JP4247430B2 - クローニングベクターと分子クローニングの方法 - Google Patents

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Description

発明の属する技術分野
本発明は、組換えDNA技術に関する。特に、新規クローニングベクターファミリーおよび興味ある核酸のin vitroおよびin vivoのクローニング方法が開示される。
効率的なゲノムおよびcDNAクローニングベクターは、高品質で、代表的なライブラリーが多くの遺伝子の分析の豊富な源泉になるので、分子遺伝学研究では重要な手段である。
完全長cDNAは、完全長ライブラリーの構築のための出発材料である(例えば、RIKEN mouse cDNA encyclopedia、RIKENN and Fantom Consortium,“Functional annotation of a full−length mouse cDNA collection", Nature,2001年2月8日号,409巻:685−690)。標準クローニング技術に比べて、完全長cDNAクローニングは、当該ライブラリーからの長いクローンの表現不足または欠落の危険性を本来もっており、また、非常に長いmRNA類に由来するcDNAは、ベクターの容量が十分でなければ、クローン化されない。
現在利用できるプラスミドクローニングベクター類は、短いcDNA類用に片寄って(バイアスして)いる:すなわち、連結(ライゲーション)反応およびライブラリー増幅の工程で競合すれば、短い断片の方が長い断片よりずっと効率よくクローニングされる。プラスミド電気穿孔は、ライゲーション工程でのプラスミド分子の環状化の際、関連するサイズバイアスを示さないが、混合ライゲーション反応では、短いcDNAのほうが長いcDNAよりずっと効率的に連結される(Sambrookら,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Press, Molecular Cloning, NY, USA)。
バクテリオファージ由来のクローニングベクターは、DNA類のクローニングや増殖およびライブラリー構築に特に有用なことが明らかにされている。挿入体およびバクテリオファージベクターDNA類の連結混合体は、in vitroで効率的にパッケージされ、感染により細菌へ導入が可能である。バクテリオファージベクターはcDNA配列のクローニングを可能するが、大規模配列決定のための最終産物は、大規模なコロニー収集、増殖、DNA調製および配列決定反応のためのプラスミドであるべきである(Shibataら,2000,Genome Res,10:1757−1771)。
自動プラスミド切出しのためのクローニングベクターは、広範なcDNAクローニング用の容量をもつべきで、0.5Kb程度に短いcDNAおよび15Kb程度に長いcDNAを含み、それらは、第1鎖cDNA合成の際トレハロースを使えば、アガロースゲル上で可視化できる(Carninciら,1998,Proc.Natl.Sci.USA,95:520−524)。
全ライブラリーバルク切出しを可能にするバクテリオファージベクターは多数あるが、それらは、クローニングサイズまたはバルク切出しプロトコールの点からは最適ではない。
クローン化挿入体をもつバクテリオファージベクターからのプラスミド切出しの例は、λ−ZapIIで得られた(Shortら,1988,Nucl.Acids Res.,16:7853−7600)。しかし、λ−ZapIIからのバルク切出しは、長短両クローンを含むcDNAライブラリーのような混合試料を用いた場合、短いインサートの方へサイズバイアスを示す。λ−ZapIIを用いた場合、長い希少なcDNAを得るのは難しい。
λ−Lox誘導体(Palazzolo M.ら,1990,Gene,88:25−36),λ−YES(Elledgeら,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,88:1731−5)およびλ−TriplexTM(CLONTECHniques,1996年1月)のようなcDNAクローニングおよびプラスミド切出しのためにデザインされた他のベクターは、9〜10Kbを超えないDNAを受け入れる。一方、ゲノムライブラリー構築用のベクターおよびCre−lox仲介プラスミド切出しは、7Kbpより長い挿入体を受け入れる:例えばλPS(Nehlsら,1994a,Biotechniques,17:770−775),λpAn(Holtら,1993,Gene,133:95−97),λGET(Nehlsら,1994b,Oncogene,9:2169−2175),λMGU2(Maruyama and Brenner,1992,Gene,120:135−141)およびTn1721切出しシステムに基づくベクター、λRES(Altenbucher,J,1993,Gene,123:63−68)。しかしこれらのベクターは、広域サイズcDNAライブラリーの調製物を許容しない。
