JP7319984B2 - 生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤、生コン出荷型急硬コンクリート材料、生コン出荷型急硬コンクリート組成物及びその調製方法 - Google Patents

生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤、生コン出荷型急硬コンクリート材料、生コン出荷型急硬コンクリート組成物及びその調製方法 Download PDF

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Description

本発明は、生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤、生コン出荷型急硬コンクリート材料、生コン出荷型急硬コンクリート組成物及びその調製方法に関する。
世界的に見るとセメントの生産量は増加しており、急速にインフラ整備が進められている。特に、中国や東南アジアでの建設ラッシュは現在も続いている。インフラ整備の中でも、道路整備は重要な位置付けにある。道路は新設の際にも、また、補修の際にも、早期解放が望まれるため、使用する材料としても早期供用を可能とする材料が求められている。その一例として、急硬コンクリートが挙げられる。
急硬コンクリートの要求性能としては、可使時間も重要な性能となる。生コンプラントで生コンを製造し、施工現場まで搬送し、施工にかかる時間や生コン運搬車であるアジテータ車の洗浄時間も考慮すると、最低でも120分以上、できれば180分以上の可使時間の確保が望ましい。しかしながら、可使時間を長く確保することは、硬化時間を遅らせることになるため、短期材齢での要求強度を満たすことができなくなる。このため、従来の技術では、充分な可使時間を確保しつつ、初期材齢で必要な強度発現性を満たすことは困難であった。
現在、急硬コンクリートは、施工現場で調製されているのが実情である。少量の打設量の工事では、0.1~0.2m程度のミキサで急硬コンクリートを練り混ぜ、人海戦術で急硬コンクリートの調製と打設を行っている。この方法では、人手が多く必要となり工数が嵩みコスト高である上に、供給できる急硬コンクリートのボリュームに限界があった。また、打設量の多い工事では、コンクリートモービル車を用いて急硬コンクリートを連続して供給している。しかしながら、この方法では、コンクリートモービル車を手配しなければならないにことに加えて、予め、水分を一定に管理した細骨材や粗骨材をフレコンパックに詰めて現場に搬送したり、急硬セメントをフレコンパックに詰めて現場に搬送して準備しておいたり等の工数が嵩むこともあり、急硬コンクリートのコストが著しく高くなるという課題があった。また、コンクリートモービル車の手配にも限界があった。
今日では、生コンプラントから出荷できる急硬コンクリートの開発が強く望まれている。生コンプラントから急硬コンクリートを出荷できれば、既存の練り混ぜ設備や搬送システムをそのまま活用して大量の急硬コンクリートを施工現場に供給できる。
他方、ポルトランドセメントに、急硬性を与える目的でカルシウムアルミネートを加えること、また、さらにセッコウ類を併用することが米国のSpackmanにより古くから検討されている(例えば、特許文献1参照)。また、非晶質のカルシウムアルミネートとセッコウ類の混合物を急硬材として利用することも知られていた(例えば、特許文献2、3参照)。
特許文献4~8には、生コンプラントから急硬コンクリートを出荷し、施工現場に到着後、急結剤を添加する急結コンクリートが開示されている。
また、特許文献9~11には、生コンに凝結遅延剤と水酸化カルシウムをβナフタレンスルホン酸とともに添加しておき、施工現場に到着後に急結剤を添加する急結コンクリートが開示されている。
特許文献12、13には、オキシカルボン酸またはその塩と炭酸リチウムよりなる凝結遅延剤をベースコンクリートの練り混ぜ時または練り混ぜ直後に添加し、この練り混ぜたベースコンクリートにCaO・Al結晶を主成分とする速硬材を施工時に添加することを特徴とする速硬コンクリートの製造方法が開示されている。
米国特許第903019号 特開昭48-1024号公報 特開平04-97932号公報 特開2000-264712号公報 特開2000-327394号公報 特開2001-213655号公報 特開2001-253753号公報 特開2002-037654号公報 特開平11-24074号公報 特開2002-321958号公報 特開2002-321959号公報 特開2007-045654号公報 特開2012-139897号公報
しかし、特許文献1~3の従来の急硬材の技術のみを活用してみても、生コンから出荷できる急硬コンクリートを調製できるものではなかった。すなわち、従来の急硬コンクリートは、ポルトランドセメントに加えて、急硬材と遅延剤を併用するものであり、短時間材齢での強度発現性を求める場合には、可使時間の設定を60分以内に設定しなければならない。そして、この場合、生コンプラントからの出荷が現実的に不可能であった。逆に、生コンプラントからの出荷を実現するために、遅延剤を多く添加して、可使時間の設定を120分以上にすると、短時間材齢での強度発現は不可能であった。ましてや、実際の工事では、交通渋滞や施工トラブルによる工事の中断等、想定外のアクシデントが多数発生する可能性もある。生コン出荷型の急硬コンクリートを考える場合には、このようなリスクを全て許容するような長い可使時間の確保が重要となる。
