JP7320803B2 - サイレージ発酵品質評価方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は主に牛の飼料として使用されるサイレージに関し、特にサイレージの製造過程あるいは保管中のサイレージの発酵品質の評価に関する。
牛などの飼育されている反芻動物そのほかの草食動物に与える飼料として、牧草、禾本科、マメ科等の植物、食品加工工程からの廃棄物等を発酵させたサイレージが大量に使用されている。サイレージを製造する際の発酵は主に乳酸発酵であるが、発酵条件やその後の保存条件により乳酸発酵以外の発酵も進行し、また場合によっては腐敗が起こることもある。発酵品質の劣化、すなわち乳酸発酵以外の発酵や腐敗等により、サイレージ中に酪酸、吉草酸などの炭素数の多いカルボン酸やアンモニア等の揮発性塩基態窒素の増加が起こった場合、反芻動物が好まないサイレージとなってしまう。また、反芻動物がそのような低品質のサイレージを摂取した場合、健康を害することがある。従って、サイレージの製造・保管・流通・使用の過程において、サイレージの発酵品質を検査・管理することは、畜産業にとって重要である。
サイレージの発酵品質評価法には現在化学分析を使用した方法及び人間の感覚を使用した方法がある。
化学分析を使用した評価の指標のうちで現在広く使用されているものとしてVスコアがある(非特許文献1)。Vスコアは発酵品質を100点満点で評価するが、アンモニア態窒素含有量(VBN)/全窒素量(TN)の値が小さい方がよいとして、50点を配分し、残りの50点を有機酸(VFA)に配分している。有機酸に関する配点は、炭素数が酪酸またはそれ以上(つまりC4以上)の有機酸が少ないほど高い点数を与えるとともに(40点満点)、酢酸+プロピオン酸含有量が少ないほど高い点を与える(10点満点)。そして、これらの評価点の合計としてVスコアを算出する。
しかし、Vスコアを求めるには、サイレージを数時間水に浸漬してその成分を抽出した水を分析するという手順を使用するので、結果を得るまでに長い時間を要することに加えて、専門的な分析機器も必要となるので、現場で簡便な手順・装置を使用してVスコアを求めるのは困難である。
また、Vスコア以外の評価の指標として、一定条件下でサイレージの水蒸気蒸留を行い、流出する有機酸を滴定し、換算式により乳酸、酢酸、酪酸の含量を推定値として求め、その重量による比率を基に算出するフリーク評点がある。この評点は、乳酸、VFAを他の分析方法により定量した値を基に算出しても、フリーク蒸留法で求めた値とよく一致することが確かめられている。フリーク評点は日本国外で使用されることが多いが、国内ではこれと同様に塩基性窒素を考慮しないV2スコアと呼ばれる指標も使用されている。しかし、フリーク評点等の場合もVスコアについて上で説明した問題点があり、現場などで簡単に評価することは困難である。
これとは別に、特許文献1には、合成樹脂製フィルムで被覆したサイレージの発酵品質評価のため、被覆外部に漏れだしたガス中のアンモニア濃度の経時変化を観察し、その増加/減少からその品質の高低を評価する方法が記載されている。
しかし、この評価方法では、経時変化から品質評価を行うため、評価結果が得られるまで長期間を要する。その実施例を見ると、刈り取り直後の草を直ちにフィルムで被覆した後、おそらくは1日ごとにアンモニア濃度を測定し、初日から33日間のアンモニアの漏出濃度の変化を観察している。このような測定法では、サイレージの発酵品質をすぐに評価したいという用途には当然使用できない。また、これも当然のことであるが、特許文献1の評価方法はサイレージの原料段階からどれだけアンモニア濃度が変化したかを測定するものなので、原料の状態あるいは少なくとも貯蔵開始時点における濃度からの変化情報を必要とする。従って、アンモニア濃度の初期状態を測定していなかったサイレージや、外部から購入等したサイレージであってアンモニア初期濃度情報の提供がない場合などには適用できない。
一方、人間の感覚を利用した発酵品質評価として、例えばサイレージの色、触感、ニオイ、味から総合的に評価することも行われている。人間の嗅覚はかなり鋭敏であり、特に有機酸等にはかなりの高い感度を示すため、評価者が十分に訓練を受けている場合には、発酵品質の評価にあたって中心的な役割を演じることが原理的には可能なはずである。実際、非常に高い発酵品質のサイレージの場合にはにおいがかなり薄いため、嗅覚はこのような領域での評価には十分適合する。一方、発酵品質が少々劣化してくると有機酸が増加し、場合によっては腐敗臭なども加わるため、人間の嗅覚にとっては刺激が強すぎて、少々の成分の違いではニオイの違いとして識別することができなくなってしまう。
このように、感覚を利用した評価方法において重要な役割を担っている嗅覚が強いにおいを発するサイレージに不適合であることは、人間の感覚を発酵品質の評価に利用することに当たって大きな障害となる。
本発明は、表面応力センサによりサイレージからの揮発成分(ニオイ)を検出することにより、サイレージのその時点における発酵品質を、複雑な操作を伴うことなく評価すること、またこの評価のための装置を提供することをその課題とする。
本発明の一側面によれば、サイレージから発生したガスを表面応力センサに与え、前記サイレージから発生したガスに応答して前記表面応力センサから出力されるシグナルを使用して、前記サイレージから発生したガスの組成に基づく前記サイレージの発酵品質の評価を行う、サイレージ発酵品質評価方法が与えられる。
ここで、前記サイレージから発生したガスの組成に基づく前記サイレージの発酵品質の評価は、少なくとも前記ガス中の有機酸及び窒素含有化合物の一方の量に基づく評価であってよい。
また、前記発酵品質の評価は、前記シグナルの時間変化のパターンに基づいて行ってよい。
また、前記サイレージから発生したガス中の酪酸の量による時間変化のパターンへの影響の評価に基づいて前記発酵品質の評価を行ってよい。
また、前記サイレージから発生したガス中の酢酸の量による時間変化のパターンへの影響の評価に基づいて前記発酵品質の評価を行ってよい。
また、評価対象のサイレージを収容した容器に、発酵品質の評価に影響を与える成分を実質的に含有していないガスを通すことにより得られたガスを前記サイレージから発生したガスとして前記表面応力センサに供給してよい。
また、前記表面応力センサに前記サイレージから発生したガスの供給を開始した以降の前記シグナルを使用して前記サイレージの発酵品質の評価を行ってよい。
また、前記表面応力センサは膜型表面応力センサであってよい。
また、前記表面応力センサの感応膜の材料としてPoly(methyl vinyl ether-alt-maleic anhydride)、Poly(2,6-diphenyl-p-phenylene oxide)及びPoly(4-methylstyrene)からなる群から選択された少なくとも一を使用してよい。
また、前記表面応力センサの感応膜の材料としてPolymethyl methacrylate、Poly(4-methylstyrene)、フェニル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子、オクタデシル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子、Poly(2,6-diphenyl-p-phenylene oxide)、Polyvinyl fluoride、Polystyrene、Polycaprolactone、Cellulose acetate butyrate、Polyethyleneimine、及びテトラエトキシシラン修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子からなる群から選択された少なくとも一を使用してよい。
また、前記表面応力センサとして、前記群から選択された一の材料を感応膜に使用した第1の表面応力センサと、前記群から選択された他の材料を感応膜として使用した第2の表面応力センサとを少なくとも使用してよい。
また、前記サイレージから発生したガスとパージガスとを前記表面応力センサに交互に与え、前記サイレージから発生したガスに対応する前記シグナルと前記パージガスに対応する前記シグナルとを使用して前記サイレージの発酵品質の評価を行ってよい。
また、前記サイレージから発生したガスを前記表面応力センサに供給する時間区間と前記パージガスを前記表面応力センサに与える時間区間とに加えて、所定の標準ガスを前記表面応力センサに与える時間区間を設け、前記サイレージの発酵品質の評価にあたって前記標準ガスに対応する前記シグナルを更に使用してよい。
