本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1ないし図11に示す本実施形態の収納用什器は、物品を収納するための空間31、32、33、34、35、36を包有し、幅寸法が奥行寸法よりも大きい什器本体1と、その什器本体1内に配設する複数段の棚21、22、23とを具備する。なお、図2では特定の空間領域33の側方及び後方を遮蔽する化粧パネル41、42、43を取り付けているのに対して、図1ではそれら化粧パネル41、42、43をオミットしている。
什器本体1は、当該什器本体1の四隅の位置に設立する側柱11と、側柱11の上端部同士を連結する上フレーム13と、上フレーム13に支持させた頂板14と、側柱11の下端部同士を連結する下フレーム15と、下フレーム15に支持させた底板16と、側柱11よりも内側方に偏倚した位置に設立する中柱12と、側柱11または中柱12に固定した横桟状の棚受17とを備える。棚受17は、各段の棚21、22、23の前端部及び後端部を支持する支持体である。
側柱11は什器本体1の左右両側部にあり、それら側柱11を上フレーム13及び下フレーム15により剛結することで、一体の自立した構造体を構築する。上フレーム13は、左右に並立する二本の側柱11の上端部同士を連結する前後一対の笠木131と、前後に並立する二本の側柱11の上端部同士を連結する左右一対の上連結材132とを要素とする。上フレーム13を構成する笠木131及び上連結材132は、平面視四方枠状をなす。側柱11は鉛直方向に伸長する角パイプ材であり、笠木131は幅方向に伸長する角パイプ材であり、上連結材132は奥行方向に伸長する角パイプ材である。笠木131の幅方向に沿った長手寸法は、上連結材132の奥行方向に沿った長手寸法よりも長い。
笠木131の左右の側端部の端面はそれぞれ、左右の側柱11の上端部の内側壁に当接する。側柱11と笠木131とは、ねじまたはボルト133を使用して締結してもよいし、溶接してもよい。図4及び6に示すように、本実施形態では、側柱11の上端部の内側壁にこれを貫通する挿通孔111を穿つとともに、笠木131の側端部にこの挿通孔111と向き合うナット1311を設け、挿通孔111に挿通したねじまたはボルト133の軸部をナット1311に螺合せしめることにより、笠木131の側端部を側柱11の上端部に締結している。側柱11の上端部の外側壁における、側面視挿通孔111と重なり合う箇所に穿ってある貫通孔112は、ねじまたはボルト133をナット1311に螺合緊締する操作を行う際にドライバ等の工具を通すためのものである。笠木131の上壁の側端には、笠木131のその他の部位の側端面よりも外側方に突き出した突片1312を形成している。この突片1312は、側柱11の内側壁の上端を一部切り欠いて形成した切欠113に収まり、笠木131の側端部を左右の側柱11の上端部に対して位置決めする。
上連結材132の前後端部の端面はそれぞれ、前側の側柱11の上端部の後壁及び後側の側柱11の上端部の前壁に当接する。側柱11と上連結材132とは、ねじまたはボルトを使用して締結してもよいし、溶接してもよい。本実施形態では、上連結材132の前後端部を側柱11の上端部に溶接している。図4及び図7に示すように、上連結材132の下壁の前端及び後端には、上連結材132のその他の部位の前後端面よりも前方または後方に突き出した突片1321を形成している。この突片1321は、前側の側柱11の上端部の後壁及び後側の側柱11の上端部の前壁に開設したスロット114に収まり、上連結材132の前後端部を前後の側柱11の上端部に対して位置決めする。
