JP7305849B1 - エレベータシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】鏡による誤検知を防いで、乗りかご内に乗車した利用者を正しく検知する。【解決手段】一実施形態に係るエレベータシステムは、乗りかご内に鏡が設置されたエレベータシステムにおいて、撮像手段と、鏡エリア設定手段と、検知処理手段とを備える。上記撮像手段は、上記乗りかご内から出入口付近の乗場を含む範囲を撮影する。上記鏡エリア設定手段は、上記撮像手段によって得られる撮影画像上の上記鏡の位置に鏡エリアを設定するとともに、上記鏡エリアの周囲にエッジを設定する。上記検知処理手段は、上記撮影画像から上記乗りかご内に乗車した利用者を検知した際に、上記エッジ設定手段によって上記鏡エリアの周囲に設定されたエッジの状態から上記利用者が上記鏡エリア内にいるか否かを判断する。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、乗りかご内に設置されたカメラを用いて利用者を検知するエレベータシステムに関する。
従来、エレベータの乗りかご内にカメラを設置しておき、このカメラで撮影した画像を処理することで、乗りかご内に乗車した利用者の人数などを検知し、その検知結果をエレベータの運転制御に反映させるシステムが知られている。
この種のシステムでは、画像処理によって利用者を正確に検知することが必要となる。ところが、乗りかご内に鏡が設置されていると、その鏡に映った利用者を誤検知し、乗車人数をダブルカウントしてしまう事象などが発生する。
特開2020-145511号公報 特許第5230793号公報
上述した鏡による誤検知を防ぐ方法として、撮影画像上で鏡の設置場所に対応したエリア(鏡エリア)をマスクする方法が一般的である。しかしながら、鏡エリアをマスクすると、例えば利用者が鏡の正面に立っている場合に、当該利用者が検知されず、乗車人数の未カウントが発生する。
本発明が解決しようとする課題は、鏡による誤検知を防いで、乗りかご内に乗車した利用者を正しく検知することのできるエレベータシステムを提供することである。
一実施形態に係るエレベータシステムは、乗りかご内に鏡が設置されたエレベータシステムにおいて、撮像手段と、鏡エリア設定手段と、検知処理手段とを備える。上記撮像手段は、上記乗りかご内から出入口付近の乗場を含む範囲を撮影する。上記鏡エリア設定手段は、上記撮像手段によって得られる撮影画像上の上記鏡の位置に鏡エリアを設定するとともに、上記鏡エリアの周囲にエッジを設定する。上記検知処理手段は、上記撮影画像から上記乗りかご内に乗車した利用者を検知した際に、上記エッジ設定手段によって上記鏡エリアの周囲に設定された上記エッジの状態から上記利用者が上記鏡エリア内にいるか否かを判断する。
図1は第1の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。 図2は第1の実施形態における乗りかご内の出入口周辺部分の構成を示す図である。 図3は第1の実施形態におけるカメラの撮影画像の一例を示す図である。 図4は第1の実施形態における利用者が鏡の一端側にいる場合の撮影画像の一例を示す図である。 図5は第1の実施形態における利用者が鏡の前にいる場合の撮影画像の一例を示す図である。 図6は第1の実施形態における撮影画像の鏡エリアの周辺部分を模式的に示した図であり、利用者が鏡の前にいない場合を示している。 図7は第1の実施形態における撮影画像の鏡エリアの周辺部分を模式的に示した図であり、利用者が鏡の前にいる場合を示している。 図8は第1の実施形態におけるエレベータシステムの動作を説明するためのフローチャートである。 図9は第2の実施形態における鏡検知設定部の機能構成を示すブロック図である。 図10は第2の実施形態におけるフレームNの画像の一例を示す図である。 図11は第2の実施形態におけるフレームN+1の画像の一例を示す図である。 図12は第2の実施形態における画像間の輝度勾配の変化例を示す図である。 図13は第2の実施形態における画像間の輝度勾配、輝度値、ヒストグラムの変化例を示す図である。 図14は第2の実施形態における鏡像ブロックのマーキング例を示す図である。 図15は第2の実施形態における鏡エリアを生成する方法を説明するための図である。 図16は第2の実施形態における鏡エリアを生成する他の方法を説明するための図である。 図17は第2の実施形態におけるエレベータシステムの動作を説明するためのフローチャートである。 図18は上記図17のステップS26で実行される鏡エリア生成処理の詳細を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。なお、ここでは、1台の乗りかごを例にして説明するが、複数台の乗りかごでも同様の構成である。
