JP7371981B2 - 原臭選定方法、原臭の組み合わせによりニオイを表現、提示または合成する方法、及びそのための装置 - Google Patents

原臭選定方法、原臭の組み合わせによりニオイを表現、提示または合成する方法、及びそのための装置 Download PDF

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Description

本発明は、複数種類のニオイからなるニオイ集合のうちから、比較的少数のニオイからなる部分集合であって、それらの組み合わせによりニオイ集合中の任意のニオイを少なくとも近似的に表現するところの上記ニオイ集合の部分集合(以下、この部分集合中の個々のニオイを原臭と称する)を選定することに関する。本発明は、また、このようにして選定された原臭の組み合わせにより、多くの種類のニオイを少なくとも近似的に表現し、提示し、あるいは合成することに関する。本発明は、さらに、多くの種類のニオイを例えば色などの嗅覚以外の知覚によって感知できる形態で表現または提示することに関する。本発明は、さらに、そのための装置に関する。
周知のとおり、任意の色は3原色に分解してこれら原色毎の重みで表現することができる。さらに、それぞれの原色の光をそれに対応する重みの強度で混合することで、あらゆる色の発光源や色料を準備する代わりに、原理的にはわずか3種類の色を準備することで、任意の色が人間の視覚上で復元されるように合成することができる。このような色の原色分解・合成のアナロジーとして、任意のニオイを比較的少数のニオイ、すなわち原色に相当する「原臭」に分解し、また任意のニオイをこのような原臭を重み付きで混合することで合成できれば非常に多くの応用が期待できる。
なお、ここで原臭について注意しておくこととして、ニオイを原臭に分解する、あるいはニオイをいくつかの原臭の混合によって合成するということは、ニオイの成分組成の意味での分解、合成を意味するものではないということである。原臭とは、それらを混合することによって任意のニオイを嗅覚(人間、あるいはその他の動物の嗅覚、更に一般的に言えば各種のニオイセンサの応答)の意味で同じ、あるいはよく似たニオイを合成できるという、元になるニオイを意味することに注意されたい。例えば、酢酸を含むあるガスのニオイXを原臭Aと原臭Bとの混合によって合成できるとしても、原臭A、Bの何れかに酢酸が含まれているとは限らず、単にこれらの原臭をある比率で混合することによって得られたガスがニオイXと同じあるいはよく似たニオイとして知覚されることを意味するだけである。
さらには、ニオイを原臭分解することで、ニオイを嗅覚以外の種類の知覚によって認識できる形態に変換すれば、ニオイをより判りやすく表現することも可能となる。たとえば、ニオイを色で表現できるとした場合の応用を考えてみよう。ニオイに色をつけられれば、漫画や映画で「ニオイ」という効果が使用できるようになるだろう。また、香水や化粧品、ウィスキー、ワインなどを色で表すことができれば、その色を商品パッケージに採用することで、視覚的に商品のニオイが理解でき、売れ行きに貢献できるだろう。色は人の心理に影響を与える効果があるため、ニオイを色で表すことができれば、応用は無限に存在する。さらに、今のところニオイそのものを表現する方法は確立されていないので、ニオイを色として表すことで、ニオイをこれまでよりも客観的に表現でき、これによってニオイの記憶、学習、理解が容易になることが期待される。
しかしながら、上述したようなニオイの原臭分解による表現、混合による合成・生成、また他の知覚で認識できる形態への変換などは一般に難しい。それは、光の3原色や味の4原味(5原味や6原味、あるいはそれ以上とする考え方もある)に対応する、嗅覚における原臭が科学的に特定されていないことに由来する。原臭の定義を試みる研究は古くから行われており、Henningによって提唱されたFlowery、 Fruity、 Putrid、Spicy、 Resinous、 Burntの6種類が原臭であるとするHenning’s odor prismなどが有名である。しかし、原臭とされるサンプルを集めたところで、あらゆるニオイをこれらの原臭の混合臭によって表すことはできず、光や味のように、基準とするサンプルを用意すれば他の任意の光や味を再現できるということはない。例えば、ニオイを単一の色で表現したい場合には光の3原色に対応させたニオイの3原臭を探し出せば良いが、上記の理由によりこれを決めることは実質不可能である。
一方で近年、センサアレイを用いた人工嗅覚システムの発展が目覚ましい。この人工嗅覚システムを利用することで、ニオイを数値的に表すことができるようになりつつある。そして、センサアレイを利用したニオイの可視化研究も様々な手法で行われており、ニオイを複数の色の集合として表すことが一般的である。その中では、optoelectronic noseの使用が主流である。この方法では、複数の染料や顔料など、ニオイ成分が触れることで色が変化する材料を用意し、ターゲットとするニオイをそれらに吹きかけた際の色の変化を検出している。しかしながらこれらの戦略では、原臭の探索は行われておらず、単一の色でニオイを表すこともできない。
例えば、非特許文献1には、予め規定しておいた数種類の基準ガスとの比較結果を数値化してこれをレーダーチャート上などに表現する「絶対値表現解析」が開示されており、そのような数値化及びそのレーダーチャート表現の例が非特許文献2に示されている。しかしここで説明されている絶対値表現においては、基準となるニオイ(基準ガス)を測定システムの提供者あるいは使用者があらかじめ設定しておく必要があるが、測定対象となるニオイをこれらの基準ガスの組み合わせによって良好に近似できるか否かの検討はなされていない。従ってここに開示されている絶対値表現解析は、上述したところのニオイの原臭分解による表現、混合による合成・生成、また他の知覚で認識できる形態への変換などについての示唆を与えるものではない。
本発明が解決する課題は、ニオイの集合から原臭をシステマティックに選定することである。また、選定された原臭を用いて、任意のニオイの分解、合成・生成をすることである。また、選定された原臭を用いて、ニオイを単一の色で表現または提示することである。また、ニオイをリアルタイムで色に変換できるデバイスの作製である。
本発明の一側面によれば、ニオイの集合中のそれぞれのニオイを検知し、前記それぞれのニオイの検知結果に基づいて、前記ニオイの集合中のニオイの原臭からなる部分集合を選定する原臭選定方法が与えられる。