頂板14は、側柱11の上端、上フレーム13の笠木131、上連結材132、及び笠木131に固定した頂板受134に載置する。頂板受134は、その上面が笠木131の上壁面と面一または略面一となっている水平片を含む。頂板受134の水平片は、前側の笠木131の後壁より後方に張り出し、また後側の笠木131の前壁より前方に張り出しており、かつ幅方向に拡張している。笠木131と頂板受134とは、ねじまたはボルトを使用して締結してもよいし、溶接してもよい。あるいは、初めから笠木131と頂板受134とを一体成形しても構わない。頂板14の下面と当接する頂板受134の水平片にはこれを貫通する挿通孔1341を穿ち、頂板14にはこの挿通孔1341と向き合うナット141を設け、挿通孔1341に挿通したねじまたはボルト142の軸部をナット141に螺合せしめることにより、頂板14を頂板受134に締結し、以て頂板14を上フレーム13に対して固着する。この頂板14の上には、随意の物品を載せ置くことが可能である。
下フレーム15は、左右に並立する二本の側柱11の下端部同士を連結する前後一対の幅木151と、前後に並立する二本の側柱11の下端部同士を連結する左右一対の下連結材152とを要素とする。下フレーム15を構成する幅木151及び下連結材152は、平面視四方枠状をなす。幅木151は幅方向に伸長する角パイプ材であり、下連結材152は奥行方向に伸長する角パイプ材である。幅木151の幅方向に沿った長手寸法は笠木131の幅方向に沿った長手寸法に等しく、下連結材152の奥行方向に沿った長手寸法は上連結材132の奥行方向に沿った長手寸法に等しい。前者が後者よりも長いことは言うまでもない。
幅木151の左右の側端部の端面はそれぞれ、左右の側柱11の下端部の内側壁に当接する。側柱11と幅木151とは、ねじまたはボルト153を使用して締結してもよいし、溶接してもよい。図5及び6に示すように、本実施形態では、側柱11の下端部の内側壁にこれを貫通する挿通孔115を穿つとともに、幅木151の側端部にこの挿通孔115と向き合うナット1511を設け、挿通孔115に挿通したねじまたはボルト153の軸部をナット1511に螺合せしめることにより、幅木151の側端部を側柱11の下端部に締結している。側柱11の下端部の外側壁における、側面視挿通孔115と重なり合う箇所に穿ってある貫通孔116は、ねじまたはボルト153をナット1511に螺合緊締する操作を行う際にドライバ等の工具を通すためのものである。幅木151の下壁の側端には、幅木151のその他の部位の側端面よりも外側方に突き出した突片1512を形成している。この突片1512は、側柱11の下端部の内側壁に開設したスロット117に収まり、幅木151の側端部を左右の側柱11の下端部に対して位置決めする。
下連結材152の前後端部の端面はそれぞれ、前側の側柱11の下端部の後壁及び後側の側柱11の下端部の前壁に当接する。側柱11と下連結材152とは、ねじまたはボルトを使用して締結してもよいし、溶接してもよい。本実施形態では、下連結材152の前後端部を側柱11の下端部に溶接している。図5及び図7に示すように、下連結材152の下壁の前端及び後端には、下連結材152のその他の部位の前後端面よりも前方または後方に突き出した突片1521を形成している。この突片1521は、前側の側柱11の下端部の後壁及び後側の側柱11の下端部の前壁に開設したスロット118に収まり、下連結材152の前後端部を前後の側柱11の下端部に対して位置決めする。
底板16は、四方枠状をなす下フレーム15の内周に嵌め込むようにして、幅木151に固定した底板受154に載置する。底板受154は、その上面が幅木151の上壁面よりも低く、幅木151の下壁面に近い高さ位置にある水平片を含む。底板受154の水平片は、前側の幅木151の後壁より後方に張り出し、また後側の幅木151の前壁より前方に張り出している。幅木151と底板受154とは、ねじまたはボルトを使用して締結してもよいし、溶接してもよい。あるいは、初めから幅木151と底板受154とを一体成形しても構わない。底板16の下面と当接する底板受154の水平片にはこれを貫通する挿通孔1541を穿ち、底板16にはこの挿通孔1541と向き合うナット162を設け、挿通孔1541に挿通したねじまたはボルト162の軸部をナット161に螺合せしめることにより、底板16を底板受154に締結し、以て底板16を下フレーム15に対して固着する。底板16の上面は、下フレーム15の幅木151の上壁面及び下連結材152の上壁面と面一または略面一となる。この底板16の上には、随意の物品を載せ置くことが可能である。