λSKシリーズの中だけに0.2から15.4Kbの計算容量をもついくつかのベクター(Zabarovskiら,1993,Gene,127:1−14)があって、それらは広域サイズcDNAクローニングの目的に適していると考えられた。残念ながら、λSKの基本的切出しシステムは、単純な制限酵素消化に基づくので、cDNAの内部切断を起し、それが、cDNAクローニングにこれらのベクターがあまり使われない理由と思われる。特開2000−325080号の日本特許出願は、修飾λPSベクターを開示している。名称λFLC−1で示されるその新ベクターは、λPSベクターの左アームに6kbの核酸配列(スタッファーII)を含むので、興味あるcDNAを考慮に入れない場合のサイズは38kbであった。この修飾λPSベクターは、広範なサイズのcDNAを挿入できると記載されている。
上記λFLC−1は、一般的な(または「標準的」)大型cDNAライブラリーに有用ではあるとしても、短い、また非完全長のcDNAに、なおバイアスを示すので、非常に長く希少で重要な完全長cDNA、特に強く均等化および/または差引き化されたcDNAライブラリーの場合は、得ることが困難である。当該技術分野におけるさらなる問題点は、バルク切出し組換え機構に関するものである。
バルクcDNAs(cDNAライブラリー)、すなわち短、中、および長のcDNAのような広域サイズのcDNAを含むcDNAライブラリーは、クローニングベクター中へ挿入される。次いで、この挿入体は、発現ベクターのような所望の特徴を備えた機能的または特殊化された別のベクターに移される。この転移はサブクローニングと呼ばれる。DNAセグメントのサブクローニングに使われる機能的または特殊化ベクター類は、機能的に多様である。そのようなベクター類は、さまざまな生物において遺伝子を発現するための;遺伝子発現を調節するための;タンパク質精製を助けるために、または、細胞中のタンパク質の追跡を可能にするために標識を備えるための;クローン化DNAセグメントを修飾する(例えば、欠失を作出する)ための;プローブ類(例えばリボプローブ類)の合成のための;DNA配列分析用の鋳型の調製のための;タンパク質コード領域の同定のための;種々のタンパク質コード領域を融合させるための;興味あるDNAを大量に提供するためのベクター類を含むが、これは非限定的例示である。特定の研究は、興味あるDNAセグメントをいくつかの異なる特殊化ベクター中へサブクローニングすることを含むのが普通である。
制限酵素類およびリガーゼを用いる旧来のサブクローニング法は、時間がかかり、比較的信頼性も低い。
特定の組換え酵素認識配列を用いる組換え酵素認識系の利用が提案され、それらはCre−lox(Palazzoloら,1990,Gene,88:25−36)およびGatewayTM(Life Technologies Catalogue;Walhout A.J.M.ら,2000,Methods in enzymology, 328巻:575−592;および米国特許第5888732号)として知られる。
Cre−リコンビナーゼによる固相in vivo切出しは、増幅されたcDNAライブラリーを、構成的にCre−リコンビナーゼを発現する細菌株、例えばBNN132(Elledgeら,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,88:1731−5)へ感染させることが必要である。しかしながら、この方法は、低いプラスミド収量(Palazzoloら,1990,上記に同じ)およびプラスミドの不安定性(Summersら,1984,Cell,36:1097−1103)のため、推奨できない:実際、Cre−リコンビナーゼは構成的に発現され、プラスミドの2量体/多量体の生成を起し、高比率の無プラスミド細胞を生じて、シークエンシング効率を損なう。
