JP2021158610A - 超音波デバイス及び超音波診断装置 - Google Patents

超音波デバイス及び超音波診断装置 Download PDF

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英章 浅尾
涼 上野
Ryo Ueno
涼 上野
徳一 山地
Tokuichi Yamaji
徳一 山地
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Abstract

【課題】ノイズを低減できる超音波デバイスを提供する。【解決手段】超音波デバイスであるデバイス1は、その上面に沿って配列された複数の超音波素子3を有している。各超音波素子は、送信及び受信の双方に利用することが可能である。ここで、複数の超音波素子を送信に用いる送信部と、受信に用いる受信部との間に、構造体35を設ける。送信部がD3側へ送信される超音波を生成したとき、デバイス1内を送信部から受信部へ向かって伝搬する不要な波も生じる。構造体は、この不要な波が受信部に到達することを抑制する。【選択図】図6

Description

本開示は、pMUT(Piezoelectric Micromachined Ultrasonic Transducer)及びcMUT(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer)等の超音波デバイスに関し、また、この超音波デバイスを有する超音波診断装置に関する。
超音波の送信及び/又は受信を行う複数の超音波素子を平面上に配列して構成された超音波デバイスが知られている(例えば、下記の特許文献1)。超音波素子は、例えば、基板の上面に形成されたキャビティを塞ぐメンブレンによって構成され、撓み変形を生じることによって、超音波の送信及び/又は受信を行う。
特開2015−177998号公報
ノイズを低減できる超音波デバイス及び超音波診断装置が提供されることが望まれる。
本開示の一態様に係る超音波デバイスは、第1方向及び該第1方向に直交する第2方向に広がる第1面を有している基板と、前記基板に対して前記第1面側に位置しており、超音波を送信する送信部と、前記基板に対して前記第1面側に位置しており、超音波を受信する受信部と、前記第1面上にて前記送信部と前記受信部との間に位置している構造体と、を有しており、前記基板は、前記第1方向及び前記第2方向に分布している複数のキャビティを有しており、前記送信部は、それぞれ前記複数のキャビティのいずれかに重なっている、前記第1方向及び前記第2方向に分布している複数の送信素子を有しており、前記受信部は、それぞれ前記複数のキャビティのいずれかに重なっている、前記第1方向及び前記第2方向に分布している複数の受信素子を有しており、前記送信部と前記受信部とは、前記第1方向において並んでおり、前記構造体は、前記第1面の平面視において、前記送信部と前記受信部との間において前記第2方向に延びており、前記第2方向の位置が互いに異なる2つ以上の送信素子に亘る長さを有しており、かつ前記第2方向の位置が互いに異なる2つ以上の受信素子に亘る長さを有している。
本開示の一態様に係る超音波診断装置は、上記超音波デバイスと、前記超音波デバイスからの電気信号に基づく画像を表示する表示装置と、を有している。
上記の構成によれば、ノイズを低減できる。
実施形態に係る超音波デバイスの一部の構成を示す斜視図である。 図1のII−II線における断面図である。 図1の超音波デバイスにおける下部導体層を示す平面図である。 図1の超音波デバイスにおける上部導体層を示す平面図である。 図1の超音波デバイスの上面を示す平面図である。 図3のVI-VI線における断面図である。 実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 図8(a)及び図8(b)は図1の超音波デバイスの効果の一例を説明するための図である。 図9(a)及び図9(b)は第1及び第2変形例に係る超音波素子の配置態様を示す平面図である。 第3変形例に係る超音波素子の配置態様を示す平面図である。 図11(a)、図11(b)及び図11(c)は超音波素子の配置の設定方法の一例を説明する平面図である。 図12(a)及び図12(b)は変形例に係る超音波素子の配置態様を説明する平面図である。 図13(a)及び図13(b)は変形例に係る超音波素子の配置態様を説明する平面図である。
以下、図面を参照して本開示に係る実施形態について説明する。以下の図面は、模式的なものである。従って、細部は省略されることがあり、また、寸法比率等は現実のものと必ずしも一致しない。また、複数の図面相互の寸法比率も必ずしも一致しない。
図面には、便宜上、直交座標系D1−D2−D3を付すことがある。超音波デバイスは、いずれの方向が上方又は下方とされてもよいものであるが、実施形態の説明では、便宜上、D3軸方向の正側を上方として、上部又は下部等の語を用いることがある。また、以下において平面視又は平面透視という場合、特に断りがない限りは、D3軸方向に見ることをいうものとする。
(デバイスの構成)
図1は、実施形態に係る超音波デバイス1の一部の構成を示す斜視図である。以下、「超音波デバイス」を単に「デバイス」ということがある。
デバイス1の概略の外形及びその寸法は、デバイス1が利用される技術分野及びデバイス1に要求される機能等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、デバイス1は、血管内超音波検査法(IVUS:intravascular ultrasound)において血管内に配置可能に比較的小さくされてもよいし、通常の超音波診断装置(例えば腹部の断層像を得るための装置)のプローブに利用可能に掌の大きさ程度とされてもよい。また、デバイス1は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)として構成されてもよい。
本実施形態では、デバイス1は、例えば、概略、基板状に構成されている。図1は、その基板の上面の一部を示している。デバイス1の平面形状は、任意であり、例えば、多角形(例えば矩形)、円形又は楕円形とされてよい。
デバイス1は、例えば、その上面に沿って配列された複数(図1では2つのみ示されている。)の超音波素子3を有している。以下、「超音波素子」を単に「素子」ということがある。各素子3は、超音波の送信又は受信を行う。換言すれば、素子3は、超音波から電気信号への変換又はその逆の変換を行うトランスデューサーである。各素子3は、超音波の送信及び受信の双方に利用することが可能である。ただし、本実施形態の説明では、各素子3が、超音波の送信及び受信のいずれか一方のみに利用される態様を例に取る。以下の説明では、送信用の素子3には3Tの符号を用い、受信用の素子3には3Rの符号を用いることがある。
送信用の素子3Tは、例えば、所定の波形(例えば、スパイク波、矩形波又は正弦波)で電圧が変化する電気信号(駆動信号)が入力される。そして、素子3Tは、その電気信号を、この電気信号の波形を反映した(例えば周波数及び/又は振幅を反映した)超音波に変換し、D3軸方向の正側へ送信する。また、受信用の素子3Rは、例えば、D3軸方向の正側から超音波を受信し、その超音波を、この超音波の波形を反映した電気信号に変換する。ここでいう超音波の送信及び受信についてのD3軸方向の正側は、D3軸方向に平行とは限らない。
送信用の素子3Tと、受信用の素子3Rとは、互いに同一の構成であってもよいし、一部又は全部が異なる構成であってもよい。また、複数の素子3Tは、その全てが互いに同一の構成であってもよいし、一部又は全部が互いに異なる構成であってもよい。同様に、素子3Rは、その全てが互いに同一の構成であってもよいし、一部又は全部が互いに異なる構成であってもよい。構成が互いに異なる態様としては、例えば、平面視における複数の素子3の径が互いに異なる態様が挙げられる。本実施形態の説明では、便宜上、全て(送信用及び受信用の双方を含む)の素子3の構成が基本的に同一である態様を例に取る。
図2は、図1のII−II線における断面図である。
デバイス1は、例えば、基板5と、基板5の上面5aに重なっている機能層7と、基板5の下面5bに重なっている減衰材9とを有している。特に図示しないが、デバイス1は、上記以外の構成要素を有していてもよい。例えば、デバイス1は、上面5a若しくは下面5b又は減衰材9のいずれかの面に実装された電子素子を有していてもよい。
基板5は、上面5aに開口する複数のキャビティ5cを有している。各素子3は、例えば、機能層7のうち概ねキャビティ5cに重なっている部分によって構成されている。素子3は、キャビティ5cを含んで定義されてもよいし、また、デバイス1の構成によっては、素子は、基板5のうちのキャビティ5cの直下の部分を含んで定義されてもよい。本実施形態の説明では、便宜上、上記のように、キャビティ5c上の部分を素子3というものとする。
素子3は、振動を生じることによって超音波の送信又は受信を直接的に担う。基板5は、機能層7(素子3)を支持することに寄与し、また、素子3の共振周波数(固有振動数)に影響を及ぼしている。減衰材9は、例えば、不要な振動の減衰に寄与する。
(基板)
基板5は、既述のように、上面5aと、その背面の下面5bと、複数のキャビティ5cとを有している。基板5は、例えば、概略、平板状であり、上面5a及び下面5bは互いに平行な平面状である。キャビティ5cの内部は、例えば、真空状態とされ、又は適宜な気体が封入されている。キャビティ5cは、例えば、素子3の振動を容易化することに寄与する。また、例えば、素子3は、断面視において、キャビティ5cの両側縁部において両端支持された状態となるから、キャビティ5cは、素子3の共振周波数を規定することに寄与する。例えば、キャビティ5cの径が大きくされるほど、素子3の共振周波数は低くなる。
キャビティ5cの形状及び寸法は適宜に設定されてよい。例えば、キャビティ5cの平面視における形状(例えば上面5aにおける開口形状)は、円形又は多角形とされてよい。本実施形態では、キャビティ5cの開口形状が円形である場合を例に取る。また、図示の例では、キャビティ5cのその深さ方向に平行な断面(D1−D3平面に平行な断面)の形状は矩形である。別の観点では、キャビティ5cのその深さ方向に直交する断面(D1−D2平面に平行な断面)の形状は、深さ方向(D3方向)の位置によらずに一定である。ただし、キャビティ5cのその深さ方向に直交する断面の形状は、深さ方向の位置によって異なっていてもよい。例えば、図2のような断面視において、キャビティ5cの形状は、上部側ほど拡径又は縮径する台形状とされてもよい。キャビティ5cの径は適宜に設定されてよく、一例を挙げると、10μm以上100μm以下である。
基板5の材料は任意である。基板5は、その全体が1つの材料によって構成されていてもよいし、複数の材料が組み合わされて構成されていてもよい。基板5の材料は、例えば、無機絶縁材料又は有機絶縁材料である。より具体的には、例えば、基板5は、シリコン(Si)等の絶縁材料によって一体的に形成されてよい。また、例えば、基板5は、シリコン等の絶縁材料によって概ね全体が一体的に形成されているとともに、上面及び/又は下面にSiO等の他の絶縁材料からなる層を有していてもよい。
(機能層(素子))
