JP7312274B2 - 超音波デバイス及び超音波診断装置 - Google Patents

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Description

本開示は、pMUT(Piezoelectric Micromachined Ultrasonic Transducer)及びcMUT(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer)等の超音波デバイスに関し、また、当該超音波デバイスを有する超音波診断装置に関する。
超音波の受信及び/又は送信を行う複数の素子を平面上に配列して構成された超音波デバイスが知られている(例えば特許文献1)。各素子は、例えば、キャビティ上に位置するメンブレンを有している。メンブレンは、超音波の周波数帯にて面外振動(キャビティ側及び/又はその反対側への撓み変形を伴う振動)を生じることによって超音波の受信及び/又は送信を行う。このようなメンブレンは、例えば、キャビティ上に位置する振動部と、振動部上に位置する下部電極と、下部電極上に位置する圧電体と、圧電体上に位置する上部電極とを有している。特許文献1では、複数の素子を覆うポリマーパッシベーション層を開示している。
特開2012-143615号公報
本開示の一態様に係る超音波デバイスは、キャビティ層と、機能層と、を有している。前記キャビティ層は、第1面と、該第1面に開口しており、前記第1面に沿って並んでいる複数のキャビティとを有している。前記機能層は、前記第1面に重なっており、前記複数のキャビティ上における面外振動の共振周波数が超音波の周波数帯内にある。前記機能層は、付加層を含んでいる。前記付加層は、互いに隣り合う2つの前記キャビティの一方のキャビティの中央から他方のキャビティの中央まで広がっている。
本開示の一態様に係る超音波診断装置は、上記超音波デバイスと、前記超音波デバイスからの電気信号に基づく画像を表示する表示装置と、を有している。
第1実施形態に係る超音波デバイスの一部の構成を示す斜視図である。 図1のII-II線における断面図である。 第1実施形態の変形例の構成を示す断面図である。 図4(a)及び図4(b)は実施形態における振動量の増加の効果を例示する図である。 付加層の厚さが超音波の送信及び/又は受信に及ぼす影響を説明するための図である。 第2実施形態に係る超音波デバイスの一部の構成を示す斜視図である。 第3実施形態に係る超音波デバイスの一部の構成を示す断面図である。 第4実施形態に係る超音波デバイスの一部の構成を示す平面透視図である。 図8のIX-IX線における断面図である。 実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照して本開示に係る実施形態について説明する。以下の図面は、模式的なものである。従って、細部は省略されることがあり、また、寸法比率等は現実のものと必ずしも一致しない。また、複数の図面相互の寸法比率も必ずしも一致しない。
図面には、便宜上、直交座標系D1-D2-D3を付すことがある。超音波デバイスは、いずれの方向が上方又は下方とされてもよいものであるが、実施形態の説明では、便宜上、D3軸方向の正側を上方として、上部又は下部等の語を用いることがある。また、以下において平面視又は平面透視という場合、特に断りがない限りは、D3軸方向に見ることをいうものとする。
第1実施形態以外の実施形態(又は変形例。以下、本段落において同じ。)の説明では、基本的に先に説明された実施形態との相違点についてのみ述べる。特に言及が無い事項については、先に説明された実施形態と同様とされたり、先に説明された実施形態から類推されたりしてよい。複数の実施形態において互いに対応する構成については、具体的な構成が異なる場合においても、同じ符号を付すことがある。
以下の説明では、部材を構成する材料を例示することがある。この場合において、例示された材料は、その部材を構成する材料の主成分を指すものとする。主成分は、例えば、その部材を構成する材料の全ての原子に対する原子の比率が50%を超える成分である。別の観点では、部材の材料には、言及されない添加物が含まれていてもよい。当該添加物は、意図されたものであってもよいし、意図されていないものであってもよい。もちろん、例示された材料が部材を構成する材料の90%以上又は100%を占めてもよい。
<第1実施形態>
(デバイスの構成)
図1は、第1実施形態に係る超音波デバイス1の一部の構成を示す斜視図である。以下、「超音波デバイス」を単に「デバイス」ということがある。この図では、内部の一部も点線で示されている。
デバイス1の概略の外形及びその寸法は、デバイス1が利用される技術分野及びデバイス1に要求される機能等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、デバイス1は、血管内超音波検査法(IVUS:intravascular ultrasound)において血管内に配置可能に比較的小さくされてもよいし、通常の超音波診断装置(例えば腹部の断層像を得るための装置)のプローブに利用可能に手の平大とされてもよい。また、デバイス1は、MEMS(micro electro mechanical systems)として構成されてもよい。
本実施形態では、デバイス1は、例えば、概略、基板状に構成されている。図1は、その上面の一部を示している。デバイス1の平面形状は、任意であり、例えば、多角形(例えば矩形)、円形又は楕円形とされてよい。
デバイス1は、例えば、デバイス1の上面に沿って配列された複数(図1では2つのみ示されている。)の超音波素子3を有している。以下、「超音波素子」を単に「素子」ということがある。各素子3は、超音波の送信及び/又は受信を行う。換言すれば、素子3は、超音波から電気信号への変換及び/又はその逆の変換を行うトランスデューサーである。
具体的には、例えば、素子3は、所定の波形(例えば矩形波又は正弦波)で電圧が変化する電気信号が入力される。そして、素子3は、その電気信号を当該電気信号の波形を反映した(例えば周波数を反映した)超音波に変換し、D3軸方向の正側へ送信する。また、例えば、素子3は、D3軸方向の正側から超音波を受信し、その超音波を当該超音波の波形を反映した電気信号に変換する。ここでいう超音波の発信及び受信についてのD3軸方向の正側は、D3軸方向に平行とは限らない。
複数の素子3は、任意の数で設けられてよく、また、任意の方向に配列されてよい。例えば、複数の素子3は、D1方向に2以上配列されるとともにD2方向に2以上配列されてよい(後述する図8参照)。複数の素子3のD1方向におけるピッチは、例えば、一定である。複数の素子3のD2方向におけるピッチは、例えば、一定である。また、前者のピッチと後者のピッチとは、例えば、同じである。この他、図示の例とは異なり、例えば、複数の素子3は、1次元的に配列されてもよいし(1列のみ設けられてもよいし)、互いに隣り合う列同士で半ピッチずれるように配置されてもよい。
図2は、図1のII-II線における断面図である。
デバイス1は、例えば、支持基板5と、例えば平面透視または断面視においても確認できるように、支持基板5の第1面5aに重なっている機能層7と、支持基板5の第2面5bに重なっている減衰材9とを有している。機能層7は、複数の素子3を含んでおり、超音波の送信及び/又は受信を直接に担う。支持基板5は、例えば、機能層7の支持に寄与する。減衰材9は、例えば、不要な振動の減衰に寄与する。特に図示しないが、デバイス1は、上記以外の構成要素を有していてもよい。例えば、デバイス1は、第1面5a若しくは第2面5b又は減衰材9のいずれかの面に実装された電子素子を有していてもよい。
(支持基板)
