JP7307021B2 - 蒸着装置、蒸着方法及び斜方蒸着膜の製造方法 - Google Patents

蒸着装置、蒸着方法及び斜方蒸着膜の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、蒸着装置、蒸着方法及び斜方蒸着膜の製造方法に関する。
斜方蒸着法によって基板に蒸着膜を成膜する蒸着装置が知られている。斜方蒸着法は、蒸着物質を気化した蒸気を発する蒸着源に対して基板の蒸着面を傾斜させた状態で蒸着を行う方法である。斜方蒸着法によれば、蒸着物質の堆積により形成される柱状体が成長する方位(以下において、単に柱状体の方位という)を、蒸着面の法線に対して傾斜させることができる。
斜方蒸着の場合、蒸着源に対して基板を傾斜させることに起因して、基板の蒸着面の面内で蒸着源との距離が異なってしまう。特許文献1に記載の蒸着装置は、蒸着源に対して基板を傾斜させた姿勢で固定した上で、基板と蒸着源との間に蒸着物質を流通させる開口部を通じて、基板に蒸着物質を蒸着する。開口部の設置位置は固定されている。特許文献1に記載の蒸着装置において、開口部の大きさは調節可能になっており、開口部の大きさと蒸着時間とを変化させることで、蒸着源と基板の蒸着面内の距離の差に起因する膜厚変化を低減している。
特許文献2に記載の蒸着装置は、蒸着源に対して基板を傾斜させた姿勢で基板を保持する基板ホルダを備えており、基板ホルダを蒸着源に対して回転させながら、基板に蒸着物質を蒸着する。
特許文献1及び特許文献2に記載されている斜方蒸着法は、例えば、液晶表示装置に用いられる位相差補償板などの光学素子を製造するために採用される。
位相差補償板は、例えば、VA(Vertical Alignment)モードの液晶表示装置に使用される(特許文献3参照)。VAモードの液晶表示装置においては、液晶層を挟む偏光子と検光子とは、光を透過するそれぞれの透過軸が直交するクロスニコル配置であり、また、低電圧状態における液晶層の配向が基板面に対して垂直になる。そのため、低電圧状態では偏光子を透過した直線偏光は、偏光軸の向きを保ったまま液晶層を透過して、検光子に入射する。検光子に入射する直線偏光の偏光軸と検光子の透過軸とは直交するため、理論上は検光子を透過する光はなく、黒表示になる。しかし、液晶層は、斜め配向成分に起因して、異なる偏光軸の偏光間で屈折率差を生じるという屈折率異方性(複屈折性とも呼ばれる)を有しているため、液晶層を透過する光は、異なる偏光軸を持つ偏光間で位相差を生じる。偏光間に位相差があると検光子に入射する光は楕円偏光となるため、低電圧状態でも、一部の光が検光子を透過する。これは、黒表示のコントラストの低下をもたらす。位相差補償板は、液晶層内で生じる位相差を補償する。すなわち、位相差補償板は、液晶層に起因する位相差をキャンセルするような位相差を生じさせることにより検光子を透過する光を減らす。これにより、黒表示のコントラストを向上させる機能を有する。
特許文献3に記載されているように、位相差補償板は、一例として、異なる光学異方性を有する複数のプレートの積層体として構成される(特許文献3の図3)。ここで光学異方性とは、入射角が異なる光に対して、異なる位相差を発生させる光学特性をいう。特許文献3には、複数のプレートとして、CプレートとOプレートが記載されている。Cプレートは、屈折率が異なる層をプレートの法線方向に積層したものである。Cプレートは、屈折率異方性を示さない光学軸の向きがプレートの法線と一致しており、法線と異なる方向から入射する光に対しては位相差を生じさせる。
Oプレートは、斜方蒸着法によって形成されるプレートである。Oプレートの基板上に形成される蒸着膜は斜方蒸着されるため、上述のとおり、蒸着物質の堆積により形成される柱状体の方位がプレートの法線に対して傾斜する。柱状体の方位は、屈折率異方性を示さない光学軸の向きと一致する。そのため、Oプレートは、光学軸と一致する柱状体の方位から入射する光に対する位相差はほぼゼロに近いが、それ以外の入射角の光に対しては相対的に大きな位相差を生じさせる。
位相差補償板を構成するCプレート及びOプレートは、屈折率異方性を示さない光学軸の方位は異なるものの、どちらも、入射角が異なる光に対して、異なる位相差を発生させる光学異方性を有する光学素子である。位相差補償板はこうした光学異方性が異なる複数の光学素子の組み合わせによって構成される。こうした位相差補償板を用いることにより、液晶表示装置に表示面に対して正面から入射する光と斜めから入射する光の両方に対して位相差が補償される。
特開2003-129228号公報 特開2009-161843号公報 特許第4897707号公報
本開示の技術は、光学特性の面内のバラツキを従来よりも低減することが可能な蒸着装置、蒸着方法及び斜方蒸着膜の製造方法を提供する。
本開示の蒸着装置は、蒸着物質が蒸着される蒸着面を有する基板を回転させながら、基板に対して蒸着膜を成膜するための蒸着装置であって、
基板を円軌道に沿って回転させる回転機構と、
円軌道に沿って回転する基板の蒸着面に向けて、蒸着物質が気化した蒸気を発する蒸着源であって、円軌道を平面視した場合において、円軌道の内側で、かつ、円軌道の中心とは異なる位置に配置された蒸着源と、
蒸着源に対して蒸着面を傾斜させた姿勢で基板を保持する基板ホルダであって、蒸着面を傾斜させた姿勢を保ちながら、基板と共に円軌道に沿って回転する基板ホルダと、
蒸着源から蒸着面に向かう蒸気の一部を遮蔽するマスクであって、蒸着面と対向する位置に間隔を空けて配置され、かつ、蒸着面との相対位置が固定された状態で、基板と共に回転するマスクとを備えた蒸着装置である。
本開示の蒸着装置においては、円軌道を平面視したときに蒸着源と円軌道の中心とを通る直線と交わる円軌道上の2点をそれぞれ0°位置及び180°位置とした場合において、
0°位置及び180°位置に基板がある場合における蒸着物質の蒸着量が、0°位置及び180°位置から90°回転した円軌道上の90°位置及び270°位置に基板がある場合における蒸着量よりも少なくなる態様で、マスクの平面形状及びマスクと基板との相対位置が決定されていることが好ましい。
本開示の蒸着装置においては、0°位置及び180°位置に基板がある場合における蒸着量が最も少なく、90°位置、及び270°位置に向かって、蒸着量が増加する態様で、マスクの平面形状及びマスクと基板との相対位置が決定されていることがより好ましい。
本開示の蒸着装置においては、マスクは板状であり、一面が蒸着面と対向する姿勢で配置されていることが好ましい。
本開示の蒸着装置においては、円軌道の接線方向を、蒸着面及びマスクの幅方向とした場合において、マスクの幅は蒸着面の幅以下であることが好ましい。
本開示の蒸着装置においては、蒸着源が蒸気を発する方向を上方とした場合において、円軌道は、蒸着源の上方に配置されており、
基板は、蒸着面と円軌道の接線とが平行になる姿勢で、かつ、蒸着面の上端が円軌道の内側に向く姿勢、かつ、蒸着面の下端記円軌道の外側に向く姿勢で配置されていることが好ましい。
