JP7305553B2 - Dnaアセンブリ - Google Patents

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Description

本発明は、DNAアセンブリ方法及び関連する核酸材料に関する。
生物学及びバイオテクノロジーの進歩は、大きなDNAコンストラクトのアセンブリための様々な方法の開発をもたらした。既存の方法は、大きく2つのグループ:ギブソン・アセンブリ、及び酵母又はB.サブチリス(B.subtilis)に基づくin vivo相同組み換えアプローチ等の断片間の長いオーバーラップする配列を利用してアセンブリの順序を指定する相同性に基づく方法、並びにMoclo(Reviewed in Nat Rev Mol Cell Biol.2015 Sep;16(9):568-76.doi:10.1038/nrm4014(PMID 2608161)2及びCrit Rev Biotechnol.2017 May;37(3):277-286.doi:10.3109/07388551.2016.1141394(PMID 26863154)等の定義された酵素特異的配列を利用してアセンブリの順序を指定する制限酵素/リコンビナーゼに基づく方法に分けることができた。継続的な困難な課題は、アセンブルされたDNA中の禁止配列、及びアセンブリプロセスの間に導入される不要な瘢痕配列等の配列設計の制約を軽減することと、アセンブリモジュール性と部分再利用性を改善することのバランスを達成することである。
初期のIIS型制限酵素に基づくDNAアセンブリシステムは、ゴールデンゲートアセンブリと名づけられた。ゴールデンゲートアセンブリシステムでは、インサートプラスミド内でアセンブルされるインサートDNA断片には、認識配列の外側を切断し、酵素認識配列に依存しない配列で任意の接着末端を生成するIIS型制限酵素の認識部位が両側に隣接している。ゴールデンゲートアセンブリ用のインサートプラスミドには、インサートに面するインサートベクター骨格内にIIS型制限部位が両側に隣接するインサートが含まれているため、一旦IIS型制限酵素によってプラスミドからインサートが放出されると、それらのプラスミドは制限部位を含まなくなる。ゴールデンゲートアセンブリ用のアセンブリベクターには、ベクターに面する選択マーカーに位置するIIS型部位が両側に隣接するネガティブ選択マーカーが含まれているため、一旦ベクターから選択マーカーが放出されると、ベクター骨格にはIIS型制限部位が含まれない。これらの特別に設計されたプラスミドは、インサートプラスミド及びベクターをIIS型制限酵素及びDNAリガーゼと共に混合することにより、複数のDNA断片の単純なワンポットアセンブリを可能にする。ゴールデンゲートアセンブリ反応では、インサート及びベクターの制限消化、並びにインサートとベクターとの間のライゲーションが同じ管で発生した。インサート及びアセンブリベクター骨格が適合性のある接着末端を有する場合、ワンポット反応中にライゲーション産物の混合物が生成される。これには、インサートとアセンブリベクター骨格との間の好都合なライゲーション産物、また同じくネガティブ選択マーカーとアセンブリベクター骨格との間、ネガティブ選択マーカーとインサートベクター骨格との間、インサートとインサートベクター骨格との間等の不都合なライゲーション産物が含まれる。IIS型制限部位はネガティブ選択マーカー及びインサートベクター骨格に位置するため、全ての不都合なライゲーション産物はIIS型制限酵素による消化を受けやすいが、好都合なライゲーション産物は消化には抵抗性である。結果として、上記反応は、長期的にはインサートとアセンブリベクター骨格との間で正しくアセンブルされたライゲーション産物の生成を支持する。その後、アセンブリベクター骨格内のポジティブ抗生物質選択マーカー、及びアセンブリベクターインサート内のネガティブ選択マーカーを使用する選択が続いて、正しくアセンブルされたインサートを含むプラスミドを高効率に選択することができた。
Mocloに基づくシステムは、次段階のアセンブリ用にアセンブルされたDNAを放出するため、アセンブリに使用される酵素とは異なる第2のペアのIIS型制限部位をアセンブリベクターに追加することにより、ゴールデンゲートアセンブリシステムから開発された。ゴールデンゲートアセンブリでは、インサート及びアセンブリプラスミドベクター骨格に使用されるIIS型制限酵素の認識配列がないため、アセンブルされたDNAをアセンブリに使用されたのと同じ制限酵素によって放出することができなかった。IIS型制限部位の異なるペアを追加してアセンブルされた断片を放出することにより、この第2の制限酵素及び異なる抗生物質選択マーカーを保持する異なるベクターを使用してゴールデンゲートアセンブリのプロセスを繰り返すことができた。2つの異なるIIS型制限酵素及び抗生物質選択マーカーの代替的な順次の使用は、ワンポット制限/ライゲーション反応による大きなDNA断片の階層型アセンブリを可能にする。
IIS型酵素に基づくDNAアセンブリの主な欠点は、アセンブリに使用されるDNAパーツ内の内部IIS型制限部位を除去する必要があることである。基本的な階層型アセンブリには少なくとも2つの酵素が必要であり、DNAパーツの多段線形付加等の他のスキームには3つの酵素が必要である。既知のIIS型制限酵素のほとんどは6bp以下の配列を認識するため、ほとんどのMocloに基づくシステムは6bpカッターを使用する。これは、DNAパーツに2つの6bp非対称配列がないことを必要とし、非対称配列は、GC含有率が50%のランダムDNA配列の場合、1kbに約1つの頻度で発生する。現在のMocloシステムの改善可能性は、7bp以上の特異性を持つIIS型制限酵素を使用することであろう。しかしながら、この選択肢は、市販のIIS型制限酵素の入手可能性によって制限される。現在、2種類の7bpのIIS型制限酵素:GCTCTTCを認識して3bpの粘着末端を残すLguI/SapI、及びCACCTGCを認識して4bp粘着末端を残すAarIのみが商業的に入手可能である。また、AarIは、完全な消化にオリゴヌクレオチドの添加を必要とし、これはDNAアセンブリには望ましくない。
また、既存のIIS型制限酵素に基づくDNAアセンブリシステムは、最終のアセンブルされたDNAに不要な瘢痕配列を残すモジュール式DNAアセンブリ用に設計されており、これを、カスタムアセンブリベクターを作製せずに任意のDNA配列をアセンブルするため使用することができない。
米国特許出願公開第20160002644号は、DNAアセンブリのシステムを記載している。該公開公報は、2つの制限酵素LguI及びEarI、並びにM.TaqIの誘導性発現株を使用して、アセンブリベクター内のオーバーラップする制限部位をブロックする。M.TaqI部位は、LguI/EarIによって生成される3bpの接着末端配列とオーバーラップするため、アダプター配列の設計に厳しい制約を残す。
必要とされているのは、アダプター配列の選択及び設計の自由度の向上、瘢痕が最小限のアセンブリ、反応工程又は複雑さの減少、より大きな配列のDNAをアセンブルする能力の1つ以上を提供する、改良されたDNAアセンブリ方法である。したがって、本発明の目的は、改善されたDNAアセンブリ方法及び関連材料を提供することである。
本発明の第1の態様によれば、DNAアセンブリで使用される核酸が提供され、該核酸は、少なくとも1つのメチル化保護可能な制限要素を含み、該メチル化保護可能な制限要素は:
-認識配列の外側を開裂する制限酵素によって認識される制限酵素認識配列;及び
-DNAメチラーゼ認識配列
を含み、
上記制限酵素認識配列及び上記DNAメチラーゼ認識配列は、DNAメチラーゼにより修飾された塩基が制限酵素認識配列内にあるようにオーバーラップしており、
上記DNAメチラーゼ認識配列は、制限酵素認識配列と同一ではなく、又は制限酵素認識配列に囲まれておらず、
上記DNAメチラーゼ認識配列は、制限酵素により生成されるオーバーハング末端配列を形成し得る配列とオーバーラップしない。
オーバーラップするメチル化/制限部位をブロックするメチラーゼの同定 A.初期スクリーニングのためのオーバーラップするメチル化/制限部位の図。制限酵素の認識部位は実線で囲まれている。制限酵素によって生成される接着末端は、実線で示されている。メチル化酵素認識部位は破線で囲まれ、メチル化塩基は太字で示されている。列挙されている全てのメチラーゼは、それぞれC5-シトシン及びN4-シトシンを修飾するM.SacI及びM.AspJHL3Iを除いて、N6-アデニンを修飾する。 B.in vivoメチル化によるオーバーラップメチル化/制限部位のブロックを試験するための実験計画。試験した各メチラーゼ/制限酵素の組み合わせについて、試験プラスミドには、1対1のオーバーラップするメチル化/制限部位とメチル化不可能な制限部位が含まれている。正常な株から調製された試験プラスミドの制限消化は、両方の部位で制限をもたらし、約4.3kbのベクター骨格から約600bpの断片を放出し得る。メチラーゼ発現株から調製された試験プラスミドの制限消化は、in vivoメチル化によるオーバーラップするメチル化/制限部位のブロッキングにより、単一の約4.9kbバンドを生じ得る。制限部位を実線で囲み、メチル化配列を破線で囲み、メチル化塩基を太字にして、各制限酵素に対する試験プラスミドの制限部位を示す。オーバーラップするメチル化/制限部位の1対1の配置は、同じアッセイでニッカーゼ活性をアッセイすることを可能とする。 C.正常株又はDNAメチラーゼを発現する株で調製し、対応するIIS型制限酵素で消化した各オーバーラップするメチラーゼ/制限酵素の組み合わせの試験プラスミドのアガロースゲル電気泳動分析。試験した組み合わせは、試験プラスミドpMOP_BsaINCを使用するBsaIとM.Osp807II(M.Osp)、試験プラスミドpMOP_BpiINCを使用するBpiIとM2.NmeMC58II(M2.Nme)、及び試験プラスミドpMOP_LguINCを使用するLguIとM.XmnIである。試験条件は、37℃で1時間、10μlの反応で5U BsaI若しくはBpiI、又は2.5U LguIを使用して消化した60fmolの試験プラスミドである。結果は、メチラーゼ認識部位が制限酵素部位とオーバーラップする場合、試験した各メチラーゼが、対応するIIS型制限酵素の制限部位のin vivoメチル化を通してブロッキングの成功をもたらすことを示す。示されているデータは、3つの独立した実験の結果を表す。 BsaI-M.Osp807IIに基づくMetcloシステム ドナープラスミドには、適合性のある接着末端(aaaa-eeeeと標識される)を生成するBsaI部位が両側に隣接する、アセンブルされるDNA断片(Frag A-D)が含まれている。BsaI部位はM.Osp807IIメチラーゼ認識配列とオーバーラップしている。ドナープラスミドを、M.Osp807IIメチラーゼ活性を欠く正常株から調製した。その結果、BsaI部位はメチル化されないため、インサートDNA断片はBsaI消化により放出され得る。アセンブリベクターは、1対1のBsaI部位が両側に隣接するLacZ選択マーカーを含む。ベクター骨格により近いBsaI部位の外側ペアはM.Osp807IIメチル化配列とオーバーラップするが、内側ペアはオーバーラップしない。M.Osp807IIを発現するDH10B株のアセンブリベクターの調製は、BsaI部位の外側ペアの特異的なブロッキングをもたらす。LacZ断片は、BsaI部位の内側ペアに対する作用により、BsaIによってなおも放出される可能性がある。BsaI及びT4 DNAリガーゼを使用するワンポット反応の後、適合性のある接着末端間のライゲーションは、DNA断片のアセンブリベクター骨格への規則正しいアセンブリをもたらす。アセンブルされたプラスミドのアセンブルされた断片には、BsaI消化に抵抗性のブロックされたBsaI部位が両側に隣接している。M.Osp807II活性を欠く正常株への形質転換後、両側に隣接する制限部位のメチル化が失われ、アセンブルされた断片は次の段階のアセンブリのためBsaIによって放出される可能性がある。 メチル化保護可能な制限部位と保護不可能な制限部位との間に機能性DNA要素を含むMetcloベクターを使用するDNAアセンブリ。 A.ベクターに予め埋め込まれたプロモーター要素(Prom)及びpolyAシグナル(polyA)を含むMetcloベクターを使用する3つの異なるドメイン(D1、D2、D3)を有するタンパク質の発現のための転写ユニットのアセンブリを示す図。メチル化保護BsaI部位を実線で囲み、機能性BsaI部位は点線であり、メチル化塩基は太字である。XXXX及びYYYYは、DNAアセンブリの次のラウンドで放出され得る、アセンブルされたDNA断片(転写ユニット)の5’及び3’末端のアダプター配列を表す。それらのアダプター配列は、アセンブリ反応に関与しないため、内部アダプター配列(AATG、ACTA、ATCT、GCTT)とは異なってもよく、又は異ならなくてもよい。 B.別々のインサートプラスミドで提供されるプロモーター要素及びポリAシグナルを有するMetcloを使用する同じ転写ユニットのアセンブリを示す図。XXXX及びYYYYは、DNAアセンブリの次のラウンドで放出され得る、アセンブルされたDNA断片(転写ユニット)の5’及び3’末端のアダプター配列を表す。それらのアダプター配列は、内部アダプター配列とは異なる。 ユニバーサルクローニングベクターを使用する接着末端切り替えの原理 A.3種類のユニバーサルアセンブリベクターの図。 B.例としてベクターVLを使用する、Metcloによるユニバーサルクローニングベクターの接着末端切り替えプロセスの詳細。機能性IIS型制限部位を実線で囲み、ブロックされた制限部位を破線で囲み、メチル化塩基は太字である。 C.接着末端の切り替えプロセスを表す記号システム。u及びvは、それぞれユニバーサル接着末端CTCC及びCGAGを表す。x及びyは、配列によって定義されるユニバーサル接着末端内の4bp配列を表す。異なるベクタータイプを使用するアセンブリは、異なる接着末端の切り替えをもたらす。 D.複数の断片アセンブリに適用される接着末端の切り替えプロセス。 ユニバーサルクローニングベクターを使用する瘢痕のないDNAアセンブリ A.アセンブルされるDNA断片には、内部BsaI制限部位がない。アセンブリプロセスの目的は、断片の末端によって定義される接着末端x及びyを保持する単一のアセンブルされた断片を生成することである。 B.配列を、最初に4bpオーバーラップ(a~h)を持つ9つの異なる断片(断片A~断片I)にデジタル的に分割した。 C.次に、アダプター配列を断片にデジタル的に付加し、BsaIによってトリミングされてユニバーサル接着末端u及びvが両側に隣接する断片を生成し得るDNA断片をもたらした。 D.合成された二本鎖DNA断片は、特定のユニバーサルアセンブリベクターに最初にクローン化され、次段階のアセンブリの断片の位置に応じて接着末端を切り替えた。 E.クローン化された断片を、1群当たり3つ、特定のユニバーサルアセンブリベクターにアセンブルし、ベクタータイプは、次段階のアセンブリでアセンブルされる断片の位置に依存する。 F.アセンブリの最終段階では、配列指定接着末端x及びyを持つ完全にアセンブリされた断片を生成する。 Mocloに基づくユニバーサルアセンブリと比較したMetcloに基づく瘢痕のないユニバーサルアセンブリの利点 ユニバーサルアセンブリベクターを使用する多段階アセンブリの場合、Mocloに基づくシステムは連続する段階に2つの異なる制限酵素(BsaI及びBpiI)を使用し、これは、所与のブロックに異なるユニバーサルアダプター(BsaIの場合はCTCC、BpiIの場合はAGAA)を必要とする。種々の段階に由来する断片をユニバーサルアセンブリベクターにクローン化するため、各サブアセンブリの最初のブロックの5’末端及び最後のブロックの3’末端を、アセンブリに使用する酵素に応じて異なるアダプター配列間で切り替える必要がある。図は、アセンブリ反応の連続する3段階の間の最初のブロック(ブロックA)の5’アダプターの変化を示し、BsaI部位は実線で囲まれ、BpiI部位は破線で囲まれている。アセンブリの種々の段階の間にアダプターの切り替えに対処するには、ブロックAの5’末端に非常に長いアダプターを付加する必要がある。アダプターは、アセンブリの各段階の後の「チュウバックされる(chewed back)」4bpであるため、アダプター配列の長さは段階の数に依存する。Metcloに基づく設計は、アセンブリの種々の段階で単一の酵素BsaIを使用することから、はるかに単純である。ここでは、メチル化不可能なBsaI部位を実線で囲み、メチル化によりブロックされるBsaI部位を破線で囲む。最初のブロック(ブロックA)の5’末端にあるユニバーサルアダプター配列CTCCは、アセンブリの種々の段階で使用され得る。外側のブロックのアダプター配列を切り替える必要はない。その結果、初期配列のアダプター設計は、はるかに単純である。 Metcloを使用するDNAアセンブリ。図は、単一のIIS型制限酵素を使用する2サイクルのMetcloによる4つのDNA断片(断片A、断片B、断片C、及び断片D)の単一DNA断片(断片ABCD)へのアセンブリを示す。段階1及び段階2は、次第に大きくなるインサートを用いる、実質的に同じプロセスである。段階1では、インサートドナープラスミドは、適合性のある接着末端を生成するメチル化可能なIIS型制限部位が両側に隣接するインサート断片(断片A、断片B、断片C、又は断片D)を含む。適切な部位特異的メチラーゼを欠く正常な大腸菌株でのインサートプラスミドの調製は、IIS型制限酵素により放出可能なインサート断片をもたらす。アセンブリベクターには、IIS型制限部位の意図的に設計された1対1の構成が両側に隣接するネガティブ選択マーカーLacZαが含まれる。制限部位の内側ペアはメチル不化可能に設計されているが、外側ペアは制限酵素認識配列がメチラーゼ認識配列とオーバーラップするため、部位特異的メチラーゼによってメチル化可能である。対応するメチラーゼを発現する大腸菌株でアセンブリベクターを調製すると、メチル化可能な制限部位の外側ペアが選択的にメチル化され、IIS型制限酵素による消化により、メチル化されたIIS型制限部位の外側ペアを維持するベクター骨格を生成する。インサート断片とベクター骨格とのライゲーションは、IIS型制限酵素による制限に対して抵抗性の正しくアセンブルされたプラスミドを生成する。インサートプラスミドのベクター骨格及びアセンブリベクターに由来するLacZα断片を含む他の望ましくない断片はいずれも、酵素による制限に感受性の活性なIIS型制限部位を含む。このスキームは、反応が正しくアセンブルされたプラスミドの生成を促進するため、制限とライゲーションの工程を組み合わせたワンポットアセンブリ反応を可能にする。適切な部位特異的メチラーゼを欠く正常な大腸菌株へのアセンブリ反応物の形質転換は、アセンブルされたプラスミド中のアセンブルされた断片に隣接するメチル化IIS型制限部位の脱メチル化を効果的にもたらす。段階2では、アセンブルされたインサート(断片AB及び断片CD)は、次に、より大きな断片(断片ABCD)へのMetcloアセンブリの後続のラウンドに使用され得る。 レベルジャンピング(level jumping):異なるレベルのアセンブリに由来する構成要素を使用してDNAを修飾するスキーム。