JP7318749B2 - ワイヤロープ検査装置、ワイヤロープ検査システム、およびワイヤロープ検査方法 - Google Patents

ワイヤロープ検査装置、ワイヤロープ検査システム、およびワイヤロープ検査方法 Download PDF

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Description

本発明は、ワイヤロープ検査装置、ワイヤロープ検査システム、およびワイヤロープ検査方法に関し、特に、ワイヤロープの磁界の変化に基づいてワイヤロープの状態を検知するワイヤロープ検査装置、ワイヤロープ検査システム、およびワイヤロープ検査方法に関する。
従来、ワイヤロープの磁界の変化を検知するワイヤロープ検査装置、ワイヤロープ検査システム、およびワイヤロープ検査方法が知られている。このようなワイヤロープ検査装置、ワイヤロープ検査システム、およびワイヤロープ検査方法は、たとえば、国際公開第2019/150539号に開示されている。
上記国際公開第2019/150539号のワイヤロープ検査装置は、ワイヤロープに対して相対的に移動しながら、ワイヤロープを検査するように構成されている。具体的には、上記国際公開第2019/150539号のワイヤロープ検査装置は、ワイヤロープの第1測定において差動コイルにより取得した第1検知信号と、第1測定の後の第2測定において差動コイルにより取得した第2検知信号との略同じ位置における差分に基づいて、ワイヤロープの状態を検知するように構成されている。これにより、ワイヤロープにおける固有の磁気特性(雑音データ)が除去(キャンセル)され、ワイヤロープの損傷等に起因する信号が抽出される。
国際公開第2019/150539号
しかしながら、ワイヤロープには、上記のワイヤロープの損傷等に起因する信号に加えて、ワイヤロープの揺れおよびロープドロー(複数のワイヤロープが捩れる現象)等に起因して測定データに一時的な磁気特性(ノイズ)が含まれてしまう場合がある。ここで、上記一時的な磁気特性は、ワイヤロープの揺れおよびロープドローの状態が測定ごとに異なるため、測定ごとに変化し得るデータである。このため、上記国際公開第2019/150539号に記載されているワイヤロープ検査装置では、第1検知信号と第2検知信号との差分に基づいてワイヤロープの状態検出を行った場合に、上記一時的な磁気特性がキャンセルされないため、ワイヤロープの損傷等に起因する信号か、または、ワイヤロープの揺れ等に起因する一時的な磁気特性に起因する信号かを判定することが困難な場合があるという不都合がある。この場合、ワイヤロープの損傷を検出することが困難になるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ワイヤロープの損傷等または揺れ等に起因する信号(ノイズ)が存在する場合にも、ワイヤロープの損傷を容易に検出することが可能なワイヤロープ検査装置、ワイヤロープ検査システム、およびワイヤロープ検査方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるワイヤロープ検査装置は、ワイヤロープの磁界の変化を検知する検知コイルと、検知コイルにより取得された検知信号を受信する制御部と、を備え、制御部は、複数回のワイヤロープの第1測定において検知コイルにより取得され、ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第1検知信号を加算することに基づいて得られた第1の値と、第1測定の後に行われる複数回のワイヤロープの第2測定において検知コイルにより取得され、ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第2検知信号を加算することに基づいて得られた第2の値との差分、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分同士を加算することに基づいて得られた第3の値、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分の微分値同士を加算することに基づいて得られた第4の値、または、複数の第1検知信号の平均値と、複数の第2検知信号の平均値との差分、に基づき、ワイヤロープの状態を検知するように構成されている。
この発明の第2の局面におけるワイヤロープ検査システムは、ワイヤロープの磁界の変化を検知する検知コイルを含むワイヤロープ検査装置と、検知コイルにより取得された検知信号を受信する制御装置と、を備え、制御装置は、複数回のワイヤロープの第1測定において検知コイルにより取得され、ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第1検知信号を加算することに基づいて得られた第1の値と、第1測定の後に行われる複数回のワイヤロープの第2測定において検知コイルにより取得され、ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第2検知信号を加算することに基づいて得られた第2の値との差分、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分同士を加算することに基づいて得られた第3の値、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分の微分値同士を加算することに基づいて得られた第4の値、または、複数の第1検知信号の平均値と、複数の第2検知信号の平均値との差分、に基づき、ワイヤロープの状態を検知するように構成されている。
この発明の第3の局面におけるワイヤロープ検査方法は、ワイヤロープの磁界の変化を検知する検知コイルにより、複数回のワイヤロープの第1測定において、ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第1検知信号を取得する工程と、第1測定の後に、複数回のワイヤロープの第2測定において、検知コイルにより、ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第2検知信号を取得する工程と、複数の第1検知信号を加算することに基づいて得られた第1の値と複数の第2検知信号を加算することに基づいて得られた第2の値との差分、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分同士を加算することに基づいて得られた第3の値、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分の微分値同士を加算することに基づいて得られた第4の値、または、複数の第1検知信号の平均値と、複数の第2検知信号の平均値との差分、に基づき、ワイヤロープの状態を検知する工程と、を備える。
上記第1の局面におけるワイヤロープ検査装置、上記第2の局面におけるワイヤロープ検査システム、および、上記第3の局面におけるワイヤロープ検査方法では、上記のように、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との差分に基づき、ワイヤロープの状態が検知される。ここで、ワイヤロープの揺れ等に起因する信号(ノイズ)は、一時的に現れるものであるので、検知信号(出力波形)の中での現れ方(出力波形において信号が現れる位置)がランダムに変化し得るものである。一方、たとえばワイヤロープの損傷等に起因する信号は、一時的なものではなく、検知信号(出力波形)の中での現れ方(出力波形において信号が現れる位置)が固定されている。この特性を利用することによって、第1検知信号および第2検知信号をそれぞれ1つずつ用いる場合と異なり、複数の第1(第2)検知信号において共通に現れる信号とランダムに現れる信号とに基づいて、ワイヤロープの損傷等に起因して現れた信号と、ワイヤロープの揺れ等に起因して一時的に現れた信号との判別を行うことができる。その結果、ワイヤロープの損傷等または揺れ等に起因する信号(ノイズ)が存在する場合にも、ワイヤロープの損傷を容易に検知することができる。