本開示の蒸着装置においては、マスクの平面形状は線対称形状であることが好ましい。
本開示の蒸着装置においては、円軌道の接線方向を蒸着面の幅方向とした場合において、マスクの対称軸を蒸着面に投影した直線が、蒸着面の幅方向の中心線と一致する位置にマスクが配置されていることが好ましい。
本開示の蒸着装置においては、マスクの一面と蒸着面とが平行な場合の傾斜角を0°とした場合において、蒸着面に対するマスクの一面の傾斜角は5°~30°であることが好ましい。
本開示の蒸着装置においては、マスクの平面形状は多角形とすることができる。
本開示の蒸着装置においては、マスクの平面形状が矩形である場合、蒸着面の幅を1とした場合、マスクの幅は0.05~1であり、幅の方向と直交する方向のマスクの長さは0.5~1であり、蒸着面に対して傾斜して配置されるマスクの一面と蒸着面との最大間隔は、0.75~1.5とすることが好ましい。
本開示の蒸着方法は、蒸着物質が蒸着される蒸着面を有する基板を回転させながら、基板に対して蒸着膜を成膜するための蒸着方法であって、
基板が回転する円軌道を平面視した場合において、円軌道の内側で、かつ、円軌道の中心とは異なる位置に、蒸着物質が気化した蒸気を発する蒸着源を配置し、
蒸着源に対して蒸着面を傾斜させた姿勢で基板を基板ホルダによって保持し、
蒸着源から蒸着面に向かう蒸気の一部を遮蔽するマスクを、蒸着面と対向する位置に間隔を空けて配置し、かつ、マスクと蒸着面との相対位置を固定し、
蒸着源に対して蒸着面を傾斜させた姿勢を保ちながら、基板と、相対位置が固定されたマスクとを円軌道に沿って回転させ、
マスクと共に円軌道に沿って回転する基板の蒸着面に対して、蒸着源から発する蒸気を蒸着させる蒸着方法である。
本開示の蒸着方法においては、円軌道を平面視したときに蒸着源と円軌道の中心とを通る直線と交わる円軌道上の2点をそれぞれ0°位置及び180°位置とした場合において、
0°位置及び180°位置に基板がある場合における蒸着物質の蒸着量が、0°位置及び180°位置から90°回転した円軌道上の90°位置及び270°位置に基板がある場合における蒸着量よりも少なくする態様で、マスクの平面形状及びマスクと基板との相対位置が決定されていることが好ましい。
本開示の蒸着方法においては、0°位置及び180°位置に基板がある場合における蒸着量が最も少なく、90°位置、及び270°位置に向かって、徐々に蒸着量が増加する態様で、マスクの平面形状及びマスクと基板との相対位置が決定されていることが好ましい。
本開示の斜方蒸着膜の製造方法は、蒸着物質が蒸着される蒸着面を有する基板を回転させながら、基板に対して斜方蒸着膜を成膜する斜方蒸着膜の製造方法であって、
基板が回転する円軌道を平面視した場合において、円軌道の内側で、かつ、円軌道の中心とは異なる位置に、蒸着物質が気化した蒸気を発する蒸着源を配置し、
蒸着源に対して蒸着面を傾斜させた姿勢で基板を基板ホルダによって保持し、
蒸着源から蒸着面に向かう蒸気の一部を遮蔽するマスクを、蒸着面と対向する位置に間隔を空けて配置し、かつ、マスクと蒸着面との相対位置を固定し、
蒸着源に対して蒸着面を傾斜させた姿勢を保ちながら、基板と、相対位置が固定されたマスクとを円軌道に沿って回転させ、
マスクと共に円軌道に沿って回転する基板の蒸着面に対して、蒸着源から発する蒸気を蒸着させる斜方蒸着膜の製造方法である。
一実施形態の蒸着装置の概略構成図である。 斜方蒸着の説明図である。 斜方蒸着膜の適用例である位相差補償板の断面図である。 円軌道と蒸着源との位置関係を示す図である。図4Aは円軌道を斜視した斜視図であり、図4Bは円軌道を平面視した平面図である。 円軌道上の位置の説明図である。 位置P1、P7における基板とマスク及び蒸着源の位置関係を示す図である。 位置P4における基板とマスク及び蒸着源の位置関係を示す図である。 蒸着源からみた円軌道上の各位置に位置する基板及びマスクを概念的に示す図である。 基板とマスクの位置関係及びサイズを示す図である。 マスクの他の例を示す図である。 マスクの他の例を示す図である。 基板上の測定位置を説明するための図である。 円軌道上の各位置で成膜した蒸着膜についての正面位相差を示す図である。 測定方法を説明するための図である。 円軌道上の各位置で成膜した蒸着膜についてのRe比を示す図である。 実施例における基板と蒸着源及び円軌道の関係を説明する図である。
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。
図1は、本開示の一実施形態の蒸着装置1の概略構成を示す。蒸着装置1は、蒸着物質が蒸着される蒸着面10aを有する基板10を回転させながら、基板10に対して蒸着膜を成膜するための蒸着装置である。蒸着装置1は、内部を真空状態に維持する真空チャンバ11と、基板10を保持するドーム型の基板ホルダ12と、回転軸13と、蒸着源14と、マスク20とを有している。
本蒸着装置1は、図2に示すように、基板10を、蒸着源14に対して基板10の蒸着面10aを傾斜させた姿勢で保持させた状態で、基板10の蒸着面10aに蒸着源14からの蒸着物質を斜めに入射させて蒸着する装置である。基板10の蒸着面10aを蒸着源14に対して傾斜させた姿勢とは、図2に示すように、蒸着源14から発せられた蒸気の入射方向16と蒸着面10aの法線Nとが傾きφを有する姿勢をいう。このように、基板10の蒸着面10aに斜め方向から蒸着物質を蒸着することによって、蒸着物質の入射方向に沿って傾斜した柱状体が成長して、柱状体が林立した構造を有する斜方蒸着膜30が形成される。なお、以下において、蒸着源14と蒸着面10aの距離とは、蒸着源14の蒸気出射中心と蒸着面10aの重心を結ぶ距離B0をいい、基板10の蒸着源14に対する傾きとは上述の蒸気の入射方向16の法線Nからの傾きφをいう。
斜方蒸着膜は、例えば、液晶表示装置に用いられる位相差補償板の一要素として用いられる。既述の通り、位相差補償板は、液晶層で生じる位相差を補償する。VAモードの液晶セルの位相差を補償する位相差補償板100の一例を図3に示す。図3に示すように、位相差補償板100は、透明な基板101上にCプレート102、第1のOプレート103及び第2のOプレート104が積層された構造を有する。
Cプレート102は、基板101の法線方向に延びた光学軸を有し、法線と垂直な面方向に光学異方性を有する光学異方性膜である。法線と垂直な面方向に光学異方性を有するので、Cプレート102は液晶セルに斜めから入射する光の位相差を補償する。
第1のOプレート103及び第2のOプレート104は、2軸性複屈折率楕円体であり、基板101の法線方向に対して傾斜した光学軸を有する光学異方性膜である。この第1のOプレート103あるいは第2のOプレート104を構成する光学異方性膜として、本開示の方法で蒸着され、製造される斜方蒸着膜を適用することができる。斜方蒸着により作製された斜方蒸着膜は、蒸着物質の入射方向に沿って成長した柱状体の方位に光学軸を有する。位相差補償板100に備えられる、第1のOプレート103及び第2のOプレート104は柱状体の方位、すなわち、光学軸の方向が互いに異なる。第1のOプレート103及び第2のOプレート104のそれぞれの光学軸は、例えば、液晶セルの液晶の配向方向に対して対称とされる。第1のOプレート103及び第2のOプレート104は、光学軸が基板101の法線に対して傾斜していることから、法線方向に入射する光に対して複屈折性を示す。これにより、第1のOプレート103及び第2のOプレート104は、液晶セルに法線方向から入射する光の位相差を補償する。
