JP7315556B2 - 肺投与によるうつ病の処置における使用のための乾燥粉末ケタミン組成物 - Google Patents
肺投与によるうつ病の処置における使用のための乾燥粉末ケタミン組成物 Download PDFInfo
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Description
本発明は、ケタミンを含む組成物、とりわけ肺投与によるうつ病の処置の方法における使用のための乾燥粉末製剤に関する。
うつ病、とくに大うつ病性障害、双極性障害および治療抵抗性うつ病(TRD)は、現代社会における重大な問題である。多くの処置の選択肢がうつ病を処置するために開発されており、それには単剤治療または患者の経口投与レジメンに便利な併用治療を包含する。しかしながら、現存する抗うつ剤に対して治療不応性であるかまたは部分的にまたは全体的に治療抵抗性である患者のパーセンテージは相対的に高い。実際に、現状ではこのような重篤なケースにおける唯一の現実の選択肢は、電気ショックであり得る。
文献は、投与ルートに依存したケタミンの薬物動態の多くの例を説明する。
目下予期される代謝体の最小限のレベルを有する投与ルートは、静脈内のものである。0.5mg/kgで40分間のラセミ体のケタミンの静脈内注入の後に、親薬物は、約40分間その全身濃度約200ng/mlを維持し、その後濃度は、2時間未満の半減期で急速に落ちる。同時に、ノルケタミンは、ケタミン濃度の10~20%のレベルでその最大濃度に到達する。ケタミンに対する曲線下面積(AUC)ノルケタミンのパーセンテージは、約20~40%である。
経口的に投与されるケタミンのバイオアベイラビリティは、極めて低く(約16~20%);静脈内投与はケタミンバイオアベイラビリティにおける著しい増加をもたらす一方で、多くの不利な点もまた有する(例として長期の注入、患者の不快、監視についての必要性)。
WO2013/138322は、治療不応性または治療抵抗性うつ病の処置におけるエスケタミンの使用を開示する。エスケタミンの有効性についての試験は、エスケタミンの静脈内注入を伴う予言的な例において記載された。
エスケタミンの粘膜付着性の経口の形態および経口、鼻腔内および静脈内投与後のエスケタミンの薬物動態は、WO2014/020155において記載される。
上記は、高効率的ならびに便利であり、および高い患者コンプライアンスを確実にするための外来患者としての自己投与を包含する、患者による毎日の自己投与が容易である、高用量ケタミン製剤の開発の絶対的な医学上の必要性および重要性を説明する。このような製剤は、まず第一に治療的なケタミンの用量を血液へと送達すべきであり、迅速な治療効果および正確な投薬に起因したDPなどの望ましくない効果の低いリスクを包含する高い有効性で特徴付けられるべきである。このような製剤は、ノルケタミンおよびヒドロキシル化代謝体などの全身性の初回通過代謝体の最小限のレベルのみを可能にすべきであり、とくに、実際に投与されたケタミンレベルの低減および不要な代謝体の効果の両方を回避することを考慮した、許容し得る(エス)ノルケタミンに対する(エス)ケタミンの比率を確実にすべきである。
上記の問題は、信頼できる、再現性のある、および便利な様式での、肺投与ルートによるうつ病の処置の方法における使用のための高用量および安定した乾燥粉末ケタミン医薬組成物を提供する本発明によって解決された。
本発明は、肺投与によるうつ病の処置の方法における使用のための薬として、ケタミンまたはその薬学的に許容し得る塩を含む乾燥粉末医薬組成物を提供する。
別の側面において、本発明は、うつ病の処置の方法における使用のための、ケタミンまたはその薬学的に許容し得る塩を提供し、ここでケタミンまたはその薬学的に許容し得る塩は、乾燥粉末医薬製剤として肺ルートにより投与される。
別の側面において、本発明は、これを必要とする対象におけるうつ病の処置の方法を提供し、ここでケタミンまたはその薬学的に許容し得る塩は、乾燥粉末医薬製剤として肺ルートにより対象に投与される。
本発明の目的は、肺投与、すなわち肺ルートを介しての投与によるうつ病の処置の方法における使用のための薬としてのケタミンまたはその薬学的に許容し得る塩を含む乾燥粉末医薬組成物である。
本発明の別の目的は、うつ病の処置の方法における使用のためのケタミンまたはその薬学的に許容し得る塩であり、ここでケタミンまたはその薬学的に許容し得る塩は、乾燥粉末医薬製剤として肺ルートにより投与される。