したがって、どんなに搬送時間が短い施工現場であっても、最低でも可使時間は120分以上必要であり、ましてや、交通量が多い場合や、搬送距離が長い場合には180分以上の可使時間を確保することが望まれる。このように、これまで生コン出荷型の急硬コンクリートが実現しなかった理由は、長い可使時間の確保と短時間強度の発現が、技術的にトレードオフの関係にあり、これらを両立することが極めて困難なためである。
生コンプラントで練り混ぜができ、アジテータ車で施工現場まで運搬し、打設に要する時間や洗浄にかかる時間、さらには、交通渋滞や施工トラブルによる工事の中断等、あらゆるアクシデントも許容するような長い可使時間を設定しても、打設後は迅速に強度発現するような急硬コンクリートの開発が切望さているのである。
また、特許文献4~8の技術はトンネルのプレライニング工法に用いられるもので、急結剤はアルミン酸アルカリや硫酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウムなどを適用するものであり、急結剤を添加した後に作業時間が確保できるものではなかった。土木学会の指針では、急結剤の定義として、吹付けコンクリート指針(案)に急結材の品質規格が規定されている。これによると、凝結時間の始発は5分以内、終結は15分以内と定められている。つまり、急結剤を用いると、15分以上の可使時間は確保できない。
さらに、特許文献9~11の技術も急結剤を用いるため、急結剤添加後に15分以上の可使時間は確保できないものであった。
また、特許文献12、13の技術では、施工現場に到着してから多量の速硬材を添加しなければならず、実用性に乏しいものであった。具体的には、ケイ酸系セメント40~90部に対して、速硬材10~60部を添加するものであった。多量の速硬材を後添加してアジテータトラックで練り混ぜるため、アジテータのドラム容積に対して、3/8(37.5vol%)以下の容量しか生コンを積み込んで搬送できないものであった。
さらに、低温(例えば、5℃程度)でも良好な初期強度の発現性があれば、作業性向上の点から有効であるが、既述の文献には低温での初期強度についての言及はされていない。
以上から、本発明は、充分な可使時間を確保しつつ、低温環境においても初期の強度発現性に優れた生コン出荷型急硬コンクリート組成物を提供することを目的とする。また、当該生コン出荷型急硬コンクリート組成物の当該効果を良好に発揮させることができる生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を提供することを目的とする。さらに、当該生コン出荷型急硬コンクリート組成物を製造するための当該生コン出荷型急硬コンクリート組成物の調製方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく、種々努力を重ねた結果、特定の急硬材と特定の眠剤を組み合わせて調製したコンクリートを生コンプラントで調製し、現場まで搬送後、特定の起硬剤を添加混合することにより、充分な可使時間を確保しつつ、低温環境においても初期の強度発現性に優れる急硬コンクリートを調製できることを知見し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1] セメント、急硬材、及び眠剤を含む組成物に対して添加する起硬剤であって、5℃の条件で前記組成物に前記起硬剤を添加してから30分後に得られる起硬剤含有組成物を固液分離して得られる液相中のアルミニウムイオン濃度が、5℃の条件で前記組成物に前記起硬剤を添加せずに得られる起硬剤非含有組成物を固液分離して得られる液相中のアルミニウムイオン濃度に対して、1.1倍以上である生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤。
[2] 前記起硬剤が、カルシウムアルミネート系化合物を含有する[1]に記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤。
[3] 前記起硬剤が、さらにセッコウ類を含有する[2]に記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤。
[4] 前記カルシウムアルミネート系化合物中のCaOが30~60質量%、Alが30~60質量%、SiOが1~18質量%の範囲である[2]又は[3]に記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤。
[5] 前記カルシウムアルミネート系化合物の非晶質度が70%以上である[2]~[4]のいずれかに記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤。
[6] セメント、急硬材、及び眠剤を含むA材と、[1]~[5]のいずれかに記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を含むB材と、を含む2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
[7] セメント、急硬材、及び眠剤を含むA材に、[1]~[5]のいずれかに記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を含むB材が添加混合されてなる生コン出荷型急硬コンクリート組成物。
[8] 前記急硬材がカルシウムアルミネート系化合物とセッコウ類とを含む[7]に記載の生コン出荷型急硬コンクリート組成物。
[9] 前記カルシウムアルミネート系化合物がCaO-Al-SiO系化合物を含み、前記CaO-Al-SiO系化合物の非晶質度が70%以上で、かつ、SiOが1~18質量%の範囲である[8]に記載の生コン出荷型急硬コンクリート組成物。
