JP7309100B1 - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

電力変換装置(1)において、各変換器セル(7)の個別制御部(27)は、上位制御装置(3)からバイパススイッチ(BPS)の投入待機指令を受信していない場合には、蓄電素子(24)の電圧が第1の過電圧閾値(OV2)を超えているときにバイパススイッチ(BPS)を投入し、バイパススイッチ(BPS)の投入待機指令を受信した場合には、第1の過電圧閾値(OV2)に代えて、蓄電素子(24)の電圧が第1の過電圧閾値(OV2)よりも高い第2の過電圧閾値(OV2H)を超えているときに、バイパススイッチ(BPS)を投入し、それ以外の事由ではバイパススイッチ(BPS)を投入しないように構成される。

Description

本開示は、電力変換装置に関する。
自励式HVDC(High Voltage Direct Current:高圧直流)送電のための代表的な電力変換装置として、複数の単位変換器がカスケードに接続されたモジュラーマルチレベル変換器(MMC:Modular Multilevel Converter)が知られている。以下、単位変換器を「変換器セル」または「サブモジュール」(SM:Submodule)とも称する。通常、変換器セルは、複数のスイッチング素子と蓄電素子(代表的には、キャパシタ)とを備える。
モジュラーマルチレベル変換器は、従来の2レベル変換器に比べて低損失および高調波削減などの利点を有する。しかし、蓄電素子が個々の変換器セルに分散配置されるため、個々の蓄電素子の電圧維持が重要となる。
通常運転状態では蓄電素子の電圧を一定範囲に保つよう制御が行われるが、電力系統の事故または変換器セルの故障などにより、蓄電素子の電圧が過電圧(OV:Over Voltage)になる場合がある。このような場合に適切な保護を行うことにより、運転継続性を最大限維持しつつも機器破壊を防止する必要がある。以下、過電圧保護について具体例を示す。
特開2019-022313号公報(特許文献1)に開示された電力変換装置は、過電圧保護機能と事故判別回路とを備える。過電圧保護機能は、いずれか1つの変換器セルの蓄電素子の電圧が規定の最大電圧の1.5倍等になったときに、当該変換器セルをバイパスする。事故判別回路は、電力系統で地絡等の事故が生じたと判別した場合に、キャパシタ電圧が過電圧保護機能の動作電圧まで上昇する前に、各変換器セルの動作をゲートブロックにより停止させる。
特開2017-175740号公報(特許文献2)に開示された電力変換装置の制御回路は、いずれかの変換器セルのキャパシタ電圧が過電圧レベル以上になった場合に、各変換器セルの動作をゲートブロックにより停止させる。さらに、制御回路は、電圧値が過電圧レベルよりも低い電圧上昇レベル以上の変換器セルの個数が予め定める数を超えた場合に、各変換器セルの動作をゲートブロックにより停止させる。さらに、制御回路は、いずれかの変換器セルのキャパシタ電圧が過電圧レベルと電圧上昇レベルとの間のバイパスレベル以上になった場合に、該当する変換器セルをバイパスする。
特開2019-213382号公報(特許文献3)に開示された電力変換装置において、上位制御装置は、各変換器セルのキャパシタ電圧の平均値を算出し、算出した平均値を各変換器セルの制御部に出力する。各変換器セルの制御部は、キャパシタ電圧の検出結果と平均値との差が閾値以上の場合に、キャパシタ電圧を異常と判定して入出力端子間をバイパスするバイパススイッチを投入する。
特開2019-022313号公報 特開2017-175740号公報 特開2019-213382号公報
各変換器セルの蓄電素子が過電圧になったときの保護動作を、電力変換装置の上位制御装置からの指令に基づいて行うことは可能である。しかしながら、上位制御装置の処理負荷が増大するという問題が生じたり、異常時に上位制御装置から各変換器セルへの指令の遅れという問題が生じたりする。したがって、上記の保護動作を行うか否かの判断を、上位制御装置と各変換器セルに設けられた個別の制御部とで分担することが望ましい。
上記の特開2019-022313号公報(特許文献1)および特開2017-175740号公報(特許文献2)に開示された電力変換装置の場合には、全ての保護動作を上位制御装置で行う必要があるため、上記の問題が生じ得る。
一方、上記の特開2019-213382号公報(特許文献3)の場合には、変換器セルの故障によって変換器セルが過電圧であるか否かは、個別の変換器セルでローカルに判断可能である。しかしながら、この文献では、電力系統の事故によって電力変換器全体でキャパシタ電圧が上昇する場合については特に考慮されておらず、上位制御装置と各変換器セルの個別の制御部とがどのように連系するかについても明らかにされていない。
さらに、バイパススイッチを投入すべきか否かの判断を変換器セルごとの個別制御系に委ねる場合の問題点は、過酷電圧事故が生じた場合に多くの変換器セルで連鎖的にバイパススイッチが投入されてしまうという事態が生じ得ることである。本来、バイパススイッチは、変換器セルの故障時にシステムの運転継続を主目的としている。バイパススイッチが投入されたときには、手動開放後に接点の健全性確認が必要であり、火薬の点火によって接点を投入する方式の場合には、バイパススイッチの交換が必要になる。このため、バイパススイッチが不必要に連鎖投入されてしまうと、再起動までに時間を要し、システムの稼働率を悪化させる結果になる。バイパススイッチを投入してもシステムを運転継続できない場合には、基本的にはバイパススイッチを投入すべきでない。バイパススイッチの他の目的には、系統故障時の過電圧による変換器セルの蓄電素子の絶縁破壊防止という目的もあるが、他の変換器セルへの波及事故の防止のためであり、あくまで副次的な目的であり、バイパススイッチの投入条件が主目的の場合と異なる。
本開示は、上記の問題点を考慮してなされたものであり、その目的の一つは、いずれかの変換器セルの蓄電素子が過電圧になったときの保護動作を、上位制御装置と各変換器セルの個別制御部との連系によって高速かつ信頼性高く実現することである。
一実施形態の電力変換装置は、カスケード接続された複数の変換器セルを含むアーム回路を備える電力変換器と、電力変換器を制御する上位制御装置とを備える。複数の変換器セルの各々は、第1の入出力端子および第2の入出力端子と、複数の半導体スイッチング素子を含むブリッジ回路と、ブリッジ回路を介して第1の入出力端子および第2の入出力端子に接続される蓄電素子と、第1の入出力端子と第2の入出力端子との間を接続するバイパススイッチと、上位制御装置と信号線を介して接続された個別制御部とを含む。個別制御部は、上位制御装置からバイパススイッチの投入待機指令を受信していない場合には、蓄電素子の電圧が第1の過電圧閾値を超えているときにバイパススイッチを投入し、バイパススイッチの投入待機指令を受信した場合には、前記複数の半導体スイッチング素子をオフにするゲートブロックを行い、上記の第1の過電圧閾値に代えて、蓄電素子の電圧が第1の過電圧閾値よりも高い第2の過電圧閾値を超えているときに、バイパススイッチを投入するように構成される。
上記の実施形態によれば、バイパススイッチの不要な連鎖投入を上位制御装置からの投入待機指令によって防止でき、かつ極端な過電圧の場合のバイパススイッチの投入は個別制御部の判断によってできるので、いずれかの変換器セルの蓄電素子が過電圧になったときの保護動作を、上位制御装置と各変換器セルの個別制御部との連系によって高速かつ信頼性高く実現できる。
実施の形態1に係る電力変換装置の概略構成図である。 図1の各レグ回路を構成するサブモジュールの一例を示す回路図である。 上位制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。 蓄電素子の過電圧保護方法の全体的手順を示すフローチャートである。 図4の短時間ゲートブロック処理の詳細な手順を示すフローチャートである。 図4の長時間ゲートブロック処理の詳細な手順を示すフローチャートである。 重大故障の判定基準の具体例を説明するためのフローチャートである。 二重化された制御装置の構成について説明するための図である。 図4のバイパススイッチ投入処理1の詳細な手順を示すフローチャートである。 図9のシステム停止処理の手順を示すフローチャートである。 図4のバイパススイッチ投入処理2の詳細な手順を示すフローチャートである。 図4~図11で説明した過電圧を判定するための各閾値電圧の高低関係と各閾値電圧に応じた保護動作とその目的とを表形式でまとめた図である。 各アーム回路の電圧指令値の生成方法を説明するためのブロック図である。 高電圧直流送電システムの構成例を示す図である。 図14の電力変換装置の起動処理手順の一例を示すフローチャートである。 図14の電力変換装置の停止処理手順の一例を示すフローチャートである。 図4に示す過電圧保護処理において、上位制御装置による処理の変形例を示すフローチャートである。
以下、各実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない。
実施の形態1.
