次に、添付図面に基づいて、本発明に係るホールコンピュータの実施形態につき説明する。
図1に示すのは、遊技機関連情報管理システム1の概略構成であり、遊技場2内にホールコンピュータ3が設置される。遊技場2内では、遊技場内ネットワーク21を介して、ホールコンピュータ3、遊技ユニット4、弾球遊技機5、回胴式遊技機6、精算機22、賞品管理POS23等が接続される。なお、遊技機関連情報管理システム1では、弾球遊技機5と回胴式遊技機6を遊技場内ネットワーク21に接続せず、弾球遊技機5は遊技ユニット4Aを介して、回胴式遊技機6は遊技ユニット4Bを介して、遊技情報等がホールコンピュータ3へ送信されるものとした。また、管理対象の遊技機は、弾球遊技機5および回胴式遊技機6に限らず、遊技ユニット4に対応して設けられる遊技機であれば、アレンジボールやじゃん球遊技機等でも良い。
各遊技ユニット4A,4Bより諸情報を受信するホールコンピュータ3は、遊技場内データベース31の機能を備え、受信した諸情報を蓄積・更新(以下、集計という)し、分析や検索を行うのに便利なように各種情報を有機的に整理する。諸情報を集計・整理する管理機能を備えたホールコンピュータ3は、用途に応じて様々な帳票を作成し、遊技場2の経営者や管理者に提示できる。この遊技場内データベース31は、例えば、ROM,RAM,CPU,I/O,大容量記憶装置等を備えたハードウェア資源でデータベースプログラムを走らせることにより実現できる。
遊技場内データベース31にて管理する情報は、遊技機の稼働中に発生する諸情報と、遊技ユニットの稼働中に発生する諸情報を含む遊技機関連情報である。遊技機関連情報は、例えは、弾球遊技機5や回胴式遊技機6の遊技情報および遊技媒体表示情報、遊技ユニット4A,4Bが管理する売上/景品情報を含む。遊技情報とは、弾球遊技機5や回胴式遊技機6で遊技が進行することに伴って発生する様々な情報群である。遊技媒体表示情報とは、弾球遊技機5や回胴式遊技機6での遊技に使える遊技媒体の数量を遊技者に表示するための情報などである。売上/景品情報とは、遊技ユニット4A,4Bによって遊技媒体の交換に供された金額や遊技者が遊技で獲得した遊技媒体(景品玉)の情報などである。本実施形態では、弾球遊技機5や回胴式遊技機6で発生する遊技情報等を遊技ユニット4A,4Bが取得し、遊技ユニット4A,4Bが遊技機関連情報に纏めてホールコンピュータ3へ送信するものとしたが、これに限定されない。例えば、弾球遊技機5(あるいは回胴式遊技機6)と遊技ユニット4A,4Bが別々に諸情報を送信し、ホールコンピュータ3にて遊技機関連情報に纏めても良い。或いは、遊技ユニット4A,4Bから売上/景品情報を取得した弾球遊技機5や回胴式遊技機6が遊技機関連情報に纏めてホールコンピュータ3へ送信するものとしても良い。或いは、弾球遊技機5(あるいは回胴式遊技機6)と遊技ユニット4A,4Bが別々に出力する諸情報を中継装置が遊技機関連情報に纏めてホールコンピュータ3へ送信するものとしても良い。
また、ホールコンピュータ3には、貸出単価別情報管理手段32、機種別分析情報提示手段33、コーナ別分析情報提示手段34、時系列分析情報提示手段35、貸出単価変更異常判定手段36等(後に詳述する)を備える。これらの機能は、既存の遊技場内データベース31とは別の機能として設けても良いし、既存の遊技場内データベース31のソフトウェアを変更することで、遊技場内データベース31の追加機能として実装させても良い。
なお、本実施形態のホールコンピュータ3は、遊技場2に設置するものであるが、クラウドコンピューティングなどを用いて、ホールコンピュータ3の機能の全てもしくは一部を遊技場2の外部にて構成するようにしても構わない。例えは、専用回線やVPN(Virtual Private Network)などのWAN(Wide Area Network)101を介して接続されるセンター管理装置102が、各遊技場2の遊技機関連情報を集約的に管理して、各遊技場2へホールコンピュータ3の機能を提供するようにしても良い。このように遊技場2の外部で情報管理を集約して行う場合、各遊技場2にはクライアントコンピュータ等の情報受信端末を設けておけば良いので、各遊技場2が独自にデータベースの保守・管理を行う負担を軽減できるという利点がある。
上述したホールコンピュータ3が情報収集の対象とする弾球遊技機5は、遊技者が遊技媒体としての遊技球に一切触れることなく遊技進行を行える封入式のパチンコ機であり、回胴式遊技機6は、遊技者が遊技媒体としてのコインに一切触れることなくBETできるコインレスのスロットマシンである。封入式の弾球遊技機5やコインレスの回胴式遊技機6を用いるのは、遊技ユニット4(以下、遊技機の種別による区別が必要ない場合、単に遊技ユニット4という)によって遊技媒体の貸出単価を任意のタイミングで変更できるようにするためである。遊技媒体の貸出単価が低ければ、投入金額に対して多くの遊技媒体を借り受けることができ、逆に遊技媒体の貸出単価が高ければ、投入金額に対して比較的少ない遊技媒体しか借り受けることができない。通常、遊技結果として獲得した遊技媒体である景品玉の価値は、遊技媒体の貸出単価と対応させているため、低い貸出単価で借り受けた貸玉を使って、高い貸出単価の弾球遊技機5や回胴式遊技機6で遊技できると、景品玉の価値を保つことができないのである。
しかし、封入式の弾球遊技機5およびコインレスの回胴式遊技機6で遊技を行うと、遊技者が遊技媒体を持ち出すことができないので、遊技に消費された遊技媒体数や遊技で獲得した景品玉数を正確なデータとして遊技ユニット4が把握できる。このように、貸玉と景品玉のデータ管理が可能であれば、貸出単価を紐付けた貸玉と景品玉のデータ管理も可能となる。したがって、封入式の弾球遊技機5やコインレスの回胴式遊技機6を用いれば、遊技ユニット4によって遊技媒体の貸出単価を任意のタイミングで変更しても、貸出単価に対応した景品玉の価値を保持できる。また、ホールコンピュータ3の貸出単価別情報管理手段32は、貸し出された遊技媒体の貸出単価を遊技媒体に紐付けてデータ管理できると共に、景品玉を獲得する契機となった遊技媒体に紐付けられた貸出単価から景品玉の景品価値も管理できる。
図2(A)に示すのは、封入式の弾球遊技機5と、これに対応した遊技ユニット4Aをシリアル通信ケーブルSCで接続したものである。基本的に、弾球遊技機5の左側に遊技ユニット4Aが設置される。