第1実施形態によるワイヤロープ検査装置の構成を示した図である。 第1実施形態によるワイヤロープ検査装置が設けられている昇降路およびエレベータを示した図である。 第1実施形態によるワイヤロープ検査装置の制御的な構成を示すブロック図である。 第1実施形態によるワイヤロープ検査装置の磁界印加部および検出部の構成を説明するための概略図である。 第1実施形態によるワイヤロープの固有の磁気特性について説明するための図である。 第1実施形態によるワイヤロープ検査装置により取得された第1検知信号(図6(A))と、第2検知信号(図6(B))と、第1検知信号および第2検知信号の差分結果(図6(C))と、差分結果を微分した微分結果(図6(D))とをそれぞれ示した図である。 第1実施形態による第1検知信号の第1加算値(図7(A))と、第2検知信号の第2加算値(図7(B))とをそれぞれ示した概念図である。 第1実施形態による第1加算値と第2加算値との差分を示した概念図である。 第1実施形態によるワイヤロープの状態検知に関する制御を示したフロー図である。 第2実施形態によるワイヤロープ検査装置の制御的な構成を示すブロック図である。 第2実施形態によるワイヤロープの状態検知に関する制御を示したフロー図である。 第3実施形態によるワイヤロープ検査装置の制御的な構成を示すブロック図である。 第3実施形態によるワイヤロープの状態検知に関する制御を示したフロー図である。 第1~第3実施形態の変形例によるワイヤロープ検査システムの制御的な構成を示すブロック図である。 第1実施形態の変形例によるワイヤロープの状態検知に関する制御を示したフロー図である。 第2および第3実施形態の変形例によるワイヤロープの状態検知に関する制御を示したフロー図である。 第1実施形態によるワイヤロープ検査装置の検知コイルの構成を説明するための図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1~図9を参照して、第1実施形態によるワイヤロープ検査装置100の構成について説明する。
(ワイヤロープ検査装置の構成)
図1に示すように、ワイヤロープ検査装置100は、検査対象物であるワイヤロープWを検査するように構成されている。ワイヤロープ検査装置100は、ワイヤロープWを定期的に検査するように構成されている。ワイヤロープ検査装置100は、ワイヤロープWの損傷を検査するように構成されている。
なお、ワイヤロープWの損傷とは、スレ、局所的磨耗、素線断線、凹み、腐食、亀裂、折れ等により生じる検知方向に対する(ワイヤロープW内部で傷等が生じた場合の空隙に起因するものを含む)断面積の変化、ワイヤロープWの錆、溶接焼け、不純物の混入、組成変化等により生じる透磁率の変化、その他ワイヤロープWが不均一となる部分を含む広い概念である。
また、ワイヤロープWは、複数設けられている。図1では簡略化して5本のワイヤロープWを図示しているが、10本程度設けられる場合もある。ここで、第1実施形態では、ワイヤロープ検査装置100の後述する差動コイル10は、複数のワイヤロープWの磁気特性を一括して検知するように構成されている。すなわち、差動コイル10は、複数のワイヤロープWの各々の検知信号が合わさった1つの検知信号を取得する。また、ワイヤロープ検査装置100(差動コイル10)は、複数のワイヤロープWに対して非接触状態で検査を行うように構成されている。なお、ワイヤロープ検査装置100による検査は、通常の運転時におけるエレベータEの速度よりも遅い速度でエレベータEを移動させる検査モードにおいて行われる。
図2に示すように、ワイヤロープ検査装置100は、エレベータEに使用されているワイヤロープWの表面に沿って相対移動されながら、ワイヤロープWを検査する。エレベータEは、カゴ部E1と、ワイヤロープWを巻き上げてカゴ部E1を昇降させる巻上機E2とを備えている。ワイヤロープ検査装置100は、巻上機E2の直下近傍に固定された状態で、移動する(巻き上げられる)ワイヤロープWを検査するように構成されている。なお、ワイヤロープWは、ワイヤロープ検査装置100の位置において、X方向に延びるように配置されている。
また、エレベータEは、昇降路101を昇降する。巻上機E2は、エレベータEの昇降路101内に設けられている。すなわち、エレベータEは、いわゆる機械室なしタイプのエレベータである。なお、エレベータEが機械室ありタイプ(巻上機E2が昇降路101とは隔離された機械室に設けられているタイプ)のエレベータであってもよい。
図3に示すように、ワイヤロープ検査装置100は、検出部1と、電子回路部2とを備えている。検出部1は、一対の受信コイル11および12を有する差動コイル10と、励振コイル13とを含んでいる。電子回路部2は、制御部21と、受信I/F22と、記憶部23と、励振I/F24と、電源回路25と、通信部26とを含んでいる。また、ワイヤロープ検査装置100は、磁界印加部4(図4参照)を備えている。なお、差動コイル10は、請求の範囲の「検知コイル」の一例である。
また、ワイヤロープ検査装置100には、通信部26を介して外部装置900(図1参照)が接続されている。
図1に示すように、外部装置900は、通信部901と、解析部902と、表示部903とを備えている。外部装置900は、通信部901を介して、ワイヤロープ検査装置100によるワイヤロープWの計測データを受信するように構成されている。また、外部装置900は、受信したワイヤロープWの計測データに基づいて、解析部902により、素線断線、断面積変化などの損傷の種類を解析するように構成されている。また、外部装置900は、解析結果を、表示部903に表示するように構成されている。また、外部装置900は、解析結果に基づいて、異常判定を行い、表示部903に結果を表示するように構成されている。
図4に示すように、ワイヤロープ検査装置100は、差動コイル10によりワイヤロープWの磁界(磁束)の変化を検知するように構成されている。
なお、磁界の変化とは、ワイヤロープWと検出部1とを相対移動させることによる検出部1で検知される磁界の強さの時間的な変化、および、ワイヤロープWに印加する磁界を時間変化させることによる検出部1で検知される磁界の強さの時間的な変化を含む広い概念である。
(磁界印加部の構成)
図4に示すように、磁界印加部4は、検査対象物であるワイヤロープWに対して予めY方向(ワイヤロープWの延びる方向に交差する方向)に磁界を印加し磁性体であるワイヤロープWの磁化の大きさおよび方向を整えるように構成されている。また、磁界印加部4は、磁石41および42を含む第1磁界印加部と、磁石43および44を含む第2磁界印加部とを含んでいる。第1磁界印加部(磁石41および42)は、検出部1に対して、ワイヤロープWの延びる方向の一方側(X1方向側)に配置されている。また、第2磁界印加部(磁石43および44)は、検出部1に対して、ワイヤロープWの延びる方向の他方側(X2方向側)に配置されている。なお、第1磁界印加部および第2磁界印加部のいずれか一方のみが設けられる構成であってもよい。
第1磁界印加部(磁石41および42)は、ワイヤロープWの延びる方向(X方向)に交差する面に平行かつY2方向に磁界を印加するように構成されている。第2磁界印加部(磁石43および44)は、ワイヤロープWの延びる方向(X方向)に交差する面に平行かつY1方向に磁界を印加するように構成されている。すなわち、磁界印加部4は、長尺材の長手方向であるX方向と略直交する方向に磁界を印加するように構成されている。
(検出部の構成)
図4に示すように、差動コイル10は、長尺材からなる磁性体であるワイヤロープWが延びる方向に沿うように配置された受信コイル11を含む。また、差動コイル10は、ワイヤロープWに対して受信コイル11が配置される側(Y1方向側)とは反対側(Y2方向側)において、受信コイル11とともにワイヤロープWを挟むように配置されている受信コイル12を含む。励振コイル13は、第1導線部13aが形成されたプリント基板13bを含む。また、励振コイル13は、第2導線部13cが形成されたプリント基板13dを含む。第1導線部13aと第2導線部13cとは、図示しない接続導線部により接続されている。ワイヤロープWは、差動コイル10および励振コイル13の内部(内側)を通過する。また、差動コイル10は、励振コイル13の内側に設けられている。なお、差動コイル10および励振コイル13の配置はこれに限られない。なお、図4の差動コイル10および励振コイル13は、概略的に図示したものであり、実際の配置(構成)とは異なっている場合がある。