図は、標準Metcloスキームによる2つのDNA断片(断片A及びB)のアセンブリと、その後の第3の断片(断片C)を使用するアセンブルされた断片(断片AB)の修飾に関するスキームを示す。使用される最初の断片(断片A、断片B、断片C)は、同じ抗生物質選択マーカーを保持しているという意味で、アセンブリ階層において同一レベルである。修飾工程は、異なるレベルのアセンブリに由来する断片(断片C)を使用して既存の断片(断片AB)を修飾する、すなわち「レベルジャンピング」を行う。修飾された断片(断片ABC)は、開始断片(断片AB)と同じ接着末端を保持し、レベル1及びレベル2の両方のブロック(M1及びM2)とは異なる抗生物質選択マーカー(M3)を保持する。したがって、新たな断片ABCを、断片ABの代わりに選択マーカーM1を使用する次のレベルのDNAアセンブリに使用することができる。修飾工程の間の接着末端の維持は、特殊な配置の1対1のIIS型制限部位(修飾工程の間のLacZα断片の右側)の使用により達成され、内側のメチル化不可能なIIS型制限部位は、挿入される修飾断片(断片C)と適合性のある接着末端を生成し、また外側のメチル化可能なIIS型制限部位は、修飾されるDNA断片の末端と同じ接着末端(図中の断片ABの右側の末端)を生成する。連続するレベルのアセンブリに由来するDNA断片は、2つの異なる制限酵素によって放出される必要があり、それぞれの酵素は、修飾工程後の次のレベルのDNAアセンブリに使用される酵素とは異なる必要があることから、2つのIIS型制限酵素を使用する標準Mocloアプローチでは、修飾工程は不可能である。レベルジャンピング修飾スキームは、既存の配列検証済みDNAパーツの再利用性を最大化するため、より高いレベルのアセンブリ設計を変更しない、転写ユニット等の機能性遺伝要素の既存のアセンブリパイプラインへの挿入に有用である。 レベル挿入:中間アセンブリ段階によるDNAのアセンブリのためのスキーム。図は、4つのDNA断片(断片A、断片B、断片C、及び断片D)を、DNAアセンブリの中間段階を通して単一断片(断片ABCD)にアセンブリする(レベル挿入)ためのスキームを示す。1回の反応で4つの断片をアセンブルする標準Metcloアセンブリスキーム(図3)とは対照的に、このスキームには、レベル1のDNAインサート(M1は断片A、断片B、断片C、断片Dにより保持される)及びレベル2のアセンブルされたDNA断片(M2は断片ABCDにより保持される)とは異なる選択マーカー(M3)を保持する中間アセンブリベクターへの、断片B及び断片Cのサブアセンブリによる中間アセンブリ段階が含まれる。レベル挿入サブアセンブリスキームは、DNAアセンブリの経路により多くの選択肢を提供し、中間のアセンブルされたDNA断片の再利用性を高める。 線形付加:BsaIに基づくMetcloを使用するアセンブリベクター構築のためのスキーム。 この図は、既存の機能性遺伝要素(断片A及び断片D)を保持するアセンブリベクターの構築のためのDNAパーツの線形付加スキームを示す。メチル化不可能なIIS型制限部位が両側に隣接する非選択性スタッファーDNA断片を保持するアセンブリベクターから開始して、2つのDNA断片(断片A及び断片D)がLacZα選択マーカーにより最初にこのベクターにアセンブルされる。LacZα選択マーカーの両側には、内側部位はメチル化可能であり、外側部位はメチル化不可能であるように、IIS制限部位の特別に設計された1対1の配置がある。対応するメチラーゼを発現する大腸菌株でのLacZαインサートプラスミドの調製は、メチル化可能なIIS型制限部位の内側ペアの選択的ブロックをもたらす。LacZαインサートと正常な大腸菌株から調製された他のインサート(断片A及び断片D)とのワンポットアセンブリは、DNAアセンブリに使用されるIIS型制限酵素による制限に抵抗性のアセンブルされたDNA断片を生じる。対応するメチラーゼ活性を欠く正常な大腸菌株へのアセンブルされたDNAの形質転換は、LacZα断片に隣接するメチル化可能なIIS型制限部位の脱メチル化をもたらす。その結果、次いで、アセンブルされたDNAは、次のラウンドのDNAアセンブリにおいてLacZα選択マーカーの代わりに、新たなDNA断片(断片B及び断片C)を付加するためのアセンブリベクターとして使用され得る。最終結果は、DNA断片のアセンブリベクターへの線形付加(断片A及び断片D、次いで断片B及び断片C)である。このスキームは、哺乳動物選択マーカー等の一般的な機能性遺伝要素を保持する最終段階のアセンブリベクターの構築に有用である。
本明細書において本発明は、有利には、DNAアセンブリの異なる段階を通して単一の制限酵素の使用を可能にすることができる。これにより、使用する制限酵素を含まないDNA断片の開始部分を調製するコスト及び複雑さが軽減される。メチラーゼ認識配列は、制限酵素によって生成されるオーバーハング末端配列を形成し得る配列とオーバーラップしないため、本発明は更に、DNA断片アセンブリ用のアダプター(すなわちオーバーハング)を設計するより多くの自由度を提供する。本発明はまた、制限酵素に基づくアセンブリ方法を使用する最初の階層的な瘢痕のないDNAアセンブリシステムを提供する。最終的にアセンブルされたDNAに望ましくない瘢痕配列を残す既存のモジュール式DNAアセンブル方法とは異なり、本発明は、瘢痕を残すことなく大きな任意のDNA配列をアセンブルするために使用され得る。本発明とは対照的に、ギブソン・アセンブリ及び酵母相同組み換え等のいずれも相同性に基づくアセンブリ方法による既存の瘢痕のないアセンブリシステムは、反復DNA配列を有する大きなDNAコンストラクトをアセンブルすることができない。本発明の方法はまた、6個のプラスミドのユニバーサルセットを使用するDNAの階層的な瘢痕のないアセンブリのための単純な設計を可能にする。
切断制御要素のメチル化は、オーバーラップする制限酵素認識部位をブロックする/損なう可能性がある。
一実施形態では、認識配列の外側で切断する制限酵素はIIS型制限酵素である。
一実施形態では、核酸は少なくとも2つのメチル化保護可能な制限要素を含む。別の実施形態では、核酸は2つのメチル化保護可能な制限要素を有する。2つのメチル化保護可能な制限要素を含む実施形態では、2つのメチル化保護可能な制限要素の切断部位間の核酸配列は、廃棄配列(すなわち、制限反応中に核酸から除去される不要な断片)であってもよい。代替の実施形態では、廃棄配列は先に除去されてもよい。例えば、核酸は、各末端にメチル化保護可能な制限要素を有する予め切断された直線化されたベクターであってもよい。
廃棄配列は、選択可能なマーカー、レポーター遺伝子、又は標識を含んでもよい。当業者は、DNAアセンブリ及びクローニングに使用される典型的なマーカー及びレポーター遺伝子に精通しているであろう。例えば、選択可能なマーカーは、抗生物質耐性、酵素活性、ルシフェラーゼ等をコードする遺伝子を含んでもよい。マーカーを、放射性標識等の標識としてもよい。一実施形態では、廃棄配列は、lacZをレポーターとしてコードする。当業者は、本発明のプロセスがアセンブルされたDNAの生成に好都合であるため、ベクター内のアセンブルされた配列によって置き換えられ得る廃棄配列が、機能性要素を全く含まなくてもよいことを認識するであろう。
廃棄配列に選択可能なマーカー、レポーター遺伝子、又は標識を提供することにより、有利には、目的の断片/配列による廃棄配列の除去又は置換に成功したクローンを選択することが可能になる。
一実施形態では、メチル化保護可能な制限要素の切断部位の反対側に、対向する保護不可能な制限酵素認識配列が提供される。例えば、廃棄配列を含む実施形態では、対向する保護不可能な制限酵素認識配列は廃棄配列に位置し得る。また、対向する保護不可能な制限酵素認識配列は、IIS型制限酵素等のその認識配列の外側を切断する制限酵素によって認識されてもよい。対向する保護不可能な制限酵素認識配列は、メチル化によって、保護されない場合があり(若しくは保護されるように配置されない場合があり)、又は少なくともメチル化保護可能な制限要素のメチラーゼ認識配列を認識するメチラーゼからのメチル化によって保護されない場合がある。廃棄配列内のかかる対向する保護不可能な制限酵素認識配列は、他にも「内部制限酵素認識配列」と呼ばれることがあり、一方、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列は「外部制限酵素認識配列」と呼ばれることがある。
メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列は、対向する保護不可能な制限酵素認識配列と同じ制限酵素種によって認識され得る。メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列は、対向する保護不可能な制限酵素認識配列と同じ配列を含んでもよい。
一実施形態では、核酸は、「維持された複合要素」を含んでもよく、対向する保護不可能な制限酵素認識配列は、同じオーバーハング/粘着末端が同じ位置に産生され得るように、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列と同じ部位で核酸を切断することを制限酵素に指示するように配置され得る。これは、選択された制限酵素(複数の場合もある)によって提供される切断部位に応じて、特定の距離で制限酵素認識配列及び対向する保護不可能な制限酵素認識配列を提供することにより達成され得る。この実施形態では、廃棄配列の対向する保護不可能な制限酵素認識配列を認識する制限酵素による核酸の切断、及びDNA断片インサートとのその後ライゲーションの後、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列に従って核酸を切断する制限酵素によって産生されるオーバーハングの配列が維持される。したがって、この実施形態は、「維持された複合要素」と呼ばれる場合があり、すなわち、維持された複合要素は、1対1の方向に配置された2つの制限配列を含み得る(その一方はメチル化保護可能要素の一部であり、他方は対向する保護不可能な制限酵素認識配列である)。維持された複合要素から産生されたオーバーハングは、対向する制限認識配列間の配列によって予め決定されてもよい。
維持された複合要素に対する代替の実施形態では、「短縮複合要素」が提供され、ここで、対向する保護不可能な制限酵素認識配列は、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列を認識する制限酵素の切断部位とオーバーラップしない部位で核酸を切断することを制限酵素に指示するように配置され得る(すなわち、対向する切断部位によって作られた後続のオーバーハングの位置がオーバーラップせず、後続のオーバーハングの配列が異なる場合がある)ように、メチル化保護可能な制限要素と対向する保護不可能な制限酵素認識配列との間の距離を短くしてもよい。短縮複合要素中の対向する保護不可能な制限酵素認識配列の切断部位が、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列の認識配列内、及び/又は切断部位とメチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列の認識配列との間のヌクレオチド内にあってもよい。一実施形態では、1つの切断部位の終わりの塩基対間の開裂点及び対向する切断部位の開始の塩基対間の開裂点は、近接する/隣接する塩基対の中にあってもよい(すなわち、切断部位は互いにすぐ隣にあってもよいが、オーバーラップはしない)。これは、選択された制限酵素(複数の場合もある)によって提供される切断部位に応じて、特定の距離でメチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列及び対向する保護不可能な制限酵素認識配列を提供することにより達成され得る。距離は、対向する保護不可能な制限酵素認識配列及び/又は認識配列と切断部位の間、又はその逆の間のヌクレオチドに切断をもたらすのに十分に近いであろう(すなわち、同等の/同じ選択された制限酵素(複数の場合もある)に対する「維持された複合要素」中の対向する制限酵素認識配列よりも近い)。この短縮複合要素の実施形態では、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列に従って核酸を切断する制限酵素によって産生されるオーバーハングの配列は、廃棄配列の対向する保護不可能な制限酵素認識配列を認識する制限酵素で核酸を切断し、DNA断片インサートとのその後のライゲーションの後、維持される場合と維持されない場合とがあり、これにより、DNA断片インサートの配列がオーバーハングの配列を決定し得る(例えば、短縮複合要素から産生されたオーバーハングは、対向する制限酵素認識部位間の配列によって予め決定されなくてもよい)。
維持された複合要素及び短縮された複合要素の代替の実施形態では、「挿入複合要素」が提供され、配列インサートがメチル化保護可能な制限要素及び対向する保護不可能な制限酵素認識配列との間に提供される。配列インサートは、機能を提供するように機能性配列を含んでもよい。例えば、配列インサートは、プロモーター配列又はターミネーター配列を含んでもよい。挿入複合要素を含む実施形態では、メチル化保護可能な制限要素及び対向する保護不可能な制限酵素認識配列は、オーバーラップしなくてもよく、配列インサートによって離れていてもよい。配列インサートは、任意の適切な長さであってもよい。例えば、メチル化保護可能な制限要素と対向する保護不可能な制限酵素認識配列との間の距離は、機能性配列インサート等の配列インサートに必要な任意の数のヌクレオチドであってもよい。メチル化保護可能な制限要素内の制限酵素認識配列と対向する保護不可能な制限酵素認識配列との間の距離は、6bp~300kbの範囲であってもよい。
有利には、DNAアセンブリに続いて、アセンブルされたDNAの5’又は3’末端に機能性配列が付加されるであろう。この設計は、特殊化されたベクターを使用することにより、アセンブルされたプラスミドに共通の要素を追加するのに便利である(例えば、マルチパートコード領域遺伝子アセンブリ反応でプロモーター及びターミネーターを追加する)。
一実施形態では、「維持された複合要素」の場合、対向する保護不可能な制限酵素認識配列(BsaI配列等)は、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列(BsaI配列等)から6塩基対離れていてもよい(すなわち、1つの認識配列の終了と対抗する認識配列の開始との間に6bpのギャップ)。当業者は、かかる距離は選択される制限酵素(複数の場合もある)の特性によることを認識するであろう。例えば、酵素が認識配列からx個の塩基を切断し、y個の塩基の接着末端/オーバーハングを生成すると仮定すると(例えば、BsaIの場合x=1及びy=4)、維持された複合要素の対向する制限酵素認識配列間の塩基数に関する距離(d)は、次の等式によって提供され得る:d=(2x)+y(例えば、BsaI場合d=6bp)。維持される複合要素の距離(d)は、5bp(例えば、EarIを使用する場合)~24bp(例えば、BtgZIを使用する場合)の範囲となり得る。一実施形態では、維持された複合要素の対向する制限酵素認識配列間の差はdであり、ここで、d=(2x)+yであって、式中、xは、その認識配列から切断される所与の制限酵素の切断部位の塩基対の数であり、yは、制限酵素によって産生されるオーバーハングの長さである。
例えば、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列によって産生されたオーバーハングが維持される場合又は維持されない場合の代替の短縮複合要素の実施形態では、対向する保護不可能な制限酵素認識配列(BsaI等)は、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列(BsaI等)から2塩基対離れていてもよい。上述のように当業者は、かかる距離は選択される制限酵素(複数の場合もある)の特性によることを認識するであろう。例えば、酵素が認識配列からx個の塩基を切断し、y個の塩基の接着末端を生成すると仮定して(BsaIの場合x=1及びy=4)、短縮複合要素の対向する制限酵素認識配列間の塩基数に関する距離(d)は、次の等式によって提供され得る:d=2x(例えば、BsaI場合d=2bp)。短縮複合要素の距離(d)は、2bp(例えば、BsaIを使用する場合)~20bp(例えば、BtgZIを使用する場合)の範囲となり得る。一実施形態では、短縮複合要素の対向する制限酵素認識配列間の差はdであり、ここで、d=2xであって、式中、xは、その認識配列から切断される所与の制限酵素の切断部位の塩基対の数である
有利には、維持された複合要素の提供はワンポットDNAアセンブリを促進し、それによりDNAの複数の断片が単一の制限酵素種を用いる単一のワンポット反応でアセンブルされ得る。有利には、短縮複合要素の提供は、瘢痕のないDNAアセンブリを促進し、それにより、特定のDNA断片インサートのオーバーハング末端は、デスティネーションベクターへのライゲーションに適合するように予め決定され得るか、又は配列内の隣接する断片との接合のため目的のDNA断片のネイティブ配列に従って提供され得る。
一実施形態では、核酸は、間に廃棄配列を有する2つの維持された複合要素を含むベクター等の環状核酸を含んでもよく、又は廃棄配列が切り取られたその直線化バージョンを含んでもよい。別の実施形態では、核酸は、間に廃棄配列を有する維持された複合要素及び短縮複合要素を含むベクター等の環状核酸を含んでもよく、又は廃棄配列が切り取られたその直線化バージョンを含んでもよい。別の実施形態では、核酸は、間に廃棄配列を有する2つの短縮複合要素を含むベクター等の環状核酸を含んでもよく、又は廃棄配列が切り取られたその直線化バージョンを含んでもよい。別の実施形態では、核酸は、間に廃棄配列を有する挿入複合要素及び短縮複合要素を含むベクター等の環状核酸を含んでもよく、又は廃棄配列が切り取られたその直線化バージョンを含んでもよい。別の実施形態では、核酸は、間に廃棄配列を有する挿入複合要素及び維持された複合要素を含むベクター等の環状核酸を含んでもよく、又は廃棄配列が切り取られたその直線化バージョンを含んでもよい。別の実施形態では、核酸は、間に廃棄配列を有する2つの挿入複合要素を含むベクター等の環状核酸を含んでもよく、又は廃棄配列が切り取られたその直線化バージョンを含んでもよい。直線化された核酸の実施形態では、廃棄配列は、廃棄配列上に存在する対向する保護不可能な制限酵素配列(すなわち、内部制限酵素認識配列)を認識する制限酵素を用いる制限によって切り取られていてもよい。