遊技ユニット4Aは、紙幣投入口41、操作手段付きの薄型表示装置42、遊技媒体貸出ボタン43、カード返却ボタン44、IDカードリーダ45を備える。なお、薄型表示装置42に設ける操作手段としては、押しボタンや操作ダイヤルを設けても良いし、タッチパネル式液晶表示器を用いて手指のタッチ操作を検知するようにしても良い。弾球遊技機5は、遊技媒体としての遊技球が飛入する遊技領域内に変動図柄51、スタートチャッカ52、アタッカ53等を備え、操作ハンドル54を時計回りに回転させると、遊技結果表示装置55に表示された遊技媒体数を減じつつ、減じた分だけ遊技球を発射する。
遊技開始時には、遊技ユニット4Aの紙幣投入口41に紙幣を挿入し、挿入された紙幣に相当する金額および遊技媒体数が薄型表示装置42に表示される。遊技者が遊技媒体貸出ボタン43を操作することにより、予め設定された遊技媒体数が弾球遊技機5に転送され、遊技結果表示装置55に表示されると共に、薄型表示装置42に表示されている金額および遊技媒体数が転送分だけ減算される。なお、遊技結果表示装置55の表示数が0になっていなくても、任意のタイミングで遊技媒体貸出ボタン43を操作し、遊技に使用できる遊技媒体数を加算できる。
遊技者が弾球遊技機5で遊技を開始すると、発射した遊技球の数が遊技結果表示装置55に表示された遊技媒体数から減算される。発射された遊技球が何れかの入賞口に入賞すると、入賞口の種別に応じた数の遊技媒体(景品玉)を獲得でき、遊技結果表示装置55の表示数が更新される。発射された遊技球が何れの入賞口にも入賞しなければ、アウト口から回収された後に発射位置へ戻され、発射球として循環利用される。なお、アウト口から回収された遊技球を機外へ排出して遊技島内の玉循環装置へ戻し、清掃・研摩された遊技球を各弾球遊技機5へ戻すようにしても良い。
発射された遊技球がスタートチャッカ52に入賞すると、変動図柄51が回転し、所定のタイミングで図柄停止する。停止した図柄が大当たりに該当しなければ、通常の遊技に戻るが、大当りになるとアタッカ53が一定期間解放され、発射された遊技球が次々に開放されたアタッカ53へ入賞して、例えば、最大15倍の遊技媒体(景品玉)を獲得できる。なお、図柄回転中にスタートチャッカ52に遊技球が入賞すると、この入賞分は保留となって記憶され、保留ランプ56の点灯により記憶数を表示する。保留があると、図柄停止後に保留記憶を使って変動図柄51の回転が実行される。
弾球遊技機5で遊技を行っているときに、遊技結果表示装置55に表示された遊技媒体数がゼロになると、遊技球の発射は行えない。この場合、遊技ユニット4Aに記憶されている残金が遊技媒体貸出ボタン43を操作可能な金額以上あれば、遊技媒体を借り受けることができる。しかし、残金が遊技媒体貸出ボタン43を操作可能な金額に満たなければ、改めて遊技ユニット4Aに紙幣を挿入して遊技媒体を借り受ける操作を行わなければ、遊技を継続できない。
遊技終了時には、弾球遊技機5の計数ボタン57を押下した後、遊技ユニット4Aのカード返却ボタン44を操作することにより、薄型表示装置42に表示されている金額のIDカードがIDカードリーダ45より発行される。遊技者は、このIDカードに記録された情報に基づいて、精算機22または賞品管理POS23にて清算を行えば良い。
図2(B)に示すのは、コインレスの回胴式遊技機6と、これに対応した遊技ユニット4Bをシリアル通信ケーブルSCで接続したものである。基本的に、回胴式遊技機6の右側に遊技ユニット4Bが設置される。
遊技ユニット4Bは、紙幣投入口41、操作手段付きの薄型表示装置42、遊技媒体貸出ボタン43、カード返却ボタン44、IDカードリーダ45を備える。なお、薄型表示装置42に設ける操作手段としては、押しボタンや操作ダイヤルを設けても良いし、タッチパネル式液晶表示器を用いて手指のタッチ操作を検知するようにしても良い。コインレスの回胴式遊技機6は、3桁のドラム構造の変動図柄61がスタートレバー62の操作によって回転を開始し、ストップボタン63を押すことで、変動図柄61の3図柄が順次停止する。なお、ゲームを開始するためにコインをBETするBETボタン64は、遊技結果表示装置65に表示された遊技媒体数の範囲でのみ操作できる。
遊技開始時には、遊技ユニット4Bの紙幣投入口41に紙幣を挿入し、挿入された紙幣に相当する金額および遊技媒体数が薄型表示装置42に表示される。遊技者が遊技媒体貸出ボタン43を操作することにより、予め設定された遊技媒体数が回胴式遊技機6に転送され、遊技結果表示装置65に表示されると共に、薄型表示装置42に表示されている金額および遊技媒体数が転送分だけ減算される。
遊技者が回胴式遊技機6で遊技を開始するには、BETボタン64を操作してメダルのBET数を決定し、スタートレバー62を操作する。スタートレバー62が操作されると、変動図柄61の図柄回転か開始されると共に、大当たり抽選が行われる。大当たり抽選に当選すると大当たりを獲得する権利が発生する。実際に、遊技者がストップボタン63を操作するか、または時間経過により自動停止した変動図柄61の停止図柄が大当り図柄となれば、大当たりが発生して、例えば、BETしたメダル枚数の最大15倍の遊技媒体を獲得でき、遊技結果表示装置65の遊技媒体数が更新される。
遊技終了時には、回胴式遊技機6の計数ボタン66を押下した後、遊技ユニット4Bのカード返却ボタン44を操作することにより、薄型表示装置42に表示されている金額のIDカードがIDカードリーダ45より発行される。遊技者は、このIDカードに記録された情報に基づいて、精算機22または賞品管理POS23にて清算を行えば良い。
上述した遊技ユニット4A,4Bでは、遊技媒体貸出ボタン43が操作されると、設定されている貸出単価での遊技媒体を遊技者へ貸し出すのであるが、遊技者は、この貸出単価を自らの意思で変更できる。貸出単価の変更を行うために、専用の単価変更ボタンを遊技ユニット4A,4Bに設けても良いが、意図せず単価変更ボタンが押されてしまう危険性がないように、薄型表示装置42のメニュー画面から遊技者の発意に基づいて行う操作例を図3に示す。
