以下、実施形態に係る荷役装置、およびツール管理装置について、図1から図14を参照して説明する。荷役装置は、物品を荷役する装置であり、例えば物流センタなどで稼働する物流システムを構成する装置の一つである。物品は、宅配物、小包、郵便物等を含む荷物、各種の部品や製品など、荷役の対象となり得る有形物である。物品の態様(形状、大きさ、重量、材質など)は、一律ではなく多種多様である場合を想定するが、一律であってもよい。ツール管理装置は、荷役装置において、ツールを保持、管理し、ロボットアームに対するツールの着脱(交換)を制御する装置である。
図1および図2には、本実施形態のツール管理装置3を備えた荷役装置1の構成をそれぞれ模式的に示す。図1は、荷役装置1を垂直方向の上方から模式的に示す図である。垂直方向は、水平面(一例として物流センタの建屋の床面)と直交する方向である。図2は、荷役装置1のブロック図である。
図1および図2に示すように、荷役装置1は、ロボット装置2と、ツール管理装置3と、制御装置4とを備える。
ロボット装置2は、集積領域11から物品5をピッキングし、所望領域12に移動させる。集積領域11および所望領域12は、例えば物品5を収容する箱やケージ、ベルトコンベアやローラコンベア、台車などの搬送装置、仕分けや組み立てなどの作業台である。ロボット装置2は、ロボットアーム21と、ツール22と、ツールマスタ23と、ロボット通信部24とを備える。
ロボットアーム21は、基台部21aとアーム部21bとを備え、アーム部21bが基台部21aに対して変位するいわゆるピッキングロボットである。本実施形態では一例として、ロボットアーム21は、物品5をピッキングして移動させるが、物品5の移動態様は特に問わない。例えば、物品5を引きずってもしくは押して、あるいはこれらの態様とピッキングとを適宜選択して物品を移動させてもよい。
基台部21aは、例えば物流センタの建屋の床面に位置決め固定される。アーム部21bは、基台部21aとの接続部位である基端から先端まで、複数の関節部で連結されて伸長している。アーム部21bは、関節部によって複数に細分され、各部分が関節部において所定の軸まわりに回動する。これにより、アーム部21bは、基台部21aに対して所望の姿勢とされ、所定範囲内において自由に変位(動作)する。所定範囲(つまり、可動範囲)には、物品5の集積領域11および物品5の移動先である所望領域12、およびツール管理装置3が含まれる。したがって、アーム部21bの各部分を軸まわりに回動させることで、アーム部21bを集積領域11、所望領域12およびツール管理装置3に対して変位させることが可能となる。なお、関節部および軸の数は、アーム部21bに要求される動作精度や可動範囲などに応じて任意に設定すればよい。
ツール(エンドエフェクタなどとも呼ばれる)22は、ツールマスタ23に着脱自在に取り付けられ、物品5をピッキングする機械要素である。物品5ピッキングするべく、ツール22は、例えば物品5を解放可能に把持する把持機構を備える。把持は、吸着や挟持など、物品5の保持態様全般を包含する概念として規定される。これにより、ツール22は、アーム部21bとともに基台部21aに対して変位し、集積領域11に集積された物品5を把持機構で把持し、把持した物品5を所望領域12の上で解放する。把持機構は、例えば物品5を吸着する吸盤や挟持する爪、真空発生器、コンプレッサ、バルブ、圧力センサ、これらを動作させるアクチュエータ(いずれも図示省略)などを備える。
本実施形態では、ツール22とツールマスタ23とはN対1の関係にあり、一つのツールマスタ23に着脱可能なツール22は複数存在する。このため、ツール22は、後述するツール管理装置3によって管理される。例えばロボットアーム21の稼働時、ツール22は、物品5の態様(形状、大きさ、重量、材質など)に応じて最適なものが選択される。選択されたツール22は、アーム部21b(ツールマスタ23)に取り付けられ、別のツール22への交換時に取り外される。アーム部21bに取り付けられておらず、現時点で不使用のツール22は、ツール管理装置3のツール台31に保持されている。ツール着脱(交換)の詳細については、後述する。
ツールマスタ23は、アーム部21bの先端に備えられ、ツール22を着脱する機械要素である。アーム部21bに対するツール22の取り付けと取り外しは、ツールマスタ23を介してなされる。例えば、ツール22の交換時、ツールマスタ23は、アーム部21bに取り付けられているツール22(現ツール)を取り外す。取り外された現ツールは、ツール台31に保持される。その後、ツールマスタ23は、ツール台31に保持された別のツール22(新ツール)をアーム部21bに取り付ける。
本実施形態では一例として、ツールマスタ23は、吸着体、真空発生器、コンプレッサ、バルブ、圧力センサ(いずれも図示省略)などを含み、略円柱状に構成されている。ツールマスタ23は、エアによる吸着とその解放によってツール22を着脱する。すなわち、ツールマスタ23は、ツール22を吸着体で吸着して取り付け、吸着体の吸着を解放してツール22を取り外す。このようなエアによる方法の他、ツール22の着脱方法は、例えば作業油(油圧)や機械的な結合などによるものであってもよい。
ツールマスタ23は、ツール22が取り付けられているか否かを検出する検出部23aを備える。本実施形態では一例として、検出部23aは、ツール22に設けられた金属板などからの光の反射有無を検出するセンサである。検出部23aは、検出結果である光の反射有無を示す信号をロボット通信部24に出力する。ただし、検出部23aは、このような光の反射有無を検出するセンサに限られず、例えばツールマスタ23とツール22との接触有無を検出するセンサなどであってもよい。
ツールマスタ23に対してツール22が着脱される際、ツール22の通電が制御される。すなわち、ツール22の着脱時には、ツール22を通電させた電源ONの状態と、通電を切断させた電源OFFの状態とが適宜切り替えられる。このようなツール電源のON/OFFの制御は、図3に示すように、第1のコネクタ部C1と第2のコネクタ部C2との電気的な接続と切断によってなされる。図3には、第1のコネクタ部C1と第2のコネクタ部C2の構成をそれぞれ模式的に示す。第1のコネクタ部C1は、ツール22に配置されている。第2のコネクタ部C2は、ツールマスタ23に配置されている。これらのコネクタ部C1,C2の構成の詳細については後述する。
ロボット通信部24は、制御装置4(具体的には通信制御部43)との間で、ロボットアーム21、具体的にはアーム部21bおよびツール22の動作を制御する各種の信号を有線もしくは無線を介して送受信する。また、ロボット通信部24は、ツール管理装置3(具体的にはツール管理通信部34)との間で、アーム部21bに対するツール22の交換を制御する各種の信号を有線もしくは無線を介して送受信する。
図1および図2に示すように、ツール管理装置3は、ツール台31と、テストツールマスタ32と、検出部33と、通信部(以下、ツール管理通信部という)34と、制御部35とを備える。
ツール台31は、ツールマスタ23に取り付けられるツール22を保持してリリースするとともに、ツールマスタ23から取り外されるツール22を回収して保持する。ツール台31は、ロボットアーム21に対して位置決めされている。本実施形態において、ツール台31は、ロボットアーム21と同様に物流センタの建屋の床面に位置決め固定され、ロボットアーム21に対して静止している。ツール台31の設置エリアは、ロボットアーム21の動作範囲、換言すれば基台部21aに対するアーム部21bの可動範囲に含まれる。
ツール台31は、保持部311と、カバー部312を含んで構成される。
保持部311は、ツール22を保持するために区画された領域(以下、区画領域という)31aを有する。区画領域31aは、保持部311に形成されたツール22を保持するための領域である。また、区画領域31aは、アーム部21bに取り付けられたツール22のツール台31へのアクセス領域であり、保持されたツール22とツール台31との不要な干渉を防ぐための退避領域でもある。区画領域31aには、個別のアドレスが付与されており、所定の区画領域31aが特定可能とされている。区画領域31aに保持された状態において、ツール22は、ツールマスタ23との取付部分(以下、チェンジャ部という)22aが上方に臨んだ状態となる。
図1に示す構成例では、保持部311は二つの区画領域31aを有している。したがって、保持部311は、各区画領域31aに一つずつツール22を収め、二つのツール22を同時に保持可能とされている。保持部311に保持されるツール22の数は任意であり、一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。例えば、図1に示す構成例に準じる場合、保持するツール22の数に合わせて保持部311に区画領域31aを形成する。これにより、区画領域31aの数と同数のツール22を保持部311に保持できる。
カバー部312は、ツール台31における保持部311に対する可動部分である。図4Aおよび図4Bには、カバー部312および保持部311の構成の一例を模式的に示す。カバー部312は、図4Aに示すように区画領域31aの上方を覆う状態(以下、カバー状態という)と、図4Bに示すように区画領域31aの上方を開放する状態(以下、開放状態という)とに変位する。区画領域31aにツール22が保持されている場合、カバー状態であれば、カバー部312はチェンジャ部22aと対向する。これに対し、区画領域31aにツール22が保持されている場合、開放状態であれば、カバー部312はチェンジャ部22aを上方に臨ませる。