ここで、前記それぞれのニオイの検知は、前記それぞれのニオイに対するセンサの出力信号から得られる複数の特徴からなるところの前記それぞれのニオイに対応する特徴ベクトルを求めることを含み、前記原臭からなる部分集合の選定は、前記ニオイの集合中のそれぞれのニオイに対応する前記特徴ベクトルの集合から、前記特徴ベクトルを含む特徴空間内における端点検出により選定された前記特徴ベクトルの部分集合に基づいて前記原臭を選定することを含んでよい。
また、前記それぞれのニオイに対応して求められた特徴ベクトルを縦ベクトルとすることで構成される特徴行列の各行をスケール変換してよい。
また、前記特徴空間の任意の方向で端に位置する点であるエンドポイントとなる回数をカウントし、その回数が多い順に前記特徴ベクトルの集合中から特徴ベクトルを取り出すことによって前記特徴ベクトルの部分集合を得てよい。
また、前記センサは表面応力センサであってよい。
また、前記センサは複数のセンサ素子を有するセンサアレイであり、前記出力信号は前記複数のセンサ素子のそれぞれからの個別の出力信号を含んでよい。
本発明の他の側面によれば、センサと、前記それぞれのニオイを有する試料ガスと基準ガスとを交互にセンサに供給するガス供給手段と、前記センサからの出力信号を入力する情報処理装置とを設け、前記何れかの原臭選定方法により前記情報処理装置が得た前記特徴ベクトルの前記部分集合の各要素に対応する試料ガスのニオイを原臭として選定する原臭選定装置が与えられる。
本発明のさらに他の側面によれば、前記何れかの原臭選定方法により選定された複数の原臭に基づいて、所与のニオイを前記選定された各々の原臭を混合したニオイとして合成する、ニオイ合成方法が与えられる。
本発明のさらに他の側面によれば、前記原臭選定装置により選定された原臭のそれぞれに対応する前記試料ガスを混合する手段を設けた、ニオイ合成装置が与えられる。
本発明のさらに他の側面によれば、前記何れかの原臭選定方法により選定された複数の原臭に基づいて、所与のニオイを前記選定された各々の原臭の組み合わせとして表現する、ニオイ表現方法が与えられる。
ここで、前記原臭の組み合わせは前記原臭の特徴ベクトルの線形結合で表されてよい。
本発明のさらに他の側面によれば、センサと、前記それぞれのニオイを有する試料ガスと基準ガスとを交互にセンサに供給するガス供給手段と、前記センサからの出力信号を入力する情報処理装置とを設け、前記何れかのニオイ表現方法によって前記情報処理装置が得たニオイ表現結果を記憶しまたは外部へ提供する手段とを設けた、ニオイ表現装置が与えられる。
本発明のさらに他の側面によれば、前記原臭の組み合わせを嗅覚以外の知覚により認識できる形態で提示する、ニオイ提示方法が与えられる。
ここで、前記嗅覚以外の知覚により認識できる形態での提示は、前記原臭の各々に異なる色を対応付け、ニオイを前記異なる色を混合した結果により提示してよい。
また、前記原臭の各々に対応付けられる異なる色は3原色であってよい。
本発明のさらに他の側面によれば、センサと、前記それぞれのニオイを有する試料ガスと基準ガスとを交互にセンサに供給するガス供給手段と、前記センサからの出力信号を入力する情報処理装置と、前記何れかのニオイ提示方法によって前記情報処理装置が得たニオイ提示結果を出力する出力装置と
を設けたニオイ提示装置が与えられる。
本発明によれば、複数の化学物質を含む可能性のある試料ガス、すなわちニオイ(与えられる試料が液体あるいは固体の場合はそれから発生する気体)を分析して、その中で原臭となる試料、すなわちニオイを選定する。このようにして選定された原臭を利用することで任意のニオイを原臭の組み合わせによって表現することができる。この表現は色などの人間の知覚によって認識できるもの(例えば、嗅覚以外の知覚により認識できる形態による提示)であって良い。また、任意のニオイを少なくとも近似的に合成することもできる。
本発明を適用できる測定装置の概念図。 Membrane-type Surface stress Sensor(本願ではMSSと略称する)で計測される応答信号の例を示す図。横軸は時刻(単位は秒)であり、縦軸は出力(単位はmV)である。A,B,C及びDは応答信号を特徴量で表す際に使用する。 端点検出(endpoint detection)における反復手順の一例を示す図。この例の場合、丸印で囲まれた2つの点にそれぞれ1ポイントの端点スコアが加算される。 MSSアレイの12種類のチャンネルのうち、チャンネル1~6からそれぞれ得られた応答信号を示す図。横軸は時刻(単位は秒)であり、縦軸は出力(単位はmV)である。12種類の調味料を試料とした結果を示している。 MSSアレイの12種類のチャンネルのうち、チャンネル7~12からそれぞれ得られた応答信号を示す図。横軸は時刻(単位は秒)であり、縦軸は出力(単位はmV)である。12種類の調味料を試料とした結果を示している。 実施例によって得られた調味料のカラーマップを示す図。括弧中にRGB値を示す。ナンプラー、日本酒及び純水が端点検出により3原臭として選択され、それぞれの原臭の色を赤、緑及び青に割り当てた結果を示した。 実施例において、焼肉のたれに対して、MSSアレイのチャンネル1~6で測定された生の応答信号と、係数(w,w,w)を使用してナンプラー、日本酒及び純水の応答信号を重ね合わせて作成した混合信号とを比較する図。横軸は時刻(単位は秒)であり、縦軸は出力(単位はmV)である。 実施例において、焼肉のたれに対して、MSSアレイのチャンネル7~12で測定された生の応答信号と、係数(w,w,w)を使用してナンプラー、日本酒及び純水の応答信号を重ね合わせて作成した混合信号とを比較する図。横軸は時刻(単位は秒)であり、縦軸は出力(単位はmV)である。 実施例において、醤油に対して、MSSアレイのチャンネル1~6で測定された生の応答信号と、係数(w,w,w)を使用してナンプラー、日本酒及び純水の応答信号を重ね合わせて作成した混合信号とを比較する図。横軸は時刻(単位は秒)であり、縦軸は出力(単位はmV)である。 実施例において、醤油に対して、MSSアレイのチャンネル7~12で測定された生の応答信号と、係数(w,w,w)を使用してナンプラー、日本酒及び純水の応答信号を重ね合わせて作成した混合信号とを比較する図。横軸は時刻(単位は秒)であり、縦軸は出力(単位はmV)である。 実施例において、リアルタイムで出力されるニオイの色の例を示す図。 実施例において、リアルタイムで出力されるニオイの色の例とRGB値の時間依存性を示す図。横軸は時間(単位は秒)であり、縦軸はRGB値である。
