧着、等の方法で複合化する方法が挙げられ、繊維の形態及び繊維強化樹脂の用途によって適時選択することができる。
本発明の繊維強化樹脂を成形する方法については、特に限定されない。板状の製品を製造するのであれば、押し出し成形法が一般的であるが、平面プレスによっても可能である。この他、押し出し成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、真空成形法、射出成形法等を用いることが可能である。またフィルム状の製品を製造するのであれば、溶融押出法の他、溶液キャスト法を用いることができ、溶融成形方法を用いる場合、インフレーションフィルム成形、キャスト成形、押出ラミネーション成形、カレンダー成形、シート成形、繊維成形、ブロー成形、射出成形、回転成形、被覆成形等が挙げられる。また、活性エネルギー線で硬化する樹脂の場合、活性エネルギー線を用いた各種硬化方法を用いて硬化物を製造する事ができる。特に、熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂の主成分とする場合には、成形材料をプリプレグ化してプレスやオートクレーブにより加圧加熱する成形法が挙げられ、この他にもRTM(Resin Transfer Molding)成形、VaRTM(Vaccum assist Resin Transfer Molding)成形、積層成形、ハンドレイアップ成形等が挙げられる。
<プリプレグ>
本発明の繊維強化樹脂は、未硬化あるいは半硬化のプリプレグと呼ばれる状態を形成することができる。プリプレグの状態で製品を流通させた後、最終硬化をおこなって硬化物を形成してもよい。積層体を形成する場合は、プリプレグを形成した後、その他の層を積層してから最終硬化を行うことで、各層が密着した積層体を形成できるため、好ましい。
この時用いる組成物と繊維質基質の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調製することが好ましい。
<耐熱材料および電子材料>
本発明の組成物は、その硬化物が、ガラス転移温度が高く、耐熱分解性に優れることから、耐熱部材に好適に使用可能である。また、基材への密着性に優れることから、特に電子部材に好適に使用可能である。特に、半導体封止材、回路基板、ビルドアップフィルム、ビルドアップ基板等や、接着剤やレジスト材料に好適に使用可能である。また、繊維強化樹脂のマトリクス樹脂にも好適に使用可能であり、高耐熱性のプリプレグとして特に適している。こうして得られる耐熱部材や電子部材は、各種用途に好適に使用可能であり、例えば、産業用機械部品、一般機械部品、自動車・鉄道・車両等部品、宇宙・航空関連部品、電子・電気部品、建築材料、容器・包装部材、生活用品、スポーツ・レジャー用品、風力発電用筐体部材等が挙げられるが、これらに限定される物ではない。
以下、代表的な製品について例を挙げて説明する。
1.半導体封止材料
本発明の組成物から半導体封止材料を得る方法としては、前記組成物、及び硬化促進剤、及び無機充填剤等の配合剤とを必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に溶融混合する方法が挙げられる。その際、無機充填剤としては、通常、溶融シリカが用いられるが、パワートランジスタ、パワーIC用高熱伝導半導体封止材として用いる場合は、溶融シリカよりも熱伝導率の高い結晶シリカ,アルミナ,窒化ケイ素などの高充填化、または溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素などを用いるとよい。その充填率は硬化性樹脂組成物100質量部当たり、無機充填剤を30〜95質量%の範囲で用いることが好ましく、中でも、難燃性や耐湿性や耐ハンダクラック性の向上、線膨張係数の低下を図るためには、70質量部以上がより好ましく、80質量部以上であることがさらに好ましい。
2.半導体装置
本発明の硬化性樹脂組成物から半導体装置を得る半導体パッケージ成形としては、上記半導体封止材料を注型、或いはトランスファー成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに50〜250℃で2〜10時間の間、加熱する方法が挙げられる。
3.プリント回路基板
本発明の組成物からプリント回路基板を得る方法としては、上記プリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜300℃で10分〜3時間、加熱圧着させる方法が挙げられる。
4.ビルドアップ基板
本発明の組成物からビルドアップ基板を得る方法は、例えば以下の工程が挙げられる。まず、ゴム、フィラーなどを適宜配合した上記組成物を、回路を形成した回路基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる工程(工程1)。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する工程(工程2)。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成する工程(工程3)。なお、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行う。また、本発明のビルドアップ基板は、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170〜300℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
5.ビルドアップフィルム
本発明の組成物からビルドアップフィルムを得る方法としては、基材である支持フィルム(Y)の表面に、上記組成物を塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて組成物の層(X)を形成させることにより製造することができる。
ここで用いる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を用いることが好ましく、また、不揮発分30〜60質量%となる割合で使用することが好ましい。
形成される層(X)の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みを有するのが好ましい。なお、本発明における上記組成物の層(X)は、後述する保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。