好ましくは、本発明に従った使用において、エスケタミン、とくにエスケタミン塩酸塩は、乾燥粉末エスケタミン組成物または製剤の吸入により患者によって、1、2、3または4パフなど、少なくとも3単回用量などの複数の単回用量(吸入事象)からなる一連の投与で肺へと自己投与され、好ましくは各吸入事象は3または4パフの複数のパフからなり、前記ひと続きがいずれの吸入も伴わない休止期間(休息期間)によって互いに分離される。好ましくは、このような一続きは、少なくとも30分持続し、例えば30分持続して、および3のひと続きの投与を包含し、およびその間の休止期間は、好ましくは等しく、すなわち、15分の休止(休息)期間である。
好ましい態様において、ケタミンは、エスケタミンである。
別の態様において、ケタミンは、ラセミ体のケタミンである。
好ましい薬学的に許容し得るケタミン塩は、塩酸塩である。
最も好ましい態様において、本発明の組成物は、エスケタミン塩酸塩を含む。
別の態様において、本発明の組成物は、ラセミ体のケタミン塩酸塩を含む。
用語「治療抵抗性または治療不応性のうつ病」(TRD)は、当該技術分野において周知であり、および一般的に既知である抗うつ治療を使用した適正な抗うつ処置の少なくとも2の以前の試みに対して反応しない患者におけるうつ病を意味する。用語は、一般に、例えばUS8,785,500およびUS2015/0056308において記載される。
用語「双極性障害」は、当該技術分野において周知であり、およびうつ病の期間および異常なほど高揚した気分の期間を引き起こす障害を意味する。
用語「大うつ病」は、当該技術分野において周知であり、およびほとんどの状況にわたって存在する少なくとも2週間の落ち込んだ気分によって特徴付けられる障害を意味する。
具体的な態様において、本発明の組成物は、名目上の単位用量当たりの遊離塩基として算出される、2mg~60mgまでのケタミン、とくに3mg~15mgまでのケタミンなどの2mg~40mgまでのケタミンを含む。
別の態様において、本発明の組成物は、組成物の総重量に関して、30~95重量%の量における炭水化物増量剤および0.2~3重量%の量における安定化剤からなる群から選択される1以上の添加剤をさらに含む。
メジアン粒子径d50は、Sympatec社のASPIROSフィーダーを取り付けたHELOSレーザー回折計を使用した乾燥分散体を用いたレーザー回折技法によって得られたパラメータである。測定のために、未加工のケタミン、とくにエスケタミン塩酸塩は、試料当たり30mgの総量で、3.0barの圧力を用いて分散させられる。
用語「乾燥粉末」は、当業者にとって既知であり、および当該技術分野において従来の様式で、吸入器デバイスの作動後に患者が吸入するとき流動化されている粒子の固体混合物として理解されるべきである。
本発明に従った用語「名目上の単位用量」は、単一の投与について定められる組成物中に存在する(負荷される)ケタミン用量に関する。名目上の単位用量は、カプセルまたはブリスター中の単一の区画などの単一のユニットにおいて含有される、患者が接種するために準備されている乾燥粉末の測定された用量、または多用量乾燥粉末リザーバからの送達のために取り出される用量であり得る。
本発明に従った使用のための乾燥粉末医薬組成物または製剤は、医薬賦形剤、すなわち組成物の総重量に関して、30~95重量%の量における炭水化物増量剤(担体)および0.2~3重量%の量における安定化剤からなる群から選択される1以上の添加剤をさらに含んでもよい。
本発明の組成物における増量剤の典型的な量は、組成物の総重量に関して30~95重量%、とくに30~80重量%である。
安定剤は、小さい粒子の間の弱い結合力を「かき乱し」、およびよって粒子を分離されたまま保つことに役立ち、小さい粒子の自己付着および、このような他の粒子が存在する場合には、製剤中の他の粒子への付着性もまた低減させ、吸入器の内部表面への付着を低減させ、ならびに粉末-粉末流動性のレオロジー的な特性を改善する。
本発明の組成物中の安定剤の量は、組成物の総重量に関して、0.2~3重量%、とくに0.8重量%である。
代替的に、好適な粒度分布のケタミン、とくにエスケタミン塩酸塩は、ハイシアーミキサーで安定剤と共に加工され(混ぜられ)、および次いで増量剤/担体が添加され、および再びハイシアーミキサーで混合される。
製剤は、3つのデバイスカテゴリーによって投与されてもよい:カプセル中などの各用量が、使用前にデバイス内に装填される単一単位用量吸入器;複数の用量を有する乾燥粉末のバルク供給が、デバイス内に予め装填されている、多用量リザーバ吸入器;および複数の単回用量が、ブリスターの空洞中などの別々の区画中に個々に密封され、およびデバイスが作動するごとに放出する、多単位用量吸入器。好ましいものは、複数の単回用量が、ブリスター中などに、個々に密封され、およびデバイスが作動するごとに放出する、多単位用量吸入器である。