乗りかご11の出入口上部に、撮像手段として用いられるカメラ12が設置されている。具体的には、カメラ12は、乗りかご11の出入口上部を覆う幕板11aの中にレンズ部分を直下方向に向けて設置される。カメラ12は、例えば魚眼レンズ等の超広角レンズを有し、180度以上の視野角で乗りかご11内を含む撮影対象を広範囲に撮影する。カメラ12は、1秒間に数コマ(例えば30コマ/秒)の画像を連続的に撮影可能である。
なお、カメラ12の設置場所は、かごドア13付近であれば、乗りかご11の出入口上部でなくても良い。例えば、乗りかご11の出入口に近い天井面など、乗りかご11内の床面全域を含むかご室内全体と戸開時に出入口付近の乗場15を撮影可能な場所であれば良い。
各階の乗場15において、乗りかご11の到着口には乗場ドア14が開閉自在に設置されている。乗場ドア14は、乗りかご11の到着時にかごドア13に係合して開閉動作する。なお、動力源(ドアモータ)は乗りかご11側にあり、乗場ドア14はかごドア13に追従して開閉するだけである。以下の説明においては、かごドア13を戸開している時には乗場ドア14も戸開しており、かごドア13が戸閉している時には乗場ドア14も戸閉しているものとする。
カメラ12によって連続的に撮影された各画像(映像)は、画像処理装置20によってリアルタイムに解析処理される。なお、図1では、便宜的に画像処理装置20を乗りかご11から取り出して示しているが、実際には、画像処理装置20はカメラ12と共に幕板11aの中に収納されている。
画像処理装置20には、記憶部21と検知部22とが備えられている。記憶部21は、カメラ12によって撮影された画像を逐次保存すると共に、検知部22の処理に必要なデータを一時的に保存しておくためのバッファエリアを有する。なお、記憶部21には、撮影画像に対する前処理として、歪み補正や拡大縮小、一部切り取り等の処理が施された画像が保存されるとしても良い。また、記憶部21は、乗りかご11内に設置された鏡50(図3参照)に関する情報(設置場所やサイズ、形状等)を記憶しておくための鏡情報記憶エリア21aを有する。
検知部22は、例えばマイクロプロセッサからなり、カメラ12の撮影画像を用いて乗りかご11内や乗場15にいる利用者を検知する。この検知部22を機能的に分けると、鏡エリア設定部22aと、検知処理部22bとで構成される。なお、これらは、ソフトウェアによって実現しても良いし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現しても良いし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現しても良い。また、画像処理装置20の一部あるいは全部の機能をエレベータ制御装置30に持たせることでも良い。
鏡エリア設定部22aは、カメラ12によって得られる撮影画像の鏡50に対応した位置に鏡エリアを設定するとともに、上記鏡エリアの周囲にエッジを設定する。検知処理部22bは、撮影画像から乗りかご11内に乗車した利用者を検知した際に、鏡エリア設定部22aによって鏡エリアの周囲に設定されたエッジの状態から利用者が鏡エリア内にいるか否かを判断する。
エレベータ制御装置30は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータからなる。エレベータ制御装置30は、運転制御部31と戸開閉制御部32と通知部33とを備える。運転制御部31は、乗りかご11の運転制御を行う。戸開閉制御部32は、乗りかご11が乗場15に到着したときのかごドア13の戸開閉を制御する。詳しくは、戸開閉制御部32は、乗りかご11が乗場15に到着したときにかごドア13を戸開し、所定時間経過後に戸閉する。
ここで、例えばかごドア13の戸開動作中に検知処理部22cによって、かごドア13の近くにいる利用者が検知された場合には、戸開閉制御部32は、ドア事故(戸袋への引き込まれ事故)を回避するための戸開閉制御を行う。具体的には、戸開閉制御部32は、かごドア13の戸開動作を一時停止するか、逆方向(戸閉方向)に動かす、あるいは、かごドア13の戸開速度を遅くする。通知部33は、検知処理部22cの検知結果に基づいて、乗りかご11内の利用者に注意を喚起する。