カバー部312をカバー状態と開放状態とに変位させるための機構は特に限定されない。本実施形態では一例として、カバー部312を所定の回動軸31bのまわりに回動させるアクチュエータを備えたヒンジ機構が適用されている。ヒンジ機構の他にも、例えばカバー部312を所定のガイドに沿って水平移動させるスライダ機構、ベルト機構、チェーン機構、リンク機構などが適用可能である。
テストツールマスタ32は、ツールマスタ23と同等の機械要素であり、ツール22を着脱する。テストツールマスタ32は、カバー部312に備えられており、カバー状態において、区画領域31aに保持可能なツール22のチェンジャ部22aと正対するように配置されている。本実施形態では、二つの区画領域31aに対応して一つずつ、二つのテストツールマスタ32が配置されている(図1参照)。
テストツールマスタ32は、ツール22をツールマスタ23に取り付ける前に、該ツール22が保持された区画領域31aのアドレスを特定するべく、ツール22を着脱する。すなわち、テストツールマスタ32は、ツール22をツールマスタ23に実装する前に、ツール22を一時的に着脱するために使用される。
したがって、ツール台31は、保持部311とカバー部312を相対的に変位させ、テストツールマスタ32にツール22を着脱させる移動機構313を備えている。本実施形態では一例として、移動機構313にはエアシリンダが適用されている。エアシリンダは、ガイド、スライダ、エアコンプレッサ、バルブなどを含んで構成され、カバー部312に対して保持部311を変位させ、ツール22を垂直方向に昇降させる。移動機構313には、エアシリンダの他、既知の各種機構を適用可能であり、例えばボールスプライン、チェーンやベルト、これらの組み合わせなどを適用してもよい。
図4Cには、テストツールマスタ32にツール22が取り付けられた状態(以下、取付状態という)の一例を模式的に示す。取付状態は、図4Aに示すカバー状態のカバー部312に対して保持部311を着脱位置まで上昇させた状態である。着脱位置は、区画領域31aに保持されたツール22を取り付けるべく、テストツールマスタ32に対する動作制御を開始可能なカバー部312および保持部311の位置として規定されている。
また、本実施形態において、移動機構(エアシリンダ)313は、ツールマスタ23にツール22を着脱させるための移動機構も兼ねている。すなわち、ツールマスタ23にツール22を着脱させる際、移動機構313は、ツール22を保持部311とともにツールマスタ23に対して昇降させる。
テストツールマスタ32に対してツール22が着脱される際、ツールマスタ23に着脱される際と同様に、ツール22の通電が制御される。すなわち、ツール22の着脱時には、ツール22を通電させた電源ONの状態と、通電を切断させた電源OFFの状態とが適宜切り替えられる。このようなツール電源のON/OFFの制御は、図3に示すように、第1のコネクタ部C1と第3のコネクタ部C3との電気的な接続と切断によってなされる。第3のコネクタ部C3は、テストツールマスタ32に配置されたコネクタ部である。
図3には、第1のコネクタ部C1と第3のコネクタ部C3の構成をそれぞれ模式的に示す。なお、第2のコネクタ部C2は、第3のコネクタ部C3と同様に構成されている。このため、第2のコネクタ部C2の構成については、以下の第3のコネクタ部C3の構成についての説明をもって省略する。
図3に示すように、第1のコネクタ部C1と第3のネクタ部C3、所定の電気的な接点をそれぞれ持ち、制御部35によって制御されて接点同士が電気的に適宜離接する。例えば、これらコネクタ部C1,C3は、制御部35に制御されたリレーのON/OFFにより、接点同士が電気的に離接する。なお、コネクタ部C1,C2の接点同士の電気的離接は、制御装置4の動作制御部42によって制御される。
第1のコネクタ部C1は、第1の接点群25を有する。第1のコネクタ部C1は、第1の接点群25が後述する第3の接点群36と離接可能な状態となるように、ツール22の所定部分に配置される。所定部分は、例えばツール22のチェンジャ部22aなどである。電気的な離接は、接点同士が直接離接するものであってもよいし、結線などを介した間接的なものであってもよい。第1の接点群25は、複数の電気的接点からなる接点群である。
第1の接点群25は、第3の接点群36と接続して相互に通電し、ツール22の駆動系、例えばツール22を駆動するアクチュエータ22bの電源回路に用いられる。また、第1の接点群25は、第3の接点群36と接続して相互に通電し、かかるアクチュエータ22bの回転を制御するエンコーダの電源回路に用いられる。
第1の接点群25は、ツール22の電源回路の通電に用いられる複数の電気的接点からなる接点群(以下、メイン接点群26という)と、テストツールマスタ32に対するツール22の着脱可否の判定に用いられる接点群(以下、サブ接点群27という)を含む。メイン接点群26は、第3の接点群36の一部と接続して、サブ接点群27は、第3の接点群36の残りと接続して、それぞれ相互に通電する。サブ接点群27は、第1の接点群25の一部として構成され、本実施形態では複数の電気的接点からなる接点群である。ただし、一つの電気的接点をサブ接点としてもよい。
第1のコネクタ部C1は、メインコネクタ部C1mとサブコネクタ部C1sとを有する。メインコネクタ部C1mは、メイン接点群26と第3の接点群36とを通電させる。サブコネクタ部C1sは、サブ接点群27と第3の接点群36とを通電させる。サブ接点群27は、サブコネクタ部C1sがメインコネクタ部C1mと電気的に接続されることで、第3の接点群36と通電可能となる。本実施形態では一例として、サブコネクタ部C1sは、メインコネクタ部C1mを介して、サブ接点群27を第3の接点群36と通電させる構成としているが、メインコネクタ部C1mを介さず、第3のコネクタ部C3に直接電気的に接続される構成であってもよい。この場合、第1のコネクタ部は、メイン接点群26のみを第1の接点群として有する。
サブ接点群27は、ツール22を識別する識別子を兼ねる。すなわち、サブ接点群27を構成する各接点の通電有無(ON/OFF)に対応する値と、ツール22ごとに割り振られた識別子(ID)とが個別に対応する。このため、サブ接点群27を構成する各接点と、これらに対応する第3の接点群36の各接点との通電有無は、ツール22の識別子と一致する。したがって、ツール22の識別子に対応するサブ接点群27を第3の接点群36と電気的に接続させるサブコネクタ部C1sを揃えることで、対応する第3の接点群36の各接点とのサブ接点群27の通電有無(接点同士の通電有無の組み合わせ)に基づいて、ツール22を識別(特定)できる。
図5には一例として、サブ接点群27を4つの接点で構成した場合、各接点の通電有無(ON/OFF)、つまり4ビット相当で識別可能な16種類の値と、ツール22ごとに割り振られた識別子(ID)との対応関係(マップ351)を示す。この場合、サブ接点群27の4つの接点と対応する第3の接点群36の各接点との通電有無に応じて、最大16種類のツール22の識別(特定)が可能である。なお、図5において、各接点が通電している状態(ON)は「0」、通電していない状態(OFF)は「1」で示す。図5には、図3に示すIDが1に対応するサブ接点群27を有するサブコネクタ部C1sとしてCa、IDが2に対応するサブ接点群27を有するサブコネクタ部C1sとして、Cbを例示する。図3に示すサブ接点群27の4つの接点は、下から順に図5に示すa,b,c,dの接点(対応する第3の接点群36との接点同士による通電系統)に相当する。
図3に示すように、第3のコネクタ部C3は、テストツールマスタ32に設けられ、第3の接点群36を有する。第3のコネクタ部C3は、第3の接点群36が第1の接点群25(メイン接点群26およびサブ接点群27)と離接可能な状態となるように、テストツールマスタ32の所定部分に配置される。所定部分は、例えばテストツールマスタ32にツール22を取り付ける際の取付部分などである。電気的な離接は、接点同士が直接離接するものであってもよいし、結線などを介した間接的なものであってもよい。
第3の接点群36は、複数の電気的接点からなる接点群である。第3の接点群36は、第1の接点群25(メイン接点群26およびサブ接点群27)とそれぞれ接続して相互に通電する。第3の接点群36の数は、第1の接点群25の数に対応しており、本実施形態では、第1の接点群25の数と同数である。
上述したように、ツールマスタ23に設けられた第2のコネクタ部C2は、第3のコネクタ部C3の構成と同様である。したがって、第2のコネクタ部C2は、第3の接点群36と同等の第2の接点群28を有する。第2の接点群28は、第1の接点群25(メイン接点群26およびサブ接点群27)とそれぞれ接続して相互に通電する。第2の接点群28の数は、第1の接点群25の数に対応しており、本実施形態では、第1の接点群25および第3の接点群36の数と同数である。
検出部33は、制御部35がツール台31、テストツールマスタ32、ツール管理通信部34を動作制御するために必要な情報(データ)を検出する。
図2に示すように、検出部33は、ツール検出部331と、ID検出部332と、姿勢検出部333と、カバー位置検出部334、保持位置検出部335を含んで構成されている。これらの検出部331~335は、光、電磁気、圧力などの検出素子を有する各種のセンサである。検出されたデータは、電気信号として制御部35に送信されるとともに、ツール管理通信部34を介して制御装置4(具体的には通信制御部43)に送信される。