また、前記標準ガスは液体または固体から発生するガスであってよい。
また、前記サイレージから発生したガスを追加のガスセンサに供給し、前記表面応力センサからのシグナルと前記追加のガスセンサからのシグナルとに基づいて前記サイレージの発酵品質の評価を行ってよい。
本発明の他の側面によれば、少なくとも一つの表面応力センサと、測定対象のサイレージから発生した試料ガスを供給する第1のガス流路と、測定すべきガス成分を含有しないパージガスを供給する第2のガス流路とを設け、前記第1のガス流路から供給される試料ガスと前記第2のガス流路から供給されるパージガスとを交互に切り替えて前記少なくとも一つの表面応力センサに供給して前記少なくとも一つの表面応力センサからシグナルを発生させることにより、上記何れかのサイレージ発酵品質評価方法を行う、サイレージ発酵品質評価装置が与えられる。
ここで、追加のガスセンサと前記試料ガスを前記追加のガスセンサに供給する追加のガス流路とを設け、前記少なくとも一つの表面応力センサからの前記シグナルと前記追加のガスセンサからのシグナルとに基づいて前記サイレージの発酵品質の評価を行ってよい。
本発明のさらに他の側面によれば、少なくとも一つの表面応力センサと、測定対象のサイレージから発生した試料ガスを供給する第1のガス流路と、測定すべきガス成分を含有しないパージガスを供給する第2のガス流路と、所定の成分組成を有する標準ガスを供給する第3のガス流路とを設け、前記第1のガス流路から供給される試料ガスと前記第2のガス流路から供給されるパージガスと前記第3のガス流路から供給される標準ガスとを所定の順序で切り替えて前記少なくとも一つの表面応力センサに供給して前記少なくとも一つの表面応力センサからシグナルを発生させることにより、上記何れかのサイレージ発酵品質評価方法を行う、サイレージ発酵品質評価装置が与えられる。
ここで、追加のガスセンサと前記試料ガスを前記追加のガスセンサに供給する追加のガス流路とを設け、前記少なくとも一つの表面応力センサからの前記シグナルと前記追加のガスセンサからのシグナルとに基づいて前記サイレージの発酵品質の評価を行ってよい。
本発明では、サイレージの発酵品質についての重要な評価項目の一つである有機酸の組成、例えばサイレージから揮発するガス中の酪酸と酢酸との比率を簡単に評価することができる。これにより、サイレージの発酵により発生している有機酸中のC2及びC3成分とC4以上の成分との比率やC2及びC3成分の量を簡単に求めることができる。また、窒素を含有する揮発性成分の検出も可能であり、更には有機酸や窒素含有揮発成分以外で発酵品質と相関する物質があればそのような物質も検出できる。本発明においては有機酸、揮発性塩基態窒素等を高い感度で検出できる感応膜を塗布した複数の表面応力センサからの出力信号から、サイレージの発酵品質を総合的に評価することができる。表面応力センサは適切な感応膜材料を選択することで、一つの感応膜で複数の対象物質を検出できるが、それぞれの対象物質に対するセンサの応答はその振幅や応答波形が互いに異なるようにすることができるから、複数の表面応力センサ出力を組み合わせることにより、複数の対象物質に対応するパラメータを適宜組み合わせた発酵品質評価値を求めることが可能となる。
本発明で使用可能な測定システムの概略構成を示す図。 MSSの光学顕微鏡写真の例を示す図。 MSSなどの表面応力センサに試料ガスを与えたときのシグナル強度の時間変化を説明する概念図。 実施例1において、個々の有機酸の1%水溶液をバイアル瓶に収容して図1に示す測定装置で測定を行った際のChAのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。 測定対象のサイレージの抽出液と同じ有機酸組成を有する混合有機酸水溶液(疑似サイレージ水溶液)を図4の場合と同じ手順で測定を行った結果を示す図。 測定対象のサイレージを個別にバイアル瓶に収容して、それから発生する試料ガスについて図5の場合と同じ手順で測定を行った結果を示す図。 図4の測定と同一である個々の有機酸の1%水溶液をバイアル瓶に収容して図1に示す測定装置で図4の場合と同じ手順で測定を行った際のChBのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。 図5の測定と同一である測定対象のサイレージの抽出液と同じ有機酸組成を有する混合有機酸水溶液(疑似サイレージ水溶液)を図7の場合と同じ手順で測定を行った結果を示す図。 図6の測定と同一である測定対象のサイレージを個別にバイアル瓶に収容して、それから発生する試料ガスについて図8の場合と同じ手順で測定を行った結果を示す図。 図4の測定と同一である個々の有機酸の1%水溶液をバイアル瓶に収容して図1に示す測定装置で図4の場合と同じ手順で測定を行った際のChCのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。 図5の測定と同一である測定対象のサイレージの抽出液と同じ有機酸組成を有する混合有機酸水溶液(疑似サイレージ水溶液)を図10の場合と同じ手順で測定を行った結果を示す図。 図6の測定と同一である測定対象のサイレージを個別にバイアル瓶に収容して、それから発生する試料ガスについて図11の場合と同じ手順で測定を行った結果を示す図。 実施例2において、測定対象の3種類のサイレージ試料を個別にバイアル瓶に収容して、それから発生する試料ガスについて図1に示す測定装置で測定を行った際のChDのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。 図13の測定と同一である測定対象の3種類のサイレージ試料について、図13の場合と同じ手順で測定を行った際のChEのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。 図13の測定と同一である測定対象の3種類のサイレージ試料について、図13の場合と同じ手順で測定を行った際のChFのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。 図13の測定と同一である測定対象の3種類のサイレージ試料について、図13の場合と同じ手順で測定を行った際のChGのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。 図13の測定と同一である測定対象の3種類のサイレージ試料について、図13の場合と同じ手順で測定を行った際のChHのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。 図13の測定と同一である測定対象の3種類のサイレージ試料について、図13の場合と同じ手順で測定を行った際のChIのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。 図13の測定と同一である測定対象の3種類のサイレージ試料について、図13の場合と同じ手順で測定を行った際のChJのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。 図13の測定と同一である測定対象の3種類のサイレージ試料について、図13の場合と同じ手順で測定を行った際のChKのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。 図13の測定と同一である測定対象の3種類のサイレージ試料について、図13の場合と同じ手順で測定を行った際のChLのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。 図13の測定と同一である測定対象の3種類のサイレージ試料について、図13の場合と同じ手順で測定を行った際のChMのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。 図13の測定と同一である測定対象の3種類のサイレージ試料について、図13の場合と同じ手順で測定を行った際のChNのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す図。
サイレージの発酵に伴って発生した各種の成分がサイレージから揮発するので、これらの多様な成分を検出することでその発酵品質を評価することが可能である。サイレージの発酵品質を評価する重要な項目の一部として、サイレージに含まれる個々の有機酸の量やその間の比率がある。具体的には、