図2は乗りかご11内の出入口周辺部分の構成を示す図である。
乗りかご11の出入口にかごドア13が開閉自在に設けられている。図2の例では2枚戸両開きタイプのかごドア13が示されており、かごドア13を構成する2枚のドアパネル13a,13bが間口方向(水平方向)に沿って互いに逆方向に開閉動作する。なお、「間口」とは、乗りかご11の出入口と同じである。
乗りかご11の出入口の両側に正面柱41a,41bが設けられており、幕板11aと共に乗りかご11の出入口を囲っている。「正面柱」は、出入口柱あるいは出入口枠とも言い、裏側にはかごドア13を収納するための戸袋が設けられているのが一般的である。図2の例では、かごドア13が戸開したときに、一方のドアパネル13aが正面柱41aの裏側に設けられた戸袋42aに収納され、他方のドアパネル13bが正面柱41bの裏側に設けられた戸袋42bに収納される。
正面柱41a,41bの一方あるいは両方に表示器43や、行先階ボタン44などが配設された操作盤45、スピーカ46が設置されている。図2の例では、正面柱41aにスピーカ46、正面柱41bに表示器43、操作盤45が設置されている。
また、図3に示すように、乗りかご11の背面49の出入口と対向する場所に、矩形状の鏡50が設置されている。この鏡50は、例えば車椅子利用者が乗りかご11内から降車するときのバックミラーとして利用される。なお、鏡50としては、「ガラスタイプ」だけではなく、「ステンレスミラータイプ」も含む。
乗りかご11の出入口上部の幕板11aの中央部に、魚眼レンズ等の超広角レンズを有するカメラ12が設置されている。カメラ12は、所定のフレームレート(例えば30フレーム/秒)で、乗りかご11内と出入口付近の乗場15を撮影する。このカメラ12によって撮影された画像は、図1に示した画像処理装置20に与えられ、利用者または物を検知するための検知処理に用いられる。
図3はカメラ12の撮影画像の一例を示す図である。かごドア13(ドアパネル13a,13b)と乗場ドア14(ドアパネル14a,14b)が全開した状態で、乗りかご11の出入口上部から180度以上の視野角でかご室内全体と出入口付近の乗場15を撮影した場合を示している。上側は乗場15、下側は乗りかご11内である。
乗場15において、乗りかご11の到着口の両側に三方枠17a,17bが設けられており、その三方枠17a,17bの間の床面16に所定の幅を有する帯状の乗場シル18が乗場ドア14の開閉方向に沿って配設されている。また、乗りかご11の床面19の出入口側に所定の幅を有する帯状のかごシル47がかごドア13の開閉方向に沿って配設されている。
ここで、乗りかご11内に鏡50が設置されている場合、撮影画像上で鏡50に写り込んだ利用者を誤検知して、乗車人数をダブルカウントしてしまうなどの問題が生じる。鏡50による誤検知を防ぐ方法として、撮影画像上で鏡50の設置場所に対応したエリア(鏡エリア)をマスクする方法が一般的である。しかし、鏡エリアをマスクすると、利用者が鏡50の正面に立っているような場合に、その利用者までも検知されなくなるため、乗車人数の未カウントが発生する問題がある。
この様子を図4および図5に示す。
図4は利用者が鏡50の一端側にいる場合の撮影画像の一例を示す図、図5は利用者が鏡50の前にいる場合の撮影画像の一例を示す図である。図中のP1,P2は利用者を示す。利用者P1は、乗りかご11内で鏡50に写らない位置(この例では、側面48aの近く)に乗車している。利用者P2は、鏡50の近くに乗車しており、この鏡50に利用者P2が写り込んでいる。
図4に示すように、利用者P2が鏡50の近くにいても、鏡50の前にいなければ、撮影画像上で鏡エリアをマスクしても、利用者P2を検知することができる。ところが、図5に示すように、利用者P2が鏡50の前にいると、鏡エリアをマスクしたときに、利用者P2が検知されなくなる。
以下では、鏡エリアMEをマスクせずに、利用者P2を正しく検知する方法について説明する。
図6および図7は、撮影画像を所定のブロック単位で区切った状態で、鏡エリアの周辺部分を模式的に示した図である。図6は、図4に対応しており、利用者が鏡50の前にいない場合を示している。図7は、図5に対応しており、利用者が鏡50の前にいる場合を示している。図中のMEは鏡エリア、RIは利用者P2の実像、MIは利用者P2の鏡像を示す。