支持基板5は、既述のように、第1面5aと、その背面の第2面5bとを有している。支持基板5は、例えば、概略、平板状であり、第1面5a及び第2面5bは互いに平行な平面状である。また、支持基板5は、第1面5aに開口する複数のキャビティ5cを有している。キャビティ5cは、超音波の送信及び/又は受信に係る素子3の振動を容易化することに寄与する。
キャビティ5cは、例えば、素子3毎に設けられている。キャビティ5cの形状及び寸法は適宜に設定されてよい。例えば、キャビティ5cの第1面5aへの開口形状は、円形又は多角形とされてよい。本実施形態では、キャビティ5cの開口形状が円形である場合を例に取る。また、キャビティ5cは、図示の例では、断面視において矩形であるが、台形等とされてもよい。キャビティ5cの第1面5aにおける開口の径は適宜に設定されてよく、一例を挙げると、10μm以上100μm以下である。
支持基板5の材料は任意である。支持基板5は、その全体が1つの材料によって構成されていてもよいし、複数の材料が組み合わされて構成されていてもよい。支持基板5の材料は、例えば、無機絶縁材料又は有機絶縁材料である。より具体的には、例えば、支持基板5は、シリコン(Si)等の絶縁材料によって一体的に形成されてよい。また、例えば、支持基板5は、シリコン等の絶縁材料によって概ね全体が一体的に形成されているとともに、上面及び/又は下面にSiO等の他の絶縁材料からなる層を有していてもよい。
(機能層(超音波素子))
素子3は、機能層7のうち、概ねキャビティ5cと重なる領域によって構成されている。そして、素子3は、キャビティ5c側(-D3側)及びキャビティ5cとは反対側(+D3側)の少なくとも一方への撓み変形を伴う振動を生じる。当該振動は、換言すれば、面外振動である。この振動によって、超音波の送信及び/又は受信が行われる。すなわち、素子3は、撓み振動型のものである。
撓み振動型の超音波素子としては、例えば、pMUT等の圧電式の素子、及びcMUT等の容量式の素子を挙げることができる。本実施形態では、pMUTを例に取る。また、撓み振動型の圧電素子としては、例えば、バイモルフ型の素子及びユニモルフ型のものを挙げることができる。本実施形態では、ユニモルフ型の素子を例に取る。
各素子3は、例えば、その中央が振動の腹となり、外縁が振動の節となる1次モードの振動に関して、共振周波数が超音波の周波数帯に位置するように構成されている。超音波の周波数帯は、例えば、20kHz以上の周波数帯である。超音波の周波数の上限について、特に規定は存在しないが、例えば、5GHzである。素子3の厚さは適宜に設定されてよく、一例を挙げると、4μm以上40μm以下である。
機能層7は、例えば、複数のキャビティ5c上に位置する複数のメンブレン11と、複数のメンブレン11の上から第1面5aを覆っている付加層13とを有している。1つの素子3は、1つのキャビティ5cと重なる1つのメンブレン11と、付加層13のうち1つのメンブレン11に重なる領域とによって構成されている。メンブレン11は、超音波の送信及び/又は受信を直接に担う部分である。付加層13は、例えば、メンブレン11による超音波の送信及び/又は受信の効率を向上させることに寄与する。
機能層7のうち、複数のメンブレン11を含む層(機能層7のうち付加層13よりも下方の層)を機能本体層8として概念してもよい。機能本体層8は、メンブレン11の他、メンブレン11の電気的接続に寄与する配線等を有してよい。機能本体層8の厚さは適宜に設定されてよく、一例を挙げると、2μm以上20μm以下である。
(メンブレン)
メンブレン11は、支持基板5から順に積層された、振動部15、下部電極17、圧電体19及び上部電極21を有している。
圧電体19の分極軸方向(単結晶においては電気軸・X軸)は、圧電体19の厚み方向とされている。下部電極17及び上部電極21によって圧電体19に分極の向きと同じ向きで電界が印加されると、圧電体19の下部電極17及び上部電極21に挟まれた部分は、平面方向(D1軸方向及びD2軸方向)に縮小する。この縮小は、振動部15によって規制される。その結果、メンブレン11は、バイメタルのようにキャビティ5c側へ撓む(変位する)。逆に、分極の向きと逆の向きで電界が印加されると、メンブレン11は、キャビティ5cとは反対側へ撓む。
上記のような素子3の変位によって、素子3の周囲の媒質(例えば流体)においては圧力波が形成される。そして、所定の波形で電圧が変化する電気信号が下部電極17及び上部電極21に入力されることによって、その電気信号の波形(例えば周波数)を反映した超音波が生成される。
超音波の送信について述べたが、超音波の受信は、送信時とは逆の原理によって実現される。1つの素子3は、送信のみを行うものであってもよいし、受信のみを行うものであってもよいし、送信及び受信の双方を行うものであってもよい。送信及び受信の双方を行う素子3は、例えば、超音波の送信を間欠的に行い、超音波の送信が行われていない間において超音波の受信を行う。これにより、例えば、素子3は、自らが送信した超音波の反射波を受信する。
(振動部)
振動部15は、振動層16のうちキャビティ5c上の部分である。振動層16は、例えば、平面透視において複数のキャビティ5cを包含する1つの領域の全体に亘って隙間無く広がっている。換言すれば、振動層16は、複数のキャビティ5cと、その間の領域とを覆っている。ただし、振動部15は、図示の例とは異なり、素子3毎に設けられていてもよい。すなわち、キャビティ5c間に振動層16の非配置領域が形成されることにより、複数の振動部15は、互いに分離されていてもよい。振動部15は、例えば、概略、一定の厚さの層状である。振動部15の厚さは適宜に設定されてよい。例えば、振動部15の厚さは、圧電体19の厚さに対して、薄くてもよいし、同等でもよいし、厚くてもよい。
振動部15は、例えば、絶縁材料によって形成されている。絶縁材料は、無機材料でも有機材料でもよく、より具体的には、例えば、シリコン、二酸化シリコン(SiO)又は窒化シリコン(SiN)である。振動部15は、互いに異なる材料からなる複数の層が積層されて構成されていてもよい。例えば、振動部15は、シリコンと、その下面に重なるSiOとによって構成されていてもよい。特に図示しないが、下部電極17又は上部電極21を振動部15に兼用することも可能である。
(圧電体)
圧電体19は、例えば、概略、一定の厚さの層状である。圧電体19は、素子3毎(キャビティ5c毎)に設けられている。別の観点では、複数の圧電体19は、互いに分離されている。平面透視において、圧電体19の形状及び広さは、例えば、概略、キャビティ5cと同等とされている。例えば、平面透視において、圧電体19(その上面又は下面)の90%以上とキャビティ5c(その第1面5aにおける開口)の90%以上とが重なっている。本実施形態では、既述のように、キャビティ5cの開口形状が円形である場合を例に取っており、ひいては、圧電体19の平面形状が円形である場合を例に取る。ただし、圧電体19は、平面透視において、キャビティ5cの開口形状とは全く異なる形状及び/又は広さであっても構わない。圧電体19の厚さは適宜に設定されてよい。一例を挙げると、圧電体19の厚さは、0.5μm以上10μm以下である。
圧電体19は、例えば、上面側ほど縮径するようにテーパ状に形成されている。これにより、例えば、上部電極21に接続される上部配線25(後述)の断線の蓋然性が低減される。圧電体19のテーパ面(側面)は、図2のような横断面において平面状であってもよいし、曲面状であってもよい。また、テーパ面の傾斜角度も任意である。図示の例とは異なり、圧電体19は、上面と下面とが概ね重なる形状(側面が鉛直壁である形状)であっても構わない。