Gateway切出しは、Cre−lox切出しとは別のシステムである。一般的なGatewayTMシステムによれば、興味あるDNA(挿入体)および相互に異なる一対の組換えサイトをもつ挿入体供与ベクターは、サブクローニングベクターおよび相互に異なるが組換え可能な一対の組換え体サイトを含む供与ベクターと、組換えをする。最終産物は、興味あるDNA(挿入体)をもつサブクローン産物および副産物である。当該組換え体サイトは、attB,attP,attLおよびattRである。
しかし前記GatewayTMは短いcDNAに対するバイアスを示し;長いcDNAは低い効率で得られる(Michael A.Brasch,スライド“Gateway cloning of attB−PCR products",GIBCOBRLTechnical Seminar,“Gateway Cloning Technology",Life TechnologiesTM,1999)。
クローニングシステムのさらに別の問題は、バックグラウンドの存在であり、これは環境DNA汚染および、非組換えプラスミド(興味あるDNAのないプラスミド)であるサブクローニングプロセス副産物によるものである。
バックグラウンドを完全に排除するか、ほとんどもたないことを可能にする、バックグラウンド排除クローニングシステムを提供することが特に望ましい。
当該技術分野では、いくつかのバックグラウンド排除の戦略が提案されている。例えば、Walhoutら(上記参照)は、GatewayTMベクター類,attP1−attPおよびattR1−attR2は、att部位とatt部位の間に、タンパク質産物がDNAジャイレース(gyrase)を妨害するccdB遺伝子(Bernard P.およびCouturier M.,1992,J.Mol.Biol.,226:735−746)も含むと報告している。組換え後は、ccdB遺伝子を失った(つまり組換え体である)プラスミドのみが、gyrAに対して変異していない大腸菌(E.coli)株で増殖可能で、従って、選択的長所を備えている。遺伝子ccdBをもつプラスミドは、gyrA遺伝子に突然変異をもちccdBに対する耐性を授かった特定の大腸菌株DB3.1中でのみ増殖可能である(Walhoutら、上記参照)。それ故、この種の組換えはプラスミドに限られる。何故なら他のベクター、例えばクローニング系で使われるλ置換ベクターは、recAタンパク質をもたないDB3.1のような細胞中では増殖および複製できないからである(recA産物は置換型バクテリオファージλの増殖に必要である:Sambrookら,1989)。
結論として、a)サイズバイアスがなく、しかも非常に長く希少な完全長cDNAを含む「サイズバランスのとれた」調製物を許容し;b)改良された組換え機構が可能で;c)バックグラウンドが排除できる、という特徴ををもつベクターを提供することが、当該技術分野では必要とされている。
当該技術分野で現在利用できるクローニングベクターは、上記の特徴を満足できない。
本発明は、当該技術分野のそれらの問題の解決を目的とする。
本発明は、広域サイズの核酸、好ましくは非常に長い核酸を、高効率の切出しと、バックグラウンドおよび汚染(コンタミネーション)が低減された状態で、クローニングすることが可能な新しいファミリーのベクターを提供する。また、それらのベクターを用いた、クローニング方法およびバルクライブラリーの調製方法も提供する。
第1の態様によれば、本発明は、構築ベクターセグメント(CS)および可換セグメント(RS)を含み、CSのサイズが36.5kb≦CS<38kb、好ましくはCSが37.5kbである、クローニングベクターを提供する。この構築ベクターセグメントは、好ましくは、バクテリオファージλベクターで作られる、またはそれを含む。この可換ベクターセグメント(RS)は、クローニングしようとする興味ある核酸挿入体により置換されるセグメントを表す。
意外なことに、このサイズをもつクローニングベクターは、非常に長いサイズのcDNAを好ましくも挿入可能で、従ってそれは、非常に完全長のcDNAのクローニングに特に有利なことが見い出された。38kbの構築ベクターセグメントをもち、短いサイズのcDNAに強いバイアスを示すという現行のベクターλ−FLCの当該技術分野における問題を、このベクターは克服する(表1を参照されたい)。
完全長cDNAライブラリーの調製のためのベクターの特定の有利なサイズの選択は、λ以外のバクテリオファージにも適用可能である。従って、本発明は、構築セグメント(CS)および可換セグメント(RS)を含み、CSのサイズがX−1.2kb≦CS<Xkbで、Xはパッケージングを受けるバクテリオファージベクターに必要な最小サイズに相当する、クローニングバクテリオファージベクターにも関する。CSのサイズは好ましくはX−0.2kbである。