側柱11の下端部は、脚として床面に接地する。側柱11の下端部には、高さ調整用のアジャスタ119を設ける。加えて、側柱11よりも内側方に偏倚した位置に、床面に接地する補助脚18を付設することもできる。図1ないし図3に示すように、本実施形態では、什器本体1の幅寸法の中央部に、前後に並立し底板16を下方から支える二本の補助脚18を配している。これら補助脚18は、その上端部同士を連結板181により連結し、当該連結板181を底板16の下面に固定している。底板16と連結板181とは、ねじまたはボルトを使用して締結してもよいし、溶接してもよい。補助脚18の下端部にも、高さ調整用のアジャスタ182を設ける。
本実施形態の収納用什器にあって、棚21、22、23は、その幅寸法が什器本体1の幅寸法よりも小さい部分棚となっている。部分棚21、22、23は、既存の什器の棚のように、左右両方の側端部を什器本体1の左右の側柱11に支持させることができない。そこで、本実施形態では、棚21、22、23の前端部及び後端部を、側柱11及び/または中柱12に固着した前後の棚受17にそれぞれ支持させるようにしている。
中柱12は、鉛直方向に伸長する角パイプ材である。中柱12は、上フレーム13から下フレーム15まで亘っており、中柱12の上端部の端面は笠木131の下壁に当接し、下端部の端面は幅木151の上壁に当接する。中柱12と笠木131とは、ねじまたはボルト122を使用して締結してもよいし、溶接してもよい。図8及び10に示すように、本実施形態では、笠木131の下壁にこれを貫通する挿通孔1313を穿つとともに、中柱12の上端部にこの挿通孔1313と向き合うナット121を設け、挿通孔1313に挿通したねじまたはボルト122の軸部をナット121に螺合せしめることにより、中柱12の上端部を笠木131に締結している。笠木131の上壁における、平面視挿通孔1313と重なり合う箇所に穿ってある貫通孔1314は、ねじまたはボルト122をナット121に螺合緊締する操作を行う際にドライバ等の工具を通すためのものである。中柱12の側壁の上端には、中柱12のその他の部位の上端面よりも上方に突き出した突片123を形成している。この突片123は、笠木131の下壁に開設したスロット1315に収まり、中柱12の上端部を笠木131に対して位置決めする。
中柱12と幅木151とは、ねじまたはボルト122を使用して締結してもよいし、溶接してもよい。図9及び10に示すように、本実施形態では、幅木151の上壁にこれを貫通する挿通孔1513を穿つとともに、中柱12の下端部にこの挿通孔1513と向き合うナット121を設け、挿通孔1513に挿通したねじまたはボルト122の軸部をナット121に螺合せしめることにより、中柱12の下端部を幅木151に締結している。幅木151の下壁における、平面視挿通孔1513と重なり合う箇所に穿ってある貫通孔1514は、ねじまたはボルト122をナット121に螺合緊締する操作を行う際にドライバ等の工具を通すためのものである。中柱12の側壁の下端には、中柱12のその他の部位の下端面よりも下方に突き出した突片123を形成している。この突片123は、幅木151の上壁に開設したスロット1515に収まり、中柱12の下端部を幅木151に対して位置決めする。
