JP7320378B2 - マスク基板およびその製造方法 - Google Patents
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前記側面は、前記主面の両方に対して略垂直をなすT端面を備え、前記T端面は、局所的に粗面化された表面を有する領域αと、該領域αを取り囲み、かつ、該領域αに比べて粗さの小さな表面を有する領域βとからなる。
すなわち、T端面の大部分の領域は、粗さの小さな表面を有する領域βからなり、かつ、この領域β内に局所的に粗面化された表面を有する領域αが存在する。
これにより、本発明のマスク基板は、T端面の大部分の領域を発生源とするパーティクルの発生を抑制できる。また、領域β内に局所的に粗面化された表面を有する領域αは、この領域αにレーザ光を照射した際に十分な反射光が得られるので、基板位置を精度よく検出することが可能となる。
よって、本発明は、基板位置を精度よく検出することが可能であり、かつ、パーティクルの発生を抑制できるマスク基板をもたらす。
前記主面の両方に対して略垂直をなすT端面の表面を加工する工程を含み、前記工程は、局所的に粗面化された表面を有する領域αと、該領域αを取り囲み、かつ、該領域αに比べて粗さの小さな表面を有する領域βと作り分けるために、前もって前記領域αを形成した後、前記領域αのうち特定の領域をマスキングした状態で前記領域αを研磨することにより前記マスキングされた特定の領域に前記領域βを形成する。
これにより、上述した本発明に係るマスク基板を、基板サイズに依存せず作製することができる。すなわち、本発明(マスク基板の製造方法)は、基板位置を精度よく検出することが可能であり、かつ、パーティクルの発生を抑制できるマスク基板を、大面積化に対応可能な基板サイズにおいても、安定して作製することに寄与する。
以下、本発明に係るマスク基板およびその製造方法の一実施形態を、図1~図4の図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るマスク基板の模式図である。図2は、図1のマスク基板に対するレーザ光を照射した状態を示す模式図である。図3は、図1のマスク基板の製造方法を示すフローチャートである。図4は、図1のマスク基板の端面を加工している状態を示す模式図である。
本実施形態のマスク基板10は透光性の矩形状平板からなる。このマスク基板10は、一方の主面11a、他方の主面11b、および4つの側面12[図1(a)では、Tとも表示]からなる表面を有する。
これにより、領域β内に局所的に粗面化された表面を有する領域αが存在し、この領域αにレーザ光を照射することにより十分な反射光が得られるので、基板位置を精度よく検出することが可能となる。
また、前記T端面における大部分の面積を占める領域βが、表面粗さR2の小さな研磨面から構成されることにより、前記T端面から生じる(T端面に起因する)パーティクルの発生を抑制する効果も得られる。
(S11)加工する前の基板として、ガラス基板(サイズ:短辺1220×長辺1400×板厚13t[mm])を準備した。
(S12)工程S11で用意したガラス基板(図1における符号10)に対して、ダイヤ砥石を用いて外形加工を行った。
(S13)工程S12を経たガラス基板の主表面(図1における符号11a、11b)に対して、酸化アルミニウム(Al2O3)の砥粒を用いてラップ加工を行った。
(S14)工程S13を経たガラス基板のT端部において、後にセンサー検出部として機能する領域αにマスキングを貼付した。マスキングとしては、公知のスパッタリング法により成膜した金属クロム膜を用いた。T端部は、領域βのみ露呈された状態とした。
(S15)工程S14を経たガラス基板のT端部に対して、酸化セリウム(CeO2)の砥粒と、研磨ブラシまたは研磨パッドを用いて端面研磨を行った。これにより、T端部は、領域βのみ研磨され、領域αは研磨前の状態(ラップ加工された状態)を維持した。
(S16)工程S15を経たガラス基板のT端部からマスキングを除去した。これにより、領域αの表面粗さR1(研削面)と領域βの表面粗さR2(研磨面)は、T端面において、R1>R2 を満たす関係とした。
(S17)工程S16を経たガラス基板の主表面(図1における符号11a、11b)に対して、酸化セリウム(CeO2)の砥粒と研磨パッドを用いて研磨を行った。