位相差補償板100は、上述のように、光学異方性が互いに異なるCプレート102、第1のOプレート103及び第2のOプレート104の積層体から構成される。このような位相差補償板100を用いることにより、液晶表示装置に表示面に対して正面から入射する光と斜めから入射する光の両方に対して位相差が補償される。
液晶表示装置における黒表示を均一にするためには、Oプレートとして、基板面内で面内位相差が均一であることが好ましい。基板面内で面内位相差に分布があると、液晶表示装置における黒表示時の黒レベルが面内で不均一となるため、基板面内での面内位相差のばらつきが小さいほど好ましい。
光学異方性膜として用いられる斜方蒸着膜において、面内位相差Reは(No-Ne)×d/λであらわされる。ここで、Noは常光に対する屈折率であり、Neは異常光に対する屈折率、λは入射光の波長であり、dは斜方蒸着膜の膜厚である。なお、入射光のうち光学軸に平行な振動面の光成分を異常光、光学軸に垂直な振動面の光成分を常光という。面内位相差Reは蒸着膜の膜厚dに比例するため、膜厚に面内分布があると、面内位相差に面内分布が生じる。従って、膜厚の均一化により面内位相差の均一化が図れると考えられる。
以下、基板面内での面内位相差を従来よりも均一化することができる、本実施形態の蒸着装置1及び蒸着方法の詳細を説明する。
基板ホルダ12は、真空チャンバ11の上部位置に配置される回転型のドームであり、蒸着源14に対して基板10の蒸着面10aを傾斜させた姿勢で基板10を保持する。真空チャンバ11には基板10を回転させる回転機構15が設けられている。回転機構15は、基板10を円軌道に沿って回転させる。回転機構15は、回転軸13と、回転軸13を駆動するモータ(図示せず)及びモータを制御する制御回路(図示せず)などを含んで構成される。回転軸13は、基板ホルダ12のドームの上面の回転中心に垂直方向に設けられており、この回転軸13の回転により基板ホルダ12の全体が回転する。基板10は基板ホルダ12と共に円軌道に沿って回転する。なお、図1において、基板ホルダ12には1枚の基板10のみが保持されているが、基板ホルダ12は、円軌道に沿って複数の基板を同時に保持可能である。
図4は、基板10の円軌道C及び蒸着源14の位置を示す図である。図4の図4Aは円軌道Cの斜視を示し、図4Bは円軌道Cの平面視を示す。基板10は、回転軸13の回転に伴い回転する基板ホルダ12によって、回転軸13の位置に対応する点Oを中心とする円軌道Cに沿って回転する。なお、円軌道Cは真円に限らず楕円軌道をとってもよい。
蒸着源14が蒸気を発する方向を上方とした場合において、円軌道Cは蒸着源14の上方に配置されており、基板10は、蒸着面10aと円軌道Cの接線とが平行になる姿勢で、かつ、蒸着面10aの上端10bが円軌道Cの内側に向く姿勢、かつ、蒸着面10aの下端10cが円軌道Cの外側に向く姿勢で配置されている。
蒸着源14は、円軌道Cに沿って回転する基板10の蒸着面10aに向けて、蒸着物質が気化した蒸気を発する。図4Bに示すように、蒸着源14は、円軌道Cを平面視した場合において、円軌道Cの内側で、かつ、円軌道Cの中心Oとは異なる位置に配置されている。すなわち、基板10は蒸着源14に対して偏心した円軌道C上を回転している。基板10が円軌道C上を回転すると、蒸着源14から基板10の蒸着面10aまでの距離、及び基板の蒸着源14に対する傾きが変化する。
マスク20は、蒸着源14から蒸着面10aに向かう蒸気の一部を遮蔽するマスクであって、蒸着面10aと対向する位置に間隔を空けて配置されている。マスク20は、基板10の蒸着面10aとの相対位置が固定された状態で、基板10と共に回転する。
既述の通り、蒸着時において、基板10とマスク20とは、円軌道Cに沿って一体的に回転する。蒸着源14は円軌道Cの中心Oからずれた位置に配置されているため、基板10とマスク20が円軌道Cに沿って一体的に回転した場合、蒸着源14から見ると、基板10の蒸着面10aに対してマスク20が重畳する領域が変化する。従って、蒸着源14から基板10の蒸着面10aに向かう蒸気がマスク20によって遮蔽される量が円軌道C上の位置によって変化する。言い換えれば、円軌道C上の位置によって、基板10の蒸着面10aに蒸着される蒸着物質の蒸着量が変化する。
本蒸着装置1によれば、マスク20と基板10との相対位置及びマスク20の平面形状を適宜設定することによって、円軌道C上における特定の位置において、蒸気の遮蔽量を多くして、蒸着面10aへの蒸着量を少なくしたり、他の特定の位置において、上記の遮蔽量を少なくして、蒸着面10aへの蒸着量を多くしたりできる。詳細は後述するが、円軌道Cの各位置で、基板10と蒸着源14と距離及び基板10の蒸着源14に対する傾きが異なるために、光学特性に面内ばらつきが生じやすい位置、及び面内ばらつきが生じにくい位置がある。このような場合、マスク20を備えることで、面内ばらつきの生じにくい位置での蒸着量を多くし、面内ばらつきが生じやすい位置での蒸着量を小さくすることで全体として面内ばらつきが抑制され、面内位相差が従来よりも均一化された蒸着膜を得ることができる。
マスク20の平面形状及び相対位置は、例えば、次のように決定されていることが好ましい。円軌道Cを平面視したときに蒸着源14と円軌道の中心Oとを通る直線と交わる円軌道上の2点をそれぞれ0°位置及び180°位置とし、0°位置及び180°位置に基板10がある場合における蒸着物質の蒸着量が、0°位置及び180°位置から90°回転した円軌道C上の90°位置及び270°位置に基板10がある場合における蒸着量よりも少なくなる態様で、決定されている。
特に、0°位置及び180°位置に基板がある場合における蒸着量が最も少なく、90°位置、及び270°位置に向かって、蒸着量が増加する態様で、マスクの平面形状及びマスクと基板との相対位置が決定されていることが好ましい。
ここで、図5に示すように、円軌道Cを平面視したときに蒸着源14と円軌道の中心Oとを通る直線Aと交わる円軌道C上の2点をそれぞれ0°位置P1及び180°位置P7とし、位置P1から時計回りに30°間隔で位置P2、P3・・・とする。すなわち、0°から時計回りに90°回転した90°位置は位置P4であり、180°位置から時計まわりに90°回転した270°位置は位置P10である。
