JP7307335B2 - 熱処理鋼帯の製造方法およびその製造設備 - Google Patents
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Description
かかる従来技術によれば、鋼帯が溶融金属浴中で溶融金属脆化割れによる鋼帯の破断が起きないため、熱処理鋼帯の生産性を向上させることができる。
上述のような連続熱処理炉を用いて熱処理鋼帯の生産性をさらに向上させたい場合には、ラインスピードを増速すれば良いが、ラインスピードを増速すると、加熱帯を経て高温となった鋼帯が溶融金属浴へと持ち込む熱量、すなわち単位時間当たりの急冷帯への入熱量が増加し、溶融金属浴での急冷効果が減少するようになる。このため、得られる熱処理鋼帯の製品硬さが低下する傾向が見られるようになる。
すなわち、オーステナイト相を主相とする組織に調整した鋼帯18を走行させ、溶融金属30を貯留した溶融金属浴20に前記鋼帯18を浸漬させて所定温度まで急冷し、その後、ベーナイト変態のための恒温保持を終了し室温まで冷却してもマルテンサイト変態を起こさせない状態まで恒温に保持して恒温変態熱処理を行う。その際に、前記鋼帯18を、前記溶融金属浴20の上部空間から、その溶融金属浴20に半浸漬している上側支持ロール40の下方に向かって走行させるとともに、前記鋼帯18の前記溶融金属浴20への入浴部分から前記鋼帯18の走行方向最上流側に位置する前記上側支持ロール40までの間の前記鋼帯18上側に貯留する前記溶融金属30に対して、前記鋼帯18の走行方向を横切る方向の流れを与える。
そこで、この発明では、鋼帯18の溶融金属浴20への入浴部分から鋼帯18の走行方向最上流側に位置する上側支持ロール40までの間の鋼帯18上側に貯留する溶融金属30に対して、鋼帯18の走行方向を横切る方向の流れを与えているので、かかる部分に熱が蓄積するのを防止することができる。
この場合、溶融金属30に流れを与えるために新たな動力源を必要せず、既存設備の簡単な改造で上記の流れを与えることができる。
また、上記のものに代えて、鋼帯18の溶融金属浴20への入浴位置から、その入浴位置よりも鋼帯18の走行方向下流側に設けられた溶融金属浴20への溶融金属30の流入位置までの間において、溶融金属浴20中の溶融金属30を、鋼帯18の走行方向に対して直交する2つの方向へそれぞれ異なる量でオーバーフローさせるのも好ましい。
この場合も、溶融金属30に流れを与えるために新たな動力源を必要せず、既存設備の簡単な改造で上記の流れを与えることができるのに加え、後述するオーバーフロー配管48などへの負荷を軽減させることもできる。
鋼帯18を、オーステナイト相を主相とする組織に調整する加熱帯12と、溶融金属30が貯留された溶融金属浴20に前記鋼帯18を浸漬させて所定温度まで急冷させる急冷帯14と、その急冷の後、ベーナイト変態のための恒温保持を終了し室温まで冷却してもマルテンサイト変態を起こさせない状態まで恒温に保持する保持帯16とをこの順に備え、前記鋼帯18に対して恒温変態熱処理を行う。前記急冷帯14では、前記鋼帯18の前記溶融金属浴20への入浴位置から、その入浴位置よりも前記鋼帯18の走行方向下流側に設けられた前記溶融金属浴20への前記溶融金属30の流入位置までの間において、前記溶融金属浴20中の前記溶融金属30を、前記鋼帯18の走行方向に対して直交する1つの方向のみからオーバーフローさせる。または、前記溶融金属浴20中の前記溶融金属30を、前記鋼帯18の走行方向に対して直交する2つの方向へそれぞれ異なる量でオーバーフローさせる。
