JP7314430B1 - プレキャスト製残存型枠パネルの製造方法 - Google Patents

プレキャスト製残存型枠パネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】作業の手間が生じずに、パネル本体の背面に炭酸カルシウム等の透水性微紛末層が形成されることを防止できるプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法を提供する。【解決手段】プレキャスト製残存型枠パネルの製造方法は、セメント、砂利及び砂を含むコンクリート原材料と、このコンクリート原材料中のセメントに対して5重量%から40重量%の石灰石微粉末と、練り水とをミキシングした流動化セメント組成物等を成形用型枠に投入し、溶出する水酸化カルシウムと、石灰石微粉末とが急速に水和反応し、水に不溶な水和生成物が緻密に形成されることで、パネル本体2の背面2a全域に水和生成物を含む防水層4が形成され、外気中の二酸化炭素と水酸化カルシウムが化学反応し、背面に透水性微粉末層Lが形成されることを防止し、毛細管空隙9Aや被連結金具3の埋設部7とパネル本体2との間に形成された空隙9Bが防水層4により自然に塞がれる。【選択図】図1

Description

本発明は、プレキャスト製残存型枠パネルの製造方法に関するものである。
コンクリート壁面を化粧被覆する工法として、プレキャスト製残存型枠パネルを立設し、そのプレキャスト製残存型枠パネルの背面にコンクリートを打設する残存型枠構築方法が知られている。
従来の残存型枠構築方法では、図8(a)に示すように、背面に被連結金具103が設けられたプレキャスト製残存型枠パネル101が使用されている。被連結金具103は、プレキャスト製残存型枠パネル101の背面から突出し、露出されている。また、このプレキャスト製残存型枠パネル101の背面には炭酸カルシウムを含む透水性微粉末層Lが多く存在する。この透水性微紛末層Lは、プレキャスト製残存型枠パネルを製造する過程で、水酸化カルシウムと外気中の二酸化炭素が反応することで生成される。
従来の残存型枠構築方法は、図8(a)及び(b)に示すように、木製型枠(コンパネ)113の前面に、プレキャスト製残存型枠パネル101を幅方向X、及び高さ方向Yに積み重ね、鋼製の連結金具(セパレータ)111を介して、被連結金具103と木製型枠113とを連結し、残存型枠100を構築した後に、プレキャスト製残存型枠パネル101の背面と木製型枠113との間にコンクリート112を打設し、硬化させる。硬化する際、コンクリート112が収縮し、ひび割れ変位が生じ、コンクリート112にはひび割れC2が生じる。そして、このひび割れC2が生じると、プレキャスト製残存型枠パネル101に対し幅方向Xに引き裂く力が生じるため、プレキャスト製残存型枠パネル101には、ひび割れC1が生じる。プレキャスト製残存型枠パネル101の表面にひび割れC1が生じると、外観上好ましくないことに加え、プレキャスト製残存型枠パネル101の長期耐久性が低下するおそれがある。具体的には、図9に示したように、プレキャスト製残存型枠パネルの表面に複数のひび割れが生じる。また、このようなひび割れが生じると、雨水やコンクリート112側からの汚水がこのひび割れを介して、プレキャスト製残存型枠パネルの表面に漏れ出し、プレキャスト製残存型枠パネルの表面を汚染する。その結果、プレキャスト製残存型枠パネルの劣化が生じる。
プレキャスト製残存型枠パネルの劣化する要因は、打設された生のコンクリートの水分の急激な蒸発による乾燥収縮によって生じるひび割れ以外に、塩害や凍害が挙げられる。プレキャスト製残存型枠パネル本体は、一般的に、コンクリートで構成され、内部に補強材としての鉄筋が組み込まれている。このプレキャスト製残存型枠パネル本体に、例えば、融雪剤から溶出した塩水が侵入した場合、塩害を引き起こし、図10(a)及び(b)に示すように、コンクリートの破損や鉄筋の腐食を進行させ、コンクリートの耐久性が低下する。特に、寒冷地では、プレキャスト製残存型枠パネル本体の内部に侵入した水の凍結・融解が繰り返されることで、凍害が生じる。このような塩害や凍害が生じると、ひび割れ、変形、剥離が生じ、プレキャスト製残存型枠パネルの耐久性が低下したり、白華現象により、残存型枠の外観を損ねたりするおそれがあり、残存型枠を長期間、所望の状態で維持できなくなるおそれがある。