素子3は、例えば、キャビティ5c側(−D3側)及びキャビティ5cとは反対側(+D3側)の少なくとも一方への撓み変形を伴う振動を生じる。この振動は、換言すれば、面外振動である。この振動によって、超音波の送信又は受信が行われる。すなわち、素子3は、撓み振動型のものである。
撓み振動型の超音波素子としては、例えば、pMUT等の圧電式の素子、及びcMUT等の容量式の素子を挙げることができる。本実施形態では、pMUTを例に取る。また、撓み振動型の圧電素子としては、例えば、バイモルフ型の素子及びユニモルフ型のものを挙げることができる。本実施形態では、ユニモルフ型の素子を例に取る。
素子3は、例えば、その中央が振動の腹となり、外縁が振動の節となる1次モードの振動に関して、共振周波数が超音波の周波数帯に位置するように構成されている。超音波の周波数帯は、例えば、20kHz以上の周波数帯である。超音波の周波数の上限について、特に規定は存在しないが、例えば、5GHzである。素子3の厚さは適宜に設定されてよく、一例を挙げると、4μm以上40μm以下である。
機能層7は、例えば、複数のキャビティ5c上に位置する複数のメンブレン11と、複数のメンブレン11の上から上面5aを覆っている被覆層13とを有している。1つの素子3は、例えば、1つのキャビティ5cと重なる1つのメンブレン11と、被覆層13のうち1つのメンブレン11に重なる領域とを有している。ただし、メンブレン11のみを素子3として捉えてもよい。メンブレン11は、超音波の送信又は受信を直接に担う部分である。被覆層13は、例えば、メンブレン11の保護に寄与する。
機能層7のうち、複数のメンブレン11を含む層(機能層7のうち被覆層13よりも下方の層)を機能本体層8とする。機能本体層8は、メンブレン11の他、メンブレン11の電気的接続に寄与する配線等を有してよい。機能本体層8の厚さは適宜に設定されてよく、一例を挙げると、2μm以上20μm以下である。
(メンブレン)
メンブレン11は、例えば、基板5から順に積層された、振動部15、下部電極17、圧電体19及び上部電極21を有している。
圧電体19の分極軸方向(単結晶においては電気軸又はX軸と呼ばれることもある。)は、圧電体19の厚み方向とされている。下部電極17及び上部電極21によって圧電体19に分極の向きと同じ向きで電界が印加されると、圧電体19の下部電極17及び上部電極21に挟まれた部分は、平面方向(D1方向及びD2方向)に縮小する。この縮小は、振動部15によって規制される。その結果、メンブレン11は、バイメタルのようにキャビティ5c側へ撓む(変位する)。逆に、分極の向きと逆の向きで電界が印加されると、メンブレン11は、キャビティ5cとは反対側へ撓む。
上記のような素子3の変位によって、素子3の周囲の媒質(例えば流体)においては圧力波が形成される。そして、所定の波形で電圧が変化する電気信号が下部電極17及び上部電極21に入力されることによって、その電気信号の波形(例えば周波数及び/又は振幅)を反映した超音波が生成される。
超音波の送信について述べたが、超音波の受信は、送信時とは逆の原理によって実現される。本実施形態では、既述のように、1つの素子3は、送信のみ、又は受信のみに利用される。本実施形態とは異なり、送信及び受信の双方を行う素子3は、例えば、超音波の送信を間欠的に行い、超音波の送信が行われていない間において超音波の受信を行う。これにより、例えば、素子3は、自らが送信した超音波の反射波を受信する。
(振動部)
振動部15は、振動層16のうちキャビティ5c上の部分である。振動層16は、例えば、平面透視において複数のキャビティ5cを包含する1つの領域の全体に亘って隙間無く広がっている。換言すれば、振動層16は、複数のキャビティ5cと、その間の領域とを覆っている。ただし、振動部15は、図示の例とは異なり、素子3毎に設けられていてもよい。すなわち、キャビティ5c間に振動層16の非配置領域が形成されることにより、複数の振動部15は、互いに分離されていてもよい。振動部15は、例えば、概略、一定の厚さの層状である。振動部15の厚さは適宜に設定されてよい。例えば、振動部15の厚さは、圧電体19の厚さに対して、薄くてもよいし、同等でもよいし、厚くてもよい。
振動部15は、例えば、絶縁材料によって形成されている。絶縁材料は、無機材料でも有機材料でもよく、より具体的には、例えば、シリコン、二酸化シリコン(SiO)又は窒化シリコン(SiN)である。振動部15は、互いに異なる材料からなる複数の層が積層されて構成されていてもよい。例えば、振動部15は、シリコンと、その下面に重なるSiOとによって構成されていてもよい。特に図示しないが、振動部15を設けず、下部電極17又は上部電極21を振動部として機能させることも可能である。
(圧電体)
圧電体19は、例えば、概略、一定の厚さの層状である。圧電体19は、素子3毎(キャビティ5c毎)に設けられている。別の観点では、複数の圧電体19は、互いに分離されている。平面透視において、圧電体19の形状及び広さは、例えば、概略、キャビティ5cと同等とされている。本実施形態では、既述のように、キャビティ5cの開口形状が円形である場合を例に取っており、ひいては、圧電体19の平面形状が円形である場合を例に取る。ただし、圧電体19は、平面透視において、キャビティ5cの開口形状とは全く異なる形状及び/又は広さであっても構わない。圧電体19の厚さは適宜に設定されてよい。一例を挙げると、圧電体19の厚さは、0.5μm以上10μm以下である。
圧電体19は、例えば、上面側ほど縮径するようにテーパ状に形成されている。これにより、例えば、上部電極21に接続される上部配線25(後述)の断線の蓋然性が低減される。圧電体19のテーパ面(側面)は、図2のような横断面において平面状であってもよいし、曲面状であってもよい。また、テーパ面の傾斜角度も任意である。図示の例とは異なり、圧電体19は、上面と下面とが概ね重なる形状(側面が鉛直壁である形状)であっても構わない。
図示の例とは異なり、平面透視において複数のキャビティ5cを包含する1つの領域の全体に隙間無く広がる圧電体層が設けられてもよい。この場合、1つの素子3が有する圧電体19は、圧電体層のうちのキャビティ5c上に位置する一部によって構成される。
圧電体19は、単結晶によって構成されていてもよいし、多結晶によって構成されていてもよい。圧電体19の材料は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸バリウム(BTO:BaTiO)、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNN:(K,Na)NbO)、チタン酸ビスマスナトリウム(NBT:Na0.5Bi0.5TiO)及びチタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti1−x)O)である。上記の例示からも理解されるように、圧電体は、強誘電体であってもなくてもよいし、焦電体であってもなくてもよい。また、結晶構造は、ペロブスカイト型又はウルツ鉱型等の適宜なものであってよい。
(電極)
下部電極17は、例えば、概略、一定の厚さの層状である。下部電極17は、素子3毎(キャビティ5c毎)に設けられている。別の観点では、複数の下部電極17は、互いに分離されている。平面透視において、下部電極17の形状及び広さは、例えば、概略、キャビティ5c及び/又は圧電体19の下面と同等とされている。本実施形態では、既述のように、キャビティ5cの開口形状が円形である場合で、さらに、下部電極17の平面形状が円形である場合を例に取る。ただし、下部電極17は、平面透視において、キャビティ5cの開口形状とは全く異なる形状及び/又は広さであっても構わない。
図示の例とは異なり、平面透視において複数のキャビティ5cを包含する1つの領域の全体に隙間無く広がる下部電極層が設けられてもよい。この場合、1つの素子3が有する下部電極17は、下部電極層のうちのキャビティ5c上に位置する一部によって構成される。
上記の下部電極17に係る説明は、上部電極21に援用されてよい。この際、「下部電極17」は「上部電極21」に、「圧電体19の下面」は「圧電体19の上面」に、「下部電極層」は「上部電極層」に、それぞれ置き換える。下部電極17及び上部電極21は、その形状及び/又は大きさが互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。図示の例では、圧電体19がテーパ状とされている。そして、下部電極17が圧電体19の下面と概ね同等の形状及び大きさとされており、上部電極21が圧電体19の上面と概ね同等の形状及び大きさとされている。その結果、上部電極21は、下部電極17よりも一回り小さい。
各電極の厚さは適宜に設定されてよい。通常、各電極の厚さは、圧電体19及び振動層16の厚さに比較して薄い。例えば、各電極の厚さは、圧電体19の厚さの1/10以下である。下部電極17の厚さと上部電極21の厚さとは互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
各電極の材料は、例えば、適宜な金属及び/又は酸化物導電薄膜とされてよい。金属は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)若しくはクロム(Cr)又はこれらを含む合金である。また、酸化物導電薄膜は、例えば、ルテニウム酸ストロンチウム(SRO)又はニッケル酸ランタン(LNO)等のペロブスカイト構造の導電材料である。各電極は、上記で示した互いに異なる材料からなる複数の層が積層されて構成されていてもよい。下部電極17の材料と上部電極21の材料とは互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
送信用の複数の素子3又は受信用の複数の素子3において、複数の下部電極17は、互いに接続されていてもよいし、互いに非接続とされていてもよい。同様に、送信用の複数の素子3又は受信用の複数の素子3において、複数の上部電極21は、互いに接続されていてもよいし、互いに非接続とされていてもよい。本実施形態の説明では、主として、複数の下部電極17が互いに接続されており、かつ複数の上部電極21が互いに接続されている態様を例に取る。
(機能本体層が含む他の構成)
複数のメンブレン11を含む機能本体層8は、既述のように、メンブレン11の他、メンブレン11の電気的接続に係る配線を含んでよい。例えば、上記のように、本実施形態では、上部電極21同士が接続される態様を例に取っており、機能本体層8は、D1方向に並んでいる複数の上部電極21を互いに接続する上部配線25(後述する図4も参照)を有している。他の配線については、後に図3及び図4を参照して説明する。種々の配線の材料については、例えば、上記の電極の材料の説明が援用されてよい。
上部配線25は、例えば、メンブレン11の上から基板5に重なる導体層によって構成されている。上部配線25は、D1方向において互いに隣り合う上部電極21の一方から他方へ延びており、両者を接続している。このような上部配線25の具体的な形状及び寸法は適宜に設定されてよい。