前記した支持フィルム及び保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持フィルム及び保護フィルムはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さは1〜40μmとするのが好ましい。
上記した支持フィルム(Y)は、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。ビルドアップフィルムを構成する硬化性樹脂組成物層が加熱硬化した後に支持フィルム(Y)を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。
上記のようにして得られたビルドアップフィルムを用いて多層プリント回路基板を製造することができる。例えば、層(X)が保護フィルムで保護されている場合はこれらを剥離した後、層(X)を回路基板に直接接するように回路基板の片面又は両面に、例えば真空ラミネート法によりラミネートする。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。また必要により、ラミネートを行う前にビルドアップフィルム及び回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を70〜140℃とすることが好ましく、圧着圧力を1〜11kgf/cm(9.8×10107.9×10N/m)とすることが好ましく、空気圧を20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートすることが好ましい。
6.導電ペースト
本発明の組成物から導電ペーストを得る方法としては、例えば、導電性粒子を該組成物中に分散させる方法が挙げられる。上記導電ペーストは、用いる導電性粒子の種類によって、回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤とすることができる。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。
FD−MSスペクトル、GPCは以下の条件にて測定した。
<マススペクトル>
FD−MS:日本電子株式会社製「JMS−T100GC AccuTOF」
測定範囲:m/z=50.00〜2000.00
変化率:25.6mA/min
最終電流値:40mA
カソード電圧:−10kV
<ゲルパーミエーションクロマトグラフ>
GPC:東ソー株式会社製「HLC−8320GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」+「TSK−GEL G3000HXL」+「TSK−GEL G4000HXL」
検出器:RI(示唆屈折率計)
測定条件:40℃
移動相:テトラヒドロフラン
流速:1ml/min
標準:東ソー株式会社製「PStQuick A」「PStQuick B」「PStQuick E」「PStQuick F」
合成したエポキシ化合物のエポキシ当量については、JIS K7236に則って測定を行ない、エポキシ当量(g/eq)を算出した。
繰り返し単位数の算出方法としては、GPC分子量測定や、FD−MS等の適切な各種の機器分析結からの算出が例示できる。
合成例1 エポキシ化合物B−1の合成
温度計、撹拌機を取り付けたフラスコに1,12−ドデカンジオールのジグリシジルエーテル(四日市合成株式会社製:エポキシ当量210g/eq)630質量部(1.5モル当量)と1,3,5−トリヒドロキシベンゼン(水酸基当量42g/eq)42質量部(0.33モル当量)を仕込み、140℃まで30分間要して昇温した後、4%水酸化ナトリウム水溶液3.4質量部を仕込んだ。その後、30分間要して150℃まで昇温し、さらに150℃で3時間反応させた。その後、中和量のリン酸ソーダを添加し、エポキシ化合物B−1を含む反応物B−1を660質量部得た。
合成例2 エポキシ化合物B−2の合成
合成例1における1,3,5−トリヒドロキシベンゼン(0.33モル当量)をトリフェニロールメタン(群栄化学工業株式会社「TPM−100」、水酸基当量97g/eq)97質量部(0.33モル当量)に変えた以外は合成例1と同様に反応し、エポキシ化合物B−2を含有する反応物B−2を720質量部得た。
実施例1 ヒドロキシ化合物A−1の合成
温度計、撹拌機を取り付けたフラスコに反応物B−1を360質量部とビスフェノールA(水酸基当量114g/eq)342質量部(1.5モル当量)を仕込み、140℃まで30分間要して昇温した後、4%水酸化ナトリウム水溶液1.7質量部を仕込んだ。その後、30分間要して150℃まで昇温し、さらに150℃で3時間反応させた。その後、中和量のリン酸ソーダを添加し、反応物Aー1を680質量部得た。この反応物A−1は、FD−MSスペクトル解析にてM+=1754のピークが確認されたことから、目的物である1,3,5−トリヒドロキシベンゼンと1,12−ドデカンジオールのジグリシジルエーテルとビスフェノールAが1.0モル:3.0モル:3.0モルで反応したヒドロキシ化合物A−1が存在することを確認した。
実施例2 ヒドロキシ化合物A−2の合成
実施例1における反応物B−1を360質量部から、反応B−2を410質量部に変えた以外は実施例1と同様に反応し、反応物A−2を730質量部得た。反応物A−2は、FD−MSスペクトル解析にてM+=1920のピークが確認されたことから、目的物であるトリフェニロールメタンと1,12−ドデカンジオールのジグリシジルエーテルとビスフェノールAが1.0モル:3.0モル:3.0モルで反応したヒドロキシ化合物A−2が存在することを確認した。
実施例3 ヒドロキシ化合物A−3の合成
実施例1におけるビスフェノールAを342質量部から(1.5モル当量)を2、7−ジヒドロキシナフタレン240質量部(1.5モル当量)に変えた以外は実施例1と同様に反応し、反応物A−3を830質量部得た。ヒドロキシ化合物A−3を730g得た。反応物A−3は、FD−MSスペクトル解析にてM+=1549のピークが確認されたことから、目的物である1,3,5−トリヒドロキシベンゼンと1,12−ドデカンジオールのジグリシジルエーテルと2,7−ジヒドロキシナフタレンが1.0モル:3.0モル:3.0モルで反応したヒドロキシ化合物A−3が存在することを確認した。
本発明のヒドロキシ化合物Aは、金属表面、特に汚染された金属表面であっても高い接着性とプライマー性を発揮することができる。

