JP7316962B2 - 感光性組成物、硬化物、カラーフィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、及び化合物 - Google Patents

感光性組成物、硬化物、カラーフィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、及び化合物 Download PDF

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Description

本開示は、感光性組成物、硬化物、カラーフィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、及び化合物に関する。
カラーフィルタは、例えば、固体撮像素子、又は画像表示装置に不可欠な構成部品である。カラーフィルタの製造方法では、例えば、着色剤を含む感光性組成物が使用されている(例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3)。
特開2017-129774号公報 特開2016-75739号公報 国際公開第2013/018705号
近年では、カラーフィルタの薄膜化が望まれている。所望の性能を維持しつつ薄膜化を達成するために、感光性組成物中の着色剤の濃度を大きく必要がある。しかしながら、感光性組成物中の着色剤の濃度を大きくすると、着色剤の凝集物が生成しやすくなる。着色剤の凝集物は、例えば、感光性組成物を用いて得られるカラーフィルタの性能に影響を及ぼす可能性がある。
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものである。
本開示の一態様は、着色剤の凝集が抑制された感光性組成物を提供することを目的とする。
本開示の他の一態様は、着色剤の凝集が抑制された感光性組成物を硬化してなる硬化物を提供することを目的とする。
本開示の他の一態様は、着色剤の凝集が抑制された感光性組成物を硬化してなる硬化物を含むカラーフィルタを提供することを目的とする。
本開示の他の一態様は、着色剤の凝集が抑制された感光性組成物を硬化してなる硬化物を含む固体撮像素子を提供することを目的とする。
本開示の他の一態様は、着色剤の凝集が抑制された感光性組成物を硬化してなる硬化物を含む画像表示装置を提供することを目的とする。
本開示の他の一態様は、新規な化合物を提供することを目的とする。
本開示は、以下の態様を包含する。
<1> 着色剤Aと、光重合開始剤Bと、重合性化合物Cと、重合性基、カチオン、及びアニオンを含む化学構造を有し、下記式(Aλ)で表される比吸光度が5以下である化合物Dと、を含む感光性組成物。
式(Aλ):E=A/(c×l)
式(Aλ)中、Eは、波長400nm~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの比吸光度を表し、Aは、波長400nm~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの吸光度を表し、lは、単位がcmで表される光路長を表し、cは、単位がmg/mLで表される、測定試料中の化合物Dの濃度を表す。
<2> 上記着色剤Aが、顔料A1を含む<1>に記載の感光性組成物。
<3> 上記着色剤Aが、顔料A1と、上記顔料A1とは異なる着色剤A2と、を含む<1>又は<2>に記載の感光性組成物。
<4> 上記着色剤A2が、カチオン、及びアニオンを含む化学構造を有する染料を含む<3>に記載の感光性組成物。
<5> 上記着色剤A2の上記カチオンが、キサンテン色素構造を有するカチオンである<4>に記載の感光性組成物。
<6> 上記着色剤A2の上記アニオンが、スルホンイミドアニオンである<4>又は<5>に記載の感光性組成物。
<7> 上記着色剤A2の形態が、分子内塩である<3>~<6>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<8> 上記着色剤A2が、色素多量体を含む<3>~<7>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<9> 上記化合物Dの上記重合性基が、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基である<1>~<8>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<10> 上記ラジカル重合性基が、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、マレイミド基、及びアリル基からなる群より選択される少なくとも1種である<9>に記載の感光性組成物。
<11> 上記カチオン重合性基が、エポキシ基、オキセタニル基、及びアリル基からなる群より選択される少なくとも1種である<9>又は<10>に記載の感光性組成物。
<12> 上記化合物Dが、上記アニオンに上記重合性基を有する<1>~<11>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<13> 上記化合物Dの上記アニオンが、スルホンイミドアニオンである<1>~<12>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<14> 上記化合物Dの上記カチオンが、金属原子のカチオン、カルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、又はスルホニウムカチオンである<1>~<13>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<15> 上記化合物Dの上記カチオンが、金属原子のカチオンである<1>~<14>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<16> <1>~<15>のいずれか1つに記載の感光性組成物を硬化してなる硬化物。
<17> <16>に記載の硬化物を含むカラーフィルタ。
<18> <16>に記載の硬化物を含む固体撮像素子。
<19> <16>に記載の硬化物を含む画像表示装置。
<20> 下記式(I)で表される化合物。
式(I)中、Mは、金属原子を表し、Rは、1価の有機基を表し、Xは、フッ化アルキレン基、又はフッ化アリーレン基を表し、Yは、-S-、-CO-O-、-CO-NH-、-SO-N-SO-、-SO-N-、-SO-O-、又は-SO-NH-を表し、Lは、単結合、又はk+1価の連結基を表し、Zは、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を表し、aは、1~4の整数を表し、bは、1、又は2を表し、cは、1、又は2を表し、dは、1~4の整数を表し、a、b、c、及びdは、a×b=c×dの関係を満たし、kは、1~3の整数を表す。
本開示の一態様によれば、着色剤の凝集が抑制された感光性組成物が提供される。
本開示の他の一態様は、着色剤の凝集が抑制された感光性組成物を硬化してなる硬化物が提供される。
本開示の他の一態様によれば、着色剤の凝集が抑制された感光性組成物を硬化してなる硬化物を含むカラーフィルタが提供される。
本開示の他の一態様によれば、着色剤の凝集が抑制された感光性組成物を硬化してなる硬化物を含む固体撮像素子が提供される。
本開示の他の一態様によれば、着色剤の凝集が抑制された感光性組成物を硬化してなる硬化物を含む画像表示装置が提供される。
本開示の他の一態様によれば、新規な化合物が提供される。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
本開示において、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。本開示で段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有しない基、及び置換基を有する基を包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)を包含する。
本開示において、特別な記載がない限り、「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「Pr」はプロピル基を、「Bu」はブチル基を、「Ph」はフェニル基を、それぞれ表す。
本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
本開示において、「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
本開示において、「全固形分」とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本開示において、「固形分」とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分である。固形分は、25℃において、固体、又は液体であってもよい。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、及びTSKgel G2000HxL(いずれも東ソー株式会社製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置、溶剤としてTHF(テトラヒドロフラン)、並びに示差屈折計を用いて測定される、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示において、「顔料」とは、溶剤に対して溶解しにくい化合物を意味する。
本開示において、「染料」とは、溶剤に対して溶解しやすい化合物を意味する
本開示において、「カチオン」とは、正電荷を有する原子、又は正電荷を有する原子団を意味する。
本開示において、「アニオン」とは、負電荷を有する原子、又は負電荷を有する原子団を意味する。
本開示において、名称の前、又は名称の後に付記される記号(例えば、A、B、C、及びD)は、構成要素を区別するために使用する用語であり、構成要素の種類、構成要素の数、及び構成要素の優劣を制限するものではない。
<感光性組成物>
本開示に係る感光性組成物は、着色剤Aと、光重合開始剤Bと、重合性化合物Cと、重合性基、カチオン、及びアニオンを含む化学構造を有し、下記式(Aλ)で表される比吸光度が5以下である化合物Dと、を含む。
式(Aλ):E=A/(c×l)
式(Aλ)中、Eは、波長400nm~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの比吸光度を表し、Aは、波長400nm~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの吸光度を表し、lは、単位がcmで表される光路長を表し、cは、単位がmg/mLで表される、測定試料中の化合物Dの濃度を表す。
本開示に係る感光性組成物によれば、着色剤の凝集が抑制される。本開示に係る感光性組成物が上記のような効果を奏する理由は、以下のように推察される。着色剤の凝集は、例えば、着色剤と着色剤との間に働く相互作用(例えば、静電相互作用)によって引き起こされると考えられる。着色剤の中でも、カチオンとアニオンとを含む着色剤は、静電相互作用によって凝集しやすい。一方、本開示に係る感光性組成物によればは、重合性基、カチオン、及びアニオンを含む化学構造を有し、下記式(Aλ)で表される比吸光度が5以下である化合物Dが着色剤と相互作用(例えば、静電相互作用)することで、着色剤の凝集が抑制されると推察される。
<<着色剤A>>
本開示に係る感光性組成物は、着色剤Aを含む。着色剤Aとしては、公知の着色剤を利用することができる。ただし、着色剤Aは、後述する光重合開始剤B、重合性化合物C、及び化合物Dを含まない。着色剤Aとしては、例えば、染料、及び顔料が挙げられる。
ある実施形態において、着色剤Aは、顔料A1を含むことが好ましい。顔料A1としては、例えば、下記「顔料」の項で説明する顔料が挙げられる。顔料A1の好ましい態様は、下記「顔料」の項で説明する顔料の好ましい態様と同様である。
ある実施形態において、着色剤Aは、顔料A1と、上記顔料A1とは異なる着色剤A2と、を含むことが好ましい。本開示において、「顔料A1とは異なる着色剤A2」とは、顔料以外の着色剤を意味する。着色剤A2の種類は、顔料A1と区別可能である限り、制限されない。好ましい着色剤A2としては、例えば、下記「染料」の項で説明する染料が挙げられる。着色剤A2は、下記「染料」の項で説明する染料(好ましくは染料A)であることが好ましい。顔料と染料(好ましくは染料A)とを併用することで、例えば、本開示に係る感光性組成物を用いてフォトリソグラフィ法によってパターン(画素)を形成した際に、現像残渣の発生を抑制することができる。
[染料]
着色剤Aは、染料を含むことが好ましい。染料の種類は、制限されない。染料としては、公知の染料を利用することができる。染料は、カチオン、及びアニオンを含む化学構造を有する染料であることが好ましい。以下、カチオン、及びアニオンを含む化学構造を有する染料を「染料A」という。以下、染料Aのカチオンを「カチオンAX」という。以下、染料Aのアニオンを「アニオンAZ」という。
25℃の100gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテートに対する染料Aの溶解量は、0.01g以上であることが好ましく、0.5g以上であることがより好ましく、1g以上であることが更に好ましい。
(アニオンAZ
染料Aにおいて、アニオンAZは、カチオンAXの分子外に存在していてもよい。「アニオンAZはカチオンAXの分子外に存在している」とは、アニオンAZが、カチオンAXと共有結合を介して結合しておらず、カチオンAXとは独立した構造単位として存在している状態をいう。上記のような染料Aの形態としては、例えば、塩が挙げられる。以下、カチオンの分子外に存在するアニオンを対アニオンともいう。染料Aにおいて、アニオンAZは、カチオンAXと共有結合を介して結合していることが好ましい。すなわち、染料Aの形態は、分子内塩(両性イオンともいう。)であることが好ましい。
アニオンAZの種類は、制限されない。アニオンAZとしては、例えば、フッ化物アニオン、塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、シアン化物イオン、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、リン原子を含むアニオン、イミドアニオン、メチドアニオン、ボレートアニオン、及びSbF が挙げられる。アニオンAZは、イミドアニオン、メチドアニオン、又はボレートアニオンであることが好ましく、イミドアニオン、又はメチドアニオンであることがより好ましく、低求核性であるという理由からイミドアニオンであることが更に好ましい。イミドアニオンとしては、スルホンイミドアニオン(「ビス(スルホニル)イミドアニオン」ともいう。)が好ましい。メチドアニオンとしては、トリス(スルホニル)メチドアニオンが好ましい。ボレートアニオンとしては、例えば、テトラアリールボレートアニオン、テトラシアノボレートアニオン、及びテトラフルオロボレートアニオンが挙げられる。
(カチオンAX
カチオンAXの価数は、制限されない。カチオンAXの価数は、1価であることが好ましい。
カチオンAXの種類は、制限されない。カチオンAXとしては、例えば、キサンテン色素構造を有するカチオン、トリアリールメタン色素構造を有するカチオン、シアニン色素構造を有するカチオン、及びスクアリリウム色素構造を有するカチオンが挙げられる。カチオンAXは、キサンテン色素構造を有するカチオン、又はトリアリールメタン色素構造を有するカチオンであることが好ましく、キサンテン色素構造を有するカチオンであることがより好ましい。キサンテン色素構造の分子平面性は、化合物Dと相性が良いためであると推測される。
キサンテン色素構造を有するカチオンを含む染料としては、下記式(J)で表される化合物が挙げられる。
式(J):
式(J)中、R81、R82、R83、及びR84は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を表し、R85は、置換基を表し、mは、0~5の整数を表し、Zは、対アニオンを表す。mが2以上である場合、複数のR85は、同一、又は異なっていてもよい。
式(J)中、R81、R82、R83、R84、及びR85で表される置換基としては、例えば、後述する置換基T群に含まれる基、及び後述する重合性基が挙げられる。R81とR82、R83とR84、及びmが2以上である場合のR85同士は、それぞれ独立して、互いに結合して5員、6員、若しくは7員の飽和環、又は5員、6員、若しくは7員の不飽和環を形成してもよい。形成される環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリダジン環が挙げられる。形成される環は、ベンゼン環、又はピリジン環であることが好ましい。形成される環が更に置換可能な基である場合には、形成される環は、R81~R85として説明した置換基で更に置換されてもよい。形成される環が2個以上の置換基で更に置換されている場合、2個以上の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
式(J)中、Zは、対アニオンを表す。対アニオンとしては、例えば、フッ化物アニオン、塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、シアン化物イオン、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、リン原子を含むアニオン、イミドアニオン、メチドアニオン、ボレートアニオン、及びSbF が挙げられる。対アニオンは、イミドアニオン、メチドアニオン、又はボレートアニオンであることが好ましく、イミドアニオン、又はメチドアニオンであることがより好ましく、イミドアニオンであることが更に好ましい。イミドアニオンとしては、ビス(スルホニル)イミドアニオンが好ましい。メチドアニオンとしては、トリス(スルホニル)メチドアニオンが好ましい。ボレートアニオンとしては、例えば、テトラアリールボレートアニオン、テトラシアノボレートアニオン、及びテトラフルオロボレートアニオンが挙げられる。対アニオンの分子量は、100~1,000であることが好ましく、200~500であることがより好ましい。
式(J)中は、Zは、存在しなくてもよい。Zが存在しない場合、R81~R85の少なくとも1つがアニオンを含む。R81~R85の少なくとも1つがアニオンを含む場合、アニオンとしては、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、リン原子を含むアニオン、イミドアニオン、メチドアニオン、又はボレートアニオンが好ましく、イミドアニオン、メチドアニオン、又はボレートアニオンがより好ましく、イミドアニオン、又はメチドアニオンが更に好ましく、イミドアニオンが特に好ましい。イミドアニオンとしては、ビス(スルホニル)イミドアニオンが好ましい。メチドアニオンとしては、トリス(スルホニル)メチドアニオンが好ましい。具体的に、R81~R85の少なくとも1つは、下記式(AZ-1)で表される部分構造を有する基、又は下記式(AZ-2)で表される部分構造を有する基であることが好ましく、下記式(AZ-1)で表される部分構造を有する基であることがより好ましい。
式(AZ-1)、及び式(AZ-2)中、波線は、他の原子又は原子団との結合手を表す。
式(J)において、R81~R85の少なくとも1つがアニオンを含む場合、R81~R85の少なくとも1つは、下記式(P-1)で置換された構造であることも好ましい。
式(P-1)中、Lは、単結合、又は2価の連結基を表し、単結合であることが好ましい。Lで表される2価の連結基としては、例えば、炭素数が1~6のアルキレン基、炭素数が6~12のアリーレン基、-O-、-S-、及びこれらの組み合わせからなる基が挙げられる。Lは、-SO-、又は-CO-を表す。Gは、炭素原子、又は窒素原子を表す。n1は、Gが炭素原子の場合に2を表し、そして、Gが窒素原子の場合に1を表す。Rは、フッ素原子を含むアルキル基、又はフッ素原子を含むアリール基を表す。n1が2である場合、2つのRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Rで表されるフッ素原子を含むアルキル基の炭素数は、1~10であることが好ましく、1~6であることがより好ましく、1~3であることが更に好ましい。Rで表されるフッ素原子を含むアリール基の炭素数は、6~20であることが好ましく、6~14であることがより好ましく、6~10であることが更に好ましい。フッ素原子を含むアルキル基、及びフッ素原子を含むアリール基は、それぞれ、更に置換基を有してもよい。置換基としては、後述する置換基T群に含まれる基、及び後述する重合性基が挙げられる。
キサンテン色素構造を有するカチオンを含む染料としては、例えば、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド94、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、ローズベンガルB(食用赤色5号)、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9、C.I.アシッドバイオレット9、及びC.I.アシッドバイオレット30も挙げられる。
トリアリールメタン色素構造を有するカチオンを含む染料としては、例えば、下記式(TP)で表される化合物が挙げられる。
式(TP):
式(TP)中、Rtp~Rtpは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。Rtpは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はNRtpRtp10を表す。「NRtpRtp10」は、窒素原子(N)にRtpとRtp10とが結合した構造を表す。Rtp、及びRtp10は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。Rtp、Rtp、及びRtpは、置換基を表す。a、b、及びcは、0~4の整数を表す。a、b、及びcが2以上である場合、Rtp同士、Rtp同士、及びRtp同士は、それぞれ連結して環を形成してもよい。
式(TP)中、Rtp~Rtpは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数が1~5の直鎖状アルキル基、炭素数が1~5の分岐状アルキル基、又はフェニル基であることが好ましい。Rtpは、水素原子、NRtpRtp10であることが好ましく、NRtpRtp10であることが特に好ましい。Rtp、及びRtp10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数が1~5の直鎖状アルキル基、炭素数が1~5の分岐状アルキル基、又はフェニル基であることが好ましい。Rtp、Rtp及びRtpで表される置換基としては、例えば、後述する置換基T群に含まれる基、及び後述する重合性基が挙げられる。
式(TP)中、Zは、対アニオンを表す。対アニオンとしては、例えば、上記した式(J)に含まれる対アニオンが挙げられる。式(TP)中は、Zは、存在しなくてもよい。Zが存在しない場合、Rtp~Rtpの少なくとも1つがアニオンを含む。Rtp~Rtpの少なくとも1つがアニオンを含む場合、アニオンとしては、例えば、上記した式(J)に含まれるアニオンが挙げられる。
-置換基T群-
置換基T群に含まれる基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数が1~30のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数が2~30のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数が2~30のアルキニル基)、アリール基(好ましくは炭素数が6~30のアリール基)、アミノ基(好ましくは炭素数が0~30のアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数が1~30のアルコキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数が6~30のアリールオキシ基)、ヘテロアリールオキシ基、アシル基(好ましくは炭素数が1~30のアシル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数が2~30のアルコキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数が7~30のアリールオキシカルボニル基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数が2~30のアシルオキシ基)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数が2~30のアシルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数が2~30のアルコキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数が7~30のアリールオキシカルボニルアミノ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数が0~30のスルファモイル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数が1~30のカルバモイル基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数が1~30のアルキルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数が6~30のアリールチオ基)、ヘテロアリールチオ基(好ましくは炭素数が1~30のヘテロアリールチオ基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数が1~30のアルキルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数が6~30のアリールスルホニル基)、ヘテロアリールスルホニル基(好ましくは炭素数が1~30のヘテロアリールスルホニル基)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数が1~30のアルキルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数が6~30のアリールスルフィニル基)、ヘテロアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数が1~30のヘテロアリールスルフィニル基)、ウレイド基(好ましくは炭素数が1~30のウレイド基)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、イミド酸基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキルスルフィノ基、アリールスルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、及びヘテロアリール基(好ましくは炭素数が1~30のヘテロアリール基)が挙げられる。上記した基が更に置換可能な基である場合、上記した基は、更に置換基を有してもよい。置換基としては、上記置換基T群として説明した基、及び後述する重合性基が挙げられる。
(重合性基)
染料(好ましくは染料A)は、架橋密度が高く、各種性能に優れた膜が得られやすいという理由から重合性基を有する化合物であることが好ましい。重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和基、及び環状エーテル基が挙げられる。エチレン性不飽和基としては、例えば、ビニル基、アリル基、及び(メタ)アクリロイル基が挙げられる。環状エーテル基としては、例えば、エポキシ基、及びオキセタニル基が挙げられる。
(色素多量体)
染料(好ましくは染料A)は、現像時の残渣の発生を低減しやすいという理由から色素多量体であることも好ましい。「色素多量体」とは、一分子中に、2個以上の色素構造を有する色素化合物である。色素多量体は、3個以上の色素構造を有することが好ましい。色素多量体における色素構造の数の上限は、制限されない。色素構造の数は、例えば、100個以下の範囲で決定すればよい。色素多量体に含まれる複数の色素構造は、同一、又は異なっていてもよい。