2つの維持された複合要素を含む実施形態では、2つの維持された複合要素の制限酵素認識配列は同じであってもよく、及び/又は2つの維持された複合要素のメチラーゼ認識配列は同じであってもよい。2つの短縮された複合要素を含む実施形態では、2つの短縮された複合要素の制限酵素認識配列は同じであってもよく、及び/又は2つの短縮された複合要素のメチラーゼ認識配列は同じであってもよい。2つの挿入複合要素を含む実施形態では、2つの挿入複合要素の制限酵素認識配列は同じであってもよく、及び/又は2つの挿入複合要素のメチラーゼ認識配列は同じであってもよい。維持された複合要素及び短縮された複合要素を含む実施形態では、維持された及び短縮された複合要素の制限酵素認識配列は同じであってもよく、及び/又は維持された及び短縮された複合要素のメチラーゼ認識配列は同じであってもよい。維持された複合要素及び挿入複合要素を含む実施形態では、維持された及び挿入複合要素の制限酵素認識配列は同じであってもよく、及び/又は維持された及び挿入複合要素のメチラーゼ認識配列は同じであってもよい。短縮された複合要素及び挿入複合要素を含む実施形態では、短縮された及び挿入複合要素の制限酵素認識配列は同じであってもよく、及び/又は短縮された及び挿入複合要素のメチラーゼ認識配列は同じであってもよい。例えば、目的の廃棄配列又はDNA断片を除去するための核酸の消化は、同じ制限酵素によって行われてもよい。さらに、核酸中の全てのメチラーゼ保護可能な制限酵素認識部位を保護するための核酸のメチル化は、同じメチラーゼによって行われてもよい。
一実施形態では、メチラーゼはII型DNAメチラーゼを含む。別の実施形態では、メチラーゼはI型DNAメチラーゼを含む。一実施形態では、メチラーゼは、制限酵素活性のない単一ドメインメチラーゼ、又は非機能性制限酵素活性を有する改変メチラーゼを含む。例えば、改変は、メチルアデニンのN6位を改変することを含んでもよい。一実施形態では、DNAメチラーゼ認識配列は少なくとも4塩基対を含む。DNAメチラーゼは、活性であり得、例えば約37℃で最適に活性である。
一実施形態では、対向する保護不可能な制限酵素認識配列は、メチル化保護可能な制限要素のDNAメチラーゼ認識配列を認識するメチラーゼによるメチル化によってブロックすることができない。一実施形態では、メチル化保護可能な制限要素のDNAメチラーゼ認識配列を認識するメチラーゼは、対向する保護不可能な制限酵素認識配列内又はそれとオーバーラップする配列を認識しなくてもよい。例えば、保護不可能な対向する制限酵素認識配列は、メチル化保護可能な制限要素のDNAメチラーゼ認識配列を認識するメチラーゼにより認識される配列とオーバーラップしなくてもよく、又はそれを含まなくてもよい。メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列は、例えばメチル化保護可能な制限要素のDNAメチラーゼ認識配列を認識するメチラーゼによりメチル化されてもよい。メチル化保護可能な制限要素のDNAメチラーゼ認識配列を認識するメチラーゼは、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列の配列内のヌクレオチドをメチル化するように配置されてもよい。メチル化は、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列を認識する制限酵素によるDNAの切断をブロックできる可能性がある。一実施形態では、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列は、配列中のヌクレオチドの少なくとも1つのメチル化の結果として機能しなくなる場合がある。一実施形態では、メチル化ヌクレオチドはアデニンであってもよく、又はメチル化されるように配置されたヌクレオチドはアデニンであってもよい。別の実施形態では、メチル化ヌクレオチドはシトシンであってもよく、又はメチル化されるように配置されたヌクレオチドはシトシンであってもよい。メチル化は、N4-メチルシトシン(m4C)、C5-メチルシトシン(m5C)又はN6-メチルアデニン(m6A)から選択されるメチル化タイプのいずれか1つであってもよい。当業者は、提供されるメチル化のタイプにより、オーバーラップする制限部位の機能がブロックされる/損なわれるはずであることを認識するであろう。さらに、in vivoメチル化の場合、メチラーゼの発現に使用される株は、Mcr/Mrrファミリー制限酵素等のメチル化塩基を認識し得る改変依存型制限酵素が欠乏していてもよい。一実施形態において、メチル化タイプは、N6-メチルアデニン(m6A)を含んでもよい。
一実施形態では、メチラーゼは、制限酵素認識配列の最も外側の塩基をメチル化してもよく、又はメチル化しなくてもよい。例えば、6bpの制限酵素認識配列では、塩基1又は6はメチル化されなくてもよい。一実施形態では、メチラーゼは制限酵素認識配列の2番目の塩基をメチル化してもよく、又はメチル化しなくてもよい。一実施形態では、メチラーゼは、6bp制限酵素認識部位の3位、4位、又は5位をメチル化してもよい。一実施形態では、メチラーゼは、制限酵素認識部位の3位、4位、5位又は6位をメチル化してもよい。
2つのメチル化保護可能な制限要素を含む実施形態では、各メチル化保護可能な制限要素のDNAメチラーゼ認識配列は、同じメチラーゼによって認識され得る。メチル化保護可能な制限要素のDNAメチラーゼ認識配列は、同じ配列を含むか、又はそれからなってもよい。
2つのメチル化保護可能な制限要素を含む実施形態では、各メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列は、同じ制限酵素種によって認識され得る。メチル化保護可能な制限要素の各制限酵素認識配列は、同じ配列を含むか、又はそれからなってもよい。2つのメチル化保護可能な制限要素は、同じ配列を含むか、又は同じ配列からなってもよい。
同じ制限酵素認識配列の使用は、有利には、単一の制限酵素種をDNAアセンブリ反応で使用できることを提供する。反応中に更なる制限酵素種が存在すると、配列がランダムに/不注意に認識及び制限切断の部位を含む確率が大幅に増加して、クローニング処置の失敗を引き起こすことから、単一の制限酵素種の使用は、より複雑でないDNAアセンブリの可能性をもたらす。
一実施形態では、前記メチル化保護可能な制限要素は、本明細書の表3で特定されるオーバーラップするメチル化/制限部位のいずれか1つによる配列を含む、又はそれからなる。代替の実施形態では、メチル化保護可能な制限要素は、制限配列の最初又は最後の塩基のメチル化を提供するものを除いて、本明細書の表3で特定されるオーバーラップするメチル化/制限部位のいずれか1つによる配列を含む、又はそれからなる。一実施形態では、メチル化保護可能な制限要素は、配列GACNNGGTCTCNNNNN(BsaI/M.Osp807II-配列番号1)を含む、又はそれからなる。別の実施形態では、メチル化保護可能な制限要素は、配列GAAGACGCNNNNNN(BpiI/M2.NmeMC58II-配列番号2)を含む、又はそれからなる。別の実施形態では、メチル化保護可能な制限要素は、配列GAAGCTCTTCNNNN(LguI/M.XmnI-配列番号3)を含む、又はそれからなる。
一実施形態では、メチル化保護可能及び/又は保護不可能な制限酵素認識配列は、本明細書の表3で特定される制限酵素認識配列のいずれか1つによる配列を含む、又はそれからなる。代替の実施形態では、メチル化保護可能及び/又は保護不可能な制限酵素認識配列は、制限配列の最初又は最後の塩基のメチル化を提供するものを除いて、本明細書の表3で特定される制限酵素認識配列のいずれか1つによる配列を含む、又はそれからなる。一実施形態では、メチル化保護可能及び/又は保護不可能な制限酵素認識配列は、配列GGTCTC(BsaI-配列番号4)を含む、又はそれからなる。別の実施形態では、メチル化保護可能及び/又は保護不可能な制限酵素認識配列は、配列GAAGAC(BpiI-配列番号5)を含む、又はそれからなる。別の実施形態では、メチル化保護可能及び/又は保護不可能な制限酵素認識配列は、配列GCTCTTC(LguI-配列番号6)を含む、又はそれからなる
一実施形態では、DNAメチラーゼ認識配列が、本明細書の表3で特定されるII型DNAメチラーゼ認識配列のいずれか1つによる配列を含む、又はそれからなる。代替の実施形態では、DNAメチラーゼ認識配列は、制限配列の最初又は最後の塩基のメチル化を提供するものを除いて、本明細書の表3で特定されるII型DNAメチラーゼ認識配列のいずれか1つによる配列を含む、又はそれからなる。一実施形態では、DNAメチラーゼ認識配列は、配列GACNNNGTC(M.Osp807II-配列番号7)を含む、又はそれからなる。別の実施形態では、DNAメチラーゼ認識配列は、配列GAGCC(M2.NmeMC58II-配列番号8)を含む、又はそれからなる。別の実施形態において、DNAメチラーゼ認識配列は、配列GAANNNNTTC(M.XmnI-配列番号9)を含む、又はそれからなる。
メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列及び/又は対向する制限酵素認識配列を認識する制限酵素は、少なくとも2bpのオーバーハング/粘着末端を残すように核酸を切断することが可能であってもよい。あるいは、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列及び/又は対向する制限酵素認識配列を認識する制限酵素は、少なくとも3bpのオーバーハング/粘着末端を残すように核酸を切断することが可能であってもよい。別の実施形態では、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列及び/又は対向する制限酵素認識配列を認識する制限酵素は、3bpのオーバーハング/粘着末端を残すように核酸を切断することが可能であってもよい。別の実施形態では、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列及び/又は対向する制限酵素認識配列を認識する制限酵素は、4bpのオーバーハング/粘着末端を残すように核酸を切断することが可能であってもよい。別の実施形態では、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列及び/又は対向する制限酵素認識配列を認識する制限酵素は、2bp~6bpのオーバーハング/粘着末端を残すように核酸を切断することが可能であってもよい。別の実施形態では、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列及び/又は対向する制限酵素認識配列を認識する制限酵素は、2bp~5bpのオーバーハング/粘着末端を残すように核酸を切断することが可能であってもよい。別の実施形態では、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列及び/又は対向する制限酵素認識配列を認識する制限酵素は、3bp~5bpのオーバーハング/粘着末端を残すように核酸を切断することが可能であってもよい。別の実施形態では、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列及び/又は対向する制限酵素認識配列を認識する制限酵素は、4bp~5bpのオーバーハング/粘着末端を残すように核酸を切断することが可能であってもよい。
一実施形態では、制限酵素は、本明細書の表3で特定されるいずれか1つのIIS型制限酵素を含む、又はそれからなる。別の実施形態では、IIS型制限酵素は、BsaI、BpiI、又はLguIを含む、又はそれからなる。
一実施形態では、本明細書の表3で特定されるいずれか1つのII型DNAメチラーゼを含む、又はそれからなる。代替の実施形態では、DNAメチラーゼは、制限配列の最初又は最後の塩基のメチル化を提供するものを除いて、本明細書の表3で特定されるII型DNAメチラーゼのいずれか1つを含む、又はそれからなる。別の実施形態では、DNAメチラーゼは、M.Osp807II、M2.NmeMC58II、又はM.XmnIを含む、又はそれからなる。
一実施形態では、制限酵素及びDNAメチラーゼは、本明細書の表3で特定されるIIS型制限酵素及びII型DNAメチラーゼのいずれか1つの対を含む、又はそれからなる。一実施形態では、制限酵素及びDNAメチラーゼは、BsaI/M.Osp807II、BpiI/M2.NmeMC58II、又はLguI/M.XmnIの対を含む、又はそれらからなる。
一実施形態では、制限酵素認識配列及びDNAメチラーゼ認識配列は、本明細書の表3で特定されるIIS型制限酵素認識配列及びII型DNAメチラーゼ認識配列のいずれか1つの対を含む。又はそれからなる。代替の実施形態では、制限酵素認識配列及びDNAメチラーゼ認識配列は、制限配列の最初又は最後の塩基のメチル化を提供するものを除いて、本明細書の表3で特定されるIIS型制限酵素認識配列及びII型DNAメチラーゼ認識配列のいずれか1つの対を含む、又はそれらからなる。
2つのメチル化保護可能な制限要素を含む(例えば、それらの間に廃棄配列を有する)実施形態では、第1のメチル化保護可能な制限要素において制限酵素で切断することにより産生されるオーバーハング/粘着末端は、第2のメチル化保護可能な制限要素において制限酵素で切断することにより産生されるオーバーハング/粘着末端と配列が異なってもよい。当業者は、指向性DNAアセンブリ/クローニングのために異なるオーバーハングを提供すること、又は核酸のどの末端が目的のインサート/断片にライゲートされるかを制御することに精通している。
維持された複合要素を含む一実施形態では、核酸は、GACNNGGTCTCNNNNNNGAGACCの配列(配列番号:10)を含んでもよく、又はそれからなってもよい。維持された複合要素を含む別の実施形態では、核酸はGAAGACGCNNNNNNGTCTTCの配列(配列番号:11)を含んでもよく、又はそれからなってもよい。維持された複合要素を含む別の実施形態では、核酸は、GAAGCTCTTCNNNNNGAAGAGCの配列(配列番号:12)を含んでもよく、又はそれからなってもよい。NはA、C、T、又はGを意味し得る。他の配列は、表3に示す制限酵素とメチラーゼ認識配列の組み合わせ/重複に従って提供されてもよく、ここで、一連のN個の塩基の後に、該配列は制限酵素認識配列のパリンドローム/逆相補配列を更に含む。
2つの維持された複合要素を含む一実施形態では、核酸はGACNNGGTCTCNNNNNNGAGACC(N)GGTCTCNNNNNNGAGACCNNGTCの配列(配列番号:13)を含んでもよく、又はそれからなってもよい。2つの維持された複合要素を含む別の実施形態では、核酸は、GAAGACGCNNNNNNGTCTTC(Nx)GAAGACNNNNNNGCGTCTTCの配列(配列番号:14)を含んでもよく、又はそれからなってもよい。2つの維持された複合要素を含む別の実施形態では、核酸は、GAAGCTCTTCNNNNNGAAGAGC(N)GCTCTTCNNNNNGAAGAGCTTCの配列(配列番号:15)を含んでもよく、又はそれからなってもよい。NはA、C、T、又はGを意味し得る。(N)は、任意の数のA、C、T若しくはG、又は0bp~300kbpのA、C、T、又はGを意味し得る。
当業者は、LguI等の幾つかの制限酵素認識配列について、2つの維持された複合要素間のヌクレオチド(N)の数は、マイナスとなる場合があり、2つの内部の保護不可能な制限酵素認識部位がオーバーラップしていることを理解するであろう。したがって、2つの維持された複合要素を含む別の実施形態では、核酸は
Figure 0007305553000001
を含んでもよく、又はそれからなってもよい。
短縮された複合要素を含む一実施形態では、核酸はGACNNGGTCTCNNGAGACCの配列(配列番号17)を含んでもよく、又はそれからなってもよい。短縮された複合要素を含む一実施形態では、核酸はGAAGCTCTTCNNGAAGAGCの配列(配列番号18)を含んでもよく、又はそれからなってもよい。NはA、C、T又はGを意味し得て、NはA、C、T又はGを意味し得る。他の配列は、表3に示す制限酵素とメチラーゼ認識配列の組み合わせ/オーバーラップに従って提供されてもよく、ここで、一連のN塩基の後に、該配列は制限酵素認識配列のパリンドローム/逆相補配列を更に含み、制限認識配列間のN塩基の数は、選択された制限酵素によって産生されるオーバーハング塩基の数だけ減少する。
維持され及び短縮された複合要素を含む一実施形態では、核酸は、GACNNGGTCTCNNNNNNGAGACC(N)GGTCTCNNGAGACCNNGTC(配列番号19)の配列を含んでもよく、又はそれからなってもよい。維持され及び短縮された複合要素を含む一実施形態では、核酸は、GAAGCTCTTCNNNNNGAAGAGC(N)GCTCTTCNNGAAGAGCTTCの配列(配列番号20)の配列を含んでもよく、又はそれからなってもよい。NはA、C、T、又はGを意味し得る。(N)は、任意の数のA、C、T若しくはG、又は0bp~300kbpのA、C、T、又はGを意味し得る。
当業者は、LguI等の幾つかの制限酵素認識配列について、維持された及び短縮された複合要素間のヌクレオチド(N)の数は、マイナスとなる場合があり、2つの内部の保護不可能な制限酵素認識部位がオーバーラップしていることを理解するであろう。したがって、維持された及び短縮された複合要素を含む別の実施形態では、核酸は、
Figure 0007305553000002
の配列を含んでもよく、又はそれからなってもよい。
維持された及び短縮された複合要素を含む一実施形態では、核酸は、GACNNGGTCTCNNGAGACC(N)GGTCTCNNNNNNGAGACCNNGTC(配列番号22)の配列を含んでもよく、又はそれからなってもよい。維持された及び短縮された複合要素を含む一実施形態では、核酸は、GAAGCTCTTCNNGAAGAGC(N)GCTCTTCNNNNNGAAGAGCTTC(配列番号23)の配列を含んでもよく、又はそれからなってもよい。NはA、C、T、又はGを意味し得る。(N)は、任意の数のA、C、T若しくはG、又は0bp~300kbpのA、C、T、又はGを意味し得る。維持された及び短縮された複合要素を含む別の実施形態では、核酸は
Figure 0007305553000003
の配列を含んでもよく、又はそれからなってもよい。
2つの短縮された複合要素を含む一実施形態では、核酸は、GACNNGGTCTCNNGAGACC(N)GGTCTCNNGAGACCNNGTC(配列番号25)の配列を含んでもよく、又はそれからなってもよい。2つの短縮された複合要素を含む一実施形態では、核酸はGAAGCTCTTCNNGAAGAGC(N)GCTCTTCNNGAAGAGCTTCの配列(配列番号26)の配列を含んでもよく、又はそれからなってもよい。NはA、C、T、又はGを意味し得る。(N)は、任意の数のA、C、T若しくはG、又は0bp~300kbpのA、C、T、又はGを意味し得る。
当業者は、LguI等の幾つかの制限酵素認識配列について、2つの短縮された複合要素間のヌクレオチド(N)の数は、マイナスとなる場合があり、2つの内部の保護不可能な制限酵素認識部位がオーバーラップしていることを理解するであろう。したがって、2つの短縮された複合要素を含む別の実施形態では、核酸は
Figure 0007305553000004
を含んでもよく、又はそれからなってもよい。