Claims (14)

  1. 一般式(1)の構造を有するヒドロキシ化合物A。

    ・・・(1)
    (式(1)中、Arは無置換または置換基を有する芳香環を有する構造を表し、n=3〜6の整数であって、mは繰り返しの平均値でありmは0.5〜10であって、
    Yは式(2−1)およびまたは式(2−2)で表される構造であって、
    Qはそれぞれ独立して水酸基、または式(3−1)で表される構造のいずれかである
    (但し、繰り返し単位中に存在する各繰り返し単位はそれぞれ同一であっても異なっていても構わない)

    ・・・(2−1)
    ・・・(2−2)
    (式(2−1)及び式(2−2)中、p及びpはそれぞれ独立して4〜16の整数であって、
    4、R5はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1または2のアルキル基を表し、
    、Rは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、
    Arは無置換または置換基を有する芳香環を有する構造を表す。)

    ・・・(3−1)
    (式(3−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、
    Arは無置換または置換基を有する芳香環を有する構造を表す)。)
  2. 式(1)中、Arが下記式(4)で表されるいずれかの構造である、請求項1に記載のヒドロキシ化合物A。

    ・・・(4)
    (式(4)において、芳香環は置換または無置換であってよく、式(1)中のArはそれぞれ独立してn=3〜6の整数であって、式(2−1)のArはn=2であって、*は結合点を表す。)
  3. 式(1)中、Arがさらに水酸基を有するものである、請求項1または2に記載のヒドロキシ化合物A。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のヒドロキシ化合物Aを含有することを特徴とする、組成物。
  5. 更に、ヒドロキシ化合物Aと反応する化合物を含有する、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記ヒドロキシ化合物Aと反応する化合物が、エポキシ化合物及びまたはイソシアネート化合物である、請求項5に記載の組成物。
  7. 更に、フィラーを含有する、請求項4〜6のいずれかに記載の組成物。
  8. 請求項4〜7のいずれかに記載の組成物を硬化してなる硬化物。
  9. 基材と請求項4〜7のいずれかに記載の組成物層とを有することを特徴とする積層体。
  10. 基材が金属または金属酸化物である、請求項9に記載の積層体。
  11. 基材と、請求項4〜7のいずれかに記載の組成物層と、第2基材とがこの順に積層してなる積層体であって、基材が金属または金属酸化物であって、第2基材がプラスチック層である、請求項8または9に記載の積層体。
  12. 基材と、請求項4〜7のいずれかに記載の組成物層と、接着剤層と、第2基材とがこの順に積層してなる積層体であって、基材が金属または金属酸化物であって、第2基材がプラスチック層である、請求項8〜10のいずれかに記載の積層体。
  13. 請求項8〜10のいずれかに記載の積層体を含有することを特徴とする電子部材。
  14. 請求項1〜3のいずれかに記載のヒドロキシ化合物Aを含有することを特徴とする、金属または金属酸化物用プライマー。
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