例えば、上部配線25は、概略、一定の幅でD1方向に延びる長尺状である。その幅は、例えば、上部電極21のD2方向の径よりも小さい。上部配線25の一端は、互いに隣り合う上部電極21の一方の上に重なり、上部配線25の他端は、互いに隣り合う上部電極21の他方の上に重なっている。同一の上部電極21上に位置している2つの上部配線25の端部は、互いに間隔を空けてD1方向において対向している。この間隔は、キャビティ5cの中央上に位置している。
また、例えば、上部配線25の厚さは、下部電極17、上部電極21及び/又は後述する下部配線23よりも厚くされている。これにより、例えば、上部配線25のうち圧電体19の厚みによって構成された段差を超える部分において断線が生じる蓋然性が低減される。上部配線25の厚さは、例えば、下部電極17、上部電極21及び/又は下部配線23の厚さに対して、1.5倍以上又は2倍以上とされてよく、また、5倍以下又は4倍以下とされてよい。上記の下限と上限とは適宜に組み合わされてよい。また、上部配線25の厚さは、例えば、圧電体19の厚さに対して、1/10以上又は1/6以上とされてよく、1/3以下又は1/4以下とされてよい。上記の下限と上限とは適宜に組み合わされてよい。
下部電極17及び/又は後述する下部配線23(図3)に対して上から重なり、かつ上部配線25の下に位置し、前者と後者との短絡の蓋然性を低減する絶縁膜27が設けられてもよい。絶縁膜27の材料、形状及び寸法等は任意である。例えば、絶縁膜27は、上部配線25よりも薄く形成されており、また、少なくとも圧電体19の上部を露出させている。絶縁膜27の材料は、無機材料であってもよいし、有機材料であってもよい。図示の例とは異なり、絶縁膜27を設けず、上部配線25を圧電体19のみによって下部電極17及び/又は下部配線23と絶縁してもよい。
(被覆層)
被覆層13は、例えば、デバイス1の上面を構成している。従って、デバイス1の周囲の流体は、被覆層13の上面に接する。ただし、被覆層13は、デバイス1の上面を構成していなくてもよい。例えば、不図示の層が被覆層13上に重ねられていてもよい。
被覆層13は、例えば、平面透視において複数の素子3を包含する1つの領域の全体に隙間無く広がっている。被覆層13は、概略、一定の厚さで広がっている。従って、被覆層13の上面は、図1及び図2に示すように、機能本体層8の上面の凹凸を反映している。すなわち、被覆層13は、いわゆるコンフォーマル(conformal、共形等と和訳される。)な層である。ただし、被覆層13の上面の凹凸は、機能本体層8の上面の凹凸に比較して滑らかになっている。また、図示の例とは異なり、機能本体層8の上面の凹凸の有無に関わらず、被覆層13の上面は、平面状とされても構わない。被覆層13の厚さは適宜に設定されてよい。
より具体的には、本実施形態では、複数の圧電体19が互いに分離して設けられている(複数のキャビティ5cに亘って隙間無く広がる圧電体層が設けられているのではない)。これにより、機能本体層8の上面は、キャビティ5c上に凸部を有している。ひいては、被覆層13の上面は、キャビティ5c上に凸部13aを有している。凸部13aの形状は、圧電体19の形状を反映しており、図示の例では、概略、円錐台である。また、本実施形態では、比較的厚い上部配線25が設けられていることによっても、機能本体層8の上面に凸部が生じている。その結果、被覆層13の表面には、D1方向に延びる凸部13bが形成されている。
被覆層13の材料は、例えば、絶縁性を有する材料とされてよい。例えば、被覆層13の材料の体積抵抗率は、1014Ωm以上である。絶縁材料は、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよい。被覆層13は、一の材料から構成されていてもよいし、互いに異なる材料の層が積層されて構成されていてもよい。
(減衰材)
減衰材9は、音響に係る減衰定数(m−1・Hz−1)が基板5よりも大きい材料によって構成されている。これにより、例えば、素子3で生じた振動が外部へ漏れたり、逆に、外部からの振動が素子3へ伝わったりする蓋然性が低減される。減衰材9が絶縁性材料によって構成されている場合においては、減衰材9は、回路基板の絶縁体のように機能可能である。従って、例えば、減衰材9の+D3側若しくは−D3側の表面に電子部品が実装されたり、減衰材9の内部に配線又は電子素子が設けられたりしてもよい。減衰材9の材料は、適宜なものとされてよく、例えば、樹脂又はセラミックとされてよい。減衰材9は設けられなくてもよい。
(素子の配置態様)
図3〜図5は、デバイス1における複数の素子3の配置態様及び接続関係を説明するための平面図である。具体的には、図3は、複数の下部電極17と、複数の下部電極17に接続される導体(下部配線23等)を示す平面図である。図4は、複数の上部電極21と、複数の上部電極21に接続される導体(上部配線25等)を示す平面図である。図5は、デバイス1の上面を示す平面図である。
これらの図では、平面視において、減衰材9は、基板5と概ね同等の大きさを有していることなどによって基板5に収まっている、又は減衰材9は図示が省略されている。また、図3及び図4では、基板5と、図示された導体との間の層の図示は省略されている。
図5では、送信用の複数の素子3に電気信号(送信信号、駆動信号)を出力する送信回路部41、及び受信用の複数の素子3から電気信号(受信信号)が入力される受信回路部43も模式的に示されている。デバイス1は、送信回路部41及び受信回路部43を含まずに定義されてもよいし、これらを含んで定義されてもよい。
送信用の複数の素子3T及び受信用の複数の素子3Rの数及びその位置関係は適宜に設定されてよい。本実施形態では、複数の素子3Tの一部又は全部(図示の例では全部)は、一纏りに配置されて送信部31を構成している。同様に、複数の素子3Rの一部又は全部(図示の例では全部)は、一纏りに配置されて受信部33を構成している。
以下において、送信部31及び受信部33の平面視における位置及び大きさ等について言及するとき、送信部31及び受信部33として捉えられる領域は、合理的に判断されてよい。例えば、複数の素子3Tの全体(ただし一纏りにされていないものを除く)を包含する多角形であって、面積が最小のものを考え、この多角形が送信部31の平面視における領域として捉えられてよい。多角形の形状は、複数の素子3Tのうちの相対的に外側に位置する素子3Tの位置に応じて合理的に設定されてよいが、凸多角形又は矩形に限定されてもよい。図示の例では、複数の素子3Tを含む矩形領域を送信部31として捉えることができる。送信部31について述べたが、受信部33についても同様である。
送信部31において、複数の素子3Tの数及び配置態様は適宜に設定されてよい。図示の例では、複数の素子3Tは、D1方向に2以上配列されるとともにD2方向に2以上配列されている。すなわち、複数の素子3Tは、縦横に配列されている。換言すれば、複数の素子3Tは、D1方向及びD2方向に分布している。図示の例では、7×7の素子3Tが図示されている。これは一例に過ぎず、素子3の数は、これよりも少なくてもよいし、多くてもよいし、縦と横とで数が異なっていてもよい。また、図示の例では、複数の素子3TのD1方向におけるピッチは一定である。また、複数の素子3TのD2方向におけるピッチは一定である。前者のピッチと後者のピッチとは同じである。
上記では、送信部31における複数の素子3Tの数及び配置態様について述べたが、受信部33における複数の素子3Rの数及び配置態様についても上記と同様である。素子3の数及び配置態様は、送信部31と受信部33とで互いに同一であってもよいし(図示の例)、互いに異なっていてもよい。後述する変形例から理解されるように、素子3の配置態様は、図示の例以外に種々可能である。
素子3のピッチは、例えば、平面視において、隣り合う素子3の中心(例えば図心)同士の距離とされてよい。平面視において素子3の中心を特定する際に、素子3として捉えられる領域は、合理的に判断されてよい。例えば、キャビティ5cと重なる領域が素子3の領域として捉えられてよい。平面視におけるキャビティ5cの形状(広さ)は、その深さ方向に直交する断面の形状が深さ方向の位置によって異なる態様においては、キャビティ5cの、基板5の上面5aにおける開口形状が参照されてよい。この際、特異的な部分(例えば、平面視においてキャビティ5cから外側へ突出する細長い凸部)は無視されてよい。
図示の例では、素子3Tと素子3Rとは同様の構成であり、また、素子3の数及び配置態様は、送信部31と受信部33とで互いに同一である。従って、送信部31の形状及び大きさと、受信部33の形状及び大きさとは互いに同一である。例えば、送信部31のD2方向における全長と、受信部33のD2方向における全長とは互いに同一である。
(送信部及び受信部の位置関係)
送信部31と受信部33との位置関係は適宜に設定されてよい。図示の例では、送信部31及び受信部33は、第2方向において並んでいる。図示の例では、第2方向は、既述のように、複数の素子3(3T及び/又は3R)が並んでいる(別の観点では分布している)方向である。また、第2方向に直交する第1方向も、複数の素子3が並んでいる(別の観点では分布している)方向である。また、図示の例では、第1方向及び第2方向は、矩形状の基板5の短辺又は長辺に平行な方向である。図示の例とは異なり、送信部31及び受信部33の並び方向は、複数の素子3の配列方向に対して、及び/又は基板5の辺に対して、傾斜する方向であっても構わない。
送信部31及び受信部33の並び方向は、合理的に判断されてよい。例えば、図示の例のように送信部31及び受信部33が概略矩形状であり、互いの1辺同士が平行に延びて互いに対向している場合においては、両者のD1方向の大きさが異なっていても、D2方向が並び方向として捉えられてよい。また、例えば、送信部31の図心と、受信部33の図心とを結ぶ仮想直線が伸びる方向が並び方向として捉えられてよい。
送信部31と受信部33との距離d1は、D2方向(すなわち、送信部31と受信部33との並び方向)において互いに隣り合う素子3T同士(及び/又は素子3R同士)の距離と異なっていてもよいし(図示の例)、同じであってもよい。図示の例では、距離d1は、素子3T同士(及び/又は素子3R同士)の距離よりも広くされている。例えば、距離d1は、D2方向において隣り合う素子3T同士(及び/又は素子3R同士)の距離(複数の素子3内で一定でない場合は例えば最小値)の1.1倍以上又は1.4倍以上とされてよい。また、後述するように、送信部31と受信部33との間には、構造体35が配置される。距離d1は、この構造体35を配置可能に構造体35の幅(D2方向の長さ)よりも大きくなるように設定されてよい。
(素子の接続関係)
送信部31又は受信部33においては、既述のように、複数の下部電極17同士は互いに接続されていてもよいし、互いに接続されていなくてもよい。図3では、前者が例示されている。また、図示の例では、送信部31及び受信部33のそれぞれにおいて、下部電極17は、基準電位が付与される電極とされている。そして、送信部31の下部電極17と受信部33の下部電極17とは互いに接続されている。