核酸は単離された核酸であってもよい。一実施形態では、核酸は合成であってもよい(すなわち、自然界には見られない)。一実施形態では、核酸は、メチル化保護可能な制限要素のメチラーゼ認識配列を認識(及びメチル化)するDNAメチラーゼを発現する大腸菌等の細菌株から単離されてもよく、又はそれに由来してもよい。例えば、本明細書の表3で特定されるいずれか1つのII型DNAメチラーゼを発現する大腸菌等の細菌株。一実施形態では、核酸は、M.Osp807II、M2.NmeMC58II、又はM.XmnIを発現する大腸菌等の細菌株から単離されてもよく、又はそれに由来してもよい。発現されたDNAメチラーゼは機能性であってもよい。細菌株は、かかるDNAメチラーゼを発現するように遺伝子改変/操作されてもよい。
核酸は、クローニングベクター等のベクターであってもよい。当業者は、例えば複製起点、選択可能なマーカー、レポーター遺伝子、発現要素、又はそれらの組み合わせを含んでもよい、様々なクローニングベクターに精通しているであろう。ベクターは、それを含むDNAの複製を支持するDNA要素(例えば複製起点)及び選択マーカー(例えば抗生物質選択マーカー)を含む核酸を含んでもよい。ベクターは、高コピー数ベクターであってもよく、又は低コピー数ベクターでもあってもよい。一実施形態では、ベクターは高コピー数ベクターである。当業者は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Green,M.R.,Sambrook,J.Molecular Cloning:A Laboratory Manual.4th.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;2012に提供されるクローニング方法、及び材料/ベクターに精通しているであろう。
核酸の直線化された実施形態では、核酸は制限酵素認識配列の3つ以上のコピー/部位を含まなくてもよい。
本発明の別の態様によれば、DNAをアセンブルする方法であって:
メチル化保護可能な制限要素がDNAメチラーゼでメチル化されている、本発明による直線化されたメチル化核酸を提供すること;
直線化されたメチル化核酸とのアセンブリのための2つ以上の目的のDNA断片を提供すること、ここで、第1のDNA断片が、直線化されたメチル化核酸の第1の末端とのライゲーションのための相補的なオーバーハングを含み、第2のDNA断片が、直線化されたメチル化核酸のもう一方の/第2の末端とのライゲーションのための相補的なオーバーハングを含み;並びに
(i)第1及び第2のDNA断片が、互いにライゲーションするための相補的なオーバーハングを更に含み、又は
(ii)DNA断片及び直線化されたメチル化核酸をDNAリガーゼでライゲートすることが単一のアセンブルされたDNA分子をもたらすように、第1及び第2のDNA断片が、相補的なオーバーハングを有する1つ以上のDNA断片とのライゲーションのための相補的なオーバーハングを更に含み;
DNA断片及び直線化されたメチル化核酸をリガーゼでライゲートして、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列が両側に隣接するアセンブルされたDNA断片の配列を含む単一のアセンブルされたDNA分子を形成することを含む、DNAをアセンブルする方法が提供される。
単一のアセンブルされたDNA分子は、環状DNAベクター等の環状であってもよい。
有利には、メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列を認識する制限酵素による単一のアセンブルされたDNA分子の更なる切断は、制限酵素認識配列のメチル化によりブロックされる。
直線化された核酸が、2つのメチル化されたメチル化保護可能な制限要素及びその間の廃棄配列を含む環状デスティネーションベクターの形態で、本発明による核酸を提供することによって提供されてもよく、該方法は、前記廃棄配列内の対向する保護不可能な制限酵素認識配列を認識する制限酵素で環状デスティネーションベクターを切断する工程を含み、それによって前記制限酵素により規定されるオーバーハングを有する直線化された核酸を残す。制限酵素は同じ種であってもよい。メチル化されたメチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列は、同じ配列を含んでもよい。一実施形態において、メチル化されたメチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列及び対向する保護不可能な制限酵素認識配列は、同じ配列を含んでもよい。
本発明の方法で使用される制限酵素及びメチラーゼ(又はその認識配列)は、本明細書の本発明の核酸の態様に提供される制限酵素及びメチラーゼ(又はその認識配列)に従って選択され得る。
環状デスティネーションベクターは、メチル化保護可能な制限要素のDNAメチラーゼ認識配列を認識するDNAメチラーゼを発現する細菌株から精製/単離され得る。別の実施形態では、環状若しくは直線化されたデスティネーションベクターは、in vitroでDNAメチラーゼによってメチル化されてもよい。
核酸とのアセンブリのための2つ以上の目的のDNA断片は、環状供与ベクターで提供されてもよく、上記方法は、環状供与ベクターを切断して目的のDNA断片を放出する工程を含む。ドナーベクターの切断は、直線化されたメチル化核酸とのライゲーションのため相補的オーバーハングを残す制限酵素によるものであってもよい。ドナーベクターの切断は、直線化されたメチル化核酸とのライゲーションのための相補的オーバーハングを残す制限酵素によるものであってもよく、挿入のための目的の別のDNA断片によるものであってもよい。ドナーベクターの切断は、挿入のための目的の2つの他のDNA断片とのライゲーションのための相補的なオーバーハングを残す制限酵素によるものであってもよい。
環状供与ベクターを切断するための制限酵素は、IIS型制限酵素を含んでもよい。環状供与ベクターを切断するための制限酵素は、環状デスティネーションベクターを切断するために使用される制限酵素と同じ制限酵素、又は同じ配列を認識する制限酵素を含んでもよい。直線化された核酸とのライゲーションのための目的のDNA断片の相補的なオーバーハングは、制限酵素によって規定され得る。
有利には、メチル化保護可能な制限要素に対する同じ制限酵素認識配列、廃棄配列上の対向する制限酵素認識配列、及びドナーベクター上の制限酵素認識配列の提供は、単一の種類の制限酵素を使用可能であることを提供する。これにより、除去される制限部位が少なくなるため、DNAパーツから内部IIS型制限部位を除去する際のコスト/複雑さが軽減される。これにより、より長い配列のアセンブリがより容易になり、コストが削減される。さらに、本発明は、いわゆる「ワンポット」反応を可能にし、それによって制限及びライゲーションを単一の工程においてワンポットで実行することができる。
したがって、この方法は、制限とライゲーションの工程を組み合わせてもよい。特に、環状デスティネーションベクター、ドナーベクター、制限酵素及びリガーゼは同じ組成物で提供され得る。
単一のアセンブルされたDNA分子のアセンブリの後、上記方法は、単一のアセンブルされたDNA分子を、メチル化保護可能な制限要素のDNAメチラーゼ認識配列を認識するDNAメチラーゼを発現しない細菌株に形質転換する工程を更に含む。
有利には、単一のアセンブルされたDNA分子を、メチル化保護可能な制限要素のDNAメチラーゼ認識配列を認識するDNAメチラーゼを発現しない細菌株に形質転換すると、その後の制限反応を可能にする非メチル化(すなわち、ブロックされていない)制限酵素認識配列を含む、ベクター等の核酸配列のクローニング及び産生をもたらす。
上記方法は、より長い配列長のアセンブルされたDNA断片又はベクターを形成するため、多段階アセンブリプロセスを更に含んでもよい。例えば、本発明の方法の産物であるアセンブルされたDNAは、より高次のアセンブリのために更に使用され得る。例えば、該方法は、本発明による第2ラウンドのDNAアセンブリを含んでもよく、上記直線化されたメチル化核酸とのアセンブリのための目的のDNA断片は、本発明による第1の/より初期のDNAアセンブリラウンドに由来するアセンブルされたDNAを含んでもよい。
DNAのより大きな断片を形成するためのDNAアセンブリの複数のラウンドの提供は、必要なアダプター/オーバーハング配列の数を減らす。また、DNAアセンブリの成功率が増加し、DNA断片が少なくなる。さらに、1回の反応でアセンブルされる断片が少なく、アセンブルに成功したDNAをより簡単にスクリーニングすることができる。
瘢痕のないDNAアセンブリ法
本発明の別の態様によれば、以下:
(A)一端に維持された複合要素を有し、もう一端に短縮複合要素を有する、本発明による第1の直線化されたメチル化核酸を提供する工程であって、前記維持された複合要素及び短縮複合要素が、DNAメチラーゼでメチル化されている工程;
第1の直線化されたメチル化核酸のオーバーハング末端にライゲートするように適合されているオーバーハング末端を有するアセンブリのための第1のDNA断片を提供する工程;
上記アセンブリのための第1のDNA断片及び第1の直線化されたメチル化核酸を、リガーゼを用いてライゲートして、第1のメチル化中間ベクターを形成する工程;
上記第1のメチル化中間体ベクターを、維持された複合要素及び短縮複合要素のDNAメチラーゼ認識配列(複数の場合もある)のいずれかを認識するDNAメチラーゼ(複数の場合もある)を発現しない細菌株に形質転換し、それによりメチル化されていない第1の中間ベクターを形成する工程;
上記第1の中間ベクターを単離する工程;
(B)一端に維持された複合要素を有し、もう一端に短縮複合要素を有する、本発明による第2の直線化されたメチル化核酸を提供する工程であって、上記維持された複合要素及び短縮複合要素がDNAメチラーゼでメチル化されており、前記第1の直線化されたメチル化核酸の維持された複合要素によって提供されるオーバーハングが、第2の直線化されたメチル化核酸のメチル化保護可能な制限要素によって提供されるオーバーハングと配列が異なる工程;
第2の直線化されたメチル化核酸のオーバーハング末端にライゲートするように適合されたオーバーハング末端を有するアセンブリのための第2のDNA断片を提供する工程;
上記アセンブリのための第2のDNA断片及び第2の直線化されたメチル化核酸を、リガーゼを用いてライゲートして、第2のメチル化中間ベクターを形成する工程;
上記第2のメチル化中間体ベクターを、維持された複合要素及び短縮複合要素のDNAメチラーゼ認識配列(複数の場合もある)のいずれかを認識するDNAメチラーゼ(複数の場合もある)を発現しない細菌株に形質転換し、それによりメチル化されていない第2の中間ベクターを形成する工程;
上記第2の中間ベクターを単離する工程;
(C)上記維持された複合要素の制限酵素認識配列を認識する制限酵素、及び短縮複合要素の制限酵素認識配列を認識する制限酵素で第1の中間ベクターを切断し、それにより維持された複合要素によって決定される維持されるオーバーハング配列、及びアセンブリのための第1のDNA断片のネイティブ配列によって決定される対向するネイティブオーバーハング配列を含む第1の適合DNA断片インサートを形成する工程;
(D)上記維持された複合要素の制限酵素認識配列を認識する制限酵素、及び短縮複合要素の制限酵素認識配列を認識する制限酵素で第2の中間ベクターを切断することにより、
維持された複合要素によって決定される維持されるオーバーハング配列、及びアセンブリのための第2のDNA断片のネイティブ配列によって決定される対向するネイティブオーバーハング配列を含む第2の適合DNA断片インサートを形成する工程;
を含み、
ここで、
(i)上記第1及び第2の適合DNA断片は、それらが互いにライゲートするために配置されるように、それらのネイティブオーバーハング配列が相補的である末端断片である;又は
(ii)アセンブリのための1つ以上の中央DNA断片が提供され、ここで、上記第1及び第2の適合DNA断片は、アセンブリ内の各末端断片であり、上記1つ以上の中央DNA断片が、相補的なネイティブオーバーハング配列を介して、上記第1及び第2の適合DNA断片の間にライゲートされるように配置され;
さらに、リガーゼで、第1及び第2の適合DNA断片、又は第1及び第2の適合DNA断片と1つ以上の中央DNA断片と共にライゲートして、各末端に維持されたオーバーハングを有するアセンブルされたDNA断片を形成する工程を含む、
DNA断片の瘢痕のないDNAアセンブリの方法が提供される。
1つ以上の中央DNA断片は、それらのネイティブ配列によって決定される両端にネイティブオーバーハング配列を含んでもよい。アセンブリのため単一の中間DNAを含む或る実施形態では、中央DNA断片が、上記第1の適合DNA断片のネイティブオーバーハングに相補的な第1のネイティブオーバーハング配列と、前記第2の適合DNA断片のネイティブオーバーハングに相補的な第2のネイティブオーバーハング配列とを含んでもよい。
アセンブリ用の2つ以上の中央DNA断片を含む或る実施形態では、中央DNA断片はそれぞれ、予め決定された順序でそれらが共にライゲートされ得るように、隣接する中央DNA断片のネイティブオーバーハングに相補的なネイティブオーバーハング配列を含んでもよい。配列の最初と最後の中央のDNA断片は、相補的なネイティブオーバーハング配列を介して、それぞれの第1の適合DNA断片及び第2の適合DNA断片にライゲートするように配置される。
一実施形態では、アセンブリのための中央DNA断片は、
本発明による更なる直線化されたメチル化核酸を提供することであって、該直線化されたメチル化核酸は、各末端に短縮複合要素を含み、該短縮複合要素はDNAメチラーゼでメチル化されていること;
上記直線化されたメチル化核酸のオーバーハング末端にライゲートするように適合されたオーバーハング末端を有するアセンブリのための適合中央DNA断片を提供すること;
上記アセンブリのための適合中央DNA断片及び直線化されたメチル化核酸を、リガーゼを用いてライゲートして、メチル化中間ベクターを形成すること;
上記メチル化された中間ベクターを、短縮複合要素のDNAメチラーゼ認識配列(複数の場合もある)のいずれかを認識するDNAメチラーゼ(複数の場合もある)を発現しない細菌株に形質転換し、それによりメチル化されていない中間ベクターを形成すること;
上記中間ベクターを単離すること;
上記中間ベクターを、短縮複合要素の制限酵素認識配列を認識する制限酵素で切断し、それにより、アセンブリのための中央DNA断片のネイティブ配列によって決定される各末端にネイティブオーバーハング配列を含む中央DNA断片インサートを形成すること、
によって提供される。
アセンブリ用の前記DNA断片は、各末端にオーバーハング/スティック末端を含む二本鎖DNAを含んでもよい。アセンブリ用のDNA断片は、鋳型からのPCR、遺伝子合成、又は2つのオリゴヌクレオチドのアニーリングによって調製され得る。かかるプロセス、例えばPCR又は遺伝子合成は平滑末端の二本鎖DNAを生成し得る。PCR産物から開始するアセンブリの場合、制限部位を含む適切なアダプター配列をPCRプライマーに含めてDNAをトリミングし、中間ベクターにクローニングするためのオーバーハングを生成してもよい。アニーリングされたオリゴヌクレオチドの使用を含む実施形態については、より多くの選択肢がある。配列設計は、オーバーハングを生成するように制限酵素でトリミングするため、両端に制限部位を有するPCR/遺伝子合成の場合と同じであってもよい。あるいは、2つのアニールされたオリゴがオーバーハング自体を形成してもよい。
一実施形態では、アセンブリ用の第1のDNA断片、アセンブリ用の第2のDNA断片、及びアセンブリ用の1つ以上の適合した中央DNA断片等のアセンブリ用のDNA断片は、鋳型配列からのPCRによって提供され得る(すなわち、アセンブリ用のDNA断片はPCR産物であってもよい)。鋳型配列は、アセンブルされたDNA断片としてクローン化されることが望まれる全配列を提供し得る。アセンブリ用のDNA断片は、鋳型の異なるセクションから、例えばPCRによって複製され、生成された隣接するPCR産物は配列が部分的にオーバーラップする場合がある(すなわち、1つのPCR産物の終わり近くの配列は、アセンブリ用の次のPCR産物の開始近くに同じ配列を含む場合がある)。オーバーラップは部分的であってもよいが、相補的な粘着末端を提供するには十分な長さである。一実施形態では、1つのPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)内のオーバーラップ配列及び次の隣接するPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)のオーバーラップは、少なくとも2塩基対の長さであってもよい。別の実施形態では、1つのPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)内のオーバーラップ配列及び次の隣接するPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)のオーバーラップは、少なくとも3塩基対の長さであってもよい。別の実施形態では、1つのPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)内のオーバーラップ配列及び次の隣接するPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)のオーバーラップは、3塩基対~6塩基対の長さであってもよい。別の実施形態では、1つのPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)内のオーバーラップ配列及び次の隣接するPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)のオーバーラップは、3塩基対~5塩基対の長さであってもよい。別の実施形態では、1つのPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)内のオーバーラップ配列及び次の隣接するPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)のオーバーラップは、4塩基対~5塩基対の長さであってもよい。別の実施形態では、1つのPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)内のオーバーラップ配列及び次の隣接するPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)のオーバーラップは、3塩基対~4塩基対の長さであってもよい。別の実施形態では、1つのPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)内のオーバーラップ配列及び次の隣接するPCR産物(アセンブリ用のDNA断片)のオーバーラップは、4塩基対の長さであってもよい。
相補的なオーバーハングを含み得るアセンブリ用のDNA断片を形成するため、鋳型DNAの部分的にオーバーラップするセクションを増幅するようにPCRプライマーを配置してもよい。PCR反応は、制限認識配列を含むアダプター配列(すなわち、ユニバーサルアダプター配列、例えば制限酵素認識配列は、維持された複合要素及び/又は短縮複合要素の制限酵素認識配列と同じ配列を含んでもよい)、加えて、アセンブリのための隣接/連続断片のオーバーハングに相補的となり得るオーバーハングの配列を追加し得る。連続/隣接断片間で、例えば4bpオーバーラップする配列を含むオーバーハングは、制限酵素による消化の後に形成される場合がある(すなわち、PCR産物間のオーバーラップは、制限酵素認識配列を含むアダプター配列全体内の例えば4bpの配列を指す)。