また、差動コイル10は、図17に示すように、受信コイル11と受信コイル12とが差動接続された差動コイルとなるように構成されている。また、受信コイル11は、第1導線部13a(図4参照)と電気的に絶縁して設けられる。受信コイル11は、第1導線部13aが形成されたプリント基板13b(図4参照)に導体パターンとして形成してもよいし、プリント基板13bとは異なるプリント基板、または、多層構造のフレキシブル基板に導体パターンとして形成してもよい。受信コイル12は、第2導線部13cと電気的に絶縁して設けられる。受信コイル12は、第2導線部13cが形成されたプリント基板13dに導体パターンとして形成してもよいし、プリント基板13dとは異なるプリント基板、または、多層構造のフレキシブル基板に導体パターンとして形成してもよい。
励振コイル13は、ワイヤロープWの磁化の状態を励振する。具体的には、励振コイル13に励振交流電流が流されることにより、励振コイル13の内部において、励振交流電流に基づいて発生する磁界がX方向に沿って印加されるように構成されている。
差動コイル10は、一対の受信コイル11および12の差動信号を送信するように構成されている。具体的には、差動コイル10は、ワイヤロープWの磁界の変化を検知して差動信号を送信するように構成されている。差動コイル10は、検査対象物であるワイヤロープWのX方向の磁界の変化を検知して検知信号(電圧)を出力するように構成されている。すなわち、差動コイル10は、磁界印加部4によりY方向に磁界が印加されたワイヤロープWに対して、Y方向に交差するX方向の磁界の変化を検知する。また、差動コイル10は、検知したワイヤロープWのX方向の磁界の変化に基づく差動信号(電圧)を出力するように構成されている。また、差動コイル10は、励振コイル13によって発生する磁界の略全てが検知可能に(入力される様に)配置されている。
ワイヤロープWに欠陥(傷等)が存在する場合は、欠陥(傷等)のある部分でワイヤロープWの全磁束(磁界に透磁率と面積とを掛けた値)が小さくなる。その結果、たとえば、差動コイル10が、欠陥(傷等)のある場所に位置する場合、差動コイル10による検知電圧の差の絶対値(差動信号)が大きくなる。一方、欠陥(傷等)のない部分での差動信号は略ゼロとなる。このように、差動コイル10において、欠陥(傷等)の存在をあらわす明確な信号(S/N比の良い信号)が検知される。これにより、電子回路部2は、差動信号の値に基づいてワイヤロープWの欠陥(傷等)の存在を検出することが可能である。
(電子回路部の構成)
図3に示す電子回路部2の制御部21は、ワイヤロープ検査装置100の各部を制御するように構成されている。具体的には、制御部21は、CPU(中央処理装置)などのプロセッサ、メモリ、AD変換器などを含んでいる。
制御部21は、差動コイル10の差動信号(検知信号)を受信して、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。また、制御部21は、励振コイル13を励振させる制御を行うように構成されている。また、制御部21は、通信部26を介して、ワイヤロープWの状態の検知結果を外部装置900に送信するように構成されている。制御部21の詳細は後述する。
受信I/F22は、差動コイル10からの差動信号を受信して、制御部21に送信するように構成されている。具体的には、受信I/F22は、増幅器を含んでいる。また、受信I/F22は、差動コイル10の差動信号を増幅して、制御部21に送信するように構成されている。
励振I/F24は、制御部21からの信号を受信して、励振コイル13に対する電力の供給を制御するように構成されている。具体的には、励振I/F24は、制御部21からの制御信号に基づいて、電源回路25から励振コイル13への電力の供給を制御する。
(ワイヤロープの構成、特性)
ワイヤロープWは、磁性を有する素線材料が編みこまれる(たとえば、ストランド編みされる)ことにより形成されている。ワイヤロープWは、X方向に延びる長尺材からなる磁性体である。ワイヤロープWは、劣化による切断が起こるのを防ぐために、状態(傷等の有無)を監視されている。そして、劣化が所定量より進行したワイヤロープWは、交換される。
ワイヤロープWは、固有の磁気特性を有している。固有の磁気特性とは、ワイヤロープWの長手方向(X方向)に直交する断面位置における撚(よ)りの均一度や、鋼材の量の均一度などの違いに起因して、変化する磁気特性である。ここで、ワイヤロープWの撚りの均一度や、鋼材の量の均一度は、経時的に略変化することがない(もしくは経時的に大きく変化しにくい)。したがって、ワイヤロープWは、固有の磁気特性を有することにより、後述するワイヤロープWの損傷等および揺れ等がない場合、ワイヤロープ検査装置100による時間的に互いに異なる時点における測定毎に、ワイヤロープWの長手方向(X方向)の各位置における出力が、略同じになる(再現性よく計測される)。
具体的には、図5(A)に示すように、ワイヤロープ検査装置100による第1測定により得られたワイヤロープWの長手方向の位置ごとの検知信号を表す第1検知信号と、図5(B)に示すように、第1測定の後に行われる第2測定により得られたワイヤロープWの長手方向の位置ごとの検知信号を表す第2検知信号とが略同じになる。なお、第1実施形態では、第1検知信号および第2検知信号の各々は、エレベータEの往路において取得された信号であるとする。第1検知信号および第2検知信号の各々が、エレベータEの復路において取得された信号であってもよい。
また、取得された第1検知信号および第2検知信号は、記憶部23に記憶される。記憶部23は、ワイヤロープWの位置情報と、第1検知信号および第2検知信号のそれぞれとを関連付けた検知情報を記憶するように構成されている。なお、記憶部23は、HDDまたはSSDなどにより構成することが可能である。
また、第1実施形態では、第1検知信号は、損傷がない状態のワイヤロープWにおいて取得された検知信号である。すなわち、予め取得されたワイヤロープWの初期状態を表す検知信号(基準信号)が、第1検知信号として常に検査において使用される。また、第2検知信号は、現在のワイヤロープWの検知信号である。なお、第1検知信号として、予め(初期に)取得された検知信号を用いなくてもよい。たとえば、今回取得した検知信号を、次回の測定の第1検知信号として用いてもよい。
したがって、ワイヤロープWの長手方向(X方向)の略同じ位置における差分を取得すると、固有の磁気特性が除去された図5(C)に示すような振幅の小さな出力波形が得られる。すなわち、第1測定時および第2測定時におけるワイヤロープWの互いの固有の磁気特性に基づく信号(出力)がキャンセルされて、図5(C)に示すような比較的平坦な出力波形が得られる。このような結果は、第1測定と第2測定との間の期間が、比較的短い期間(数秒、数分)および比較的長い期間(数ヶ月、数年)のいずれの場合でも、同様に得られる。
また、ワイヤロープWには、上記の固有の磁気特性以外に、ワイヤロープWの損傷等に起因する磁気特性、および、ワイヤロープWの揺れやロープドロー(複数のワイヤロープが捩れる現象)等に起因する一時的な磁気特性が現れる場合がある。
図6では、第2測定においてワイヤロープWに損傷(断線)があった場合の例を記載する。この場合、図6に示すように、ワイヤロープ検査装置100による第1測定により得られた第1検知信号(図6(A)参照)と、第2測定により得られた第2検知信号(図6(B)参照)との差分に、ワイヤロープWの損傷に起因する信号(図6(C)および(D)の破線部分参照)が現れる。なお、図6(D)は、図6(C)の差分結果を微分計算することにより得られる微分結果である。
また、ワイヤロープWの揺れ等に起因する検知信号は、第1測定および第2測定の各々に現れ得る信号である。また、ワイヤロープWにおいて揺れ等が生じる場所は一定ではないので、ワイヤロープWの揺れ等に起因する信号が現れる箇所は測定ごとに異なり得る。したがって、第1測定における第1検知信号と、第2測定における第2検知信号との差分(図6(C)参照)において、ワイヤロープWの揺れ等に起因する検知信号はキャンセルされない場合がある。この場合、図6(C)の差分結果および図6(D)の微分結果を見ても、ワイヤロープWに損傷等に起因する信号か、または、ワイヤロープWの揺れ等に起因する信号かを判別することが困難な場合がある。
ここで、第1実施形態では、図7に示すように、制御部21は、後述する第1加算値と後述する第2加算値との差分を算出する処理と、第1検知信号および第2検知信号に基づいた加算処理とに基づいて、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。
