特許法第30条第2項適用 1.電気通信回線を通じた公開 ウェブサイトの掲載日 令和2年10月14日 ウェブサイトのアドレス https://www.konami.com/games/new_football_project/ 2.電気通信回線を通じた公開 ウェブサイトの掲載日 令和2年11月14日 ウェブサイトのアドレス https://www.konami.com/games/new_football_project/ 3.電気通信回線を通じた公開 ウェブサイトの掲載日 令和2年10月17日 ウェブサイトのアドレス https://img.konami.com/games/new_football_project/img/screenshot_01.jpg https://img.konami.com/games/new_football_project/img/screenshot_03.jpg https://img.konami.com/games/new_football_project/img/screenshot_04.jpg https://img.konami.com/games/new_football_project/img/screenshot_05.jpg 4.電気通信回線を通じた公開 ウェブサイトの掲載日 令和2年11月14日 ウェブサイトのアドレス https://www.youtube.com/watch?v=TJDxIdQzZt4 https://www.youtube.com/watch?v=lRK-8yWJxAE 5.クローズドβテストの実施 公開日(実施期間) 令和2年11月19日~同年12月3日 公開場所(実施対象地域) 欧州経済領域(EEA)
以下、添付図面を参照して本発明の一形態に係るゲームシステム等を説明する。
[全体構成]
図1は、本形態に係るゲームシステム1の全体構成の一例を示している。ゲームシステム1は、クライアントとしての複数のユーザ装置3と、ユーザ装置3とネットワークNT(一例としてインターネット)を介して接続されるサーバ4とを含んだクライアントサーバ型のシステムとして構成されている。
ユーザ装置3は、ユーザの日常的な使用に供される装置であって、ネットワークNTを介した情報通信機能を備えた情報通信端末装置である。一例として、通信機能を備えたスマートフォン3aやタブレット端末3bがユーザ装置3として利用される。PC(パーソナルコンピュータの略)がユーザ装置3として利用されてもよい。ユーザ装置3は、所定のゲーム用プログラムを実行することにより、所定のゲームをユーザに提供するゲーム用の端末装置として機能する。なお、ユーザ装置3は、いわゆるコンシューマゲーム機として提供される個人用又は家庭用の据え置き型のゲーム機であってもよいし、携帯型のゲーム装置であってもよい。いわゆるアーケードゲーム機として提供される業務用のゲーム機をユーザ装置3として利用することも可能である。
サーバ4は、複数台のサーバユニットを適宜に組み合わせて構成されてもよいし、単一のサーバユニットによって構成されてもよい。クラウドコンピューティング技術を利用したクラウドサーバとしてサーバ4が構成されてもよい。サーバ4は、ゲームに関連した各種のサービス、例えばゲームにて対戦すべきプレイヤ同士をマッチングするサービス、ユーザ装置3間で共有されるべきゲームの情報を中継するサービス等をユーザ装置3に提供する。なお、ゲームシステム1には、業務用のゲーム機等が適宜に追加されてもよい。例えば、業務用のゲーム機は、ユーザ装置3にて提供されるゲームと連携したゲームを提供するクライアントとして利用されてもよい。もちろん、上記のように、業務用のゲーム機等が本形態に係るゲームをプレイするためのユーザ装置3として利用されてもよい。
[ゲームの内容]
(1) ゲームの概要
ユーザ装置3を介して提供されるゲームは、ユーザと対戦相手のそれぞれがゲーム媒体を利用して対戦する要素を含む。対戦相手は、いずれかのユーザ装置3を利用する実在のユーザであってもよいし、ユーザ装置3のコンピュータによって制御される仮想的な存在であってもよい。いずれにしても、対戦相手もまたユーザの概念に含み得る存在である。つまり、対戦相手は、ゲームをプレイする者からみて対戦の相手方となるユーザを意味し、実在のユーザか否かを問わない。対戦は1対1であることを必ずしも要しない。一のユーザが複数の対戦相手と同時に対戦するものとしてもよいし、ユーザを含んだグループが、他のグループと対戦するいわゆるグループ対戦が可能であってもよい。
ゲーム媒体は、ゲームにおける各種の選択に関して、ユーザがその意思を伝えるために利用する媒体である。ゲーム媒体は、ユーザがその意思を伝えるために利用される対象として認識できる限りにおいて、カード、アイテム、駒等といった各種の態様で表現されてよい。ゲーム媒体は、ゲーム画面に表示される仮想的な媒体として用意されてもよいし、物理的な媒体としてユーザに提供されてもよい。例えば、物理的なカードをゲーム媒体として利用する場合、そのカードに記録された情報をユーザ装置3にて取得し、得られた情報に基づいて物理的なカードに対応する仮想的なゲーム媒体をゲーム中に出現させてもよい。物理的な媒体は、平板状のカードに限らず、立体形状のフィギュア等であってもよく、これらに記録された情報、又はそれに基づいた仮想的なゲーム媒体に関する情報をユーザ装置3が取得できる構成であってもよい。なお、以下では、特に断らない限り、ゲーム媒体が仮想的な媒体であるものとして説明を続ける。
ユーザ装置3にて提供されるゲームは、対戦の要素を含む限りにおいて、適宜のジャンルのゲームとして構成されてよい。ゲームは、ゲーム媒体の利用を介したユーザの選択に基づき、ゲームの仮想的な空間内でオブジェクトが行動して対戦が進行する要素をさらに含む。オブジェクトは、ゲーム内で行動する対象として観念されるものであればよい。ゲーム媒体とオブジェクトとは、必ずしも視覚的に区別されることを要しない。例えば、ゲーム媒体の一例としてのカードをゲーム画面に出現させる場合、カードに対応する立体的なキャラクタ、アイテム等をオブジェクトとしてゲーム内で行動させ、その行動の様子をゲーム画面に表示してもよい。一方、ゲーム画面に表示されたオブジェクトをユーザが直接的に操作してその行動等を選択できるようにしてもよい。この場合には、オブジェクトそれ自体がゲーム媒体として機能し、それらは視覚的に区別されない。したがって、ゲーム画面において、ゲーム媒体とオブジェクトとは、別の存在として把握できることもあれば、同一の存在として把握できることもある。ゲーム媒体の選択は、これを通じてオブジェクトを選択することになり、両者は実質的には同義である。
以上のように、ユーザ装置3では、ゲーム媒体を利用する対戦型の各種のゲームが提供されてよいが、本形態では、その種のゲームの一例として、サッカーゲームが提供されるものとして説明を続ける。図2はサッカーゲームにおけるゲーム画面の一例を示す。周知のように、サッカーゲームでは、ユーザ及び対戦相手のそれぞれの選手PL(参照符号は一部の選手のみに付してある。)が仮想的なフィールドFD内で現実のサッカーと同様に行動することにより対戦が進行する。選手PLはゲームの仮想的な空間内で動作するオブジェクトの一例である。ここでいう対戦は、現実のサッカーにおける試合を意味し、一回の対戦は、サッカーにおける一試合に相当する。図2のゲーム画面100は、フィールドFDにて選手PLが行動する様子を所定の視点から観察したものである。視点は、対戦の状況に応じて自動的に最適な位置に切り替えられる。ゲーム画面100の下部中央には、フィールドFDの全体における選手PLの位置を示すマップ101が表示され、上部にはユーザ及び対戦相手のチーム名、得点、経過時間(又は残り時間でもよい。)等を示す情報部102が付加される。さらに、少なくとも一部の選手PLに関しては、その名前等の属性が適宜に表示されてよい。
各選手PLの行動は、ユーザ装置3のコンピュータにより逐次繰り返して演算される。一連の演算結果に従って各選手PLが自動的に行動して対戦が進行する。選手PLの行動に対してユーザの意思を反映させるため、ゲーム媒体の一例としての選手カードが利用される。選手カードを利用する機会は、対戦が行われる前の適宜の時期、及び対戦中の所定の時期にユーザに付与される。
(2) ゲームの基本構成
図3は、ゲームの基本構成を示している。種々のゲームと同様に、本形態のゲームも、ユーザが選択可能な項目を階層化してユーザに提示し、ユーザの選択に応じた処理を実行する基本構成を有している。ユーザ装置3にてゲームプログラムが起動されると、ログイン処理その他の必要な処理を経て、所定のホーム画面が表示されたホームの状態となる。ホームでは、「マイチーム」及び「対戦」を含む複数の選択項目がユーザに提示される。「マイチーム」が選択されると、「チームマネジメント」及び「選手リスト」を含む複数の選択項目がユーザに提示される。「マイチーム」の下位として、例えば選手カードをユーザが有償又は無償で取得するための選択項目、あるいはゲームの各種の環境を設定するための選択項目等が適宜に加えられてもよい。
「選手リスト」は、自己が所有する選手カードの詳細をユーザが確認するための選択項目である。選手カードには、選手の能力、あるいは性能を表現する複数種類のパラメータ、例えば走力、体力、キック能力、ドリブル能力、守備力といったパラメータが設定されている。「選手」が選択された場合、ユーザは自己が所有する選手カードに関する各種の情報を確認することができる。
「チームマネジメント」は、ユーザが、選手カードの利用に形態に関して各種の選択を行うための選択項目である。「チームマネジメント」が選択された場合、「選手」及び「ゲームプラン」が下位の選択項目としてユーザに提示される。「選手」が選択されると、「選手入替」を含む複数の選択項目がさらにユーザに提示される。「選手入替」が選択された場合、ユーザは、選手カードに関するフィールド上の配置を選択することができる。サッカーには、フォワード、ミッドフィルダーといったポジションがあり、「選手入替」では、どの選手カードをどのポジションに配置するかをユーザが選択することができる。
「ゲームプラン」は、対戦における戦術を選択するための選択項目である。「ゲームプラン」が選択された場合、「フォーメーション」、「攻撃タイプ」、「攻撃エリア」、「守備タイプ」及び「守備エリア」が下位の選択項目としてユーザに提示される。これらの項目は、現実のサッカーにおける戦術に倣ったものである。「フォーメーション」は、選手カードのフォーメーション(配置)を設定するための選択項目である。例えば、「3-2-3-2」、「4-3-3」といったフォーメーションが選択可能である。「攻撃タイプ」、「攻撃エリア」、「守備タイプ」及び「守備エリア」は、対戦における戦術をユーザに選択されるための種類(カテゴリ)を示す。「攻撃タイプ」及び「攻撃エリア」は、攻撃時のカテゴリに属する戦術をユーザが指定するための選択項目であり、「守備タイプ」及び「守備エリア」は、守備時のカテゴリに属する戦術をユーザが指定するための選択項目である。「ゲームプラン」における選択は、一定の条件下において、対戦における選手の行動の演算に影響を与える。「ゲームプラン」における選択項目、及びそれらの選択が行動の演算に与える影響の具体例は後述する。
(3) 対戦の進行手順
次に、図3のホームにて「対戦」が選択された場合における対戦の進行手順の一例を説明する。「対戦」が選択されると、「チームマネジメント」における選択に基づいてサッカーの対戦が開始される。上述したように、対戦における選手の行動はコンピュータによって演算され、その演算が繰り返されることにより各選手が自動的に行動して対戦が進行する。これに対して、対戦の途中でユーザに選択の機会を与え、その選択結果を演算に反映させるため、本形態のゲームではターン制が導入されている。図4は、ターン制の仕組みの一例を示すものである。図4の例では、ユーザと対戦相手との間における攻守の切り替えを区切りとして、対戦が複数のターンに区分されている。攻守の切り替えは、選手の行動の演算の結果として、ボールの支配がユーザ側と対戦相手側との間で切り替わることにより発生する。ユーザ及び対戦相手のいずれがボールを支配しているかが明確に区分できない場合、例えばルーズボールが生じている状態では、ボールの支配が明確に切り替わった時点で攻守が切り替わったと判断すればよい。
ターンには、第1のターンの一例としての攻撃ターンと、第2のターンの一例としての守備ターンとが存在する。これらのターンは、ユーザ及び対戦相手のそれぞれに対して相互的かつ同時に発生する。すなわち、ユーザが攻撃ターンの場合、対戦相手は守備ターンであり、対戦相手が攻撃ターンの場合はユーザが守備ターンである。攻撃ターン及び守備ターンのそれぞれは、指示パートと動作パートとに区分される。図5にも示すように、指示パートは、ユーザ及び対戦相手が選手カードを選択するパートである。指示パートにおける選手カードの選択は、動作パートにおける演算に対する「影響力」の適用、及び「チーム戦術」の適用と関連付けられている。「影響力」及び「チーム戦術」は、動作パートにおける演算に影響を与える。その影響は、少なくともユーザにとって有利な状態が生じるように設定される。詳細は後述する。