本実施形態では、鏡50に関する情報が予め与えられており、この情報に基づいて撮影画像上に鏡エリアMEを設定するとともに、この鏡エリアMEの周囲にエッジを設定する。「エッジ」とは、境界線のことである。つまり、「鏡エリアMEの周囲にエッジを設定する」とは、撮影画像上における鏡エリアMEの周囲に当該鏡エリアMEの境界線として検知されるエッジを描くことを言う。
ここで、利用者P2が鏡50の前にいない場合、利用者P2の鏡像MIだけが鏡エリアMEの中に表れるので、鏡エリアMEの周囲に設定されたエッジは連続性を有している(図6参照)。これに対し、利用者P2が鏡50の前に来ると、利用者P2の実像RIが鏡エリアMEの上に重なるため、鏡エリアMEの周囲に設定されたエッジが部分的に隠れる(図7参照)。したがって、鏡エリアMEの周囲に設定されたエッジの状態に着目すれば、撮影画像上で利用者P2が鏡エリアME内にいるか否かを判断できる。
図6の例では、鏡エリアMEの周囲に設定されたエッジが途切れていないので、鏡エリアME内に利用者P2がいないと判断できる。図7の例では、鏡エリアMEの周囲に設定されたエッジが途切れているので、鏡エリアME内に利用者P2がいると判断できる。この場合、上述した鏡エリアMEをマスクする方法では、鏡エリアME内にいる利用者P2が検知されず、乗車人数の未カウントが発生する。これに対し、本方式(鏡エリアMEのエッジの途切れの有無で利用者を検知する方式)では、鏡エリアME内にいる利用者P2を検知できるので、乗車人数を正しくカウントすることができる。
次に、本実施形態におけるエレベータシステムの動作を説明する。
図8はエレベータシステムの動作を説明するためのフローチャートである。このフローチャートで示される処理は、主として画像処理装置20によって実行される。
いま、乗りかご11が任意の階で戸開している場合を想定する。乗りかご11内に設置されたカメラ12は、所定のフレームレートで乗りかご11内と出入口付近の乗場15を撮影している。カメラ12によって撮影された画像は、画像処理装置20の記憶部21に時系列順に記憶される。
画像処理装置20の検知部22は、記憶部21に記憶された各画像を時系列順に読み出す(ステップS11)。検知部22は、鏡情報記憶エリア21aに記憶された鏡に関する情報に基づいて、これらの画像上の鏡50の位置に鏡エリアMEを設定するとともに、この鏡エリアMEの周囲にエッジを設定する(ステップS12)。詳しくは、検知部22は、画像上の鏡50の位置に鏡エリアMEを設定した際に、この鏡エリアMEの外周の座標情報に基づいて、この鏡エリアMEの境界線であるエッジを描く。
検知部22は、各画像の輝度値をブロック単位で比較したときの輝度変化などにより、乗りかご11内に乗車した利用者を検知する(ステップS13)。なお、検知方法として、例えば乗りかご11が無人のときに撮影した画像を基準画像として用い、この基準画像と現在撮影された画像とを比較して、利用者の有無を検知することでも良い。
ここで、利用者が検知された場合に(ステップS14のYes)、検知部22は、鏡50による誤検知を防ぐために、以下のような処理を実行する。
まず、検知部22は、撮影画像から鏡エリアMEの周囲に設定されたエッジの状態(連続性)を確認する。その結果、鏡エリアMEの周囲に設定されたエッジが途切れていた場合には(ステップS15のYes)、検知部22は、利用者が鏡エリアME内にいると判断する(ステップS16)。この場合、検知部22は、鏡エリアME内で検知された利用者の画像を実像として処理し、当該利用者を乗車人数に含めてカウントする(ステップS18)。この状態が図7である。
一方、鏡エリアMEの周囲に設定されたエッジが途切れていなかった場合は(ステップS15のNo)、検知部22は、利用者が鏡エリアME内にいないと判断する(ステップS17)。この場合、検知部22は、鏡エリアME内で検知された利用者の画像を虚像として処理し、乗車人数に含めないように対処する。この状態が図6である。
このように第1の実施形態によれば、鏡エリアMEの周囲に設定されたエッジの状態に着目することで、鏡エリアME内にいる利用者を正しく検知して、その利用者を乗車人数に含めてカウントすることができる。また、鏡エリアME内に利用者の虚像が表れている場合に、その虚像を利用者として誤検知することを防ぎ、利用者の実像のみを対象にして、乗車人数を正しくカウントすることができる。