側柱11が前後に対をなしているのと同様に、中柱12もまた前後に対をなしている。即ち、前側の笠木131及び幅木151に連結する前側の中柱12と、後側の笠木131及び幅木151に連結する後側の中柱12とが、奥行方向に離間している。その上で、前側の側柱11及び中柱12、後側の側柱11及び中柱12にそれぞれ、幅方向に伸長した横桟である棚受17を固設する。図7、図9及び図11に示すように、前側の棚受17は、前側の側柱11または中柱12の後壁に接合する直立片171と、直立片171の下縁から後方に張り出し棚21、22、23の前端部を下方より支える水平片172とが、側面視略L字形をなす部材である。後側の棚受17は、後側の側柱11または中柱12の前壁に接合する直立片171と、直立片171の下縁から前方に張り出し棚21、22、23の後端部を下方より支える水平片172とが、側面視略L字形をなす部材である。幅方向に拡張した棚受17の水平片172により、棚21、22、23の前端部及び後端部における幅方向に拡張した範囲を支持することができる。
棚受17と、側柱11または中柱12とは、ねじ173またはボルトを使用して締結してもよいし、溶接してもよい。図7、図9及び11に示しているように、本実施形態では、棚受17の直立片171にこれを貫通する挿通孔1711を穿つとともに、側柱11または中柱12の前壁または後壁にこの挿通孔1711と向き合うナット孔110、120を設け、挿通孔1711に挿通したねじ(特に、皿ねじ)173の軸部をナット孔110、120に螺合せしめることにより、棚受17の直立片171を側柱11または中柱12の前壁または後壁に締結している。
前後に対をなす棚受17の水平片172は同一または略同一の高さ位置にあり、それら水平片172の上面は面一または略面一となる。その両水平片172に跨るように、棚21、22、23の前端部を前側の棚受17の水平片172に載置し、棚21、22、23の後端部を後側の棚受17の水平片172に載置することで、棚21、22、23を棚受17ひいては什器本体1に支持させる。各段の棚21、22、23の上には、随意の物品を載せ置くことが可能である。因みに、図示例の棚21、22、23は板棚21、22、23であるが、棚21、22、23は前後左右を囲繞する縁となる四方枠に網を支持させた網棚であってもよいし、複数本の棒材を隙間を隔てて配列した態様のものであってもよい。
既に述べた通り、什器本体1の前側の中柱12及び棚受17と、後側の中柱12及び棚受17とは、奥行方向に沿って離間している。これにより、棚21及び棚受17が前後の中柱12の間を通過して、当該中柱12よりも左右に拡張することができる。図1ないし図3に示すように、本実施形態では、最上段の棚21及びこの棚21を支持する棚受17が、左方の中柱12の近傍から幅方向に沿って右方に拡張し、右方の中柱12を越えて右方の側柱11の近傍にまで至っている。最上段の棚21を支持する棚受17は、その左側端部を左方の中柱12に固定し、その右側端部を右方の側柱11に固定し、中間部を右方の中柱12に固定している。そして、この最上段の棚21上の収納空間31は、前後に対をなして離間した右方の中柱12の間隙を介して、左方の中柱12の近傍から右方の側柱11の近傍まで一貫して連続している。
中段の棚22及びこの棚22を支持する棚受17は、左方の側柱11の近傍から幅方向に沿って右方に拡張し、左方の中柱12の近傍まで至っている。中段の棚22を支持する棚受17は、その左側端部を左方の側柱11に固定し、その右側端部を左方の中柱12に固定している。一方で、最上段の棚21及びこれを支持する棚受17は、左方の中柱12よりも左方には拡張していない。従って、中段の棚22上の収納空間32は、最上段の棚21により隔絶されない、即ち最上段の棚21よりも下方の領域と上方の領域とが連続した縦長の空間となる。しかも、この空間32の前方及び後方の開口は、最上段の棚21を支持する棚受17によって遮られない。中段の棚22上の空間32は、幅寸法は大きくないが上下に高い形状の物品を収納するのに適している。この空間32は、前後に対をなして離間した左方の中柱12の間隙を介して、最上段の棚21上の空間31にも連通している。
