さらに、参考図面が、孔形状が施されたキャビネットではなく、キャビネット関連パーツが配置されたキャビネットの図面であった場合には、「キャビネット関連パーツを特定する。」、「キャビネット関連パーツをキャビネットに取り付けるときの孔加工位置を把握する。」、「その孔加工位置に孔加工を施したキャビネットの参考図面を作成する。」、「参考図面を確認しながら孔加工システム上で孔加工の位置等を指定する。」などの作業が必要となり、さらに手間がかかってしまう。
以下に発明を実施するための形態を示す。図1及び図2に示されていることから理解されるように、本実施形態のキャビネット特定システムは、キャビネット図面を取り込んでシステム上で解析することにより特定したキャビネットの情報を出力するものである。また、このキャビネット特定システムは、キャビネットの仕様情報を記憶するキャビネットデータベース31と、キャビネットに取り付け可能なキャビネット関連パーツの情報を記憶するキャビネット関連パーツデータベース32と、キャビネットと、キャビネットに取り付けられるキャビネット関連パーツと、が描かれたキャビネット図面をシステムに取り込む取込手段82と、取り込んだキャビネット図面から図形情報と文字情報を解析する解析手段34と、解析された図形情報と文字情報を、キャビネットデータベース31に記憶された情報とキャビネット関連パーツデータベース32に記憶された情報と照合した結果、該当したキャビネット情報とキャビネット関連パーツ情報を出力する出力手段36と、を備えている。このため、キャビネット関連パーツが取り付けられたキャビネットの図面をキャビネット特定システムに取り込むことによって、キャビネット特定システム上に図面を展開することができるシステムを提供することが可能となる。
実施形態のキャビネット特定システムは、顧客端末8から、操作できるように構成されている。具体的には、図1に示すように、表示手段81と取込手段82と操作手段83を備えた顧客端末8を特定のサーバ2に接続して操作することにより、キャビネット特定システムを操作することができる。このサーバ2は、キャビネットデータベース31などを備えており、顧客端末8からの指令に応じて、顧客端末8に情報を出力することができる。また、キャビネット関連パーツが取り付けられたキャビネットの図面(キャビネット図面)をキャビネット特定システムに取り込むことで、キャビネット特定システム上で図面を展開することができる。
端末8に備えられた表示手段81は、デスクトップやスマートフォン、タブレット端末の表示部など、通信回線を利用してシステムを表示することができるものであるなら、如何なるものであってもよい。また、操作手段83は、マウスやキーボードのように表示手段81と別で設けられるものであってもよいし、タッチパネルディスプレイなど表示手段81と一体となったものであってもよい。取込手段82は、OCR(光学的文字認識)処理が可能なスキャナなどを用いて紙に記載されたキャビネット図面を取り込むことで顧客端末8に保存されたキャビネット図面データや、CADシステムで作成したキャビネット図面データ、メール等により受信したキャビネット図面データなどをサーバ2へアップロードするために用いられる。
一方、サーバ2には、キャビネットに関するキャビネット情報(品番、寸法、重量、価格、納期、材質、性能(防水性能や防塵性能など)や図面、孔加工禁止領域など)が格納されているキャビネットデータベース31を備えている。また、キャビネットに取り付けることが可能なキャビネット関連パーツに関するキャビネット関連パーツ情報(品番、寸法、重量、価格、納期、材質、用途、メーカー情報、孔加工情報(孔加工形状56、孔加工寸法など)、図面など)が格納されているキャビネット関連パーツデータベース32を備えている。
また、実施形態のサーバ2には、キャビネットの孔加工禁止領域と、キャビネット関連パーツの取り付け位置、孔加工情報、寸法などを比較し、キャビネット関連パーツをキャビネットに取り付けるためにキャビネットへ施す孔加工の加工可否を判定する孔加工位置判定手段33を備えている。
また、取込手段82によって、顧客端末8に取り込まれたキャビネット図面などを解析する解析手段34を備えている。この解析手段34はキャビネット図面に記載される図形情報や文字情報を解析する。
実施形態のサーバ2には、照合手段が備えられている。この照合手段を用いれば、解析手段34により解析した図形情報及び文字情報と、キャビネットデータベース31に記憶された情報とを照合することで、キャビネット図面に記載されたキャビネット情報を特定することができる。また、図形情報と文字情報と、キャビネット関連パーツデータベース32に記憶された情報とを照合することで、キャビネット図面に記載されたキャビネット関連パーツ情報を特定することができる。