なお、上記第1の実施形態では、乗りかご11が戸開している場合を例にして説明したが、乗りかご11が戸閉している場合でも同様である。つまり、戸閉時に得られるカメラ12の撮影画像上に鏡エリアMEを設定するとともに、鏡エリアMEの周囲にエッジを設定することで、このエッジの状態から利用者が鏡エリアME内にいるか否かを判断すれば良い。
また、鏡50が側面48aあるいは側面48bに設置されている場合でも同様であり、撮影画像上の鏡50の位置に鏡エリアMEを設定するとともに、鏡エリアMEの周囲にエッジを設定することで、このエッジの状態から利用者が鏡エリアME内にいるか否かを判断すれば良い。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
上記第1の実施形態では、予め鏡50に関する情報が与えられている場合を想定して説明したが、物件によって鏡50の設置場所やサイズ、形状などが異なるため、物件毎に事前に鏡50に関する情報を与えておくことは手間がかかる。そこで、第2の実施形態では、鏡50に関する情報を必要とせずに、撮影画像上で鏡50の位置を検出して、そこに鏡エリアMEを設定する場合について説明する。
図9は第2の実施形態における鏡エリア設定部22aの機能構成を示すブロック図である。鏡エリア設定部22aは、図1に示した画像処理装置20の検知部22に備えられている。第2の実施形態において、この鏡エリア設定部22aは、鏡エリア設定部22aは、特徴量抽出部61、鏡像ブロック検出部62、鏡エリア生成部63を有する。
特徴量抽出部61は、記憶部21に記憶された各画像を時系列順に読み出し、これらの画像からブロック単位で特徴量を抽出する。「ブロック単位」とは、画像を所定サイズのブロックにマトリクス状に区切ったときの単位である。「特徴量」とは、画像の特徴・特性を定量的に表した数値のことであり、例えば輝度勾配、輝度値、ヒストグラムなどを含む。鏡像ブロック検出部62は、特徴量抽出部61によって抽出された画像の特徴量の変化に基づいて、画像の中で対称的な動きを有する一対のブロックを判断する。鏡像ブロック検出部62は、撮影画像上における乗りかご11のかごシル47の位置を基準にして、上記一対のブロックの一方を鏡像ブロックとして検出する。「鏡像ブロック」とは、乗りかご11内に設置された鏡50の中の画像として認識されたブロックのことを言う。鏡エリア生成部63は、鏡像ブロック検出部62によって検出された鏡像ブロックの集合体から鏡エリアを生成する。
以下では、鏡50に関する情報を必要せずに、撮影画像上の鏡50の設置場所に対応した部分に鏡エリアMEを正しく設定するための方法について説明する。
(a)対称的な動きを検出
図10はフレームNの画像の一例を示す図、図11はフレームN+1の画像の一例を示す図で図である(Nは任意の整数)。図中のP1,P2は利用者を示す。利用者P1は、乗りかご11内で鏡50に写らない位置(この例では、側面48aの近く)に乗車している。利用者P2は、乗りかご11の出入口付近にいて、乗りかご11内に乗車しようとしている状態である。乗りかご11の背面49の出入口と対向する位置に鏡50が設置されており、この鏡50に利用者P2が写り込んでいる。
撮影画像上において、利用者P2の実像と、鏡50に写り込んだ利用者P2の鏡像は対称的な動きをする。したがって、鏡50の位置を検出するためには、撮影画像上で対称的な動きしている部分を検出すれば良い。具体的には、撮影画像を所定のブロック単位で分割して、そのブロック単位で特徴量(例えば輝度勾配)を抽出する。そして、フレームNの画像とフレームN+1の画像の特徴量をブロック単位で比較したときの変化量を求め、その変化量から対称的な動きを有する一対のブロックを判断する。
図12は画像間の輝度勾配の変化例を示す図である。A部分は画像の上側(乗場側)、B部分は画像の下側(乗りかごの背面側)である。図中の矢印は輝度の勾配方向を示している。
フレームNの画像において、A部分のブロックb(Xb,Yb)の輝度勾配が270°、B部分のブロックk(Xk,Yk)の輝度勾配が90°であったとする。フレームN+1の画像において、A部分のブロックb(Xb,Yb)の輝度勾配が225°、B部分のブロックk(Xk,Yk)の輝度勾配が135°であったとする。
ブロックb(Xb,Yb)の輝度勾配の変化量は、-45°(225°-270°)である。ブロックk(Xk,Yk)の輝度勾配の変化量は、+45°(135°-90°)である。輝度勾配の変化量は動きを表している。したがって、当該画像の中でブロックbとブロックkで対称的な動きが生じていることがわかる。この場合、ブロックbの輝度勾配の変化量とブロックkの輝度勾配の変化量とを比較したときの差分はほぼゼロになる。