色素多量体の重量平均分子量(Mw)は、2,000~50,000であることが好ましい。色素多量体の重量平均分子量(Mw)は、3,000以上であることがより好ましく、6,000以上であることが更に好ましい。色素多量体の重量平均分子量(Mw)は、30,000以下であることがより好ましく、20,000以下であることが更に好ましい。
色素多量体としては、例えば、国際公開第2016/208524号の段落0047~段落0103に記載された色素多量体(A)~(D)が挙げられる。色素多量体は、後述する式(A)で表される構成単位を有する色素多量体、及び後述する式(D)で表される色素多量体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。以下、式(A)で表される構成単位を有する色素多量体を「色素多量体(A)」という。また、式(D)で表される色素多量体を「色素多量体(D)」という。
-色素多量体(A)-
色素多量体(A)は、式(A)で表される構成単位を有する色素多量体である。式(A)で表される構成単位の割合は、色素多量体(A)の全構成単位に対して、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。式(A)で表される構成単位の割合の上限は、制限されない。式(A)で表される構成単位の割合は、色素多量体(A)の全構成単位に対して、100質量%以下、又は95質量%以下であってもよい。
式(A)中、Xは、構成単位の主鎖を表し、Lは、単結合、又は2価の連結基を表し、Dは、色素構造を有するカチオンとアニオンとを有する色素化合物由来の構造を表す。
式(A)中、Xで表される構成単位の主鎖としては、例えば、重合反応で形成される連結基が挙げられる。Xで表される構成単位の主鎖は、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、ビニル基、又はエーテル基を有する化合物由来の主鎖であることが好ましい。連結基の具体例としては、国際公開第2016/208524号の段落0049に記載の(XX-1)~(XX-30)で表される連結基が挙げられる。
式(A)中、Lは、単結合、又は2価の連結基を表す。Lで表される2価の連結基としては、例えば、炭素数が1~30のアルキレン基、炭素数が6~30のアリーレン基、ヘテロ環連結基、-CH=CH-、-O-、-S-、-C(=O)-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCO-、-SO-、-SO-、及びこれらを2個以上連結して形成される連結基が挙げられる。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。アルキレン基の炭素数は、1~30であることが好ましい。アルキレン基の炭素数は、25以下であることがより好ましく、20以下であることが更に好ましい。アルキレン基の炭素数は、2以上であることがより好ましく、3以上であることが更に好ましい。アルキレン基は、直鎖状、分岐状、又は環状であってもよい。アルキレン基は、置換基を有してもよい。アルキレン基の置換基としては、例えば、上記置換基T群に含まれる基が挙げられる。アリーレン基の炭素数は、6~20であることが好ましく、6~12であることがより好ましい。アリーレン基は、置換基を有してもよい。アリーレン基の置換基としては、例えば、上記置換基T群に含まれる基が挙げられる。ヘテロ環連結基の構造は、5員環、又は6員環であることが好ましい。ヘテロ環連結基に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。ヘテロ環連結基に含まれるヘテロ原子の数は、1~3であることが好ましい。ヘテロ環連結基は、置換基を有してもよい。ヘテロ環連結基の置換基としては、例えば、上記置換基T群に含まれる基が挙げられる。
式(A)中、Dは、色素構造を有するカチオンとアニオンとを有する色素化合物由来の構造を表す。色素構造を有するカチオンとしては、例えば、カチオンAXとして説明したカチオンが挙げられる。アニオンとしては、例えば、アニオンAZとして説明したアニオンが挙げられる。Dは、上記式(J)で表される化合物由来の構造、又は上記式(TP)で表される化合物由来の構造であることが好ましい。
色素多量体(A)は、式(A)で表される構成単位に加えて、他の構成単位を有してもよい。他の構成単位は、官能基を有してもよい。官能基としては、例えば、重合性基、及び酸基が挙げられる。重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和基(ビニル基、及び(メタ)アクリロイル基)が挙げられる。酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、及びリン酸基が挙げられる。
重合性基を有する構成単位の割合は、色素多量体(A)の全構成単位に対して、0質量%~50質量%であることが好ましい。重合性基を有する構成単位の割合は、色素多量体(A)の全構成単位に対して、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましい。重合性基を有する構成単位の割合は、色素多量体(A)の全構成単位に対して、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
酸基を有する構成単位の割合は、色素多量体(A)の全構成単位に対して、0質量%~50質量%であることが好ましい。酸基を有する構成単位の割合は、色素多量体(A)の全構成単位に対して、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上が更に好ましい。酸基を有する構成単位の割合は、色素多量体(A)の全構成単位に対して、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
-色素多量体(D)-
色素多量体(D)は、式(D)で表される色素多量体である。
式(D)中、Lは、n+k価の連結基を表し、L41、及びL42は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の連結基を表し、Dは、色素構造を有するカチオンとアニオンとを有する色素化合物由来の構造を表し、Pは、置換基を表し、nは、2~15の整数を表し、kは、0~13の整数を表し、n+kは、2~15の整数である。n個のDは、同一、又は異なっていてもよい。kが2以上である場合、複数のPは、同一、又は異なっていてもよい。
式(D)中、Lで表されるn+k価の連結基としては、例えば、1個~100個の炭素原子、0個~10個の窒素原子、0個~50個の酸素原子、1個~200個の水素原子、及び0個~20個の硫黄原子からなる基が含まれる。n+k価の連結基としては、例えば、下記の構造単位、又は下記の構造単位を2つ以上組み合わせてなる基が挙げられる。下記の構造単位を2つ以上組み合わせてなる基は、環構造を形成してもよい。
n+k価の連結基の具体例としては、国際公開第2016/208524号の段落0084に記載された連結基が挙げられる。
式(D)中、L41、及びL42は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、1個~100個の炭素原子、0個~10個の窒素原子、0個~50個の酸素原子、1個~200個の水素原子、及び0個~20個の硫黄原子から成り立つ基が挙げられる。2価の連結基は、置換基を有する連結基、又は無置換の連結基であってもよい。2価の連結基の具体例として、下記の構造単位、又は下記の構造単位を2つ以上組み合わせてなる基が挙げられる。
式(D)中、Dは、色素構造を有するカチオンとアニオンとを有する色素化合物由来の構造を表す。色素構造を有するカチオンとしては、例えば、カチオンAXとして説明したカチオンが挙げられる。アニオンとしては、例えば、アニオンAZとして説明したアニオンが挙げられる。Dは、上記式(J)で表される化合物由来の構造、又は上記式(TP)で表される化合物由来の構造であることが好ましい。
式(D)中、Pで表される置換基としては、例えば、酸基、及び重合性基が挙げられる。Pで表される置換基は、1価のポリマー鎖であってもよい。1価のポリマー鎖は、ビニル化合物由来の構成単位を有する1価のポリマー鎖であることが好ましい。
式(D)中、nは、2~14の整数であることが好ましく、2~8の整数であることがより好ましく、2~7の整数であることが更に好ましく、2~6の整数であることが特に好ましい。
式(D)中、kは、1~13の整数であることが好ましく、1~10の整数であることがより好ましく、1~8の整数であることが更に好ましく、1~7の整数であることが特に好ましく、1~6の整数であることが最も好ましい。
[顔料]
着色剤Aは、顔料を含むことが好ましい。着色剤Aは、染料、及び顔料を含むことがより好ましい。顔料と染料(好ましくは染料A)とを併用することで、例えば、本開示に係る感光性組成物を用いてフォトリソグラフィ法によってパターン(画素)を形成した際に、現像残渣の発生を抑制することができる。
顔料の平均一次粒子径は、1nm~200nmであることが好ましい。顔料の平均一次粒子径は、5nm以上であることがより好ましく、10nm以上が更に好ましい。顔料の平均一次粒子径は、180nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることが更に好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。顔料の平均一次粒子径が上記範囲であることで、感光性組成物中における顔料の分散安定性が良好となる。本開示において、顔料の一次粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて顔料の一次粒子を観察することで得られる顔料の一次粒子の画像から求めることができる。具体的に、顔料の一次粒子の投影面積を求め、上記投影面積に対応する円相当径を顔料の一次粒子径として算出する。顔料の平均一次粒子径は、400個の顔料の一次粒子径の算術平均値とする。「顔料の一次粒子」とは、凝集のない独立した粒子をいう。
25℃の100gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテートに対する顔料の溶解量は、0.01g未満であることが好ましく、0.005g未満であることがより好ましく、0.001g未満であることが更に好ましい。
顔料は、CuKα線による特定のX線回折パターンを有することが好ましい。上記のような顔料としては、例えば、特許第6561862号公報に記載のフタロシアニン顔料、特許第6413872号公報に記載のジケトピロロピロール顔料、及び特許第6281345号公報に記載のアゾ顔料(C.I.Pigment Red269)が挙げられる。
顔料の種類は、制限されない。顔料としては、公知の顔料を利用することができる。顔料としては、例えば、無機顔料、及び有機顔料が挙げられる。顔料は、有機顔料であることが好ましい。顔料として、例えば、無機顔料又は有機-無機顔料の一部を有機発色団で置換した材料を用いることができる。無機顔料又は有機-無機顔料の一部を有機発色団で置換することで、色相設計を容易にできる。
有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料、ジケトピロロピロール顔料、ピロロピロール顔料、イソインドリン顔料、キノフタロン顔料、トリアリールメタン顔料、キサンテン顔料、メチン顔料、及びキノリン顔料が挙げられる。有機顔料の具体例としては、以下に示す黄色顔料、オレンジ色顔料、赤色顔料、緑色顔料、紫色顔料、及び青色顔料が挙げられる。
黄色顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214,215,228,231,232(メチン系),233(キノリン系),234(アミノケトン系),235(アミノケトン系),及び236(アミノケトン系)が挙げられる。
黄色顔料として、例えば、特開2017-201003号公報に記載の化合物、特開2017-197719号公報に記載の化合物、特開2017-171912号公報の段落0011~0062、0137~0276に記載の化合物、特開2017-171913号公報の段落0010~段落0062、及び段落0138~段落0295に記載の化合物、特開2017-171914号公報の段落0011~段落0062、及び段落0139~段落0190に記載の化合物、特開2017-171915号公報の段落0010~段落0065、及び段落0142~段落0222に記載の化合物、特開2013-054339号公報の段落0011~段落0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-026228号公報の段落0013~段落0058に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062644号公報に記載のイソインドリン化合物、特開2018-203798号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062578号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6432076号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-155881号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-111757号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-040835号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2017-197640号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2016-145282号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-085565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-021139号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209614号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209435号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-181015号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-061622号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-032486号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2012-226110号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074987号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-081565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074986号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074985号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-050420号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-031281号公報に記載のキノフタロン化合物、特公昭48-032765号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2019-008014号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6607427号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2019-073695号公報に記載のメチン染料、特開2019-073696号公報に記載のメチン染料、特開2019-073697号公報に記載のメチン染料、特開2019-073698号公報に記載のメチン染料、韓国公開特許第10-2014-0034963号公報に記載の化合物、特開2017-095706号公報に記載の化合物、台湾特許出願公開第201920495号公報に記載の化合物、並びに特許第6607427号公報に記載の化合物を用いることもできる。また、上記した化合物を多量体化した化合物も色価向上の観点から好ましく用いられる。
オレンジ色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,及び73が挙げられる。
赤色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279,294(キサンテン系、Organo Ultramarine、Bluish Red),295(モノアゾ系),296(ジアゾ系),及び297(アミノケトン系)が挙げられる。
赤色顔料として、特開2017-201384号公報に記載の構造中に少なくとも1つ臭素原子が置換したジケトピロロピロール化合物、特許第6248838号公報の段落0016~段落0022に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/102399号に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/117965号に記載のジケトピロロピロール化合物、特開2012-229344号公報に記載のナフトールアゾ化合物、特許第6516119号公報に記載の赤色顔料、及び特許第6525101号公報に記載の赤色顔料を用いることもできる。赤色顔料として、芳香族環に対して、酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子が結合した基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する化合物を用いることもできる。
緑色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7,10,36,37,58,59,62,63,64(フタロシアニン系),65(フタロシアニン系),及び66(フタロシアニン系)が挙げられる。
緑色顔料として、1分子中のハロゲン原子数が平均10個~14個であり、臭素原子数が平均8個~12個であり、塩素原子数が平均2個~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。上記顔料の具体例としては、国際公開第2015/118720号に記載の化合物が挙げられる。緑色顔料として、中国特許出願第106909027号明細書に記載の化合物、国際公開第2012/102395号に記載のリン酸エステルを配位子として有するフタロシアニン化合物、特開2019-008014号公報に記載のフタロシアニン化合物、特開2018-180023号公報に記載のフタロシアニン化合物、及び特開2019-038958号公報に記載の化合物を用いることもできる。
紫色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42,60(トリアリールメタン系),及び61(キサンテン系)が挙げられる。
青色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,29,60,64,66,79,80,87(モノアゾ系),及び88(メチン系)が挙げられる。
青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。上記化合物の具体例としては、特開2012-247591号公報の段落0022~段落0030、又は特開2011-157478号公報の段落0047に記載の化合物が挙げられる。
染料Aとして、キサンテン色素構造を有するカチオンを含む染料、又はトリアリールメタン色素構造のカチオンを含む染料を用いた場合、染料Aと併用される顔料は、平面性が高く、化合物Dとの相互作用が大きいという理由から、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料、又はトリアリールメタン顔料であることが好ましい。上記顔料の具体例としては、C.I.Pigment Violet 23、並びにC.I.Pigment Blue 15:3,15:4,15:6,及び16が挙げられる。
本開示に係る感光性組成物は、1種単独、又は2種以上の着色剤Aを含んでもよい。
着色剤Aの含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。着色剤Aの含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、70質量%以下であることが好ましい。
本開示に係る感光性組成物が着色剤Aとして染料を含む場合、染料の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、15質量%以上であることが特に好ましい。染料の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以下であることが特に好ましく、30質量%以下であることが最も好ましい。
本開示に係る感光性組成物が着色剤Aとして染料を含む場合、染料の含有率は、着色剤Aの全質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましい。染料の含有率は、着色剤Aの全質量に対して、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以下であることが特に好ましい。さらに、染料の含有率は、着色剤Aの全質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
本開示に係る感光性組成物が着色剤Aとして顔料を含む場合、顔料の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。顔料の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、55質量%以下であることが更に好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。
本開示に係る感光性組成物が着色剤Aとして染料と顔料とを含む場合、顔料の含有率は、100質量部の染料に対して、10質量部~500質量部であることが好ましい。顔料の含有率は、100質量部の染料に対して、50質量部以上であることがより好ましく、100質量部以上であることが更に好ましく、130質量部以上であることが特に好ましく、150質量部以上であることが最も好ましい。顔料の含有率は、100質量部の染料に対して、230質量部以下であることが好ましく、200質量部以下であることがより好ましい。
本開示に係る感光性組成物が着色剤Aとして顔料A1と顔料A1とは異なる着色剤A2(好ましくは染料)とを含む場合、顔料A1の含有量に対する着色剤A2の含有量の比([着色剤A2の含有量]/[顔料A1の含有量])は、0.2~10であることが好ましい。顔料A1の含有量に対する着色剤A2の含有量の比は、0.4以上であることがより好ましく、0.5以上であることが更に好ましい。顔料A1の含有量に対する着色剤A2の含有量の比は、2.0以下であることがより好ましく、1.0以下であることが更に好ましい。
<光重合開始剤B>
本開示に係る感光性組成物は、光重合開始剤Bを含む。光重合開始剤Bとしては、公知の光重合開始剤を利用することができる。ただし、光重合開始剤Bは、後述する重合性化合物C、及び化合物Dを含まない。光重合開始剤Bは、紫外線領域から可視光領域までの光線に対して感光性を有する化合物であることが好ましい。光重合開始剤Bは、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤Bとしては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、及びオキサジアゾール骨格を有する化合物)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、及びα-アミノケトン化合物が挙げられる。光重合開始剤Bは、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物、及び3-アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、及びオキシム化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、オキシム化合物であることが更に好ましい。光重合開始剤としては、例えば、特開2014-130173号公報の段落0065~段落0111に記載の化合物、特許第6301489号公報に記載の化合物、「MATERIAL STAGE 37~60p,vol.19,No.3,2019」に記載のパーオキサイド系光重合開始剤、国際公開第2018/221177号に記載の光重合開始剤、国際公開第2018/110179号に記載の光重合開始剤、特開2019-043864号公報に記載の光重合開始剤、特開2019-044030号公報に記載の光重合開始剤、及び特開2019-167313号公報に記載の有機過酸化物も挙げられる。これらの公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、例えば、IGM Resins B.V.社製のOmnirad 184、Omnirad 1173、Omnirad 2959、Omnirad 127、並びにBASF社製のIrgacure 184、Irgacure 1173、Irgacure 2959、及びIrgacure 127が挙げられる。
α-アミノケトン化合物の市販品としては、例えば、IGM Resins B.V.社製のOmnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 369E、Omnirad 379EG、並びにBASF社製のIrgacure 907、Irgacure 369、Irgacure 369E、及びIrgacure 379EGが挙げられる。
アシルホスフィン化合物の市販品としては、例えば、IGM Resins B.V.社製のOmnirad 819、及びOmnirad TPO、並びにBASF社製のIrgacure 819、及びIrgacure TPOが挙げられる。
オキシム化合物としては、例えば、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、「J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)」に記載の化合物、「J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)」に記載の化合物、「Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)」に記載の化合物、特開2000-066385号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-019766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開第2015/152153号に記載の化合物、国際公開第2017/051680号に記載の化合物、特開2017-198865号公報に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落0025~段落0038に記載の化合物、及び国際公開第2013/167515号に記載の化合物が挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンが挙げられる。オキシム化合物の市販品としては、例えば、Irgacure OXE01(BASF社)、Irgacure OXE02(BASF社)、Irgacure OXE03、Irgacure OXE04(BASF社)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司)、アデカオプトマーN-1919(株式会社ADEKA)、及び特開2012-014052号公報に記載の光重合開始剤2が挙げられる。オキシム化合物として、着色性が無い化合物、又は透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、株式会社ADEKA製のアデカアークルズNCI-730、NCI-831、及びNCI-930が挙げられる。