〇基準1. 分子中の炭素個数が4個以上の有機酸(以下、C4と称する)の量と炭素個数2個または3個の有機酸(以下、それぞれC2、C3と称する)の量との比の値が大きいサイレージは品質が悪い(この観点での評価をC4評価ともいう)。また
〇基準2. 炭素個数が2個または3個の有機酸の量が大きいサイレージも品質が悪い(この観点での評価をC2+C3評価ともいう)
とされる。本願発明者はこのようなサイレージ中の各種の有機酸の量を表面応力センサで検出することでサイレージ品質を評価するという着想を得て、研究を進めた結果、本発明を完成させるに至った。
本発明の一実施形態によれば、C2及びまたはC3に属する有機酸の少なくとも一つに対する応答特性とC4に属する有機酸の少なくとも一つに対する応答特性とが相違する少なくとも一つの表面応力センサを設け、このような表面応力センサの出力に基づいて、サイレージの評価を行う。より具体的には上記基準1及び2の少なくとも一つについて表面応力センサの出力を評価し、その結果からサイレージの評価を行う。
ここで、個々の有機酸に対応して個別の表面応力センサを設けてもよい。あるいは、表面応力センサが多くの場合複数の化学種に対して異なる信号波形で応答することを利用して、検出すべき有機酸の種類よりも少ない個数の表面応力センサを使用することもできる。後者の場合、有機酸の種類毎に応答波形が明確に異なり、また複数種類の有機酸が混在している場合でも表面応力センサの出力全体が個々の有機酸による応答の線形の重ね合わせから大きく外れない場合の方が、個々の有機酸の同定やその量の判定を、情報処理装置を用いた単純なパターンマッチングなどの簡便な方法を使用して容易に実現可能となる。しかし、そうでない場合でも、また検出される可能性のある有機酸の種類がかなり多いなど出力信号に影響を与えるパラメータが多い複雑な状況では、出力成分と個々の成分の量や複数の成分の量の間の比率(あるいは評価スコアや評価結果カテゴリー)との関係についての周知の手法を用いた機械学習を行うことで、より高精度の結果を得ることができる。このような機械学習について本願では具体的には説明しないが、機械学習自体、広範な技術分野に適用可能な手法であることはよく知られており、また表面応力センサ応用に適用可能なことは、例えば特許文献2で詳述されている。
ここで、サイレージの評価結果に寄与するすべての有機酸個々の量や、有機酸間の比率を評価するのではなく、より少数の代表的な有機酸の量や相互の比率を求めるようにしてもよい。これはこれら有機酸を生成する反応や原材料の成分組成はそれほど自由度が大きくないため、ある成分の量は他の類似成分の量から完全に独立に決まるわけではないからである。これを利用して、例えばC2+C3として酢酸を代表成分とし、C4として酪酸を代表成分としてもよい。このように代表成分を選択すれば、有機酸の各グループ内でそれぞれ酢酸及び酪酸が一番揮発性が高いのでガスとして検出しやすいために、測定に当たって有利である。
また、上ではもっぱらサイレージから揮発する種々の有機酸の量や比率を測定することでサイレージの発酵品質を評価することについて説明したが、測定の対象とすべき成分はこれに限定されるものではない。例えば、すでに説明したように、サイレージの発酵品質評価に当たっては有機酸の量や比率だけでなく、揮発性の窒素含有化合物の量や比率を測定することでサイレージの発酵品質の評価を行うこともできる。また、有機酸と窒素含有化合物の両カテゴリーの成分についてその量や成分間の比率を求めることにより、より精密なサイレージ発酵品質評価が実現できる。さらには、有機酸量と窒素含有化合物の両方を測定する代わりに、その一方だけを知ることでサイレージの発酵品質をかなり実用的な程度まで評価することができる。例えば、非特許文献2で説明されているフリーク評点では乳酸、酢酸、酪酸などの有機酸組成に基づいた評価を行うが、そこで説明されているように、サイレージの製造条件や発酵条件にもよるが(例えば、非特許文献2によれば、製造工程において酸を添加する加酸法、あるいは低水分サイレージ調製法を採用した場合にVスコアとの相違が大きくなる等)、多くの場合に窒素含有化合物まで測定するVスコアとよく相関が取れた良好な品質評価が可能となる。また、摂取量が多い(45g/日以上)と病気のリスクが高くなると報告されている酪酸濃度を簡易判定できるだけでも、現場ニーズには合致すると考えられる。あるいはC2+C3有機酸から選択された有機酸、例えば実施例に示されるように酢酸の量も測定することで、より正確で安定した品質評価を行うことも可能である。さらには、有機酸や窒素含有化合物以外の成分がサイレージ発酵品質評価に有用である場合には、有機酸及び/または窒素含有化合物の測定に加えて、あるいはこれらの測定に代えて、当該有機酸や窒素含有化合物以外の成分を測定することでサイレージ品質評価を行うこともできる。
表面応力センサは適切な感応膜材料を選択することで、一つの感応膜から複数の対象物質に対する応答信号(シグナルとも呼ぶ)を、それらが重畳した形で得ることができる。つまり、多くの対象物質について、感応膜材料を適切に選択することで、それぞれの対象物質に対する表面応力センサの応答においてその振幅や応答波形が互いに異なるようにすることができる。従って、複数の表面応力センサ出力を組み合わせることにより、複数の対象物質に対応するパラメータを適宜組み合わせた発酵品質評価値を求めることが可能となる。この際、上述したように、表面応力センサの出力のパターンマッチングや機械学習を行うことで、これらの出力から適切に特徴を抽出して、比較的少数の表面応力センサを使用するだけで表面応力センサの個数よりも多数のパラメータに基づくサイレージ発酵品質評価を実現できる。もちろん、これに限るものではないが、測定対象から発生するガス中に存在している成分であってサイレージ品質評価に有用である特定の成分の検出に特に好都合な他の種類のガスセンサが使用可能である等の場合には、必要に応じて表面応力センサに加えてそのようなガスセンサを併用することもできる。
本発明では表面応力センサを使用して測定対象の試料から発生するガスを測定する。この目的で使用できる測定システム構成の概略を図1に示す。図1に示す概略構成では表面応力センサとして膜型表面応力センサ(MSS)を使用するが、もちろんこれにより一般性を失うものではない。図1に示される概略構成では、2本のガス流路へそれぞれ図の左側から白抜き矢印で示すように測定すべきガス成分ではなく、またそのようなガス成分の測定に影響をできるだけ与えない不活性のガス(パージガス、基準ガスとも呼ばれる)を供給する。パージガスとしては例えば窒素ガスや大気を使用できるが、ここでは窒素ガスを使用した。なお、パージガスとして大気などを使用して簡便な測定を行う場合、測定現場の大気にサイレージから発生した有機酸やアンモニアなどの発酵品質評価に影響を与えるガスがわずかに混入している可能性がある。このような場合、このようなガスの混入濃度が品質評価結果に与える影響が意図した測定精度の実現に悪影響を与えない程度のものであれば(このような場合を、「発酵品質評価に影響を与える成分を実質的に含まない」と称する)、そのようなガスの混入は無視することができる。このような2系統のガス流はガス流路ごとに設けられているマスフローコントローラ(MFC)によりその流量を制御される。具体的には2本のガス流路中のガス流を所望の時間間隔で交互に切り替えるとともに、ガス流量を時間軸上で一定になるように制御している。なお当然のことであるが、ガス流の制御は、MFCに限らず、様々なポンプなどを使用しても良い。
図1において、上側に示すガス流路は測定すべきガス成分を含有しないパージガスをMSSに与えることで、MSSの表面に塗布されている感応膜中に拡散している各種のガスを脱着させてMSSを初期化するパージ処理を行う。一方、図1の下側にあるガス流路を通るガス流はMFCの直後に設置されたバイアル瓶中の試料から揮発したガス成分を含んだ状態でMSSに供給される。もちろん、試料が最初からガス状である場合や液体または固体状態の試料から揮発・蒸発したガスが測定系に対して与えられる場合には、バイアル瓶を使用しない構成を採用することができる。2本のガス流路からのガス流は別のバイアル瓶において合流した後MSSに供給される。また、MSS表面の感応膜によるガスの吸着・脱着の速度は温度の影響を受けるため、図1に示した測定系を恒温槽、インキュベータ等に収容することによってその温度を所望の値に維持するのが好ましい。なお、以下で説明する実施例では、測定システム全体をインキュベータ内に収容して測定を行った。また、MFCなどのシステム内の各種の機器の動作を制御し、また表面応力センサからのシグナルを取り込んで記録し解析する等の各種の処理を行うことによって以下で説明する評価方法を実現する情報処理装置、更に外部の機器等との間で情報や指令等の交換を行うためのインターフェースや通信機器も本システムに含まれるが、図示は省略した。