なお、図12の例では、A部分のブロックbとB部分のブロックkに着目して説明したが、実際には画像全体からブロック単位で輝度勾配を抽出し、その変化量の差分から撮影画像上で対称的な動きを有する一対のブロックを判断し、その一対のブロックの一方を鏡像ブロックとして検出する。後述するように、鏡50は乗りかご11の背面49に設置されていることが多いので、シル40の位置を基準にして撮影画像の下側に近いブロックを鏡像ブロックとして検出する。
図13に示すように、特徴量として、輝度勾配の他に、輝度値やヒストグラムを抽出し、これらの変化量に基づいて鏡像ブロックを検出することでも良い。図13の例では、特徴量1として「輝度勾配」、特徴量2として「輝度値」、特徴量3として「ヒストグラム」を抽出している。この場合、輝度勾配の変化量と、輝度値の変化量と、ヒストグラムの変化量を予め設定された重み付け値に従って加算した値が鏡像ブロックの検出に用いられる。
特徴量1として抽出される輝度勾配の変化量の差分を「-θ°-θ°」,重み付け値を「Gθ」とすると、特徴量1のスコアSθは、以下のように求められる。
θ=(-θ°-θ°)×Gθ
特徴量2として抽出される輝度値の変化量の差分を「β-β」,重み付け値を「Gβ」とすると、特徴量2のスコアSβは、以下のように求められる。
β=(β-β)×Gβ
特徴量3として抽出されるヒストグラムの変化量の差分を「Hist-Hist」,重み付け値を「Ghist」とすると、特徴量3のスコアShistは、以下のように求められる。
hist=(Hist-Hist)×Gβ
ここで、Gθ>Gβ>Ghistである。輝度勾配の重み付け値Gθを輝度値とヒストグラムよりも高くしておくのは、輝度勾配は方向に関する特性を持っているため、対称的な動きを判断する場合に最も信頼性が高いからである。
特徴量1のスコアSθ、特徴量2のスコアSβ、特徴量2のスコアShistを加算した値が予め設定された閾値TH1以内であれば、ブロックbとブロックkは、対称的な動きを有する一対のブロックとして判断される。上記閾値TH1は、乗りかご11の照明環境などを考慮して設定され、理想値0±誤差である。つまり、ブロックbの特徴量変化とブロックkの特徴量変化が対称的であり、両者の特徴量変化を比較したときの差分がゼロに近いほど、対称的な動きを有していると判断される。
このように、輝度勾配の他に、輝度値やヒストグラムを用いれば、撮影画像の中で対称的な動きを有する一対のブロックをより正確に判断できる。また、輝度値やヒストグラム以外の特徴量を加えて判断することでも良い。
(b)鏡エリアの生成
図14は鏡像ブロックのマーキング例を示す図である。図15は鏡エリアの生成例を示す図である。「M」は鏡像ブロックとして検出されたことを示すマークである。「Mb」は鏡像ブロックが鏡の一部として確定されたことを示すマークである。
撮影画像上で乗場15を上側としたとき、上記(a)で検出された対称的な動きを有する一対のブロックのうち、かごシル47よりも下側に存在するブロックを鏡像ブロックとして検出する。これは、一般的に乗りかご11の背面49に鏡50が設置されていることが多いためである。上記一対のブロックの両方がかごシル47よりも下側にある場合には、撮影画像の下側に近い方を鏡像ブロックとして検出する。
図14に示すように、鏡像ブロックとして検出されたブロックにマークMを付していく。撮影画像として時系列順に得られる画像毎に鏡像ブロックを検出し、同じブロックが一定回数C1以上(少なくとも2回以上)、鏡像ブロックとして検出された場合に、当該鏡像ブロックを鏡50の一部として確定し、鏡エリアMEの生成に用いる。このとき、マークMからマークMbに置き換えておく。上記一定回数C1以上とするのは、ノイズ等の影響でイレギュラー的に鏡像ブロックとして誤検出されたブロックを除外するためである。
ここで、図15に示すように、マークMbの鏡像ブロックの集合体が例えば75%以上の割合を占めて矩形エリアを形成した場合に、この矩形エリアを鏡エリアMEとして生成する。矩形エリアとしているのは、一般的に鏡の形状は矩形だからである。
また、別の方法として、例えば75%以上の割合でマークMbの鏡像ブロックを含むことを条件にして検索対象とする矩形エリアを広げていき、最終的に得られた矩形エリアを鏡エリアMEとして生成することでも良い。
図16に具体例を示す。いま、「Mb1」~「Mb10」で示される鏡像ブロックが鏡50の一部として確定されているとする。