上に定義されるとおりの本発明に従った使用の別の態様において、肺ルートを介しての投与のための薬は、単一の名目上の単位用量を有するカプセルである。
上に定義されるとおりの本発明に従った使用の別の態様において、肺ルートを介しての単回用量の投与のための薬は、多用量粉末リザーバである。
本発明に従った使用のための組成物は、40~50%まで、とくに40%~60%、とくに最大で85%などの、少なくとも40%の放出される単位用量である、肺へと局所的に直接送達される用量の画分を提供する。
放出される用量の一部のみが、肺に到達し、およびよって肺へと送達される用量(微粒子用量-FPDとも呼ばれる)または肺へと送達される画分(微粒子画分-FPFとも呼ばれる)として患者の血液を循環する。いくつかの部分は、口腔咽頭および経口ルートを介して胃腸管に到達し、すなわち、飲み込まれており、および望ましくない最初の部分の代謝に行きやすい。
肺へと局所的に直接的に送達される放出される用量の画分(微粒子画分-FPFとも呼ばれる)は、周知の、および従来の方法およびアッセイを使用して決定され得る。このような方法およびアッセイは、European Pharmacopeia 9.0, Chapter 2.9.18, Preparations for inhalation; Aerodynamic assessment of fine particles for determination of Fine Particle Doseにおいて記載されるそれらのうちのいずれかを包含する。とりわけ、次世代医薬用インパクター(NGI)(Ph.Eur.装置E)は、空気力学的粒子サイズ分布(APSD)を査定し、および制御するために使用され得る。NGI装置は、Figs 2.9.18.-12 and 2.9.18.-13 on page 333 of European Pharmacopeia 9.0において提示されるとおりである。
効率的な粒子の捕捉は、ステージ1~7の各々粒子収集物の表面、ならびにMOCおよびプレセパレーターベースを、コーティング物質でコーティングすることによって確実にされる。プレセパレーターの中央カップは、適正な希釈剤で満たされる。
I.ステージ1~7およびMOC。各ステージは、適切な希釈剤(薬物物質の抽出物)で洗浄される。Copley社のGentle Rocker上のカップに負荷されたNGIトレイは、穏やかに10分間振盪される。
II.マウスピースアダプター。アダプター上に沈着した吸入粉末は、メスフラスコ内で適切な希釈剤ですすがれ、および10分間超音波処理される。
III.インダクションポート。インダクションポートからの沈着した吸入粉末は、メスフラスコ内で適切な希釈剤ですすがれ、および10分間超音波処理される。
IV.プレセパレーター。これらの構成要素からの沈着した吸入粉末は、メスフラスコ内で適切な希釈剤ですすがれ、および10分間超音波処理される。
本発明に従った使用のための組成物は、吸入による肺への直接的な肺投与後40分にわたっておよそ50~100ng/mlのケタミン血漿濃度の到達を可能とする適切なケタミン、とりわけエスケタミン塩酸塩の薬物動態のプロファイルを有する。前記血漿濃度は、抗うつ効果に対応する。経時的にこの濃度を維持することは、うつ病において有効であり、および十分な認容性であると知られている40分の静脈内注入を模倣する。
例
一般的な製造手順:
ラクトース一水和物およびステアリン酸マグネシウムの総体を、0.25mmメッシュを通してふるいにかけ、およびハイシアーミキサーで3分間混合する。得られた混合物を、活性物質と共に0.5mmメッシュを通してふるいにかけ、およびハイシアーミキサーで5分間混合する。
帯電を除去するために、帯電防止PEバッグを、プロセスの間中使用する。
真空ドラム技術の用量形成プロセスを、ブリスター充填のために使用する。ブリスターの空洞は、15~45mm3(とくに約30mm3)の範囲の体積である。空洞内に充填される粉末は、10~30mg(とくに23mg)の量である。
プロセスの間の真空ドラムデバイスのパラメータは、以下である:
真空圧:-0~500mBar、とくに50~400mBar
流動化圧:-0.1~-0.4Bar
流動化時間:50~2000ms、とくに50~300ms
充填時間:50~700ms、とくに50~400ms
シーリング時間:100~600ms
充填されたブリスターのシーリング試験は、真空下で実施する。
最終的に、ブリスターストリップは、医療デバイス内に巻き付けられる。
充填されるカプセルを、ソケット中に閉じた端を下向きに配置する。粉末は、ドセーターから放出され、およびカプセルに直接的に届く。ドセーター中に配置されたカプセルに充填する粉末は、タンピングし、およびカプセル内に放出されてもよい。