最下段の棚23及びこの棚23を支持する棚受17は、左方の中柱12の近傍から幅方向に沿って右方に拡張し、右方の中柱12の近傍まで至っている。最下段の棚23を支持する棚受17は、その左側端部を左方の中柱12に固定し、その右側端部を右方の中柱12に固定している。一方で、中段の棚22及びこれを支持する棚受17は、左方の中柱12よりも右方には拡張していない。従って、最下段の棚23上の収納空間33は、中段の棚22により隔絶されない、即ち中段の棚22よりも下方の領域と上方の領域とが連続した空間となる。しかも、この空間33の前方及び後方の開口は、中段の棚22を支持する棚受17によって遮られない。最下段の棚23の幅寸法、換言すれば左方の中柱12と右方の中柱12との幅方向に沿った離間距離は、什器本体1の幅寸法の半分以上に大きい。故に、最下段の棚23上の収納空間33は、比較的広大となる。この空間33は、例えばディスプレイ等の大形の物品を収納しまたは配置するのに適している。図2に示すように、最下段の棚23上の空間33の側方及び後方は、化粧パネル41、42、43により遮蔽することができる。但し、化粧パネル41、42、43を設けることは必須ではなく、取り除いても構わない。
最下段の棚23及びこれを支持する棚受17は、左方の中柱12よりも左方には拡張していない。従って、中段の棚22下の収納空間34は、最下段の棚23により隔絶されない、即ち最下段の棚23よりも下方の領域と上方の領域とが連続した空間となる。しかも、この空間34の前方及び後方の開口は、最下段の棚23を支持する棚受17によって遮られない。中段の棚22下の空間34は、幅寸法は大きくないが上下に高い形状の物品を収納するのに適している。この空間34は、前後に対をなして離間した左方の中柱12の間隙を介して、底板16上かつ最下段の棚23下の空間36に連通している。
また、最下段の棚23及びこれを支持する棚受17は、右方の中柱12よりも右方には拡張していない。従って、右方の中柱12よりも右方の区画における、最上段の棚21下の収納空間35は、最下段の棚23により隔絶されない、即ち最下段の棚23よりも下方の領域と上方の領域とが連続した縦長の空間となる。この空間35の上下寸法は、左方の中柱12よりも左方の区画における、中段の棚22上の空間32または中段の棚22下の空間34の上下寸法よりも大きい。
上記の空間35は、ワードローブとして使用することが可能である。最上段の棚21における、右方の中柱12よりも右方に迫り出した部位の下面には、ブラケット211を介してバー212を固定している。バー212は、最上段の棚21の下面から下方にある程度離間した高さ位置にあり、衣服を掛けるハンガーのフックをそのバー212に引っ掛けることで、ハンガー及び衣服を棚21の下方の空間35に吊り下げることができる。この空間35に、上下に高い物品を収納してもよいことは勿論である。
本実施形態では、物品を収納するための空間31、32、33、34、35、36を包有し、幅寸法が奥行寸法よりも大きく、奥行方向に離間して対をなす前後の支持体(棚受、または横桟)17を備えている什器本体1と、前後の支持体17に前端部及び後端部がそれぞれ支持される、物品を載置可能な棚21、22、23とを具備する収納用什器を構成した。
並びに、本実施形態では、物品を収納するための空間31、32、33、34、35、36を包有し、幅寸法が奥行寸法よりも大きく、その側端部よりも内側方に偏倚した位置に設立される中柱12、及び中柱12に固定される支持体17を備えている什器本体1と、幅寸法が前記什器本体1の幅寸法よりも小さく、前記支持体17に支持される、物品を載置可能な部分棚21、22、23とを具備する収納用什器を構成した。
本実施形態によれば、棚の左右両側が什器本体に支持される既存の什器と比較して、収納空間31、32、33、34、35、36を様々な形状に区画することが可能となる。
前記支持体17は、幅方向に拡張した横桟であり、前記棚21、22、23の前端部または後端部における幅方向に拡張した範囲を安定的に支持することができる。
前記棚21、22、23として、幅寸法が前記什器本体1の幅寸法よりも小さい部分棚21、22、23を具備し、その部分棚21、22、23よりも下方の領域と上方の領域とが当該部分棚21、22、23により遮られずに連続した空間32、33、34、35を什器本体1が内包しているため、上下に高い縦長の形状の物品を収納することが容易となる。