[電力変換装置の全体構成]
図1は、実施の形態1に係る電力変換装置1の概略構成図である。図1を参照して、電力変換装置1は、互いにカスケードに接続された複数の変換器セル7を含むモジュラーマルチレベル変換器によって構成されている。電力変換装置1は、直流回路14と交流回路12との間で電力変換を行なう。電力変換装置1は、電力変換器2と、上位制御装置3とを含む。
電力変換器2は、正極直流端子(すなわち、高電位側直流端子)Npと、負極直流端子(すなわち、低電位側直流端子)Nnとの間に互いに並列に接続された複数のレグ回路4u,4v,4w(総称する場合または任意のものを示す場合、レグ回路4と記載する)を含む。
レグ回路4は、交流を構成する複数相の各々に設けられる。レグ回路4は、交流回路12と直流回路14との間に接続され、両回路間で電力変換を行なう。図1には、交流回路12が3相交流系統の場合が示され、U相、V相、W相にそれぞれ対応して3個のレグ回路4u,4v,4wが設けられている。
レグ回路4u,4v,4wにそれぞれ設けられた交流入力端子Nu,Nv,Nwは、変圧器13を介して交流回路12に接続される。交流回路12は、たとえば、交流電源などを含む交流電力系統である。図1では、図解を容易にするために、交流入力端子Nv,Nwと変圧器13との接続は図示していない。
各レグ回路4に共通に接続された高電位側直流端子Npおよび低電位側直流端子Nnは、直流回路14に接続される。直流回路14は、たとえば、直流送電網などを含む直流電力系統または他の電力変換装置の直流端子である。後者の場合、2台の電力変換装置を連結することによって定格周波数などが異なる交流電力系統間を接続するためのBTB(Back To Back)システムが構成される。
図1の変圧器13を用いる代わりに、連系リアクトルを介して交流回路12に接続する構成としてもよい。さらに、交流入力端子Nu,Nv,Nwに代えてレグ回路4u,4v,4wにそれぞれ一次巻線を設け、この一次巻線と磁気結合する二次巻線を介してレグ回路4u,4v,4wが変圧器13または連系リアクトルに交流的に接続するようにしてもよい。この場合、一次巻線を下記のリアクトル8A,8Bとしてもよい。すなわち、レグ回路4は、交流入力端子Nu,Nv,Nwまたは上記の一次巻線など、各レグ回路4u,4v,4wに設けられた接続部を介して電気的に(すなわち直流的または交流的に)交流回路12と接続される。
レグ回路4uは、高電位側直流端子Npから交流入力端子Nuまでの上アーム回路5と、低電位側直流端子Nnから交流入力端子Nuまでの下アーム回路6とを含む。上アーム回路5および下アーム回路6の接続点である交流入力端子Nuは、変圧器13と接続される。高電位側直流端子Npおよび低電位側直流端子Nnは、直流回路14に接続される。上アーム回路5および下アーム回路6を総称してアーム回路と記載する。レグ回路4v,4wについても同様の構成を有するので、以下、レグ回路4uの構成について代表的に説明する。
上アーム回路5は、カスケード接続された複数の変換器セル7と、リアクトル8Aとを含む。複数の変換器セル7およびリアクトル8Aは、直列に接続されている。同様に、下アーム回路6は、カスケード接続された複数の変換器セル7と、リアクトル8Bとを含む。複数の変換器セル7およびリアクトル8Bは、直列に接続されている。
以下の説明では、上アーム回路5および下アーム回路6の各々に含まれる変換器セル7の数をNcell+Rcellとする。但し、Ncell≧2、Rcell≧1とする。Ncellは運転に最低限必要な変換器セル7の数であり、Rcellは冗長セルの数である。ただし、Ncell+Rcell個の変換器セル7は一緒に動作するので冗長セルとその他のセルとに区別はない。Ncell+Rcell個の変換器セル7のうち1個が故障した場合、当該故障したセルは、そのバイパススイッチBPS(図2を参照)を投入することにより短絡される。したがって、Ncell+Rcell個の変換器セル7のうちRcell個の変換器セル7が故障すると、冗長セルの残数は0になる。さらにもう1個の変換器セル7が故障すると当該アームに含まれる変換器セル7の数がNcell個未満になるので、それ以降電力変換器2を使用できなくなる。
リアクトル8Aが挿入される位置は、レグ回路4uの上アーム回路5のいずれの位置であってもよく、リアクトル8Bが挿入される位置は、レグ回路4uの下アーム回路6のいずれの位置であってもよい。リアクトル8A,8Bはそれぞれ複数個設けられてもよい。各リアクトルのインダクタンス値は互いに異なっていてもよい。さらに、上アーム回路5のリアクトル8Aのみ、もしくは、下アーム回路6のリアクトル8Bのみを設けてもよい。また、変圧器結線を工夫して、直流分電流の磁束を打ち消すとともに、交流分電流に対して変圧器の漏れリアクタンスが作用することでリアクトルの代替としてもよい。リアクトル8A,8Bを設けることにより、交流回路12または直流回路14等の事故時における事故電流の急激な増大を抑制することができる。
電力変換装置1は、さらに、制御に使用される電気量(電流、電圧など)を計測する各検出器として、交流電圧検出器10と、交流電流検出器16と、直流電圧検出器11A,11Bと、各レグ回路4に設けられたアーム電流検出器9A,9Bと、直流電流検出器17とを含む。これらの検出器によって検出された信号は、上位制御装置3に入力される。
なお、図1では図解を容易にするために、各検出器から上位制御装置3に入力される信号の信号線と、上位制御装置3および各変換器セル7間で入出力される信号の信号線とは、一部まとめて記載されているが、実際には検出器ごとおよび変換器セル7ごとに設けられている。各変換器セル7と上位制御装置3との間の信号線は、送信用と受信用とが別個に設けられていてもよい。信号線は、たとえば光ファイバによって構成される。
次に、各検出器について具体的に説明する。
交流電圧検出器10は、交流回路12のU相の交流電圧Vacu、V相の交流電圧Vacv、および、W相の交流電圧Vacwを検出する。以下の説明では、Vacu、Vacv、および、Vacwを総称してVacとも記載する。
交流電流検出器16は、交流回路12のU相の交流電流Iacu、V相の交流電流Iacv、および、W相の交流電流Iacwを検出する。以下の説明では、Iacu、Iacv、およびIacwを総称してIacとも記載する。
直流電圧検出器11Aは、直流回路14に接続された高電位側直流端子Npの直流電圧Vdcpを検出する。直流電圧検出器11Bは、直流回路14に接続された低電位側直流端子Nnの直流電圧Vdcnを検出する。直流電圧Vdcpと直流電圧Vdcnとの差を直流電圧Vdcとする。直流電流検出器17は、高電位側直流端子Npまたは低電位側直流端子Nnを流れる直流電流Idcを検出する。
U相用のレグ回路4uに設けられたアーム電流検出器9Aおよび9Bは、上アーム回路5に流れる上アーム電流Ipu、および、下アーム回路6に流れる下アーム電流Inuをそれぞれ検出する。V相用のレグ回路4vに設けられたアーム電流検出器9Aおよび9Bは、上アーム電流Ipvおよび下アーム電流Invをそれぞれ検出する。W相用のレグ回路4wに設けられたアーム電流検出器9Aおよび9Bは、上アーム電流Ipwおよび下アーム電流Inwをそれぞれ検出する。以下の説明では、上アーム電流Ipu、Ipv、Ipwを総称して上アーム電流Iarmpとも記載し、下アーム電流Inu、Inv、Inwを総称して下アーム電流Iarmnとも記載し、上アーム電流Iarmpと下アーム電流Iarmnとを総称してIarmとも記載する。
[サブモジュールの構成例]
図2は、図1の各レグ回路を構成するサブモジュールの一例を示す回路図である。図1に示す変換器セル7は、ハーフブリッジ型の変換回路20HBと、蓄電素子としての蓄電素子24と、電圧検出器25と、個別制御部27とを含む。変換回路20HBをブリッジ回路20HBとも称する。
ハーフブリッジ型の変換回路20HBは、互いに直列接続されたスイッチング素子22A,22Bと、ダイオード23A,23Bとを含む。ダイオード23A,23Bは、スイッチング素子22A,22Bとそれぞれ逆並列(すなわち、並列かつ逆バイアス方向)に接続される。以下、スイッチング素子22A,22Bおよびダイオード23A,23Bについて、総称する場合または任意の1つを示す場合に、スイッチング素子22およびダイオード23とそれぞれ記載する。
蓄電素子24は、スイッチング素子22A,22Bの直列接続回路と並列に接続され、直流電圧を保持する。蓄電素子24として、代表的には直流コンデンサが用いられる。スイッチング素子22A,22Bの接続ノードは高電位側の入出力端子26Pと接続される。スイッチング素子22Bと蓄電素子24との接続ノードは低電位側の入出力端子26Nと接続される。
典型的には、入出力端子26Pは、正極側に隣接する変換器セル7の入出力端子26Nと接続される。入出力端子26Nは、負極側に隣接する変換器セル7の入出力端子26Pと接続される。
各スイッチング素子22A,22Bには、オン動作とオフ動作の両方を制御可能な自己消弧型のスイッチング素子が用いられる。スイッチング素子22A,22Bは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)またはGCT(Gate Commutated Turn-off thyristor)である。
なお、変換器セル7の変換回路は、上記のようなハーフブリッジ型の変換回路20HBに限られない。たとえば、変換器セル7は、フルブリッジ型の変換回路、またはスリークオーターブリッジ型の変換回路を用いて構成されていてもよい。
バイパススイッチBPSは、入出力端子26P,26N間に接続される。バイパススイッチBPSは、接点を閉じることによりスイッチング素子22Bの両端を短絡可能に構成されるスイッチであり、事故電流の通電が可能である。すなわち、バイパススイッチBPSは、変換器セル7を短絡することにより、変換器セル7に含まれる各素子(スイッチング素子22A,22B、ダイオード23A,23Bおよび蓄電素子24)を事故時に発生する過電流から保護する。
