JP7320412B2 - 高周波回路基板用樹脂フィルム及びその製造方法、並びに高周波回路基板 - Google Patents

高周波回路基板用樹脂フィルム及びその製造方法、並びに高周波回路基板 Download PDF

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Description

本発明は、MHz帯域からGHz帯域にかけて使用される高周波回路基板用樹脂フィルム及びその製造方法、並びに高周波回路基板に関するものである。
近年、需要が急速に拡大している多機能携帯電話、タブレット端末等の移動体情報通信機器、次世代テレビ等の電子機器では、より大容量のデータをより高速に送受信することが求められており、これに伴い電気信号の高周波数化が検討されている。例えば、移動体情報通信分野では、第五世代移動通信システム(5G)の検討が世界的に進められている(特許文献1、2参照)。この第五世代移動通信システムの通信速度は前世代の数十倍以上となり、これを実現するために電気信号は10GHz以上の高周波数帯域が検討されている。また、自動車分野においては、車載レーダシステムとして、ミリ波と呼ばれる60GHz以上の高周波数帯域の信号の利用が研究されている。
特表2017‐507620号公報 特開2015‐210271号公報
しかしながら、従来の回路基板は、高周波数帯域を活用した大容量・高速通信を前提に設計・開発されてはいないので、通常タイプの比誘電率の値が4.3程度と高く、通常タイプの誘電正接も0.018程度と高い値となる。大容量・高速通信用の回路基板は、比誘電率や誘電正接等の誘電特性が低く、耐熱性や機械的強度等の特性に優れる材料が要求される。ここで、比誘電率とは、誘電体内の分極の程度を示すパラメータであり、比誘電率が高い程、電気信号の伝搬遅延が大きくなる。したがって、電気信号の伝搬速度を高め、高速演算を可能にするためには、比誘電率は低いほうが好ましい。
また、誘電正接(tanδともいう)とは、誘電体内の伝搬する電気信号が熱に変換されて失われる量を示すパラメータであり、誘電正接が低い程、信号の損失が少なくなり、電気信号の伝達率が向上する。比誘電率が高いと、電気信号の伝搬速度が遅くなり、誘電正接が高いと、電気信号の伝達率が低下する。また、誘電正接は、高周波数帯域では、周波数の増加に伴って増大してしまうので、損失を少しでも小さくするためには、値の小さい材料を用いる必要がある。したがって、MHz帯域からGHz帯域等の高周波数帯域で使用される回路基板は、比誘電率と誘電正接の低い材料が強く望まれる。
本発明は上記に鑑みなされたもので、比誘電率と誘電正接の値を低くし、優れた機械的強度と耐熱性を得ることができ、MHz帯域からGHz帯域を活用した大容量・高速通信の実現を容易にすることのできる高周波回路基板用樹脂フィルム及びその製造方法、並びに高周波回路基板を提供することを目的としている。
本発明においては上記課題を解決するため、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂と含フッ素系共重合体とを含み、これらの配合比がポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部に対して含フッ素系共重合体が3質量部以上30質量部以下であり、
23℃における引張最大強度がJIS K7127に準拠して測定した場合に90N/mm 以上140N/mm 以下、23℃における引張弾性率がJIS K7127に準拠して測定した場合に2650N/mm 以上3900N/mm 以下、23℃における引張破断時伸びがJIS K7127に準拠して測定した場合に155%以上300%以下、周波数800MHz以上100GHz以下の範囲における比誘電率が3.3以下であるとともに、周波数800MHz以上100GHz以下の範囲における誘電正接が0.006以下であることを特徴としている。
なお、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルケトン樹脂の少なくともいずれか一方であることが好ましい。
また、含フッ素系共重合体は、パーフルオロアルコキシアルカンとすることができる。
また、含フッ素系共重合体は、エステル基、カーボネート基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボニルジオキシド基、カルボニルフルオリド基、酸無水物残基、カルボニル基、及びイソシアネート基の官能基のうち、少なくとも1種を有するようにすることができる。
また、高周波回路基板用樹脂フィルムの厚さは、3μm以上200μm以下であることが好ましい。
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1ないし5のいずれかに記載した高周波回路基板用樹脂フィルムの製造方法であって、
少なくともポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と含フッ素系共重合体3質量部以上30質量部以下とを溶融混練して成形材料を調製し、この成形材料をTダイスから押し出して高周波回路基板用樹脂フィルムを成形し、この高周波回路基板用樹脂フィルムを冷却ロールに接触させて冷却することを特徴としている。
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1ないし5のいずれかに記載の高周波回路基板用樹脂フィルムの両面のうち、少なくとも片面に金属層を積層することを特徴としている。
ここで、特許請求の範囲における含フッ素系共重合体は、様々な種類があるが、接着性を有するパーフルオロアルコキシアルカンであるのが好ましい。また、高周波回路基板用樹脂フィルムは、透明、不透明、半透明等を特に問うものではない。本発明に係る高周波回路基板は、800MHzから100GHz以下の周波数帯域で使用されることが好ましい。
本発明によれば、機械的特性や熱的特性に優れるポリアリーレンエーテルケトン樹脂に誘電特性に資する含フッ素系共重合体を配合して高周波回路基板用樹脂フィルムを成形するので、高周波回路基板用樹脂フィルムの周波数800MHz以上100GHz以下の範囲における比誘電率が3.3以下で、かつ誘電正接が0.006以下となり、比誘電率と誘電正接の値を従来よりも低くすることができる。
本発明によれば、高周波回路基板用樹脂フィルムの比誘電率と誘電正接の値を低くし、優れた機械的強度と耐熱性を得ることができるという効果がある。また、高周波回路基板に使用すれば、MHz帯域からGHz帯域を活用した大容量・高速通信の実現を容易にすることができるという効果がある。
また、23℃における引張弾性率がJIS K7127に準拠して測定した場合に2650N/mm 以上3900N/mm 以下、23℃における引張破断時伸びがJIS K7127に準拠して測定した場合に155%以上300%以下なので、高周波回路基板用樹脂フィルムの剛性が低下して加工中のハンドリング性が低下するのを防止することができ、高周波回路基板用樹脂フィルムの成形に長時間を要することがない。加えて、高周波回路基板用樹脂フィルムが十分な靭性を有するので、高周波回路基板の加工中に破断や割れ等のトラブルが生じてしまうおそれを払拭することができる。
請求項2記載の発明によれば、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂を使用するので、高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、耐熱性、電気特性、耐寒性、耐薬品性、耐溶剤性等を向上させることができる。また、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、ポリエーテルエーテルケトン樹脂を選択すれば、機械的特性、耐熱性、電気特性、耐寒性、耐薬品性、耐溶剤性等を向上させることができる他、易入手性や成形の容易化が期待でき、製造コストの削減も期待できる。