また、プレキャスト製残存型枠パネル本体の背面に透水性微粉末層Lが形成されると、この透水性微紛末層Lを介して、打設されたセメント系固結材から生じる汚染物を含有した余剰水が、プレキャスト製残存型枠パネルの背面からおもて面にしみ出したり、隣接するプレキャスト製残存型枠パネル本体同士の目地部から漏れ出したりすることで、プレキャスト製残存型枠パネル本体の表面が汚染される(図10)。このように、プレキャスト製残存型枠の表面が汚染されると、構築後の残存型枠の外観が著しく損なわれる。
上記問題点を解消するために、発明者は、プレキャスト製残存型枠パネルの製造方法を提案した(特許文献1)。特許文献1のプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法は、ポゾランを混入させたモルタル又はポゾランを混入させたコンクリートであるセメント組成物を利用し、パネル本体の背面全域に防水層を形成すると共に、毛細管空隙や被連結金具の埋設部とパネル本体との間に形成された空隙を防水層により塞ぐものである。
特許文献1のプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法では、セメント組成物が硬化する際に溶出する水酸化カルシウムと、ポゾランとが反応し、水に不溶のカルシウム化合物で構成される防水層が形成される。しかし、防水層が形成されるまでの間に外気中の二酸化炭素と水酸化カルシウムとが化学反応した炭酸カルシウムの透水性微紛末層がパネル本体の背面に形成されてしまうことがあった。
そこで、発明者は、パネル本体の背面への透水性微紛末層の形成を抑制するために、成形工程後にパネル本体の背面全域を被覆材で被覆する被覆工程を実施し、被覆工程の後、セメント組成物を硬化させる養生工程を実施するプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法を提案した(特許文献2)。このプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法では、パネル本体の背面全域を被覆材で被覆することで、外気中の二酸化炭素と水酸化カルシウムとが化学反応し、パネル本体の背面に炭酸カルシウムの透水性微紛末層が形成されることを防止している。
特許第6487107号公報 特許第6537754号公報
しかし、特許文献2のプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法において、ラップ状の被覆材を利用する場合、パネル本体の背面の所定の位置にステンレス製の被連結金具が突出して埋設されており、この被連結金具の部分を避けて、被覆しなければいけないため、作業の手間が生じていた。また、被覆材として有機塗料を使用する場合には、パネル背面に有機塗料を塗布する作業を行っていたが、大量の有機塗料を使用するため、作業者の身体や作業現場の環境に良くない影響を与えていた。さらに、大量の有機塗料を使用すると、プレキャスト製残存型枠パネルの作製にかかる費用も大きくなる。
本発明は、作業の手間が生じずに、パネル本体の背面に炭酸カルシウム等の透水性微紛末層が形成されることを防止できるプレキャスト製残存型枠の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法は、パネル本体の背面に突出するように所定の位置にステンレス製の被連結金具が埋設されたプレキャスト製残存型枠パネルを製造する。このプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法は、セメント、砂利及び砂を含むコンクリート原材料と、このコンクリート原材料中のセメントに対して5重量%から40重量%の石灰石微粉末と、練り水とをミキシングした流動化セメント組成物、又はセメント及び砂を含むモルタル原材料と、このモルタル原材料中のセメントに対して5重量%から40重量%の石灰石微粉末と、練り水とをミキシングした流動化セメント組成物を、パネル本体の背面が、上向き、かつ水平に維持されるように設計された成形用型枠に投入し、被連結金具の埋設部を流動化セメント組成物に埋設する埋設工程と、成形用型枠に投入された流動化セメント組成物を成形する成形工程と、流動化セメント組成物を硬化させる養生工程とを含み、成形工程及び養生工程において、練り水にセメントから溶出した水酸化カルシウムを含む余剰水が背面側へ押し上げられることにより、パネル本体の背面全域に貯留され、余剰水でパネル本体の背面を覆うと共に、余剰水がパネル本体の内部に形成される毛細管空隙、被連結金具の埋設部とパネル本体との間に形成される空隙を埋めるように介在し、流動化セメント組成物内のセメントが硬化する際に、パネル本体の背面全域に防水層が形成され、外気中の二酸化炭素と水酸化カルシウムとが化学反応し、パネル本体の背面全域に炭酸カルシウムの透水性微粉末層が形成されることを防止すると同時に、毛細管空隙及び被連結金具の埋設部とパネル本体との間に形成された空隙が防水層により自然に塞がれることを特徴とする。
本発明に係るプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法は、セメント、砂利及び砂を含むコンクリート原材料と、このコンクリート原材料中のセメントに対して5重量%から40重量%の石灰石微粉末と、練り水とをミキシングした流動化セメント組成物、又はセメント及び砂を含むモルタル原材料と、このモルタル原材料中のセメントに対して5重量%から40重量%の石灰石微粉末と、練り水とをミキシングした流動化セメント組成物を、パネル本体の背面が、上向き、かつ水平に維持されるように設計された成形用型枠に投入し、被連結金具の埋設部を流動化セメント組成物に埋設する。そして、成形工程及び養生工程において、水に不溶な水和生成物が緻密に形成される。そのため、従来のプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法よりも短時間で防水層が形成され、パネル本体の背面に炭酸カルシウム等の透水性微紛末層が形成されることを防止できる。そして、毛細管空隙、及び被連結金具の埋設部とパネル本体との間に形成された空隙も防水層により自然に塞ぐことができる。
石灰石微粉末を混入することで、低温下で製造する場合でも水和反応は減速されず、促進され、短時間でパネル本体の背面に防水層を形成することができる。
本発明の実施形態に係るプレキャスト製残存型枠パネルを示す図である。(a)は断面図を示し、(b)は背面図を示している。 本発明の実施形態に係るプレキャスト製残存型枠パネルの被連結部の拡大図である。 本発明の実施形態に係るプレキャスト製残存型枠パネルの製造過程を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る残存型枠の施工方法によって構築された残存型枠を示す図である。(a)は断面図を示し、(b)は正面図を示している。 本発明の実施形態に係る残存型枠の施工方法によって構築された残存型枠の背面図である。 従来の残存型枠の施工方法で構築されたプレキャスト製残存型枠パネルにおける雨水や汚水の露出を説明するための残存型枠の断面図である。 本発明の実施形態に係る残存型枠の施工方法によって構築された残存型枠の断面図である。 従来の残存型枠の施工方法によって、構築された残存型枠にひび割れが生じる過程を説明するための図である。(a)は断面図を示し、(b)は正面図を示している。 従来の残存型枠の施工方法によって構築された残存型枠のプレキャスト製残存型枠パネルにひび割れが生じた様子を示す写真である。 従来の残存型枠の施工方法によって構築された残存型枠のプレキャスト製残存型枠パネルの凍害や塩害により生じた表面汚染及び破損の様子を示す写真である。 本発明の実施形態に係るプレキャスト製残存型枠パネルの透水性試験の結果(試験開始直後の様子)を示す写真画像である。 本発明の実施形態に係るプレキャスト製残存型枠パネルの透水性試験の結果(試験開始4時間後の様子)を示す写真画像である。 本発明の実施形態に係るプレキャスト製残存型枠パネルの透水性試験の結果(試験開始7時間後の様子)を示す写真画像である。