具体的には、図示の例では、送信部31及び受信部33のそれぞれにおいて、D2方向に互いに隣り合う下部電極17同士は、D2方向に延びる下部配線23によって互いに直列に接続されている。さらに、送信部31の受信部33側の端部に位置する下部電極17と、受信部33の送信部31側の端部に位置する下部電極17とは、両者の間でD2方向に延びる下部配線23によって互いに接続されている。ひいては、送信部31及び受信部33に亘ってD2方向に延びる複数の直列のラインが構成されている。この複数の直列のラインは、例えば、送信部31の外側かつ受信部33の外側(図示の例では受信部33の送信部31とは反対側、−D2側)にてD1方向に延びる下部合流配線24によって互いに並列に接続されている。
図示の例とは異なり、下部合流配線24は、図示の位置に代えて、又は加えて、送信部31の受信部33とは反対側(+D2側)、及び/又は送信部31と受信部33との間に設けられてもよい。送信部31の下部電極17と、受信部33の下部電極17とは互いに接続されていなくてもよい。例えば、送信部31と受信部33とで別個に下部合流配線24が設けられてもよい。下部配線23及び下部合流配線24が延びる方向は、図示以外の方向とされてもよい。例えば、下部配線23は、D1方向に延びていてもよい。下部合流配線24は、D1方向に延びる下部配線23を接続するようにD2方向に延びていてもよい。また、例えば、D1方向に延びる下部配線23とD2方向に延びる下部配線23とが設けられ、下部合流配線24が省略されてもよい。
下部配線23及び下部合流配線24は、例えば、振動層16上に位置する導体層によって構成されている。下部電極17、下部配線23及び下部合流配線24は、互いに同一の材料及び厚さで構成されていてもよいし(換言すれば同一の導体層によって構成されていてもよいし)、これらの一部同士で材料及び/又は厚さが異なっていてもよい。これらの具体的な材料については、下部電極17及び上部電極21の説明で例示したとおりである。
送信部31又は受信部33においては、既述のように、複数の上部電極21同士は互いに接続されていてもよいし、互いに接続されていなくてもよい。図4では、前者が例示されている。また、図示の例では、送信部31及び受信部33のそれぞれにおいて、上部電極21は、送信する超音波又は受信した超音波に応じた電位が付与される電極とされている。従って、下部電極17とは異なり、送信部31の上部電極21と受信部33の上部電極21とは互いに接続されていない。
具体的には、図示の例では、送信部31及び受信部33のそれぞれにおいて、D1方向に互いに隣り合う上部電極21同士は、D1方向に延びる上部配線25によって互いに直列に接続されている。これにより、D1方向に延びる複数の直列のラインが構成されている。送信部31における複数の直列のラインは、送信部31の外側(図示の例では+D1側及び−D1側)にてD2方向に延びる2本の上部合流配線26によって互いに並列に接続されている。2本の上部合流配線26は、送信部31の外側(図示の例では受信部33とは反対側、+D2側)にてD1方向に延びる接続配線28Tによって互いに接続されている。同様に、受信部33における複数の直列のラインは、受信部33の外側(図示の例では+D1側及び−D1側)にてD2方向に延びる2本の上部合流配線26によって互いに並列に接続されている。2本の上部合流配線26は、受信部33の外側(図示の例では送信部31側、+D2側)にてD1方向に延びる接続配線28Rによって互いに接続されている。以下では、接続配線28T及び28Rを区別せずに、接続配線28ということがある。
図示の例とは異なり、接続配線28Tは、図示の位置に代えて、又は加えて、送信部31と受信部33との間に設けられていてもよい。また、接続配線28Rは、図示の位置に代えて、又は加えて、受信部33の送信部31とは反対側(−D2側)に設けられていてもよい。送信部31と受信部33との間には、接続配線28T及び28Rの一方が選択的に設けられていてもよいし、両者が互いにD2方向において離れて設けられていてもよい。送信部31及び受信部33のそれぞれにおいて、上部合流配線26は、1本のみ設けられていてもよい。送信部31及び受信部33のそれぞれにおいて、上部合流配線26が1本であるか、2本であるかに関わらず、接続配線28は省略されてもよい。上部配線25、上部合流配線26及び接続配線28が延びる方向は、図示以外の方向とされてもよい。例えば、上部配線25は、D2方向に延びていてもよい。上部合流配線26は、D2方向に延びる上部配線25を接続するようにD1方向に延びていてもよい。接続配線28は、D1方向に延びる上部合流配線26を接続するようにD2方向に延びていてもよい。
上部配線25は、例えば、既述のように、圧電体19及び絶縁膜27に重なる導体層によって構成されている。上部合流配線26及び接続配線28は、例えば、振動層16又は絶縁膜27に重なる導体層によって構成されてよい。本実施形態では、上部合流配線26及び接続配線28が絶縁膜27に重なっている態様を例に取る。図示の例とは異なり、例えば、圧電体19を含む圧電体層が複数のキャビティ5cに重なる領域を含んで隙間無く広がっている態様においては、絶縁膜27が設けられず、上部配線25、上部合流配線26及び接続配線28が圧電体層に重ねられてもよい。
上部電極21、上部配線25、上部合流配線26及び接続配線28は、互いに同一の材料及び厚さで構成されていてもよいし(換言すれば同一の導体層によって構成されていてもよいし)、これらの一部同士で材料及び/又は厚さが異なっていてもよい。本実施形態では、図2を参照して説明したように、上部配線25は、上部電極21に重なる導体層(上部電極21とは異なる導体層)とされており、また、上部電極21よりも厚くされている。上部合流配線26及び接続配線28は、例えば、このような上部電極21よりも厚い上部配線25と同一の厚さ及び同一の材料で構成されてよい。上部配線25の具体的な厚さ及び材料については、既述のとおりである。
図示の例では、下部配線23及び上部配線25とは、互いに交差する方向に延びており、互いに重なっていない。同様に、下部合流配線24及び上部合流配線26は、位置及び延びる方向が互いに異なっており、互いに重なっていない。下部合流配線24及び接続配線28は、同一方向に延びているが、位置が互いに異なっており、互いに重なっていない。図示の例とは異なり、例えば、下部配線23及び上部配線25は、絶縁膜27(あるいは圧電体層)を介して重なっていてもよい。また、例えば、下部合流配線24は、同一方向に延びる上部合流配線26又は接続配線28と絶縁膜27(あるいは圧電体層)を介して互いに重なっていてもよい。
基準電位が付与される下部合流配線24と、送信部31に接続されている接続配線28Tとは、送信回路部41に接続される。これにより、送信用の素子3Tは、下部電極17及び上部電極21が送信回路部41に接続される。また、下部合流配線24と、受信部33に接続されている接続配線28Rとは、受信回路部43に接続される。これにより、受信用の素子3Rは、下部電極17及び上部電極21が受信回路部43に接続される。
上記の接続は適宜な構成によって実現されてよい。図示の例では、以下のとおりである。基板5の上面5a上には、パッド29G、29T及び29Rが設けられている。これらのパッドは、図5に示すように、被覆層13に覆われずに露出している。パッド29Gは、下部合流配線24から延びる配線(符号省略)に接続されている。パッド29Tは、接続配線28Tから延びる配線(符号省略)に接続されている。パッド29Rは、接続配線28Rから延びる配線(符号省略)に接続されている。そして、パッド29G、29T及び29Rと、不図示のIC(Integrated Circuit)とが不図示のボンディングワイヤを介して接続される。このICは、送信回路部41及び受信回路部43を含む。これにより、パッド29Gと29Tとに送信回路部41が接続され、パッド29Gと29Rとに受信回路部43が接続される。
図示の例とは異なり、例えば、基板5又は減衰材9に、送信回路部41及び受信回路部43を含むICが実装される複数のパッドが設けられてもよい。そして、下部合流配線24、接続配線28T及び接続配線28Rは、基板5等に設けられた配線を介して上記の複数のパッドに対して接続されてもよい。
図示の例では、下部電極17は、基準電位が付与される電極とされ、上部電極21は、超音波に応じた電位が付与される電極とされた。図示の例とは逆に、下部電極17が、超音波に応じた電位が付与される電極とされ、上部電極21が、基準電位が付与される電極とされても構わない。この場合は、送信部31の上部電極21と受信部33の上部電極21とが接続されるなど、下部電極17の接続関係の説明と、上部電極21の接続関係の説明とは、適宜に置換されてよい。
(送信回路部及び受信回路部)
送信回路部41は、便宜的に電源を示す記号により示されているように、例えば、商業電源等からの電力を適宜な態様の電力に変換して出力する電源回路を含んで構成されてよい。例えば、電源回路は、適宜な波形で電圧が変化する駆動信号を生成して出力する。送信回路部41は、下部合流配線24及び接続配線28Tを介して、発生させたい超音波の波形に対応する波形の電気信号を送信用の素子3Tの下部電極17及び上部電極21に印加する。
受信回路部43は、便宜的に増幅器を示す記号により示されているように、例えば、入力された電気信号を増幅して出力するアンプを含んで構成されてよい。アンプは、例えば、電圧アンプであってもよいし、チャージアンプであってもよい。超音波が受信用の素子3Rに入力されると、素子3Rは振動して電気信号を生成する。この信号は、下部合流配線24及び接続配線28Rを介して受信回路部43に入力される。
(構造体)
図6は図3のVI-VI線における断面図である。図4〜図6に示すように、送信部31と受信部33との間には構造体35が設けられている。送信部31が+D3側へ送信される超音波を生成したとき、デバイス1内を送信部31から受信部33へ向かって伝搬する不要な波も生じる。この不要な波も超音波である。構造体35は、例えば、この不要な波が受信部33に到達することを抑制することに寄与する。
上記の不要な波の媒質は、各種の層の材料及び厚さ等にもよるが、例えば、図示の例では、主として、構造体35よりも下方に位置する層であり、より詳細には、振動層16及び基板5である。もちろん、絶縁膜27、下部配線23及び被覆層13等も媒質となり得る。以下において、不要な波の波長等に言及するとき、例えば、不要な波のエネルギーに占める大きさが最も大きい1層又は2層における波長について言及していると捉えられてよい。例えば、図示の例では、振動層16及び/又は基板5の波長について言及していると捉えられてよい。振動層16及び基板5は、例えば、既述のように、いずれもSiによって構成されてよい。以下の説明では、便宜上、不要な波の媒質として、基板5及び/又は振動層16のみに触れることがある。また、不要な波の媒質の材料として、Siを挙げることがある。
構造体35の形状、寸法及び材料は適宜に設定されてよい。また、構造体35は、適宜な部材に兼用されてよい。本実施形態では、構造体35は、接続配線28Rに兼用されている。
構造体35は、D1方向に延びている。より詳細には、図示の例では、構造体35は、D1方向に沿って直線状に延びており、さらには、D1方向に平行に延びている。D1方向は、本実施形態では、既述のように、送信部31及び受信部33の並び方向(D2方向)に直交する方向である。
