JP7314283B2 - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、高アスペクト比のパターンを形成するために、厚膜のレジスト膜(例えば、膜厚1μm以上のレジスト膜)を用いると、レジスト膜の底まで露光光が届かずに、露光及び現像によって膜底部までパターンを形成することができなかったり、パターンを形成できたとしても、現像時の毛細管力(キャピラリーフォース)によってパターン倒れが起こったりするといった問題点があった。
さらに、特許文献1には具体的にどのような材料を用いることができるか記載が乏しい。
<1>
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)溶剤、及び(D)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有し、
上記(A)成分は、ケイ素原子及び金属原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含み、かつ、酸分解性基を有する樹脂であり、
上記(B)成分は架橋性基及び酸分解性基を有さない化合物であり、かつ、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、アセナフチレン系樹脂、イソシアヌル酸系樹脂、及び多核フェノール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、
上記架橋性基は、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基、アルコキシメチルエーテル基、オキシラン環を含む基、又はオキセタン環を含む基であり、
上記(A)成分に含まれる化合物の溶解度パラメータは10(J/cm3)1/2より大きく、22(J/cm3)1/2以下であり、
上記(B)成分に含まれる化合物の溶解度パラメータは16(J/cm3)1/2より大きく、30(J/cm3)1/2以下であり、
上記(B)成分の溶解度パラメータは、上記(A)成分の溶解度パラメータよりも大きく、
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の固形分濃度が20~50質量%であり、
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を塗布した場合、露光及び現像によりパターンが形成される上記(A)成分を含む上層と、現像液に不溶な上記(B)成分を含む下層に相分離する、
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<2>
上記(A)成分の含有量が上記(B)成分の含有量に対して1.00質量%以上である<1>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<3>
上記(A)成分と上記(B)成分の溶解度パラメータの差が2(J/cm3)1/2以上である<1>又は<2>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<4>
上記(A)成分が、ケイ素原子を含む樹脂である<1>~<3>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<5>
上記(A)成分が、シルセスキオキサン構造を有する樹脂である<1>~<4>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<6>
上記(A)成分が、側鎖にシルセスキオキサン構造を有する樹脂である<5>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<7>
上記(A)成分が、下記式(I-1)で表される繰り返し単位を含む樹脂である<4>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
式(I-1)中、Lは、単結合又は2価の連結基を表し、Xは、水素原子又は有機基を表し、AIは、下記式(a)~(c)のいずれかで表される基を表す。
式(a)中、Rは、1価の置換基を表す。複数あるRは、同一であっても、異なってもよい。*は結合位置を表す。
式(b)中、Rbは、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。複数あるRbは、同一であっても、異なってもよい。*は結合位置を表す。
式(c)中、RCは、1価の有機基を表す。複数あるRCは、同一であっても、異なってもよい。nは1~10の整数を表す。*は結合位置を表す。
<8>
上記(A)成分が、ジルコニウム、ハフニウム、チタン、ゲルマニウム、及びスズから選択される少なくとも1種の金属原子を含む樹脂である<1>~<3>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<9>
上記(B)成分が、フェノール性水酸基を有する<1>~<8>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<10>
上記(A)成分の分子量が5000以上であり、上記(B)成分の分子量が5000未満である<1>~<9>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<11>
(i)<1>~<10>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布し、上記(A)成分を含む上層と、上記(B)成分を含む下層とを形成する工程、
(ii)上記上層に活性光線又は放射線を照射する工程、
(iii)上記活性光線又は放射線が照射された上層を現像して、レジストパターンを形成する工程、及び
(iv)上記レジストパターンをマスクとして、上記下層を加工してパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法。
<12>
上記工程(i)において形成される上層と下層をあわせた膜厚が1μm以上である<11>に記載のパターン形成方法。
<13>
<11>又は<12>に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。
本発明は、上記<1>~<13>に係るものであるが、本明細書には参考のためその他の事項についても記載した。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、及び(C)溶剤を含有し、
上記(A)成分は、ケイ素原子及び金属原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む樹脂であり、
上記(B)成分は架橋性基を有さない化合物であり、
上記(B)成分の溶解度パラメータは、上記(A)成分の溶解度パラメータよりも大きく、
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の固形分濃度が20質量%以上である、
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[2]
上記(A)成分の含有量が上記(B)成分の含有量に対して1.00質量%以上である[1]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[3]
上記(A)成分と上記(B)成分の溶解度パラメータの差が2(J/cm3)1/2以上である[1]又は[2]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[4]
上記(A)成分が、酸分解性基を有する樹脂である[1]~[3]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[5]
上記(A)成分が、ケイ素原子を含む樹脂である[1]~[4]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[6]
上記(A)成分が、シルセスキオキサン構造を有する樹脂である[1]~[5]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[7]
上記(A)成分が、側鎖にシルセスキオキサン構造を有する樹脂である[6]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[8]
上記(A)成分が、下記式(I-1)で表される繰り返し単位を含む樹脂である[5]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[9]
上記(A)成分が、ジルコニウム、ハフニウム、チタン、ゲルマニウム、及びスズから選択される少なくとも1種の金属原子を含む樹脂である[1]~[4]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[10]
上記(B)成分が、酸分解性基を有さない化合物である[1]~[9]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[11]
上記(B)成分が、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、アセナフチレン系樹脂、イソシアヌル酸系樹脂、及び多核フェノール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む[1]~[10]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[12]
上記(B)成分が、フェノール性水酸基を有する[1]~[11]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[13]
上記(A)成分の分子量が5000以上であり、上記(B)成分の分子量が5000未満である[1]~[12]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[14]
(D)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含む[1]~[13]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[15]
(i)[1]~[14]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布し、上記(A)成分を含む上層と、上記(B)成分を含む下層とを形成する工程、
(ii)上記上層に活性光線又は放射線を照射する工程、
(iii)上記活性光線又は放射線が照射された上層を現像して、レジストパターンを形成する工程、及び
(iv)上記レジストパターンをマスクとして、上記下層を加工してパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法。
[16]
上記工程(i)において形成される上層と下層をあわせた膜厚が1μm以上である[15]に記載のパターン形成方法。
[17]
[15]又は[16]に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう)は、(A)成分、(B)成分、及び(C)溶剤を含有し、
上記(A)成分は、ケイ素原子及び金属原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子を含む樹脂であり、
上記(B)成分は架橋性基を有さない化合物であり、
上記(B)成分の溶解度パラメータ(「SP値」ともいう)は、上記(A)成分の溶解度パラメータよりも大きく、
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の固形分濃度が20質量%以上である。
本発明の組成物は、(A)成分の溶解度パラメータよりも大きい溶解度パラメータを有する(B)成分を含有する。基板(被処理基板)に本発明の組成物を塗布すると、溶解度パラメータがより小さい(すなわち、表面エネルギーの低い)(A)成分が被処理基板とは反対側の表面側に、溶解度パラメータのより大きい(B)成分が被処理基板側にそれぞれ偏在しようとするため、塗膜が(A)成分を含む層(上層)と(B)成分を含む層(下層)に相分離する。すなわち、1回の塗布により、上層と下層を積層することが可能となり、生産性を向上させることができる。
相分離によって形成される上層及び下層の詳細については、後述するが、(A)成分を含む上層は、露光及び現像によりレジストパターンが形成される層であり、(B)成分を含む下層は、上記レジストパターンをマスクとして、エッチング等の加工処理をすることにより形成されるパターンが得られる層である。すなわち、所望の厚みを有するパターンを形成する際に、露光及び現像に供される部分の厚みが上層の厚みのみとなるため、パターン倒れを起こしにくくなる。
本発明では、上層に含まれる(A)成分として、ケイ素原子及び金属原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を有する(A)成分を用いることにより、上層はエッチング耐性にも優れる。これにより、上記レジストパターンをマスクとして、エッチングした場合、断面形状が良好なパターンが形成される。