また、バイパススイッチBPSは、変換器セル7の各素子が故障した場合に、当該変換器セル7を短絡させる際にも利用される。これにより、複数の変換器セル7のうちの任意の変換器セル7が故障しても、他の変換器セル7を利用することにより電力変換装置1の運転継続が可能となる。
なお、バイパススイッチBPSが投入されたときには、手動開放後に接点の健全性確認が必要であり、火薬の点火によって接点を投入する方式の場合には、バイパススイッチの交換が必要になる。したがって、バイパススイッチを投入してもシステムを運転継続できない場合には、基本的にはバイパススイッチを投入すべきでない。故障した変換器セル7を短絡することにより運転継続を図るということが、バイパススイッチBPSの本来の利用目的である。
電圧検出器25は、蓄電素子24の両端24P,24Nの間の電圧(すなわち、キャパシタ電圧)を検出する。
個別制御部27は、上位制御装置3から受信した制御指令28に基づいて、位相シフトPWM制御に従ってスイッチング素子22A,22Bのオンおよびオフを制御するためのゲート信号を生成する。個別制御部27は、さらに、変換器セル7の異常判定情報と、電圧検出器25によって検出されたキャパシタ電圧とを含む信号29を上位制御装置3に送信する。
典型的には、個別制御部27は、通常動作時(すなわち、入出力端子26P,26N間に零電圧または正電圧を出力する場合)には、スイッチング素子22A,22Bの一方をオン状態とし、他方をオフ状態となるように制御を行なう。スイッチング素子22Aがオン状態であり、スイッチング素子22Bがオフ状態のとき、入出力端子26P,26N間には蓄電素子24の両端間の電圧が印加される。逆に、スイッチング素子22Aがオフ状態であり、スイッチング素子22Bがオン状態のとき、入出力端子26P,26N間は0Vとなる。
変換器セル7は、スイッチング素子22A,22Bを交互にオン状態とすることによって、零電圧および蓄電素子24の電圧に依存した正電圧を出力することができる。ダイオード23A,23Bは、スイッチング素子22A,22Bに逆方向電圧が印加されたときの保護のために設けられている。
変換器セル7には、蓄電素子24の電圧に基づいて個別制御部27の駆動電圧を生成する電源回路(不図示)が設けられている。したがって、蓄電素子24の電圧が低いときには、個別制御部27は動作できない。
上記の個別制御部27は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用回路によって構成してもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを利用して構成してもよい。もしくは、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを含むコンピュータをベースに構成されていてもよいし、上記の2個以上の組み合わせによって構成されていてもよい。
[制御装置のハードウェア構成の一例]
図3は、制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。図3には、コンピュータによって上位制御装置3を構成する例が示される。さらに、図3には、コンピュータ(すなわち、制御指令生成部19)と各変換器セル7との間を、中継装置18を介して接続する例が示されている。
図3を参照して、上位制御装置3は、制御指令生成部19と中継装置18とを含む。制御指令生成部19は、各変換器セル7を運転制御するための制御指令61を生成し、生成した制御指令を、中継装置18を介して各変換器セル7に出力する。制御指令61は、各変換器セル7を制御するための各種指令を含む。たとえば、制御指令61は、電圧指令および同期指令を含む駆動指令62などを含む。電圧指令は、各レグ回路4u,4v,4wにおける上アーム5の出力電圧指令値および下アーム6の出力電圧指令値であり、同期指令は、各変換器セル7の動作の同期をとるための指令である。
制御指令生成部19は、1つ以上の入力変換器30と、1つ以上のサンプルホールド(S/H)回路31と、マルチプレクサ(MUX)32と、A/D(Analog-to-Digital)変換器33とを含む。さらに、制御指令生成部19は、1つ以上のCPU34と、RAM(Random Access Memory)35と、ROM(Read Only Memory)36とを含む。更に、制御指令生成部19は、1つ以上の入出力インターフェイス(I/F)37と、補助記憶装置38と、上記の構成要素間を相互に接続するバス39を含む。
入力変換器30は、入力チャンネルごとに補助変成器(図示せず)を有する。各補助変成器は、図1の各電気量検出器による検出信号を、後続する信号処理に適した電圧レベルの信号に変換する。
サンプルホールド回路31は、入力変換器30ごとに設けられる。サンプルホールド回路31は、対応の入力変換器30から受けた電気量を表す信号を規定のサンプリング周波数でサンプリングして保持する。
マルチプレクサ32は、複数のサンプルホールド回路31に保持された信号を順次選択する。A/D変換器33は、マルチプレクサ32によって選択された信号をデジタル値に変換する。なお、複数のA/D変換器33を設けることによって、複数の入力チャンネルの検出信号に対して並列的にA/D変換を実行するようにしてもよい。
CPU34は、制御指令生成部19の全体を制御し、プログラムに従って演算処理を実行する。揮発性メモリとしてのRAM35及び不揮発性メモリとしてのROM36は、CPU34の主記憶として用いられる。ROM36は、プログラム及び信号処理用の設定値などを収納する。補助記憶装置38は、ROM36に比べて大容量の不揮発性メモリであり、プログラム及び電気量検出値のデータなどを格納する。
入出力インターフェイス37は、CPU34及び外部装置の間で通信する際のインターフェイス回路である。
なお、図3の例とは異なり、制御指令生成部19の少なくとも一部をFPGA及び、ASIC等の回路を用いて構成することも可能である。たとえば、後述する図13に記載された各機能ブロックの機能は、図3に例示されたコンピュータをベースに構成することもできるし、その少なくとも一部をFPGA及びASICなどの回路を用いて構成することができる。また、各機能ブロックの機能の少なくとも一部は、アナログ回路によって構成することも可能である。
中継装置18は、制御指令生成部19と各変換器セル7との間に接続される。中継装置18は、スター型のネットワークを介して各変換器セル7と接続されている。典型的には、中継装置18は、専用回路によって構成され、その一部または全部をFPGAによって構成してもよい。
中継装置18は、制御指令生成部19から受信した制御指令を各変換器セル7に送信する。さらに、中継装置18は、変換器セル7の電圧検出器25によって計測された蓄電素子24の電圧(キャパシタ電圧Vcとも称する)の値を受信する。中継装置18は、制御指令生成部19のCPU34の代わりに、全変換器セル7のキャパシタ電圧Vcの平均値<Vc>、最大値、最小値などを計算してもよい。これにより、多数のセルがあっても通信量および処理量の増加が抑制できるので、少ない通信線で高速かつ低遅延の通信が可能になる。
[蓄電素子の過電圧に対する基本的対処方針について]
以下、上記の構成の電力変換器において、各変換器セルに設けられた蓄電素子の過電圧に対する基本的対処方針について説明する。具体的には、以下の(1)~(3)の場合について対処する必要がある。
(1)交流系統または直流系統において事故または擾乱が発生した場合
この場合、電力系統側から電力変換器2へ流れ込む電流によってアーム全体で各変換器セルの蓄電素子24の電圧が上昇して過電圧になる虞がある。蓄電素子24の電圧にスイッチング素子22のスイッチングによるサージ電圧を加えた合成電圧が、スイッチング素子22および蓄電素子24などの素子の耐圧を超えると、当該素子は破壊される虞がある。また、上記の合成電圧が素子耐圧を超えるとスイッチング素子22のスイッチングが再開できないので、放電によって蓄電素子24の電圧が低下するまで電力変換器2の運転を再開できず、長時間の停止となって運転継続性が悪化する。したがって、合成電圧が上記の限界値に達する前に、電力変換器2を構成する全ての変換器セル7をゲートブロックすることにより流入電流を抑制する必要がある。
ここで、ゲートブロックとは、各変換器セル7を構成する全てのスイッチング素子22のスイッチング動作を停止してオフ状態にすることをいう。ゲートブロックによって交流回路12および直流回路14からの電流の流入を抑制できる理由は次のとおりである。
各変換器セル7がゲートブロックされた場合には、ダイオード23を介して各アーム回路5,6の蓄電素子24が直列に接続される。したがって、直流回路14または交流回路12から電力変換器2に電流を流入させるためには、電流経路上のキャパシタ電圧の総和を超える電圧を電力変換器2に印加する必要がある。
具体的に、キャパシタ電圧の許容上昇率をγとし、PWM制御の定格交流変調率をMacとすると、交流回路12から電力変換器2に電流を注入するためには、交流定格電圧のγ/Mac倍の制限電圧より高い値の交流電圧を電力変換器2に印加する必要がある。一例として、γ=1.3、Mac=0.8とすると、交流定格電圧の1.625倍より高い値の交流電圧が必要となる。また、直流回路14から電力変換器2に電流を注入するためには、直流定格電圧の2×γ倍の制限電圧より高い値の直流電圧を電力変換器2に印加する必要がある。一例として、γ=1.3とすると、直流定格電圧の2.6倍より高い値の直流電圧が必要となる。なお、本開示では、必要な尤度を考慮しつつ上記の制限電圧を超える電圧が電力変換器2に印加される場合を過酷事故と称する。