本発明の一形態では、複数の試料ガス(以下では、試料ガスをしばしば「ニオイ」とも呼ぶ)の集合から、ナノメカニカルセンサと機械学習を用いてこれらのニオイの部分集合を選定する(与えられる試料が液体あるいは固体である場合にはそれから発生する気体を試料ガスと呼ぶ)。このようにして選定されたニオイの部分集合中の個々のニオイを、本願では原臭とも呼ぶ。ここで注意すべきことは、上の説明から明らかなように原臭はアプリオリに与えられるものではなく(つまり、本発明の適用前に予め与えられるのではなく)、本発明の実施の過程で動的に定まる点である。もちろん、最初の測定では複数のニオイからその部分集合としての原臭を選定し、その後の測定においては毎回原臭を選定する代わりに最初に選定された原臭を再度使用するなどの、一旦選定された原臭の再利用も可能である。このように原臭を定めることにより、与えられたニオイの集合中の任意のニオイを、原臭とされたニオイの組み合わせで表現することができる。任意のニオイの原臭による表現は、単なるデータ(例えば原臭1、原臭2、・・・、原臭nがそれぞれc、c、・・・、c%などというデータ)であってもよいし、あるいはニオイをより直感的に表現するために、ニオイを嗅覚以外の別の知覚で認識できるように変換することもできる。これは例えば各原臭にそれぞれ異なる色を割り当て、ニオイをこれら原臭に割り当てられた色を混合したものとして表現することもできる。典型的には、原臭を3つ選定し、これらの原臭に3原色を割り当てることができる。さらに、ニオイを原臭の組み合わせとして表現するだけではなく、原臭の組み合わせにより表現できるニオイと同じあるいは類似したニオイを、これらの原臭を混合することにより合成することもできる。
言い換えれば、本発明においてはすべてのニオイ(すべてのニオイに対するセンサの応答)というほぼ無限の情報全体を対象とするのではなく、その中から計算可能な一部の範囲を切り出し、その範囲の中で原臭を論理的に規定するという、「真の原臭」が見いだされていない現状でも実現できる斬新かつ実用的な技術思想を提供している。さらには、仮に真の原臭を特定できたとしても、それを与える原臭物質は必ずしも入手や取り扱いが容易でありまた生体に対して安全なものであるとは限らない。また原臭の種類が極めて多数になる可能性もある。従って、真の原臭に基づいてニオイを原臭分解することが現実的な解とはなり得ない事態も考えられる。本発明はそのような場合にも十分適用可能である。
本発明の実施の一形態をより具体的に説明すれば、まず、ニオイを数値で処理できる応答信号に変換するために、各種のニオイに対して異なる応答性を示す複数のセンサを使用する。このようなセンサとしては、例えばその所定の表面上の物理的なパラメータの変化を検出するナノメカニカルセンサがある。ナノメカニカルセンサの一つとして表面応力センサがある。表面応力センサにおいては、当該表面上に気体などの検体を吸着する膜(感応膜)を設け、吸着によって感応膜に引き起こされる膨張・収縮が当該表面の表面応力の変化として現れる。測定対象物質と感応膜の材料(感応膜材料)との組み合わせにより多様なパターンの表面応力変化が測定されるため、一つまたは複数の表面応力センサに試料を供給してその応答を測定することで、試料中の各種の物質の定性的あるいは定量的な分析を行うことができる。
ニオイを検出するための多様なセンサが提案されまた作製されているが、以下ではこのようなセンサとしてMSS(特許文献1、非特許文献3)と呼ばれる、ピエゾ抵抗に基づく電気読み取りを使用したナノメカニカルセンサを例として用いる。このセンサでは、従来のカンチレバー型ナノメカニカルセンサよりもいくつかの利点が報告されており、高感度、コンパクトシステム、高安定性を実現している。また、センサチャンネルのサイズが1mmより小さく、異なる感応膜材料を塗布した複数のチャンネルを簡単に用意できる。それにより、一度にニオイの多くの情報を取得することができ、ニオイサンプルの「指紋」とみなされる信頼できる応答信号を収集可能である。この応答信号から抽出される特徴量(以下、複数の特徴量によって定義されるベクトルを特徴ベクトルと呼ぶ)を利用し、ニオイの定量分析やニオイ識別の実績がある。もちろん他のタイプのセンサを使用することもできる。
ニオイの原臭を見つけるために、まず、ニオイサンプルを収集し、各種の感応膜を使用した複数個のMSSでそれぞれ応答信号に変換する。そして、応答信号から物理化学的知識によって高次元の特徴ベクトルを抽出する。次に、高次元の特徴空間で機械学習を用いた端点検出(endpoint detection)を実行することにより、すべての収集したニオイサンプルに対して、原臭候補としてのランキングを算出する。原臭として選定すべきニオイの数(原臭数)を決めておき、ランキング上位から順に原臭数のニオイを選定する。他のニオイはこれら原臭の混合物であって、ターゲットのニオイをこれら原臭の特徴ベクトルの線形結合で表現あるいは近似できるとすれば、この線形結合の係数は例えば二次計画法によって計算することができる。このようにして、任意のニオイを少数の原臭が混合されたニオイとして表現(近似)することができる。
ここで、上で言及した「端点検出」について一般的に説明する。本願で言う端点検出とは特徴空間で端に位置するサンプルを選択する任意のデータ解析手法を意味する。そのような機械学習アルゴリズムは各種のものが提案されている(例えば、非特許文献4)。本願ではそのような手法の例として、非特許文献5のものを応用して、特徴空間の様々な方向で端に位置する点を見つけ、点毎にその出現回数をカウントし、回数が多い順に点を選び、これらの点に対応付けられたニオイを原臭として選定していくという手法を以下で説明している。
また、機械学習分野において「端」はエンドポイント(endpoint)あるいはエンドメンバー(endmember)と呼ばれる。従って、本願では特徴空間の端に位置する点をエンドポイントと定義し、エンドポイントを検出するデータ解析手法を端点検出と呼ぶ。上述したように、エンドポイントを検出するデータ解析手法は様々あり、本願では以下で説明する特定の手法をその一例として挙げる。しかしながら端点検出は当該特定の手法に限定されるものではなく、一般的にエンドポイントを検出する任意のデータ解析手法を使用することができることをここに注意しておく。
なお、原臭としてどのニオイを選定するかを動的に定めることに加えて、原臭数も動的に設定するようにしてもよい。例えば、原臭数を予め設定した固定の個数とする代わりに、ある個数の原臭を選定した場合に合成される原臭以外のニオイの近似度が期待した値よりも低い場合には、上述のランキング中に残されたニオイの上位のものを順次原臭に追加することで近似精度の向上を図ることもできる。すなわち、それぞれの原臭毎にその強度(重み)を定めて混合することで、原臭以外のニオイを(多くの場合には近似的に)合成できる。このような合成は、原臭を実際に上記の重みの比に基づいて混合することで実現できる。あるいは、実際にニオイを合成する代わりに、原臭以外のニオイを、選定された原臭の組み合わせとしてデータ上で表現することもできる。このような表現は、例えば近似対象のニオイの特徴ベクトルを、原臭の特徴ベクトルの線形結合として再構成する等の、原臭の線形結合として数値上で近似することで実現できる。このように合成・近似されたニオイと合成・近似対象、つまりターゲットのニオイとの近似度は、感応試験により判定してもよいし、あるいは両ニオイの特徴ベクトル同士の差やセンサの応答信号そのものの差を計算してもよい。