請求項3記載の発明によれば、含フッ素系共重合体がパーフルオロアルコキシアルカンなので、優れた耐熱性、滑り性、耐薬品性、低摩擦性、絶縁性、溶融成形性を得ることができる。
請求項4記載の発明によれば、含フッ素系共重合体に優れた接着性を付与することが可能となり、接着性の高周波回路基板用樹脂フィルムを得ることができる。また、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂と含フッ素系共重合体とを適切に混練することが可能となり、高周波回路基板用樹脂フィルムの外観上や特性上の差異を低減することができる。
請求項5記載の発明によれば、高周波回路基板の厚さを充分に確保したり、ハンドリング性を向上させたり、高周波回路基板の薄型化等を図ることが可能となる。
請求項6記載の発明によれば、高周波回路基板用樹脂フィルムを、Tダイスを用いた溶融押出成形法により押出成形するので、高周波回路基板用樹脂フィルムの厚さ精度、生産性、ハンドリング性を向上させ、しかも、設備の簡略化が期待できる。
請求項7記載の発明によれば、高周波回路基板用樹脂フィルムの比誘電率と誘電正接が低いので、電気信号の伝搬速度が向上し、MHz帯域からGHz帯域等の高周波数帯域での使用に好適な高周波回路基板を得ることができる。
本発明に係る高周波回路基板用樹脂フィルム及び高周波回路基板の実施形態を模式的に示す断面説明図である。 本発明に係る高周波回路基板用樹脂フィルムの製造方法の実施形態を模式的に示す説明図である。 本発明に係る高周波回路基板用樹脂フィルム及び高周波回路基板の第2の実施形態を模式的に示す断面説明図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における高周波回路基板用樹脂フィルム1は、図1や図2に示すように、少なくともポリアリーレンエーテルケトン樹脂と誘電特性に資する含フッ素系共重合体とを含み、これらの配合比がポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部に対して含フッ素系共重合体が3質量部以上30質量部以下の薄膜の樹脂フィルムであり、片面に金属層2が積層されることにより、主に第五世代移動通信システム用の高周波回路基板を形成する。
高周波回路基板用樹脂フィルム1を形成するポリアリーレンエーテルケトン樹脂とフッ素樹脂である含フッ素系共重合体との配合比は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部に対して含フッ素系共重合体が3質量部以上30質量部以下、好ましくは含フッ素系共重合体が4質量部以上25質量部以下、より好ましくは含フッ素系共重合体が5質量部以上20質量部以下が良い。
これは、含フッ素系共重合体が3質量部未満の場合には、高周波回路基板用樹脂フィルム1の誘電特性が向上しないおそれがあるからである。逆に、30質量部を越える場合には、分散性や高周波回路基板用樹脂フィルム1の成形性が悪化し、高周波回路基板用樹脂フィルム1に外観不良が生じたり、物性の局所的な差異が発生し易くなるからである。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、良好な機械的特性、及び熱的特性を有する熱可塑性樹脂であり、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、あるいはポリエーテルエーテルケトン樹脂及びポリエーテルケトン樹脂の混合物が使用される。これらの中では、機械的特性、耐熱性、耐薬品性等に優れ、比較的安価なポリエーテルエーテルケトン樹脂が最適である。
以下、ポリエーテルエーテルケトン樹脂について説明すると、ポリエーテルエーテルケトン樹脂は、特に限定されるものではないが、以下の繰り返し単位を有する結晶性の樹脂で、ガラス転移点が通常130℃以上160℃以下(測定方法:示差走査熱量計)、好ましくは135℃以上155℃以下、より好ましくは140℃以上150℃以下である。また、融点が通常320℃以上360℃以下(測定方法:示差走査熱量計)、好ましくは330℃以上350℃以下、より好ましく335℃以上345℃以下であり、通常は粉状、粒状、顆粒状、ペレット状の成形加工に適した形で使用される。
Figure 0007320412000001
ポリエーテルエーテルケトン樹脂の構造式のnは、機械的特性の観点から、10以上、好ましくは20以上が良い。このポリエーテルエーテルケトン樹脂は、〔化1〕の繰り返し単位のみからなるホモポリマーでも良いが、〔化1〕以外の繰り返し単位を有していても良い。ポリエーテルエーテルケトン樹脂中、〔化1〕の化学構造の割合は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂を構成する全繰り返し単位の合計に対し、50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上が最適である。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、ビクトレックス社製の製品名:Victex Powderシリーズ、Victrex Granulesシリーズ、ダイセル・エボニック社製の製品名:ベスタキープシリーズ、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製の製品名:キータスパイアポリエーテルエーテルケトンシリーズがあげられる。また、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の製造方法としては、例えば特開昭50-27897号公報、特開昭5l-119797号公報、特開昭52-38000号公報、特開昭54-90296号公報、特公昭55-23574号公報、特公昭56-2091号公報等に記載の方法があげられる。
なお、ポリエーテルエーテルケトン樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合可能な単量体とのブロック共重合体、ランダム共重合体、あるいは変性体も使用することができる。
含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという)、及び/又はクロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEという)に基づく繰り返し単位(a)、ジカルボン酸無水物基を有し、かつ環内に重合性不飽和基を有する環状炭化水素モノマーに基づく繰り返し単位(b)、及びその他のモノマー(但し、繰り返し単位(a)、(b)と重複する場合は、そのモノマーを除く)に基づく繰り返し単位(c)を含有する溶融成形可能な接着性の共重合体である。
含フッ素共重合体において、繰り返し単位(a)、繰り返し単位(b)、及び繰り返し単位(c)の合計モル量に対し、繰り返し単位(a)が50~99.89モル%、繰り返し単位(b)が0.01~5モル%であり、繰り返し単位(c)が0.1~49.99モル%である。好ましくは繰り返し単位(a)が50~99.47モル%、繰り返し単位(b)が0.03~3モル%であり、繰り返し単位(c)が0.5~49.97モル%、より好ましくは繰り返し単位(a)が50~98.95モル%、繰り返し単位(b)が0.05~2モル%であり、繰り返し単位(c)が1~49.95モル%である。
これは、繰り返し単位(a)、繰り返し単位(b)、及び繰り返し単位(c)のモル%が係る範囲にあれば、含フッ素共重合体の耐熱性や耐薬品性の向上が期待できるからである。また、繰り返し単位(b)のモル%が係る範囲にあれば、含フッ素共重合体の高周波回路基板用樹脂フィルム1との接着性に優れるからである。さらに、繰り返し単位(c)のモル%が係る範囲にあれば、含フッ素共重合体の成形性が向上し、耐ストレスクラック性等の機械物性にも優れるからである。