例えば、通常表示されているメインメニューから貸玉単価の変更を選択すると、図3(A)に示すような単価変更選択画面42aが表示される。単価変更選択画面42aには、現在の貸出単価が「4円」であるという情報を提示すると共に、操作できる貸出単価変更ボタン42a1と、貸出単価の変更をキャンセルするための戻るボタン42a2が表示される。この単価変更選択画面42aで貸出単価変更ボタン42a1が操作されると、図3(B)に示すような単価指示画面42bが表示される。単価指示画面42bには、指定可能な貸出単価として、2円指定ボタン42b1と1円指定ボタン42b2、さらに貸出単価の変更をキャンセルするための中止ボタン42b3が表示される。この単価指定画面42で1円指定ボタン42b2が操作されると、図3(C)に示すような単価変更選択画面42a′が表示される。単価変更選択画面42a′には、新たに指定された現在の貸出単価が「1円」であるという情報を提示すると共に、操作できる貸出単価変更ボタン42a1と、貸出単価の変更をキャンセルするための戻るボタン42a2が表示される。この貸出単価で良ければ、戻るボタン42a2を操作して上位メニューへ戻れば良い。貸出単価の指定を再度変更したい場合には、貸出単価変更ボタン42a1を押して単価指定画面42bを再度表示させれば良い。
なお、貸出単価の変更は任意のタイミングで行えるものとせず、予め定めた変更可能条件を満たす場合にのみ貸出単価の変更を行えるようにしても良い。例えば、変更可能条件として、遊技可能な持ち玉が残っていない(弾球遊技機5の遊技結果表示装置55あるいは回胴式遊技機6の遊技結果表示装置65に表示されている残数が0である)事とする。遊技可能な持ち玉が残っていると、貸出単価変更前の遊技結果を精算する処理が煩雑になるからである。なお、変更可能条件が成立していないときには、薄型表示装置42のメニュー画面から貸玉変更選択画面へ移行できなくしても良いし、貸玉変更選択画面に変更可能条件を満たしていない旨を表示しても良い。また、遊技ユニット4自身が時間帯によって貸出単価を自動で変更設定するようにしても良い。遊技媒体の貸出単価を可変設定できない固定単価の遊技ユニット4では、固定単価である旨を表示すると共に、メインメニューから貸玉単価の変更を選択できなくしたり、単価変更選択画面42aで貸出単価変更ボタンを選択できないようにしたりすれば良い。
上記のようにして貸出単価が変更されると、遊技ユニット4A,4Bは、遊技者によって新たに選択された貸出単価が分かる貸出単価変化信号をホールコンピュータ3へ出力する。この貸出単価変化信号によって、貸出単価別情報管理手段32は、当該遊技ユニット4に設定された新しい貸出単価を把握できる。すなわち、貸出単価別情報管理手段32は、貸出単価変化信号に基づいて当該遊技ユニット4に設定された貸出単価の記憶を更新すれば、以降に当該遊技ユニット4から受信する遊技機管理情報を新たな貸出単価と紐付けて管理(集計・整理)できる。なお、貸出単価別情報管理手段32が、遊技機関連情報と貸出単価とを紐付けて管理する手法は、特に限定されない。例えば、貸出単価別情報管理手段32が遊技場内データベース31の一機能として実装されている場合、遊技機毎に貸出単価別の遊技機管理情報記録テーブルを生成し、貸出単価別に遊技機管理情報記録テーブルを更新すれば良い。また、貸出単価別に遊技機関連情報を管理する機能が無い既存の遊技場内データベース31をそのまま使用しなければならない場合には、データベース31と同等機能の貸出単価別情報管理手段32を別途設ければ良い。かくすれば、貸出単価別に管理する対象となる遊技機および遊技ユニットからの遊技機関連情報のみ貸出単価別情報管理手段32によって管理し、貸出単価別に管理する必要の無い遊技機および遊技ユニットからの遊技機関連情報は、既存のデータベース31にて管理できる。
ホールコンピュータ3の遊技場内データベース31および貸出単価別情報管理手段32によって遊技機関連情報の管理(集計・整理)を行うため、様々な管理テーブルを用意しておく。例えば、図4に示す台番号管理テーブル31aは、遊技場内データベース31が参照可能なもので、各レコードに台番号(遊技場内に設置した遊技機を特定するためのユニークな番号)と機種番号(少なくとも遊技場2に導入している遊技機の機種を特定可能な番号)が記録されている。弾球遊技機5または回胴式遊技機6を入れ替えるときには、台番号管理テーブル31aの該当する台番号の機種番号を変更すれば良い。また、図5に示す機種管理テーブル31bは、各レコードに機種番号、機種名称、設置台数、導入日、開始番号(連続配置した同一機種の開始台番号)、終了番号(連続配置した同一機種の終了台番号)が記録されている。
台番号管理テーブル31aと機種管理テーブル31bとを関連づければ、台番号から当該機種の名称や導入日といった情報を得ることができる。また、機種管理テーブル31bには、該当機種の台番号の範囲(開始台番号から終了台番号の範囲)を特定できる情報が含まれているので、機種番号を特定することで、該当機種の全台番号を得ることができる。例えば、機種名称:CR東京湾ストーリの設置台数は2台であり、その台番号は001および002と特定できる。また、機種名称:CR小○物語の設置台数は14台であり、その台番号は201~114と特定できる。これを利用すれば、同一機種の遊技機情報を集計するのに便利である。
上記のような複数の管理テーブルを関連づけることで、各遊技ユニット4より送信された遊技機関連情報を有意な形式に加工して提示できる。なお、遊技機関連情報は、台番号ごとに、貸出単価別の管理テーブルへ集計・保存してゆく。図6にホールコンピュータ3が遊技ユニット4Aより受信する電文構造の一例を示す。
項目番号1は、送信元である遊技ユニット4が接続されている遊技機に割り付けられた台番号である。本項目の台番号によって、更新対象の管理テーブルが特定される。このとき、項目番号1で特定された遊技機が貸出単価を変更可能な台であった場合、貸出単価別情報管理手段32は、該当機における現在の貸出単価に基づいて、対応する貸出単価の管理テーブルを更新対象とする。
項目番号2は、現在の弾球遊技機5(あるいは回胴式遊技機6)の状態を管理するために、特賞中、ガラス開、扉開、異常発生などをリアルタイムに確認できる項目である。例えば、第1ビットに割り付けた特賞1状態がONであれば、特賞ブロック発生中を意味する。第2ビットに割り付けた特賞2状態がONであれば、特賞発生中を意味する。第3ビットに割り付けた特賞3状態がONであれば、小当たり発生中を意味する。第4ビットに割り付けた特賞4状態がONであれば、時短状態発生中を意味する。第5ビットに割り付けた扉状態がONであれば、扉OPEN状態発生中を意味する。第6ビットに割り付けたガラス状態がONであれば、ガラスOPEN状態発生中を意味する。第7ビットに割り付けた異常1がONであれば、異常1(磁石不正)発生中を意味する。第8ビットに割り付けた異常2がONであれば、異常2(電波不正)発生中を意味する。