ツール検出部331は、保持部311にツール22が保持されているか否か、換言すれば、区画領域31aにおけるツール22の存否(有無)を検出する。以下の説明では、ツール検出部331の検出対象を単にツール有無という。例えば、ツール検出部331は、区画領域31aの縁に設けられ、ツール22との接触を検出するセンサである。ツール検出部331は、区画領域31aごとに備えられ、ツール有無を区画領域31aごとにそれぞれ検出する。
ID検出部332は、区画領域31aに保持されたツール22の識別子を検出する。上述したように本実施形態では、ツール22の第1のコネクタ部C1のサブ接点群27がツール22の識別子(ID)を兼ねている。したがって、ID検出部332は、テストツールマスタ32の第3の接点群36とサブ接点群27との通電有無に基づいて、ツール22の識別子を検出する。ID検出部332は、テストツールマスタ32に配置される。図1に示す構成例では、ID検出部332が二つのテストツールマスタ32にそれぞれ配置され、これらに取り付けられた各ツール22の識別子が個別に検出される。これに代えて、例えば二つのテストツールマスタ32に取り付けられた各ツール22の識別子を、一つのID検出部332でそれぞれ検出してもよい。
姿勢検出部333は、ツール22の姿勢(以下、ツール姿勢という)を検出する。ツール姿勢は、テストツールマスタ32への取り付け時におけるツール22の姿勢である。姿勢検出部333は、ツールマスタ23の検出部23aと同様のセンサであり、本実施形態では一例として、ツール22に設けられた金属板などからの光の反射有無を検出するセンサである。姿勢検出部333は、テストツールマスタ32に配置される。
カバー位置検出部334は、保持部311(端的には区画領域31a)に対するカバー部312の相対的な変位状態を検出する。変位状態は、例えば保持部311に対するカバー部312の回動角度変化などである。カバー位置検出部334は、カバー部312の変位状態を直接検出すればよいが、例えばヒンジ機構のアクチュエータの回転状態を間接的に検出してもよい。カバー位置検出部334は、これらの変位状態を検出可能にツール台31に配置される。
保持位置検出部335は、保持部311の変位状態を検出する。変位状態は、例えばツール台31の座面31s(図4A,図4B,図4C参照)に対する保持部311の変位前後の位置、変位距離などである。本実施形態において、変位前後の位置は座面31sからの垂直方向の高さ、変位距離は垂直方向の高さ変動である。保持位置検出部335は、保持部311の変位状態を直接検出すればよいが、例えば移動機構313であるエアシリンダのスライダの変位状態を検出することで、カバー部312の変位状態を間接的に検出してもよい。保持位置検出部335は、これらの変位状態を検出可能にツール台31に配置される。
ツール管理通信部34は、制御部35との間で、ツール台31、テストツールマスタ32、検出部33、具体的にはカバー部312、移動機構313、ツール検出部331、ID検出部332、着脱検出部333、カバー位置検出部334の動作を制御する各種の信号を有線もしくは無線を介して送受信する。これらの動作には、カバー部312および保持部311の変位動作、テストツールマスタ32に対するツール22の取付動作が含まれる。また、ツール管理通信部34は、制御装置4(具体的には通信制御部43)との間で、ツールマスタ23に取り付けるツール22のID(所定ID)を示す信号を受信する。加えて、ツール管理通信部34は、カバー位置検出部334が検出したカバー部312の変位状態、保持位置検出部335が検出した保持部311の変位状態、およびツール検出部331が検出したツール有無をそれぞれ示す信号を有線もしくは無線を介して送受信する。そして、ツール管理通信部34は、所定IDと一致する後述の解析IDのツール22が保持された区画領域31aのアドレスを、制御装置4(具体的には通信制御部43)を介してロボット通信部24に送信する。
制御部35は、ツール台31、テストツールマスタ32、検出部33、ツール管理通信部34の動作を制御する。制御部35は、CPU、メモリ、記憶装置(不揮発メモリ)、入出力回路、タイマなどを含み、所定の演算処理を実行する。例えば、制御部35は、各種データを入出力回路により読み込み、記憶装置からメモリに読み出したプログラムを用いてCPUで演算処理し、処理結果に基づいてツール台31などの動作制御を行う。具体的には、これらの動作制御を行い、ID検出部332で検出されたツール22の識別子(以下、解析IDという)と所定識別子(以下、所定IDという)との整合を判定する。解析IDは、ID検出部332から取得した信号を制御部35が解析し、接点同士の通電有無に対応する値として特定される。所定IDは、ロボットアーム21に対するツール22の取り付けもしくは取り外しを行う際、その対象となるツール22の識別子である。判定の結果、解析IDと所定IDとが一致する場合、制御部35は、該解析IDのツール22が保持されている区画領域31aのアドレスをツール管理通信部34に与える。
また、制御部35は、ツール台31とツール22との対応関係を管理するマップ(マスタテーブル)351を有する。図5に示すように、マップ351は、ツール台31におけるツール22の管理位置、つまり区画領域31aのアドレスと、そのアドレスで管理されるツール22の識別子(以下、IDもしくはツールIDという)との紐付けを示すレコードの集合(データベース)である。区画領域31aのアドレスおよびツール22のIDには、それぞれ固有値が予め割り振られている。マップ351のレコード(区画領域31aのアドレスとツール22のツールIDとの対応関係を示すデータ)は、適宜登録、更新(追加、変更、削除)して蓄積される。これにより、区画領域31aのアドレスとツール22のIDとの対応関係は、常に最新の情報に維持される。マップ351は、制御部35の記憶装置に格納され、ツール着脱(交換)時などに管理部44によってレコードが読み出される。
例えば、サブ接点群27を4つの接点で構成し、各接点の通電有無(ON/OFF)の組み合わせ、つまり4ビット相当の16種類の値でツールIDを識別する場合を想定する。この場合、ツール台31には、16個のアドレスを割り振ること、換言すれば16個の区画領域31aを設けることが可能である。図5は、これらのアドレス(図中のAddress)とツールID(図中のID)との対応関係を示すマップ351の一例である。
本実施形態では一例として、制御部35でマップ351を管理する構成としているが、マップ351は省略可能である。例えば、ツール22の取り付け時には、該ツール22のIDをオペレータがその都度入力し、管理部44が制御部35に付与してもよい。そして、該IDに対応する区画領域31aのアドレスを蓄積管理せずに、制御部35が管理部44に付与すればよい。
なお、本実施形態では、制御部35を制御装置4とは独立して構成しているが、制御部35は、動作制御部42の一機能として制御装置4に統合させてもよい。
制御装置4は、ロボット装置2の動作を制御するとともに、制御部35と連動してツール管理装置3の動作を制御する。制御装置4は、CPU、メモリ、記憶装置(不揮発メモリ)、入出力回路、タイマなどを含み、所定の演算処理を実行する。例えば、制御装置4は、各種データを入出力回路により読み込み、記憶装置からメモリに読み出したプログラムを用いてCPUで演算処理し、処理結果に基づいてロボット装置2およびツール管理装置3の動作制御を行う。
図2に示すように、制御装置4は、検出制御部41と、動作制御部42と、通信制御部43と、管理部44とを備える。
検出制御部41は、集積領域11における物品5の集積態様を検出する。物品5の集積態様は、集積された複数の物品5の輪郭、大きさ、向き、重なり、境界などの態様である。例えば、検出制御部41は、物品5の集積態様や形態を撮像する3Dカメラや2Dカメラなどの撮像装置である。検出制御部41は、検出結果である物品5の集積態様のデータ(例えば、物品5の集積領域11の撮像画像データ)を動作制御部42に与える。
動作制御部42は、ロボットアーム21、ツール22、ツールマスタ23の動作を制御するとともに、制御部35にツール管理装置3の動作を制御させる。すなわち、動作制御部42は、ツール管理通信部34を介して制御部35を制御し、ツール台31、テストツールマスタ32、検出部33の動作をそれぞれ制御する。
集積領域11から所望領域12に物品5を移動させる場合、動作制御部42は、物品5を集積領域11からピッキングさせ、所望領域12で物品5を解放させる。物品5のピッキング時および解放時、動作制御部42は、ツール22の把持機構の動作を制御する。その際、ピッキングの前処理として、動作制御部42は、検出制御部41が検出した物品5の集積態様に基づいて、ツール22が把持する物品5を選択し、その把持面を決定する。例えば、動作制御部42は、検出制御部41が撮像した画像データを解析する。物品5の移動時、動作制御部42は、アーム部21bの各部分を関節部の軸まわりにアクチュエータなどで回動させる。これにより、動作制御部42は、アーム部21bを基台部21aに対して所望姿勢とし、ツール22の位置を集積領域11から所望領域12まで変位させる。
加えて、アーム部21b(ツールマスタ23)に対するツール22の着脱時、動作制御部42は、アーム部21bの各部分を関節部の軸まわりにアクチュエータなどで回動させる。これにより、動作制御部42は、アーム部21bを基台部21aに対して所望姿勢とし、ツール台31との間で変位させる。また、動作制御部42は、制御部35に移動機構(エアシリンダ)313を動作させ、ツール台31の保持部311をツール着脱方向に変位させる。そして、動作制御部42は、ツール22をツールマスタ23に着脱させる。その際、動作制御部42は、ツールマスタ23の動作を制御し、ツールマスタ23とツール22との通電状態に基づいて、ツールマスタ23に対するツール22の着脱を制御する。