圧電体19は、単結晶によって構成されていてもよいし、多結晶によって構成されていてもよい。圧電体19の材料は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸バリウム(BTO:BaTiO)、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNN:(K,Na)NbO)、チタン酸ビスマスナトリウム(NBT:Na0.5Bi0.5TiO)及びチタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti1-x)O)である。上記の例示からも理解されるように、圧電体は、強誘電体であってもなくてもよいし、焦電体であってもなくてもよい。また、結晶構造は、ペロブスカイト型又はウルツ鉱型等の適宜なものであってよい。
(電極)
下部電極17は、例えば、概略、一定の厚さの層状である。下部電極17は、素子3毎(キャビティ5c毎)に設けられている。別の観点では、複数の下部電極17は、互いに分離されている。平面透視において、下部電極17の形状及び広さは、例えば、概略、キャビティ5c及び/又は圧電体19の下面と同等とされている。例えば、平面透視において、下部電極17の90%以上とキャビティ5c(その第1面5aにおける開口)及び/又は圧電体19の下面の90%以上とが重なっている。本実施形態では、既述のように、キャビティ5cの開口形状が円形である場合を例に取っており、ひいては、下部電極17の平面形状が円形である場合を例に取る。ただし、下部電極17は、平面透視において、キャビティ5cの開口形状とは全く異なる形状及び/又は広さであっても構わない。また、平面透視において複数のキャビティ5cを包含する1つの領域の全体に隙間無く広がる下部電極層が設けられ、下部電極17は、そのうちのキャビティ5c上に位置する一部とされてもよい。
上記の下部電極17に係る説明は、上部電極21に援用されてよい。この際、「下部電極17」は「上部電極21」に、「圧電体19の下面」は「圧電体19の上面」に、「下部電極層」は「上部電極層」に置き換える。下部電極17及び上部電極21は、その形状及び/又は大きさが互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。図示の例では、圧電体19がテーパ状とされており、下部電極17が圧電体19の下面と概ね同等の形状及び大きさとされており、上部電極21が圧電体19の上面と概ね同等の形状及び大きさとされている。その結果、上部電極21は、下部電極17よりも一回り小さい。
各電極の厚さは適宜に設定されてよい。通常、各電極の厚さは、圧電体19及び振動層16の厚さに比較して薄い。例えば、各電極の厚さは、圧電体19の厚さの1/10以下である。下部電極17の厚さと上部電極21の厚さとは互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
各電極の材料は、例えば、適宜な金属及び/または酸化物導電薄膜の層とされてよい。金属は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)若しくはクロム(Cr)又はこれらを含む合金である。また、酸化物導電薄膜は、例えば、ルテニウム酸ストロンチウム(SRO)又はニッケル酸ランタン(LNO)等のペロブスカイト構造の導電材料である。各電極は、上記で示した互いに異なる材料からなる複数の層が積層されて構成されていてもよい。下部電極17の材料と上部電極21の材料とは互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
複数の下部電極17は、互いに接続されていてもよいし、互いに非接続とされていてもよい。同様に、複数の上部電極21は、互いに接続されていてもよいし、互いに非接続とされていてもよい。本実施形態の説明では、複数の下部電極17が互いに接続されており、かつ複数の上部電極21が互いに接続されている態様を例に取る。
(機能本体層が含む他の構成)
複数のメンブレン11を含む機能本体層8は、メンブレン11の他、例えば、メンブレン11の電気的接続に係る配線を含んでよい。例えば、上記のように、本実施形態では、上部電極21同士が接続される態様を例に取っており、機能本体層8は、D1方向に並んでいる複数の上部電極21を互いに接続する上部配線25(図8も参照)を有している。他の配線については、後に図8(他の実施形態)を参照して説明する。種々の配線の材料については、例えば、上記の電極の材料の説明が援用されてよい。
上部配線25は、例えば、メンブレン11の上から支持基板5に重なる導体層によって構成されている。上部配線25は、D1方向において互いに隣り合う上部電極21の一方から他方へ延びており、両者を接続している。このような上部配線25の具体的な形状及び寸法は適宜に設定されてよい。
例えば、上部配線25は、概略、一定の幅でD1方向に延びる長尺状である。その幅は、例えば、上部電極21のD2方向の径よりも小さい。上部配線25の一端は、互いに隣り合う上部電極21の一方の上に重なり、上部配線25の他端は、互いに隣り合う上部電極21の他方の上に重なっている。同一の上部電極21上に位置している2つの上部配線25の端部は、互いに間隔を空けてD1方向において対向している。当該間隔は、キャビティ5cの中央上に位置している。
また、例えば、上部配線25の厚さは、下部電極17、上部電極21及び/又は後述する下部配線23よりも厚くされている。これにより、例えば、上部配線25のうち圧電体19の厚みによって構成された段差を超える部分において断線が生じる蓋然性が低減される。上部配線25の厚さは、例えば、圧電体19の厚さの1/20以上1/5以下とされてよい。
下部電極17の上及び/又は後述する下部配線23の上、かつ上部配線25の下には、これらの短絡の蓋然性を低減するための絶縁膜27が設けられてもよい。絶縁膜27の材料、形状及び寸法等は任意である。例えば、絶縁膜27は、上部配線25よりも薄く形成されており、また、少なくとも圧電体19の上部を露出させている。絶縁膜27の材料は、無機材料であってもよいし、有機材料であってもよい。図示の例とは異なり、絶縁膜27を設けず、上部配線25を圧電体19のみによって下部電極17及び/又は下部配線23と絶縁してもよい。
(付加層)
付加層13は、例えば、デバイス1の上面を構成している。従って、デバイス1の周囲の流体は、付加層13の上面に接する。ただし、付加層13は、デバイス1の上面を構成していなくてもよい。例えば、不図示の層が付加層13上に重ねられていてもよい。
付加層13は、例えば、平面透視において複数の素子3を包含する1つの領域の全体に隙間無く広がっている。換言すれば、付加層13は、平面透視において互いに隣り合う2つのキャビティ5cの一方のキャビティ5cの中央から他方のキャビティ5cの中央まで広がっている。さらに換言すれば、付加層13は、例えば平面透視または断面視においても確認できるように、互いに隣り合う2つのキャビティ5cそれぞれの全体に重なっているとともに、当該2つのキャビティ5cの間に亘って広がっている。ここでいう複数の素子3は、デバイス1が含む全ての素子3であってもよいし、一部の素子3であってもよい。
付加層13は、概略、一定の厚さで広がっている。従って、付加層13の上面は、図1及び図2に示すように、機能本体層8の上面の凹凸を反映している。すなわち、付加層13は、いわゆるコンフォーマル(conformal、共形等と和訳される。)な層である。ただし、付加層13の上面の凹凸は、機能本体層8の上面の凹凸に比較して滑らかになっている。また、図示の例とは異なり、機能本体層8の上面の凹凸の有無に関わらず、付加層13の上面は、平面状とされても構わない。
より具体的には、本実施形態では、複数の圧電体19が互いに分離して設けられていることによって(複数のキャビティ5cに亘る圧電体層が設けられているのではないことによって)、機能本体層8の上面は、キャビティ5c上に凸部を有している。ひいては、付加層13の上面は、キャビティ5c上に凸部13aを有している。換言すれば、付加層13は、複数の圧電体19上の部分の上面がその間の部分の少なくとも一部の上面よりも高くなっている。凸部13aの形状は、圧電体19の形状を反映しており、図示の例では、概略、円錐台である。