前記什器本体1が、その側端部に設立される側柱11と、側柱11よりも内側方に偏倚した位置に設立される中柱12とを備えており、側柱11または中柱12に前記支持体17が固定されるものとしているため、支持体17の幅寸法を什器本体1の幅寸法よりも短尺にでき、什器本体1内の空間32、33、34、35に対して物品を出し入れするための開口を大きくとることができる。即ち、支持体17が物品の出し入れの妨げとならない。
前記支持体17のうちの前側の支持体17が固定される前記中柱12と、後側の支持体17が固定される前記中柱12とが奥行方向に離間しており、前記棚21がそれら中柱12の間を通過して当該中柱12よりも左右に拡張していることから、棚21上に幅方向に連続した収納空間31を形成できる。
前記棚21の下面にブラケット211を介してバー212が固定され、衣服を掛けるハンガーのフックをそのバー212に引っ掛けてハンガー及び衣服を棚21、22、23の下方の空間35に吊り下げることができるものとすれば、什器本体1内の空間31、32、33、34、35、36の一部35をワードローブとして使用可能となる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上フレーム13の笠木131及び下フレーム15の幅木151に、中柱12を締結するためのねじまたはボルト122を挿通する挿通孔1313、1513(及び、これと組となる貫通孔1314、1514)を、幅方向に沿って複数、間欠的に設けておいてもよい。さすれば、什器本体1において中柱12を設立する位置を幅方向に沿って変位させ、及び/または、什器本体1に中柱12を設立する本数を増減させることが可能となる。それに合わせて、棚21、22、23及び支持体たる棚受17の幅寸法を変更することで、什器本体1が内包する収納空間31、32、33、34、35、36の大きさや形状を任意に変更することができる。
側柱11及び中柱12に、棚受17を締結するためのねじ173またはボルトを螺着するナット孔110、120を、上下方向に沿って複数、間欠的に設けておいてもよい。さすれば、什器本体1において棚受17及び棚21、22、23を配設する高さ位置を上下方向に沿って変位させることが可能となり、什器本体1が内包する収納空間31、32、33、34、35、36の大きさや形状を任意に変更することができる。
図12に示すものは、什器本体1が内包する収納空間301、302、303、304、305、306、307の大きさ及び形状を上記実施形態から変更した一変形例である。この変形例では、中柱12が三本存在する。そのうちの左方の中柱12は、上記実施形態と同様、その上端部を上フレーム13の笠木131に固定し、その下端部を下フレーム15の幅木151に固定している。最上段の棚201を支持する棚受17は、その左側端部を左方の側柱11に固定し、その右側端部を右方の側柱11に固定し、中間部を左方の中柱12及び中央の中柱12に固定している。最上段の棚201及びこの棚201の上の収納空間301は、左方の側柱11の近傍から右方の側柱11の近傍まで拡張している。
右方の中柱12は、その下端部を幅木151に固定している。だが、右方の中柱12の上下寸法は什器本体1の高さの半分程度であり、右方の中柱12の上端部は上フレーム13の笠木131まで到達しない。右方の中段の棚202を支持する棚受17は、その左側端部を右方の中柱12に固定し、その右側端部を右方の側柱11に固定している。つまり、右方の中柱12の上端部と、右方の中段の棚202を支持する棚受17の左側端部とを連結することにより、その棚受17を横桟として右方の中柱12の上端部を右方の側柱11に支持させている。右方の中段の棚202及びこの棚202の上の収納空間302は、右方の中柱12の近傍から右方の側柱11の近傍まで拡張している。