PCRプライマーは、DNA断片のアダプター配列を更に提供し得て、これは、直線化メチル化核酸(第1の直線化メチル化核酸、第2の直線化メチル化核酸、又は更なる直線化メチル化核酸等)とのライゲーション及び中間ベクターの形成のための相補的なオーバーハングを形成する。PCRプライマーは、制限酵素がPCR産物を切断してアダプター配列を形成することを指示するように配置された制限酵素認識配列を更に提供し得る。PCRプライマーにより提供される制限酵素認識配列は、制限酵素認識配列であってもよい。制限酵素認識配列は、維持された複合要素及び/又は短縮複合要素の制限酵素認識配列と同じ配列を含んでもよい。
一実施形態では、適合された中央DNA断片は、ライゲーションが意図される連続/隣接DNA断片で提供されるネイティブオーバーハング配列と同じ配列であるオーバーラップするネイティブ配列の領域を含む。例えば、互いとのアセンブリのための隣接/連続DNA断片が鋳型からコードされている場合、それらは各々、鋳型のオーバーラップ/同一配列領域を含んでもよく、これは、その後のライゲーションにおいて2つの隣接/連続配列間の相補的なネイティブオーバーハングを形成し得る。一実施形態では、適合された中央DNA断片は、認識制限酵素によって一旦切断されると、中央のDNA断片のネイティブオーバーハングを形成するように配置されている、オーバーラップするネイティブ配列の2つの領域を含む。
上記方法は、アセンブルされたDNA断片の挿入のため直線化されたデスティネーションベクターを提供する工程を更に含んでもよい。直線化されたデスティネーションベクターは、アセンブルされたDNA断片の維持されたオーバーハングに相補的なそれぞれのオーバーハング配列を含んでもよい。直線化されたデスティネーションベクターのオーバーハング配列は、第1の適合DNA断片の維持されたオーバーハング配列に相補的な第1オーバーハング、及び第2の適合DNA断片の第2の維持されたオーバーハング配列に相補的な第2のオーバーハングを含んでもよい。
直線化されたデスティネーションベクターは、アセンブルされたDNA断片と同じ相補的オーバーハングを提供するように配置された制限酵素(複数の場合もある)で環状デスティネーションベクターを切断することにより提供され得る。例えば、直線化されたデスティネーションベクターは、維持された及び/又は短縮複合要素の制限酵素認識配列を認識する制限酵素(複数の場合もある)で環状デスティネーションベクターを切断することにより提供され得る。直線化されたデスティネーションベクターは、クローニングベクターであってもよい。
一実施形態では、維持された複合要素は、維持された複合要素を含む全ての中間ベクターに同じ配列を含む。一実施形態では、短縮された複合要素は、全ての中間ベクターに同じ配列を含む。一実施形態では、維持された複合要素は、短縮された複合要素と同じ制限酵素認識配列を含む。一実施形態では、中間ベクターの維持された複合要素及び/又は短縮された複合要素の制限酵素認識配列は同じである。特に、同じ制限酵素種を、中間ベクター、及び任意にデスティネーションベクターの制限に使用してもよい。
本発明の瘢痕のないアセンブリ方法で使用されるベクターは、高コピー数ベクターであってもよい。例えば、第1及び/又は第2の直線化メチル化核酸は、直線化メチル化高コピー数ベクターを含んでもよい。
一実施形態では、本発明のDNAアセンブリ方法は、単一の組成物で実行される(すなわち、いわゆる「ワンポット」プロセス)。例えば、DNAアセンブリプロセス(制限酵素による消化とライゲーションを含む)は、制限酵素及びDNAリガーゼを含む単一の組成物において、環状インサートプラスミド又は直線化インサート断片、並びに環状中間ベクター及び/又はデスティネーションベクターを使用して、又はその直線化バージョンを使用して行われ得る。
一実施形態では、核酸のメチル化は、メチラーゼ認識配列を認識するメチラーゼを発現するように改変された細菌株で実施される。一実施形態では、核酸のメチル化はin vitroで実施される。
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載のDNAメチラーゼを発現するように改変された改変細菌株が提供される。
DNAメチラーゼを発現するように改変された改変細菌株は、大腸菌株であってもよい。改変は、大腸菌ゲノムのarsB遺伝子座へのメチラーゼ遺伝子の挿入を含んでもよい。DNAメチラーゼを発現するように改変された改変細菌株は、ベクターと、メチラーゼ発現カセットと、それに続くゼオシン抗生物質選択カセット等の抗生物質選択カセットとのアセンブリにより形成され得て、大腸菌のarsb遺伝子に由来する相同配列が両側に隣接してもよく、その後、これを鋳型として使用してPCRを実行し、上記の要素を含む直鎖DNAを生成して、この断片と再度組み換えを行い、その後、ゼオシン等の抗生物質で選択して、大腸菌ゲノムのarsB遺伝子座に安定的に挿入されたメチラーゼ発現カセット及び選択マーカーを含む細菌株を生成する。
本発明の別の態様によれば、本発明による核酸分子を製造するための、本明細書に記載されるDNAメチラーゼを発現するように改変された改変細菌株の使用が提供される。
改変された細菌株は大腸菌であってもよい。
本発明の別の態様によれば、本発明による核酸を含む組成物が提供される。該組成物はバッファーを含んでもよい。
本発明の別の態様によれば、本明細書の本発明による1つ以上の核酸を含むキットが提供される。
上記キットは、制限酵素及び/又はT4 DNAリガーゼ等のリガーゼを更に備えてもよい。追加又は代替として、該キットは、本明細書の本発明によるDNAメチラーゼを発現するように改変されている改変細菌株及び/又はDNAメチラーゼを含んでもよい。
追加又は代替として、上記キットは1つ以上のバッファー溶液を含んでもよい。追加又は代替として、上記キットは、クローン選択のための抗生物質を含んでもよい。
核酸、バッファー、細菌株、制限酵素、リガーゼ、及びメチラーゼの1つ以上、又は全てをエッペンドルフチューブ等の容器に入れて提供してもよい。
本発明の別の態様によれば、本発明による核酸を含む宿主細胞が提供される。
本発明の別の態様によれば、目的のDNA断片をアセンブルするための本発明による核酸の使用が提供され、任意に、該使用はin vitroである。
本明細書において「瘢痕のない」又は「瘢痕のないアセンブリ」という用語に対する言及は、複数の配列からアセンブルされたDNAの配列を指すことを意図し、配列間の接合部がDNAアセンブリプロセスの制限及びライゲーションの望ましくない塩基対等のアーチファクトを含まない。例えば、DNAの瘢痕のないアセンブリは、アセンブルされたDNA断片に追加の配列を導入しない。一部の文献では、シームレスDNAアセンブリとも呼ばれている。一例では、相補的な粘着末端を提供してDNA断片の接合を促進するように設計されたアダプター配列は、接合された配列間の「瘢痕」とみなされる場合がある。
本明細書において「アダプター」という用語に対する言及は、相補的な粘着末端を提供してDNA断片の接合を促進するように設計された配列を指すことを意図している。
オーバーラップする認識配列の文脈における「オーバーラップ」又は「オーバーラップする」という用語に対する言及は、別の酵素の認識配列を指定するヌクレオチド配列の或る位置にある、1つの酵素の認識配列の少なくとも一部(例えば、認識配列内のN以外の任意のヌクレオチド)を指すことを意図している(すなわち、オーバーラップする配列は、少なくとも幾つかの共通のヌクレオチドを共有する)。
オーバーハング/粘着末端配列の文脈における「ネイティブ」という用語に対する言及は、核酸に挿入又は接合される目的のDNA断片の天然の非適合配列を指すことを意図している。例えば、目的の鋳型DNAの配列に対して配列が設計又は補正されることはない。これは、DNAアセンブリを促進するためにベクター配列によって決定されるオーバーハングとは対照的に、アセンブルされた配列に瘢痕として導入される可能性がある。
「単一のアセンブルされたDNA分子」に対する言及は、単一の種類の分子を指すことを意図しており、同じ分子のコピー数を指すことを意図していない。特に、任意の所与の反応又は組成物において、単一のアセンブルされたDNA分子の複数のコピーがあってもよい。
「高コピー数」プラスミド/ベクターに対する言及は、プラスミドであるpUCプラスミドに由来する1.変異pMB1複製起点(Vieira and Messing 1982.Gene 19:259-268;Vieira and Messing 1987.Methods Enzymol.153:3-11;Messing 1983.Methods Enzymol.101:20-78;Lin-Chao et al.1992.Mol.Microbiol.6:3385-3393、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)、及び2.pBluescriptプラスミドに由来するColE1由来の複製起点(https://www.chem-agilent.com/pdf/strata/212205.pdf-pBluescript II Phagemid Vectors,Instruction Manual,Catalog #212205,#212206.#212207及び#212208,Revision A.01、参照により本明細書に組み込まれる)等の複製起点を有するプラスミドを含むがそれらに限定されない、1細胞当たり100コピー以上のコピー数を有するものを指す場合がある。pbluescriptによって保持される複製起点は、単一のヌクレオチド変異を有するpUCに由来する。低コピー及び高コピーのプラスミド/ベクター制御に関する特定の指針は、Molecular Cloning A Laboratory Manual 3rd edition(2001),Joseph Sambrook and David W Russellの第1巻、第1.4頁、表1-1及び第1巻、第4.2頁、表4-1で見ることができる。
「低コピー数」プラスミド/ベクターに対する言及は、1細胞当たり100コピー未満のコピー数を有するものを指してもよく、限定されないが、1.pACYCプラスミドに由来するp15A複製起点(Chang and Cohen 1978.J.Bacteriol.134:1141-1156、参照により本明細書に組み込まれる);2.pSC101プラスミドに由来するpSC101複製起点(Stoker et al.1982.Gene 18:335-341、参照により本明細書に組み込まれる);3.Fプラスミドに由来するF複製起点(Kim et al.1996.Genomics 34:213-218;Asakawa et al.1997.Gene 191:69-79、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる);4.pBR322プラスミドに由来するpMB1複製起点(Bolivar et al.1977.Gene 2:95-113、参照により本明細書に組み込まれる)、5.ColE1プラスミドに由来するColE1複製起点(Kahn et al.1979.Methods Enzymol.68:268-280、参照により本明細書に組み込まれる)等の複製起点を有するプラスミドが挙げられる。
当業者は、本発明の一実施形態又は態様の任意の特徴が、必要に応じて、本発明の他の実施形態又は態様に適用可能であり得ることを理解するであろう。
ここで、本発明の実施形態を、単なる例示として、添付の図面を参照してより詳細に説明する。
実施例1-単一の制限酵素を使用するメチル化支援モジュールアセンブリ(MetClo)
緒言
Metcloの概要
本発明者らは、ここに、Metcloという名称の改良されたIIS型制限酵素に基づく階層型アセンブリ方法を開発し、これにより、使用する制限酵素の数を1つに削減する。本発明者らは、アセンブリに使用されるのと同じ酵素に対して特異的な一対のIIS型制限部位をアセンブリベクターに付加し、DNAメチル化によって選択的にブロックされるようにして、これを達成した。特定のメチラーゼを欠く正常な株へのアセンブルされたDNAの形質転換は、隣接する制限部位のブロックを解除し、同じIIS型制限酵素を使用して放出され得て、次いでDNAアセンブリのその後のラウンドに使用され得る、アセンブルされた断片を保持するプラスミドをもたらす。本発明者らは、一般的に使用されている3つの市販のIIS型酵素、BsaI、BpiI、及びLguIのオーバーラップするメチル化/制限部位をブロックする能力について多くのメチラーゼを試験し、それぞれに適したメチラーゼ、すなわちM.Osp807II(BsaIの場合、オーバーラップ配列GACNNGGCTCN^NNNNを持つ)、M2.NmeMC58II(BpiIの場合、
Figure 0007305553000005
を同定した(メチル化塩基又は反対側の塩基に下線を引き、メチラーゼ活性を指定するのに必要な追加の塩基は太字、制限酵素認識配列を斜体、3つの修飾は全てm6A N6-メチルアデニンである)。本発明者らは、これらのメチラーゼの構成的発現のための発現カセットの染色体コピーを保持する大腸菌株を開発し、これらの株で増殖したDNAが、制限部位が対応するメチラーゼ認識配列とオーバーラップする場合に制限酵素による消化に抵抗性であることを示した。次に、本発明者らは、メチラーゼ/制限酵素の各ペアに対して4つの断片を、同じ制限酵素によって放出され得る単一の断片にアセンブルするための原理実証Metcloシステムを構築した。最後に、本発明者らは、BsaIを使用する2段階の28×7.7kb DNAから218kb DNAの階層型アセンブリのためのM.Osp807II/BsaIに基づくMetcloシステムの有用性を示した。
材料及び方法
プラスミド構築
プラスミドは、標準的な制限酵素及びライゲーションに基づくクローニング技術によって構築された。クローニング用のDNA断片は、PCR又は遺伝子合成(IDT又はInvitrogen)によって生成された。4つの断片に由来する約1kb DNAのモジュール式アセンブリの原理の証明のため、モジュール式アセンブリアクセプターベクター骨格はアンピシリン耐性MocloベクターpICH47732(Addgeneから入手可能であり、多重遺伝子コンストラクトの標準化されたアセンブリ用のモジュール式クローニングシステムで説明されている。Weber E,Engler C,Gruetzner R,Werner S,Marillonnet S.PLoS One.2011 Feb 18;6(2):e16765.doi:10.1371/journal.pone.0016765)に基づき、ドナープラスミド骨格は、pICH47732のアンピシリン耐性遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子で置き換えることにより構築されたカナマイシン耐性ベクターに基づく。28個の断片に由来する200kb DNAの階層型アセンブリの場合、モジュール式アセンブリアクセプターベクターはF複製起点を含むゲンタマイシン又はカナマイシンに耐性の低コピーBACベクター骨格に基づき、ドナープラスミド骨格は、p15A又はFの複製起点を含むカナマイシン耐性の低コピーベクター骨格に基づく。メチラーゼ過剰発現用のプラスミドは、F複製起点を含むカナマイシン耐性の低コピーBACベクター骨格に基づいて構築される。メチラーゼ遺伝子はJ23100合成プロモーターの制御下にあり、組み換えによる大腸菌ゲノムへの安定した統合を促進するため、ゼオシン選択カセットと並んでarsB遺伝子座の相同配列が両側に隣接する。メチラーゼアッセイ用の鋳型プラスミドは、アンピリシリン耐性pICH47732に基づく。
メチラーゼ発現株の生成
特定のメチラーゼの安定した発現を伴う大腸菌株を、組み換えによって生成した。簡潔に言えば、メチラーゼ遺伝子と、ゼオシン選択マーカーと、隣接するarsB相同配列とを含むDNA断片を、対応するメチラーゼ発現BACプラスミドを鋳型として使用するPCRによって生成した。上記断片を、DH10B細胞でのラムダレッド(lambda red)の組み換えに使用し、続いてゼオシン選択によりメチラーゼ発現カセットをarsB遺伝子座に挿入した。正しい染色体挿入を有するクローンを、PCR及びシーケンシングによって検証した。メチラーゼ発現株は、抗生物質を選択せずに安定的に維持され得る。
モジュール式アセンブリ
4つの断片に由来する約1kb DNAのモジュール式アセンブリの原理を証明するため、DH5アルファ細胞から調製した各ドナープラスミド60fmol、適合性メチラーゼを発現するDH10B株から調製したアセンブリベクター60fmol、1000U T4 DNAリガーゼ(NEB)、及び1×T4リガーゼバッファー(NEB)20μl中の5U BsaI(NEB)又はBpiI(Fermentas)又は2.5U LguI(Fermentas)を使用して、アセンブリ反応を設定した。反応条件は以下の通りであった:37℃で15分間、続いて37℃で2分間+16℃で5分間を45サイクル、その後37℃で20分間、及び80℃で5分間。アセンブルしたサンプルをDH5アルファ化学コンピテント細胞に形質転換し、AIX選択(アンピシリン100ug/ml、IPTG 100μM、X-Gal 50μg/ml)を含むLBプレートに37℃で一晩播種した。白色コロニーを増殖させ、DNAシーケンシングによりスクリーニングした。
28個の断片に由来する約200kbのDNAの階層型アセンブリの場合、アセンブリを2段階で実行した。段階1で、DH10B細胞から調製した各ドナープラスミド15fmol、DH10B-M.Osp807II細胞から調製したアセンブリベクター15fmol、1000U T4リガーゼ(NEB)、及び1×T4リガーゼバッファー(NEB)20μl中の5U BsaI(NEB)を使用して、1群当たり7つの断片をアセンブルした。反応条件は上記と同じであった。次に、0.05umセルロースフィルタ(Millipore)を使用して、室温で1時間、50mlのdH2Oに対してアセンブルしたサンプルを滴下透析した(drop-dialyzed)。Gene Pulser及び1mmエレクトロポレーションキュベット(Biorad)を使用して、0.9kV 100Ωでのエレクトロポレーションにより、透析サンプル5μlをNEB-10ベータエレクトロコンピテント細胞25μlに形質転換した。エレクトロポレーション後、1mlのLB培地を添加して細胞を回復させ、37℃、220rpmで1時間インキュベートした。細胞を、37℃で一晩、GIX選択(ゲンタマイシン2.5μg/ml、IPTG100μM、X-gal50μg/ml)を含むLBプレートに播種した。XhoIを使用する制限消化により、白色コロニーを増殖させ、スクリーニングした。