また、本実施形態では、比較的厚い上部配線25が設けられていることによっても機能本体層8の上面に凸部が生じている。その結果、付加層13の表面には、D1方向に延びる凸部13bが形成されている。凸部13bの一部は、凸部13aの頂面及びテーパ面(側面)の一部を構成している。ただし、図示の例とは異なり、例えば、凸部13bが形成されない態様で凸部13aが形成されていてもよい。
凸部13aの頂面の一部が凸部13bによって形成されているということは、別の観点では、凸部13aの頂面には、凹部13cが形成されているということができる。換言すれば、機能層7(別の観点では付加層13)は、第1面5aに直交する所定の横断面(例えば図2に示す横断面)において、キャビティ5c上(より詳細にはキャビティ5cの中央部上)に凹部13cを有している。ここでいう中央部は、凸部13aの頂面の中心を含む任意の広さの領域とされてよい。凹部13cの具体的な形状及び寸法は適宜に設定されてよい。
付加層13の材料は、例えば、粘弾性を有している材料である。粘弾性は、粘性と弾性との双方を合わせた性質のことである。例えば、理論上は、複素弾性率の偏角が0°超90°未満の材料として定義することができる。現実には、粘弾性の材料とは一般に捉えられていない種々の弾性材料において偏角は0°ではない。そこで、例えば、偏角が5°以上又は30°以上の材料を粘弾性の材料としてよい。また、現実には、粘弾性の材料とは一般に捉えられていない種々の粘性材料において偏角は90°ではない。ただし、そのような粘性材料は、通常、流体であり、機能本体層8上に留まることはできず、付加層13を構成することはできない。従って、偏角の上限値は特に限定されなくてよいと考えられる。例えば、デバイス1の意図された使用態様において機能本体層8上に留まることができる限り、付加層13の材料の偏角は90°に極めて近い値(例えば85°以上)であってもよい。
付加層13の材料の複素弾性率の絶対値は、例えば、比較的小さくされてよい。この場合、例えば、付加層13の粘弾性が素子3の共振周波数に及ぼす影響が低減される。その結果、例えば、従来と同様に、機能本体層8の弾性率の設定(別の観点では材料の選択)及び各種の寸法の設定を行うことができ、設計が容易化される。付加層13の材料の複素弾性率の絶対値は、例えば、振動部15、下部電極17、圧電体19及び上部電極21のいずれの材料の弾性率(又は複素弾性率の絶対値。以下、同様。)よりも小さくされてよい。また、例えば、付加層13の材料の複素弾性率の絶対値は、振動部15及び/又は圧電体19の弾性率の1/10以下とされてよい。また、例えば、付加層13の材料の複素弾性率の絶対値は、10GPa以下又は5GPa以下とされてよい。
上記の粘弾性の説明は、意図された使用環境における付加層13の温度におけるものである。当該温度は、デバイス1が適用される技術分野によって異なるが、例えば、常温(室温)を例示することができる。常温としては、日本産業規格(JIS)が定める5℃以上35℃以下を例示することができる。また、例えば、当該温度範囲の中央の20℃を挙げることができる。粘弾性以外の特性についても、上記温度において判断してよい。
付加層13の材料は、例えば、絶縁性を有する材料とされてよい。例えば、付加層13の材料の体積抵抗率は、1014Ωm以上である。
付加層13の具体的な材料としては、例えば、パラキシリレン系ポリマーを挙げることができる。
付加層13の厚さは適宜に設定されてよい。例えば、付加層13の厚さは、圧電体19の厚さに対して、1/10以上、1/5以上、1/3以上又は1/2以上とされてよく、また、2倍以下、3/2以下又は1倍以下とされてよく、上記の下限値と上限値とは、適宜に組み合わされてよい。また、例えば、付加層13の厚さは、機能層7の付加層13以外の層の合計厚さ(ここでは機能本体層8の厚さ)の1/20以上、1/10以上、1/6以上又は1/4以上とされてよく、また、1倍以下、3/4以下又は1/2以下とされてよく、上記の下限値と上限値とは、適宜に組み合わされてよい。また、例えば、付加層13の厚さは、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上又は2μm以上とされてよく、また、20μm以下、10μm以下、5μm以下又は4μm以下とされてよく、上記の下限値と上限値とは、適宜に組み合わされてよい。
上記の厚さの範囲は、付加層13の厚さが一定でない場合においては、例えば、付加層13の平均値、最小値又は最大値に適用されてよい。ただし、いずれにせよ、特異的に薄い又は厚い部分は考慮外とされてよい。また、比較対象となる圧電体19又は機能本体層8の厚さは、例えば、最大の厚さとされてよい。
(付加層の上面形状の変形例)
付加層13の上面は、図1及び図2に示した形状を含め、種々の形状とされてよい。この種々の形状は、種々の方法によって実現されてよいが、付加層13の成膜条件を変えずに、機能本体層8の上面の凹凸の変更のみによって実現されてもよい。以下では、圧電体19同士の距離を変化させることによって実現可能な種々の形状について説明する。
既述のように、付加層13の上面は、機能本体層8の上面の凹凸を完全に反映するのではなく、凹凸をある程度平滑化して反映する。従って、例えば、複数の圧電体19同士の距離が比較的短い場合においては、複数の圧電体19の間に凹部が形成されないことがあり得る。このように、付加層13の上面は、概略平坦であってもよい。
次に、上記よりも少し圧電体19同士の距離を離すことを考える。この場合、付加層13の上面には、複数の圧電体19から距離が離れている位置に凹部が形成される。例えば、後述する図8に示すように、複数の圧電体19が縦横に配列されている場合においては、複数の矩形領域それぞれの4隅に4つの圧電体19が位置する。この場合、矩形領域の中央に凹部が形成されやすい。このように、付加層13の上面は、概略平坦面に凹部が形成された形状であってもよい。この形状は、図1及び図2に示した形状と同様に、平面透視で複数の圧電体19の間に位置する領域のうちの少なくとも一部の領域(以下、低位置部13eということがある。)が複数の圧電体19上の領域よりも低くなっている形状であると言える。
次に、上記よりも更に圧電体19同士の距離を離すことを考える。この場合、矩形領域の中央の凹部(低位置部13e)が上記よりも広くなる。その結果、例えば、矩形領域の中央から広がった凹部は、D1方向又はD2方向において互いに隣り合っている圧電体19同士の間にも広がる。及び/又は、例えば、矩形領域の中央の凹部の底面は、支持基板5の第1面5aに沿う(例えば平行な)平面状になる。換言すれば、低位置部13eは平面状領域を含むことになる。
図3は、図2に示す付加層13の形状とは異なる形状(変形例)を示す、図2と同様の図である。
この変形例に係る付加層13は、上記のようにして矩形領域の中央から広がった凹部がD1方向において互いに隣り合う圧電体19同士の間にも広がった形状を有している。図3(及び図2)で示す断面は、互いに最も近い圧電体19同士を最短距離で結ぶ線を含んでいる。従って、この変形例では、付加層13のうち、複数の圧電体19上の領域よりも低くなっている領域(低位置部13e)は、平面透視において上記最短距離で結ぶ線の少なくとも一部に重なっていることになる。この線の一部に重なっているのは、第1面5aに沿う平面状の領域であってもよいし、第1面5aに対して傾斜している領域であってもよい。
次に、上記よりも更に圧電体19同士の距離を離すことを考える。この場合、低位置部13eのうちの平面状の領域が広がっていく。その結果、図1及び図2において示すように、低位置部13eの大部分が第1面5aに沿う平面状となる。別の観点では、互いに最も近い圧電体19同士を最短距離で結ぶ線の少なくとも一部に重なっている領域は、第1面5aに沿う平面状となっている。この平面状領域の上記最短距離で結ぶ線に沿う方向(ここではD1方向)の長さは、適宜に設定されてよい。例えば、当該長さは、キャビティ5cの上記線に沿う方向(D1方向)の径に対して、1/10以上、1/5以上又は1/3以上とされてよく、また、1倍以下又は1/2以下とされてよく、上記の下限と上限とは、適宜に組み合わされてよい。