これらの解析手段34と照合手段を用いる場合、解析手段34が、キャビネット図面の図形情報からキャビネット外形54を定め、前記キャビネット外形54に関連する情報からキャビネット外形54の寸法情報を特定し、照合手段が、寸法情報をキャビネットデータベース31に記憶された仕様情報と照合し、図面に描かれたキャビネットを特定するようにするのが好ましい。
実施形態のシステムでは、照合手段により特定したキャビネット情報を出力する出力手段36を備えている。出力されるキャビネット情報とは、少なくともキャビネット図面に記載されるキャビネットの品番と図面を含んでいる。また、この出力手段36は特定したキャビネット関連パーツ情報を出力することができる。出力されるキャビネット関連パーツ情報とは、少なくともキャビネット図面に記載されるキャビネット関連パーツの品番と孔加工情報を含んでいる。なお、出力手段36が、キャビネット関連パーツをキャビネットに取り付けるために用いられる孔の孔加工位置に関する情報を出力するようにするのが好ましい。
これらの解析手段34と出力手段36を用いる場合、解析手段34が、キャビネット外形54内に位置する閉鎖図形をキャビネット関連パーツ形状と、前記キャビネット関連パーツ形状に関する文字情報をキャビネット関連パーツ情報と、判定し、出力手段36が、キャビネット関連パーツ形状と、キャビネット関連パーツ情報の少なくとも一方を、キャビネット関連パーツデータベース32に記憶された情報と照合した結果、該当するキャビネット関連パーツを出力するようにするのが好ましい。
次に、図2を例にして、キャビネット図面の取込から、キャビネットなどの出力までの流れを説明する。ここでは、図3に示すように、キャビネット図面上に図面が1つのみ示されている例について説明する。
先ず、図3に示すようなキャビネット図面を取込手段82を用いて取り込む(S001)。例えば、端末8からサーバ2へ顧客等が作成したキャビネット図面をアップロードすることで、サーバ2へキャビネット図面を取り込ませることができる。キャビネット図面としては、紙面上に描いた図面をスキャニングしたものでもよいし、図面作成ソフトを用いて作成された図面データであっても良い。図面データとしては如何なる形式でも構わないが、CADデータであることが好ましい。
ステップ001の次に、解析手段34を用いて図面外枠52や仕様表53の認定などを行う(S002)。図面外枠52や仕様表53は図4に太線で示したような部分である。図面外枠52の認定においては、例えば、キャビネット図面の最外郭の閉塞図形を図面枠と認識させるようにすることができる。このとき、キャビネット図面の中央位置から広がる一定の範囲を図面エリア57とし、図面エリア57を囲うように設けられた閉塞図形を図面外枠52としてもよい。上記閉塞図形を認識することができない場合には、図面外枠52がないと判定すればよい。なお、本明細書における閉塞図形には、一続きの線で完全に閉じた図形の他に、交点から僅かに線が突出する場合や、複数の線の端部同士に僅かに隙間が生じ、交点が形成されない場合など、一続きの線で閉じていると近似できる図形を含む。
仕様表53の認定においては、図面枠に繋がる閉塞図形及びその閉塞図形に繋がる閉塞図形を仕様表53と認識させるようにすることができる。なお、仕様表53には、品番、型式、塗装色などのキャビネットの仕様に関する情報、案件の名称、図面番号、設計者名などの案件に関する情報、キャビネット図面の頁数、六面図の情報などの図面に関する情報などが記載される。これら仕様表53内に記載されている文字などの文字情報から、解析手段34を用いてキャビネットの品番や、図面の情報などを認識することで、キャビネットを特定してもよい。
次に、解析手段34を用いてキャビネット外形54の特定を行う(S003)。キャビネット外形54は図5にて太線で四角形状に表されるような部分である。例えば、図面外枠52内にあって仕様表53とは異なる閉塞図形を認識し、そのうちの最外郭に位置する閉塞図形をキャビネット外形54と特定させることができる。この際、キャビネット図面内の文字(仕様表53などに記載される文字)等から、キャビネット外形54が、六面の内のどの面を示すのかを認識させるようにしても良い。