光重合開始剤Bとして、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。上記オキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。
光重合開始剤Bとして、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。上記オキシム化合物の具体例としては、国際公開第2013/083505号に記載の化合物が挙げられる。
光重合開始剤Bとして、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。上記オキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、及び36~40、並びに特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)が挙げられる。
光重合開始剤Bとして、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることもできる。上記オキシム化合物は、二量体であることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落0031~段落0047、特開2014-137466号公報の段落0008~段落0012、及び段落0070~段落0079に記載の化合物、特許4223071号公報の段落0007~段落0025に記載の化合物、並びにアデカアークルズNCI-831(株式会社ADEKA)が挙げられる。
光重合開始剤Bとして、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。上記オキシム化合物の具体例としては、国際公開第2015/036910号に記載のOE-01~OE-75が挙げられる。
光重合開始剤Bとして、カルバゾール骨格にヒドロキシ基を有する置換基が結合したオキシム化合物を用いることもできる。上記のようなオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2019/088055号に記載された化合物が挙げられる。
好ましいオキシム化合物の具体例を以下に示す。ただし、オキシム化合物は、以下に示す具体例に制限されるものではない。
オキシム化合物は、波長350nm~500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることが好ましく、波長360nm~480nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることがより好ましい。オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、高いことが好ましい。具体的に、オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、1,000~30,0000であることが好ましく、2,000~300,000であることがより好ましく、5,000~200,000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。化合物のモル吸光係数は、例えば、分光光度計(Varian社製のCary-5 spectrophotometer)、及び酢酸エチルを用いて、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
光重合開始剤Bは、2官能の光ラジカル重合開始剤、又は3官能以上の光ラジカル重合開始剤であってもよい。上記のような光ラジカル重合開始剤を用いた場合、光ラジカル重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカルが発生するため、良好な感度が得られる。また、光重合開始剤Bとして非対称な構造を有する化合物を用いた場合、結晶性が低下することで溶剤への溶解性が向上し、時間が経過しても化合物が析出しにくくなるため、感光性組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能の光ラジカル重合開始剤、又は3官能以上の光ラジカル重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開第2015/004565号、又は特表2016-532675号公報の段落0407~段落0412に記載のオキシム化合物若しくはその2量体、特表2013-522445号公報に記載の化合物(E)及び化合物(G)、国際公開第2016/034963号に記載のCmpd1~7、特表2017-523465号公報の段落0007に記載のオキシムエステル類光開始剤、特開2017-167399号公報の段落0020~0033に記載の光開始剤、特開2017-151342号公報の段落0017~0026に記載の光重合開始剤(A)、並びに特許第6469669号公報に記載のオキシムエステル光開始剤が挙げられる。
本開示に係る感光性組成物は、1種単独、又は2種以上の光重合開始剤Bを含んでもよい。
光重合開始剤Bの含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.1質量%~30質量%であることが好ましい。光重合開始剤Bの含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましい。光重合開始剤Bの含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。本開示に係る感光性組成物が2種以上の光重合開始剤Bを含む場合、光重合開始剤Bの総含有率が上記範囲となることが好ましい。
<<重合性化合物C>>
本開示に係る感光性組成物は、重合性化合物Cを含む。重合性化合物Cとしては、公知の重合性化合物を利用することができる。ただし、重合性化合物Cは、後述する化合物Dを含まない。
重合性化合物Cとして、例えば、ラジカル、酸、又は熱により重合(架橋)可能な公知の化合物を利用することができる。重合性化合物Cは、エチレン性不飽和結合基を有する化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和結合基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、及び(メタ)アクリロイル基が挙げられる。重合性化合物Cは、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
重合性化合物Cの形態は、モノマー、プレポリマー、又はオリゴマーであってもよい。重合性化合物Cの形態は、モノマーであることが好ましい。重合性化合物Cの分子量は、100~3,000であることが好ましい。重合性化合物Cの分子量は、2,000以下であることがより好ましく、1,500以下であることが更に好ましい。重合性化合物Cの分子量は、150以上であることがより好ましく、250以上であることが更に好ましい。
重合性化合物Cは、3個以上のエチレン性不飽和結合基を含む化合物であることが好ましく、3個~15個のエチレン性不飽和結合基を含む化合物であることがより好ましく、3個~6個のエチレン性不飽和結合基を含む化合物であることが更に好ましい。重合性化合物Cは、3官能~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3官能~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。重合性化合物Cの具体例としては、特開2009-288705号公報の段落0095~段落0108、特開2013-029760号公報の段落0227、特開2008-292970号公報の段落0254~段落0257、特開2013-253224号公報の段落0034~0038、特開2012-208494号公報の段落0477、特開2017-048367号公報、特許第6057891号公報、又は特許第6031807号公報に記載の化合物が挙げられる。これらの公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
重合性化合物Cとしては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(例えば、KAYARAD D-330、日本化薬株式会社)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、KAYARAD D-320、日本化薬株式会社)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(例えば、KAYARAD D-310、日本化薬株式会社)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(例えば、KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社)、及びNKエステルA-DPH-12E(新中村化学工業株式会社))、又はこれらの化合物に含まれる(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール及び/又はプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されているSR454、及びSR499)が好ましい。重合性化合物Cとして、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(例えば、M-460、東亞合成株式会社)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、NKエステルA-TMMT、新中村化学工業株式会社)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(例えば、KAYARAD HDDA、日本化薬株式会社)、RP-1040(日本化薬株式会社)、アロニックスTO-2349(東亞合成株式会社)、NKオリゴUA-7200(新中村化学工業株式会社)、8UH-1006(大成ファインケミカル株式会社)、8UH-1012(大成ファインケミカル株式会社)、又はライトアクリレートPOB-A0(共栄社化学株式会社)を用いることもできる。
重合性化合物Cとして、3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることも好ましい。3官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、例えば、以上、東亞合成株式会社製のアロニックス M-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、及びM-450、新中村化学工業株式会社製のNKエステル A-9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、及びTMPT、並びに日本化薬株式会社製のKAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、及びPET-30が挙げられる。
重合性化合物Cとして、酸基を有する重合性化合物を用いることもできる。酸基を有する重合性化合物を用いることで、現像時に未露光部の感光性組成物が除去されやすく、現像残渣の発生を抑制できる。酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、及びリン酸基が挙げられる。酸基は、カルボキシ基であることが好ましい。酸基を有する重合性化合物の市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のアロニックスM-510、M-520、及びTO-2349が挙げられる。酸基を有する重合性化合物の酸価は、0.1mgKOH/g~40mgKOH/gであることが好ましく、5mgKOH/g~30mgKOH/gであることがより好ましい。酸基を有する重合性化合物の酸価が0.1mgKOH/g以上であることで、現像液に対する溶解性が良好となる。酸基を有する重合性化合物の酸価が40mgKOH/g以下であることで、製造、及び取扱いの観点で有利である。
重合性化合物Cとして、カプロラクトン構造を有する重合性化合物を用いることもできる。カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬株式会社からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されている。具体的な市販品としては、例えば、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、及びDPCA-120が挙げられる。
重合性化合物Cとしては、アルキレンオキシ基を有する重合性化合物を用いることもできる。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物は、エチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基を有する重合性化合物であることが好ましく、エチレンオキシ基を有する重合性化合物であることがより好ましく、4個~20個のエチレンオキシ基を有する3官能~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることが更に好ましい。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物の市販品としては、例えば、サートマー社製のSR-494(4個のエチレンオキシ基を有する4官能の(メタ)アクリレート)、及び日本化薬株式会社製のKAYARAD TPA-330(3個のイソブチレンオキシ基を有する3官能の(メタ)アクリレート)が挙げられる。
重合性化合物Cとしては、フルオレン骨格を有する重合性化合物を用いることもできる。フルオレン骨格を有する重合性化合物の市販品としては、例えば、大阪ガスケミカル株式会社製のOGSOL EA-0200、及びOGSOL EA-0300が挙げられる。上記市販品は、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマーである。
重合性化合物Cとしては、トルエン等の環境規制物質を実質的に含まない化合物を用いることも好ましい。上記のような化合物の市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製のKAYARAD DPHA LT、及びKAYARAD DPEA-12 LTが挙げられる。
重合性化合物Cとして、特公昭48-041708号公報、特開昭51-037193号公報、特公平02-032293号公報、又は特公平02-016765号公報に記載されたウレタンアクリレート類、特公昭58-049860号公報、特公昭56-017654号公報、特公昭62-039417号公報、又は特公昭62-039418号公報に記載されたエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物、及び特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、又は特開平01-105238号公報に記載された分子内にアミノ構造若しくはスルフィド構造を有する重合性化合物を用いることも好ましい。重合性化合物Cとして、UA-7200(新中村化学工業株式会社)、DPHA-40H(日本化薬株式会社)、UA-306H(共栄社化学株式会社)、UA-306T(共栄社化学株式会社)、UA-306I(共栄社化学株式会社)、AH-600(共栄社化学株式会社)、T-600(共栄社化学株式会社)、AI-600(共栄社化学株式会社)、又はLINC-202UA(共栄社化学株式会社)を用いることもできる。
本開示に係る感光性組成物は、1種単独、又は2種以上の重合性化合物Cを含んでもよい。
重合性化合物Cの含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.1質量%~50質量%であることが好ましい。重合性化合物Cの含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましい。重合性化合物Cの含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。本開示に係る感光性組成物が2種以上の重合性化合物Cを含む場合、重合性化合物Cの総含有率が上記範囲となることが好ましい。
<<化合物D>>
本開示に係る感光性組成物は、重合性基、カチオン、及びアニオンを含む化学構造を有し、下記式(Aλ)で表される比吸光度が5以下である化合物Dを含む。本開示に係る感光性組成物が化合物Dを含むことで、着色剤の凝集が抑制される。
式(Aλ):E=A/(c×l)
式(Aλ)中、Eは、波長400nm~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの比吸光度を表し、Aは、波長400nm~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの吸光度を表し、lは、単位がcmで表される光路長を表し、cは、単位がmg/mLで表される、測定試料中の化合物Dの濃度を表す。
[比吸光度]
化合物Dの式(Aλ)で表される比吸光度は、5以下であり、3以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。式(Aλ)で表される比吸光度は、化合物Dの可視域の光を吸収する度合を示す指標である。式(Aλ)で表される比吸光度が小さいほど、可視域の光の吸収性が低くなる。比吸光度の下限は、制限されない。比吸光度の下限を設ける場合、式(Aλ)で表される比吸光度は、0.001以上の範囲で決定すればよい。
式(Aλ)において「A」で表される吸光度は、以下の方法によって測定する。化合物D、及び化合物Dが十分に溶解する溶剤を用いて測定試料を調製する。化合物Dが水に対して十分な溶解性を有する場合、溶剤として水を用いる。化合物Dが水に対して十分な溶解性を有しない場合、溶剤として、メタノールを用いる。25℃(室温)での上記測定試料の吸光度を、光路長が1cmのセルを用いて測定する。測定試料中の化合物Dの濃度は、0.01mg/mLとする。
[化学構造]
化合物Dの化学構造は、重合性基、カチオン、及びアニオンを含む限り、制限されない。重合性基、カチオン、及びアニオンを含む化学構造を有する化合物Dの形態としては、例えば、塩、及び分子内塩が挙げられる。化合物Dの形態は、着色剤の凝集抑制の観点から、塩であることが好ましい。具体的に、化合物Dは、カチオンとアニオンとを含み、上記カチオン、及び上記アニオンからなる群より選択される少なくとも1種が重合性基を有する塩であることが好ましい。以下、化合物Dの構成要素について具体的に説明する。
(重合性基)
化合物Dは、重合性基を含む。化合物Dにおける重合性基の位置は、制限されない。例えば、化合物Dの形態がカチオンとアニオンとを含む塩である場合、重合性基は、カチオン、アニオン、又はカチオンとアニオンとの両方に存在してもよい。化合物Dは、現像性が優れる観点から、アニオンに重合性基を有することが好ましい。すなわち、化合物Dにおける重合性基は、負電荷を有する原子、又は負電荷を有する原子団に結合していることが好ましい。
重合性基の種類は、制限されない。重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、及びカチオン重合性基が挙げられる。重合性基は、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基であることが好ましい。
ラジカル重合性基は、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、マレイミド基、及びアリル基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、アクリロイル基、及びメタクリロイル基からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、アクリロイル基であることが特に好ましい。本開示において、「アクリロイル基」との用語は、「-CO-CH=CH」を含む化学構造を有する基を包含する。本開示において、「メタアクリロイル基」との用語は、「-CO-CCH=CH」を含む化学構造を有する基を包含する。
カチオン重合性基は、エポキシ基、オキセタニル基、及びアリル基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
重合性基は、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、マレイミド基、エポキシ基、オキセタニル基、又はアリル基であることが好ましく、アクリロイル基、又はメタクリロイル基であることがより好ましく、アクリロイル基であることが好ましい。
化合物Dに含まれる重合性基の数は、制限されない。化合物Dに含まれる重合性基の数は、1つに限られず、2つ以上であってもよい。化合物Dに含まれる重合性基の数は、1個~6個であることが好ましい。化合物Dに含まれる重合性基の数は、レジスト液の安定性の観点から、2個以上であることがより好ましい。化合物Dに含まれる重合性基の数は、分子量の低下によって現像性を向上させる観点から、3個以下であることがより好ましい。
(カチオン)
化合物Dは、カチオンを含む。カチオンの価数は、1価、2価、又は3価であることが好ましい。カチオンの価数は、現像性の向上の観点から、2価、又は3価であることがより好ましい。
カチオンの種類は、制限されない。カチオンとしては、例えば、金属原子のカチオン、カルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、及びスルホニウムカチオンが挙げられる。カチオンは、現像性を向上させる観点から、金属原子のカチオン、カルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、又はスルホニウムカチオンであることが好ましく、金属原子のカチオン、又はアンモニウムカチオンであることがより好ましく、金属原子のカチオンであることが更に好ましい。
金属原子のカチオンは、周期表において、第1族に属する金属原子のカチオン、第2族に属する金属原子のカチオン、第11族に属する金属原子のカチオン、第12族に属する金属原子のカチオン、第13族に属する金属原子、第14族に属する金属原子のカチオン、又は第15族に属する金属原子のカチオンであることが好ましい。具体的な金属原子のカチオンとしては、例えば、リチウム(Li)カチオン、ベリリウム(Be)カチオン、ナトリウム(Na)カチオン、マグネシウム(Mg)カチオン、アルミニウム(Al)カチオン、カリウム(K)カチオン、カルシウム(Ca)カチオン、銅(Cu)カチオン、亜鉛(Zn)カチオン、ガリウム(Ga)カチオン、ルビジウム(Rb)カチオン、ストロンチウム(Sr)カチオン、カドミウム(Cd)カチオン、インジウム(In)カチオン、スズ(Sn)カチオン、セシウム(Cs)カチオン、バリウム(Ba)カチオン、水銀(Hg)カチオン、タリウム(Tl)カチオン、鉛(Pb)カチオン、ビスマス(Bi)カチオン、フランシウム(Fr)カチオン、及びラジウム(Ra)カチオンが挙げられる。金属原子のカチオンは、典型金属原子のカチオンであることが好ましく、1価の典型金属原子のカチオン、2価の典型金属原子のカチオン、又は3価の典型金属原子のカチオンであることがより好ましく、2価の典型金属原子のカチオンであることが更に好ましい。金属原子のカチオンは、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、マグネシウムカチオン、カリウムカチオン、カルシウムカチオン、亜鉛カチオン、ストロンチウムカチオン、バリウムカチオン、又はセシウムカチオンであることが好ましく、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオン、亜鉛カチオン、ストロンチウムカチオン、又はバリウムカチオンであることがより好ましい。
アンモニウムカチオンとしては、例えば、第1級アンモニウムカチオン、第2級アンモニウムカチオン、第3級アンモニウムカチオン、及び第4級アンモニウムカチオンが挙げられる。アンモニウムカチオンは、第4級アンモニウムカチオンであることが好ましい。第4級アンモニウムカチオンとしては、下記式(BX-1)で表されるカチオンが挙げられる。
式(BX-1)中、RAN1~RAN4は、それぞれ独立して、炭素数が1~20であるアルキル基、炭素数が2~20であるアルケニル基、又はアリール基を表す。上記アルキル基、上記アルケニル基、及び上記アリール基に含まれる水素原子の一部は、アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基、エポキシ基、オキセタニル基、ヒドロキシ基、ビニル基、又は-CH=CHRで置換されてもよい。カチオンが重合性基を有する場合、上記アルキル基、上記アルケニル基、及び上記アリール基に含まれる水素原子の一部は、アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニル基、又は-CH=CHRで置換されていることが好ましい。上記アルキル基、及び上記アルケニル基の炭素-炭素結合間には、-O-、-S-、-CO-、-NH-、又は-NR-が挿入されてもよい。RAN1~RAN4は、互いに結合して3員環~10員環の窒素原子を含む複素環を形成してもよい。上記複素環に含まれる水素原子は、-R、又は-OHで置換されてもよい。Rは、炭素数が1~10である1価の飽和炭化水素基を表す。
アンモニウムカチオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラプロピルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、モノエチルトリメチルアンモニウムカチオン、モノプロピルトリメチルアンモニウムカチオン、モノブチルトリメチルアンモニウムカチオン、モノステアリルトリチルアンモニウムカチオン、ジステアリルジメチルアンモニウムカチオン、トリステアリルモノメチルアンモニウムカチオン、ステアリルトリメチルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、ジオクチルジメチルアンモニウムカチオン、モノラウリルトリメチルアンモニウムカチオン、ジラウリルジメチルアンモニウムカチオン、トリラウリルメチルアンモニウムカチオン、トリアミルベンジルアンモニウムカチオン、トリヘキシルベンジルアンモニウムカチオン、トリオクチルベンジルアンモニウムカチオン、トリラウリルベンジルアンモニウムクロライドカチオン、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムカチオン、ベンジルジメチルオクチルアンモニウムカチオン、ジアルキルジメチルアンモニウムカチオン(アルキル基の炭素数は14個~18個であることが好ましい。)、及び以下に示す構造を有するアンモニウムカチオンが挙げられる。
重合性基を有するアンモニウムカチオンとしては、例えば、以下に示す構造を有するアンモニウムカチオンが挙げられる。
(アニオン)
化合物Dは、アニオンを含む。アニオンの価数は、1価、又は2価であることが好ましい。アニオンの価数は、レジスト液の安定性の向上の観点から、1価であることがより好ましい。