具体的には、制御部21は、複数回(第1実施形態では5回)のワイヤロープWの第1測定において差動コイル10により取得された複数の第1検知信号同士の第1加算値と、複数回(第1実施形態では5回)のワイヤロープWの第2測定において差動コイル10により取得された複数の第2検知信号同士の第2加算値との差分に基づき、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。なお、第1加算値および第2加算値は、それぞれ、請求の範囲の「第1の値」および「第2の値」の一例である。
詳細には、制御部21は、複数の第1検知信号同士が加算された第1加算値(図7(A)参照)と、複数の第2検知信号同士が加算された第2加算値(図7(B)参照)との差分に基づいて、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。図7(A)および(B)は、原理説明のため便宜的に示す概念図であるが、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号を実線、ワイヤロープWの揺れ等に起因する信号を破線で表示している。なお、図7(A)および図7(B)の破線および実線の信号は、図6(D)の微分出力の波形において現れるピーク信号に相当するものを概念的に図示したものである。
図7(A)および図7(B)に示すように、ワイヤロープWの揺れ等に起因する信号(破線の信号)は、複数回の測定ごとに現れる位置が異なっている。このため、加算後の第1加算値および第2加算値の各々において、ワイヤロープWの揺れ等に起因する信号は、出力波形においてばらけた位置にプロットされる。一方、図7(B)に示すように、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号(実線の信号)は、複数回の測定ごとで現れる位置が一定である。これにより、加算後の第2加算値において、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号同士は加算され、比較的大きい信号が得られる。すなわち、第2検知信号同士を加算することにより、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号が相対的に大きくなり、ワイヤロープWの揺れ等に起因する信号が相対的に小さくなる(S/N比が向上する)。
なお、第1検知信号同士および第2検知信号同士の加算は、ワイヤロープWの位置合わせ制御を行うことにより、ワイヤロープWの略同じ位置の信号同士が加算されるように調整して行われる。具体的には、ワイヤロープ検査装置100による検査は、エレベータEを最上階から最下階まで等速で移動させながら行われる。したがって、測定ごとにおいて同じ時間における信号はワイヤロープW上の略同じ位置における信号となる。すなわち、各測定における検知信号同士で時間合わせを行うことにより、ワイヤロープWの位置合わせ制御が行われている。なお、上記の時間合わせに基づいた位置合わせではなく、エレベータEの位置を検知する位置センサを用いて位置合わせ制御が行われてもよい。この位置センサは、ワイヤロープ検査装置100自体に設けられていてもよいし、ワイヤロープ検査装置100とは別個に設けられていてもよい。
また、図8に示すように、制御部21は、取得された第1加算値と第2加算値との差分を、上述した位置合わせ制御を行って算出する。そして、制御部21は、算出した第1加算値と第2加算値との差分に対して微分計算を行って信号処理(図6(D)参照)を行う。
また、制御部21は、上記微分計算により算出された微分結果に基づいて、ワイヤロープWに欠陥があるか否か、および、ワイヤロープWの欠陥(傷等)の大きさを判定する機能を有している。なお、制御部21は、第1加算値と第2加算値との差分結果から直接的に上記判定を行ってもよい。
また、制御部21は、第2検知信号に対して、差動コイル10の感度の補正を行った上で、第1検知信号と第2検知信号との差分を取得するように構成されている。たとえば、上記補正の補正係数は、差動コイル10が置かれる環境温度などに応じて設定されてもよい。この他、上記補正係数は、第1検知信号および第2検知信号の出力波形中の代表となるピークを比較して得られる比としてもよい。
また、第1実施形態では、制御部21は、第1測定と同じ回数の複数回の第2測定において取得された複数の第2検知信号に基づいて、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。具体的には、制御部21は、各測定において取得された5つずつの検知信号に基づいて、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。
(ワイヤロープ検査方法)
次に、図9を参照して、ワイヤロープWの検査方法について説明する。
まず、図9に示すように、ワイヤロープWの検査方法は、複数回のワイヤロープWの第1測定において複数の第1検知信号を取得する工程(ステップS1)を備える。なお、第1測定は、5回連続で行われる。そして、5つの第1検知信号は、記憶部23(図3参照)に記憶される。第1測定は、ワイヤロープWをエレベータEに使用を開始する前に行ってもよいし、使用を開始した後に行ってもよい。
次に、ワイヤロープWの検査方法は、第1測定の後に、複数回のワイヤロープWの第2測定において、複数の第2検知信号(図7(B)参照)を取得する工程(ステップS2)を備える。具体的には、第2測定は、第1測定から所定の期間後に行われる。また、第2測定は、5回連続で行われる。
なお、第1測定と、第2測定との間の長さは、ワイヤロープWの切断などが生じる比較的長い期間(たとえば数十年)ではなく、ワイヤロープWの損傷の進行を確認できる程度の所定期間(たとえば数ヶ月)に設定するのが好ましい。また、第2測定では、第1測定と同じ条件で、ワイヤロープWの測定(検査)が行われる。たとえば、第2測定では、第1測定と同じ速度でワイヤロープ検査装置100に対してワイヤロープWを移動させる。また、第2測定では、第1測定と同じワイヤロープWの位置から測定(検査)を開始して、第1測定と同じワイヤロープWの位置で測定(検査)を終了する。第2工程により、図7(B)に示すような出力波形が得られる。
次に、ワイヤロープWの検査方法は、5つの第1検知信号同士を加算することにより第1加算値を取得する(図7(A)参照)工程(ステップS3)を備える。具体的には、制御部21は、5つの第1検知信号同士を、ワイヤロープWを検知した位置を略一致させる位置合わせ制御を行って加算する。なお、ステップS3は、ステップS2よりも前に行われてもよい。たとえば、5つの第1検知信号を取得した際にステップS3も併せて行ってもよい。
次に、ワイヤロープWの検査方法は、5つの第2検知信号同士を加算することにより第2加算値を取得する(図7(B)参照)工程(ステップS4)を備える。具体的には、制御部21は、5つの第2検知信号同士を、ワイヤロープWを検知した位置を略一致させる位置合わせ制御を行って加算する。これにより、第2検知信号に、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号があれば、それぞれの第2検知信号における上記損傷等に起因する信号同士が加算される(図7(B)参照)。
次に、ワイヤロープWの検査方法は、制御部21により、ステップS3において算出された第1加算値と、ステップS4において算出された第2加算値との差分を、上記位置合わせ制御を行って算出する工程(ステップS5)を備える。これにより、第1測定時および第2測定時におけるワイヤロープWの互いの固有の磁気特性に基づく信号がキャンセル(図5参照)される。これにより、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号、および、ワイヤロープWの揺れ等に起因する信号だけが、差分結果(図8参照)として取得される。なお、図8では、図7と同様に、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号を実線、ワイヤロープWの揺れ等に起因する信号を破線で表示している。
