JP7311956B2 - 複合管 - Google Patents

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Description

本発明は、複合管に関する。
従来より、水道管などに用いられる複合管として、種々のものが提案されており、例えば、特許文献1には、複数のFRP層を積層した複合管が提案されている。このようなFRP層には、複合管の周方向に延びるガラス繊維等の強化繊維が配置されているため、例えば、複合管の内面から周方向に作用する荷重に対しては、十分な強度を示している。
特開2000-71341号公報
上記のような複合管は、地中に埋設されることが多いが、例えば、外周面に異物が接触し、複合管の外周面から径方向に押圧する荷重が作用すると、複合管には曲げ変形が生じることがある。しかしながら、従来の複合管は、このような曲げ変形に対する強度が十分ではなかった。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、外周面からの荷重に対する曲げ強度を向上することができる、複合管を提供することを目的する。
本発明に係る複合管は、円筒状の芯材と、前記芯材の径方向外方に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1外側FRP層と、前記第1外側FRP層の径方向外方に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2外側FRP層と、前記芯材の径方向内方に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1内側FRP層と、前記第1内側FRP層の径方向内方に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2内側FRP層と、前記第2内側FRP層の径方向内方に配置され、少なくとも軸方向に延びる強化繊維を含有する第3内側FRP層と、を備えている。
上記複合管においては、前記第3内側FRP層の径方向内方に配置される内面保護層をさらに備えることができる。
上記各複合管においては、前記第2外側FRP層の径方向外方に配置される外面保護層をさらに備えることができる。
上記各複合管において、前記第3内側FRP層の強化繊維の少なくとも一部は、当該複合管の内壁面から径方向内方に1mm以内に位置に配置することができる。
上記各複合管において、前記第3内側FRP層は、主として軸方向の延びる強化繊維のみを含有することができる。
上記各複合管において、前記第3内側FRP層は、軸方向の延びる強化繊維と周方向に延びる強化繊維を含有することができる。
上記複合管において、前記軸方向に延びる強化繊維の周方向の単位長さ当たりの本数は、前記周方向に延びる強化繊維の軸方向の単位長さ当たりの本数よりも少ないように構成することができる。
上記各複合管において、前記軸方向に延びる強化繊維は、周方向に10cm当たり、10~100本程度配置することができる。
上記各複合管において、前記第3内側FRP層の強化繊維は、前記軸方向に所定の長さで延びる複数の強化繊維を周方向に並べた織布を、軸方向に一部を重ねながら螺旋状に巻き付けることで構成することができる。
上記複合管において、前記芯材は、レジンモルタルを含有することができる。
上記複合管においては、前記第2外側FRP層の径方向外方に配置され、少なくとも軸方向に延びる強化繊維を含有する第3外側FRP層を、さらに備えることができる。
本発明に係る複合管によれば、外周面からの荷重に対する曲げ強度を向上することができる。
本発明の一実施形態に係る複合管の斜視図である。 図1の複合管の内部の層構成を示す拡大斜視図である。 第1外側FRP層、第1内側FRP層、及び第3内側FRP層を構成する織布の平面図である。 第2外側FRP層、及び第2内側FRP層を構成する繊維剤の平面図である。 複合管に作用する荷重の例を示す側面図及び拡大断面図である。 複合管の厚み方向に作用する曲げ荷重の概要を示す一部断面図である。 本発明に係る複合管の他の例を示す斜視図である。 複合管に作用する荷重の例を示す側面図及び拡大断面図である。 三点曲げ試験の例を示す側面図である。 引張試験の例を示す側面図である。
以下、本発明に係る複合管の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。この複合管は、例えば、上下水道管、農業用水管、工業用水管などの各種の用途に用いることができるものである。
<1.複合管の概要>