また、エッチングによるパターニングを要する層が(B)成分を含む下層のみであるため、エッチング工程も1回のみでよく、従来の3層プロセスに比べて生産性が高い。
本発明の組成物は、上記(A)成分のSP値よりも大きいSP値を有する(B)成分を含有する。以下、溶解度パラメータについて説明する。
本発明において、SP値は、ハンセン(Hansen)の手法を用いて導出する。ここでハンセンの手法とは、一つの物質のエネルギーを、分散エネルギー項(δD)、分極エネルギー項(δP)、水素結合エネルギー項(δH)の3成分で表し、3次元空間にベクトルとして表すものである。仮に、2種類の物質のSP値の差(下記のΔSP)が小さい場合は、上記2種類の物質は溶解性が高い、すなわち、混和しやすいことを示す。一方、2種類の物質のSP値の差(下記のΔSP)が大きい場合は、上記2種類の物質は溶解性が低い、すなわち、混和しにくいことを示す。
ただし、ソフトウェアで算出できない場合は、「https://pirika.com/index-j.html」のホームページの山本予稿Part1(https://pirika.com/HSP/HSP-J/HSP50/Preprint-Part1%20Yamamoto.pdf)に掲載された論文「Hansen Solubility Parameters 50th anniversary conference、preprint PP.1-13、(2017)、Hiroshi Yamamoto、Steven Abbott、Charles M. Hansen」のTable2を元に上記論文に記載された方法で計算した値を用いる。なお、上記Table2を以下の表1に示す。
[SP値]=(δD 2+δP 2+δH 2)1/2 式(spa)
ΔSP=(B)成分のSP値-(A)成分のSP値 式(spb)
(A)成分のSP値は10(J/cm3)1/2より大きく、22(J/cm3)1/2以下であることが好ましい。また、(B)成分のSP値は16(J/cm3)1/2より大きく、30(J/cm3)1/2以下であることが好ましい。このような範囲で化合物を設計することで汎用溶剤への溶解性も担保可能で塗布性の低下を抑制できる。
本発明の組成物に用いる(A)成分及び(B)成分のどちらか一方もしくは両方の分子量は、特に限定されないが、1000より大きく、50000以下であることが好ましい。分子量を1000より大きくすることで、(A)成分と(B)成分の相溶性が低下するため、本発明の組成物からなる塗膜の相分離が起こりやすくなる。また、分子量を50000以下とすることで、塗膜の粘度上昇による相分離性低下を抑制できる。
なお、本発明において分子量とは、樹脂である(A)成分、及び(B)成分が樹脂である場合の(B)成分については、重量平均分子量(Mw)を表すものとする。
本発明の組成物に含まれる(A)成分は、ケイ素原子及び金属原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む樹脂である。
(A)成分は、ケイ素原子及び金属原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を有する繰り返し単位を有する樹脂であることが好ましい。
ケイ素原子を有する繰り返し単位は、ケイ素原子を有すれば特に制限されない。例えば、シラン系繰り返し単位(-SiR2-:Rは1価の有機基)、シロキサン系繰り返し単位(-SiR2-O-:Rは1価の有機基)、ケイ素原子を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位、ケイ素原子を有するビニル系繰り返し単位などが挙げられる。
ケイ素原子を有する繰り返し単位は、酸分解性基を有さないことが好ましい。
シルセスキオキサン構造としては、例えば、カゴ型シルセスキオキサン構造、はしご型シルセスキオキサン構造(ラダー型シルセスキオキサン構造)、ランダム型シルセスキオキサン構造などが挙げられる。なかでも、カゴ型シルセスキオキサン構造が好ましい。
ここで、カゴ型シルセスキオキサン構造とは、カゴ状骨格を有するシルセスキオキサン構造である。カゴ型シルセスキオキサン構造は、完全カゴ型シルセスキオキサン構造であっても、不完全カゴ型シルセスキオキサン構造であってもよいが、完全カゴ型シルセスキオキサン構造であることが好ましい。
また、はしご型シルセスキオキサン構造とは、はしご状骨格を有するシルセスキオキサン構造である。
また、ランダム型シルセスキオキサン構造とは、骨格がランダムのシルセスキオキサン構造である。
Rが表す1価の置換基としては特に制限されないが、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、ブロック化メルカプト基(例えば、アシル基でブロック(保護)されたメルカプト基)、アシル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、シリル基、ビニル基、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基、(メタ)アクリル基含有基およびエポキシ基含有基などが挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
Rは1価の有機基を表すことが好ましく、1価の有機基としては、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基が特に好ましい。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、直鎖状または分岐状のアルキル基(特に、炭素数1~30)、直鎖状または分岐状のアルケニル基(特に、炭素数2~30)、直鎖状または分岐状のアルキニル基(特に、炭素数2~30)などが挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などの炭素数6~18の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
Xは、水素原子又は有機基を表す。
AIは、ケイ素原子を含有する基を表す。
Lは、単結合又は-COO-Rt-基が好ましい。Rtは、炭素数1~5のアルキレン基が好ましく、-CH2-基、-(CH2)2-基、-(CH2)3-基がより好ましい。
上記式(I-1)中、Xは、水素原子又は有機基を表す。有機基としては、例えば、フッ素原子、水酸基などの置換基を有していてもよいアルキル基が挙げられ、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましい。
上記式(I-1)中、AIは、ケイ素原子を含有する基を表し、下記式(a)~(c)のいずれかで表される基であることが好ましく、下記式(a)または(b)で表される基であることがより好ましい。
Rの具体例および好適な態様は上述した式(S)と同じである。なお、上記式(I-1)中のAIが上記式(a)で表される基である場合、上記式(I-1)は下記式(I-a)で表される。
Rbが表すヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の具体例および好適な態様は、上述した式(S)中のRと同じである。
式(c)中、nは1~10の整数を表し、2~10の整数を表すことが好ましく、3~10の整数を表すことがより好ましい。
重合後の樹脂溶液は、セラミックフィルター、ナイロンフィルター等で精製してもよい。
金属原子を有する繰り返し単位は、金属原子を有すれば特に制限されない。例えば、金属原子を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位、金属原子を有するビニル系繰り返し単位などが挙げられる。
金属原子を有する繰り返し単位は、酸分解性基を有さないことが好ましい。
2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-COO-基、-COO-Rt-基、-O-Rt-基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
LIIは、単結合、-COO-基、又は-COO-Rt-基が好ましい。Rtは、炭素数1~5のアルキレン基が好ましく、-CH2-基、-(CH2)2-基、-(CH2)3-基がより好ましい。
上記式(II)中、XIIは、水素原子又は有機基を表す。
有機基としては、例えば、フッ素原子、水酸基などの置換基を有していてもよいアルキル基が挙げられ、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましい。
上記式(II)中、AIIは、金属原子含有基を表す。なかでも、下記式(d)で表される基であることが好ましい。
Rdが表すヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の具体例および好適な態様は、上述した式(S)中のRと同じである。
(A)成分の全繰り返し単位に対する、金属原子を有する繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、1~70モル%であることが好ましく、3~50モル%であることがより好ましい。
重合後の樹脂溶液は、セラミックフィルター、ナイロンフィルター等で精製してもよい。
ここで、酸分解性基とは、酸の作用により分解し、極性基が増大する基をいう。
酸分解性基は、極性基が酸の作用により分解し脱離する基(脱離基)で保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、又はアルコール性水酸基等が挙げられる。
酸で脱離する基(脱離基)としては、例えば、-C(R36)(R37)(R38)、-C(R36)(R37)(OR39)、-C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36~R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
R36~R39、R01及びR02のシクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3~8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6~20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α-ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36~R39、R01及びR02のアリール基は、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等を挙げることができる。
R36~R39、R01及びR02のアラルキル基は、炭素数7~12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R36~R39、R01及びR02のアルケニル基は、炭素数2~8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロへキセニル基等を挙げることができる。
R36とR37とが結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環若しくは多環)であることが好ましい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5~6の単環のシクロアルキル基がより好ましく、炭素数5の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
Xa1は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx1~Rx3は、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx1~Rx3のいずれか2つが結合して環構造を形成してもよく、形成しなくてもよい。
Tは、単結合又は-COO-Rt-が好ましい。Rtは、炭素数1~5の鎖状アルキレン基が好ましく、-CH2-、-(CH2)2-、又は-(CH2)3-がより好ましい。Tは、単結合であることがより好ましい。
Xa1のアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基、及びハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。
Xa1のアルキル基は、炭素数1~4が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基及びトリフルオロメチル基等が挙げられる。Xa1のアルキル基は、メチル基であることが好ましい。
Rx1、Rx2及びRx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又はノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