アニオンの種類は、制限されない。アニオンとしては、例えば、スルホンイミドアニオン、スルホン酸アニオン、ホウ素原子を含むアニオン、メチドアニオン、及びリン原子を含むアニオンが挙げられる。アニオンは、スルホンイミドアニオン、スルホン酸アニオン、ホウ素原子を含むアニオン、又はメチドアニオンであることが好ましく、スルホンイミドアニオン、スルホン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、テトラキス(フッ化フェニル)ホウ酸アニオン、又はメチドアニオンであることがより好ましく、スルホンイミドアニオン、スルホン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、又はメチドアニオンであることが更に好ましく、スルホンイミドアニオンであることが特に好ましい。さらに、アニオンは、着色剤との相互作用(例えば、π-π相互作用、及び静電相互作用)によって着色剤の凝集を抑制する観点から、フッ素原子で置換された脂肪族炭化水素基を含むスルホンイミドアニオン、又はフッ素原子で置換された芳香環を含むスルホンイミドアニオンであることが好ましく、フッ素原子で置換された芳香環を含むスルホンイミドアニオンであることがより好ましい。
-スルホンイミドアニオン-
スルホンイミドアニオンは、-SO-N-SO-で表される部分構造を有するアニオンである。スルホンイミドアニオンとしては、例えば、下記式(BZ1-1)で表されるアニオンが挙げられる。
式(BZ1-1)中、R211、及びR212は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基を表す。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1~10であることが好ましく、1~6であることがより好ましく、1~3であることが更に好ましい。アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であってもよい。アルキル基は、直鎖状、又は分岐状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキルであることがより好ましい。アルキル基、及びアリール基は、それぞれ、置換基を有してもよい。アルキル基は、ハロゲン原子を置換として有するアルキル基(すなわち、ハロゲン化アルキル基)であることが好ましく、フッ素原子を置換基として有するアルキル基(すなわち、フッ化アルキル基)であることがより好ましい。アリール基は、ハロゲン原子を置換として有するアリール基(すなわち、ハロゲン化アリール基)であることが好ましく、フッ素原子を置換基として有するアリール基(すなわち、フッ化アリール基)であることがより好ましい。式(BZ1-1)で表されるアニオンが重合性基を有する場合、アルキル基、及びアリール基は、それぞれ、重合性基、又は重合性基を有する1価の有機基で置換されていることが好ましい。アルキル基は、重合性基、又は重合性基を有する1価の有機基で置換されているフッ化アルキル基であることが好ましい。R211、及びR212は、それぞれ独立して、重合性基、若しくは重合性基を有する1価の有機基で置換されているフッ化アルキル基、又は重合性基、若しくは重合性基を有する1価の有機基で置換されているフッ化アリール基(好ましくは、フッ化フェニル基)であることが好ましい。重合性基としては、例えば、上記「重合性基」の項で説明した重合性基が挙げられる。R211、及びR212がアルキル基である場合、R211とR212とは結合して環を形成してもよい。
スルホンイミドアニオンは、重合性を有するスルホンイミドアニオンであることが好ましく、下記式(SA-1)で表されるアニオンであることがより好ましい。
式(SA-1)中、Rは、1価の有機基を表し、Xは、フッ化アルキレン基、又はフッ化アリーレン基を表し、Yは、-S-、-CO-O-、-CO-NH-、-SO-N-SO-、-SO-N-、-SO-O-、又は-SO-NH-を表し、Lは、単結合、又はk+1価の連結基を表し、Zは、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を表し、kは、1~3の整数を表す。
式(SA-1)中、Rで表される1価の有機基としては、例えば、アルキル基、及びアリール基が挙げられる。アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であってもよい。アルキル基、及びアリール基は、それぞれ、置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基)、アルキル基、アルコキシ基、及びニトロ基が挙げられる。1価の有機基は、式(SA-1)に含まれる-X-Y-L-(Zで表される部分構造と同じ構造を有してもよい。1価の有機基は、フッ化アルキル基、又はフッ化アリール基であることが好ましく、炭素数が1~6のパーフルオロアルキル基、又はパーフルオロアリール基であることがより好ましく、トリフルオロメチル基、又はヘプタフルオロフェニル基であることが更に好ましい。
式(SA-1)中、Xは、フッ化アルキレン基、又はフッ化アリーレン基を表す。フッ化アルキレン基の構造は、アルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された構造であってもよい。フッ化アルキレン基は、炭素数が1~6のパーフルオロアルキレン基であることが好ましく、炭素数が2~6のパーフルオロアルキレン基であることがより好ましく、ヘキサフルオロプロピレン基(-CF-CF-CF-)であることが更に好ましい。フッ化アリーレン基の構造は、アリーレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された構造であってもよい。フッ化アリーレン基は、パーフルオロアリーレン基であることが好ましく、テトラフルオロフェニレン基であることがより好ましい。
式(SA-1)中、Yは、-S-、-CO-O-、-CO-NH-、-SO-N-SO-、-SO-N-、-SO-O-、又は-SO-NH-を表し、-S-、-CO-O-、-SO-N-SO-、-SO-N-、-SO-O-、又は-SO-NH-であることがより好ましく、-S-、-CO-O-、又は-SO-N-SO-であることが更に好ましく、-S-、又は-CO-O-であることが特に好ましい。-CO-O-、又は-CO-NH-における炭素原子は、Xに結合していることが好ましい。-SO-N-、-SO-O-、又は-SO-NH-における硫黄原子は、Xに結合していることが好ましい。Xがフッ化アルキレン基である場合、Yは、-CO-O-、-CO-NH-、-SO-N-SO-、-SO-N-、-SO-O-、又は-SO-NH-であることが好ましく、-CO-O-、-SO-N-SO-、-SO-N-、-SO-O-、又は-SO-NH-であることがより好ましく、-CO-O-、又は-SO-N-SO-であることが更に好ましく、-CO-O-であることが特に好ましい。Xがフッ化アリーレン基である場合、Yは、-S-であることが好ましい。
式(SA-1)中、Lは、単結合、又はk+1価の連結基を表し、k+1価の連結基であることが好ましい。連結基は、YとZと連結可能な構造を有する基であれば制限されない。連結基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基は、鎖状、分岐状、又は環状の脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、鎖状、又は分岐状の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。脂肪族炭化水素基は、飽和、又は不飽和の脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基、及び芳香族炭化水素基は、それぞれ、置換基を有してもよい。脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基を構成する炭素原子の一部は、ヘテロ原子で置換されてもよい。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子が挙げられる。連結基は、上記X、及び上記Yからなる群より選択される少なくとも1種を含む構造を有してもよい。連結基は、上記した構成要素を組み合わせた構造を有してもよい。連結基は、炭素数が1~6の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数が2~6の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
式(SA-1)中、Zは、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を表す。LにおけるZの結合位置は、制限されない。例えば、Lで表される連結基が分岐状の脂肪族炭化水素基である場合、Zは、上記脂肪族炭化水素基の主鎖、側鎖、又は主鎖と側鎖との両方に結合してもよい。
式(SA-1)中、kは、1~3の整数を表し、1、又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(SA-1)で表されるアニオンは、下記式(SA-2)で表されるアニオン、又は下記式(SA-3)で表されるアニオンであることがより好ましく、下記式(SA-2)で表されるアニオンであることが特に好ましい。下記式(SA-2)で表されるアニオンは、フッ素原子で置換された芳香環を含むスルホンイミドアニオンの1種である。下記式(SA-3)で表されるアニオンは、フッ素原子で置換された脂肪族炭化水素基を含むスルホンイミドアニオンの1種である。
式(SA-2)中、R21は、フッ化アルキル基、又はフッ化アリール基を表し、Lは、m+1価の連結基を表し、R22は、水素原子、又はメチル基を表し、mは、1~3の整数を表す。
式(SA-2)中、R21は、フッ化アルキル基、又はフッ化アリール基を表す。フッ化アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状のフッ化アルキル基であってもよい。フッ化アルキル基の構造は、アルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された構造であってもよい。フッ化アリール基の構造は、アリーレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された構造であってもよい。R21は、炭素数が1~6のパーフルオロアルキル基、又はパーフルオロアリール基であることが好ましく、トリフルオロメチル基、又はヘプタフルオロフェニル基であることがより好ましい。
式(SA-2)においてLで表される連結基は、式(SA-1)においてLで表される連結基と同義である。式(SA-2)においてLで表される連結基の好ましい態様は、式(SA-1)においてLで表される連結基の好ましい態様と同様である。
式(SA-2)中、R22は、水素原子、又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
式(SA-2)中、mは、1~3の整数を表し、1、又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(SA-3)中、R31は、フッ化アルキル基、又はフッ化アリール基を表し、Lは、n+1価の連結基を表し、R32は、水素原子、又はメチル基を表し、nは、1~3の整数を表し、pは、1~6の整数を表す。
式(SA-3)におけるR31は、式(SA-2)におけるR21と同義である。式(SA-3)におけるR31の好ましい態様は、式(SA-2)におけるR21の好ましい態様と同様である。
式(SA-3)においてLで表される連結基は、式(SA-1)においてLで表される連結基と同義である。式(SA-3)においてLで表される連結基の好ましい態様は、式(SA-1)においてLで表される連結基の好ましい態様と同様である。
式(SA-3)中、R23は、水素原子、又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
式(SA-3)中、nは、1~3の整数を表し、1、又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(SA-3)中、pは、1~6の整数を表し、1~4であることが好ましく、2~4であることがより好ましい。
-スルホン酸アニオン-
スルホン酸アニオンは、-SO で表される部分構造を有するアニオンである。スルホン酸アニオンとしては、例えば、下記式(BZ-4)で表されるスルホン酸アニオンが挙げられる。
式(BZ-4)中、R120は、炭化水素基を表す。炭化水素基としては、例えば、アルキル基、及びアリール基が挙げられる。アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であってもよい。炭化水素基は、置換基を有してもよい。炭化水素基は、ハロゲン原子を置換基として有する炭化水素基であることが好ましく、フッ素原子を置換基として有する炭化水素基であることがより好ましい。式(BZ-4)で表されるアニオンが重合性基を有する場合、炭化水素基は、重合性基、又は重合性基を有する1価の有機基で置換されていることが好ましい。R120は、重合性基、若しくは重合性基を有する1価の有機基で置換されているフッ化アルキル基、又は重合性基、若しくは重合性基を有する1価の有機基で置換されているフッ化アリール基(好ましくはフッ化フェニル基)であることが好ましい。重合性基としては、例えば、上記「重合性基」の項で説明した重合性基が挙げられる。
-ホウ素原子を含むアニオン-
ホウ素原子を含むアニオンとしては、例えば、下記式(BZ-3)で表されるアニオンが挙げられる。
式(BZ-3)中、R116~R119は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はシアノ基を表す。アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であってもよい。アルキル基、アリール基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基は、それぞれ、置換基を有してもよい。置換基は、ハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されたアルキル基(すなわち、ハロゲン化アルキル基)であることが好ましく、フッ素原子、又はフッ素原子で置換されたアルキル基であることがより好ましい。置換基として導入されるアルキル基を構成する炭素原子の一部は、ヘテロ原子で置換されてもよい。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子が挙げられる。式(BZ-3)で表されるアニオンが重合性基を有する場合、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基は、それぞれ、重合性基、又は重合性基を有する1価の有機基で置換されていることが好ましい。R116~R119は、それぞれ独立して、重合性基、若しくは重合性基を有する1価の有機基で置換されたアリール基(好ましくはフッ化フェニル基)、又はフッ素原子であることが好ましい。重合性基としては、例えば、上記「重合性基」の項で説明した重合性基が挙げられる。
下記式(BZ-3)で表されるアニオンの具体例として、テトラフルオロホウ酸アニオン、及びテトラキス(フッ化フェニル)ホウ酸アニオンが挙げられる。テトラキス(フッ化フェニル)ホウ酸アニオンにおけるフッ化フェニル基は、重合性基、又は重合性基を有する1価の有機基で置換されていることが好ましい。
-メチドアニオン-
メチドアニオンとしては、例えば、下記式(BZ-2)で表される部分構造を有するアニオンが挙げられる。
式(BZ-2)中、R113は、-SO-、又は-CO-を表し、R114、及びR115は、それぞれ独立して、-SO-、-CO-、又はシアノ基を表す。R113~R115の少なくとも1つは、-SO-であることが好ましく、R113~R115の少なくとも2つは、-SO-であることがより好ましく、R113~R115は、-SO-であることが特に好ましい。
式(BZ-2)で表される部分構造を有するアニオンは、下記式(BZ2-1)で表されるアニオンであることが好ましい。
式(BZ2-1)中、R213~R215は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、又はアルキル基を表す。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1~10であることが好ましく、1~6であることがより好ましく、1~3であることが更に好ましい。アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基であってもよい。アルキル基は、直鎖状、又は分岐状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキルであることがより好ましい。アルキル基は、置換基を有してもよい。アルキル基は、ハロゲン原子を置換として有するアルキル基(すなわち、ハロゲン化アルキル基)であることが好ましく、フッ素原子を置換基として有するアルキル基(すなわち、フッ化化アルキル基)であることがより好ましい。式(BZ2-1)で表されるアニオンが重合性基を有する場合、アルキル基は、重合性基、又は重合性基を有する1価の有機基で置換されていることが好ましい。R116~R119は、それぞれ独立して、重合性基、若しくは重合性基を有する1価の有機基で置換されたフッ化アルキル基、又はフッ化アルキル基であることが好ましい。重合性基としては、例えば、上記「重合性基」の項で説明した重合性基が挙げられる。R213、及びR214がアルキル基である場合、R213とR214とは結合して環を形成してもよい。R214、及びR215がアルキル基である場合、R214とR215とは結合して環を形成してもよい。R213、及びR215がアルキル基を表す場合、R213とR215とは結合して環を形成してもよい。
化合物Dのアニオンの具体例としては、下記式(MD-1)~下記式(MD-18)で表されるアニオンが挙げられる。
化合物Dのアニオンの具体例としては、(CFPF 、(CPF 、(CPF 、[(CFCF]PF 、[(CFCF]PF、(n-CPF 、(n-CPF 、(n-CPF 、(C)(CFPF 、[(CFCFCFPF 、[(CFCFCFPF、(n-CPF 、(n-CPF 、(CH)(CFPF 、(CPF 、(C)(CFPF 、(CF、(CFBF、(CFBF 、(CF)BF 、(C、(CBF、(C)BF 、(CBF 、(CF)(CBF、(C、[(CF、(CF、(CBF 、(C)BF 、(C、B(CN) 、B(CN)F 、B(CN) 、B(CN)、(CFB(CN)、(CFB(CN) 、(CB(CN)、(C)2B(CN) 、(n-CB(CN)、(n-CB(CN)、(n-C4FB(CN) 、(n-C13B(CN)、(CHFB(CN)、(CHFB(CN) 、(CHCFB(CN)、(CHCFB(CN) 、(CHB(CN)、(CHB(CN) 、(CHCHB(CN) 、(n-CCHB(CN) 、及び(CB(CN)も挙げられる。
化合物Dのアニオンの具体例としては、以下に示す構造を有するアニオンも挙げられる。
化合物Dのアニオンの具体例としては、下記式AN-1~下記式AN-52で表されるアニオンも挙げられる。
(重合性基、カチオン、及びアニオンの組み合わせ)
化合物Dの化学構造は、上記重合性基、上記カチオン、及び上記アニオンを適宜組み合わせることによって構築することができる。以下、化合物Dの好ましい化学構造について説明する。ただし、化合物Dの化学構造は、以下に示す化学構造に制限されるものではない。
化合物Dは、下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。下記式(I)で表される化合物によれば、着色剤の凝集抑制の効果を更に高めることができる。
式(I)中、Mは、金属原子を表し、Rは、1価の有機基を表し、Xは、フッ化アルキレン基、又はフッ化アリーレン基を表し、Yは、-S-、-CO-O-、-CO-NH-、-SO-N-SO-、-SO-N-、-SO-O-、又は-SO-NH-を表し、Lは、単結合、又はk+1価の連結基を表し、Zは、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を表し、aは、1~4の整数を表し、bは、1、又は2を表し、cは、1、又は2を表し、dは、1~4の整数を表し、a、b、c、及びdは、a×b=c×dの関係を満たし、kは、1~3の整数を表す。
式(I)中、Mで表される金属原子は、1価~3価のカチオンとなりうる金属原子であれば制限されない。金属原子は、典型金属原子であることが好ましく、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、バリウム、又はセシウムであることが好ましく、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、又はバリウムであることがより好ましい。
式(I)におけるRは、式(SA-1)におけるRと同義である。式(I)におけるRの好ましい態様は、式(SA-1)におけるRの好ましい態様と同様である。
式(I)におけるXは、式(SA-1)におけるXと同義である。式(I)におけるXの好ましい態様は、式(SA-1)におけるXの好ましい態様と同様である。
式(I)におけるYは、式(SA-1)におけるXと同義である。式(I)におけるYの好ましい態様は、式(SA-1)におけるYの好ましい態様と同様である。
式(I)におけるLは、式(SA-1)におけるLと同義である。式(I)におけるLの好ましい態様は、式(SA-1)におけるLの好ましい態様と同様である。
式(I)におけるZは、式(SA-1)におけるZと同義である。式(I)におけるZの好ましい態様は、式(SA-1)におけるZの好ましい態様と同様である。
式(I)中、aは、1~4の整数を表し、2、又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(I)中、dは、1~4の整数を表し、2、又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(I)中、kは、1~3の整数を表し、1、又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(I)で表される化合物としては、例えば、下記式(II)で表される化合物、及び下記式(III)で表される化合物が挙げられる。化合物Dは、下記式(II)で表される化合物、及び下記式(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式(II)中、Mは、金属原子を表し、R21は、フッ化アルキル基、又はフッ化アリール基を表し、Lは、m+1価の連結基を表し、R22は、水素原子、又はメチル基を表し、eは、1~4の整数を表し、mは、1~3の整数を表す。
式(II)におけるMは、式(I)におけるMと同義である。式(II)におけるMの好ましい態様は、式(I)におけるMの好ましい態様と同様である。
式(II)におけるR21は、式(SA-2)におけるR21と同義である。式(II)におけるR21の好ましい態様は、式(SA-2)におけるR21の好ましい態様と同様である。
式(II)においてLで表される連結基は、式(SA-1)においてLで表される連結基と同義である。式(II)においてLで表される連結基の好ましい態様は、式(SA-1)においてLで表される連結基の好ましい態様と同様である。
式(II)中、R22は、水素原子であることが好ましい。
式(II)中、eは、1~4の整数を表し、1~3の整数であることが好ましく、2、又は3であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。
式(II)中、mは、1~3の整数を表し、1、又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(III)中、Mは、金属原子を表し、R31は、フッ化アルキル基、又はフッ化アリール基を表し、Lは、単結合、又はn+1価の連結基を表し、R32は、水素原子、又はメチル基を表し、fは、1~4の整数を表し、nは、1~3の整数を表し、pは、1~6の整数を表す。
式(III)におけるMは、式(I)におけるMと同義である。式(III)におけるMの好ましい態様は、式(I)におけるMの好ましい態様と同様である。
式(III)におけるR31は、式(SA-2)におけるR21と同義である。式(III)におけるR31の好ましい態様は、式(SA-2)におけるR21の好ましい態様と同様である。
式(III)においてLで表される連結基は、式(SA-1)においてLで表される連結基と同義である。式(III)においてLで表される連結基の好ましい態様は、式(SA-1)においてLで表される連結基の好ましい態様と同様である。
式(III)中、R23は、水素原子であることが好ましい。
式(III)中、fは、1~4の整数を表し、1~3の整数であることが好ましく、2、又は3であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。
式(III)中、nは、1~3の整数を表し、1、又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(III)中、pは、1~6の整数を表し、1~4であることが好ましく、2~4であることがより好ましい。
化合物Dの具体例としては、後述する実施例(表9、及び表10)においてB-1~B-74で表される化合物が挙げられる。
本開示に係る感光性組成物は、1種単独、又は2種以上の化合物Dを含んでもよい。
化合物Dの含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.1質量%~15質量%であることが好ましい。化合物Dの含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、12質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。化合物Dの含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましい。
着色剤Aに対する化合物Dのアニオンのモル比([化合物Dのアニオン]/[着色剤A])は、0.0025~0.75であることが好ましく、0.005~0.5であることがより好ましく、0.01~0.25であることが更に好ましい。着色剤Aに対する化合物Dのアニオンのモル比が0.025以上であることで、現像性を向上させることができる。着色剤Aに対する化合物Dのアニオンのモル比が0.75以下であることで、着色剤の凝集を更に抑制することができる。
着色剤Aに対する化合物Dのモル比([化合物D]/[着色剤A])は、0.05~4であることが好ましく、0.05~3であることがより好ましく、0.05~2であることが更に好ましい。着色剤Aに対する化合物Dのモル比が0.05以上であることで、現像性を向上させることができる。着色剤Aに対する化合物Dのモル比が、3以下であることで、着色剤の凝集を更に抑制することができる。
化合物Dの含有率は、100質量部の着色剤Aに対して、1質量部~25質量部であることが好ましく、2質量部~15質量部であることがより好ましく、3質量部~12質量部であることが更に好ましい。化合物Dの含有率が2質量部以上であることで、凝集性を向上させることができる。化合物Dの含有率が15質量部以下であることで、現像性を向上させることができる。
(化合物Dの製造方法)
化合物Dの製造方法は、制限されず、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2019-123704号公報に記載された方法を用いて合成したスルホンイミドアニオンを含む塩とヒドロキシエチルアクリレートとを反応させることで、スルホンイミドアニオンを含む化合物Dを製造することができる。ヒドロキシエチルアクリレートによって、スルホンイミドアニオンに重合性基(アクリロイル基)が導入される。また、下記反応式に示されるように、ペンタフルオロベンゼンスルホンイミドアニオンを含む塩とメルカプトアルコールとの反応させた後、得られた中間体と3-クロロプロピオン酸クロリドとを反応させ、脱塩酸反応を経ることでスルホンイミドアニオンを含む化合物Dを製造することもできる。なお、下記反応式では、便宜上、スルホンイミドアニオンの対イオン(カチオン)を省略している。具体的な化合物Dの製造方法は、後述する実施例において説明する。