マスク基板10において対向する位置にある2つの側面12[図4では、Tとも表示]に、研磨パッドを接触させて、回転および移動を行うことにより、端面研磨が行われる。その際、端面研磨が行われる、端面と研磨パッドの接触部付近に、酸化セリウム(CeO2)の砥粒(不図示)が供給される。これにより、上述した工程S15が実施される。
この洗浄処理を経たガラス基板に対して、主面上に観測された欠陥のサイズや欠陥数を評価した。その評価結果が、表1および表2である。なお、表2に示した欠陥数は規格化されている。
表1および表2には、後述する「第一実施形態の変形例のマスク基板」と「従来のマスク基板」の評価結果も併記した。表1および表2において、No3は第一実施形態、No2は変形例、No1は従来例を表している。
また、表3には表面粗さに関する情報を、表4~表6には透過率および反射率に関する情報を、各々纏めて示した。表3に示した表面粗さは、線粗さであり、算術平均粗さRaである。
図5は、第一実施形態の変形例に係るマスク基板の模式図である。図6は、図5のマスク基板の製造方法を示すフローチャートである。
図5および図6に示すように、変形例では、T端面が研磨面のみ(領域βのみ)からなり、領域αは設けなかった点のみ、前述した第一実施形態と相違する。他の点については、前述した第一実施形態と同じである。よって、図5および図6に記載した内容の詳細な説明は省略する。
図6は、従来例に係るマスク基板の模式図である。
従来例では、C端面およびT端面がいずれも研削面からなる点が、前述した第一実施形態や変形例と相違する。他の点については、前述した第一実施形態や変形例と同じである。よって、図7に記載した内容の詳細な説明は省略する。
(1)本発明のマスク基板(No3)は、基板位置を精度よく検出することが可能であり、かつ、パーティクルの発生を抑制できる。
(2)本発明に係る製造方法によれば、基板位置を精度よく検出することが可能であり、かつ、パーティクルの発生を抑制できるマスク基板を安定して作製できる。
よって、本発明は、基板位置を精度よく検出することが可能であり、かつ、パーティクルの発生を抑制できるマスク基板の提供に貢献する。
Claims (5)
- 透光性の矩形状平板からなり、かつ、一方の主面、他方の主面、および4つの側面からなる表面を有するマスク基板であって、
前記側面は、
前記主面の両方に対して略垂直をなすT端面と、
前記T端面および前記一方の主面の間に位置し、該T端面および該一方の主面に対して所望の角度で傾斜してなる第一C端面と、
前記T端面および前記他方の主面の間に位置し、該T端面および該他方の主面に対して所望の角度で傾斜してなる第二C端面とから構成されており、
前記T端面は、局所的に粗面化された表面を有する領域αと、該領域αを取り囲み、かつ、該領域αに比べて粗さの小さな表面を有する領域βとからなり、
前記T端面の少なくとも一つが、複数の前記領域αを備え、かつ、互いに離間して配置されていることを特徴とするマスク基板。 - 前記領域αの表面粗さをR1(研削面)と前記領域βの表面粗さをR2(研磨面)と定義した場合、前記T端面が、R1>R2 を満たす関係にあることを特徴とする請求項1に記載のマスク基板。
- 前記第一C端面の表面粗さをRc1、前記第二C端面の表面粗さをRc2と定義した場合、前記R1に対して、R1>Rc1、かつ、R1>Rc2 を満たす関係にあることを特徴とする請求項2に記載のマスク基板。
- 前記領域αが外部からマスク基板に照射されたセンサー光に対する検出部として機能することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のマスク基板。
- 透光性の矩形状平板からなり、かつ、一方の主面、他方の主面、および4つの側面からなる表面を有するマスク基板の製造方法であって、
前記主面の両方に対して略垂直をなすT端面の表面を加工する工程を含み、
前記工程は、局所的に粗面化された表面を有する領域αと、該領域αを取り囲み、かつ、該領域αに比べて粗さの小さな表面を有する領域βと作り分けるために、前もって前記領域αを形成した後、前記領域αのうち特定の領域をマスキングした状態で前記領域αを研磨することにより前記マスキングされた特定の領域に前記領域βを形成する、ことを特徴とするマスク基板の製造方法。
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