項目番号3~15は、弾球遊技機5や付属装置等から出力される遊技情報とセキュリティ情報を示す各種数値である。なお、弾球遊技機5によっては、検出情報等を数値で出力せずに、パルス信号により出力するものもある。検出情報をパルス信号により出力する場合、パルス信号の累積数をカウントしてゆき、累積数が一定数(例えば、10)に達した時点でホールコンピュータ3へ送信するものとなっている。このような累積数を送信するタイプの弾球遊技機5や回胴式遊技機6では、貸出単価を変更する前から累積していたパルスが、貸出単価変更後に累積値として送信される可能性があり、貸出単価別の情報管理としては正確性を欠くものの、誤差は微少範囲と考えられる。
項目番号3のアウトは、遊技に使用された後に回収されて遊技機外のアウトセンサ等で検出された回収玉数の累積値である。なお、項目21のアウト1と項目23のアウト2は、特賞外か電チュウ時かで分別した累計値である。項目4のセーフは、入賞口やアタッカへ入賞して払い出された景品玉数の累計値である。なお、項目22のセーフ1と項目24のセーフ2は、特賞外か電チュウ時かで分別した累計値である。項目番号5~8の特賞1~特賞4は、それぞれ特賞1~特賞4に該当する当り発生回数の累計値である。
項目番号9のSは、変動図柄61の柄を停止させる図柄停止信号を出力した回数の累計値である。項目番号10のS1は、第1のスタートチャッカに入賞したスタート1入賞回数の累計値である。項目番号11のS2は、第2のスタートチャッカに入賞したスタート2入賞回数の累計値である。項目番号12の扉は、主たる遊技機能を含む前面扉が本体枠に対して開閉された扉開閉回数の累計値である。項目番号13のガラスは、遊技領域の全面を視認可能に塞いでいるガラス枠が前面扉に対して開閉されたガラス開閉回数の累計値である。項目番号14の異常1は、磁石を使って遊技球の流下経路を変更するような不正が行われた蓋然性の高い異常を検出した異常1検出回数の累計値である。項目番号15の異常2は、電波を放射して遊技制御装置を誤動作させるような不正が行われた蓋然性の高い異常を検出した異常2検出回数の累計値である。
項目番号16~20は、遊技ユニット4から出力される売上情報や景品情報を示す各種数値である。なお、遊技ユニット4によっては、検出情報等を数値で出力せずに、パルス信号により出力するものもある。検出情報をパルス信号により出力する場合、パルス信号の累積数をカウントしてゆき、累積数が一定数(例えば、10)に達した時点でホールコンピュータ3へ送信するものとなっている。このような累積数を送信するタイプの遊技ユニット4では、貸出単価を変更する前から累積していたパルスが、貸出単価変更後に累積値として送信される可能性があり、貸出単価別の情報管理としては正確性を欠くものの、誤差は微少範囲と考えられる。
項目番号16の貸玉1は、遊技ユニット4へ投入した金額を消費して借り受けた貸玉である預り金貸玉数の累計値である。項目番号17の貸玉2は、貯玉システムが導入されている遊技店で持ち玉を預け入れておいた貯玉を下ろして借り受けた貸玉である貯玉貸玉数の累計値である。項目番号18の貸玉3は、遊技終了時に取得したIDカードに記録された情報に基づいて借り受けた貸玉である持ち玉貸玉数の累計値である。項目番号19の入金は、遊技ユニット4に投入された金額の累計値である。項目番号20の計数1は、遊技ユニット4から弾球遊技機5(あるいは回胴式遊技機6)へ貸玉のデータとして送信された遊技媒体数の総計である計数値の累計値である。
なお、上述した電文構造は一例である。管理上不要な項目を減らしたり、別途、伝送項目を増やしたりしても良い。例えば、遊技ユニット4の現在の貸出単価を通知する項目を設けておけば、貸出単価の項目をキーとして、貸出単価別の集計等を行い易くなる。
各遊技ユニット4からの遊技機管理情報を蓄積した台毎の管理テーブルを用いれば、用途に応じて様々な帳票を作成できる。図7に示すのは、ホールコンピュータ3の貸出単価別情報管理手段32により遊技機関連情報を台番号別に集計・整理した基本帳票32aである。なお、貸出単価別情報管理手段32は貸出単価別の集計を行えるので、図8に示すように、各台を貸出単価別に表示した基本帳票32a′を提示することもできる。
基本帳票32aでは、台番号で指定される遊技機(弾球遊技機5あるいは回胴式遊技機6)ごとに、アウト、売上、粗利、割数、出率(出玉率)、S(スタート率)、TS(初当り確率)、BA(電チュウサポート時の戻り率)の各項目をレイアウトしてある。アウトの項目は、電文のアウト(項目番号3)である。売上の項目は、「(貸玉1+貸玉2)×貸出単価」の演算により求める。粗利の項目は、「(貸玉1+貸玉2)-(計数1-貸玉3)」の演算により求める。割数の項目は、「(貸玉1+貸玉2)÷(計数1-貸玉3)×10」の演算により求める。出率の項目は、「セーフ÷アウト×100〔%〕」の演算により求める。Sの項目は、「S÷(アウト1÷100)」の演算により求める。TSの項目は、「S÷特賞1」の演算により求める。BAの項目は、「セーフ2÷アウト2×100〔%〕」の演算により求める。
基本帳票32aでは、3種類の貸出単価すべての合計値を表示しているだけであるが、貸出単価別に各項目を表示した基本帳票32a′のように、遊技機管理情報を貸出単価別に管理しておかなければ、正確な項目値を求めることができない。特に、売上の項目は、貸出単価別に管理されていないと、求めることができない。仮に、「貸玉1+貸玉2」が貸出単価4円で8750玉、2円で2000玉、1円で4000玉とする。全玉数の合算値は14750玉となるが、この合算値に対応する貸出単価を特定できないため、売上金額を計算できない。しかし、貸出単価別に「貸玉1+貸玉2」の玉数を集計していれば、貸出単価別に売上金額を計算できる。貸出単価4円の売上金額=8750×4=35000円、貸出単価2円の売上金額=2000×2=4000円、貸出単価1円の売上金額=2000×1=2000円、となる。貸出単価別の売上金額を合計することにより、台番号001の弾球遊技機5(あるいは回胴式遊技機6)における売上金額として、43000円を求められる。その他の項目値についても、貸出単価別に演算して貸出単価別に提示することで、遊技場2の管理者等にとって非常に有益な情報を提供できる。