MSSの光学顕微鏡写真の例を図2に示す。図2に示されるMSSはシリコン単結晶から切り出される、半導体素子技術分野で使用されるシリコンウエハから形成されたものであり、その中央の円形部分(正方形等の他の形状でもよい)がその周囲の枠状部に当該円形部分の上下左右4か所で接続され固定されている。MSSに与えられたガス成分が円形部分の表面に塗布された感応膜に吸着・脱着することでMSSに印加された表面応力がこれら4か所の固定領域に集中し、これら固定領域に設けられているピエゾ抵抗素子の電気抵抗変化がもたらされる。これらのピエゾ抵抗素子は枠状部に設けられた導電領域(図2では砂目状の領域として示される)によって相互接続されてホイートストンブリッジが形成される。このホイートストンブリッジの対向する2つの節点間に電圧を印加し、残りの2つの節点間に現れる電圧をMSSから出力されるシグナルとしてMSSの外部に取り出して所要の解析を行う。このようなMSSの構造や動作については例えば特許文献3に詳述されている。なお図2では、感応膜は、MSSの円形部分だけで無く、枠状部も含めMSSチップ表面に広く塗布されている。これは感応膜をスプレーコーティングによって塗布した場合に見られる状態であるが、枠状部などに塗布された感応膜は実質的にセンサ出力信号に寄与しないため、このように塗布した場合でも問題なくセンサとして使用することが可能である。もちろん、インクジェットやディスペンサーなどによって、円形部分だけに感応膜が塗布されたMSSを使用する事も可能である。
図3に、MSSなどの表面応力センサに試料ガスを与えたときのシグナル強度の時間変化の概念図を示す。図3(a)にはMSSに与えるガスが試料ガスであるのかそれともパージガスであるのかを時間軸上で示す。具体的には、MSSに与えられるガス中の測定対象ガスの濃度が試料ガスを与えている試料ガスインジェクション期間中は0よりも大きな濃度 であり、パージガスを与えることで下流側のガス流路中の試料ガスを流し去るとともにMSSの感応膜(及び、ガス流路の管壁等)に吸着されている試料ガス成分を脱着するパージ動作を行うパージ期間中は試料ガス濃度が0となっている。図3(b)は図3(a)に示すガスの種類の切り替えを行った際のMSSからのシグナルの強度を、図3(a)と時間軸を揃えて示す。シグナル強度は多くの要因に支配されるが、基本的にはMSS上の感応膜近傍のガス中の成分濃度と感応膜表面の同じ成分の濃度との差により引き起こされるガスと感応膜との間の当該成分の吸着・脱着の速度が主要な要因となる。そのため、シグナル強度の時間変化は図3(a)に示されるガスの切り替え直後から始まり、上下の飽和値へ向かって指数関数的に漸近する曲線に近いものとなる。図3(b)は理想的な場合の当該曲線を示す。実際の当該曲線の形状や曲線の最大値等は、感応膜への吸着・脱着速度や感応膜に吸着・脱着される成分の種類によりかなり変化し、またシグナルの変化範囲も大きく相違することが多い。さらに、感応膜の粘弾性特性や、測定対象ガスの感応膜への拡散、あるいは感応膜材料と測定対象ガスとの物理化学的な相互作用などによって、シグナルはより複雑な経時変化を示す事もある。このように、MSSからのシグナルの経時変化や振幅等に基づいて試料中の各主成分の量・濃度や複数成分間の比率等を求めることが可能となる。具体的に言えば、C4評価に適したシグナルを与える感応膜材料が存在し、またC2+C3評価に適したシグナルを与える感応膜材料も存在する。従って、これらの材料から適宜選択されたものを塗布した表面応力センサを単独で使用してサイレージから得られるガスを測定し、あるいは異なる材料をそれぞれ塗布した複数種類の表面応力センサを使用して同様な測定を行うことによって、サイレージの所望の特徴に基づいた評価を行うことができる。
ここで感応膜を形成する材料の吸着・脱着特性は多様であって、上述の単純化したモデルから逸脱した応答を示す感応膜材料も存在する。しかしながら、表面応力センサの応答を解析等する場合、上記モデルを用いて最初の検討を行うのは多くの場合に有益であるということができる。
なお、図3ではMSSに試料ガスを1回だけ与えるように図示されているが、MSSなどの表面応力センサを使用した測定においては、試料ガスとパージガスとを交互に切り替えて供給することにより、図3に示したような測定を複数回繰り返すのがふつうである。以下では、試料ガスインジェクションとそれに引き続くパージとの組を測定サイクルと呼ぶ。また、試料ガス中のある成分の吸着速度と脱着速度とが大きく異なるなどの事情がない限り、試料ガスインジェクション期間とパージ期間とは同じ時間長とする場合が多い。ただし、試料ガス中から感応膜に吸着された成分の脱着を充分に行った方が良好な結果が得られる場合にはパージ期間を試料ガスインジェクション期間よりも長くしてもよい。具体的には、実施例中でも説明したように、試料ガスインジェクション期間とパージ期間との長さの比率を1:1とした場合にはパージ期間での脱着が不十分であるためにシグナルのベースラインの変動が大きくなり、判別精度に悪影響を及ぼす恐れがある場合には、上記比率を1:2とするなど、パージ期間の方を長くすることもできる。
なお、上の説明では試料ガスとパージガスとを切り替える測定シーケンスに基づく測定を行ったが、本発明はそれに限られるものではない。例えば、試料ガスに含有されてその濃度がサイレージの発酵品質評価に影響を与える可能性のある成分を含む別のガス(標準ガス)についての測定を測定シーケンスに挿入して、3種類のガスの切り替え測定からのシグナルに基づいて発酵品質評価を行うことができる。このような標準ガスとしては例えば標準的なサイレージを想定し、それから発生する試料ガス成分と同じ成分組成を有するガスを標準ガスとしてよい。あるいはそのように想定される試料ガスの一部の成分(例えば、成分量のわずかな違いを特に高精度で測定したい成分等)についての組成を同じにしたガスを標準ガスとするなど、必要に応じて各種の組成に設定することができる。そして、測定上の各種の要請や制約条件なども勘案してこれら3種類のガスの供給シーケンスを適宜設定する。例えば、以下のようなガス供給時間区間の繰り返しを含む測定シーケンスが考えられる:
A.パージガスを供給する→[試料ガスと標準ガスの一方を供給する→パージガスを供給する→試料ガスと標準ガスの他方を供給する→パージガスを供給する](あるいは[]内を繰り返す)
B.パージガスを供給する→[試料ガスと標準ガスを交互に供給する→パージガスを供給する](あるいは[]内を繰り返す)
C.パージガスを供給する→[試料ガスと標準ガスの一方とパージガスとの交互供給を繰り返す→パージガスを供給する→試料ガスと標準ガスの他方とパージガスとの交互供給を繰り返す](あるいは[]内を繰り返す)
これ以外にもガス供給時間区間の各種のガス供給シーケンスが考えられる。何れのガス供給シーケンスでも、一連の測定シーケンス中は温度、ガス圧力・流量、センサ特性の経時変化などの測定条件はシーケンス内で大きく変化しないと考えられるので、試料ガスと標準ガスとの比較により、両ガス間の微量な組成の違いを精密に測定でき、また測定結果への外乱の影響が低減できるなど、測定の安定性の向上を図ることもできる。
なお、標準ガスまで使用する場合には測定装置のガス供給系に標準ガス用のガス流路を追加することになるが、これはガス供給系についての各種の既存技術を利用して容易に実現できる。たとえば、標準ガスは最初から気体の状態で準備しておくこともできるし、あるいは試料ガスと同様に液体や固体から蒸発させることでガス供給系に導入してもよい。また、標準ガスを提供する際に、当初準備しておいた気体や液体・固体から発生する気体にパージガスなどの別の気体を混合させてもよい。また、これら3系統のガス流路は最終的には合流させる必要があるが、3つの流路を一か所で合流させてもよいし、あるいは試料ガス流路の上流側を一部分流させて標準ガス流路を構成し、そこに標準ガスが導入された後、両ガス流路をパージガスとの合流点の手前で合流させるなどの構成も考えられる。
