JP7313792B2 - マルチプレクサ、高周波フロントエンド回路及び通信装置 - Google Patents

マルチプレクサ、高周波フロントエンド回路及び通信装置 Download PDF

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Description

本発明は、複数のフィルタを有するマルチプレクサ、高周波フロントエンド回路、通信装置、及び、マルチプレクサの設計方法に関する。
近年の移動体通信機では、一端末で複数の周波数帯域に対応する、いわゆるマルチバンド化が要求されている。そこで、このような要求に対応すべく、1つのアンテナに対し、スイッチを介さずに互いに通過帯域の異なる複数のフィルタを接続するマルチプレクサが開発されている。
しかし、このようなマルチプレクサでは、複数のフィルタを経由する複数の信号経路がスイッチを介さずに共通接続される(束ねられる)ことにより、フィルタ同士が影響を及ぼし合い、特性が劣化する場合があった。
そこで、このような特性の劣化を改善する手法として、2個のフィルタを備えるマルチプレクサにおいて、一方のフィルタについて、共通接続側(束ね側)から見て他方のフィルタ(束ね相手側フィルタ)の通過帯域におけるインピーダンスを非常に高くする(オープン状態にする)構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9-172340号公報
上記のような構成は、共通接続されるフィルタが2個の場合、すなわち相手側帯域(束ね相手側フィルタの通過帯域)となる周波数が1つの場合には、その周波数帯を容易にオープン状態にすることができるので有用である。しかし、共通接続されるフィルタが3個以上の場合、特に相手側帯域となる2以上の通過帯域の周波数が離れている場合には、全ての相手側帯域をオープン状態にすることが難しい。オープン状態となっていない相手側帯域が存在する状態で複数のフィルタを共通接続する(束ねる)と、自帯域(自身の通過帯域)とは異なる相手側帯域に見えるインピーダンスの影響により、電気特性の劣化(ロスの増大)が起こり得る。
そこで、本発明は、3以上の複数のフィルタを共通接続したマルチプレクサにおいて、良好な電気特性を得る(損失を抑制する)ことができるマルチプレクサ、高周波フロントエンド回路、通信装置、及び、マルチプレクサの設計方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るマルチプレクサは、共通接続点で共通接続されたn個(nは3以上の整数)の経路上に個別に配置され、互いに異なる通過帯域を有するn個のフィルタを備え、前記n個のフィルタのうち第1フィルタを除くn-1個のフィルタは、前記n個の経路が共通接続されていない状態で前記共通接続点から見て、前記第1フィルタの通過帯域周波数において虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有する。
第1フィルタを除くn-1個のフィルタがこのようなインピーダンスを有することにより、共通接続点から当該n-1個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの通過帯域周波数(すなわち、第1フィルタの自帯域)において、虚数成分を有しにくくなる。したがって、共通接続点からn個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの自帯域において、当該n-1個のフィルタのインピーダンスの影響を受けにくくなる。これにより、本態様に係るマルチプレクサによれば、良好な電気特性を得る(損失を抑制する)ことができる。
また、前記n-1個のフィルタのインピーダンスは、前記共通接続されていない状態で前記共通接続点から見て、前記第1フィルタの通過帯域周波数において複素共役関係となっていることにしてもよい。
また、前記n個のフィルタのうち前記第1フィルタを除く、少なくとも2個のフィルタは、前記共通接続されていない状態で前記共通接続点から見て、前記第1フィルタの通過帯域周波数において虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有することにしてもよい。
第1フィルタを除く少なくとも2個のフィルタがこのようなインピーダンスを有することにより、共通接続点から当該少なくとも2個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの自帯域において、虚数成分を有しにくくなる。したがって、他のフィルタのインピーダンスを適宜調整することで、共通接続点からn個のフィルタを見た合成インピーダンスが、第1フィルタの自帯域において、相手側フィルタのインピーダンスの影響を受けにくくなる。よって、良好な電気特性を得ることができる。
また、前記少なくとも2個のフィルタのインピーダンスは、前記共通接続されていない状態で前記共通接続点から見て、前記第1フィルタの通過帯域周波数において複素共役関係となっていることにしてもよい。
また、前記n-1個のフィルタは、前記共通接続されていない状態で前記共通接続点から見て、前記第1フィルタの通過帯域周波数において、スミスチャート上の中心よりも右側の領域であるオープン側で虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有することにしてもよい。
第1フィルタを除くn-1個のフィルタがこのようなインピーダンスを有することにより、共通接続点から当該n-1個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの自帯域において、スミスチャート上で中心よりも右側に位置する高インピーダンスとなる。したがって、第1フィルタの自帯域の高周波信号について当該n-1個のフィルタへの漏れを抑制することができるので、第1フィルタを通過する経路について、さらに良好な電気特性を得ることができる。
また、前記少なくとも2個のフィルタは、前記共通接続されていない状態で前記共通接続点から見て、前記第1フィルタの通過帯域周波数において、スミスチャート上の中心よりも右側の領域であるオープン側で虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有することにしてもよい。
第1フィルタを除く少なくとも2個のフィルタがこのようなインピーダンスを有することにより、共通接続点から当該少なくとも2個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの自帯域において、高インピーダンスとなる。したがって、第1フィルタの自帯域の高周波信号について当該少なくとも2個のフィルタへの漏れを抑制することができるので、第1フィルタを通過する経路について、さらに良好な電気特性を得ることができる。
また、前記n個のフィルタのそれぞれは、弾性波共振子によって構成される弾性波フィルタであり、前記第1フィルタの通過帯域周波数は、前記n-1個のフィルタを構成する前記弾性波共振子の共振周波数と反共振周波数とで挟まれる周波数範囲と異なっていることにしてもよい。
このように、n個のフィルタのそれぞれが弾性波フィルタであることにより、各フィルタについてフィルタ特性の減衰スロープの急峻度を高めることができる。また、第1フィルタの通過帯域がn-1個のフィルタを構成する弾性波共振子の共振周波数と反共振周波数とで挟まれる周波数範囲と異なっていることにより、第1フィルタの通過帯域周波数において、n-1個のフィルタがキャパシタとして作用する。このため、第1フィルタの自帯域の高周波信号についてn-1個のフィルタへの漏れを抑制することができるので、第1フィルタを通過する経路について、さらに良好な電気特性を得ることができる。
また、前記n個のフィルタのうち第2フィルタを除くn-1個のフィルタについて、前記共通接続されていない状態で前記共通接続点から見て、前記第2フィルタの通過帯域周波数におけるインピーダンスの絶対値が500Ω以上となっていることにしてもよい。
このように、第2フィルタを除くn-1個のフィルタのインピーダンスが当該第2フィルタの通過帯域(第2フィルタの自帯域)において無限大(絶対値500Ω以上)となることにより、共通接続点から当該n-1個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第2フィルタの自帯域において、高インピーダンスとなる。したがって、第2フィルタの自帯域の高周波信号について当該n-1個のフィルタへの漏れを抑制することができるので、第2フィルタを通過する経路について、さらに良好な電気特性を得ることができる。
また、前記n個のフィルタのうち第3フィルタを除くn-1個のフィルタは、前記共通接続されていない状態で前記共通接続点から見て、前記第3フィルタの通過帯域周波数において、虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有することにしてもよい。
第3フィルタを除くn-1個のフィルタがこのようなインピーダンスを有することにより、共通接続点から当該n-1個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第3フィルタの通過帯域周波数(すなわち、第3フィルタの自帯域)において、虚数成分を有しにくくなる。したがって、共通接続点からn個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第3フィルタの自帯域において、当該n-1個のフィルタのインピーダンスの影響を受けにくくなる。これにより、本態様に係るマルチプレクサによれば、第3フィルタを通過する経路についても低ロスを実現することができるので、さらに良好な電気特性を得ることができる。
また、前記n個のフィルタのうち第3フィルタを除くn-1個のフィルタのインピーダンスは、前記共通接続されていない状態で前記共通接続点から見て、前記第3フィルタの通過帯域周波数において複素共役関係となっていることにしてもよい。
また、n=3であり、前記n個のフィルタは、第1周波数帯域を通過帯域とする前記第1フィルタ、第2周波数帯域を通過帯域とする第2フィルタ、及び、第3周波数帯域を通過帯域とする第3フィルタであり、前記第2フィルタ及び前記第3フィルタは、前記n個の経路が共通接続されていない状態で前記共通接続点から見た場合、前記第1周波数帯域において虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有することにしてもよい。
これにより、共通接続点から第2フィルタ及び第3フィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの自帯域において、虚数成分を有しにくくなる。したがって、共通接続点から3個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの自帯域において、第2フィルタ及び第3フィルタのインピーダンスの影響を受けにくくなる。よって、良好な電気特性を得ることができるトリプレクサを実現することができる。
また、前記n個の経路が共通接続されていない状態で前記共通接続点から前記n個のフィルタ側を見た場合、前記第2フィルタの前記第1周波数帯域におけるインピーダンスと、前記第3フィルタの前記第1周波数帯域におけるインピーダンスとは、複素共役関係となっていることにしてもよい。
また、前記第1フィルタ及び前記第3フィルタは、前記n個の経路が共通接続されていない状態で前記共通接続点から見た場合、前記第3周波数帯域において虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有することにしてもよい。
これにより、共通接続点から第1フィルタ及び第2フィルタを見た合成インピーダンスは、第3フィルタの通過帯域周波数(すなわち、第3フィルタの自帯域)において、虚数成分を有しにくくなる。したがって、共通接続点から3個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第3フィルタの自帯域において、第1フィルタ及び第2フィルタのインピーダンスの影響を受けにくくなる。これにより、本態様に係るマルチプレクサによれば、第3フィルタを通過する経路についても低ロスを実現することができる。よって、さらに良好な電気特性を得ることができるトリプレクサを実現することができる。
また、前記n個の経路が共通接続されていない状態で前記共通接続点から前記n個のフィルタ側を見た場合、前記第1フィルタの前記第3周波数帯域におけるインピーダンスと、前記第2フィルタの前記第3周波数帯域におけるインピーダンスとは、複素共役関係となっていることにしてもよい。
また、前記n個の経路が共通接続されていない状態で前記共通接続点から前記n個のフィルタ側を見た場合、前記第1フィルタの前記第2周波数帯域におけるインピーダンス、及び、前記第3フィルタの前記第2周波数帯域におけるインピーダンスは、絶対値が500Ω以上となっていることにしてもよい。
これにより、共通接続点から第1フィルタ及び第3フィルタを見た合成インピーダンスは、第2フィルタの自帯域において、高インピーダンスとなる。したがって、第2フィルタの自帯域の高周波信号について第1フィルタ及び第3フィルタへの漏れを抑制することができるので、第2フィルタを通過する経路について、さらに良好な電気特性を得ることができる。よって、さらに良好な電気特性を得ることができるトリプレクサを実現することができる。
また、前記第1フィルタの通過帯域周波数は、前記n個のフィルタの通過帯域を周波数順に並べた場合に、最も低域及び最も高域に位置する通過帯域以外の帯域であることにしてもよい。
ここで、n個全てのフィルタ特性について低ロスを実現しようとすると、最も低域及び最も高域に位置する通過帯域を自帯域とするフィルタについては、相手側フィルタのインピーダンスの虚数成分が当該自帯域において比較的小さくなる。つまり、このようなフィルタについては、比較的容易に低ロスを実現することができる。しかし、他の帯域を自帯域とするフィルタについては、相手側フィルタのインピーダンスの虚数成分が当該自帯域において大きくなりやすい。このことは、特にn個の通過帯域の周波数間隔が離れている場合に顕著である。したがって、最も低域及び最も高域に位置する通過帯域以外の帯域を通過帯域とする第1フィルタを除くn-1個のフィルタについて上記の複素共役関係を満たすことにより、n個全てのフィルタ特性について低ロスを実現することが可能となる。つまり、n個全ての経路について低ロスを実現することが可能となる。
また、前記共通接続点と前記n個のフィルタのうち少なくとも1個のフィルタとの間に設けられた位相調整回路を備えることにしてもよい。