本発明は、少なくとも複製起点(ori)を含む細菌人工染色体(pBAC)またはそのセグメントを含むバクテリオファージベクター、好ましくは、λバクテリオファージベクターに関する。このベクターは、DNAフラグメントをクローン化することができる部位;およびDNAフラグメントをクローン化することができるこの部位を含む切除可能フラグメントを規定する1対の誘導性切除媒介部位を含むこともできる。この切除媒介部位の対は、好ましくは、FRT部位である。
このベクターは、誘導性複製起点、好ましくは、oriVを更に含んでいてよい。
本発明のクローニングベクターは、既知の組換え系、例えばCre−loxおよび/またはGatewayTMシステムを用いて、プラスミドまたは核酸挿入体の切出しを行うことが可能である。
本発明のベクター類は、ccdB遺伝子、lox配列またはlacZ遺伝子などのバックグラウンド低減システム、または制限エンドヌクレアーゼにより認識される非対称サイト配列も含むことが可能である。
本発明は、上記ベクターを使うクローニング方法にも関する。
別の態様によれば、本発明は、本発明のベクターのRSセグメント中に、または、GatewayTMシステムの場合には、デスティネーションまたは受入れベクターのRSセグメント中に含まれる、ccdB遺伝子および/またはlox配列のようなバックグラウンド低減配列を含むクローニングベクターを提供することにより、バックグラウンドまたはコンタミネーションを低減するためのシステムに関する。ファージまたはプラスミドベクターのRSは、制限エンドヌクレアーゼにより認識される2つの非対称サイト配列により隣接されることも可能である。
本発明は、これらのベクターを用いることによりバックグラウンドまたはコンタミネーションを低減する方法にも関する。
本発明は、本発明のベクター類を用い、改良Cre−リコンビナーゼまたはGatewayTMシステムを提供し、プラスミドまたは興味ある核酸の効率的な切出しのための方法にも関する。
好ましくは、本発明は、本発明のベクター類を用いて、長いまたは完全長のcDNAライブラリーのバルクを調製する方法に関する。
本発明は、本発明の少なくとも1つのクローニングベクターまたは少なくとも1つのベクター類のライブラリーを含むキットにも関する。
本発明はさらに、本発明の切出し法により得られたプラスミドベクター、または、均等化および/または差引き化ドライバーとして、好ましくは1本鎖に減らされた本発明のデスティネーションベクターを使うことを含む、少なくとも1つの均等化および/または差引き化ライブラリーを調製するための方法にも関する。
完全長クローニングは、長いcDNAの調製およびクローニングの両方に関係する問題によって阻まれてきた。当該諸問題の多くの部分は、熱安定化および熱活性化逆転写酵素による長いcDNAの調製(Carninciら,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.95:520−524)およびキャップ構造に基づく完全長cDNA選択技術の開発(Carninciら,1996,Genomics,37:327−336;Carninciら,1997,DNA Res.,4:61−66;Carninciら,1999,Methods Enzymol.,303:19−44;Carninciら,2000,Genome Res.,10:1617−1630)によって克服された。
しかし、クローニング法およびバルクcDNAライブラリーを調製する方法は、短いサイズのcDNAになおバイアスを示す。
本発明は、核酸を広範なサイズで、好ましくは非常に長くかつ完全長のcDNAとしてクローニングし、切出しの高効率、および低減されたバックグラウンドとコンタミネーションを達成できる新しいファミリーのベクターを提供する。そのようなベクターを用いたクローニング方法も提供する。
第1の態様によれば、構築ベクターセグメント(CS)、および、可換セグメント(RS)(「スタッファーI」と言うこともある)(図1参照)を含むクローニングベクターが提供される。RSは、クローニングしようとする興味ある核酸挿入体により置換される予定のセグメントである。
本発明のバクテリオファージまたはプラスミドベクターは直線状または環状のいずれでもよい(図5、a−i参照)。直線状ベクターの場合、セグメントCSは、RSの左側の1本と右側の1本の2本のアームまたはセグメントに分かれていると、模式的に考えてもよい。しかし、より明確に述べるなら、CSの左アームまたはセグメントおよび右アームまたはセグメントという用語は、環状ベクターの場合にも用いられる。