感応膜材料としては、これに限定することを意図するものではないが、例示的な一実施形態では、Poly(methyl vinyl ether-alt-maleic anhydride)、Poly(2,6-diphenyl-p-phenylene oxide)及びPoly(4-methylstyrene)からなる群から選択された少なくとも一を使用することができる。また、別の実施形態では、Polymethyl methacrylate、Poly(4-methylstyrene)、フェニル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子、オクタデシル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子、Poly(2,6-diphenyl-p-phenylene oxide)、Polyvinyl fluoride、Polystyrene、Polycaprolactone、Cellulose acetate butyrate、Polyethyleneimine、及びテトラエトキシシラン修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子からなる群から選択された少なくとも一を使用することができる。これらの群から選択された材料は、一の材料を単独で使用してもよく、あるいは、当該選択された一の材料を感応膜に使用した第1のMSSと、前記群から選択された他の材料を感応膜として使用した第2のMSSとを使用することで、複数種類の材料を併用してもよい。もちろん、複数種類の材料を併用する場合に使用するMSSは2つに限定されず、第3、第4もしくはそれ以上のMSSを使用し、各MSSの感応膜に、前記群から選択された互いに異なる材料を使用することも可能である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を限定するものではなく、その理解を助けるためのものであることに注意されたい。
[実施例1]
本実施例では図1に概略の構成を示した測定システムをインキュベータ内に収容したものを使用し、測定対象の試料として、サイレージ中に多く含まれる有機酸の水溶液、及び各種の品質のサイレージをバイアル瓶に収容して測定を行った。インキュベータの温度は20℃、30℃及び45℃の三通りに設定して測定を行ったが、30℃の場合が最も判別性(試料の相違がMSS応答信号波形の相違として現れる程度)が良好だったので、以下ではこの温度設定で測定を行った結果を示す。また、試料ガス及びパージガスの流量は10sccm及び30sccmの二通りで測定を行ったが、10sccmの方が判別性が良好であった。ただし、ここで注意しておくが、判別性は、試料ガスの発散速度、感応膜の吸着速度、流量のいずれにも大きく影響を受けるものと考えられる。したがって、上記判別性への言及は、あくまでも現在の測定系において、10sccmは30sccmより判別性が高かったという結論であり、例えば感応膜の厚さや採取する試料の量が変われば、最適流量は変化する可能性がある。また、ガス温度に影響するガス流路温度の経時的な変化を回避する上で、ポンプからの発熱を抑制できる10sccmには大きなメリットがある。本実施例で使用した測定系では冷却ファンの取り付け等、ガス流路に対する熱対策を行っていないが、上記流量はそのような測定構成に好適な測定条件であるということができる。また、サンプリング時間(各測定サイクルにおいて試料ガスインジェクションを行う時間)として30秒及び120秒の二通りで測定を行ったが、判別性には差がなかった。以下ではサンプリング時間を120秒とした場合のデータを示す。ここで、サンプリング時間とパージ時間(各測定サイクルにおいてパージガスをMSSに与えてそのパージを行う時間)との比を1:2として測定を行った。本願発明者の実験では、サンプリング時間とパージ時間との比を1:1とするなどパージ時間を短くすると、パージ、すなわち試料ガスインジェクション中にMSS上の感応膜に吸着された成分の脱着が不十分となってベースラインの変動が大きくなることが確認された。このことから、短時間のパージしか行わない場合には判別精度に悪影響が出る可能性がある。現実の測定では測定時間が長くなることは、それ自体測定のスループットを低下させるなどの不都合があるだけではなく、測定系内外の環境の各種のパラメータ(流速、ガス圧力、温度等)を長時間安定させることがしばしば困難であったり、測定系の大型化、高価格化を招くという問題がある。さらに、測定系は通常はポンプ等の能動部品を含むことからこれからの発熱による長時間にわたる温度変化も精度に悪影響を与える恐れがある。従って、本発明においては、測定サイクル時間の配分を、サンプリング時間には有効なシグナル値を得ることが可能な範囲内で極力短く配分し、パージ時間をできるだけ長くすることが望ましい。あるいは、ベースライン変動が問題となる場合の対策として、品質に影響を与える成分の量があらかじめ規定された値である標準サイレージを準備しておき、測定毎に標準サイレージを測定してキャリブレーションを行う等により、短時間のパージによる悪影響を除去あるいは軽減することもできる。
有機酸の水溶液としては、それぞれ単一の有機酸の1%水溶液を調製して、これら水溶液を個別に測定した。また、サイレージは特に水等を添加することなく、所定重量のサイレージをそのままバイアル瓶に収容して測定を行った。
なお、測定対象とした各種のサイレージについては、別途Vスコアの測定方法に従ってそれぞれに含まれる有機酸の測定を行った。なお、Vスコアの算出には使用されないリンゴ酸、コハク酸等の有機酸についても併せて測定した。その結果を下表に示す。
さらに、これらのサイレージの窒素含有化合物量の測定を行い、上記有機酸測定の結果と合わせてVスコアを下表に示す通り算出した。
使用したMSSは実際にはそれぞれ異なる感応膜材料を塗布した複数個のMSSからなる集合体であったが、それらのうち、感応膜材料としてPoly(methyl vinyl ether-alt-maleic anhydride)を使用したMSS(番号ChA)が最も良好な判別性を示した。以下では主にChAから出力されたシグナルに基づいて説明を行う。なお、残りのMSSのうちの2つのシグナルも判別に有効であったので、これらをChB(感応膜材料:Poly(2,6-diphenyl-p-phenylene oxide))及びChC(感応膜材料:Poly(4-methylstyrene))として適宜参照して説明する。
図4に個々の有機酸の1%水溶液をバイアル瓶に収容して図1に示す測定装置で測定を行った際のChAのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す。ここで、有機酸として、酢酸、酪酸、乳酸、プロピオン酸及び吉草酸を測定した。さらに、比較対象として有機酸を溶解する前の水も測定した。測定シーケンスは、先ずパージガスを240秒間流し、次に試料ガスを120秒間流し、その後、再度パージガスを240秒間流すという測定を行った。また、パージガス及び試料ガスの流量は10sccmとした。また、図4からもわかるように、各試料について測定を2回行い、両方の結果をここにプロットした。なお、図5及び図6に示す測定でも同じ測定シーケンス及び流量による測定を行った。図4からわかるように、個々の有機酸の水溶液からの蒸気を試料ガスとして測定を行った場合には、酢酸に対するシグナルは短時間のうちに飽和し、試料ガスインジェクション開始後60秒程度経過した後はシグナルが大きく減少するという特異なシグナル変化(経時変化)を示す。これに対して酪酸等の他の有機酸に対するシグナルは、飽和後にほぼ一定からわずかに減少するという傾向を示すか、あるいはシグナルが緩慢に増大するため、試料ガスインジェクション期間の終了時点(試料ガスインジェクション開始後120秒経過時点)でもシグナルの増大が継続している。なお、ここで測定した有機酸中の乳酸は揮発性ではないため、そのシグナルは水とほとんど同じものとなった。
次に、実際のサイレージから発生する試料ガスのように、複数の有機酸が混合したガスを測定した場合に、個々の成分の応答が比較的線形性を維持して重畳した形のシグナルがMSSから得られるのか、それともこれらの応答が互いに影響を与え合うために、MSSからのシグナルを見ても個々の成分の寄与を簡単には分離できないかを検証するため、上掲の表に示したところのサイレージ試料1~6の抽出液中の有機酸の組成を有する混合有機酸水溶液(疑似サイレージ水溶液)について図4の場合と同じ手順で測定を行った結果を図5に示す。ここでは、それぞれの疑似サイレージを対応するサイレージの試料番号の後ろに文字列「-VFA」を付加することで表示している。