通信制御部43は、検出制御部41、動作制御部42、および管理部44と、ロボット通信部24およびツール管理通信部34との間で、ロボットアーム21による物品5のピッキングとロボットアーム21に対するツール22の着脱(交換)をそれぞれ制御するための各種の信号を有線もしくは無線を介して送受信する。
管理部44は、検出制御部41、動作制御部42、および通信制御部43を一元管理する。本実施形態では、管理部44を検出制御部41、動作制御部42、および通信制御部43とは別の構成とするが、管理部44を含むこれら各部は、それぞれの機能を果たすアプリケーションプログラムとして一つのマスタ装置(筐体)に搭載し、共通の演算処理部で実行される構成であってもよい。
ここで、ロボットアーム21に対するツール22の交換を含む着脱時における荷役装置1の動作と作用について、ロボット装置2およびツール管理装置3に対する制御装置4の制御フローに従って説明する。図6から図14には、ツール22の着脱時における制御装置4の制御フローを示す。
なお、以下の各説明においてその都度言及しないが、制御装置4は、通信制御部43とロボット通信部24およびツール管理通信部34との間で、制御のために必要な所定の信号をそれぞれ送受信することで、ロボット装置2およびツール管理装置3に対して所望の制御を実行する。ツール管理装置3における直接的な制御は、制御部35が実行する。
まず、図6に示すツール22の取り付け時における荷役装置1の動作と作用について説明する。図6は、ツール22の取り付け時の制御フロー図である。ツール22をロボットアーム21に取り付けるにあたって、荷役装置1は、アドレス確認処理(S01)、取付前処理(S02)、取付処理(S03)、取付後処理(通電処理)(S04)を順次行う。
図7には、アドレス確認処理(S01)の制御フローを示す。アドレス確認処理は、ツール22(取付対象ツール)をツールマスタ23に取り付ける前に、該ツール22が保持されている区画領域31aのアドレスを確認するための処理である。アドレス確認処理は、例えば後述する取外前処理フラグ、取外処理フラグ、および取外後処理フラグがいずれもONである場合に実行される。図7に示すように、アドレス確認処理において、管理部44は、取付対象ツールが保持されている区画領域31aのアドレスの確認を動作制御部42に指示する(S101)。その際、管理部44は、例えば制御部35のマップ351からレコードを読み出し、取付対象ツールのID(所定ID)を含む信号(トリガー)を動作制御部42に送信する。動作制御部42は、送信された所定IDの値をメモリに保持する。所定IDは、マップ351の読み出しではなく、オペレータが管理部44を介して動作制御部42に付与してもよい。
次いで、動作制御部42は、ツール管理装置3の制御部35を動作させて、所定IDと一致するIDのツール22が保持された区画領域31a(所定区画領域)の存否を確認する。その際、制御部35は、動作制御部42から所定IDの値を取得し、メモリに保持する。ツール管理装置3においては、ツール台31、テストツールマスタ32、検出部33、ツール管理通信部34を制御部35が動作制御し、所定区画領域のアドレス確認がなされる。
アドレス確認にあたって、制御部35は、取付対象ツールがツール台31に保持されていることを確認する(S102)。このため、制御部35は、区画領域31aにツール22が存在しているか否かを判定する。判定にあたって、制御部35は、区画領域31aにおいて、ツール22の存在がツール検出部331によって検出されているかを解析する。例えば、ツール検出部331からツール22の保持(区画領域31aにおけるツール22の存在)を示す信号が送信されている場合、制御部35は、該区画領域31aにツール22が保持されていると判定する。なおこの段階では、制御部35は、区画領域31aにおけるツール有無を判定しており、該ツール22のIDが所定IDと一致しているか否かは判定しない。一方、かかる信号が送信されていない場合、制御部35は、かかる区画領域31aにツール22が保持されていないと判定する。
ツール22が保持されていない場合、制御部35は、それ以外の残りの区画領域31aにおいて、ツール22の存在がツール検出部331によって検出されているかを、順次同様に解析する。これら残りの区画領域31aにおいても、制御部35は、ツール有無を判定し、ツール22のIDと所定IDとの整合は判定しない。
いずれかの区画領域31aにツール22が保持されている場合、制御部35は、ツール台31におけるカバー部312の現在位置を確認する(S103)。このため、制御部35は、開放条件を判定する。開放条件は、カバー部312が開放状態となる位置(開放位置)に位置しているか否かの判定条件である。開放位置は、図4Bに示すように、カバー部312がツール22のチェンジャ部22aの上方を遮ることなく、チェンジャ部22aを上方に臨ませた状態となるカバー部312の位置として規定されている。別の捉え方をすれば、開放位置は、ロボットアーム21のアーム部21b(ツールマスタ23)がチェンジャ部22aにアクセスする際に妨げとならないカバー部312の位置である。開放位置のデータは、例えば制御部35の記憶装置に格納され、開放条件の判定時にパラメータとして制御部35に読み出される。
開放条件の判定にあたって、制御部35は、カバー位置検出部334からカバー部312の現在位置を取得し、開放位置と比較する。例えば、カバー部312の現在位置が開放位置である場合、制御部35は、開放条件を満たすと判定する。一方、カバー部312の現在位置が開放位置ではない場合、制御部35は、開放条件を満たさないと判定する。なお、開放条件は、現在位置が開放位置と一致している場合の他、若干の誤差(遊び)の範囲内であっても満たされる。
開放条件を満たす場合、制御部35は、カバー部312および保持部311を着脱位置に変位させる(S104)。着脱位置は、区画領域31aに保持されたツール22を取り付けるべく、テストツールマスタ32に対する動作制御を開始可能なカバー部312および保持部311の位置として規定されている。着脱位置に変位させるにあたって、制御部35は、カバー部312を開放状態からカバー状態となる位置(つまり着脱位置)に位置付けるとともに(図4A参照)、着脱位置に向けて保持部311を上昇させる。例えば、制御部35は、ヒンジ機構のアクチュエータを作動させてカバー部312をカバー状態とするとともに、移動機構313のエアシリンダを作動させて保持部313を着脱位置まで上昇させる。これにより、区画領域31aに保持されたツール22がテストツールマスタ32に向けて上昇する。
制御部35は、カバー部312および保持部311の現在位置を確認する(S105)。このため、制御部35は、着脱点条件を判定する。着脱点条件は、カバー部312および保持部311が着脱位置に位置しているか否かの判定条件である。着脱位置のデータは、例えば制御部35の記憶装置に格納され、着脱点条件の判定時にパラメータとして制御部35に読み出される。着脱点条件の判定にあたって、制御部35は、カバー位置検出部334からカバー部312の現在位置、保持位置検出部335から保持部311の現在位置をそれぞれ取得し、着脱位置と比較する。例えば、カバー部312および保持部311の現在位置がいずれも着脱位置である場合、制御部35は、着脱点条件を満たすと判定する。一方、カバー部312および保持部311の現在位置の少なくとも一方が着脱位置ではない場合、制御部35は、着脱点条件を満たさないと判定する。なお、着脱点条件は、現在位置が着脱位置と一致している場合の他、若干の誤差(遊び)の範囲内であっても満たされる。
着脱点条件を満たす場合、制御部35は、区画領域31aに保持されたツール22がテストツールマスタ32に対して適正なツール姿勢であることを確認する(S106)。このため、制御部35は、区画領域31aに保持されたツール22のテストツールマスタ32に対する姿勢が適正であるか否かを判定する。判定にあたって、制御部35は、テストツールマスタ32の姿勢検出部333から光の反射を示す信号を取得する。制御部35は、取得した信号を解析し、例えば反射強度に偏りがない場合、ツール姿勢が適正であると判定する。一方、反射強度に偏りがある、あるいは反射を示す信号がない場合、制御部35は、ツール姿勢が適正でないと判定する。
ツール姿勢が適正である場合、制御部35は、テストツールマスタ32にツール22を取り付ける(S107)。取り付けにあたって、制御部35は、テストツールマスタ32を動作させる。テストツールマスタ32は、例えば真空発生器およびコンプレッサを稼働させるとともに、バルブを閉じ、ツール22を吸着体で吸着させる。
制御部35は、取り付けたツール22のIDを確認する(S108)。確認にあたって、制御部35は、テストツールマスタ32を動作させる。テストツールマスタ32は、例えばリレーをONとすることで、サブ接点群27と第3の接点群36とを電気的に接続させる。制御部35は、接点群27,36の接点同士の通電有無を判定する。判定にあたって、制御部35は、これら接点群27,36の接点同士の通電有無を示す信号をID検出部332から取得する。そして、制御部35は、取得した信号を解析し、接点同士の通電有無に対応する値(通電有無の組み合わせ)として解析IDを特定する。特定した解析IDの値は、制御部35のメモリに保持される。
解析IDを特定すると、制御部35は、サブ接点群27と第3の接点群36とを電気的に切断させる(S109)。切断にあたって、制御部35は、テストツールマスタ32を動作させる。テストツールマスタ32は、例えばリレーをOFFとすることで、サブ接点群27と第3の接点群36とを電気的に切断させる。
