JP7311956B2 - 複合管 - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態に係る複合管の斜視図であり、図2は図1の複合管の内部の層構成を示す拡大斜視図である。但し、図2においては、強化繊維が含浸される樹脂を省略して示している。図1及び図2に示すように、この複合管は、円筒状に形成され、径方向の外方から内方に向けて以下の複数の層で構成されている。
・外面保護層1
・第2外側FRP層2
・第1外側FRP層3
・芯材4
・第1内側FRP層5
・第2内側FRP層6
・第3内側FRP層7
・内面保護層8
芯材4は、円筒状のレジンモルタルによって構成されている。レジンモルタルは、特には限定されないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂に、硅砂、炭酸カルシウム、及びガラス繊維のチョップドストランドを添加することで形成することができる。芯材の厚みは、特には限定されないが、例えば、2~55mmとすることができ、また複合管の厚みの30~90%とすることができる。芯材は、その他の材料で形成することもでき、例えば、コンクリートやモルタルにより形成することができる。
第1外側FRP層3は、芯材の外周面に配置される層であり、強化繊維が含有された熱硬化性樹脂により構成される。この第1外側FRP層3内では、軸方向に延びる複数の強化繊維が周方向に並べられている。強化繊維としては、特には限定されないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、あるいはアラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等の有機繊維を用いることができ、これらの材料で形成された単繊維を撚り合わせたもの(ロービング)とすることができる。各強化繊維の太さは、例えば、40~5000texとすることができる。
第2外側FRP層2は、第1外側FRP層3の外周面に配置される層であり、第1外側FRP層3と同様に、強化繊維が含有された熱硬化性樹脂により構成される。但し、この第2外側FRP層2内では、周方向に延びる複数の強化繊維が軸方向に並べられている。あるいは、周方向に延びる複数の強化繊維を、芯材の周囲にらせん状に巻き付けることもできる。また、強化繊維は、軸方向の10cm当たり、例えば、20~400本配置することができる。特に、複合管は管内からの内圧により周方向に受ける力が、軸方向に受ける力よりも大きいため、上述した第1外側FRP層3よりも強化繊維の密度を大きくしている。なお、複数の強化繊維は、複合管の厚み方向に複数層設けることもできる。
外面保護層1は、第2外側FRP層2の外周面に配置される層であり、複合管の最外層を構成している。外面保護層1は、表面が平滑なシート材であるのが好ましく、シート材であれば特には限定されないが、例えば、ガラスペーパー、ガラス繊維(後述するガラススダレ)、ガラスクロス、ガラス繊維等の無機不織布あるいはポリエステル繊維等の有機不織布の表面に熱硬化性樹脂、ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂または塩化ビニリデン樹脂を被覆もしくは含浸したものを用いることができる。このような外面保護層1を設けることで、第2外側FRP層2を保護することができる。あるいは、外面保護層1は、シート材を含まず上述した樹脂が硬化したものでもよい。特に、第2外側FRP層2の表面は強化繊維によって凹凸が生じることがあるため、複合管の表面を平滑にするという役割もある。なお、シート材は硬化前の樹脂を定着させるものであればよく、発泡体などでもよい。
第1内側FRP層5は、芯材の内周面に配置される層であり、第1外側FRP層3と概ね同様の構成を有している。すなわち、軸方向に延びる複数の強化繊維が含有された熱硬化性樹脂により構成される。
第2内側FRP層6は、第1内側FRP層5の内周面に配置されたものであり、第2外側FRP層2と概ね同様の構成を有している。すなわち、周方向に延びる複数の強化繊維が含有された熱硬化性樹脂により構成される。
第3内側FRP層7は、第2内側FRP層6の内周面に配置される層であり、第1内側FRP層5と概ね同様の構成を有している。すなわち、軸方向に延びる複数の強化繊維が含有された熱硬化性樹脂により構成される。なお、第3内側FRP層7の強化繊維は、次に説明する内面保護層8の厚みにもよるが、複合管の最内面から径方向内方に、1.0mm以内に配置されることが好ましく、0.5mm以内に配置されることがより好ましく、0.05mm以内に配置されることがさらに好ましい。
内面保護層8は、第3内側FRP層7の外周面に配置されたものであり、上述した外面保護層1と概ね同様の構成を有している。
上記のように構成された複合管は、種々の方法で製造することができるが、例えば、以下のように製造することができる。まず、以下の材料を準備する。