図5を図4と比較することにより、ChAのMSSで使用している感応膜についてはサイレージの有機酸組成の試料から発生するガスの測定に関する限り、シグナルは個々の有機酸のガスに対するシグナルを線形に重畳したものとほぼ同じ経時変化を示すことが確認された。すなわち、酪酸の濃度が高い試料1に対応する1-VFAに対するシグナルは純粋な酪酸水溶液からのガスとよく似た緩慢な上昇を示すのに対して、酪酸の濃度は低い一方で酢酸の濃度は高い試料2に対応する2-VFAに対するシグナルの立ち上がりは純粋な酢酸水溶液からのガスと同じように急峻なものとなった。また、シグナルがピークに到達した後は、純粋な酢酸からのガスに対するシグナルにみられる比較的大きなシグナル値の低下が、試料ガスインジェクション期間の途中からはあまり変化しなくなるという他のガスに対するシグナルの重畳によってやや緩和された形で表れている。さらに、酪酸濃度がゼロであるとともに酢酸濃度も低い試料である3、4及び5にそれぞれ対応する3-VFA、4-VFA及び5-VFAに対するシグナルは、いずれも比較的短時間で立ち上がった後、ほぼ一定値を維持することが確認された。これはシグナルの増加が一番緩慢である酪酸の影響がなく、また比較的短時間で急激な低下に転じる酢酸の影響も非常に小さいことであるためと考えられる。また、試料3、4及び5に比べて酢酸の濃度がやや高く酪酸も微量含む試料6に対応する試料6-VFAに対するシグナルは立ち上がり及びそれ以降の変化の両者が試料1-VFAと2-VFAとの中間的なものとなることも確認された。
さらに、サイレージ1~6を個別にバイアル瓶に収容して、それぞれから発生する試料ガスについて同じ測定を行った。その結果を図6に示す。ただし、図4及び図5に示す測定では個々の有機酸あるいは複数種の有機酸の水溶液を測定したが、図6に示すサイレージの測定ではサイレージだけをあらかじめ定めた重量だけバイアル瓶に収容し、水などの液体その他の物質の混入は行わなかった。
実際のサイレージからのシグナルを示す図6をこれらのサイレージと同じ有機酸組成を有する疑似サイレージからのシグナルを示す図5と比較すれば、シグナルの最大値で比較した場合の実際のサイレージ間の順序関係と疑似サイレージ間の順序関係とは異なるものの、シグナルの時間変化について上で説明した特徴は実際のサイレージと疑似サイレージとの間でほぼ一致することがわかる。従って、サイレージ自体から発生するガスのインジェクション期間中のMSS等の表面応力センサのシグナルの時間変化のパターンの特徴により、サイレージ中の各種の有機酸の量やその組成を測定することが可能となる。特に、ChAを使用した測定は上述したC4評価に特に有用であることが判る。これにより、酪酸などのC4以上の有機酸の量を評価し、また必要に応じて酢酸などのC2、C3有機酸の量も更に評価することで、サイレージの発酵品質を簡単な手順で評価することができる。また、上掲の2番目の表との比較により、本実施例では窒素含有化合物の測定は行っていないものの、上で説明したところの各種サイレージに対するシグナルと酪酸及び酢酸の量の評価結果がVスコアの値と高い相関性を有することもわかる。さらには、図5と図6との比較結果からもわかるように、有機酸混合水溶液から発生するガスをMSS等の表面応力センサで測定した結果と本発明において測定されるサイレージ自体から発生するガスを同じく表面応力センサで測定した結果との一致の程度が高いため、本発明の測定に当たっての測定系の校正、また既存のサイレージ抽出液を測定対象とするサイレージ評価法による評価結果との対比・照合が容易であるという利点もある。なお、本実施例で評価対象としたサイレージはデントコーン及び牧草を使用して一般的な方法で製造されたものであって、牛等の動物の飼料として広く使用されるタイプのものである。しかし、原料や発酵方法等が異なる他のサイレージ、あるいはそれを二次加工した発酵TMR(Total Mixed Rations、完全混合飼料)等の広範なサイレージ類に対して本発明の方法を有利に適用することが可能である。
以上説明したところのChAを使用した測定に加えて、ChB及びChCのMSSを使用してこれらからのシグナルを得る測定を行った。ChBを使用した測定結果を図7~図9に、またChCを使用した測定結果を図10~図12に示す。ChB及びChCを使用した場合は、ChAを使用した場合に比べて、個々の有機酸についての測定結果及び疑似サイレージを使用した測定結果と実際のサイレージについての測定結果の相関は低い。しかしながら、サイレージから発生する有機酸組成の違いが図9(ChBを使用)及び図12(ChCを使用)に示すところのシグナルの時間変化に明確に表れる。以下で説明するように、ChB、ChCを使用した測定はいずれもC2+C3評価に有用である。
すなわち、図9にChBを使用して実際のサイレージ(試料1~試料6)を測定した際のシグナルの時間変化を示すが、酪酸の多い試料1、酢酸の多い試料2及びC2+C3の多い試料6(上掲の最初の表を参照)についてはシグナルの立ち上がり及び立ち下りの飽和の速度(試料ガスとパージガスとの切り替え後、シグナルがほぼ一定値に収束するまでの時間)は互いに大きく異なっている。また、試料番号1,2及び6のサイレージは、他の試料番号3~5の他のサイレージについてのシグナルがガス切り替え後急速に飽和するのに対して飽和速度が相対的に小さい(飽和が緩慢である)。上掲の2番目の表からわかるように、試料1、2及び6のサイレージは他のサイレージに比べてC2+C3評価が明らかに小さい。従って、ChBのシグナルの立ち上がり及び立ち下りの飽和の速度はC2+C3評価と強く相関しているということができる。したがって、ChBとChCのMSSの両方あるいはいずれか一方を使用することによって、測定対象のサイレージのC2+C3評価を行うことが可能となる。
なお、ChB及びChCからのシグナルは、サイレージ中に多く含まれる可能性のあるVFAによるシグナルの時間変化パターンが比較的類似しているため、図9及び図12からわかるようにシグナルの時間変化パターンが互いに異なるというよりは、この時間変化がシグナルの強度方向にほぼ相似である(ある試料からのシグナルの強度の時間変化にある定数を乗算してから強度方向に平行移動すると、他の試料からのシグナルの強度の時間変化にほぼ重なる)ことが多くなる。従って、測定に使用する試料の量をできるだけ一定にするなどによる試料ガス供給の安定化、その他シグナルの正規化や標準化などを行えば、サイレージの評価制度をより高くすることができる。
[実施例2]
本実施例では図1に概略の構成を示した測定システムをインキュベータ内に収容したものを使用し、測定対象の試料として、実施例1で用いたものとは別の、3種類のサイレージをバイアル瓶に収容して測定を行った。各サイレージは特に水等を添加することなく、所定重量のサイレージをそのままバイアル瓶に収容して測定を行った。インキュベータの温度は30℃とし、試料ガス及びパージガスの流量は10sccmとした。また、サンプリング時間は120秒とし、サンプリング時間とパージ時間との比は1:2とした。
なお、実際の測定では、不可避的にインキュベータ内の温度及び相対湿度に多少の変化が生じ得るが、本実施例では、測定時のインキュベータ内(測定システムのモジュール内)の温度及び相対湿度の変化は、測定結果に大きな影響がないと見なせる範囲に抑えた。
また、本実施例では、測定データの取得前に、予備的な動作として、測定対象の試料ガス及びパージガスを、実際の測定と同じ流量で、かつ両ガスの切り替えサイクルを実際の測定と同じに設定して、測定系に流す操作を行った。この予備的な動作を行うことにより、測定データをより安定させること(すなわち、測定データの精度をより高めること)ができる。このような予備的な動作は、任意のガスを測定対象の試料とする測定ではしばしば行われるものであり、そのサイクル数(時間)は特に制限されないが、本実施例では200サイクル(計20時間)行った。なお、上記の実施例1について示した測定データも、同様の予備的な動作を行った後に取得されたものである。
本実施例で測定対象としたサイレージは、「高品質サイレージ試料」、「低品質サイレージ試料」及び「揮発成分が減少した高品質サイレージ試料」である。「高品質サイレージ試料」及び「低品質サイレージ試料」は、それぞれ、下表に示す有機酸含有量を含めた化学分析の結果に基づいてサイレージ試料の品質の優劣を評価した結果、高品質であると評価されたサイレージ試料及び低品質であると評価されたサイレージ試料である。「揮発成分が減少した高品質サイレージ試料」は、上記「高品質サイレージ試料」の一定量をバイアル瓶に収容し、一定時間パージガスに曝すことによって揮発成分が減少した状態となったサイレージ試料である。以下では、「高品質サイレージ試料」、「低品質サイレージ試料」及び「揮発成分が減少した高品質サイレージ試料」を、それぞれ試料7、試料8及び試料9とも称する。下表には試料7~9に含まれる有機酸の測定結果を示す。