(2)単一の変換器セル7の故障によって単一の蓄電素子が過電圧になる場合
各変換器セル7の個別制御部27は、種々の方法で変換器セル7の故障を監視している。たとえば、個別制御部27は、蓄電素子24の電圧が過電圧(OV)または不足電圧(UV)になっているか否かを監視する。また、個別制御部27は、上位制御装置3から定期的に制御指令28を受信しているか否かを監視する。多くの故障の発生の有無は、蓄電素子24の電圧異常によって識別できる。
単一の変換器セル7の故障によって、当該蓄電素子24の電圧が過電圧となっている場合には、当該変換器セル7のバイパススイッチBPSを投入する(すなわち、閉状態にする)ことによって、電力変換器2の運転を継続できる。蓄電素子24の電圧の上昇速度に比べて、バイパススイッチBPSの投入に時間がかかる場合には、当該故障した変換器セル7を含めた全アームのゲートブロックにより、蓄電素子24の電圧上昇速度を抑制できる。
(3)電力系統の過酷事故時に各変換器セルの蓄電素子の電圧が上昇する場合
上記(1)で説明したように、電力系統で事故が生じた場合にはゲートブロックによって電力変換器2への電流の流れ込みを抑制する。しかしながら、過酷事故の場合には、ゲートブロックしていたとしても電力変換器2にさらに電流が流れ込み各蓄電素子24の電圧がさらに上昇する。この結果、スイッチング素子22がスイッチングしていなくても、キャパシタ電圧が、スイッチング素子22、蓄電素子24、およびブスバーの耐圧を超えると絶縁破壊する虞がある。そこで、変換器セルの破損による他の変換器セルの波及故障を防ぐため、耐圧に達した変換器セル7に対してバイパススイッチBPSを投入する。
上記(1)~(3)の場合は、それぞれ対処方法が異なるので、各場合の検出および識別が重要となる。全ての場合の検出を上位制御装置3で実行すれば、各場合の識別は可能である。しかしながら、そうすると、上位制御装置3の処理負担が増大し、上位制御装置3と各変換器セル7との間の通信性能に依存して保護処理が遅延し、また通信異常による信頼性の低下などの問題が生じる。一方、各変換器セル7によるローカル保護処理だけでは、利用可能な情報が限られるため上記の(1)~(3)の識別が困難になる。たとえば、各変換器セル7における自己の蓄電素子24の電圧だけでは、上記の(1)と(2)の場合を区別できない。
したがって、上位制御装置3での保護処理と各変換器セル7内でのローカル保護処理との組み合わせが重要である。上位系での保護処理とローカル系での保護処理を適切に組み合わせることにより、上位制御装置3の処理負担を軽減し、保護処理を高速化し、信頼性(すなわち、ロバスト性)を確保できる。
[蓄電素子の過電圧に対する具体的な保護処理方法]
以下、図4~図12を参照して、本実施形態における蓄電素子の過電圧保護について具体的に説明する。
以下に詳述するように、本実施形態による蓄電素子の過電圧保護方法は、上位制御装置3の処理負担の軽減、保護処理の速度、およびロバスト性を考慮して、上位系処理と各変換器セル7におけるローカル処理とを組み合わせたものである。上記の(1)の場合は、上位制御装置3によって対処し、上記の(2)および(3)の場合は、各変換器セル7によるローカル処理によって対処する。
図4は、蓄電素子の過電圧保護方法の全体的手順を示すフローチャートである。図4を参照して、電力系統および変換器セル7のいずれにおいても故障が生じていない通常状態では、上位制御装置3は、直流電圧、直流電流、交流電圧、交流電流、アーム電流の各計測値に基づいて電圧指令値Vrefを算出し、算出した電圧指令値Vrefを各変換器セル7に送信する(S100)。
さらに、上位制御装置3は、アーム電流および直流電流の計測値に基づいて各相の循環電流Izを算出するとともに、全セルのキャパシタ電圧Vcの計測値に基づいてキャパシタ電圧Vcのばらつきを低減するように循環電流指令値Izrefを生成する。上位制御装置3は、算出した循環電流を循環電流指令値に追従制御するための各相の循環制御指令値Vzを算出し、算出した循環制御指令値Vzを各変換器セル7に送信する(S100)。
各変換器セル7の個別制御部27は、上位制御装置3から受信した電圧指令値Vrefおよび循環制御指令値Vzに基づく位相シフトPWM(パルス幅変調:Pulse Width Modulation)により、スイッチング素子22の開閉を制御する(S201)。
具体的に、個別制御部27は、キャリア信号(たとえば、三角波)によって電圧指令値Vrefを変調することによってスイッチング素子22A,22Bのオンオフを制御するためのゲート信号を生成する。さらに、個別制御部27は、循環制御指令値Vzに応じてゲート信号のパルス幅を変化させる。たとえば、循環制御指令値Vzが大きいほどゲート信号のパルス幅が大きくなるようにする。これにより、循環電流の制御が可能になる。
ここで、位相シフトPWM制御とは、同一アーム回路(上アーム回路5または下アーム回路6)を構成する複数の変換器セル7のそれぞれに対して出力されるPWM信号のタイミング(すなわち、位相)を相互にずらすものである。これによって、各変換器セル7の出力電圧の合成電圧に含まれる高調波成分が削減されることが知られている。
各変換器セル7は、さらに、電圧検出器25によって計測された蓄電素子24の電圧(キャパシタ電圧Vcとも称する)の値を、中継装置18を介して制御指令生成部19に送信する(S202)。中継装置18は、各変換器セル7から受信したキャパシタ電圧Vcに基づいて、全変換器セル7のキャパシタ電圧Vcの平均値<Vc>、最大値、最小値などを計算する(S101)。キャパシタ電圧Vcの平均値などの計算は、制御指令生成部19のCPU34において行うことも可能である。
なお、キャパシタ電圧の平均値<Vc>は、電力変換器2を構成する各変換器セル7の蓄電素子24の電圧が全体として上昇しているか否かを判定するための評価値として用いられている。したがって、評価値は、全てのキャパシタ電圧の平均値<Vc>に限定されない。平均値に代えて中央値を用いてもよいし、全体の傾向を反映する程度の個数の蓄電素子24の平均値を用いてもよい。もしくは、キャパシタ電圧Vcが閾値を超過している変換器セル7の個数を評価値に用いてもよい。
電力系統の事故時または擾乱時は、一般に電力変換器全体のキャパシタ電圧Vcが上昇または下降する。そこで、上位制御装置3は、上記の評価値すなわちキャパシタ電圧の平均値<Vc>と、閾値とを比較することにより(S102,S104)、電力系統に事故または擾乱が生じているか否かを判定する。後述するように、いずれかの変換器セル7が単独で故障している場合には、キャパシタ電圧の平均値<Vc>は殆ど変化しない。このような変換器セル7の単独故障の場合には、当該変換器セル7の個別制御部27はバイパススイッチBPSを投入する。
キャパシタ電圧の平均値<Vc>と比較される過電圧判定のための閾値は、OV0とOV0よりも大きいOV1との2段階設けられる。キャパシタ電圧の平均値<Vc>が第1段階の閾値OV0より高く、かつ第2段階の閾値OV1よりは高くない場合(S102でYES)、上位制御装置3は、比較的短時間のゲートブロック(GB)処理を実行する(S103)。ここで、ゲートブロック処理とは、電力変換器2を構成する各変換器セル7の全てのスイッチング素子22をオフ状態にすることをいう。短時間ゲートブロック処理の詳細な手順は図5に示される。
一方、キャパシタ電圧の平均値<Vc>が閾値OV1より高い場合(S104でYES)、上位制御装置3は、比較的長時間のゲートブロック処理を実行する(S105)。長時間ゲートブロック処理の詳細な手順は図6に示される。
図5は、図4の短時間ゲートブロック処理の詳細な手順を示すフローチャートである。短時間ゲートブロック処理は、キャパシタ電圧の平均値<Vc>が第1段階の閾値OV0より高く、かつ第2段階の閾値OV1よりは高くない場合(図4のS102でYES)に実行される。
図5に示すように、上位制御装置3は、最初にゲートブロック(GB)信号を各変換器セル7に送信する(S110)。各変換器セル7の個別制御部27は、上位制御装置3から受信したゲートブロック信号に応答して、全スイッチング素子22をオフ状態にする(S210)。本明細書においてこのように全スイッチング素子22のオフ状態をゲートブロック状態と称する。
上位制御装置3は、ゲートブロック信号を各変換器セル7に送信してから予め定めた時間が経過すると(S111でYES)、デブロック(DB)信号を各変換器セル7に送信する(S112)。各変換器セル7の個別制御部27は、上位制御装置3から受信したデブロック信号に応答して、電圧指令値Vrefに基づくスイッチング素子の開閉制御を再開する。すなわち、ゲートブロック状態が解除される(S211)。ステップS111における予め定めた時間は、たとえば、交流電力系統の半サイクルから1サイクルの間に設定される。
上記のように、一定時間のみゲートブロックを実行した後、デブロックすることにより、電力系統の事故発生時の過渡現象に起因した過電圧を緩和させることができ、電力変換器2の運転継続を図ることができる。
図6は、図4の長時間ゲートブロック処理の詳細な手順を示すフローチャートである。長時間ゲートブロック処理は、キャパシタ電圧の平均値<Vc>が第2段階の閾値OV1より高い場合(図4のS104でYES)に実行される。
図6に示すように、上位制御装置3は、最初にゲートブロック信号を各変換器セル7に送信する(S120)。各変換器セル7の個別制御部27は、上位制御装置3から受信したゲートブロック信号に応答して、全スイッチング素子22をオフ状態(すなわち、ゲートブロック状態)にする(S220)。
さらに、各変換器セル7の個別制御部27は、電圧検出器25によって計測されたキャパシタ電圧Vcの値を上位制御装置3に送信する(S221)。上位制御装置3は、各変換器セル7から受信したキャパシタ電圧Vcに基づいて、全変換器セル7のキャパシタ電圧Vcの平均値<Vc>を計算する(S121)。上記のステップS221,S121は定期的に繰り返して実行される。