(減衰材)
減衰材9は、音響に係る減衰定数(m-1・Hz-1)が支持基板5よりも大きい材料によって構成されている。これにより、例えば、素子3で生じた振動が外部へ漏れたり、逆に、外部からの振動が素子3へ伝わったりする蓋然性が低減される。減衰材9が絶縁性材料によって構成されている場合においては、減衰材9は、回路基板の絶縁体のように機能可能である。従って、例えば、減衰材9の+D3側若しくは-D3側の表面に電子部品が実装されたり、減衰材9の内部に配線又は電子素子が設けられたりしてもよい。減衰材9の材料は、適宜なものとされてよく、例えば、樹脂又はセラミックとされてよい。減衰材9は設けられなくてもよい。
以上のとおり、本実施形態では、超音波デバイス1は、キャビティ層(支持基板5)と、機能層7とを有している。支持基板5は、第1面5aと、当該第1面5aに開口しており、第1面5aに沿って並んでいる複数のキャビティ5cとを有している。機能層7は、第1面5aに重なっており、複数のキャビティ5c上における面外振動の共振周波数が超音波の周波数帯内にある。また、機能層7は、付加層13を含む。付加層13は、例えば平面透視または断面視においても確認できるように、互いに隣り合う2つのキャビティ5cの一方のキャビティ5cの中央から他方のキャビティ5cの中央まで広がっており、かつ粘弾性を有している。
この場合、付加層13が設けられていることによって、例えば、素子3(機能層7のキャビティ5c上の部分)同士の機械的結合が抑制される。その結果、例えば、振動エネルギーが閉じ込められ、素子3の振動量が増加する。ひいては、例えば、受信した超音波を電気信号に変換して得られる受信信号の電圧(以下、受信電圧ということがある。)を高くしたり、及び/又は電気信号(送信信号)を超音波に変換して送信するときの超音波の音圧を高くしたりできる。すなわち、超音波の受信及び/又は送信の効率を向上させることができる。また、付加層13は、平面透視において、キャビティ5cの間だけでなく、キャビティ5cの中央にまで亘っている。従って、例えば、付加層13は、機能本体層8の概ね全面に隙間無く成膜されてよい。すなわち、構成が簡素である。その結果、例えば、付加層13をパターニングするプロセスは不要であり、コストを削減することができる。
図4(a)及び図4(b)は、上記の振動量の増加の効果を例示する図である。
これらの図において、横軸t(s)は時間を示している。縦軸Disp.(m)は素子3の振動変位を示している。これらの図における時間と振動変位との関係を示す線は、素子3に所定の超音波を受信させたときの振動変位を測定する実験によって得られている。図4(a)は、付加層13が設けられていない態様(比較例)の特性を示し、図4(b)は、実施例に係る特性を示している。図4(a)及び図4(b)は、付加層13の有無を除いて同一の条件で得られている。
実施例においては、t=1.5E-07付近で比較的大きな変動が現れ、t=2.0E-07以降においては、当該変動が収まっている。一方、比較例においては、t=1.5E-07付近で比較的大きな変動が現れた後、同等の大きさの変動が継続されている。実施例における振動変位が成す波形は、比較例における振動変位が成す波形に比較して、受信させた超音波の音圧の波形(不図示)に近い。また、実施例において比較的大きな変動が生じたときの変位は、比較例において比較的大きな変動が生じたときの変位よりも大きい。例えば、図示の例では、実施例における変位の絶対値の最大値が5.E-09程度であるのに対して、比較例における変位の絶対値の最大値は(-)3.5E-09程度である。これらの結果から、付加層13によって、素子3同士の機械的結合が抑制され、その結果、素子3の振動量が増加していることが確認できた。
また、本実施形態では、機能層7は、複数のキャビティ5c上に位置する複数のメンブレン11を含んでいる。複数のメンブレン11は、それぞれ、第1面5a側から順に、振動部15と、振動部15上に重なっている下部電極17と、下部電極17上に重なっている圧電体19と、圧電体19に重なっている上部電極21と、を有している。付加層13は、上部電極21の上から複数のメンブレン11を覆っている。別の観点では、付加層13は、機能層7の最上層であり、かつ絶縁性を有している。
この場合、例えば、付加層13は、機能層7内の電極を電気的に絶縁することにも寄与する。その結果、機能層7の構成が更に簡素化される。
また、本実施形態では、複数の圧電体19が互いに離れている。付加層13の上面は、平面透視で複数の圧電体19の間に位置する領域のうちの少なくとも一部の領域(低位置部13e)が複数の圧電体19上の領域(凸部13a)よりも低くなっている。
この場合、例えば、付加層13のうち圧電体19上に位置する部分(そのうちの特に付加層13の上面側の部分)を伝搬する振動は、平面視において圧電体19に重なる領域からその外側へ伝搬するときに、下方(-D3側)へ変位しなければならない。その結果、例えば、付加層13の上面が全面に亘って平坦である態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、素子3同士の機械的結合を更に抑制することができる。また、例えば、複数の圧電体19が互いに離れていることによってその間に付加層13に低位置部13eが形成されているということは、別の観点では、圧電体19の厚さ及び圧電体19同士の距離に比較して付加層13が厚過ぎないということである。従って、例えば、上記の機械的結合を大きくする効果を得つつ、付加層13が厚いことによるコスト増大を低減できる。
図5は、付加層13の厚さが超音波の送信及び/又は受信に及ぼす影響を説明するための図である。
これらの図において、横軸tf(μm)は付加層13の厚さを示している。縦軸V(mV)は、電圧を示している。この電圧は、素子3に超音波を受信させたときに得られた受信電圧を示している。より詳細には、受信電圧の波形が得られたときの最大値を示している。図中にプロットされた点は、実験により得られた値を示している。同一の線で互いに結ばれた点同士は、付加層13の厚さ以外の条件が互いに同一である。
この図に示されているように、付加層13を厚くしていくと、受信電圧が向上する効果が向上していく。ただし、その変化は頭打ちとなる。図示の例では、概ね3μmの厚さで効果が頭打ちとなった。このとき、付加層13の上面には低位置部13eが形成されていた。このことから、付加層13の厚さを低位置部13eが形成される厚さにすることによって、機械的結合を大きくする効果を得つつ、付加層13が厚いことによるコスト増大を低減できることが分かる。
図5は、素子3同士の機械的結合を抑制して受信電圧を向上させる効果を定量的に示す図にもなっている。具体的には、厚さtf=0は、付加層13が設けられていない比較例に対応している。このときの受信電圧は、約60mVである。一方、付加層13の厚さが3μmのときの受信電圧は約180mVである。従って、付加層13を適宜な厚さで設けることによって、受信電圧を約3倍にできたことが示されている。
本実施形態では、複数の圧電体19上の領域よりも低くなっている前記一部の領域(低位置部13e)は、平面透視または断面視において、互いに最も近い圧電体19同士を最短距離で結ぶ線(図1の線L1参照)の少なくとも一部に重なっている。
この場合、例えば、付加層13内の波が下方へ変位しなければならないという上記効果が、圧電体19同士が最も近い位置において得られる。その結果、圧電体19同士の機械的結合がさらに抑制される。また、例えば、別の観点では、圧電体19同士の最も近い位置に低位置部13eが形成されるということは、圧電体19同士が最も近い位置においてもある程度の距離が確保されているということである。従って、付加層13が設けられていることによる素子3同士の機械的結合の抑制と、素子3同士が離れていることによる機械的結合の抑制とによって、振動量を増加させる効果が向上する。