上記反応式において、次の略号は、それぞれ、以下の意味を有する。
「R」:1価の有機基
「R’」:m+1価の連結基
「m」:1~3の整数
「EtN」:トリエチルアミン
「MeOH」:メタノール
「DMAc」:ジメチルアセトアミド
<<樹脂>>
本開示に係る感光性組成物は、樹脂を含むことが好ましい。樹脂は、例えば、顔料等の粒子を感光性組成物に分散させる用途、又はバインダーの用途で配合される。本開示において、主に顔料等の粒子を分散させるために用いられる樹脂を「分散剤」という。ただし、樹脂の用途は、上記した用途に制限されない。本開示に係る感光性組成物は、上記した用途以外の用途で樹脂を含むことができる。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3,000~2,000,000であることが好ましい。樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000,000以下であることがより好ましく、500,000以下であることが更に好ましい。樹脂の重量平均分子量(Mw)は、4,000以上であることがより好ましく、5,000以上であることが更に好ましい。
樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、及びスチレン樹脂が挙げられる。樹脂として、例えば、特開2017-206689号公報の段落0041~段落0060に記載の樹脂、特開2018-010856号公報の段落0022~段落0071に記載の樹脂、特開2017-057265号公報に記載の樹脂、特開2017-032685号公報に記載の樹脂、特開2017-075248号公報に記載の樹脂、又は特開2017-066240号公報に記載の樹脂を用いることもできる。
樹脂は、酸基を有する樹脂であることが好ましい。酸基を有する樹脂によれば、感光性組成物の現像性を向上させることができ、矩形性に優れた画素を形成しやすい。酸基としては、例えば、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基、及びフェノール性ヒドロキシ基が挙げられる。酸基は、カルボキシ基であることが好ましい。酸基を有する樹脂は、例えば、アルカリ可溶性樹脂として用いることができる。
樹脂への酸基の導入方法としては、例えば、特許第6349629号公報に記載の方法が挙げられる。樹脂への酸基の導入方法としては、例えば、分散剤(特にエチレン性不飽和基を有する分散剤)又はアルカリ可溶性樹脂において、エポキシ基の開環反応で生じたヒドロキシ基に酸無水物を反応させて酸基を導入する方法も挙げられる。
酸基を有する樹脂は、酸基を側鎖に有する構成単位を含むことが好ましい。酸基を側鎖に有する構成単位の含有率は、樹脂の全構成単位に対して、5モル%~70モル%であることが好ましい。酸基を側鎖に有する構成単位の含有率は、樹脂の全構成単位に対して、50モル%以下であることがより好ましく、30モル%以下であることが更に好ましい。酸基を側鎖に有する構成単位の含有率は、樹脂の全構成単位に対して、10モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることが更に好ましい。
酸基を有する樹脂は、下記式(ED1)で表される化合物に由来する構成単位、及び下記式(ED2)で表される化合物に由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含むことも好ましい。
式(ED1)中、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数が1~25の炭化水素基を表す。炭化水素基は、置換基を有してもよい。
式(ED2)中、Rは、水素原子、又は炭素数が1~30の有機基を表す。式(ED2)で表される化合物については、特開2010-168539号公報の記載を参酌することができる。上記公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
式(ED1)で表される化合物、及び式(ED2)で表される化合物の具体例としては、特開2013-029760号公報の段落0317の記載を参酌することができる。上記公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
樹脂は、下記式(X)で表される化合物に由来する構成単位を含むことも好ましい。
式(X)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表し、Rは、炭素数が2~10のアルキレン基を表し、Rは、ベンゼン環を含んでもよい炭素数が1~20のアルキル基、又は水素原子表し、nは、1~15の整数を表す。
酸基を有する樹脂については、特開2012-208494号公報の段落0558~段落0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落0685~段落0700)の記載、及び特開2012-198408号公報の段落0076~段落0099の記載を参酌できる。これらの公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。酸基を有する樹脂として、市販品を用いることもできる。
酸基を有する樹脂の酸価は、30mgKOH/g~500mgKOH/gであることが好ましい。酸基を有する樹脂の酸価は、50mgKOH/g以上であることがより好ましく、70mgKOH/g以上であることが更に好ましい。酸基を有する樹脂の酸価は、400mgKOH/g以下であることがより好ましく、300mgKOH/g以下であることが更に好ましく、200mgKOH/g以下であることが特に好ましい。酸基を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000~100,000であることが好ましい。酸基を有する樹脂の数平均分子量(Mn)は、1,000~20,000が好ましい。
本開示に係る感光性組成物は、分散剤として樹脂を含んでもよい。分散剤としては、例えば、酸性分散剤(すなわち、酸性樹脂)、及び塩基性分散剤(すなわち、塩基性樹脂)が挙げられる。「酸性分散剤」とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%とした場合に、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂であることが好ましく、実質的に酸基のみを有する樹脂であることがより好ましい。酸性分散剤における酸基は、カルボキシ基であることが好ましい。酸性分散剤の酸価は、40mgKOH/g~105mgKOH/gであることが好ましく、50mgKOH/g~105mgKOH/gであることがより好ましく、60mgKOH/g~105mgKOH/gが更に好ましい。「塩基性分散剤」とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%とした場合に、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂であることが好ましい。塩基性分散剤における塩基性基は、アミノ基であることが好ましい。
分散剤として用いられる樹脂は、酸基を有する構成単位を含むことが好ましい。分散剤として用いられる樹脂が酸基を有する構成単位を含むことで、フォトリソグラフィ法によりパターンを形成する際に現像残渣の発生をより抑制することができる。
分散剤として用いられる樹脂は、グラフト樹脂であることも好ましい。グラフト樹脂の詳細は、特開2012-255128号公報の段落0025~段落0094の記載を参酌できる。上記公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
分散剤として用いられる樹脂は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むポリイミン系分散剤であることも好ましい。ポリイミン系分散剤は、pKa14以下の官能基を有する部分構造を有する主鎖と、原子数40~10,000の側鎖と、を有し、かつ、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂であることが好ましい。塩基性窒素原子は、塩基性を呈する窒素原子であれば制限されない。ポリイミン系分散剤については、特開2012-255128号公報の段落0102~段落0166の記載を参酌できる。上記公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
分散剤として用いられる樹脂は、コア部に複数個のポリマー鎖が結合した構造を有する樹脂であることも好ましい。上記のような樹脂としては、例えば、デンドリマー(星型ポリマーを含む)が挙げられる。デンドリマーの具体例としては、特開2013-043962号公報の段落0196~段落0209に記載された高分子化合物C-1~C-31が挙げられる。
分散剤として、上記した酸基を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂)を用いることもできる。
分散剤として用いられる樹脂は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する構成単位を含む樹脂であることも好ましい。エチレン性不飽和基を側鎖に有する構成単位の含有率は、樹脂の全構成単位に対して、10モル%以上であることが好ましく、10モル%~80モル%であることがより好ましく、20モル%~70モル%であることが更に好ましい。
分散剤として、市販品を用いることもできる。市販品の具体例としては、BYK-Chemie社製のDISPERBYKシリーズ(例えば、DISPERBYK-111、161)、及び日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ(例えば、ソルスパース76500)が挙げられる。分散剤として、特開2014-130338号公報の段落0041~0130に記載された顔料分散剤を用いることもできる。上記公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
上記のように分散剤として説明した樹脂は、分散剤以外の用途で用いることもできる。上記のように分散剤として説明した樹脂、例えば、バインダーとして用いることもできる。
本開示に係る感光性組成物は、1種単独、又は2種以上の樹脂を含んでもよい。
本開示に係る感光性組成物が樹脂を含む場合、樹脂の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、5質量%~50質量%であることが好ましい。樹脂の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましい。樹脂の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、40質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることが更に好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。酸基を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂)の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、5質量%~50質量%であることが好ましい。酸基を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂)の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましい。酸基を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂)の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、40質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることが更に好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。酸基を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂)の含有率は、優れた現像性が得られやすいという理由から、樹脂の全質量に対して、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。酸基を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂)の含有率は、樹脂の全質量に対して、100質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下であってもよい。本開示に係る感光性組成物が2種以上の樹脂を含む場合、樹脂の総含有率が上記範囲となることが好ましい。
本開示に係る感光性組成物が重合性化合物Cと樹脂とを含む場合、重合性化合物Cと樹脂との総含有率は、硬化性、現像性、及び被膜形成性の観点から、感光性組成物の全固形分に対して、10質量%~65質量%が好ましい。重合性化合物Cと樹脂との総含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。重合性化合物Cと樹脂との総含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。樹脂の含有率は、100質量部の重合性化合物Cに対して、30質量部~300質量部であることが好ましい。樹脂の含有率は、100質量部の重合性化合物Cに対して、50質量部以上であることがより好ましく、80質量部以上であることが更に好ましい。樹脂の含有率は、100質量部の重合性化合物Cに対して、250質量部以下であることがより好ましく、200質量部以下であることが更に好ましい。
<<顔料誘導体>>
本開示に係る感光性組成物は、顔料誘導体を含んでもよい。本開示に係る感光性組成物が顔料を含む場合、本開示に係る感光性組成物は顔料誘導体を含むことが好ましい。
顔料誘導体としては、例えば、発色団の一部分を、酸基又は塩基性基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。顔料誘導体を構成する発色団の骨格としては、例えば、キノリン骨格、ベンゾイミダゾロン骨格、ジケトピロロピロール骨格、アゾ骨格、フタロシアニン骨格、アンスラキノン骨格、キナクリドン骨格、ジオキサジン骨格、ペリノン骨格、ペリレン骨格、チオインジゴ骨格、イソインドリン骨格、イソインドリノン骨格、キノフタロン骨格、スレン骨格、及び金属錯体系骨格が挙げられる。顔料誘導体を構成する発色団の骨格は、キノリン骨格、ベンゾイミダゾロン骨格、ジケトピロロピロール骨格、アゾ骨格、キノフタロン骨格、イソインドリン骨格、又はフタロシアニン骨格であることが好ましく、アゾ骨格、又はベンゾイミダゾロン骨格であることがより好ましい。酸基としては、例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、及びこれらの塩が挙げられる。塩を構成する原子又は原子団としては、例えば、アルカリ金属イオン(例えば、Li、Na、及びK)、アルカリ土類金属イオン(例えば、Ca2+、及びMg2+)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、及びホスホニウムイオンが挙げられる。塩基性基としては、例えば、アミノ基、ピリジニル基及びその塩、アンモニウム基の塩、並びにフタルイミドメチル基が挙げられる。塩を構成する原子又は原子団としては、例えば、水酸化物イオン、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、及びフェノキシドイオンが挙げられる。
顔料誘導体として、可視透明性に優れた顔料誘導体を用いることもできる。顔料誘導体の400nm~700nmの波長領域におけるモル吸光係数の最大値(すなわち、εmax)は、3,000L・mol-1・cm-1以下であることが好ましく、1,000L・mol-1・cm-1以下であることがより好ましく、100L・mol-1・cm-1以下であることが更に好ましい。εmaxは、1L・mol-1・cm-1以上、又は10L・mol-1・cm-1以上であってもよい。
顔料誘導体の具体例としては、特開昭56-118462号公報、特開昭63-264674号公報、特開平01-217077号公報、特開平03-009961号公報、特開平03-026767号公報、特開平03-153780号公報、特開平03-045662号公報、特開平04-285669号公報、特開平06-145546号公報、特開平06-212088号公報、特開平06-240158号公報、特開平10-030063号公報、特開平10-195326号公報、国際公開第2011/024896号の段落0086~段落0098、国際公開第2012/102399号の段落0063~段落0094、国際公開第2017/038252号の段落0082、特開2015-151530号公報の段落0171、特開2011-252065号公報の段落0162~段落0183、特開2003-081972号公報、特許第5299151号公報、特開2015-172732号公報、特開2014-199308号公報、特開2014-085562号公報、特開2014-035351号公報、特開2008-081565号公報、又は特開2019-109512号公報に記載の化合物が挙げられる。
本開示に係る感光性組成物は、1種単独、又は2種以上の顔料誘導体を含んでもよい。
本開示に係る感光性組成物が顔料誘導体を含む場合、顔料誘導体の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.3質量%~20質量%であることが好ましい。顔料誘導体の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.6質量%以上であることがより好ましく、0.9質量%以上であることが更に好ましい。顔料誘導体の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、15質量%以下であることがより好ましく、12.5質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。顔料誘導体の含有率は、100質量部の顔料に対して、1質量部~30質量部であることが好ましい。顔料誘導体の含有率は、100質量部の顔料に対して、2質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることが更に好ましい。顔料誘導体の含有率は、100質量部の顔料に対して、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。本開示に係る感光性組成物が2種以上の顔料誘導体を含む場合、顔料誘導体の総含有率が上記範囲となることが好ましい。
<<環状エーテル基を有する化合物>>
本開示に係る感光性組成物は、環状エーテル基を有する化合物を含んでもよい。環状エーテル基としては、例えば、エポキシ基、及びオキセタニル基が挙げられる。環状エーテル基を有する化合物は、エポキシ基を有する化合物であることが好ましい。エポキシ基を有する化合物としては、例えば、1分子内に1つ以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられ、2つ以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。1分子内のエポキシ基の数は、1個~100個であることが好ましい。エポキシ基の数の上限は、制限されない。1分子内エポキシ基の数は、例えば、10個以下、又は5個以下であってもよい。1分子内エポキシ基の数は、2個以上であることがより好ましい。エポキシ基を有する化合物として、例えば、特開2013-011869号公報の段落0034~段落0036、特開2014-043556号公報の段落0147~段落0156、特開2014-089408号公報の段落0085~段落0092、又は特開2017-179172号公報に記載の化合物を用いることもできる。これらの公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
エポキシ基を有する化合物は、低分子化合物(例えば、分子量が2000未満又は1000未満である化合物をいう。)、又は高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量が1000以上である化合物をいい、ポリマーの場合には重量平均分子量が1000以上の化合物をいう。)であってもよい。エポキシ基を有する化合物の重量平均分子量は、200~100,000であることが好ましく、500~50,000であることがより好ましい。さらに、エポキシ基を有する化合物の重量平均分子量は、10,000以下であることが好ましく、5,000以下であることがより好ましく、3,000以下であることが更に好ましい。
エポキシ基を有する化合物として、エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。エポキシ樹脂としては、例えば、フェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基を有するケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、及びエポキシ基を有する重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体が挙げられる。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、310g/eq~3,300g/eqであることが好ましく、310g/eq~1,700g/eqであることがより好ましく、310g/eq~1,000g/eqであることが更に好ましい。
環状エーテル基を有する化合物の市販品としては、例えば、EHPE3150(株式会社ダイセル)、EPICLON N-695(DIC株式会社)、並びにマープルーフG-0150M、G-0105SA、G-0130SP、G-0250SP、G-1005S、G-1005SA、G-1010S、G-2050M、G-01100、及びG-01758(以上、日油株式会社、エポキシ基含有ポリマー)が挙げられる。
本開示に係る感光性組成物に含まれる環状エーテル基を有する化合物は、1種単独、又は2種以上であってもよい。
本開示に係る感光性組成物が環状エーテル基を有する化合物を含む場合、環状エーテル基を有する化合物の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.1質量%~20質量%であることが好ましい。環状エーテル基を有する化合物の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましい。環状エーテル基を有する化合物の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。本開示に係る感光性組成物が環状エーテル基を有する化合物を2種以上含む場合、環状エーテル基を有する化合物の総含有率が上記範囲となることが好ましい。
<<シランカップリング剤>>
本開示に係る感光性組成物は、シランカップリング剤を含んでもよい。シランカップリング剤によれば、得られる膜の支持体との密着性をより向上させることができる。本開示において、「シランカップリング剤」とは、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。シランカップリング剤に関して使用される「加水分解性基」という用語は、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアシルオキシ基が挙げられ、アルコキシ基が好ましい。シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物であることが好ましい。加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、及びフェニル基が挙げられ、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、又はエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社、商品名:KBM-602)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社、商品名:KBM-603)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社、商品名:KBE-602)、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社、商品名:KBM-903)、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社、商品名:KBE-903)、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社、商品名:KBM-502)、及び3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社、商品名:KBM-503)が挙げられる。シランカップリング剤の具体例としては、特開2009-288703号公報の段落0018~段落0036に記載の化合物、及び特開2009-242604号公報の段落0056~段落0066に記載の化合物も挙げられる。
本開示に係る感光性組成物は、1種単独、又は2種以上のシランカップリング剤を含んでもよい。
本開示に係る感光性組成物がシランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.1質量%~5質量%であることが好ましい。シランカップリング剤の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが更に好ましい。シランカップリング剤の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましい。本開示に係る感光性組成物が2種以上のシランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤の総含有率が上記範囲となることが好ましい。
<<有機溶剤>>
本開示に係る感光性組成物は、有機溶剤を含むことが好ましい。有機溶剤としては、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの詳細については、国際公開第2015/166779号の段落0223を参酌できる。上記公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。有機溶剤として、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、又は環状アルキル基が置換したケトン系溶剤を好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジクロロメタン、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、及び3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドが挙げられる。ただし、有機溶剤として使用される芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びエチルベンゼン)は、環境面の理由により低減したほうがよい場合がある。例えば、芳香族炭化水素類の含有率は、有機溶剤の全質量に対して、50質量ppm(parts per million)以下、10質量ppm以下、又は1質量ppm以下であってもよい。
有機溶剤として、金属含有量の少ない有機溶剤を用いることが好ましい。例えば、有機溶剤における金属の含有率は、有機溶剤の全質量に対して、10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて、有機溶剤として、金属の含有率が質量ppt(parts per trillion)の水準である有機溶剤を用いてもよく、上記のような有機溶剤は、例えば東洋合成工業株式会社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