なお、図7および図8に示した基本帳票32a,32a′では、台番号の若い順に並べて示したが、売上や粗利の高いものあるいは低いもの順に並べるようにソートすることもできるので、より分析しやすい形の帳票を作成すれば良い。また、基本帳票32a,32a′で使った項目は、あくまでも一例であり、管理上不要な項目を減らしたり、新たな計算式に基づく表示項目を増やしたりしても良い。帳票の提示手法は、遊技場2の管理者等が確認できれば特に限定されず、紙面に印字するものでも良いし、ディスプレイに表示するものでも良い。また、弾球遊技機5(あるいは回胴式遊技機6)の稼働中に遊技者が選ばなかったため、データがNULLのままとなっている貸出単価がある場合は、該当する貸出単価の印刷あるいは表示を省略しても良い。
上述した基本帳票32a,32a′は、弾球遊技機5(あるいは回胴式遊技機6)毎に集計したものであったが、より大きな括りとして機種毎に集計した帳票を提示しても良い。図9および図10に示すのは、機種別分析情報提示手段33によって弾球遊技機5の機種別に作成した機種別帳票33a,33a′である。この機種別帳票33a,33a′は、機種の評価・分析を行うために有用な情報を提示するものである。
機種別帳票33a,33a′では、弾球遊技機5の機種ごとに、設置、アウト、売上、玉価、粗利、玉利、出率、割数、貸価の各項目をレイアウトしてある。設置の項目は、当該遊技場2に設置されている当該機種の設置台数である。アウトの項目は、電文のアウト(項目番号3)である。売上の項目は、「(貸玉1+貸玉2)×貸出単価」の演算により求める。玉価の項目は、「{(貸玉1+貸玉2)×貸出単価}÷アウト1」の演算により求める。粗利の項目は、「(貸玉1+貸玉2)-(計数1-貸玉3)」の演算により求める。玉利の項目は、「粗利÷アウト1」の演算により求める。出率の項目は、「セーフ÷アウト×100〔%〕」の演算により求める。割数の項目は、「(貸玉1+貸玉2)÷(計数1-貸玉3)×10」の演算により求める。貸価の項目は、当該機種の貸出単価であり、複数種類の貸出単価を可変設定できる場合には、便宜上その平均値を示しておく。
機種別帳票33a,33a′において、設置台数やアウト値の項目は、各機種の人気度を評価・分析するのに有用な情報である。売上値や粗利の項目は、各機種の全国平均と比較することで、当該機種に対して適切な運用設定がなされているかを評価・分析するのに有用な情報である。粗利や割数の項目は、利益管理に有用な情報である。機種別帳票33a,33a′における各項目値も、複数の貸出単価を可変設定できる機種では、貸出単価別に演算することで、遊技場2の管理者等にとって非常に有益な情報となる。複数の貸出単価を可変設定できる機種には、単価別表示に切り替えるための単価別表示指示ボタン33bを設け、この単価別表示指示ボタン33bが操作されると、当該機種の単価別表示を付加した機種別帳票33a′を提示する。なお、単価別表示が付加された機種別帳票33a′の該当機種欄には、単価別表示隠しボタン33cを設けてあり、単価別表示があると却って全体を把握し難い場合などには、単価別表示隠しボタン33cを操作することで、単価別表示を隠せる。
また、機種別分析情報提示手段33によって生成した機種別帳票33a,33a′においては、問題のある可能性が高い項目を特別表示(例えば、グレーアウト表示)にして、気づき易くしておく。特別表示にするのは、各項目値の適正範囲を悪い方に越えている値がある項目とする。図9の機種別帳票33aでは、機種名称:CR東京湾ストーリの玉価と玉利が適正範囲を下回っているためにグレーアウト表示となっている。これを貸出単価別表示にした機種別帳票33a′で見ると、貸出単価1円での結果が足を引っ張っているものと分析できる。なお、各項目値の適正範囲を良い方に越えている値がある項目を優良項目として、特別表示を行うようにしても良い。
上述した標準帳票32aの台別表示や機種別帳票33aの機種別表示は、弾球遊技機5(あるいは回胴式遊技機6)単体や機種に着目して集計した情報であるが、そのほかの概念で括り、遊技機関連情報を集計した帳票を提示するようにしても良い。例えば、予め定めた分類指標に基づいて弾球遊技機5や回胴式遊技機6を複数のコーナに分類するコーナ別分析情報提示手段34により、コーナ別に集計したコーナ別帳票を提示しても良い。貸出単価の違いを分類指標としてコーナを分ければ、1円コーナ、2円コーナ、4円コーナ、自由単価コーナ等に分けてコーナ別帳票を提示できる。なお、コーナの分類は貸出単価に限らず、弾球遊技機5や回胴式遊技機6の設置場所で分類しても良い。比較的広い店舗の遊技場2では、出入り口から近いとか喫煙所や休憩エリアが近いといった場所的要因から客付きの善し悪しが変わることもあるので、設置場所によるコーナ別帳票も、遊技場2の管理者等にとって有益な情報となる。そのほかのコーナ分類指標として、遊技機タイプ別(一般機と甘デジ機など)、遊技機メーカ別などを用いても良い。
コーナ分類の一例を、図11に基づいて説明する。弾球遊技機5や回胴式遊技機6は、遊技場2内にて、遊技機島と呼ばれる構造物へ整列状に取り付けられる。図11に示すのは、直線状の遊技島による構成例で、相対向する2壁に片面島を設け、その間に複数の両面島を設けた構造である。例えば、一側壁側の片面島である第1機列24aには、台番号001~018の弾球遊技機5や回胴式遊技機6を設ける。第1機列24aと通路を挟んで対向する両面島の第2機列24bには、台番号019~036の弾球遊技機5や回胴式遊技機6を設ける。両面島において第2機列24bと対向する第3機列24cには、台番号037~054の弾球遊技機5や回胴式遊技機6を設ける。第3機列24cと通路を挟んで対向する両面島の第4機列24dには、台番号055~072の弾球遊技機5や回胴式遊技機6を設ける。両面島において第4機列24dと対向する第5機列24eには、台番号073~090の弾球遊技機5や回胴式遊技機6を設ける。第5機列24eと通路を挟んで対向する両面島の第6機列24fには、台番号091~108の弾球遊技機5や回胴式遊技機6を設ける。両面島において第6機列24fと対向する第7機列24gには、台番号109~126の弾球遊技機5や回胴式遊技機6を設ける。第7機列24gと通路を挟んで対向する他側壁側の片面島である第8機列24hには、台番号127~144の弾球遊技機5や回胴式遊技機6を設ける。なお、島の形状としては直線島のほか、R島、円形島、雁行島などが存在する。