上記「ジカルボン酸無水物基を有しかつ環内に重合性不飽和基を有する環状炭化水素モノマー」(以下、単に環状炭化水素モノマーと略称する)は、1つ以上の5員環又は6員環からなる環状炭化水素であって、しかも、ジカルボン酸無水物基と環内重合性不飽和基を有する重合性化合物をいう。環状炭化水素としては、1つ以上の有橋多環炭化水素を有する環状炭化水素が好ましい。すなわち、有橋多環炭化水素からなる環状炭化水素、有橋多環炭化水素の2以上が縮合した環状炭化水素、又は有橋多環炭化水素と他の環状炭化水素が縮合した環状炭化水素であることが好ましい。
また、環状炭化水素モノマーは環内重合性不飽和基、すなわち炭化水素環を構成する炭素原子間に存在する重合性不飽和基を1つ以上有する。この環状炭化水素モノマーはさらにジカルボン酸無水物基(-CO-O-CO-)を有し、ジカルボン酸無水物基は炭化水素環を構成する2つの炭素原子に結合していても良く、環外の2つの炭素原子に結合していても良い。好ましくは、ジカルボン酸無水物基は上記環状炭化水素の環を構成する炭素原子であって、かつ隣接する2つの炭素原子に結合する。さらに、環状炭化水素の環を構成する炭素原子には、水素原子の代わりに、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、その他の置換基が結合していても良い。
その具体例としては、式(2)~(9)で表されるものである。ここで、式(3)、(6)~(9)におけるRは、炭素原子数1~6の低級アルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子から選択されるハロゲン原子、上記低級アルキル基中の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基を示す。
Figure 0007320412000002
Figure 0007320412000003
Figure 0007320412000004
Figure 0007320412000005
Figure 0007320412000006
Figure 0007320412000007
Figure 0007320412000008
Figure 0007320412000009
上記環状炭化水素モノマーとしては、好ましくは式(2)で表される、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(以下、NAHという)、式(4)、(5)で表される酸無水物である環状炭化水素モノマー、式(3)、及び式(6)~(9)において、置換基Rがメチル基である環状炭化水素モノマーある。より好ましくはNAHである。
その他のモノマーとしては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン(以下、VdFという)、CTFE(但し、繰り返し単位(a)として使用される場合を除く)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPという)、CF=CFORf1(ここで、Rf1は炭素数1~10で炭素原子間に酸素原子を含んでも良いペルフルオロアルキル基)、CF=CFORf2SO(Rf2は炭素数1~10で炭素原子間に酸素原子を含んでも良いペルフルオロアルキレン基、Xはハロゲン原子又は水酸基)、CF=CFORf2CO(ここで、Rf2は上記と同様、Xは水素原子又は炭素数1~3のアルキル基)、CF=CF(CFOCF=CF(ここで、pは1又は2)、CH=CX(CF(ここで、X及びXは、互いに独立に水素原子又はフッ素原子、qは2~10の整数)、ペルフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭素数2~4のオレフィン、酢酸ビニル等のビニルエステル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル等があげられる。その他のモノマーは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
CF=CFORf1の具体例としては、例えば、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF、CF=CFOCFCFCFCF、CF=CFO(CFF等があげられる。好ましくは、CF=CFOCFCFCFである。また、CH=CX(CFの具体例としては、例えば、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH等があげられる。好ましくは、CH=CH(CFF又はCH=CH(CFFである。
その他のモノマーとしては、好ましくはVdF、HFP、CTFE(但し、繰り返し単位(a)として使用される場合を除く)、CF=CFORf1、CH=CX(CF、エチレン、プロピレン、及び酢酸ビニルからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、HFP、CTFE(但し、繰り返し単位(a)として使用される場合を除く)、CF=CFORf1、エチレン、及びCH=CX(CFからなる群から選ばれる1種以上である。最も好ましくは、HFP又はCF=CFORf1である。また、CF=CFORf1としては、Rf1が炭素数1~6のペルフルオロアルキル基が好ましく、炭素数2~4のペルフルオロアルキル基がより好ましく、ペルフルオロプロピル基が最適である。
接着性の含フッ素系共重合体の具体例としては、例えば、TFE/CF=CFOCFCFCF/NAH共重合体、TFE/HFP/NAH共重合体、TFE/CF=CFOCFCFCF/HFP/NAH共重合体、TFE/VdF/NAH共重合体、TFE/CH=CH(CFF/NAH/エチレン共重合体、TFE/CH=CH(CFF/NAH/エチレン共重合体、CTFE/CH=CH(CFF/NAH/エチレン共重合体、CTFE/CH=CH(CFF/NAH/エチレン共重合体、CTFE/CH=CH(CFF/NAH/エチレン共重合体等があげられる。
含フッ素共重合体の融点は、150℃以上320℃以下が好ましく、200℃以上310℃以下がより好ましい。融点は、繰り返し単位(a)、繰り返し単位(b)、及び繰り返し単位(c)の含有割合を上記範囲内で適宜選定して調整することができる。
含フッ素共重合体は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂との適切な混練を図るため、高分子末端基として、エステル基、カーボネート基、水酸基、カルボキシル基、カルボニルフルオリド基、酸無水物残基、カルボニル基、及びイソシアネート基の官能基のうち、少なくとも1種を有することが好ましい。これは、これらの官能基のうち、少なくとも1種を有すれば、含フッ素共重合体以外の熱可塑性樹脂等との接着性に優れるからである。接着性官能基を有する高分子末端基は、含フッ素共重合体の製造時に、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤等を適宜選定することにより導入することができる。
含フッ素共重合体は、その容量流速(以下、Q値という)が0.1~100mm/秒の範囲が好ましい。Q値は、含フッ素共重合体の溶融流動性を表す指標であり、分子量の目安となる。Q値が大きい場合には、分子量が低く、小さい場合には、分子量が高いことを示す。
Q値は、島津製作所製フローテスタを用い、含フッ素共重合体の融点より50℃高い温度において、荷重7kg下に直径2.1mm、長さ8mmのオリフィス中に押し出すときの含フッ素共重合体の押出し速度である。このQ値が小さすぎると、押し出し成形が困難となり、逆に大きすぎると、含フッ素共重合体の機械的強度が低下する。含フッ素共重合体のQ値は、5~500mm/秒が好ましく、10~200mm/秒がより好ましい。