図4に戻って、指示パートはターンの切り替えに連動して開始され、所定の制限時間が経過した時点、あるいは、制限時間が経過する前でもユーザ及び対戦相手のそれぞれが選択を終えれば終了する。動作パートでは、指示パートにおける選択の結果を参照しつつ選手の行動が演算され、演算結果に従って選手が自動的に行動する。動作パートにおける演算結果に基づいて攻守の切り替えが発生すると、一回の攻撃ターン及び守備ターンが終了し、ユーザ及び対戦相手の間で攻撃ターン及び守備ターンが入れ替わる。それにより、次のターンの指示パートが開始される。対戦は前半戦及び後半戦に分れており、前半戦及び後半戦のそれぞれの試合時間が経過した時点でもターンが終了する。
(4) ゲーム内容の具体例
次に、図6~図39を参照してゲーム内容の具体例を説明する。
(4-1) 選手カード
図6は、図3の「選手リスト」が選択された場合に表示される選手リスト画面110の一例を示している。選手リスト画面110には、ユーザが所持する選手カードCDが一覧表示される。選手カードCDは、選手を顔等で代表して表現する選手画像cd1、得意ポジションcd2、パラメータ総合値cd3、及びコストcd4を含む。得意ポジションcd2は、その選手カードCDに対応する選手が得意とするフォーメーション上のポジションをその略称としてのアルファベット文字列で示すものである。例えば、センターフォワードを得意とする選手に対応した選手カードCDには、「CF」が得意ポジションcd2として表示される。パラメータ総合値cd3は、選手カードCDに対応付けて設定された各種のパラメータの値を所定の計算式で総合した値である。パラメータ総合値cd3は、選手カードCDに対応する選手の総合的な能力の高低を示す。数値が大きいほど選手の能力が高い。コストcd4は、その選手カードCDを対戦で利用する場合に必要となるコストの大小を示すものである。総合的な能力が高いほどコストが増加するように、選手カードCDに応じてコストcd4が差別化されてよい。
選手リスト画面110にていずれかの選手カードCDが選択されると、選手詳細を示す詳細画面111が、例えばポップアップウィンドウの形式で表示される。詳細画面111は、選手カードCDに対応する選手の名前、タイプ等の基本情報を表示する状態(図6左下)と、選手カードCDに対応付けられた各種のパラメータの値を表示する状態(図6右下)との間で切り替え可能である。
(4-2) 選手カードの配置
図7は、「チームマネジメント」が選択された場合に表示されるチームマネジメント画面120の一例を示している。チームマネジメント画面120は、下位の選択項目である「選手」及び「ゲームプラン」のそれぞれに応じた選択領域121を含む。チームマネジメント画面120は、選択領域121の選択に応じてその表示内容が変化する。図7は「選手」が選択された場合の表示内容を示している。図7のチームマネジメント画面120は、ユーザが選択可能な項目を示すメニュー122、及びサッカーのフィールドを示すマップ123を含む。マップ123には、選手カードCDを配置することが可能なフォーメーション上のポジションが設定される。図7では、各ポジションに選手カードCDが配置されている。図7のマップ123におけるポジションの配置は、図3の「フォーメーション」の選択に応じて変化する。マップ123上の11か所のポジションに配置された11枚の選手カードCDが対戦におけるデッキを構成する。デッキに含まれる選手カードCDに対応する選手がユーザのチームにて試合に出場する選手となる。
メニュー122から「選手入替」が選択されると、チームマネジメント画面120の表示内容が図8の状態へと変化する。図8の状態では、対戦にて利用することが可能な選手カードCD群が左側の候補リスト124に並べて表示される。候補リスト124の選手カードCDは、ユーザが所有する選手カード群の少なくとも一部である。候補リスト124には、ユーザが所有していない選手カードCDがコンピュータの制御によって適宜に追加されてもよい。例えば、対戦に必要な11枚以上の選手カードCDをユーザが所有していない場合には、適宜の選手カードCDが候補リスト124に追加されてもよい。
図8(a)に示すように、候補リスト124からいずれかの選手カードCD(図示例では選手Aのカード)をユーザがタッチして選択し、その選択した選手カードCDを図8(b)に示すようにマップ123上のいずれかのポジションにドラッグ操作すると、図8(c)に示すように移動先のポジションに配置された選手カードCD(図示例では選手Bのカード)が、ドラッグ操作された選手カードCDと入れ替えられる。ユーザは、このような操作を適宜に行うことにより、フォーメーション上における11か所のポジションのそれぞれに選手カードCDを適宜に配置することができる。以上のようにしてマップ123上の各ポジションの選手カードCDが定まると、それらの選手カードCDの配置に対応して、フィールド上で各選手が果たすべき役割としてのポジションも定まる。
選手カードCDの配置に関しては、コンピュータが自動的に決定する自動設定が選択可能であってもよい。自動設定では、一例として、フォーメーション上のポジションと選手カードCDの得意ポジションとが一致することを優先しつつコンピュータが候補リスト124から選手カードCDを選択して各ポジションに配置してもよい。また、「選手入替」における選択では、得意ポジションとは異なるポジションに選手カードCDが配置されてもよい。ただし、得意ポジション以外のポジションに配置された選手カードCDについてはパラメータの総合値が減少する。一例として、図9にて参照符号CDzが付された選手カードは、得意ポジション以外に配置されてそのパラメータ総合値が減少している。この場合、得意ポジション及びパラメータ総合値について表示色等の視覚要素を変更して、得意ポジションとの不整合及びパラメータ総合値の減少をユーザに明示してもよい。
パラメータの総合値の減少は、その選手カードCDが得意ポジションに配置された場合と比較して、選手の能力等が低下してその行動が制限されるように作用する。したがって、選手カードCDを得意ポジションに配置することが対戦では有利である。そのため、フォーメーション上のポジションごとに、そのポジションを得意ポジションとする選手カードCDを揃えることがユーザにとっては好ましく、この点で、各種の選手カードCDを収集するモチベーションをユーザに与えることができる。なお、各ポジションに対して得意ポジションが一致する選手カードCDを配置することが可能な場合であっても、ユーザが得意ポジション以外のポジションに選手カードCDを配置することは自由である。例えば、お気に入りの選手カードCDを優先的に利用して対戦した場合には、敢えて得意ポジション以外のポジションに選手カードCDを配置する、といった選択が可能である。
(4-3) ゲームプランの選択
図10は、チームマネジメントにて「ゲームプラン」が選択された場合に表示されるゲームプラン設定画面130の表示内容を示している。ゲームプラン設定画面130は、「フォーメーション」、「攻撃タイプ」、「攻撃エリア」、「守備タイプ」及び「守備エリア」を選択項目として含むメニュー131と、フィールド上のフォーメーションを示すマップ132とを含む。メニュー131の選択項目は、図3の「ゲームプラン」の下層の選択項目に対応する。マップ132には、「フォーメーション」で選択されているフォーメーションに対応した配置に従ってポジション指標133が表示される。ポジション指標133には、フォーメーション上のポジションがその略語を用いて表示される。例えば、センターフォワードのポジション指標133には「CF」が付され、左ウィングに対応したポジション指標133には「LWG」が付されるといったごとくである。
各ポジション指標133には、円形のブランク134及び矩形のブランク135がそれぞれ二つずつ設けられている。ブランク134、135のそれぞれの一部には、戦術マーク136が表示される。戦術マーク136は、メニュー131の選択項目である「攻撃タイプ」、「攻撃エリア」、「守備タイプ」及び「守備エリア」のそれぞれに対応付けて4種類が存在する。戦術マーク136は、「攻撃タイプ」、「攻撃エリア」、「守備タイプ」及び「守備エリア」のそれぞれに関して、ユーザが選択したチーム戦術と選手カードCDとを関連付けるものである。一つのポジション指標133に対して、二つずつブランク134、135が設けられているため、一つのポジションに対して攻撃側及び守備側の戦術マーク136をそれぞれ二つずつ、最大で合計四つの戦術マーク136を設定することができる。一方で、戦術マーク136が設定されないポジションが存在してもよい。図10の例では、「CMF」のポジション指標133に四つの戦術マーク136が設定され、「GK」、「CB」のポジション指標133のそれぞれには、戦術マーク136が設定さていない。
戦術マーク136は、対応するチーム戦術に応じて視覚的に差別化されている。戦術マーク136の外観は、「攻撃タイプ」等の選択項目との対応関係が識別できる限りにおいて適宜でよい。さらに、攻撃に関する戦術である「攻撃タイプ」及び「攻撃エリア」の間で戦術マーク136に共通の要素を付与し、守備に関する戦術である「守備タイプ」及び「守備エリア」の間では、攻撃側の戦術とは異なる要素を戦術マーク136に共通して付与することにより、戦術マーク136が攻撃又は守備のいずれに関連する戦術マーク136であるかを識別可能としてもよい。例えば、攻撃側の戦術マーク136の色彩を統一し、守備側の戦術マーク136をそれとは異なる色彩で統一するといったように共通の要素が付与されてもよい。戦術マーク136の対応付けを示すため、メニュー131の「攻撃タイプ」、「攻撃エリア」、「守備タイプ」及び「守備エリア」には、各選択項目に対応する戦術マーク136が付されている。フォーメーション上のポジションと戦術マーク136との対応関係は、「フォーメーション」、「攻撃タイプ」、「攻撃エリア」、「守備タイプ」及び「守備エリア」のそれぞれにおける選択に応じて適宜に変更される。選択に応じた変化の具体例は後述する。
図10のメニュー131から「フォーメーション」が選択されると、図11のフォーメーション選択画面140が表示される。フォーメーション選択画面140は、ユーザが選択可能なフォーメーションの候補を示すメニュー141と、マップ132とを含む。マップ132は図10のマップ132と同じであるが、メニュー141に選択的に表示されるフォーメーションに応じてポジション指標133の配置、及びポジション指標133と戦術マーク136との間の対応関係が変化する。例えば、図11は「3-3-3-3」のフォーメーションが選択されている場合のマップ132を示し、図12は「3-1-4-2」のフォーメーションが選択されている場合のマップ132を示している。
図10のメニュー131から「攻撃タイプ」が選択された場合には、図13の攻撃タイプ選択画面150が、「攻撃エリア」が選択された場合には、図14の攻撃エリア選択画面160が、「守備タイプ」が選択された場合には、図15の守備タイプ選択画面170が、「守備エリア」が選択された場合には、図16の守備エリア選択画面180がそれぞれ表示される。画面150、160、170、180のそれぞれは、ユーザが選択可能な選択項目を示すメニュー151、161、171、181と、マップ132とを含む点でフォーメーション選択画面140と共通する。選択項目の一例として、図13の攻撃タイプ選択画面150では、「ポゼッション」及び「カウンター」が、図14の攻撃エリア選択画面160では、「左サイドアタック」、「中央突破」及び「右サイドアタック」が、図15の守備タイプ選択画面170では、「フォアチェック」及び「リトリート」が、図16の守備エリア選択画面180では、「中央ディフェンス」及び「サイドディフェンス」がそれぞれ用意されている。マップ132における戦術マーク136の配置はそれらの選択に応じて適宜に変化する。また、図13~図16の画面150、160、170、180では、マップ132の一部に、戦術エリア指標137がさらに表示される。戦術エリア指標137は、チーム戦術が適用される対象領域を示すものである。戦術エリア指標137は、例えばグラデーション等を用いて示されてよい。戦術エリア指標137の位置は、「攻撃タイプ」、「攻撃エリア」、「守備タイプ」及び「守備エリア」のそれぞれの選択に応じて適宜に変化する。これらの選択項目とチーム戦術の対象領域との対応関係の具体例は後述する。
(4-4) 指示パートにおける選択
図17は、対戦中に、各ターンの指示パートで表示される指示画面200の一例を示している。指示画面200は、対戦状況表示部201、手札表示部202、戦術表示部203、コスト表示部204、及び残時間表示部205を含んでいる。対戦状況表示部201には、指示パート開始時点、言い換えれば前回の動作パートの終了時点における対戦の状況として、ユーザ及び対戦相手のそれぞれのチームの得点、対戦の経過時間、フィールドにおけるボールの位置、敵味方の選手の位置が識別できるようにして表示される。
手札表示部202には、今回の指示パートにてユーザが選択可能な所定枚数(一例として5枚)の選手カードCDがユーザの手札として表示される。手札は、ユーザのデッキ、つまりフォーメーションの各ポジションに配置した11枚の選手カードCDから所定の手法で選択される。選択の具体例は後述する。手札表示部202にて選択された選手カードCDにはチェックマーク等の選択マーク202aが付される。
