JP2021076458A - 香料開発支援方法、香料開発支援装置、香りのマッピング方法、及びデータ - Google Patents

香料開発支援方法、香料開発支援装置、香りのマッピング方法、及びデータ Download PDF

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【課題】香りを効率的に開発することができる香料開発支援方法、香料開発支援装置、香りのマッピング方法、及びデータを提供すること。【解決手段】本発明の香料開発支援方法は、香りの設計を支援するものである。本方法は、基準香料の香調の強度と、該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度とに基づき、該香調と該香料化合物との相関係数を算出する。さらに、この相関係数に基づき、目標の香りに寄与する単数又は複数の目標香調に関連する香料化合物とその嗅覚強度とを算出する。また、本発明の香りのマッピング方法は、基準香料の香調の強度、及び該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度の何れか一方又は双方について、ヒートマップ分析、クラスター分析、主成分分析、又はネットワーク分析を行い、該香調及び該香料化合物の一方又は双方に対応するデータを、グラフ上に分布させる。【選択図】図1

Description

本発明は、香料開発支援方法、香料開発支援装置、香りのマッピング方法、及びデータに関する。
香りは、複数の香料化合物の組み合わせにより構成されており、複数の香料化合物を組み合わせて調合することで、多種多様な香りを開発することができる。香りの開発において、目標とする香りのイメージやコンセプト等に基づき、調香師が香料素材や香料化合物を適切な濃度で調合して、目標とする香りを開発することが一般的である。斯かる開発方法では、調香師の感覚や経験に基づく試行錯誤を要するので、調香師への負担が重く、多大な手間やコストが掛かる傾向にある。
香りの開発を調香師に依存する理由の一つとして、香りの特徴を正確に伝え難いという点が挙げられる。一般的に、香り開発の現場では、目標とする香りを開発するために、香調に関する共通言語を設定し、あるいは、香調を表現するイメージボードや写真を使用して、開発者どうしが香調に関する情報を共有することが行われている。しかしながら、調香師と香りの評価者との間といった、他者間における香りの認識の擦り合わせには、多大な手間と時間が掛かる上、擦り合わせたはずの香りが他者とどの程度正確に共有されているかが明らかではなかった。換言すれば、特徴を数値化して細かに伝えることができる色や音に比して、香りは、ヒトの感覚や主観に大きく左右されるので、該香りの特徴を他者に正確に伝え且つ共有することは困難であった。このような課題に対し、香りの特徴を客観的に捉える方法等が提案されている。
例えば、特許文献1には、フレグランスを嗅いだときの印象であって、対極関係にある2種の印象を軸とする第1軸及び第2軸を備えた座標平面上に、分類対象のフレグランスを配置してフレグランスを分類する方法が記載されている。
また、特許文献2には、複数の被験者が、香りに対応するイメージの色彩を、所定の色要素単位として選択し、選択された色要素単位全てに基づく明度値の平均値を用いて、前記香りの量的特徴を表現する方法が記載されている。
また、特許文献3には、香りのイメージについて、色票群の中から該イメージに対応する複数の色票とこれらの各寄与率pとを選択し、該色票に該寄与率pに対応する値を付与して表現図を作成する工程を、複数の被験者が行い、各被験者の同じイメージに対する前記寄与率に対応する値の合計を求めた上で、該イメージに対応する色表現図を作成する、香りのイメージを色で表現する方法が記載されている。
さらに、非特許文献1には、香調の評価データについて、主成分分析(PCA)等の統計解析処理を行い、複数の香調を3次元マップに分布させて、これら香調どうしの類似性を表す方法が記載されている。
特開2004−175725号公報 特開2008−225238号公報 国際公開第2018/207595号
Chemical Senses, 2015, p.305-313
特許文献1〜3に記載の技術は、香り又はそのイメージを座標や色を用いて可視化するものであるが、この可視化したものから把握される香りの情報はいまだ抽象的である。したがって、これら技術を用いても、香りに対する他者間の擦り合わせは難しく、香りを効率的に開発することは困難であるので、調香師への負担は軽減されない。非特許文献1は、香調の類似性のみを表す技術であり、香りを効率的に開発する技術を開示するものではない。
本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る香料開発支援方法、香料開発支援装置、香りのマッピング方法、及びデータを提供することにある。
本発明は、香りの設計を支援する香料開発支援方法であって、
基準香料の香調の強度と、該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度とに基づき、該香調と該香料化合物との相関係数を算出し、さらに該相関係数に基づき、目標の香りに寄与する単数又は複数の目標香調に関連する香料化合物とその嗅覚強度とを算出する、香料開発支援方法を提供するものである。
また本発明は、香りの設計を支援する香料開発支援装置であって、
基準香料の香調の強度と、該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度とに基づき、該香調と、該香料化合物との相関係数を算出する相関係数算出部と、
前記相関係数に基づき、目標の香りに寄与する単数又は複数の目標香調に関連する香料化合物とその嗅覚強度とを算出する香料設計部とを含む、香料開発支援装置を提供するものである。
また本発明は、基準香料の香調の強度、及び該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度の何れか一方又は双方について、ヒートマップ分析、クラスター分析、主成分分析、又はネットワーク分析を行い、該香調及び該香料化合物の一方又は双方に対応するデータをグラフ上に分布させる、香りのマッピング方法を提供するものである。
また本発明は、基準香料の香調の強度、及び該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度の何れか一方又は双方について、ヒートマップ分析、クラスター分析、主成分分析、又はネットワーク分析を行い、該香調及び該香料化合物の一方又は双方に対応するデータをグラフ上に分布させた状態に表示可能としたマッピング情報を含む、データを提供するものである。
本発明の香料開発支援方法及び香料開発支援装置によれば、目標の香りを構成する香調について、その香調に関連する香料化合物、及び目標の香りにおける該香料化合物の強度を算出することで、香りを効率的に開発することができる。また、本発明の香りのマッピング方法及びデータによれば、香りの情報の共有や伝達を円滑化することで、香りを効率的に開発することができる。