段階2では、以下の変更を加えた段階1と同様のプロトコルを使用して、約200kbのDNAをアセンブルした:30fmolの各ドナープラスミド及び15fmolのアセンブリベクターをアセンブリ反応に使用した;モジュール式アセンブリの後、滴下透析工程の前に、37°Cで45分間インキュベートするために10U BsaIをアセンブリ反応液に添加し、その後80°Cで5分間熱失活させた。形質転換された細胞をKIX選択(カナマイシン30μg/ml、IPTG100μM、X-gal50μg/ml)を含むLBプレートに播種した。2番目と3番目の54kb断片(TACCCACGTGATTCACGCTG及びATCCTACAGACTCGCTGTGG)間の接合部を検出するプライマーを使用するPCRにより、白色コロニーをスクリーニングした。選択したPCR陽性クローンを、パルスフィールド電気泳動を用いて、XhoI又はBsaIを使用する制限消化によりスクリーニングした。
結果
Metcloシステムは、標準IIS型制限酵素に基づくワンポットDNAアセンブリシステムによるものであり、次の段階のアセンブリでアセンブルされたDNAを放出するためアセンブリベクター骨格にIIS型制限部位の追加ペアを付加した。アセンブリプロセスで使用されるIIS型酵素とは異なる制限部位を使用するMocloシステムとは異なり、Metcloは同じ酵素に対する制限部位を使用する。アセンブルされたプラスミドがワンポットアセンブリ反応でこの酵素によって切断されるのを防ぐため、Metcloは特定のメチラーゼを使用してメチラーゼ認識配列とオーバーラップするIIS型制限部位をメチル化し、ベクター骨格のこれらのIIS型制限部位をブロックする。アセンブルされたプラスミドが特定のメチラーゼを欠く大腸菌株に形質転換されるとメチル化が失われるため、アセンブリ反応で使用されるのと同じIIS型制限酵素によってアセンブルされたプラスミドからのアセンブルされた断片の放出が可能になる。したがって、得られるMetcloシステムは、様々な用途の中で、単一のIIS型制限酵素を用いるワンポット反応を使用する、DNA断片の階層型アセンブリを可能にする。
Metcloシステムの鍵は、ベクター骨格中のメチラーゼ認識配列とオーバーラップするIIS型制限部位をブロックする好適なメチラーゼの同定である。適切なメチラーゼの選択には幾つかの基準がある。まず第1に、オーバーラップするメチル化/制限部位のメチル化は、IIS型制限酵素の作用をブロックしなければならない。メチル化プロセスは、精製ベクタープラスミドのin vitroメチル化によって、又はin vivoでメチラーゼを発現する株でベクタープラスミドを増殖させることによって起こり得る。ベクター調製プロセスのコスト及び時間が削減されるため、in vivoメチル化が好ましい。第2に、メチラーゼ認識配列は、IIS型制限部位と同一であったり、完全に囲まれていてはならず、オーバーラップするメチル化/制限部位に対するメチラーゼの作用を指定するには、追加の塩基対がなくてはならない。この要件の理由は、アセンブリベクター内の同じ酵素に対して2組のIIS型制限部位があるためである。ベクター骨格内の1つのペアはメチラーゼによってブロックされる必要があるが、ネガティブ選択マーカーインサート内の他のペアはブロックされてはならない。メチラーゼ認識配列がIIS型制限部位と同一であるか、IIS制限部位に囲まれている場合、ネガティブ選択マーカーインサート内のペアを含めて、この特定のII型制限酵素に対するアセンブリベクター内の全ての制限部位が、メチル化によってブロックされ;得られるメチル化アセンブリベクターは、IIS型酵素によって全く切断されないため、DNAアセンブリには使用不可能である。第3に、メチラーゼ活性を指定するための追加の塩基対は、IIS型制限酵素によって生成される接着末端配列とオーバーラップしてはならない。これは、DNAアセンブリ用のアダプター配列の設計において最大限の柔軟性を維持する。
本発明者らは、IIS型制限酵素BsaI、BpiI、及びLguIの制限部位をブロックする予測された能力を有するメチラーゼを探索した。これらは、IIS型に基づくアセンブリシステムで使用される一般的なIIS型制限酵素である。本発明者らは、上に列挙されるものに加えて幾つかの追加基準を使用し、試験用の候補メチラーゼを選択した。本発明者らは、メチラーゼが理想的には大腸菌の増殖温度で活性となるよう、in vivoメチル化によりメチル化プラスミドを生成することを目的とした。また、本発明者らは、認識配列が長くなると、大腸菌宿主ゲノム及びアセンブリベクター骨格のより少ない塩基が、偶然にメチル化基質となり得ることから、より長い配列(5bp~6bp)を認識するメチラーゼを選んだ。これにより、メチル化の効率が潜在的に向上し、異種DNAメチル化が宿主遺伝子機能に及ぼす悪影響の可能性を減少する。さらに、本発明者らは、ベクター構築工程の間の潜在的な制限の課題を回避するため、非メチル化配列に対する制限活性を欠くII型制限/修飾システムに由来する単一サブユニットメチラーゼを選んだ。最後に、メチル化がオーバーラップするメチル化/制限部位をブロックする可能性を高めるため、本発明者らは、制限部位の中央近くの塩基を修飾するメチラーゼを選んだ。
これらの基準に基づいて、本発明者らは試験のため以下のメチラーゼを選択した:
Figure 0007305553000006
本発明者らは、低コピーBACベクター(F複製起点を有する低コピーBACベクター骨格)からのJ23100構成的合成プロモーターのもとで対応するメチラーゼを発現するDH10B細胞においてオーバーラップするメチル化/制限部位を保持するColEに基づく(すなわち、ColE由来の)高コピー鋳型プラスミドを調製することにより、メチラーゼ活性をスクリーニングした。これにより、M.Osp807II(BsaIの場合)、M2.NmeMC58II(BpiIの場合)、及びM.XmnI(LguIの場合)が更なる分析に適した候補として同定された(図1A)。本発明者らは、次に、ゼオシン選択マーカーを含むメチラーゼ発現カセットを、ラムダレッド組み換えを使用してarsB遺伝子座に統合し、染色体コピーからメチラーゼを過剰発現する安定株を生成し(Microb Cell Fact.2013 Jun 24;12:60.doi:10.1186/1475-2859-12-60(PMID 23799955))、これらのメチラーゼがin vivoでオーバーラップするメチル化/制限部位をブロックする能力を試験した。試験ベクターには、メチル化配列とオーバーラップしないため野生型及びメチラーゼ発現株の両方において制限を許容することができる制限部位が1つ、並びに2つの1対1のIIS型制限部位を持つ1つの部位があり、それらの両方が対応するメチル化配列とオーバーラップしていることから、メチラーゼを発現する株でブロックされ得る。1対1の配置により、同じアッセイでニッカーゼ活性と並んで二本鎖制限活性を評価することができる(図1B)。37℃にて5U(BsaI、BpiI)又は2.5U(LguI)の酵素を使用して10μl反応液中で60fmol試験プラスミド(pMOP_BsaINC、pMOP_BpiINC及びpMOP_LguINC)を1時間消化した後、EtBr染色によるアガロースゲル電気泳動によってDNAを分析した。結果は、約600bpの断片の生成の欠如によって実証されるように、試験条件下で、3つのメチラーゼがオーバーラップする部位の制限をブロックすることを示す(図1C)。
次に、本発明者らは、これらのメチラーゼをワンポットDNAアセンブリに使用して、原理証明のMetclo DNAアセンブリシステムを開発した(図2は例としてBsaI-MOsp807IIを示す)。これらのシステムでは、オーバーラップするメチル化/制限部位がアセンブルされるドナーDNAインサートの両側に隣接する。アセンブルされるDNAインサートを含むドナープラスミドは、対応するメチラーゼを欠く通常の大腸菌株で調製されるため、制限部位はブロックされず、アセンブリ反応において酵素によりドナーインサートが放出され得る。アセンブリベクターは、ドナープラスミドとは異なる選択マーカーと、1対1IIS型制限部位が両側に隣接するLacZ選択マーカーを保持している。各1対1部位について、2つのIIS型制限部位は同じ接着末端を生成する。ベクター骨格に近い外側の部位は、メチル化配列とオーバーラップするが、LacZインサートに近い内側の部位はオーバーラップしない。デスティネーションベクターは、対応するメチラーゼを発現する大腸菌株から調製される。その結果、内側のIIS型部位のみがアセンブリ反応で機能した。反応中、LacZインサートは、内側のIIS型部位に対する酵素の作用によりベクター骨格から放出され;デスティネーションベクターとのドナーインサートのライゲーションにより、デスティネーションベクターの骨格内に由来するメチル化によってブロックされるIIS型制限部位が生じ;解放されたLacZインサートのデスティネーションベクターの骨格との再ライゲーションは、内側の部位がブロックされていないため制限に感受性である1対1IIS型部位の再生をもたらす。その結果、この反応は、ドナー断片のデスティネーションベクター骨格に対するライゲーションに好都合である。次いで、moclo反応物を、IPTG及びX-Galを含有するLBプレートを使用するLacZ発現のスクリーニングのため、特定のメチラーゼ活性を欠く正常大腸菌株へと形質転換する。LacZ活性を欠く白色コロニーには、アセンブルに成功したプラスミドが含まれているはずである。アセンブルされたDNA断片には、ドナーベクターと同じく、メチラーゼ認識配列とオーバーラップする、隣接するIIS型制限部位がある。その結果、これによって、必要に応じて複数のラウンドで同じ制限酵素等を使用して、次のレベルのモジュール式アセンブリの更なるラウンドが可能になる。
本発明者らは、4つの断片からのアセンブリのため3つの酵素のシステムを試験した(表1)。ドナーベクターはカナマイシン耐性であり、デスティネーションベクターはアンピシリン耐性である。デスティネーションベクターは、対応するメチラーゼ発現株から調製された。選択後、ミニプレップ用に8つの白色コロニーを選び、サンガーシーケンシングで分析した。シーケンシングの結果は、3つのMetcloシステムのそれぞれでクローンの100%(8/8)が正しいことを示す(表1)。これにより、BsaI、BpiI、LguI等の単一の制限酵素を使用するモジュール式アセンブリに対するMetcloの有用性が確認された。
大きなDNAコンストラクトの階層型アセンブリのためのMetcloの有用性を更に調べるため、本発明者らは、BsaI制限酵素を2段階で使用して28×7.7kb断片から218kb DNA断片をアセンブルした。段階1では、BsaIに基づくMetcloシステムを使用して、BsaI部位を含まない7.7kbの28個のDNA断片を、1群当たり7個で、4片の54kb断片へとアセンブルした。段階2では、4片の54kb断片が単一の218kb断片へとアセンブルされた。最終の218kb断片は、GC含有量が約48%の非反復配列で構成されている。制限消化は、段階1のアセンブリで約50%の成功率(2/4~3/4クローンが正しい)、段階2のアセンブリで約20%の成功率(27個のうち14個をPCRで検証し、その8個うち3個を制限消化によって検証した)(表2)。これにより、Metcloシステムは、単一のIIS型制限酵素を使用する大きなDNAコンストラクトの階層型アセンブリに使用され得ることが確認された。
考察
本発明者らは、ここに、同じ制限酵素によって放出可能なアセンブルされたDNAを生成するBsaI、BpiI、LguI等の一般的なIIS型制限酵素を使用するDNAのワンポットアセンブリのためのIIS型制限酵素に基づく改変型DNAアセンブリシステムであるMetcloを提示する。これにより、単一のIIS型制限酵素を使用する、大きなDNAコンストラクトの階層型アセンブリが可能になる。該システムは、オーバーラップするメチル化/制限部位のin vivoメチル化のためのベクター調製工程中にメチラーゼ過剰発現株を使用して、ベクターの選択的制限部位をブロックする。アセンブリプロセスは、ワンポット反応を使用するIIS型DNAアセンブリシステムと同じであるため、既存のシステムの単純さを維持する。パーツの調製及び形質転換の工程は、標準Mocloシステムと同様に正常株を利用し、現在のIIS型アセンブリシステムに類似する、DNAアセンブリに通例のクローニング株の使用を可能にする。
Metcloシステムには、既存のIIS型制限酵素に基づく階層型DNAアセンブリシステムよりも多くの利点がある。第1に、Metcloアプローチは、コンポーネントパーツの構築中に内部制限部位を除去する負担を軽減する。2つ以上の酵素を使用する標準Mocloシステムと比較して、BsaI及びBpiIに基づく単一酵素Metcloシステムは、GC含有率が50%のランダムDNAの場合、禁止制限部位の頻度を1kb当たりに1つから2kbあたり1つに減らす6bpカッターを使用し、LguIに基づくMetcloシステムは、頻度を約8kb当たり1つに更に減らす7bpカッターを使用する。
Metcloは、階層型IISアセンブリシステムの柔軟性を向上させる。アダプターの適切な設計と抗生物質耐性ベクターの選択により、アセンブリの異なる段階に由来するアセンブルされたDNA断片を同じ制限酵素によって放出することができるため、既存のシステムを使用しては達成できない幾つかのアセンブリスキームの設計を潜在的に可能にする。これらには、レベルジャンピング-すなわち、アセンブリの異なる段階のパーツを使用するDNAのアセンブリ-及びレベル挿入-すなわち、中間アセンブリ段階によるDNA断片のアセンブリ-が含まれる。これらのスキームは、既存のパーツを使用する大きなDNAコンストラクトの修飾、及び追加の再利用性を高めるためのマルチパーツオープンリーディングフレーム(multi-part open reading frame)等の複雑なパーツのサブアセンブリに有用である。
アセンブリプロセス中のDNAパーツの線形付加のための追加のスキームも考案され得る。例えば、内部メチル化ブロックIIS型制限部位が両側に隣接した選択マーカーを含むDNAパーツが、DNAアセンブリの間使用され得る。アセンブルされたプラスミドは、その後、次の段階のアセンブリにおける選択マーカーの代わりに、追加のDNAパーツを挿入するためのアセンブリベクターとして使用され得る。これは、機能性モジュールを含む一般的なアセンブリベクターの構築に特に有用である。
Metcloはまた、異なるアセンブリ基準からのパーツの交換可能性を高める。パーツライブラリ及びアセンブリ基準の独立した開発は、異なるIIS型制限酵素を使用するアセンブリシステムに結び付く。例えば、植物生物学の場合、MocloはBsaI/BpiI(及びEsp3I)を使用し、GoldenbraidはBsaI及びBsmBI(及びBtgZI)を使用し;大腸菌の場合、EcoflexはBsaI/BsmBIを使用し、CIDARはBsaI/BpiIを使用する。これは、異なるコレクション間でのパーツの交換可能性に制約を課す。単一のIIS型制限酵素を使用するMetcloシステムは、その制限酵素を使用する任意のシステムと適合性である。特に、BsaIに基づくシステムは、BsaIを使用する既存の全てのシステムと適合性である。これまで、BsaIがほとんどのIIS型制限酵素に基づく階層型モジュール式アセンブリシステムで使用されてきたことを考慮すると(ACS Synth Biol.2016 Oct 21;5(10):1059-1069(PMID 27096716);ACS Synth Biol.2016 Jan 15;5(1):99-103.doi:10.1021/acssynbio.5b00124(PMID 26479688;ACS Synth Biol.2015 Sep 18;4(9):975-86.doi:10.1021/sb500366v(PMID 25871405);及びPLoS One.2011 Feb 18;6(2):e16765.doi:10.1371/journal.pone.0016765(PMID 21364738)、BsaIに基づくMetcloシステムは、既存のほとんどのパーツライブラリと適合性のあるモジュール式アセンブリの基準として使用される可能性がある。
DNAメチル化を使用して、アセンブリプロセスの間に内部IIS型制限部位をブロックするDNAアセンブリシステムが存在する。例えば、TNTアセンブリシステム(Sci Rep.2016 Jan 13;6:19278.doi:10.1038/srep19278(PMID 26758940))は、M.TaqIを使用して、オーバーラップするEarI認識サイトをメチル化し、これにより、いずれも3bpの粘着末端を与える7bpカッターLguI(GCTCTTCN^NNN)及び6bpカッターEarI(CTCTTCN^NNN)を使用するアセンブリシステムをもたらすため、DNAパーツに由来する単一の6bp配列(CTCTTC)を除去する必要がある。しかしながら、EarI制限部位とオーバーラップするM.TaqI認識配列(TCGA)は接着末端配列(CTCTTCG^ANN)に侵入するため、上記システムはアダプターの設計に制限を設け、一度に3つの断片しかアセンブルすることができず、またLguIのみのアセンブリシステムに拡張することができなかった。別の例として、GreengateはDNAアセンブリプロセス中にメチル化リンカーDNAをパーツとして使用して、後続のアセンブリラウンドに新しいBsaI部位を導入した。しかしながら、得られるシステムは、DNAパーツの線形加算にのみ使用され得るため、該システムの使用は少数の転写ユニットを含むDNAコンストラクトの構築に限定された。これらのシステムと比較して、Metcloシステムは、アダプター配列の外側のオーバーラップするメチル化/制限部位のin vivoメチル化を使用して、Mocloシステムの階層型乗算アセンブリ(hierarchical multiplicative assembly)スキームの利点を保持し、DNAアセンブリ用のアダプター配列の選択の自由を維持する。実際には、アセンブリプロセス中に最初及び最後のパーツとしてメチル化リンカーDNAを付加することにより、同様の結果が達成され得る。しかしながら、これにより、アセンブリ内のパーツの数が2増加し、Metcloシステムでのin vivoベクターメチル化アプローチと比較して、アセンブリの成功率は低下した。
要約すると、Metcloシステムは、in vivoメチル化を使用してアセンブリベクター内の特定のIIS型制限部位をブロックすることにより、単一のIIS型制限酵素を使用する大きなDNA断片の階層型アセンブリを可能にする。該システムは、既存のIIS型制限酵素に基づくアセンブリ法を簡素化し、アセンブリスキームの設計の柔軟性を高める。特に、BsaIに基づくMetcloシステムは、BsaIを使用する既存の全てのパーツライブラリと適合性があり、標準IIS型に基づくアセンブリシステムとして使用され得る。
Figure 0007305553000007
Figure 0007305553000008
挿入複合要素の例
別のシナリオでは、より長いDNA配列を、DNAアセンブリ後にこれらの配列がアセンブルされたDNAプラスミドの5’又は3’末端に付加されるように、アセンブリベクターのメチル化保護可能な制限部位と対向する保護不可能な制限部位との間に含めてもよい。この設計は、特殊化されたベクターを使用して、アセンブルされたプラスミドに共通要素を追加するのに便利である。