[10] 前記眠剤が、オキシカルボン酸、又は、リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩及びオキシカルボン酸の混合物を含む[7]~[9]のいずれかに記載の生コン出荷型急硬コンクリート組成物。
[11] 前記生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤の含有量が、前記セメント及び前記急硬材の合計100質量部に対して、0.5~7質量部である[7]~[10]のいずれかに記載する生コン出荷型急硬コンクリート組成物。
[12] 少なくとも、セメント、急硬材、及び眠剤を混練水とともに練り混ぜ用容器内で練り混ぜる工程と、さらに、[1]~[5]のいずれかに記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を混合する工程と、を順次含む生コン出荷型急硬コンクリートの調製方法。
[13] 前記練り混ぜる工程において、少なくとも、前記セメント、前記急硬材、前記眠剤、前記骨材及び前記混練水を含むベースコンクリートの容量を、前記練り混ぜ容器の内容積の40%以上とする[12]に記載の生コン出荷型急硬コンクリートの調製方法。
[14] 生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を混合した後の可使時間を15分以上確保できるように前記生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤の種類と混合量を定める[12]又は[13]に記載の生コン出荷型急硬コンクリートの調製方法。
[15] 前記眠剤の使用量を、前記セメントと前記急硬材の合計100質量部に対して、0.3~5質量部とする[12]~[14]のいずれかに記載の生コン出荷型急硬コンクリートの調製方法。
本発明によれば、充分な可使時間を確保しつつ、低温環境においても初期の強度発現性に優れる生コン出荷型急硬コンクリート組成物を提供することができる。また、当該生コン出荷型急硬コンクリート組成物の当該効果を良好に発揮させることができる生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を提供することができる。さらに、当該生コン出荷型急硬コンクリート組成物を製造するための当該生コン出荷型急硬コンクリート組成物の調製方法を提供することができる。
以上のような効果に鑑みると、本発明は、特に、土木建築分野で好適に用いられる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書における「部」や「%」は特に規定しない限り質量基準とする。また、本明細書において、「組成物」とは、セメント組成物、モルタル組成物、コンクリート組成物を総称するものである。
[1]生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤
生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤(単に、「起硬剤」ということがある)は、セメント、急硬材、及び眠剤を含む組成物に対して添加する起硬剤であって、5℃の条件で組成物に起硬剤を添加してから30分後に得られる起硬剤含有組成物を固液分離して得られる液相中のアルミニウムイオン濃度(X5℃)が、5℃の条件で組成物に上記起硬剤を添加せずに得られる起硬剤非含有組成物を固液分離して得られる液相中のアルミニウムイオン濃度(Y5℃)に対して、1.1倍(X5℃/Y5℃=1.1)以上である生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤である。
なお、起硬剤含有組成物及び起硬剤非含有組成物は、起硬剤の有無以外の組成は同一である。また、このような場合の起硬剤の添加量は、セメント及び前記急硬材の合計100質量部に対して、0.5~7質量部程度とすることが好ましい。
上記X5℃/Y5℃は初期強度の向上に大きく寄与するアルミニウムイオンの溶出速度を意味し、これが大きいということは、初期にアルミニウムイオンが比較的大量に存在することが可能となり、初期のエトリンガイト生成が卓越し、強度発現性が得られやすくなる。したがって、X5℃/Y5℃が1.1未満では、5℃の低温環境においては初期の強度発現性が得られにくくなって、生コン出荷型急硬コンクリート組成物を作製することが困難となる。X5℃/Y5℃は、1.2~4.0であることが好ましい。液相中のアルミニウムイオン濃度は実施例に記載のとおり、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-AES)等によって測定することが可能で、その測定値からX5℃/Y5℃を算出することができる。
5℃/Y5℃を1.1以上とするには、例えば、エトリンガイトの生成を促進する成分、例えば、カルシウムアルミネート化合物を添加すればよく、さらに、長期強度発現性からセッコウ等を起硬剤に含有させればよい。
同様に、20℃の条件で組成物に起硬剤を添加してから30分後に得られる起硬剤含有組成物を固液分離して得られる液相中のアルミニウムイオン濃度(X20℃)が、20℃の条件で組成物上記起硬剤を添加せずに得られる起硬剤非含有組成物を固液分離して得られる液相中のアルミニウムイオン濃度(Y20℃)に対して、1.2倍(X20℃/Y20℃=1.2)以上であることが好ましく、1.2~4.0倍であることがより好ましい。
20℃/Y20℃が1.2倍以上であることで、初期のエトリンガイト生成が卓越し、強度発現性が得られやすくすることができる。