含フッ素共重合体の製造方法は、特に限定されるものではなく、ラジカル重合開始剤を用いるラジカル重合法が用いられる。重合方法としては、塊状重合、フッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等の有機溶媒を使用する溶液重合、水性媒体、及び必要に応じて適当な有機溶剤を使用する懸濁重合、水性媒体、並びに乳化剤を使用する乳化重合があげられ、特に溶液重合が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、半減期が10時間である温度が0℃~100℃、より好ましくは20~90℃であるラジカル重合開始剤が好ましい。具体例としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の非フッ素系ジアシルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカ-ボネート、ジ-n-プロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート、tert-ブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、tert-ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル、(Z(CF)rCOO)(ここで、Zは水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、rは1~10の整数である)で表される化合物等の含フッ素ジアシルペルオキシド、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等があげられる。
含フッ素共重合体のQ値を制御する場合、連鎖移動剤を使用することも好ましい。この連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン等のクロロフルオロハイドロカーボン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等のハイドロカーボンが挙げられる。含フッ素共重合体の高分子末端に接着性官能基を導入するための連鎖移動剤としては、酢酸、無水酢酸、酢酸メチル、エチレングリコール、プロピレングリコール等があげられる。
含フッ素共重合体の重合条件は特に限定されるものではなく、重合温度は0~100℃が好ましく、20~90℃がより好ましい。また、重合圧力は0.1~10MPaが好ましく、0.5~3MPaがより好ましい。重合時間は1~30時間が良い。
重合中の環状炭化水素モノマーの濃度は、全モノマーに対して0.01~5モル%が好ましく、0.1~3モル%がより好ましく、0.1~1モル%が最も好ましい。環状炭化水素モノマーの濃度が高すぎると、重合速度が低下する傾向となる。上記範囲にあると製造時の重合速度が低下せず、かつ、含フッ素共重合体は接着性に優れる。重合中、環状炭化水素モノマーが重合で消費されるに従って、消費された量を連続的又は断続的に重合槽内に供給し、環状炭化水素モノマーの濃度をこの範囲に維持することが好ましい。
上記製造方法で得られた含フッ素共重合体は、定法に従い、ペレット、粉体、その他の形態として得ることができる。この含フッ素共重合体は、成形性に優れるため、射出成形や押出成形が可能であり、所望の形状に成形することができる。また、上記フッ素共重合体は柔軟性に優れているため、これらを接着剤として用いた高周波回路基板用樹脂フィルム1は、曲げ加工や絞り加工を行ったとしても、高周波回路基板の剥離や損傷を抑制することが可能となる。
接着性の含フッ素共重合体は、上記のようにして製造することもできるが、市販品を用いることもできる。接着性の市販品としては、特に限定されるものではないが、例えばAGC株式会社製のEA-2000等があげられる。
高周波回路基板用樹脂フィルム1には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂やフッ素樹脂の他、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂等のポリイミド樹脂、ポリアミド4T(PA4T)樹脂、ポリアミド6T(PA6T)樹脂、変性ポリアミド6T(PA6T)樹脂、ポリアミド9T(PA9T)樹脂、ポリアミド10T(PA10T)樹脂、ポリアミド11T(PA11T)樹脂、ポリアミド6(PA6)樹脂、ポリアミド66(PA66)樹脂、ポリアミド46(PA46)樹脂等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルエーテル(PEEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)樹脂、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)樹脂等のポリアリーレンエーテルケトン樹脂、ポリサルホン(PSU)樹脂)、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルホン(PPSU)樹脂等のポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンスルフィルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィドスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィドケトンスルホン樹脂等のポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピル共重合体(FEP)樹脂、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)樹脂、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)樹脂、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂等のフッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂等を必要に応じ、添加することができる。
高周波回路基板用樹脂フィルム1には、本発明の特性を損なわない範囲で上記樹脂の他、酸化防止剤、光安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、耐熱向上剤、難燃剤、無機化合物、有機化合物、樹脂改質剤等を選択的に添加することが可能である。
高周波回路基板用樹脂フィルム1の結晶化度は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂が選択される場合、15%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは23%以上、さらに好ましくは25%以上が良い。これは、高周波回路基板用樹脂フィルム1の結晶化度が15%未満の場合には、樹脂フィルムのはんだ耐熱性に問題が生じるからである。逆に、結晶化度が15%以上の場合には、高周波回路基板として使用可能な機械的強度の確保が期待できるからである。
高周波回路基板用樹脂フィルム1の結晶化度の上限は、特に限定されるものでないが、50%以下が好適である。これは、高周波回路基板用樹脂フィルム1の結晶化度が50%を越える場合には、長時間の熱処理を必要とし、生産性に問題が生じるという理由に基づく。
高周波回路基板用樹脂フィルム1の厚さは、高周波回路基板の充分な厚さの確保、ハンドリング性、薄型化等の観点からすると、3μm以上200μm以下、好ましくは8μm以上110μm以下、より好ましくは10μm以上100μm以下、さらに好ましくは12.5μm以上100μm以下が良い。
高周波回路基板用樹脂フィルム1の機械的特性に関しては、23℃における引張最大強度、引張破断時伸び、及び引張弾性率で評価することができる。引張最大強度は、60N/mm以上、好ましくは90N/mm以上140N/mm以下、より好ましくは100N/mm以上135N/mm以下が良い。