例えば、図5に示すように、複合管の外周面に異物70による荷重が加わった場合、複合管には曲げ変形が生じる。これにより、複合管の内面には軸方向の引張ひずみが生じ、複合管の外面には軸方向の圧縮ひずみが生じる。このような荷重が作用すると、複合管が破損し、漏水が生じるおそれがある。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は、適宜組み合わせ可能である。
上記実施形態では、内面保護層8及び外面保護層1を設けているが、これらは必ずしも必要ではなく、いずれか一方、あるいは両方を設けなくてもよい。したがって、本発明に係る複合管は、少なくとも、芯材4、第1外側FRP層3、第2外側FRP層2、第1内側FRP層5、第2内側FRP層6、及び第3内側FRP層7を有していればよい。また、これら以外の層を設けることも可能であり、例えば、各層の間に適宜、強化層、保護層などを設けることもできる。
上記実施形態において、第1外側FRP層3、第1内側FRP層5、及び第3内側FRP層7の強化繊維は軸方向に延びているが、強化繊維の数、配置方法は各層で異なるものとすることができる。同様に、第2外側FRP層2、及び第2内側FRP層6の強化繊維は周方向に延びているが、強化繊維の数、配置方法は各層で異なるものとすることができる。また、各層の強化繊維及び熱硬化性樹脂の材料を、異なるものとすることもできる。
上記実施形態では、軸方向に延びる強化繊維の数を、周方向に延びる強化繊維の数よりも少なくしているが、同じ、あるいは多くすることもできる。
上記実施形態では、第3内側FRP層7に、軸方向に延びる強化繊維を設けているが、これに限定されない。例えば、軸方向に延びる強化繊維と周方向に延びる強化繊維とを含むガラスクロス等の織布を、強化繊維として第3内側FRP層7内に配置することができる。
上記実施形態では、芯材の径方向外方に2層のFRP層2,3を設けているが、芯材4の径方向内方と同様に、3層のFRP層を設けることができる。すなわち、図7に示すように、上記第2外側FRP層2と外面保護層1との間に、第3外側FRP層9を配置することができる。この第3外側FRP層9は、第3内側FRP層7と同様の構成を有している。
実施例1,2として以下のような材料を用い、上記実施形態で説明した製造方法により、複合管を作製した。実施例1,2に係る複合管の呼び径は、500mmであり、肉厚は10mmである。
・外面保護層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル)を被覆したガラスペーパー(坪量:25g/m2、幅95mm)
・第2外側FRP層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ガラス繊維(ガラスロービング、2400texおよび4800tex)
・第1外側FRP層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ガラス繊維(ガラススダレ、1200tex)
・芯材:レジンモルタル(不飽和ポリエステル樹脂、硅砂、炭酸カルシウム)
・第1内側FRP層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ガラス繊維(ガラススダレ、1200tex)
・第2内側FRP層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ガラス繊維(ガラスロービング、2400texおよび4800tex)
・第3内側FRP層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ガラス繊維(ガラススダレ、600tex)
・内面保護層:熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル)を被覆したガラスペーパー(坪量:25g/m2、幅95mm)
(1) 三点曲げ試験
上記のように製造された実施例1,2及び比較例に係る複合管から、軸方向に300mm、周方向に30mmの試験片を切り出し、JIS K 7071にしたがって、図9に示すように、三点曲げ試験を行った。実施例1,2及び比較例に係る試験片において、複合管の内面側に対応する面を下にして、試験装置に配置した。このとき、試験片の軸方向の両端を200mm離れた支点によって支持し、試験片の上面(複合管の外面)を押圧した。押圧位置は、支点間の中心である。また、押圧速度は、5mm/minであった。
・実施例1:180.5MPa
・実施例2:177.7MPa
・比較例:86.5MPa
・実施例1:187.7MPa
・比較例:87.5MPa
実施例1,2及び比較例に係る複合管から、軸方向に300mm、周方向に50mmの試験片を切り出し、引張試験を行った。図10に示すように、各試験片の両端部の両面を、それぞれ長さが110mmのFRP補強材で被覆し、この部分を固定して、試験速度を1m/minの条件とした引張試験を行い、破壊時の引張強度を測定した。結果は、以下の通りであった。
・実施例1:56.3MPa
・実施例2:76.2MPa
・比較例:39.2MPa