また、X5℃/X20℃は、0.65以上であることが好ましく、0.75以上であることがより好ましい。上限は実際的には1となる。X5℃/X20℃は、0.65以上であることで、低温と高温とで生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤のバラツキのない機能が発揮できるため、作業温度をほとんど考慮せずに使用することができる。
以下、各成分等について詳細に説明する。
本発明の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤に係る実施形態において、生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤とは、後述する眠剤を多量に添加し、眠らせた急硬コンクリート(水和硬化がほぼ停止したコンクリート)の水和硬化を再び呼び覚ます材料を意味する。その具体例としては、カルシウムアルミネート系化合物が挙げられる。
ここで、本実施形態でいう「生コン出荷型急硬コンクリート」とは、生コン工場や生コンプラント等で生コン(レディミクストコンクリート)を混練した後、アジテータ車によって搬送されて、土木工事現場や建設現場等の施工現場に出荷され、打ち込み作業後に比較的早く硬化するコンクリートをいう。生コン出荷型急硬コンクリートの場合、搬送時間の関係から、出荷から作業完了まで、最低でも可使時間は120分以上必要であり、搬送距離が長い場合には180分以上の可使時間を確保することが望まれる。本実施形態は、このような用途に特化して用いられるものである。
なお、上記の「アジテータ車」とは、生コンを撹拌しながら輸送することができる、荷台部分にミキシング・ドラム(練り混ぜ用容器)を備えた貨物自動車であり、その機能に大きな差はないが、最大積載量2~11t級のものがあり、用途に応じて使い分けられている。
ただし、生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を添加した後も、作業時間を確保する必要があり、少なくとも15分以上の可使時間が確保できる起硬剤の種類の選定と添加量の設定が必要である。その観点から、起硬剤として、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム等の急結剤の選定は避ける必要がある。これらの急結剤は、添加後直ちに急結性を示し、10分以上の可使時間を確保することが困難となる。したがって、これら急結剤は生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤100部に対して、30部以下とすることが好ましく、まったく使用しないことがより好ましい。
生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤は、例えば、300μm篩い残分が5%以下であり、100μm篩い残分が10%以下であることが好ましい。
本発明に係る起硬剤は、カルシウムアルミネート系化合物を含有することが好ましい。本発明において、カルシウムアルミネート系化合物は後述する急硬材にも用いるが、起硬剤に適用するカルシウムアルミネート系化合物は、CaO/Alモル比で0.5~2.4の範囲のものが好ましい。CaO/Alモル比が0.5以上であることで、温度依存性の改善効果をより十分に発揮させることができ、2.4以下であることで、起硬剤をスラリーで用いる際に急硬を抑えることができる。
なお、上記の好ましい範囲内でも、可使時間を長くする観点からは、0.5~1.2の範囲のものがより好ましく、0.75~1.0の範囲のものがさらに好ましい。初期の強度発現の観点からは、1.2~2.4の範囲のものがより好ましく、1.25~2.3の範囲のものがさらに好ましい。
カルシウムアルミネート系化合物中、CaOは30~60質量%、Alは30~60質量%、SiOは1~18質量%の範囲であることが好ましく、CaOは40~50質量%、Alは40~50質量%、SiOは3~10質量%の範囲であることがより好ましい。CaO、Al、SiOが上記範囲にあることで、温度依存性の改善効果をより十分に発揮させることができ、起硬剤をスラリーで用いる際に急硬を抑えることすることができる。
さらにカルシウムアルミネート系化合物は、非晶質カルシウムアルミネート系化合物と結晶質カルシウムアルミネート系化合物に大別されるが、長期強度の発現性から非晶質カルシウムアルミネート系化合物の使用が好ましい。上記観点から好ましい非晶質度は、70%以上であり、より好ましくは80%以上である。非晶質度の測定方法ついては後述する。
また、生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤における、カルシウムアルミネート系化合物は、効果を効率よく発揮させる観点から、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
なお、上記例示した起硬剤以外の物質(その他の成分)の存在も、当該起硬剤の分散性を高めたり、起硬剤の効果を助長したりできるもので、本発明の効果を阻害しないものあれば、30%以下の範囲で含有させることができる。
本発明に係る起硬剤においては、既述のいずれかの成分に、さらに、セッコウを含有することが好ましく、カルシウムアルミネート系化合物とセッコウとを含有してなることがより好ましい。
使用するセッコウは、無水セッコウ、半水セッコウ、二水セッコウのいずれのセッコウも使用できる。さらに天然セッコウや、リン酸副生セッコウ、排脱セッコウ、及びフッ酸副生セッコウなどの化学セッコウ、または、これらを熱処理して得られるセッコウなども使用できる。これらの中では、強度発現性の点で、無水セッコウ及び/又は半水セッコウが好ましいが、コストの観点から無水セッコウを選定することが好ましく、II型無水セッコウ及び/又は天然無水セッコウが好ましい。セッコウの粒度はブレーン値で3000cm/g以上が好ましく、4000~7000cm/gがより好ましい。3000cm/g以上であることで初期強度発現性を良好に発揮させることができる。