図1は、本発明の香料開発支援方法の一実施態様を示す概略説明図である。 図2は、香りのマッピング方法により得られた香りマップの一例を示す図である。 図3は、香りマップの別の一例を示す図である。 図4は、香りマップのさらに別の一例を示す図である。 図5は、香りマップのさらに別の一例を示す図である。 図6は、本発明に係る香料開発支援装置の一実施形態を示すブロック図である。 図7は、香りのマッピング方法の一実施態様を示すフロー図である。 図8は、香料設計支援方法の一実施態様を示すフロー図である。 図9は、実施例2のヒートマップ分析の結果を示す図である。
以下、本発明の香料開発支援方法を、その好ましい一実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。本明細書において「香料開発支援」とは、目標の香りを呈する香料の開発に当り、香りの設計を支援することを意味する。本実施態様における香料開発支援方法は、香料化合物の組成の設計を支援する香料設計支援方法と、開発者や顧客等の他者間における香りの特徴の共有を支援する香りのマッピング方法とを含む。
本実施態様における香料設計支援方法について説明する。本方法は、基準香料の香調とその強度を評価する工程(A1)、該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度を測定する工程(A2)、基準香料の香調の強度と、該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度とに基づき、該香調と該香料化合物との相関係数を算出する工程(A3)、及び該相関係数に基づき、目標の香りに寄与する単数又は複数の目標香調に関連する香料化合物とその嗅覚強度とを算出して、目標とする目標香料の設計を行う工程(A4)とを具備する(図1参照)。
本実施態様における工程(A1)では、評価項目の香調と基準香料とを設定した上で、基準香料の香調とその強度とを評価する。具体的には、工程(A1)では、所定のパネラーが基準香料の香りを官能評価し、該当する香調とその強度を回答することにより、前記の評価が行われる。前記回答に用いられる回答フォーム(評価項目)には、複数の香調が記載されており、パネラーは該複数の香調の中から該当する香調とその強度とを選択する。この回答フォームの選択肢として記載される香調を、以下、「選択香調」ともいう。表1に、工程(A1)で用いられる回答フォームを例示する。パネラーは、表1に示す回答フォームの選択香調の中から該当する香調を選択し、該香調の欄に該香調の強度を記入する。表1に示す回答フォームにおいて、官能評価で知覚されなかった選択香調、即ち該当しない選択香調の欄は空欄となる。回答フォームには、複数の選択香調の中から該当するものを選択する選択式の欄の他に、香りの印象を記載する自由記述式の欄が設けられていてもよい。
Figure 2021076458
「香調」とは、香りの特徴を体系的に分類する表現(記述子)である。香調としては、例えばDravnieks Andrew編, “Atlas of odor character profiles”(ASTM data series publication:1985)に記載されているものが挙げられる。前記書籍に記載の香調は、複数のメインノート、及び該メインノートをさらに分類する複数のサブノートから構成される。メインノートとしては、例えばCitrus、Green、Aquatic、Minty、Spicy、Fruity、Gourmand、Herbarom、Floral、Woody、Earthy、Animalic、Amber、Balsamic等が挙げられる。サブノートとしては、例えば、Citrusに分類されるOrange、Grapefruit、Lemon、Lemongrass、Elemi、D.H.myrcenol、Lime、Yuzu、Mandarin、Bergamot、Greenに分類されるLeafy、Violet-leaf、Cucumber、Galbanum、Tomato-leaf、Petitgrain、Aquaticに分類されるOzone、Marine、Aqua、Mintyに分類されるPeppermint、Spearmint、Menthol、Spicyに分類されるClove、Cinnamon、Pepper、Nutmeg、Ginger、Calamus、Cumin、Celery、Fruityに分類されるApple、Pear、Kiwi、Cherry、Melon、Watermelon、Muscat、Grape、Apricot、Peach、Banana、Pineapple、Passionfruit、Lychee、Papaya、Guava、Mango、Tropical-fruit、Cassis、Strawberry、Blackberry、Blueberry、Raspberry、Coconut、Gourmandに分類されるCider/Soda、Liquor、Tea、Coffee、Caramel、Milk、Cake、Almond、Nut、Cacao、Chocolate、Vanilla、Sweet Honey、Herbaromに分類されるAnis、Armoise、Basil、Chamomile、Citronella、Juniperberry、Rosemary、Eucalyptus、Lavender、Pine、Sage、Thyme、Camphor、Wintergreen、Coriander、Floralに分類されるRose、Geranium、Muguet、Daphne、Freesia、Osmanthus、Magnolia、Honeysuckle、Jasmin、Ylang ylang、Orange flower、Tuberose、Gardenia、Narcissus、Mimosa、Lilac、Hyacinth、Carnation、Violet、Woodyに分類されるCedar、Sandal、Hinoki、Orris、Woody-Amber、Earthyに分類されるPatchouli、Vetiver、Amberに分類されるLabdanum、Ciste、Ambroxan、Balsamicに分類されるVanillin、Benzoin、Coumarin、Tonka、Olibanum、Opoponax、Styrax、Myrrh、Fir Balsam等が挙げられる。香りは、その特徴が複数種類の香調で表現されてもよく、単一の香調で表現されてもよい。
選択香調としては、任意の香調を設定することができる。選択香調は、サブノート及びメインノートの何れか一方又は双方であってもよい。選択香調が多種多様であればあるほど、豊富なバリエーションの香料を設計し得る。
基準香料は、1つの選択香調に対応する香料、即ち1つの選択香調を主な香調とする香料である。本実施態様において基準香料は、調香師によって1つの選択香調が主な香調となるように調製された香料である。例えば、回答フォームに選択香調としてLemonとYuzuとが設定されている場合、Lemonが主な香調となる香料(以下、Lemonに対応する香料)と、Yuzuが主な香調となる香料(以下、Yuzuに対応する香料)とを調香師にオーダーする。そして、調香師によって調製されたLemonに対応する香料と、Yuzuに対応する香料とをそれぞれ基準香料とする。回答フォームに選択香調が複数ある場合、その選択香調の数に応じて基準香料も複数種類用意する。また、1つの選択香調に対応する基準香料の種類は、1種類であってもよく、複数種類であってもよい。