中央の中柱12は、その上下寸法が什器本体1の高さよりも顕著に短くなっている。そして、中央の中柱12の上端部は上フレーム13の笠木131に接続せず、下端部もまた下フレーム15の幅木151に接続していない。中央の中柱12の上端部は、最上段の棚201を支持する棚受17に連結している。この中央の中柱12は、最上段の棚201を支持する棚受17から懸垂して什器本体1内で宙に浮いている。左方の中段の棚203を支持する棚受17は、その左側端部を左方の中柱12に固定し、その右側端部を中央の中柱12に固定している。中央の中柱12の下端部は、左方の中段の棚203を支持する棚受17に連結しており、その棚203及び棚受17の右方を最上段の棚201を支持する棚受17に吊持させている。左方の中段の棚203及びこの棚203の上の収納空間303は、左方の中柱12の近傍から中央の側柱11の近傍まで拡張している。
最下段の棚204を支持する棚受17は、その左側端部を左方の中柱12に固定し、その右側端部を右方の中柱12に固定している。最下段の棚204及びこの棚204の上の収納空間304は、左方の中柱12の近傍から右方の中柱12の近傍まで拡張している。収納空間304は、右方の中段の棚202により遮蔽されずに右方の中段の棚202上の収納空間302と一体化して、変則的な異形の空間領域となっている。
上記実施形態と同様、中柱12は前後に対をなして離間しており、それらの間を介して最上段の棚201の下方の収納空間302、303、304、305、306、307は互いに連通している。
上記実施形態及び変形例では、前後に対をなす中柱12の幅方向に沿った位置が揃っていた、即ち前側の中柱12の真後ろに後側の中柱12が直立していた。だが、図13に示すように、前側の中柱12を設立する位置と、後側の中柱12を設立する位置とを、幅方向に沿ってずらすこともできる。
棚21、22、23、201、202、203、204、205の幅寸法と、これを支持する棚受17の幅寸法とは、必ずしも一致している必要はなく、前者が後者よりも大きいこともあれば、前者が後者よりも大きいこともあり得る。即ち、棚21、22、23、201、202、203、204、205の側端部が棚受17の側端部を越えて側方に拡張(オーバーハング)してもよいし、棚受17の側端部が棚21、22、23、201、202、203、204、205の側端部を越えて側方に伸長してもよい。
図13に示しているように、前後に対向する棚受17の幅寸法及び幅方向に沿った位置が揃っていないこともあり得る。前側の中柱12の位置と後側の中柱12の位置とが幅方向に沿ってずれている場合や、棚205が一部切り欠かれている等の方形でない変則的な形状をなしている場合等には、前側の棚受17と後側の棚受17とが不揃いとなり得る。
上記実施形態及び変形例では、棚21、22、23、201、202、203、204、205の前端部及び後端部を、側柱11または中柱12から幅方向に大きく拡張した支持体17に支持させていた。だが、棚21、22、23、201、202、203、204、205を支持する支持体を、側柱11または中柱12から幅方向に大きく拡張しないフック状のものとしても構わない。
上記実施形態及び変形例では、側柱11が前後に対をなして離間していたが、側柱を奥行方向に拡張した板状体として前後に離間しないものとしてもよい。並びに、上記実施形態及び変形例では、中柱12が前後に対をなして離間していたが、中柱を奥行方向に拡張した板状体として前後に離間しないものとしてもよい。何れにせよ、棚を支持する支持体を、側柱及び/または中柱に固定して支持させることに変わりはない。
さらには、棚21、22、23、201、202、203、204、205を支持する支持体を、前側の側柱11または中柱12から後側の側柱11または中柱12に向かって奥行方向に拡張するものとすることを妨げない。その支持体は、棚21、22、23、201、202、203、204、205の左側端部及び/または右側端部を支持することがある。
その他、各部の具体的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。