有機溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(例えば、分子蒸留、及び薄膜蒸留)、及びフィルタを用いたろ過が挙げられる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材料としては、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレン、又はナイロンが好ましい。
有機溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物をいう。)が含まれてもよい。また、異性体は、1種、又は2種以上であってもよい。
有機溶剤における過酸化物の含有率は、0.8mmol/L以下であることが好ましい。有機溶剤は、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
本開示に係る感光性組成物は、1種単独、又は2種以上の有機溶剤を含んでもよい。
本開示に係る感光性組成物が有機溶剤を含む場合、有機溶剤の含有率は、感光性組成物の全質量に対して、10質量%~95質量%であることが好ましく、20質量%~90質量%であることがより好ましく、30質量%~90質量%であることが更に好ましい。
<<重合禁止剤>>
本開示に係る感光性組成物は、重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、及びN-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(例えば、アンモニウム塩、及び第一セリウム塩)が挙げられる。重合禁止剤は、p-メトキシフェノールであることが好ましい。
本開示に係る感光性組成物は、1種単独、又は2種以上の重合禁止剤を含んでもよい。
本開示に係る感光性組成物が重合禁止剤を含む場合、重合禁止剤の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.0001質量%~5質量%であることが好ましい。
<<界面活性剤>>
本開示に係る感光性組成物は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、及びシリコン系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、国際公開第2015/166779号の段落0238~段落0245に記載された界面活性剤も挙げられる。上記公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
界面活性剤は、フッ素系界面活性剤であることが好ましい。本開示に係る感光性組成物がフッ素系界面活性剤を含むことで、液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。フッ素系界面活性剤としては、例えば、特開2014-041318号公報の段落0060~段落0064(対応する国際公開第2014/017669号の段落0060~0064)に記載の界面活性剤、及び特開2011-132503号公報の段落0117~段落0132に記載の界面活性剤が挙げられる。上記公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780、EXP、又はMFS-330(以上、DIC株式会社)、フロラードFC430、FC431、又はFC171(以上、住友スリーエム株式会社)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、又はKH-40(以上、AGC株式会社)、及びPolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、又はPF7002(以上、OMNOVA社)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤として、フッ素原子を含む官能基を含む分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含む官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。上記のようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC株式会社製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))が挙げられる。メガファックDSシリーズの具体例として、メガファックDS-21が挙げられる。
フッ素系界面活性剤として、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。上記のようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、特開2016-216602号公報の記載を参酌できる。上記公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
フッ素系界面活性剤として、ブロックポリマーを用いることもできる。ブロックポリマーとしては、例えば、特開2011-089090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、2つ以上(好ましくは5つ以上)のアルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、又はプロピレンオキシ基)を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。
フッ素系界面活性剤として、特開2010-032698号公報の段落0016~0037に記載されたフッ素含有界面活性剤、又は下記に示す化合物を用いることもできる。
上記化合物の重量平均分子量は、3,000~50,000であることが好ましい。上記化合物の重量平均分子量の一例は、14,000である。上記化合物において構成単位の割合を示す「%」は、モル%である。
フッ素系界面活性剤として、エチレン性不飽和結合基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。上記のようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、特開2010-164965号公報の段落0050~段落0090、及び段落0289~段落0295に記載の化合物、並びにDIC株式会社製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、又はRS-72-Kが挙げられる。
フッ素系界面活性剤として、特開2015-117327号公報の段落0015~段落0158に記載の化合物を用いることもできる。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%~40質量%であることが好ましくう、5質量%~30質量%であることがより好ましく、7質量%~25質量%であることが特に好ましい。フッ素含有率が上記範囲であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性、及び省液性の点で効果的であり、感光性組成物における溶解性も良好である。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、並びにこれらのエトキシレート、及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、及びグリセロールエトキシレート)が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、及びソルビタン脂肪酸エステルも挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、及び25R2、BASF社製のテトロニック304、701、704、901、904、及び150R1、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパース20000、富士フイルム和光純薬株式会社製のNCW-101、NCW-1001、及びNCW-1002、竹本油脂株式会社製のパイオニンD-6112、D-6112-W、及びD-6315、日信化学工業株式会社製のオルフィンE1010、並びに日信化学工業株式会社製のサーフィノール104、400、及び440も挙げられる。
シリコン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のトーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、及びトーレシリコーンSH8400、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のTSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、及びTSF-4452、信越化学工業株式会社製のKP-341、KF-6001、及びKF-6002、並びにビックケミー社製のBYK307、BYK323、及びBYK330が挙げられる。
本開示に係る感光性組成物は、1種単独、又は2種以上の界面活性剤を含んでもよい。
本開示に係る感光性組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.001質量%~5.0質量%であることが好ましく、0.005質量%~3.0質量%であることがより好ましい。本開示に係る感光性組成物が2種以上の界面活性剤を含む場合、界面活性剤の総含有率が上記範囲となることが好ましい。
<<紫外線吸収剤>>
本開示に係る感光性組成物は、紫外線吸収剤を含んでもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、及びトリアジン化合物が挙げられる。上記した化合物としては、例えば、特開2012-208374号公報の段落0052~段落0072、特開2013-068814号公報の段落0317~段落0334、又は特開2016-162946号公報の段落0061~段落0080に記載された化合物が挙げられる。これらの公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV-503(大東化学株式会社)が挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としては、例えば、ミヨシ油脂株式会社製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)が挙げられる。紫外線吸収剤としては、特許第6268967号公報の段落0049~段落0059に記載された化合物を用いることもできる。
本開示に係る感光性組成物は、1種単独、又は2種以上の紫外線吸収剤を含んでもよい。
本開示に係る感光性組成物が紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.01質量%~10質量%であることが好ましく、0.01質量%~5質量%であることがより好ましい。本開示に係る感光性組成物が2種以上の紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤の総含有率が上記範囲となることが好ましい。
<<酸化防止剤>>
本開示に係る感光性組成物は、酸化防止剤を含んでもよい。酸化防止剤としては、例えば、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、及びチオエーテル化合物が挙げられる。フェノール化合物として、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することもできる。好ましいフェノール化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール化合物は、フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物であることが好ましい。上記置換基は、炭素数が1~22の置換又は無置換のアルキル基であることが好ましい。酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物であることも好ましい。酸化防止剤として、リン系酸化防止剤を好適に使用することもできる。リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、及び亜リン酸エチルビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)が挙げられる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、株式会社ADEKA製のアデカスタブ AO-20、アデカスタブ AO-30、アデカスタブ AO-40、アデカスタブ AO-50、アデカスタブ AO-50F、アデカスタブ AO-60、アデカスタブ AO-60G、アデカスタブ AO-80、及びアデカスタブ AO-330が挙げられる。酸化防止剤として、特許第6268967号公報の段落0023~段落0048に記載された化合物、及び韓国公開特許第10-2019-0059371号公報に記載の化合物を使用することもできる。
本開示に係る感光性組成物は、1種単独、又は2種以上の酸化防止剤を含んでもよい。
本開示に係る感光性組成物が酸化防止剤を含む場合、酸化防止剤の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.0120質量%~20質量%であることが好ましく、0.320質量%~15質量%であることがより好ましい。本開示に係る感光性組成物が2種以上の酸化防止剤を含む場合、酸化防止剤の総含有率が上記範囲となることが好ましい。
<<他の成分>>
本開示に係る感光性組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤、及びその他助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、及び連鎖移動剤)を含んでもよい。上記した成分を適宜用いることで、膜物性等の性質を調整することができる。上記した成分については、例えば、特開2012-003225号公報の段落0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落0237)の記載、並びに特開2008-250074号公報の段落0101~段落0104、及び段落0107~段落0109の記載を参酌できる。これらの公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。本開示に係る感光性組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含んでもよい。潜在酸化防止剤としては、例えば、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100℃~250℃で加熱すること、又は酸/塩基触媒存在下で80℃~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、例えば、国際公開第2014/021023号、国際公開第2017/030005号、又は特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカアークルズGPA-5001(株式会社ADEKA)が挙げられる。特開2018-155881号公報に記載されているように、C.I.Pigment Yellow129を耐候性改良の目的で添加してもよい。
本開示に係る感光性組成物は、得られる膜の屈折率を調整するために、金属酸化物を含んでもよい。金属酸化物としては、例えば、TiO、ZrO、Al、及びSiOが挙げられる。金属酸化物の一次粒子径は、1nm~100nmであることが好ましく、3nm~70nmであることがより好ましく、5nm~50nmであることが更に好ましい。金属酸化物はコア-シェル構造を有してもよい。コア-シェル構造におけるコア部は、中空状であってもよい。
本開示に係る感光性組成物は、耐光性改良剤を含んでもよい。耐光性改良剤としては、例えば、特開2017-198787号公報の段落0036~段落0037に記載の化合物、特開2017-146350号公報の段落0029~段落0034に記載の化合物、特開2017-129774号公報の段落0036~段落0037、及び段落0049~段落0052に記載の化合物、特開2017-129674号公報の段落0031~段落0034、及び段落0058~段落0059に記載の化合物、特開2017-122803号公報の段落0036~段落0037、及び段落0051~段落0054に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落0025~段落0039に記載の化合物、特開2017-186546号公報の段落0034~段落0047に記載の化合物、特開2015-025116号公報の段落0019~段落0041に記載の化合物、特開2012-145604号公報の段落0101~段落0125に記載の化合物、特開2012-103475号公報の段落0018~段落0021に記載の化合物、特開2011-257591号公報の段落0015~段落0018に記載の化合物、特開2011-191483号公報の段落0017~段落0021に記載の化合物、特開2011-145668号公報の段落0108~段落0116に記載の化合物、並びに特開2011-253174号公報の段落0103~段落0153に記載の化合物が挙げられる。
本開示に係る感光性組成物において、顔料等の物質に結合又は配位していない遊離の金属の含有率は、100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましい。本開示に係る感光性組成物は、遊離の金属を実質的に含まないことが特に好ましい。上記態様によれば、例えば、顔料分散性の安定化(凝集抑止)、分散性向上に伴う分光特性の向上、硬化性成分の安定化、金属原子又は金属イオンの溶出に伴う導電性変動の抑止、又は表示特性の向上を期待できる。例えば、特開2012-153796号公報、特開2000-345085号公報、特開2005-200560号公報、特開平08-043620号公報、特開2004-145078号公報、特開2014-119487号公報、特開2010-083997号公報、特開2017-090930号公報、特開2018-025612号公報、特開2018-025797号公報、特開2017-155228号公報、又は特開2018-036521号公報に記載された効果が得られる。遊離の金属の種類としては、例えば、Na、K、Ca、Sc、Ti、Mn、Cu、Zn、Fe、Cr、Co、Mg、Al、Sn、Zr、Ga、Ge、Ag、Au、Pt、Cs、Ni、Cd、Pb、及びBiが挙げられる。本開示に係る感光性組成物において、顔料当の物質に結合又は配位していない遊離のハロゲンの含有率は、100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましい。本開示に係る感光性組成物は、遊離のハロゲンを実質的に含まないことが特に好ましい。ハロゲンとしては、例えば、F、Cl、Br、I、及びこれらの陰イオンが挙げられる。感光性組成物中の遊離の金属、及びハロゲンの低減方法としては、例えば、イオン交換水による洗浄、ろ過、限外ろ過、及びイオン交換樹脂による精製が挙げられる。
本開示に係る感光性組成物は、テレフタル酸エステルを実質的に含まないことも好ましい。
本開示に係る感光性組成物の含水率は、通常、3質量%以下であり、0.01質量%~1.5質量%であることが好ましく、0.1質量%~1.0質量%であることがより好ましい。含水率は、カールフィッシャー法によって測定することができる。
本開示に係る感光性組成物は、環境規制の観点から、環境規制物質を実質的に含まないことが好ましい。本開示において、「感光性組成物は環境規制物質を実質的に含まない」とは、感光性組成物における環境規制物質の含有率が50質量ppm以下であることを意味する。感光性組成物における環境規制物質の含有率は、30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることがより好ましく、1質量ppm以下であることが更に好ましい。環境規制物質として、例えば、ベンゼン、アルキルベンゼン類(例えば、トルエン、及びキシレン)、及びハロゲン化ベンゼン類(例えば、クロロベンゼン)が挙げられる。上記した化合物は、例えば、REACH(Registration Evaluation Authorization and Restriction of CHemicals)規則、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法、又はVOC(Volatile Organic Compounds)規制の下で環境規制物質として登録されており、使用量、及び取り扱い方法が厳しく規制されている。上記した化合物は、例えば、本開示に係る感光性組成物に用いられる各成分を製造する際に溶剤として用いられることで、残留溶剤として感光性組成物に混入することがある。人への安全性、環境への配慮の観点から、環境規制物質は可能な限り低減することが好ましい。環境規制物質を低減する方法としては、例えば、系中を加熱又は減圧して環境規制物質の沸点以上にすることで、系中から環境規制物質を留去して低減する方法が挙げられる。少量の環境規制物質を留去する場合においては、効率を上げるために対象の溶剤の沸点と同等の沸点を有する溶剤と共沸させることも有用である。ラジカル重合性を有する化合物を留去する場合においては、減圧留去中にラジカル重合反応が進行して分子間で架橋してしまうことを抑制するために重合禁止剤を添加してラジカル重合性を有する化合物を減圧留去してもよい。上記した留去方法は、原料、原料を反応させた生成物(例えば、重合した後の樹脂溶液、及び多官能モノマー溶液)、又はこれらの化合物を混ぜて作製した感光性組成物に対して適用可能である。
環境規制の観点から、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の使用が規制されることがある。本開示に係る感光性組成物において、上記した化合物の含有率を小さくする場合、パーフルオロアルキルスルホン酸(特にパーフルオロアルキル基の炭素数が6~8のパーフルオロアルキルスルホン酸)及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸(特にパーフルオロアルキル基の炭素数が6~8のパーフルオロアルキルカルボン酸)及びその塩の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.01ppb~1,000ppbの範囲であることが好ましく、0.05ppb~500ppbの範囲であることがより好ましく、0.1ppb~300ppbの範囲であることが更に好ましい。本開示に係る感光性組成物は、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を実質的に含まなくてもよい。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩の代替となりうる化合物、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の代替となりうる化合物を用いることで、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を実質的に含まない感光性組成物を選択してもよい。規制化合物の代替となりうる化合物としては、例えば、パーフルオロアルキル基の炭素数の違いによって規制対象から除外された化合物が挙げられる。ただし、上記した内容は、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の使用を妨げるものではない。本開示に係る感光性組成物は、許容される最大の範囲内で、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を含んでもよい。
<<特性>>
本開示に係る感光性組成物は、膜面状(例えば、平坦性)の調整、及び膜厚の調整を目的として粘度を調整して用いることができる。粘度は、必要に応じて適宜選択することができる。粘度は、例えば、23℃において0.3mPa・s~50mPa・sであることが好ましく、0.5mPa・s~20mPa・sであることがより好ましい。粘度は、例えば、東機産業株式会社製の粘度計であるRE85L(ローター:1°34’×R24、測定範囲:0.6mPa・s~1200mPa・s)を使用し、23℃に温度調整を施した状態で測定することができる。
<<感光性組成物の調製方法>>
本開示に係る感光性組成物は、例えば、上記した成分を混合して調製できる。本開示に係る感光性組成物の調製においては、使用する全ての成分を同時に有機溶剤に溶解及び/又は分散して感光性組成物を調製してもよい。本開示に係る感光性組成物の調製においては、必要に応じて、各成分を2つ以上の溶液又は分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して感光性組成物を調製してもよい。
本開示に係る感光性組成物の調製は、顔料を分散させる段階を含むことが好ましい。顔料を分散させる段階において、顔料の分散に用いる機械力としては、例えば、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、及びキャビテーションが挙げられる。顔料の分散方法としては、例えば、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、及び超音波分散が挙げられる。ビーズミルにおける顔料の粉砕においては、例えば、径の小さいビーズを使用すること、又はビーズの充填率を大きくすることによって、粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。粉砕処理後に、ろ過、又は遠心分離によって粗粒子を除去することが好ましい。顔料を分散させる段階、及び分散機としては、例えば、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」、「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、又は特開2015-157893号公報の段落0022に記載の段階、及び分散機を好適に使用できる。顔料を分散させる段階においては、ソルトミリング工程で粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、及び処理条件については、例えば、特開2015-194521号公報、及び特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
本開示に係る感光性組成物の調製においては、異物の除去、及び欠陥の低減の目的で、感光性組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、制限されず、従来からろ過用途に用いられているフィルタを用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えば、ナイロン-6、及びナイロン-6,6)等のポリアミド系樹脂、又はポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む。)を用いたフィルタが挙げられる。フィルタの材料は、ナイロン、又はポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む。)であることが好ましい。
フィルタの孔径は、0.01μm~7.0μmであることが好ましく、0.01μm~3.0μmであることがより好ましく、0.05μm~0.5μmであることが更に好ましい。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物をより確実に除去できる。フィルタの孔径値については、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。フィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社(例えば、DFA4201NIEY)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)、及び株式会社キッツマイクロフィルタが提供する各種フィルタを用いることができる。