なお、全キャパシタ電圧Vcの平均値<Vc>は、各変換器セル7の蓄電素子24の電圧が全体として上昇しているか否かを判定するための評価値として計算している。したがって、評価値は、全キャパシタ電圧Vcの平均値<Vc>に限らない。たとえば、キャパシタ電圧Vcが閾値を超過している変換器セル7の個数を評価値に用いてもよい。
上位制御装置3は、算出したキャパシタ電圧の平均値<Vc>(すなわち、評価値)が、閾値OV1よりも低い値である解除閾値OV1Rよりも低下するまで、ゲートブロック状態を維持する(S122でNO)。各変換器セル7の蓄電素子24には、保守時の作業員の安全を確保するために大きな抵抗値の放電抵抗が取り付けられている。したがって、ゲートブロック状態のとき、各変換器セル7のキャパシタ電圧Vcは徐々に低下する。
キャパシタ電圧の平均値<Vc>(すなわち、評価値)が解除閾値OV1Rよりも低下すると(S122でYES)、上位制御装置3は、デブロック(DB)信号を各変換器セル7に送信する(S123)。各変換器セル7の個別制御部27は、上位制御装置3から受信したデブロック信号に応答して、電圧指令値Vrefに基づくスイッチング素子の開閉制御を再開する。すなわち、ゲートブロック状態が解除される(S222)。このように、キャパシタ電圧の平均値<Vc>(すなわち、評価値)が第2段階の閾値OV1より高くなった場合には、電力変換器2はある程度長時間停止する。
図4に戻って、次のステップS106で、上位制御装置3は、電力変換装置1の内部または電力変換器2が接続されている交流回路12および直流回路14に重大故障が発生しているか否かを判定する。本明細書において重大故障とは、典型的には変換器セル7のバイパススイッチBPSを投入しても電力変換器2の運転継続が不可能な場合、および電力変換装置1の内部または電力変換器2が接続されている交流回路12および直流回路14の故障のためにバイパススイッチBPSの連鎖投入が予測される場合などをいう。以下、より具体的な例を挙げて説明する。
図7は、重大故障の判定基準の具体例を説明するためのフローチャートである。図7を参照して、上位制御装置3は、電力変換装置1の内部または交流回路12または直流回路14の故障により、電力変換装置1の運転継続ができない場合において、いずれかの変換器セル7がバイパススイッチBPSを投入することがあり得る場合に(S150でYES)、重大故障が発生したと判定する(S154)。たとえば、上位制御装置3は、電力変換器2、交流回路12、および直流回路14のいずれかが故障したときの故障電流および故障電圧から推定される故障点および故障の種類に基づいて、いずれかの変換器セル7がバイパススイッチBPSを投入することになるか否かを判定する。
さらに、上位制御装置3は、変換器セル7の故障のためにバイパススイッチBPSが投入された結果、アーム回路5,6に含まれる冗長セルの残数が0未満になった場合に(S151でYES)、重大故障が発生したと判定する(S154)。
さらに、上位制御装置3が二重化されている場合において両方の上位制御装置3が故障した場合(S152でYES)、および上位制御装置3と各変換器セル7の個別制御部27との間の通信システムが二重化されている場合において両方の通信システムが故障した場合に(S153でYES)、重大故障が発生したと判定される(S154)。以下、上位制御装置3の二重化について簡単に説明する。
図8は、二重化された制御装置の構成および動作について説明するための図である。図8を参照して、上位制御装置3は、各レグ回路4に設けられた変換器セル7を制御するために、第1制御指令生成部19Aと、第2制御指令生成部19Bと、第1中継装置18Aと、第2中継装置18Bとを備える。
第1制御指令生成部19Aは第1制御指令61Aを生成し、第2制御指令生成部19Bは第2制御指令61Bを生成する。第1中継装置18Aは各変換器セル7に対して第1制御指令61Aを送信し、第2中継装置18Bは各変換器セル7に対して第2制御指令61Bを送信する。第1制御指令61Aおよび第2制御指令61Bの各々は、駆動指令62、異常判定情報63、および指示情報64を含む。異常判定情報63は、各系統が異常であるか否かを示す。指示情報64は、各変換器セル7を運転制御する系統を指示する。
第1制御指令生成部19Aおよび第2制御指令生成部19Bの各々は、自身を異常と判定した場合には、異常判定情報63によって各変換器セル7に異常判定結果を通知するとともに、相手側の制御指令生成部19にも異常判定結果を通知する。各変換器セル7は、指示情報が第1系統を示している場合であっても、第1制御指令生成部19Aでの異常発生を検出した場合には、各変換器セル7を運転制御する系統として第2系統を選択し、第2系統に対応する第2制御指令に含まれる駆動指令に従ってスイッチング素子22をPWM制御する。二重化された制御指令生成部19A,19Bが両方とも異常の場合には、第1制御指令61Aに含まれる異常判定情報63も、制御指令61Bに含まれる異常判定情報63も異常判定結果を示している。
再び図4を参照して、上位制御装置3は、重大故障が発生したと判定した場合には(S106でYES)、バイパススイッチBPSの投入待機信号を各変換器セル7に送信する(S107)。さらに、上位制御装置3は、交流遮断器を開放し、電力変換器2を停止する(S108)。重大故障が発生した場合には、電力変換装置1の運転を継続することはできない。一方、上位制御装置3は、重大故障は発生していないと判定した場合には、処理をステップS100に戻す。
次に、各変換器セル7の個別の保護動作について説明する。各変換器セル7の保護動作は、上位制御装置3からバイパススイッチBPSの投入待機信号(以下、「BPS投入待機信号」と記載する)を受信しているか否か(S200)によって異なる。
まず、上位制御装置3からBPS投入待機信号を受信していない場合(S200でNO)の通常状態の場合について説明する。この場合、各変換器セル7の個別制御部27は、電圧検出器25によって計測されたキャパシタ電圧Vcが閾値OV2より高い場合に(S203でYES)、自身の変換器セル7が故障であると判定する。図9を参照して後述するように、故障と判定した変換器セル7(以下、故障SMと記載する)は、バイパススイッチBPSを投入することにより(S204)、故障SMを除く他の変換器セル7によって電力変換装置1の運転を継続させる。以下、この場合の処理をバイパススイッチ投入処理1(S204)と称する。バイパススイッチ投入処理1(S204)の詳細については、図9を参照して後述する。
なお、個別制御部27は、キャパシタ電圧Vcが閾値OV2よりも高い状態が一定時間継続した場合に、バイパススイッチBPSを投入するようにしてもよい。もしくは、2個の閾値OV2aとOV2b(>OV2a)とを設け、キャパシタ電圧Vcが閾値OV2aよりも高い状態がT1時間継続した場合、またはキャパシタ電圧Vcが閾値OV2bよりも高い状態がT2(<T1)時間継続した場合に、バイパススイッチBPSを投入するようにしてもよい。さらに多くの閾値と判定時間とを設定してもよい。
一方、各変換器セル7の個別制御部27は、上位制御装置3からBPS投入待機信号を受信した場合(S200でYES)、復旧時に参照するために蓄電素子24の電圧の変化を不揮発性メモリに記録することを開始する(S205)。さらに、各変換器セル7の個別制御部27は、全スイッチング素子をオフ状態にするゲートブロック(GB)を実行するとともに、不要なバイパススイッチBPSの投入を禁止する(S206)。ここで、不要なバイパススイッチBPSの投入とは、後述するようにキャパシタ電圧Vcが閾値OV2Hを超えるほど過電圧になった(S207でYES)という事由以外でのバイパススイッチBPSの投入をいう。なお、各変換器セル7の蓄電素子24の電圧変化の記録は、中継装置18によって行われてもよい。
ここで重要な点は、各変換器セル7の個別制御部27は、キャパシタ電圧Vcが上記の閾値OV2を超えていたとしても、自身の変換器セル7が故障であると判定しない点である。この理由は、BPS投入待機信号を受信した場合には(S200でYES)、ゲートブロックを実行するため(S206)、変換器セル7が故障していたとしても、当該故障の変換器セル7のキャパシタ電圧Vcの上昇は抑制されるからである。さらに、バイパススイッチが投入された場合には、手動開放後に接点の健全性確認が必要であり、火薬の点火によって接点を投入する方式の場合には、バイパススイッチの交換が必要になり、復旧までに時間がかかる。したがって、バイパススイッチを投入してもシステムを運転継続できない場合には、基本的にはバイパススイッチを投入すべきでないからである。
しかしながら、BPS投入待機指令を受けることにより(S200でYES)ゲートブロック状態の場合であっても(S206)、電力系統の過酷事故の場合には、各変換器セル7のキャパシタ電圧Vcはさらに上昇する。そこで、絶縁破壊による蓄電素子24の破損を防止するために、各変換器セル7の個別制御部27は、キャパシタ電圧Vcが上記の閾値OV2よりも高いOV2Hを超えている場合に(S207でYES)、バイパススイッチBPSを投入するバイパススイッチ投入処理2を実行する(S209)。バイパススイッチ投入処理2の詳細については、図11を参照して後述する。
なお、個別制御部27は、キャパシタ電圧Vcが閾値OV2Hを超えている時間が一定時間継続した場合に、バイパススイッチBPSを投入するバイパススイッチ投入処理2を実行してもよい。もしくは、2個の閾値OV2HaとOV2Hb(>OV2Ha)とを設け、キャパシタ電圧Vcが閾値OV2Haよりも高い状態がT3時間継続した場合、またはキャパシタ電圧Vcが閾値OV2Hbよりも高い状態がT4(<T3)時間継続した場合に、バイパススイッチBPSを投入するバイパススイッチ投入処理2を実行するようにしてもよい。さらに多くの閾値と判定時間とを設定してもよい。