当該技術分野で利用できるベクターは修飾タイプのλPSベクターであり、32kbの「基本的」サイズに6kbの核酸配列(スタッファーII)をプラスしたもので、したがって、当該ベクターのサイズは、興味あるcDNAを考慮から除くと、38kbであった(本出願人の特開2000−325080号)。しかしこのベクターは、短いcDNAおよび非完全長cDNAにバイアスする短所をもっており、そのようなcDNAの存在は、完全長cDNAライブラリーまたはエンサイクロペディアの調製には不都合である。
本発明者らは、意外にも、CSのサイズが36.5kb≦CS<38kb、好ましくはCSが37.5kbであるベクター、好ましくはバクテリオファージ、さらに好ましくはλバクテリオファージが、38kbのλファージの問題を回避し、長いおよび完全長cDNAの選択を許容することを見い出した。
本発明のCSの37.5kbという好ましいサイズは、37.7kb(Zabarovskiら,1993,上記に同じ)に相当する、λファージがパッケージングを受けるのに必要な最小サイズより、0.2kb短い。
従来のベクターのCS38kbに比べて、本発明によるCS37.5kbのベクターが有する利点は表1に示した。短いものに対するバイアスを避け、完全長cDNAの好ましい調製のためのこのシステムは、λとは異なるバクテリオファージにも適用可能である。
従って、本発明は、構築セグメント(CS)および可換セグメント(RS)を含み、CSのサイズが、X−1.2kb≦CS<Xで、X(kbで表記される)は、パッケージングを受けるためのバクテリオファージベクターに必要な最小サイズに相当する(上記Zabarowskiらの報告にあるように、名目上は、λについて37.7kbである)、クローニングバクテリオファージベクターにも関する。CSのサイズは好ましくはX−0.2kbである。
Xのサイズから短い断片を減少させることは、CS断片をパッケージングレベル以下にするが、RS(「スタッファーI」とも言う)の存在は、バクテリオファージベクターのパッケージングを可能にする。図1および2において、本発明のベクターが、所望サイズのスタッファーIIを挿入して、構築されている。スタッファーIIは好ましくは5.5kbで、その結果、CSは37.5kbに相当する。しかしスタッファーIIは4.5≦スタッファーII<6でよい。スタッファーIIはどのような起源およびどのような核酸であってもよい。それは外来配列、例えばマウスゲノムDNAまたはプラスミドから取ってきてもよい。スタッファーIIは元々既にベクター中に存在することも可能である。本発明のベクターのCSは、好ましくはバクテリオファージセグメントであるか、バクテリオファージ断片を含むことも可能である。好ましくは、バクテリオファージはλバクテリオファージである。利用可能なバクテリオファージおよびλバクテリオファージのリストは、本出願の属する技術分野で報告されており(例えばSambrookら2.16−2.53に報告されているものを参照されたい)あるいはそれらに由来するものも使用できる。
CSは、oriを少なくとも含むプラスミドセグメントを含ませることによっても修飾可能である。oriを含むプラスミドは、pBluescript(+),pUC,pBR322,およびpBACの群から選ばれるのが好ましい。例えば、図1では、oriを含む修飾pBluescript(+)の断片が、CSの左アームに挿入されている。pBACまたはその誘導体の、本発明のベクターの調製のための使用についての例は、例えば図9から図12および実施例20に示した。しかしながら、pBACまたはその誘導体は、本発明のいずれのベクター構築物の調製についても効率よく使用できる。本発明のベクター類の構築に用いられるベクターおよびリンカー、アダプター、プライマー配列などの例は、NCBI VecScreen,UNIVEC Build #3.2 Database(National Centre for Biotechnology Information, National Library of Medicne, National Institute of Health, US)に報告されている。これらのベクター類に関する具体的な情報は、the Catalog of Amersham Pharmacia Biotech,Inc.,US;Clontech Laboratories,Inc,US;Invitrogen Corporation,US;Life Technologies,Inc.,US;New England Biolabs,Inc.,US;Promega Corporation,US;およびStratagene,USにも見られる。