フィルタとして、ファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えば、ポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、及びグラスファイバが挙げられる。市販品としては、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(例えば、SBP008)、TPRタイプシリーズ(例えば、TPR002、及びTPR005)、及びSHPXタイプシリーズ(例えば、SHPX003)が挙げられる。
フィルタを使用する際、2つ以上のフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタ)を組み合わせてもよい。2つ以上のフィルタを組み合わせて用いる場合、各フィルタでのろ過の回数は、1回、又は2回以上でもよい。互いに異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。第1のフィルタを用いるろ過を分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタを用いてろ過を行ってもよい。
<<収容容器>>
本開示に係る感光性組成物の収容容器としては、制限されず、公知の収容容器を用いることができる。原材料、及び感光性組成物への不純物の混入を抑制することを目的に、収容容器として、内壁が多層構造を有する多層ボトルを用いることも好ましい。多層構造としては、例えば、6種の樹脂を用いた6層構造、及び6種の樹脂を用いた7層構造が挙げられる。上記のような容器としては、例えば、特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
<硬化物>
本開示に係る硬化物は、本開示に係る感光性組成物を硬化してなる硬化物である。本開示に係る硬化物は、例えば、カラーフィルタに好適に用いることができる。具体的に、本開示に係る硬化物は、カラーフィルタの着色層(画素)として好ましく用いることができる。カラーフィルタの着色層(画素)の好ましい例としては、カラーフィルタの緑色着色層(緑色画素)が挙げられる。
本開示に係る硬化物は、膜状の硬化物であることが好ましい。膜状の硬化物の厚さは、目的に応じて適宜調整できる。例えば、膜状の硬化物の厚さは、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。膜状の硬化物の厚さは、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることが更に好ましい。
本開示に係る硬化物は、例えば、本開示に係る感光性組成物を露光することによって製造することができる。露光方法としては、例えば、後述する「カラーフィルタ」の項で説明する方法を利用することができる。本開示に係る硬化物の製造において、露光前に感光性組成物を乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、後述する「カラーフィルタ」の項で説明する方法を利用することができる。
<カラーフィルタ>
本開示に係るカラーフィルタは、本開示に係る硬化物を含む。本開示に係るカラーフィルタは、カラーフィルタの着色層(画素)として、本開示に係る硬化物を含むことが好ましい。本開示に係るカラーフィルタは、例えば、CCD(電荷結合素子)、又はCMOS(相補型金属酸化膜半導体)のような固体撮像素子に用いることができる。本開示に係るカラーフィルタは、例えば、画像表示装置に用いることもできる。
本開示に係るカラーフィルタは、本開示に係る硬化物(画素)とは異なる画素(以下、他の画素ともいう)を更に有していてもよい。他の画素としては、例えば、赤色画素、青色画素、黄色画素、シアン色画素、マゼンタ色画素、透明画素、黒色画素、近赤外線透過フィルタの画素などが挙げられる。
本開示に係るカラーフィルタにおける硬化物の厚さは、目的に応じて適宜調整できる。本開示に係るカラーフィルタにおける硬化物の厚さは、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい本開示に係るカラーフィルタにおける硬化物の厚さは、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることが更に好ましい。
本開示に係るカラーフィルタにおける画素の幅は、0.5μm~20.0μmであることが好ましい。画素の幅は、1.0μm以上であることがより好ましく、2.0μm以上であることが特に好ましい。画素の幅は、15.0μm以下であることがより好ましく、10.0μm以下であることが特に好ましい。画素(本開示に係る硬化物)のヤング率は、0.5GPa~20GPaであることが好ましく、2.5GPa~15GPaであることがより好ましい。
本開示に係るカラーフィルタに含まれる各画素は高い平坦性を有することが好ましい。具体的に、画素の表面粗さRaは、100nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることが更に好ましい。画素の表面粗さRaの下限は、制限されない。画素の表面粗さRaは、例えば、0.1nm以上であることが好ましい。画素の表面粗さは、例えば、Veeco社製のAFM(原子間力顕微鏡)の1種であるDimension3100を用いて測定することができる。
画素における水の接触角は、適宜好ましい値に設定することができるが、典型的には、50°~110°の範囲である。接触角は、例えば、接触角計CV-DT・A型(協和界面科学株式会社)を用いて測定できる。
画素の体積抵抗値は、高いことが好ましい。具体的に、画素の体積抵抗値は、10Ω・cm以上であることが好ましく、1011Ω・cm以上であることがより好ましい。画素の体積抵抗値の上限は、制限されない。画素の体積抵抗値は、例えば、1014Ω・cm以下であることが好ましい。画素の体積抵抗値は、例えば、超高抵抗計5410(アドバンテスト社)を用いて測定することができる。
本開示に係るカラーフィルタにおいては、硬化物の表面に保護層を設けてもよい。硬化物の表面に保護層を設けることで、酸素遮断化、低反射化、親疎水化、特定波長の光(例えば、紫外線、及び近赤外線)の遮蔽等の種々の機能を硬化物に付与することができる。保護層の厚さとしては、0.01μm~10μmが好ましく、0.1μm~5μmがより好ましい。保護層の形成方法としては、例えば、有機溶剤に溶解した樹脂組成物を塗布して形成する方法、化学気相蒸着法、及び成型した樹脂を接着材で貼りつける方法が挙げられる。保護層を構成する成分としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、セルロース樹脂、Si、C、W、Al、Mo、SiO、及びSiが挙げられる。保護層を構成する成分は、2種以上であってもよい。例えば、酸素遮断化を目的とした保護層の場合、保護層は、ポリオール樹脂、SiO、及びSiを含むことが好ましい。低反射化を目的とした保護層の場合、保護層は、(メタ)アクリル樹脂、及びフッ素樹脂を含むことが好ましい。
樹脂組成物を塗布して保護層を形成する場合、樹脂組成物の塗布方法としては、公知の方法(例えば、スピンコート法、キャスト法、スクリーン印刷法、及びインクジェット法)を用いることができる。樹脂組成物に含まれる有機溶剤としては、公知の有機溶剤(例えば、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、シクロペンタノン、及び乳酸エチル)を用いることができる。保護層を化学気相蒸着法にて形成する場合、化学気相蒸着法としては、公知の化学気相蒸着法(例えば、熱化学気相蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、及び光化学気相蒸着法)を用いることができる
保護層は、必要に応じて、有機粒子、無機粒子、特定波長(例えば、紫外線、及び近赤外線)の吸収剤、屈折率調整剤、酸化防止剤、密着剤、界面活性剤等の添加剤を含んでもよい。有機粒子、及び無機粒子としては、例えば、高分子粒子(例えば、シリコーン樹脂粒子、ポリスチレン粒子、及びメラミン樹脂微子)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、窒化チタン、酸窒化チタン、フッ化マグネシウム、中空シリカ、シリカ、炭酸カルシウム、及び硫酸バリウムが挙げられる。特定波長の吸収剤としては、公知の吸収剤を用いることができる。紫外線吸収剤、及び近赤外線吸収剤としては、例えば、上述した素材が挙げられる。これらの添加剤の含有率は、適宜調整できるが、保護層の全質量に対して、0.1質量%~70質量%であることが好ましく、1質量%~60質量%であることがより好ましい。
保護層としては、特開2017-151176号公報の段落0073~段落0092に記載の保護層を用いることもできる。
<<カラーフィルタの製造方法>>
本開示に係るカラーフィルタは、例えば、本開示に係る感光性組成物を用いて支持体上に感光性組成物層を形成する工程と、フォトリソグラフィ法、又はドライエッチング法により上記感光性組成物層に対してパターンを形成する工程と、を経て製造できる。
[フォトリソグラフィ法]
フォトリソグラフィ法を用いるカラーフィルタの製造方法は、本開示に係る感光性組成物を用いて支持体上に感光性組成物層を形成する工程と、上記感光性組成物層をパターン状に露光する工程と、上記感光性組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する工程と、を含むことが好ましい。上記製造方法は、必要に応じて、感光性組成物層をベークする工程(プリベーク工程)、及び現像されたパターン(画素)をベークする工程(ポストベーク工程)を含んでもよい。
感光性組成物層を形成する工程では、本開示に係る感光性組成物を用いて支持体上に着色感光性組成物層を形成する。支持体は、制限されず、用途に応じて適宜選択できる。支持体としては、例えば、ガラス基板、及びシリコン基板が挙げられる。支持体は、シリコン基板であることが好ましい。シリコン基板には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、又は透明導電膜が設けられてもよい。シリコン基板には、各画素を隔離するブラックマトリクスが設けられてもよい。シリコン基板には、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止、又は基板表面の平坦化のために下塗り層が設けられてもよい。
感光性組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(例えば、特開2009-145395号公報に記載の方法);インクジェット(例えば、オンデマンド方式、ピエゾ方式、及びサーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷法;フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法等の各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法が挙げられる。インクジェットを用いる方法としては、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115頁~133頁)、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、又は特開2006-169325号公報に記載の方法が挙げられる。感光性組成物の塗布方法については、国際公開第2017/030174号、及び国際公開第2017/018419号の記載を参酌できる。これらの公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
支持体上に形成した感光性組成物層は、乾燥(すなわち、プリベーク)してもよい。低温プロセスにより膜を製造する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベークの温度は、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることが更に好ましい。プリベークの温度の下限は、制限されない。プリベークの温度は、例えば、50℃以上、又は80℃以上であってもよい。プリベークの時間は、10秒~300秒であることが好ましく、40秒~250秒であることがより好ましく、80秒~220秒であることが更に好ましい。プリベークは、例えば、ホットプレート、又はオーブンを用いて行うことができる。
感光性組成物層をパターン状に露光する工程では、例えば、感光性組成物層に対し、ステッパー露光機、又はスキャナ露光機を用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、感光性樹脂層をパターン状に露光することができる。感光性樹脂層を露光することで、露光部分を硬化することができる。
露光において使用される放射線(光)としては、例えば、g線、及びi線が挙げられる。露光においては、波長300nm以下の光(好ましくは波長180nm~300nmの光)を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、例えば、KrF線(波長248nm)、及びArF線(波長193nm)が挙げられ、KrF線(波長248nm)が好ましい。また、300nm以上の長波長域の光を照射可能な光源も利用できる。
露光に際して、光を連続的に照射することで露光してもよく、又はパルス的に光を照射することで露光(パルス露光)してもよい。「パルス露光」とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止とを繰り返して露光する方式の露光方法のことである。パルス露光におけるパルス幅は、100ナノ秒(ns)以下であることが好ましく、50ナノ秒以下であることがより好ましく、30ナノ秒以下であることが更に好ましい。パルス幅の下限は、制限されない。パルス幅は、1フェムト秒(fs)以上、又は10フェムト秒以上であってもよい。周波数は、1kHz以上であることが好ましく、2kHz以上であることがより好ましく、4kHz以上であることが更に好ましい。周波数は、50kHz以下であることが好ましく、20kHz以下であることがより好ましく、10kHz以下であることが更に好ましい。最大瞬間照度は、5千万W/m以上であることが好ましく、1億W/m以上であることがより好ましく、2億W/m以上であることが更に好ましい。最大瞬間照度は、10億W/m以下であることが好ましく、8億W/m以下であることがより好ましく、5億W/m以下であることが更に好ましい。「パルス幅」とは、パルス周期における光が照射されている時間のことである。「周波数」とは、1秒あたりのパルス周期の回数のことである。「最大瞬間照度」とは、パルス周期における光が照射されている時間内での平均照度のことである。「パルス周期」とは、パルス露光における光の照射と休止を1サイクルとする周期のことである。
照射量(露光量)は、0.03J/cm~2.5J/cmであることが好ましく、0.05J/cm~1.0J/cmであることがより好ましい。
露光時における酸素濃度は、適宜選択することができる。例えば、大気下で感光性樹脂層を露光してもよい。また、例えば、酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、又は実質的に無酸素)、又は酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、又は50体積%)で感光性樹脂層を露光してもよい。露光照度は、適宜設定することが可能である。露光照度は、好ましくは1,000W/m~100,000W/m(例えば、5,000W/m、15,000W/m、又は35,000W/m)の範囲から選択することができる。酸素濃度、及び露光照度を適宜組み合わせてよい。例えば、酸素濃度が10体積%あり、かつ、露光照度が10,000W/mである条件、及び酸素濃度が35体積%であり、かつ、露光照度が20,000W/mである条件が挙げられる。
感光性組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する工程では、例えば、現像液を用いて感光性組成物層の未露光部を現像除去することができる。上記方法において、露光工程における未露光部の感光性組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液としては、下地の素子、及び回路にダメージを与えない有機アルカリ現像液が好ましい。現像液の温度は、20℃~30℃であることが好ましい。現像時間は、20秒~180秒であることが好ましい。残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、更に新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
現像液は、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液(すなわち、アルカリ現像液)であることが好ましい。アルカリ剤としては、例えば、有機アルカリ性化合物、及び無機アルカリ性化合物が挙げられる。有機アルカリ性化合物としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンが挙げられる。無機アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、及びメタケイ酸ナトリウムが挙げられる。アルカリ剤は、環境面、及び安全面から、分子量が大きい化合物であることが好ましい。アルカリ性水溶液中のアルカリ剤の濃度は、0.001質量%~10質量%であることが好ましく、0.01質量%~1質量%であることがより好ましい。現像液は、界面活性剤を更に含んでもよい。界面活性剤としては、例えば、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送、及び保管の便宜の観点より、一旦濃縮液として製造した後、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に制限されないが、例えば、1.5倍~100倍の範囲に設定することができる。
現像後、純水で洗浄(リンス)することも好ましい。洗浄は、支持体を回転させつつ、現像後の感光性組成物層へリンス液を供給して行うことが好ましい。洗浄は、リンス液を吐出させるノズルを支持体の中心部から支持体の周縁部に移動させて行うことも好ましい。ノズルの移動において、ノズルの移動速度を徐々に低下させながら移動させてもよい。上記のように洗浄を行うことで、洗浄の面内ばらつきを抑制できる。また、ノズルを支持体中心部から周縁部へ移動させつつ、支持体の回転速度を徐々に低下させても同様の効果が得られる。
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理、及び加熱処理(すなわち、ポストベーク)を行うことが好ましい。追加露光処理、及びポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークにおける加熱温度は、100℃~240℃であることが好ましく、200℃~240℃であることがより好ましい。ポストベークは、上記条件になるように加熱手段(例えば、ホットプレート、コンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、及び高周波加熱機)を用いて、連続式、又はバッチ式で行うことができる。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光は、波長400nm以下の光であることが好ましい。追加露光処理は、韓国公開特許第20170122130号公報に記載の方法で行ってもよい。
-ドライエッチング法-
ドライエッチング法を用いるカラーフィルタの製造方法は、本開示に係る感光性組成物を用いて支持体上に感光性組成物層を形成し、上記感光性組成物層の全体を硬化させて硬化物層を形成する工程と、上記硬化物層上にフォトレジスト層を形成する工程と、上記フォトレジスト層をパターン状に露光した後、現像してレジストパターンを形成する工程と、上記レジストパターンをマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングする工程と、を含むことが好ましい。フォトレジスト層の形成においては、更にプリベーク処理を施すことが好ましい。特に、フォトレジスト層の形成においては、露光後の加熱処理、及び現像後の加熱処理(すなわち、ポストベーク処理)を実施することが望ましい。ドライエッチング法を用いるパターン形成については、特開2013-064993号公報の段落0010~段落0067の記載を参酌できる。上記公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
<固体撮像素子>
本開示に係る固体撮像素子は、本開示に係る硬化物を含む。本開示に係る固体撮像素子は、本開示に係るカラーフィルタを含むことが好ましい。本開示に係る固体撮像素子の構成は、本開示に係る硬化物を含み、かつ、固体撮像素子として機能する限り制限されない。固体撮像素子の構成としては、例えば、以下のような構成が挙げられる。
固体撮像素子の構成の一例は、基板と、基板上に、固体撮像素子(例えば、CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、及びCMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードと、ポリシリコンからなる転送電極と、フォトダイオード、及び転送電極上に、フォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜と、遮光膜上に、遮光膜全面、及びフォトダイオードの受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜と、デバイス保護膜上に、カラーフィルタと、を有する。固体撮像素子の構成は、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ)が設けられている構成、又はカラーフィルタ上に集光手段が設けられている構成であってもよい。カラーフィルタは、隔壁により、例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。隔壁の屈折率は、各着色画素に対して低いことが好ましい。撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報、又は国際公開第2018/043654号に記載の装置が挙げられる。本開示に係る固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラ、及び撮像機能を有する電子機器(携帯電話等)の他、車載カメラ、及び監視カメラとして用いることもできる。また、本開示に係る固体撮像素子においては、特開2019-211559号公報に記載されているように固体撮像素子の構造内に紫外線吸収層(UVカットフィルタ)を設けることにより、カラーフィルタの耐光性を改良してもよい。
<画像表示装置>
本開示に係る画像表示装置は、本開示に係る硬化物を含む。本開示に係る画像表示装置は、本開示に係るカラーフィルタを含むことが好ましい。画像表示装置としては、例えば、液晶表示装置、及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置が挙げられる。画像表示装置の定義、及び各画像表示装置の詳細については、例えば、「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、株式会社工業調査会、1990年発行)」、及び「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書株式会社平成元年発行)」に記載されている。液晶表示装置については、例えば、「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、株式会社工業調査会、1994年発行)」に記載されている。液晶表示装置としては、例えば、上記「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている種々の方式の液晶表示装置が挙げられる。
<化合物>
本開示に係る化合物は、下記式(I)で表される化合物である。下記式(I)で表される化合物は、例えば、着色剤を含む感光性組成物の成分として使用できる。下記式(I)で表される化合物によれば、例えば、着色剤を含む感光性組成物における着色剤の凝集を抑制することができる。
式(I)中、Mは、金属原子を表し、Rは、1価の有機基を表し、Xは、フッ化アルキレン基、又はフッ化アリーレン基を表し、Yは、-S-、-CO-O-、-CO-NH-、-SO-N-SO-、-SO-N-、-SO-O-、又は-SO-NH-を表し、Lは、単結合、又はk+1価の連結基を表し、Zは、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を表し、aは、1~4の整数を表し、bは、1、又は2を表し、cは、1、又は2を表し、dは、1~4の整数を表し、a、b、c、及びdは、a×b=c×dの関係を満たし、kは、1~3の整数を表す。式(I)で表される化合物の好ましい態様は、上記「化合物D」の項で説明した式(I)で表される化合物の好ましい態様と同様である。
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。実施例において、「%」、及び「部」は、特に断りのない限り、それぞれ「質量%」、及び「質量部」を意味する。高分子化合物において、特別に規定したもの以外は、分子量は重量平均分子量(Mw)であり、構成単位の比率はモル百分率である。重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値として測定した値である。
<実施例1~118、及び比較例1~2>
[分散液の調製]
表1の記載に従って選択した原料を混合した後、直径が0.3mmであるジルコニアビーズ(230質量部)を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行った。次に、ジルコニアビーズをろ過で分離することによって分散液を得た。表1において、分散液の固形分は、顔料、及び分散剤である。
表1に示される顔料の詳細を以下に示す。
「Pg-1」:C.I.Pigment Blue15:6
「Pg-2」:C.I.Pigment Red254
「Pg-3」:C.I.Pigment Yellow139
「Pg-4」:C.I.Pigment Yellow150
「Pg-5」:C.I.Pigment Violet23
表1に示される分散剤の詳細を以下に示す。
「D-1」:DISPERBYK-161(BYK-Chemie社)
「D-2」:下記構造の樹脂(下記構造において、主鎖に付記した数値は構成単位のモル比である。樹脂の重量平均分子量は11,000である。)
「D-3」:下記構造の樹脂の30質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(下記構造において、主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は構成単位の数である。樹脂の重量平均分子量は7,000である。)
表1に示される溶剤の詳細を以下に示す。
「S-1」:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
[感光性組成物の調製]
表2~表8の記載に従って選択した原料と、重合禁止剤(p-メトキシフェノール、0.0007質量部)と、フッ素系界面活性剤(DIC株式会社、メガファックF475、1質量%PGMEA溶液、2.50質量部)とを混合することによって感光性組成物を得た。
[評価]
調製した感光性組成物を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表2~表8に示す。