重大故障が発生した場合には(S106でYES)、上位制御装置3によって電力変換装置1の停止処理がなされる(S108)。これにより、蓄電素子24の電圧は徐々に放電され、やがて、変換器セル7の主回路電源は停止する(S208でYES)ことにより、処理が終了する。
なお、図4のフローチャートにおいて、二重化された通信系が両系統とも故障したことに起因してBPS投入待機信号が上位制御装置3から送信された場合、当該通信故障が生じた変換器セル7は、BPS投入待機信号を受信できない。この場合は、BPS投入待機信号の受信(S200でYES)に代えて、二重化された通信系が両系統とも故障したことを確認したことに基づいて、ステップS205以降が実行される。
図9は、図4のバイパススイッチ投入処理1(S204)の詳細な手順を示すフローチャートである。バイパススイッチ投入処理1(S204)は、上位制御装置3からBPS投入待機信号を受けていない通常状態の場合(図4のS200でNO)であり、かつ、ある変換器セル7のキャパシタ電圧Vcが閾値OV2より高い場合(図4のS203でYES)に実行される。
図9に示すように、単独で故障した当該変換器セル7(以下、故障SMと称する)の個別制御部27は、上位制御装置3に対して、自身が属する変換器セル7が重故障であることを示す信号を発報する(S230)。さらに、故障SMの個別制御部27は、バイパススイッチBPSの投入を開始する(S231)。
上位制御装置3は、故障SMの個別制御部27から重故障信号を受信すると、故障SMのキャパシタ電圧Vcの上昇速度を緩和するために全変換器セル7に対してゲートブロック信号を送信する(S130)。故障SMを含む各変換器セル7は、ゲートブロック信号に応答して全スイッチング素子22をオフ状態(すなわち、ゲートブロック状態)にする(S330,S232)。なお、故障状態の変換器セル7では、実際には全スイッチング素子22をオフ状態に制御できない場合がある。
上位制御装置3は、さらに、故障SMが含まれるアーム回路において、当該故障SMを除外した場合のPWM制御における位相シフト量を算出し、算出した位相シフト量の設定値を故障SM以外の各変換器セル7に送信する(S131)。故障SMが含まれるアーム回路において、故障SM以外の各変換器セル7の個別制御部27は、受信した設定値に位相シフト量を再設定する(S331)。
故障SMは、バイパススイッチBPSの正常投入を確認し(S233でYES)、かつ、バイパススイッチBPSの投入完了後にキャパシタ電圧Vcが低下していないことを確認した場合に(S236でNO)、上位制御装置3に対してバイパススイッチBPSの投入の完了を通知する信号を発報する(S236)。
上位制御装置3は、上記のバイパススイッチBPSの投入の完了信号に応答して、デブロック(DB)信号を、故障SMを除く各変換器セル7に送信する(S132)。各変換器セル7の個別制御部27は、上位制御装置3から受信したデブロック信号に応答して、電圧指令値Vrefに基づくスイッチング素子の開閉制御を再開する。すなわち、ゲートブロック状態が解除される(S332)。
上記において、バイパススイッチBPSの正常投入を確認できずに(S233でNO)、キャパシタ電圧Vcが絶縁破壊に至る限界値である閾値OV3(>OV2)より高くなった場合(S234でYES)、あるいは、バイパススイッチBPSの正常投入を確認できずに投入開始から予め定められた上限時間が経過した場合(S235でYES)、故障SMの個別制御部27は、バイパススイッチBPSの投入失敗と判定する。この場合、絶縁破壊によって故障SMが飛散することにより、周辺機器および他の変換器セル7への波及事故を防止するために、電力変換装置1を停止するためのシステム停止処理が実行される(S238)。システム停止処理の詳細に関しては、図10を参照して後述する。
また、バイパススイッチBPSの正常投入を確認した場合において(S233でYES)、キャパシタ電圧Vcが低下していることを検出した場合にも(S236でYES)、システム停止処理が実行される(S238)。たとえば、図2に示すハーフブリッジ型の変換器セル7において、スイッチング素子22Aが短絡故障している場合には、バイパススイッチBPSの投入によって蓄電素子24が短絡放電する。この場合、バイパススイッチBPSの投入許容値を超える電流が流れ、その後のバイパススイッチBPSの通電性能が保証できないため、電力変換装置1を一旦停止する必要がある。
図10は、図9のシステム停止処理の手順を示すフローチャートである。システム停止処理は、典型的には、バイパススイッチBPSの投入に失敗した場合、投入完了信号が確認できなかった場合、キャパシタ電圧Vcの上昇が急激なためにバイパススイッチBPSの投入が遅れた場合、バイパススイッチBPSが短絡投入された場合など、バイパススイッチBPSの投入とその後の連続通電が確認または保証できない場合に実行される。
図10に示すように、上記の場合に、故障SMの個別制御部27は、上位制御装置3に対して、電力変換装置1のシステム全体が重故障であることを示す信号を発報する(S240)。
上位制御装置3は、故障SMの個別制御部27からシステム重故障信号を受信すると、電力変換器2と交流系統との間の交流遮断器を開放し、同時に電力変換装置1の停止処理を実行する(S140)。なお、電力変換装置1の停止処理の一例については、図16を参照して後述する。
図11は、図4のバイパススイッチ投入処理2(S209)の詳細な手順を示すフローチャートである。バイパススイッチ投入処理2(S209)は、上位制御装置3からBPS投入待機信号を受けた場合であり(図4のS202でYES)、かつ、ある変換器セル7のキャパシタ電圧Vcが閾値OV2H(>OV2)より高い場合(図4のS207でYES)に実行される。以下、当該変換器セル7を過電圧SMと称する。
図11に示すように、過電圧SMの個別制御部27は、上位制御装置3に対して、自身の属する変換器セル7のキャパシタ電圧Vcが閾値OV2Hを超えるほど過電圧状態であることを通知する(S250)。さらに、過電圧SMの個別制御部27は、バイパススイッチBPSの投入を開始する(S251)。
過電圧SMの個別制御部27は、バイパススイッチBPSの正常投入を確認し(S252でYES)、かつ、バイパススイッチBPSの投入完了後にキャパシタ電圧Vcが低下していないことを確認した場合に(S257でNO)、バイパススイッチBPSの正常投入完了をメモリに記録すると共に、上位制御装置3に正常投入完了を通知する(S258)。なお、バイパススイッチBPSが正常投入できたか否かの情報は、電力変換器2の復旧時に重要な情報になる。
上記において、バイパススイッチBPSの投入完了後にキャパシタ電圧Vcの低下が確認された場合には(S257でYES)、過電圧SMの個別制御部27は、バイパススイッチBPSの異常投入をメモリに記録し、上位制御装置3にその旨を通知して処理を終了する。図9のステップS236に関連して説明したように、この場合、蓄電素子24が短絡放電したために、許容電流以上の電流がバイパススイッチBPSに流れている可能性がある。
一方、上記において、バイパススイッチBPSの正常投入を確認できずに(S252でNO)、キャパシタ電圧Vcが絶縁破壊に至る限界値である閾値OV3(>OV2)より高くなった場合(S253でYES)、過電圧SMの個別制御部27は、キャパシタ電圧Vcが極端な過電圧状態になったことをメモリに記録する(S254)。さらに、バイパススイッチBPSの正常投入を確認できずに投入開始から予め定められた上限時間が経過した場合(S255でYES)、過電圧SMの個別制御部27は、バイパススイッチBPSの投入失敗をメモリに記録し、その旨を上位制御装置3に通知して処理を終了する(S256)。
[閾値電圧のまとめ]
図12は、図4~図11で説明した過電圧を判定するための各閾値電圧の高低関係と各閾値電圧に応じた保護動作とその目的とを表形式でまとめた図である。
閾値電圧は、OV0、OV1、OV2、OV2H、OV3の順に高くなる。本開示では、閾値OV2を第1の過電圧閾値と称し、閾値OV2Hを第2の過電圧閾値と称し、閾値OV0を第3の過電圧閾値と称し、閾値OV1を第4の過電圧閾値と称し、閾値OV3を上限値と称する場合がある。OV2H=OV3としてもよい。
図12を参照して、キャパシタ電圧の平均値<Vc>が閾値OV0より高い場合に、上位制御装置3は、電力系統の故障と判定する。この場合、上位制御装置3は、過電圧を緩和するために短時間ゲートブロックを実行する。短時間ゲートブロックは、タイマーによって通常状態に復帰(すなわち、デブロック)される。
キャパシタ電圧の平均値<Vc>が閾値OV1より高い場合に、上位制御装置3は、電力系統の故障と判定する。この場合、上位制御装置3は、過電圧保護のために長時間ゲートブロックを実行する。長時間ゲートブロックは、キャパシタ電圧の平均値<Vc>が閾値OV1R(<OV1)よりも低下したときに解除(すなわち、デブロック)される。
上位制御装置3からBPS投入待機指令を受けていない場合において、ある変換器セル7のキャパシタ電圧Vcが閾値OV2より高い場合に、当該変換器セル7の個別制御部27は、自身が属する変換器セル7を故障と判定する。当該故障した変換器セル7(故障SM)の個別制御部27は、故障SM以外での運転を継続するためにバイパススイッチBPSを投入する。
上位制御装置3からBPS投入待機指令を受けた場合において(すなわち、電力変換器2の停止処理の実行中に)、ある変換器セル7のキャパシタ電圧Vcが閾値OV2Hより高くなった場合に、当該変換器セル7の個別制御部27は、電力系統の過酷故障であると判定する。過酷故障のために極端に過電圧となった当該変換器セル7(極端過電圧SM)は、絶縁破壊を防止するため及び他の機器への波及事故を防止するためにバイパススイッチBPSを投入する。