上記のような第1~第8機列24a~24hに弾球遊技機5や回胴式遊技機6を取り付ける場合、遊技者の利便性を優先するために、島単位で括らずに、同一機種を近くに設置して管理する機種別レイアウトが用いられる場合がある。図11に示す遊技場2では、第1機列24aの台番号001~009と第2機列24bの台番号028~036に同一機種を設置した第1機種グループG1とする。同様に、第1機列24aの台番号010~018と第2機列24bの台番号019~027に同一機種を設置した第2機種グループG1とする。第3機列24cの全台(台番号037~054)と第4機列24dの全体(台番号055~072)に同一機種を設置した第3機種グループG3とする。同様に、第5機列24eの全台(台番号073~090)と第6機列24fの全体(台番号091~108)に同一機種を設置した第4機種グループG4とする。第7機列24gの台番号109~117と第8機列24hの台番号136~144に同一機種を設置した第5機種グループG5とする。同様に、第7機列24gの台番号118~126と第8機列24hの台番号127~135に同一機種を設置した第6機種グループG6とする。
これら第1~第6機種グループG1~G6によるコーナ分類に基づいて生成したコーナ別帳票は、機種別帳票と類似の情報ではあるが、コーナとしての設置場所を加味した分析が可能である。例えば、第1機種グループG1と第6機種グループG6に同一機種が設置されているにもかかわらず、両グループの売上等に顕著な差が生じていた場合、設置場所が一つの要因ではないかと分析できる。
上述した第1~第6機種グループG1~G6に分類された同一機種群を、更に分類することができる。例えば、第3機種グループG3は、貸出単価が4円に固定された第3機種4円コーナG3aと、貸出単価を自由に選択できる第3機種自由コーナG3bに分類する。具体的には、第3機列24cの台番号037~045と第4機列24dの台番号064~072より成る第3機種4円コーナG3aは第3機種の4円専用コーナである。また、第3機列24cの台番号046~054と第4機列24dの台番号055~063より成る第3機種自由コーナG3bは第3機種の自由単価コーナである。
図12に、4円専用コーナと自由単価コーナに設置されている同一機種の遊技機関連情報から作成したコーナ別帳票34a,34bを示す。図12(A)のコーナ別帳票34aでみると、機種名称:CR小○物語は4円専用コーナの稼動が自由単価コーナの半分以下であり、粗利も2割減であることが解る。こうしたケースの場合、4円専用コーナの台数を減らして、自由単価コーナの台数を増やすことが望ましい。一方、図12(B)のコーナ別帳票34bでみると、この機種では4円専用コーナの稼動が自由単価コーナより低いが、粗利は1割増であることが解る。こうしたケースの場合、現状の割合が理想的であると考えられる。このように、コーナ別帳票34a,34bを分析することにより、自由単価コーナをどれだけ設けるか判断するための情報として有用である。
次に、任意の時間幅で区切った時系列に諸情報を集計した時系列分析情報を提示可能な時系列分析情報提示手段35の機能について説明する。図13に示すのは、遊技場2の営業開始(例えば、9:00)から営業終了(例えば、22:00)までを1時間単位で区切り、アウト値を台別および貸出単価別に表示した時間帯別帳票35aである。集計対象は、特定の一日だけでも良いし、複数日を合わせて集計しても良い。ただし、複数日で集計する場合には、傾向が似ている日別に集計することが望ましい。例えば、月曜日から金曜日の平日で集計、土曜日のみで集計、日曜日および祝祭日で集計すれば、類似した傾向の時間帯別帳票を生成できる。
図13の時間帯別帳票35aは、平日を集計対象として生成したものである。基本的に平日は、日勤の遊技客が多いために、夕方から夜にかけての稼動が良い傾向にあるが、機種によって差があることが解る。こうした稼動状況の中、貸出単価別の稼動割合(アウト値の割合)を、機種名:CR東京湾ストーリを例にして参照すると、開店から夕方までの時間帯は貸出単価1円の比率が高く、夕方以降は貸出単価4円の比率が高くなる傾向が見て取れる。CR東京湾ストーリの様な傾向にある機種では、夕方から夜にかけて(例えば18:00~22:00まで)4円専用の台数を増やすことで、利益の向上を見込めると分析できる。このように、機種別時間帯別稼動の貸出単価による割合を分析すれば、今までにない営業戦略を立てることができ、遊技場2の管理者等にとって有益な情報となる。
なお、図13の時間帯別帳票35aでは、アウト値を用いて稼働分析を行ったが、売上などの値で時間帯別帳票を作成しても良い。また、時間帯別帳票35aは1時間単位で時間範囲を区切ったが、より短い時間単位で区切っても良いし、より長い時間単位で区切っても良い。また、特定の機種に着目し、曜日別・時間帯別に遊技機関連情報を集計すると、新たな知見を得られる可能性がある。
図14に示すのは、機種名:CR東京湾ストーリについてのアウト値を、曜日別・時間帯別に集計して平均値を表示した曜日別・時間帯別帳票35bである。この曜日別・時間帯別帳票35bにおいては、月曜~金曜である平日、土曜日、日曜および祝日の大きく3つの曜日に分類しているが、平日と土・日・祝日の2つの曜日に分類しても良いし、平日を月曜から金曜までを別々の曜日に分類しても良い。曜日別・時間帯別帳票35bによれば、全体的に平日より土曜日の方が、土曜日より日曜日の方がアウト値の高い(遊技機の稼働が良好である)傾向を見て取れる。しかし、貸出単価別の稼動割合で見ると、平日に貸出単価別の稼動割合が変化するのは17:00台なのに対して、土曜日は15:00台に早まり、日曜・祝日は更に12:00台に早まっていることが解る。このように、貸出単価別の稼動割合の変化時間が推移する傾向は都心部に多く、地域性や季節により全く異なる傾向がある。遊技場毎に異なる環境に応じた遊技客の傾向を把握するために、曜日別・時間帯別帳票35bは遊技場2の管理者等によって非常に有用であり、適切な営業戦略を行うことができる。
上述したように貸出単価別に管理された遊技機情報は、各種帳票を作成して営業戦略を立てる上で有用なだけでなく、異常状態の検知にも用いることができる。例えば、遊技者が貸出単価を所定のタイミングで変更することにより過分な利益を獲得してしまう貸出単価変更異常の有無を、貸出単価変更異常判定手段36は貸出単価別の遊技機関連情報に基づいて判定できる。
まず、貸出単価変更異常について説明する。弾球遊技機5は、通常遊技における賞球率が一般的に平均30%前後とされている。変動表示ゲーム等で当りが発生し、賞球率が70%を超える状態を有利状態とよび、有利状態の連続によって遊技者は獲得賞球を増やすことができる。有利状態発生率は、例えば、図7,図8の基本帳票32a,32a′におけるTS(初当り確率)、割数、出率により確認できる。遊技者が何かしらの理由により有利状態発生を予測可能な場合、低い貸出単価で遊技を行い、有利状態発生の直前に高い貸出単価へ変更すると、高い貸出単価で発生した有利状態で価値の高い賞球を獲得できてしまう。このような有利状態発生を予見できる遊技者が有利状態発生直前に貸出単価の変更を行い、有利状態終了後に再び低い貸出単価へ戻す遊技の進め方を、貸出単価変更攻略とよぶ。このような貸出単価変更攻略が行われた蓋然性の高い状態を貸出単価変更異常として、貸出単価変更異常判定手段36により判定する。