図6には、円軌道Cに垂直な位置P1と円軌道Cの中心及び位置P7を含む面における基板10とマスク20及び蒸着源14との位置関係を示す。図6に示すように、円軌道Cにおいて、基板10が位置P1又は位置P7にある場合に、蒸着源14から基板10の蒸着面10aに向かう蒸気のマスク20による遮蔽量は最大となる。基板10が位置P1又は位置P7にある場合、蒸着源14とマスク20の正面とが対向する状態となり、蒸着源14から基板10に向かう蒸気がマスク20に遮蔽されることにより、蒸着面10aに蒸気が到達しにくくなるためである。
一方、図7に示すように、円軌道Cにおいて、位置P1及び位置P7のそれぞれに対して90°回転した位置P4に基板10がある場合、蒸着源14から基板10の蒸着面10aに向かう蒸気のマスク20による遮蔽量は最小となる。基板10が位置P4にある場合は、基板10とマスク20の側面と蒸着源14とが対向する状態となり、基板10とマスク20の隙間から蒸気が蒸着面10aに到達しやすくなるためである。なお、本例の場合、位置P4に対して、円軌道Cの中心に180°回転した位置P10における基板10とマスク20との位置関係は、位置P4の場合と同様となる。このように、基板10とマスク20は一体的に、蒸着源14から偏心した円軌道Cに沿って移動するので、基板10とマスク20と蒸着源14との位置関係は刻々と変化し、蒸着源14からの蒸気が遮蔽される遮蔽量は変化する。また、円軌道C上の基板10とマスク20の位置によって、マスク20によって遮蔽される蒸着面10aの領域も変化する。
図8は、蒸着源14から見た基板10とマスク20との位置関係を概念的に示す図である。図中矢印は基板10の移動方向であり、位置P1~位置P12は円軌道C上の位置を示す。位置P1に基板10がある時、マスク20は基板10に重畳し、蒸着源14からの蒸気を遮蔽する量が最も大きくなる。基板10が移動して位置P2、位置P3を経て位置P4に至るまでにマスク20が基板10と重畳する領域が徐々に小さくなり、基板10が位置P4において、蒸着源14からの蒸気を遮蔽する量が最も小さくなる。その後、位置P4から位置P7に向かってマスク20と基板10との重畳する領域が徐々に増加して、位置P7に基板10がある時、位置P1に基板10が位置する場合と同様にマスク20は基板10に重畳し、蒸着源14からの蒸気を遮蔽する量が最も大きくなる。その後、位置P7から位置P10に向かってマスク20が基板10と重畳する領域が徐々に小さくなり、位置P10において、蒸着源14からの蒸気を遮蔽する量が最も小さくなる。さらに、位置P10から位置P11、位置P12を経て位置P1に向かってマスク20が基板10と重畳する領域が徐々に大きくなる。図8において、位置P4及び位置P10においてマスク20は基板10と完全に重畳しない状態として示しているが、図8は概念図であり、位置P4及び位置P10においても、実際には完全にマスク20と基板10とが重畳しないわけではなく、遮蔽量は最小となるが、遮蔽量がゼロになるわけではない。
図5に示すように、円軌道Cのうち位置P1は、蒸着源14に最も近く、位置P7が最も遠い。マスク20がない場合、蒸着源14からの距離が近いほど、時間当たりに堆積される蒸着量は大きい。また、各位置においても、基板上端位置から蒸着源14までの距離B1と基板下端位置から蒸着源14までの距離B2とに差があり(図2参照)、蒸着源14に近い基板下端の方が基板上端よりも、蒸着膜の膜厚は厚くなる。特に、蒸着源14に近い位置では、基板の上端と下端での蒸着量の差が大きくなり、蒸着膜の膜厚に差が生じる。上記のように、位置P1及びその近傍において蒸着量を抑制することにより、膜厚の均一化を図ることができる。
また、位置P1及びその近傍での蒸着量を減らすだけであれば、基板10と共に回転するマスクではなく、位置P1近傍にマスクを固定配置することが考えられる。しかし、位置P1近傍は蒸着源14からの距離が近く、蒸着量が多いため、位置P1での蒸着を固定配置のマスクによって完全に遮蔽してしまうと、固定配置のマスクを備えない場合と比較して所望の厚みまで斜方蒸着膜を成長させる時間が大幅に長くなるために、コストアップとなる。この観点から、固定配置のマスクは好ましくない。これに対し、本実施形態ではマスク20の基板10に対する相対位置を固定して、マスク20を基板10と共に回転させることで、位置P1近傍での蒸着量を完全に遮蔽するのではなく、抑制するにとどめている。したがって、マスク20を基板10と共に回転させる本開示の技術によれば、所望の厚みまで斜方蒸着膜を成長させる時間を、固定配置のマスクを設ける場合と比較して短時間にすることができ、コストアップを抑制することができる。
マスク20の具体的な例を図9に示す。マスク20は、板状であり、一面20aが基板10の蒸着面10aと対向する姿勢で配置されている。マスク20を板状にし、一面20aを蒸着面10aと対向させることでマスク20を軽量化しつつ、遮蔽量を増加させることができる。
本例では、マスク20は基板10に対して固定接続部18で接続固定されている。但し、マスク20は、基板10に対する相対位置を変化させることなく、基板10と共に円軌道Cに沿って回転可能であればよく、例えば、基板ホルダ12に設けられたマスク支持部に設置されて、基板ホルダ12に保持された基板10との相対位置が固定されていてもよい。
円軌道Cの接線方向を、蒸着面10a及びマスク20の幅方向とした場合において、マスク20の幅は蒸着面10aの幅以下であることが好ましい。マスク20の幅が蒸着面10aの幅よりも広い場合と比べて単位時間当たりの蒸着量が多くなるため、蒸着効率がよい。
また、マスク20の平面形状は線対称形状であることが好ましい。線対称とすることで、基板10の蒸着面10aへの蒸着量の調整が容易になる。
円軌道Cの接線方向を蒸着面10aの幅方向とした場合において、マスク20の対称軸を蒸着面10aに投影した直線が、蒸着面10aの幅方向の中心線と一致する位置にマスク20が配置されていることが好ましい。これによって、基板10への蒸着量の調整はさらに容易になる。
図9に示すマスク20の平面形状は矩形である。ここで、基板10の蒸着面10aの円軌道Cの接線に平行な方向の幅をW、上下方向の長さをLとする。基板10の蒸着面10aが正方形である場合、幅W=長さLである。幅及び長さのうち短い方(短辺)の長さを1とした場合、マスク20の幅W1は、例えば、0.05~1であり、幅方向と直交する方向の長さL1は、例えば、0.5~1であり、蒸着面に対して傾斜して配置されるマスク20の一面20aと蒸着面10aとの最大間隔Tは、0.75~1.5であることが好ましい。
また、マスク20の一面20aと蒸着面10aとが平行な場合の傾斜角を0°とした場合において、蒸着面10aに対するマスク20の一面20aの傾斜角θは5°~30°であることが好ましい。傾斜角を5°~30°とすることで、基板のうち蒸着源14に近い基板下端側よりも蒸着源14から遠い基板上端側での遮蔽量を小さくなるように調整することができ、基板の上端側と下端側での膜厚の差を小さくすることができる。
図9に示したマスク20の平面形状は矩形であるが、本開示の蒸着装置及び方法において用いられるマスクの平面形状は矩形に限らず、円形であってもよいし、矩形以外の多角形であってもよい。例えば、図10に示す三角形状のマスク22、あるいは図11に示す台形状のマスク24などを用いることができる。