使用したMSSは実際にはそれぞれ異なる感応膜材料を塗布した複数個のMSSからなる集合体であった。以下では、例として、主にChDから出力されたシグナルに基づいて説明を行うが、残りのMSSから出力されたシグナルについても適宜参照して説明する。なお、各MSSの番号と、塗布された感応膜材料は以下の通りである。
ChD:Polymethyl methacrylate
ChE:Poly(4-methylstyrene)
ChF:フェニル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子(以下、「Phenyl-STNPs」とも称する。)
ChG:オクタデシル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子(以下、「C18-STNPs」とも称する。)
ChH:Poly(2,6-diphenyl-p-phenylene oxide)(Tenax TA(Mesh:60/80))
ChI:Polyvinyl fluoride
ChJ:Polystyrene
ChK:Polycaprolactone
ChL:Cellulose acetate butyrate
ChM:Polyethyleneimine
ChN:テトラエトキシシラン修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子(以下、「TEOS-STNPs」とも称する。)
図13に、測定対象の3種類のサイレージ試料を個別にバイアル瓶に収容して、それらから発生する試料ガスについて図1に示す測定装置で測定を行った際のChDのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す。測定シーケンスは、先ずパージガスを240秒間流し、次に試料ガスを120秒間流し、その後、再度パージガスを240秒間流すという測定を行った。なお、実際の測定では各試料について複数回測定を行っているが、図13にはそれらの測定結果のうち代表的なデータを示している。
図13からわかるように、ChD(感応膜材料:Polymethyl methacrylate)を使用した測定では、試料ガスインジェクション期間(120秒間)のシグナル変化(シグナル波形)が3種類のサイレージ試料間で明らかに異なっている。より具体的には、ChDを使用した測定では、化学分析により品質の優劣が識別された試料7及び試料8の違いが識別可能であったことに加えて、化学分析により同程度の品質(高品質)と評価されたサイレージ試料(試料7及び試料9)における、揮発成分の含有量の違いも識別可能であることが確認された。別途プロトン移動反応飛行時間型質量分析計で測定したところ、代表的な揮発性成分である酢酸と酪酸の濃度は、それぞれ試料7では酢酸57ppm、酪酸21ppm、試料8では酢酸32ppm、酪酸23ppm、試料9では酢酸16ppm、酪酸6ppmとなっており、MSSのシグナルは、これらの濃度の違いを反映したものと考えられる。また、ChDを使用した測定では、試料ガスインジェクション期間終了後のパージ期間におけるシグナルの立ち下りの飽和の速度も、試料7、試料8及び試料9の間で有意に異なっている。
図14~図23には、それぞれ、図13の測定と同一である測定対象の3種類のサイレージ試料について、図13の場合と同じ手順で測定を行った際のChE~ChNのMSSからのシグナル(単位はmV)の時間変化(単位は秒)を示す。
各MSSから得られたシグナル変化(経時変化)の特徴は、使用した感応膜材料の違いに起因して異なっているが、図14~図23より、ChE~ChNを使用した測定でも、試料ガスインジェクション期間(120秒間)のシグナル変化(シグナル波形)が3種類のサイレージ試料間で異なっていることがわかる。特に、ChE(感応膜材料:Poly(4-methylstyrene)、実施例1のChCと同じ材料。)、ChH(感応膜材料:Poly(2,6-diphenyl-p-phenylene oxide)、実施例1のChBと同じ材料。)、ChI(感応膜材料:Polyvinyl fluoride)、ChJ(感応膜材料:Polystyrene)、ChL(感応膜材料:Cellulose acetate butyrate)、ChM(感応膜材料:Polyethyleneimine)を使用した測定では、図13に示したChDを使用した測定と同様に、試料ガスインジェクション期間(120秒間)のシグナル変化(シグナル波形)が3種類のサイレージ試料間で明らかに異なっている(図14、17、18、19、21、22)。一方、これらのMSSでは、試料ガスインジェクション期間終了後のパージ期間におけるシグナルの立ち下りの飽和の速度について異なる傾向が見られた。例えば、ChE及びChIを使用した測定では、ChDの場合と同様に、試料7、試料8及び試料9の間で、シグナルの立ち下りの飽和の速度の差が見られたが、ChH、ChJ、ChL及びChMを使用した測定では、いずれも、試料7及び試料8のシグナルの立ち下りの飽和の速度はほぼ同じかわずかな差であったのに対して、試料9のシグナルの立ち下りの飽和の速度は、試料7及び試料8のそれよりも速い傾向が見られた。
ChF(感応膜材料:Phenyl-STNPs)を用いた測定では、試料ガスインジェクション期間、及び、試料ガスインジェクション期間終了後のパージ期間のいずれにおいても、試料7、試料8及び試料9の間で有意に異なるシグナル変化が見られた(図15)。
ChG(感応膜材料:C18-STNPs)を用いた測定では、試料ガスインジェクション期間において、試料7と試料8の間のシグナル変化の違いよりも、試料7、8と試料9の間のシグナル変化の違いが大きい傾向が見られた。また、試料ガスインジェクション期間終了後のパージ期間においては、試料8と試料7、9の間のシグナルの立ち下りの飽和の速度に違いが見られ、化学分析により品質の優劣が識別された試料間の差が識別可能であることが示唆された(図16)。
ChK(感応膜材料:Polycaprolactone)を用いた測定では、本実施例の測定で用いたそのほかのMSSとの比較では顕著な差ではないものの、試料ガスインジェクション期間において、試料7、試料8及び試料9の間でシグナル変化に違いが見られた。一方、試料ガスインジェクション期間終了後のパージ期間においては、試料7、試料8及び試料9の間でシグナルの立ち下りの飽和の速度にほとんど違いは見られなかった(図20)。
ChN(感応膜材料:TEOS-STNPs)を用いた測定では、ChKの場合と同様に、本実施例の測定で用いたそのほかのMSSとの比較では顕著な差ではないものの、試料ガスインジェクション期間において、試料7、試料8及び試料9の間でシグナル変化に違いが見られた。また、試料ガスインジェクション期間終了後のパージ期間においては、ChGの場合と同様に、試料8と試料7、9の間のシグナルの立ち下りの飽和の速度に違いが見られ、化学分析により品質の優劣が識別された試料間の差が識別可能であることが示唆された(図23)。
なお、本実施例で評価対象としたサイレージは、実施例1で用いたものと同様に、デントコーン及び牧草を使用して一般的な方法で製造されたものであって、牛等の動物の飼料として広く使用されるタイプのものである。従って、本実施例の結果からも、原料や発酵方法等が異なる他のサイレージ、あるいはそれを二次加工した発酵TMR(Total Mixed Rations、完全混合飼料)等の広範なサイレージ類に対して本発明の方法を有利に適用することが可能であることがわかる。
なお、本発明において、測定系から与えられるシグナルを評価するにあたっては、大まかな評価でよければシグナルの時間変化を目視するだけでよいが、より精密な評価のためには、例えば各種のサイレージ品質に対応するシグナルの時間変化パターンを参照パターンとして準備しておき、測定技術分野一般で一般的なパターンマッチングを行うことにより、測定対象のサイレージから得られたシグナルの時間変化パターンと参照パターンとを照合してもよい。あるいは、近年測定技術分野でしばしば使用されるようになった機械学習手法を用いることにより、サイレージから得られたシグナルの時間変化パターンからサイレージ品質を評価することもできる。このようなパターンマッチングや機械学習等は、測定システム内に設けられている情報処理装置、あるいは測定システムからインターフェースあるいは通信回線で接続されている先にある情報処理装置などの任意の情報処理装置により実行することができる。なお、パターンマッチングや機械学習の原理及び各種の測定結果にこれらを適用する手法自体は周知の事項であるので、これ以上の説明は省略する。