このような位相調整回路を備えることにより、上記の複素共役関係を容易に実現することができる。
また、前記少なくとも1個のフィルタは、帯域除去フィルタであり、前記位相調整回路は、前記共通接続点と前記帯域除去フィルタとの間で前記帯域除去フィルタが設けられた前記経路に直列接続されたインダクタであることにしてもよい。
このような上記の直列接続されたインダクタである位相調整回路を設けることにより、共通接続されていない状態で共通接続点から帯域除去フィルタ側を見たインピーダンスは、帯域除去フィルタの相手側フィルタの通過帯域周波数において誘導性にシフトすることになる。このため、n個のフィルタそれぞれが弾性波フィルタである等、n個のフィルタそれぞれのインピーダンスが容量性の場合であっても、帯域除去フィルタのインピーダンスと他の少なくとも1個のフィルタのインピーダンスとを、第1フィルタの通過帯域周波数において複素共役関係とすることができる。したがって、帯域除去フィルタを含むn個のフィルタを備えるマルチプレクサにおいて、良好な電気特性を得る(損失を抑制する)ことができる。
また、前記n個のフィルタは、前記帯域除去フィルタの減衰帯域周波数に通過帯域周波数が含まれる少なくとも2個の帯域通過フィルタを含むことにしてもよい。
つまり、帯域除去フィルタの低域側の通過帯域周波数は、相手側フィルタ(ここでは少なくとも2個の帯域通過フィルタ)の通過帯域周波数よりも低いことにしてもよい。これにより、インダクタを付加する前に共通接続されていない状態で共通接続点から帯域除去フィルタ側を見たインピーダンスは、相手側フィルタの通過帯域周波数においてスミスチャート上で時計回りに回転して位相が進むことになる。
ここで、インダクタを付加した後に共通接続されていない状態で共通接続点から帯域除去フィルタ側を見たインピーダンスは、インダクタのインダクタンス値が大きいほど、相手側フィルタの通過帯域周波数においてスミスチャート上で位相が大きく進むことになる。ただし、当該インダクタは、高周波信号を伝達する経路に直列に接続されているため、インダクタンス値の増大は帯域除去フィルタの通過帯域内ロスの増大を招くことになる。
これに対して、本態様によれば、インダクタを付加する前の帯域除去フィルタについて、相手側フィルタの通過帯域周波数におけるインピーダンスをスミスチャート上で回転させることができる。このため、インダクタンス値の比較的小さなインダクタを付加することにより、共通接続されていない状態で共通接続点から帯域除去フィルタ側を見たインピーダンスを、相手側フィルタの通過帯域周波数において誘導性にシフトすることができる。したがって、良好な電気特性を得つつ、帯域除去フィルタの通過帯域内ロスを抑制することができる。
また、前記帯域除去フィルタは、1以上の弾性波共振子によって構成される弾性波フィルタであり、前記帯域除去フィルタを構成する1以上の弾性波共振子のうち最も前記共通接続点側の弾性波共振子は、前記帯域除去フィルタが設けられた前記経路とグランドとを接続する経路に直列接続された並列共振子であることにしてもよい。
このように、帯域除去フィルタの最も共通接続点側の弾性波共振子が並列共振子である場合、当該弾性波共振子が直列共振子である場合に比べ、インダクタを付加する前に共通接続されていない状態で共通接続点から帯域除去フィルタ側を見たインピーダンスは、相手側フィルタの通過帯域周波数においてスミスチャート上で時計回りに回転して位相が進むことになる。よって、上記の態様と同様に、良好な電気特性を得つつ、帯域除去フィルタの通過帯域内ロスを抑制することができる。
また、前記位相調整回路は、1以上のインダクタと1以上のキャパシタとから構成されるLCマッチング回路であることにしてもよい。
このように位相調整回路がLCマッチング回路であることにより、位相調整回路がない状態で自帯域においてインピーダンス整合がとれていないフィルタについて、自帯域においてインピーダンス整合を図りつつ、相手側フィルタの帯域(相手側帯域)においてインピーダンスが上記の複素共役関係を満たすように調整することができる。
また、前記位相調整回路は、前記少なくとも1個のフィルタが設けられた少なくとも1つの前記経路に直列接続されたキャパシタ、及び、当該経路とグランドとを接続する経路に直列接続されたインダクタによって構成されていることにしてもよい。
このように構成される位相調整回路は、上記LCマッチング回路と同様の効果を奏することができる。
また、前記位相調整回路は、前記少なくとも1個のフィルタが設けられた少なくとも1つの前記経路に直列接続されたマイクロストリップラインであることにしてもよい。
このように構成される位相調整回路は、インダクタ及びキャパシタ等のインピーダンス素子を用いることなく構成されるため、構成を簡素化することができ、それに伴い、製造工程における工数を削減することができる。
また、前記第1フィルタと前記n個のフィルタのうち当該第1フィルタを除くn-1個のフィルタとは、前記第1フィルタの通過帯域幅以上に通過帯域が離れていることにしてもよい。
一般的には、このような周波数関係の場合、第1フィルタの相手側フィルタとなるn-1個のフィルタについて、各フィルタのインピーダンスの虚数成分を小さくすることが特に難しいため、低ロス化には非常な困難が伴う。これに対して、本態様によれば、上記の複素共役関係を満たすようにすることで、特に低ロス化が困難な第1フィルタのフィルタ特性について、低ロスを実現することができる。
また、前記マルチプレクサには、複数の周波数帯域の高周波信号を同時に送信または受信するCA(キャリアアグリゲーション)方式が適用され、前記n個のフィルタは、前記高周波信号を同時にフィルタリングすることにしてもよい。
また、前記n個のフィルタは、3個のフィルタであり、当該3個のフィルタは、LTE(Long Term Evolution)のBand3を通過帯域とするフィルタ、前記LTEのBand1を通過帯域とするフィルタ、及び、前記LTEのBand7を通過帯域とするフィルタであることにしてもよい。
また、本発明の一態様に係る高周波フロントエンド回路は、上記いずれかのマルチプレクサと、前記マルチプレクサに接続された増幅回路と、を備える。
これにより、良好な電気特性を得ることができる3以上のマルチバンド対応の高周波フロントエンド回路を実現できる。
また、本発明の一態様に係る通信装置は、アンテナ素子で送受信される高周波信号を処理するRF信号処理回路と、前記アンテナ素子と前記RF信号処理回路との間で前記高周波信号を伝達する上記の高周波フロントエンド回路と、を備える。
これにより、良好な電気特性を得ることができる3以上のマルチバンド対応の通信装置を実現できる。
また、本発明は、このようなマルチプレクサを設計する設計方法としても実現できる。つまり、本発明の一態様に係るマルチプレクサの設計方法は、共通接続点で共通接続されたn個(nは3以上の整数)の経路上に個別に配置され、互いに異なる通過帯域を有するn個のフィルタを備えるマルチプレクサの設計方法であって、前記n個のフィルタのうち第1フィルタを設計する第1ステップと、前記n個のフィルタのうち第1フィルタを除くn-1個のフィルタを設計する第2ステップと、を含み、前記第2ステップでは、前記n個の経路の一部であって前記共通接続点となるべき点から前記n個のフィルタ側を見て、前記第1フィルタの通過帯域周波数において虚数成分が互いにキャンセルされるように、前記n-1個のフィルタを設計する。
本発明に係るマルチプレクサ等によれば、3以上の複数のフィルタを共通接続したマルチプレクサにおいて、良好な電気特性を得ることができる。
実施の形態1に係るマルチプレクサの構成図である。 実施の形態1に係るマルチプレクサの通過帯域を説明する図である。 実施の形態1に係るフィルタを構成する共振子を模式的に表す平面図及び断面図の一例である。 スミスチャートの定義を説明するための図である。 実施の形態1において、共通接続前の共通接続点からフィルタ側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。 実施の形態1において、共通接続後の共通接続点からフィルタ側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。 実施の形態1において、共通接続後のフィルタ特性を示す図である。 比較例に係るマルチプレクサの構成図である。 比較例において、共通接続前の共通接続点からフィルタ側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。 比較例において、共通接続後の共通接続点からフィルタ側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。 比較例において、共通接続後のフィルタ特性を示す図である。 変形例1に係るマルチプレクサの構成図である。 変形例2に係るマルチプレクサの構成図である。 変形例2において、共通接続前の共通接続点からフィルタ側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。 変形例2において、共通接続後の共通接続点からフィルタ側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。 変形例2において、共通接続後のフィルタ特性を示す図である。 変形例3に係るマルチプレクサの構成図である。 変形例3において、共通接続前の共通接続点からフィルタ側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。 変形例3において、共通接続後の共通接続点からフィルタ側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。 変形例3において、共通接続後のフィルタ特性を示す図である。 変形例4に係るマルチプレクサの構成図である。 変形例4において、共通接続前の共通接続点からフィルタ側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。 変形例4において、共通接続後の共通接続点からフィルタ側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。 変形例4において、共通接続後のフィルタ特性を示す図である。 変形例5に係るマルチプレクサの構成図である。 変形例5において、共通接続前の共通接続点からフィルタ側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。 変形例5において、共通接続後のフィルタ特性を示す図である。 変形例5において、フィルタ(ノッチフィルタ)に関する反射特性を示す図である。 変形例5の比較例において、フィルタ(ノッチフィルタ)に関する反射特性を示す図である。 実施の形態2に係る高周波フロントエンド回路及びその周辺回路の構成図である。 その他の実施の形態に係るマルチプレクサの第1の構成図である。 図30Aに示すマルチプレクサにおいて、共通接続前の共通接続点からフィルタ側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。 その他の実施の形態に係るマルチプレクサの第2の構成図である。 図31Aに示すマルチプレクサにおいて、共通接続前の共通接続点からフィルタ側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、実施例及び図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさ、または大きさの比は、必ずしも厳密ではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する場合がある。また、以下の実施の形態において、「接続される」とは、直接接続される場合だけでなく、他の素子等を介して電気的に接続される場合も含まれる。
(実施の形態1)
[1.マルチプレクサの回路構成]
図1Aは、本実施の形態に係るマルチプレクサ1の構成図である。なお、同図には、マルチプレクサ1の共通端子Port1に接続されるアンテナ素子2も図示されている。
マルチプレクサ1は、通過帯域が互いに異なる3以上の複数のフィルタを備え、これら複数のフィルタのアンテナ側の端子が共通端子Port1で束ねられた分波器である。つまり、マルチプレクサ1は、3以上の複数のフィルタが、共通端子Port1で共通接続されている構成となっている。本実施の形態では、図1Aに示すように、マルチプレクサ1は、共通端子Port1と、3つの個別端子Port2~4と、3個のフィルタ11~13と、を備える。3個のフィルタ11~13は、共通接続点Nで共通接続された(束ね点で束ねられた)3つの経路31~33上に個別に配置され、互いに異なる通過帯域を有する。また、本実施の形態では、マルチプレクサ1は、さらに、位相調整回路21及び22を備える。
共通端子Port1は、複数のフィルタ(本実施の形態では3個のフィルタ11~13)に共通に設けられ、マルチプレクサ1の内部でこれら複数のフィルタに接続されている。また、共通端子Port1は、マルチプレクサ1の外部でアンテナ素子2に接続される。つまり、共通端子Port1は、マルチプレクサ1のアンテナ共通端子である。
3つの個別端子Port2~Port4は、この順に、フィルタ11~13に個別に対応して設けられ、マルチプレクサ1の内部で対応するフィルタに接続されている。また、個別端子Port2~Port4は、マルチプレクサ1の外部で、増幅回路等(図示せず)を介してRF信号処理回路(RFIC:Radio Frequency Integrated Circuit、図示せず)に接続される。
フィルタ11は、共通端子Port1と個別端子Port2とを結ぶ経路31上に配置されている。このフィルタ11は、本実施の形態ではLTE(Long Term Evolution)のBand3を通過帯域とするフィルタであり、具体的には当該Band3における下り周波数帯(受信帯域)を通過帯域とする受信フィルタである。
フィルタ12は、共通端子Port1と個別端子Port3とを結ぶ経路32上に配置されている。このフィルタ12は、本実施の形態ではLTEのBand1を通過帯域とするフィルタであり、具体的には当該Band1における下り周波数帯(受信帯域)を通過帯域とする受信フィルタである。
フィルタ13は、共通端子Port1と個別端子Port4とを結ぶ経路33上に配置されている。このフィルタ13は、本実施の形態ではLTEのBand7を通過帯域とするフィルタであり、具体的には当該Band7における下り周波数帯(受信帯域)を通過帯域とする受信フィルタである。