原臭数は原臭の使用目的に応じて任意に設定できる。例えば、ニオイを色に対応付けて表示する場合には、ランキングの上位3つのサンプルを3原臭とする。これらは、それぞれ赤、緑、青の3原色に割り当てられる。ただし、原臭をそれぞれ対応付ける色として3原色を使用することは必須ではなく、任意の3色を3原臭の色として割り当てることもできる。この場合、ターゲットのニオイの色度座標上の位置を計算し、色度座標上の位置からターゲットのニオイの色を取得する。リアルタイムでニオイを単一の色で出力するための装置は、例えばMSS、機械学習手法を実装したコンパクトコンピュータ、LEDライト等を用いて作製できる。
原臭の選定の具体的な手法を以下で説明する。
[応答信号からの特徴量抽出]
異なる感応膜材料を感応膜としてそれぞれ塗布したMSS(それぞれのMSSを以下ではチャンネルとも称する)の集合体であるセンサアレイでニオイを測定する。MSS等の表面応力センサでは、センサに測定対象の試料と、基準となる流体(ニオイ測定の場合には基準ガス。測定対象のニオイをセンサに供給すると、ニオイ中の成分が感応膜に吸着するが、基準ガスを流す間に吸着した成分が脱着されるので、この意味でパージガスとも呼ばれる。実施例では窒素ガス(N)を使用)とを所定周期で交互に供給して、これにより感応膜で生起する周期的な吸着・脱着に基づく応答信号を得る。
このような測定を行うための測定装置の構成の一例の概念図を図1に示す。ここにおいて、2系統のガス流路に対してそれぞれ基準ガスが図の左側から供給される。各流路には交互動作して(つまり、互いに逆相でガスの送り出し動作を行って)、動作期間中は所定流量のガスを下流側に向けて送り出すMFC(マスフローコントローラ)がそれぞれ挿入されている。これによって、上側のガス流路用のMFCの動作期間中は、上側のガス流路には基準ガスがそのまま右側のバイアル瓶に供給される。下側のガス流路においてはMFCからの基準ガスが上流側のバイアル瓶のヘッドスペースに供給され、当該バイアル瓶中に収容された試料(ここでは液体試料を想定)から蒸発してヘッドスペースに溜まっている試料ガスをガス流路経由で下流に向かって送り出す。したがって、下側の流路用のMFCの動作期間中は、基準ガスで希釈された試料ガスが下流側にある前述のバイアル瓶に送り込まれる。これにより、図に示すMSS(複数のMSSを含むセンサアレイ)に基準ガスと試料ガスとが交互に供給される。これに応答してセンサアレイ中の各MSSからの応答信号が情報処理装置に送り込まれ、後述する各種の処理を受ける。なお、複数の試料の測定を行うため、バイアル瓶に入った試料を適宜交換する必要がある。この試料交換は手動で行っても良いし、あるいは自動的にバイアル瓶への試料投入、除去を行ってもよい。また、それぞれの試料を収容したニオイ発生容器を準備しておき、これらを手動であるいは自動的に交換してもよい。また、多数設けられたガス流路に上記ニオイ発生容器を全て接続しておき、MFCの動作やバルブの制御などにより流路を切り替えてニオイ発生容器を順次選択することで、一連のニオイ測定を行うようにすることもできる。このようにして得られた複数のニオイの測定結果を供給された情報処理装置において、原臭選定、選定された原臭に基づくニオイ表現、ニオイ提示などが行われる。情報処理装置には、選定された原臭や原臭によって表現されたニオイの情報を記憶しあるいは他の装置に供給する際に使用できる各種の記憶装置やインターフェースを設置することができる。またニオイを使用者に何らかの形で提示するための表示装置などの出力装置も設置することができる。また、原臭によるニオイ合成は、たとえば上述したような複数のニオイ発生容器にそれぞれ接続されたガス流路を情報処理装置が適宜切り替えてそこから得られるそれぞれの試料ガスを混合することで行うことができる。もちろん、図1に示す構成は単なる例示であり、必要に応じて各種の変更を加えることができる。
このような情報処理を更に具体的に説明すれば、先ず図2のような応答信号が、異なる感応膜材料が塗布された各チャンネルから得られる。各応答信号には、上記所定周期毎にピークが現れるが、ここでは、各ピークが独立であると考える。そして、各ピークについて、ピークの形状を表す次の4つのパラメータを抽出する。なお、特徴量の抽出法についても当然ながらこれに限定する必要はない。
・パラメータ1:図2に示されている基準ガスから試料ガス(ニオイ)への切り替え時点に対応する点Aと、ニオイを供給し続けたことで応答信号が飽和値に近づいた点Bとの間の勾配によって定義する。これはニオイの吸着プロセスに関連する。点Bの具体的な定め方としては、点Aから所定時間経過した時点における応答信号上の点を点Bとしてよい。別の定め方として、応答信号の値が増大していき、応答信号の最小値+(最大値-最小値)×所定比率(例えば95%)に到達した点を点Bとする、などとしてもよい。
・パラメータ2:点Bと、供給するガスを試料ガス(ニオイ)から基準ガスに切り替えた時点に対応する点Cとの間の勾配によって定義する。これは準平衡状態の情報を含んでいる。
・パラメータ3:試料ガス(ニオイ)の脱着プロセスの開始点となる点Cと、基準ガスを供給し続けたことで応答信号の値が応答信号の値の最小値に接近した点Dとの間の勾配によって定義する。点Dの具体的な定め方としては、点Bの場合と同様、点Cから所定時間経過した時点の応答信号上の点を点Dとすることができる。あるいは、応答信号の値が減少していき、応答信号の最小値+(最大値-最小値)×所定比率(例えば5%)に到達した点を点Dとする、などとしてもよい。
・パラメータ4:ピークの高さによって定義する。これには各感応膜材料の吸着能力の情報が含まれる。図2に示されるピーク形状では点Cの高さがパラメータ4となる。しかし、一般的には、試料の供給中に出力信号の大きさが単調に増加するとは限らず、場合によっては点Bと点Cとの間に最大値、つまりピークの高さに到達し、出力信号はこの最大値点から先へ向かって減少していく、等の場合がある。
なお、上記ピークの形状は実際には一定ではなく、試料ガス(ニオイ)と基準ガスとの交互供給開始直後から次第に変化することがある。そのため、上記パラメータを抽出するピークとして、例えば交互供給開始から十分な回数だけ交互供給を繰り返した後に現れるピークを適宜選択するのが好ましい場合がある。