上位制御装置3からBPS投入待機指令を受けていない場合において、ある変換器セル7のバイパススイッチBPSを投入中に、当該変換器セル7のキャパシタ電圧Vcが閾値OV3より高くなった場合に、当該変換器セル7の個別制御部27は、絶縁破壊を防止するため及び他の機器への波及事故を防止するために、上位制御装置3に通知することによりシステムを停止させる。
[電圧指令値の生成手順]
以下、図4を参照して説明した電圧指令値Vrefに関して、その生成方法について簡単に説明する。
図13は、各アーム回路の電圧指令値の生成方法を説明するためのブロック図である。図13には、U相上アーム回路5の各変換器セル7に出力される電圧指令値VprefuおよびU相下アーム回路6の各変換器セル7に出力される電圧指令値Vnrefuを生成するU相電圧指令生成部40Uの構成例が代表的に示されている。U相電圧指令生成部40Uは、図3および図8の制御指令生成部19に対応する。図示しないV相電圧指令生成部およびW相電圧指令生成部の構成も同様である。
図13を参照して、U相電圧指令生成部40Uは、U相上アーム回路のアーム電圧指令値Vprefuと、U相下アーム回路のアーム電圧指令値Vnrefuとを算出する。本開示では、各相の上アーム回路および下アーム回路の各電圧指令値を総称してVrefと記載する。
U相電圧指令生成部40Uは、交流電流制御部41と、循環電流算出部42と、循環電流制御部43と、指令分配部45と、電圧バランス制御部44とを含む。
交流電流制御部41は、検出されたU相交流電流Iacuと設定された交流電流指令値Iacrefとの偏差が0になるようにU相交流制御指令値Vcuを算出する。
循環電流算出部42は、U相上アーム回路のアーム電流Ipuと、U相下アーム回路のアーム電流Inuとに基づいて、U相レグ回路4uに流れる循環電流Izuを計算する。循環電流は、複数のレグ回路4の間を循環する電流である。たとえば、U相レグ回路4uに流れる循環電流Izuは、直流回路14と電力変換器2との間を流れる直流電流Idcを用いて、
Izu=(Ipu+Ipn)/2-Idc/3 …(1)
によって計算できる。
電圧バランス制御部44は、全変換器セル7のキャパシタ電圧Vcに基づいて、電力変換器2の全ての変換器セル7での蓄積エネルギの過不足、および、グループ間(各相レグ回路間またはU相アーム回路間)での蓄積エネルギの不均衡を補償するように、U相循環電流指令値Izrefuを生成する。
循環電流制御部43は、循環電流算出部42によって算出されたU相循環電流Izuを、電圧バランス制御部44によって設定されたU相循環電流指令値Izrefuに追従制御するためのU相循環制御指令値Vzuを算出する。循環電流制御部43では、U相循環電流指令値Izrefuに対するU相循環電流Izuの偏差に対して、PI制御またはPID制御等を実行する制御器によって構成することが可能である。すなわち、電圧バランス制御部44は、循環電流を制御するマイナーループを構成することによって、全ての変換器セル7、または、グループ毎の複数個の変換器セル7での蓄積エネルギの過不足を抑制する。
指令分配部45は、U相交流制御指令値Vcuと、直流電圧指令値Vdcrefと、中性点電圧Vsnと、U相交流電圧Vacuと、U相循環制御指令値Vzuとを受ける。指令分配部45は、これらの入力に基づいて、U相上アーム回路およびU相下アーム回路がそれぞれ出力分担する電圧を算出する。指令分配部45は、算出した電圧からU相上アーム回路またはU相下アーム回路内のインダクタンス成分による電圧降下分をそれぞれ差し引くことによって、U相上アーム回路のアーム電圧指令値VprefuおよびU相下アーム回路のアーム電圧指令値Vnrefuを決定する。
[電力変換装置の起動処理手順および停止処理手順]
以下、高電圧直流送電(HVDC)システムを例に挙げて、電力変換装置1の起動手順および停止手順について説明する。
図14は、高電圧直流送電システムの構成例を示す図である。図14を参照して、高電圧直流送電システムは、交流遮断器51A,51Bと、初期充電抵抗器52A,52Bと、バイパススイッチ53A,53Bと、電力変換装置54A,54B、高電位側直流送電線55Hと、低電位側直流送電線55Lとを含む。
電力変換装置54A,54Bの各々は、図1の電力変換装置1に対応する。電力変換装置54Aの高電位側直流端子Npと電力変換装置54Bの高電位側直流端子Npとは、直流送電線55Hを介して接続される。電力変換装置54Aの低電位側直流端子Nnと電力変換装置54Bの低電位側直流端子Nnとは、直流送電線55Lを介して接続される。
電力変換装置54Aの交流端子Nu,Nv,Nwの各々は、初期充電抵抗器52Aおよび交流遮断器51Aを介して交流電力系統50Aに接続される。初期充電抵抗器52Aと並列にバイパススイッチ53Aが接続される。同様に、電力変換装置54Bの交流端子Nu,Nv,Nwの各々は、初期充電抵抗器52Bおよび交流遮断器51Bを介して交流電力系統50Bに接続される。初期充電抵抗器52Bと並列にバイパススイッチ53Bが接続される。
図15は、図14の電力変換装置の起動処理手順の一例を示すフローチャートである。図14および図15を参照して、最初に別電源により、電力変換装置54A,54Bを構成する上位制御装置3が立ち上げられる(S400)。
次に、電力変換装置54A,54Bの上位制御装置3は、バイパススイッチ53A,53Bをそれぞれ開放する(S401)。
その次に、電力変換装置54A,54Bの上位制御装置3は、交流遮断器51A,51Bをそれぞれ閉じる(S402)。これにより、バイパススイッチ53A,53B経由でインラッシュ電流を抑えつつ、電力変換装置54A,54Bを構成する各変換器セル7の蓄電素子24が0.6~0.7puぐらいまで充電される。
電力変換装置54A,54Bの上位制御装置3は、各変換器セル7の主回路電源の動作開始と、各変換器セル7と上位制御装置3との間の通信確立とを確認し(S403)、初期充電抵抗器52A,52Bのバイパススイッチ53A,53Bをそれぞれ閉じる(S404)。さらに、電力変換装置54A,54Bの上位制御装置3は、各変換器セル7に対してデブロック(DB)信号を送信し、スイッチング素子22のスイッチング制御によりキャパシタ電圧Vcを1puまで充電させる(S405)。
その後、電力変換装置54A,54Bの上位制御装置3は、有効電力および無効電力の制御を開始し、出力電流をランプ状に立ち上げる(S406)。
図16は、図14の電力変換装置の停止処理手順の一例を示すフローチャートである。図14および図16を参照して、最初に電力変換装置54A,54Bの上位制御装置3は、出力電流をランプ状に下げる(S410)。
次に、電力変換装置54A,54Bの上位制御装置3は、各変換器セル7にゲートブロック信号を送信し(S411)、交流遮断器51A,51Bをそれぞれ開放する(S412)。
その後、上位制御装置3によって各変換器セル7のキャパシタ電圧Vcの放電が確認されると(S413)、上位制御装置3がシャットダウンされる(S414)。
[実施の形態1の効果]
上記のとおり実施の形態1の電力変換装置1によれば、電力変換器2を構成する各変換器セル7の蓄電素子24の過電圧は、以下の3つの場合に分けて対処される。すなわち、(1)交流系統または直流系統において事故または擾乱が発生した場合、(2)単一の変換器セル7の故障によって単一の蓄電素子が過電圧となった場合、(3)電力系統の過酷事故時において、ゲートブロック状態であっても各変換器セルの蓄電素子に電圧上昇が生じた場合の3つの場合である。
本実施形態では、上記(1)の場合は上位制御装置3によって対処され、上位制御装置3は、系統事故と判定した場合にゲートブロック信号を各変換器セル7に送信する。上記(2)および(3)の場合は各変換器セル7によるローカル処理によって対処され、過電圧が検知された変換器セル7では、バイパススイッチBPSが投入される。
ここで重要な点は、各変換器セル7は、上位制御装置3からBPS投入待機信号を受けていない通常状態の場合は、自身のキャパシタ電圧Vcと閾値OV2とを比較するのに対して、上位制御装置3からBPS投入待機信号を受けてからシステム停止が完了するまでの間は、閾値OV2がより高い閾値OV2Hに変更される点である。これによって、BPS投入待機指令を受けていない場合には、閾値OV2との比較によって単一の変換器セル7の故障によるキャパシタ電圧Vcの過電圧を判定できる。一方、BPS投入待機指令を受けている場合には、閾値OV2Hとの比較によって過酷事故時おけるキャパシタ電圧Vcの極端な過電圧を判定できる。
さらに、BPS投入待機指令を受けた場合には、各変換器セル7ではゲートブロックが実行されるため、スイッチング素子によるスイッチングサージ電圧は発生しない。このため、各変換器セル7はスイッチング時よりも高い過電圧に耐えることができる。そこで、バイパススイッチ投入の閾値電圧をより高い値に変えることでバイパススイッチの投入をより適切なタイミング、すなわちスイッチングサージ無しの状態でのセル絶縁破壊直前まで遅らせることができる。
よって、実施の形態1によれば、系統擾乱および系統事故の発生時には上位系にて系統擾乱および系統事故の発生を判別してゲートブロックが実行され、BPS投入待機指令が発報されていない場合には各変換器セル7にてセル故障を判別してバイパススイッチが投入される。このように、系統擾乱および系統事故時とセル故障時との対応を区別することにより、系統擾乱および系統事故時のバイパススイッチの不要投入を防止でき、真に必要となる絶縁破壊直前でのバイパススイッチBPSの投入が可能となる。
以上の制御により、上位制御装置3の処理負担を軽減するとともに、蓄電素子24の過電圧に対する保護処理の速度およびロバスト性を向上させることができる。なお、電力変換器2の小型化を図るために各変換器セル7の蓄電素子24のキャパシタ容量を削減すると、キャパシタ電圧Vcの変化速度が大きくなるので、保護処理速度の向上はより重要になる。
実施の形態2.