セッコウの使用量は、起硬剤(好ましくはカルシウムアルミネート系化合物)100部に対して10~200部が好ましく、15~150部がより好ましく、90~130部がさらに好ましい。これらの範囲であることで長期強度発現性と耐久性を良好にすることができる。
生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤の使用量は、特に限定されるものではないが、後述のセメントと急硬材との合計100部に対して、0.5~7部が好ましく、1~5部がより好ましい。0.5~7部であることで、短時間材齢の強度発現性を十分なものとし、可使時間を確保することができる。なお、起硬剤はスラリー化して各種のベースコンクリートなどに添加してもよい。この場合、コンクリート配合から練り混ぜ水の一部を起硬剤のスラリーに充て、ベースコンクリートからその分の水を差し引いておくことが、強度発現性の観点から望ましい。
[2]生コン出荷型急硬コンクリート材料及び生コン出荷型急硬コンクリート組成物
本発明の生コン出荷型急硬コンクリート材料に係る実施形態は、セメント、急硬材、及び眠剤を含むA材と、既述の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を含むB材と、を含む2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料である。
そして、本発明の生コン出荷型急硬コンクリート組成物に係る実施形態は、上記A材に上記B材が添加混合されてなる。
本実施形態において、生コンプラントでは、急硬材と眠剤を予めセメントに添加混合する必要があり、起硬剤は現場まで搬送後に添加混合する必要がある。起硬剤を生コンプラントで予め混合すると、可使時間が確保できない。また、生コン工場で急硬材と起硬剤の双方を添加すると、可使時間が極端に短くなり、搬送途中でコンクリートの破棄を余儀なくされる。起硬剤を生コン工場で添加し、施工現場で急硬材を添加する場合には、急硬材を添加した後の可使時間が10分以下と極端に短くなり、施工が出来ない。急硬材と起硬剤を施工現場で添加する場合には、可使時間が短縮され、圧縮強度も低い値となり、耐摩耗性も改悪傾向となることに加え、アジテータのドラム容積の30%程度しか搬送できない。このように、急硬材と起硬剤の添加タイミングは極めて重要である。
そこで、本実施形態では、セメント、急硬材、及び眠剤を含むA材と、生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を含むB材とからなる2材型とすることで、具体的には、生コンプラントから施工現場まで、A材とB材を別々に搬送し、施工現場でこれらを混合することで、本実施形態の生コン出荷型急硬コンクリート組成物とすることができる。以下、本実施形態に係る各成分等を詳細に説明する。
(セメント)
本実施形態でいう「セメント」とは、特に限定されるものではないが、例えば、日本工業規格(JIS)で定められる普通、早強、中庸熱、低熱の各種ポルトランドセメント、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカを混合した各種の混合セメント、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)、また、日本工業規格(JIS)で定められていない石灰石粉末や高炉徐冷スラグ微粉末などを混合したフィラーセメント、サルフォアルミネートセメント、アルミナセメントなどのあらゆるセメントが挙げられる。また、海外のEN197-2000で定められたセメントや中国GB規格で定められるあらゆるセメントを挙げることができる。これらセメントのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
ポルトランドセメントの構成化合物は、エーライト(3CaO・SiO)、ビーライト(2CaO・SiO)、アルミネート(3CaO・Al)、フェライト(4CaO・Al・Fe)と、さらに、二水セッコウが混合されている(この一部が半水セッコウに変化することもある)。本実施形態では、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ、石灰石微粉末などの混合材を含まないセメントを選定することが強度発現性の観点から望ましく、中でも、エーライト含有量が高く、粉末度の高い(粒度が細かい)セメントを選定することが好ましい。これに該当するセメントとしては、例えば、日本のセメントで例示すると、早強セメントや普通セメントを挙げることができる。また、中国のセメントで例示すると、PII52.5やPII42.5を挙げることができる。
(急硬材)
本実施形態の急硬材は、カルシウムアルミネート系化合物とセッコウ類とを含むことが好ましい。ここで、カルシウムアルミネート系化合物とは、CaOとAlを主体とする化合物を総称するものであり、特に限定されるものではない。その具体例としては、CaO・Al、12CaO・7Al、11CaO・7Al・CaF、3CaO・Al、3CaO・3Al・CaSO、更に、CaOとAlを主体とする非晶質物質(例えば、CaO-Al-SiO系化合物)等が挙げられる。中でも、非晶質物質を選定することが強度発現性の観点から好ましい。ただし、中国GB20472-2006に規定されるサルフォアルミネートセメント、及びアルミナセメントは、それら自身が急硬セメントであるため、要求される初期強度発現性によっては急硬材を添加しなくても用いることができる。