基準香料は、1つの香調を呈するものであってもよく、複数の香調を呈するものであってもよい。複数の香調を呈する基準香料として、例えば、LemonとYuzuとRoseとを呈する香料が挙げられる。斯かる基準香料の主な香調は、複数の香調(Lemon、Yuzu、Rose)の中で最も香りの強度が高い香調である。
基準香料は、該基準香料の香調の強度が予め設定された上で、調製される。例えば、「Lemonの強度が6、Yuzuの強度が4、Roseの強度が2」というオーダーに基づき、調香師は、主な香調がLemonである基準香料を調製する。基準香料の主な香調の強度は、例えば、所定のパネラーによる官能評価結果を蓄積した香調評価データベースに基づく強度であってもよい。
以下、基準香料の調製基準となるオーダーに基づく香調、即ち基準香料に対して予め定められた香調を「設定香調」ともいう。また、基準香料が複数の設定香調を有する場合、複数の設定香調のうち最も強度が高い設定香調を、「基準香料の主な設定香調」ともいう。
基準香料は、設定香調を呈するように香料化合物や香料素材を適宜配合して調製される。香料化合物は、香りを呈する化合物であり、例えば『合成香料−化学と商品知識』(合成香料編集委員会 編集、化学工業日報社、2016年12月20日増補新版)に記載されている化合物である。香料素材は、化学合成によって又は天然原料からの分離によって得られる、単一又は複数種類の香料化合物を含むことで香りを呈する混合物であり、植物等の天然原料から得られる抽出物である精油やレジノイド等も含まれる。基準香料は、複数種類の香料化合物を含むものであってもよく、単一の香料化合物を含むものであってもよい。
工程(A1)での基準香料の香調及びその強度の評価は、基準香料の香りを自然に揮発させた状態で該香りを所定の尺度で官能評価することにより行う。斯かる評価の方法の一例を以下に示す。
室温(21〜28℃)であって、評価開始前は無臭の状態である静かな部屋で、所定のパネラーに基準香料の香りを官能評価させる。官能評価は、少量の基準香料が先端に滴下された香料試験紙(例えば、大文字洋紙社製)を用意し、該滴下後の所定時間内で、該香料試験紙から知覚される香調とその強度を評価する。前記官能評価において所定のパネラーに知覚される香調、即ち、所定のパネラーが評価した基準香料の香調を、以下、「評価香調」ともいう。評価香調の強度の尺度には、6段階評価尺度を用いる。前記6段階評価尺度は、0点:全く感じない、1点:かすかに感じる(検知)、2点:弱く感じる(認知)、3点:はっきり感じる、4点:強く感じる、5点:とても強く感じる、と表される。次いで、前記の官能評価によりパネラーが回答した回答フォームに基づき、評価香調とその強度とを集計する。
このようにして、工程(A1)では、基準香料に対する評価香調とその強度とが得られる。
工程(A1)における香調の強度の尺度には、一般的に香りの官能評価に用いられる尺度を特に制限なく用いることができる。前記尺度としては、評定尺度法(rating scale method)による尺度や、マグニチュード推定法(Magnitude estimation method)による尺度等がある。前記評定尺度法としては、上述した6段階評価尺度のようなカテゴリー尺度(Category-rating scale)やVisual analog scale(VAS)のような連続尺度(Contiguous scale)が挙げられ、マグニチュード推定法としては、Stevensのべき乗則による尺度(Stevens's ratio-scale)、Labeled magnitude scale(LMS)等が挙げられる。
工程(A1)の評価を行う所定のパネラーは、特に制限なく設定することができる。パネラーは、複数名設定することが好ましい。パネラーは、T&Tオルファクトメーター(第一薬品産業株式会社製)に基づく5基準臭を用いたパネル選定試験に合格する嗅覚能力を有していることが好ましい。
工程(A2)では、基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度を測定する。基準香料には、1種の香料化合物又は複数種の香料化合物が含まれている。そして基準香料においては、香料化合物ごとに濃度、即ち配合量が異なっている。工程(A2)では、揮発させた基準香料中の各種香料化合物の気相濃度を求める工程(A2−1)、及び該気相濃度における香料化合物の嗅覚強度を測定する工程(A2−2)を行う。
工程(A2−1)では、基準香料中の香料化合物の気相濃度を、GC/MS分析を用いて定量分析する。斯かる分析方法の一例を以下に示す。
少量の基準香料が先端に滴下された香料試験紙(例えば、大文字洋紙社製)の先端から1mmの高さに吸着管(例えば、吸着管としてGLサイエンス社製、Tenax-TAを充てんしたガラス製捕集管)を設置し、香料試験紙から揮発する気体を、ダイアフラムポンプ(例えば、GLサイエンス社製、SP 208 Dual)を用いて、前記吸着管に通し、該吸着管に香料化合物を吸着させて捕集する。この捕集した香料化合物をGC/MSに導入し、基準香料中の香料化合物の定性及び該香料化合物の定量分析を行う。これにより、基準香料中の香料化合物を特定し、該基準香料中の香料化合物の気相濃度を定量する。
工程(A2−2)では、基準香料中の個々の香料化合物について、気相濃度に伴い変化する嗅覚強度を測定し、該測定により得られる気相濃度−嗅覚強度の曲線モデルを用いて、該基準香料の揮発状態下の気相濃度における香料化合物の嗅覚強度、即ち基準香料中の香料化合物の嗅覚強度を測定する。
気相濃度−嗅覚強度の曲線モデルは、異なる気相濃度の香料化合物のサンプルを用意し、該サンプルの香りをパネラーによって官能評価することにより得られる。斯かる官能評価は、例えばフッ素樹脂製袋内で香料化合物を所定の気相濃度に揮発させ、これを識別用希釈混合装置(例えば、株式会社島津製作所製「FDL−1」)に接続し、該装置から出される濃度ごとの嗅覚強度をパネラーが官能評価することにより行われる。香料化合物の気相濃度について、例えば3Lポリエチレン製におい袋(アズワン社製)に1種の香料化合物を0.5mL加え、さらに無臭の空気で充満させて12時間静置した該におい袋内の気相を回収し、無臭の空気で希釈させることによって、香料化合物を様々な気相濃度に調整することができる。
嗅覚強度は、ある気相濃度の香料化合物に対する、ヒトの嗅覚による感覚量に基づくにおい(香り)の強度である。嗅覚強度の尺度としては、LMS(Labeled magnitude scale)や、VAS (Visual analog scale)、Category-rating scale、そしてStevens's ratio-scale等を用いることができる。
本実施態様では、嗅覚強度の尺度にLMSを用いる。LMSは、B. G. Greenら(Chem. Senses., 1993, 18(6), 683-702)によって言語標識と対数尺度を組み合わせて開発された感覚強度尺度であり、味覚、嗅覚、触覚等の感覚強度の定量化に利用されている。LMSは、0〜100の評価尺度に心理的強度を表す言語ラベル(Barely Detectable: 1.4、Weak: 6.1、Moderate: 17.2、Strong: 35.4、Very Strong: 53.3、Strongest Imaginable: 100)が対数的な間隔で標識されたものである。