高周波回路基板用樹脂フィルム1の23℃における引張弾性率は、2600N/mm以上8000N/mm以下、好ましくは2650N/mm以上3900N/mm以下、より好ましくは2700N/mm以上3850N/mm以下の範囲が最適である。これは、引張弾性率が2600N/mm未満の場合、高周波回路基板用樹脂フィルム1が剛性に劣るため、高周波回路基板の加工中のハンドリング性が低下してしまうという理由に基づく。逆に、8000N/mmを越える場合、高周波回路基板用樹脂フィルム1の成形に長時間を要し、コストの削減が期待できないという理由に基づく。
高周波回路基板用樹脂フィルム1の引張破断時伸びは、50%以上、好ましくは155%以上300%以下、より好ましくは160%以上280%以下が良い。これは、引張最大強度が60N/mm未満で破断時伸びが50%未満の場合、高周波回路基板用樹脂フィルム1が十分な靭性を有していないので、高周波回路基板の加工中に破断や割れ等のトラブルが生じてしまうおそれがあるからである。
高周波回路基板用樹脂フィルム1の周波数800MHz以上100GHz以下の範囲における比誘電率は、高周波回路基板の電気信号の伝搬遅延を防止し、高速通信を実現する観点から、3.3以下、好ましくは2.60以上3.0以下、より好ましくは2.63以上2.90以下が良い。また、高周波回路基板用樹脂フィルム1の周波数800MHz以上100GHz以下の範囲における誘電正接は、高周波回路基板の電気信号の伝搬遅延を防止し、高速通信を実現する観点から、0.006以下、好ましくは0.0017以上0.0058以下、より好ましくは0.0018以上0.0055以下が良い。
これら比誘電率と誘電正接の測定方法としては、特に限定されるものではないが、同軸プローブ法、同軸Sパラメータ法、導波管Sパラメータ法、フリースペースSパラメータ法等の反射・伝送(Sパラメータ)法、ストリップライン(リング)共振器を用いた測定法、空洞共振器摂動法、スプリットポスト誘電体共振器を用いた測定法、円筒型(スプリットシリンダー)空洞共振器を用いた測定法、マルチ周波数平衡形円板共振器を用いた測定法、遮断円筒導波管空洞共振器を用いた測定法、ファブリペロー共振器を用いた開放型共振器法等の共振器法等の方法があげられる。
また、干渉計開放型を使用するファブリペロー法、空洞共振器摂動法により高周波数の比誘電率及び誘電正接を求める方法、相互誘導ブリッジ回路による3端子測定法等があげられる。これらの中では、高分解性に優れるファブリペロー法の選択が最適である。
このような高周波回路基板用樹脂フィルム1を製造する場合、少なくともポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と含フッ素系共重合体3質量部以上30質量部以下とを含有したペレットの成形材料11を用い、溶融押出成形法、カレンダー成形、又はキャスティング成形法等の公知の製造方法を採用することができる。これらの製造方法の中では、高周波回路基板用樹脂フィルム1の厚さ精度、生産性、ハンドリング性の向上、設備の簡略化の観点から、Tダイス12を用いた溶融押出成形法により連続的に押出成形することが好ましい。
ここで、溶融押出成形法とは、ミキサーや溶融押出成形機10等を使用してポリアリーレンエーテルケトン樹脂と含フッ素系共重合体を溶融温度以上の温度で溶融混練してペレットの成形材料11を調製し、この成形材料11を溶融押出成形機10に投入してTダイス12から高周波回路基板用樹脂フィルム1を連続的に押し出す成形方法である。溶融押出成形機10は、例えば単軸押出成形機や二軸押出成形機等を使用することができ、特に制限されるものでない。
溶融押出成形機10等で溶融混練してペレット化された成形材料11は、溶融押出成形機10の先端部のTダイス12により帯形の高周波回路基板用樹脂フィルム1に連続して押出成形され、この連続した高周波回路基板用樹脂フィルム1が下方の圧着ロール13と連接した複数の冷却ロール14との間に挟んで冷却され、その後、巻取機15の巻取管16にテンションロール17を介して巻き取られることで製造される。
高周波回路基板用樹脂フィルム1を製造したら、この高周波回路基板用樹脂フィルム1上に金属層2を形成し、さらに導電回路の配線パターンを形成すれば、高周波回路基板を製造することができる。金属層2は、高周波回路基板用樹脂フィルム1の表面に積層形成され、後から導電回路の配線パターンが形成される。この金属層2に用いられる導電体としては、通常、例えば銅、金、銀、クロム、鉄、アルミニウム、ニッケル、スズ等の金属、あるいはこれら金属からなる合金を使用することができる。
金属層2の形成方法としては、特に限定されるものではないが、(1)高周波回路基板用樹脂フィルム1と金属箔とを熱融着して金属層2を形成する方法、(2)高周波回路基板用樹脂フィルム1と金属箔とを接着剤で接着することにより、金属層2を形成する方法、(3)高周波回路基板用樹脂フィルム1と金属箔とを蒸着して金属層2を形成する方法、(4)高周波回路基板用樹脂フィルム1に金属層2をスパッタリングする方法等があげられる。
(1)の方法は、高周波回路基板用樹脂フィルム1と金属箔とをプレス成形機あるいはロール間に挟み、加熱・加圧して金属層2を形成する方法である。この方法の場合、金属箔は、電解銅箔や圧延銅箔等の銅箔が主に使用される。金属箔の厚さは、1μm以上100μm以下、好ましくは5μm以上80μm以下、より好ましくは10μm以上70μm以下の範囲内が良い。
高周波回路基板用樹脂フィルム1あるいは金属箔の表面は、融着強度を向上させるため、微細な凹凸を形成することができる。また、高周波回路基板用樹脂フィルム1あるいは金属箔の表面をコロナ照射処理、紫外線照射処理、プラズマ照射処理、フレーム照射処理、イトロ照射処理、酸化処理、ヘアライン加工、サンドマッド加工等で表面処理しても良い。また、高周波回路基板用樹脂フィルム1あるいは金属箔の表面をシランカップリング剤、シラン剤、チタンネート系カップリング剤、あるいはアルミネート系カップリング剤で処理することもできる。
(2)の方法は、高周波回路基板用樹脂フィルム1と金属層2となる金属箔の間に、エポキシ樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、ポリイミド樹脂系接着剤、ポリスチレン樹脂系接着剤等の接着剤を配置し、プレス成形機あるいはロール間に挟んだ後、加熱・加圧して金属箔を高周波回路基板用樹脂フィルム1上に形成する方法である。金属箔の厚さは、1μm以上100μm以下、好ましくは5μm以上80μm以下、より好ましくは10μm以上70μm以下の範囲内が良い。
高周波回路基板用樹脂フィルム1あるいは金属箔の表面は、上記同様、接着強度を向上させる観点から、微細な凹凸を形成することができる。また、高周波回路基板用樹脂フィルム1あるいは金属箔の表面をコロナ照射処理、紫外線照射処理、プラズマ照射処理、フレーム照射処理、イトロ照射処理、酸化処理、ヘアライン加工、サンドマッド加工等で表面処理を施しても構わない。また、高周波回路基板用樹脂フィルム1あるいは金属箔の表面を上記同様、シランカップリング剤、シラン剤、チタンネート系カップリング剤、あるいはアルミネート系カップリング剤で処理しても良い。
(3)、(4)の方法の場合には、専用の蒸着装置やスパッタリング装置を使用すれば、金属層2を積層形成することができる。これら(3)、(4)の方法の中でも、(3)の蒸着法を採用すれば、第五世代移動通信システム用の高周波回路基板を容易に得ることができる。また、(4)のスパッタリング法を採用すれば、様々な金属を金属層2として使用することができ、しかも、高い密着強度を得ることが可能となる。
金属層2の配線パターンは、エッチング法、めっき法、あるいは印刷法等により必要数形成することができる。この配線パターンの形成方法には、アンダーカットや配線細りの発生を最小限に止め、良好な配線形成を可能とする硫酸‐過酸化水素系、塩化鉄のエッチング剤等の使用が可能である。このような所定形状の配線パターンを形成すれば、低誘電性に優れ、信号の損失を抑制することのできる高周波回路基板を製造することができる。