このように、本実施の形態に係るマルチプレクサ1は、第1周波数帯域を通過帯域とする第1フィルタの一例であるBand1Rx帯域を通過帯域とするフィルタ12と、第2周波数帯域を通過帯域とする第2フィルタの一例であるBand7Rx帯域を通過帯域とするフィルタ13と、第3周波数帯域を通過帯域とする第3フィルタの一例であるBand3Rx帯域を通過帯域とするフィルタ11と、を備えるトリプレクサである。
これらフィルタ11~13のそれぞれは、本実施の形態では弾性波共振子によって構成される弾性波フィルタであり、具体的には弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)を用いた弾性表面波共振子である。また、フィルタ11~13それぞれについて、自身の通過帯域は、他のフィルタを構成する弾性波共振子の共振周波数と反共振周波数とで挟まれる周波数範囲と異なっている。例えば、フィルタ11の通過帯域は、フィルタ12を構成する弾性波共振子の共振周波数と反共振周波数とで挟まれる周波数範囲、及び、フィルタ13を構成する弾性波共振子の共振周波数と反共振周波数とで挟まれる周波数範囲のいずれとも異なる。弾性波共振子の詳細な構造については、後述する。
なお、弾性波共振子は、弾性表面波共振子に限らず、例えば、弾性境界波やバルク波(BAW:Bulk Acoustic Wave)を用いた弾性波共振子であってもかまわない。また、フィルタ11~13のそれぞれは、弾性波フィルタに限らず、LC共振フィルタまたは誘電体フィルタであってもかまわない。つまり、フィルタ11~13の構成は、実装レイアウトの制約または要求されるフィルタ特性等に応じて適宜選択され得る。
ここで、フィルタ11~13の通過帯域として割り当てられた周波数帯域について、説明する。なお、以下では、周波数帯域の範囲について、A以上B以下を示す数値範囲をA~Bのように簡略化して記載する。
図1Bは、本実施の形態に係るマルチプレクサ1の通過帯域を説明する図であり、具体的にはBand3、1、7の受信帯域に割り当てられた周波数帯域を説明する図である。なお、以降、「LTEのBand」を単に「Band」と記載し、各Bandの受信帯域(Rx)を、例えばBand1の受信帯域(Rx)については「Band1Rx帯域」のように、バンド名とその末尾に付加された受信帯域または送信帯域を示す文言とで簡略化して記載する場合がある。
同図に示すように、フィルタ11の通過帯域であるBand3Rx帯域には1805~1880MHzが割り当てられている。つまり、フィルタ11の自帯域(自身の通過帯域)の帯域幅は75MHzである。フィルタ12の通過帯域であるBand1Rx帯域には2110~2170MHzが割り当てられている。つまり、フィルタ12の自帯域の帯域幅は60MHzである。フィルタ13の通過帯域であるBand7Rx帯域には2620~2690MHzが割り当てられている。つまり、フィルタ13の自帯域の帯域幅は70MHzである。
したがって、フィルタ11~13のフィルタ特性としては、同図の実線で示すような、対応する通過帯域を通過させ、他の帯域を減衰させるような特性が求められる。
このように、複数のフィルタ11~13は、互いに異なる通過帯域を有し、本実施の形態では、それぞれの通過帯域幅以上に通過帯域が離れている。つまり、2つの通過帯域の間の空き帯域の帯域幅は、通過帯域幅以上である。なお、複数のフィルタ11~13は、通過帯域が異なっていればよく、例えば、それぞれの通過帯域幅未満で通過帯域が離れていてもかまわない。
以上説明したn個のフィルタ(本実施の形態では3個のフィルタ11~13)は、任意の1個のフィルタと当該1個のフィルタに共通接続されるn-1個(本実施の形態では2個)のフィルタである束ね相手側フィルタに着目すると、次のようなインピーダンスの関係を有する。
具体的には、n-1個の束ね相手側フィルタは、経路31~33が共通接続されていない共通接続前(束ね前)の状態で共通接続点Nからフィルタ11~13側を見て、上記1個のフィルタの通過帯域におけるインピーダンスが複素共役関係となっている。この複素共役関係の詳細については後述するマルチプレクサ1の特性で説明するが、本実施の形態では、位相調整回路21及び22を設けることにより上記の複素共役関係が満たされている。
次いで、位相調整回路21及び22の構成について説明する。
位相調整回路21及び22は、共通接続点Nとn個のフィルタのうち少なくとも1個のフィルタ(本実施の形態では3個のフィルタ11~13のうちフィルタ11及び12)との間に設けられ、n個の経路(本実施の形態では3個の経路31~33)が共通接続されていない共通接続前の状態で共通接続点Nから当該n個のフィルタ側を見て上記の複素共役関係となるように、当該少なくとも1個のフィルタの位相を調整する。
本実施の形態では、位相調整回路21及び22は、1以上のインダクタと1以上のキャパシタとから構成されるLCマッチング回路であり、具体的には、当該少なくとも1個のフィルタが設けられた少なくとも1つの経路(本実施の形態ではフィルタ11及び12が設けられた経路31及び32)に直列接続されたキャパシタ、及び、当該経路とグランドとを接続する経路に直列接続されたインダクタによって構成されている。
位相調整回路21と位相調整回路22とは、対応するフィルタが異なるためこれらを構成する定数が異なる点を除き、同様の構成を有する。このため、以下では、位相調整回路21を構成するキャパシタC211ならびにインダクタL211及びL212について説明し、位相調整回路22を構成するキャパシタC221ならびにインダクタL221及びL222については説明を省略する。
キャパシタC211は、共通接続点Nとフィルタ11との間で経路31に直列接続されている。インダクタL211は、キャパシタC211の一端とグランドとを接続する経路に直列接続されている。インダクタL212は、キャパシタC211の他端とグランドとを接続する経路に直列接続されている。
これらの素子(キャパシタC211ならびにインダクタL211及びL212)の定数は、共通接続前の状態で共通接続点Nからフィルタ11側を見て、フィルタ11の自帯域においてインピーダンス整合をとることができるように適宜設定されている。また、この定数は、共通接続前の状態で共通接続点Nからフィルタ11側を見て、n-1個の相手側帯域(束ね相手側フィルタの通過帯域、ここではフィルタ12及び13の通過帯域)におけるインピーダンスが複素共役関係となるように適宜設定されている。
以上のように構成されたマルチプレクサ1には、例えば、複数の周波数帯域(ここではBand1Rx帯域、Band3Rx帯域及びBand7Rx帯域)の高周波信号を同時に送信または受信するCA(キャリアアグリゲーション)方式が適用され、フィルタ11~13は、高周波信号を同時にフィルタリングする。
[2.弾性波共振子の構造]
次に、フィルタ11~13を構成する弾性波共振子の構造について、フィルタ11を構成する共振子を例に説明する。
図2は、実施の形態1に係るフィルタ11を構成する共振子111を模式的に表す平面図及び断面図の一例である。同図には、当該共振子111の構造を表す平面摸式図及び断面模式図が例示されている。なお、図2に示された共振子111は、上記複数の共振子の典型的な構造を説明するためのものであって、電極を構成する電極指の本数や長さなどは、これに限定されない。
フィルタ11の各共振子は、圧電基板356と、櫛形形状を有するIDT電極52a及び52bとで構成されている。
図2の(a)の平面図に示すように、圧電基板356の上には、互いに対向する一対のIDT電極52a及び52bが形成されている。IDT電極52aは、互いに平行な複数の電極指552aと、複数の電極指552aを接続するバスバー電極551aとで構成されている。また、IDT電極52bは、互いに平行な複数の電極指552bと、複数の電極指552bを接続するバスバー電極551bとで構成されている。複数の電極指552a及び552bは、弾性波の伝搬方向と直交する方向に沿って形成されている。
また、複数の電極指552a及び552b、ならびに、バスバー電極551a及び551bで構成されるIDT電極52は、図2の(b)の断面図に示すように、密着層353と主電極層354との積層構造となっている。
密着層353は、圧電基板356と主電極層354との密着性を向上させるための層であり、材料として、例えば、Tiが用いられる。密着層353の膜厚は、例えば、12nmである。
主電極層354は、材料として、例えば、Cuを1%含有したAlが用いられる。主電極層354の膜厚は、例えば162nmである。
保護層355は、IDT電極52を覆うように形成されている。保護層355は、主電極層354を外部環境から保護する、周波数温度特性を調整する、及び、耐湿性を高めるなどを目的とする層であり、例えば、二酸化ケイ素を主成分とする膜である。
なお、密着層353、主電極層354及び保護層355を構成する材料は、上述した材料に限定されない。さらに、IDT電極52は、上記積層構造でなくてもよい。IDT電極52は、例えば、Ti、Al、Cu、Pt、Au、Ag、Pd、W、Mo、NiCrなどの金属又は合金から構成されてもよく、また、上記の金属又は合金から構成される複数の積層体から構成されてもよい。また、保護層355は、形成されていなくてもよい。
圧電基板356は、例えば、LiTaO圧電単結晶、LiNbO圧電単結晶、または圧電セラミックスからなる。
なお、フィルタ11が有する各共振子の構造は、図2に記載された構造に限定されない。例えば、IDT電極52は、金属膜の積層構造でなく、金属膜の単層であってもよい。
[3.マルチプレクサの特性]
次いで、本実施の形態に係るマルチプレクサ1の特性について説明する。
まず、以降のインピーダンスの説明に用いるスミスチャートにおける定義について説明する。図3は、スミスチャートの定義を説明するための図である。図中の括弧内には、特性インピーダンス(例えば50Ω)で正規化されたスミスチャートにおける数値が示されている。
同図に示すように、スミスチャートでは、正規化インピーダンスが0+0jとなる左端がショート状態(ショート)を示し、正規化インピーダンスがほぼ1+0jとなる中心部がインピーダンス整合状態を示し、正規化インピーダンスの実数成分あるいは虚数成分の少なくとも一方が無限大(∞)となる右端がオープン状態(オープン)を示す。よって、以降では、特性インピーダンスよりも高インピーダンスとなる領域であるスミスチャート上の中心よりも右側の領域、すなわち正規化されたスミスチャートにおいて正規化インピーダンス0+1j、1+0j及び0-1jを結ぶ直線より右側の領域を、オープン側と定義する。また、特性インピーダンスよりも低インピーダンスとなる領域であるスミスチャート上の中心よりも左側の領域、すなわち正規化されたスミスチャートにおいて上記直線より左側の領域を、ショート側と定義する。
また、同図に示すように、スミスチャートでは、ショートとオープンとを結んだ直線である実軸より上側の領域は、虚数成分(リアクタンスまたはサセプタンス)が正となる領域であり、誘導性リアクタンスまたは誘導性サセプタンスを有する状態を示す。一方、当該実軸より下側の領域は、虚数成分が負となる領域であって、容量性リアクタンスまたは容量性サセプタンスを有する状態を示す。よって、以降では、スミスチャートの実軸よりも上側の領域を誘導性と定義し、当該実軸よりも下側の領域を容量性と定義する。
図4は、本実施の形態において、共通接続前の共通接続点Nからフィルタ11~13側を見たときの反射特性(インピーダンス)を示すスミスチャートである。つまり、当該反射特性は、共通接続点Nから見たフィルタ11~13単体の反射特性である。同図の(a1)~(a3)は、同図の(b1)~(b3)に示す反射特性を測定した状態を模式的に示す図である。ここで、本実施の形態では、共通接続点Nにおける伝送線路の特性インピーダンスは50Ωであり、スミスチャートの中心も50Ωである。このことは、以降のスミスチャートにおいても同様である。なお、上記特性インピーダンスは50Ωに限らない。
同図から明らかなように、全てのフィルタ11~13について、共通接続点Nから見た各フィルタ単体のインピーダンスは、自帯域(自身の通過帯域)においてスミスチャートの中心部に位置している。つまり、全てのフィルタ11~13は、単体で自帯域においてインピーダンス整合がとられている。
一方、全てのフィルタ11~13について、共通接続点Nから見た各フィルタのインピーダンスは、相手側帯域においてスミスチャートの中心部からずれて位置しており、具体的にはオープン側に位置している。
より具体的には、Band3Rx帯域を自帯域とするフィルタ11のインピーダンスは、相手側帯域の1つであるBand1Rx帯域においてオープン側かつ誘導性に位置しており、相手側帯域の他の1つであるBand7Rx帯域において略オープンに位置している。ここで、「略」とは、完全に一致している場合だけでなく、ほぼ一致している場合も含む。
また、Band1Rx帯域を自帯域とするフィルタ12のインピーダンスは、相手側帯域の1つであるBand3Rx帯域においてオープン側かつ誘導性に位置しており、相手側帯域の他の1つであるBand7Rx帯域において略オープンに位置している。
また、Band7Rx帯域を自帯域とするフィルタ13のインピーダンスは、相手側帯域であるBand3Rx帯域及びBand1Rx帯域のいずれにおいてもオープン側かつ容量性に位置している。
ここで、第1フィルタの一例であるフィルタ12及び第フィルタの一例であるフィルタ13は、経路31~33が共通接続されていない状態で共通接続点Nから見た場合、第3周波数帯域の一例であるBand3Rx帯域において虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有する。具体的には、フィルタ11の通過帯域であるBand3Rx帯域に着目すると、当該フィルタ11の束ね相手側フィルタであるフィルタ12とフィルタ13とで、インピーダンスが複素共役関係となっていることがわかる。言い換えると、フィルタ11~13のうちフィルタ11を除くフィルタ12及び13について、各フィルタのインピーダンスは、共通接続前の状態で共通接続点Nからフィルタ11~13側を見て、フィルタ11の通過帯域(Band3Rx帯域)において複素共役関係となっている。
また、第2フィルタの一例であるフィルタ13及び第3フィルタの一例であるフィルタ11は、経路31~33が共通接続されていない状態で共通接続点Nから見た場合、第1周波数帯域の一例であるBand1Rx帯域において虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有する。具体的には、フィルタ12の通過帯域であるBand1Rx帯域に着目すると、当該フィルタ12の束ね相手側フィルタであるフィルタ11とフィルタ13とで、インピーダンスが複素共役関係となっていることがわかる。言い換えると、フィルタ11~13のうちフィルタ12を除くフィルタ11及び13について、各フィルタのインピーダンスは、上記のようにフィルタ11~13側を見て、フィルタ12の通過帯域(Band1Rx帯域)において複素共役関係となっている。