まず、「Mb1」の鏡像ブロックを含む第1の矩形エリアを検索対象とする。続いて、第1の矩形エリアと隣接する「Mb2」「Mb3」の鏡像ブロックを含む第2の矩形エリアを検索対象とする。以下同様に、第2の矩形エリアと隣接する「Mb4」「Mb5」「Mb6」の鏡像ブロックを含む第3の矩形エリア→第3の矩形エリアと隣接する「Mb7」「Mb8」の鏡像ブロックを含む第4の矩形エリア→第4の矩形エリアと隣接する「Mb9」「Mb10」の鏡像ブロックを含む第5の矩形エリア…といったように、上記条件の下で検索対象とする矩形エリアを広げていき、最終的に得られた第5の矩形エリアを鏡エリアMEとする。
このような方法を用いれば、例えば画像にノイズが含まれている場合や、鏡50の一部が汚れている場合などにより、鏡像ブロックとして認識されなかったブロックが部分的に含まれていたとしても、鏡エリアMEを正しく生成することができる。
次に、第2の実施形態におけるエレベータシステムの動作を説明する。
図17はエレベータシステムの動作を説明するためのフローチャートである。このフローチャートで示される処理は、主として画像処理装置20によって実行される。
いま、乗りかご11が任意の階で戸開している場合を想定する。乗りかご11内に設置されたカメラ12は、所定のフレームレートで乗りかご11内と出入口付近の乗場15を撮影している。カメラ12によって撮影された画像は、画像処理装置20の記憶部21に時系列順に記憶される。
画像処理装置20の検知部22は、記憶部21に記憶された各画像を時系列順に読み出す(ステップS21)。検知部22は、これらの画像を所定のブロック単位に区切り、そのブロック単位で例えば輝度勾配を特徴量として抽出する(ステップS22)。検知部22は、各画像のそれぞれについて、撮影画像内の特徴量の変化量をブロック単位で比較し、特徴量変化の差分を演算する(ステップS23)。
ここで、特徴量変化の差分が予め設定された閾値TH1以内にある一対のブロックが検出された場合、検知部22は、当該ブロックを対称的な動きを有するブロックとして判断する(ステップS24)。検知部22は、かごシル47の位置を基準にして、上記一対のブロックの中で撮影画像の下側に存在するブロックを鏡像ブロックとして検出する(ステップS25)。
詳しくは、図12で説明したように、フレームNの画像とフレームN+1の画像との間で、ブロックbの輝度勾配の変化量とブロックkの輝度勾配の変化量を比較した場合に、両者の変化量の差分が閾値TH1以内であれば、ブロックbとブロックkが対称的な動きを有する一対のブロックとして判断される。この場合、ブロックkが撮影画像の下側に存在するので、鏡像ブロックとして検出されることになる。
このようにして、撮影画像から鏡50の一部として認識される鏡像ブロックがいくつか検出されると、検知部22は、上記鏡像ブロックの集合体から撮影画像上に鏡エリアMEを生成する(ステップS26)。図12に上記ステップS26で実行される鏡エリア生成処理の詳細を示す。
検知部22は、撮影画像上で鏡像ブロックとして検出されたブロックをマーキングする(ステップS31)。その際、検知部22は、各ブロック毎に鏡像ブロックとして検出された回数をカウントする(ステップS32)。一定回数C1以上、同じブロックが鏡像ブロックとして検出された場合に(ステップS33のYes)、検知部22は、当該鏡像ブロックを鏡50の一部として確定し(ステップS34)、その確定された鏡像ブロックの集合体から撮影画像上に鏡エリアMEを生成する(ステップS35)。
詳しくは、図15で説明したように、鏡50の一部として確定された鏡像ブロック(Mb)の集合体が一定以上の割合を占めて矩形エリアを形成した場合に、その矩形エリアのエッジに基づいて鏡エリアMEを生成する。あるいは、図16で説明したように、一定以上の割合で鏡像ブロック(Mb)を含むことを条件にして、検索対象とする矩形エリアを広げ、最終的に得られた矩形エリアのエッジに基づいて鏡エリアMEとして生成する。
このようにして、撮影画像上に鏡エリアMEが生成されると、以後、上記第1の実施形態と同様に、鏡エリアMEのエッジに着目した利用者の検知処理が実行される(図8のステップS13~S19参照)。
このように第2の実施形態によれば、撮影画像上で対称的な動きを有する部分に着目して、鏡50の位置に鏡エリアMEを設定する構成とした場合でも、上記第1の実施形態と同様に、鏡エリアME内にいる利用者を正しく検知することができる。特に、第2の実施形態では、鏡50に関する情報を必要としないので、乗りかご11の仕様に関係なく、本発明の方式を適用できるといったメリットがある。