構造体35がD1方向に延びているという場合、構造体35は、D1方向に対して平行である必要は無いし、直線状である必要もない。合理的に判断して、D1方向に沿って延びていると判断できればよい。例えば、構造体35の中心線の6割以上又は8割以上がD1方向に対して15°以内又は5°以内の傾斜で延びていれば、局部的にD1方向に対して交差する部分が存在しても、構造体35がD1方向に延びていると捉えられてよい。また、例えば、上記とは逆に、送信部31及び受信部33の間に位置する部材のうち、D1方向に対して15°以内又は5°以内の傾斜で延びている第1部分(すなわち部材の一部)が構造体35として捉えられたり、前記第1部材を全体の6割以上又は8割以上の部分として含む第2部分が、構造体35として捉えられたりしてもよい。
構造体35は、例えば、D1方向において、D1方向の位置が互いに異なる2つ以上の素子3Tに亘る長さを有しているとともに、D1方向の位置が互いに異なる2つ以上の素子3Rに亘る長さを有している。すなわち、D2方向に見たときに、D1方向における配置範囲に関して、構造体35は、D1方向の位置が互いに異なる2つ以上の素子3Tの全体に重複するとともに、D1方向の位置が互いに異なる2つ以上の素子3Rの全体に重複する。上記では、2つ以上としたが、3つ以上又は5つ以上とされてもよい。
また、図示の例では、構造体35は、送信部31のD1方向における全長に亘る長さを有しており、かつ受信部33のD1方向における全長に亘る長さを有している。すなわち、D2方向に見たときに、D1方向における配置範囲に関して、構造体35は、送信部31が含む全ての素子3Tに重複するとともに、受信部33が含む全ての素子3Rに重複する。
上記のように、構造体35が送信部31及び/又は受信部33の全長に亘る場合において、D2方向に見て、構造体35の+D1側の端部は、送信部31の+D1側の端部及び/又は受信部33の+D1側の端部に位置していてもよいし、送信部31及び受信部33よりも+D1側へ延び出ていてもよい。ただし、このような場合において、送信部31及び受信部33よりも+D1側へ延び出る部分は、構造体35とは別個の部位として捉えられても構わない。+D1側について述べたが、−D1側についても同様である。
上記のように構造体35が送信部31及び受信部33よりも+D1側へ延び出る場合において、その延び出た部分は、中途で曲がることなどによって、一部又は全部がD1方向に延びていなくてもよい。ただし、そのようにD1方向に延びていない部分は、既述のように、構造体35とは別個の部位として扱われてもよい。+D1側について述べたが、−D1側についても同様である。
本開示の説明では、便宜上、構造体35が送信部31及び受信部33よりも+D1側へ延び出る場合において、D1方向に延びている状態が維持されている部分は、構造体35の一部として捉え、D1方向に延びていない部分は、構造体35の一部ではないものとして表現することがある。例えば、図示の例では、接続配線28Rの全体は構造体35として捉える。一方で、受信部33の上部合流配線26は、接続配線28Rと同一の材料及び同一の厚さで構成されていても、構造体35の一部としては捉えない。+D1側について述べたが、−D1側についても同様である。
送信部31及び受信部33から+D1側又は−D1側に延び出る部分(構造体35の一部又は構造体35とは別個の部分)は、送信部31又は受信部33を囲むように延びていてもよい。図示の例では、構造体35としての接続配線28Rの両端から延びる2本の上部合流配線26は、受信部33を囲むように延びていると言える。特に図示しないが、構造体35の+D1側又は−D1側から延び出る部分は、分岐することによって、送信部31を囲むように延びるとともに、受信部33を囲むように延びてもよい。
構造体35の横断面(D2−D3断面)の形状は、適宜な形状とされてよい。図示の例では、構造体35の横断面の形状は、概略、幅(D2方向の長さ)が厚さ(D3方向の長さ)よりも大きい矩形状である。この他、構造体35の横断面の形状としては、例えば、台形状又はドーム状を挙げることができる。
構造体35の幅(D2方向の長さ)は、D1方向の位置によらずに一定であってもよいし(図示の例)、D1方向の位置によって異なっていてもよい。後者の例としては、例えば、D1方向に隣り合う素子3の間となる位置(D1方向における素子3の非配置位置)にて幅が広くされ、素子3との重複及び短絡を避けつつ構造体35の体積を大きくする態様が挙げられる。また、例えば、構造体35付近の振動モードの縮退が解かれやすいように構造体35の幅を変化させる態様が挙げられる。
構造体35の幅(D2方向の長さ)の具体的な大きさも適宜に設定されてよい。例えば、上記のように、送信部31が超音波を生成したときには、送信部31から受信部33へ向かってデバイス1内を伝搬する不要な波が生じる。構造体35の幅は、このデバイス1内の不要な波の波長に対して、1/20以上、1/10以上又は1/5以上とされてよい。デバイス1内を伝搬する波の波長の一例を挙げると、素子3Tが60MHzの超音波を生成し(60MHzで振動し)、主たる媒質がSiである場合、デバイス1内を伝搬する波の波長は約120μmである。
上記のように構造体35の幅を波長と比較するとき、構造体35の幅がD1方向の位置によって変化する態様においては、例えば、構造体35の平均の幅が用いられてよい。平均の幅の算出においては、送信部31及び受信部33よりも+D3側に延び出る部分、及び送信部31及び受信部33よりも−D3側に延び出る部分は無視されてよい。また、構造体35の横断面が矩形状でなく、D3方向の位置によって幅が一定でない場合においては、例えば、下面の幅が比較されてよい。構造体35のうち、デバイス1(例えば振動層16及び/又は基板5)内を伝搬する波に対する影響が大きい部位は下面であることからである。
デバイス1内を伝搬する波の波長は、適宜に特定されてよい。例えば、波長は、波の周波数と波の伝搬速度とによって決まるから、周波数及び伝搬速度から計算されてよい。デバイス1内を伝搬する波の周波数は、基本的に、+D3側に送信される超音波の周波数と同じである。この超音波の周波数は、デバイス1が実際に使用されている状態で測定されてもよいし、デバイス1の仕様書等から特定されてもよい。また、素子3の共振周波数が超音波の周波数として用いられてもよい。伝搬速度は、媒質の種類(材料)によって決まるから、公知の資料又は実験によって特定されてよい。
構造体35の厚みは任意である。例えば、構造体35の厚さは、下部電極17、上部電極21若しくは他の導体又は絶縁膜27に比較して、薄くてもよいし、同程度でもよいし、厚くてもよい。本実施形態では、構造体35は、接続配線28Rによって構成されている。既述のように、接続配線28R(及び上部配線25)は、下部電極17、上部電極21、下部配線23及び絶縁膜27よりも厚い。すなわち、本実施形態では、構造体35は、下部電極17、上部電極21、下部配線23及び絶縁膜27よりも厚い。上部配線25の厚さの、下部配線23及び圧電体19等の厚さに比較したときの既述の数値範囲は、構造体35が接続配線28Rによって構成されているか否かに関わらず、構造体35の厚さに援用されてよい。
構造体35の厚さの具体的な値は、素子3の大きさ(別の観点ではデバイス1が適用される具体的な装置)及び構造体35の材料等に応じて適宜に設定されてよい。一例を挙げると、構造体35の厚さは、50nm以上5μmである。このとき、下部電極17、上部電極21及び下部配線23の厚さは、例えば、50nm以上5μm以下(構造体35の厚さよりも薄いことを条件としてもよいし、条件としなくてもよい。)とされてよい。
構造体35の材料は、導電性材料であってもよいし、絶縁性材料であってもよい。また、構造体35は、互いに異なる材料からなる2つ以上の層が積層されて構成されるなど、2以上の材料によって構成されていてもよい。図示の例では、構造体35は、接続配線28Rを兼用しており、導電性材料によって構成されている。導電性材料の具体例については、既に述べたとおりである。構造体35を構成する絶縁性材料としては、例えば、セラミック又は樹脂を挙げることができる。セラミックは。圧電体19の材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
構造体35の材料の密度も任意である。例えば、構造体35の材料の密度は、基板5及び/又は振動層16の材料の密度よりも高くてもよいし、同等でもよいし、低くてもよい。基板5及び/又は振動層16が互いに異なる材料の積層体である場合においては、基板5及び/又は振動層16の材料の密度としては、送信部31から受信部33への波の伝搬に支配的な層の材料の密度が参照されてよい。
本実施形態では、構造体35は、接続配線28Rによって構成されている。接続配線28R及び基板5の材料は、既に例示したとおりであるが、以下に各材料の密度とともに再掲する。括弧内の数値が密度であり、単位はg/cmである。接続配線28R(全体又はいずれかの層)の材料は、例えば、Au(約19.3)、Pt(約21.4)、Al(約2.7)、Cu(約9.0)、Ti(約4.5)若しくはCr(約7.2)、又はこれらを主成分として含む合金である。基板5(全体又はいずれかの層)及び/又は振動層16(全体又はいずれかの層)の材料は、例えば、Si(約2.3)若しくはSiO(約2.2)である。従って、構造体35の密度は、例えば、基板5の密度よりも大きくされてよく、また、基板5の密度の2倍以上とされてよい。この2倍以上という数値範囲は、構造体35が配線に兼用されていない場合に援用されてよい。
構造体35が基板5上に位置するという場合、構造体35は、基板5の上面5aに対して間接的に重なっていてもよいし(図示の例)、直接的に重なっていてもよい。いずれの場合においても、例えば、構造体35は、構造体35に直接的に重なる層及び/又は間接的に重なる層を伝搬する不要な波が受信部33に到達することを抑制できる。
本実施形態では、構造体35は、接続配線28Rによって構成されている。従って、構造体35は、直接的には、絶縁膜27の上面に重なっている。ただし、図示の例とは異なり、構造体35が直接的に重なる面は、基板5の上面5aであってもよいし、振動層16の上面であってもよいし、被覆層13の上面であってもよい。構造体35の少なくとも下面が絶縁材料からなる態様においては、構造体35が直接的に重なる面は、下部配線23を含む導体層の上面であってもよいし、上部配線25を含む導体層の上面であってもよい。圧電体層が、キャビティ5c上だけでなく、キャビティ5c間にも広がっている態様においては、構造体35が直接的に重なる面は、圧電体層の上面であってもよい。
図示の例では、構造体35は、被覆層13によって覆われている。ただし、上記の説明からも理解されるように、構造体35に重なる層は他の層とされてもよく、また、構造体35は、他の層に覆われていなくてもよい。
<応用例>
図7は、超音波デバイスの応用例としての超音波診断装置101の構成を模式的に示すブロック図である。
超音波診断装置101は、例えば、IVUS用のものとされている。超音波診断装置101は、例えば、患者の血管内に挿入されるカテーテル103と、カテーテル103に接続されている装置本体107とを備えている。
カテーテル103は、例えば、概略チューブ状のカテーテル本体103aと、カテーテル本体103a内に収容されているデバイス1とを有している。デバイス1は、例えば、カテーテル本体103aを介してカテーテル本体103aの径方向外側へ超音波を送信し、その反射波を受信する。