本実施形態に係るプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法を、図1から図7を参照し、説明する。なお、図面上、プレキャスト製残存型枠の横方向を幅方向X、縦方向を高さ方向Y、厚み方向を前後方向Zと記す。
本実施形態に係る施工方法では、図1に示したプレキャスト製残存型枠パネル1を使用する。このプレキャスト製残存型枠パネル1は、図1(a)に示すように、プレキャスト製残存型枠パネル本体2(以下、パネル本体2とも記す。)と、パネル本体2の背面2aの所定の位置に設けられた複数の被連結金具3と、パネル本体2の背面2a等に形成された防水層4とを備えている。
[パネル本体2]
パネル本体2は、図1(a)及び(b)に示すように、矩形状であり、パネル本体2には、例えば、高さ300mm、幅900mmのサイズのものが使用される。そして、パネル本体2の背面2aには、幅方向X及び高さ方向Yに2つずつ被連結金具3が設けられている。この被連結金具3は、パネル本体2の背面2aから突出するように設けられている。また、パネル本体2の内部の幅方向X及び高さ方向Yには、パネル本体2の強度を確保するために、複数の鉄筋5が設けられている。
[被連結金具3]
被連結金具3は、フック部6と、このフック部6の両端に連結された埋設部7とを備えている。被連結金具3は、埋設部7がパネル本体2の内部に埋め込まれ、フック部6をパネル本体2の背面2aから突出させ、パネル本体2に設けられる。この被連結金具3には、金属製のものを使用でき、耐食性に優れた素材を使用することが好ましく、例えば、ステンレス鋼材(SUS304)が使用できる。
[防水層4]
防水層4は、水に不溶であるカルシウム水和物を含む層で構成されている。この防水層4は、図2に示すように、パネル本体2の背面2a全域に加え、毛細管空隙9A及び被連結金具3の埋設部7とパネル本体2との間に形成された空隙9Bに形成されている。この防水層4に含まれるカルシウム水和物は、パネル本体2を構成する流動化セメント組成物C中の石灰石微粉末が水酸化カルシウムと化学反応して生成されたものである。
次に、プレキャスト製残存型枠パネル1の製造方法について説明する。
[成形工程]
埋設工程では、図3に示すように、成形用型枠22を使用してパネル本体2を成形する。成形用型枠22は、パネル本体2の背面2aが、上向き、かつ水平に維持されるように設計されている。この成形用型枠22の上側がパネル本体2の背面2a側となる。
具体的には、図3(a)に示すように、振動装置20を備える台21上に設置された成形用型枠22の内部に、流動化セメント組成物Cとの混合物を投入し、振動装置20により、流動化セメント組成物Cに振動を与える。そうすると、流動化セメント組成物Cから溶出した水酸化カルシウムを含む余剰水がパネル本体2の背面2a側に押し上げられる。そして、この余剰水がパネル本体2の内部に形成される毛細管空隙9A、被連結金具3の埋設部7とパネル本体2との間に形成される空隙9Bを埋めるように介在し、パネル本体2の背面全域は、水酸化カルシウムを含む余剰水で覆われる。
本実施形態では、流動化セメント組成物Cは、セメント、砂利及び砂を含むコンクリート原材料と、このコンクリート原材料中のセメントに対して5重量%から40重量%の石灰石微粉末と、練り水とをミキシングしたもの、又はセメント及び砂を含むモルタル原材料と、このモルタル原材料中のセメントに対して5重量%から40重量%の石灰石微粉末と、練り水とをミキシングしたものである。石灰石微粉末の含有量がコンクリート原材料中のセメントに対して5重量%よりも小さい場合、反応する石灰石微粉末の量が少なくパネル本体2の背面2a全域に防水層4を形成することが困難であり、かつ短時間で形成される効果を得づらい。また、石灰石微粉末の含有量がコンクリート原材料中のセメントに対して40重量%よりも大きい場合、作製されたプレキャスト製残存型枠パネル1の圧縮強度が下がってしまうおそれがある。なお、モルタルを含む流動化セメント組成物Cについても同様である。
[埋設工程]
被覆工程後、図3(b)及び(c)に示すように、成形用型枠22に流し込まれた流動化セメント組成物Cの中に、鉄筋5に取り付けられた被連結金具3を埋設する。具体的には、フック部6と埋設部7の連結部と埋設部7を流動化セメント組成物C中の所定の位置まで押し込み、埋設する。