また、フィルタ13の通過帯域であるBand7Rx帯域に着目すると、当該フィルタ13の束ね相手側フィルタであるフィルタ11とフィルタ12とで、インピーダンスが無限大(絶対値500Ω以上)となっていることがわかる。言い換えると、フィルタ11~13のうちフィルタ13を除くフィルタ11及び12について、各フィルタのインピーダンスは、上記のようにフィルタ11~13側を見て、フィルタ13の通過帯域(Band7Rx帯域)において無限大(絶対値500Ω以上)となっている。つまり、上記のようにフィルタ11及び12を見ると、フィルタ13の通過帯域においてこれらフィルタ11及び12がオープン状態となっている。
ここで、「複素共役関係となる」とは、一方が誘導性かつ他方が容量性となることを意味する。すなわち、一方のインピーダンスをR+jXとし、他方のインピーダンスをR+jXとした場合に、X>0かつX<0を満たすことを意味し、より限定的にはX=-Xを満たすことを意味する。なお、「X=-Xを満たす」とは、X=-Xを完全に満たす場合だけでなく、ほぼ満たしていればよく、多少の誤差があってもかまわない。この誤差の程度としては、例えば、数十パーセント以下であり、より好ましくは数パーセント以下である。
なお、XとXとの間で成立する上記の関係は、測定誤差等を含む実測値において成立する場合に限らず、設計値において成立する場合も含む。
また、「インピーダンスが無限大となる」とは、理想的にはインピーダンスが無限大であることを意味し、ここではインピーダンスの絶対値が500Ω以上であることを意味する。つまり、一のフィルタの通過帯域に相当する周波数帯域において共通接続点から他のフィルタのみを見た場合のインピーダンスの絶対値が500Ω以上であれば、当該周波数帯域におけるマルチプレクサ1の特性としては、当該他のフィルタによる影響を無視することができる。したがって、マルチプレクサ1の特性としては、上記のインピーダンスの絶対値が500Ω以上であれば、上記のインピーダンスが無限大の場合と同等の特性を得ることができる。
上記のような単体での反射特性を有するフィルタ11~13を共通接続点Nで共通接続することにより、共通接続点Nから見た共通接続後(束ね後)の反射特性は次のようになる。
図5は、本実施の形態において、共通接続後の共通接続点Nからフィルタ11~13側を見たときの反射特性(インピーダンス)を示すスミスチャートである。つまり、当該反射特性は、共通接続点Nから見た共通接続後のフィルタ11~13の反射特性である。同図の(a)は、同図の(b1)~(b3)に示す反射特性を測定した状態を模式的に示す図である。
同図から明らかなように、共通接続後の共通接続点Nから見たフィルタ11~13のインピーダンスは、フィルタ11~13の全ての通過帯域(ここではBand3Rx帯域、Band1Rx帯域及びBand7Rx帯域)においてスミスチャートの中心部に位置している。つまり、共通接続後のフィルタ11~13は、各フィルタの通過帯域においてインピーダンス整合がとられていることがわかる。この理由は以下のとおりである。
すなわち、フィルタ11及び12のそれぞれについて、共通接続点Nから見た束ね相手側フィルタ単体のインピーダンスは自帯域において複素共役関係となっている。例えば、フィルタ11に着目すると、共通接続点Nから見た束ね相手側フィルタ(フィルタ12及び13)単体のインピーダンスが自帯域(Band3)において複素共役関係となっている。つまり、このとき、フィルタ12及びフィルタ13は、Band3におけるインピーダンスとして、絶対値が略等しくかつ正負が逆のインピーダンスの虚数成分を有する。よって、フィルタ12及びフィルタ13が共通接続されると当該虚数成分がキャンセルされるため、共通接続点Nから見たフィルタ11の自帯域における相手側フィルタの合成インピーダンスは虚数成分を略有さないことになる。したがって、共通接続後のフィルタ11~13は、フィルタ11の自帯域について、フィルタ11の束ね相手側フィルタの合成インピーダンスの影響を受けにくくなる。このため、当該自帯域におけるインピーダンスは、フィルタ11単体のインピーダンスによって主に規定されることになる。上述のようにフィルタ11単体は自帯域においてインピーダンス整合がとれているため、共通接続後のフィルタ11~13は、フィルタ11の通過帯域においてインピーダンス整合をとることができる。このことは、フィルタ12に着目しても同様である。
また、フィルタ13について、共通接続点Nから見た束ね相手側フィルタ(フィルタ11及び12)単体のインピーダンスは自帯域(Band7)において無限大(絶対値500Ω以上)となっている。したがって、共通接続後のフィルタ11~13は、フィルタ13の自帯域について、フィルタ13の束ね相手側フィルタの合成インピーダンスの影響を受けにくくなる。このため、当該自帯域におけるインピーダンスは、フィルタ13単体のインピーダンスによって主に規定されることになる。上述のようにフィルタ13単体は自帯域においてインピーダンス整合がとれているため、共通接続後のフィルタ11~13は、フィルタ13の通過帯域においてインピーダンス整合をとることができる。
図6は、本実施の形態において、共通接続後のフィルタ特性(通過特性)を示す図である。同図の(a)は、同図の(b1)~(b3)に示す通過特性を測定した状態を模式的に示す図である。具体的には、同図の(b1)には、フィルタ11を経由する経路31の通過特性が示されており、より具体的には、共通端子Port1に入力された信号に対する個別端子Port2から出力された信号の強度比(S21)の絶対値である挿入損失が示されている。また、同図の(b2)には、フィルタ12を経由する経路32の通過特性が示されており、より具体的には、共通端子Port1に入力された信号に対する個別端子Port3から出力された信号の強度比(S31)の絶対値である挿入損失が示されている。また、同図の(b3)には、フィルタ13を経由する経路33の通過特性が示されており、より具体的には、共通端子Port1に入力された信号に対する個別端子Port4から出力された信号の強度比(S41)の絶対値である挿入損失が示されている。なお、これらの事項は、以降のフィルタ特性を示す図についても同様である。
同図に示すように、本実施の形態に係るマルチプレクサ1のフィルタ特性は、フィルタ11~13の全ての通過帯域(ここではBand3Rx帯域、Band1Rx帯域及びBand7Rx帯域)において低ロスを実現できている。つまり、本実施の形態に係るマルチプレクサ1によれば、良好な電気特性を得るという効果を奏することができる。
[4.効果等]
以下、本実施の形態に係るマルチプレクサ1によって奏される効果について、比較例と対比して説明する。
まず、比較例に係るマルチプレクサについて説明する。図7は、比較例に係るマルチプレクサ901の構成図である。
同図に示すマルチプレクサ901は、実施の形態1に係るマルチプレクサ1に比べて、位相調整回路21及び22を備えないことにより、上述した複素共役関係を満たさない点が異なる。
図8は、比較例において、共通接続前の共通接続点Nからフィルタ11~13側を見たときの反射特性(インピーダンス)を示すスミスチャートである。同図の(a1)~(a3)は、同図の(b1)~(b3)に示す反射特性を測定した状態を模式的に示す図である。
同図から明らかなように、比較例でも実施の形態1と同様に、フィルタ11~13はいずれも、自帯域では、インピーダンスがスミスチャートの中心部に位置しているため、インピーダンス整合がとられている。一方、フィルタ11~13はいずれも、相手側帯域では、インピーダンスがスミスチャートの中心部からずれて位置している。ただし、比較例では、実施の形態1と異なり、上述した複素共役関係は満たさずに、インピーダンスが概ねショート側に位置している。
このような特性を有するフィルタ11~13を共通接続点Nで共通接続した比較例に係るマルチプレクサ901は、次のような特性を有する。
図9は、比較例において、共通接続後の共通接続点Nからフィルタ11~13側を見たときの反射特性(インピーダンス)を示すスミスチャートである。同図の(a)は、同図の(b1)~(b3)に示す反射特性を測定した状態を模式的に示す図である。
同図から明らかなように、マルチプレクサ901は、フィルタ11~13のいずれの通過帯域においても、インピーダンスがスミスチャートの中心部からずれて位置しており、具体的にはショート側に位置している。つまり、比較例に係るマルチプレクサ901では、Band3Rx帯域、Band1Rx帯域及びBand7Rx帯域のいずれにおいても、インピーダンス不整合となっている。
図10は、比較例に係るマルチプレクサ901において、共通接続後のフィルタ特性(通過特性)を示す図である。
図6と図10とを比較して分かるように、実施の形態1に係るマルチプレクサ1によれば、比較例に係るマルチプレクサ901に比べて、通過帯域における挿入損失が低減されているため、良好な電気特性をしめす。具体的には、実施の形態1は比較例に比べて、複数の通過帯域(ここではBand3Rx帯域、Band1Rx帯域及びBand7Rx帯域)のいずれにおいても挿入損失が低減されている。
すなわち、比較例では、共通接続点Nから見た各フィルタの自帯域における相手側フィルタの合成インピーダンスは低インピーダンスとなっている。したがって、共通接続後のフィルタ11~13は、各フィルタの自帯域について、束ね相手側フィルタのインピーダンスの影響を受けることになる。このため、比較例では、各フィルタのフィルタ特性について、ロスが悪化してしまう。
これに対して、本実施の形態に係るマルチプレクサ1によれば、第1フィルタ(本実施の形態ではフィルタ12に相当)を除くn-1個のフィルタ(本実施の形態では2個のフィルタ11及び13に相当)のインピーダンスが当該第1フィルタの通過帯域(第1フィルタの自帯域、本実施の形態ではBand1Rx帯域)において複素共役関係となることにより、n-1個のフィルタは、第1フィルタの自帯域におけるインピーダンスとして、絶対値が略等しくかつ正負が逆のインピーダンスの虚数成分を有する。よって、これらn-1個のフィルタが共通接続されると当該虚数成分がキャンセルされるため、共通接続点Nから見た第1フィルタの自帯域における相手側フィルタの合成インピーダンスは虚数成分を略有さないことになる。したがって、共通接続後のn個のフィルタは、第1フィルタの自帯域について、n-1個のフィルタ(第1フィルタの束ね相手側フィルタ)の合成インピーダンス虚数成分の影響を受けにくくなる。したがって、共通接続後のn個のフィルタは、第1フィルタのフィルタ特性について低ロスを実現することができる。これにより、本実施の形態に係るマルチプレクサ1によれば、良好な電気特性を得る(損失を抑制する)ことができる。
つまり、当該n-1のフィルタは、共通接続点Nから見て、第1フィルタの通過帯域周波数において虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有する。これにより、共通接続点Nから当該n-1個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの通過帯域周波数(すなわち、第1フィルタの自帯域)において、虚数成分を有しにくくなる。したがって、共通接続点Nからn個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの自帯域において、当該n-1個のフィルタのインピーダンスの影響を受けにくくなる。これにより、本実施の形態に係るマルチプレクサ1によれば、良好な電気特性を得ることができる。
言い換えると、本実施の形態によれば、n個のフィルタのうち第1フィルタを除く、少なくとも2個のフィルタ(本実施の形態では2個のフィルタ11及び13に相当)について、各フィルタのインピーダンスは、少なくとも2個の経路が共通接続されていない状態で共通接続点Nから少なくとも2個のフィルタ側を見て、第1フィルタの通過帯域周波数において複素共役関係となっている。これにより、上述したように、良好な電気特性を得ることができる。
つまり、当該少なくとも2個のフィルタは、上記共通接続されていない状態で共通接続点Nから見て、第1フィルタの通過帯域周波数において虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有する。これにより、共通接続点Nから当該少なくとも2個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの自帯域において、虚数成分を有しにくくなる。したがって、他のフィルタのインピーダンスを適宜調整することで、共通接続点Nからn個のフィルタを見た合成インピーダンスが、第1フィルタの自帯域において、相手側フィルタのインピーダンスの影響を受けにくくなる。よって、良好な電気特性を得ることができる。
ここで、n個全てのフィルタ特性について低ロスを実現しようとすると、最も低域に位置する通過帯域を自帯域とするフィルタ(本実施の形態ではフィルタ11に相当)については、相手側フィルタの各周波数帯域(本実施形態では、フィルタ12及びフィルタ13の通過帯域)のうち、周波数の離れた通過帯域を自帯域とするフィルタ(本実施の形態ではフィルタ13の通過帯域に相当)のインピーダンスの誘導成分または容量成分が大きくなる。本実施形態では、フィルタ11の相手側フィルタ13の通過帯域におけるインピーダンスと、フィルタ12の相手側フィルタ13の通過帯域におけるインピーダンスがともに容量性となり、合成インピーダンスの容量成分がさらに大きくなる。このため、フィルタ13のインピーダンスを容量性側に大きくシフトさせるので、特性が悪くなる。このことは、特にn個の通過帯域の周波数間隔が離れている場合に顕著である。
このため、第1フィルタの通過帯域がn個のフィルタの通過帯域を周波数順に並べた場合に最も低域及び最も高域に位置する通過帯域以外の帯域であり、当該第1フィルタを除くn-1個のフィルタについて上記の複素共役関係を満たすことにより、n個全てのフィルタ特性について低ロスを実現することが可能となる。
特に、本実施の形態では、第1フィルタと他のフィルタとは、第1フィルタの通過帯域幅(本実施の形態ではフィルタ12の通過帯域幅60MHz)以上に通過帯域が離れている。
一般的には、このような周波数関係の場合、第1フィルタの相手側フィルタとなるn-1個のフィルタについて、各フィルタのインピーダンスの虚数成分を小さくすることが特に難しいため、低ロス化には非常な困難が伴う。これに対して、本実施の形態によれば、上記の複素共役関係を満たすようにすることで、特に低ロス化が困難な第1フィルタのフィルタ特性について、低ロスを実現することができる。