式(Y1):-C(Rx1)(Rx2)(Rx3)
式(Y2):-C(=O)OC(Rx1)(Rx2)(Rx3)
式(Y3):-C(R36)(R37)(OR38)
式(Y4):-C(Rn)(H)(Ar)
なかでも、Rx1~Rx3は、各々独立に、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す繰り返し単位であることがより好ましく、Rx1~Rx3が、各々独立に、直鎖状のアルキル基を表す繰り返し単位であることが更に好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して、単環若しくは多環を形成してもよい。
Rx1~Rx3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及びt-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。なかでも、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基がより好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
式(Y1)及び(Y2)で表される基は、例えば、Rx1がメチル基又はエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
R61、R62及びR63は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R62はAr6と結合して環を形成していてもよく、その場合のR62は単結合又はアルキレン基を表す。
X6は、単結合、-COO-、又は-CONR64-を表す。R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
L6は、単結合又はアルキレン基を表す。
Ar6は、(n+1)価の芳香族炭化水素基を表し、R62と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香族炭化水素基を表す。
Y2は、n≧2の場合には各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Y2の少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。Y2としての酸の作用により脱離する基は、式(Y1)~(Y4)であることが好ましい。
nは、1~4の整数を表す。
(A)成分は、下記一般式(LC1-1)~(LC1-21)のいずれかで表されるラクトン構造、又は、下記一般式(SL1-1)~(SL1-3)のいずれかで表されるスルトン構造を有する繰り返し単位を有することが更に好ましい。また、ラクトン構造又はスルトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましい構造としては、一般式(LC1-1)、一般式(LC1-4)、一般式(LC1-5)、一般式(LC1-8)、一般式(LC1-16)、若しくは一般式(LC1-21)で表されるラクトン構造、又は、一般式(SL1-1)で表されるスルトン構造が挙げられる。
Aは、エステル結合(-COO-で表される基)又はアミド結合(-CONH-で表される基)を表す。
nは、-R0-Z-で表される構造の繰り返し数であり、0~5の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。nが0である場合、-R0-Z-は存在せず、単結合となる。
R0は、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。R0が複数個ある場合、R0は、各々独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。Zが複数個ある場合には、Zは、各々独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。
R8は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基を表す。
R7は、水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基(好ましくはメチル基)を表す。
Zとしては、エーテル結合、又はエステル結合が好ましく、エステル結合がより好ましい。
環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(A-1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
nは0以上の整数を表す。
RA 2は、置換基を表す。nが2以上の場合、RA 2は、各々独立して、置換基を表す。
Aは、単結合、又は2価の連結基を表す。
Zは、式中の-O-C(=O)-O-で表される基と共に単環構造又は多環構造を形成する原子団を表す。
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては、ヒドロキシスチレン繰り返し単位、又は、ヒドロキシスチレン(メタ)アクリレート繰り返し単位が挙げられる。フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(I)で表される繰り返し単位が好ましい。
R41、R42及びR43は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R42はAr4と結合して環を形成していてもよく、その場合のR42は単結合又はアルキレン基を表す。
X4は、単結合、-COO-、又は-CONR64-を表し、R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
L4は、単結合又は2価の連結基を表す。
Ar4は、(n+1)価の芳香族炭化水素基を表し、R42と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香族炭化水素基を表す。
nは、1~5の整数を表す。
一般式(I)で表される繰り返し単位を高極性化する目的では、nが2以上の整数、又はX4が-COO-、又は-CONR64-であることも好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42、及びR43で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42、及びR43で表されるアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R41、R42、及びR43におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
(n+1)価の芳香族炭化水素基は、更に置換基を有していてもよい。
X4により表される-CONR64-(R64は、水素原子又はアルキル基を表す)におけるR64のアルキル基としては、置換基を有していてもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、及びドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が好ましく、炭素数8以下のアルキル基がより好ましい。
X4としては、単結合、-COO-、又は-CONH-が好ましく、単結合、又は-COO-がより好ましい。
Ar4としては、置換基を有していてもよい炭素数6~18の芳香族炭化水素基が好ましく、ベンゼン環基、ナフタレン環基、又はビフェニレン環基がより好ましい。なかでも、一般式(I)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレンに由来する繰り返し単位であることが好ましい。即ち、Ar4は、ベンゼン環基であることが好ましい。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、及びフッ素化アルコール基等が挙げられる。
極性基を有する繰り返し単位は、極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。また、極性基を有する繰り返し単位は、酸分解性基を有さないことが好ましい。極性基で置換された脂環炭化水素構造における、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、又はノルボルナン基が好ましい。
(A)成分は、極性基を有する繰り返し単位を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
(A)成分が極性基を有する繰り返し単位を含有する場合、極性基を有する繰り返し単位の含有量は、(A)成分中の全繰り返し単位に対して、5~40モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましく、10~25モル%が更に好ましい。
(A)成分は、酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
(A)成分が酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位を含有する場合、酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位の含有量は、(A)成分中の全繰り返し単位に対して、5~40モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましく、5~25モル%が更に好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~4であり、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、さらに他の置換基を有していてもよい。
R57~R68は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基(直鎖若しくは分岐)を表す。但し、R57~R61の少なくとも1つ、R62~R64の少なくとも1つ及びR65~R68の少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1~4)を表す。
R57~R61及びR65~R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。R62、R63及びR68は、フルオロアルキル基(好ましくは炭素数1~4)が好ましく、炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。R62及びR63がパーフルオロアルキル基であるとき、R64は水素原子であることが好ましい。R62とR63は、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(F3)で表される基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2-メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ-t-ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロヘキシル基などが挙げられる。ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2-メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ-t-ブチル基、パーフルオロイソペンチル基が好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
フッ素原子を含む部分構造は、主鎖に直接結合しても良く、さらに、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びウレイレン結合よりなる群から選択される基、あるいはこれらの2つ以上を組み合わせた基を介して主鎖に結合しても良い。
ただし、R4~R7の少なくとも1つはフッ素原子を表す。R4とR5若しくはR6とR7は環を形成していてもよい。
W2は、少なくとも1つのフッ素原子を含有する有機基を表す。具体的には上記(F2)~(F4)の原子団が挙げられる。
L2は、単結合、あるいは2価の連結基を示す。2価の連結基としては、置換又は無置換のアリーレン基、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基、-O-、-SO2-、-CO-、-N(R)-(式中、Rは水素原子又はアルキルを表す)、-NHSO2-又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を示す。