貸出単価変更攻略が行われている場合、高い貸出単価(例えば4円)での遊技時間は短くなる傾向にあるため、図柄が回転した回数に対して当りが発生した回数が多くなり、4円でのTS値は低くなる。一方、低い貸出単価(例えば1円)での遊技時間は長くなる傾向にあるため、図柄が回転した回数に対して当りが発生した回数が少なくなり、1円でのTS値は高くなる。このように、有利状態の発生前後で貸出単価の変更が行われていると、有利状態の発生率が貸出単価で偏っている状態となる。したがって、貸出単価別にTS値を比較することで、貸出単価変更攻略が行われた可能性のある弾球遊技機5の台番号を抽出できる。そして、該当する弾球遊技機5におけるTS値の偏りが、有利状態の発生前後で貸出単価を変更したことに起因していれば、貸出単価変更異常と推定できる。
なお、有利状態の発生前後で貸出単価の変更が行われ、且つ有利状態の発生率に不自然な偏りがあっても、1回程度であれば、偶然、有利状態発生前に高い貸出単価へ変更した可能性もある。しかしながら、高い貸出単価で行われた有利状態の終了後に低い貸出単価へ変更し、再度、有利状態発生前に高い貸出単価へ変更していれば、貸出単価変更攻略が行われた蓋然性が高いと考えられる。そこで、有利状態の発生率が貸出単価で偏っている状態が所定回数(例えば、2回以上)連続することを異常判定条件として用いれば、貸出単価変更異常判定手段36は、貸出単価変更攻略が恣意的に行われたケースのみを貸出単価変更異常と判定できる。
貸出単価変更異常判定手段36は、貸出単価変更異常を検出した弾球遊技機5に対応する遊技ユニット4Aへ貸出単価変更異常の発生を通知して、遊技場2内で見回りしている係員等に注意を促す表示を行うようにしても良い。また、貸出単価変更異常の発生を通知された遊技ユニット4Aによる貸出単価の変更を禁止し、更なる貸出単価変更攻略を阻止するようにしても良い。あるいは、貸出単価変更異常の発生を通知された遊技ユニット4Aによる低額から高額への貸出単価変更のみを禁止し、高額から低額への貸出単価変更は許可するようにしても良い。
貸出単価変更攻略が行われるのは、該当機種の遊技用プログラム等に仕込まれたウイルス等で当り発生前に当り発生の兆候を把握できるようになったケースが多い。すなわち、貸出単価変更攻略が検出された弾球遊技機5と同一機種全てで貸出単価変更攻略を行える可能性が高いのである。したがって、貸出単価変更攻略が検出された弾球遊技機5に対応する遊技ユニット4Aだけで貸出単価の変更を禁止しても、不正遊技者は貸出単価変更を行えなくなった台から別の同一機種へ移動して、更なる貸出単価変更攻略で遊技を行う可能性がある。そこで、貸出単価変更異常判定手段36は、貸出単価変更異常を検出した弾球遊技機5と同一の機種全台に対応する遊技ユニット4Aへ貸出単価の変更を禁止する通知を送信するようにしても良い。なお、貸出単価変更攻略が検出された機種の台番号は、ホールコンピュータ3の遊技場内データベース31が管理する台番号管理テーブル31aや機種管理テーブル31bを用いて、全て抽出することができる。
また、貸出単価変更異常判定手段36による異常判定条件の判定に用いるのは、TS値に限らない。例えば、貸出単価変更異常の時、高い貸出単価(例えば4円)では、遊技時間に対して有利状態継続期間が長くなるために、4円での出率は高い値となり、低い貸出単価(例えば1円)では、遊技時間に対して有利状態継続期間が短くなるために、1円での出率は低い値となる。また、貸出単価変更異常の時、高い貸出単価(例えば4円)では、使用金額に対して獲得利益が大きくなるために、4円での割数は著しく大きい値となり、低い貸出単価(例えば1円)では、使用金額に対して獲得利益は標準より少なめとなるために、1円での割数は低い値となる。したがって、TS値に代えて、出率や割数を貸出単価変更異常判定手段36による異常判定条件として使っても良い。あるいは、TS値と出率と割数を組み合わせた異常判定条件を設定し、複合的に貸出単価変更異常を判定するようにしても良い。
上述した実施形態のホールコンピュータ3は、遊技ユニット4から遊技機関連情報を一括して受け取る構成としたが、遊技機関連情報をどの様に収集するかは、特に限定されない。弾球遊技機5や回胴式遊技機6と、遊技ユニット4A,4Bから別々に諸情報を取得するようにしても良い。あるいは、弾球遊技機5(または回胴式遊技機6)および遊技ユニット4からの諸情報をまとめて所要の送信フォーマットに加工する機能をホールコンピュータ3の中に設けても良い。図15に示すホールコンピュータ3′は、事務所サーバ7と台アダプタ8から構成し、台アダプタ8が遊技機関連情報を収集して、事務所サーバ7へ供給する構成である。
事務所サーバ7は、遊技場2の事務所等に設置されるサーバコンピュータを用いることができ、例えば、ROM,RAM,CPU,I/Oを備えたハードウェア資源でデータベースプログラムを走らせることにより事務所内データベース31の機能を実現できる。同様に、貸出単価別情報管理手段32、機種別分析情報提示手段33、コーナ別分析情報提示手段34、時系列分析情報提示手段35、貸出単価変更異常判定手段36等の機能も実現できる。無論、事務所サーバ7の機能を遊技場2外部のセンター管理装置102等によって実現するようにしても構わない。
台アダプタ8は、例えば、各弾球遊技機5′に対応させて設ける。かくする場合、台アダプタ8は、弾球遊技機5′の設置台数と同数だけ必要となる。弾球遊技機5′は、弾球遊技を実行するための主基板や演出基板等で構成された遊技制御装置58から遊技情報を出力する。この遊技制御装置58から出力される遊技情報(例えば、特賞1、特賞2、スタート1、スタート2、セーフ)は、台別情報表示装置9を経由して台アダプタ8に入力される。同様に、弾球遊技機5′の第1外部センサ59aからのガラスOPEN信号、第2外部センサ59bからの扉OPEN信号、第3外部センサ59cからの異常1信号、第4外部センサ59dからの異常2信号も、台別情報表示装置9を経由して台アダプタ8に入力される。また、遊技に使用された遊技球を集めて機外へ排出したアウト球を1個宛て検出して計数するアウトメータ25からのアウト信号も、台別情報表示装置9を経由して台アダプタ8に入力される。