その後、制御部35は、テストツールマスタ32からツール22を取り外す(S110)。取り外しにあたって、制御部35は、テストツールマスタ32を動作させる。テストツールマスタ32は、例えば真空発生器およびコンプレッサを稼働させるとともに、バルブを開き、吸着体からツール22を解放させる。
そして、制御部35は、所定IDと解析IDが一致するかを確認する(S111)。このため、制御部35は、メモリに保持した所定IDの値と解析IDの値とを比較する。所定IDの値と解析IDの値が一致する場合、テストツールマスタ32に取り付けられたツール22が取付対象ツールであると判定できる。
所定IDの値と解析IDの値が一致する場合、制御部35は、該ツール22(取付対象ツール)が保持されている区画領域31a(所定区画領域)のアドレスを示す信号(以下、アドレス信号という)をツール管理通信部34に与える。ツール管理通信部34は、通信制御部43を介してアドレス信号を管理部44に送信する(S112)。管理部44は、後述するツールマスタ23へのツール22の取り付け時に、通信制御部43を介してアドレス信号をロボット通信部24に送信する。すなわち、ツール管理通信部34は、通信制御部43を介してアドレス信号をロボット通信部24に送信する。
これに対し、所定IDの値と解析IDの値が一致しない場合、その他の区画領域31aに保持されているツール22について、S106からS111の処理を繰り返す(S113)。
所定区画領域のアドレスを管理部44に送信すると、制御部35は、カバー部312および保持部311を着脱位置から退避させる(S114)。着脱位置から退避させるにあたって、制御部35は、カバー部312をカバー状態から開放状態となる位置に位置付けるとともに(図4B参照)、着脱位置から保持部311を下降させる。例えば、制御部35は、ヒンジ機構のアクチュエータを作動させてカバー部312を開放状態とするとともに、移動機構313のエアシリンダを作動させて保持部313を着脱位置から下降させる。これにより、取り外されたツール22がテストツールマスタ32から離れ、区画領域31aに保持された状態で保持部313とともに下降する。
カバー部312および保持部311を着脱位置から退避させると、制御部35は、その旨の信号を管理部44に送信する。かかる信号を受信すると、管理部44は、制御部35に対し、ツール台31(区画領域31a)のアドレスとツール22のIDとの対応関係を示すマップ(マスタテーブル)351のレコードを更新もしくは追加させる(S115)。これにより、区画領域31aのアドレスとツール22のIDとの対応関係は、最新の情報に維持される。
その後、管理部44は、アドレス確認処理を終了(正常終了)させる。正常終了とは、所定IDのツール22(取付対象ツール)が区画領域31aに保持され、該区画領域31aのアドレスが管理部44に付与されている状態である。正常終了させる際、管理部44は、アドレス確認処理が正常終了していることを示すフラグ(以下、アドレス確認処理フラグという)をONに設定する(S116)。アドレス確認処理フラグの初期値はOFFである。
なお、S102においていずれの区画領域31aにもツール22が保持されていない場合、S103において開放条件を満たさない場合、S105において着脱点条件を満たさない場合、S106においてツール姿勢が適正でない場合、S113において所定IDの値とすべての解析IDの値が一致しない場合、制御部35は、アドレス確認処理が正常でない(異常である)ことを示す信号を管理部44に送信する。アドレス確認処理の異常信号が管理部44に送信されることによっても、アドレス確認処理は終了(異常終了)する。その際、管理部44は、アドレス確認処理フラグを異常値に設定する(S117)。また、制御部35は、所定の異常処理を実行してもよい。例えば、異常処理として、警告灯の点灯(点滅)、警告音の鳴動、警告メッセージの表示などの警告を行い、アドレスの確認時に生じたエラーの周知徹底を図る。各ステップの異常処理の内容は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
アドレス確認処理が正常終了すると、荷役装置1は、取付前処理(S02)を行う。例えば、アドレス確認処理フラグがONである場合、荷役装置1は、取付前処理を行う。
図8には、取付前処理(S02)の制御フローを示す。図8に示すように、取付前処理において、管理部44は、ツール22(取付対象ツール)の取り付けを動作制御部42に指示する(S201)。その際、管理部44は、例えばマップ351から取外対象ツールのID(所定ID)をキーとしてレコードを抽出し、所定IDおよび所定IDに紐付けられたツール台31(区画領域31a)のアドレスを含む信号(トリガー)を動作制御部42に送信する。なお、管理部44は、マップ351からではなく、アドレス確認処理(S01)で取得した所定IDと所定IDに対応する所定区画領域のアドレスを含む信号(トリガー)を動作制御部42に送信してもよい。動作制御部42は、送信された所定IDおよび所定区画領域のアドレスの値をメモリに保持する。
取付指示を受けると、動作制御部42は、ロボットアーム21のアーム部21b、換言すればツールマスタ23にツール22が取り付けられていないことを確認する(S202)。このため、動作制御部42は、ツールマスタ23にツール22が取り付けられているか否かを判定する。判定にあたって、動作制御部42は、ツールマスタ23の検出部23aから検出結果、本実施形態では光の反射有無を示す信号を取得する。動作制御部42は、取得した信号を解析し、ツールマスタ23に対するツール22の取付有無を判定する。例えば、反射があることを示す信号である場合、動作制御部42は、ツール22が取り付けられていると判定する。一方、反射がないことを示す信号である(反射を示す信号がない)場合、動作制御部42は、ツール22が取り付けられていないと判定する。
ツールマスタ23にツール22が取り付けられていない場合、動作制御部42は、ツールマスタ23とツール22が電気的に接続されていないことを確認する(S203)。これらの電気的な接続がないことは、サブ接点群27と第2の接点群28とが通電していないことにより確認する。したがって、動作制御部42は、サブ接点群27と第2の接点群28との通電有無を判定する。例えば、通電信号が検出された場合、動作制御部42は、電気的に接続されていると判定する。一方、通電信号が検出されない場合、動作制御部42は、電気的に接続されていないと判定する。このように接点群27,28間の通電有無によりツール22が取り付けられていないことを確認することで、検出部23aによるツール22の取付有無の検出を補完でき、判定精度を高められる。
ツールマスタ23とツール22が電気的に接続されていない場合、動作制御部42は、取付前処理が正常であることを示す信号を管理部44に送信する。取付前処理が正常であるとは、ツールマスタ23にツール22が取り付けられておらず、ツール22がツールマスタ23と電気的に接続されていない状態である。すなわち、ツールマスタ23に対してツール22の取り付けが可能な状態である。取付前処理の正常信号が管理部44に送信されると、取付前処理は終了(正常終了)する。その際、管理部44は、取付前処理が正常終了していることを示すフラグ(以下、取付前処理フラグという)をONに設定する(S204)。取付前処理フラグの初期値はOFFである。
なお、S202においてツールマスタ23にツール22(取付対象ツールであるかは問わない)が取り付けられている場合、S203においてツールマスタ23とツール22が電気的に接続されている場合、動作制御部42は、ツール22の取り付けが不可能である旨、つまり取付前処理が正常でない(異常である)ことを示す信号を管理部44に送信する。取付前処理の異常信号が管理部44に送信されることによっても、取付前処理は終了(異常終了)する。その際、管理部44は、取付前処理フラグを異常値に設定する(S205)。また、動作制御部42は、所定の異常処理を実行してもよい。例えば、異常処理として警告灯の点灯(点滅)、警告音の鳴動、警告メッセージの表示などの警告を行い、取付前処理時に生じたエラーの周知徹底を図る。
取付前処理が正常終了すると、荷役装置1は、取付処理(S03)を行う。例えば、取付前処理フラグがONである場合、荷役装置1は、取付処理を行う。
図9には、取付処理(S03)の制御フローを示す。この場合、取付前処理(S02)が正常終了しているため、動作制御部42は、ツールマスタ23に取付対象ツールを取り付けるべく、ロボットアーム21を動作させる(S301)。例えば、動作制御部42は、取付対象ツールを保持する区画領域31a(所定区画領域)のアドレスに向けてアーム部21bを変位させ、ツールマスタ23を取付対象ツールのチェンジャ部22aの上方に位置付ける。そして、動作制御部42は、ツールマスタ23の取付対象ツールとの取付部分を下方に臨ませ、チェンジャ部22aと正対させる。
次いで、動作制御部42は、取付対象ツールが所定区画領域に保持されていることを確認する(S302)。このため、動作制御部42は、所定区画領域に取付対象ツールが存在しているか否かを判定する。判定にあたって、動作制御部42は、所定区画領域において、取付対象ツールの存在がツール検出部331によって検出されているかを確認する。例えば、ツール検出部331から取付対象ツールの保持(所定区画領域における取付対象ツールとの接触)を示す信号が送信されている場合、動作制御部42は、所定区画領域に取付対象ツールが保持されていると判定する。一方、かかる信号が送信されていない場合、動作制御部52は、所定区画領域に取付対象ツールが保持されていないと判定する。