図10に示すように、マスク22の平面形状が三角形の場合、三角形は中心線に対称な二等辺三角形であることが好ましい。また、マスク22は三角形の頂点を基板10の上辺の中点に対向させて配置することが好ましい。基板10の上記短辺の長さを1とした場合、二等辺三角形のマスクの底辺長W1は、例えば、0.05~0.2、好ましくは0.1~0.15であり、長さL1は、例えば、0.5~1.5、好ましくは0.75である。
図11に示すように、マスク24の平面形状が台形の場合、台形は線対称な形状であることが好ましい。また、マスク24は台形の上辺の中点を基板10の上辺の中点に対向させて配置することが好ましい。基板10の上記短辺の長さを1とした場合、台形のマスクの上辺長W1は、例えば、0.01~0.05好ましくは0.025~0.035であり、底辺長W2は、例えば、0.05~0.25、好ましくは0.1~0.15である。
以下、本開示の蒸着装置においてマスクを使うことによる効果を詳細に説明する。
最初に、マスクを備えない従来の蒸着装置の問題点について図12から図15を用いて説明する。図13及び図15は、マスク20を備えずに、かつ、基板10を回転させずに、基板10に対して複数の位置で蒸着を行った場合の測定結果を示す。具体的には、図1に示す蒸着装置1において、マスク20を備えず、かつ、図5に示す円軌道C上の位置P1~P12の各位置に基板10を設置する。この状態で、基板ホルダ12を回転させず、それぞれの基板10に斜方蒸着膜を成膜した。すなわち、円軌道C上の位置P1~P12の各位置に基板10を固定した状態で斜方蒸着膜を成膜した。各基板位置で成膜したそれぞれの蒸着膜について基板上下の位相差特性及び光学異方性について調べた。ここでは、図12に示す100mm×100mmの正方形の基板10を用いた。基板10の幅方向中心線上の基板上端から12.5mmの位置を基板上とし、下辺から12.5mmの位置を基板下とする。
まず、基板上及び基板下の2か所における蒸着膜の面内位相差Re(0)を測定した。Re(0)は入射角0°すなわち、蒸着膜の法線方向に光を入射させた場合の面内位相差Re(0)であり、これを正面位相差という。Re(0)の測定方法は、後述の実施例と同様である。
各位置P1~P12におけるRe(0)を図13に示す。図13において、横軸の基板位置1~12は、円軌道C上の位置Pn(nは1~12)である。図13中、基板上での測定値をダイヤ型マーカーで示し、基板下での測定値を四角形マーカーで示し、基板上と基板下の測定値の差ΔRe(0)を三角形マーカーで示す。
図13に示すように、基板10の位置を固定した状態で蒸着した場合、正面位相差の値は、円軌道C上の位置によって異なる。また、図13において破線で囲まれた位置P1~P3、位置P11~P1において、基板上と基板下とで正面位相差の差ΔRe(0)が大きいことが分かる。これは、蒸着源14に近い位置において、基板上下での蒸着膜の膜厚の差が大きく、膜厚の差に起因する面内位相差が大きく生じているためと考えられる。なお、基板幅方向においては、Re(0)の差は±3nm以下であり、ほぼ均一であった。
次に、基板上及び基板下の2か所における蒸着膜の光学異方性の評価を行った。光学異方性は、図14に示すように、蒸着膜30に対して、入射角15°で光を入射させた場合の面内位相差Re(15°)と入射角-15°で光を入射させた場合の面内位相差Re(-15°)をそれぞれ測定し、Re比=Re(15°)/Re(-15°)で評価した。面内位相差Re(15°)及びRe(-15°)の測定方法は、後述の実施例と同様である。ここでは、柱状体の成長方向の傾斜方向を負の傾きとして示している。
Re比が大きいほど光学異方性が高い2軸性屈折率楕円体であることを示し、Oプレートとして機能が高いことを意味する。Re比が1以上であれば、Oプレートとしての機能を生じるが、Re比が1に近いほど1軸性屈折率楕円体に近く、Oプレートとしての機能は低い。
各位置P1~P12におけるRe比を図15に示す。図15において、横軸の基板位置1~12は、円軌道C上の位置Pn(nは1~12)である。図15中、基板上でのRe比をダイヤ型マーカーで示し、基板下でのRe比を四角形マーカーで示し、基板上と基板下の測定値の差ΔRe比を三角形マーカーで示す。
図15に示すように、蒸着源14に近い位置P1近傍で成膜された蒸着膜は2軸性の光学異方性(すなわち、2軸性屈折率楕円体としての光学特性)を強く示すが、蒸着源14から距離が遠い位置で成膜された蒸着膜の光学異方性は2軸性屈折率楕円体から1軸性屈折率楕円体に近い構造に変化している。すなわち、蒸着源から遠い位置P5~P10で蒸着された場合十分な斜め蒸着が実現されていないと考えられる。また、図15に示すように、位置P1近傍で成膜された蒸着膜においては、入射角が±15°である場合の面内位相差についても基板上下の差が生じている。
以上の通り、位置P1近傍で、基板上下の面内位相差のばらつきが最も大きく、位置P7近傍で、2軸性屈折率楕円体としての機能が最も小さい。
実際には、基板10を円軌道Cに沿って回転させつつ、蒸着を行うため、位置P1~P12で順次蒸着され、面内位相差の面内ばらつきは平均化される。しかし、回転させつつ蒸着を行った場合であっても、位置P1を中心とする位置P1~P3及び位置P11~P1で生じる基板上下間での面内位相差の差の影響により、基板10を円軌道Cに沿って回転させた場合でも基板上下間で面内位相差の差が生じる。基板の面内において、面内位相差にばらつきがあると、位相差補償板として用いる場合に面内ばらつきが生じて、均等な位相差補償ができなくなるという問題が生じる。
同様に、位置P1~P12で順次蒸着されることにより、光学異方性についても平均化される。しかし、回転させつつ蒸着を行った場合であっても、位置P7を中心とする位置P5~P9で生じる1軸性屈折率楕円体に近い光学特性のために、全体として、2軸性屈折率楕円体としての光学特性が小さくなるという問題が生じる。
上記考察によれば、位置P4及び位置P10近傍で蒸着した場合、面内位相差の面内ばらつきは小さく、かつ、良好な異方性を示す蒸着膜を得ることができる。しかし、位置P4及び位置P10近傍に基板を固定配置して蒸着膜を成膜する手法では、1枚の基板の蒸着に時間がかかり、効率よい生産を行うことができない、という問題がある。図1に示す蒸着装置1においては、基板ホルダ12に複数の基板を配置して、回転させつつ蒸着することによって、複数の基板に同時に蒸着膜を成膜することが可能であるが、位置P4、位置P10のみに基板を設置して回転させることなく蒸着する手法では、著しく生産性が低下する。
一方、蒸着装置において、位置P1及び位置P7近傍での蒸着を遮蔽するためのマスクであって、基板と共に回転せず、位置が固定された固定配置のマスクを設け、基板を回転させつつ蒸着する態様も考えられる。しかしながら、蒸着源14からの距離が比較的近い領域である位置P1近傍での蒸着を完全に遮蔽してしまうと、蒸着膜を所望の膜厚まで成膜するためには相当時間を要し、やはり生産性の低下は著しい。