以上説明したように、本発明によれば、サイレージの発酵品質を従来に比較して簡易な装置構成を使用してしかも簡単な手順により短時間で評価することができるので、サイレージの製造、流通、またその使用の現場でサイレージ発酵品質評価を手軽に実施できるようになる。
特開2019-128312 特開2018-132325 国際公開2011/148774
自給飼料品質評価研究会編「改訂 粗飼料の品質評価ガイドブック」、社団法人 日本草地畜産種子協会(2001年) 南根室地区営農改善協議会著、根室農業改良普及センター 平成9年度営農改善資料第26集「特集 THE サイレージ」7.サイレージの発酵品質のチェック方法は?(http://www.nemuro.pref.hokkaido.lg.jp/ss/nkc/kannkoubutsu/no26/26-02-3.pdf)

Claims (19)

  1. サイレージから発生したガスを表面応力センサに与え、
    前記サイレージから発生したガスに応答して前記表面応力センサから出力されるシグナルを使用して、前記サイレージから発生したガス中の有機酸の量に基づく前記サイレージの発酵品質の評価を行う、
    サイレージ発酵品質評価方法。
  2. 前記サイレージから発生したガス中の有機酸及び窒素含有化合物の両方の量に基づく前記サイレージの発酵品質の評価を行う、請求項1に記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  3. 前記発酵品質の評価は、前記シグナルの時間変化のパターンに基づいて行う、請求項1または2に記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  4. 前記サイレージから発生したガス中の酪酸の量による時間変化のパターンへの影響の評価に基づいて前記発酵品質の評価を行う、請求項3に記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  5. 前記サイレージから発生したガス中の酢酸の量による時間変化のパターンへの影響の評価に基づいて前記発酵品質の評価を行う、請求項3または4に記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  6. 評価対象のサイレージを収容した容器に、発酵品質の評価に影響を与える成分を実質的に含有していないガスを通すことにより得られたガスを前記サイレージから発生したガスとして前記表面応力センサに供給する、請求項1から5の何れかに記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  7. 前記表面応力センサに前記サイレージから発生したガスの供給を開始した以降の前記シグナルを使用して前記サイレージの発酵品質の評価を行う、請求項1から6の何れかに記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  8. 前記表面応力センサは膜型表面応力センサである、請求項1から7の何れかに記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  9. 前記表面応力センサの感応膜の材料としてPoly(methyl vinyl ether-alt-maleic anhydride)、Poly(2,6-diphenyl-p-phenylene oxide)及びPoly(4-methylstyrene)からなる群から選択された少なくとも一を使用する、請求項1から8の何れかに記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  10. 前記表面応力センサの感応膜の材料としてPolymethyl methacrylate、Poly(4-methylstyrene)、フェニル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子、オクタデシル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子、Poly(2,6-diphenyl-p-phenylene oxide)、Polyvinyl fluoride、Polystyrene、Polycaprolactone、Cellulose acetate butyrate、Polyethyleneimine、及びテトラエトキシシラン修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子からなる群から選択された少なくとも一を使用する、請求項1から8の何れかに記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  11. 前記表面応力センサとして、前記群から選択された一の材料を感応膜に使用した第1の表面応力センサと、前記群から選択された他の材料を感応膜として使用した第2の表面応力センサとを少なくとも使用する、請求項9または10に記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  12. 前記サイレージから発生したガスとパージガスとを前記表面応力センサに交互に与え、前記サイレージから発生したガスに対応する前記シグナルと前記パージガスに対応する前記シグナルとを使用して前記サイレージの発酵品質の評価を行う、請求項1から11の何れかに記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  13. 前記サイレージから発生したガスを前記表面応力センサに供給する時間区間と前記パージガスを前記表面応力センサに与える時間区間とに加えて、所定の標準ガスを前記表面応力センサに与える時間区間を設け、前記サイレージの発酵品質の評価にあたって前記標準ガスに対応する前記シグナルを更に使用する、請求項12に記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  14. 前記標準ガスは液体または固体から発生するガスである、請求項13に記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  15. 前記サイレージから発生したガスを追加のガスセンサに供給し、前記表面応力センサからのシグナルと前記追加のガスセンサからのシグナルとに基づいて前記サイレージの発酵品質の評価を行う、請求項1から14の何れかに記載のサイレージ発酵品質評価方法。
  16. 少なくとも一つの表面応力センサと、
    測定対象のサイレージから発生した試料ガスを供給する第1のガス流路と、
    測定すべきガス成分を含有しないパージガスを供給する第2のガス流路と
    を設け、
    前記第1のガス流路から供給される試料ガスと前記第2のガス流路から供給されるパージガスとを交互に切り替えて前記少なくとも一つの表面応力センサに供給して前記少なくとも一つの表面応力センサからシグナルを発生させることにより、請求項1から12の何れかに記載のサイレージ発酵品質評価方法を行う、サイレージ発酵品質評価装置。
  17. 追加のガスセンサと前記試料ガスを前記追加のガスセンサに供給する追加のガス流路とを設け、
    前記少なくとも一つの表面応力センサからの前記シグナルと前記追加のガスセンサからのシグナルとに基づいて前記サイレージの発酵品質の評価を行う、請求項16に記載のサイレージ発酵品質評価装置。
  18. 少なくとも一つの表面応力センサと、
    測定対象のサイレージから発生した試料ガスを供給する第1のガス流路と、
    測定すべきガス成分を含有しないパージガスを供給する第2のガス流路と、
    所定の成分組成を有する標準ガスを供給する第3のガス流路と
    を設け、
    前記第1のガス流路から供給される試料ガスと前記第2のガス流路から供給されるパージガスと前記第3のガス流路から供給される標準ガスとを所定の順序で切り替えて前記少なくとも一つの表面応力センサに供給して前記少なくとも一つの表面応力センサからシグナルを発生させることにより、請求項13または14に記載のサイレージ発酵品質評価方法を行う、サイレージ発酵品質評価装置。
  19. 追加のガスセンサと前記試料ガスを前記追加のガスセンサに供給する追加のガス流路とを設け、
    前記少なくとも一つの表面応力センサからの前記シグナルと前記追加のガスセンサからのシグナルとに基づいて前記サイレージの発酵品質の評価を行う、請求項18に記載のサイレージ発酵品質評価装置。
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