プロセスの間のカプセル充填デバイスのパラメータは、以下である:
回転:1~70rpm
タンピング高さ:1~10mm
ドセーター高さ:1~250mm
最終的に、充填されたカプセルは、医療デバイス内に据え付けられる。
以下の組成物を、上記の一般手順に従って、0.9kgのスケールで調製する。
例1
構成要素 量(mg/単位)
エスケタミン塩酸塩 3.45(2.99mgエスケタミンに対応する)
ラクトース一水和物LH200LP 19.16
ステアリン酸マグネシウム 0.39
構成要素 量(mg/単位)
エスケタミン塩酸塩 4.61(4mgエスケタミンに対応する)
ラクトース一水和物LH200LP 18.20
ステアリン酸マグネシウム 0.18
構成要素 量(mg/単位)
エスケタミン塩酸塩 5.06(4.39mgエスケタミンに対応する)
ラクトース一水和物LH200LP 17.581
ステアリン酸マグネシウム 0.359
組成物は、Ph.Eur.2.9.40の要件に従って一様であると見出された。エスケタミン塩酸塩含量の平均(n=10)は、名目上の用量の92.5%~107.5%の範囲であった。
プロセスは、1.8kgのスケールまで拡張可能であると見出された。
本発明の例1、2および3の組成物を、粉末吸入器についての手順に従って、次世代医薬用インパクター(NGI)(Ph.Eur.装置E)を使用して試験した。
試験の結果を、以下の表1および図面の図1(例1)、図2(例2)および図3(例3)において提示し、ここで上のダイヤグラムは全体のNGIについてのAPSDデータを提示し、および下のダイヤグラムはステージ1~7およびMOCについてのAPSDデータを提示する。以下の略語を、試験の結果について使用する:
T-インダクションポート
PS-プレセパレーター
S1~S7-NGIのステージ
MOC-マイクロオリフィスコレクター
ISM-インパクターの大きさの質量;非サイジング部分を除いてインパクターに入る質量
MMAD(μm)-質量中央値の空気力学的直径。質量による粒子の50%がより大きく、および50%がより小さい直径として定義される。
GSD-幾何標準偏差。空気力学的粒子サイズ分布の測定の幅
FPF-微粒子画分(%)
FPD-微粒子用量
本発明の組成物は、以下を伴う適切な均一性および極めて高いレベルの微粒子画分を実証した:
例1について、FPF>49%、FPD1.0mg;および放出される用量:2.3mg
例2について、FPF>47%、FPD:1.7mg;および放出される用量:3.6mg、および
例3について、FPF>44%、FPD:1.6mg;および放出される用量:3.9mg。
以下の組成物を、上記の一般手順に従って、0.9kgのスケールで調製した。
例4
構成要素 量(mg/単位)
エスケタミン塩酸塩 5.00(4.34mgエスケタミンに対応する)
ラクトース一水和物LH200LP 19.8
ステアリン酸マグネシウム 0.2
構成要素 量(mg/単位)
エスケタミン塩酸塩 10.00(8.67mgエスケタミンに対応する)
ラクトース一水和物LH200LP 39.6
ステアリン酸マグネシウム 0.4
構成要素 量(mg/単位)
エスケタミン塩酸塩 20.00(17.34mgエスケタミンに対応する)
ラクトース一水和物LH200LP 79.2
ステアリン酸マグネシウム 0.8
本発明の例4、5および6の組成物を、粉末吸入器についての手順に従って、次世代医薬用インパクター(NGI)(Ph.Eur.装置E)を使用して試験した。
試験の結果を、以下の表2および図面の図(例4)、図5(例5)および図6(例6)において提示し、ここでより高いダイヤグラムは全体のNGIについてのAPSDデータを提示し、およびより低いダイヤグラムはステージ1~7およびMOCについてのAPSDデータを提示する。
発明された製剤は、以下を伴う適切な均一性および極めて高いレベルの微粒子画分を実証した:
例4について、FPF>59%、FPD2.4mg;放出される用量:4.2mg、
例5について、FPF>54%、FPD:3.9mg;放出される用量:7.1mg、および
例6について、FPF>51%、FPD:7.9mg;放出される用量:16.5mg。
本発明の乾燥粉末医薬組成物は、放出されるエスケタミンの用量について、名目上の用量の最大85%および少なくとも40%の微粒子画分(肺へと送達される画分)などの、最大97%のレベルで放出されるエスケタミン塩酸塩の用量を提供した。
健常ボランティアにおける吸入されたエスケタミン乾燥粉末の薬物動態