Qは脂環式構造を表す。脂環式構造は置換基を有していてもよく、単環型でもよく、多環型でもよく、多環型の場合は有橋式であってもよい。単環型としては、炭素数3~8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6~20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ジシクロペンチル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。Qとして特に好ましくはノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基等を挙げることができる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
(A)成分において、各繰り返し構造単位の含有モル比は、種々の性能を調節するために適宜設定される。
本発明の組成物は、上記(A)成分のSP値よりも大きなSP値を有する(B)成分を含有する。
(B)成分は架橋性基を有さない化合物である。架橋性基は、典型的には、酸の存在下で、水酸基やフェノール部位等の反応性の高い求核性基から、電子密度が低い原子(主に炭素)へ付加反応や置換反応を受けて新たな結合を生成し得る基である。架橋性基としては、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基、アルコキシメチルエーテル基、オキシラン環(オキシラン環を含む基)、オキセタン環(オキセタン環を含む基)などを挙げることができる。
なお、本発明においては、フェノール性水酸基及びカルボキシル基は架橋性基には該当しないものとする。
また、アセナフチレン系樹脂としては、例えば特許第4666166〔0032〕~〔0052〕に記載の樹脂化合物、特許第04388429〔0037〕~〔0043〕に記載の樹脂化合物、特許第5040839号〔0026〕~〔0065〕記載の重合体、特許第4892670号〔0015〕~〔0032〕記載の樹脂化合物等を用いることができる。
また、(B)成分は、(A)成分において上述した、ラクトン構造を有する繰り返し単位を含有することも好ましい。
(B)成分が樹脂である場合、非架橋性のモノマーを共重合してなることも可能であり、これによりドライエッチング速度、反射率等の微調整が行える。このような共重合モノマーとしては以下のものが挙げられる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などから選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物である。
(B)成分がフェノール性水酸基を有する繰り返し単位を有する樹脂である場合、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては、前述の(A)成分において記載したフェノール性水酸基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられ、前述の一般式(I)で表される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。
フェノール系ポリマーとしては、好ましくは、フェノールノボラック、m-クレゾールノボラック、p-クレゾールノボラック等のノボラック樹脂、p-ヒドロキシスチレンホモポリマー、m-ヒドロキシスチレンホモポリマー、p-ヒドロキシスチレン構造を有する共重合ポリマー、m-ヒドロキシスチレン構造を有する共重合ポリマーを挙げることができる。これら共重合ポリマーにおいては、共重合部分としては下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
他の繰り返し単位の含有量としては、共重合ポリマーの全繰り返し単位に対して、0~80モル%が好ましく、より好ましくは0~60モル%である。
本発明の組成物は、溶剤を含有する。
使用することができる溶剤は特に限定されないが、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
これらの溶剤の具体例は、米国特許出願公開2008/0187860号明細書[0441]~[0455]に記載のものを挙げることができる。
水酸基を含有する溶剤、水酸基を含有しない溶剤としては前述の例示化合物が適宜選択可能であるが、水酸基を含有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、別名1-メトキシ-2-プロパノール)、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチルがより好ましい。また、水酸基を含有しない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有してもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、酢酸アルキルなどが好ましく、これらの内でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、別名1-メトキシ-2-アセトキシプロパン)、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99~99/1、好ましくは10/90~90/10、更に好ましくは20/80~60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤、又は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有することが好ましい。
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物が好ましい。例えば、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、ジアゾジスルホン化合物、ジスルホン化合物、及びo-ニトロベンジルスルホネート化合物が挙げられる。
R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1~30であり、好ましくは1~20である。
また、R201~R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)及び-CH2-CH2-O-CH2-CH2-が挙げられる。
Z-は、アニオン(非求核性アニオンが好ましい。)を表す。
なお、光酸発生剤は、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201~R203の少なくとも1つと、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201~R203の少なくとも一つとが、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
化合物(ZI-1)は、上記一般式(ZI)のR201~R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、すなわち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201~R203の全てがアリール基でもよいし、R201~R203の一部がアリール基であり、残りがアルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、及びアリールジシクロアルキルスルホニウム化合物が挙げられる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1~15の直鎖状アルキル基、炭素数3~15の分岐鎖状アルキル基、又は炭素数3~15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
化合物(ZI-2)は、式(ZI)におけるR201~R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含む芳香族環も包含する。
R201~R203としての芳香環を有さない有機基は、一般的に炭素数1~30であり、炭素数1~20が好ましい。
R201~R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基であり、より好ましくは直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、又はアルコキシカルボニルメチル基、更に好ましくは直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基である。
R201~R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1~5)、水酸基、シアノ基、又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
Mで表されるアリール基としては、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、及びベンゾチオフェン環等が挙げられる。
なお、Mが環構造を有する場合、上記環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、及び、炭素-炭素二重結合の少なくとも1種を含んでいてもよい。
R6c及びR7cで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
Rx及びRyで表されるアルケニル基としては、アリル基又はビニル基が好ましい。
上記Rx及びRyは、更に置換基(例えば、置換基T)を有していてもよい。この態様として、例えば、Rx及びRyとして2-オキソアルキル基又はアルコキシカルボニルアルキル基などが挙げられる。
Rx及びRyで表される2-オキソアルキル基としては、例えば、炭素数1~15(好ましくは炭素数1~10)のものが挙げられ、具体的には、2-オキソプロピル基、及び2-オキソブチル基等が挙げられる。
Rx及びRyで表されるアルコキシカルボニルアルキル基としては、例えば、炭素数1~15(好ましくは炭素数1~10)のものが挙げられる。また、RxとRyは、結合して環を形成してもよい。
RxとRyとが互いに連結して形成される環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又は、炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい。
化合物(ZI-3A)は、下記一般式(ZI-3A)で表され、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
R1c~R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
R6c及びR7cとしては、上述した一般式(ZI-3)中のR6c及びR7cと同義であり、その好ましい態様も同じである。
Rx及びRyとしては、上述した上述した一般式(ZI-3)中のRx及びRyと同義であり、その好ましい態様も同じである。
上記環構造としては、芳香族又は非芳香族の炭化水素環、芳香族又は非芳香族の複素環、及びこれらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環が挙げられる。環構造としては、3~10員環が挙げられ、4~8員環が好ましく、5又は6員環がより好ましい。
R5cとR6c、及びR5cとRxが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、メチレン基、及びエチレン基等が挙げられる。
Zc-は、アニオンを表す。
化合物(ZI-4)は、下記一般式(ZI-4)で表される。
lは0~2の整数を表す。
rは0~8の整数を表す。
R13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
R14は、複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
R15は、各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又はナフチル基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2つのR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成することが好ましい。
Z-は、アニオンを表す。
一般式(ZII)、及び(ZIII)中、R204~R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
R204~R207のアリール基としてはフェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R204~R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、及びベンゾチオフェン等が挙げられる。
R204~R207のアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状アルキル基又は炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基)、又は、炭素数3~10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びノルボルニル基)が好ましい。