ステップ003を終えると、次に、解析手段34を用いてキャビネット外形54に関連する情報からキャビネット外形54の寸法の特定を行う(S004)。ここで、キャビネット外形54に関連する情報とは、例えば、キャビネット外形54の近傍に記載される文字や、キャビネット外形54の各辺を基準に描かれた寸法線55に記載される数字などの文字情報や、図面データが保有しているキャビネット外形54の各辺の座標情報であり、それらから辺の寸法を認識することができる。図5に示すように、通常、寸法線55は、辺の両端部周辺から垂直方向に延びる線(延長線)とそれらを結ぶ線(矢印線)とで構成され、矢印線上に辺の寸法が記載される。ただし、辺が短い場合などには、図6の寸法a3のように延長線と延長線同士を結ぶ線と、各延長線に対して外側から向けられた二本の矢印とで構成され、それらの線の近傍に寸法が記載されていることもある。なお、仕様表53に記載された文字情報などから、キャビネット外形54の寸法を認識させてもよい。
ステップ004が終了すると、次に、キャビネットの特定が可能であるかを判断する(S005)。キャビネット図面上に図面が1つのみ示されている場合や、仕様表53上に記載がない場合など、図形情報と文字情報を解析してもキャビネット関連情報を特定できない場合には、同時に読み込まれた他のキャビネット図面若しくは図面番号が関連する他のキャビネット図面などに対して、ステップ002からステップ004の操作を繰り返す。そうすることで、先ほどとは異なる面を描いた図面を認識させることができる。このようにして複数のキャビネット図面から、キャビネット外形54の寸法情報を読み取り、キャビネットの各辺の寸法(W×H×D)を推定させることができる。なお、キャビネット関連情報の特定ができない場合、図面の変更を行う(S010)。変更された図面に対してステップ002の判定を行うようにし、その後も順にステップを踏んでいけばよい。
キャビネット関連情報の特定が可能となったら、キャビネット関連情報に対応するキャビネットがデータベースに登録されているかを、キャビネットデータベース31を参照することによって判定する。キャビネット関連情報に対応するキャビネットが登録されている場合には、キャビネットを出力する。この際、解析手段34は、図形情報からキャビネット外形54を定め、前記キャビネット外形54に関連する情報を寸法情報としてキャビネット関連情報を特定する。照合手段35は、キャビネット関連情報をキャビネットデータベース31に記憶されたキャビネットの仕様情報と照合し、出力手段36は、該当するキャビネット情報を出力する。ここで、出力手段36は、該当するキャビネットの展開図や外観図を出力してもよいし、キャビネットの品番や価格などの仕様に関する情報を出力してもよい。なお、キャビネット関連情報に対応するキャビネットがキャビネットデータベース31に登録されていない場合には、登録がない旨の出力をしてもよいし、近似するキャビネットの候補を表示し、正しいキャビネットを選択させるようにしてもよい。また、キャビネットデータベース31に登録されていないキャビネットを特注のキャビネットとして、そのシステム上に出力させても良い。
ステップ005の次には、取り込まれた図面に、通常の仕様のキャビネットに対して穴あけ加工などが必要となるキャビネット関連パーツがあるか否かを判定する(S006)。図形情報のみから関連パーツの有無を判定する場合、キャビネット外形54の内側に存在する閉塞図形の有無を判定する。閉塞図形がない場合には、キャビネット関連パーツが取り付けられていないキャビネットと判定する。この場合、後述するステップ007は飛ばしてステップ008に進む。閉塞図形がある場合には、閉塞図形と、キャビネット関連パーツデータベース32に記憶された情報を照合し、閉塞図形がキャビネット関連パーツであるか否かを判定する。キャビネット関連パーツデータベース32に閉塞図形と一致するキャビネット関連パーツ情報が存在しない場合には、認識不可の旨を出力する。この場合、閉塞図形が孔加工形状56である可能性があるため、サーバ2に孔加工形状データベースを設けている場合は、閉塞図形と孔加工形状データベースに記憶されている情報を照合することで、孔加工形状56の有無を判定してもよい。また、キャビネット関連パーツデータベース32に閉塞図形と一致するキャビネット関連パーツ情報が存在する場合には、キャビネット図面上に記載された閉塞図形が表すキャビネット関連パーツを特定する。