実施の形態2では、系統擾乱時および系統事故時に上位制御装置3がゲートブロック信号を各変換器セル7に送信するか否かの判定基準の変形例について説明する。
図17は、図4に示す過電圧保護処理において、上位制御装置による処理の変形例を示すフローチャートである。具体的に図17のフローチャートでは、図4のステップS102の判定精度を高めるために、ステップS1021~S1023が追加され、図4のステップS104の判定精度を高めるためにステップS1041~S1043が追加される。図17のその他のステップは図4の場合と同様であるので、同一または相当するステップには同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
図17を参照して、上位制御装置3は、電力系統に事故または擾乱が生じているか否かを判定するために、キャパシタ電圧の平均値<Vc>と閾値OV1,OV2とを比較する(S103,S104)。この結果、キャパシタ電圧の平均値<Vc>が第1段階の閾値OV0より高く、かつ第2段階の閾値OV1より高くない場合には(S102でYES)、上位制御装置3は、処理をステップS1021~S1023に進める。
具体的に、上位制御装置3は、全ての変換器セル7のキャパシタ電圧Vcの最大値Vcmaxを計算し(S1021)、キャパシタ電圧の最大値Vcmaxと平均値<Vc>との差が閾値Vth0(第1の差分閾値とも称する)より小さいか否かを判定する(S1022)。この判定の結果、キャパシタ電圧の最大値Vcmaxと平均値<Vc>との差が閾値Vth0より小さい場合には(S1022でYES)、上位制御装置3は、電力系統の事故または擾乱によって変換器セル7のキャパシタ電圧Vcが全体として増加していると判断し、全ての変換器セル7に対して図5で説明した短時間ゲートブロック処理を実行する(S103)。
一方、キャパシタ電圧の最大値Vcmaxと平均値<Vc>との差が閾値Vth0より小さくない場合には(S1022でNO)、上位制御装置3は、少なくとも蓄電素子24の電圧が最大値Vcmaxを有する変換器セル7は単独故障であると判定して、あえて短時間ゲートブロック処理を行わないことにより、この変換器セル7の蓄電素子24の電圧を上昇させてバイパススイッチBPSを投入させる(S1023)。
次に、キャパシタ電圧の平均値<Vc>が第2段階の閾値OV1より高い場合には(S104でYES)、上位制御装置3は、処理をステップS1041~S1043に進める。
具体的に、上位制御装置3は、全ての変換器セル7のキャパシタ電圧Vcの最大値Vcmaxを計算し(S1041)、キャパシタ電圧の最大値Vcmaxと平均値<Vc>との差が閾値Vth1(第2の差分閾値とも称する)より小さいか否かを判定する(S1042)。この判定の結果、キャパシタ電圧の最大値Vcmaxと平均値<Vc>との差が閾値Vth1より小さい場合には(S1042でYES)、上位制御装置3は、電力系統の事故または擾乱によって変換器セル7のキャパシタ電圧Vcが全体として増加していると判断し、全ての変換器セル7に対して図6で説明した長時間ゲートブロック処理を実行する(S106)。
一方、キャパシタ電圧の最大値Vcmaxと平均値<Vc>との差が閾値Vth1より小さくない場合には(S1042でNO)、上位制御装置3は、少なくとも蓄電素子24の電圧が最大値Vcmaxを有する変換器セル7は単独故障であると判定して、あえて長時間ゲートブロック処理を行わないことにより、この変換器セル7の蓄電素子24の電圧を上昇させてバイパススイッチBPSを投入させる(S1043)。
以上により、ゲートブロック信号を各変換器セル7に送信するか否かをより精度良く判定できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この出願の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,54A,54B 電力変換装置、2 電力変換器、3 上位制御装置、4 レグ回路、5,6 アーム回路、7 変換器セル、8A,8B リアクトル、9A,9B アーム電流検出器、10 交流電圧検出器、11A,11B 直流電圧検出器、12 交流回路、13 変圧器、14 直流回路、16 交流電流検出器、17 直流電流検出器、20HB 変換回路(ブリッジ回路)、22 スイッチング素子、24 蓄電素子、25 電圧検出器、26N,26P 入出力端子、27 個別制御部、30 入力変換器、31 サンプルホールド回路、32 マルチプレクサ、33 A/D変換器、34 CPU、35 RAM、36 ROM、37 入出力インターフェイス、38 補助記憶装置、39 バス、40U U相電圧指令生成部、41 交流電流制御部、42 循環電流算出部、43 循環電流制御部、44 電圧バランス制御部、45 指令分配部、50A,50B 交流電力系統、51A,51B 交流遮断器、52A,52B 初期充電抵抗器、53A,53B,BPS バイパススイッチ、55H 高電位側直流送電線、55L 低電位側直流送電線、Nn 低電位側直流端子、Np 高電位側直流端子、Nu,Nv,Nw 交流端子、Vc キャパシタ電圧。

Claims (14)

  1. カスケード接続された複数の変換器セルを含むアーム回路を備える電力変換器と、
    前記電力変換器を制御する上位制御装置とを備え、
    前記複数の変換器セルの各々は、
    第1の入出力端子および第2の入出力端子と、
    複数の半導体スイッチング素子を含むブリッジ回路と、
    前記ブリッジ回路を介して前記第1の入出力端子および前記第2の入出力端子に接続される蓄電素子と、
    前記第1の入出力端子と前記第2の入出力端子との間を接続するバイパススイッチと、
    前記上位制御装置と信号線を介して接続された個別制御部とを含み、
    前記個別制御部は、
    前記上位制御装置から前記バイパススイッチの投入待機指令を受信していない場合には、前記蓄電素子の電圧が第1の過電圧閾値を超えているときに前記バイパススイッチを投入し、
    前記バイパススイッチの前記投入待機指令を受信した場合には、前記複数の半導体スイッチング素子をオフにするゲートブロックを行い、前記第1の過電圧閾値に代えて、前記蓄電素子の電圧が前記第1の過電圧閾値よりも高い第2の過電圧閾値を超えているときに、前記バイパススイッチを投入し、前記蓄電素子の電圧が前記第2の過電圧閾値を超えた以外の事由では前記バイパススイッチを投入しないように構成される、電力変換装置。
  2. 前記電力変換器は、交流回路と直流回路との間で電力変換を行い、
    前記上位制御装置は、前記電力変換装置の内部又は前記交流回路又は前記直流回路に故障が生じたために前記電力変換器を運転継続できない場合において、いずれかの変換器セルが前記バイパススイッチを投入することがあり得る場合に、前記複数の変換器セルの各々に前記バイパススイッチの前記投入待機指令を送信しかつ前記電力変換器を停止する、請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記上位制御装置は、前記電力変換器、前記交流回路、および前記直流回路のいずれかが故障したときの故障電流および故障電圧から推定される故障点および故障の種類に基づいて、いずれかの変換器セルが前記バイパススイッチを投入することになるか否かを判定する、請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記変換器セルの故障のために前記バイパススイッチが投入された結果、前記アーム回路に含まれる冗長セルの残数が0未満になった場合に、前記上位制御装置は、前記複数の変換器セルの各々に前記バイパススイッチの前記投入待機指令を送信しかつ前記電力変換器を停止する、請求項1~3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  5. 前記上位制御装置は二重化されており、前記二重化された前記上位制御装置が2系統とも故障した場合に、前記上位制御装置は、前記複数の変換器セルの各々に前記バイパススイッチの前記投入待機指令を送信しかつ前記電力変換器を停止する、請求項1~のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  6. 前記上位制御装置と前記複数の変換器セルの各々の前記個別制御部とは、二重化された通信システムで接続されており、
    前記複数の変換器セルのうちの第1の変換器セルと前記上位制御装置との間の通信システムが2系統とも故障した場合に、前記上位制御装置は、前記複数の変換器セルの各々に前記バイパススイッチの前記投入待機指令を送信しかつ前記電力変換器を停止し、前記第1の変換器セルは、前記複数の半導体スイッチング素子をオフにするゲートブロックを行う、請求項1~のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  7. 前記個別制御部は、前記バイパススイッチの前記投入待機指令を受信していない場合に、前記蓄電素子の電圧が前記第1の過電圧閾値を超えた状態が一定時間継続した場合に前記バイパススイッチを投入し、
    前記個別制御部は、前記バイパススイッチの前記投入待機指令を受信した場合に、前記蓄電素子の電圧が前記第2の過電圧閾値を超えた状態が一定時間継続した場合に前記バイパススイッチを投入する、請求項1~のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  8. 前記個別制御部は、前記バイパススイッチの前記投入待機指令を受信した場合に、前記蓄電素子の電圧の変化を不揮発性メモリに記録する、請求項1~のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  9. 各変換器セルの前記個別制御部は、前記バイパススイッチの前記投入待機指令を受信していない場合において、前記蓄電素子の電圧が前記第1の過電圧閾値を超えたときに前記上位制御装置に重故障信号を送信し、前記バイパススイッチの投入を完了したときに完了通知を送信し、
    前記上位制御装置は、前記重故障信号を受信したときに各変換器セルの前記個別制御部にゲートブロック指令を送信し、前記バイパススイッチの投入の前記完了通知を受信したときに各変換器セルの前記個別制御部に前記ゲートブロック指令の解除通知を送信する、請求項1~のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  10. 各変換器セルの前記個別制御部は、前記蓄電素子の電圧の計測値を前記上位制御装置に送信し、
    前記上位制御装置は、各変換器セルの前記個別制御部から受信した前記蓄電素子の電圧の前記計測値に基づいて、前記電力変換器を構成する変換器セル全体での前記蓄電素子の電圧の大きさの程度を表す評価値を計算し、
    前記上位制御装置は、前記評価値が第3の過電圧閾値を超えたときに、各変換器セルの前記個別制御部にゲートブロック指令を送信し、前記ゲートブロック指令を送信してから一定時間経過後に前記ゲートブロック指令の解除通知を送信する、請求項1~のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  11. 前記上位制御装置は、前記評価値が前記第3の過電圧閾値よりも高い第4の過電圧閾値を超えたときに各変換器セルの前記個別制御部に前記ゲートブロック指令を送信した場合には、前記評価値が前記第4の過電圧閾値よりも低い解除閾値未満となるまで前記ゲートブロック指令の解除通知を送信しない、請求項10に記載の電力変換装置。
  12. 前記上位制御装置は、前記電力変換器に含まれる前記蓄電素子の電圧の平均値を前記評価値として計算するとともに前記蓄電素子の電圧の最大値を計算し、
    前記上位制御装置は、前記評価値が前記第3の過電圧閾値を超え、かつ前記最大値と前記平均値との差分が第1の差分閾値以上の場合に、各変換器セルの前記個別制御部に前記ゲートブロック指令を送信せず、
    前記上位制御装置は、前記評価値が前記第4の過電圧閾値を超え、かつ前記最大値と前記平均値との差分が第2の差分閾値以上の場合に、各変換器セルの前記個別制御部に前記ゲートブロック指令を送信しない、請求項11に記載の電力変換装置。
  13. 前記個別制御部は、前記バイパススイッチの前記投入待機指令を受信していない場合において、前記バイパススイッチの投入開始後かつ投入完了前に、前記蓄電素子の電圧が前記第2の過電圧閾値に等しいか又は前記第2の過電圧閾値よりも高い上限値を超えた場合に、システム重故障信号を前記上位制御装置に送信し、
    前記上位制御装置は、前記システム重故障信号を受信した場合に、前記電力変換器を停止する、請求項1~のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  14. 前記個別制御部は、前記バイパススイッチの投入完了後に前記蓄電素子の電圧が低下していることを検知した場合に、前記システム重故障信号を前記上位制御装置に送信する、請求項13に記載の電力変換装置。
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