Z-は、アニオンを表す。
oは、1~3の整数を表す。pは、0~10の整数を表す。qは、0~10の整数を表す。
Xfは、フッ素原子又は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子又はCF3であることがより好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが更に好ましい。
R4及びR5で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数1~4が好ましい。R4及びR5は、好ましくは水素原子である。
少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基の具体例及び好適な態様は一般式(3)中のXfの具体例及び好適な態様と同じである。
2価の連結基としては、例えば、-COO-(-C(=O)-O-)、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-CO-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、アルキレン基(好ましくは炭素数1~6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~15)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2~6)及びこれらの複数を組み合わせた2価の連結基等が挙げられる。これらの中でも、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-CO-、-O-、-SO2-、-COO-アルキレン基-、-OCO-アルキレン基-、-CONH-アルキレン基-又は-NHCO-アルキレン基-が好ましく、-COO-、-OCO-、-CONH-、-SO2-、-COO-アルキレン基-又は-OCO-アルキレン基-がより好ましい。
環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び複素環基が挙げられる。
脂環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の炭素数7以上の嵩高い構造を有する脂環基が好ましい。
複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよいし、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及びピリジン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環及びデカヒドロイソキノリン環が挙げられる。ラクトン環及びスルトン環の例としては、前述の樹脂において例示したラクトン構造及びスルトン構造が挙げられる。複素環基における複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、又はデカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。
XB1及びXB2は、各々独立に、水素原子、又はフッ素原子を有さない1価の有機基を表す。XB1及びXB2は、水素原子であることが好ましい。
XB3及びXB4は、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表す。XB3及びXB4の少なくとも一方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることが好ましく、XB3及びXB4の両方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることがより好ましい。XB3及びXB4の両方が、フッ素原子で置換されたアルキル基であることが更に好ましい。
L、q及びWは、一般式(3)と同様である。
Arは、アリール基を表し、スルホン酸アニオン及び-(D-B)基以外の置換基を更に有していてもよい。更に有してもよい置換基としては、フッ素原子及び水酸基等が挙げられる。
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であることが好ましい。
光酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量は3,000以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。
光酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した樹脂(A)の一部に組み込まれてもよく、樹脂(A)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
光酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物中、光酸発生剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.1~35質量%が好ましく、0.5~25質量%がより好ましく、1~20質量%が更に好ましく、1~15質量%が特に好ましい。
光酸発生剤として、上記一般式(ZI-3)又は(ZI-4)で表される化合物を含有する場合、組成物中に含まれる光酸発生剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、1~35質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましい。
本発明の組成物は、酸拡散制御剤を含有することが好ましい。酸拡散制御剤は、露光時に光酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用するものである。酸拡散制御剤としては、塩基性化合物、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物、又は、光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩を使用することができる。
R200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)又はアリール基(炭素数6~20)を表し、ここで、R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
R203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、炭素数1~20個のアルキル基を表す。
これら一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
好ましい化合物の具体例としては、US2012/0219913A1 [0379]に例示された化合物を挙げることができる。
好ましい塩基性化合物として、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物を挙げることができる。
これらの塩基性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
光酸発生剤と塩基性化合物の組成物中の使用割合は、光酸発生剤/塩基性化合物(モル比)=2.5~300が好ましく、より好ましくは5.0~200、更に好ましくは7.0~150である。
酸の作用により脱離する基として、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、ヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、ヘミアミナールエーテル基であることが特に好ましい。
化合物(C)の分子量は、100~1000が好ましく、100~700がより好ましく、100~500が特に好ましい。
化合物(C)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d-1)で表すことができる。
Rbは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~30)、アリール基(好ましくは炭素数3~30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1~10)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1~10)を表す。Rbは相互に連結して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式炭化水素基若しくはその誘導体等が挙げられる。
一般式(d-1)で表される基の具体的な構造としては、US2012/0135348 A1 [0466]に開示された構造を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
Rbは、上記一般式(d-1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
lは0~2の整数を表し、mは1~3の整数を表し、l+m=3を満たす。
一般式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、Rbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
本発明における特に好ましい化合物(C)の具体的としては、US2012/0135348 A1 [0475]に開示された化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
本発明において、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有する低分子化合物(C)は、一種単独でも又は2種以上を混合しても使用することができる。
本発明の組成物における化合物(C)の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.001~20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001~10質量%、更に好ましくは0.01~5質量%である。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認することができる。
Qは、-SO3H、-CO2H、又は-W1NHW2Rfを表す。ここで、Rfは、アルキル基(好ましくは炭素数1~20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)又はアリール基(好ましくは炭素数6~30)を表し、W1及びW2は、各々独立に、-SO2-又は-CO-を表す。
Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
Xは、-SO2-又は-CO-を表す。
nは、0又は1を表す。
Bは、単結合、酸素原子、又は-N(Rx)Ry-を表す。ここで、Rxは水素原子又は1価の有機基を表し、Ryは単結合又は2価の有機基を表す。Rxは、Ryと結合して環を形成していてもよく、Rと結合して環を形成していてもよい。
Rは、プロトンアクセプター性官能基を有する1価の有機基を表す。
mは1又は2を表し、nは1又は2を表す。但し、Aが硫黄原子の時、m+n=3、Aがヨウ素原子の時、m+n=2である。
Rは、アリール基を表す。
RNは、プロトンアクセプター性官能基で置換されたアリール基を表す。X-は、対アニオンを表す。
X-の具体例としては、前述した光酸発生剤のアニオンと同様のものを挙げることができる。
R及びRNのアリール基の具体例としては、フェニル基が好ましく挙げられる。
以下に、カチオン部にプロトンアクセプター部位を有するイオン性化合物の具体例としては、US2011/0269072A1[0291]に例示された化合物を挙げることが出来る。
なお、このような化合物は、例えば、特開2007―230913号公報及び特開2009―122623号公報などに記載の方法を参考にして合成できる。
化合物(PA)の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.1~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましい。
光酸発生剤と、光酸発生剤から生じた酸に対して相対的に弱酸である酸を発生するオニウム塩を混合して用いた場合、活性光線性又は放射線の照射により光酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
一般式(d1-2)で表される化合物のアニオン部の好ましい例としては、特開2012-242799号公報の段落〔0201〕に例示された構造を挙げることが出来る。