以上の通り、マスク20を備えない従来の蒸着装置あるいは、固定設置されたマスクを備えた蒸着装置では、上記の問題がある。これに対し、本蒸着装置1においては、既述の通り、蒸着源14に対して偏心した円軌道を回転する基板10に対する相対位置が固定された状態で基板10と共に円軌道Cに沿って回転するマスク20を備えている。このマスク20によって、基板10が位置P1及び位置P7近傍を通過する際の蒸着を抑制することができるので、基板上下の面内位相差ばらつきが小さく、かつ良好な2軸性屈折率楕円体構造を得られる。また、マスク20により基板10が位置P1及び位置P7近傍を通過する際の蒸着を完全に遮蔽するのではなく、部分的に遮蔽するものであるので、蒸着膜を所望の膜厚まで成膜するまでの時間を、マスク20を備えていない場合の成膜時間から大幅に増加させずに済む。したがって、所望の膜厚の蒸着膜を製造する際の生産性の低下を抑制することが可能である。
上記実施形態においては、基板ホルダ12に基板10を1つだけ保持させた場合について説明したが、基板ホルダ12に、複数の基板10に対して、同時に斜方蒸着膜を成膜することが好ましい。さらに、基板ホルダ12は、ドーム形状の斜面に沿って複数の段に基板を保持可能に構成されていてもよい。この場合、異なる段に保持された基板はそれぞれ、直径が異なる、同心円状の円軌道に沿って回転することになる。このように複数の基板10に対して同時に斜方蒸着膜を成膜することにより、生産効率を大幅に向上させることができる。
基板10は、例えば、正方形の平板状のガラス薄板などの透明基板であるが、蒸着膜を形成するものであればよく、透明性を有しない基板であってもよい。基板10の形状は、正方形や矩形に限らず、任意の形状を採用できる。基板10の形状がどのようなものであっても、マスク20の平面形状、寸法、蒸着面10aとマスク20との距離、及びマスク20の蒸着面10aに対する傾きを適宜調整することで、円軌道上の各位置における蒸着面10aへの蒸着量を変化させることで、蒸着膜の膜厚の均一化を図ることができる。
蒸着物質は、斜方蒸着によって蒸気の入射方向に沿って柱状に成長する材料であれば特に限定されないが、光学異方性膜として用いる場合には、五酸化タンタル、酸化チタン、酸化シリコンなどが好適に用いられる。
上記蒸着装置及び蒸着方法によって製造される斜方蒸着膜の用途は、位相差補償板に備えられる光学異方性膜に限られない。例えば、斜方蒸着膜は、液晶層を配向させるための下地層として用いることもできる。
以下、本開示の蒸着装置及び蒸着方法を用いた斜方蒸着膜の製造方法について実施例を説明する。
蒸着装置として、図1に示した蒸着装置と同様の構成の装置を用いた。斜方蒸着膜を成膜する基板として、正方形状の基板を用いた。図16に、基板の一辺の長さを1として、マスクの寸法及び円軌道の寸法及び蒸着源の配置位置を規格化して示す。図16においてマスクは省略している。以下の各例においては、基板設置角度を78°、目標の正面位相差Re(0)=40nmとした。なお、ここで、基板設置角度は、基板の蒸着面が円軌道を含む面となす角度である。蒸着物質としては五酸化タンタルを用いた。
(比較例)
比較例として、マスクを備えない状態で、基板を円軌道に沿って回転させつつ、基板に蒸着して斜方蒸着膜を成膜した。
比較例のマスクなしで成膜した斜方蒸着膜について、基板中心振り分けで5mm間隔として合計49ヶ所で垂直入射に対する面内位相差Re(0)を測定し、平均値及び標準偏差を算出した。また、同様に49ヶ所で入射角15°及び-15°入射に対する面内位相差Re(15°)及びRe(-15°)を測定し、Re比=Re(15°)/Re(-15°)を算出し、さらにその平均値及び標準偏差を求めた。後記の表中においてσは標準偏差を示す。各面内位相差は、大塚電子株式会社製、位相差測定機:型番RETS1200VAを用いて測定した。測定に際しては、測定光を図14で示す3つの角度0°、15°及び-15°で斜方蒸着膜に入射させた際に生じる位相差値を、それぞれRe(0)、Re(15°)及びRe(-15°)として取得した。ここで、蒸着膜の膜面の法線方向を測定光の入射角0°と定義し、柱状体が成長する方向と平行であり、かつ蒸着膜の膜面に垂直な面内において、蒸着膜の膜面の法線から ±15°傾斜した角度がそれぞれ測定光の入射角15°及び-15°である。なお、柱状体は-15°方位に傾斜している。
(実施例1)
平面形状が矩形であるマスクを用いた(図9参照)。マスク幅W1とマスク長L1、マスクと基板との距離T、及びマスク傾斜角度θを変化させた実施例1-1~実施例1-6の装置によって斜方蒸着膜を成膜した。表1にそれぞれの寸法を示す。表1においてマスク幅W1、マスク長L1及び距離Tは基板の一辺を1とした場合の値である。
各実施例1-1~1-6の装置で成膜した斜方蒸着膜について、比較例と同様にしてRe(0)の平均値及び標準偏差、Re比の平均値及び標準偏差を求めた。求めた結果を表1に示す。表1には比較のため、比較例についての結果を併せて示す。
Figure 0007307021000001
マスクの平面形状が矩形である場合、マスク幅W1は0.05~1、マスク長L1は0.5~1、基板-マスク間距離は0.75~1.5を満たす全ての実施例1-1~1-6でマスクなしの場合よりもRe(0)の面内ばらつきを低減することができた。また、Re比の面内ばらつきも低減することができ、かつ、Re比をマスクなしの場合よりも高くすることができ、二軸異方性を改善できた。また、マスク傾斜角度は5°~30°の範囲で、良好な結果が得られた。なお、マスク幅が小さいほど、所望の膜厚の斜方蒸着膜を得る時間は短時間であった。
実施例1-6のように、マスク長が基板の長さより短くい場合にも面内位相差の面内ばらつきを抑制する効果が得られた。また、マスク長が基板の長さより短い方がRe比は高く、良好な二軸異方性が得られた。
(実施例2)
平面形状が二等辺三角形であるマスクを用いた(図10参照)。マスクの底辺長W1とマスク長L1、マスクと基板との距離T、及びマスク傾斜角度θを変化させた実施例2-1~2-4の装置によって斜方蒸着膜を成膜した。表2にそれぞれの寸法を示す。表2においてマスク底辺長W1、マスク長L1及び距離Tは基板の一辺を1とした場合の値である。
各実施例2-1~2-4の装置で成膜した斜方蒸着膜について、比較例と同様にしてRe(0)の平均値及び標準偏差、Re比の平均値及び標準偏差を求めた。求めた結果を表2に示す。表2には比較のため、比較例についての結果を併せて示す。
Figure 0007307021000002
マスクの平面形状が二等辺三角形である場合、マスク底辺長W1は0.1~0.15、マスク長L1は0.75、基板-マスク間距離Tは3.75とした全ての実施例2-1~2-4でマスクなしの場合よりもRe(0)の面内ばらつきを低減することができた。また、Re比の面内ばらつきも低減することができ、かつ、Re比をマスクなしの場合よりも高くすることができ、二軸異方性を改善できた。また、マスク傾斜角度は7°~14°の範囲で、良好な結果が得られた。