装置本体107は、例えば、カテーテル本体103a内の不図示の配線を介してデバイス1と接続されている送受信回路部109を有している。送受信回路部109は、例えば、図5に示した送信回路部41及び受信回路部43の少なくとも一部を含んでいてもよいし、送信回路部41に送信信号を出力するとともに受信回路部43から受信信号が入力されるものであってもよい。カテーテル103における電気的構成と送受信回路部109との間の役割分担は適宜に設定されてよい。
装置本体107は、例えば、ユーザ(例えば医師又は技師)の操作を受け付ける入力部111と、入力部111からの信号に基づいて送受信回路部109を制御する制御部113と、を有している。また、装置本体107は、送受信回路部109からの信号及び制御部113からの信号に基づいて画像処理を行う画像処理部115と、画像処理部115からの信号に基づいて画像を表示する表示部117(表示装置)とを備えている。表示部117には、例えば、超音波の送受信によって得られた患者の断層画像(ここでは血管の断面画像)が表示される。
特に図示しないが、カテーテル103は、カテーテル本体103aを屈曲運動させたり、カテーテル本体103a内のデバイス1の向きを変えたりする機構を有していてもよい。また、装置本体107は、そのような機構に対応した制御部を有していてよい。
以上のとおり、本実施形態では、超音波デバイス1は、基板5と、送信部31と、受信部33と、構造体35とを有している。基板5は、第1方向(D2方向)及びこのD2方向に直交する第2方向(D1方向)に広がる第1面(上面5a)を有している。送信部31は、基板5に対して上面5a側に位置しており、超音波を送信する。受信部33は、基板5に対して上面5a側に位置しており、超音波を受信する。構造体35は、上面5a上にて送信部31と受信部33との間に位置している。基板5は、D2方向及びD1方向に分布している複数のキャビティ5cを有している。送信部31は、複数の送信素子(素子3T)を有している。複数の素子3Tは、それぞれ複数のキャビティ5cのいずれかに重なっているとともに、D2方向及びD1方向に分布している。受信部33は、複数の受信素子(素子3R)を有している。複数の素子3Rは、それぞれ複数のキャビティ5cのいずれかに重なっているとともに、D2方向及びD1方向に分布している。送信部31と受信部33とは、D2方向において並んでいる。構造体35は、上面5aの平面視において、送信部31と受信部33との間においてD1方向に延びている。また、構造体35は、D1方向の位置が互いに異なる2つ以上の素子3Tに亘る長さを有しており、かつD1方向の位置が互いに異なる2つ以上の素子3Rに亘る長さを有している。
従って、例えば、素子3Tによって+D3側へ送信する超音波を生成したときに、デバイス1内を素子3Tから素子3Rへ向かって伝わる不要な波が素子3Rに到達することが抑制される。すなわち、素子3Rにおける上記の不要な波の振幅(エネルギー)が低減される。具体的には、例えば、上記の不要な波は、構造体35によって反射され、素子3Rに到達することが抑制される。素子3Rにおける不要な波の振幅が低減されることによって、例えば、比較的近距離の対象物からの超音波の反射波(エコー信号)を検出することができる。
図8(a)及び図8(b)は、上記の近距離の対象物からのエコー信号の検出に係る効果を説明するための図である。これらの図において、横軸tは時間を示している。縦軸Vは、エコー信号の受信電圧を示している。図中の波形は、受信電圧の経時変化を示している。図8(a)は、比較例に対応しており、図8(b)は、本実施形態に対応している。
デバイス1においては、例えば、送信部31から超音波が+D3側へ送信される。超音波は、対象物に到達すると、反射してエコー信号として受信部33によって受信される。デバイス1と対象物との距離が長くなるほど、超音波を送信してからエコー信号を受信するまでの時間は長くなる。従って、例えば、この時間の長さによって、対象物の位置(デバイス1からの距離)を特定することができる。
送信部31から超音波を送信するとき、既述のように、送信部31から受信部33へ向かってデバイス1内を伝わる不要な波が生じる。比較例に係る図8(a)においては、この不要な波がノイズN1として現れ、次に、所定の第1の対象物にて反射して得られたエコー信号E1が現れている。
一方、本実施形態に係る図8(b)においては、ノイズN1が低減される。その結果、ノイズN1に隠れていたエコー信号E2が現れる(検出可能となる。)。エコー信号E2は、エコー信号E1を反射した第1の対象物よりもデバイス1の近くに位置している第2の対象物にて反射した反射波である。このようにして、デバイス1は、近距離の測定が可能になる。
また、本実施形態では、構造体35の第1方向(D2方向)における幅は、第1面(上面5a)が面する側へ送信される超音波が送信部31によって生成されたときに生じてデバイス1内を送信部31から受信部33へ向かって伝搬する波の波長の1/10以上である。
この場合、例えば、不要な波の波長に対して構造体35の幅が十分に確保されるから、デバイス1内を伝搬する不要な波を構造体35によって反射することが容易化される。
また、本実施形態では、構造体35の密度が基板5の密度よりも高い。及び/又は、本実施形態では、デバイス1は、複数のキャビティ5cを塞いでいるとともに複数のキャビティ5c間に亘って広がっている振動層16を更に有している。複数の送信素子(素子3T)及び複数の受信素子(3R)は、それぞれ、振動層16のうちキャビティ5c上に位置している振動部15と、振動部15に重なっている第1電極(下部電極17)と、下部電極17に重なっている圧電体19と、圧電体19に重なっている第2電極(上部電極21)と、を有している。構造体35の密度は、振動層16の密度よりも高い。
この場合、例えば、構造体35は、素子3Tから素子3Rへ不要な波を伝える主要な媒質の密度よりも高い密度を有していることになる。その結果、例えば、不要な波が構造体35によって反射されやすくなる。
また、本実施形態では、デバイス1は、第1配線(例えば送信部31における上部配線25)及び第2配線(例えば受信部33における上部配線25)を有している。第1配線は、上面5a上に位置しており、隣り合う送信素子(素子3T)同士を接続している。第2配線は、上面5a上に位置しており、隣り合う受信素子(素子3R)同士を接続している。構造体35の材料は、第1配線の材料及び第2配線の材料と同一である。
この場合、例えば、構造体35を設けるために新たなプロセスを実行する必要性が低減される。また、配線は、通常、金属からなり、密度が高い。従って、構造体35の密度を不要な波の媒質(例えば振動層16及び/又は基板5)の密度よりも高くしやすい。
また、本実施形態では、構造体35は、複数の受信素子(3R)のうち、送信部31側の端に位置している2以上の素子3R同士を電気的に接続している。既述のように、構造体35は、複数の送信素子(素子3T)のうち、受信部33側の端に位置している2以上の素子3T同士を電気的に接続していてもよい。
この場合、例えば、構造体35は、配線に兼用されることになる。その結果、例えば、デバイス1の小型化が図られる。また、構造体35は、不要な波の伝搬を抑制するために、幅が大きくされたり、高さ(D3方向の長さ)が大きくされたりしてよい。このような場合、配線としての構造体35の断面積が大きくなり、抵抗値が低減される。ひいては、デバイス1の電気的特性が向上する。
本実施形態では、構造体35は、送信部31の第2方向(D1)における全長に亘る長さを有しており、かつ受信部33のD1方向における全長に亘る長さを有している。
この場合、例えば、全ての素子3Tから伝搬する不要な波が構造体35によって低減されるから、上述した種々の効果が向上する。また、本実施形態のように、構造体35が受信部33(又は送信部31)の構造体35側の端に位置する複数の素子3R(又は素子3T)を接続する配線に兼用される場合において、構造体35は、上記の構造体35側の端に位置する全て(図示の例では7個)の素子3Rを接続することができる。
(素子の配置の変形例)
以下の説明において、素子3の位置は、例えば、平面視における素子3の中心(例えば図心)を指す。素子3の中心を特定するときの留意事項については既に述べたとおりである。
変形例の説明では、例えば、1つの素子3と、その1つの素子3を囲む複数の素子3との距離に着目する。例えば、図3及び図4の例では、最外周に位置する素子3以外の素子3(中央側の5×5個の素子3)と、この素子3それぞれの周囲の素子3との距離に着目する。以下の説明では、他の素子3に囲まれている素子3を第1の素子3ということがある。
1つの素子3が他の素子3によって囲まれているか否か(前記1つの素子3が第1の素子3であるか否か)は、例えば、他の素子3を順次結ぶ直線によって、前記1つの素子3を内包する多角形(前記1つの素子3が辺上に位置する多角形は含まない)を描くことができるか否かによって判定されてよい。第1の素子3は、最小で3つの素子3に囲まれることが可能である。
以下において、4つ以上の素子3(4以上の所定数の素子3)に囲まれる第1の素子3というとき、第1の素子3は、上記4つ以上の素子3のうちの任意の3つの素子3を結ぶ直線からなる三角形に内包されることは要しない。第1の素子3は、上記4以上の所定数の素子3を順次結ぶ直線からなる多角形に内包されればよい。
送信部31又は受信部33の中央に位置する素子3は、他の素子によって2重に(又はそれ以上の多重に)囲まれることがある。変形例では、第1の素子3と、第1の素子3を囲む最内周の素子3との距離に着目する。従って、例えば、素子3を1つのみ内包する多角形が描けたときに、その1つの素子3が他の素子3に囲まれていると判断されてよい。
実施形態では、例えば、第1の素子3に対して、+D1側に位置する素子3、−D1側に位置する素子3、+D2側に位置する素子3及び−D2側に位置する素子3の合計で4つの素子3が第1の素子3を囲んでいると捉えることができる。これら4つの素子3は、他のいずれの素子3よりも第1の素子3との距離が短い。また、この距離は、4つの素子3同士で同一である。この他、第1の素子3は、第1の素子3の周囲の8つの素子3によって囲まれていると捉えることもできる。いずれにせよ、実施形態では、第1の素子3から第1の素子3を囲む4つ以上の素子3までの4つ以上の距離のうち、最も短いものから4つの距離を比較したときに、4つの距離は全て同一である。実施形態(7×7個の素子3)では、このような第1の素子3が25個存在し、そのいずれの第1の素子3についても、上記のような関係が成立する。すなわち、1以上の第1の素子3のうち任意の第1の素子3について、上記のような関係が成立する。
本変形例では、1以上の第1の素子3のうち任意の第1の素子3について、上記の関係が成立しない。例えば、上記の4つの距離のうち、少なくともいずれか1つの距離は、他の3つの距離の少なくとも1つと異なる。4つの距離全てが互いに異なっていてもよい。このようにすると、例えば、実施形態の素子3の配置態様に比較して、ノイズを低減することができる。具体的には、以下のとおりである。