本実施態様における気相濃度−嗅覚強度の曲線モデルは、次式(1)により表される。次式(1)の嗅覚強度は、前述したLMSの評価スコアである。
Figure 2021076458
式(1)における係数p、q、及びrは、香料化合物ごとに決定される変数であって、気相濃度−嗅覚強度の曲線モデルにおける予測値が、パネラーの評価によって得られた嗅覚強度の平均値に近似するように、該予測値と該平均値との間の残差の二乗和を最小にする最小二乗法によって決定される。最小二乗法には、例えばMicrosoft社のExcel 2010(ver14.0)のアドインプログラムであるソルバーを用いることができる。
工程(A2−1)で得られた基準香料における香料化合物の気相濃度を、式(1)に代入することによって、該気相濃度における香料化合物の嗅覚強度(基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度)が求められる。これを、基準香料に含まれる個々の香料化合物について行い、各香料化合物の嗅覚強度を求める。
工程(A1)において求められた基準香料の香調とその強度、及び工程(A2)において求められた基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度は、例えばCSV形式のデータセットに纏められる。このデータセットは、工程(A3)における相関係数の算出に用いられる。本実施態様における斯かるデータセットを表2に示す。
Figure 2021076458
工程(A3)では、香調と該香料化合物との相関係数を算出する。本実施態様において斯かる香調は、表2に示す評価香調である。本実施態様では、基準香料に関する評価香調の強度と、基準香料中の香料化合物の嗅覚強度との間の相関係数を求める。また、本実施態様における相関係数は、ピアソンの積率相関係数であり、統計解析ソフト(例えば、R ver3.5.1、corrplotパッケージ)を用いることで求められる。斯かる相関係数は、表3に示すように出力される。
Figure 2021076458
香調と香料化合物との相関係数は、香調と香料化合物との関連性、換言すれば、ある香調で表現される香りに対する香料化合物の寄与率を表す。例えば、表3において、化合物aは、香調Grapefruitとの相関係数が高いので、該香調と関連することが分かる。即ち、化合物aは、香調Grapefruitで表現される香りを呈し易いことが分かる。一方、化合物b及びdは、香調Grapefruitとの相関係数が低いので、該香調との関連性が低いことが分かる。
前記相関係数は、1以上−1以下を範囲とする値である。香料化合物がある香調と関連するか否かは、当該相関係数に応じて判断できる。ある香調と関連すると判断される香料化合物は、該香調との相関係数が、好ましくは0.05以上1以下、より好ましくは0.15以上0.8以下である。
工程(A4)では、工程(A3)で求めた相関係数に基づき、目標とする目標香料の設計を行う。目標香料は、目標の香りを呈する香料、即ち開発目標の香料である。以下、目標の香りに寄与する香調を「目標香調」ともいう。目標の香りは、1個の目標香調で構成されるものであってもよく、複数の目標香調で構成されるものであってもよい。換言すれば、目標の香りは、1個の目標香調が寄与するものであってもよく、複数の目標香調が寄与するものであってもよい。工程(A4)では、この目標香調とともに、該目標香調の嗅覚強度も設定する。
本実施形態の香料設計支援方法によれば、目標香料における目標香調と該目標香調の嗅覚強度を設定することにより、前記相関係数に基づいて、該目標香調と関連する香料化合物、即ち該目標香調と関連性の高い香料化合物を特定することができる。これにより、嗅覚強度への寄与度が大きい香料化合物、即ち前記相関係数が大きい香料化合物を優先的に選択することによって、少ない種類の香料化合物の組み合わせで特定の香調を効率的に調製することができる。さらに、この特定された香料化合物の気相濃度−嗅覚強度の曲線モデルに基づき、目標香調の嗅覚強度に応じた該香料化合物の嗅覚強度を求めることができるので、求められた嗅覚強度に基づいて気相濃度や組成比率を算出することができる。したがって、本実施態様における香料設計支援方法により、調香師の感覚や経験に基づく試行錯誤がなくとも、目標の香りに寄与する目標香調に関連する香料化合物と、その組成とが求められるので、目標香料を効率的に開発することができる。また、香調と香料化合物との相関係数が、ヒトの嗅覚による感覚強度(嗅覚強度)に基づいているので、工程(A4)における算出結果によって、目標香料をイメージに近い香りで開発することができる。
本発明者は、下記予測式を用いることで、本実施態様の工程(A4)における目標香調に関連する香料化合物とその嗅覚強度との算出をより容易に行えることを見出した。
Figure 2021076458
前記予測式を用いた、本実施態様の工程(A4)における前記の算出の一例について、表4〜6を参照しながら説明する。先ず、目標香料における目標香調と該目標香調の嗅覚強度を、下記表4に示すように設定する。下記表4において、目標香料の香りには、Lemon、Peppermint、Apple、Rose、及びCassisの5種の目標香調が寄与している。また、表4における嗅覚強度は、LMSの評価スコアである。
Figure 2021076458
次いで、前記予測式を用いて、目標香料における5種の目標香調の嗅覚強度に基づき、該目標香調に関連する香料化合物と、目標香料における該香料化合物の嗅覚強度とを算出する。具体的には、表3の相関係数に基づき、ある香調に関連する香料化合物を抽出した上で、前記予測式により、目標香料の嗅覚強度に対応する該抽出された香料化合物の嗅覚強度を算出し、該香料化合物の嗅覚強度に基づき、該香料化合物の組成を求める。香調Lemonを例にすると、該香調に関連する香料化合物を表3の相関係数に基づき抽出する。表5に、このように抽出された、目標香調(Lemon)に関連する複数の香料化合物と、これらの香料化合物群に含まれる香料化合物の相関係数とを示す。目標香調に関連する複数の香料化合物を、「目標香調に関連する香料化合物群」ともいう。この香料化合物群において、化合物eは前記相関係数が最大となる。即ち、目標香調(Lemon)に関連する香料化合物群の中で相関係数が最大となる、香料化合物の相関係数は、「0.9」である。
Figure 2021076458
目標香料における香調Lemonの嗅覚強度は、表4に示すように「30」である。したがって、香調Lemonに関連する香料化合物の嗅覚強度は、香調Lemonの嗅覚強度「30」に対応した数値となる。この嗅覚強度は、前記予測式を用いて求められる。例えば、表4及び表5の数値に基づいて前記予測式を用いると、嗅覚強度30の香調Lemonにおける、化合物eの嗅覚強度は「30」となり、化合物mの嗅覚強度は「10」となる。このようにして、香調に関連する個々の香料化合物について、嗅覚強度30の香調Lemonにおける嗅覚強度、即ち目標香料中の嗅覚強度を求める。また、気相濃度−嗅覚強度の曲線モデルを用いることで、嗅覚強度30の香調Lemonにおける香料化合物の組成、即ち目標香料中の香料化合物の組成が得られる。表4及び表5に基づく、目標香料中の香料化合物の嗅覚強度及び組成を表6に示す。このようにして、本実施態様の香料設計支援方法では、目標香料における各香調とその嗅覚強度とに対応させた、香料化合物の組成が容易に得られる。これにより、所望の香りをより効率的に開発することができる。