上記によれば、機械的特性や熱的特性に優れるポリアリーレンエーテルケトン樹脂に誘電特性に資する含フッ素系共重合体を配合して高周波回路基板用樹脂フィルム1を成形するので、高周波回路基板用樹脂フィルム1の周波数800MHz以上100GHz以下の範囲における比誘電率が3.3以下で、かつ誘電正接が0.006以下となり、比誘電率と誘電正接の値を従来よりも低くすることができる。
したがって、大容量の高周波信号を高速で送受信可能な高周波回路基板を得ることができる。そして、この高周波回路基板の使用により、第五世代移動通信システムの実現に大いに寄与することができる。また、含フッ素系共重合体が誘電特性の他、官能基の導入により優れた接着性を有するので、高周波回路基板を製造する際、高周波回路基板用樹脂フィルム1に金属層2を容易に積層接着したり、金属層2の剥離や脱落を防止することができる。また、含フッ素系共重合体が摺動性にも優れるので、高周波回路基板用樹脂フィルム1の製造時における巻取り等がきわめて容易となる。
また、耐熱性に優れる結晶化度15%以上のポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルムを高周波回路基板用樹脂フィルム1に使用すれば、優れたはんだ耐熱特性を得ることが可能となる。また、放熱特性に優れるポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルムを高周波回路基板用樹脂フィルム1に使用すれば、損失が減少したり、高周波回路基板用樹脂フィルム1の長期使用が可能となり、高周波数帯を活用した高速通信の実現が非常に容易となる。さらに、ポリイミド樹脂フィルムではなく、接着性のポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルムを用いれば、高周波回路基板を簡易に多層化することができる。
次に、図3は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、高周波回路基板用樹脂フィルム1の表裏両面に金属層2がそれぞれ積層されることにより、第五世代移動通信システム用の高周波回路基板を形成するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、高周波回路基板の構成の多様化を図ることができるのは明らかである。
なお、上記実施形態では熱溶融成形が可能な半結晶性のパーフルオロアルコキシアルカン(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂:PFA)に官能基を導入した接着性の含フッ素系共重合体を示したが、官能基を導入しない非接着性のパーフルオロアルコキシアルカンでも良い。この含フッ素共重合体は、製造することもできるが、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えばダイキン工業株式会社製のAP-210等があげられる。さらに、上記実施形態では第五世代移動通信システム用の高周波回路基板を示したが、何らこれに限定されるものではなく、高周波回路基板を、自動車の衝突防止ミリ波レーダ装置、先進運転支援システム(ADAS)、人工知能(AI)等に用いても良い。
以下、本発明に係る高周波回路基板用樹脂フィルム及びその製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
〔実施例1〕
先ず、溶融押出成形機等を使用してポリアリーレンエーテルケトン樹脂と含フッ素系共重合体を溶融温度以上の温度340℃で溶融混練してペレットの成形材料を調製した。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂としては、KT‐851 NL SP〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製:製品名 キータスパイアポリエーテルエーテルケトンシリーズ〕のポリエーテルエーテルケトン樹脂100質量部を使用した。また、含フッ素系共重合体としては、ペレット化された接着性パーフルオロアルコキシアルカン〔AGC社製:製品名 EA‐2000〕5質量部を使用した。
成形材料を調製したら、この成形材料をφ40mmの単軸押出成形機からなる溶融押出成形機に投入してその先端部の幅900mmのTダイスから高周波回路基板用樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この連続した高周波回路基板用樹脂フィルムを下方の圧着ロールと連接した冷却ロールとの間に挟んで冷却し、厚さ25μmの高周波回路基板用樹脂フィルムを製造した。ここで、φ40mmの溶融押出成形機の温度は380℃~420℃、Tダイスの温度は400℃とした。また、冷却ロールは、210℃の金属ロールとした。
高周波回路基板用樹脂フィルムが得られたら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表1に記載した。機械的特性は引張最大強度、引張破断時伸び、及び引張弾性率により評価し、誘電特性は比誘電率と誘電正接により評価し、
・高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性
高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性は、23℃における引張最大強度、引張破断時伸び、及び引張弾性率で評価した。機械的特性は、高周波回路基板用樹脂フィルムの押出方向と幅方向(押出方向の直角方向)について測定した。測定は、JIS K7127に準拠し、引張速度50mm/分、温度23℃の条件で実施した。
・高周波回路基板用樹脂フィルムの誘電特性〔周波数:1GHz、10GHz〕
高周波回路基板用樹脂フィルムの周波数:1GHzにおける誘電特性は、ネットワーク・アナライザー〔Anritsu社製 ネットワークアナライザー MS46122B〕を用い、空洞共振器摂動法により測定した。1GHzにおける誘電特性の測定は、空洞共振器を空洞共振器1GHz〔キーコム社製 型式;TMR‐1A〕に、10GHzにおける誘電特性の測定は、空洞共振器を空洞共振器10GHz〔キーコム社製 型式;TMR‐10A〕に変更した以外は、ASTMD2520に準拠して実施した。誘電特性の測定は、温度:23℃±1℃、湿度50%RH±5%RH環境下で実施した。
・高周波回路基板用樹脂フィルムの誘電特性〔周波数:28GHz付近、76.5GHz付近〕
高周波回路基板用樹脂フィルムの周波数:28GHz付近、及び76.5GHz付近の誘電特性は、ベクトルネットワークアナライザーを用い、開放型共振器法の一種であるファブリペロー法により測定した。共振器は、開放型共振器〔キーコム社製:ファブリペロー共振器 Model No.DPS03〕を使用した。
測定に際しては、開放型共振器冶具の試料台上に高周波回路基板用樹脂フィルムを載せ、ベクトルネットワークアナライザー用いて開放型共振器法の一種であるファブリペロー法で測定した。具体的には、試料台の上に高周波回路基板用樹脂フィルムを載せない状態と、高周波回路基板用樹脂フィルムを載せた状態の共振周波数の差を利用する共振法により、比誘電率と誘電正接とを測定した。
誘電特性の測定、具体的には28GHz付近、及び76.5GHz付近の誘電特性は温度:24℃、湿度45%環境下で測定した。所定の測定装置としては、28GHz付近はベクトルネットワークアナライザE8361A〔アジレント・テクノロジー社製:製品名〕を用いた。76.5GHz付近では、ベクトルネットワークアナライザN5227A〔アジレント・テクノロジー社製:製品名〕を用いた。
・高周波回路基板用樹脂フィルムの成形性
製造した高周波回路基板用樹脂フィルムの表裏両面を目視により観察し、○×で評価した。
〔実施例2〕