また、本実施形態では、低位置部13eのうちの上記の最短距離で結ぶ線の少なくとも一部に重なっている領域は、第1面5aに沿う平面状である。
この場合、例えば、上記効果が更に向上する。また、発明者の実験では、このように平面状部分が形成されたときに最も高い受信電圧が得られた。さらに、図3から理解されるように、付加層13の上面が圧電体19間に平面状部分を有していない場合においては、付加層13の表面にV字状部分が生じることになる。このV字状部分では、例えば、応力集中が生じやすい。従って、例えば、平面状部分が存在することによって応力集中を緩和できる。ひいては、付加層13の寿命を長くすることができる。
また、本実施形態では、付加層13の厚さが圧電体19の厚さの1/2以上3/2以下である。
この場合、例えば、付加層13による素子3同士の機械的結合を抑制する効果を得つつ、付加層13が厚いことによるコスト増大を低減できる。例えば、既述の図5は、圧電体19の厚さが2μm以上4μm以下の条件で得られており、付加層13の厚さが上記の範囲であれば十分に得られることを示している。また、例えば、付加層13の厚さが上記の範囲にある場合、互いに離れている複数の圧電体19の間に低位置部13eが形成されやすく、ひいては、低位置部13eが形成されることによる上述の効果を得やすい。
また、本実施形態では、第1面5a(図2参照)に直交する所定の断面において、機能層7(付加層13)の上面は、キャビティ5c上に凹部13cを有している。
この場合、例えば、機能層7の上面に沿って流れる流体に作用する抵抗力が大きくなりやすい。その結果、例えば、超音波の送信及び/又は受信時(すなわち、素子3の振動時)に流れる液体が減少する。ひいては、送信及び/又は受信の特性が向上することが期待される。
また、本実施形態では、付加層13の材料がパラキシリレン系ポリマーである。
この場合、例えば、機能本体層8の上面の凹凸に付加層13を密着させることが容易である。また、例えば、複素弾性率の偏角を大きく、かつ複素弾性率の絶対値を小さくすることが容易であり、また、絶縁性を高くすることが容易である。従って、これまでに述べた効果を得ることが容易である。
また、本実施形態では、付加層13の厚さが機能層7の付加層13以外の層(ここでは機能本体層8)の合計厚さの1/4以上1倍以下である。
この場合、例えば、付加層13による素子3同士の機械的結合を抑制する効果を得つつ、付加層13が厚いことによるコスト増大を低減できる。例えば、既述の図5は、機能本体層8の厚さが4μm以上8μm以下の条件で得られており、付加層13の厚さが上記の範囲であれば十分に得られることを示している。
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る超音波デバイス201の構成を示す、図1と同様の斜視図である。ただし、この図では、機能本体層8の上面(すなわち付加層13によって覆われて見えない部分)の一部も点線で示されている。
デバイス201は、素子203(別の観点では機能層7又は付加層13)の上面の形状が第1実施形態と異なっている。具体的には、本実施形態において、キャビティ5c上(より詳細にはキャビティ5cの中央部上)に位置する凹部13cは、平面視で360°に亘る内壁面を有している。別の観点では、凹部13cは、第1面5a(図2参照)に直交する任意の(すなわち、D1方向に平行でなくてもよい。)断面において凹状である。図6では、図1で示した凸部13bは形成されていないが、凸部13bが形成されていても構わない。
このような360°に亘る内壁面を有する凹部13cは、適宜に形成されてよい。例えば、機能本体層8の上面に、360°に亘る内壁面を有する凹部8cが形成され、かつ付加層13がコンフォーマル(共形)であることによって凹部13cが形成されてよい。この他、例えば、エッチングなどによって機能本体層8の上面の形状とは無関係に凹部13cが形成されても構わない。
凹部8cは、適宜な層によって適宜に形成されてよい。例えば、上部電極21(図2参照)を比較的厚く形成するとともに、上部電極21の中央にエッチングなどによって凹部8cを形成してもよい。また、例えば、上部電極21及び上部配線25を被覆する不図示の絶縁層(機能本体層8の一部となる層)を設け、この絶縁層の上面にエッチングなどによって凹部8cを形成してもよい。
凹部8c(又は凹部13c。以下、本段落において同様。)の形状及び大きさは適宜に設定されてよい。例えば、凹部8cの底面又は開口面の輪郭は、キャビティ5cの輪郭に沿って延びる形状とされてよい。このような形状としては、例えば、キャビティ5cの輪郭に相似な形状及び/又は平面透視においてキャビティ5cの輪郭から一定距離だけ内側にずれた形状を挙げることができる。
以上のとおり、本実施形態では、機能層7は、第1面5aに重なっているとともに付加層13に覆われている機能本体層8を有している。機能本体層8の上面は、複数のキャビティ5c上に複数の凹部8cを有している。
この場合、例えば、付加層13の機能本体層8に対する密着性が向上し、付加層13が剥離する蓋然性が低減される。その結果、例えば、機能本体層8の振動を確実に付加層13に伝えることができる。ひいては、超音波の送信及び/又は受信の効率が向上する。また、付加層13をコンフォーマルな層とすることによって、付加層13の上面に凹部13cを形成することができる。
凹部13cの効果については、既に述べたとおりであり、例えば、流体の抵抗力の増加が挙げられる。ただし、本実施形態の凹部13cは、任意の横断面において凹状であるから、上記効果が向上する。
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態に係る超音波デバイス301を示す、図2に対応する断面図である。ただし、ここでは上部配線25の図示は省略されている。
本実施形態では、各素子3(別の観点では各メンブレン11)が含む圧電体19は、複数のキャビティ5cに亘って広がる圧電体層20の一部によって構成されている。圧電体層20は、例えば、概略、平面透視において複数の素子3を包含する1つの領域の全体に隙間無く一定の厚さで広がっている。これに伴い、機能本体層308の上面は、上部電極21(及び上部配線25)の厚みで凹凸を有しているものの、第1実施形態に比較して平面に近い。ひいては、付加層13の上面(別の観点では機能層307の上面)は、概略、その全面に亘って第1面5aに沿う(例えば平行な)平面状である。
このような構成においても、第1実施形態と同様に、粘弾性を有する付加層13によって、素子3同士の機械的結合を抑制し、超音波の送信及び/又は受信の効率を向上させることができる。
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態に係る超音波デバイス401の一部の構成を示す平面透視図である。
デバイス401は、別の観点では、第1実施形態のデバイス1の応用例であり、既述のデバイス1の構成を全て含んでいる。従って、図8の一部又は全部は、デバイス1の平面透視図と捉えられてもよい。図8では、デバイス401(1)の構成のうち、下部電極17、上部電極21、下部配線23及び上部配線25を示している。
また、図8では、複数の素子3に電気信号(送信信号)を出力する送信部41、及び複数の素子3から電気信号(受信信号)が入力される受信部43も模式的に示されている。デバイス401は、送信部41及び受信部43を含まずに定義されてもよいし、これらを含んで定義されてもよい。