また、各試料ガス(ニオイ)は最初から気体であってもよいし、あるいはニオイ発生源は液体や固体であるが、それから蒸発する気体を測定対象としてもよい。なお、実施例ではニオイ発生源が液体であるとして説明しているが、この説明は一般性を失うものではない。
[原臭を選定するための端点検出手法]
集めたニオイサンプルから、一組の原臭を決定するために、MSSを用いた測定によって得られたニオイの高次元の特徴ベクトルに対して、以下に示す端点検出手法を実行する。もちろん、すでに述べたように以下に示す端点検出手法は一例にすぎず、他の任意の手法を採用できることは言うまでもない。以下では説明を簡単にするため、原臭数=3とし、また各ニオイサンプルから抽出する特徴量は、異なる感応膜を塗布した12のチャンネルからそれぞれ与えられるところの、図2を参照して上で説明したパラメータ1~4であるとする。従って、ニオイサンプル毎に12×4=48個の特徴量が与えられ、特徴ベクトルは48次元となる。なお、このように原臭数及び特徴量の個数を特定の値であるとして行う説明は一般性を失うものではないのは当然である。
Nをニオイサンプル数とし、
をi番目のニオイサンプルの48次元の特徴を含む縦ベクトルとする。このとき、特徴行列Xを次のように定義する。
この特徴行列Xの各行を、平均と標準偏差がそれぞれ0と1になるように標準化する。
上記標準化を数式で表現すれば、これは上記特徴行列の各行の値、xj1,xj2,・・・,xji,・・・,xjNについて、xjiを(xji-μ)/σ
へ変換する処理である。ここで、添え字i及びj並びに定数μ及びσはそれぞれ以下のとおりである。
・i:特徴行列Xの列のインデックスであり、上述の通り、それぞれのニオイサンプルの番号1~Nである。
・j:特徴行列Xの行のインデックスであり、当該値の測定に使用したMSSの番号及び当該MSSの応答信号から得られたパラメータの番号に対応付けられている。例えば、上の例のように12個のMSS(MSS1~MSS12)を使用し、またそれぞれのMSSから4個のパラメータ(パラメータ1~パラメータ4)を抽出する場合、j=(MSS番号-1)×4+パラメータ番号としてよい。
・μ:xj1,xj2,・・・,xji,・・・,xjNの算術平均。
・σ:xj1,xj2,・・・,xji,・・・,xjNの標準偏差。
この標準化は、特徴行列の各行の平均を0にすることによって、特徴空間内で各特徴ベクトルを平行移動して特徴空間の原点の周囲に分布させることを意味する。また、各行の標準偏差が1になるようにすることは、使用されるMSS及びこれらのMSSからのいくつかの特徴量(パラメータ)の大きさ及びばらつきを揃えることにより、個々のMSSやパラメータの「効き具合」、つまりこれらが原臭選定に当たって寄与する程度を統一化することを意味する。
なお、上記標準化において各行の平均を0とすることは、本質的には端点検出に影響しない。ただし、機械学習分野においては平均を0に、また標準偏差を1とする標準化(z-scoreとも呼ばれる)がしばしば行われるため、ここでもこの標準化を採用している。もちろん、標準化の代わりに、各行を正規化したものを使用する、あるいはそのまま使用することも可能であり、必ずしも標準化をする必要はない。ここにおいて、標準化とは分散を1、平均を0にすることを意味し、正規化とは最大を1、最小を0とするように各行を変換することを意味する。なお、データの前処理の一環としてのスケール変換については必ずしも標準化や正規化に限定する意図はなく、任意のスケール変換の処理を適宜適用することができる。もちろんこのようなスケール変換が必須というわけではないことにも注意されたい。
まず端点検出手法では、できるだけ大きな値K(求められている原臭選定の精度などにもよるが、たとえば特徴量数の200倍以上が望ましい)を設定し、K個のランダムな単位ベクトルの集合
を生成する。ここで「ランダム」であるとは、特徴空間(ここでは48次元のベクトル空間)内における方向について一様であるランダム性を有することを意味する。各単位ベクトル
の次元は特徴ベクトルの次元と同じとし、この場合は48次元である。
また、ベクトル
を用意する。このベクトルは端点スコアと呼ばれる、端点に関するスコアを保存するために使用する。
この端点検出手法では、次の手順をK回反復する。
(1) 標準化済みのすべてのニオイデータの特徴ベクトル
を各単位ベクトル
に射影する。つまり、標準化済みの各ニオイの特徴ベクトル
(i=1~N)と所与の単位ベクトル
との内積を要素とするベクトル
を計算する。これは、各ニオイサンプル1~Nについての特徴ベクトルの単位ベクトル
方向における座標を意味する(特徴ベクトルは特徴空間の原点を始点としていることに注意)。
(2) ベクトル
中の要素(座標)のうちで最小及び最大となる要素のインデックスI及びIを以下のように取得する。
(3) 選択された要素のインデックスI及びIに対して、ベクトル
の成分を以下のように更新する。つまり、選択されたインデックスを有する要素の端点スコアを1だけ増加させる。
この反復手順の一例を図3に示す。Kが十分に大きい場合、大きな端点スコアnを持つニオイサンプルは、高次元の特徴空間(特徴ベクトル空間)の端に配置されていると考えられる。したがって、nが大きいニオイサンプルは、ニオイサンプルの中で最も端に位置したサンプルとみなされ,nが大きい順が、原臭候補としてのランキングと考える。ここでは上位3位のサンプルを3原臭とし、これらの原臭のインデックスをそれぞれe、e及びeと定義する。他のニオイを色表現する際には、これらの原臭を色度三角形の頂点に割り当てる。
[原臭を用いた任意のニオイの表現法]
ニオイサンプルから複数個の原臭(上の説明では例として3つの原臭。以下でも原臭を3原臭であるとして説明する)を選定する手法を上記[原臭を選定するための端点検出手法]で説明した。その他のニオイを原臭の組み合わせによって表現するために、3原臭の特徴ベクトルの線型結合でその他のニオイの特徴ベクトルを表す。このとき、ターゲットとするニオイの特徴ベクトルが可能な限り実現される線型結合を探索する。(w,w,w)を3原臭の標準化された特徴ベクトル
の線型結合を表す係数とする。なお、以下では3原臭中の各原臭に色の3原色の一つをそれぞれ対応付け、これによって任意のニオイを3原色の混合色として表現するとして説明するが、これも当然一般性を失うものではない。
上記線形結合を表す係数を、二次計画法を実行することにより求める。つまり、ターゲットとするニオイの標準化された特徴ベクトルを
としたとき、次式で定義される差Δが最小になるような係数(w,w,w)を求める。
ただし、以下の2つの条件を課すこととする。
この前者の条件は、ターゲットのニオイを3原臭の正の混合として表すために必要となる。これは負の濃度で原臭を混合することはできないことに由来する。一方で後者の条件は、wを、原臭を混合させる濃度と対応させるために必要な条件である。他のニオイを色表現する際には、ターゲットのニオイの色度三角形の位置は、以下で与えられる。