図1は、本実施形態に係る複合管の斜視図であり、図2は図1の複合管の内部の層構成を示す拡大斜視図である。但し、図2においては、強化繊維が含浸される樹脂を省略して示している。図1及び図2に示すように、この複合管は、円筒状に形成され、径方向の外方から内方に向けて以下の複数の層で構成されている。
・外面保護層1
・第2外側FRP層2
・第1外側FRP層3
・芯材4
・第1内側FRP層5
・第2内側FRP層6
・第3内側FRP層7
・内面保護層8
上記の層を有する複合管の厚みは、呼び径によっても相違するため、特には限定されないが、例えば、7~60mmとすることができ、呼び径の1~5%とすることができる。以下、これら各層について、詳細に説明する。
<1-1.芯材>
芯材4は、円筒状のレジンモルタルによって構成されている。レジンモルタルは、特には限定されないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂に、硅砂、炭酸カルシウム、及びガラス繊維のチョップドストランドを添加することで形成することができる。芯材の厚みは、特には限定されないが、例えば、2~55mmとすることができ、また複合管の厚みの30~90%とすることができる。芯材は、その他の材料で形成することもでき、例えば、コンクリートやモルタルにより形成することができる。
<1-2.第1外側FRP層>
第1外側FRP層3は、芯材の外周面に配置される層であり、強化繊維が含有された熱硬化性樹脂により構成される。この第1外側FRP層3内では、軸方向に延びる複数の強化繊維が周方向に並べられている。強化繊維としては、特には限定されないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、あるいはアラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等の有機繊維を用いることができ、これらの材料で形成された単繊維を撚り合わせたもの(ロービング)とすることができる。各強化繊維の太さは、例えば、40~5000texとすることができる。
また、これら強化繊維は、強度を高めるために、周方向の10cm当たり、10本以上であることが好ましい。一方、コストの観点から100本以下であることが好ましい。したがって、強化繊維の数は、周方向の10cm当たり、10~100本配置することが好ましく、20~80本であることがより好ましい。なお、強化繊維は、芯材4の軸方向に連続していなくもてよく、所定長さの複数の強化繊維を軸方向に沿って並べることもできる。このとき、軸方向に隣接する強化繊維同士の一部が軸方向に重なっていてもよい。また、強化繊維は、複合管の厚み方向に複数層設けることもできる。
熱硬化性樹脂は、特には限定されないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂を用いることができ、これに、公知の硬化剤や硬化促進剤を添加することができる。なお、ここで説明した強化繊維及び熱硬化性樹脂を構成する材料は、後述する第2外側FRP層2、第1~第3内側FRP層5~7においても、同様に用いることができため、説明を省略する。
<1-3.第2外側FRP層>
第2外側FRP層2は、第1外側FRP層3の外周面に配置される層であり、第1外側FRP層3と同様に、強化繊維が含有された熱硬化性樹脂により構成される。但し、この第2外側FRP層2内では、周方向に延びる複数の強化繊維が軸方向に並べられている。あるいは、周方向に延びる複数の強化繊維を、芯材の周囲にらせん状に巻き付けることもできる。また、強化繊維は、軸方向の10cm当たり、例えば、20~400本配置することができる。特に、複合管は管内からの内圧により周方向に受ける力が、軸方向に受ける力よりも大きいため、上述した第1外側FRP層3よりも強化繊維の密度を大きくしている。なお、複数の強化繊維は、複合管の厚み方向に複数層設けることもできる。
<1-4.外面保護層>
外面保護層1は、第2外側FRP層2の外周面に配置される層であり、複合管の最外層を構成している。外面保護層1は、表面が平滑なシート材であるのが好ましく、シート材であれば特には限定されないが、例えば、ガラスペーパー、ガラス繊維(後述するガラススダレ)、ガラスクロス、ガラス繊維等の無機不織布あるいはポリエステル繊維等の有機不織布の表面に熱硬化性樹脂、ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂または塩化ビニリデン樹脂を被覆もしくは含浸したものを用いることができる。このような外面保護層1を設けることで、第2外側FRP層2を保護することができる。あるいは、外面保護層1は、シート材を含まず上述した樹脂が硬化したものでもよい。特に、第2外側FRP層2の表面は強化繊維によって凹凸が生じることがあるため、複合管の表面を平滑にするという役割もある。なお、シート材は硬化前の樹脂を定着させるものであればよく、発泡体などでもよい。