一般式(d1-3)で表される化合物のアニオン部の好ましい例としては、特開2012-242799号公報の段落〔0209〕及び〔0210〕に例示された構造を挙げることが出来る。
化合物(CA)としては、下記一般式(C-1)~(C-3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
R1、R2、R3は、炭素数1以上の置換基を表す。
L1は、カチオン部位とアニオン部位を連結する2価の連結基又は単結合を表す。
-X-は、-COO-、-SO3 -、-SO2 -、-N--R4から選択されるアニオン部位を表す。R4は、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基:-C(=O)-、スルホニル基:-S(=O)2-、スルフィニル基:-S(=O)-を有する1価の置換基を表す。
R1、R2、R3、R4、L1は互いに結合して環構造を形成してもよい。また、(C-3)において、R1~R3のうち2つを合わせて、N原子と2重結合を形成してもよい。
一般式(C-1)で表される化合物の好ましい例としては、特開2013-6827号公報の段落〔0037〕~〔0039〕及び特開2013-8020号公報の段落〔0027〕~〔0029〕に例示された化合物を挙げることが出来る。
一般式(C-2)で表される化合物の好ましい例としては、特開2012-189977号公報の段落〔0012〕~〔0013〕に例示された化合物を挙げることが出来る。
一般式(C-3)で表される化合物の好ましい例としては、特開2012-252124号公報の段落〔0029〕~〔0031〕に例示された化合物を挙げることが出来る。
本発明の組成物は、更に、上記(B)成分と架橋反応する架橋剤を含むことができる。特に、上記(B)成分が多核フェノール化合物である場合、架橋剤を含むことが好ましい。本発明の組成物が架橋剤を含有することにより、本発明の組成物の塗布後に相分離により形成される下層は、より低温で硬化して、被処理基板に対する保護膜を形成することが可能となる。
架橋剤は、架橋性基を有している化合物であり、架橋性基としては、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基、アルコキシメチルエーテル基、オキシラン環、及びオキセタン環などを挙げることができる。
架橋性基は、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、オキシラン環又はオキセタン環であることが好ましい。
架橋剤としては、公知の化合物を適宜に使用することができる。例えば、米国特許出願公開2016/0147154A1号明細書の段落[0379]~[0431]、米国特許出願公開2016/0282720A1号明細書の段落[0064]~[0141]に開示された公知の化合物を架橋剤として好適に使用できる。
架橋剤としては、例えば、多核フェノール化合物、ジイソシアナート類や、エポキシ化合物、メラミン系硬化剤、ベンゾグアナミン系硬化剤、グリコールウリル系硬化剤等が挙げられる。これらの中でも、多核フェノール化合物、メラミン系硬化剤、グリコールウリル系硬化剤が好ましく、多核フェノール化合物、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリルがより好ましい。なお、これらの架橋剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の組成物は、更に界面活性剤を含有してもしなくてもよく、含有する場合、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子とケイ素原子との両方を有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することがより好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0276]に記載の界面活性剤が挙げることができる。
また、本発明では、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0280]に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
本発明の組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の使用量は、組成物の全固形分に対して、好ましくは0.0001~2質量%、より好ましくは0.0005~1質量%である。
本発明の組成物は、カルボン酸オニウム塩を含有してもしなくてもよい。このようなカルボン酸オニウム塩は、米国特許出願公開2008/0187860号明細書[0605]~[0606]に記載のものを挙げることができる。
これらのカルボン酸オニウム塩は、スルホニウムヒドロキシド、ヨードニウムヒドロキシド、アンモニウムヒドロキシドとカルボン酸を適当な溶剤中酸化銀と反応させることによって合成できる。
本発明の組成物には、必要に応じて更に、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物)等を含有させることができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
固形分濃度とは、本発明の組成物の総質量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分の質量の質量百分率である。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物により形成される膜(感活性光線性又は感放射線性膜)の膜厚は1μm以上であることが好ましい。膜厚を1μm以上とすることで、本発明の組成物の効果が得られやすい。感活性光線性又は感放射線性膜の膜厚は、1μm~30μmがより好ましく、1μm~20μmがさらに好ましい。
なお、上記膜厚は、後述する本発明の組成物により形成される上層と下層と(更に混合層を含む場合は混合層と)をあわせた全体の膜厚である。
本発明のパターン形成方法(以下、本発明の方法とも言う)は、
(i)本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を基板(被処理基板)上に塗布し、(A)成分を含む上層と、(B)成分を含む下層とを形成する工程、
(ii)上層に活性光線又は放射線を照射する工程、
(iii)活性光線又は放射線が照射された上層を現像して、レジストパターンを形成する工程、及び
(iv)レジストパターンをマスクとして、下層を加工してパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法である。
工程(i)は、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を基板(被処理基板)上に塗布し、(A)成分を含む上層と、(B)成分を含む下層とを形成する工程である。
工程(1)における被処理基板は、下地層の上に設けられていてもよい。
下地層、及び被処理基板の材料は特に限定されるものではないが、それぞれ、例えば、シリコン、SiN、SiO2やSiN等の無機基板、SOG(Spin on Glass)等の塗布系無機基板等、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造工程、更にはその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程で一般的に用いられる基板を用いることができる。
特に、被処理基板としては、シリコン(Si)基板を好適に挙げることができる。
下地層の上に被処理基板を形成する場合、その方法としては、下地層の上に、被処理基板を構成する材料を含有する液を従来公知のスピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、浸漬法などに基づき塗布して乾燥する方法や、被処理基板を構成する材料をCVD(chemical vapor deposition)法を用いて堆積する方法などが挙げられる。
塗布法としては、被処理基板の上に、膜を構成する材料を含有する液を従来公知のスピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、浸漬法などに基づき塗布して乾燥する方法などが挙げられる。
上層(3)は、(A)成分を必須とし、後述の工程(ii)及び(iii)において、露光及び現像されることにより、レジストパターンが形成される層である。上層(3)はケイ素原子及び金属原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む(A)成分を含むため、高いエッチング耐性を付与することができる。
上層(3)は、(A)成分以外にも、上述の本発明の組成物に含まれてもよい各成分を含んでいてもよい。上層における(A)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計質量に対して、90質量%~100質量%であることが好ましく、エッチング耐性の観点から、95質量%~100質量%であることがより好ましく、98質量%~100質量%であることがさらに好ましい。
上層(3)の層厚を1000nm以下とすることにより、露光及び現像により形成されるレジストパターンの層厚も1000nm以下となるため、現像工程において現像液からキャピラリーフォースを受けてもレジストパターンを倒れにくくすることができる。また、100nm以上とすることで、エッチング耐性が良好となる。
下層(4)は、(B)成分以外にも、上述の本発明の組成物に含まれてもよい各成分を含んでいてもよい。ただし、下層(4)は後述の工程(ii)及び(iii)において、露光及び現像されない層であるため、下層における(A)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計質量に対して、10質量%未満であることが好ましく、0質量%~5質量%であることがより好ましく、(A)成分が含まれないことがより好ましい。
下層(4)の層厚を1000nm以上とすることにより、下層(4)を加工して形成されたパターンの層厚を含む、工程(iv)の後に得られるパターン(以下、「最終パターン」とも言う)も1000nm以上の厚い膜厚を有するパターンとすることができる。
混合層中の(A)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計質量に対する割合が、下層中の含有率より大きく、上層中の含有率未満である。
混合層が形成される場合の混合層の厚みとしては、500nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
本発明においては、上記混合層が形成されないことが好ましい。
下層(4)中の(A)成分の有無のみに着目した場合、(A)成分の有無はTOF-SIMSにより確認することができる。TOF-SIMS装置は、Phi Evans社製TRIFTII型TOF-SIMS(商品名)を用いることができる。TOF-SIMS法については、具体的には日本表面科学会編「表面分析技術選書 二次イオン質量分析法」丸善株式会社(1999年発行)に記載されている。下層(4)には、(A)成分が含まれていても良いが、下層(4)中の(A)成分の含有量はTOF-SIMSでの測定限界下限以下であれば好ましい。
工程(i)において形成される上層と下層と(更に混合層を含む場合は混合層と)をあわせた膜厚は1μm以上であることが好ましく、1μm~20μmがより好ましく、1μm~10μmがさらに好ましい。
工程(ii)は、工程(i)で形成された上層(3)に活性光線又は放射線(10)を照射(露光)する工程である。
より具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、EUV(13nm)、電子線等が挙げられ、なかでも、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV又は電子線であることが好ましく、KrFエキシマレーザー又はArFエキシマレーザーであることがより好ましく、KrFエキシマレーザーであることが更に好ましい。
加熱処理の温度は、70~130℃であることが好ましく、80~120℃であることがより好ましい。
加熱処理の時間は、30~300秒が好ましく、30~180秒がより好ましく、30~90秒であることがさらに好ましい。
加熱処理は通常の露光及び現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
工程(iii)は、工程(ii)で活性光線又は放射線が照射された(露光された)上層(3)を現像して、レジストパターン(3a)を形成する工程である。
このような範囲の線幅のライン部を有するレジストパターンを形成する場合、工程(iv)の後に最終的に得られるパターン(最終パターン)の断面形状は、縦長形状(すなわち、縦横比(アスペクト比)が大きい形状)になる傾向となる。一般に、縦長形状の断面を有するパターンは倒れやすい傾向にあるが、本発明は、先に記載した理由によりレジストパターン(3a)が倒れにくいため、上記範囲の線幅のライン部を有する最終パターンの形成において非常に有用である。