基本的には実施例1と同様だが、含フッ素系共重合体として、ペレット化された接着性パーフルオロアルコキシアルカン〔AGC社製:製品名 EA‐2000〕10質量部を使用した。成形材料を調製したら、この成形材料をφ40mmの単軸押出成形機からなる溶融押出成形機に投入してその先端部の幅900mmのTダイスから高周波回路基板用樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この連続した高周波回路基板用樹脂フィルムを下方の圧着ロールと連接した冷却ロールとの間に挟んで冷却し、厚さ50μmの高周波回路基板用樹脂フィルムを製造した。
高周波回路基板用樹脂フィルムが得られたら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表1に記載した。
〔実施例3〕
基本的には実施例1と同様だが、含フッ素系共重合体として、ペレット化された接着性パーフルオロアルコキシアルカン〔AGC社製:製品名 EA‐2000〕10質量部を使用した。成形材料を調製したら、この成形材料をφ40mmの単軸押出成形機からなる溶融押出成形機に投入してその先端部の幅900mmのTダイスから高周波回路基板用樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この連続した高周波回路基板用樹脂フィルムを下方の圧着ロールと連接した冷却ロールとの間に挟んで冷却し、厚さ75μmの高周波回路基板用樹脂フィルムを製造した。
高周波回路基板用樹脂フィルムが得られたら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表1に記載した。
〔実施例4〕
基本的には実施例1と同様だが、含フッ素系共重合体として、ペレット化された接着性パーフルオロアルコキシアルカン〔AGC社製:製品名 EA‐2000〕20質量部を使用した。成形材料を調製したら、この成形材料をφ40mmの単軸押出成形機からなる溶融押出成形機に投入してその先端部の幅900mmのTダイスから高周波回路基板用樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この連続した高周波回路基板用樹脂フィルムを下方の圧着ロールと連接した冷却ロールとの間に挟んで冷却し、厚さ50μmの高周波回路基板用樹脂フィルムを製造した。
高周波回路基板用樹脂フィルムが得られたら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表1に記載した。
〔実施例5〕
基本的には実施例1と同様だが、含フッ素系共重合体を、ペレット化された接着性パーフルオロアルコキシアルカン〔AGC社製:製品名 EA‐2000〕20質量部に変更し、厚さ75μmの高周波回路基板用樹脂フィルムを製造した。高周波回路基板用樹脂フィルムを製造したら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表1に記載した。
〔実施例6〕
基本的には実施例1と同様だが、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂を、381G〔ビクトレックス社製:製品名 Victrex Granulesシリーズ〕のポリエーテルエーテルケトン樹脂100質量部に変更した。また、含フッ素系共重合体として、ペレット化された接着性パーフルオロアルコキシアルカン〔AGC社製:製品名EA‐2000〕10質量部を使用した。
成形材料を調製したら、この成形材料を溶融押出成形機に投入してその先端部のTダイスから高周波回路基板用樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この連続した高周波回路基板用樹脂フィルムを下方の圧着ロールと連接した冷却ロールとの間に挟んで冷却し、厚さ50μmの高周波回路基板用樹脂フィルムを製造した。
高周波回路基板用樹脂フィルムを製造したら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表2にまとめた。
〔実施例7〕
基本的には実施例6と同様だが、含フッ素系共重合体として、ペレット化された接着性パーフルオロアルコキシアルカン〔AGC社製:製品名EA‐2000〕20質量部を使用した。成形材料を調製後、この成形材料を溶融押出成形機に投入してその先端部のTダイスから高周波回路基板用樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この連続した高周波回路基板用樹脂フィルムを下方の圧着ロールと連接した冷却ロールとの間に挟んで冷却し、厚さ50μmの高周波回路基板用樹脂フィルムを製造した。
高周波回路基板用樹脂フィルムを製造したら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表2にまとめた。
〔実施例8〕
基本的には実施例6と同様だが、含フッ素系共重合体として、ペレット化された接着性パーフルオロアルコキシアルカン〔AGC社製:製品名EA‐2000〕20質量部を使用した。成形材料を調製後、この成形材料を溶融押出成形機に投入してその先端部のTダイスから高周波回路基板用樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この連続した高周波回路基板用樹脂フィルムを下方の圧着ロールと連接した冷却ロールとの間に挟んで冷却し、厚さ100μmの高周波回路基板用樹脂フィルムを製造した。
高周波回路基板用樹脂フィルムを製造したら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表2にまとめた。
〔実施例9〕
基本的には実施例1と同様だが、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、KT‐851 NL SP〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製:製品名 キータスパイアポリエーテルエーテルケトンシリーズ〕のポリエーテルエーテルケトン樹脂100質量部を使用した。また、含フッ素系共重合体を、ペレット化されたパーフルオロアルコキシアルカン〔ダイキン社製:製品名 AP‐210〕10質量部に変更した。
成形材料を調製したら、この成形材料を溶融押出成形機に投入してその先端部のTダイスから高周波回路基板用樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この連続した高周波回路基板用樹脂フィルムを下方の圧着ロールと連接した冷却ロールとの間に挟んで冷却し、厚さ50μmの高周波回路基板用樹脂フィルムを製造した。
高周波回路基板用樹脂フィルムを製造したら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表2に記載した。
〔実施例10〕
基本的には実施例1と同様だが、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂を、381G〔ビクトレックス社製:製品名 Victrex Granulesシリーズ〕のポリエーテルエーテルケトン樹脂100質量部に変更した。また、含フッ素系共重合体を、ペレット化されたパーフルオロアルコキシアルカン〔ダイキン社製:製品名 AP‐210〕10質量部に変更した。
成形材料を調製したら、この成形材料を溶融押出成形機に投入してその先端部のTダイスから高周波回路基板用樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この連続した高周波回路基板用樹脂フィルムを下方の圧着ロールと連接した冷却ロールとの間に挟んで冷却し、厚さ50μmの高周波回路基板用樹脂フィルムを製造した。
高周波回路基板用樹脂フィルムを製造したら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表2に記載した。