<1-5.第1内側FRP層>
第1内側FRP層5は、芯材の内周面に配置される層であり、第1外側FRP層3と概ね同様の構成を有している。すなわち、軸方向に延びる複数の強化繊維が含有された熱硬化性樹脂により構成される。
<1-6.第2内側FRP層>
第2内側FRP層6は、第1内側FRP層5の内周面に配置されたものであり、第2外側FRP層2と概ね同様の構成を有している。すなわち、周方向に延びる複数の強化繊維が含有された熱硬化性樹脂により構成される。
<1-7.第3内側FRP層>
第3内側FRP層7は、第2内側FRP層6の内周面に配置される層であり、第1内側FRP層5と概ね同様の構成を有している。すなわち、軸方向に延びる複数の強化繊維が含有された熱硬化性樹脂により構成される。なお、第3内側FRP層7の強化繊維は、次に説明する内面保護層8の厚みにもよるが、複合管の最内面から径方向内方に、1.0mm以内に配置されることが好ましく、0.5mm以内に配置されることがより好ましく、0.05mm以内に配置されることがさらに好ましい。
<1-8.内面保護層>
内面保護層8は、第3内側FRP層7の外周面に配置されたものであり、上述した外面保護層1と概ね同様の構成を有している。
<2.複合管の製造方法>
上記のように構成された複合管は、種々の方法で製造することができるが、例えば、以下のように製造することができる。まず、以下の材料を準備する。
(1) 内面保護層8用及び外面保護層用1のシート材を準備する。このシート材は、内面保護層8及び外面保護層1を構成する材料により、帯状に形成されている。
(2) 第1外側FRP層3の強化繊維を構成する織布50を準備する。この織布は、図3に示すように、例えば、80~400mm幅程度の強化繊維51を平行に並べ、隣接する強化繊維同士をビニロン糸、ポリエステル糸、またはガラス繊維等で形成された糸52で連結したものであり、全体として帯状に形成されている(以下、これをガラススダレということがある)。この織布50において強化繊維51の延びる方向は、複合管の軸方向に対応している。なお、この織布は、第1内側FRP層5、第3内側FRP層7にも用いられる。
(3) 第2外側FRP層2用の繊維材60を準備する。図4に示すように、この繊維材60は、複数のロールに巻き取られた強化繊維61を繰り出しながら、例えば、80~240mm幅に並べた帯状に形成されたものである。この繊維材60において、強化繊維61の延びる方向は、複合管の周方向に対応している。なお、この繊維材60は、第2内側FRP層6にも用いられる。
(4) 芯材4を形成する材料は、上述したレジンモルタルである。
次に、上記材料を用いて、複合管を製造する。まず、円筒状の型を準備し、これを軸方向に回転させつつ、軸方向に移動させる。そして、この型の表面に、内面保護層用のシート材を巻き付ける。このとき、型が軸方向に移動しているため、帯状のシート材は、軸方向の端部を重ねつつ、らせん状に巻き付けられながら、表面に未硬化の熱硬化性樹脂組成物を供給する。こうして、内面保護層8が形成される。次に、内面保護層8上に、第3内側FRP層7用の織布50をらせん状に巻き付けながら、この織布50の表面に未硬化の熱硬化性樹脂組成物を供給する。そして、織布50の表面をならしローラで押圧することで、熱硬化性樹脂組成物を強化繊維51に含浸させる。このとき、帯状の織布50は、軸方向の端部を重ねつつ、らせん状に巻き付けられる。こうして、樹脂が未硬化であるが、第3内側FRP層7が形成される。
そして、この第3内側FRP層7上に、熱硬化性樹脂組成物に含浸された繊維材60をらせん状に巻き付けていく。このとき、帯状の繊維材60は、軸方向の端部を重ねつつ、らせん状に巻き付けられる。こうして、樹脂が未硬化であるが、第2内側FRP層6が形成される。
続いて、第2内側FRP層6上に、第1内側FRP層5を形成する。第1内側FRP層5は、第3内側FRP層7と同様に形成される。これに続いて、第1内側FRP層5上にレジンモルタルを供給し、芯材4を形成する。次に、芯材4上に第1外側FRP層3、第2外側FRP層2、及び外面保護層1を順に形成する。第1外側FRP層3、第2外側FRP層2、及び外面保護層1の形成方法は、それぞれ、第1内側FRP層5、第2内側FRP層6、及び内面保護層8と同じである。こうして、樹脂が未硬化の複合管が形成される。
そして、この複合管を硬化炉内に移動して、未硬化の樹脂を硬化させる。こうして、本実施形態に係る複合管が完成する。このように複合管は、軸方向に移動する型の外周面に、各層を順に巻き付けていくことで、軸方向に連続的に形成されていく。そのため、用途に合わせて所望の長さで切断する。
<3.特徴>