図1は、本発明における一実施形態の熱処理鋼帯の製造設備10の概略を示すフロー図であり、これらの図が示すように、本発明の熱処理鋼帯の製造装置10は、熱処理炉であって、加熱帯12と、急冷帯14と、保持帯16とをこの順に備える。
なお、本明細書においては、各部位に付される符号に関し、各部位を上位概念で示す場合にはアルファベットの枝番をつけずアラビア数字のみで示し、各部位を区別する必要がある場合(すなわち下位概念で示す場合)にはアルファベット小文字の枝番をアラビア数字に付して区別する。
なお、「オーステナイト相を主相とする組織」は、オーステナイトが主組織であるならば如何なるものであってもよく、例えば、「オーステナイト+セメンタイト」や「オーステナイト+フェライト」などを挙げることができる。勿論、「オーステナイト単相」であってもよい。
また、この急冷帯14を構成する溶融金属浴20は、鋼帯18が浸漬される上鍋26と、その上鍋26の下に配設され、上鍋26との間で溶融金属30を循環させる下鍋28とを有する。
これらの図が示すように、オーバーフロー口44が鋼帯18の走行方向に対して直交する1つの方向のみ開放されたDのパターン、および、鋼帯18の走行方向に対して直交する2つの方向へそれぞれ異なる量の溶融金属30をオーバーフローさせるべく左右で非対称に開放されたCのパターンでは、鋼帯18の溶融金属浴20への入浴部分から鋼帯18の走行方向最上流側に位置する上側支持ロール40までの間の鋼帯18上側に貯留する溶融金属30に対して、鋼帯18の走行方向を横切る方向の流れが生じており、鋼板18の冷却速度(=抜熱速度)を増加させることができる。
なお、図1中の符号50は、急冷帯14の溶融金属浴20を通過した鋼帯18を保持帯16へと案内するためのガイドロールであり、符号52は、保持帯16内を走行する鋼帯18を下から支える支持ロールである。
Claims (7)
- オーステナイト相を主相とする組織に調整した鋼帯(18)を走行させ、溶融金属(30)を貯留した溶融金属浴(20)に前記鋼帯(18)を浸漬させて所定温度まで急冷し、その後、ベーナイト変態のための恒温保持を終了し室温まで冷却してもマルテンサイト変態を起こさせない状態まで恒温に保持して恒温変態熱処理を行う熱処理鋼帯の製造方法であって、
前記鋼帯(18)を、前記溶融金属浴(20)の上部空間から、その溶融金属浴(20)に半浸漬している上側支持ロール(40)の下方に向かって走行させるとともに、
前記鋼帯(18)の前記溶融金属浴(20)への入浴部分から前記鋼帯(18)の走行方向最上流側に位置する前記上側支持ロール(40)までの間の前記鋼帯(18)上側に貯留する前記溶融金属(30)に対して、前記鋼帯(18)の走行方向を横切る方向の流れを与える、ことを特徴とする熱処理鋼帯の製造方法。 - オーステナイト相を主相とする組織に調整した鋼帯(18)を走行させ、溶融金属(30)を貯留した溶融金属浴(20)に前記鋼帯(18)を浸漬させて所定温度まで急冷し、その後、ベーナイト変態のための恒温保持を終了し室温まで冷却してもマルテンサイト変態を起こさせない状態まで恒温に保持して恒温変態熱処理を行う熱処理鋼帯の製造方法であって、
前記鋼帯(18)を、前記溶融金属浴(20)の上部空間から、その溶融金属浴(20)に半浸漬している上側支持ロール(40)の下方に向かって走行させるとともに、