取付対象ツールが保持されている場合、動作制御部42は、ツールマスタ23に取付対象ツールを取り付ける(S303)。取り付けにあたって、動作制御部42は、ツールマスタ23を動作させる。ツールマスタ23は、例えば真空発生器およびコンプレッサを稼働させるとともに、バルブを閉じ、取付対象ツールを吸着体で吸着させる。その際、動作制御部42は、制御部35を制御し、カバー部312および保持部311を着脱位置に変位させる。着脱位置に変位させるにあたって、制御部35は、カバー部312および保持部311に対してアドレス確認処理(S01)のS104と同様の制御を行う。これにより、所定区画領域に保持された取付対象ツールがツールマスタ23に向けて上昇する。
続けて、動作制御部42は、ツールマスタ23に取付対象ツールが取り付けられていることを確認する(S304)。このため、動作制御部42は、ツールマスタ23に取付対象ツールが取り付けられているか否かを判定するべく、ツールマスタ23の検出部23aから光の反射有無を示す信号を取得する。動作制御部42は、取得した信号を解析し、例えば反射があることを示す信号である場合、取付対象ツールが取り付けられていると判定する。一方、反射がないことを示す信号である(反射を示す信号がない)場合、動作制御部42は、取付対象ツールが取り付けられていないと判定する。なお、この段階では、取付対象ツールは、ツールマスタ23と電気的に接続されている訳ではなく、メイン接点群26は、第2の接点群28と通電していない。
取付対象ツールがツールマスタ23に取り付けられている場合、動作制御部42は、取付処理が正常であることを示す信号を管理部44に送信する。取付処理が正常であるとは、ツールマスタ23に取付対象ツールが取り付けられていることが検出部23aに検出されている状態である。すなわち、取付対象ツールに対する通電可否を判定可能な状態である。取付処理の正常信号が管理部44に送信されると、取付処理は終了(正常終了)する。その際、管理部44は、取付処理が正常終了していることを示すフラグ(以下、取付処理フラグという)をONに設定する(S305)。取付処理フラグの初期値はOFFである。
なお、S302において所定区画領域に取付対象ツールが保持されていない場合、S304においてツールマスタ23に取付対象ツールが取り付けられていない場合、動作制御部42は、ツール22の取り付けが不可能である旨、つまり取付処理が正常でない(異常である)ことを示す信号を管理部44に送信する。取付処理の異常信号が管理部44に送信されることによっても、取付処理は終了(異常終了)する。その際、管理部44は、取付処理フラグを異常値に設定する(S306)。また、動作制御部42は、所定の異常処理を実行してもよい。例えば、異常処理として警告灯の点灯(点滅)、警告音の鳴動、警告メッセージの表示などの警告を行い、取付処理時に生じたエラーの周知徹底を図る。
取付処理が正常終了すると、荷役装置1は、取付後処理(通電処理)(S04)を行う。例えば、取付処理フラグがONである場合、荷役装置1は、取付後処理を行う。
図10には、取付後処理(S04)の制御フローを示す。取付後処理は、取付対象ツールを電源ONに適切に切り替えるための処理である。図10に示すように、取付後処理において、動作制御部42は、サブ接点群27と第2の接点群28とが通電可能かを確認する(S401)。ここでの通電確認は、ツール電源をONに切り替えるため、メイン接点群26と第2の接点群28とを通電させる前に、サブ接点群27と第2の接点群28とを通電させる通電テストの意味を持つ。確認にあたって、動作制御部42は、ツールマスタ23を動作させる。ツールマスタ23は、例えばリレーをONとすることで、サブ接点群27と第2の接点群28とを電気的に接続させる。動作制御部42は、接点群27,28の接点同士の通電有無を判定する。判定にあたって、動作制御部42は、これら接点群27,28の接点同士の通電有無を示す信号をツールマスタ23から取得する。そして、動作制御部42は、取得した信号を解析し、接点同士の通電有無に対応する値(解析ID)を特定する。
続けて、動作制御部42は、所定IDと解析IDが一致するかを確認する(S402)。所定IDと解析IDとの比較、判定方法は、アドレス確認処理(S01)のステップS111と同様である。
所定IDの値と解析IDの値が一致する場合、動作制御部42は、取付対象ツールの電源をOFFからONに切り替える(S403)。その際、動作制御部42は、ツールマスタ23を動作させる。ツールマスタ23は、例えばリレーをONとすることで、メイン接点群26と第2の接点群28とを電気的に接続させる。なおこの時、サブ接点群27と第2の接点群28とは、S401においてすでにそれぞれ電気的に接続された状態となっている。すなわち、動作制御部42は、サブ接点群27と第2の接点群28との通電有無に基づいて、メイン接点群26と第2の接点群28との通電可否を判定する。ツールマスタ23は、サブ接点群27と第2の接点群28が通電している場合、メイン接点群26と第2の接点群28とを通電させる。
次いで、動作制御部42は、メイン接点群26と第2の接点群28の接点同士の通電有無を判定する(S404)。判定にあたって、動作制御部42は、これら接点同士(判定用接点群)の通電有無を示す信号をツールマスタ23から取得する。例えば、これら接点同士の通電を示す信号を取得した場合、動作制御部42は、取付対象ツールが適切に電源ONとされたと判定する。一方、これら接点同士の通電を示す信号を取得しない場合、動作制御部42は、取付対象ツールが適切に電源ONとされなかったと判定する。
取付対象ツールが適切に電源ONとされた場合、動作制御部42は、取付後処理(通電処理)が正常であることを示す信号を管理部44に送信する。取付後処理が正常であるとは、取付対象ツールが適切に電源ONとされた状態である。すなわち、取付対象ツールが物品5のピッキングなどの動作を適切に行うことが可能な状態である。取付後処理の正常信号が管理部44に送信されると、取付後処理は終了(正常終了)する。その際、管理部44は、取付後処理が正常終了していることを示すフラグ(以下、取付後処理フラグという)をONに設定する(S405)。取付後処理フラグの初期値はOFFである。
なお、S402において所定IDと解析IDが一致しない場合、S404においてメイン接点群26と第2の接点群28の接点同士の通電を示す信号を取得しない場合、動作制御部42は、取付対象ツールを電源ONとすることが不可能である旨、つまり取付後処理が正常でない(異常である)ことを示す信号を管理部44に送信する。取付後処理の異常信号が管理部44に送信されることによっても、取付後処理は終了(異常終了)する。その際、管理部44は、取付後処理フラグを異常値に設定する(S406)。動作制御部52は、所定の異常処理を実行してもよい。例えば、異常処理として警告灯の点灯(点滅)、警告音の鳴動、警告メッセージの表示などの警告を行い、取付後処理時に生じたエラーの周知徹底を図る。さらに、これらの警告に応じて、一旦取り付けた取付対象ツールの取り外しを行ってもよい。
取付後処理が正常終了すると、荷役装置1は、ツール22を取り付けるための一連の処理(アドレス確認処理、取付前処理、取付処理、取付後処理)を終了する。また、取付後処理が正常終了すると、管理部44は、後述するツール22を取り外すための一連の処理で使用する取外前処理フラグ、取外処理フラグ、および取外後処理フラグをいずれも初期値(OFF)に戻す。これにより、管理部44は、ツール22の取り付け後の取り外し(交換)に備える。
次に、図11に示すツール22の取り外し時の荷役装置1の動作と作用について説明する。図11はツール22の取り外し時の制御フロー図である。ツール22をロボットアーム21から取り外すにあたって、荷役装置1は、取外前処理(S05)、取外処理(S06)、取外後処理(S07)を順次行う。
図12には、取外前処理(S05)の制御フローを示す。取外前処理は、例えば上述したアドレス確認処理フラグ、取付前処理フラグ、取付処理フラグ、および取付後処理フラグがいずれもONである場合に実行される。図12に示すように、取外前処理において、管理部44は、動作制御部42にツール22(取外対象ツール)の取り外しを指示する(S501)。その際、管理部44は、例えば制御部35のマップ351から取外対象ツールのID(所定ID)をキーとしてレコードを抽出し、所定IDおよび所定IDに紐付けられたツール台31(区画領域31a)のアドレスを含む信号(トリガー)を動作制御部42に送信する。なお、管理部44は、マップ351からではなく、オペレータが入力した所定IDと所定IDに対応する所定区画領域のアドレスを含む信号(トリガー)を動作制御部42に送信してもよい。動作制御部42は、送信されたツールIDおよびアドレスの値をメモリに保持する。
取外指示を受けると、動作制御部42は、ロボットアーム21のアーム部21b、端的にはツールマスタ23にツール22が取り付けられていることを確認する(S502)。このため、動作制御部42は、ツールマスタ23にツール22が取り付けられているか否かを判定する。判定にあたって、動作制御部42は、ツールマスタ23の検出部23aから光の反射有無を示す信号を取得する。動作制御部42は、取得した信号を解析し、ツールマスタ23に対するツール22の取付有無を判定する。例えば、反射があることを示す信号である場合、動作制御部42は、ツール22が取り付けられていると判定する。一方、反射がないことを示す信号である(反射を示す信号がない)場合、動作制御部42は、ツール22が取り付けられていないと判定する。