ここで、本実施形態における非晶質度とは、以下のように定義する。対象物質を1000℃で2時間焼きなました後、5℃/分の冷却速度で徐冷して結晶化させる。そして、結晶化させたものを粉末X線回折法により測定し、結晶鉱物のメインピークの面積Sを求める。次いで、焼きなまし前の物質の結晶のメインピーク面積Sから、以下の式により非晶質度Xを求める。
X(%)=100×(1-S/S
なお、一般の工業原料にはSiO、MgO、Fe、TiO、KO、NaO等の不純物が含まれているが、これらの不純物は、カルシウムアルミネート系化合物の非晶質化を助長する面もあり、これらの総量が20%以下の範囲で存在しても差し支えない。中でも、SiOの存在は好ましく、非晶質カルシウムアルミネートを得る目的で、1~18%の範囲で含有させることもできる。
したがって、急硬材としては、CaO-Al-SiO系化合物とセッコウ類とを含み、このCaO-Al-SiO系化合物の非晶質度が70%以上で、かつ、SiOが1~18質量%の範囲であることが好ましい。かかる態様とすることで、起硬剤添加前の可使時間を十分にとることができ、また、起硬剤添加後の初期強度発現性を良好にすることができる。より好ましくは、CaO-Al-SiO系化合物の非晶質度が80%以上で、かつ、SiOが2~13質量%の範囲である。
カルシウムアルミネート系化合物は、粉砕処理により、ブレーン比表面積で4000~9000cm/gに調製することが好ましく、5000~8000cm/gに調製することがより好ましい。カルシウムアルミネート系化合物の粉末度(ブレーン比表面積)が、4000~9000cm/gであることで十分な急硬性が得られやすくなり、低温での強度発現性も得られやすくなる。
また、本実施形態の急硬材は、粉砕処理により、ブレーン比表面積で4000~9000cm/gに調製することが好ましく、5000~8000cm/gに調製することがより好ましい。急硬材の粉末度が、4000~9000cm/gであることで十分な超速硬性が得られやすくなり、低温での強度発現性も得られやすくなる。
急硬材の使用量は、セメントと急硬材との合計100部中、10~35部が好ましく、15~30部がより好ましく、20~25部がさらに好ましい。10~35部であることで、良好な初期強度発現性が得られやすくなり、長期強度の低下も起こりにくくなる。
(眠剤)
本実施形態で使用する眠剤は、生コンから出荷した急硬コンクリートを眠らせる(水和硬化をほぼ停止させる)働きを持つものであり、生コンプラントでの急硬トラブルや、アジテータ車で搬送する際の急硬トラブルを回避するものである。眠剤としては、例えば、オキシカルボン酸、又は、その塩、或いはこれらとアルカリ金属炭酸塩の併用、糖類、ホウ酸等が挙げられる。オキシカルボン酸とアルカリ金属炭酸塩を併用することが、急硬コンクリートを眠らせる効果が大きい面や、起硬剤を添加した後の強度発現性が良好な面から好ましい。ただし、アルカリ金属炭酸塩はリチウム以外のアルカリ金属炭酸塩を選定することが好ましい。ベースコンクリートの十分な可使時間を確保し、かつ、起硬剤を添加した後も一定の可使時間を確保し、さらに、強度発現性を良好にする必要があり、この観点から炭酸リチウムの適用は好ましくない。
眠剤としては、オキシカルボン酸、又は、リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩及びオキシカルボン酸の混合物を含むことが好ましく、リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩及びオキシカルボン酸の混合物を含むことがより好ましい。リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩とオキシカルボン酸との混合比は、リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩/オキシカルボン酸で、10/90~90/10であることが好ましく、20/80~80/20であることがより好ましい。
オキシカルボン酸又はその塩としては、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられ、その塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を併用してもよい。
眠剤の使用量は、セメントと急硬材の合計100部に対して、0.3~5部が好ましく、0.3~4.5部がより好ましい。0.3~5部であることで、現場までの搬送時間に加え、十分な作業時間の確保がしやすくなる。また、起硬剤を添加した際に水和硬化を再び呼び起こしやすくなる。
(セッコウ)
本実施形態で使用するセッコウ類は、無水、半水、二水のいずれのセッコウも使用できる。これらの中では、強度発現性の点で、無水セッコウ及び/又は半水セッコウが好ましいが、コストの観点から無水セッコウを選定することが望ましく、II型無水セッコウ及び/又は天然無水セッコウが好ましい。セッコウの粒度はブレーン値で3000cm/g以上が好ましく、4000~7000cm/gがより好ましい。3000cm/g以上であることで初期強度発現性を良好に発揮させることができる。
セッコウ類の使用量は、カルシウムアルミネート系化合物(好ましくは急硬材で使用するカルシウムアルミネート系化合物)100部に対して10~200部が好ましく、15~150部がより好ましく、20~130部がさらに好ましい。これらの範囲であることで強度発現性を良好に発揮させることができる。