この位置に対応する色度三角形中の色でターゲットのニオイに対応付ける色を決定する。なお、ここでは、標準化された特徴ベクトルを近似するように、原臭の混合濃度を決めたが、近似の対象はこれに限定されるものではなく、正規化した特徴ベクトルや、標準化しない特徴ベクトル、あるいは直接応答シグナルを扱っても良い。
そして、原臭候補となる上位3つのサンプルを3原臭とみなし、これを色の3原色のように、色の三角形の頂点として用いることで、あらゆるニオイを色で表現する。試料の例として、実施例では調味料を使用する。しかしながら、以下の説明から、これらの試料や測定対象は単なる例示であり、他の多様な種類の試料や化学物質を任意に選択できることは自明であろう。さらには、ニオイを発生する液体や固体の試料にも適用可能であることも自明であろう。
[応答信号からの特徴抽出と使用感応膜材料]
上で図2を参照して説明したパラメータ1~4の抽出を行った。ここで、試料(ニオイ)と基準ガスの供給の繰り返し周期を10秒とし、点Aと点Bとの間の時間差を0.5秒と決めた。同様に、点CとDとの間の時間差も0.5秒とした。
ここでは、各種の表面機能化を行ったシリカ/チタニア複合ナノ粒子、各種ポリマー、SiO-C16TAC(シリカ/ヘキサデシルトリメチルアンモニウム複合粒子)を12種類の感応膜材料として用意した。これらは、いくつかの塗布手法によってMSS表面に塗布した。各チャンネルに塗布された材料及び塗布方法は後述の[実施例の細部-各種材料が塗布されたMSSチップの作製]に示す。
このように、1つのニオイサンプルは48個のパラメータ(4つの特徴と12のチャンネルの積)で表現される。これが各ニオイサンプルに対する高次元の特徴量、すなわち特徴ベクトルとなる。
[調味料のニオイからの原臭選定]
例を示すために、MSS及び機械学習を利用し、調味料のニオイから原臭を選定する。ここでは、12種類の調味料を用意した。具体的には、純水、ケチャップ、マヨネーズ、レモン汁、オイスターソース、ウスターソース、日本酒、めんつゆ、焼肉のたれ、酢、醤油、ナンプラーである。これらの液体サンプルをバイアルに入れ、バイアル内のヘッドスペース内に溜まった気体をMSSによって測定した。本実施例では、ヘッドスペース内に溜まった気体(ニオイ)を押し出してMSSへ送り込むためのキャリアガスとして、基準ガスと同じNガスを用いた。応答信号の感応膜材料依存性を図4A及び図4Bに示す。アミノプロピル基で修飾されたシリカ/チタニア複合ナノ粒子が塗布されているチャンネル5を除き、信号の形状は、各チャンネルであまり変わらない。一方で、ピークの高さはサンプルによって異なり、日本酒は常に最大のピークを示し、ナンプラーは最小のピークとなる。したがって、生の応答信号の観点からは、日本酒とナンプラーは原臭の候補と考えられる。一方、それ以外のニオイサンプルに関しては、生の応答信号を見ているだけでは、原臭候補を選出することは困難である。なお、各チャンネルで得られた応答信号の強度はチャンネル毎に異なるが、図4A及び図4Bでは、各チャンネルでの応答信号のピーク値がほぼ同じ高さになるようにすることで、一覧性を高めている。
MSSから得られた応答信号から48次元の特徴を抽出し、端点検出を実行し、用意したニオイデータの中から3つの原臭を選定した。端点検出手法としては、[原臭を選定するための端点検出手法]で説明した例を使用した。ここでは、端点検出で使用するパラメータはK=10,000と設定し、合計の端点スコアは20,000となる。後掲の表に端点スコアのランキングを示す。ここで、上位3つのサンプルはナンプラー、日本酒、純水である。合計の端点スコアの半分以上が上位2つのニオイに集まっており、ナンプラーと日本酒は準備した調味料の中で端点に確実に位置すると考えられる。このことは、生の応答信号で確認された事実と一致する。一方、これら2つのニオイと比較して、3位に位置する純水の端点スコアは比較的小さな値であり、このような場合には目視や特徴ベクトル同士の単純な比較等によってこの順位を直接見出すのは困難である。本発明においては端点検出を行うことでこのような場合にも対応可能であるという特徴がある。さらに、実施例のデータでは焼肉のたれ、オイスターソース、ウスターソースは、端点スコアがかなり小さいため、これらのニオイは48次元の特徴空間において特徴ベクトルの分布する領域内側の深いところに位置していることがわかる。このように、端点検出を実行することにより、準備したニオイ間の特徴空間内での相対位置を見出すことができる。端点検出の結果から、準備した調味料のデータセット中では、原臭はナンプラー、日本酒、純水と決めることができる。
[ニオイの色表現]
ターゲットのニオイを色に変換するために、係数(w,w,w)を二次計画法によって計算する(詳細は上述の[原臭を用いた任意のニオイの表現法]に示す)。これらの係数は、応答信号から抽出された3原臭の標準化された特徴ベクトル
の線型結合を表す係数である。ここでは3原臭として、上で選定したとおり、ナンプラー、日本酒及び純水を利用する。下表に、これらの係数を二次計画法によって求めた結果を示す。また、線型結合とターゲットのニオイの標準化された特徴ベクトルとの差Δも表中に示す。
このΔの値は、ターゲットとするニオイサンプルを、3原臭の特徴ベクトルで表す際の精度である。したがって、ウスターソースや焼き肉のたれなど、Δの値が小さいサンプルは、3つの原臭の混合によって比較的正確に表すことができることを意味している。一方で、ナンプラー、日本酒、純水以外のニオイを原臭として使用してしまうと、Δの平均値が大きくなることを確認している。この事実は、より良い色表現を実現するためには、端点検出が効果的に機能していることを意味している。さらに、これらの係数を使用して、各ニオイサンプルの色及びこれら各色の色度三角形中における位置、各ニオイのRGB値を図5にまとめた。ただし、元のカラーマップにおいてはナンプラー、日本酒及び純水の色を、色の3原色である赤、緑及び青に割り当てているが、図5はそれを白黒図面に変換したものである。
このカラーマップでは、醤油及びめんつゆのニオイには純水の成分は含まれておらず、これらはナンプラーと日本酒の混合物として表されることを示している。ここで、上記表現においては色そのものに意味はないことに注意されたい。これは、3原臭に元のニオイサンプルとは関係のない色を割り当てたため、他のニオイサンプルがこれらの色を使用した相対評価によって色に変換されたためである。一方、準備したデータセットによって、液体サンプル自体の色や人間の感覚に合わせた色を、3原臭に適用し、その色の混合で色度三角形を作ることで、色自体に意味を持たせることも可能である。