例えば、図5に示すように、複合管の外周面に異物70による荷重が加わった場合、複合管には曲げ変形が生じる。これにより、複合管の内面には軸方向の引張ひずみが生じ、複合管の外面には軸方向の圧縮ひずみが生じる。このような荷重が作用すると、複合管が破損し、漏水が生じるおそれがある。
このような荷重が作用すると、図6に示すように、最内層に近づく程、引張ひずみが大きくなる。これに対して、本実施形態に係る複合管では、最内層に近い部分、つまり、図6に示す中立軸から遠く、変形が大きい部分に、第3内側FRP層7を設け、この層内に、軸方向に延びる強化繊維51を設けているため、複合管の内面に生じる引張ひずみを抑制することができる。その結果、複合管の外周面からの荷重による破損を防止でき、ひいては漏水を防止することができる。このような効果を示す曲げ強度としては、例えば、JIS K 7071に基づく三点曲げ試験での曲げ強度が、90MPa以上であることが好ましく、100MPa以上であることがさらに好ましく、120MPa以上であることが特に好ましい。曲げ強度の上限は特には設定されないが、コストの観点から500MPa以下であることが好ましい。
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は、適宜組み合わせ可能である。
<4-1>
上記実施形態では、内面保護層8及び外面保護層1を設けているが、これらは必ずしも必要ではなく、いずれか一方、あるいは両方を設けなくてもよい。したがって、本発明に係る複合管は、少なくとも、芯材4、第1外側FRP層3、第2外側FRP層2、第1内側FRP層5、第2内側FRP層6、及び第3内側FRP層7を有していればよい。また、これら以外の層を設けることも可能であり、例えば、各層の間に適宜、強化層、保護層などを設けることもできる。
具体的には、例えば、径方向外方から内方へ向けて、外面保護層、FRP層(周方向強化繊維含有)、FRP層(軸方向強化繊維含有)、FRP層(周方向強化繊維含有)、芯材、FRP層(周方向強化繊維含有)、FRP層(軸方向強化繊維含有)、FRP層(周方向強化繊維含有)、FRP層(軸方向強化繊維含有)、内面保護層、を有する複合管とすることもできる。さらに、複合管の最外層に、ガラスクロスを設けることができる。また、第3内側FRP層7に含まれる強化繊維を厚み方向に複数層(例えば、2層あるいは2重巻き)設けてもよい。
<4-2>
上記実施形態において、第1外側FRP層3、第1内側FRP層5、及び第3内側FRP層7の強化繊維は軸方向に延びているが、強化繊維の数、配置方法は各層で異なるものとすることができる。同様に、第2外側FRP層2、及び第2内側FRP層6の強化繊維は周方向に延びているが、強化繊維の数、配置方法は各層で異なるものとすることができる。また、各層の強化繊維及び熱硬化性樹脂の材料を、異なるものとすることもできる。
<4-3>
上記実施形態では、軸方向に延びる強化繊維の数を、周方向に延びる強化繊維の数よりも少なくしているが、同じ、あるいは多くすることもできる。
<4-4>
上記実施形態では、第3内側FRP層7に、軸方向に延びる強化繊維を設けているが、これに限定されない。例えば、軸方向に延びる強化繊維と周方向に延びる強化繊維とを含むガラスクロス等の織布を、強化繊維として第3内側FRP層7内に配置することができる。
<4-5>
上記実施形態では、芯材の径方向外方に2層のFRP層2,3を設けているが、芯材4の径方向内方と同様に、3層のFRP層を設けることができる。すなわち、図7に示すように、上記第2外側FRP層2と外面保護層1との間に、第3外側FRP層9を配置することができる。この第3外側FRP層9は、第3内側FRP層7と同様の構成を有している。
例えば、図8に示すように、複合管の両端部が支持され、複合管全体が曲げられるように荷重が作用した場合には、複合管の内面及び外面の両方に引張荷重が作用するおそれがある。そのため、図7に示すように、軸方向に延びる強化繊維が含有された第3外側FRP層9を設けると、例えば、複合管の外面における軸方向の引張強度等をさらに向上することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されない。
<1.実施例及び比較例の準備>
実施例1,2として以下のような材料を用い、上記実施形態で説明した製造方法により、複合管を作製した。実施例1,2に係る複合管の呼び径は、500mmであり、肉厚は10mmである。
実施例1に係る複合管の構成は、以下の通りである。
・外面保護層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル)を被覆したガラスペーパー(坪量:25g/m2、幅95mm)