本実施形態では、既述の急硬材、眠剤、起硬剤の他に、膨張材、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高炉徐冷スラグ微粉末や高炉徐冷スラグ微粉末などのスラグ、石灰石微粉末やフライアッシュ、シリカフューム等の混和材料、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、ポリマー、ベントナイトなどの粘土鉱物、並びに、ハイドロタルサイトなどのアニオン交換体等のうちの一種又は二種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
[3]生コン出荷型急硬コンクリートの調製方法
本発明の生コン出荷型急硬コンクリートの調製方法の実施形態は、少なくとも、セメント、急硬材、及び眠剤を混練水とともに練り混ぜ用容器内で練り混ぜる工程と、さらに、生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を例えば施工現場で混合する工程と、を順次含む。
練り混ぜる工程においては、少なくとも、セメント、急硬材、眠剤、骨材及び混練水を含むベースコンクリートの容量を、練り混ぜ用容器の内容積の40%(容量%)以上とすることが好ましく、50容量%以上とすることがより好ましい。
ここで、練り混ぜ用容器とは、例えば、アジテータ車のドラム等のような生コン運搬車に備え付けられ、生コンを撹拌しながら保持できる容器をいう。
そして、生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を混合した後の可使時間が10分以上、好ましくは15分以上確保できるように生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤の種類と混合量を定めることが好ましい。
以上のように、本実施形態に係る生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤は、生コン(レディミクストコンクリート)を混練した後、この混練物が搬送されて施工現場に出荷され、打ち込み作業後に添加される混和材料としての使用に好適である。また、同様に、本実施形態に係る生コン出荷型急硬コンクリート材料も、起硬剤と同様に、打ち込み作業後に添加される混和材料としての使用に好適である。そして、可使時間を例えば、120分以上、好ましくは180分以上のとすることができる。
以下、実験例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実験例1)
セメント380kg/m、急硬材120kg/m、水/結合材比32%、s/a=42%、空気量2.0±1.5容量%の急硬コンクリートを練り混ぜ容器内で練り混ぜて調製した。この際、セメントと急硬材からなる結合材100部に対して、眠剤を1.5部混合し、混合後の容量を練り混ぜ容器の内容積の85%とし、24時間以上、水和硬化しないようにした(A材)。現場までの搬送時間と施工現場に到着後に待機時間が発生したことを想定して、120分後に下記表1に示す様々な起硬剤(B材)を結合材100部に対して5部添加した(生コン出荷型急硬コンクリート組成物)。起硬剤を添加してからの可使時間を測定するとともに、起硬剤添加後から6時間後(練り上がりから8時間後)の圧縮強度を測定した。一連の試験温度は5℃又は20℃である。
また、上記のコンクリート配合から、細骨材、粗骨材を除いたセメント76部、急硬材24部、水32部、眠剤1.5部を練り混ぜセメントペーストを5℃又は20℃で調製した。5℃又は20℃でセメントペーストを調製してから120分後に起硬剤イ,ロのそれぞれをセメントと急硬材の合計100部に対して5部添加した時点から30分後に、減圧ろ過によって固液分離し液相中に含まれるアルミイオン濃度を測定し、無添加時のアルミイオン濃度と比較した。結果を下記表1に併記する。
なお、s/aは、細骨材率で、コンクリート中の全骨材量に対する細骨材量の絶対容積比を百分率で表した値である。
<使用材料>
(1)起硬剤イ,ロ
起硬剤イ:水酸化カルシウム、市販品、300μm残分1%未満、100μm残分が5%
起硬剤ロ:カルシウムアルミネート系化合物、CaOが47%、Alが53%、SiOが0%、ブレーン比表面積5,000cm/g、非晶質度:85%
(2)急硬材
急硬材A:CaO-Al-SiO系のカルシウムアルミネート系化合物と無水セッコウの等量混合物。CaO-Al-SiO系のカルシウムアルミネート系化合物のCaOが43%、Alが44%、SiOが10%、その他3%。ブレーン比表面積5000cm/g、非晶質度90%
(3)眠剤
眠剤1:試薬1級の炭酸カリウム75部と試薬1級のクエン酸25部の混合物
(4)その他
セメント:市販の普通ポルトランドセメント(デンカ社製 密度3.15g/cm
無水石膏:II型無水石膏、pH3.0、ブレーン比表面積5000cm/g
水:水道水
細骨材:天然川砂
粗骨材:砕石
<測定方法>
・可使時間:JIS A 1147に準じて凝結の始発時間を測定し、可使時間とした。
・圧縮強度:JIS A 1108に準じて測定した。
・液相中のアルミイオン濃度:採取した液相をICP-AESによって分析した。各試験温度における無添加の場合を1.0(1.0倍)としたときの倍率を表1に併記する。
Figure 0007319984000001
表1より、起硬剤添加後30分後の液相中のアルミイオン濃度が、無添加の場合の1.2倍以上となるとき、一定の可使時間を得た上で、良好な6時間強度や1日強度を発現していることがわかる。加えて、カルシウムアルミネート系化合物を利用すると温度依存性を小さくできることができ、低温環境においても優れた強度発現性を持つことがわかる。
(実験例2)
起硬剤として起硬剤ロを用い、当該起硬剤ロ100部に対し無水石膏を下記表に示すように配合した以外は、実験例1と同様に行った。結果を下記表2に併記する。