また、本実施の形態によれば、n-1個のフィルタのインピーダンスがオープン側で複素共役関係となることにより、共通接続点Nから見た第1フィルタの自帯域における相手側フィルタの合成インピーダンスを高インピーダンスにすることができる。したがって、共通接続後のn個のフィルタは、第1フィルタのフィルタ特性についてさらに低ロスを実現することができる。
つまり、n-1個のフィルタは、共通接続されていない状態で共通接続点Nから見て、第1フィルタの通過帯域周波数において、スミスチャート上の中心よりも右側の領域であるオープン側で虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有する。これにより、共通接続点Nから当該n-1個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの自帯域において、スミスチャート上で中心よりも右側に位置する高インピーダンスとなる。したがって、第1フィルタの自帯域の高周波信号について当該n-1個のフィルタへの漏れを抑制することができるので、第1フィルタを通過する経路について、さらに良好な電気特性を得ることができる。
言い換えると、本実施の形態によれば、上述した少なくとも2個のフィルタ(本実施の形態では2個のフィルタ11及び13に相当)について、各フィルタのインピーダンスは、共通接続されていない状態で共通接続点Nから少なくとも2個のフィルタ側を見て、第1フィルタの通過帯域周波数において、スミスチャート上の中心よりも右側の領域であるオープン側で複素共役関係となっている。これにより、上述したように、第1フィルタのフィルタ特性についてさらに低ロスを実現することができる。
つまり、当該少なくとも2個のフィルタは、共通接続されていない状態で共通接続点Nから見て、第1フィルタの通過帯域周波数において、スミスチャート上の中心よりも右側の領域であるオープン側で虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有する。これにより、共通接続点Nから当該少なくとも2個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの自帯域において、高インピーダンスとなる。したがって、第1フィルタの自帯域の高周波信号について当該少なくとも2個のフィルタへの漏れを抑制することができるので、第1フィルタを通過する経路について、さらに良好な電気特性を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、第2フィルタ(本実施の形態ではフィルタ13に相当)を除くn-1個のフィルタ(本実施の形態ではフィルタ11及び12に相当)のインピーダンスが当該第2フィルタの通過帯域(第2フィルタの自帯域、本実施の形態ではBand7Rx帯域)において無限大(絶対値500Ω以上)となる。これにより、共通接続点Nから見た第2フィルタの自帯域における相手側フィルタの合成インピーダンスを高インピーダンスにすることができる。したがって、共通接続後のn個のフィルタは、第2フィルタのフィルタ特性についても低ロスを実現することができる。つまり、第2フィルタの自帯域の高周波信号について上記n-1個のフィルタへの漏れを抑制することができるので、第2フィルタを通過する経路について、さらに良好な電気特性を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、第3フィルタ(本実施の形態ではフィルタ11に相当)を除くn-1個のフィルタ(本実施の形態ではフィルタ12及び13に相当)のインピーダンスが当該第3フィルタの通過帯域(第3フィルタの自帯域、本実施の形態ではBand3Rx帯域)において複素共役関係となる。これにより、n-1個のフィルタは、第3フィルタの自帯域におけるインピーダンスとして、絶対値が略等しくかつ正負が逆のインピーダンスの虚数成分を有する。よって、共通接続後のn個のフィルタは、第1フィルタと同様に、第3フィルタのフィルタ特性についても低ロスを実現することができる。
特に本実施の形態では、n個のフィルタは3個のフィルタからなるため、第1~第3フィルタに関して上述の関係を満たすことにより、第1~第3フィルタ全てのフィルタ特性について低ロスを実現することができる。
つまり、共通接続点から第2フィルタ及び第3フィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの自帯域において、虚数成分を有しにくくなる。したがって、共通接続点から3個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第1フィルタの自帯域において、第2フィルタ及び第3フィルタのインピーダンスの影響を受けにくくなる。よって、良好な電気特性を得ることができるトリプレクサを実現することができる。
また、共通接続点から第1フィルタ及び第2フィルタを見た合成インピーダンスは、第3フィルタの通過帯域周波数(すなわち、第3フィルタの自帯域)において、虚数成分を有しにくくなる。したがって、共通接続点から3個のフィルタを見た合成インピーダンスは、第3フィルタの自帯域において、第1フィルタ及び第2フィルタのインピーダンスの影響を受けにくくなる。これにより、本態様に係るマルチプレクサによれば、第3フィルタを通過する経路についても低ロスを実現することができる。よって、さらに良好な電気特性を得ることができるトリプレクサを実現することができる。
また、共通接続点から第1フィルタ及び第3フィルタを見た合成インピーダンスは、第2フィルタの自帯域において、高インピーダンスとなる。したがって、第2フィルタの自帯域の高周波信号について第1フィルタ及び第3フィルタへの漏れを抑制することができるので、第2フィルタを通過する経路について、さらに良好な電気特性を得ることができる。よって、さらに良好な電気特性を得ることができるトリプレクサを実現することができる。
また、本実施の形態によれば、位相調整回路21及び22を備えることにより、上記の複素共役関係を容易に実現することができる。よって、本実施の形態によれば、良好な電気特性を得ることができるトリプレクサを実現することができる。
また、本実施の形態によれば、位相調整回路21及び22がLCマッチング回路であることにより、位相調整回路21及び22がない状態で自帯域においてインピーダンス整合がとれていないフィルタについて、自帯域においてインピーダンス整合を図りつつ、相手側フィルタの帯域(相手側帯域)においてインピーダンスが上記の複素共役関係を満たすように調整することができる。
(変形例1)
なお、マルチプレクサ1は、位相調整回路21及び位相調整回路22の一部を共通化させてもかまわない。図11は、このように構成された変形例1に係るマルチプレクサ1Aの構成図である。
同図に示すマルチプレクサ1Aは、実施の形態1に係るマルチプレクサ1に比べ、位相調整回路21及び22に代わり、位相調整回路21A及び22AとインダクタL231とを備える。
位相調整回路21Aは、実施の形態1における位相調整回路21に比べて、位相調整回路21の共通接続点N側のインピーダンス素子であるインダクタL211を有さない。位相調整回路22Aは、実施の形態1における位相調整回路22に比べて、位相調整回路22の共通接続点N側のインピーダンス素子であるインダクタL221を有さない。
インダクタL231は、共通接続点Nとフィルタ11~13との間に設けられており、具体的には、共通接続点Nと位相調整回路21及び22との間に設けられている。なお、図11に示すインダクタL231と共通接続点Nとを接続する経路は、理想的には電気長がゼロであるものとする。
つまり、マルチプレクサ1Aは、実施の形態1に係るマルチプレクサ1に比べ、位相調整回路21のインダクタL211と位相調整回路22のインダクタL221とが、共通のインダクタL231で置き換えられた構成である。
このように構成されたマルチプレクサ1Aであっても、上記実施の形態1と同様の複素共役関係を有することにより、良好な電気特性を得ることができる。
(変形例2)
上記実施の形態1では、位相調整回路として、LCマッチング回路を例に説明した。しかし、位相調整回路はマイクロストリップラインであってもかまわない。そこで、本変形例では、このような位相調整回路を備えるマルチプレクサについて説明する。
図12は、変形例2に係るマルチプレクサ201の構成図である。
同図に示すマルチプレクサ201は、実施の形態1に係るマルチプレクサ1に比べ、位相調整回路21及び22に代わり、マイクロストリップライン(MSL:microstripline)221及び222を備える。つまり、本変形例では、位相調整回路21に代わる位相調整回路として、経路31に直列接続されたMSL221を備える。また、位相調整回路22に代わる位相調整回路として、経路32に直列接続されたMSL222を備える。
MSL221とMSL222とは、接続された経路が異なることに伴い位相を調整する対象のフィルタが異なる点を除き、ほぼ同様の構成を有する。このため、以下ではMSL221について説明し、MSL222については説明を簡略化する。
MSL221は、共通接続点Nから見たフィルタ11の位相を正方向(時計回り)に回転させ、当該回転角はMSL221の長さによって規定される。この場合、MSL221の特性インピーダンスを、他の伝送線路の特性インピーダンス等の伝送系のインピーダンスと等しくすることにより、フィルタ11の通過帯域におけるインピーダンス整合状態を変化させることなく(反射係数を維持しつつ)、位相の回転のみを行うことができる。なお、MSL221及び222の特性インピーダンスは、伝送系のインピーダンスと異なっていてもかまわない。
これにより、MSL221及び222は、共通接続前の状態で共通接続点Nからフィルタ11~13側を見て(共通接続点Nからフィルタ11~13単体を見て)上述の複素共役関係となるように、それぞれに対応するフィルタの位相を調整することができる。
ここで、MSL221の等価回路は、同図の破線枠内の等価回路図に示すように、経路31に直列接続されたインダクタ及び当該経路とグランドとを接続する経路に直列接続されたキャパシタとで示される。このことは、MSL222についても同様である。このため、位相調整回路は、MSLに限らず、このようなインダクタとキャパシタとで構成されてもかまわない。
図13は、本変形例において、共通接続前の共通接続点Nからフィルタ11~13側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。
同図から明らかなように、全てのフィルタ11~13について、各フィルタのインピーダンスは、実施の形態1と同様に、自帯域(自身の通過帯域)においてスミスチャートの中心部に位置している。一方、全てのフィルタ11~13について、各フィルタのインピーダンスは、実施の形態1と同様に、相手側帯域においてスミスチャートの中心部からずれて位置している。
ここで、フィルタ11の通過帯域であるBand3Rx帯域に着目すると、本変形例では実施の形態1と同様に、当該フィルタ11の束ね相手側フィルタであるフィルタ12と13とで、インピーダンスが複素共役関係となっている。また、フィルタ12の通過帯域であるBand1Rx帯域に着目すると、本変形例では実施の形態1と同様に、当該フィルタ12の束ね相手側フィルタであるフィルタ11と13とで、インピーダンスが複素共役関係となっている。また、フィルタ13の通過帯域であるBand7Rx帯域に着目すると、本変形例では実施の形態1と同様に、当該フィルタ13の束ね相手側フィルタであるフィルタ11と12とで、インピーダンスが無限大(絶対値500Ω以上)となっている。
上記のような単体での反射特性を有するフィルタ11~13を共通接続点Nで共通接続することにより、共通接続点Nから見た共通接続後の反射特性は次のようになる。
図14は、本変形例において、共通接続後の共通接続点Nからフィルタ11~13側を見たときの反射特性(インピーダンス)を示すスミスチャートである。同図の(a)は、同図の(b1)~(b3)に示す反射特性を測定した状態を模式的に示す図である。
同図から明らかなように、共通接続後の共通接続点Nから見たフィルタ11~13のインピーダンスは、フィルタ11~13の全ての通過帯域(ここではBand3Rx帯域、Band1Rx帯域及びBand7Rx帯域)においてスミスチャートの中心部に位置している。つまり、本変形例では実施の形態1と同様に、共通接続後のフィルタ11~13は、各フィルタの通過帯域においてインピーダンス整合がとられていることがわかる。
図15は、本変形例において、共通接続後のフィルタ特性(通過特性)を示す図である。
同図に示すように、本変形例に係るマルチプレクサ201のフィルタ特性は、フィルタ11~13の全ての通過帯域(ここではBand3Rx帯域、Band1Rx帯域及びBand7Rx帯域)において低ロスを実現できている。つまり、本変形例に係るマルチプレクサ201によれば、良好な電気特性を得るという効果を奏することができる。
このように、本変形例に係るマルチプレクサ201であっても、上記実施の形態1と同様に、上述した複素共役関係を有することにより、良好な電気特性を得ることができる。
また、本変形例によれば、位相調整回路がマイクロストリップライン(本変形例ではMSL221及び222)であることにより、インダクタ及びキャパシタ等のインピーダンス素子を用いることなく位相調整回路を構成することができる。このため、マルチプレクサ201の構成を簡素化することができ、それに伴い、製造工程における工数を削減することができる。
なお、インピーダンス素子を用いずに構成される位相調整回路としては、マイクロストリップラインに限らず、例えばコプレーナラインまたはストリップライン等の伝送線路であってもかまわない。
また、位相調整回路は、マイクロストリップラインに代わり、当該マイクロストリップラインの等価回路(図12の破線枠内参照)を実現するインピーダンス素子を有してもかまわない。つまり、当該位相調整回路は、フィルタが設けられた経路に直列接続されたインダクタ、及び、当該経路とグランドとを接続する経路に直列接続されたキャパシタによって構成されていてもかまわない。このような構成によれば、共通接続前の状態で共通接続点Nから当該フィルタを見たインピーダンスを、スミスチャート上において、ショートを通る円上で容量性に移動させ、オープンを通る円上で誘導性に移動させることができる。このため、当該インピーダンスの位相を可変することができるので、インピーダンス素子の定数を適宜調整することにより、上述した複素共役関係を満たすことができる。したがって、このような構成であっても、上記実施の形態1と同様に、良好な電気特性を得ることができる。