Figure 0007320412000010
Figure 0007320412000011
〔比較例1〕
基本的には実施例1と同様だが、成形材料を、KT‐851 NL SP〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製:製品名 キータスパイアポリエーテルエーテルケトンシリーズ〕のポリエーテルエーテルケトン樹脂100質量部のみとし、含フッ素系共重合体を省略した。
成形材料を用意したら、この成形材料をφ40mmの単軸押出成形機からなる溶融押出成形機に投入してその先端部の幅900mmのTダイスから高周波回路基板用樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この連続した高周波回路基板用樹脂フィルムを下方の圧着ロールと連接した冷却ロールとの間に挟んで冷却し、厚さ25μmの高周波回路基板用樹脂フィルムを製造した。
高周波回路基板用樹脂フィルムが得られたら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表3に記載した。
〔比較例2〕
基本的には比較例1と同様だが、高周波回路基板用樹脂フィルムを厚さ50μmに変更して製造した。
高周波回路基板用樹脂フィルムを製造したら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表3に記載した。
〔比較例3〕
基本的には比較例1と同様だが、成形材料を、381G〔ビクトレックス社製:製品名 Victrex Granulesシリーズ〕のポリエーテルエーテルケトン樹脂100質量部のみとし、含フッ素系共重合体を省略した。
成形材料を用意したら、この成形材料を溶融押出成形機に投入してその先端部のTダイスから高周波回路基板用樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この連続した高周波回路基板用樹脂フィルムを下方の圧着ロールと連接した冷却ロールとの間に挟んで冷却し、厚さ50μmの高周波回路基板用樹脂フィルムを製造した。
高周波回路基板用樹脂フィルムを製造したら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表3にまとめた。
〔比較例4〕
基本的には実施例1と同様だが、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、KT‐851 NL SP〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製:製品名 キータスパイアポリエーテルエーテルケトンシリーズ〕のポリエーテルエーテルケトン樹脂100質量部を選択した。また、含フッ素系共重合体として、ペレット化された接着性パーフルオロアルコキシアルカン〔AGC社製:製品名 EA‐2000〕40質量部を選択した。
成形材料を調製したら、この成形材料を溶融押出成形機に投入してその先端部のTダイスから高周波回路基板用樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この連続した高周波回路基板用樹脂フィルムを下方の圧着ロールと連接した冷却ロールとの間に挟んで冷却し、厚さ100μmの高周波回路基板用樹脂フィルムを製造した。
高周波回路基板用樹脂フィルムが得られたら、この高周波回路基板用樹脂フィルムの機械的特性、誘電特性、成形性を評価し、その結果を表1にまとめた。
Figure 0007320412000012
〔評 価〕
各実施例の高周波回路基板用樹脂フィルムは、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部に対して含フッ素系共重合体3質量部以上30質量部以下を配合して成形したので、比誘電率の値が3.3以下であり、誘電正接も0.006以下の低い値となった。また、成形性についても、高周波回路基板用樹脂フィルムに全く変形やシワの発生が認められなかった。
これに対し、各比較例の高周波回路基板用樹脂フィルムは、含フッ素系共重合体を省略したり、過剰に配合したので、比誘電率の値が比較的高くなり、大容量の高周波信号を高速で送受信可能な高周波回路基板の材料としては、適切とはいえないことが判明した。さらに、比較例4の高周波回路基板用樹脂フィルムの場合、誘電特性には優れるものの、成形性に大きな問題が生じ、高周波回路基板用樹脂フィルムに変形やシワの発生が確認された。
以上の結果から、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部に対して含フッ素系共重合体3質量部以上30質量部以下を配合した高周波回路基板用樹脂フィルムが誘電特性や成形性に優れ、MHz帯域からGHz帯域の高周波帯域で用いられる高周波回路基板に最適であるのが判明した。
本発明に係る高周波回路基板用樹脂フィルム及びその製造方法、並びに高周波回路基板は、情報通信や自動車機器等の分野で使用される。
1 高周波回路基板用樹脂フィルム
2 金属層
10 溶融押出成形機
11 成形材料
12 Tダイス
13 圧着ロール
14 冷却ロール
15 巻取機

Claims (7)

  1. ポリアリーレンエーテルケトン樹脂と含フッ素系共重合体とを含み、これらの配合比がポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部に対して含フッ素系共重合体が3質量部以上30質量部以下であり、
    23℃における引張最大強度がJIS K7127に準拠して測定した場合に90N/mm 以上140N/mm 以下、23℃における引張弾性率がJIS K7127に準拠して測定した場合に2650N/mm 以上3900N/mm 以下、23℃における引張破断時伸びがJIS K7127に準拠して測定した場合に155%以上300%以下、周波数800MHz以上100GHz以下の範囲における比誘電率が3.3以下であるとともに、周波数800MHz以上100GHz以下の範囲における誘電正接が0.006以下であることを特徴とする高周波回路基板用樹脂フィルム。
  2. ポリアリーレンエーテルケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルケトン樹脂の少なくともいずれか一方である請求項1記載の高周波回路基板用樹脂フィルム。
  3. 含フッ素系共重合体は、パーフルオロアルコキシアルカンである請求項1又は2記載の高周波回路基板用樹脂フィルム。
  4. 含フッ素系共重合体は、エステル基、カーボネート基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボニルジオキシド基、カルボニルフルオリド基、酸無水物残基、カルボニル基、及びイソシアネート基の官能基のうち、少なくとも1種を有する請求項1、2、又は3記載の高周波回路基板用樹脂フィルム。
  5. 厚さが3μm以上200μm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の高周波回路基板用樹脂フィルム。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載した高周波回路基板用樹脂フィルムの製造方法であって、
    少なくともポリアリーレンエーテルケトン樹脂100質量部と含フッ素系共重合体3質量部以上30質量部以下とを溶融混練して成形材料を調製し、この成形材料をTダイスから押し出して高周波回路基板用樹脂フィルムを成形し、この高周波回路基板用樹脂フィルムを冷却ロールに接触させて冷却することを特徴とする高周波回路基板用樹脂フィルムの製造方法。
  7. 請求項1ないし5のいずれかに記載の高周波回路基板用樹脂フィルムの両面のうち、少なくとも片面に金属層を積層したことを特徴とする高周波回路基板。
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