BsaIに基づくMetcloを使用する3つの個別のドメインD1、ドメインD2、及びドメインD3を含むインサートプラスミドから開始して、3つの異なるドメインを有するタンパク質の発現のための転写ユニットのアセンブリの例を図3に示す。図Aは、LacZの5’のメチル化保護可能な制限部位と保護不可能な制限部位との間にプロモーター(廃棄配列)を含み、3’にポリA要素(「事前埋め込みベクター」)を含む、特殊なMetcloベクターを使用したMetcloアセンブリを示す。この特別な事前埋め込みベクターを使用するMetcloは、3つのインサートプラスミドからワンポット反応で3つのドメインの転写ユニットへのアセンブリを可能とし、アセンブルされた転写ユニットはプロモーターと、コード領域(D1、D2及びD3)と、Metcloアセンブリの次のラウンドでアセンブルされたプラスミドから放出され得るpolyAシグナルとからなる。これは、「維持された複合要素」を使用する標準Metcloとは対照的であるが、転写ユニットは5つの異なるインサートプラスミドからアセンブルされなければならない(図B)。図では、XXXX及びYYYYは、次のラウンドのDNAアセンブリで放出され得るアセンブルされたDNA断片(転写ユニット)の5’及び3’末端のアダプター配列を表す。「事前埋め込みベクター」を使用するDNAアセンブリの場合、これらの2つのアダプター配列は、ワンポットの3断片アセンブリに関与しないため、内部アダプター配列と同じになる可能性がある。ただし、標準Metcloベクターを使用するDNAアセンブリの場合、XXXX及びYYYYのアダプター配列は、内部アダプター配列(AATG、ACTA、ATCT及びGCTT)とは異なっていなければならない。さらに、事前埋め込みベクターを使用する方法(図A)には、1回の反応でアセンブルされる必要があるDNAパーツの数が少ないという利点があり、成功率が向上する。欠点は、特殊化されたベクターの調製はより難しいことである。
実施例2-瘢痕のないDNAアセンブリ(瘢痕のないMetclo)
Metcloの独特な適用は、ユニバーサルクローニングベクターの限られたセットを使用する、大きなDNAコンストラクトの瘢痕のない階層型アセンブリのためのシステムである。ユニバーサルベクターを使用するIIS型に基づくDNAアセンブリは、クローン化された断片の接着末端を変更するアセンブリベクター中の1対1のIIS型制限部位の特定の配置に依拠する。瘢痕のないアセンブリは、その後のアセンブリラウンド用のDNA断片によって規定される接着末端(瘢痕)を有するアセンブルされたDNA断片を生成するためのこれらのユニバーサルベクターを使用して実現され、これは、アセンブリの瘢痕をアセンブルされた配列に埋め込んだ。Metcloシステムを使用すると、階層型アセンブリの異なる段階で外側断片に対して同じユニバーサル接着末端を維持できる。これら3つの特徴を組み合わせることで、普遍的な瘢痕のないアセンブリシステムをもたらす。
本発明者らは、ここに、BsaI制限酵素を使用する瘢痕のないMetcloアセンブリシステムの原理について説明する。該システムは、クローン化された断片の接着末端を変更する3種類のユニバーサルクローニングベクターのセットに依拠する(図4A)。3つのベクタータイプには、VL、VM、VRという名称が付されている。ベクターは、それらのベクターにクローン化され得る、5’末端に接着末端CTCC及び3’末端にCGAGがあるDNA断片をクローン化するように設計されている。クローン化された断片は、BsaIによって一旦ベクターから放出されると、使用するベクターに応じて異なる接着末端を持つようになる。ベクターVLは、5’接着末端を保持し、3’接着末端を3’CGAG配列内の4つの塩基に変更する;ベクターVRは、3’接着末端を保持し、5’接着末端を5’CTCC配列内の4つの塩基に変更する;ベクターVMは両末端を内側の4つの塩基に変更するように設計されている。このようにして、ユニバーサルベクターのセットを使用して、インサート配列によって規定される接着末端を有するDNA断片を生成することができた。
例として、ベクターVLを使用する接着末端の切り替えプロセスの詳細を図4Bで説明する。ベクターをメチラーゼ発現コンピテント細胞で調製すると、メチラーゼ認識配列のオーバーラップによるアデニンのメチル化(太字)により、外側BsaI部位(点線で囲まれる)のブロッキングがもたらされ、この場合、内側BsaI部位(実線で囲まれる)はLacZインサートの除去に使用可能である。ベクターVLの左腕は標準Metcloに類似し、外側と内側の両方のBsaI部位が同じ接着末端CTCCを生じることに注目されたい。しかしながら、VLの右腕は、内側BsaI部位によって生成された接着末端CGAGが外側BsaI部位とオーバーラップしている点で異なる。ドナーDNAは、適合性のあるユニバーサル接着末端CTCC及びCGAGを有する隣接するBsaI部位により放出され得るインサートを保持する。二本鎖インサートは、ユニバーサル接着末端内の5’末端に4bp配列XXXXを、3’末端にYYYYを保持する。ドナーDNAのベクターVLへのMetcloアセンブリの後、得られたプラスミドは、ベクター内の隣接するBsaI部位(実線で囲まれる)によって放出され得る対応するインサートを保持する。放出された断片は、クローニングに使用されたものと同一の5’接着末端CTCCを保有するが、3’接着末端はインサート配列によって規定されるYYYYであり、ユニバーサル3’接着末端CGAGとは異なる場合がある。このようにして、ベクターVLは、クローン化された断片の右側の接着末端をユニバーサル接着末端CGAGから配列が規定された接着末端YYYYに切り替える。
3種類のユニバーサルクローニングベクターを使用する変換プロセスを、単純な記号提示システムを使用して説明することができた(図41C)。本発明者らは、ここでは、文字uを使用して5’ユニバーサル接着末端CTCCを表し、文字vを使用して3’ユニバーサル接着末端CGAGを表す。x及びyは、ユニバーサル接着末端内のインサート断片の5’及び3’末端の4bp配列を表す。インサート(u、v)は、接着末端u及びvを生成するBsaI部位が両側に隣接するインサート断片を保持するプラスミドを表す。異なるベクターとのアセンブリ反応は、変換される異なる接着末端をもたらす。
最初の断片の5’末端と最後の断片の3’末端にユニバーサル接着末端u及びvがある限り、同じユニバーサルベクターのセットを使用して、適合性のある接着末端を有する複数の断片をアセンブルすることができた(図4D)。アセンブルされた断片は、使用されるアセンブリベクターのタイプに応じて、異なる接着末端を保持する。ベクターVLへの断片のアセンブリは、5’ユニバーサル接着末端を保持したまま、3’末端を内部4bpに変換する。ベクターVMへのアセンブリは両方の末端を変換し、ベクターVRへのアセンブリは5’末端を変換して3’ユニバーサル接着末端は保持したままである。ベクターVLにアセンブルされた断片は、5’ユニバーサル接着端uのみを保持する点で断片Aに類似し;ベクターVMにアセンブルされた断片は、断片Bに類似し;ベクターVRにアセンブルされた断片は断片Cに類似する。したがって、上記プロセスは、アセンブリの順序で断片の位置に応じて、同じ原理を使用する次のラウンドDNAアセンブリにアセンブルされた断片が使用され得るように、自己相似的である。これにより、ユニバーサルクローニングベクターを使用する、大きなDNAコンストラクトの階層的な瘢痕のないアセンブリが可能になる。
例として、2段階において9つの断片に由来するDNAアセンブリを使用する、DNAの階層的な瘢痕のないアセンブリのプロセス全体を図2に示す。xという名前の5’末端及びyという名前の3’末端の4bpを有する、内部BsaI部位のないDNA配列で開始して、目的は、接着末端x及びyを保持するアセンブルされたプラスミドから一旦放出された単一の断片に9つの断片に由来するDNAをアセンブルすることである(図5A)。DNA配列は、最初に、A~Iという名前の9個の4bpオーバーラップ配列を有する断片に分割され、オーバーラップ配列はa~hという名前である(図5B)。4bpオーバーラップの位置は、ユニバーサル接着末端u及びv、並びに各サブアセンブリ反応内で互いに異なる限り、自由に選択することができた。現在の設定では、4bpオーバーラップの次のペアは各ペア(a、b)、(d、e)、(g、h)及び(c、f)内で異なっていなければならない。断片A~断片Iの配列の末端に適切なアダプター配列を付加し、BsaIによる制限消化後に二本鎖DNAがユニバーサル接着末端u及びvを保持する断片A~断片Iへとトリミングされ得るように、遺伝子合成又はPCRによって二重DNAを合成した(図5C)。次いで、これらの二本鎖合成DNA断片を適切なタイプのユニバーサルクローニングベクターにクローニングし、次の段階のアセンブリで断片の位置に応じて断片の接着末端を変更することができた(図5D)。アセンブリの次のラウンドで5’末端位置に配置される断片A、断片D、及び断片GはベクタータイプVLへとクローン化され;次のラウンドで中央の位置にあるB、E、HはベクタータイプVMにクローン化され;3’末端位置のC、F、IをベクタータイプVRにクローン化する。この段階でクローン化された断片を配列決定して、遺伝子合成又はPCRのエラーを確認することができた。その後、これらの断片を新しいアセンブリラウンドに使用することができ、繰り返すが、使用するアセンブリベクターのタイプは、次のラウンドDNAアセンブリのアセンブルされた断片の位置によって異なる(図5E)。アセンブルされた断片ABCが次のラウンドアセンブリで5’断片として使用されることから、断片A、断片B、断片CをベクターVLにアセンブルし;断片D、断片E、断片FをベクターVMにアセンブルし、断片G、断片H、断片IをベクターVRにアセンブルした。工程2の3つのアセンブルされた断片を更にベクターVMにアセンブルするように、最終工程も同様であり、これは、初期配列の末端により規定される接着末端x及びyを保持する完全にアセンブルされた断片を生成する(図5F)。
階層型アセンブリには、3つのタイプ(VL、VM、VR)を表す少なくとも6つのユニバーサルクローニングベクターと2つの抗生物質選択マーカーとのセットが必要である。アセンブリの種々の段階で種々のサイズのDNA断片に対処するには、理想的には2つの異なるコピー数を表す12個のベクターが最適である。同様のシステムをLguIに基づくMetclo用に開発することができたが、瘢痕のないシステムではユニバーサルアダプターuとvが異なる必要があるため、BpiI用には開発できなかった。BsaI及びSapIの場合、酵素によって生成される酵素認識配列と接着末端との間の塩基は柔軟であるため、異なるアダプターu及びvを設計することが可能である。しかしながら、BpiIの場合、Bpilに基づくMetcloでメチラーゼ認識配列を指定するには2つの塩基の両方が必要であるため、これらの塩基は固定されている。さらに、BpiIに基づくMetcloのメチル化塩基は、制限部位の上鎖に位置する。接着末端の切り替えのためのBpiI部位の1対1の配置は、必然的に、BpiI消化後にアセンブリベクター骨格ではなく、LacZ選択マーカーによって保持されているメチル化塩基をもたらし、ワンポットゴールデンゲートアセンブリを不可能にした。
瘢痕のないMetcloとMetcloの関係
Metcloは、大きなDNAコンストラクトのIIS型制限酵素に基づく階層型アセンブリに単一の制限酵素を使用する課題を解決するために発明された。瘢痕のないMetcloは、ユニバーサルアセンブリベクターのセットを使用する、大きなDNAコンストラクトの瘢痕のない階層型アセンブリを達成するためにMetcloシステムの主要な構成要素(メチラーゼ発現株、オーバーラップするメチル化/制限部位)を利用するMetcloの更なる発展である。
瘢痕のないMetcloは、IIS型に基づくアセンブリシステムの幾つか異なる概念の組み合わせに基づく:
1.Mocloシステムで「レベル-1」ユニバーサルクローニングベクター設計に使用されている、接着末端切り替え用の1対1型IIS制限部位の特殊な設計。Moclo「レベル-1」ベクター設計は、BpiI-BsaIの1対1制限部位を使用し、これは、MetcloのBsaIのみの1対1設計とは異なるが、接着末端切り替えの概念はMoclo「レベル-1」ベクター設計に基づく。
2.アセンブルされたDNA配列の周りに瘢痕配列を設計することによる、アセンブリ瘢痕の除去。これは、IIS型に基づく階層型アセンブリではこれまで実証されていない。
3.アセンブリの各段階でDNA断片の外側ブロックに同じ接着末端配列を維持するためのMetcloシステムの使用。
Metcloシステムの使用は、同じユニバーサル接着末端配列を使用する多段階の階層型アセンブリを達成するための鍵である。最初の2つの概念だけでも、ユニバーサルアセンブリベクターを使用するDNAの瘢痕のない単一段階アセンブリに十分である。しかしながら、従来のMocloシステムを使用する単一段階の瘢痕のないアセンブリシステムは、異なる酵素に対してベクター設計を切り替える接着末端のユニバーサルアダプター配列が異なるため(BsaIはCTCN及びNGAG、BpiIはACNN及びNNGTとなる)、多段階の階層型アセンブリに簡単に適合させることができなかった。これは、2つの酵素に基づくMocloを使用する階層的な瘢痕のないアセンブリを達成するために、アセンブリの段階数に応じて、非常に長い反復アダプター配列を外側ブロックの端に付加する必要があり、これは、アセンブリの各段階の後に「チュウバック」される(図6)。Metcloシステムは、アセンブリの異なる段階で単一の酵素を使用することから、アセンブリの異なる段階で外側ブロックに対して同じユニバーサルアダプター配列を使用することができ、これにより、アセンブリプロセスの設計が大幅に簡素化される。
実施例3-同定されたメチラーゼとIIS型制限酵素の組み合わせ
表3には、既知の全てのIIS型制限酵素(19種類の特異性を表す78個の酵素)のオーバーラップするメチル化/制限部位のブロッキングをもたらす可能性があるメチラーゼ/制限酵素の組み合わせの一覧が含まれる。
この一覧は、Rebase(PMID 25378308(Nucleic Acids Res.2015 43:D298-9)による既知のIIS型制限酵素の一覧と既知のII型DNAメチラーゼの一覧に基づくカスタムPerlスクリプトを使用して生成された。
収載されているメチラーゼは、少なくとも4bpの認識配列を持ち、メチル化塩基の位置がわかっているII型制限/修飾システムのメチラーゼに限定される。同じタンパク質にメチラーゼと制限酵素の両方の活性を含むIIG型制限/修飾システムのメチラーゼは除外される。制限酵素認識配列に加えて、オーバーラップするメチル化/制限部位に対するメチラーゼ活性を指定するには、更に塩基が必要である。認識配列が制限部位と同一又はそれにより囲まれているあらゆるメチラーゼを除く。さらに、メチル化配列は、IIS型制限酵素によって生成された接着末端配列に侵入してはならない。
DNA配列は、IUPAC Ambiguity Codesを使用して収載される。MはA又はCを表す;RはA又はGを表す;WはA又はTを表す;SはC又はGを表す;YはC又はTを表す;KはG又はTを表す;VはA又はC又はGを表す;HはA又はC又はTを表す;DはA又はG又はTを表す;BはC又はG又はTを表す;NはA又はT又はC又はGを表す。
「制限酵素」には、IIS型制限酵素の名称が収載されている。同じ配列を認識する制限酵素は共にグループ化される。
「制限部位」には、制限酵素の認識配列が収載されている。
「メチラーゼ」には、オーバーラップするメチル化/制限部位をブロックし得るメチラーゼの名前が収載されている。同じ配列を認識し、同じメチル化パターンを生成するメチラーゼは共にグループ化される。
「メチル化配列」には、メチラーゼの認識配列が収載されている。
「メチル化塩基の位置」には、メチラーゼ認識配列におけるメチル化塩基又は対向する塩基の位置が収載されている。
「メチル化のタイプ」には、メチル化塩基のメチル化のタイプが、前の列に収載されたメチル化塩基の位置の順に収載される。m6AはN6-メチルアデニンを表す;m5CはC5-メチルシトシンを表す;m4CはN4-メチルシトシンを表す;「不明」は、不明なメチル化のタイプを表す。
「オーバーラップするメチル化/制限部位」には、オーバーラップするメチル化/制限部位の配列が収載されており、収載されたメチラーゼによるメチル化によって収載された制限酵素の作用のブロッキングをもたらす可能性がある。制限酵素/メチラーゼの組み合わせの幾つかのペアについて、選択される幾つかの異なるオーバーラップするメチル化/制限部位がある。「[]」で囲まれた塩基は、制限酵素によって生成された接着末端を表す。

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他のタイプのメチルトランスフェラーゼの使用
実施例では、II型DNAメチル化酵素を使用しているが、I型制限修飾酵素も検討され得る。I型制限修飾酵素は、メチルトランスフェラーゼと制限エンドヌクレアーゼの両方の活性を持つマルチサブユニット酵素である。それのI型制限修飾酵素は通常、3つの異なる遺伝子:メチル化サブユニット、制限サブユニット、DNA配列認識サブユニット(特異性サブユニット)によってコードされる3つのタイプのサブユニットで構成される。メチル化サブユニットと特異性サブユニットの両方がメチルトランスフェラーゼ活性に必要である。
例えば、
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メチル化サブユニットM.EcoCI5Iと特異性サブユニットS.EcoCI5Iの両方を発現するE.コリ株は、メチル化保護されたBsaI部位をブロックし得る切断制御要素の対応する塩基をメチル化できる可能性がある。
表4は、本発明に従って提供され得る制限酵素及びI型制限修飾酵素の組み合わせ、又はその認識配列の幾つかの更なる例を提供する。当業者は、これらが例であり、特許請求の範囲に包含され得る組み合わせの網羅的な一覧ではないことを理解するであろう。

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ベクター配列の例
瘢痕のないMetcloのプラスミドの配列を以下にfasta形式で収載する。下線付き配列は、LacZ選択断片及び高コピーベクターDNA調製用の複製起点を含む「廃棄配列」である。四角で囲まれた配列は、アダプターの切り替えに適した距離で1対1に配置される「メチル化保護可能な要素」及び「保護不可能な要素」を含む「劣勢/短縮複合要素」である。残りの配列は、低コピー複製起点(p15Aベース)及び選択マーカー(カナマイシン又はスペクチノマイシンのいずれか)を含むベクター骨格である。
BsaI/M.Osp807IIに基づく瘢痕のないMetcloの場合、プラスミドは以下の通りである:
pMXLK_VL、pMXLK_VM、pMXLK_VR(カナマイシン)
pMXLS_VL、pMXLS_VM、pMXLS_VR(スペクチノマイシン)
LguI/M.XmnIに基づく瘢痕のないMetcloの場合、プラスミドは以下の通りである:
pMZLK_VL、pMZLK_VM、pMZLK_VR(カナマイシン)
pMZLS_VL、pMZLS_VM、pMZLS_VR(スペクチノマイシン)
1kb DNAの標準的な4つの断片のアセンブリ及び28個の断片に由来する約200kb DNAの2段階アセンブリ用のプラスミド配列も同じくfasta形式で収載する。1kbアセンブリベクターの下線付き配列には、LacZ選択マーカーが含まれる。200kbアセンブリベクターの下線付き配列には、LacZ選択マーカー、及び高コピーベクターDNA調製用の複製起点が含まれる。残りの配列はベクターの骨格である。