例2のエスケタミン塩酸塩の乾燥粉末製剤を、健常ボランティアの肺へ、すなわち乾燥粉末吸入器吸入器(DPI)を使用して(自己投与により)直接的に肺へと投与した。
乾燥粉末製剤の1パフは、4.6mgのエスケタミン塩酸塩を含有し、それは4mgのエスケタミン遊離塩基および18.22mgのラクトース一水和物および0.18mgのステアリン酸マグネシウムの賦形剤に対応する。
研究のパートAにおいて、一中心の単回の上昇する用量として設計されており、薬を18の健常ボランティア対象へと単回用量を毎日1回(最大で6の連続したパフ)送達した。対象を6のコホートに分割し、コホートは夫々単回用量(吸入事象)において1、2、3、4、5または6のパフを受けた。
エスケタミンおよびエスノルケタミンの濃度の決定および薬物動態のパラメータの算出のための血液試料の収集を、試験の開始後24時間までの間実施した。
試験のパートAの結果を、例2の乾燥粉末組成物の様々な単回用量後の経時的なエスケタミン血漿濃度を示す図7に提示する。見られるように、抗うつ効果に充分であり、および前記濃度の鋭いピークを伴わない血漿エスケタミン濃度を得ることを可能とするパフの数は、1~4パフであると決定され、それは4~16mgのエスケタミン遊離塩基の名目上の用量に対応する。
研究のパートBにおいて、4の異なる単回用量(すなわち夫々1、2、3または4パフからなる各単回用量)での4のコホートに分割した12の健常ボランティア対象に、各コホート1日における30分間での単回用量(吸入事象)の3投与からなるひと続きの投与で、例2の組成物を投与した。吸入事象の間に、15分の休止期間があり、すなわち初回の単回用量は0分で投与され、2回目の単回用量は15分で投与され、および3回目の単回用量は30分で投与された。
試験のパートBの結果を、30分の間の一連の3投与の単回用量における例2の乾燥粉末組成物の様々な単回用量の投与後の経時的なエスケタミン血漿濃度を示す図8に提示する。図8はまた、(2つの太い黒色の線の間のエリア)0.2mg/kgで40分のi.v.注入後のエスケタミン血漿濃度のシミュレーションを示す。
研究のパートAおよびパートBの両方において、弊害をモニタリングし、および精神科医によって査定した。弊害の概要を、図9中に提示した。見られるように、重大な効果は観察されず、すべての弊害は、軽度であり、時折中程度であるとして査定された。向精神薬効果は、一過的であり、投与に続いて最大で30分持続した。弊害または毒性に起因した中断はなかった。
上記は、エスケタミンの肺投与、すなわち肺への直接的な投与が、患者による便利な自己投与によって、うつ病、とりわけTRDを処置する有望な方法であることを示す。血漿濃度プロファイルは、非常になめらかであり、目標プロファイルと一致しており、および慢性投与について安全である。
Claims (30)
- 肺ルートを介しての肺への直接投与による、うつ病の処置の方法における使用のための、ケタミンまたはその薬学的に許容し得る塩を含む乾燥粉末医薬組成物であって、名目上の単位用量当たりの遊離塩基として算出される2mg~100mgまでの微粉化ケタミンを含む、前記乾燥粉末組成物。
- 乾燥粉末医薬組成物として肺ルートにより投与される、うつ病の処置の方法における使用のための、ケタミンまたはその薬学的に許容し得る塩を含む乾燥粉末医薬組成物であって、名目上の単位用量当たりの遊離塩基として算出される2mg~100mgまでの微粉化ケタミンを含む、前記乾燥粉末医薬組成物。
- 薬学的に許容し得る塩が、塩酸塩である、請求項1または2に記載の使用のための組成物。
- ケタミンが、エスケタミンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
- それぞれ組成物が、名目上の単位用量当たりの遊離塩基として算出される2mg~40mgまでの微粉化ケタミンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
- 組成物が、名目上の単位用量当たりの遊離塩基として算出される4mgの微粉化エスケタミンを含む、請求項5に記載の使用のための組成物。
- 組成物が、組成物の総重量に関して、30~95重量%の量における炭水化物増量剤および0.2~3重量%の量における安定化剤からなる群から選択される1以上の添加剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
- 組成物が、レーザー回折技法によって測定される、1~10μmのメジアン粒子径d50、0.2~5μmのd10および3~35μmのd90を有するケタミンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