(実施例3)
平面形状が台形であるマスクを用いた(図11参照)。マスク上辺長W1、底辺長W2、マスク長L1、マスクと基板との距離T、及びマスク傾斜角度θを変化させた実施例3-1~3-4の装置によって斜方蒸着膜を成膜した。表3にそれぞれの寸法を示す。表3においてマスク上辺長W1、底辺長W2、マスク長L1及び距離Tは基板の一辺を1とした場合の値である。
各実施例3-1~3-4の装置で成膜した斜方蒸着膜について、比較例と同様にしてRe(0)の平均値及び標準偏差、Re比の平均値及び標準偏差を求めた。求めた結果を表3に示す。表3には比較のため、比較例についての結果を併せて示す。
Figure 0007307021000003
マスクの平面形状が台形である場合、マスク上辺長W1は0.025~0.035、マスクの底辺長W2は0.1~0.15、マスク長は0.75、基板-マスク間距離は0.75とした全ての実施例3-1~3-4でマスクなしの場合よりもRe(0)の面内ばらつきを低減することができた。また、Re比の面内ばらつきも低減することができ、かつ、Re比をマスクなしの場合よりも高くすることができ、光学異方性を改善できた。また、マスク傾斜角度は5°~10°で、良好な結果が得られた。
1 蒸着装置
10 基板
10a 蒸着面
10b 蒸着面の上端
10c 蒸着面の下端
11 真空チャンバ
12 基板ホルダ
13 回転軸
14 蒸着源
15 回転機構
16 入射方向
18 固定接続部
20 マスク
20a 一面
22 マスク
24 マスク
30 蒸着膜
30 斜方蒸着膜
100 位相差補償板
101 基板
102 Cプレート
103 第1のOプレート
104 第2のOプレート

Claims (17)

  1. 蒸着物質が蒸着される蒸着面を有する基板を回転させながら、前記基板に対して蒸着膜を成膜するための蒸着装置であって、
    前記基板を円軌道に沿って回転させる回転機構と、
    前記円軌道に沿って回転する前記基板の前記蒸着面に向けて、前記蒸着物質が気化した蒸気を発する蒸着源であって、前記円軌道を平面視した場合において、前記円軌道の内側で、かつ、前記円軌道の中心とは異なる位置に配置された蒸着源と、
    前記蒸着源に対して前記蒸着面を傾斜させた姿勢で前記基板を保持する基板ホルダであって、前記蒸着面を傾斜させた姿勢を保ちながら、前記基板と共に前記円軌道に沿って回転する基板ホルダと、
    前記蒸着源から前記蒸着面に向かう蒸気の一部を遮蔽するマスクであって、前記蒸着面と対向する位置に間隔を空けて配置され、かつ、前記蒸着面との相対位置が固定された状態で、前記基板と共に回転するマスクとを備え
    前記円軌道を平面視したときに前記蒸着源と前記円軌道の中心とを通る直線と交わる前記円軌道上の2点をそれぞれ0°位置及び180°位置とした場合において、
    前記0°位置及び前記180°位置に前記基板がある場合における前記蒸着物質の蒸着量が、前記0°位置及び前記180°位置から90°回転した前記円軌道上の90°位置及び270°位置に前記基板がある場合における前記蒸着量よりも少なくなる態様で、前記マスクの平面形状及び前記マスクと前記基板との相対位置が決定されている、蒸着装置。
  2. 前記0°位置及び前記180°位置に前記基板がある場合における前記蒸着量が最も少なく、前記90°位置、及び前記270°位置に向かって、前記蒸着量が増加する態様で、前記マスクの平面形状及び前記マスクと前記基板との相対位置が決定されている、請求項に記載の蒸着装置。
  3. 蒸着物質が蒸着される蒸着面を有する基板を回転させながら、前記基板に対して蒸着膜を成膜するための蒸着装置であって、
    前記基板を円軌道に沿って回転させる回転機構と、
    前記円軌道に沿って回転する前記基板の前記蒸着面に向けて、前記蒸着物質が気化した蒸気を発する蒸着源であって、前記円軌道を平面視した場合において、前記円軌道の内側で、かつ、前記円軌道の中心とは異なる位置に配置された蒸着源と、
    前記蒸着源に対して前記蒸着面を傾斜させた姿勢で前記基板を保持する基板ホルダであって、前記蒸着面を傾斜させた姿勢を保ちながら、前記基板と共に前記円軌道に沿って回転する基板ホルダと、
    前記蒸着源から前記蒸着面に向かう蒸気の一部を遮蔽するマスクであって、前記蒸着面と対向する位置に間隔を空けて配置され、かつ、前記蒸着面との相対位置が固定された状態で、前記基板と共に回転するマスクとを備え
    前記マスクは、一面が前記蒸着面と対向する姿勢で配置されており、
    前記蒸着源が前記蒸気を発する方向を上方とした場合において、前記円軌道は、前記蒸着源の上方に配置されており、
    前記基板は、前記蒸着面と前記円軌道の接線とが平行になる姿勢で、かつ、前記蒸着面の上端が前記円軌道の内側に向く姿勢、かつ、前記蒸着面の下端が前記円軌道の外側に向く姿勢で配置されており、かつ、
    前記マスクは、前記一面の下端が上端よりも前記蒸着面に近接する方向に傾斜した姿勢で配置されており、前記マスクの前記一面と前記蒸着面とが平行な場合の傾斜角を0°とした場合において、前記蒸着面に対する前記マスクの前記一面の傾斜角は5°~30°である、蒸着装置。
  4. 前記マスクは、一面が前記蒸着面と対向する姿勢で配置されている、請求項1又は2に記載の蒸着装置。
  5. 前記円軌道の接線方向を、前記蒸着面及び前記マスクの幅方向とした場合において、前記マスクの幅は前記蒸着面の幅以下である、請求項3又は4に記載の蒸着装置。
  6. 前記蒸着源が前記蒸気を発する方向を上方とした場合において、前記円軌道は、前記蒸着源の上方に配置されており、
    前記基板は、前記蒸着面と前記円軌道の接線とが平行になる姿勢で、かつ、前記蒸着面の上端が前記円軌道の内側に向く姿勢、かつ、前記蒸着面の下端が前記円軌道の外側に向く姿勢で配置されている、請求項4を引用する請求項5に記載の蒸着装置。
  7. 前記マスクの前記一面と前記蒸着面とが平行な場合の傾斜角を0°とした場合において、前記蒸着面に対する前記マスクの前記一面の傾斜角は5°~30°である請求項6に記載の蒸着装置。
  8. 前記マスクの平面形状は線対称形状である、請求項3、及び7のいずれか1項に記載の蒸着装置。
  9. 前記円軌道の接線方向を前記蒸着面の幅方向とした場合において、前記マスクの対称軸を前記蒸着面に投影した直線が、前記蒸着面の幅方向の中心線と一致する位置に前記マスクが配置されている、請求項に記載の蒸着装置。
  10. 前記マスクの平面形状は多角形である、請求項3、及び請求項7から9のいずれか1項に記載の蒸着装置。
  11. 前記マスクの平面形状が矩形であり、
    前記蒸着面の幅を1とした場合、前記マスクの幅は0.05~1であり、
    前記幅の方向と直交する方向の前記マスクの長さは0.5~1であり、
    前記蒸着面に対して傾斜して配置される前記マスクの前記一面と前記蒸着面との最大間隔は、0.75~1.5である請求項3、及び請求項7から10のいずれか1項に記載の蒸着装置。