(変形例3)
上記実施の形態1及び変形例1、2では、フィルタ12及び13について、各フィルタのインピーダンスは、共通接続前の状態で共通接続点Nからフィルタ11~13側を見て(共通接続点Nからフィルタ11~13単体を見て)、フィルタ11の通過帯域(Band3Rx帯域)において複素共役関係となっていた。また、フィルタ11及び13について、各フィルタのインピーダンスは、上記のように見て、フィルタ12の通過帯域(Band1Rx帯域)において複素共役関係となっていた。また、フィルタ11及び12について、各フィルタのインピーダンスは、上記のように見て、フィルタ13の通過帯域(Band7Rx帯域)において無限大(絶対値500Ω以上)となっていた。しかし、インピーダンスが複素共役関係となるフィルタの組み合わせ及び通過帯域はこれに限定されない。また、インピーダンスが無限大(絶対値500Ω以上)となるフィルタの組み合わせ及び通過帯域についても、これに限定されない。そこで、本変形例では、このようなマルチプレクサの一例について説明する。
図16は、変形例3に係るマルチプレクサ301の構成図である。
同図に示すマルチプレクサ301は、実施の形態1に係るマルチプレクサ1に比べ、位相調整回路21及び22に代わり、位相調整回路321及び322を備え、さらに、共通接続点Nとフィルタ13との間に位相調整回路323を備える。
位相調整回路321~323は、実施の形態1における位相調整回路21及び22と同様に、1以上のインダクタと1以上のキャパシタとから構成されるLCマッチング回路である。具体的には、位相調整回路321は、キャパシタC311ならびにインダクタL311及びL312によって構成され、位相調整回路322は、キャパシタC321ならびにインダクタL321及びL322によって構成され、位相調整回路322は、キャパシタC331ならびにインダクタL331及びL332によって構成されている。
これら位相調整回路321~323は、インピーダンスが複素共役関係または無限大(絶対値500Ω以上)となるフィルタの組み合わせ及び通過帯域が異なる点に関連してこれらを構成する回路定数が異なる点を除き、位相調整回路21及び22と同様の構成を有するため、詳細な構成については説明を省略する。
図17は、本変形例において、共通接続前の共通接続点Nからフィルタ11~13側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。
同図から明らかなように、全てのフィルタ11~13について、各フィルタのインピーダンスは、実施の形態1と同様に、自帯域(自身の通過帯域)においてスミスチャートの中心部に位置している。一方、全てのフィルタ11~13について、各フィルタのインピーダンスは、実施の形態1と同様に、相手側帯域においてスミスチャートの中心部からずれて位置している。
ここで、フィルタ11の通過帯域であるBand3Rx帯域に着目すると、本変形例では実施の形態1と異なり、当該フィルタ11の束ね相手側フィルタであるフィルタ12と13とで、インピーダンスが無限大(絶対値500Ω以上)となっている。また、フィルタ12の通過帯域であるBand1Rx帯域に着目すると、本変形例では実施の形態1と同様に、当該フィルタ12の束ね相手側フィルタであるフィルタ11と13とで、インピーダンスが複素共役関係となっている。また、フィルタ13の通過帯域であるBand7Rx帯域に着目すると、本変形例では実施の形態1と異なり、当該フィルタ13の束ね相手側フィルタであるフィルタ11と12とで、インピーダンスが複素共役関係となっている。
上記のような単体での反射特性を有するフィルタ11~13を共通接続点Nで共通接続することにより、共通接続点Nから見た共通接続後の反射特性は次のようになる。
図18は、本変形例において、共通接続後の共通接続点Nからフィルタ11~13側を見たときの反射特性(インピーダンス)を示すスミスチャートである。同図の(a)は、同図の(b1)~(b3)に示す反射特性を測定した状態を模式的に示す図である。
同図から明らかなように、共通接続後の共通接続点Nから見たフィルタ11~13のインピーダンスは、フィルタ11~13の全ての通過帯域(ここではBand3Rx帯域、Band1Rx帯域及びBand7Rx帯域)においてスミスチャートの中心部に位置している。つまり、実施の形態1に比べてインピーダンスが複素共役関係または無限大(絶対値500Ω以上)となるフィルタの組み合わせ及び通過帯域を異ならせた本変形例であっても、実施の形態1と同様に、共通接続後のフィルタ11~13は、各フィルタの通過帯域においてインピーダンス整合がとられていることがわかる。
図19は、本変形例において、共通接続後のフィルタ特性(通過特性)を示す図である。
同図に示すように、本変形例に係るマルチプレクサ301のフィルタ特性は、フィルタ11~13の全ての通過帯域(ここではBand3Rx帯域、Band1Rx帯域及びBand7Rx帯域)において低ロスを実現できている。つまり、本変形例に係るマルチプレクサ301によれば、良好な電気特性を得るという効果を奏することができる。
このように、本変形例に係るマルチプレクサ301であっても、上記実施の形態1と同様に、上述した複素共役関係を有することにより、良好な電気特性を得ることができる。
(変形例4)
上記実施の形態1及び変形例1~3では、n個(上記説明では3個)の通過帯域のいずれについても、当該通過帯域が相手側帯域となるn-1個のフィルタ(上記説明では2個の相手側フィルタ)のインピーダンスが複素共役関係または無限大(絶対値500Ω以上)となっていた。しかし、インピーダンスが複素共役関係または無限大(絶対値500Ω以上)とならない通過帯域があってもかまわない。そこで、本変形例では、このようなマルチプレクサの一例について説明する。
図20は、変形例4に係るマルチプレクサ401の構成図である。
同図に示すマルチプレクサ401は、実施の形態1に係るマルチプレクサ1に比べ、位相調整回路21及び22に代わり、位相調整回路421及び422を備え、さらに、共通接続点Nとフィルタ13との間に位相調整回路423を備える。
位相調整回路421~423は、この順にフィルタ11~13に個別に対応し、対応するフィルタと共通接続点Nとの間に設けられている。これら位相調整回路421~423のそれぞれの構成は特に限定されないが、例えば、上記実施の形態1及び変形例1~3における位相調整回路と同様の構成が用いられ得る。このような位相調整回路421~423は、それぞれの定数等が適宜調整されることにより、例えば、対応するフィルタのインピーダンスについて相手側帯域をできるだけオープンにすることができる。
図21は、本変形例において、共通接続前の共通接続点Nからフィルタ11~13側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。
同図から明らかなように、全てのフィルタ11~13について、各フィルタのインピーダンスは、実施の形態1と同様に、自帯域(自身の通過帯域)がスミスチャートの中心部に位置している。一方、全てのフィルタ11~13について、各フィルタのインピーダンスは、実施の形態1と同様に、相手側帯域がスミスチャートの中心部からずれて位置している。
ここで、フィルタ12の通過帯域であるBand1Rx帯域に着目すると、本変形例では実施の形態1と同様に、フィルタ11及び13でインピーダンスが複素共役関係となっている。ただし、フィルタ11の通過帯域であるBand3Rx帯域に着目すると、本変形例では実施の形態1と異なり、フィルタ12及びフィルタ13のいずれについても、インピーダンスが誘導性に位置しているため複素共役関係となっていない。また、フィルタ13の通過帯域であるBand7Rx帯域に着目すると、本変形例では実施の形態1と異なり、フィルタ11及びフィルタ12のいずれについても、インピーダンスは無限大(絶対値500Ω以上)となっていない。
上記のような単体での反射特性を有するフィルタ11~13を共通接続点Nで共通接続することにより、共通接続点Nから見た共通接続後の反射特性は次のようになる。
図22は、本変形例において、共通接続後の共通接続点Nからフィルタ11~13側を見たときの反射特性(インピーダンス)を示すスミスチャートである。同図の(a)は、同図の(b1)~(b3)に示す反射特性を測定した状態を模式的に示す図である。
同図から明らかなように、共通接続後の共通接続点Nからフィルタ11~13側を見たときのインピーダンスは、Band1Rx帯域においてスミスチャートの中心部に位置しているものの、Band3Rx帯域においては当該中心部から誘導性にずれて位置しており、Band7Rx帯域においては当該中心部から容量性にずれて位置している。
これは、フィルタ11に着目すると、共通接続点Nから見た束ね相手側フィルタ(フィルタ12及び13)単体のインピーダンスが自帯域(Band3Rx帯域)において複素共役関係とならず誘導性にずれて位置していることによる。また、フィルタ13に着目すると、共通接続点Nから見た束ね相手側フィルタ(フィルタ11及び12)単体のインピーダンスが自帯域(Band7Rx帯域)において複素共役関係とならず容量性にずれて位置していることによる。
つまり、本変形例では実施の形態1に比べて、共通接続点Nから共通接続後のフィルタ11~13を見て、一部の通過帯域(Band3Rx帯域及びBand7Rx帯域)においてインピーダンス整合状態が劣化(反射係数が増大)している。
図23は、本変形例において、共通接続後のフィルタ特性(通過特性)を示す図である。
同図と図6とを比較して分かるように、本変形例に係るマルチプレクサ401のフィルタ特性は、実施の形態1に係るマルチプレクサ1のフィルタ特性に比べて、Band3Rx帯域及びBand7Rx帯域におけるロスがやや劣化(増大)しているものの、Band1Rx帯域におけるロスは同等となっている。つまり、本変形例に係るマルチプレクサ401であっても、少なくとも1つの通過帯域(ここではBand1Rx帯域)については、良好な電気特性を得る(損失を抑制する)という効果を奏することができる。
このように、本変形例に係るマルチプレクサ401であっても、上述した複素共役関係を有することにより、少なくとも1つの通過帯域については、上記実施の形態1と同様に良好な電気特性を得ることができる。
このようなマルチプレクサ401は、複数の通過帯域の間で、要求仕様等により求められるロスの上限が異なる構成に適用することができる。つまり、ロスの上限が厳しいBandを通過帯域とするフィルタを除く他のフィルタについてのみ上述した複素共役関係を満たすように設計する。これにより、マルチプレクサ401の回路構成の複雑化及び回路素子の定数調整等の工数を削減しつつ、ロスの上限が厳しいBandを通過帯域とするフィルタのフィルタ特性について低ロスを実現して要求仕様を満たすことができる。
(変形例5)
上記実施の形態1及び変形例1~4では、n個のフィルタ(上記説明では3個のフィルタ11~13)のそれぞれが帯域通過フィルタであるとして説明した。つまり、n個の帯域通過フィルタを含むマルチプレクサについて説明した。しかし、本発明は、帯域通過フィルタに限らず、ノッチフィルタ等の帯域除去フィルタを含むマルチプレクサに適用することもできる。そこで、本変形例では、このようなマルチプレクサの一例について説明する。
図24は、本変形例に係るマルチプレクサ701の構成図である。
同図に示すマルチプレクサ701は、実施の形態1に係るマルチプレクサ1に比べ、フィルタ11~13に代わりフィルタ711~713を備え、位相調整回路21及び22に代わり位相調整回路723を備える。
フィルタ711は、共通端子Port1と個別端子Port2とを結ぶ経路31上に配置されている。このフィルタ711は、本変形例ではLTEのBand41を通過帯域とするバンドパスフィルタ(帯域通過フィルタ)である。
フィルタ712は、共通端子Port1と個別端子Port3とを結ぶ経路32上に配置されている。このフィルタ712は、本変形例ではLTEのBand40を通過帯域とするバンドパスフィルタである。なお、本変形例では、フィルタ712の通過帯域は、例えばISM2.4G帯域での減衰量を確保するため、Band40の低域側のチャネルに絞られている。
フィルタ713は、共通端子Port1と個別端子Port4とを結ぶ経路33上に配置されている。このフィルタ713は、本変形例では、LTEのBand41及び40(第1周波数帯域)を減衰帯域とするノッチフィルタ(帯域除去フィルタ)である。つまり、フィルタ713の通過帯域は、フィルタ711及びフィルタ712それぞれの通過帯域と異なる。具体的には、フィルタ713の低域側の通過帯域周波数は、フィルタ711及びフィルタ712それぞれの通過帯域周波数よりも低い。本変形例では、フィルタ713は、LMB(ローミドルバンド:1476-2026MHz)及びMB(ミドルバンド:2110-2200MHz)を低域側の通過帯域とするノッチフィルタである。LMB及びMBの例としては、例えば、Band1、Band2、Band3、Band4、Band11、Band21、Band25、Band32、Band34、Band39、およびBand66が挙げられる。
本変形例では、これらフィルタ711~713のそれぞれは、実施の形態1におけるフィルタ11~13と同様に、1以上の弾性波共振子によって構成される弾性波フィルタである。
ここで、同図に示すように、フィルタ713を構成する1以上の弾性波共振子のうち最も共通接続点N側の弾性波共振子は、フィルタ713が設けられた経路33とグランドとを接続する経路に直列接続された並列共振子p1(並列腕共振子)である。つまり、フィルタ713は、共通接続点N側から並列共振子p1で始まる弾性波フィルタである。
なお、並列共振子p1は、当該1つの並列共振子p1が直列分割等された複数の分割共振子によって構成されていてもかまわない。また、並列共振子p1は、経路33またはグランドに直接接続されていなくてもよく、他の並列共振子またはインピーダンス素子等を介して接続されていてもかまわない。
位相調整回路723は、3個の経路31~33が共通接続されていない共通接続前の状態で共通接続点Nから3個のフィルタ711~713側を見て、実施の形態1で説明した複素共役関係となるように、フィルタ713の位相を調整する。具体的には、位相調整回路723は、共通接続点Nとフィルタ713との間でフィルタ713が設けられた経路33に直列接続されたインダクタL731である。