ツールマスタ23にツール22が取り付けられている場合、動作制御部42は、ツールマスタ23とツール22が電気的に接続されていることを確認する(S503)。これらの電気的な接続があることは、サブ接点群27と第2の接点群28とが通電していることにより確認する。したがって、動作制御部42は、サブ接点群27と第2の接点群28との通電有無を判定する。例えば、通電信号が検出された場合、動作制御部42は、電気的に接続されていると判定する。一方、通電信号が検出されない場合、動作制御部42は、電気的に接続されていないと判定する。このように接点群27,28間の通電有無によりツール22が取り付けられていることを確認することで、ツールマスタ23の検出部23aによる検出を補完でき、判定精度を高められる。
ツールマスタ23とツール22が電気的に接続されている場合、動作制御部42は、所定IDの取外対象ツールがツール台31に保持されていないこと、つまり、取外対象ツールに対応するアドレスの区画領域31a(所定区画領域)が空いているか否かを判定する(S504)。判定にあたって、動作制御部42は、所定区画領域において、取外対象ツールの存在がツール検出部331によって検出されていないことを確認する。例えば、ツール検出部331から取外対象ツールの保持(所定区画領域における取外対象ツールとの接触)を示す信号が送信されていない場合、動作制御部42は、所定区画領域に取外対象ツールが保持されていないと判定する。この場合、所定区画領域は、空き状態となっている。一方、かかる信号が送信されている場合、動作制御部42は、所定区画領域に取外対象ツールが保持されていると判定する。
所定区画領域に取外対象ツールが保持されていない場合、動作制御部42は、所定IDが解析IDと一致するかを確認する(S505)。このため、動作制御部42は、サブ接点群27と第2の接点群28の接点同士の通電有無を示す信号を解析し、接点同士の通電有無に対応する値を解析IDとして特定する。
所定IDの値と解析IDの値が一致する場合、動作制御部42は、取外前処理が正常であることを示す信号を管理部44に送信する。取外前処理が正常であるとは、ツールマスタ23に取外対象ツールが取り付けられており、取外対象ツールがツール台31に保持されていない(所定区画領域が空いている)状態である。すなわち、ツールマスタ23から取外対象ツールの取り外しが可能な状態である。取外前処理の正常信号が管理部44に送信されると、取外前処理は終了(正常終了)する。その際、管理部44は、取外前処理が正常終了していることを示すフラグ(以下、取外前処理フラグという)をONに設定する(S506)。取外前処理フラグの初期値はOFFである。
なお、S502においてツールマスタ23にツール22(取外対象ツールであるかは問わない)が取り付けられていない場合、ツール22の取り外しが不可能である旨、つまり取外前処理が正常でない(異常である)ことを示す信号を管理部44に送信する。取外前処理の異常信号が管理部44に送信されることによっても、取外前処理は終了(異常終了)する。また、S503においてツールマスタ23とツール22が電気的に接続されていない場合、S504において所定区画領域に取外対象ツールが保持されている場合、およびS505において所定IDの値と解析IDの値が一致しない場合も、動作制御部42は、取外前処理を終了する。その際、管理部44は、取外前処理フラグを異常値に設定する(S507)。動作制御部42は、所定の異常処理を実行してもよい。例えば、異常処理として警告灯の点灯(点滅)、警告音の鳴動、警告メッセージの表示などの警告を行い、取外前処理時に生じたエラーの周知徹底を図る。
取外前処理が正常終了すると、荷役装置1は、取外処理(S06)を行う。例えば、取外前処理フラグがONである場合、荷役装置1は、取外処理を行う。
図13には、取外処理(S06)の制御フローを示す。この場合、取外前処理(S05)が正常終了しているため、動作制御部42は、ツールマスタ23から取外対象ツールを取り外すべく、取外対象ツールの電源をONからOFFに切り替える(S601)。その際、動作制御部42は、ツールマスタ23を動作させる。ツールマスタ23は、例えばリレーをOFFとすることで、メイン接点群26と第2の接点群28とを電気的に切断させる。ただしこの時、サブ接点群27と第2の接点群28は、S503において電気的に接続された状態であることが確認されており、電気的な接続状態が維持される。すなわち、ツールマスタ23は、サブ接点群27と第2の接点群28が通電している場合、メイン接点群26と第2の接点群28との通電を切断させる。
次いで、動作制御部42は、取外対象ツールがツール台31に保持されていないこと、つまり、所定IDに対応するアドレスの区画領域31a(所定区画領域)が空いていることを確認する(S602)。このため、動作制御部42は、所定区画領域に取外対象ツールが存在しているか否かを判定する。判定にあたって、動作制御部42は、所定区画領域において、取外対象ツールの存在がツール検出部331によって検出されていないことを確認する。例えば、ツール検出部331から取外対象ツールの保持(所定区画領域における取外対象ツールとの接触)を示す信号が送信されていない場合、動作制御部42は、所定区画領域に取外対象ツールが保持されていない(所定区画領域が空いている)と判定する。一方、かかる信号が送信されている場合、動作制御部42は、所定区画領域に取外対象ツールが保持されている(所定区画領域が空いていない)と判定する。
取外対象ツールが保持されていない場合、動作制御部42は、ロボットアーム21を動作させ、所定区画領域まで移動させる(S603)。例えば、動作制御部42は、所定区画領域に向けてアーム部21bを変位させ、所定区画領域の上方に取外対象ツールを位置付ける。
続けて、動作制御部42は、ツールマスタ23に取外対象ツールが取り付けられていることを確認する(S604)。このため、動作制御部42は、ツールマスタ23に取外対象ツールが取り付けられているか否かを判定するべく、ツールマスタ23の検出部23aから光の反射有無を示す信号を取得する。動作制御部42は、取得した信号を解析し、例えば反射があることを示す信号である場合、取外対象ツールが取り付けられていると判定する。一方、反射がないことを示す信号である(反射を示す信号がない)場合、動作制御部42は、取外対象ツールが取り付けられていないと判定する。
取外対象ツールがツールマスタ23に取り付けられている場合、動作制御部42は、サブ接点群27と第2の接点群28との通電を切断させる(S605)。切断にあたって、動作制御部42は、ツールマスタ23を動作させる。ツールマスタ23は、例えばリレーをOFFとすることで、判定用接点群であるサブ接点群27と第2の接点群28とを電気的に切断させる。
そして、動作制御部42は、接点群27,28の接点同士の通電有無を判定する(S606)。判定にあたって、動作制御部42は、これら接点群27,28の接点同士の通電有無を示す信号をツールマスタ23から取得する。例えば、通電信号が検出されない場合、動作制御部42は、サブ接点群27と第2の接点群28との通電が切断されていると判定する。この場合、取外対象ツールとツールマスタ23は、電気的に接続されていない状態であり、取外対象ツールをツールマスタ23から適切に取り外すことが可能な状態である。一方、通電信号が検出された場合、動作制御部42は、これら接点群27,28は通電切断されておらず、通電されていると判定する。この場合、取外対象ツールとツールマスタ23は、電気的に接続されている状態であり、取外対象ツールをツールマスタ23から適切に取り外すことが不可能な状態である。
サブ接点群27と第2の接点群28との通電が切断されている場合、動作制御部42は、ツールマスタ23から取外対象ツールを取り外す(S607)。取り外しにあたって、動作制御部42は、ツールマスタ23を動作させる。ツールマスタ23は、例えば真空発生器およびコンプレッサを稼働させるとともに、バルブを開き、取外対象ツールに吸着している吸着体の吸着を解放する。その際、動作制御部42は、制御部35を制御し、カバー部312および保持部311を着脱位置から退避させる。着脱位置から退避させるにあたって、制御部35は、カバー部312および保持部311に対してアドレス確認処理(S01)のS114と同様の制御を行う。これにより、取り外された取外対象ツールがツールマスタ23から離れ、所定区画領域に保持された状態で保持部313とともに下降する。
続けて、動作制御部42は、ツールマスタ23から取外対象ツールが取り外されていることを確認する(S608)。このため、動作制御部42は、ツールマスタ23からツール22が取り外されているか否かを判定するべく、ツールマスタ23の検出部23aから光の反射有無を示す信号を取得する。動作制御部42は、取得した信号を解析し、例えば、反射がないことを示す信号である(反射を示す信号がない)場合、動作制御部42は、取外対象ツールが取り外されていると判定する。一方、反射があることを示す信号である場合、取外対象ツールが取り外されていない(取り付けられている)と判定する。
取外対象ツールがツールマスタ23から取り外されている場合、動作制御部42は、取外対象ツールがツール台31に保持されていることを確認する(S609)。このため、動作制御部42は、所定区画領域に取外対象ツールが存在しているか否かを判定する。判定にあたって、動作制御部42は、所定区画領域において、取外対象ツールの存在がツール検出部331によって検出されているかを確認する。例えば、ツール検出部331から取外対象ツールの保持(所定区画領域における取外対象ツールとの接触)を示す信号が送信されている場合、動作制御部42は、所定区画領域に取外対象ツールが保持されていると判定する。一方、かかる信号が送信されていない場合、動作制御部42は、所定区画領域に取外対象ツールが保持されていないと判定する。