また、図6A~図6Dには、例として、醤油と焼肉のたれについて得られた係数(w,w,w)を使用して、ナンプラー、日本酒、純水の応答信号を重ね合わせて作成した混合信号と、実際の焼肉のたれと醤油から得られた応答信号とを比較している。このように、これらのピークは、すべてのチャンネルでよく一致していることがわかる。これは、与えられた色を3原色に分解できるように、取得した係数(w,w,w)を使用して、ターゲットのニオイの生の応答信号を、3原臭の応答信号に近似的に分解できることを示している。言い換えると、以上で説明したように48次元の特徴のみを用いてニオイの線型結合に使用する係数を見積もったが、生の応答信号の観点からも、得られた係数が原臭を混ぜ合わせる際の濃度とみなしても良い近似になっていることを示している。従って、この情報は3原臭から新しいニオイを作る際にも役立つ。なお、各チャンネルで得られた応答信号の強度はチャンネル毎に異なるが、図4A及び図4Bに関して上述したように、図6A~図6Dでは、各チャンネルでの応答信号のピーク値がほぼ同じ高さになるようにすることで、一覧性を高めている。
[リアルタイムでニオイを色変換する装置]
3種類の原臭が事前に決まっている場合、二次計画法を実行するだけでさまざまなニオイを即座に色等の嗅覚以外の知覚で認識できる形態に変換することができる。したがって、例えばターゲットのニオイの色(ニオイを上述のようにして色に変換したもの)をリアルタイムで出力することができる。そこで、MSS、機械学習を実装した情報処理装置としてコンパクトコンピュータ、及びLEDライトを使用して、ニオイの色をリアルタイムで表示する装置を作製した。ここで、色を出力するために使用したデバイスとしてLEDライトを使用したが、もちろん出力装置であればどのようなものでもよい。ここで例として3種類の原臭としてナンプラー、日本酒、純水を用いた。また、原臭のそれぞれの色を赤、緑、青とした。ここで、原臭の応答信号を測定する際の基準ガス及びキャリアガスとしてNガスを使用したため、ターゲットのニオイを測定する際もNガスを基準ガス及びキャリアガスとして使用した。ただし、空気を基準ガス及びキャリアガスとして使うこともできる。
リアルタイムの測定結果を図7A及び図7Bに示す。図7Aに示す測定の前半は、リアルタイムにナンプラー、日本酒、純水、焼肉のたれ、醤油を順に測定した結果である。また、図7Bには、LEDライトに出力される色とRGB値の時間依存性をまとめている。作製したデバイスではサンプルを切り替える際に、測定が終わったサンプルが入ったバイアルをガス流路から一旦取り外し、次に測定するサンプルが入ったバイアルをガス流路に接続するという操作を行っているため、周囲の空気がバイアルに入ってしまい、サンプルのニオイと混ざってしまう。この影響により、サンプルを切り替える際に係数は大きく変動し、出力される色は対象とするニオイが示すはずの色とは異なる色が出力される。その後、応答信号が平衡に達すると、図5に示してあるターゲットのニオイが示すはずの色に近い色が出力されることが確認された(図7Bの下側にその一例を示した。)。また、この測定の後半では、ナンプラーと日本酒をある濃度で混合した3種類の混合物のニオイを測定している。各サンプルの濃度は4:1、2:1、1:1となる混合サンプルを用意した。出力される色は、ナンプラーと日本酒の間の色、つまり赤と緑の混合色となることが確認できた。
[実施例の細部-各種材料が塗布されたMSSチップの作製]
本実施例中で使用したMSSチップには全部で12のチャンネル(以下ではChとも称する)が搭載されており、各チャンネルに塗布された材料及び塗布条件は以下に示す通りである。
Ch1:アミノプロピル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子(スプレーコーティング)、
Ch2:オクタデシル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子(インクジェットコーティング、1g/L、400ショット)、
Ch3:フェニル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子(インクジェットコーティング、1g/L、200ショット)、
Ch4:ポリメタクリル酸メチル(インクジェットコーティング、1g/L、300ショット)
Ch5:アミノプロピル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子(インクジェットコーティング、1 g/L、600ショット)、
Ch6:オクタデシル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子(インクジェットコーティング、1 g/L、800ショット)、
Ch7:フェニル基修飾シリカ/チタニア複合ナノ粒子(インクジェットコーティング、1 g/L、500ショット)、
Ch8:シリカ/ヘキサデシルトリメチルアンモニウム複合粒子(インクジェットコーティング、1 g/L、1000ショット)、
Ch9:Tenax TA(Mesh:20/35)(インクジェットコーティング、1 g/L、300ショット、ステージ温度100C)、
Ch10:Tenax TA(Mesh:20/35)(インクジェットコーティング、1g/L、300ショット、ステージ温度20C)、
Ch11:Tenax TA(Mesh:60/80)(インクジェットコーティング、1 g/L、300ショット、ステージ温度100C)、
Ch12:Tenax TA(Mesh:60/80)(インクジェットコーティング、1 g/L、300ショット、ステージ温度20C)。
Ch1、2、3、5、6及び7に塗布された各種のシリカ/チタニア複合ナノ粒子は、非特許文献6及び7に記載の当業者に周知の方法にしたがって合成した。Ch8に塗布されたシリカ/ヘキサデシルトリメチルアンモニウム複合粒子は、非特許文献8に記載のこれも当業者に周知の方法にしたがって合成した。Ch4、9、10、11及び12に塗布された材料はいずれも市販されており、購入したものを精製など行うことなくそのまま使用した。
各種材料のMSSチップ上への塗布は次のように実施した。Ch1はスプレー、それ以外についてはインクジェットにより塗布した。これらの塗布方法は当業者に周知なものであるが、必要に応じて、スプレーコーティングの詳細については非特許文献7を、インクジェットコーティングの詳細については非特許文献9を参照されたい。なお、Ch2から12までのいずれの材料も、濃度1g/Lの分散液あるいは溶液を調製して塗布に使用したが、ショット数やステージ温度などの条件はチャンネルごとに異なることに注意されたい。