前記鋼帯(18)の前記溶融金属浴(20)への入浴位置から、その入浴位置よりも前記鋼帯(18)の走行方向下流側に設けられた前記溶融金属浴(20)への前記溶融金属(30)の流入位置までの間において、前記溶融金属浴(20)中の前記溶融金属(30)を、前記鋼帯(18)の走行方向に対して直交する1つの方向のみからオーバーフローさせる、ことを特徴とする熱処理鋼帯の製造方法。 - オーステナイト相を主相とする組織に調整した鋼帯(18)を走行させ、溶融金属(30)を貯留した溶融金属浴(20)に前記鋼帯(18)を浸漬させて所定温度まで急冷し、その後、ベーナイト変態のための恒温保持を終了し室温まで冷却してもマルテンサイト変態を起こさせない状態まで恒温に保持して恒温変態熱処理を行う熱処理鋼帯の製造方法であって、
前記鋼帯(18)を、前記溶融金属浴(20)の上部空間から、その溶融金属浴(20)に半浸漬している上側支持ロール(40)の下方に向かって走行させるとともに、
前記鋼帯(18)の前記溶融金属浴(20)への入浴位置から、その入浴位置よりも前記鋼帯(18)の走行方向下流側に設けられた前記溶融金属浴(20)への前記溶融金属(30)の流入位置までの間において、前記溶融金属浴(20)中の前記溶融金属(30)を、前記鋼帯(18)の走行方向に対して直交する2つの方向へそれぞれ異なる量でオーバーフローさせる、ことを特徴とする熱処理鋼帯の製造方法。 - 請求項1または2の熱処理鋼帯の製造方法において、
前記溶融金属浴(20)は、前記溶融金属(30)としてBi(ビスマス)またはPb(鉛)の少なくとも一方が用いられる、ことを特徴とする熱処理鋼帯の製造方法。 - 鋼帯(18)を、オーステナイト相を主相とする組織に調整する加熱帯(12)と、溶融金属(30)が貯留された溶融金属浴(20)に前記鋼帯(18)を浸漬させて所定温度まで急冷させる急冷帯(14)と、その急冷の後、ベーナイト変態のための恒温保持を終了し室温まで冷却してもマルテンサイト変態を起こさせない状態まで恒温に保持する保持帯(16)とをこの順に備え、前記鋼帯(18)に対して恒温変態熱処理を行う熱処理鋼帯の製造装置であって、
前記急冷帯(14)では、前記鋼帯(18)の前記溶融金属浴(20)への入浴位置から、その入浴位置よりも前記鋼帯(18)の走行方向下流側に設けられた前記溶融金属浴(20)への前記溶融金属(30)の流入位置までの間において、前記溶融金属浴(20)中の前記溶融金属(30)を、前記鋼帯(18)の走行方向に対して直交する1つの方向のみからオーバーフローさせる、ことを特徴とする熱処理鋼帯の製造装置。 - 鋼帯(18)を、オーステナイト相を主相とする組織に調整する加熱帯(12)と、溶融金属(30)が貯留された溶融金属浴(20)に前記鋼帯(18)を浸漬させて所定温度まで急冷させる急冷帯(14)と、その急冷の後、ベーナイト変態のための恒温保持を終了し室温まで冷却してもマルテンサイト変態を起こさせない状態まで恒温に保持する保持帯(16)とをこの順に備え、前記鋼帯(18)に対して恒温変態熱処理を行う熱処理鋼帯の製造装置であって、
前記急冷帯(14)では、前記鋼帯(18)の前記溶融金属浴(20)への入浴位置から、その入浴位置よりも前記鋼帯(18)の走行方向下流側に設けられた前記溶融金属浴(20)への前記溶融金属(30)の流入位置までの間において、前記溶融金属浴(20)中の前記溶融金属(30)を、前記鋼帯(18)の走行方向に対して直交する2つの方向へそれぞれ異なる量でオーバーフローさせる、ことを特徴とする熱処理鋼帯の製造装置。 - 請求項5または6に記載の熱処理鋼帯の製造装置において、
前記溶融金属浴(20)は、前記溶融金属(30)としてBi(ビスマス)またはPb(鉛)の少なくとも一方が用いられる、ことを特徴とする熱処理鋼帯の製造装置。
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