手札表示部202には、影響力マップ206が選手カードCDと1対1に対応付けて表示される。選択されている選手カードCDの影響力マップ206は、選択されていない選手カードCDに対応する影響力マップ206よりも目立つように、明暗差等を用いて差別化して表示される。影響力マップ206には、選手カードCDに対応して設定されるフィールド内の影響領域を示すエリア画像207が付加される。影響領域は、選手カードCDの選択に対応して影響力が発生するフィールド上の領域である。影響力は、影響領域内で選手が行動する場合のその行動の演算に対して所定の影響を与える概念である。影響領域は、選手カードCDに応じてその設定位置が差別化される。
手札表示部202には、選手カードCDに関連付けられた戦術マーク136も表示される。上述したように、選手カードCDと戦術マーク136とは、図10~図16に例示したフォーメーション上の各ポジションに選手カードCDを配置することによって相互に関連付けられる。例えば、攻撃タイプに対応する戦術マーク136が付されたポジションに選手カードCDを配置すると、その選手カードCDと戦術マーク136とが関連付けられる。つまり、戦術マーク136は選手カードCDと直接的に関連付けられているものでない。戦術マーク136は、フォーメーション上のポジションを媒介として選手カードCDと関連付けられる。
戦術表示部203には、ユーザが攻撃ターン又は守備ターンのいずれであるかが「攻撃」又は「守備」の文言によって区別して表示される。戦術表示部203には、ユーザがゲームプランで選択した戦術に関して、攻撃ターンの場合は「攻撃タイプ」及び「攻撃エリア」のそれぞれの戦術が、守備ターンの場合は「守備タイプ」及び「守備エリア」の戦術がさらに表示される。図17の例では、ユーザが攻撃ターンであって、攻撃タイプとして「ポゼッション」が選択され、攻撃エリアとして「中央突破」が選択されていることが示されている。
戦術表示部203には、攻撃ターン又は守備ターンに合わせて、攻撃側又は守備側の戦術に対応した戦術マーク136が、指示パートにおける選手カードCDの選択に基づいて表示される。例えば、攻撃ターンの場合には、「攻撃タイプ」及び「攻撃エリア」のそれぞれに対応する戦術マーク136が選手カードCDの選択に基づいて表示される。ユーザが、「攻撃タイプ」に対応する戦術マーク136と関連付けられた選手カードCDを1枚選択すると、これに対応して、戦術表示部203の「攻撃タイプ」に関しても1個の戦術マーク136が表示される。戦術表示部203における戦術マーク136の表示数は、戦術を発生条件の達成状況に対応する。すなわち、各戦術は、対応する戦術マーク136と関連付けられた所定枚数の選手カードCDが指示パートで選択された場合に、その発生条件が満たされ、その戦術に対応した効果が動作パートにおける演算に反映される。図17の例では、「攻撃タイプ」の戦術マーク136と関連付けられた2枚の選手カードCDが選択されると、戦術表示部203の「攻撃タイプ」としての「ポゼッション」の戦術に関する発生条件が満たされる。ただし、戦術の発生条件を満たすためには、同一の戦術に関連付けられた最低2枚の選手カードCDを選択すれば足りる。同一の戦術に関連付けられた3枚以上の選手カードCDが選択されることは妨げられない。
選手カードCDの選択には、コストによる制限が課せられる。一回の指示パートにて消費可能なコスト(以下、上限コストと呼ぶことがある。)がコスト表示部204に示される。選手カードCDを選択すると、その選出カードCDに対して設定されているコスト(図6のコストcd4である。)がコスト表示部204の上限コストから減算される。したがって、ユーザは、上限コストを超えない範囲で1枚又は複数枚の選手カードCDを選択することができる。上限コストは、適宜のタイミングで増加する。例えば指示パートの開始時に所定値が上限コストに加算される。上限コストには最大値が設定されてもよい。図17の例では、上限コストの最大値が10であることが示されている。また、指示パートには制限時間がある。残時間表示部205には、一回の指示パートにおける残り時間が例えば円グラフ状の態様で表示される。
以上の説明から明らかなように、指示パートにおける選手カードCDの選択は、動作パートにおける演算に対して、影響力及びチーム戦術の二つの観点で反映され得る。ユーザは、攻撃ターン及び守備ターンのいずれの場合でも、上限コストの範囲内かつ限られた時間内で、選手カードCDに対応するエリア画像207、及び戦術マーク136を考慮して選手カードCDを選択する必要がある。つまり、フィールド内のどの位置をエリア画像207に示される影響領域とすべきか、あるいは選択したチーム戦術を発生させるべきか否か、といった事項を考慮して戦略的に選手カードCDを選択することがユーザに求められる。これにより、ゲームの戦略性が高まり、ひいてはゲームの興趣を高めることができる。
選手カードCDと戦術とが直接関連付けられるのではなく、フォーメーション上のポジションというユーザの選択肢を媒介として戦術と選手カードCDとが関連付けられる。そのため、ユーザは、各種の戦術に対応する選手カードCDを揃えなくとも、選手カードCDを配置するポジションの選択を介して、選手カードCDを所望の戦術の発生のために用いるべきゲーム媒体として設定することができる。したがって、ゲーム媒体を十分に揃えていないユーザでも各種の戦術を発生させることが可能である。そのため、戦術を用いることによって生じるゲームの戦略性、遊戯性を多くのユーザが享受することができ、ゲームの興趣が高まる。
上述したように、フォーメーション上のポジションには、複数の戦術マーク136が表示されるポジションが含まれることがある。例えば、図10では「CMF」のポジション指標133に、攻撃側及び守備側のそれぞれに二つずつ合計四つの戦術マーク136が設定されている。そのポジションに配置される選手カードCDに関しては、すべてのカテゴリの戦術と関連付けられる。その選手カードCDが手札表示部202に手札として含まれる場合、ユーザは、攻撃ターン及び守備ターンのいずれのターンであるかを問わず、その選手カードCDを戦術発生のために必要な選手カードCDとして選択することができる。このような選手カードCDは、攻撃ターン及び守備ターンのいずれでも効果発生のために用いることが可能な特定ゲーム媒体の一例として機能する。
少なくとも一枚の選手カードCDを特定ゲーム媒体の一例として機能させることにより、その選手カードCDの戦略上の価値を高めることができる。また、攻撃ターン又は守備ターンのいずれか一方のターンに限って戦術発生のために用いることが可能な選手カードCDのみを設ける場合と比較して、戦術発生のために選手カードCDを選択し得る機会をユーザにより多く与えることが可能である。したがって、攻撃ターン又は守備ターンにて戦術を発生させる選択の余地がない状況が生じる頻度を低下させることができる。攻撃ターン及び守備ターンは、ユーザと対戦相手とに相互的かつ同時的に発生するため、いずれか一方のターンに限らず、両ターンにてユーザに戦術発生のための選択の機会を与えることにより、対戦における駆け引きの多様性、あるいは柔軟性を高めることが可能である。それにより、ゲームの興趣をさらに高めることができる。
なお、攻撃ターン及び守備ターンのいずれでも戦術発生のために用いることができる選手カードCDを発生させるためには、同一のポジションに対して、攻撃側の一以上の戦術マーク136、及び守備側の一以上の戦術マーク136のそれぞれを対応付ければよい。攻撃側又は守備側の少なくともいずれか一方に関して、2以上の戦術マーク136を同一ポジションに対応付けることは必ずしも必要ではない。図17の例では、手札表示部202の左端から2枚の選手カードCDのみならず、右端の選手カードCDも特定ゲーム媒体の一例として機能する。
一方、図10の「CMF」のポジション指標133に例示されるように、攻撃側又は守備側の少なくともいずれか一方の側の戦術に関して、複数の戦術マーク136が同一のポジション指標133に対応付けられた場合には、一枚の選手カードCDを、同一ターンで複数の戦術の発生条件を満たすために必要な選手カードCDとして利用することができる。これによっても、選手カードCDの戦略上の価値を高めることが可能である。図17の例では、手札表示部202の左端から2枚の選手カードCDが攻撃側、守備側のそれぞれに関して二つの戦術マーク136と関連付けられている。したがって、それらの選手カードCDを、攻撃ターンでは「攻撃タイプ」及び「攻撃エリア」のそれぞれの戦術を発生させるための選手カードCDとして機能させ、守備ターンでは「守備タイプ」及び「守備エリア」のそれぞれの戦術を発生させるための選手カードCDとして機能させることが可能である。
図18は、指示パートにおけるデッキと手札との関係の一例を示している。図18では、デッキ内の11枚の選手カードを選手ID1~11で区別して示している。対戦開始時には、デッキ内の11枚の選手カードから、5枚の選手カードが手札としてランダムに選択される。残りの6枚の選手カードは山札として残される。山札の6枚の選手カードについては並び順が適宜に決定される。図18では、左端が並び順の先頭、右方が並び順の後方である。対戦開始後の1ターン目(ユーザにとっては、攻撃ターン又は守備ターンのいずれか一方のターンである。)の指示パートでは、手札から1~5枚の選手カードが上限コストの範囲内で選択される。選択された選手カードは手札から除去される。それにより、手札の枚数は、選択された枚数だけ減少する。次のターン(攻撃ターン又は守備ターンのいずれか他方のターンである。)では、手札における不足枚数に等しい枚数の選手カードが山札から手札へと補充される。補充は、山札における選手カードの並び順に従って先頭から順に行われる。また、先のターンで手札内から除去された選手カードは、山札の後方に補充される。以上の繰り返しにより、各ターンで5枚の選手カードが手札として揃えられてユーザに提示される。
(4-5) 影響力
次に、図19~図27を参照して影響力の例を説明する。上述したように、影響力は、指示パートにて選択した選手カードCDのフォーメーション上のポジションに対応付けて発生する。図19に示したように、フィールドFDは、縦横にマトリクス状に複数のセグメントSGに区分されている。図19では、フィールドFDの前後方向(ゴールが対向する方向)をX軸方向、左右方向をY軸方向で示している。また、以下ではセグメントSGを図中のフィールド外に添えられたX軸方向の座標値0~7、及びY軸方向の座標値0~4の組み合わせによって特定することがある。各方向におけるフィールドFDの分割数は一例であり、適宜に設定されてよい。図19の例では、分割数を少なく示しており、実際にはフィールドFDが多数のセグメントSGに分割されてよい。
図7のマップ123の選手カードCDの位置、及び図10~図16のマップ132に示された各ポジション指標133の位置は、いずれか一つのセグメントSGと対応付けられる。したがって、ユーザが選択したフォーメーション、及びフォーメーション上の各ポジションに配置された選手カードから、指示パートにて選択された選手カードに対応するセグメントSGが一義的に定まる。なお、図10~図16のポジション指標133に含まれるポジションの略称は、セグメントSGの分割数に合わせて細分されることを必ずしも要しない。例えば、図19の座標値[0、1]、座標値[0、2]及び座標値[0、3]のそれぞれのセグメントSGに関して、マップ132上ではセグメントSGに対応してポジション指標133の位置を変える一方で、ポジション指標133ではセンターフォワードを示す「CF」が表記されてもよい。選手カードCDに対応付けられる得意ポジションもセグメントSGと1対1に対応付けられることを必ずしも要しない。互いに隣接する複数のセグメントSGが得意ポジションとして対応付けられてもよい。
図20に例示したように、「RWG」(右ウィングの略称である。)を得意ポジションとする選手カードCDが、フォーメーション上もRWGのポジションに配置され、この選手カードCDが図17の指示画面200にて手札から選択されたと仮定する。この場合、図20に示したように、選手カードCDが配置されたポジションに対応する座標[0、4]のセグメントSGを基準として、その基準のセグメントSGから離れるほど減少するようにして各セグメントSGに影響力が設定される。影響力は、最小値0から最大値100までの範囲で設定される。ただし、最大値は一例である。影響力は整数に限ることを必ずしも要しない。
選手カードCDのポジションに対応するセグメントSGの影響力は、上述した最大値を超えない範囲で、選手カードCDのパラメータの総合値(図6のパラメータ総合値cd3に相当。)が大きいほど大きくなるように設定される。また、影響力の分布に関しても、選手カードCDに対応付けて定められている。0よりも大きな影響力が設定されたセグメントSGの範囲が図20にて太線で囲まれた影響領域EAに相当する。図17の指示画面200の影響力マップ206では、影響領域EAがエリア画像207として表示される。エリア画像207は、グラデーション等の階調表現、色変化等を用いて影響力の大小分布をユーザが識別可能な態様で表現するように構成される。