このように、本変形例に係るマルチプレクサ701は、少なくとも1個のフィルタ(本変形例ではフィルタ713)がノッチフィルタで構成され、ノッチフィルタの束ね側端子(つまり共通接続点N側)に直列インダクタ(インダクタL731)が挿入されている。また、3個のフィルタ711~713の通過帯域周波数は互いに重複せず、かつ、フィルタ713(ノッチフィルタ)の通過帯域周波数が他のフィルタ711及び712の通過帯域周波数よりも低い。また、フィルタ713は、上記の直列インダクタにシャントに接続された弾性波共振子(並列共振子p1)を有する。
次に、このように構成されたマルチプレクサ701の特性について、説明する。
図25は、本変形例において、共通接続前の共通接続点Nからフィルタ711~713側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。
同図から明らかなように、全てのフィルタ711~713について、各フィルタのインピーダンスは、実施の形態1と同様に、自帯域(自身の通過帯域)がスミスチャートの中心部に位置している。一方、全てのフィルタ711~713について、各フィルタのインピーダンスは、実施の形態1と同様に、相手側帯域がスミスチャートの中心部からずれて位置している。
ここで、フィルタ711の通過帯域であるBand41に着目すると、フィルタ712及び713でインピーダンスが複素共役関係となっている。また、フィルタ712の通過帯域であるBand40に着目すると、フィルタ711及び713でインピーダンスが複素共役関係となっている。
上記のような反射特性を有するフィルタ711~713を共通接続点Nで共通接続することにより、共通接続点Nから見た共通接続後の反射特性において、Band41及び40のいずれのBandについても、インピーダンス整合をとることができる。
図26は、本変形例において、共通接続後のフィルタ特性(通過特性)を示す図である。
同図から分かるように、本変形例に係るマルチプレクサ701であっても、実施の形態1と同様に、全ての通過帯域(本変形例では、Band40及び41、ならびに、LMB及びMBについて、良好な電気特性を得る(損失を抑制する)という効果を奏することができる。以下、このような効果が奏される理由について、図27及び図28を用いて本変形例の比較例と比較しながら説明する。
図27は、本変形例において、フィルタ713(ノッチフィルタ)に関する反射特性を示す図である。図28は、本変形例の比較例において、フィルタ913(ノッチフィルタ)に関する反射特性を示す図である。なお、比較例のフィルタ913は、本変形例のフィルタ713に比べて、共通接続点N側の弾性波共振子が経路33に直列接続された直列共振子s1(直列腕共振子)である点を除いて同様であるため、詳細な説明については省略する。
図27の上段右図(b3-1)及び図28の右図(b3-1)に示すスミスチャートには、フィルタ713及び913の共通接続点N側のインピーダンスが示されている。これらを比較して分かるように、共通接続点N側の弾性波共振子が並列共振子p1であるフィルタ713は、当該弾性波共振子が直列共振子s1であるフィルタ913に比べて、相手側フィルタの通過帯域周波数(すなわち、フィルタ711の通過帯域であるBand41及びフィルタ712の通過帯域であるBand40)におけるインピーダンスを時計回りに回転させ、位相を進めることができる。
本変形例では、図27の下段に示すように、経路33に直列接続されたインダクタL731からなる位相調整回路723を付加することにより、共通接続点Nからフィルタ713側を見たインピーダンスを時計回りに回転させて位相を進ませることにより、相手側フィルタの通過帯域周波数におけるインピーダンスを誘導性にシフトさせる。
このとき、共通接続点Nからフィルタ713側を見たインピーダンスは、上記の直列接続されたインダクタL731のインダクタンス値が大きいほど、相手側フィルタの通過帯域周波数においてスミスチャート上で大きく回転する。したがって、比較例のフィルタ913であっても、インダクタL731のインダクタンス値を増大することにより、相手側フィルタの通過帯域周波数におけるインピーダンスを誘導性にシフトさせることは可能ではある。しかしながら、当該インダクタL731は、高周波信号を伝達する経路33に直列に接続されているため、インダクタンス値の増大はフィルタ713の通過帯域内ロスの増大を招くことになる。
これに対して、本変形例では、インダクタL731を付加する前のフィルタ713について、比較例のフィルタ913に比べて、相手側フィルタの通過帯域周波数におけるインピーダンスをスミスチャート上で時計回りに回転させることができる。このため、比較的小さなインダクタンス値のインダクタL731により、相手側フィルタの通過帯域周波数におけるインピーダンスを誘導性にシフトさせることができる。したがって、本変形例によれば、良好な電気特性を得つつ、フィルタ713の通過帯域内ロスを抑制することができる。
このように、本変形例に係るマルチプレクサ701によれば、第1フィルタ(本変形例ではフィルタ711に相当)を除くn-1個のフィルタ(本変形例では2個のフィルタ712及び713に相当)のインピーダンスが当該第1フィルタの通過帯域(第1フィルタの自帯域、本変形例ではBand41)において複素共役関係となる(図25参照)。これにより、n-1個のフィルタは、第1フィルタの自帯域におけるインピーダンスとして、絶対値が略等しくかつ正負が逆のインピーダンスの虚数成分を有する。よって、これらn-1個のフィルタが共通接続されると当該虚数成分がキャンセルされるため、共通接続点Nから見た第1フィルタの自帯域における相手側フィルタの合成インピーダンスは虚数成分を有さないことになる。したがって、共通接続後のn個のフィルタは、第1フィルタの自帯域について、n-1個のフィルタ(第1フィルタの束ね相手側フィルタ)のインピーダンス虚数成分の影響を受けにくくなる。このため、共通接続後のn個のフィルタは、第1フィルタのフィルタ特性について低ロスを実現することができる。
また、本変形例によれば、第3フィルタ(本変形例ではフィルタ712に相当)を除くn-1個のフィルタ(本変形例ではフィルタ711及び713に相当)のインピーダンスが当該第3フィルタの通過帯域(第3フィルタの自帯域、本変形例ではBand40)において複素共役関係となる(図25参照)。これにより、n-1個のフィルタは、第3フィルタの自帯域におけるインピーダンスとして、絶対値が略等しくかつ正負が逆のインピーダンスの虚数成分を有する。よって、共通接続後のn個のフィルタは、第1フィルタと同様に、第3フィルタのフィルタ特性についても低ロスを実現することができる。
また、本変形例によれば、少なくとも1個のフィルタ(本変形例ではフィルタ713)は帯域除去フィルタであり、位相調整回路723は経路33に直列接続されたインダクタL731である。このような上記の直列接続されたインダクタL731である位相調整回路723を設けることにより、共通接続されていない状態で共通接続点Nから帯域除去フィルタ(本変形例ではフィルタ713)側を見たインピーダンスは、帯域除去フィルタの相手側フィルタの通過帯域周波数(本変形例ではフィルタ711の通過帯域であるBand41及びフィルタ712の通過帯域であるBand40)において誘導性にシフトすることになる。このため、n個のフィルタそれぞれが弾性波フィルタである等、n個のフィルタそれぞれのインピーダンスが容量性の場合であっても、帯域除去フィルタのインピーダンスと他の少なくとも1個のフィルタのインピーダンスとを、第1フィルタの通過帯域周波数において複素共役関係とすることができる。したがって、帯域除去フィルタを含むn個のフィルタを備えるマルチプレクサ701において、良好な電気特性を得ることができる。
また、本変形例によれば、n個のフィルタは、帯域除去フィルタの減衰帯域周波数に通過帯域周波数が含まれる少なくとも2個の帯域通過フィルタ(本変形例では2個のフィルタ711及び712)を含む。つまり、帯域除去フィルタの低域側の通過帯域周波数(本変形例ではLMB及びMB)は、相手側フィルタの通過帯域周波数(本変形例ではBand41及び40)よりも低い。これにより、インダクタL731を付加する前の帯域除去フィルタについて、相手側フィルタの通過帯域周波数におけるインピーダンスをスミスチャート上で時計回りに回転させて位相を進ませることができる。このため、比較的小さなインダクタンス値のインダクタL731を帯域除去フィルタに付加することにより、相手側フィルタの通過帯域周波数におけるインピーダンスを誘導性にシフトさせることができる。したがって、本変形例によれば、良好な電気特性を得つつ、帯域除去フィルタの通過帯域内ロスを抑制することができる。
(実施の形態2)
以上の実施の形態1及び変形例1~5で説明したマルチプレクサは、当該マルチプレクサを備える高周波フロントエンド回路等に適用することができる。そこで、本実施の形態では、このような高周波フロントエンド回路について、実施の形態1の変形例5に係るマルチプレクサ701を備える構成を例に説明する。
図29は、実施の形態2に係る高周波フロントエンド回路10及びその周辺回路の構成図である。同図には、マルチプレクサ701と受信増幅回路群4とで構成される高周波フロントエンド回路10と、アンテナ素子2と、RF信号処理回路(RFIC)3とが示されている。高周波フロントエンド回路10及びRFIC3は、通信装置100を構成している。アンテナ素子2、高周波フロントエンド回路10、及びRFIC3は、例えば、マルチモード/マルチバンド対応の携帯電話のフロントエンド部に配置される。
アンテナ素子2は、高周波信号を送受信する、例えばLTE等の通信規格に準拠したマルチバンド対応のアンテナである。なお、アンテナ素子2は、例えば通信装置100の全バンドに対応しなくてもよく、低周波数帯域群または高周波数帯域群のバンドのみに対応していてもかまわない。また、アンテナ素子2は、通信装置100に内蔵されていてもかまわない。
RFIC3は、アンテナ素子2で送受信される高周波信号を処理するRF信号処理回路である。具体的には、RFIC3は、アンテナ素子2から高周波フロントエンド回路10の受信側信号経路を介して入力された高周波信号(ここでは高周波受信信号)を、ダウンコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された受信信号をベースバンド信号処理回路(図示せず)へ出力する。また、RFIC3は、ベースバンド信号処理回路から入力された送信信号をアップコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された高周波信号(ここでは高周波送信信号)を高周波フロントエンド回路10の送信側信号経路(図示せず)に出力する。
高周波フロントエンド回路10は、アンテナ素子2とRFIC3との間で高周波信号を伝達する回路である。具体的には、高周波フロントエンド回路10は、RFIC3から出力された高周波信号(ここでは高周波送信信号)を、送信側信号経路(図示せず)を介してアンテナ素子2に伝達する。また、高周波フロントエンド回路10は、アンテナ素子2で受信された高周波信号(ここでは高周波受信信号)を、受信側信号経路を介してRFIC3に伝達する。
高周波フロントエンド回路10は、アンテナ素子2側から順に、マルチプレクサ701と、受信増幅回路群4とを備える。
受信増幅回路群4は、マルチプレクサ701から入力された高周波受信信号を電力増幅する1以上のローノイズアンプ(本実施の形態では複数のローノイズアンプ)によって構成される。
なお、高周波フロントエンド回路10は、例えば、送信と受信とを切り替えるスイッチ、あるいは、マルチプレクサ701を構成する複数のフィルタ711~712でローノイズアンプを共有するためのスイッチを備えていてもかまわない。
このように構成された高周波フロントエンド回路10は、アンテナ素子2から入力された高周波信号(ここでは高周波受信信号)を、所定のフィルタでフィルタリングし、かつ、所定のローノイズアンプで増幅して、RFIC3に出力する。なお、低域のバンド(ここではLMB及びMB)に対応するRFICと高域のバンド(ここではBand41及び40)に対応するRFICとは、個別に設けられていてもかまわない。
このように、高周波フロントエンド回路10は、実施の形態1の変形例5に係るマルチプレクサ701を備えることにより、良好な電気特性を得ることができる(損失を抑制できる)3以上のマルチバンド対応の高周波フロントエンド回路を実現できる。
なお、高周波フロントエンド回路は、実施の形態1及び変形例1~4に係るマルチプレクサを備える構成であってもかまわない。また、本実施の形態では、受信側信号経路にマルチプレクサが設けられた構成について説明した。しかし、高周波フロントエンド回路の構成はこれに限らず、送信側信号経路にマルチプレクサが設けられた構成であってもかまわない。
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係るマルチプレクサ及び高周波フロントエンド回路について、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係るマルチプレクサ及び高周波フロントエンド回路を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
例えば、上述した高周波フロントエンド回路10とRFIC3(RF信号処理回路)とを備える通信装置100も本発明に含まれる。このような通信装置100によれば、良好な電気特性を得ることができる(損失を抑制できる)3以上のマルチバンド対応の通信装置を実現できる。
また、例えば、上記説明では、共通接続点Nとn個のフィルタ(上記説明では3個のフィルタ11~13)との間には、位相調整回路が設けられていた。しかし、n個のフィルタのみで上述した複素共役関係が満たされる場合、つまり当該複素共役関係を満たすn個のフィルタを設計できる場合には、位相調整回路は設けられていなくてもかまわない。また、n個のフィルタは、当該n個のフィルタのうち任意のフィルタを第1フィルタとしたとき、次の関係を満たしてもかまわない。すなわち、当該第1フィルタを除くn-1個のフィルタについて、各フィルタのインピーダンスは、前記n個の経路が共通接続されていない状態で前記共通接続点から前記n個のフィルタ側を見て、前記第1フィルタの通過帯域において複素共役関係となっている。言い換えると、このように見て、n個のフィルタのうち第1フィルタを除くn-1個のフィルタは、前記第1フィルタの通過帯域周波数において虚数成分が互いにキャンセルされるようなインピーダンスを有する。
図30Aは、このようなフィルタ511~513を備えるマルチプレクサ501の構成図である。フィルタ511~513は、この順に、Band_A、Band_B及びBand_Cを通過帯域とするフィルタである。図30Bは、図30Aに示すマルチプレクサ501において、共通接続前の共通接続点Nからフィルタ511~513側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。同図に示すように、Band_A、Band_B及びBand_CのいずれのBandについても、当該Bandを相手側帯域とする2個のフィルタのインピーダンスは、当該Bandにおいて複素共役関係となっている。