・第2外側FRP層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ガラス繊維(ガラスロービング、2400texおよび4800tex)
・第1外側FRP層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ガラス繊維(ガラススダレ、1200tex)
・芯材:レジンモルタル(不飽和ポリエステル樹脂、硅砂、炭酸カルシウム)
・第1内側FRP層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ガラス繊維(ガラススダレ、1200tex)
・第2内側FRP層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ガラス繊維(ガラスロービング、2400texおよび4800tex)
・第3内側FRP層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ガラス繊維(ガラススダレ、600tex)
・内面保護層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル)を被覆したガラスペーパー(坪量:25g/m2、幅95mm)
実施例2に係る複合管は、上記実施例1の構成に加え、第3外側FRP層を、外面保護層と第2外側FRP層との間に配置したものである。第3外側FRP層の構成は、第3内側FRP層と同じある。また、比較例は、実施例の構成のうち、第3内側FRP層が設けられていない以外は、同じである。
<2.評価>
(1) 三点曲げ試験
上記のように製造された実施例1,2及び比較例に係る複合管から、軸方向に300mm、周方向に30mmの試験片を切り出し、JIS K 7071にしたがって、図9に示すように、三点曲げ試験を行った。実施例1,2及び比較例に係る試験片において、複合管の内面側に対応する面を下にして、試験装置に配置した。このとき、試験片の軸方向の両端を200mm離れた支点によって支持し、試験片の上面(複合管の外面)を押圧した。押圧位置は、支点間の中心である。また、押圧速度は、5mm/minであった。
そして、実施例1,2及び比較例について、各10個の試験片に対し、三点曲げ試験を行った。上記試験における破壊時の最大荷重から曲げ強度を算出したところ、結果は、以下の通りであった。以下の数値はいずれも10個の平均値である。
・実施例1:180.5MPa
・実施例2:177.7MPa
・比較例:86.5MPa
また、実施例1及び比較例については、軸方向に200mm、周方向に30mmの試験片を用い、支点間距離を160mmとし、その他の条件は上記と同じである試験も行った。結果は、以下の通りである。
・実施例1:187.7MPa
・比較例:87.5MPa
(2) 引張試験
実施例1,2及び比較例に係る複合管から、軸方向に300mm、周方向に50mmの試験片を切り出し、引張試験を行った。図10に示すように、各試験片の両端部の両面を、それぞれ長さが110mmのFRP補強材で被覆し、この部分を固定して、試験速度を1m/minの条件とした引張試験を行い、破壊時の引張強度を測定した。結果は、以下の通りであった。
・実施例1:56.3MPa
・実施例2:76.2MPa
・比較例:39.2MPa
(3) 横せん断試験
実施例1,2及び比較例に係る複合管から、軸方向に75mm、周方向に25mmの試験片を切り出し、JIS K7058にしたがって、横せん断試験を行った。試験速度は0.5mm/minとした。算出された横せん断強さは、以下の通りであった。
・実施例1:60.1MPa
・実施例2:70.9MPa
・比較例:50.8MPa
上記のように、三点曲げ試験において、実施例1,2は比較例の2倍以上の曲げ強度を示した。引張試験及び横せん断試験においても、実施例1,2は比較例に比べ、高い強度を示している。また、実施例1,2を比較すると、第3外側FRP層を有する実施例2は、引張試験及び横せん断試験において、実施例1よりも高い強度を示している。したがって、実施例1,2に係る複合管では、外周面からの荷重に対し、十分な強度を有していることが分かった。
1 外面保護層
2 第2外側FRP層
3 第1外側FRP層
4 芯材
5 第1内側FRP層
6 第2内側FRP層
7 第3内側FRP層
8 内面保護層
9 第3外側FRP層

Claims (11)

  1. 円筒状の芯材と、
    前記芯材の径方向外方の面に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1外側FRP層と、
    前記第1外側FRP層の径方向外方の面に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2外側FRP層と、