Figure 2021076458
次に、本実施態様における香りのマッピング方法について、その好ましい一実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。本方法は、前述した香料設計支援方法の工程(A1)及び工程(A2)を具備し、さらに以下の工程(B1)を具備する(図1参照)。
工程(B1)では、基準香料の香調の強度、及び該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度の何れか一方又は双方について、後述する解析処理を行い、香調、及び該香調に関連する香料化合物の一方又は双方に対応するデータを、グラフ上に分布させる。斯かるグラフを、以下、「香りマップ」ともいう。
本実施態様における工程(B1)では、基準香料の香調の強度のデータ、該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度のデータ、又はこれら強度及び嗅覚強度の両データに基づき解析処理を行う。斯かる解析処理は、基準香料の香調の強度のデータ、及び基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度のデータの一方又は双方に基づき、香調どうし間、香料化合物どうし間、香調と香料化合物との間といった、パラメータ(要因)間の関係を統計的に解析し得る処理であることが好ましい。斯かる解析処理としては、ヒートマップ分析、クラスター分析、主成分分析、ネットワーク分析等の多変量解析が挙げられる。
ヒートマップ分析は、前述したパラメータ間の相関係数を、行列式で、且つ色で表す解析処理である。本分析において相関係数は、その大きさが色の濃淡や色合いの違いで視覚化される。
例えば、前述した6段階評価尺度の評価データ等、各基準香料の香調の強度のデータに基づき、香調どうし間の相関係数を求めた場合、該相関係数は香調どうしの類似性を示すので、該相関係数の値が大きいほど、香調どうしの類似性が高く、該相関係数が低いほど、香調どうしの類似性が低いと評価できる。図5では、LemonとLemongrassとの類似性が高いことが分かる。ヒートマップ分析は、行列式で示す相関係数を色で表すので、香調どうしの類似性を容易に把握することができる。これにより、香調の特徴を視覚的に判別できる。尚、図5では、同一香調どうしの相関係数の欄、例えばLemonどうしの相関係数を示す欄は、説明の便宜上、白で表している。同一の香調どうしの相関係数は、1となる。
クラスター分析は、複数のパラメータ間の距離情報に基づいて、これらパラメータを複数のグループに分類する解析処理である。距離情報は、分類対象のパラメータ(目的変数)を、多種類の特性値(説明変数)のベクトル空間に分布させたときの、該パラメータどうしの距離である。パラメータ間の距離は、ユークリッド距離、マハラノビス距離、コサイン距離等の定義により求められる。例えば、基準香料の香調の強度のデータと、該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度のデータとを用いて、クラスター分析する場合、各香料化合物を相関係数で示すベクトル空間における、香調どうし間の距離を計算し、当該距離に基づいて、香調を分類する。斯かる分析では、複数の香調が、共通の香料化合物と関連しており、且つ該共通の香料化合物の相関係数が近似である場合、これら複数の香調は、同じグループに分類される。このように、香調を、香料化合物との相関係数に基づいて分類する。あるいは香料化合物を、香調との相関係数に基づいて分類する。クラスター分析の解析結果を、例えば図2に示すように、デンドログラムで表示すると、香調どうしの類似度、又は香料化合物どうしの類似度を視覚化できる。
主成分分析は、多種類の特性値やパラメータのデータの中から、相互に相関が強いデータの合成変数を主成分として抽出し、該主成分を軸とする座標上に前記データを分布させて、該データの分類を行う解析処理である。主成分分析の解析結果は、一般的に、主成分の寄与率に応じて、第1主成分及び第2主成分の二軸のグラフ、又は第1〜第3主成分の三軸のグラフで表示される。例えば、基準香料の香調の強度のデータと、該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度のデータとに基づき、各香料化合物を主成分分析する場合、抽出された主成分に対する主成分負荷量に応じて、各香料化合物を二軸又は三軸のグラフに分布する。例えば図3に示すように、香料化合物又は香調を白、黒、灰色の丸で分布する。図3に示すように、主成分分析のグラフからは、香調の相対的な特性が把握されるとともに、前記の分布に応じて、各香料化合物や各香調を分類することができる。
ネットワーク分析は、多種類の特性値やパラメータのデータをノードとし、且つ該データ間の相関係数をエッジとするとともに、ノードどうしをエッジで繋いでエッジ間の関係を表す解析処理である。ネットワーク分析において、ノード間を繋ぐエッジのボンド数、ノード間の距離、及び相関係数の大きさを示すエッジの太さは、適宜設定できる。例えば、香料化合物と評価香調との相関係数に基づいてネットワーク分析すると、香料化合物又は評価香調を示すノード間の関係を、ノードの分布やエッジの繋がりで表現することができる。例えば図4に示すように、香調のノードと香料化合物のノードとの関連性や、香調のノードどうしの類似性を、相関係数の大きさに基づいて表すことができ、これらノードの分布に応じて、香調や香料化合物を分類することができる。図4中には各香調を大きい丸のノードで表示し、香料化合物を小さい丸のノードで表示してある。香調又は香料化合物を示すノード(図中の丸)は、グラフの全範囲又は任意に選択された範囲において、香調を示すノードのみを表示させてもよく、香料化合物を示すノードのみを表示させてもよく、これら両ノードを表示させてもよい。各香調を示すノードは、メインノートごとに異なった色や柄を付与していてもよい。また、当該グラフを三次元オブジェクトとして、回転させたり、あるいは拡大又は縮小させたりして、表示してもよい。
本実施態様の香りのマッピング方法によれば、前述のヒートマップ分析、クラスター分析、主成分分析、及びネットワーク分析等の多変量解析を用いて、香調どうし間、香料化合物どうし間、又は香調と香料化合物との間の相関性を可視化させたグラフ、即ち香りマップが得られる。香りマップは、多種多様な香調と香料化合物との関連性や類似性が視覚化されているので、香りの特徴等、香りの情報を他者間で共有するのに有効なコミュニケーションツールとなり得る。この香りマップにより、香りの情報の共有や伝達を円滑化できるので、香りを効率的に開発できる。
前述した解析処理には、公知の統計解析ソフトを用いることができる。統計解析ソフトには、統計解析処理を行うとともに、その解析結果として、所定のグラフ上にデータ(パラメータ)を分布させて表示させるものを用いてもよく、統計解析処理のみを行うものを用いてもよい。後者のものを用いる場合、解析結果を二次元グラフ又は三次元グラフで表示させるソフトと併用する。統計解析ソフトとしては、例えば、R、SPSS、HAD、JASP、PSPP、SAS、JAMOVI等が挙げられ、該ソフトには多変量解析に応じたパッケージ(関数)が用いられる。前記の表示させるソフトとしては、例えば、Unity、Tinkercad、Metasequoia、Blender、DOGA L-1、Sculptris等が挙げられる。