なお、上記第2の実施形態では、乗りかご11が戸開している場合を例にして説明したが、乗りかご11が戸閉している場合でも同様である。つまり、戸閉中にカメラ12によって撮影された画像から対称的な動きを有する一対のブロックの一方を鏡像ブロックとして検出することにより、その鏡像ブロックの集合体から鏡エリアMEを生成することができる。
また、鏡50が側面48aあるいは側面48bに設置されている場合でも、上記同様の手法にて鏡エリアMEを生成することができる。この場合、撮影画像の中から対称的な動きを有する一対のブロックを判断したときに、かごシル47よりも下側にあって、撮影画像の左端あるいは右端に近いブロックを鏡像ブロックとして検出し、その鏡像ブロックの集合体から鏡エリアMEを生成すれば良い。
また、検出対象の尤度を高めるために、特徴量の速度変化量(強さ)を加えることでも良い。「特徴量の速度変化量」とは、フレーム画像間で特徴量が変化する速度のことである。つまり、同じ速さで特徴量が変化している一対のブロックがあれば、その一対のブロックの一方を鏡像ブロックとして検出する。
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、鏡による誤検知を防いで、乗りかご内に乗車した利用者を正しく検知することのできるエレベータシステムを提供することができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11…乗りかご、11a…幕板、12…カメラ、13…かごドア、14…乗場ドア、15…乗場、16…乗場の床面、17a,17b…三方枠、18…乗場シル、19…乗りかごの床面、20…画像処理装置、21…記憶部、22…検知部、22a…鏡エリア設定部、22b…検知処理部、30…エレベータ制御装置、31…運転制御部、32…戸開閉制御部、33…通知部、41a,41b…正面柱、41a-1,41b-1…正面柱の内側側面、42a,42b…戸袋、43…表示器、44…行先階ボタン、45…操作盤、46…スピーカ、47…かごシル、48a,48b…側面、49…背面、50…鏡、61…特徴量抽出部、62…鏡像ブロック検出部、63…鏡エリア生成部、ME…鏡エリア、RI…実像、MI…鏡像。

Claims (6)

  1. 乗りかご内に鏡が設置されたエレベータシステムにおいて、
    上記乗りかご内から出入口付近の乗場を含む範囲を撮影する撮像手段と、
    上記撮像手段によって得られる撮影画像上の上記鏡の位置に鏡エリアを設定するとともに、上記鏡エリアの周囲にエッジを設定する鏡エリア設定手段と、
    上記撮影画像から上記乗りかご内に乗車した利用者を検知した際に、上記鏡エリア設定手段によって上記鏡エリアの周囲に設定された上記エッジの状態から上記利用者が上記鏡エリア内にいるか否かを判断する検知処理手段と
    を具備したことを特徴とするエレベータシステム。
  2. 上記検知処理手段は、
    上記鏡エリアの周囲に設定された上記エッジが途切れている場合に、上記利用者が上記鏡エリア内にいると判断し、上記鏡エリア内で検知される上記利用者の画像を実像として処理することを特徴とする請求項1記載のエレベータシステム。
  3. 上記検知処理手段は、
    上記鏡エリアの周囲に設定された上記エッジが途切れていない場合に、上記利用者が上記鏡エリア内にいないと判断し、上記鏡エリア内で検知される上記利用者の画像を鏡像として処理することを特徴とする請求項1記載のエレベータシステム。
  4. 上記検知処理手段は、
    上記利用者が上記鏡エリア内にいると判断した場合に、上記利用者を乗車人数に含めることを特徴とする請求項1記載のエレベータシステム。
  5. 上記鏡エリア設定手段は、
    上記乗りかご内における上記鏡に関する情報を取得し、上記情報に基づいて上記撮影画像上の上記鏡の位置に上記鏡エリアを設定することを特徴とする請求項1記載のエレベータシステム。
  6. 上記鏡エリア設定手段は、
    上記撮影画像上で対称的な動きを有する部分の特徴量の変化情報に基づいて、上記鏡の位置を検出し、上記鏡の位置に上記鏡エリアを設定することを特徴とする請求項1記載のエレベータシステム。
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