そして、ワイヤロープWの検査方法は、制御部21により、ステップS5において算出された差分に基づき、ワイヤロープWの状態を検知する工程(ステップS6)を備える。具体的には、制御部21は、ステップS5において算出された差分に対して信号処理(微分計算)を行うことにより、微分結果(図6(D)参照)を出力する。そして、制御部21は、出力した微分結果に基づいて、ワイヤロープWに欠陥があるか否か、および、ワイヤロープWの欠陥(傷等)の大きさを判定する。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、制御部21は、複数回のワイヤロープWの第1測定において差動コイル10により取得され、ワイヤロープWの位置ごとの検知信号を表す複数の第1検知信号に基づく第1加算値(第1の値)と、第1測定の後に行われる複数回のワイヤロープWの第2測定において差動コイル10により取得され、ワイヤロープWの位置ごとの検知信号を表す複数の第2検知信号に基づく第2加算値(第2の値)との差分に基づき、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。ここで、ワイヤロープWの揺れ等に起因する信号(ノイズ)は、一時的に現れるものであるので、検知信号(出力波形)の中での現れ方(出力波形において信号が現れる位置)がランダムに変化し得るものである。一方、たとえばワイヤロープWの損傷等に起因するワイヤロープWの信号は、一時的なものではなく、検知信号(出力波形)の中での現れ方(出力波形において信号が現れる位置)が固定されている。この特性を利用することによって、第1検知信号および第2検知信号をそれぞれ1つずつ用いる場合と異なり、複数の第1(第2)検知信号において共通に現れる信号とランダムに現れる信号とに基づいて、ワイヤロープWの損傷等に起因して現れた信号と、ワイヤロープWの揺れ等に起因して一時的に現れた信号との判別を行うことができる。その結果、ワイヤロープWの損傷等または揺れ等に起因する信号(ノイズ)が存在する場合にも、ワイヤロープWの損傷を容易に検知することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部21は、第1加算値(第1の値)と第2加算値(第2の値)との差分を算出する処理と、第1検知信号および第2検知信号に基づいた加算処理とに基づいて、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。ここで、上述したように、ワイヤロープWの揺れ等に起因する信号の現れ方(出力波形において信号が現れる位置)はランダムに変化し得るとともにワイヤロープWの損傷等に起因する信号の現れ方(出力波形において信号が現れる位置)は一定である。したがって、第1検知信号および第2検知信号に基づいた加算処理を行うことによって、ワイヤロープWの揺れ等に起因して一時的に現れる信号同士は加算されずに出力波形においてばらけた位置にプロットされるとともに、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号同士だけを加算することができる。その結果、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号を相対的に大きくすることができるので、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号が、ワイヤロープWに一時的に現れている信号に埋もれるのを抑制することができる。これにより、ワイヤロープWの損傷をより容易に検知することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部21は、複数の第1検知信号同士を加算することに基づいて得られた第1加算値(第1の値)と、複数の第2検知信号同士を加算することに基づいて得られた第2加算値(第2の値)との差分に基づいて、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。このように構成すれば、複数の第1検知信号同士、および、複数の第2検知信号同士を加算することにより、ワイヤロープWに一時的に現れている信号同士が加算されずにワイヤロープWの損傷等に起因する信号同士が加算されるので、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号が、ワイヤロープWに一時的に現れている信号に埋もれるのを抑制することができる。また、第1加算値および第2加算値の全組み合わせの差分を算出する場合に比べて、制御部21の演算処理における負荷を軽減することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部21は、第1測定と同じ回数の複数回の第2測定において取得された複数の第2検知信号に基づいて、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。このように構成すれば、複数の第1検知信号同士の加算値と、複数の第2検知信号同士の加算値との差分を算出する際に、第1検知信号および第2検知信号の両方に含まれるワイヤロープWに固有の磁気特性に基づく信号をキャンセルする(打ち消す)ことができる。その結果、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号をより確実に検知することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1検知信号は、損傷がない状態のワイヤロープWにおいて取得された検知信号である。このように構成すれば、第2測定時にワイヤロープWに損傷がある場合に、ワイヤロープWの損傷をより確実に検知することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、ワイヤロープWは、複数設けられている。また、差動コイル10は、複数のワイヤロープWの磁気特性を一括して検知するように構成されている。このように構成すれば、複数のワイヤロープWを個別に検査する場合に比べて、検査に要する時間を短縮することができる。これにより、複数回の測定を毎回行う必要がある場合でも、測定に要する時間が長くなるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、ワイヤロープ検査方法は、ワイヤロープWの磁界の変化を検知する差動コイル10により、複数回のワイヤロープWの第1測定において、ワイヤロープWの位置ごとの検知信号を表す複数の第1検知信号に基づく第1加算値(第1の値)を取得する工程を備える。また、ワイヤロープ検査方法は、第1測定の後に、複数回のワイヤロープWの第2測定において、差動コイル10により、ワイヤロープWの位置ごとの検知信号を表す複数の第2検知信号に基づく第2加算値(第2の値)を取得する工程を備える。そして、ワイヤロープ検査方法は、第1加算値と、第2加算値との差分に基づき、ワイヤロープWの状態を検知する工程を備える。このように構成すれば、複数の第1検知信号に基づく第1加算値と複数の第2検知信号に基づく第2加算値との差分に基づいてワイヤロープWの状態を検知することにより、ワイヤロープWの損傷等に起因して現れた信号と、ワイヤロープWの揺れ等に起因して一時的に現れた信号との判別を容易に行うことができる。その結果、ワイヤロープWの損傷等または揺れ等に起因する信号(ノイズ)が存在する場合にも、ワイヤロープWの損傷を容易に検知することが可能なワイヤロープ検査方法を提供することができる。
[第2実施形態]
次に、図10および図11を参照して、第2実施形態によるワイヤロープ検査装置200の構成について説明する。この第2実施形態のワイヤロープ検査装置200は、上記第1実施形態と異なり、複数の第1検知信号と複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分に基づいて、ワイヤロープWの状態を検知する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
図10に示すように、ワイヤロープ検査装置200は、電子回路部32を備えている。電子回路部32は、制御部321を含んでいる。
ここで、第2実施形態では、制御部321は、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分同士の第3加算値に基づいて、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。具体的には、制御部321は、5つの第1検知信号と、5つの第2検知信号との、全25通りの組み合わせにおける差分同士を加算する。すなわち、第2検知信号にワイヤロープWの損傷等に起因する信号が含まれている場合、上記損傷等に起因する信号は25回加算されることになる。なお、第3加算値は、請求の範囲の「第3の値」の一例である。
(ワイヤロープ検査方法)
次に、図11を参照して、ワイヤロープWの検査方法について説明する。