前記統計解析ソフトを用いて得られた解析処理結果、即ち香りマップは、例えば汎用コンピュータやタブレット等の情報端末が具備する表示部に表示されて用いられる。
次に、本発明の香料開発支援装置を、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本実施形態の香料開発支援装置1は、上述した香料開発支援方法に好適に用いられる。図6に、本実施形態の香料開発支援装置のブロック図を示す。
香料開発支援装置1としては、公知の汎用コンピュータを用いることができる。汎用コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等を含んで構成される。香料開発支援装置1が行う処理は、CPUがROMやディスクなどに格納されたプログラムをRAMに展開して実行することにより実現される。前記処理は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)により実現されてもよく、ASICとFPGAの組み合わせにより実現されてもよい。
本実施形態の香料開発支援装置1は、前述した香料設計支援方法や香りのマッピング方法を行うための処理を実行する、情報生成部10、香料設計部20、及びマッピング情報生成部30を備えており、さらに、当該処理に用いられるデータを記録する、基準香料情報データベースD81及び相関係数情報データベースD82を備えている。香料開発支援装置1は、有線、無線、光などのネットワークを介して、汎用コンピュータやタブレット等の情報端末40と接続されており、該情報端末40を介して操作し得るように構成されている。香料開発支援装置1の利用者は、情報端末40を操作して、目標香料中の香料化合物の嗅覚強度や組成を該情報端末40に出力したり、該情報端末40が具備するディスプレイ等の表示部に、香りマップを表示可能としたマッピング情報を表示させたりする。マッピング情報には、解析処理結果である香りマップや、ノードやエッジ等の香りマップの構成要素、及び香りマップの作成に用いられた各パラメータや関数等の解析処理条件が含まれる。
情報生成部10は、香料設計支援方法や香りのマッピング方法に用いられる情報(データ)を生成し、当該データを基準香料情報データベースD81及び相関係数情報データベースD82に記録する。香料設計支援方法や香りのマッピング方法に用いられるデータは、基準香料の基本情報、基準香料の分析評価情報、及び相関係数の情報に関連するデータである。情報生成部10は、基本情報生成部11、分析評価情報生成部12、及び香調と香料化合物との相関係数を算出する相関係数算出部13を備えている。
基本情報生成部11は、基準香料の基本情報を生成し、該基本情報を基準香料情報データベースD81に記録する。基準香料の基本情報は、基準香料の名称や識別番号等の基準香料を識別するための識別情報、基準香料の調製材料の情報、基準香料の設定香調とその強度の情報等である。基準香料の調製材料の情報は、基準香料を構成する香料化合物や香料素材の組成に関する情報である。基準香料の設定香調とその強度の情報は、基準香料の調製基準となった香調やその強度のオーダーである。本実施形態の基本情報生成部11は、基準香料の基本情報を入力するための入力フォームを、情報端末40等に出力する。入力フォームには、本装置1の利用者等によって、基準香料の基本情報が人為的に入力される。この入力された情報に基づき、基本情報生成部11が、基準香料の基本情報を生成し、基準香料情報データベースD81に記憶する。
分析評価情報生成部12は、基準香料の定性定量分析の結果や嗅覚強度等の官能評価の結果に関する情報(以下、「分析評価情報」ともいう)を生成又は取得して、当該データを基準香料情報データベースD81に記録する。分析評価情報生成部12が生成又は取得するデータは、工程(A1)で得られる基準香料に対する評価香調とその強度の結果、工程(A2)で得られる基準香料における香料化合物の気相濃度、香料化合物の気相濃度−嗅覚強度の曲線モデル、及び基準香料における各香料化合物の嗅覚強度である。分析評価情報生成部12は、これらのデータをCSV形式のデータセットに纏め、基準香料情報データベースD81に記憶する。分析評価情報生成部12は、GC/MS分析で得られた基準香料のクロマトグラム等、分析結果のデータを分析装置から取得してもよい。また、分析評価情報生成部12は、官能評価の結果を入力するための入力フォームを、情報端末40等に出力する。前記官能評価の結果は、工程(A1)における香調の強度や工程(A2)における嗅覚強度である。入力フォームには、前述したパネラー等によって、官能評価の結果が人為的に入力される。この入力された情報に基づき、分析評価情報生成部12が、基準香料の分析評価情報を生成し、基準香料情報データベースD81に記憶する。分析評価情報生成部12は、入力された嗅覚強度のデータ、及び前述した式(1)に基づき、香料化合物の気相濃度−嗅覚強度の曲線モデルを算出し、前記データベースD81に記録してもよい。
相関係数算出部13は、前述の工程(A3)における香調と香料化合物との相関係数を算出し、該相関係数を相関係数情報データベースD82に記憶する。相関係数算出部13は、基準香料情報データベースD81にアクセスし、該データベースD82に記憶された基準香料の評価香調の強度、及び基準香料中の香料化合物の嗅覚強度を用いて相関係数を算出する。
相関係数算出部13は、基準香料情報データベースD81に記憶された情報が更新されると、該更新された情報に基づき、香調と香料化合物との相関係数を改めて算出し、該相関係数を更新する。
香料設計部20は、目標香料情報取得部21と、目標香調関連情報演算部22とを具備し、相関係数情報データベースD82に記憶された香調と香料化合物との相関係数に基づき、目標の香りに寄与する単数又は複数の目標香調に関連する香料化合物とその嗅覚強度とを算出する。
目標香料情報取得部21は、目標香料の目標香調及びその嗅覚強度に関する情報を取得する。例えば表4に示すような目標香料の目標香調及びその嗅覚強度を入力するための入力フォームを、情報端末40等に出力する。入力フォームには、本装置1の利用者等によって、目標香料における目標香調とその嗅覚強度が入力される。目標香料情報取得部21は、この入力された情報を目標香料保存部(不図示)に記憶する。
目標香調関連情報演算部22は、目標香料保存部に記憶された目標香料における目標香調とその嗅覚強度を、前述した予測式に代入して、目標香料における各香調とその嗅覚強度、さらには該嗅覚強度に対応した香料化合物の組成を算出する。目標香調関連情報演算部22は、前記の算出した結果を、情報端末40等に出力する。
マッピング情報生成部30は、基準香料情報データベースD81に記憶された基準香料の香調の強度、及び該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度の何れか一方又は双方について解析処理する解析処理部31と、該解析処理の結果であるグラフ等の香りマップを記憶する香りマップ保存部36とを具備している。