本発明のクローニングベクターは、選択マーカーも含むことが可能である。従って、有毒な化合物に対する耐性を付与する産物をコードするDNAセグメント(例えば、抗生物質耐性遺伝子);遺伝子産物の活性を抑圧する産物をコードするDNAセグメント;識別可能な産物をコードするDNAセグメント(例えば、ベータ・ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)および細胞表面タンパク質のような表現型マーカー類);細胞機能を阻害する産物をコードするDNAセグメント;所望の分子の単離を可能にするDNAセグメント(例えば、特定タンパク質への結合サイト);および酵素により認識される特定のヌクレオチド認識配列をコードするDNAセグメント、より成る群から選択される少なくとも1つの選択マーカーを、CSが含む。
前記選択マーカーは、より具体的には、抗生物質耐性遺伝子、栄養要求性マーカー、毒性遺伝子、表現型マーカー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、酵素切断サイト、タンパク質結合サイト、より成る群から選択される少なくとも1つのマーカーおよびPCRプライマー配列に相補的な配列である。
選択マーカーの例としてのAmpが図1および2に示されている。
本発明のベクター類のRSは、(図1、5に示すように)、2つの組換えサイトにより隣接されることが可能であるが、それら2つの組換えサイトは相互に組換えをしない。より具体的には、それらの組換えサイトは、GatewayTM方法論に従う組換え切出しを行うためのattB,attP,attL,およびattRまたはそれらの誘導体より成る群から選択される(Walhoutら,2000,上記に同じ;Life Technologies catalogue;Gateway Cloning Technologies,Instruction Manual,GibcoBRL,Life Technologies;US5888732)。Gateway組換えサイトおよび誘導体の完全リストは、上記Life Technologies参考文献に開示されている。
GatewayTMシステムは、プラスミド間の成分の交換のために、また、興味ある核酸挿入体を特定の機能性プラスミド中へ移すために、当該技術分野で提案された。しかしGatewayシステムは短いcDNAにバイアスを示し、長いcDNAは低い効率で得られた(Michael A. Brasch,スライド“Gateway cloning of attB−PCR products",GIBCOBRL Technical Seminar,“Gateway Cloning Technology", Life TechnologiesTM,1999)。
ところが、本発明者らは、本発明に従ってGateway組換えサイトを、バクテリオファージベクター中へ移し、(図1,2および5,a,b,e,fに示すように)RSに隣接配置したところ、当該クローン化cDNAライブラリーは短いcDNAへバイアスを示さないことが、意外にも見い出された。それ故、本発明は、好ましくはCSサイズが32kb≦CS<45kb,特に36.5kb≦CS<38kb,より好ましくはCSが37.5kbであり、相互に組換えをしない2つの組換えサイトを含み、RSに隣接する(図5,a−g)、バクテリオファージベクターを提供する。バクテリオファージは好ましくはλバクテリオファージである。
しかし本発明のバクテリオファージベクターは、λバクテリオファージに限らず、当該技術分野で知られる他のバクテリオファージも使用可能である(例えば、上記のようにZabarovskiら、1993,に記載されているもの)。
本発明のベクターで、Gateway attB,P,LまたはRまたはそれらの誘導体とは別に、RSに隣接する2つのlox組換えサイト(例えば2つの一般的なlox1およびlox2サイトが図5、gに示されている)を使ってもよい。これらのlox組換えサイトは、どのような変異型または誘導型loxサイト、例えば変異型または誘導型loxPサイト、Hoessら,Nucleic Acids Res.,1986,14(5):2287に記載されている(例えばloxP511)でもよい。