(凝集性)
8インチ(20.32cm)シリコンウエハに、感光性組成物をポストベーク後の厚さが0.7μmになるようにスピンコート法によって塗布した後、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱した。得られた塗膜を、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン株式会社)を用いて全面露光した。具体的に、塗膜に対して、365nmの波長の光を1,000mJ/cmの露光量で照射した。露光した塗膜に対して、220℃のホットプレートを用いて300秒間加熱処理(ポストベーク)を行うことで硬化膜を形成した。硬化膜が形成されているシリコンウエハを、23℃のアセトン中に5分間浸漬した後、超高分解能走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ)を用いて、硬化膜の断面を観察した。硬化膜の観察においては、加速電圧を2.0kV、観測倍率を50,000倍とした。硬化膜の断面観察像に基づき、以下の評価基準に従って凝集性を評価した。なお、上記した染料A-1~A-8は、23℃のアセトンに溶解する化合物である。したがって、硬化膜で形成される穴の数が少ないほど、着色剤の凝集が低減されていることを意味する。
A:穴あきが全く確認されなかった
B:穴あきがほとんど確認されなかった
C:穴あきがわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった
D:穴あきが多数確認された
(現像性)
8インチ(20.32cm)シリコンウエハに、CT-4000L(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社)をポストベーク後の厚さが0.1μmになるようにスピンコート法によって塗布し、ホットプレートを用いて220℃で300秒間加熱して下塗り層を形成することによって、下塗り層付シリコンウエハ(支持体)を得た。感光性組成物をポストベーク後の厚さが0.7μmになるようにスピンコート法によって塗布した後、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱した。得られた塗膜を、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン株式会社)を用い、1.0μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。具体的に、塗膜に対して、365nmの波長の光を1000mJ/cmの露光量で照射した。露光された塗膜が形成されているシリコンウエハをスピン・シャワー現像機(DW-30型、株式会社ケミトロニクス)の水平回転テーブル上に載置し、次いで、CD-2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社)の60%希釈液を用いて23℃で60秒間パドル現像を行うことで、シリコンウエハ上に着色パターンを形成した。着色パターンが形成されたシリコンウエハを真空チャック方式で水平回転テーブルに固定し、次に、回転装置を用いてシリコンウエハを50rpmの回転数で回転させつつ、回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行った後、スプレー乾燥した。200℃のホットプレートを用いて300秒間加熱処理(ポストベーク)を行うことによって、着色パターン(着色画素)を形成した。着色パターンが形成されたシリコンウエハを走査型電子顕微鏡(SEM)(倍率:10,000倍)を用いて観察し、以下の評価基準に従って現像性を評価した。
A:着色パターンの形成領域外(未露光部)に残渣がまったく確認されなかった。
B:着色パターンの形成領域外(未露光部)に残渣がごくわずかに確認されたが、実
用上問題のない程度であった。
C:着色パターンの形成領域外(未露光部)に残渣がわずかに確認されたが、実用上
問題のない程度であった。
D:着色パターンの形成領域外(未露光部)に残渣が著しく確認された。
(保存安定性)
感光性組成物の初期粘度(V0)を東機産業株式会社製「RE-85L」を用いて測定した。次に、45℃、3日間の条件で感光性組成物を静置した後、感光性組成物の静置後の粘度(V1)を測定した。下記式に基づいて、静置後の感光性組成物の粘度上昇率(%)を算出し、以下の評価基準に従って保存安定性を評価した。粘度上昇率(%)の数値が小さいほど、保存安定性が良好であるといえる。感光性組成物の粘度は、25℃に温度を調整した状態で測定した。
粘度上昇率(%)=[(静置後の粘度(V1)-初期粘度(V0))/初期粘度(V0)]×100」
A:0≦粘度上昇率≦5%
B:5%<粘度上昇率≦10%
C:10%<粘度上昇率
(耐熱性)
ガラス基板上にCT-4000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社)を厚さが0.1μmになるようにスピンコート法で塗布し、ホットプレートを用いて220℃で1時間加熱して下地層を形成した。下地層付きのガラス基板上に感光性組成物をスピンコート法によって塗布した後、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱して塗膜を得た。塗膜に対して365nmの波長の光を照射した。露光量は、500mJ/cmであった。露光された塗膜を、ホットプレートを用いて220℃で5分間加熱することで、厚さが0.5μmである硬化膜を得た。硬化膜について、大塚電子株式会社製のMCPD-3000を用い、波長400nm~700nmの範囲の光透過率(透過率)を測定した。次に、硬化膜を265℃で5分間加熱した。加熱後の硬化膜の透過率を測定した。透過率の変化量の最大値を求め、以下の評価基準に従って耐熱性を評価した。透過率の測定は各試料につき5回行い、最大値と最小値とを除いた3回分の測定結果の平均値を採用した。「透過率の変化量の最大値」とは、加熱前後の硬化膜の、波長400~700nmの範囲における透過率の変化量が最も大きい波長における変化量を意味する。
A:透過率の変化量の最大値が1%以下である。
B:透過率の変化量の最大値が1%を超えて、1.5%以下である。
C:透過率の変化量の最大値が1.5%を超える。
表2~表8に記載された成分の詳細を以下に示す。
-染料溶液-
「A-1」:下記構造の染料(重量平均分子量:7,000、m:3、n:3)のシクロヘキサノン溶液(固形分濃度:12.3質量%)
「A-2」:下記構造の染料(分子量:704.24)のシクロヘキサノン溶液(固形分濃度:12.3質量%)
「A-3」:下記構造の染料(重量平均分子量:10,000)のシクロヘキサノン溶液(固形分濃度:12.3質量%)
「A-4」:下記構造の染料(分子量:1,115.28)のシクロヘキサノン溶液(固形分濃度:12.3質量%)
「A-5」:下記構造の染料(分子量:1,165.32)のシクロヘキサノン溶液(固形分濃度:12.3質量%)
「A-6」:下記構造の染料(分子量:774.97)のシクロヘキサノン溶液(固形分濃度:12.3質量%)
「A-7」:下記構造の染料(分子量:410.52)のシクロヘキサノン溶液(固形分濃度:12.3質量%)
「A-8」:C.I.アシッドレッド289(キサンテン染料、分子量:676.73)のシクロヘキサノン溶液(固形分濃度:12.3質量%)
-樹脂-
「P-1」:下記構造の樹脂の30質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(下記構造において、主鎖に付記した数値は構成単位のモル比である。樹脂の重量平均分子量は11,000である。)
「P-2」:下記構造の樹脂の40質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(下記構造において、主鎖に付記した数値は構成単位のモル比である。樹脂の重量平均分子量は1,1000である。)
「P-3」:下記構造の樹脂の30質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(下記構造において、主鎖に付記した数値は構成単位のモル比であり、側鎖に付記した数値は構成単位の数である。樹脂の重量平均分子量は11,000である。)
「P-4」:下記構造の樹脂の40質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(下記構造において、主鎖に付記した数値は構成単位のモル比である。樹脂の重量平均分子量は1,1000である。)
-重合性化合物C-
「M-1」:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、NKエステル A-DPH-12E(新中村化学工業株式会社)
「M-2」:下記構造の化合物
「M-3」:下記構造の化合物
-光重合開始剤B-
「I-2」:Irgacure OXE02(BASF社)
-化合物D-
表2~表8に記載された化合物Dの詳細を表9~表10に示す。表9~表10に示される化合物Dは、「アニオン」の欄に記載されたアニオンと「カチオン」の欄に記載されたカチオンとを含む塩である。「アニオン」の欄において「AN」で示されるアニオン(例えば、AN-1)は、上記「アニオン」の項で示したアニオンである。「カチオン」の欄において「CA」で示されるカチオン(例えば、CA-1)は、上記「カチオン」の項で示したカチオンである。表2~表8に記載された化合物Dの式(Aλ)で表される比吸光度は、いずれも5以下であった。
以下、表9~表10に示される化合物Dの製造方法を説明する。以下の説明においては、NMR(核磁気共鳴)スペクトル、及びエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)の結果を必要に応じて併記する。質量分析においては、Agilent社製の質量分析装置を用いた。下記以外の化合物Dについては、市販品、又は公知の方法によって製造した化合物を用いた。
〔B-1〕
特開2019-123704号公報に記載の方法を用いて、トリフルオロメタンスルホンアミド(1.49g)から合成したAN-I-1を含む濃縮残渣に、ジメチルホルムアミド(15.0g)を添加し、25℃で30分間撹拌した。得られた混合物に1,1’-カルボニルジイミダゾール(1.7g)を添加し、25℃で30分間撹拌した。得られた混合物にヒドロキシエチルアクリレート(1.2g)を添加し、40℃で2時間撹拌することで、AN-I-2を含む混合物を得た。得られた混合物をカラムクロマトグラフィーで精製した後、酢酸エチル(30g)に溶解させた。得られた混合物に25質量%の炭酸カリウム水溶液(30g)を添加し、25℃で30分間撹拌した後、分液によって有機層を取り出した。取り出した有機層に25質量%の炭酸カリウム水溶液(30g)を添加し、25℃で30分間撹拌した後、分液によって有機層を取り出した。再び、取り出した有機層に25質量%の炭酸カリウム水溶液(30g)を添加し、25℃で30分間撹拌した後、分液によって有機層を取り出した。取り出した有機層を濃縮した後、得られた濃縮物と酢酸エチル(30g)との混合物を15分間撹拌した。発生した固体をろ過で取り除いた後、濃縮することでB-1で表される化合物を3.0g得た。
MS(ESI-):404.0([M-K]
〔B-2~B-9、B-11、及びB-15~B-18〕
B-1で表される化合物の製造方法において使用したトリフルオロメタンスルホンアミドとヒドロキシエチルアクリレートとを目的とする化合物の化学構造に応じて適宜変更したこと以外は、B-1で表される化合物の製造方法に準ずる方法によって、B-2~B-9、B-11、及びB-15~B-18で表される各化合物を製造した。具体的に、B-1で表される化合物の製造方法に基づき、スルホンアミド化合物を原料として用いてAN-I-1に対応する中間体を製造した後、上記中間体に重合性基を導入してAN-I-2に対応する中間体を製造する過程を経て、目的とする化合物を製造した。
〔B-10〕
B-1で表される化合物の製造方法と同様の方法で得られたAN-I-1を含む濃縮残渣に、ジメチルホルムアミド(15.0g)を添加し、25℃で30分間撹拌した。得られた混合物にグリシジルアクリレート(1.3g)、ジメチルドデシルアミン(0.5g)、及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(1.0g)を添加し、90℃で48時間撹拌することで、AN-I-3を含む混合物を得た。得られた混合物をカラムクロマトグラフィーで精製した後、酢酸エチル(30g)に溶解させた。得られた混合物に25質量%の炭酸カリウム水溶液(30g)を添加し、25℃で30分間撹拌した後、分液によって有機層を取り出した。取り出した有機層に25質量%の炭酸カリウム水溶液(30g)を添加し、25℃で30分間撹拌した後、分液によって有機層を取り出した。再び、取り出した有機層に25質量%の炭酸カリウム水溶液(30g)を添加し、25℃で30分間撹拌した後、分液によって有機層を取り出した。取り出した有機層を濃縮した後、得られた濃縮物と酢酸エチル(30g)との混合物を15分間撹拌した。発生した固体をろ過で取り除いた後、濃縮することでB-10で表される化合物を2.5g得た。
MS(ESI-):434.3([M-K]
〔B-20〕
トリフルオロメチルスルホンアミド(12.3g)にジクロロメタン100gを添加し、25℃で撹拌した。得られた混合物にトリエチルアミン(16.7g)を添加した後、0℃でペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリド(20.0g)を添加した。得られた混合物を25℃で2時間撹拌した後、水(100g)を添加して25℃で15分間撹拌し、分液によって有機層を取り出した。取り出した有機層を水(100g)で2回洗浄した後、濃縮することで、スルホンイミド中間体AN-I-4を35g得た。AN-I-4(5.0g)、及び1-チオグリセロール(1.5g)をメタノール(20g)に溶解させた。得られた混合物にトリエチルアミン(2.8g)を添加し、室温で2時間撹拌した。得られた混合物に水(100g)と酢酸エチル(50g)とを添加し、25℃で15分間撹拌した後、分液によって有機層を取り出した。取り出した有機層を水(50g)で2回洗浄した後、濃縮した。濃縮残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、AN-I-5を4.9g得た。AN-I-5(3.0g)をジメチルアセトアミド(20.0g)に溶解させた。得られた混合物に3-クロロプロピオン酸クロリド(3.7g)を0℃で添加し、50℃に昇温した後、12時間撹拌した。得られた混合物を0℃に冷却しながらトリエチルアミン(6.8g)を添加し、50℃で2時間撹拌した。得られた混合物に酢酸エチル(50g)と25質量%の炭酸カリウム水溶液(30g)とを添加し、25℃で30分間撹拌した後、分液によって有機層を取り出した。取り出した有機層に25質量%の炭酸カリウム水溶液(30g)を添加し、25℃で30分間撹拌した後、分液によって有機層を取り出した。再び、取り出した有機層に25質量%の炭酸カリウム水溶液(30g)を添加し、25℃で30分間撹拌した後、分液によって有機層を取り出した。取り出した有機層を濃縮した後、得られた濃縮物と酢酸エチル(30g)とを15分間撹拌した。発生した固体をろ過で取り除いた後、濃縮することでB-20で表される化合物を3.0g得た。
H NMR(MeOH-D4):6.38(dd,1H),6.26(m,1H),6.14(dd,1H),5.92(m,3H),5.33(m,1H),4.46(dd,1H),4.34(dd,1H),3.44(dd,1H),3.38(dd,1H)
19F NMR (MeOH-D4):-79.92,-135.32,-138.93
MS(ESI-):434.3([M-K]
〔B-19、B-21、B-22、B-25~B-28、及びB-31〕
B-20で表される化合物の製造方法において使用した原料(例えば、トリフルオロメチルスルホンアミド、ペンタフルオロベンゼンスルホニルクロリド、及び1-チオグリセロール)を目的とする化合物の化学構造に応じて適宜変更したこと以外は、B-20で表される化合物の製造方法に準ずる方法によって、B-19、B-21、B-22、B-25~B-28、及びB-31で表される各化合物を製造した。具体的に、B-20で表される化合物の製造方法に基づき、スルホンアミド化合物と、塩化スルホニル化合物又はフッ化スルホニル化合物とを原料として用いてAN-I-4に対応する中間体を製造した後、上記中間体に重合性基を導入してAN-I-5に対応する中間体を製造する過程を経て、目的とする化合物を製造した。AN-37で表されるアニオンを形成するための原料として用いられるCF-SO-N-SO-C-SO-Fを含む化合物は、特開2019-157039号公報に記載の方法によって製造した。
〔B-36〕
B-6で表される化合物(1.5g)を酢酸エチル(50g)に溶解させた後、20質量%の塩化リチウム水溶液(50g)を添加し、25℃で15分間撹拌した。分液によって有機層を取り出した後、有機層に20質量%の塩化リチウム水溶液(50g)を添加し、25℃で15分間撹拌した。再度分液によって有機層を取り出した後、有機層に20質量%の塩化リチウム水溶液(50g)を添加し、25℃で15分間撹拌した。分液によって取り出した有機層を濃縮した後、得られた濃縮物と酢酸エチル(30g)とを15分間撹拌した。発生した固体をろ過で取り除いた後、濃縮することでB-36で表される化合物を1.4g得た。イオンクロマトグラフィーによって、B-36で表される化合物に含まれるカリウムイオンの含有率が1質量%未満であることを確認した。
〔B-37~B63〕
B-36で表される化合物の製造方法において使用した原料を目的とする化合物の化学構造に応じて適宜変更したこと以外は、B-36で表される化合物の製造方法に準ずる方法によって、B-37~B63で表される各化合物を製造した。具体的に、B-36で表される化合物の製造方法に基づき、表10の「アニオン」の欄に記載されたアニオンを含む化合物と、表10の「カチオン」の欄に記載されたカチオンを含む金属塩化物とのイオン交換反応によって、B-37~B63で表される各化合物を製造した。
-溶剤-
「S-1」:シクロヘキサノン
表2~表8に示される結果は、比較例1~2と比較して、実施例1~118において着色剤の凝集が抑制されたことを示している。
表2~表8に示される実施例において使用した光重合開始剤及び溶剤の一方又は両方を本明細書に記載した具体例に置き換えても同様の効果が得られる。
<実施例201~実施例210>
シリコンウェハ上に、Green組成物を製膜後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン株式会社)を用い、1,000mJ/cmで2μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで、シリコンウェハ上に、Green組成物をパターニングした。同様にRed組成物、Blue組成物を順次パターニングし、赤、緑、及び青の着色パターン(Bayerパターン)を形成した。実施例201~実施例210では、Blue組成物として、実施例1、6、20、45、49、53、及び60~63においてそれぞれ調製した感光性組成物を使用した。Blue組成物として、実施例1、6、20、45、49、53、及び60~63においてそれぞれ調製した感光性組成物を用いた例が、実施例201~実施例210にそれぞれ該当する。実施例201~実施例210において使用した、Green組成物、及びRed組成物については後述する。なお、Bayerパターンとは、米国特許第3,971,065号明細書に開示されているような、一個の赤色(Red)素子と、二個の緑色(Green)素子と、一個の青色(Blue)素子とを有する色フィルタ素子の2×2アレイを繰り返したパターンである。得られたカラーフィルタを公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ。実施例1、6、20、45、49、53、及び60~63においてそれぞれ調製した感光性組成物を用いることで、好適な画像認識機能、及び耐湿性を有する固体撮像素子が得られた。
実施例201~実施例210で使用したGreen組成物、及びRed組成物は、以下のとおりである。
[Green組成物]
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール株式会社製)でろ過して、Green組成物を調製した。
Green顔料分散液:73.7質量部
樹脂4(40質量%PGMEA溶液):0.3質量部
重合性化合物1:1.2質量部
光重合開始剤1:0.6質量部
界面活性剤1:4.2質量部
紫外線吸収剤(UV-503、大東化学株式会社製):0.5質量部
PGMEA:19.5質量部
[Red組成物]
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール株式会社製)でろ過して、Red組成物を調製した。
Red顔料分散液:51.7質量部
樹脂4(40質量%PGMEA溶液):0.6質量部
重合性化合物4:0.6質量部
光重合開始剤1:0.3質量部
界面活性剤1:4.2質量部
PGMEA:42.6質量部
Green組成物、及びRed組成物に使用した原料は、以下のとおりである。
・Green顔料分散液
C.I.Pigment Green 36を6.4質量部、C.I.Pigment Yellow 150を5.3質量部、分散剤(DISPERBYK-161、BYK-Chemie社)を5.2質量部、PGMEAを83.1質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合及び分散して、顔料分散液を調製した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー株式会社)を用いて、2,000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、Green顔料分散液を得た。
・Red顔料分散液
C.I.Pigment Red 254を9.6質量部、C.I.Pigment Yellow 139を4.3質量部、分散剤(DISPERBYK-161、BYK-Chemie社)を6.8質量部、PGMEAを79.3質量部とからなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合及び分散して、顔料分散液を調製した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー株式会社)を用いて、2,000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、Red顔料分散液を得た。
・重合性化合物1:KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物、日本化薬株式会社)
・重合性化合物4:下記構造の化合物
・樹脂4:下記構造の樹脂(酸価:70mgKOH/g、Mw=11,000、各構成単位における比はモル比である。)
・光重合開始剤1:Irgacure OXE01(1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)、BASF社)
・界面活性剤1:下記混合物(Mw=14,000)の1質量%PGMEA溶液。下記の式中、構成単位の割合を示す%(62%及び38%)の単位は、質量%である。

Claims (18)

  1. 着色剤Aと、
    光重合開始剤Bと、
    重合性化合物Cと、
    重合性基、カチオン、及びアニオンを含む化学構造を有し、下記式(Aλ)で表される比吸光度が5以下である化合物Dと、
    を含み、
    前記化合物Dの前記カチオンが、金属原子のカチオンであり、前記化合物Dの前記アニオンが、スルホンイミドアニオン、スルホン酸アニオン、ホウ素原子を含むアニオン、又はメチドアニオンである、もしくは、
    前記化合物Dの前記カチオンがアンモニウムカチオンであり、前記化合物Dの前記アニオンが式(SA-1)で表されるアニオンである、もしくは、
    前記化合物Dの前記カチオンが重合性基を有するアンモニウムカチオンである、感光性組成物。
    式(Aλ):E=A/(c×l)
    式(Aλ)中、Eは、波長400nm~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの比吸光度を表し、Aは、波長400nm~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの吸光度を表し、lは、単位がcmで表される光路長を表し、cは、単位がmg/mLで表される、測定試料中の化合物Dの濃度を表す。



    式(SA-1)中、R は、1価の有機基を表し、X は、フッ化アルキレン基、又はフッ化アリーレン基を表し、Y は、-S-、-CO-O-、-CO-NH-、-SO -N -SO -、-SO -N -、-SO -O-、又は-SO -NH-を表し、L は、単結合、又はk+1価の連結基を表し、Z は、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を表し、kは、1~3の整数を表す。
  2. 前記着色剤Aが、顔料A1を含む請求項1に記載の感光性組成物。
  3. 前記着色剤Aが、顔料A1と、前記顔料A1とは異なる着色剤A2と、を含む請求項1又は請求項2に記載の感光性組成物。
  4. 前記着色剤A2が、カチオン、及びアニオンを含む化学構造を有する染料を含む請求項3に記載の感光性組成物。
  5. 前記着色剤A2の前記カチオンが、キサンテン色素構造を有するカチオンである請求項4に記載の感光性組成物。
  6. 前記着色剤A2の前記アニオンが、スルホンイミドアニオンである請求項4又は請求項5に記載の感光性組成物。
  7. 前記着色剤A2の形態が、分子内塩である請求項3~請求項6のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  8. 前記着色剤A2が、色素多量体を含む請求項3~請求項7のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  9. 前記化合物Dの前記重合性基が、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基である請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  10. 前記ラジカル重合性基が、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、マレイミド基、及びアリル基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項9に記載の感光性組成物。
  11. 前記カチオン重合性基が、エポキシ基、オキセタニル基、及びアリル基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項9又は請求項10に記載の感光性組成物。
  12. 前記化合物Dが、前記アニオンに前記重合性基を有する請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  13. 前記化合物Dの前記カチオンが、ラジカル重合性基を有するアンモニウムカチオンである請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  14. 前記着色剤Aが、顔料A1と、前記顔料A1とは異なる着色剤A2と、を含み、
    前記着色剤A2が、キサンテン色素構造を有するカチオン、及び、アニオンを含む化学構造を有する染料を含み、
    前記化合物Dの前記カチオンが、ラジカル重合性基を有するアンモニウムカチオンである請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  15. 請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の感光性組成物を硬化してなる硬化物。
  16. 請求項15に記載の硬化物を含むカラーフィルタ。
  17. 請求項15に記載の硬化物を含む固体撮像素子。
  18. 請求項15に記載の硬化物を含む画像表示装置。
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