[養生工程]
養生工程では、成形工程後1時間から5時間の間に、カルシウム水和物が緻密に生成される。そうすると、パネル本体2の背面2a全域、毛細管空隙9A及び空隙9Bがカルシウム水和物を含む防水層4により自然に塞がれる。
成形工程、及び養生工程では、余剰水がパネル本体2の背面側へ押し上げられることにより、パネル本体2の背面2a全域に貯留される。そうすると、余剰水がパネル本体2の背面2aを覆うと共に、パネル本体2の内部に形成される毛細管空隙9A、被連結金具3の埋設部7とパネル本体2との間に形成される空隙9Bを埋めるように介在する。
次に、上述の製造方法により製造されたプレキャスト製残存型枠パネル1を使用した施工方法について、説明する。なお、残存型枠の施工方法で使用するセメント系固結材には、水分を含み、経時的に固化するものであれば使用でき、例えば、コンクリート、モルタル、気泡モルタル等を使用することができる。本実施形態では、セメント系固結材として、コンクリート12を使用した例について説明する。
本実施形態に係る施工方法は、図4(b)に示すように、プレキャスト製残存型枠パネル1を積み重ね、残存型枠10を構築する。このプレキャスト製残存型枠パネル1において、パネル本体2の背面2a全域、毛細管空隙9A、及び空隙9Bに防水層4が形成されている。残存型枠10を構築する際、図4(a)に示すように、被連結金具3と木製型枠(コンパネ)13に接続された鋼製の連結金具(セパレータ)11によって連結することで、木製型枠13の前面にプレキャスト製残存型枠パネル1が固定される。
隣接するプレキャスト製残存型枠パネル1同士の目地部8にシーリング材14を貼ることにより防水層4の上下左右の端部は、図5に示すように、防水層4の端部同士がシーリング材14によって、つなぎ合わされる。防水層4の端部同士をつなぎ合わせることで、プレキャスト製残存型枠パネル1の背面2a全域が、防水層4とシーリング材14で完全に覆われる。シーリング材14には、例えば、シリコンシーリング材や防水テープを使用することができる。
次に、セメント系固結材打設工程を行う。具体的には、プレキャスト製残存型枠パネル1と木製型枠13との間にコンクリート12を打設する(図4(a))。コンクリート12は、パネル本体2の背面2aに形成された防水層4に接触するように打設される。
コンクリート12を打設した後、コンクリート12を硬化させる(セメント系固結材硬化工程)。この際、毛細管空隙9A及び空隙9Bには、防水層4が形成されているため、コンクリート12の水分が、毛細管空隙9Aや空隙9Bからパネル本体2の内部に侵入することが防止される。そうすると、コンクリート12の水分が放出、蒸発することが抑制され、コンクリート12の乾燥収縮ひび割れが抑止される。
[透水性試験]
本実施形態に係るプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法で製造したコンクリート試験体、従来の製造方法で製造した試験体及び大理石の上にそれぞれ水を滴加し、滴加された水の経過観察を行った。約20度の環境下で実施し、滴加した水の量は各1.5mlとし、滴加直後から7時間経過観察を行い、デジタルカメラで写真を撮影した。
透水性試験の結果を図11から図13に示す。従来の製造方法で製造した試験体では、滴加直後から水が透水し、4時間後にはほぼ全ての水が透水した(図11及び図12)。一方、本実施形態に係る製造方法で製造したコンクリート試験体では、滴加直後透水は観察されず、4時間後でも水が明らかに残っていた。そして、7時間後には滴加した水がなくなっていた(図13)。ほぼ水を透水しない大理石においても7時間後には滴加した水がなくなった。このことから、本実施形態に係る製造方法で製造したコンクリート試験体では、若干の透水は認められるが、蒸発の影響で水がなくなったといえる。
以上より、本実施形態に係る製造方法で製造したコンクリート試験体に防水層が緻密に形成されることで、透水性を大きく低下させていることが分かった。