図11に示すように、ワイヤロープWの検査方法は、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分を算出する工程(ステップS13)を備える。制御部321は、ワイヤロープWを検知した位置を略一致させる位置合わせ制御を行って、各組み合わせにおける差分を算出する。
次に、ワイヤロープWの検査方法は、ステップS13において算出された複数の差分同士を加算して第3加算値を算出する工程(ステップS14)を備える。制御部321は、上記位置合わせ制御を行って、上記複数の差分同士を加算する。
そして、ワイヤロープWの検査方法は、ステップS14において算出された第3加算値に基づき、ワイヤロープWの状態を検知する工程(ステップS15)を備える。具体的には、制御部321は、ステップS14において算出された第3加算値に対して信号処理(微分計算)を行うことにより、微分結果を出力する。そして、制御部321は、出力した微分結果に基づいて、ワイヤロープWに欠陥があるか否か、および、ワイヤロープWの欠陥(傷等)の大きさを判定する。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、制御部321は、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分同士を加算することに基づいて得られた第3加算値(第3の値)に基づいて、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。このように構成すれば、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号同士の加算回数を容易に大きくすることができる。その結果、ワイヤロープWの損傷等に起因する信号が、ワイヤロープWに一時的に現れている信号に埋もれるのをより確実に抑制する(S/N比を向上させる)ことができる。
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第3実施形態]
次に、図12および図13を参照して、第3実施形態によるワイヤロープ検査装置300の構成について説明する。この第3実施形態のワイヤロープ検査装置300は、上記第2実施形態と異なり、複数の第1検知信号と複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分に対して微分計算処理を行った後に加算処理を行う。なお、上記第2実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
図12に示すように、ワイヤロープ検査装置300は、電子回路部42を備えている。電子回路部42は、制御部421を含んでいる。
ここで、第3実施形態では、制御部421は、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分の微分値同士の加算値である第4加算値に基づいて、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。具体的には、制御部421は、5つの第1検知信号と、5つの第2検知信号との、全25通りの組み合わせにおける差分の各々に対して、微分計算処理を行う。なお、第4加算値は、請求の範囲の「第4の値」の一例である。
(ワイヤロープ検査方法)
次に、図13を参照して、ワイヤロープWの検査方法について説明する。
図13に示すように、ステップS24では、制御部421は、ステップS13において算出された複数の差分の各々に対して信号処理(微分計算)を行う。
そして、ワイヤロープWの検査方法は、ステップS24において算出された複数の微分値同士を加算することにより第4加算値を算出する工程(ステップS25)を備える。具体的には、制御部421は、ワイヤロープWを検知した位置を略一致させる位置合わせ制御を行って、ステップS24において算出された複数の微分値同士を加算する。そして、制御部421は、算出した第4加算値に基づいて、ワイヤロープWに欠陥があるか否か、および、ワイヤロープWの欠陥(傷等)の大きさを判定する。
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態では、上記のように、制御部421は、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分の微分値同士を加算することに基づいて得られた第4の値に基づいて、ワイヤロープWの状態を検知するように構成されている。このように構成すれば、上記微分値同士の加算に基づいて、ワイヤロープWに一時的に現れている信号に埋もれるのをより確実に抑制する(S/N比を向上させる)ことができる。
第3実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1~第3実施形態では、ワイヤロープ検査装置100(200、300)の制御部21(321、421)が、ワイヤロープWの状態を検知する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ワイヤロープ検査装置100(200、300)とは別個の装置が上記の制御を行ってもよい。
具体的には、図14に示すように、ワイヤロープ検査システム500は、ワイヤロープ検査装置400と、外部装置900aとを備えている。なお、外部装置900aは、請求の範囲の「制御装置」の一例である。
ワイヤロープ検査装置400は、電子回路部52を備える。また、電子回路部52は、制御部521を含む。また、外部装置900aは、制御部904を備える。
制御部521は、通信部26を介して、第1測定により取得した第1検知信号と、第2測定により取得した第2検知信号とを外部装置900aに送信する制御を行う。
制御部904は、通信部901を介して、第1検知信号と第2検知信号とを取得する。制御部904は、ワイヤロープ検査装置400における第1測定により取得した複数の第1検知信号と、ワイヤロープ検査装置400における第2測定により取得した複数の第2検知信号との差分に基づいて、上記第1~第3実施形態のいずれかの制御により、ワイヤロープW(図2参照)の状態を検知するように構成されている。なお、外部装置900aには、ワイヤロープ検査装置400から送信された検知信号を記憶する図示しない記憶部が設けられている。なお、外部装置900aの例としては、ワイヤロープ検査装置400とは別個のPCまたはタブレット等の端末であってもよいし、クラウド上のサーバであってもよい。
これにより、ワイヤロープWの損傷等に起因して現れた信号と、ワイヤロープWの揺れ等に起因して一時的に現れた信号との判別を容易に行うことができるので、ワイヤロープWの損傷を容易に検知することが可能なワイヤロープ検査システム500を提供することができる。
また、上記第1~第3実施形態では、第1検知信号および第2検知信号に基づいた加算処理を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1検知信号および第2検知信号に基づいた乗算処理によって、ワイヤロープWの状態を検知してもよい。
また、上記第1実施形態では、複数の第1検知信号同士の第1加算値(第1の値)と、複数の第2検知信号同士の第2加算値(第2の値)との差分に基づき、ワイヤロープWの状態を検知する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数の第1検知信号の平均値と、複数の第2検知信号の平均値との差分に基づき、ワイヤロープWの状態を検知してもよい。
また、上記第2実施形態では、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分同士の第3加算値(第3の値)に対して信号処理(微分計算)を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上記第3加算値の平均値に対して信号処理(微分計算)を行ってもよい。