なお、台別情報表示装置9とは、各弾球遊技機5′の上方適所に配置される比較的大型の表示装置で、遊技客の操作によって様々なデータを表示できると共に、遊技店員を呼び出すための呼び出しボタンが設けられている。また、台別情報表示装置9には、遊技ユニット4A′から計数信号も入力され、この弾球遊技機5′で遊技に供された遊技媒体数である計数値も表示可能なデータとして扱うことができる。
そして、台アダプタ8は、台別情報表示装置9を経由して受信した遊技情報等に加えて、遊技ユニット4A′から受信した各種売上信号や計数信号を受信し、図6に示したような電文構造に整理して事務所サーバ7へ送信する。また、遊技ユニット4A′で貸出単価が変更されたときに出力される貸出単価変化信号は、台アダプタ8を経由して事務所サーバ7へ送信されるので、事務所サーバ7にて遊技機関連情報の集計・管理を貸出単価別に行うことができる。なお、電文の項目に貸出単価を設定してある場合には、貸出単価変化信号に基づいて台アダプタ8が現在の遊技ユニット4A′における貸出単価を記憶しておき、貸出単価の項目値を台アダプタ8が埋めて送信するようにしても良い。
次に、図16を参照して、台アダプタ8のハードウェア構成を説明する。台アダプタ8は、主基板81に外部(例えば、遊技ユニット4A′や台別情報表示装置8)からの信号を入力させる外部入力端子82と、外部(例えば、事務所サーバ7)とシリアル通信をするためのシリアル端子83を備える。主制御基板81の演算機能は、CPU,RAM,ROM及び周辺回路を1チップ化したMPU811が担う。外部入力端子82からの信号は、ノイズ対策のためにフォトカプラ812で絶縁処理を施され、MPU811の24ビットパラレル入力から取り込まれる。
MPU811は、入力された各種信号を加工し、図6のような電文構造に変換してシリアル入出力端子から出力し、シリアル通信ドライバ813でシリアル通信プロトコルに変換し、シリアル端子83を介してシリアル通信で事務所サーバ7へ送信する。シリアル通信ドライバ813により変換する通信プロトコルは、シリアル通信を受信する側(事務所サーバ7)の構成に合わせて、イーサネット(登録商標)、RS485、無線通信などを適宜に選択すれば良い。また、事務所サーバ7へ送信するデータに、正確な時刻を付加する必要がある場合には、バックアップ電池等で動作するリアルタイムクロック814を設ける。通信不良時のデータバックアップのために、不揮発性メモリ815を設けても良い。あるいは、不揮発性メモリ815の代わりに、低消費電力でアクセスタイムが短いSRAMにバックアップ電源を付けても良い。
上述したホールコンピュータ3′においては、弾球遊技機5′と遊技ユニット4A′から別々に諸情報を受信する場合でも、台アダプタ8によって集計しやすい電文構造にまとめて、事務所サーバ7で遊技機関連情報の集計・管理を行うので、事務所サーバ7の負荷を軽減できる。なお、台アダプタ8を、遊技ユニット4′および弾球遊技機5′と対応させて設けずに、複数組の遊技ユニット4′および弾球遊技機5′を1台の台アダプタ8に接続し、1台の台アダプタ8で複数台分の遊技機関連情報をまとめるようにしても良い。また、台アダプタ8の機能を遊技ユニット4A′や台別情報表示装置9と一体的に設ければ、台アダプタ8を別途用意する必要がなくなるので、台アダプタ8の設置スペースが不要になると共に、全体のコスト削減にも効果がある。
図17に示すホールコンピュータ3″は、遊技ユニット4A″から全ての遊技機関連情報を台アダプタ8′にて受信できるようにしたものである。しかも、台アダプタ8′は遊技ユニット4A″と双方向通信が可能であるから、貸出単価変更異常の検出時には、ホールコンピュータ3″から該当する遊技ユニット4A″へ貸出単価の変更禁止等を指示することが可能となる。また、弾球遊技機5″は、遊技球の出入りを無くした完全な球封入式を実現しており、アウト値も弾球遊技機5″から遊技ユニット4A″へ入力される。
弾球遊技機5″からの情報が全て遊技ユニット4A″にて収集され、台アダプタ8′へ中継される構成の場合、弾球遊技機5″からの遊技情報等を遊技ユニット4A″で受信できなくなったとき、速やかに対処できることが望ましい。そこで、弾球遊技機5″の電源断を検出できる第5外部センサ26を設け、第5外部センサ26からの異常3信号が入力された場合には、弾球遊技機5″の電源が断たれた状態であることを判断できるようにした。また、弾球遊技機5″と遊技ユニット4A″には、台別情報表示装置9へ諸情報を入力する機能を設けていないので、この機能を台アダプタ8′に設けておく。すなわち、台アダプタ8′から台別情報表示装置9へ必要な情報をパラレル通信で供給すれば、既存の台別情報表示装置9をそのまま使用できる。
台アダプタ8′のハードウェア構成を図18に示す。前述した台アダプタ8と同一の構成には、同一符号を付して説明を省略する。外部(台別情報表示装置9)へパラレル信号を出力する外部出力端子84には、MPU811の16ビットパラレル出力からの送信信号が、ノイズ対策のためにフォトカプラ812で絶縁処理を施されて送り出される。なお、台別情報表示装置9へのパラレル信号は、外部への出力であることから、絶縁回路としてフォトカプラを用いず、単方向整流のダイオードにて代用し、コストを下げるようにしても良い。一方、シリアル通信ドライバ813は、事務所サーバ7と接続された第1シリアル端子85aおよび遊技ユニット4A″と接続された第2シリアル端子85bを介してのシリアル通信制御を行う。
上述したホールコンピュータ3″においては、遊技ユニット4A″から一括して遊技機関連情報を受信すると共に、遊技ユニット4″への指示を行うことができるので、営業時間中でも、ホールコンピュータ3″から各遊技ユニット4″へ貸出単価の変更禁止等を指示できる。しかも、台アダプタ8′に台別情報表示装置9への情報提供機能を持たせておけば、既存の台別情報表示装置9をそのまま使うことができ、経済的である。また、台アダプタ8′の機能を遊技ユニット4A″と一体的に設ければ、台アダプタ8′を別途用意する必要がなくなるので、台アダプタ8′の設置スペースが不要になると共に、全体のコスト削減にも効果がある。
以上、本発明に係るホールコンピュータを実施形態に基づき説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りにおいて実現可能な全てのホールコンピュータを権利範囲として包摂するものである。