実施形態においても説明したように、素子3からは、他の素子3へ向かってデバイス内を伝搬する不要な波が生じ得る。実施形態の配置では、第1の素子3に対して4つの素子が等距離で隣接するから、4つの素子3から第1の素子3に到達した不要な波が強め合う。一方、上述した変形例のように、第1の素子3と、4つの素子3との距離が一部又は全部において互いに異なる場合においては、不要な波が強め合う作用が緩和され、ノイズが低減される。
上記のような変形は、適宜に実現されてよい。以下にいくつかの例を示す。
図9(a)は、第1変形例に係る素子3の配置を説明するための平面図である。ここでは、素子3は、その中心が黒丸によって示されることによって模式的に示されている。ピッチの差は、図解を容易にするために大きくされている。実際のピッチの差は、図示の例よりも小さくされて構わない。例えば、ピッチは、最も大きいものでもD1方向及びD2方向に傾斜する方向(以下、傾斜方向ということがある。)のピッチよりも小さくされても構わない。もちろん、ピッチの差は、図示の例よりも大きくされても構わない。
実施形態の素子3のピッチは、D1方向及びD2方向ともピッチPt1であるものとする。一方、第1変形例では、D1方向のピッチが1つ置きにピッチPt2に置換されている。これにより、第1の素子3から+D1側、−D1側、+D2側及び−D2側に位置する4つの素子3までの4つの距離のうち1つは、他の3つの距離とは異なるものとなる。図示の例において、第1の素子3に対して傾斜方向に位置する素子3を考慮に入れても、最も短いものから4つの距離のうち少なくとも1つが他の3つの距離の少なくとも1つとは異なるという関係は成り立つ。
図9(b)は、第2変形例に係る素子3の配置を説明するための図9(a)と同様の平面図である。この実施形態では、D1方向において2種のピッチ(Pt1及びPt2)が交互に位置していることに加えて、D2方向においても2種のピッチ(Pt3及びPt4)が交互に位置している。4つのピッチPt1〜Pt4は互いに異なる。この場合、第1の素子3から+D1側、−D1側、+D2側及び−D2側に位置する4つの素子3までの4つの距離は全て互いに異なる。図示の例において、第1の素子3に対して傾斜方向に位置する素子3を考慮に入れても、最も短いものから4つの距離のうち少なくとも1つが他の3つの距離の少なくとも1つとは異なるという関係は成り立つ。
この他、特に図示しないが、例えば、第2変形例において、Pt1=Pt3及び/又はPt2=Pt4とする変形がなされてよい。また、例えば、D1方向及びD2方向の少なくとも一方において3種以上のピッチが設定されたり、D1方向及びD2方向の全てのピッチが互いに異なる長さとされたりしてもよい。
図10は、第3変形例に係る素子3の配置を説明するための図9(a)と同様の平面図である。
これまで、複数の素子3が縦横に配列される配置態様を基準として、任意の第1の素子3から、この任意の第1の素子を囲む素子3までの距離を互いに異ならせることについて述べた。ただし、この考え方は、複数の素子3が縦横に配置される態様でない態様にも適用されてよい。図10は、そのような例の一例を示している。
具体的には、図10では、複数の素子3は、同心円状に配置される配置態様が基準とされている。そして、複数の素子3の位置は、同心円上の位置から適宜に半径方向にずらされている。複数の素子3の位置は、必要に応じて、円周方向にもずらされてよい。このような配置によって、任意の第1の素子3から任意の第1の素子3を囲む4つ以上の素子3までの4つ以上の距離のうち最も短いものから4つの距離は、少なくとも1つが他の3つの距離の少なくとも1つと異なっている。もちろん、最も短いものから4つの距離、又は4つ以上の距離は、全てが互いに異なっていてもよい。
この他、例えば、複数の素子3が傾斜方向に配列される配置態様(後述する図12(b)参照)を基準として、最も短いものから4つの距離において、少なくとも1つが他の3つの距離の少なくとも1つと異なる態様が実現されてもよい。
また、これまで、複数の素子3の総数が5つ以上であり、少なくとも1つの第1の素子3が4つ以上の素子3によって囲まれる態様を前提とした。ただし、複数の素子3の総数が3つ又は4つの態様に対しても、変形例の考え方が適用されてよい。この場合は、例えば、任意の素子から他の素子3までの全ての距離が互いに異なってよい。
少なくとも1つの第1の素子3が4つ以上の素子3によって囲まれる態様等について、より一般化するために、距離を互いに異ならせるための素子3の配置の設定方法の一例について説明する。
図11(a)〜図11(c)は、変形例に係る素子3の配置の設定方法の一例を説明する平面図である。
まず、図11(a)に示すように、2つの素子3(3−1及び3−2)を考える。次に、図11(b)に示すように、2つの素子3のそれぞれについて、自己を中心とし、他の素子3を通る円C1を考える。素子3の数が2つの場合は、円C1は2つである。そして、この2つの円C1に重ならないように新たな素子3(3−3)を設定する。次に、図11(c)に示すように、3つの素子3のそれぞれについて、自己を中心とし、他の素子3を通る円C1を考える。素子3の数が3つの場合は、円C1は6つである。そして、この6つの円C1に重ならないように新たな素子3(3−4)を設定する。このような設定を繰り返すことによって、例えば、第1の素子3を囲む4つの距離を互いに異ならせたり、全ての素子3同士の距離を互いに異ならせたりすることができる。このような設定は、例えば、コンピュータに演算を行わせることによって実現されてよい。
図11(b)は、素子3の総数が3つであり、任意の素子3から他の素子3までの距離全てが互いに異なる態様の一例を示す図にもなっている。また、図11(c)は、素子3の総数が4つであり、任意の素子3から他の素子3までの距離全てが互いに異なる態様の一例を示す図にもなっている。
(素子の距離の差)
上記においては、互いに異なる距離同士の差(例えば図9(a)におけるピッチPt1とピッチPt2との差)について、その大きさについては任意であるものとした。ただし、上記の互いに異なる距離同士の差は、例えば、上述したデバイス1内を伝搬する不要な波の波長の1/2(半波長)とされてよい。この場合、1つの素子3(例えば第1の素子3)からの距離が互いに異なる2つの素子3から前記1つの素子3へ向かう不要な波の少なくとも一部同士が相殺される効果が高くなる。この距離同士の差が波長の1/2であるという場合、例えば、距離の差と、波長の1/2との間に、波長の1/10以下又は1/20以下の誤差が存在する態様が含まれてよい。
より詳細には、例えば、図9(a)、図9(b)及び図10に示した第1〜第3変形例では、既述のように、第1の素子3と、第1の素子3を囲む4つ以上の素子3との距離のうち、最も短いものから4つの距離は、少なくとも1つの距離と、他の3つの距離の少なくとも1つとが異なっている。この場合において、上記1つの距離と、他の3つの距離の少なくともいずれか1つとの差が、デバイス1内を伝搬する不要な波の半波長と同等とされてよい。上記差は、例えば、図9(a)では、ピッチPt1とピッチPt2との差である。図9(b)では、ピッチPt1〜ピッチPt4のうちの2つのピッチの差は6種類存在し得るところ、その少なくとも1つの差が半波長とされてよい。図11(b)及び図11(c)を全ての距離が互いに異なる態様を示す図として見たとき、互いに異なる距離のうちいずれか2つの距離の差が半波長とされてよい。
上記の距離の差を半波長にする考え方は、最も短い4つの距離のうち少なくとも1つの距離と他の3つの距離の少なくとも1つとが異なっている態様でない態様に適用されてもよい。例えば、実施形態の配置態様に適用されてもよい。
図12(a)は、素子3同士の距離の差を半波長にする考え方が実施形態の配置態様にも適用されてよいことを説明するための図9(a)と同様の平面図である。
実施形態では、ピッチPt1の符号で示されているように、D1方向のピッチ及びD2方向のピッチは同一である。ただし、1つの素子3は、D1方向及びD2方向に傾斜するD4方向及びD5方向においても一定のピッチPt11で他の素子3と隣り合っている(別の観点では囲まれている。)。ピッチPt1及びピッチPt11は互いに異なっている。このとき、両者の差が不要な波の半波長とされてよい。
素子3同士の距離の差を半波長にする考え方は、種々の素子3の配置態様に適用可能である。以下に、そのいくつかを例示する。
図12(b)は、複数の素子3が一定のピッチPt12でD4方向及びD5方向に配列されていると捉えることができる配置態様を示している。この配置態様は、複数の素子3がD1方向に配列されて複数の列が構成され、かつD2方向において互いに隣り合う列同士でD1方向の位置がピッチPt1の半分の長さでずらされた態様と捉えることもできる。図12(b)の中央に位置している1つの素子3は、+D1側、−D1側、+D2側、−D2側、+D4側、−D4側、+D5側及び−D5側の8つの素子3と隣り合っている(囲まれている。)。上記の1つの素子3と、8つの素子3との8つの距離のうち、4つはピッチPt1であり、他の4つはピッチPt12である。このとき、ピッチPt1とピッチPt12との距離が、不要な波の半波長とされてよい。
図13(a)は、図12(a)の配置態様において、D1方向及びD2方向に傾斜する方向(D6方向及びD7方向)がD1方向及びD2方向に対して45°で傾斜する方向以外の方向とされた態様を示している。図示の例では、より詳細には、D1方向のピッチPt1、D2方向のピッチPt21、D6方向及びD7方向のピッチPt13の3種類のピッチが存在している。このうち、ピッチPt1とピッチPt21との差、ピッチPt1とピッチPt13との差、ピッチPt21とピッチPt13との差の少なくとも1つが不要な波の半波長とされてよい。
図13(b)は、図12(b)の配置態様において、D1方向及びD2方向に傾斜する方向(D6方向及びD7方向)がD1方向及びD2方向に対して45°で傾斜する方向以外の方向とされた態様を示している。図示の例では、より詳細には、D1方向のピッチPt1、D2方向のピッチPt21、D6方向及びD7方向のピッチPt14の3種類のピッチが存在している。このうち、ピッチPt1とピッチPt21との差、ピッチPt1とピッチPt14との差、ピッチPt21とピッチPt14との差の少なくとも1つが不要な波の半波長とされてよい。
図12(a)〜図13(b)の変形例については、以下のように上位概念化して捉えることができる。
複数の素子3は、第3方向に第1ピッチで配列されているとともに、第3方向に交差する第4方向に上記の第1ピッチで配列されている。図12(a)及び図12(b)では、第3方向及び第4方向は、D4方向及びD5方向である。図13(a)及び図13(b)では、第3方向及び第4方向は、D6方向及びD7方向である。図12(a)では、第1ピッチは、ピッチPt11である。図12(b)では、第1ピッチは、ピッチPt12である。図13(a)では、第1ピッチは、ピッチPt13である。図13(b)では、第1ピッチは、ピッチPt14である。
また、複数の素子3は、第3方向及び第4方向が成す角を2等分する第5方向に第2ピッチで配列されているとともに、上記の第5方向に直交する第6方向に第3ピッチで配列されている。図12(a)、図12(b)、図13(a)及び図13(b)のいずれにおいても、第5方向及び第6方向は、D1方向及びD2方向である。図12(a)、図12(b)、図13(a)及び図13(b)のいずれにおいても、第2ピッチは、ピッチPt1である。図12(a)及び図12(b)では、第3ピッチは、ピッチPt1である。図13(a)及び図13(b)では、第3ピッチは、ピッチPt21である。