また、上記第2実施形態では、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分の微分値同士の第4加算値(第4の値)に基づいて、ワイヤロープWの状態を検知する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上記第4加算値の平均値に基づいて、ワイヤロープWの状態を検知してもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、第1測定の回数と第2測定の回数とが等しい例を示したが、本発明はこれに限られない。第1測定の回数と第2測定の回数とが異なっていてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、第1検知信号が、損傷のない状態のワイヤロープの検知信号である例を示したが、本発明はこれに限られない。第1検知信号が、損傷のある状態のワイヤロープの検知信号であってもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、ワイヤロープWが複数設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。ワイヤロープWが単数であってもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、ワイヤロープ検査装置100(200、300)が固定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。固定されたワイヤロープWに沿ってワイヤロープ検査装置100(200、300)が移動してもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、第1検知信号および第2検知信号をそれぞれ5つずつ取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。第1検知信号および第2検知信号をそれぞれ、2つ~4つ、または6つ以上ずつ取得してもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、ワイヤロープ検査装置100(200、300)が巻上機E2の直下近傍に固定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。ワイヤロープ検査装置100(200、300)の取り付け位置は、ワイヤロープWが通過する場所ならばどこでも良く、限定されない。
また、上記第1実施形態では、第1検知信号および第2検知信号が、エレベータEの往路のデータである例を示したが、本発明はこれに限られない。第1検知信号および第2検知信号の各々が、エレベータEの往路のデータおよび復路のデータの両方を含んでいてもよい。この場合のワイヤロープWの検査方法について、図15を用いて説明する。
図15に示すように、ワイヤロープWの検査方法は、複数回のワイヤロープWの第1測定においてエレベータEの復路に対応する複数の第1検知信号を取得する工程(ステップS31)を備える。なお、図15では、便宜上、往路の第1検知信号、往路の第2検知信号、復路の第2検知信号、および、復路の第2検知信号の各々を、3つずつ図示しているが、個数はこれに限られない。
次に、ワイヤロープWの検査方法は、第1測定の後に、複数回のワイヤロープWの第2測定において、エレベータEの復路に対応する複数の第2検知信号を取得する工程(ステップS32)を備える。
次に、ワイヤロープWの検査方法は、複数の第1検知信号(復路)同士を位置合わせ制御を行って加算することにより第1加算値を取得する工程(ステップS33)を備える。
次に、ワイヤロープWの検査方法は、複数の第2検知信号(復路)同士を位置合わせ制御を行って加算することにより第2加算値を取得する工程(ステップS34)を備える。
次に、ワイヤロープWの検査方法は、ステップS33において算出された第1加算値と、ステップS34において算出された第2加算値との差分を、位置合わせ制御を行って算出する工程(ステップS35)を備える。
そして、ワイヤロープWの検査方法は、ステップS5において算出された差分と、ステップS35において取得された差分とを、加算する工程(ステップS36)を備える。この際、方向性が互いに反転している往路のデータと復路のデータとを加算するために、方向合わせの制御(いずれか一方の波形の横軸(X軸)を反転させる制御)を行って上記加算制御が行われる。具体的には、ステップS36の加算制御においては、方向合わせ制御および位置合わせ制御の両方が行われる。
そして、ワイヤロープWの検査方法は、ステップS36において算出された値に対して信号処理(微分計算)を行うことにより、ワイヤロープWの状態検知を行う工程(ステップS37)を備える。
また、上記第2および第3実施形態では、第1検知信号および第2検知信号が、エレベータEの往路のデータである例を示したが、本発明はこれに限られない。第1検知信号および第2検知信号の各々が、エレベータEの往路のデータおよび復路のデータの両方を含んでいてもよい。この場合のワイヤロープWの検査方法について、図16を用いて説明する。
図16に示すように、ワイヤロープWの検査方法は、複数回のワイヤロープWの第1測定において、エレベータEの往路に対応する複数の第1検知信号と、エレベータEの復路に対応する複数の第1検知信号とを取得する工程(ステップS41)を備える。なお、図16では、便宜上、往路の第1検知信号、往路の第2検知信号、復路の第2検知信号、および、復路の第2検知信号の各々を、3つずつ図示しているが、個数はこれに限られない。
次に、ワイヤロープWの検査方法は、第1測定の後に、複数回のワイヤロープWの第2測定において、エレベータEの往路に対応する複数の第2検知信号と、エレベータEの復路に対応する複数の第2検知信号とを取得する工程(ステップS42)を備える。
次に、ワイヤロープWの検査方法は、複数の第1検知信号と、複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分を算出する工程(ステップS43)を備える。この場合、往路の第1検知信号と復路の第2検知信号、および、復路の第1検知信号と往路の第2検知信号との差分を取得する際には、位置合わせ制御に加えて方向合わせ制御が行われる。
次に、ワイヤロープWの検査方法は、ステップS43において算出された複数の差分のうちの任意のデータ同士が加算される。たとえば、第1検知信号(往路)と第2検知信号(往路)との差分同士が加算されてもよい。また、第1検知信号(復路)と第2検知信号(復路)との差分同士が加算されてもよい。また、第1検知信号(往路)と第2検知信号(復路)との差分同士が加算されてもよい。また、第1検知信号(復路)と第2検知信号(往路)との差分同士が加算されてもよい。また、ステップS43において算出された全ての差分同士が加算されてもよい。
そして、ワイヤロープWの検査方法は、ステップS44において算出された第3加算値に基づき、ワイヤロープWの状態を検知する工程(ステップS45)を備える。具体的には、ステップS44において算出された第3加算値に対して信号処理(微分計算)が行われることにより、微分結果が出力される。なお、ステップS43において算出された差分に対して微分処理された値を用いて、ステップS44と同様の加算処理が行われてもよい。
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(項目1)
ワイヤロープの磁界の変化を検知する検知コイルと、
前記検知コイルにより取得された検知信号を受信する制御部と、を備え、
前記制御部は、複数回の前記ワイヤロープの第1測定において前記検知コイルにより取得され、前記ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第1検知信号に基づく第1の値と、前記第1測定の後に行われる複数回の前記ワイヤロープの第2測定において前記検知コイルにより取得され、前記ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第2検知信号に基づく第2の値との差分に基づき、前記ワイヤロープの状態を検知するように構成されている、ワイヤロープ検査装置。
(項目2)
前記制御部は、前記第1の値と前記第2の値との差分を算出する処理と、前記第1検知信号および第2検知信号に基づいた加算処理とに基づいて、前記ワイヤロープの状態を検知するように構成されている、項目1に記載のワイヤロープ検査装置。
(項目3)
前記制御部は、前記複数の第1検知信号同士を加算することに基づいて得られた前記第1の値と、前記複数の第2検知信号同士を加算することに基づいて得られた前記第2の値との差分に基づいて、前記ワイヤロープの状態を検知するように構成されている、項目2に記載のワイヤロープ検査装置。
(項目4)