キャビネット関連パーツの有無を図形情報と文字情報から特定する場合、キャビネット外形54の内側に存在する閉塞図形の有無を判定する。閉塞図形がない場合には、キャビネット関連パーツが取り付けられていないキャビネットと判定する。閉塞図形がある場合には、閉塞図形の周囲(閉塞図形の内側も含む。)に文字情報が存在するか否かを判定する。閉塞図形の周囲(閉塞図形の内側も含む。)に文字情報が存在しない場合には、該閉塞図形は孔加工形状56であると判定し、孔加工形状データベースと照合するようにすれば良い。閉塞図形の周囲(閉塞図形の内側も含む。)に文字情報が存在する場合には、閉塞図形と文字情報の少なくとも一方をキャビネット関連パーツデータベース32と照合し、閉塞図形がキャビネット関連パーツであるか否かを判定すればよい。
キャビネット関連パーツデータベース32に閉塞図形と一致するキャビネット関連パーツ情報が存在しない場合には、認識不可の旨を出力すればよい。ただし、文字情報が閉塞図形の寸法に関する情報である場合には、閉塞図形が孔加工形状56、文字情報がその孔加工形状56の寸法となる場合があるため、閉塞図形を孔加工形状56とし、孔加工形状データベースと照合するのが好ましい。キャビネット関連パーツデータベース32に閉塞図形と文字情報の少なくとも一方と一致するキャビネット関連パーツ情報が存在する場合には、キャビネット図面上に記載された閉塞図形若しくは文字情報が表すキャビネット関連パーツを出力内容として特定すればよい。
ステップ006でキャビネット関連パーツがあると判定された場合、キャビネット関連パーツ用の孔加工形状56や配置位置を特定する(S007)。キャビネット関連パーツの配置位置を特定するためには、先ず、キャビネット外形54の内側に存在する閉塞図形の配置位置を特定する。閉塞図形の配置の特定方法は、キャビネット外形54の寸法の特定方法と同様にすればよく、閉塞図形に関する寸法線55を認識することで、キャビネットに対する閉塞図形の配置位置を測定することができる。閉塞図形に関する寸法線55とは、閉塞図形の中央から上下左右の何れかの方向に離れた位置から、他の閉塞図形の中央から同方向に離れた位置まで引かれた直線や矢印線や、閉塞図形の中央から上下左右の何れかの方向に離れた位置から、キャビネットの外形まで引かれた直線や矢印線などである。閉塞図形に関する寸法線55の周囲に存在する文字情報は寸法線55における寸法情報である。つまり、閉塞図形間の距離情報若しくは、閉塞図形とキャビネット外形54間の距離情報である。なお、キャビネット関連パーツの配置位置を特定する方法については、上記に限られない。
キャビネット関連パーツの孔加工形状56を特定するには、キャビネット関連パーツデータベース32に記憶されるキャビネット図面上に記載された閉塞図形若しくは文字情報から特定したキャビネット関連パーツに関するキャビネット関連パーツ情報から、該キャビネット関連パーツがキャビネットに取り付けられるときにキャビネットに施される孔加工形状56に関する情報を把握することで、キャビネット関連パーツの孔加工形状56を特定してもよい。また、キャビネット図面上の閉塞図形に対して向けられた直線や矢印線によって、閉塞図形が表すキャビネット関連パーツかキャビネットに取付けられるときにキャビネットに施される孔加工形状56に関する情報が記載される場合があるため、それらキャビネット図面上に記載された図形情報や文字情報から、キャビネット関連パーツの孔加工形状56を特定してもよい。
ステップ007が終了した場合、若しくはステップ006でキャビネット関連パーツが無いと判定された場合、キャビネットや孔加工形状56を出力する(S008)。特定されたキャビネットと、キャビネット関連パーツを出力する出力方法としては、上記フローによって特定したキャビネットとキャビネット関連パーツとキャビネット関連パーツの孔加工位置から、キャビネット図面上に記載されるキャビネット関連パーツが、キャビネット関連パーツの孔加工形状56に変更された図面を出力することが好ましい(図6から図8参照)。そうすることで、キャビネット関連パーツが取り付けられるキャビネットのキャビネット図面をキャビネット特定システム上に展開することが容易になる。
図8に示す例では、出力されたキャビネット関連パーツが、キャビネット関連パーツの孔加工形状56に変更された図面上に、孔加工形状56の配置位置に関する図形情報や文字情報が記載されているが、このような情報は必ずしも記載する必要はない。出力方法として、キャビネットに対して孔加工を施す加工機へ、キャビネット情報とキャビネット関連パーツの孔加工形状56に関する情報を出力するものとしてもよい。