本発明のベクターは、2つのlox組換え体サイトで、それらの各々がCSの各アーム(またはセグメント部分)(図1,2,および5,c−f,i)、すなわち、一方のloxサイトは、RSの(または興味ある核酸挿入体の)左側のCS中にあり、もう一方のloxサイトは、RSの(または興味ある核酸挿入体の)右側のCS中にあり、それらのlox組換えサイトは相互に組換え可能である、ように配置された前記組換え体サイトを、含んでもよい。
これらのサイトは、2つのlox組換えサイトで、修飾、変異、または誘導されたloxサイト(Hoessら,1986,上記に同じ)、好ましくはloxPまたはそれの修飾または誘導体であってもよい。例えば、loxはloxP511(Hoessら,1986、上記に同じ)であってもよい。loxP511はもう1つのloxP511サイトと組換えをするが、loxPサイトとは組換えしない。loxサイトの上記すべての変化体、変異体、修飾体または誘導体は、本発明の目的については、「loxサイトおよびその誘導体」と通常表示する。
この場合、RSが興味ある核酸挿入体により置換された後は、組換えはCre−lox組換え酵素により行われる。
Cre−lox組換え系は、いくつかの先行技術文献中に記載されている、例えば、Palazzuoloら,1990(上記に同じ);Elledgeら,1991(上記に同じ);およびSummersら,1984(上記に同じ)を参照されたい。
前記Cre−lox組換え酵素系とは別に、他の組換え系を本発明の目的のために使ってもよい。それらには、Kw組換え酵素(Ringrose L.ら,1997,FEBS,Eur.J.Biochem.,248:903−912),Tn3レス/レソルバーゼ(解離酵素)からのエレメントとのハイブリッド部位特異的組換え系(Kilbride E.ら,1999,J.Mol.Biol.,289:1219−1230)、β組換え酵素系(Canosa I.ら,1998,Journal Biological Chemistry,273巻,22号,5月29日:13886−13891);FLP組換え酵素系(Huffman K.E.およびLevene S.D.,1999,J.Mol.Biol.,:286:1−13;およびWaite L.L.およびCox M.M.,1995,Journal Biological Chemistry,270巻,40号:23409−23414)が含まれる。これらの組換え部位の修飾、変異または誘導体も使用可能で、それらは通常「それらの誘導体」と表示される。
Creリコンビナーゼまたは他の組換え酵素に仲介されるこの組換え工程の結果は、興味ある核酸を含むプラスミドの切出しである。
本発明の一つの態様によれば、組換えGateway様システムに対するRSに隣接する組換えサイト、およびCre−lox,Kw,Tn3レス/レソルバーゼ、β組換え酵素およびFLP組換えに対するCSの2本のアーム中の組換えサイトの両方をベクター中に存在させて、当該ベクターをクローニング、興味ある核酸材料の転移、およびライブラリーの調製に特に適するようにする。事実、特定の場合には、最も便利な切出し系は、当該ベクターを変えたり修飾したりせずに選択可能である。
さらなる側面によれば、本発明のクローニングベクターは、バックグラウンドが低いか無いライブラリーのクローニングまたは調製にも使用できる。従って、本発明は、構築セグメント(CS)および可換セグメント(RS)を含み、当該CSがバクテリオファージベクターセグメントで、当該RSがバックグラウンド低減系として少なくともccdB遺伝子を含む、クローニングベクターを提供する。
本発明のバクテリオファージまたはプラスミドクローニングベクターは、また、構築セグメント(CS)および可換セグメント(RS)も含み、当該CSはバクテリオファージまたはプラスミドベクターセグメントであり、a)当該RSはバックグラウンド低減系として少なくとも1つの組換えサイト(CSの左右のアームに存在する2つの組換えサイトとの組換えが可能)を含むか、またはb)当該RSは、制限エンドヌクレアーゼ類により認識される、相互に連結しない2つのエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列により隣接されていてもよい。
RS中に含まれる前記組換えサイトは、CSの左右のアーム中に存在する組換えサイトと組換え可能でなければならない。それ故、このRS組換えサイトを「第三の」組換えサイトと呼んでもよい。その「第三の」組換えサイトは、lox組換えサイトまたはその誘導体、好ましくはloxPサイトまたはその誘導体でもよい。
前記2つのエンドヌクレアーゼ非対称サイト配列バックグラウンド低減系は、例えば、a)ホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、またはb)クラスIIS制限酵素類が認識可能な非対称制限エンドヌクレアーゼ切断サイト配列であってもよい。