影響力が動作パートの演算に与える影響は、一例として、影響領域EA内で行動する選手のパラメータの値を、選手カードに対応付けて定められた基本的な値(以下、これを基本値と呼ぶことがある。)から変化させることによって発生させる。なお、選手のパラメータの値は、選手カードに設定されたパラメータの基本値に対して可変的な値として観念することができるが、選手カードのパラメータの値が影響力に応じて変化すると捉えることも可能である。よって、選手カードのパラメータの値も選手のパラメータの値も実質的には同義である。また、図9に示すように、得意ポジション以外のポジションに選手カードが配置された結果として選手カードのパラメータの値が減少した場合には、その減少後の値が基本値とされてよい。つまり、影響力をいう場合のパラメータの基本値は影響力による変化を与える前の前提となる値であって、他の要因に起因して変更された値であってもよい。
図21は、影響力がパラメータの値に与える変化の一例を示している。図21の影響力の分布は図20の例に合わせてある。いずれかの選手が影響領域EA内で行動する場合、その選手の少なくとも一種類のパラメータの値が、影響力に基づいて増加する。図21の例では、選手の走力のパラメータの値が影響力に応じて変化する例が示されている。走力の値は、影響力の大小が基本値に対する増分の大小に反映されるように変化する。例えば、影響力が15の場合の走力が80、影響力が45の場合は走力が82に上昇するといったごとくである。
影響力の大小と、パラメータの値の増分との対応関係は比例的であってもよいし、影響力を段階に区分し、段階に応じて増分を変化させるといった関係であってもよい。一例として、影響力の範囲が0~100である場合、図22に示すように、影響力を「0~19」、「20~39」、「40~59」、「60~79」及び「80~100」の5段階に区分し、各段に応じてパラメータの値の増分(増加数)を1ずつ増加させるといったように対応関係が設定されてよい。図21は、図22の段階に応じた増加が適用された例である。
影響力に応じたパラメータの増加は、影響力を発生させる選手カードに対応した選手、すなわち、指示パートにて選択された選手カードに対応する選手に限って適用されるものではない。ユーザの自チーム内の選手であれば、影響領域内で行動する限りにおいて、影響力に応じたパラメータの増加が適用される。ただし、パラメータの変化が適用される対象の選手が適宜の条件を付して制限されてもよい。例えば、指示パートで選択された選手カードのフォーメーション上のポジションに対して、一定の範囲内のポジションに配置された選手カードに対応する選手に限って影響力が適用されるといった制限が課されてもよい。指示パートでセンターフォワードの選手カードが選択された場合、センターフォワード及び左右のウィングの選手のみが適用対象となるといったごとくである。
指示パートでは、複数枚の選手カードが選択される場合がある。この場合、選手カードごとに影響力を発生させ、フィールドの全体では、各選手カードに対応した影響力を合計するように影響力の分布が決定されてもよい。その一例を図23に示す。図23では、例えば左センターミッドフィルダー(LCMF)の選手カードに対応する影響力が同図(a)に示すように分布し、左ウィングの選手カードに対応する影響力が同図(b)に示すように分布していると仮定する。この場合、両者の影響力をセグメントSGごとに合計することにより、同図(c)に示すように全体としての影響力分布が定められてよい。例えば、座標値[0、0]のセグメントSG(右上端のセグメントSG)について着目すると、同図(a)では影響力が2、同図(b)では影響力が66であるため、全体としての影響力は同図(c)に示すように68である。
指示パートでは、ユーザのみならず対戦相手にも並行して選手カードを選択する機会が与えられる。影響力は対戦相手に関しても発生させてもよい。その場合、同一のフィールド上でユーザの選択に基づく影響力と、対戦相手の選択に基づく影響力とが発生する。したがって、ユーザ及び対戦相手の選択に基づく影響力をセグメントSGごとに重ね合わせてフィールド全体における影響力の分布が定められてもよい。その一例を図24及び図25に示す。図24は、対戦相手が左ミッドフィルダーのポジションの選手カードを選択したときの影響力分布の一例を示す。対戦相手は、ユーザの反対側のサイドとなるため前後左右方向はユーザのそれとは反転する関係にある。したがって、影響力も前後左右に反転した分布で生じる。図24は、図23(a)の分布を反転させた例である。ユーザによる選手カードの選択に対応した影響力が図23(c)の分布で発生する場合、対戦相手の影響力分布と重ね合わせるためには、図24の影響力の正負を反転させて影響力を負の値で表現し、その値をセグメントごとに図23(c)の影響力に加算すればよい。その結果を図25に示す。例えば座標値[3、1]のセグメントSGに着目すれば、ユーザの選択に基づく影響力が26(図23(c))、対戦相手の選択に基づく影響力が8(図24)であるため、重ね合わせ後の影響力は18(=26-8)である。
上述した重ね合わせの結果として、影響力が負の値となるセグメントが発生することがある。例えば、図25では、座標値[3、4]のセグメントSG等の影響力が負の値となる。負の値の影響力に関しては、ユーザのチームの選手に対するパラメータの値に反映されない。つまり、影響力は、ユーザの選手に関してパラメータの値を増加させる正の影響力に限って用いられ、負の影響力がパラメータの値を減少させるために用いられることはない。また、対戦相手に関しても、対戦相手の選手のパラメータをユーザの選手に関してパラメータの値を増加させる正の影響力に限って用いられ、負の影響力が対戦相手の選手のパラメータの値を減少させるために用いられることはない。ただし、負の値の影響力をパラメータの値の減少のために用いるようにしてもよい。なお、ユーザ及び対戦相手のそれぞれの選択に基づく影響力の分布を重ね合わせる場合、対戦相手に対する影響力の分布は、ユーザに対する影響力の正負を入れ替えた分布とすればよい。
上述したように、影響力の分布は選手カードごとに予め定められている。例えば、図26(a)に示したように、一の選手カードに対しては、フィールド上のどのセグメントSGに配置されても対応が可能となるように前後左右に広い範囲で基本領域BA(図中の太線で囲まれた領域)が設定され、その基本領域BA内における影響力の分布が設定されている。選手カードが指示パートで選択された場合には、基本領域内で影響力が最大となる基準セグメントSGcを、選手カードが配置されたポジションに対応するセグメントSGに一致させて基本領域BAの各セグメントSGをフィールドの各セグメントSGと対応付ける。そして、基本領域BA内でフィールド外となるセグメントSGを除外する。それにより、図26(b)に示すように影響領域EAを特定し、その影響領域EA内における各セグメントSGの影響力を定めることができる。
以上に説明したように、影響力は、各ターンの指示パートにおけるユーザ及び対戦相手のそれぞれの選手カードの選択に基づいてその分布が定められ、正の影響力が設定されたセグメントSGの集合が影響領域EAとして定まる。設定された影響力は、指示パートに続く動作パートにて選手が影響領域EA内に位置するときにその選手のパラメータを増加させるように作用し、その結果として当該選手の行動の演算に影響を与える。例えば、選手の走力のパラメータの値を基本値よりも増加させた場合、選手が走るときの速度が影響領域EA内では影響領域EA外よりも速くなるといった影響が生じる。影響力によるパラメータの変化は、その影響力が発生した指示パートと同一ターン内の動作パートの開始時から終了時まで、言い換えれば次に攻撃ターンと守備ターンとが入れ替わるまでの期間を対象期間としたときに、その対象期間内の少なくとも一部に適用される。例えば、対象期間の全てで影響力によるパラメータの増加を生じさせてよい。一方で、例えばパラメータを増加させる回数、時間、選手の人数等に上限を設定し、対象期間内であっても、その上限を超えない範囲でパラメータの値を変化させてもよい。あるいは、一ターン内で時間の経過に伴って影響力を徐々に減少させるといったように、対象期間内で影響力に変化を与えてもよい。
一方、影響力は、対象期間を超えて、次のターンにも少なくとも一部が残存するものとしてもよい。つまり、一回の指示パートにおける選択に基づいて設定される影響力は、その指示パートを含む同一ターン内に限って適用されてもよいし、複数のターンに亘って適用されてもよい。一ターンにおける影響力を次回以降のターンにも適用する場合には、新たなターンにおける選手カードの選択に基づいて定まる影響力と、前回のターンにおける影響力とを重ね合わせて新たな影響力の分布を定めてもよい。その場合、前回のターンにおける各セグメンSGの影響力をそのまま重ね合わせてもよいし、前回の影響力を低下させて重ね合わせてもよい。後者の場合の一例を図27に示す。前回のターンにおける影響力の分布が図27(a)の通りに設定されていた場合、次のターンでは、各セグメントSGの影響力を一律に25ずつ低下させて図27(b)の分布を得る。この分布を例えば残存影響力の分布とする。そして、次のターンでは、指示パートの選択に基づいて定まる各セグメントSGの新たな影響力に、各セグメントSGの残存影響力を加算し、得られた値を各セグメントSGの影響力として決定すればよい。なお、残存影響力は、一律の値を減少させる例に限らず、1未満の一定比率を乗じて求めるといったごとく適宜の手法で決定されてよい。
上記の例では、影響力を、ユーザの選手に対するパラメータの値を増加させるための値として用いたが、対戦相手の選手に対するパラメータの値を減少させるための値として用いることも可能である。例えば、対戦相手の選手が影響領域EAに位置するとき、その選手のパラメータの値を影響力相当量低下させるといった態様で影響力が適用されてもよい。影響力を用いたパラメータの変化は、影響領域に位置する選手に対応した選手カードのフォーメーション上のポジション、あるいは得意ポジションといった各種の情報をさらに加味して調整されてもよい。例えば、影響領域に得意ポジションが含まれる選手のパラメータはそれ以外の選手と比してより大きく増加するといった調整が行われてもよい。
(4-6) チーム戦術
次に、図28~図38を参照してチーム戦術の例を説明する。上述したように、図17の例では、ユーザが指示パートにて同一カテゴリの戦術マーク136と関連付けられた2枚の選手カードCDを選択することにより、そのカテゴリの戦術の発生条件が満たされてその戦術に応じた効果が動作パートの演算に反映される。戦術が発生した場合の効果は、影響力に対する補正と、動作パートにおける演算傾向の変化の2種類がある。影響力の補正は、戦術に対応付けて設定される対象領域内に限り、上述した影響力の値をさらに増加させるというものである。一方、演算傾向の変化は、対象領域内で選手が行動する可能性が高まるように、動作パートの演算傾向を変化させるというものである。以下、順を追って詳細を説明する。
A.チーム戦術の内容
図28は、戦術マークと、各カテゴリにおける戦術の選択肢と、選手の行動の傾向と、影響力に与える変化との対応関係の一例を示している戦術の選択肢は、上述した図13~図16でも示した通り、「攻撃タイプ」に関して「ポゼッション」及び「カウンター」が、「攻撃エリア」に関して「中央突破」、「左サイドアタック」及び「右サイドアタック」が、「守備タイプ」に関して「フォアチェック」及び「リトリート」が、「守備エリア」に関して中央ディフェンス」及び「サイドディフェンス」がそれぞれ用意されている。これらの戦術は、現実のサッカーにて採られることがある戦術に倣ったものである。また、選手の行動の傾向は、演算傾向を特徴付けるものであって、現実のサッカーのそれに倣った傾向が設定される。例えば、「攻撃タイプ」に関する「ポゼッション」の戦術では、ボールキープを優先し、味方の選手がボールをキープしている選手をサポートするような動きを示す傾向が傾向として設定される。一方、「カウンター」の場合には、前方に仕掛けることを優先し、味方の選手も積極的に前方に飛び出すような傾向が設定される。
「攻撃エリア」に関する戦術は、攻撃の比重を置くエリアの観点で差別化されている。「中央突破」はフィールドの中央で攻撃を組み立てる傾向が、「右サイドアタック」はフィールドの右サイドに展開して攻撃を仕掛ける傾向が、「左サイドアタック」はフィールドの左サイドに展開して攻撃を仕掛ける傾向がそれぞれ設定される。「守備タイプ」に関する「フォアチェック」の戦術では、敵陣内の高い位置(前方の位置)からプレッシャをかけてボールを奪い返すことを試みる傾向が設定され、「リトリート」の戦術では、自陣内に後退して守備を固める傾向が設定される。「守備エリア」に関する戦術は、守備の比重を置くエリアの観点で差別化されている。「中央ディフェンス」は敵方の選手をフィールドの中央に追い込んでボールを奪おうとする傾向が、「サイドディフェンス」は、敵方の選手を左右のサイドに追い込んでボールを奪おうとする傾向がそれぞれ設定される。
図28の「補正率」は、影響力の補正内容を示すものである。図示の例では、指示パートにて、同一カテゴリに対応する選手カードCDが選択された枚数を、2枚~5枚の間で区別して枚数が多いほど補正率を20%ずつ高めるものとして補正内容が設定されている。補正率は、図23にて例示したように、ユーザの選択に応じて設定される影響力に対しての増加率である。例えば補正前の影響力が20、補正率が20%であれば補正後の影響力は24である。補正率と枚数との関係は、全ての戦術に対して等しく設定される。
B.対象領域及び戦術マークの設定