また、上記説明では、マルチプレクサが備えるフィルタの個数を3個として説明した。しかし、マルチプレクサは4個以上のフィルタを備えてもかまわない。つまり、「複素共役関係となる」対象のフィルタの個数は、3以上であってもかまわない。具体的には、上記説明では、複素共役関係となる対象を1対1で説明したが、当該対象は1対複数、あるいは、複数対複数の場合もある。このことの理解を容易にするため、マルチプレクサが4個のフィルタを備える構成を例に説明する。
図31Aは、4個のフィルタ611~614を備えるマルチプレクサ601の構成図である。フィルタ611~614は、この順に、Band_A、Band_B、Band_C及びBand_Dを通過帯域とするフィルタである。図31Bは、図31Aに示すマルチプレクサ601において、共通接続前の共通接続点Nからフィルタ611~614側を見たときの反射特性を示すスミスチャートである。なお、同図にはBand_Aを自帯域とするフィルタ611を除く他のフィルタ612~614について、Band_Aにおけるインピーダンス(図中の三角形で示すマーカー参照)が示されている。
図31Bに示すように、フィルタ611の通過帯域であるBand_Aに着目すると、当該フィルタ611の束ね相手側フィルタであるフィルタ612~614について、各フィルタのインピーダンスがBand_Aにおいて複素共役関係となっていることがわかる。具体的には、Band_Aにおけるインピーダンスが誘導性に位置するフィルタ612及びフィルタ613の合成インピーダンス(図中の×印で示すマーカー参照)と、当該インピーダンスが容量性に位置するフィルタ614のインピーダンスとは、複素共役関係となっている。
このように、マルチプレクサが4個以上のn個のフィルタを備える場合、n個のフィルタのうち第1フィルタ(例えばフィルタ611)を除くn-1個のフィルタについて、第1のフィルタ群(ここではフィルタ612及び613)の合成インピーダンスと第2のフィルタ群(ここではフィルタ614)のインピーダンスとは、共通接続点Nからフィルタ単体を見て、当該第1フィルタの通過帯域(ここではBand_A)において複素共役関係となっている。このようなマルチプレクサ601であっても、上記の複素共役関係を満たすことにより、実施の形態1等と同様の効果を奏することができる。
つまり、n-1個のフィルタのインピーダンスが複素共役関係となる、とは、(i)当該n-1個のフィルタのうち誘導性リアクタンスまたは誘導性サセプタンスを有する1以上のフィルタの合成インピーダンスと(ii)当該n-1個のフィルタのうち容量性リアクタンスまたは容量性サセプタンスを有する1以上のフィルタの合成インピーダンスとが、複素共役関係となることを言う。
また、上記説明では、フィルタ11~13に割り当てられた通過帯域の組み合わせとして、Band3、Band1及びBand7を例に説明した。しかし、当該通過帯域の組み合わせはこれに限定されず、例えば、(i)Band3、Band1及びBand40の組み合わせ、(ii)Band3、Band1及びBand41の組み合わせ、(iii)Band2、Band4及びBand30の組み合わせ、(iv)Band2、Band4及びBand7の組み合わせ、(v)Band25、Band66及びBand30の組み合わせ、並びに、(vi)Band4、Band25及びBand30の組み合わせ、のいずれかであってもかまわない。
また、上記説明では、フィルタ11~13は、全てが受信フィルタであるとしたが、少なく1つが送信フィルタであってもかまわない。例えば、フィルタ11~13は、送信帯域(Tx)と受信帯域(Rx)とが比較的離れているLTEのBand4(送信帯域:1710~1755MHz、受信帯域:2110~2155)に対応する送信フィルタと受信フィルタとを含んでもかまわない。
また、上記説明したマルチプレクサにおいて、共通接続点Nと共通端子Port1とを結ぶ経路上等に、インピーダンス整合用のインダクタ等のインピーダンス素子が接続されていてもかまわない。
また、本発明は、マルチプレクサの設計方法として実現されてもよい。すなわち、当該マルチプレクサの設計方法は、共通接続点Nで共通接続されたn個(nは3以上の整数)の経路上に個別に配置され、互いに異なる通過帯域を有するn個のフィルタを備えるマルチプレクサの設計方法であって、前記n個のフィルタのうち第1フィルタを設計する第1ステップと、前記n個のフィルタのうち第1フィルタを除くn-1個のフィルタを設計する第2ステップと、を含む。ここで、前記第2ステップでは、前記n個の経路の一部であって前記共通接続点Nとなるべき点から前記n個のフィルタ側を見て、前記第1フィルタの通過帯域において虚数成分が互いにキャンセルされるように、前記n-1個のフィルタを設計する。
このようなマルチプレクサの設計方法は、例えばCAD装置等のコンピュータあるいはEDA(Electronic Design Automation)等の自動ツールを内蔵したコンピュータにおいて実行される。また、当該設計方法は、設計者によるコンピュータとの対話的な操作によって、当該コンピュータにおいて実行されてもかまわない。
なお、第1ステップと第2ステップとが実行される順序は特に限定されない。また、これらのステップは順次実行されなくてもよく、同時に実行されてもかまわない。
本発明は、マルチバンドシステムに適用できる小型のマルチプレクサとして、携帯電話などの通信機器に広く利用できる。
1、1A、201、301、401、501、601、701、901 マルチプレクサ
2 アンテナ素子
3 RFIC(RF信号処理回路)
4 受信増幅回路群
10 高周波フロントエンド回路
11~13、511~513、611~614、711~713、913 フィルタ
21、21A、22、22A、321~323、421~423、723 位相調整回路
31~33 経路
52、52a、52b IDT電極
100 通信装置
111 共振子
221、222 MSL(マイクロストリップライン)
353 密着層
354 主電極層
355 保護層
356 圧電基板
551a、551b バスバー電極
552a、552b 電極指
C211、C221、C311、C321、C331 キャパシタ
L211、L212、L221、L222、L231、L311、L312、L321、L322、L331、L332、L731 インダクタ
N 共通接続点
p1 並列共振子
Port1 共通端子
Port2~4 個別端子
s1 直列共振子

Claims (21)

  1. 共通接続点で共通接続されたn個(nは3以上の整数)の経路上に個別に配置され、互いに異なる通過帯域を有するn個のフィルタを備え、
    前記n個の経路が共通接続されていない状態で前記共通接続点から、前記n個のフィルタのうち第1フィルタを除くn-1個のフィルタ側を見たn-1個のインピーダンスは、前記第1フィルタの通過帯域周波数において複素共役関係となっており、
    前記n個の経路が共通接続されていない状態で前記共通接続点から、前記n個のフィルタのうち前記第1フィルタと異なる第2フィルタを除くn-1個のフィルタ側を見たn-1個のインピーダンスは、前記第2フィルタの通過帯域周波数において複素共役関係となっており、
    前記n個のフィルタのうち前記第1フィルタおよび前記第2フィルタと異なる第3フィルタを除くn-1個のフィルタについて、前記共通接続されていない状態で前記共通接続点から見て、前記第3フィルタの通過帯域周波数におけるインピーダンスの絶対値が500Ω以上となっており、
    前記n個のフィルタのそれぞれは、弾性波共振子によって構成される弾性波フィルタであり、
    前記第1フィルタの通過帯域周波数は、前記n-1個のフィルタの各々を構成する前記弾性波共振子の共振周波数と反共振周波数とで挟まれる周波数範囲のいずれとも重複していない、
    マルチプレクサ。
  2. 前記共通接続されていない状態で前記共通接続点から、前記n個のフィルタのうち前記第1フィルタを除く少なくとも2個のフィルタ側を見た前記少なくとも2個のインピーダンスは、前記第1フィルタの通過帯域周波数において複素共役関係となっている、
    請求項1に記載のマルチプレクサ。
  3. 前記共通接続されていない状態で前記共通接続点から、前記n個のフィルタのうち第1フィルタを除くn-1個のフィルタ側を見たn-1個のインピーダンスは、前記第1フィルタの通過帯域周波数において、スミスチャート上の中心よりも右側の領域であるオープン側で複素共役関係となっている、
    請求項1に記載のマルチプレクサ。
  4. 前記共通接続されていない状態で前記共通接続点から、前記n個のフィルタのうち前記第1フィルタを除く少なくとも2個のフィルタ側を見た前記少なくとも2個のインピーダンスは、前記第1フィルタの通過帯域周波数において、スミスチャート上の中心よりも右側の領域であるオープン側で複素共役関係となっている、
    請求項2に記載のマルチプレクサ。
  5. n=3であり、
    前記n個のフィルタは、第1周波数帯域を通過帯域とする前記第1フィルタ、第2周波数帯域を通過帯域とする前記第2フィルタ、及び、第3周波数帯域を通過帯域とする前記第3フィルタであり、
    前記n個の経路が共通接続されていない状態で前記共通接続点から、前記第2フィルタ側及び前記第3フィルタ側を見た2個のインピーダンスは、前記第1周波数帯域において複素共役関係となっている、
    請求項1~4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。
  6. 前記共通接続点から、前記第1フィルタ側及び前記第2フィルタ側を見た2個のインピーダンスは、前記第3周波数帯域において複素共役関係となっている、
    請求項に記載のマルチプレクサ。
  7. 前記n個の経路が共通接続されていない状態で前記共通接続点から前記n個のフィルタ側を見た場合、前記第1フィルタの前記第2周波数帯域におけるインピーダンス、及び、前記第3フィルタの前記第2周波数帯域におけるインピーダンスは、絶対値が500Ω以上となっている、
    請求項またはに記載のマルチプレクサ。
  8. 前記第1フィルタの通過帯域周波数は、前記n個のフィルタの通過帯域を周波数順に並べた場合に、最も低域及び最も高域に位置する通過帯域以外の帯域である、
    請求項1~のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。
  9. 前記共通接続点と前記n個のフィルタのうち少なくとも1個のフィルタとの間に設けられた位相調整回路を備える、
    請求項1~のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。
  10. 前記少なくとも1個のフィルタは、帯域除去フィルタであり、
    前記位相調整回路は、前記共通接続点と前記帯域除去フィルタとの間で前記帯域除去フィルタが設けられた前記経路に直列接続されたインダクタである、
    請求項に記載のマルチプレクサ。
  11. 前記n個のフィルタは、前記帯域除去フィルタの減衰帯域周波数に通過帯域周波数が含まれる少なくとも2個の帯域通過フィルタを含む、
    請求項10に記載のマルチプレクサ。
  12. 前記帯域除去フィルタは、1以上の弾性波共振子によって構成される弾性波フィルタであり、
    前記帯域除去フィルタを構成する1以上の弾性波共振子のうち最も前記共通接続点側の弾性波共振子は、前記帯域除去フィルタが設けられた前記経路とグランドとを接続する経路に直列接続された並列共振子である、
    請求項10または11に記載のマルチプレクサ。
  13. 前記位相調整回路は、1以上のインダクタと1以上のキャパシタとから構成されるLCマッチング回路である、
    請求項に記載のマルチプレクサ。
  14. 前記位相調整回路は、前記少なくとも1個のフィルタが設けられた少なくとも1つの前記経路に直列接続されたキャパシタ、及び、当該経路とグランドとを接続する経路に直列接続されたインダクタによって構成されている、
    請求項に記載のマルチプレクサ。
  15. 前記位相調整回路は、前記少なくとも1個のフィルタが設けられた少なくとも1つの前記経路に直列接続されたマイクロストリップラインである、
    請求項に記載のマルチプレクサ。
  16. 前記第1フィルタと前記n個のフィルタのうち当該第1フィルタを除くn-1個のフィルタとは、前記第1フィルタの通過帯域幅以上に通過帯域が離れている、
    請求項1~15のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。
  17. 前記マルチプレクサには、複数の周波数帯域の高周波信号を同時に送信または受信するCA(キャリアアグリゲーション)方式が適用され、
    前記n個のフィルタは、前記高周波信号を同時にフィルタリングする、
    請求項1~16のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。
  18. 前記n個のフィルタは、3個のフィルタであり、
    当該3個のフィルタは、LTE(Long Term Evolution)のBand3を通過帯域とするフィルタ、前記LTEのBand1を通過帯域とするフィルタ、及び、前記LTEのBand7を通過帯域とするフィルタである、
    請求項1~17のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。
  19. 前記第1フィルタの通過帯域周波数において、前記n-1個のフィルタは、キャパシタとして作用する、
    請求項1に記載のマルチプレクサ。
  20. 請求項1~19のいずれか1項に記載のマルチプレクサと、
    前記マルチプレクサに接続された増幅回路と、を備える、
    高周波フロントエンド回路。
  21. アンテナ素子で送受信される高周波信号を処理するRF信号処理回路と、
    前記アンテナ素子と前記RF信号処理回路との間で前記高周波信号を伝達する請求項20に記載の高周波フロントエンド回路と、を備える、
    通信装置。
JP2017109977A 2016-07-13 2017-06-02 マルチプレクサ、高周波フロントエンド回路及び通信装置 Active JP7313792B2 (ja)

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