また、図11等に示すように、従来の製造方法で製造したコンクリート試験体は、大きなクレーターが所々形成され、大きな凹凸が形成されていることが分かる。一方、本実施形態に係る製造方法で製造したコンクリート試験体は、大きなクレーターは全く形成されておらず、平坦な状態であることが分かる。このことから、本実施形態に係る製造方法で製造したコンクリート試験体の毛細管空隙等が自然に塞がれていることは明らかである。
次に、本実施形態に係るプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法の作用効果について、説明する。
従来は、図6に示すように、背面に透水性微紛末層Lが形成されたパネル本体102を使用し、パネル本体102の背面にコンクリート112を打設し、残存型枠100を施工していた。そのため、透水性微紛末層Lを通る雨水や、コンクリート112側から発生する汚水等は、毛細管空隙109を介して、パネル本体102の外側に漏れ出す。さらに、雨水や汚水等は、目地部108を介して、パネル本体102の外側に流出する。そうすると、凍害、塩害、及び白華現象により、プレキャスト製残存型枠パネル101の表面が汚染される。また、従来の残存型枠100の施工方法のコンクリート硬化過程では、コンクリート112の水分が毛細管空隙109からパネル本体102の外側に放出され、蒸発することで、乾燥ひび割れが生じ、施工した後、コンクリート112及びパネル本体102にひび割れが生じていた。
本実施形態に係るプレキャスト製残存型枠パネル1は、パネル本体2の背面2a全域に短時間で防水層4が形成され、図7に示すように、毛細管空隙9A、及び被連結金具3の埋設部7とパネル本体2との間に形成された空隙9B(図面上省略)が、水に不溶なカルシウム化合物を含む防水層4によって自然に塞がれる。防水層4は、水に不溶な水和生成物が緻密に形成されることで、パネル本体の背面全域に形成される。短時間でパネル本体2の背面2aに防水層4が形成されることで、外気中の二酸化炭素と水酸化カルシウムとが化学反応し、パネル本体2の背面全域に炭酸カルシウムの透水性微粉末層が形成されることを防止できる。また、同時に、上述したように、毛細管空隙9A、及び被連結金具3の埋設部7とパネル本体2との間に形成された空隙9Bを防水層4により自然に塞ぐことができる。
特許文献1に記載の製造方法(従来の製造方法)において、ポゾラン(シリカ微粉末)は、水和反応速度を抑制する材料であり、水和反応が遅く、特に低温下(例えば、5度)では水和反応速度の低下が顕著である。
一方、本実施形態に係る製造方法で石灰石微粉末を使用した場合、ポゾラン(シリカ微粉末)を使用した場合よりも水和反応が著しく速く、低温下(例えば、5度)でも水和反応は減速されず、著しく促進される。そのため、短時間でパネル本体2の背面2aに防水層4を形成することができる。
また、防水層4が形成されることで、硬化したコンクリート12側に侵入した雨水や融雪剤から溶出した塩水が、パネル本体2の毛細管空隙9A(パネル本体2の内部)へ侵入することが抑制される。さらに、隣接するパネル本体2の防水層4の端部同士をシーリング材14でつなぎ合わせることで、目地部8とコンクリート12側を遮断されているため、硬化したコンクリート12側に侵入した雨水や融雪剤から溶出した塩水が、目地部8の隙間からプレキャスト製残存型枠パネル1の表面(パネル本体2の外側)に漏れ出すことを長期に亘り抑止できる。したがって、パネル本体2に対して生じる凍害、塩害や白華現象を抑止することができ、パネル本体2の汚染、劣化、破損、変形すること、及びパネル本体2の補強材である鉄筋5が腐食することを回避できる。
本実施形態に係るプレキャスト製残存型枠パネル1を使用した施工方法により、施工後、残存型枠10の外観を保つと共に、長期間、耐久性能を低下させずに、安定して、残存型枠10を維持できる。
また、本実施形態で使用するプレキャスト製残存型枠パネル1には、短時間で防水層4が形成され、パネル本体2の毛細管空隙9Aや空隙9Bが自然に塞がれているため、セメント系固結材硬化工程において、毛細管空隙9Aから打設された生コンクリート12の水分が急激に放出され、蒸発することが抑制される。そうすると、生コンクリート12は、徐々に固結し、ひび割れが生じにくくなり、残存型枠10を施工した後、パネル本体2にひび割れが生じることが抑止される。このように、生コンクリート12が徐々に固結することで、ひび割れが生じにくくなる効果は、夏場に残存型枠10を施工する場合や、日当たりが良い位置に残存型枠10を構築する場合に、有効である。