なお無水石膏は、ブレーン比表面積が5000cm/gとなるように調製したタイ産のII型天然無水セッコウである。
Figure 0007319984000002
表2より起硬剤に無水石膏を添加することで、材齢1日以降の圧縮強度の発現性が良くなることが分かる。
(実験例3)
起硬剤ロのカルシウムアルミネート系化合物の化学組成を下記表に示すように配合し、起硬剤ロを水/起硬剤比が0.3のスラリー(但し、起硬剤ロ100部に対して眠剤1部を添加)にして用いたこと以外は、実験例2と同様に行った。結果を下記表3に併記する。
なお、化学組成は、JIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」により確認した。
Figure 0007319984000003
表3よりカルシウムアルミネート系化合物の化学組成を適切に変化させることで、温度依存性の改善効果をより十分に発揮させることができ、起硬剤をスラリーで用いる際に急硬を抑えることすることができる。
本発明の生コン出荷型急硬コンクリート組成物は、充分な可使時間を確保しつつ、低温環境でも初期の強度発現性に優れるため、特に、土木建築分野で好適に用いられる。

Claims (14)

  1. セメント、急硬材、及び眠剤を含む組成物に対して添加する起硬剤であって、5℃の条件で前記組成物に前記起硬剤を添加してから30分後に得られる起硬剤含有組成物を固液分離して得られる液相中のアルミニウムイオン濃度が、5℃の条件で前記組成物に前記起硬剤を添加せずに得られる起硬剤非含有組成物を固液分離して得られる液相中のアルミニウムイオン濃度に対して、1.1倍以上であり、
    前記起硬材がカルシウムアルミネート系化合物を含有し、
    該カルシウムアルミネート系化合物は、CaO/Alモル比が1.2~2.4である生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤。
  2. 前記カルシウムアルミネート系化合物のCaO/Alモル比が1.25~2.3である請求項1に記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤。
  3. 前記起硬剤が、さらにセッコウ類を含有する請求項1又は2に記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤。
  4. 前記カルシウムアルミネート系化合物中のCaOが30~60質量%、Alが30~60質量%、SiOが1~18質量%の範囲である請求項1~3のいずれか1項に記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤。
  5. 前記カルシウムアルミネート系化合物の非晶質度が70%以上である請求項1~4のいずれか1項に記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤。
  6. セメント、急硬材、及び眠剤を含むA材と、請求項1~5のいずれか1項に記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を含むB材と、を含む2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
  7. セメント、急硬材、及び眠剤を含むA材に、請求項1~5のいずれか1項に記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を含むB材が添加混合されてなる生コン出荷型急硬コンクリート組成物。
  8. 前記急硬材がカルシウムアルミネート系化合物とセッコウ類とを含む請求項7に記載の生コン出荷型急硬コンクリート組成物。
  9. 前記カルシウムアルミネート系化合物がCaO-Al-SiO系化合物を含み、前記CaO-Al-SiO系化合物の非晶質度が70%以上で、かつ、SiOが1~18質量%の範囲である請求項8に記載の生コン出荷型急硬コンクリート組成物。
  10. 前記眠剤が、オキシカルボン酸、又は、リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩及びオキシカルボン酸の混合物を含む請求項7~9のいずれか1項に記載の生コン出荷型急硬コンクリート組成物。
  11. 前記生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤の含有量が、前記セメント及び前記急硬材の合計100質量部に対して、0.5~7質量部である請求項7~10のいずれか1項に記載する生コン出荷型急硬コンクリート組成物。
  12. 少なくとも、セメント、急硬材、及び眠剤を混練水とともに練り混ぜ用容器内で練り混ぜる工程と、さらに、請求項1~5のいずれか1項に記載の生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を混合する工程と、を順次含む生コン出荷型急硬コンクリートの調製方法。
  13. 生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を混合した後の可使時間を15分以上確保できるように前記生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤の種類と混合量を定める請求項12に記載の生コン出荷型急硬コンクリートの調製方法。
  14. 前記眠剤の使用量を、前記セメントと前記急硬材の合計100質量部に対して、0.3~5質量部とする請求項12又は13に記載の生コン出荷型急硬コンクリートの調製方法。
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