キャビネット図面を取り込むことで図面を展開する実施形態のキャビネット特定システムは、キャビネットに施される孔加工の位置を指定することによって、キャビネット上に孔加工形状56が記載されたキャビネット図面を作成し、出力するシステムであるが、該システム上で作成したキャビネット図面に関する情報を加工機に出力することによって、孔加工が施されたキャビネットを製造することも可能である。つまり、キャビネット図面を本件システムに取り込むだけで、キャビネット図面に記載されるキャビネット関連パーツをキャビネットに取り付けるために必要な孔加工形状56を施したキャビネットを製造することができる。
また、上記フローによってキャビネット図面から特定したキャビネットとキャビネット関連パーツの情報をリスト形式で出力してもよい。なお、キャビネット図面に記載されるキャビネットとキャビネット関連パーツを把握することのできる方法であるならば、キャビネット情報とキャビネット関連パーツ情報の出力方法は如何なるものであってもよい。
ステップ008における出力が終了し、出力内容に問題が無ければ、発注処理を行う(S009)。発注処理では、キャビネット図面に記載されるキャビネットとキャビネット関連パーツを特定し、リスト形式で表示するようにしても良い。このようにすることによって、キャビネット図面に記載されるキャビネットを製造するために必要なキャビネットとキャビネット関連パーツを把握することができ、発注処理を行うことができる。この際、図9に示すように、キャビネット関連パーツの種類や個数などの情報を表示するようにするのが好ましい。
なお、発注処理とは、キャビネットとキャビネット関連パーツが同一メーカーの製品の場合には、該メーカーに対して、キャビネット情報とキャビネット関連パーツ情報を送信する処理である。また、キャビネットとキャビネット関連パーツがそれぞれ異なるメーカーの製品の場合には、それぞれのメーカーに対して、各種情報を送信するものとすればよい。発注処理において、納期や発送希望日、発送方法などを入力することができるようにしてもよい。
このような発注処理を可能とするため、出力手段36によって出力されたキャビネット情報とキャビネット関連パーツ情報に基づいて、キャビネット図面に記載されたキャビネットとキャビネット関連パーツを発注するための処理を行う発注手段を備えた構成とすることが好ましい。
このように、キャビネット図面を本システムに取り込むことで、キャビネット関連パーツの発注と、キャビネット関連パーツを取り付けるための孔加工が施されたキャビネットの発注を同時に行うことができるため、キャビネット関連パーツが取り付けられたキャビネットを発注する際にキャビネット図面を作成する回数を減らすことができ、キャビネットを発注する手間を省くことができるようになる。
次に、キャビネット図面上に図面が複数記載されている場合について説明するが、上記した例との相違点のみについて記載する。図10に示すように、図面が複数記載されている場合には、図面エリア57に記載される図形や文字情報の集合体が複数あるため、ステップ003において、それらの集合体のそれぞれを覆うように図面エリア57が形成されているものと認識する。つまり、キャビネット外形54の特定を行う場合、図面外枠52内の図面エリア57を複数のエリアで構成されているものとする。そして、各図面エリア57内の閉塞図形の最外郭をキャビネット外形54と認識する。
また図面が複数記載されている場合であっても、各キャビネット外形54の位置関係と、六面図の情報をキャビネットデータベース31上に登録しておくことで、キャビネット外形54の面を特定することができる。例えば、上下方向に3個の図が並ぶときは、上から上面図、正面図、下面図と特定することができる。また、L字状に3個の図画並ぶときは上の図が上面図、その下の図が正面図、右の図が右側面図と特定することができる。
ところで、実施形態のキャビネットデータベース31には、キャビネットの品番、寸法、重量、価格、納期、材質、性能(防水性能や防塵性能など)などの仕様に関する情報や、展開図や外観図などの図面に関する情報などの他に、各キャビネットに設定されている孔加工を禁止する領域に関する情報などが、図面に関する情報と関連付けて記憶されている。
また、キャビネット関連パーツデータベース32には、キャビネット関連パーツ情報が記憶されている。このキャビネット関連パーツ情報は、キャビネット関連パーツの品番、寸法、重量、価格、納期、材質、用途、メーカー情報、孔加工情報(孔加工形状56、孔加工寸法など)、図面など、キャビネット関連パーツを特定することのできる情報であれば、如何なるものであってもよい。イメージ図の代わりに、画像や写真などが記憶されていてもよい。