既に触れているように、超音波デバイスは、超音波の送信及び受信のうちいずれか一方のみを行うものであってもよいし、双方を行うものであってもよい。そして、デバイス401は、後者である。また、このような送信及び受信を行う超音波デバイスは、超音波の送信と受信とを同一の素子3によって行ってもよいし、互いに異なる素子3によって行ってもよい。そして、デバイス401は、後者である。換言すれば、デバイス401は、送信用の素子3(以下、素子3Tということがある。)と、受信用の素子3(以下、「素子3R」ということがある。)と、を有している。
送信用の素子3T及び受信用の素子3Rの数及びその位置関係は適宜に設定されてよい。図示の例では、デバイス401は、複数の素子3Tを有し、かつ当該複数の素子3Tの一部(ただし2つ以上)又は全部は一纏りに配置されて送信用の素子群31Tを構成している。同様に、デバイス401は、複数の素子3Rを有し、かつ複数の素子3Rの一部(ただし2つ以上)又は全部は一纏りに配置されて受信用の素子群31Rを構成している。換言すれば、デバイス401が有している複数の素子3は、送信用の領域33Tに位置している複数の素子3Tと、受信用の領域33Rに位置している複数の素子3Rとを含んでいる。領域33Tと領域33Rとは互いに異なる領域である。
送信用の素子群31Tにおいて、複数の素子3Tの数及び配列態様は適宜に設定されてよい。図示の例では、第1実施形態の説明で言及したように、複数の素子3Tは、一定のピッチで縦横に配列されている。また、図示の例では、3×3の素子3Tが図示されている。これは一例に過ぎず、素子3の数は、これよりも少なくてもよいし、多くてもよいし、縦と横とで数が異なっていてもよい。受信用の素子群31Rにおける複数の素子3Rの数及び配列態様についても上記と同様である。素子3の数及び配列態様は、素子群31Tと素子群31Rとで互いに同一であってもよいし(図示の例)、互いに異なっていてもよい。
送信用の素子群31Tと受信用の素子群31Rとの具体的な位置関係は適宜に設定されてよい。図示の例では、素子3Tと素子3RとがD1方向(すなわち、素子群31Tと素子群31Rとの並び方向)に直列に並んでいる。また、D1方向において互いに隣り合っている素子3Tと素子3Rとの距離は、素子3Tのピッチ及び素子3Rのピッチと同じである。すなわち、複数の素子3T及び複数の素子3Rは、その全体が一様に配列されている。ただし、図示の例とは異なり、例えば、互いに隣り合っている素子3Tと素子3Rとの距離が素子3Tのピッチ及び/又は素子3Rのピッチとは異なっていてもよいし、素子3Tの列と素子3Rの列とが直列にならずに、両列のD2方向における位置が互いにずれていてもよい。
送信用の素子群31Tにおいて、既述のように、複数の下部電極17同士は互いに接続されていてもよいし、互いに接続されていなくてもよい。ここでは、前者が例示されている。具体的には、図示の例では、D2方向に互いに隣り合う下部電極17同士は、D2方向に延びる下部配線23によって互いに直列に接続されている。これらの複数の直列のラインは、送信用の領域33Tの外側にてD1方向に延びる下部合流配線24によって互いに並列に接続されている。下部配線23及び下部合流配線24は、例えば、振動層16上に位置する導体層によって構成されている。受信用の素子群31Rにおける複数の下部電極17同士の接続についても上記と同様である。
送信用の素子群31Tにおいて、既述のように、複数の上部電極21同士は互いに接続されていてもよいし、互いに接続されていなくてもよい。ここでは、前者が例示されている。具体的には、図示の例では、D1方向に互いに隣り合う上部電極21同士は、D1方向に延びる上部配線25によって互いに直列に接続されている。これらの複数の直列のラインは、送信用の領域33Tの外側にてD2方向に延びる上部合流配線26によって互いに並列に接続されている。受信用の素子群31Rにおける複数の上部電極21同士の接続についても上記と同様である。
送信部41は、便宜的に電源を示す記号により示されているように、例えば、商業電源を適宜な波形の電圧の信号に変換して出力する電源回路を含んで構成されている。送信部41は、送信用の素子群31Tに接続されている下部合流配線24及び上部合流配線26に接続されている。そして、送信部41は、これらの配線を介して、発生させたい超音波の波形に相当する波形の電気信号を送信用の素子3Tの下部電極17及び上部電極21に印加する。
受信部43は、便宜的に増幅器を示す記号により示されているように、例えば、入力された電気信号を増幅して出力するアンプを含んで構成されている。アンプは、例えば、電圧アンプであってもよいし、チャージアンプであってもよい。受信部43は、受信用の素子群31Rに接続されている下部合流配線24及び上部合流配線26に接続されている。超音波が受信用の素子3Tに入力されると、素子3Tは振動して電気信号を生成する。この信号は、下部合流配線24及び上部合流配線26を介して受信部43に入力される。
図9は、図8のIX-IX線における断面図である。
特に図示しないが、付加層13は、第1実施形態と同様に、複数の送信用の素子3T及びその間の領域を覆っている。同様に、付加層13は、複数の受信用の素子3R及びその間の領域を覆っている。さらに、図9に示すように、付加層13は、互いに隣り合う送信用の素子3T及び受信用の素子3Rについても、第1実施形態と同様に、これらの素子3及びその間の領域を覆ってよい。換言すれば、付加層13は、送信用の領域33Tと受信用の領域33Rとの間に位置してよい。
以上のとおり、本実施形態では、複数のメンブレン11は、第1面5aのうちの第1領域(領域33T)に位置している複数の第1メンブレン(素子3Tのメンブレン11)と、第1面5aのうちの領域33Tとは異なる第2領域(領域33R)に位置している複数の第2メンブレン(素子3Rのメンブレン11)と、を含んでいる。複数の素子3Tのメンブレン11は、下部電極27同士が互いに接続されているとともに、上部電極21同士が互いに接続されている。複数の素子3Rのメンブレン11は、下部電極17同士が互いに接続されているとともに、上部電極21同士が互いに接続されている。複数の素子3Tのメンブレン11の上部電極17と、複数の素子3Rのメンブレン11の上部電極17とは互いに接続されていない。付加層13は、領域33Tと領域33Rとの間にも位置している。
このように、2つの素子群31T及び31Rが位置する2つの領域33T及び33Rの間にも付加層13が位置することによって、両者の間の機械的結合を抑制することができる。すなわち、送信用の素子3Tと受信用の素子3Rとの機械的結合を抑制することができる。別の観点では、互いに独立に振動すべき素子3同士の機械的結合を抑制することができる。その結果、送信及び/又は受信の効率が向上する。
<応用例>
図10は、超音波デバイスの応用例としての超音波診断装置101の構成を模式的に示すブロック図である。ここでは、デバイス401の符号を用いるが、他のデバイスが超音波診断装置101に用いられてもよい。
超音波診断装置101は、例えば、IVUS用のものとされている。超音波診断装置101は、例えば、患者の血管内に挿入されるカテーテル103と、カテーテル103に接続されている装置本体107とを備えている。
カテーテル103は、例えば、概略チューブ状のカテーテル本体103aと、カテーテル本体103a内に収容されているデバイス401とを有している。デバイス401は、例えば、カテーテル本体103aを介してカテーテル本体103aの径方向外側へ超音波を送信し、その反射波を受信する。
装置本体107は、例えば、カテーテル本体103a内の不図示の配線を介してデバイス401と接続されている送受信部109を有している。送受信部109は、例えば、図8に示した送信部41及び受信部43の少なくとも一部を含んでいてもよいし、送信部41に送信信号を出力するとともに受信部43から受信信号が入力されるものであってもよい。カテーテル103における電気的構成と送受信部109との間の役割分担は適宜に設定されてよい。