実施例1,2及び比較例に係る複合管から、軸方向に75mm、周方向に25mmの試験片を切り出し、JIS K7058にしたがって、横せん断試験を行った。試験速度は0.5mm/minとした。算出された横せん断強さは、以下の通りであった。
・実施例1:60.1MPa
・実施例2:70.9MPa
・比較例:50.8MPa
2 第2外側FRP層
3 第1外側FRP層
4 芯材
5 第1内側FRP層
6 第2内側FRP層
7 第3内側FRP層
8 内面保護層
9 第3外側FRP層
Claims (11)
- 円筒状の芯材と、
前記芯材の径方向外方の面に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1外側FRP層と、
前記第1外側FRP層の径方向外方の面に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2外側FRP層と、
前記芯材の径方向内方の面に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1内側FRP層と、
前記第1内側FRP層の径方向内方の面に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2内側FRP層と、
前記第2内側FRP層の径方向内方の面に配置され、少なくとも軸方向に延びる強化繊維を含有する第3内側FRP層と、
前記第3内側FRP層の径方向内方に配置される内面保護層と、
を備え、
前記第3内側FRP層において、前記軸方向に延びる強化繊維は、周方向に並ぶように配置されている、複合管。 - 円筒状の芯材と、
前記芯材の径方向外方の面に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1外側FRP層と、
前記第1外側FRP層の径方向外方の面に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2外側FRP層と、
前記芯材の径方向内方の面に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1内側FRP層と、
前記第1内側FRP層の径方向内方の面に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2内側FRP層と、
前記第2内側FRP層の径方向内方の面に配置され、少なくとも軸方向に延びる強化繊維を含有する第3内側FRP層と、
を備え、
前記第3内側FRP層において、前記軸方向に延びる強化繊維は、周方向に並ぶように配置され、
前記第3内側FRP層は、軸方向に延びる強化繊維と周方向に延びる強化繊維とを含有している、複合管。 - 円筒状の芯材と、
前記芯材の径方向外方の面に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1外側FRP層と、
前記第1外側FRP層の径方向外方の面に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2外側FRP層と、
前記芯材の径方向内方の面に配置され、軸方向に延びる強化繊維を含有する第1内側FRP層と、
前記第1内側FRP層の径方向内方の面に配置され、周方向に延びる強化繊維を含有する第2内側FRP層と、
前記第2内側FRP層の径方向内方の面に配置され、少なくとも軸方向に延びる強化繊維を含有する第3内側FRP層と、
前記第3内側FRP層の径方向内方に配置される内面保護層と、
を備え、
前記第3内側FRP層において、前記軸方向に延びる強化繊維は、周方向に並ぶように配置され、
前記第3内側FRP層は、軸方向に延びる強化繊維と周方向に延びる強化繊維とを含有している、複合管。 - 前記第3内側FRP層は、主として軸方向に延びる強化繊維のみを含有している、請求項1に記載の複合管。
- 前記第2外側FRP層の径方向外方に配置される外面保護層をさらに備えている、請求項1から4のいずれかに記載の複合管。
- 前記第3内側FRP層の強化繊維の少なくとも一部は、当該複合管の内壁面から径方向内方に1mm以内に位置に配置されている、請求項1から5のいずれかに記載の複合管。
- 前記軸方向に延びる強化繊維の周方向の単位長さ当たりの本数は、前記周方向に延びる強化繊維の軸方向の単位長さ当たりの本数よりも少ない、請求項1から6のいずれかに記載の複合管。
- 前記軸方向に延びる強化繊維は、周方向に10cm当たり、10~100本配置されている、請求項1から7のいずれかに記載の複合管。
- 前記第3内側FRP層の強化繊維は、前記軸方向に所定の長さで延びる複数の強化繊維を周方向に並べた織布を、軸方向に一部を重ねながら螺旋状に巻き付けることで構成されている、請求項1から8のいずれかに記載の複合管。
- 前記芯材は、レジンモルタルを含有している、請求項1から9のいずれかに記載の複合管。
- 前記第2外側FRP層の径方向外方に配置され、少なくとも軸方向に延びる強化繊維を含有する第3外側FRP層を、さらに備えている、請求項1から10のいずれかに記載の複合管。
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