アルカリ現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩が用いられるが、これ以外にも無機アルカリ、1~3級アミン、アルコールアミン、環状アミン等のアルカリ水溶液も使用可能である。
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類;エチルアミン、n-プロピルアミンなどの第一アミン類;ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミンなどの第二アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミンなどの第三アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジンなどの環状アミン類;等のアルカリ性水溶液を使用することができる。これらの中でもテトラエチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液を用いることが好ましい。
さらに、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加してもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1~20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10.0~15.0である。
アルカリ現像液を用いて現像を行う時間は、通常10~300秒である。
アルカリ現像液のアルカリ濃度(及びpH)及び現像時間は、形成するパターンに応じて、適宜調整することができる。
アルカリ現像液を用いた現像の後にリンス液を用いて洗浄してもよく、そのリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
また、現像処理または、リンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
更に、リンス処理または超臨界流体による処理の後、パターン中に残存する水分を除去するために加熱処理を行うことができる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
すなわち、有機系現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62-36663号公報、特開昭61-226746号公報、特開昭61-226745号公報、特開昭62-170950号公報、特開昭63-34540号公報、特開平7-230165号公報、特開平8-62834号公報、特開平9-54432号公報、特開平9-5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、好ましくは、非イオン性の界面活性剤である。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
本発明において、有機溶剤現像工程によって露光強度の弱い部分が除去されるが、更にアルカリ現像工程を行うことによって露光強度の強い部分も除去される。このように現像を複数回行う多重現像プロセスにより、中間的な露光強度の領域のみを溶解させずにパターン形成が行えるので、通常より微細なパターンを形成できる(特開2008-292975号公報の段落[0077]と同様のメカニズム)。
本発明のパターン形成方法においては、アルカリ現像工程及び有機溶剤現像工程の順序は特に限定されないが、アルカリ現像を、有機溶剤現像工程の前に行うことがより好ましい。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後のリンス工程に用いるリンス液としては、レジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができる。リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したものと同様のものを挙げることができる。
炭化水素系溶剤を含有するリンス液としては、炭素数6~30の炭化水素化合物が好ましく、炭素数8~30の炭化水素化合物がより好ましく、炭素数10~30の炭化水素化合物が特に好ましい。中でも、デカン及び/又はウンデカンを含むリンス液を用いることにより、パターン倒れが抑制される。
有機溶剤としてエステル系溶剤を用いる場合には、エステル系溶剤(1種または2種以上)に加えて、グリコールエーテル系溶剤を用いてもよい。この場合の具体例としては、エステル系溶剤(好ましくは、酢酸ブチル)を主成分として、グリコールエーテル系溶剤(好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME))を副成分として用いることが挙げられる。これにより、残渣欠陥がより抑制される。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。
リンス工程においては、有機溶剤を含む現像液を用いる現像を行ったウエハを上記の有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000~4000rpm(rotations per minute)の回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、通常40~160℃、好ましくは70~95℃で、通常10秒~3分、好ましくは30秒から90秒間行う。
本発明のパターン形成方法は、DSA(Directed Self-Assembly)におけるガイドパターン形成(例えば、ACS Nano Vol.4 No.8 Page4815-4823参照)にも用いることができる。
また、上記の方法によって形成されたレジストパターンは、例えば特開平3-270227号公報及び特開2013-164509号公報に開示されたスペーサープロセスの芯材(コア)として使用できる。
工程(iv)は、工程(iii)にて形成されたレジストパターン(3a)をマスクとして、下層(4)を加工してパターン(4a)を形成する工程である。
ドライエッチングは、1段のエッチングであっても、複数段からなるエッチングであってもよいが、1段のエッチングであることが生産性の観点から好ましい。エッチングが複数段からなるエッチングである場合、各段のエッチングは同一の処理であっても異なる処理であってもよい。
ドライエッチング装置の方式は特に限定されるものではないが、特にICP(Inductive Coupled Plasma、誘導結合)型、二周波CCP(Conductive Coupled Plasma 容量結合)型、ECR(electron cyclotron resonance;電子サイクロトロン共鳴)型等のようなプラズマ密度とバイアス電圧を独立制御可能な方式がより好ましい。
エッチングは、公知の方法をいずれも用いることができ、各種条件等は、基板の種類や用途等に応じて、適宜、決定される。例えば、国際光工学会紀要(Proc.ofSPIE)Vol.6924,692420(2008)、特開2009-267112号公報等に準じて、エッチングを実施することができる。また、「半導体プロセス教本 第四版 2007年刊行 発行人:SEMIジャパン」の「第4章 エッチング」に記載の方法に準ずることもできる。
ここでいう酸素プラズマエッチングとは、酸素原子を含有するガスを使用したプラズマエッチングであることを意味し、具体的にはO2、O3、CO、CO2、NO、NO2、N2O、SO、SO2、COS等からなる群から少なくとも一つが選択される。また、上記酸素含有ガスに加えて、希釈ガスとしてAr、He、Xe、Kr、N2等からなる群から少なくとも一つを、さらに添加ガスとしてCl2、HBr、BCl3、CH4、NH4等からなる群から少なくとも一つを加えてもよい。
酸素原子含有ガスを使用すると、プラズマ中で発生する酸素ラジカル及び酸素イオンの照射効果により、下層(4)のエッチングが促進される一方、レジストパターン(3a)に関しては、レジストパターン(3a)中の(A)成分の酸化及び凝集によりエッチング耐性が高まり、レジストパターン(3a)と下層(4)の選択比を高めることが可能となる。
エッチング前後のパターン寸法変動を抑える場合、酸素原子及びC、N、S等の少なくとも1種を含む酸素含有ガス(例えば、CO、CO2、NO、NO2、N2O、SO、SO2、COS)の比率を高めることで、プラズマ中で生成された堆積性成分がエッチング加工パターン側壁に付着し、酸素ラジカルよるサイドエッチング効果を抑制し、エッチング前後の線幅細りを低減することが可能となる。上記効果は酸素含有ガス(例えばO2、O3、CO、CO2、NO、NO2、N2O、SO、SO2、COS)に添加ガスとしてCH4やNH4を加えることでも同様に発揮される。
また、Cl2やHBr等のフッ素以外のハロゲン元素を含むガスを使用すると、下層(4)のエッチング生成物として高沸点な炭素塩化物や炭素臭化物が形成され、加工パターン側壁への付着性が高まる。この場合においても酸素ラジカルによるサイドエッチングの抑制効果が期待できる。
一方でO2あるいはO3ガスと希釈ガスの混合比率を適切に選択することで、レジストパターン(3a)及び下層(4)のサイドエッチング量を制御し、エッチングと同時に所望寸法量のトリミング処理を施すことも可能である。
上記各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過を挙げることができる。フィルター孔径としては、ポアサイズ50nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましく、5nm以下が更に好ましい。フィルターの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のフィルターが好ましい。フィルター濾過工程では、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルターを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用してもよい。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であってもよい。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、などの方法を挙げることができる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
フィルター濾過の他、吸着材による不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材を使用することができる。
上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減するためには、製造工程における金属不純物の混入を防止することが必要である。製造装置から金属不純物が十分に除去されたかどうかは、製造装置の洗浄に使用された洗浄液中に含まれる金属成分の含有量を測定することで確認することができる。使用後の洗浄液に含まれる金属成分の含有量は、100ppt(parts per trillion)以下がより好ましく、10ppt以下が更に好ましく、1ppt以下が特に好ましい。
本発明の組成物、及び、本発明のパターン形成方法において使用される有機系処理液(レジスト溶剤、現像液、リンス液等)は、静電気の帯電、引き続き生じる静電気放電に伴う薬液配管や各種パーツ(フィルター、O-リング、チューブなど)の故障を防止する為、導電性の化合物を添加しても良い。導電性の化合物としては特に制限されないが、例えば、メタノールが挙げられる。添加量は特に制限されないが、好ましい現像特性を維持する観点で、10質量%以下が好ましく、更に好ましくは、5質量%以下である。薬液配管の部材に関しては、SUS(ステンレス鋼)、或いは帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、又はフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、パーフロオロアルコキシ樹脂など)で被膜された各種配管を用いることができる。フィルターやO-リングに関しても同様に、帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、又はフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、パーフロオロアルコキシ樹脂など)を用いることができる。
イオン注入の方法としては、公知の方法をいずれも採用できる。
まず、被処理基板(11)上に下層形成用組成物を塗布し、乾燥させることにより下層(14)を形成する。
次に、形成した下層(14)上に中間層形成用組成物を塗布し、乾燥させることにより中間層(15)を形成する。
そして、形成した中間層(15)上に上層形成用組成物を塗布し、乾燥させることにより上層(13)を形成する。