    前記芯材の径方向内方の面に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1内側FRP層と、
    前記第1内側FRP層の径方向内方の面に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2内側FRP層と、
    前記第2内側FRP層の径方向内方の面に配置され、少なくとも軸方向に延びる強化繊維を含有する第3内側FRP層と、
    前記第3内側FRP層の径方向内方に配置される内面保護層と、
    を備え、
    前記第3内側FRP層において、前記軸方向に延びる強化繊維は、周方向に並ぶように配置されている、複合管。
  2. 円筒状の芯材と、
    前記芯材の径方向外方の面に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1外側FRP層と、
    前記第1外側FRP層の径方向外方の面に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2外側FRP層と、
    前記芯材の径方向内方の面に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1内側FRP層と、
    前記第1内側FRP層の径方向内方の面に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2内側FRP層と、
    前記第2内側FRP層の径方向内方の面に配置され、少なくとも軸方向に延びる強化繊維を含有する第3内側FRP層と、
    を備え、
    前記第3内側FRP層において、前記軸方向に延びる強化繊維は、周方向に並ぶように配置され、
    前記第3内側FRP層は、軸方向に延びる強化繊維と周方向に延びる強化繊維とを含有している、複合管。
  3. 円筒状の芯材と、
    前記芯材の径方向外方の面に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1外側FRP層と、
    前記第1外側FRP層の径方向外方の面に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2外側FRP層と、
    前記芯材の径方向内方の面に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1内側FRP層と、
    前記第1内側FRP層の径方向内方の面に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2内側FRP層と、
    前記第2内側FRP層の径方向内方の面に配置され、少なくとも軸方向に延びる強化繊維を含有する第3内側FRP層と、
    前記第3内側FRP層の径方向内方に配置される内面保護層と、
    を備え、
    前記第3内側FRP層において、前記軸方向に延びる強化繊維は、周方向に並ぶように配置され、
    前記第3内側FRP層は、軸方向に延びる強化繊維と周方向に延びる強化繊維とを含有している、複合管。
  4. 前記第3内側FRP層は、主として軸方向に延びる強化繊維のみを含有している、請求項に記載の複合管。
  5. 前記第2外側FRP層の径方向外方に配置される外面保護層をさらに備えている、請求項1から4のいずれかに記載の複合管。
  6. 前記第3内側FRP層の強化繊維の少なくとも一部は、当該複合管の内壁面から径方向内方に1mm以内に位置に配置されている、請求項1からのいずれかに記載の複合管。
  7. 前記軸方向に延びる強化繊維の周方向の単位長さ当たりの本数は、前記周方向に延びる強化繊維の軸方向の単位長さ当たりの本数よりも少ない、請求項1から6のいずれかに記載の複合管。
  8. 前記軸方向に延びる強化繊維は、周方向に10cm当たり、10~100本配置されている、請求項1から7のいずれかに記載の複合管。
  9. 前記第3内側FRP層の強化繊維は、前記軸方向に所定の長さで延びる複数の強化繊維を周方向に並べた織布を、軸方向に一部を重ねながら螺旋状に巻き付けることで構成されている、請求項1から8のいずれかに記載の複合管。
  10. 前記芯材は、レジンモルタルを含有している、請求項1から9のいずれかに記載の複合管。
  11. 前記第2外側FRP層の径方向外方に配置され、少なくとも軸方向に延びる強化繊維を含有する第3外側FRP層を、さらに備えている、請求項1から10のいずれかに記載の複合管。
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