次に、図29~図32を参照して、戦術ごとの対象領域の設定の例を説明する。それらの図は、戦術ごとのフォーメーション上の戦術マークの配置と、フィールド上の対象領域の範囲との対応関係を示している。各図の左側は、図13~図16に例示したマップ132を戦術ごとに示し、右側は図19に倣ってフィールFDをセグメントSGに分割し、戦術と対応付けられた戦術マーク136と対象領域TAとを示している。さらに、マップ132には対象領域TAを示す戦術エリア画像208も表示されている。戦術エリア画像208は、階調表現や色変化等の各種の識別手法を用いて対象領域TAを示すように表示されてよい。
図29は「攻撃タイプ」のカテゴリに対応し、同図(a)は「ポゼッション」の場合の対応関係を、(b)は「カウンター」の場合の対応関係をそれぞれ示している。図30は「攻撃エリア」のカテゴリに対応し、(a)は「中央突破」の場合の対応関係を、(b)は「左サイドアタック」の場合の対応関係を、(c)は「右サイトアタック」の場合の対応関係をそれぞれ示している。図31は「守備タイプ」のカテゴリに対応し、(a)は「フォアチェック」の場合の対応関係を、(b)は「リトリート」の場合の対応関係をそれぞれ示している。図32は「守備エリア」のカテゴリに対応し、(a)は「中央ディフェンス」の場合の対応関係を、(b)は「サイドディフェンス」の場合の対応関係をそれぞれ示している。
図29~図32から明らかなように、各戦術に対応する戦術マーク136のフォーメーション上のポジションと対象領域TAとの関係は、各戦術に対応する少なくとも一つの戦術マーク136が、各戦術に対応する対象領域TA内に含まれるように設定される。例えば、図29の「ポゼッション」であれば、対象領域TAがX軸方向の座標値3~5、Y軸方向の座標値0~4の範囲で設定され、「ポゼッション」のカテゴリである「攻撃タイプ」に対応する戦術マーク136が対象領域TA内に含まれる座標値[4、1]、[5、2]及び[4、3]の三つのセグメントSGに配置されている。つまり、対象領域TAのポジションに配置された少なくとも一枚の選手カードが、その選手カードと関連付けられた戦術を発生させるために指示パートにて選択されるべき選手カードとして機能する関係が設定されている。図30~図32の例も同様である。
ただし、各戦術に対応する戦術マーク136の全てが対象領域TA内に配置されていることは必ずしも必要ではない。例えば、図31(a)に示した「フォアチェック」の例では、対象領域TA内の三か所に「守備タイプ」の戦術マーク136が配置されているが、これに加えて、フォワードのポジションとして位置付けられるフィールド右端の三か所にも「守備タイプ」の戦術マーク136が配置されている。したがって、指示パートにてフォワードの選手カードを2枚以上選択すれば、「フォアチェック」の戦術が発生する。
以上の関係は、要するに各戦術の内容からみて重視すべきフィールド上の範囲を対象領域TAとして設定し、かつ各戦術の内容からみて活躍が期待される選手のポジションを、戦術発生のために選択されるべき選手カードのポジションとして設定する意図に従って設定されている。例えば、現実のサッカーにおけるポゼッション戦術は、フィールド中盤からパスをつないで攻撃を組み立てる戦術として理解されている。そのため、「ポゼッション」の戦術では、フィールドの中盤に対象領域TAが設定され、かつミッドフィルダーのポジションが戦術マーク136の位置として設定されている。「フォアチェック」に関しても意図は同じである。現実のサッカーにおけるフォアチェック戦術は、敵陣からプレッシャをかけてなるべく高い位置でボールを奪い返すことを目標とする戦術として理解されている。したがって、フィールドの中盤付近から敵陣にかけての範囲に対象領域TAが設定され、かつミッドフィルダーのポジションに加えて、フォワードのポジションが戦術マーク136の位置として設定されている。それにより、ミッドフィルダーに加えて、フォワードも積極的に守備に関与して相手選手にプレッシャをかける要員となることを、戦術マーク136の配置で表現している。
上述した図29~図32の例は、図11及び図12に例示したフォーメーション選択画面140にて、「4-3-3」のフォーメーションが選択された場合の戦術マーク136の配置と対象領域TAとの対応関係を戦術ごとに示すものである。異なるフォーメーションが選択された場合には、戦術マーク136の配置もフォーメーションに応じて変化する。しかし、対象領域TAを戦術内容に応じて重視すべきフィールド上の範囲として上記と同様に設定し、かつ戦術内容に応じて重視すべきポジションに戦術マーク136を配置すれば、いずれのフォーメーションでも図29~図32の例と同様にして対象領域TA及び戦術マーク136とを戦術に適合するように設定することができる。
C.チーム戦術に対応した影響力の補正
次に、図33及び図34を参照して、戦術が発生した場合の影響力の補正の例を説明する。影響力の補正は、指示パートにおける選手カードCDの選択に応じて発生する影響力を、対象領域TAにおいてさらに増加させるものである。影響領域EAにおける影響力も、対象領域TAにおける補正も、選手のパラメータの値を増加するように変化させる効果を有する点では共通する。一方、影響力は、指示パートにて選手カードを選択すれば、その選手カードのポジションを基準とした影響領域EAにて必須的に発生する。一方、チーム戦術による補正は、指示パートにおける選手カードの選択に基づいてチーム戦術の発生条件が満たされた場合に生じる。この点で、対象領域TAにおける補正は、影響領域EAにおける影響力の発生とは区別される。
図33(a)は、選手カードの選択に応じて発生する影響力の分布の一例を示す。この例は、図23(c)に示した2枚の選手カードに対応する影響力分布の例と同じである。この状態で、例えば2枚の選手カードの選択によって「ポゼッション」の戦術が発生した場合、図33(b)に示すように、フィールドの中盤付近に対象領域TAが設定され(図29(a)参照)、その対象領域TAに含まれる各セグメントSGに対しては、20%の補正率が適用される(図28参照)。その結果として、各セグメントSGにおける影響力の増加率は図33(b)の通りとなる。増加率は、補正前の影響力に対する補正後の影響力の倍率(=補正後の影響力/補正前の影響力)である。図33(b)の例では、対象領域TA内のセグメントSGの影響力が1.2倍に補正され、対象領域TA外のセグメントSGの影響力は1倍、つまり補正されない。そのため、補正後の影響力の分布は図33(c)に示す通りとなる。なお、図33(c)の例では、小数点以下の端数が四捨五入によって処理されている。
上述したように、影響力の分布は、対戦相手の選択に従って発生する影響力の分布と重ね合わされる場合がある。このような重ね合わせが生じるときは、ユーザのチーム戦術の発生に応じて影響力の分布が補正され、補正後の影響力分布が対戦相手の影響力分布と重ね合わされる。例えば、補正後の影響力が図33(c)のように分布し、対戦相手の影響力が図24のように分布している場合、これらを重ね合わせて得られる図33(d)の分布がユーザの選手に対する影響力の分布として最終的に定まる。
一回のターンで複数のカテゴリの戦術が発生条件を満たすことがある。その場合には、各戦術に対応した対象領域に対して補正率が適用されてよい。また、対象領域が重複する部分が発生する場合には、その重複部分で補正率を合計すればよい。一例として、2枚の選手カードの選択によって「ポゼッション」の戦術が発生した場合の各セグメントSGの増加率が図34(a)の通りに分布し、2枚の選手カードの選択によって「左サイドアタック」の戦術が発生した場合の各セグメントSGの増加率が図34(b)の通りに分布しているとすれば、補正率合計後の各セグメントSGの増加率の分布は図34(c)の通りとなる。X座標が3~5、Y座標が0~1の範囲のセグメントSGは対象領域TAが重複しているため、それぞれの補正率20%が合計されて補正率40%が適用され、その結果として増加率は1.4倍である。
D.演算傾向の変化
次に、戦術発生時のもう一つの効果としての演算傾向の変化の例を説明する。演算傾向の変化は、戦術が発生しない場合との比較において、選手が対象領域TAにて行動する傾向が高まるように演算を変化させるというものである。選手の行動は、選手に設定されている各種のパラメータの値、ボールや各選手の位置といった対戦の状況等を演算条件として設定し、各選手が次に取るべき行動を所定のアリゴリズムに従って演算し、得られた演算結果を次の演算条件に反映させて演算する、といった処理を繰り返すことにより制御される。演算には確率的要素が含まれるため、演算結果は不確定要素を含む。演算条件が同じであれば常に同一の演算結果が得られるとは限らない。しかしながら、演算のアリゴリズムによっては、演算結果に一定の傾向が生じることがある。例えば、選手がドリブルを優先する傾向、パスを優先する傾向といったように選手のボールに関する動作、フィールドのサイドに展開する傾向、中央で優先的にプレイする傾向、敵陣に上がる傾向、自陣に後退する傾向といった選手の移動に関する動作等に、一定の傾向が出現することがある。そのような行動の傾向が生じるようにコンピュータの演算傾向を調整することは可能である。
一方、チーム戦術の効果は、対象領域TAにおけるパラメータの値の補正を含むものある。したがって、チーム戦術が発生しても、選手が戦術の対象領域にて行動しなければ、その効果は現れない。その場合、チーム戦術を発生させたメリットをユーザが享受できない。そこで、チーム戦術が発生した場合には、その戦術に対応する対象領域にて少なくとも一の選手がプレイする傾向が高まるように、戦術に応じて演算傾向を変化させる。すなわち、図35に示したように、チーム戦術が発生していない場合には、通常の演算制御によって各選手の行動を演算してその動作を制御する。一方、いずれかの戦術の発生条件が満たされた場合には、その戦術に応じた演算傾向が生じるように演算制御を変化させる。なお、図35では「ポゼッション」、「中央突破」、「リトリート」及び「サイドディフェンス」のそれぞれに対応する演算傾向を例示したが、その他の戦術に対しても、演算傾向が差別化される。
一回のターンで複数の戦術が発生条件を満たす場合がある。例えば「攻撃タイプ」の戦術と、「攻撃エリア」の戦術とは排他的ではなく、同時に発生し得る。そのような場合には、図36に例示したように、それぞれの戦術に対応する演算傾向が同時に生じるように演算制御が組み合わされてよい。なお、以上に説明した影響力の補正及び演算傾向の変化は、戦術発生の条件が満たされたターンに限って適用される。ただし、一回のターンで発生した戦術の効果が、次回以降のターンでも適度に残存するようにしてもよい。例えば、影響力の補正の一部が、次のターンでも幾らか残るような設定も可能である。攻撃側の戦術に対応した演算傾向を、次回以降の攻撃ターンに引継ぎ、守備型の戦術に対応した演算傾向は、次回以降の守備ターンに引き継ぐようにしてもよい。
図37及び図38は、チーム戦術の発生に対応する演算傾向の変化が選手の行動として発現する例を示している。図37は攻撃ターンにおける戦術の例、図38は守備ターンにおける戦術の例である。各図においてユーザの選手を白丸で、対戦相手の選手を黒丸でそれぞれ示し、ボールを参照符号BLで示し、選手の行動を適宜の矢印で示している。図37(a)は「ポゼッション」の戦術が発生した場合の例であって、自陣内にてボールBLを保持する選手に対して、味方の選手が比較的近い範囲でサポートするような行動を取る傾向が生じる。図37(b)は「カウンター」の戦術が発生した場合の例であって、ボールBLを保持する選手を含め、各選手が敵ゴールに向けて素早く攻め込むような行動を取る傾向が生じる。図37(c)~(e)は、「中央突破」、「右サイドアタック」及び「左サイドアタック」の場合の例をそれぞれ示す。これらの例では、選手が各戦術に対応して設定されたフィールド中央、右サイド又は左サイドの対象領域を優先的に活用して攻め込むような行動を取る傾向が生じる。
図38(a)は「フォアチェック」の戦術が発生した場合の例であって、ユーザの選手が敵陣内で敵方の選手に積極的にプレッシャをかけてボールBLを奪い返そうとするような行動を取る傾向が生じる。図38(b)は「リトリート」の戦術が発生した場合の例であって、ユーザの選手が自陣内に早期に後退して守備を固めるような行動を取る傾向が生じる。図38(c)は「中央ディフェンス」の戦術が発生した場合の例である。この例では、敵方の選手がフィールドの前後方向にパスを出し難くなるように味方の選手が行動して、敵方の選手がフィールドの中央に向けて横方向のパスを出すように仕向け、そのパスをフィールド中央側の選手が奪うような行動を取る傾向が生じる。図38(d)は「サイドディフェンス」の戦術が発生した場合の例である。この例では、ユーザの選手が敵方の選手をフィールドのサイドに追い込むように行動し、敵方の選手が前方にパスを出したところを味方の選手が挟み込んでボールBLを奪うような行動を取る傾向が生じる。