- 組成物が、1.2mgのケタミン塩酸塩に対応する、遊離塩基として算出される少なくとも1.0mgのケタミンの放出される用量を提供する、請求項5~8のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
- 肺へ送達される放出される用量の画分が、少なくとも40%である、請求項5~9に記載の使用のための組成物。
- 肺ルートを介しての投与のための組成物が、予め計量され、および個々に密封された複数の個々の名目上の単位用量を有するブリスター中に含まれる、請求項1~10に記載の使用のための組成物。
- 肺ルートを介しての投与のための薬が、単回の名目上の単位用量を有するカプセル中に含まれる、請求項1~10のいずれか一項の記載の使用のための組成物。
- 肺ルートを介しての投与のための薬が、多用量粉末リザーバ中に含まれる、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
- ケタミンが、乾燥粉末ケタミン組成物または製剤の複数の単回用量からなる投与のひと続きであって、前記ひと続きがいずれの吸入も伴わない休止期間によって互いに分離される、の吸入によって患者により肺に自己投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
- 投与が、30分間で3または4パフからなるエスケタミン3単回用量からなるひと続きを含み、単回用量は15分の休止期間によって分離され、ここで各パフが、乾燥粉末組成物または製剤において4mgのエスケタミンの名目上の用量に対応する、請求項4~14のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
- 処置が、ケタミンまたはその薬学的に許容し得る塩を、吸入可能な乾燥粉末医薬製剤として肺ルートによって対象に投与することを含む、その対象におけるうつ病の処置のための、請求項1または2に記載の粉末医薬組成物の製造のための使用。
- ケタミンの薬学的に許容し得る塩が、塩酸塩である、請求項16に記載の使用。
- ケタミンが、エスケタミンである、請求項16または17に記載の使用。
- 組成物が、名目上の単位用量当たりの遊離塩基として算出される2mg~100mgまでの微粉化ケタミンを含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の使用。
- 組成物が、名目上の単位用量当たりの遊離塩基として算出される2mg~40mgの微粉化ケタミンを含む、請求項19に記載の使用。
- 組成物が、名目上の単位用量当たりの遊離塩基として算出される4mgの微粉化エスケタミンを含む、請求項20に記載の使用。
- 組成物が、組成物の総重量に関して、30~95重量%の量における炭水化物増量剤および0.2~3重量%の量における安定化剤からなる群から選択される1以上の添加剤を含む、請求項16~21のいずれか一項に記載の使用。
- 組成物が、レーザー回折技法によって測定される、1~10μmのメジアン粒子径d50、0.2~5μmのd10および3~35μmのd90を有するケタミンを含む、請求項16~22のいずれか一項に記載の使用。
- 組成物が、1.2mgのケタミン塩酸塩に対応する、遊離塩基として算出される少なくとも1.0mgのケタミンの放出される用量を提供する、請求項19~23のいずれか一項に記載の使用。
- 肺へ送達される放出される用量の画分が、少なくとも40%である、請求項24に記載の使用。
- 肺ルートを介しての投与のための組成物が、予め計量され、および個々に密封された複数の個々の名目上の単位用量を有するブリスター中に含まれる、請求項16~25のいずれか一項に記載の使用。
- 肺ルートを介しての投与のための薬が、単回の名目上の単位用量を有するカプセル中に含まれる、請求項16~25のいずれか一項の記載の使用。
- 肺ルートを介しての投与のための薬が、多用量粉末リザーバ中に含まれる、請求項16~25のいずれか一項に記載の使用。
- ケタミンが、乾燥粉末ケタミン組成物または製剤の複数の単回用量からなる投与のひと続きであって、前記ひと続きがいずれの吸入も伴わない休止期間によって互いに分離される、の吸入によって患者により肺に自己投与される、請求項16~28のいずれか一項に記載の使用。
- 投与が、30分間で3または4パフからなる3エスケタミン単回用量を含み、単回用量が15分の休止期間によって分離され、ここで各パフが、乾燥粉末組成物または製剤において4mgのエスケタミンの名目上の用量に対応する、請求項18~29のいずれか一項に記載の使用。
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