本発明の適用分野は、ニオイに限定されるものではなく、あらゆる気体、液体、及び固体サンプルから、元となるサンプル、すなわち原臭を選定することが有用である分野であればどこでも利用することができる。例えば、比較的少数の原臭によって任意のニオイを表現し、提示し、あるいは合成することができる。また、応用例としては、任意の呼気、汗、唾液、涙、その他の任意の体液や身体から発する気体、ニオイなどさまざまサンプルから元となるサンプル(原臭)を選定し、測定対象とした任意のサンプルのニオイ、つまり個人をこのようにして選定された原臭の組み合わせとして、またこの組み合わせを他の知覚で認識できる形態、例えば色で表現することができる。また、食品の製造、商品デザイン、エンターテインメント、保管、流通や警備、あるいは薬剤分野など、ニオイや気体が発生する様々な分野で本発明が大いに利用されることが期待される。
国際公開2011/148774号公報
https://www.an.shimadzu.co.jp/prt/ff/ff2020-2.htm https://www.an.shimadzu.co.jp/prt/ff/ff2020-1.htm G. Yoshikawa, T. Akiyama, S. Gautsch, P. Vettiger, and H. Rohrer, "Nanomechanical Membrane-type Surface Stress Sensor" Nano Letters 11, 1044-1048 (2011). https://ieeexplore.ieee.org/document/1411995 https://ieeexplore.ieee.org/abstract/document/1576691 K. Shiba, T. Sugiyama, T. Takei and G. Yoshikawa, Chem. Commun., 2015, 51, 15854-15857. K. Shiba, R. Tamura, G. Imamura and G. Yoshikawa, Sci. Rep., 2017, 7, 3661. K. Kambara, N. Shimura and M. Ogawa, J. Ceram. Soc. Jpn., 2007, 115, 315-318. K. Shiba, R. Tamura, T. Sugiyama, Y. Kameyama, K. Koda, E. Sakon, K. Minami, H. T. Ngo, G. Imamura, K. Tsuda and G. Yoshikawa, ACS Sensors, 2018, 3, 1592-1600.

Claims (16)

  1. ニオイの集合中のそれぞれのニオイを検知し、
    前記それぞれのニオイの検知結果に基づいて、前記ニオイの集合中のニオイの原臭からなる部分集合を選定する
    原臭選定方法。
  2. 前記それぞれのニオイの検知は、前記それぞれのニオイに対するセンサの出力信号から得られる複数の特徴からなるところの前記それぞれのニオイに対応する特徴ベクトルを求めることを含み、
    前記原臭からなる部分集合の選定は、前記ニオイの集合中のそれぞれのニオイに対応する前記特徴ベクトルの集合から、前記特徴ベクトルを含む特徴空間内における端点検出により選定された前記特徴ベクトルの部分集合に基づいて前記原臭を選定することを含む
    請求項1に記載の原臭選定方法。
  3. 前記それぞれのニオイに対応して求められた特徴ベクトルを縦ベクトルとすることで構成される特徴行列の各行をスケール変換する、請求項2に記載の原臭選定方法。
  4. 前記特徴空間の任意の方向で端に位置する点であるエンドポイントとなる回数をカウントし、その回数が多い順に前記特徴ベクトルの集合中から特徴ベクトルを取り出すことによって前記特徴ベクトルの部分集合を得る、請求項2または3に記載の原臭選定方法。
  5. 前記センサは表面応力センサである、請求項2から4の何れかに記載の原臭選定方法。
  6. 前記センサは複数のセンサ素子を有するセンサアレイであり、
    前記出力信号は前記複数のセンサ素子のそれぞれからの個別の出力信号を含む、
    請求項2から5の何れかに記載の原臭選定方法。
  7. センサと、
    前記それぞれのニオイを有する試料ガスと基準ガスとを交互にセンサに供給するガス供給手段と、
    前記センサからの出力信号を入力する情報処理装置と
    を設け、
    請求項2から6の何れかに記載の原臭選定方法により前記情報処理装置が得た前記特徴ベクトルの前記部分集合の各要素に対応する試料ガスのニオイを原臭として選定する原臭選定装置。
  8. 請求項1から6の何れかに記載の原臭選定方法により選定された複数の原臭に基づいて、前記ニオイの集合中の所与のニオイを前記選定された各々の原臭を混合したニオイとして合成する、ニオイ合成方法。
  9. 請求項7に記載の原臭選定装置により選定された原臭のそれぞれに対応する前記試料ガスを混合する手段を設けた、ニオイ合成装置。
  10. 請求項1から6の何れかに記載の原臭選定方法により選定された複数の原臭に基づいて、前記ニオイの集合中の所与のニオイを前記選定された各々の原臭の組み合わせとして表現する、ニオイ表現方法。
  11. 前記原臭の組み合わせは前記原臭の特徴ベクトルの線形結合で表される、請求項10に記載のニオイ表現方法。
  12. センサと、
    前記それぞれのニオイを有する試料ガスと基準ガスとを交互にセンサに供給するガス供給手段と、
    前記センサからの出力信号を入力する情報処理装置と
    を設け、
    請求項10または11に記載のニオイ表現方法によって前記情報処理装置が得たニオイ表現結果を記憶しまたは外部へ提供する手段と
    を設けた、ニオイ表現装置。
  13. 請求項10または11に記載の前記原臭の組み合わせを嗅覚以外の知覚により認識できる形態で提示する、ニオイ提示方法。
  14. 前記嗅覚以外の知覚により認識できる形態での提示は、前記原臭の各々に異なる色を対応付け、ニオイを前記異なる色を混合した結果により提示する、請求項13に記載のニオイ提示方法。
  15. 前記原臭の各々に対応付けられる異なる色は3原色である、請求項14に記載のニオイ提示方法。
  16. センサと、
    前記それぞれのニオイを有する試料ガスと基準ガスとを交互にセンサに供給するガス供給手段と、
    前記センサからの出力信号を入力する情報処理装置と、
    請求項13から15の何れかのニオイ提示方法によって前記情報処理装置が得たニオイ提示結果を出力する出力装置と
    を設けたニオイ提示装置。
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