図37及び図38の例から明らかなように、チーム戦術は現実のサッカーにて採用され得る各種の戦術をゲームでも再現しようとしたものであって、各戦術に対応する対象領域は、現実のサッカーでも戦術に応じて重視されるフィールド上の範囲に倣って設定される。戦術の発生条件が満たされた場合には、その対象領域で選手が行動する傾向が高まるように演算傾向が変化し、それにより、ユーザが設定した戦術に適合するような選手の行動が発現する可能性が高まる。そのため、ユーザにとっては、自らが設定した戦術に沿って選手が動くような感覚を味わうことができ、それによりユーザの満足感、納得感が高まる。各戦術を発生させるか否かは、指示パートにおけるユーザの選手カードの選択に委ねられている。したがって、ユーザは対戦の状況を踏まえつつ、戦術を発生させる好機を判断して戦術を発生させることができる。さらに、戦術の発生時には、対象領域にて影響力が増加補正されることにより、選手が対象領域を優先的に活用する行動が発現した場合にその選手のパラメータが補強される。その結果、戦術が有利な結果をもらす可能性も高まる。これにより、ユーザに対して、自らの采配が的中したかのような感覚を与えることが可能である。そのため、ゲームの戦略性、遊戯性を高め、ひいてはゲームの興趣を高めることが可能である。
上記の説明から明らかなように、ユーザのチームに関するフォーメーション、及びカテゴリごとのチーム戦術は、対戦とは別の「ゲームプラン」にて設定される。また、各選手カードをフォーメーション上のどのポジションに配置するかの選択も、対戦とは別の「選手入替」によって行うものである。対戦が開始された後にユーザに与えられる選択の機会は、各ターンの指示パートにて選手カードを選択する機会であり、フォーメーションや戦術を変更し、あるいは選手カードのフォーメーション上のポジションを変更することはできない。そのため、選手カードと戦術との関連付けを対戦開始後に変更することもできない。したがって、ユーザは、対戦を始める前に戦略を立ててフォーメーションやチーム戦術を設定し、かつ選手カードのポジションを選択しておく必要がある。このような仕組みは、戦略立案やこれを実現するための選択に関し、対戦の状況に応じて自由に変更できないという制限を生じさせる一方で、当初の戦略の遂行するように各ターンで選手カードを選択するという遊戯性をゲームに付与することができる。
一方、現実のサッカーのゲームでは、選手交代やフォーメーションの変更、ポジションの変更といった采配が許容されている。そのような采配要素をゲーム内容に盛り込んでもよい。例えば、図2の「チームマネジメント」における選択項目の少なくとも一部を対戦中のターンの指示パートにて選択変更可能としてもよい。
[ユーザ装置の制御系の構成及び処理]
(1) 制御系の構成例
次に、図39及び図40を参照して、上述したゲームを実現するためのユーザ装置の制御系の例を説明する。図39に示すように、ユーザ装置3には、制御ユニット30及び記憶ユニット31が設けられている。制御ユニット30はCPU及びその動作に必要な内部記憶装置、例えばキャッシュメモリ、RAM、フレームメモリ等を含んだコンピュータとして構成されている。記憶ユニット31は制御ユニット30に対する外部記憶装置として機能する磁気記憶媒体、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体を用いた記憶装置である。制御ユニット30には、ユーザの操作を検出し、検出結果に応じた操作信号を出力する入力装置32と、ゲーム画面等を表示するための表示装置33とが接続される。その他にも、制御ユニット30には、音を出力するためのスピーカユニット、サーバ4との通信を制御するための通信制御ユニット等も接続されるが、それらの図示は省略した。
記憶ユニット31には、ゲームプログラムPg、ゲームデータDg、及びプレイデータDpが記録される。ゲームプログラムPgは、制御ユニット30の基本的な動作を制御するオペレーティングシステムと協働して、ゲームに必要な演算処理及び動作制御を制御ユニット30に実行させるためのアプリケーションプログラムである。ゲームデータDgは、ゲームの制御において適宜に参照されるべきデータである。ゲームデータDgは、一例として、選手データDg1及び設定データDg2を含む。選手データDg1は、ゲームにて登場する各種の選手又はそれらの選手に対応する選手カードの特徴を記述したデータである。例えば、選手又は選手カードに対応付けられる各種のパラメータの値、選手の名前等の属性の情報、選手の外観を表現するための画像データ等が選手データDg1に含まれてよい。上述した選手に固有の影響力の分布(図26(a))を特定するためのデータも選出データDg1に含まれてよい。設定データDg2には、各フォーメーションにおけるポジション指標133の配置、各フォーメーション及び戦術ごとの戦術マーク136の配置、あるいは各戦術に対応した対象領域の範囲といったように、ゲームにて予め設定されるべき事項に関する各種の情報が含まれてよい。
プレイデータDpは、ユーザ装置3のユーザによるゲームのプレイと関連付けられたユーザごとのデータである。例えば、ユーザのプレイ履歴、ステータスといった情報がプレイデータDpに記述される。プレイデータDpには、ユーザが選択した11枚の選手カード及びそれらのフィールド上のポジション、並びにゲームプランにおけるフォーメーション及び戦術の選択状況を示す情報が含まれてよい。プレイデータDpは、選手データDp1を含む。選手データDp1には、ユーザが所有する選手カードを判別するための情報が記録される。選手カードに対応付けられる各種のパラメータの値をゲームのプレイ実績に応じて変化させる場合、選手データDp1には、パラメータの現在値を示す情報がさらに記録されてよい。その場合、ゲームデータDgの選手データDg1におけるパラメータの値は、ユーザのプレイ実績が反映される前の初期値であってよい。
上述したプログラムPg、及びゲームデータDgは、サーバ4からユーザ装置3に適宜に配信されて記憶ユニット31に保存される。プレイデータDpは、ユーザ装置3におけるゲームのプレイに応じて適宜に更新され、かつ適宜のタイミングでサーバ4にユーザの識別情報と対応付けて保存される。また、ユーザがゲームをプレイする際にサーバ4に対して認証を済ませると、そのユーザに対応するプレイデータDpがサーバ4からユーザ装置3に提供されて記憶ユニット31に保存される。
制御ユニット30がゲームプログラムPgを実行することにより、制御ユニット30にはゲーム制御部35、対戦演算部36及び画像描画部37が設けられる。各部35~37は、制御ユニット30のコンピュータハードウエアと、ソフトウエアとしてのゲームプログラムPgとが協働して実現される論理的装置である。ゲーム制御部35は、ゲームを所定の手順に従って進行させるために必要な各種の処理を担当する。ゲーム制御部35は、ゲームにおける対戦の状況等を判別するためのステータスデータDsを生成してこれを制御ユニット30の内部記憶装置に保持させ、ゲームの進行に伴ってステータスデータDsを適宜に更新する。ステータスデータDsには、例えば対戦の進行状況、例えばユーザ及び対戦相手のそれぞれの選手のフィールドにおける現在位置、ボールの位置、試合の経過時間、得点の状況といったように、対戦がどのような状況にあるかを示す各種の情報が含まれてよい。
対戦演算部36は、ゲーム制御部35の制御に従って動作し、対戦における各選手の行動を演算する論理的な演算部である。ゲーム制御部35は、対戦の開始前における選手カードの配置、及び対戦中の各指示パートにおける各種の選択結果を演算条件として対戦演算部36に与えてその演算動作を制御する。それにより、ゲーム制御部35は演算制御手段の一例として機能する。対戦演算部36は、ゲーム制御部36から与えられる演算条件及びステータスデータDsに記述された対戦状況の情報に基づいて、各選手の行動を含む対戦の状況を表示装置33のフレームレートに応じた周期で繰り返し演算する。それにより、対戦演算部36は対戦演算手段の一例として機能する。
対戦演算部36には、チーム戦術の発生又は非発生に応じて演算傾向を変化させるため、通常演算部40及び特定演算部41がさらに設けられる。通常演算部40は、チーム戦術が発生していない場合の対戦の演算に用いられる演算部である。一方、特定演算部41は、チーム戦術の発生条件が満たされた場合に用いられる演算部である。図40に示したように、特定演算部41は複数の演算部41a~41iをさらに含む。これらの演算部41a~41iは、対戦にて用意された複数の戦術と1対1に対応付けられている。演算部41a~41iは、対応する戦術に適合する演算傾向が生じるようにその動作が差別化される。例えば、「ポゼッション」に対応する演算部41aは、「ポゼッション」で意図した行動が生じる傾向が高まるようにその演算動作が設定され、「カウンター」に対応する演算部41bは、「カウンター」で意図した行動が生じる傾向が高まるようにその演算動作が設定される。このような演算部41a~41iは、例えばAI(人工知能)を利用した論理的な演算部として構成されてよい。その場合、「ポゼッション」に対応する演算部41aについては、ポゼッションで意図した行動が生じる多数のケースを学習させて、「ポゼッション」に適合した演算傾向を獲得させることができる。他の演算部41b~41iに関しても同様にして、戦術の意図に適合した演算傾向を獲得させればよい。
(2) 制御系の処理例
次に、図41~図45を参照して、上述した内容のゲームを提供するために制御ユニット30が実行する各種の処理の一例を説明する。それらの処理は、図3~図5にて説明した手順に従ってゲームを提供するためのものである。以下では、図41~図45の処理を、一のユーザ装置3の制御ユニット30が実行する処理として説明する。対戦相手が仮想的なユーザである場合には、単一のユーザ装置3の制御ユニット30が、対戦相手についての処理を並行して実行することにより、全ての処理を完結させることができる。一方、対戦相手が実在のユーザの場合には、それぞれのユーザ装置3の制御ユニット30が、サーバ4を介して情報を共有しつつ以下の処理が実行されてよい。ただし、対戦の演算に関してはユーザ装置3間で合一に定まるべきものである。したがって、いずれか一のユーザ装置3の制御ユニット30の対戦演算部36が代表して対戦の演算を実行し、他のユーザ装置3がその演算結果を共有するものとしてよい。あるいは、対戦の演算を、複数のユーザ装置3の制御ユニット30に分散して処理させてもよい。さらに、サーバ4が以下の処理の少なくとも一部を負担してもよい。
図41は、ホーム画面が表示された状態でユーザによる何らかの操作が検出された場合に実行されるホーム処理の手順の一例を示している。図示のホーム処理が開始されると、ゲーム制御部35はまずホーム画面にて「マイチーム」が選択されたか否かを判別し(ステップS101)、選択されていなければ「選手リスト」が選択されたか否かを判別する(ステップS103)。「選手リスト」が選択された場合、ゲーム制御部35は図6に示した選手リスト画面110を表示させ、ユーザの操作に応じてその表示内容を適宜に制御する(ステップS103)。一方、ステップS102が否定判断された場合、ゲーム制御部35は「チームマネジメント」が選択されたか否かを判別する(ステップS105)。「チームマネジメント」が選択された場合、ゲーム制御部35はチームマネジメント処理を実行する(ステップS105)。「チームマネジメント」が選択されていない場合、ゲーム制御部35は、必要に応じてホーム画面内の他の選択項目が選択されたか否かを判別し、判別結果に応じた処理を実行する。例えば、選手カードを購入するための処理等が実行されてよいが、その詳細は省略する。
ステップS101が否定判断された場合、ゲーム制御部35は「対戦」が選択されたか否かを判別する(ステップS106)。対戦が選択された場合、ゲーム制御部35は所定の対戦処理を実行する(ステップS107)。なお、この段階で、実在のユーザを相手として対戦するか、コンピュータ制御による仮想的なユーザを相手として対戦するかをユーザに選択させてもよい。実在のユーザを相手とする場合には、サーバ4にマッチングを要求して対戦相手を取得すればよい。以上の処理を終えると、ゲーム制御部35はホーム処理を終え、新たなユーザの選択に備えて待機する。
図42は、図41のステップS105にて実行されるチームマネジメント処理の手順の一例を示している。ゲーム制御部35は、図42のチームマネジメント処理を開始すると、まず図7のチームマネジメント画面120を表示させ、ユーザが「選手」の表示を選択した状態で、さらに「選手入替」を選択したか否かを判別する(ステップS151)。ステップS151が肯定判断された場合、ゲーム制御部35は、図8に例示した要領でフォーメーション上の各ポジションに配置されるべき選手カードをユーザの操作に応じて設定する処理を実行する(ステップS152)。なお、図7のチームマネジメント画面120の「選手」の表示から、「選手入替」以外の選択項目が選択された場合、ゲーム制御部35は選択された項目に応じた処理を実行するが、その詳細は説明を省略する。
ステップS151が否定判断された場合、ゲーム制御部35は、ユーザがチームマネジメント画面120にて「ゲームプラン」の表示を選択しているか否かを判別する(ステップS153)。その判断が肯定されると、ゲーム制御部35は、「ゲームプラン」の選択項目としての「フォーメーション」、「攻撃タイプ」、「攻撃エリア」、「守備タイプ」及び「守備エリア」をユーザが選択したか否かを順次判別する(ステップS154~S157)。いずれかの項目が選択された場合、ゲーム制御部35は、ユーザが選択した項目に関してのユーザの選択を取得し、選択結果を現在のゲームプランの設定として保持する(ステップS161~S164)。これらの処理では、ユーザの選択に応じて図11~図16に例示した画面140、150、160、170、180が選択的に表示され、ユーザが希望する項目が選択される。ゲームプランの設定は、図39に示したステータスデータDsに保持され、あるいは必要に応じてプレイデータDpに記録されてよい。図42の処理を通じてチームマネジメントに関するユーザの選択が終了すると、ゲーム制御部35はチームマネジメント処理を終える。それにより、ホーム画面に表示が戻されてよい。