解析処理部31は、ヒートマップ分析部32、クラスター分析部33、主成分分析部34、及びネットワーク分析部35を具備しており、基準香料情報データベースD81に記憶された、基準香料の香調の強度、及び該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度の何れか一方又は双方について、前述した多変量解析の処理を行う。各多変量解析の諸条件は、ヒートマップ分析部32、クラスター分析部33、主成分分析部34、及びネットワーク分析部35それぞれが情報端末40等に出力する操作フォームに従って人為的に設定される。解析処理部31は、基準香料情報データベースD81に記憶された情報が更新されると、該更新された情報に基づき、解析処理結果を更新する。
香りマップ保存部36は、解析処理部31による解析処理結果を香りマップのデータとして記憶する。そして情報端末40等を介した操作に応じて、該情報端末40に香りマップのデータを出力する。即ち、香りマップ保存部36には、香調及び該香料化合物の一方又は双方に対応するデータをグラフ上に分布させた状態に表示可能としたマッピング情報のデータが保存される。香りマップ保存部36は、相関係数等の情報の更新に応じて、解析処理結果、即ち香りマップを更新する。
本実施形態の香料開発支援装置1の使用形態は、香調と香料化合物との相関係数を情報端末40等に出力するだけであってもよい。また、前述した多変量解析の処理において算出された、香調どうし間の相関係数や香料化合物どうし間の相関係数を情報端末40等に出力するだけであってもよい。
次に、本実施形態の香料開発支援装置1を用いた香りのマッピング方法を説明する。図7には、香りのマッピング方法の流れを示すフローチャートが示されている。
先ず、ステップS1では、基準香料の基本情報を生成する。ステップS1では、基本情報生成部11が基本情報を生成し、該基本情報を基準香料情報データベースD81に記憶する。
次に、ステップS2では、基準香料の分析評価情報を生成する。ステップS2では、分析評価情報生成部12が分析評価情報を生成し、該分析評価情報を基準香料情報データベースD81に記憶する。
次に、ステップS3では、基準香料情報データベースD81に記憶された情報に基づき、解析処理部31が主成分分析やネットワーク分析等の解析処理を行う。続く、ステップS4では、香りマップ保存部36がステップ3の解析処理の結果を香りマップとして保存する。
次に、ステップS5では、他の基準香料の基本情報が入力された否かを判定する。他の基準香料の基本情報が入力された場合は、ステップS1に戻り、該ステップS1以降の処理が繰り返される。前記基本情報が入力されていない場合は、香りのマッピング方法に係る処理を終了する。
次に、本実施形態の香料開発支援装置1を用いた香料設計支援方法を説明する。図8には、香料設計支援方法の流れを示すフローチャートが示されている。
本実施形態の香料設計方法では、前述した香りのマッピング方法におけるステップS1及びステップS2の処理、即ち基準香料の基本情報及び分析評価情報の生成を前提とする。説明容易の観点から、図8では、これらのステップを図示していない。
ステップS11では、相関係数算出部13によって、香調と香料化合物との相関係数を算出する。続くステップS12では、この算出結果に基づき、相関係数算出部13が、相関係数情報データベースに記憶された相関係数の情報を更新する。
ステップS13では、目標香料情報取得部21によって目標香料の目標香調及びその嗅覚強度に関する情報を取得する。目標香料情報取得部21は、当該取得した情報を、目標香料保存部(不図示)に記憶する。
次にステップS14では、目標香調関連情報演算部22によって目標香料における目標香調とその嗅覚強度を、前述した予測式に代入して、目標香料における各香調とその嗅覚強度を算出する。本実施形態では、ステップS14の実行後、さらに嗅覚強度に対応した香料化合物の組成を算出するステップを具備してもよい。
次にステップS15では、目標香料において他の目標香調があるか否かを判定する。他の目標香調がある場合、換言すれば目標香料が複数の目標香調を有する場合、ステップS13に戻り、該他の目標香調について該ステップS13以降の処理を繰り返す。ステップS15において他の目標香調がない場合は、ステップS16に進む。
ステップS16では、ステップS14で算出した結果を、情報端末40等に出力する。即ち、目標香料における香料化合物とその嗅覚強度を出力する。このステップS16の処理が終わると、香料設計支援方法は終了する。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態や実施態様に限定されない。
例えば、香料開発支援方法や香料開発支援装置を用いて、植物等の未知の香料素材や新規に開発した製品が呈する香りが、香りマップにおいてどの香調(メインノート)と相関性が高いか否かを分析してもよい。また、香料開発支援方法や香料開発支援装置は、香りに関する生理データ及び心理データの一方又は双方と併用して、ヒトの生理的又は心理的に有効な香りの開発に用いられてもよい。例えば、睡眠時間等のデータと併用して、質の高い睡眠を誘う香りの開発に用いられてもよい。あるいは、消費者の購買特性に関するデータと併用することで、消費者属性にマッチした嗜好性の高い香り開発に用いられてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
実施例1では、前述した工程(A1)〜(A4)を具備する香料開発支援方法を実施し、工程A4から算出される、目標香料の目標香調と該目標香調の嗅覚強度に基づき、該目標香料の開発が可能か検証した。具体的には、工程(A1)において評価項目の香調と基準香料とを設定した上で、基準香料の香調とその強度を評価し、評価香調とその強度を集計した。評価香調の強度は、前述した所定のパネラーが、6段階評価尺度に基づき行った。次いで、工程(A2)において、基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度を測定した。嗅覚強度の尺度は、LMSを採用した。この測定した嗅覚強度に基づき、前述した式(1)を用いて、基準香料中の香料化合物の気相濃度−嗅覚強度の曲線モデルを作成した。次いで、工程(A3)では、工程(A1)において評価した基準香料の香調の強度と、工程(A2)で測定した基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度とについて、両者のピアソンの積率相関係数を求めた。次いで、工程(A4)において、目標香調の嗅覚強度を40の強さで設定し、前述の予測式を用いて、目標香調と関連する香料化合物の嗅覚強度を求めた。さらに、目標香調と関連する香料化合物の嗅覚強度に基づき、気相濃度−嗅覚強度の曲線モデルから、嗅覚強度40の目標香調における香料化合物の組成比とを求めた。
本実施例では、目標香調を、製品香料開発において重要な香調であるLemon及びBergamotを含む複数の香調とした。工程(A3)において得られた、これら目標香調と一部の香料化合物との相関係数を、表7に示す。また、工程(A4)において算出された、目標香調と関連する香料化合物の嗅覚強度とその組成比の一部を、表8に示す。表8には、各香料化合物について、前記組成比に対応する嗅覚強度も併せて示す。斯かる嗅覚強度は、表8に示す組成比に基づき、配合量を調整した各香料化合物単体の嗅覚強度について、前記工程(A2)と同様の方法により評価したものである。