図7に示す例では、キャビネット関連パーツデータベース32に5つのキャビネット関連パーツ情報が記憶されていることを示しているが、記憶されるキャビネット関連パーツ情報はこの例に制限されるわけではない。キャビネット関連パーツ情報を利用する場合、各イメージ図と品番の少なくとも一方からキャビネット関連パーツを特定する。例えば、1行目のもの(品番:HD-3/A)は、ハンドルを表している。図7に示す例に示している品番について説明すると、「HD」は、キャビネット関連パーツの種類を表す番号であり、「〇〇-3」は、同一種類のキャビネット関連パーツであっても、サイズや性能の違いがあるため、それらを識別するための番号である。そして最後の「/A」は、メーカー名を示しているが、品番の付与の仕方は実施例に限定されるものではない。
キャビネット関連パーツを取り付けるための孔加工形状56は、キャビネット関連パーツ毎に定められているが、キャビネット関連パーツの特定の種類毎に共通のものであってもよい。孔加工形状寸法は、キャビネット関連パーツの品番毎に定められている孔加工形状56の寸法である。なお、図7の4行目と5行目はパイロットランプを表しているが、この例に示すようにイメージ図の外形形状と孔加工形状56とが必ずしも相似の関係にあるというわけではない。
ところで、キャビネットには、加工することができない禁止領域や、加工形状56同士の距離に関する近接ルールが存在する。禁止領域とは、キャビネットの各面の外周縁から一定の距離や、ハンドル位置周縁など、キャビネットへの加工を禁止している領域である。具体的には図10に対しては、図11に斜線で示す領域が孔加工が禁止されている領域である。近接ルールとは、複数の加工形状56同士がある一定距離よりも近接してしまうとキャビネット強度が低下してしまう点等を考慮し、複数の加工形状56同士がある一定距離よりも近接しないように設定されたルールである。
実施形態においては、キャビネットデータベース31は、キャビネットの孔加工を禁止する禁止領域が記憶されている。また、加工位置判定手段33が、加工情報と禁止領域を対比し、加工の可否を判定することができる。つまり、キャビネット関連パーツ若しくは孔加工形状56の配置位置と禁止領域を比較することによって、指定された位置にキャビネット関連パーツを配置することができるか否かを判定できる。また、この加工位置判定手段33は近接ルールを満たしているか否かを判定することもできる。この加工位置判定手段33により加工形状56の配置位置が、禁止領域に含まれる場合や近接ルールを満たさないと判定された場合には、出力後に、その旨の表示をするのが好ましい。この際、可否の判定の違いにより表示される加工形状56の色を変更すれば、指定された位置で加工することの可否が分かりやすくなる。なお、加工位置判定手段33で加工ができないと判定された場合に、禁止領域と加工が指定された位置の双方を表示するようにすれば、指定された位置と加工可能な位置との違いが理解しやすいものとなる。
また、キャビネットの展開図をシステム上へ出力した後に、操作手段83によって、キャビネットの変更や加工形状56の修正や配置位置の変更、新たな加工形状56の追加などをできるようにすることが好ましい。このようにすれば、指定位置では加工が不可であると加工位置判定手段33に判定された場合にも、加工が可能な位置まで、加工形状56を移動するなどの対応をすることができる。また、キャビネット関連パーツデータベース32にデータが不足している場合や、図面の記載が不鮮明な場合などが原因で、キャビネット関連パーツの特定ができない場合には、キャビネット展開図をシステム上へ出力した後に、加工形状56を追加できるようにしてもよい。
例えば、出力を受けて表示手段81へ出力した後、加工形状56が指定された位置で加工可能であると判定した場合、加工位置を変更しないかを確認する。その結果、加工位置を変更しないとされた場合、加工用図面と見積りの作成を行うようにすれば良い。この段階で、特定されたキャビネット関連情報や加工情報から、キャビネット図面に描かれるキャビネットを製造・加工するための加工用図面や、キャビネットの価格や加工費用などキャビネットの製造・加工に関する見積りを出力するようにすればよい。製造者は、キャビネット特定システムで出力された図面を用いてキャビネットの製造を行うことができる。
一方、出力を受けて表示手段81へ出力した後、指定された位置で加工できないと判定した場合、その旨が表示される。この後、利用者が加工位置の変更を行ったら、再び、加工形状56が指定された位置で加工可能であるか否かを判定するようにすれば良い。
以上、実施形態を用いて本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。