以上説明した通り、本実施形態に係る施工方法を用いることによって、塩害や凍害によってプレキャスト製残存型枠パネル1が劣化することを防止でき、プレキャスト製残存型枠にひび割れが生じることを抑止し、さらに、残存型枠の表面が汚染されることを防止できる。そのため、本実施形態に係る施工方法は、非常に有用性の高いものであると共に、汎用性の高いものである。
以上、本実施形態について説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。本実施形態では、コンクリート原材料やモルタル原材料中のセメントに対して5重量%から40重量%の石灰石微粉末を加えてミキシングする例を示した。加える石灰石微粉末の量が多くなる場合、強度の観点から、体積が増えた分、原料中から砂を適宜取り除くことで、調整することもできる。
1 プレキャスト製残存型枠パネル(パネル)
2 プレキャスト製残存型枠パネル本体(パネル本体)
2a 背面(裏面)
3 被連結金具
4 防水層
5 鉄筋
6 フック部
7 埋設部
8 目地部
9A 毛細管空隙
9B 空隙(埋設部7とパネル本体2との間に形成された空隙)
10 残存型枠
11 連結金具(セパレータ)
12 コンクリート(セメント系固結材)
13 木製型枠(コンパネ)
14 シーリング材
20 振動装置
21 台
22 成形用型枠
100 残存型枠
101 プレキャスト製残存型枠パネル
102 パネル本体
103 被連結金具
108 目地部
109 毛細管空隙
111 連結金具(セパレータ)
112 コンクリート
113 木製型枠(コンパネ)
114 シーリング材
C セメント組成物
C1,C2 ひび割れ
L 透水性微紛末層
X 幅方向
Y 高さ方向
Z 前後方向

Claims (1)

  1. パネル本体の背面に突出するように所定の位置にステンレス製の被連結金具が埋設されたプレキャスト製残存型枠パネルを製造するプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法であって、
    セメント、砂利及び砂を含むコンクリート原材料と、このコンクリート原材料中のセメントに対して5重量%から40重量%の石灰石微粉末と、練り水とをミキシングした流動
    化セメント組成物、又はセメント及び砂を含むモルタル原材料と、このモルタル原材料中のセメントに対して5重量%から40重量%の石灰石微粉末と、練り水とをミキシングした流動化セメント組成物を、前記パネル本体の背面が、上向き、かつ水平に維持されるように設計された成形用型枠に投入し、前記被連結金具の埋設部を前記流動化セメント組成物に埋設する埋設工程と、
    前記成形用型枠に投入された前記流動化セメント組成物を成形する成形工程と、
    前記流動化セメント組成物を硬化させる養生工程と、を含み、
    前記成形工程及び前記養生工程において、前記練り水に前記セメントから溶出した水酸化カルシウムを含む余剰水が背面側へ押し上げられることにより、前記パネル本体の背面全域に貯留され、前記余剰水で前記パネル本体の背面を覆うと共に、前記余剰水が、前記パネル本体の内部に形成される毛細管空隙、前記被連結金具の埋設部と前記パネル本体との間に形成される空隙を埋めるように介在し、
    前記流動化セメント組成物内のセメントが硬化する際に、前記パネル本体の背面全域に防水層が形成され、外気中の二酸化炭素と前記水酸化カルシウムとが化学反応し、前記パネル本体の背面全域に炭酸カルシウムの透水性微粉末層が形成されることを防止すると同時に、前記毛細管空隙、及び前記被連結金具の埋設部と前記パネル本体との間に形成された空隙が前記防水層により自然に塞がれる、
    ことを特徴とするプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法。
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