  12. 前記マスクは板状である、請求項1から11のいずれか1項に記載の蒸着装置。
  13. 蒸着物質が蒸着される蒸着面を有する基板を回転させながら、前記基板に対して蒸着膜を成膜するための蒸着方法であって、
    前記基板が回転する円軌道を平面視した場合において、前記円軌道の内側で、かつ、前記円軌道の中心とは異なる位置に、前記蒸着物質が気化した蒸気を発する蒸着源を配置し、
    前記蒸着源に対して前記蒸着面を傾斜させた姿勢で前記基板を基板ホルダによって保持し、
    前記蒸着源から前記蒸着面に向かう蒸気の一部を遮蔽するマスクを、前記蒸着面と対向する位置に間隔を空けて配置し、かつ、前記マスクと前記蒸着面との相対位置を固定し、
    前記蒸着源に対して前記蒸着面を傾斜させた姿勢を保ちながら、前記基板と、前記相対位置が固定された前記マスクとを前記円軌道に沿って回転させ、
    前記マスクと共に前記円軌道に沿って回転する前記基板の前記蒸着面に対して、前記蒸着源から発する前記蒸気を蒸着させる蒸着方法であり、
    前記円軌道を平面視したときに前記蒸着源と前記円軌道の前記中心とを通る直線と交わる前記円軌道上の2点をそれぞれ0°位置及び180°位置とした場合において、
    前記0°位置及び前記180°位置に前記基板がある場合における前記蒸着物質の蒸着量が、前記0°位置及び前記180°位置から90°回転した前記円軌道上の90°位置及び270°位置に前記基板がある場合における前記蒸着量よりも少なくする態様で、前記マスクの平面形状及び前記マスクと前記基板との相対位置が決定されている、蒸着方法。
  14. 前記0°位置及び前記180°位置に前記基板がある場合における前記蒸着量が最も少なく、前記90°位置、及び前記270°位置に向かって、徐々に前記蒸着量が増加する態様で、前記マスクの平面形状及び前記マスクと前記基板との相対位置が決定されている、請求項13に記載の蒸着方法。
  15. 蒸着物質が蒸着される蒸着面を有する基板を回転させながら、前記基板に対して斜方蒸着膜を成膜する斜方蒸着膜の製造方法であって、
    前記基板が回転する円軌道を平面視した場合において、前記円軌道の内側で、かつ、前記円軌道の中心とは異なる位置に、前記蒸着物質が気化した蒸気を発する蒸着源を配置し、
    前記蒸着源に対して前記蒸着面を傾斜させた姿勢で前記基板を基板ホルダによって保持し、
    前記蒸着源から前記蒸着面に向かう蒸気の一部を遮蔽するマスクを、前記蒸着面と対向する位置に間隔を空けて配置し、かつ、前記マスクと前記蒸着面との相対位置を固定し、
    前記蒸着源に対して前記蒸着面を傾斜させた姿勢を保ちながら、前記基板と、前記相対位置が固定された前記マスクとを前記円軌道に沿って回転させ、
    前記マスクと共に前記円軌道に沿って回転する前記基板の前記蒸着面に対して、前記蒸着源から発する前記蒸気を蒸着させる斜方蒸着膜の製造方法であり、
    前記円軌道を平面視したときに前記蒸着源と前記円軌道の前記中心とを通る直線と交わる前記円軌道上の2点をそれぞれ0°位置及び180°位置とした場合において、
    前記0°位置及び前記180°位置に前記基板がある場合における前記蒸着物質の蒸着量が、前記0°位置及び前記180°位置から90°回転した前記円軌道上の90°位置及び270°位置に前記基板がある場合における前記蒸着量よりも少なくする態様で、前記マスクの平面形状及び前記マスクと前記基板との相対位置を決定されている、斜方蒸着膜の製造方法
  16. 蒸着物質が蒸着される蒸着面を有する基板を回転させながら、前記基板に対して蒸着膜を成膜するための蒸着方法であって、
    前記基板が回転する円軌道を平面視した場合において、前記円軌道の内側で、かつ、前記円軌道の中心とは異なる位置に、前記蒸着物質が気化した蒸気を発する蒸着源を配置し、
    前記蒸着源に対して前記蒸着面を傾斜させた姿勢で前記基板を基板ホルダによって保持し、
    前記蒸着源から前記蒸着面に向かう蒸気の一部を遮蔽するマスクを、前記蒸着面と対向する位置に間隔を空けて配置し、かつ、前記マスクと前記蒸着面との相対位置を固定し、
    前記蒸着源に対して前記蒸着面を傾斜させた姿勢を保ちながら、前記基板と、前記相対位置が固定された前記マスクとを前記円軌道に沿って回転させ、
    前記マスクと共に前記円軌道に沿って回転する前記基板の前記蒸着面に対して、前記蒸着源から発する前記蒸気を蒸着させる蒸着方法であり、
    前記マスクを、一面が前記蒸着面と対向する姿勢で配置し、
    前記蒸着源が前記蒸気を発する方向を上方とした場合において、前記円軌道を、前記蒸着源の上方に配置し、
    前記基板を、前記蒸着面と前記円軌道の接線とが平行になる姿勢で、かつ、前記蒸着面の上端が前記円軌道の内側に向く姿勢、かつ、前記蒸着面の下端が前記円軌道の外側に向く姿勢で配置し、かつ、
    前記マスクを、前記一面の下端が上端よりも前記蒸着面に近接する方向に傾斜した姿勢で配置し、前記マスクの前記一面と前記蒸着面とが平行な場合の傾斜角を0°とした場合において、前記蒸着面に対する前記マスクの前記一面の傾斜角を5°~30°とする、蒸着方法。
  17. 蒸着物質が蒸着される蒸着面を有する基板を回転させながら、前記基板に対して斜方蒸着膜を成膜する斜方蒸着膜の製造方法であって、
    前記基板が回転する円軌道を平面視した場合において、前記円軌道の内側で、かつ、前記円軌道の中心とは異なる位置に、前記蒸着物質が気化した蒸気を発する蒸着源を配置し、
    前記蒸着源に対して前記蒸着面を傾斜させた姿勢で前記基板を基板ホルダによって保持し、
    前記蒸着源から前記蒸着面に向かう蒸気の一部を遮蔽するマスクを、前記蒸着面と対向する位置に間隔を空けて配置し、かつ、前記マスクと前記蒸着面との相対位置を固定し、
    前記蒸着源に対して前記蒸着面を傾斜させた姿勢を保ちながら、前記基板と、前記相対位置が固定された前記マスクとを前記円軌道に沿って回転させ、
    前記マスクと共に前記円軌道に沿って回転する前記基板の前記蒸着面に対して、前記蒸着源から発する前記蒸気を蒸着させる斜方蒸着膜の製造方法であり、
    前記マスクを、一面が前記蒸着面と対向する姿勢で配置し、
    前記蒸着源が前記蒸気を発する方向を上方とした場合において、前記円軌道を、前記蒸着源の上方に配置し、
    前記基板を、前記蒸着面と前記円軌道の接線とが平行になる姿勢で、かつ、前記蒸着面の上端が前記円軌道の内側に向く姿勢、かつ、前記蒸着面の下端が前記円軌道の外側に向く姿勢で配置し、かつ、
    前記マスクを、前記一面の下端が上端よりも前記蒸着面に近接する方向に傾斜した姿勢で配置し、前記マスクの前記一面と前記蒸着面とが平行な場合の傾斜角を0°とした場合において、前記蒸着面に対する前記マスクの前記一面の傾斜角を5°~30°とする、斜方蒸着膜の製造方法
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