図43は、図41のステップS107にて実行される対戦処理の手順の一例を示している。ゲーム制御部35は、図43の対戦処理を開始すると、まず所定の開始前処理を実行する(ステップS201)。例えば、対戦相手の判別、攻撃サイド及びキックオフの選択といった対戦を始めるにあたって必要な処理が実行される。開始前処理が整うと、ゲーム制御部35は前半戦を開始させて試合時間の計時を開始する(ステップS202)。その後、ゲーム制御部35は所定のターン処理を実行する(ステップS203)。ターン処理が終わると、ゲーム制御部35は前半戦の終了時期か否かを判別する(ステップS204)。今回のターン終了で前半戦が終了である場合にステップS204が肯定判断され、前半戦がまだ終了していないか、既に後半戦に入っている場合にはステップS204が否定判断される。
ステップS204が肯定判断される場合、ゲーム制御部35はユーザと対戦相手との間でサイドを交代して後半戦を開始させ(ステップS205)、その後にステップS203の処理に戻る。一方、ステップS204が否定判断される場合、ゲーム制御部35は後半戦が終了か否かを判別する(ステップS206)。後半戦がまだ終了していない場合、ゲーム制御部35はステップS203の処理に戻る。一方、ステップS206で後半戦終了と判断された場合、ゲーム制御部35は所定の終了処理を実行し(ステップS207)、その後、図43の対戦処理を終える。ステップS207の処理では、例えば勝ち負け、得点差、その他の対戦結果を表示し、その結果をプレイデータDpに保存するといった処理が行われてよい。
図44は、図43のステップS203にて実行されるターン処理の手順の一例を示している。ゲーム制御部35は、ターン処理を開始すると、まずユーザが攻撃ターンか否かを判別する(ステップS221)。攻撃ターンの場合、ゲーム制御部35は、ゲームプランにて選択されている攻撃側のカテゴリの戦術、すなわち「攻撃タイプ」及び「攻撃エリア」に関して選択されている戦術を、今回のターンで判別対象となる戦術として取得する(ステップS222)。一方、守備ターンの場合、ゲーム制御部35は、ゲームプランにて選択されている守備側のカテゴリの戦術、すなわち「守備タイプ」及び「守備エリア」に関して選択されている戦術を、今回のターンで判別対象となる戦術として取得する(ステップS223)。
ステップS222又はS223にて戦術を取得した後、ゲーム制御部35は所定のカード選択処理を実行する(ステップS224)。この処理は、図17に示す指示画面200を表示してユーザの選択を取得する処理である。カード選択処理の実行により、一回のターンにおける指示パートが実現される。カード選択処理を終えると、ゲーム制御部35は対戦相手の選択に基づいて決定された対戦相手の影響力分布を取得する(ステップS225)。対戦相手が仮想的なユーザであれば、ゲーム制御部35が対戦相手に関して並行して実行する処理の結果を取得すればよい。実在のユーザが対戦相手の場合にはその対戦相手に関する処理の実行主体からユーザの選択を取得すればよい。対戦相手が戦術を発生させた場合、ステップS225で取得される影響力分布は、戦術に対応する影響力の補正が適用された後の分布である。
続いて、ゲーム制御部35は、ステップS224のカード選択処理によって取得したユーザの選択結果に基づいて、ステップS222又はS223で判別対象とした戦術に関する発生条件が満たされたか否かを判別する(ステップS226)。攻撃ターン又は守備ターンのいずれの場合でも判別対象の同一の戦術に関連付けられた2枚以上の選手カードが選択されていれば、その戦術に関して発生条件が満たされたものと判断される。攻撃ターン及び守備ターンのそれぞれでは、2種類の戦術が判別対象となるため、ステップS226は各戦術に対して発生条件を判断することになる。
ステップS226にて、2種類の戦術のいずれに関しても発生条件が満たされないと判断された場合、ゲーム制御部35は、ステップS224の処理で選択された選手カードに対応する影響力の分布を決定する(ステップS227)。この場合、ユーザの戦術の発生に伴う影響力の補正は適用されず、ステップS225で取得した影響力の分布を重ね合わせて得られた分布がユーザの選手に対する影響力の分布として定められる。その後、ゲーム制御部35は、ユーザの選手の行動を演算すべき演算部として、図39の通常演算部40を選択する(ステップS228)。
一方、ステップS226にて少なくとも一つの戦術の発生条件が満たされたと判断された場合、ゲーム制御部35は、発生条件を満たした戦術に対応する影響力の補正率を取得する(ステップS231)。この場合、発生条件を満たした戦術に関連付けられた選手カードの選択枚数に対応して補正率が変化する。次いで、ゲーム制御部35は、ステップS224のカード選択処理で選択された選手カードに対応して定まる影響力の分布を、得られた補正率にて補正し、さらに対戦相手の影響力の分布を重ね合わせてユーザの選手に対する影響力の分布を決定する(ステップS232)。その後、ゲーム制御部35は、ユーザの選手の行動を演算すべき演算部として、戦術発生条件を満たした戦術に対応する演算部を、特定演算部41の演算部41a~41iから選択する(ステップS233)。この場合、二つの戦術の発生条件が満たされていれば、それぞれの戦術に対応する演算部が選択される。
ステップS228又はS233にて演算部が選択されると、ゲーム制御部35は、選択された演算部によって対戦が演算されるように対戦演算部36を動作させる(ステップS234)。これにより、ターンが指示パートから動作パートへと移行する。ステップS228又S233の選択は、ユーザの選手の行動に限って適用され、対戦相手の選手については、対戦相手に関してのステップS228又はS233の処理によって選択された演算部によりその行動が演算される。そして、ユーザの選手及び対戦相手の選手のそれぞれの行動の演算結果に基づいて、対戦の状況が一義的に決定されて対戦が進行する。
対戦演算部36による演算動作が開始されると、ゲーム制御部35は、演算結果を逐次監視し、攻守交代が発生したか否かを判別する(ステップS235)。ボールの支配がユーザと対戦相手との間で入れ替わった場合、あるいはボールがフィールド外に出て攻守が交代する場合、ファールが発生して攻守が交代する場合等、対戦演算部36の演算結果により、現実のサッカーと同様にて攻守交代が発生した場合にステップS235が肯定判断される。
ステップS235にて攻守交代が発生していないと判断された場合、ゲーム制御部35はステップS234に戻り、対戦演算部36の演算動作を継続させる。この場合は一ターン内での動作パートが継続し、選手が自動的に行動して対戦が進行する。一方、ステップS235にて攻守交代が発生したと判断された場合、ゲーム制御部35は対戦演算部36の演算動作を停止させ(ステップS236)、その後、図44のターン処理を終えて図43のステップS204の処理に進む。これにより、今回のターンの動作パートが終了する。そして、図43のステップS206にて後半戦終了と判断されない限り、対戦が次のターンへと移行し、ユーザと対戦相手との間で攻撃ターンと守備ターンとが切り替わって、次のターン処理が実行される。
図45は、図44のステップS224にて実行されるカード選択処理の手順の一例を示している。ゲーム制御部35は、カード選択処理を開始すると、まず、今回のターンでユーザが消費可能な上限コストの値に対して所定値(一例として6)を加算する(ステップS301)。ただし、上限コストが最大値に達する場合はその最大値を超えないように加算値が調整される。次いで、ゲーム制御部35は、今回のターンが対戦の開始後の最初のターン、つまり前半戦の一回目のターンか否かを判別する(ステップS302)。最初のターンであれば、ゲーム制御部35はデッキとしての11枚の選手カードから5枚の選手カードを手札としてランダムに選択し、かつ残りの6枚の選手カードの順番を決定してそれらの選手カードを山札として決定する(ステップS303)。ステップS302が否定判断された場合、ゲーム制御部35は、前回のターンで残された手札の枚数を識別し、手札が5枚となるように山札から不足分の枚数の選手カードを手札に補充する(ステップS304)。ステップS304及びS305の選手カードの決定及び補充は図18に示した要領で行われてよい。
ステップS303又はS304の処理にて5枚の手札が整うと、ゲーム制御部35はそれらの手札をユーザに提示する(ステップS305)。また、ユーザへの提示をトリガとして、ゲーム制御部35は指示パートの経過時間の計時を開始する。次いで、ゲーム制御部35は、上限コストの値が不足するか否か、すなわち1枚以上の選手カードを選択するために必要な値よりも小さいか否かを判別する(ステップS306)。上限コストが不足していない場合、ゲーム制御部35は指示パートの経過時間が制限時間を超過したか否かを判別する(ステップS307)。制限時間を超過していない場合、ゲーム制御部35はユーザによる選手カードの選択内容を取得し(ステップS308)、選択された選手カーのコストに応じて上限コストを消費させる(ステップS309)。ただし、ステップS308の処理では、上限コストの現在値を超えるコストが設定された選手カードの選択は不可能とされる。ステップS308にて選手カードが選択されていない場合、ステップS309では上限コストの消費量を0として、上限コストの現在値を維持すればよい。
続いて、ゲーム制御部35は、今回の指示パートにおける選手カードの選択が終了したか否かを判別する(ステップS310)。例えば、ユーザが選択の終了を明示的に指示したか否かが判別される。5枚の手札の全てが選択された場合、ユーザの選択終了の指示を要することなく選択終了と判断されてもよい。ステップS310にて選択終了と判断されない場合、ゲーム制御部35はステップS306の処理に戻る。ステップS310にて選択終了と判断された場合、ゲーム制御部35は、今回のターンで選択された選手カードを手札から除去し、それらの選手カードを山札に対してその並び順の後方から補充することにより手札及び山札を更新する(ステップS311)。この更新も図18に示した要領の通りでよい。今回のターンでユーザが選手カードを選択しなかった場合、ステップS311では手札及び山札を現状通りに維持すればよい。
ステップS306又はS307が否定判断された場合、ゲーム制御部35はステップS308~S310の処理をスキップしてステップS311に進む。この場合も、ユーザが選手カードを選択していなければ、手札及び山札が現状通りに維持されてよい。ステップS311の処理を終えると、ゲーム制御部35は今回のターンにおけるカード選択処理を終え、図44のステップS225の処理へと進む。
以上の形態においては、ゲーム制御部35が図42のチームマネジメント処理におけるステップS153以下の処理によってフォーメーションを選択し、かつカテゴリごとの戦術を選択してフォーメーション上の戦術マーク136の配置を決定し、かつステップS152の処理によって各選手カードのポジションを選択する機会を提供することにより、対戦に利用する機会をユーザに付与する第1の機会付与手段として機能する。そして、フォーメーション上の各ポジションは、その機会における複数の選択肢の一例に相当し、かつ各ポジションは、対戦におけるゲーム媒体の役割の一例、及びゲーム媒体のフィールド上の位置の一例にも相当する。対戦演算部36は、図44のステップS234に対応して、ユーザが選択した選手カードのポジションに対応する選手の行動を演算することにより、対戦の状況を演算する対戦演算手段の一例として機能する。
図42のチームマネジメント処理によって選択される「攻撃タイプ」、「攻撃エリア」、「守備タイプ」及び「守備エリア」のそれぞれのカテゴリの戦術は、対戦にて発生させることが可能な効果の一例に相当し、選択可能な戦術のそれぞれは、効果に関する複数種類の候補の一例に相当する。そして、ゲーム制御部35は、図42のステップS152の処理により、戦術マーク136と対応付けられたポジションを媒介として戦術と選手カードとを関連付けることにより、関連付け手段の一例として機能し、戦術マーク136が設定されたポジションが戦術とゲーム媒体とを関連付けるための特定選択肢、及び特定の位置の一例に相当する。また、ゲーム制御部35は、図42のステップS155~S158、S162~S165の処理を通じて戦術を選択することにより、効果選択手段の一例として機能する。
また、ゲーム制御部35は、図45のステップS301~S311のカード選択処理によって各ターンで戦術マーク136と関連付けられた選手カードを選択する機会をユーザに付与することにより、ゲーム媒体を効果の発生のために選択する機会を付与する第2の機会付与手段の一例として機能する。さらに、ゲーム制御部35は、図44のターン処理にて、ステップS226からステップS231~S233へと処理を進めて、戦術に応じた演算傾向が生じるように対戦演算部36の動作を制御することにより、効果が発生するように対戦演算手段の演算を制御する演算制御手段の一例として機能する。