また、装置本体107は、例えば、ユーザ(例えば医師又は技師)の操作を受け付ける入力部111と、入力部111からの信号に基づいて送受信部109を制御する制御部113と、を有している。装置本体107は、送受信部109からの信号及び制御部113からの信号に基づいて画像処理を行う画像処理部115と、画像処理部115からの信号に基づいて画像を表示する表示部117(表示装置)とを備えている。表示部117には、例えば、超音波の送受信によって得られた患者の断層画像(ここでは血管の断面画像)が表示される。
特に図示しないが、カテーテル103は、カテーテル本体103aを屈曲運動させたり、カテーテル本体103a内のデバイス401の向きを変えたりする機構を有していてもよい。また、装置本体107は、そのような機構に対応した制御部を有していてよい。
以上の実施形態及び変形例において、支持基板5はキャビティ層の一例である。素子3T及び3Rのメンブレン11は、第1及び第2メンブレンの一例である。領域33T及び33Rは第1及び第2領域の一例である。表示部117は表示装置の一例である。
本開示に係る技術は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、超音波デバイスは、医療用機器に利用されるものに限定されない。例えば、超音波デバイスは、対象物との距離を測定するためのセンサに利用されてよく、このようなセンサは、撮像装置及び自動車に利用されてよい。
超音波素子がユニモルフ型のpMUTに限定されず、cMUTであったり、バイモルフ型のpMUTであったりしてよいことは既に述べたとおりである。また、実施形態では、振動層は、圧電体層に対してキャビティ側に位置したが、圧電体層に対してキャビティとは逆側に位置してもよい。キャビティは、支持基板に形成された凹部ではなく、支持基板に形成された貫通孔によって構成されてもよい。支持基板の第2面に凹部が形成されて、支持部材の第1面側の一部が振動層として利用されてもよい。
付加層は、超音波デバイスの最上層を構成していなくてもよいし、上部電極を覆っていなくてもよい。例えば、既に触れたように、付加層の表面に付加層とは別の材料(別の観点では粘弾性を有さない材料)からなる層が形成されてもよい。また、例えば、付加層は、キャビティ層(支持基板)と振動層との間に設けられたり、振動層と下部電極との間に設けられたりしてもよい。いずれにせよ、例えば、粘弾性を有する付加層によって超音波素子同士の機械的結合を抑制する効果が得られる。また、付加層は、超音波素子が配置される領域に隙間無く成膜されている必要は無い。
本開示に係る技術からは、粘弾性を有する付加層の存在を要件としない種々の概念を抽出可能である。例えば、以下の概念が抽出されてよい。
(概念1)
第1面と、当該第1面に開口しており、前記第1面に沿って並んでいる複数のキャビティとを有しているキャビティ層と、
前記第1面に重なっており、前記複数のキャビティ上における面外振動の共振周波数が超音波の周波数帯内にある機能層と、
を有しており、
前記第1面に直交する所定の横断面において、前記機能層の上面は、前記複数のキャビティ上に複数の凹部を有している
超音波デバイス。
(概念2)
第1面と、当該第1面に開口しており、前記第1面に沿って並んでいる複数のキャビティとを有しているキャビティ層と、
前記第1面に重なっており、前記複数のキャビティ上における面外振動の共振周波数が超音波の周波数帯内にある機能層と、
を有しており、
前記機能層は、機能本体層を有しており、
前記機能本体層の上面は、前記複数のキャビティ上に複数の凹部を有している
超音波デバイス。
1…超音波デバイス、3…超音波素子、5…支持基板(キャビティ層)、5a…第1面、5c…キャビティ、7…機能層、11…メンブレン、13…付加層、17…下部電極、19…圧電体、21…上部電極。

Claims (14)

  1. 第1面と、該第1面に開口しており、前記第1面に沿って並んでいる複数のキャビティとを有しているキャビティ層と、
    前記第1面に重なっており、前記複数のキャビティ上における面外振動の共振周波数が超音波の周波数帯内にある機能層と、
    を有しており、
    前記機能層は、付加層を含んでおり、
    前記付加層は、互いに隣り合う2つの前記キャビティの一方のキャビティの中央から他方のキャビティの中央まで広がっている
    超音波デバイス。
  2. 前記付加層は粘弾性を有している
    請求項1に記載の超音波デバイス。
  3. 前記付加層は、前記機能層の最上層であり、かつ絶縁性を有している
    請求項2に記載の超音波デバイス。
  4. 前記機能層は、前記複数のキャビティ上に位置する複数のメンブレンを含んでおり、
    前記複数のメンブレンは、それぞれ、前記第1面側から順に、
    振動部と、
    前記振動部に重なっている下部電極と、
    前記下部電極に重なっている圧電体と、
    前記圧電体に重なっている上部電極と、を有しており、
    前記付加層は、前記上部電極の上から前記複数のメンブレンを覆っており、絶縁性を有している
    請求項1~3のいずれかに記載の超音波デバイス。
  5. 前記複数のキャビティ上に位置する複数の前記圧電体が互いに離れており、
    前記付加層の上面は、複数の圧電体の間に位置する領域のうちの少なくとも一部の領域が前記複数の圧電体上の領域よりも低くなっている
    請求項4に記載の超音波デバイス。
  6. 前記複数の圧電体上の領域よりも低くなっている前記一部の領域は、互いに最も近い前記圧電体同士を最短距離で結ぶ線の少なくとも一部に重なっている
    請求項5に記載の超音波デバイス。
  7. 前記一部の領域のうちの前記最短距離で結ぶ線の少なくとも一部に重なっている領域は、前記第1面に沿う平面状である
    請求項6に記載の超音波デバイス。
  8. 前記付加層の厚さが前記圧電体の厚さの1/2以上3/2以下である
    請求項4~7のいずれか1項に記載の超音波デバイス。
  9. 前記複数のメンブレンは、
    前記第1面のうちの第1領域に位置している複数の第1メンブレンと、
    前記第1面のうちの前記第1領域とは異なる第2領域に位置している複数の第2メンブレンと、を含んでおり、
    前記複数の第1メンブレンは、前記下部電極同士が互いに接続されているとともに、前記上部電極同士が互いに接続されており、
    前記複数の第2メンブレンは、前記下部電極同士が互いに接続されているとともに、前記上部電極同士が互いに接続されており、
    前記複数の第1メンブレンの前記上部電極と、前記複数の第2メンブレンの前記上部電極とは互いに接続されておらず、
    前記付加層は、前記第1領域と前記第2領域との間にも位置している
    請求項4~8のいずれか1項に記載の超音波デバイス。
  10. 前記機能層は、前記第1面に重なっているとともに前記付加層に覆われている機能本体層を有しており、
    前記機能本体層の上面は、前記複数のキャビティ上に複数の凹部を有している
    請求項1~3のいずれかに記載の超音波デバイス。
  11. 前記第1面に直交する所定の横断面において、前記機能層の上面は、前記複数のキャビティ上に複数の凹部を有している
    請求項1~10のいずれか1項に記載の超音波デバイス。
  12. 前記付加層の材料がパラキシリレン系ポリマーである
    請求項1~11のいずれか1項に記載の超音波デバイス。
  13. 前記付加層の厚さが前記機能層の前記付加層以外の層の合計厚さの1/4以上1倍以下である
    請求項1~12のいずれか1項に記載の超音波デバイス。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載の超音波デバイスと、
    前記超音波デバイスからの電気信号に基づく画像を表示する表示装置と、
    を有している超音波診断装置。
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