そして、第1ピッチと第2ピッチとの差、第2ピッチと第3ピッチとの差、及び第1ピッチと第3ピッチとの差の少なくとも1つは、基板5の上面5aが面する側(+D3側)へ送信される超音波が送信素子(素子3T)によって生成されたときに生じて、この超音波デバイス1(デバイス)内を素子3Tから他の素子3Tへ向かって伝搬する波の波長の1/2である。
以上の説明では、特に、素子3Tが超音波を送信するときに生成される不要な波を例にとって説明した。ただし、素子3Rがエコー信号を受信したしたときにも、エコー信号と同等の周波数を有する不要な波が素子3Rから隣り合う素子3Rに伝搬する。従って、4つの距離のうち少なくとも1つの距離を他の3つの距離の少なくとも1つと異ならせたり、全ての距離を互いに異ならせたり、距離の差を半波長にする変形例は、素子3Tに代えて、又は加えて、素子3Rに適用されてもよい。
以上の実施形態及び変形例において、D2方向は第1方向の一例である。D1方向は第2方向の一例である。基板5の上面5aは第1面の一例である。素子3Tは送信素子の一例である。素子3Rは受信素子の一例である。下部電極17は第1電極の一例である。上部電極21は第2電極の一例である。送信部31に位置している上部配線25は第1配線の一例である。受信部33に位置している上部配線25は第2配線の一例である。第3方向、第4方向、第5方向及び第6方向、並びに第1ピッチ、第2ピッチ及び第3ピッチの一例については、図12(a)、図12(b)、図13(a)及び図13(b)を参照して上記において述べたとおりである。
本開示に係る技術は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
実施形態の説明でも触れたように、超音波素子(送信素子及び/又は受信素子)は、pMUTに限定されず、cMUTであってもよい。cMUTは、例えば、キャビティ下に位置する下部電極と、キャビティ上に位置する振動部と、振動部の上面、内部又は下面に位置する上部電極と、を有している。このうち、振動部及び上部電極が本開示における超音波素子(送信素子及び受信素子)として捉えられてよい。
本開示からは、以下の概念の技術を抽出可能である。
(概念1)
第1面を有している基板と、
前記第1面の平面視において互いに異なる位置に位置している、超音波を送信する複数の素子と、
を有しており、
前記複数の素子の総数が5以上であり、
前記複数の素子は、自己以外の4つ以上の素子に囲まれる、1つ以上の第1の素子を含んでおり、
前記1つ以上の第1の素子のうち任意の第1の素子から、この任意の第1の素子を囲む4つ以上の素子までの4つ以上の距離のうち、最も短いものから4つの距離を比較したときに、少なくともいずれか1つの距離は、他の3つの距離の少なくとも1つと異なる
超音波デバイス。
(概念2)
第1面を有している基板と、
前記第1面の平面視において互いに異なる位置に位置している、超音波を送信する複数の素子と、
を有しており、
前記複数の素子の総数が3又は4であり、任意の素子から他の素子までの距離全てが互いに異なる
超音波デバイス。
(概念3)
第1面を有している基板と、
前記第1面の平面視において互いに異なる位置に位置している、超音波を送信する複数の素子と、
を有しており、
前記複数の素子は、第3方向に第1ピッチで配列され、前記第3方向に交差する第4方向に前記第1ピッチで配列され、前記第3方向及び前記第4方向が成す角を2等分する第5方向に第2ピッチで配列され、前記第5方向に直交する第6方向に第3ピッチで配列されており、
前記第1ピッチと前記第2ピッチとの差、前記第2ピッチと前記第3ピッチとの差、及び前記第1ピッチと前記第3ピッチとの差の少なくとも1つは、前記第1面が面する側へ送信される超音波が前記素子によって生成されたときに生じて、当該超音波デバイス(デバイス)内を前記素子から他の素子へ向かって伝搬する波の波長の1/2である
超音波デバイス。
上記の概念1〜概念3の技術においては、「超音波を送信する」は「超音波を受信する」又は「超音波の受信及び送信の双方を行う」に置換されてもよい。また、概念3の技術において、ピッチの差と比較される波長を有する波に関する記載は、「前記第1面が面する側からの超音波のエコー信号が前記素子によって受信されたときに生じて、当該超音波デバイス(デバイス)内を前記素子から他の素子へ向かって伝搬する波」に置換されてもよい。
上記の概念1〜概念3の技術においては、超音波の送信のみを行う複数の送信素子が一纏めに配置された送信部、及び超音波の受信のみを行う複数の受信素子が一纏めに配置された受信部は設けられなくてもよい。当然に、送信部と受信部との間に位置する構造体も設けられなくてもよい。
1…超音波デバイス(デバイス)、3…超音波素子、3T…超音波素子(送信素子)、3R…超音波素子(受信素子)、5…基板、5a…(基板の)上面(第1面)、5c…キャビティ、7…機能層、11…メンブレン、13…被覆層、17…下部電極(第1電極)、19…圧電体、21…上部電極(第2電極)、31…送信部、33…受信部、35…構造体、41…送信回路部、43…受信回路部、101…超音波診断装置、117…表示部(表示装置)。

Claims (13)

  1. 第1方向及び該第1方向に直交する第2方向に広がる第1面を有している基板と、
    前記基板に対して前記第1面側に位置しており、超音波を送信する送信部と、
    前記基板に対して前記第1面側に位置しており、超音波を受信する受信部と、
    前記第1面上にて前記送信部と前記受信部との間に位置している構造体と、
    を有しており、
    前記基板は、前記第1方向及び前記第2方向に分布している複数のキャビティを有しており、
    前記送信部は、それぞれ前記複数のキャビティのいずれかに重なっている、前記第1方向及び前記第2方向に分布している複数の送信素子を有しており、
    前記受信部は、それぞれ前記複数のキャビティのいずれかに重なっている、前記第1方向及び前記第2方向に分布している複数の受信素子を有しており、
    前記送信部と前記受信部とは、前記第1方向において並んでおり、
    前記構造体は、前記第1面の平面視において、前記送信部と前記受信部との間において前記第2方向に延びており、前記第2方向の位置が互いに異なる2つ以上の送信素子に亘る長さを有しており、かつ前記第2方向の位置が互いに異なる2つ以上の受信素子に亘る長さを有している
    超音波デバイス。
  2. 前記構造体の前記第1方向における幅は、前記第1面が面する側へ送信される超音波が前記送信部によって生成されたときに生じて、デバイス内を前記送信部から前記受信部へ向かって伝搬する波の波長の1/10以上である
    請求項1に記載の超音波デバイス。
  3. 前記構造体の密度が前記基板の密度よりも高い
    請求項1又は2に記載の超音波デバイス。
  4. 前記複数のキャビティを塞いでいるとともに前記複数のキャビティ間に亘って広がっている振動層を更に有しており、
    前記複数の送信素子及び前記複数の受信素子は、それぞれ、
    前記振動層のうち前記キャビティ上に位置している振動部と、
    前記振動部に重なっている第1電極と、
    前記第1電極に重なっている圧電体と、
    前記圧電体に重なっている第2電極と、を有しており、
    前記構造体の密度は、前記振動層の密度よりも高い
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音波デバイス。
  5. 前記第1面上に位置しており、隣り合う前記送信素子同士を接続している第1配線と、
    前記第1面上に位置しており、隣り合う前記受信素子同士を接続している第2配線と、
    を更に有しており、
    前記構造体の材料は、前記第1配線の材料及び前記第2配線の材料と同一である
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波デバイス。
  6. 前記構造体は、前記複数の送信素子のうち、前記受信部側の端に位置している2以上の送信素子同士を電気的に接続している、又は前記複数の受信素子のうち、前記送信部側の端に位置している2以上の受信素子同士を電気的に接続している
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波デバイス。
  7. 前記構造体は、前記送信部の前記第2方向における全長に亘る長さを有しており、かつ前記受信部の前記第2方向における全長に亘る長さを有している
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波デバイス。
  8. 前記複数の送信素子の総数が5以上であり、
    前記複数の送信素子は、自己以外の4つ以上の送信素子に囲まれる第1の送信素子を1つ以上含んでおり、
    任意の第1の送信素子から、該任意の第1の送信素子を囲む4つ以上の送信素子までの4つ以上の距離のうち、最も短いものから4つの距離を比較したときに、少なくともいずれか1つの距離は、他の3つの距離の少なくともいずれか1つと異なる
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の超音波デバイス。
  9. 前記4つの距離全てが互いに異なる
    請求項8に記載の超音波デバイス。
  10. 前記1つの距離と、前記3つの距離のいずれかとの差が、前記第1面が面する側へ送信される超音波が前記送信素子によって生成されたときに生じて、デバイス内を前記送信素子から他の送信素子へ向かって伝搬する波の波長の1/2である
    請求項8又は9に記載の超音波デバイス。
  11. 前記複数の送信素子の総数が3又は4であり、任意の送信素子から他の送信素子までの距離全てが互いに異なる
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の超音波デバイス。
  12. 前記複数の送信素子は、第3方向に第1ピッチで配列され、前記第3方向に交差する第4方向に前記第1ピッチで配列され、前記第3方向及び前記第4方向が成す角を2等分する第5方向に第2ピッチで配列され、前記第5方向に直交する第6方向に第3ピッチで配列されており、
    前記第1ピッチと前記第2ピッチとの差、前記第2ピッチと前記第3ピッチとの差、及び前記第1ピッチと前記第3ピッチとの差の少なくとも1つは、前記第1面が面する側へ送信される超音波が前記送信素子によって生成されたときに生じて、デバイス内を前記送信素子から他の送信素子へ向かって伝搬する波の波長の1/2である
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の超音波デバイス。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の超音波デバイスと、
    前記超音波デバイスからの電気信号に基づく画像を表示する表示装置と、
    を有している超音波診断装置。
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