上層(13)を活性光線又は放射線(10)により露光し、露光された上層(13)を現像してレジストパターン(13a)を形成する。
得られたレジストパターン(13a)をマスクとして、中間層(15)をエッチング加工して中間パターン(15a)を形成する。
得られた中間パターン(15a)をマスクとして、下層(14)をエッチング加工してパターン(14a)を形成する。
本発明は、上記した本発明のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法にも関する。
本発明の製造方法によって得られる電子デバイスは、電気電子機器(家電、OA(Office Automation)、メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)に、好適に、搭載されるものである。
窒素気流下シクロヘキサノン115.62gを3つ口フラスコに入れ、これを80℃に加熱した。これに樹脂A-1の各繰り返し単位に相当するモノマーを左から順に100g、24g、41g、重合開始剤V-601(富士フイルム和光純薬製、15.888g)をシクロヘキサノン269.78gに溶解させた溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、更に80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後メタノール:水の混合液に60分かけて滴下し、析出した粉体をろ取、乾燥すると、酸分解性樹脂である下記樹脂A-1(149g)が得られた。NMR(核磁気共鳴)法から求めた繰り返し単位の組成比(モル比)は35/20/45であった。得られた樹脂A-1の重量平均分子量(Mw)はGPCから求められる標準ポリスチレン換算で4500、分散度(Mw/Mn)は1.52であった。
Buはn-ブチル基を表す。
W-1: PF6320(OMNOVA(株)製;フッ素系)
W-2: メガファックF176(DIC(株)製;フッ素系)
W-3: ポリシロキサンポリマーKP-341(信越化学工業(株)製;シリコン系)
SL-1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(1-メトキシ-2-プロパノール)
SL-2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(1-メトキシ-2-アセトキシプロパン)
SL-3:2-ヘプタノン
SL-4:シクロヘキサノン
SL-5:γ-ブチロラクトン
SL-6:プロピレンカーボネート
下記表2に示す組成で、それぞれ、素材を混合した後、0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。レジスト組成物中の固形分濃度も下記表2に示した。
なお、下記表2中、(A)成分、(B)成分、光酸発生剤、酸拡散制御剤、架橋剤、及び界面活性剤の含有量は、溶剤も含めたレジスト組成物全体に対する含有量(質量%)を表したものである。「(B)に対する(A)の含有量(質量%)」は、成分(B)の含有量に対する成分(A)の含有量(質量%)である。また、SP値の単位は(J/cm3)1/2であり、ΔSPは{(B)成分のSP値-(A)成分のSP値}である(単位は(J/cm3)1/2)。また、溶剤1及び溶剤2の含有比率は全溶剤に対する質量比率(質量%)である。
東京エレクトロン製スピンコーターACT-8を利用して、ヘキサメチルジシラザン処理を施したSi基板(Advanced Materials Technology社製)上に、上記で調製したレジスト組成物を基板が静止した状態で滴下した。滴下した後、基板を回転し、その回転数を、3秒間500rpmで維持し、その後2秒間100rpmで維持し、さらに3秒間500rpmで維持し、再び2秒間100rpmで維持した後、膜厚設定回転数(1200rpm)に上げて60秒間維持した。その後、ホットプレート上で130℃で60秒間加熱乾燥を行い、膜厚9μmのポジ型レジスト膜を形成した。
このレジスト膜に対し、縮小投影露光及び現像後に形成されるパターンのスペース幅が0.4μm、ピッチ幅が1.4μmとなるような、ラインアンドスペースパターンを有するマスクを介して、KrFエキシマレーザースキャナー(ASML製、PAS5500/850C波長248nm)を用いて、NA=0.68、σ=0.60の露光条件でパターン露光した。照射後に130℃、60秒ベークし、アルカリ現像液として2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、純水でリンスして乾燥して、スペース幅が0.4μm、ピッチ幅が1.4μmの孤立スペースパターンを形成した。
上記パターン露光は、縮小投影露光後のスペース幅が0.4μm、ピッチ幅が1.4μmとなるような、ラインアンドスペースパターンを有するマスクを介する露光であり、露光量は、スペース幅が0.4μm、ピッチ幅が1.4μmの孤立スペースパターンを形成する最適露光量(感度)(mJ/cm2)とした。上記感度の決定において、パターンのスペース幅の測定は走査型電子顕微鏡(SEM)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製9380II)を用いた。
プラズマシステム製平行平板型リアクティブイオンエッチング装置DES-245Rを用い、上記孤立スペースパターンをマスクとして、下記エッチング条件にて下層をエッチングした。
エッチングガス:O2
圧力:20mTorr
印加パワー:800mW/cm2
バイアスパワー:300W
A:混合層がない、又は混合層の膜厚が10nm未満
B:混合層の膜厚が10nm以上30nm未満
C:混合層の膜厚が30nm以上50nm未満
D:混合層の膜厚が50nm以上100nm未満
E:混合層の膜厚が100nm以上
なお、上記方法で下層の膜厚を計測した結果、いずれも8.0μm以上であった。
下層中の(A)成分の有無、混合層の膜厚、相分離性の評価結果は表3に示した。
上記ドライエッチング処理を行った後に、ウェハを割断し、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。
下層のパターン倒れと同様に走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、パターンの上部表面から膜厚方向に基板に向かって0.3μmの位置におけるスペース部分の線幅(HT)、基板とパターンの界面からパターンの膜厚方向にパターン上部に向かって0.3μmの位置におけるスペース部分の線幅(HB)を、それぞれ5箇所測定して、パターンの上部表面から膜厚方向に基板に向かって0.3μmの位置におけるスペース部分の線幅と、基板とパターンの界面からパターンの膜厚方向にパターン上部に向かって0.3μmの位置におけるスペース部分の線幅の差(HT-HB)の平均値を求め、表3に示した。
本出願は、2019年8月30日出願の日本特許出願(特願2019-158997)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
2 塗膜
3 上層
3a レジストパターン
4 下層
4a パターン
10 活性光線又は放射線
12 3層プロセスにおける感活性光線性又は感放射線性膜
13 3層プロセスにおける上層
13a 3層プロセスにおけるレジストパターン
14 3層プロセスにおける下層
14a 3層プロセスにおけるパターン
15 3層プロセスにおける中間層
15a 3層プロセスにおける中間パターン
Claims (13)
- 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)溶剤、及び(D)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有し、
前記(A)成分は、ケイ素原子及び金属原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含み、かつ、酸分解性基を有する樹脂であり、
前記(B)成分は架橋性基及び酸分解性基を有さない化合物であり、かつ、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、アセナフチレン系樹脂、イソシアヌル酸系樹脂、及び多核フェノール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、
前記架橋性基は、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基、アルコキシメチルエーテル基、オキシラン環を含む基、又はオキセタン環を含む基であり、
前記(A)成分に含まれる化合物の溶解度パラメータは10(J/cm3)1/2より大きく、22(J/cm3)1/2以下であり、
前記(B)成分に含まれる化合物の溶解度パラメータは16(J/cm3)1/2より大きく、30(J/cm3)1/2以下であり、
前記(B)成分の溶解度パラメータは、前記(A)成分の溶解度パラメータよりも大きく、
前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の固形分濃度が20~50質量%であり、
前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を塗布した場合、露光及び現像によりパターンが形成される前記(A)成分を含む上層と、現像液に不溶な前記(B)成分を含む下層に相分離する、
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。 - 前記(A)成分の含有量が前記(B)成分の含有量に対して1.00質量%以上である請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記(A)成分と前記(B)成分の溶解度パラメータの差が2(J/cm3)1/2以上である請求項1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記(A)成分が、ケイ素原子を含む樹脂である請求項1~3のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記(A)成分が、シルセスキオキサン構造を有する樹脂である請求項1~4のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記(A)成分が、側鎖にシルセスキオキサン構造を有する樹脂である請求項5に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記(A)成分が、下記式(I-1)で表される繰り返し単位を含む樹脂である請求項4に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
式(I-1)中、Lは、単結合又は2価の連結基を表し、Xは、水素原子又は有機基を表し、AIは、下記式(a)~(c)のいずれかで表される基を表す。
式(a)中、Rは、1価の置換基を表す。複数あるRは、同一であっても、異なってもよい。*は結合位置を表す。
式(b)中、Rbは、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。複数あるRbは、同一であっても、異なってもよい。*は結合位置を表す。
式(c)中、RCは、1価の有機基を表す。複数あるRCは、同一であっても、異なってもよい。nは1~10の整数を表す。*は結合位置を表す。 - 前記(A)成分が、ジルコニウム、ハフニウム、チタン、ゲルマニウム、及びスズから選択される少なくとも1種の金属原子を含む樹脂である請求項1~3のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記(B)成分が、フェノール性水酸基を有する請求項1~8のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記(A)成分の分子量が5000以上であり、前記(B)成分の分子量が5000未満である請求項1~9のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- (i)請求項1~10のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布し、前記(A)成分を含む上層と、前記(B)成分を含む下層とを形成する工程、
(ii)前記上層に活性光線又は放射線を照射する工程、
(iii)前記活性光線又は放射線が照射された上層を現像して、レジストパターンを形成する工程、及び
(iv)前記レジストパターンをマスクとして、前記下層を加工してパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法。 - 前記工程(i)において形成される上層と下層をあわせた膜厚が1μm以上である請求項11に記載のパターン形成方法。
- 請求項11又は12に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。
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