本発明は、以上の形態に限定されることなく、各種の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、上記の形態では、ユーザによるゲーム媒体の利用は、フォーメーション上の各ポジションに配置するゲーム媒体の選択の例に限らず、ゲームにて種々の形態で利用されるデッキに組み込むべきゲーム媒体の選択といった形態で実現されてもよい。利用の形態に関する選択肢も、サッカーにおける役割としてのフォワード等のポジション等の例に限らない。ゲームにおける対戦にてゲーム媒体が果たすべき各種の役割をゲーム媒体の利用の形態に関する選択肢として設定してもよい。さらに、利用の形態に関する選択肢は、ゲーム媒体の役割の観点で区別される例に限らない。例えば、対戦にて利用するタイミング等の時間的要素を含んだ観点で利用の形態の選択肢が区別されてもよい
上記の形態では、対戦で発生する効果として、複数の戦術が設定され、ユーザが効果を選択可能としているが、効果の選択は必ずしも必要ではない。ユーザによる選択が不可能な固定的な効果が設定されてもよい。対戦の状況に応じて効果を自動的に選択するといったように、効果をユーザの選択に委ねることなく選択する場合があってもよい。
上記の形態では、サッカーの攻守を攻撃ターン及び守備ターンと捉えて対戦を区分し、攻撃ターン及び守備ターンのそれぞれで戦術の発生のための選択の機会を付与したが、効果を発生させるためにゲーム媒体を選択する機会はそのような例に限らず、適宜の時期にその選択の機会が付与されてよい。対戦は、ユーザとその対戦相手とがゲームの結果を競う要素を含むものであればよく、ゲーム空間内でユーザと対戦相手のそれぞれのオブジェクトが攻防する要素を含むことまでは必ずしも要しない。例えば、ユーザ及び対戦相手がクイズの回答を競うような例も対戦の概念から排除されない。その場合でも、例えばゲームのヒントと関連付けられたゲーム媒体をユーザが選択した場合にそのヒントが得られるといった関係がある場合に、その効果を得るために用いられるべきゲーム媒体の関連付けを上記の形態の趣旨に従って設定することが可能である。
上記の形態では、サッカーを対象としたゲームをユーザにプレイさせるものとしたが、対戦の要素を含む限りにおいてゲームの対象は適宜に変更可能である。例えば、野球を対象としたゲームが提供されてよい。その場合の変形例を図46~図48に示す。
野球を対象とする場合には、例えば図46に示すように、グランドGDを投手、捕手及び野手のそれぞれの守備位置に応じて複数の領域A1~A9に区分する。ユーザのデッキは、1番から9番の打順が割り当てられる9名の選手に対応する選手カードによって構成し、それらの選手カードに対応する選手をゲーム空間内でオブジェクトとして動作させる。ターンは、1イニングにおける攻撃中を攻撃ターン、守備中を守備ターンとして区分する。そして、攻撃ターンでは、ノーカウントノーアウトで攻撃を開始する際に指示パートを設けて選手カードを選択可能な機会を与える。守備ターンでは、ノーカウントノーアウトで攻撃を開始する際に指示パートを設けて選手カードを選択する機会を与える。
グランドGDにおける影響力は、図46の領域A1~A9ごと、又はそれよりも細かい単位で設定して分布を定める。そして、影響力の大小に応じて選手のパラメータを変化させる。例えば、ユーザが攻撃ターンの場合、影響力が設定された領域にて守備側の選手の守備に関連するパラメータの値を影響力に応じて減少させるといった変化を生じさせてよい。ユーザ側で打者となる選手の例えば走力や打力のパラメータの値を増加させてもよい。一方、ユーザが守備ターンの場合には、ユーザのチームの守備に関するパラメータの値を影響力に応じて増加させるといった変化を生じさせてよい。
チーム戦術も例えば図47に示すように各選手のグランドGD上のポジションに応じて関連付けることが可能である。その場合のチーム戦術の一例を図48に示す。図48の例では、攻撃側の戦術として、「打球低め」、攻撃エリアは「引っ張り」、守備側の戦術として、「前進守備」、守備エリアは「左シフト守備」が用意されている。これらの戦術を、上記の形態と同様に、グランドGD上のポジションを媒介として選手カードと関連付けてよい。図47は各ポジションと各戦術との対応付けの例を示している。そして、各戦術の発生条件についても、各ターンにおいて、戦術と関連付けられた所定枚数の選手カードをユーザが選択した場合に満たされるように設定されてよい。さらに、戦術が発生した場合には、領域A1~A9のうち、戦術に対応付けて設定された対象領域に含まれる領域に関して影響力を補正し、かつユーザの選手の行動に関する演算傾向を、図48の傾向が生じる可能性が高まるように変化させればよい。
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の一態様に係るゲーム用のコンピュータプログラムは、ユーザ及び対戦相手のそれぞれがゲーム媒体(CD)を利用して対戦するゲームを、ゲームシステム(1)のコンピュータ(30)によって提供するためのゲーム用のコンピュータプログラム(Pg)であって、前記コンピュータを、前記ユーザに対し、前記対戦にて利用するゲーム媒体を選択する機会を、当該利用の形態に関する複数の選択肢を示しつつ付与する第1の機会付与手段(35、S151~S165)、前記第1の機会付与手段が付与した機会における前記ゲーム媒体の選択に基づいて、前記対戦の状況を演算する対戦演算手段(36、S234)、前記対戦にて発生させることが可能な所定の効果と、前記第1の機会付与手段が付与した機会にて選択される少なくとも一のゲーム媒体とを、前記複数の選択肢に含まれる特定選択肢を媒介として関連付ける関連付け手段(35、S152)、前記所定の効果と関連付けられたゲーム媒体を、前記所定の効果の発生のために選択する機会を前記ユーザに付与する第2の機会付与手段(35、S301~S311)、及び前記第2の機会付与手段が付与した機会における前記ユーザの選択に基づいて、前記所定の効果が発生するように前記対戦演算手段の演算を制御する演算制御手段(35、S226~S233)、として機能させるように構成されたものである。
本発明の一態様に係るゲームシステムは、ユーザ及び対戦相手のそれぞれがゲーム媒体(CD)を利用して対戦するゲームを提供するためのゲームシステム(1)であって、前記ユーザに対し、前記対戦にて利用するゲーム媒体を選択する機会を、当該利用の形態に関する複数の選択肢を示しつつ付与する第1の機会付与手段(35、S151~S165)、前記第1の機会付与手段が付与した機会における前記ゲーム媒体の選択に基づいて、前記対戦の状況を演算する対戦演算手段(36、S234)、前記対戦にて発生させることが可能な所定の効果と、前記第1の機会付与手段が付与した機会にて選択される少なくとも一のゲーム媒体とを、前記複数の選択肢に含まれる特定選択肢を媒介として関連付ける関連付け手段(35、S152)、前記所定の効果と関連付けられたゲーム媒体を、前記所定の効果の発生のために選択する機会を前記ユーザに付与する第2の機会付与手段(35、S301~S311)、及び前記第2の機会付与手段が付与した機会における前記ユーザの選択に基づいて、前記所定の効果が発生するように前記対戦演算手段の演算を制御する演算制御手段(35、S226~S233)、として機能するコンピュータ(30)を備えたものである。
本発明の一態様に係るゲームシステムの制御方法は、ユーザ及び対戦相手のそれぞれがゲーム媒体(CD)を利用して対戦するゲームを提供するためのゲームシステム(1)の制御方法であって、前記ゲームシステムが備えるコンピュータ(30)を、前記ユーザに対し、前記対戦にて利用するゲーム媒体を選択する機会を、当該利用の形態に関する複数の選択肢を示しつつ付与する第1の機会付与手段(35、S151~S165)、前記第1の機会付与手段が付与した機会における前記ゲーム媒体の選択に基づいて、前記対戦の状況を演算する対戦演算手段(36、S234)、前記対戦にて発生させることが可能な所定の効果と、前記第1の機会付与手段が付与した機会にて選択される少なくとも一のゲーム媒体とを、前記複数の選択肢に含まれる特定選択肢を媒介として関連付ける関連付け手段(35、S152)、前記所定の効果と関連付けられたゲーム媒体を、前記所定の効果の発生のために選択する機会を前記ユーザに付与する第2の機会付与手段(35、S301~S311)、及び前記第2の機会付与手段が付与した機会における前記ユーザの選択に基づいて、前記所定の効果が発生するように前記対戦演算手段の演算を制御する演算制御手段(35、S226~S233)、として機能させるものである。
上記の態様によれば、第1の機会付与手段によって付与された機会におけるユーザの選択に基づいてゲーム媒体と効果とが関連付けられる。そして、第2の機会付与手段によって付与される機会にて、効果と関連付けられたゲーム媒体をユーザが選択することが可能であり、当該機会における選択に基づいて、効果が発生するように対戦の演算が制御される。第1の機会付与手段における利用の形態を複数の選択肢からユーザがどのように選択するか、に応じて効果とゲーム媒体とを適宜に関連付けることが可能であり、その関連付けにユーザの意思を反映させることができる。したがって、対戦における効果とゲーム媒体との関係について柔軟性を与え、それにより、ゲームの興趣を高めることが可能である。
なお、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。この記憶媒体を用いれば、例えばコンピュータに本発明に係るコンピュータプログラムをインストールして実行することにより、そのコンピュータを利用して本発明のシステムを実現することができる。コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は、CDROM等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
上記の態様において、前記第1の機会付与手段は、前記ゲーム媒体と対応付けることが可能な前記対戦における複数の役割を前記複数の選択肢として示しつつ、前記複数の役割のいずれかを前記ゲーム媒体が対応付けられるべき役割として選択する機会を前記ユーザに付与し、前記関連付け手段は、前記複数の役割に含まれる特定の役割を媒介として前記所定の効果と前記ゲーム媒体とを関連付けてもよい。ゲームの対戦において、ゲーム媒体は様々な役割を果たすように用いられることがある。それらの役割を効果とゲーム媒体の関連付けのための選択肢として用いることにより、ゲーム媒体をどのような役割で利用するかの選択を介して効果とゲーム媒体とを関連付けることができる。それにより、ゲーム媒体が果たすべき役割の選択に関しての戦略性、遊戯性を高めることが可能である。
前記第1の機会付与手段は、所定のフィールド内における複数の位置を前記複数の選択肢として示しつつ、前記ゲーム媒体が配置されるべき位置を選択する機会を前記ユーザに付与し、前記関連付け手段は、前記複数の位置に含まれる特定の位置を媒介として前記所定の効果と前記ゲーム媒体とを関連付けてもよい。フィールド内の複数の位置を関連付けのための選択肢として用いることにより、どの位置にゲーム媒体を配置すればゲーム媒体を効果発生のために利用できるか、をゲームにおける選択にてユーザが考慮すべき事項として加えることができる。それにより、対戦の戦略性を高めることが可能である。
複数種類の効果の候補から、少なくとも一つの候補を前記所定の効果として選択する効果選択手段(35、S155~S158、S162~S165)をさらに備えてもよい。これによれば、対戦で発生する効果を多様化しつつ、効果とゲーム媒体とを柔軟に関連付けることが可能である利点を活かして、ゲーム媒体を種々の効果の発生のために用い得るゲーム媒体として機能させることが可能である。
前記関連付け手段は、前記効果選択手段による前記効果の選択に応じて前記特定選択肢を変化させることが可能であってもよい。効果とゲーム媒体とを関連付ける媒介となる特定選択肢を変化させることにより、ゲーム媒体を効果と関連付けるために選択すべき利用の形態を適宜に変化させて、ゲーム媒体の利用に関する戦略性を高めることができる。
前記効果選択手段は、前記複数種類の効果の候補から、2以上の候補を前記所定の効果として選択可能であり、前記関連付け手段は、前記効果選択手段にて選択された各効果を、前記複数の選択肢における同一の特定選択肢を媒介として同一のゲーム媒体と関連付けることが可能であってもよい。これによれば、一のゲーム媒体を複数の効果を発生させるためのゲーム媒体として機能させてそのゲーム媒体の価値を高めことができる。
前記関連付け手段は、前記複数の選択肢から2以上の選択肢を前記特定選択肢として設定して各特定選択肢を媒介に前記所定の効果と前記ゲーム媒体とを関連付け、前記演算制御手段は、前記所定の効果と関連付けられた2以上の所定数のゲーム媒体が前記第2の機会付与手段が付与した機会にて選択されたことを条件として、前記所定の効果が発生するように前記対戦演算手段の演算を制御してもよい。効果とゲーム媒体との関連付けの柔軟性が高まることにより、ゲーム媒体を効果発生のためのゲーム媒体として比較的容易に関連付けることができる一方で、その効果と関連付けられた複数のゲーム媒体を選択することが効果発生のために必要とすることにより、関連付けの柔軟化と効果発生のための難易度との均衡を図ることができる。