取外対象ツールが保持されている場合、動作制御部42は、取外処理が正常であることを示す信号を管理部44に送信する。取外処理が正常であるとは、取外対象ツールがツールマスタ23から取り外され、ツール台31(所定区画領域)に保持されている状態である。取外処理の正常信号が管理部44に送信されると、取外処理は終了(正常終了)する。その際、管理部44は、取外処理が正常終了していることを示すフラグ(以下、取外処理フラグという)をONに設定する(S610)。取外処理フラグの初期値はOFFである。
なお、S602において取外対象ツールが保持されている場合、つまり所定区画領域が空いていない場合、動作制御部42は、取外対象ツールの取り外しが不可能である旨、つまり取外処理が正常でない(異常である)ことを示す信号を管理部44に送信する。取外処理の異常信号が管理部44に送信されることによっても、取外処理は終了(異常終了)する。また、S604において取外対象ツールがツールマスタ23に取り付けられていない場合、S606においてサブ接点群27と第2の接点群28との通電が切断されていない場合、S608において取外対象ツールがツールマスタ23から取り外されていない場合、およびS609において取外対象ツールが所定区画領域に保持されていない場合も、動作制御部42は、取外処理を終了する。その際、管理部44は、取外処理フラグを異常値に設定する(S611)。動作制御部42は、所定の異常処理を実行してもよい。例えば、異常処理として警告灯の点灯(点滅)、警告音の鳴動、警告メッセージの表示などの警告を行い、取外処理時に生じたエラーの周知徹底を図る。
取外処理が正常終了すると、荷役装置1は、取外後処理(S07)を行う。例えば、取外処理フラグがONである場合、荷役装置1は、取外後処理を行う。
図14には、取外後処理(S07)の制御フローを示す。取外後処理は、ロボットアーム21のアーム部21bを初期位置に戻し、例えば次のツール交換(ツールマスタ23に対するツール22の取り付け)に備えるための処理である。初期位置は、例えばツールマスタ23に対してツール22を着脱させる際に基準となるとともに、物品5をピッキングする際に基準となる位置である。図14に示すように、取外後処理において、動作制御部42は、ロボットアーム21を動作させ、アーム部21bを初期位置に戻す(S701)。その後、ロボットアーム21は、例えば初期位置からアーム部21bをツール台31に変位させ、ツールマスタ23に最適なツール22を取り付ける。
アーム部21bを初期位置に戻すと、動作制御部42は、取外後処理が正常終了したことを示す信号を管理部44に送信する。取外後処理が正常終了することで、ロボットアーム21は、次のツール交換(ツールマスタ23に対する取付対象ツールの取り付け)を行うことが可能な状態となる。取外後処理の正常信号が管理部44に送信されると、取外後処理は終了(正常終了)する。その際、管理部44は、取外後処理が正常終了していることを示すフラグ(以下、取外後処理フラグという)をONに設定する(S702)。取外後処理フラグの初期値はOFFである。
取外後処理が正常終了すると、荷役装置1は、ツール22を取り外すための一連の処理(取外前処理、取外処理、取外後処理)を終了する。また、取外後処理が正常終了すると、管理部44は、ツール22を取り付けるための一連の処理で使用するアドレス確認処理フラグ、取付前処理フラグ、取付処理フラグ、および取付後処理フラグをいずれも初期値(OFF)に戻す。これにより、管理部44は、ツール22の取り外し後の取り付け(交換)に備える。
ツール22を交換する場合、荷役装置1は、上述したツール22を取り外すための一連の処理(取外前処理、取外処理、取外後処理)を行った後、適宜、ツール22を取り付けるための一連の処理(アドレス確認処理、取外前処理、取外処理、取外後処理)を行う。本実施形態では、ツール22を取り外すための一連の処理として、取外後処理を行っているが、取外後処理は省略可能である。例えば、取外処理が正常終了した後、ロボットアーム21のアーム部21bを初期位置に戻すことなく、ツール22を取り付けるための一連の処理(アドレス確認処理、取外前処理、取外処理、取外後処理)を行ってもよい。
このように本実施形態のツール管理装置3、およびツール管理装置3を備える荷役装置1によれば、ツール22(取付対象ツール)をツールマスタ23に取り付ける前に、アドレス確認処理がなされる。アドレス確認処理を行うことで、ツールマスタ23への取付対象ツールの実装に先立って、テストツールマスタ32に取付対象ツールが着脱される。これにより、取付対象ツールが保持されているツール台31(所定区画領域)のアドレスを確認することができる。すなわち、取付対象ツールの所在を取付対象ツールの実装前に確認することができる。したがって、例えば着脱対象として多種多様なツールがツール台31に保持、管理されている場合であっても、取付対象ツールの所在を効率的に把握し、ツール交換時などの着脱作業を迅速に行うことができる。
ツール22の識別子(ツールID)の判定法には、ツールに貼付や刻印などされた識別子の読み取り、ツール22の通電有無(信号解析)など、各種の方法がある。本実施形態では、ツールの通電有無の組み合わせに基づいた判定法を適用しているため、識別子の読み取りなどと比べて誤判定が少なく、判定精度を高めることができる。その一方で、通電有無に基づいた判定法の場合、従来においてはツールマスタ23に取付対象ツールを取り付けるまでは、ツールIDを特定することができない。したがって、この場合には、ツール22がツールマスタ23に取り付けられ、電気的に接続された後でなければ、取付対象ツールとのツールIDの整合を判定できない。
この点を踏まえ、本実施形態では、取付対象ツールの実装前にテストツールマスタ32とツール22とを電気的に接続させ、取付対象ツールとのツールIDの整合を判定可能としている。したがって、通電有無に基づいた判定法を適用した場合であっても、取付対象ツールの実装前にツールIDの整合を高精度に判定できる。これにより、ツールIDを確実に特定でき、これに対応する取付対象ツールの所在、つまり取付対象ツールが保持されている所定区画領域のアドレスを取付対象ツールの実装前に特定できる。
したがって、ロボットアーム21のアーム部21bの変位先(所定区画領域)が特定されているため、ロボットアーム21を無駄なく動作させることができる。また、例えば取付対象ツール以外のツール22が誤って取り付けられてしまうことによるツール交換などの手戻りを有効に抑止できる。結果として、取付対象ツールを迅速にロボットアームに取り付けることができる。
また、本実施形態では、ツール台31(区画領域31a)のアドレスと、そのアドレスで管理されるツール22の識別子との対応は、マップ351に蓄積して管理される。したがって、アドレス確認処理の結果を反映させることで、かかる対応関係を示すデータ(マップ351)を適宜登録、更新(追加、変更、削除)して、最新のデータに維持できる。加えて、テストツールマスタ32は、区画領域31aに対応してツール台31のカバー部312に配置されている。そして、テストツールマスタ32には、ID検出部332が配置されている。したがって、ツール台31の複数の区画領域31aにツール22が保持されている場合であっても、テストツールマスタ32に取り付けられた各ツール22の識別子を個別に検出して特定できる。
このため、マップ351を参照すること、および複数の区画領域31aに保持されている各ツール22の識別子を個別に検出して特定することで、所定のツールIDに対応する所定区画領域のアドレスを優先的に確認できる。これにより、アドレス確認処理自体を迅速に行うことが可能となる。
また、カバー部312は、ツール台31の一部として構成され、ヒンジ機構などにより、カバー状態と開放状態に変位する。すなわち、ロボットアーム21の動作制御のような高精度の制御を要することなく、カバー部312をツール台31の保持部311に対して、カバー状態から開放状態に変位させることができる。テストツールマスタ32へのツール22の着脱は、カバー部312をカバー状態に位置付けてなされる。ツールマスタ23へのツール22の着脱は、カバー部312を開放状態に位置付けてなされる。したがって、比較的簡易なカバー部312の制御のみでツールIDと所定区画領域のアドレスをそれぞれ特定でき、その結果に基づいてツールマスタ23への取付対象ツールを実装できる。
なお、本実施形態では、テストツールマスタ32の第3の接点群36は、ツール22のメイン接点群26およびサブ接点群27のいずれにも電気的に接続可能に構成されている。したがって、第3の接点群36をサブ接点群27と電気的に接続させることによる解析IDと所定ID(取付対象ツールの識別子)との整合判定に加えて、第3の接点群36をメイン接点群26と電気的に接続させることで、ツール22の動作テストが可能である。すなわち、ツールマスタ23への取付対象ツールの実装前にツール22の動作を確認できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
本実施形態では、複数の区画領域31aについて、順次ツールIDを解析し、解析IDと所定ID(取付対象ツールの識別子)との整合を判定している。これに代えて、例えば複数の区画領域31aにそれぞれ保持された各ツール22の識別子を同時に解析し、解析IDと所定IDとの整合をまとめて判定してもよい。
また、例えばカバー部は、ツール台31の一部(付属部材)ではなく、ツール台31とは別体(独立部材)であってもよい。この場合、カバー部に相当する部材は、スライダ機構、ベルト機構、チェーン機構、リンク機構などにより、ツール台31に対してカバー状態と開放状態に変位可能な構成であればよい。