少ない香料化合物の組み合わせで目標香調を調製するには、嗅覚強度への寄与度が大きいもの、即ち前記相関係数が大きいものを優先的に選択することが好ましい。斯かる観点から、目標香調との相関係数が0.200以上の香料化合物を優先的に選択し、表8に示すように、これら香料化合物の組成比を算出した。次いで、表8に示す組成比に基づき、各香料化合物を配合して、Lemon及びBergamotそれぞれを呈する検証用香料を2種類調製した。
Figure 2021076458
Figure 2021076458
各検証用香料の香調及びその強度について、前述した工程(A1)と同様の方法で、所定のパネラーA〜Eの5名が官能評価を行った。表9にその評価結果を示す。また、全パネラー(5名)のうち、検証用香料の香調が目標香調と同じであると評価したパネラーの人数の割合(%)を、香調の認知率として求めた。表9に示すように、工程(A4)において算出された、目標香調と関連する香料化合物を、表8に示す組成比で組み合わせたことにより、検証用香料のLemon、及びBergamotそれぞれについて、5名のパネル全員が目標香調と同じ香調を知覚したとともに、該香調の強度が高いと評価した。以上の結果から、本実施例で用いた香料開発支援方法は、目標香調を効率的に開発できるので、香料開発支援に有用であることが確認できた。
また、表8に示す組成比に対応する嗅覚強度から明らかなように、香料化合物を単体で知覚した場合の嗅覚強度と、予測式に基づく嗅覚強度とは、香料化合物ごとに異なった結果となった。これに対し、表9に示す検証用香料の香調の認知率は100%であった。斯かる結果は、複数の香料化合物が混合された場合に香りの質的変化が起きる「変調」(『アロマサイエンス シリーズ21[6] におい物質の特性と分析・評価』、川崎 通昭等 編集、フレグランスジャーナル社)を反映するものと考えられる。変調の具体例には、バニラ、ジンジャー、シナモン、そしてレモンかライムを一定の比率で混ぜ合わせた混合物の香りについて、バニラ等の香りが個別に知覚されるのではなく、コーラ飲料の香りとして知覚される現象が挙げられる。この変調を考慮すると、主要な香料化合物、即ち前記相関係数が大きい香料化合物を所定の比率で混ぜ合わせることは、目標とする香りに感覚的に近づける点で効果的と考えられる。したがって、本実施例で用いた香料開発支援方法は、変調が反映されたデータに基づくので、目標とする香りを呈する香料を、従来よりも容易且つ効率的に開発できる。
Figure 2021076458
〔実施例2〕
前述した実施例1の工程(A1)により得られる基準香料に含まれる香料化合物の6段階評価尺度のデータに基づいて、ヒートマップ分析を行い、香調どうし間の相関係数を行列式で表した。図9には、香調どうし間の相関係数をヒートマップ分析で表した香りマップを示す。図9に示す相関係数の大きさに基づき、それぞれの香調の類似性を把握できる。例えば、図9によると、OrangeはMandarinに類似、あるいはBergamotはLavenderに類似していることが示された。図9に示す香りマップを用いることで、香調間の類似性や類似度を他者間で共有することができ、香りに対する情報の擦り合わせを容易にすることができる。
1 香料開発支援装置
10 情報生成部
11 基本情報生成部
12 分析評価情報生成部
13 相関係数算出部
20 香料設計部
21 目標香料情報取得部
22 目標香調関連情報演算部
30 マッピング情報生成部
31 解析処理部
32 ヒートマップ分析部
33 クラスター分析部
34 主成分分析部
35 ネットワーク分析部
36 香りマップ保存部
40 情報端末
D81 基準香料情報データベース
D82 相関係数情報データベース

Claims (10)

  1. 香りの設計を支援する香料開発支援方法であって、
    基準香料の香調の強度と、該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度とに基づき、該香調と該香料化合物との相関係数を算出し、さらに該相関係数に基づき、目標の香りに寄与する単数又は複数の目標香調に関連する香料化合物とその嗅覚強度とを算出する、香料開発支援方法。
  2. 前記嗅覚強度の尺度が、LMS(Labeled magnitude scale)である、請求項1に記載の香料開発支援方法。
  3. 下記予測式により、前記目標香調に関連する香料化合物とその嗅覚強度とを算出する、請求項2に記載の香料開発支援方法。
    Figure 2021076458
  4. 香りの設計を支援する香料開発支援装置であって、
    基準香料の香調の強度と、該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度とに基づき、該香調と、該香料化合物との相関係数を算出する相関係数算出部と、
    前記相関係数に基づき、目標の香りに寄与する単数又は複数の目標香調に関連する香料化合物とその嗅覚強度とを算出する香料設計部とを含む、香料開発支援装置。
  5. 前記嗅覚強度の尺度が、LMS(Labeled magnitude scale)である、請求項4に記載の香料開発支援装置。
  6. 前記香料設計部は、下記予測式により、前記目標香調に関連する香料化合物とその嗅覚強度とを算出する、請求項5に記載の香料開発支援装置。
    Figure 2021076458
  7. 前記基準香料の香調の強度、及び該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度の何れか一方又は双方について解析処理を行う、解析処理部を含む、請求項4〜6の何れか1項に記載の香料開発支援装置。
  8. 前記解析処理が、ヒートマップ分析、クラスター分析、主成分分析、又はネットワーク分析である、請求項7に記載の香料開発支援装置。
  9. 基準香料の香調の強度、及び該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度の何れか一方又は双方について、ヒートマップ分析、クラスター分析、主成分分析、又はネットワーク分析を行い、該香調及び該香料化合物の一方又は双方に対応するデータをグラフ上に分布させる、香りのマッピング方法。
  10. 基準香料の香調の強度、及び該基準香料に含まれる香料化合物の嗅覚強度の何れか一方又は双方について、ヒートマップ分析、クラスター分析、主成分分析、又はネットワーク分析を行い、該香調及び該香料化合物の一方又は双方に対応するデータをグラフ上に分布させた状態に表示可能としたマッピング情報を含む、データ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021261124A1 (ja) * 2020-06-22 2021-12-30 ソニーグループ株式会社 香料情報処理システム、香料情報処理装置、及び香料情報処理方法

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