前記制御部は、前記複数の第1検知信号と、前記複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分同士を加算することに基づいて得られた第3の値に基づいて、前記ワイヤロープの状態を検知するように構成されている、項目2に記載のワイヤロープ検査装置。
(項目5)
前記制御部は、前記複数の第1検知信号と、前記複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分の微分値同士を加算することに基づいて得られた第4の値に基づいて、前記ワイヤロープの状態を検知するように構成されている、項目2に記載のワイヤロープ検査装置。
(項目6)
前記制御部は、前記第1測定と同じ回数の前記複数回の第2測定において取得された前記複数の第2検知信号に基づいて、前記ワイヤロープの状態を検知するように構成されている、項目1~5のいずれか1項に記載のワイヤロープ検査装置。
(項目7)
前記第1検知信号は、損傷がない状態の前記ワイヤロープにおいて取得された検知信号である、項目1~6のいずれか1項に記載のワイヤロープ検査装置。
(項目8)
前記ワイヤロープは、複数設けられており、
前記検知コイルは、前記複数のワイヤロープの磁気特性を一括して検知するように構成されている、項目1~7のいずれか1項に記載のワイヤロープ検査装置。
(項目9)
ワイヤロープの磁界の変化を検知する検知コイルを含むワイヤロープ検査装置と、
前記検知コイルにより取得された検知信号を受信する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、複数回の前記ワイヤロープの第1測定において前記検知コイルにより取得され、前記ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第1検知信号に基づく第1の値と、前記第1測定の後に行われる複数回の前記ワイヤロープの第2測定において前記検知コイルにより取得され、前記ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第2検知信号に基づく第2の値との差分に基づき、前記ワイヤロープの状態を検知するように構成されている、ワイヤロープ検査システム。
(項目10)
ワイヤロープの磁界の変化を検知する検知コイルにより、複数回の前記ワイヤロープの第1測定において、前記ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第1検知信号に基づく第1の値を取得する工程と、
前記第1測定の後に、複数回の前記ワイヤロープの第2測定において、前記検知コイルにより、前記ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第2検知信号に基づく第2の値を取得する工程と、
前記第1の値と、前記第2の値との差分に基づき、前記ワイヤロープの状態を検知する工程と、を備える、ワイヤロープ検査方法。
10 差動コイル(検知コイル)
21、321、421 制御部
100、200、300,400 ワイヤロープ検査装置
900a 外部装置(制御装置)
500 ワイヤロープ検査システム
W ワイヤロープ

Claims (7)

  1. ワイヤロープの磁界の変化を検知する検知コイルと、
    前記検知コイルにより取得された検知信号を受信する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    複数回の前記ワイヤロープの第1測定において前記検知コイルにより取得され、前記ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第1検知信号を加算することに基づいて得られた第1の値と、前記第1測定の後に行われる複数回の前記ワイヤロープの第2測定において前記検知コイルにより取得され、前記ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第2検知信号を加算することに基づいて得られた第2の値との差分
    前記複数の第1検知信号と、前記複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分同士を加算することに基づいて得られた第3の値、
    前記複数の第1検知信号と、前記複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分の微分値同士を加算することに基づいて得られた第4の値、または、
    前記複数の第1検知信号の平均値と、前記複数の第2検知信号の平均値との差分、
    に基づき、前記ワイヤロープの状態を検知するように構成されている、ワイヤロープ検査装置。
  2. 前記制御部は、前記複数の第1検知信号と前記複数の第2検知信号との差分を算出する処理と、前記第1検知信号および前記第2検知信号に基づいた加算処理とに基づいて、前記ワイヤロープの状態を検知するように構成されている、請求項1に記載のワイヤロープ検査装置。
  3. 前記制御部は、前記第1測定と同じ回数の前記複数回の第2測定において取得された前記複数の第2検知信号に基づいて、前記ワイヤロープの状態を検知するように構成されている、請求項1に記載のワイヤロープ検査装置。
  4. 前記第1検知信号は、損傷がない状態の前記ワイヤロープにおいて取得された検知信号である、請求項1に記載のワイヤロープ検査装置。
  5. 前記ワイヤロープは、複数設けられており、
    前記検知コイルは、前記複数のワイヤロープの磁気特性を一括して検知するように構成されている、請求項1に記載のワイヤロープ検査装置。
  6. ワイヤロープの磁界の変化を検知する検知コイルを含むワイヤロープ検査装置と、
    前記検知コイルにより取得された検知信号を受信する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    複数回の前記ワイヤロープの第1測定において前記検知コイルにより取得され、前記ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第1検知信号を加算することに基づいて得られた第1の値と、前記第1測定の後に行われる複数回の前記ワイヤロープの第2測定において前記検知コイルにより取得され、前記ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第2検知信号を加算することに基づいて得られた第2の値との差分
    前記複数の第1検知信号と、前記複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分同士を加算することに基づいて得られた第3の値、
    前記複数の第1検知信号と、前記複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分の微分値同士を加算することに基づいて得られた第4の値、または、
    前記複数の第1検知信号の平均値と、前記複数の第2検知信号の平均値との差分、
    に基づき、前記ワイヤロープの状態を検知するように構成されている、ワイヤロープ検査システム。
  7. ワイヤロープの磁界の変化を検知する検知コイルにより、複数回の前記ワイヤロープの第1測定において、前記ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第1検知信号を取得する工程と、
    前記第1測定の後に、複数回の前記ワイヤロープの第2測定において、前記検知コイルにより、前記ワイヤロープの位置ごとの検知信号を表す複数の第2検知信号を取得する工程と、
    前記複数の第1検知信号を加算することに基づいて得られた第1の値と前記複数の第2検知信号を加算することに基づいて得られた第2の値との差分
    前記複数の第1検知信号と、前記複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分同士を加算することに基づいて得られた第3の値、
    前記複数の第1検知信号と、前記複数の第2検知信号との全組み合わせにおける差分の微分値同士を加算することに基づいて得られた第4の値、または、
    前記複数の第1検知信号の平均値と、前記複数の第2検知信号の平均値との差分、に基づき、前記ワイヤロープの状態を検知する工程と、を備える、ワイヤロープ検査方法。
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