1kbアセンブリの場合、プラスミドは以下の通りである:
pMXP_A4E、pMYP_A5E、pMZP_P6T
200kbアセンブリの場合、プラスミドは以下の通りである:
pMXBG_A7I、pMXBG_I7G、pMXBG_G7F、pMXBG_F7E、pMXBK_A7E
かかるベクター配列は、本発明の例のベクターに適用可能であり、特定の短縮、維持、又は挿入の複合要素が適宜交換される。分子クローニングに精通した当業者は、商業的に入手可能なMocloキットからPCRにより本明細書のベクターを再構築することができる。
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Claims (15)

  1. DNAアセンブリで使用するための核酸であって、
    前記核酸が、少なくとも1つのメチル化保護可能な制限要素を含み、前記メチル化保護可能な制限要素は:
    IIS型制限酵素認識配列;及び
    DNAメチラーゼ認識配列
    を含み、
    前記IIS型制限酵素認識配列及び前記DNAメチラーゼ認識配列は、DNAメチラーゼにより修飾された塩基が前記IIS型制限酵素認識配列内にあるようにオーバーラップしており、
    前記DNAメチラーゼ認識配列は、前記IIS型制限酵素認識配列と同一ではないか、又は前記IIS型制限酵素認識配列に囲まれておらず、
    前記DNAメチラーゼ認識配列は、前記IIS型制限酵素認識配列を認識するIIS型制限酵素により生成されるオーバーハング末端配列を形成する配列とオーバーラップせず、
    前記核酸は、前記メチル化保護可能な制限要素の切断部位の反対側に設けられた対向するIIS型制限酵素認識配列をさらに含み、それにより短縮複合要素が形成され、
    前記短縮複合要素の前記対向するIIS型制限酵素認識配列は、前記メチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列の認識配列内の部位において、または前記切断部位と前記メチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列の認識配列との間のヌクレオチド内で、前記IIS型制限酵素が前記核酸を切断するように配置されている、
    核酸。
  2. 前記核酸が第1および第2のメチル化保護可能な制限要素を含み、
    前記核酸は、前記第1および第2のメチル化保護可能な制限要素のそれぞれの切断部位の反対側に設けられた対向するIIS型制限酵素認識配列をさらに含み、それにより
    (A)i)維持される複合要素、または挿入複合要素、およびii)短縮複合要素;または
    (B)2つの短縮複合要素;
    が形成され、
    前記維持される複合要素は、前記対向するIIS型制限酵素認識配列が、同じオーバーハングが生じるように対向するメチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列と同じ部位で前記IIS型制限酵素が前記核酸を切断するように配置されている、配置であり、
    前記挿入複合要素は、前記メチル化保護可能な制限要素と前記対向するIIS型制限酵素認識配列との間に設けられた機能性配列インサートを含む配置であり、
    前記短縮複合要素は、前記短縮複合要素の前記対向するIIS型制限酵素認識配列が、前記メチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列の認識配列内の部位において、または前記切断部位と前記メチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列の認識配列との間のヌクレオチド内で、前記IIS型制限酵素が前記核酸を切断するように配置されている、配置である、
    請求項1に記載の核酸。
  3. 前記核酸が、2つのメチル化保護可能な制限要素の切断部位の間に廃棄配列である核酸配列を含む、又は
    前記核酸が、各末端にメチル化保護可能な制限要素を有する直線化されたベクターである、
    請求項2に記載の核酸。
  4. 前記廃棄配列が、選択マーカー、レポーター遺伝子、又は標識をコードする配列を含む、請求項3に記載の核酸。
  5. 前記メチル化保護可能な制限要素の制限酵素認識配列が、対向する保護不可能な制限酵素認識配列と同じ制限酵素種によって認識される、および/または
    各メチル化保護可能な制限要素のDNAメチラーゼ認識配列が、同じメチラーゼによって認識される、
    請求項1~4のいずれかに記載の核酸。
  6. 前記メチル化保護可能な制限要素が、配列GACNNGGTCTCNNNNN(BsaI/M.Osp807II-配列番号:1)、若しくはGAAGACGCNNNNNN(BpiI/M2.NmeMC58II-配列番号2)、若しくはGAAGCTCTTCNNNN(LguI/M.XmnI-配列番号3)を含む、又はそれからなる、請求項1~5のいずれかに記載の核酸。
  7. DNA断片の瘢痕のないDNAアセンブリの方法であって:
    (A)第1の核酸の制限酵素切断によって生成された、第1の直線化されたメチル化核酸を提供する工程であって、前記第1の核酸は、廃棄配列が切り出されるように、それらの間に廃棄配列を含む第1および第2のメチル化保護可能な制限要素を含み、
    前記第1の核酸の第1および第2のメチル化保護可能な制限要素はそれぞれ、
    IIS型制限酵素認識配列;及び
    DNAメチラーゼ認識配列
    を含み、
    前記IIS型制限酵素認識配列及び前記DNAメチラーゼ認識配列は、DNAメチラーゼにより修飾された塩基が前記IIS型制限酵素認識配列内にあるようにオーバーラップしており、
    前記DNAメチラーゼ認識配列は、前記IIS型制限酵素認識配列と同一ではないか、又は前記IIS型制限酵素認識配列に囲まれておらず、
    前記DNAメチラーゼ認識配列は、前記IIS型制限酵素認識配列を認識するIIS型制限酵素により生成されるオーバーハング末端配列を形成する配列とオーバーラップせず、
    前記第1および第2のメチル化保護可能な制限要素は、前記DNAメチラーゼ認識配列を認識するDNAメチラーゼでメチル化され、
    前記第1の核酸は、前記第1および第2のメチル化保護可能な制限要素のそれぞれの切断部位の反対側に設けられた対向するIIS型制限酵素認識配列をさらに含み、それにより(i)維持される複合要素および(ii)短縮複合要素がもたらされ、
    前記維持される複合要素は、前記対向するIIS型制限酵素認識配列が、同じオーバーハングが生じるように対向するメチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列と同じ部位で前記IIS型制限酵素が前記核酸を切断するように配置されている、配置であり、
    前記短縮複合要素は、前記短縮複合要素の前記対向するIIS型制限酵素認識配列が、前記メチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列の認識配列内の部位において、または前記切断部位と前記メチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列の認識配列との間のヌクレオチド内で、前記IIS型制限酵素が前記核酸を切断するように配置されている、配置であり、
    前記第1の核酸は、前記対向するIIS型制限酵素認識配列を認識するIIS型制限酵素によって制限酵素切断され、それにより、前記第1の直線化されたメチル化核酸が形成され、
    前記維持される複合要素及び短縮複合要素が、前記DNAメチラーゼでメチル化されている、
    工程;
    前記第1の直線化されたメチル化核酸のオーバーハング末端にライゲートするように適合されているオーバーハング末端を有するアセンブリのための第1のDNA断片を提供する工程;
    前記アセンブリのための第1のDNA断片及び第1の直線化されたメチル化核酸を、リガーゼを用いてライゲートして、第1のメチル化中間ベクターを形成する工程;
    前記第1のメチル化中間ベクターを、前記維持される複合要素及び短縮複合要素のDNAメチラーゼ認識配列(複数の場合もある)のいずれかを認識するDNAメチラーゼ(複数の場合もある)を発現しない細菌株に形質転換し、それによりメチル化されていない第1の中間ベクターを形成する工程;
    前記第1の中間ベクターを単離する工程;
    (B)第2の核酸の制限酵素切断によって生成された、第2の直線化されたメチル化核酸を提供する工程であって、前記第2の核酸は、廃棄配列が切り出されるように、それらの間に廃棄配列を含む第1および第2のメチル化保護可能な制限要素を含み、
    前記第2の核酸の第1および第2のメチル化保護可能な制限要素はそれぞれ、
    IIS型制限酵素認識配列;及び
    DNAメチラーゼ認識配列
    を含み、
    前記IIS型制限酵素認識配列及び前記DNAメチラーゼ認識配列は、DNAメチラーゼにより修飾された塩基が前記IIS型制限酵素認識配列内にあるようにオーバーラップしており、
    前記DNAメチラーゼ認識配列は、前記IIS型制限酵素認識配列と同一ではないか、又は前記IIS型制限酵素認識配列に囲まれておらず、
    前記DNAメチラーゼ認識配列は、前記IIS型制限酵素により生成されるオーバーハング末端配列を形成する配列とオーバーラップせず、
    前記第1および第2のメチル化保護可能な制限要素は、前記DNAメチラーゼ認識配列を認識するDNAメチラーゼでメチル化され、
    前記第2の核酸は、前記第1および第2のメチル化保護可能な制限要素のそれぞれの切断部位の反対側に設けられた対向するIIS型制限酵素認識配列をさらに含み、それにより(i)維持される複合要素および(ii)短縮複合要素がもたらされ、
    前記維持される複合要素は、前記対向するIIS型制限酵素認識配列が、同じオーバーハングが生じるように対向するメチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列と同じ部位で前記IIS型制限酵素が前記核酸を切断するように配置されている、配置であり、
    前記短縮複合要素は、前記短縮複合要素の前記対向するIIS型制限酵素認識配列が、前記メチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列の認識配列内の部位において、または前記切断部位と前記メチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列の認識配列との間のヌクレオチド内で、前記IIS型制限酵素が前記核酸を切断するように配置されている、配置であり、
    前記第2の核酸は、前記対向するIIS型制限酵素認識配列を認識するIIS型制限酵素によって制限酵素切断され、それにより、前記第2の直線化されたメチル化核酸が形成され、
    前記維持される複合要素及び短縮複合要素が前記DNAメチラーゼでメチル化されており、前記第1の直線化されたメチル化核酸の維持される複合要素によって提供されるオーバーハングが、前記第2の直線化されたメチル化核酸のメチル化保護可能な制限要素によって提供されるオーバーハングと配列が異なる、工程;
    前記第2の直線化されたメチル化核酸のオーバーハング末端にライゲートするように適合されているオーバーハング末端を有するアセンブリのための第2のDNA断片を提供する工程;
    前記アセンブリのための第2のDNA断片及び第2の直線化されたメチル化核酸を、リガーゼを用いてライゲートして、第2のメチル化中間ベクターを形成する工程;
    前記第2のメチル化中間ベクターを、維持される複合要素及び短縮複合要素のDNAメチラーゼ認識配列(複数の場合もある)のいずれかを認識するDNAメチラーゼ(複数の場合もある)を発現しない細菌株に形質転換し、それによりメチル化されていない第2の中間ベクターを形成する工程;
    前記第2の中間ベクターを単離する工程;
    (C)前記維持される複合要素のIIS型制限酵素認識配列を認識するIIS型制限酵素、及び前記短縮複合要素のIIS型制限酵素認識配列を認識するIIS型制限酵素で前記第1の中間ベクターを切断し、それにより前記維持される複合要素によって決定される維持されたオーバーハング配列、及びアセンブリのための前記第1のDNA断片のネイティブ配列によって決定される対向するネイティブオーバーハング配列を含む第1の適合DNA断片インサートを形成する工程;
    (D)前記維持される複合要素のIIS型制限酵素認識配列を認識するIIS型制限酵素、及び前記短縮複合要素のIIS型制限酵素認識配列を認識するIIS型制限酵素で前記第2の中間ベクターを切断し、それにより前記維持される複合要素によって決定される維持されたオーバーハング配列、及びアセンブリのための前記第2のDNA断片のネイティブ配列によって決定される対向するネイティブオーバーハング配列を含む第2の適合DNA断片インサートを形成する工程;
    を含み、
    ここで
    (i)前記第1及び第2の適合DNA断片は、それらが共にライゲートするため配列されるように、それらのネイティブオーバーハング配列が相補的である末端断片であるか;又は
    (ii)アセンブリのための1つ以上の中央DNA断片が提供され、ここで、前記第1及び第2の適合DNA断片は、前記アセンブリにおいて各末端断片であり、前記1つ以上の中央DNA断片は、相補的なネイティブオーバーハング配列を介して、前記第1及び第2の適合DNA断片の間にライゲートされるように配置され;
    さらに、リガーゼで、前記第1及び第2の適合DNA断片、又は前記第1及び第2の適合DNA断片と1つ以上の中央DNA断片と共にライゲートして、各末端に維持されたオーバーハングを有するアセンブルされたDNA断片を形成する工程を含む、
    方法。
  8. 前記中央DNA断片が、前記第1の適合DNA断片のネイティブオーバーハングに相補的な第1のネイティブオーバーハング配列と、前記第2の適合DNA断片のネイティブオーバーハングに相補的な第2のネイティブオーバーハング配列と、を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記方法が、アセンブリのために2つ以上の中央DNA断片を含み、
    前記中央DNA断片が、それらが予め決められた順序で一緒にライゲートされ得るように、隣接する中央DNA断片のネイティブオーバーハングに相補的なネイティブオーバーハング配列を含み、
    配列中の最初と最後の中央DNA断片が、相補的なネイティブオーバーハング配列を介して、それぞれの第1の適合DNA断片及び第2の適合DNA断片にライゲートするように配置される、
    請求項7に記載の方法。
  10. アセンブリのための中央DNA断片が、
    核酸の制限酵素切断によって生成された、更なる直線化されたメチル化核酸を提供する工程であって、前記核酸は、廃棄配列が切り出されるように、それらの間に廃棄配列を含む第1および第2のメチル化保護可能な制限要素を含み、
    前記核酸の第1および第2のメチル化保護可能な制限要素はそれぞれ、
    IIS型制限酵素認識配列;及び
    DNAメチラーゼ認識配列
    を含み、
    前記IIS型制限酵素認識配列及び前記DNAメチラーゼ認識配列は、DNAメチラーゼにより修飾された塩基が前記IIS型制限酵素認識配列内にあるようにオーバーラップしており、
    前記DNAメチラーゼ認識配列は、前記IIS型制限酵素認識配列と同一ではないか、又は前記IIS型制限酵素認識配列に囲まれておらず、
    前記DNAメチラーゼ認識配列は、前記IIS型制限酵素認識配列を認識するIIS型制限酵素により生成されるオーバーハング末端配列を形成する配列とオーバーラップせず、
    前記第1および第2のメチル化保護可能な制限要素は、前記DNAメチラーゼ認識配列を認識するDNAメチラーゼでメチル化され、
    前記核酸は、前記第1および第2のメチル化保護可能な制限要素のそれぞれの切断部位の反対側に設けられた対向するIIS型制限酵素認識配列をさらに含み、それにより2つの短縮複合要素がもたらされ、
    前記短縮複合要素は、前記短縮複合要素の前記対向するIIS型制限酵素認識配列が、前記メチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列の認識配列内の部位において、または前記切断部位と前記メチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列の認識配列との間のヌクレオチド内で、前記IIS型制限酵素が前記核酸を切断するように配置されている、配置であり、
    前記核酸は、前記対向するIIS型制限酵素認識配列を認識するIIS型制限酵素によって制限酵素切断され、それにより、前記更なる直線化されたメチル化核酸が形成される、
    工程;
    前記更なる直線化されたメチル化核酸のオーバーハング末端にライゲートするように適合されたオーバーハング末端を有するアセンブリのための適合中央DNA断片を提供する工程;
    前記アセンブリのための適合中央DNA断片及び更なる直線化されたメチル化核酸を、リガーゼを用いてライゲートして、メチル化中間ベクターを形成する工程;
    前記メチル化中間ベクターを、前記メチル化保護可能な制限要素のDNAメチラーゼ認識配列(複数の場合もある)のいずれかを認識するDNAメチラーゼ(複数の場合もある)を発現しない細菌株に形質転換し、それによりメチル化されていない中間ベクターを形成する工程;
    前記中間ベクターを単離する工程;
    前記中間ベクターを、前記メチル化保護可能な制限要素のIIS型制限酵素認識配列を認識する制限酵素で切断し、それにより、アセンブリのための中央DNA断片のネイティブ配列によって決定される各末端のネイティブオーバーハング配列を含む中央DNA断片インサートを形成する工程、
    によって提供される、請求項7~9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記アセンブルされたDNA断片の挿入のため直線化されたデスティネーションベクターを提供する工程を更に含む、請求項7~10のいずれかに記載の方法であって、任意選択で、前記直線化されたデスティネーションベクターは、維持される複合要素及び/又は短縮複合要素のIIS型制限酵素認識配列を認識する同じIIS型制限酵素で環状デスティネーションベクターを切断することにより提供されてもよい、方法。
  12. 請求項1~6のいずれかに記載の核酸を含む、組成物。
  13. 1つ以上の請求項1~6のいずれかに記載の核酸と、制限酵素及び/又はリガーゼと、を含むキット。
  14. 請求項1~6のいずれかに記載の核酸を含む、宿主細胞。
  15. 目的のDNA断片をアセンブルするための請求項1~6のいずれかに記載の核酸の使用であって、前記使用はin vitroであ、使用。
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