前記バックグラウンド低減バクテリオファージベクターは、CSのサイズが好ましくは32kb≦CS≦45kbで、有利にはCSが36.5≦CS<38kb,さらに好ましくはCSが37.5kbである。前記バクテリオファージは好ましくはλバクテリオファージである。前記バクテリオファージCSまたは当該ベクターは、少なくとも一つのoriを含むプラスミドセグメントを含んでもよい。oriを含む前記プラスミドセグメントは、好ましくは、しかし非限定的に、pBluescript(+),pUC,pBR322およびpBACより成る群から選択されるか、または上記のように、NCBIデータベースに含まれるいずれかのプラスミドである。
バックグラウンド低減プラスミドの場合、当該技術分野で既知の如何なる種類のプラスミド、例えば、上述のプラスミドまたはNCBIデータベースに開示されたどのプラスミドでもよい。
このベクターは、上記に示した群から選択された少なくとも1つの選択マーカーを含む。特に、当該少なくとも選択されるマーカーは、抗生物質耐性遺伝子、栄養要求性マーカー、毒性遺伝子、表現型マーカー、酵素切断サイト、タンパク質結合サイトより成る群およびPCRプライマー配列に相補的な配列から選択可能である。
前記バックグラウンド低減クローニングバクテリオファージまたはプラスミドベクターはまた、上記のような組換え系の少なくとも1つ、すなわち、a)RSに隣接し、相互に組換えをしない2つの組換えサイト(Gatewayサイトまたはlox修飾サイト)、および/またはb)組換え酵素により認識され、CSの2アーム中に配置された、相互に組換えをする少なくとも2つの組換えサイト、を含むことも可能である。相互に組換えできるそれらの組換えサイトは、上記のように、loxサイト,Kw,Tn3レス/レソルバーゼ,β組換え酵素サイト,およびFLPサイトより成る群より、好ましくは選択される。
バックグラウンド低減ccdB系に関しては、Bernard P.およびCouturier M.(1992,J.Mol.Biol.,226:735−746)によりプラスミド中へ、およびWalhoutら(上記に同じ)によってもGatewayTMベクター用に、開示されている。
前記ccdB遺伝子の産物はDNAジャイレースを妨害する。組換え後、ccdB遺伝子を消失したプラスミド(それらは組換え体である)だけが、gyrAに対して変異していない大腸菌(E.coli)株で増殖できるので、選択的利点がある(Life Technogolies文献を参照されたい)。
遺伝子ccdBをもつプラスミドは特定の大腸菌株でのみ増殖可能である。例えばDB3.1で、この株はgyrA遺伝子に変異があり、ccdBに対して耐性を付与する(Walhoutら,上記に同じ)。それ故、この種の組換えはプラスミドに限られる。何故なら、クローニング系で使われるバクテリオファージベクター、例えばλ置換ベクターは、recAタンパク質を欠くDB3.1のような細胞中では増殖、複製することはできないからである(recA産物は置換型バクテリオファージλの増殖に必要である:Sambrookら,1989)。
これに対して、本発明者らは、本発明によりRS中にccdB遺伝子を含ませたバクテリオファージ、好ましくはλバクテリオファージが、C600細胞の培養物中で増殖し、複製可能なことを、意外にも見い出した。なお、ccdB遺伝子を含むプラスミドはC600細胞中で増殖できない。
本発明のベクターにおけるバックグラウンド低減ccdB系の機構を図1,gに示す。
興味ある核酸挿入体とRSとの置換の際に、置換が起らないか、不完全な連結または置換が生じる可能性がある。この場合、完全な興味ある核酸挿入体をもたないバクテリオファージまたはプラスミドのベクターが培養液中に存在することになって、バックグラウンドを与える。ccdB「自殺遺伝子」を存在下させると、バックグラウンドまたは副産物をゼロ近くまで低減できると考えられる。
バックグラウンドコンタミネーションの問題は、スタッファーI(RS)の除去がゲル(例えばアガロースゲル)上で行われ、スタッファーI核酸の断片がCSと共に集められ、従ってベクターに再度挿入されうる場合には、精製中にも起りうる。
もう1つのバックグラウンド低減系は「第三の」組換えサイトで、これはRS中に置かれ、本発明のバクテリオファージまたはプラスミドベクターのCSの左右のアームの中にある組換えサイトと組換えが可能である(図1,i;図5,i)。この「第三の」組換えサイトは、ccdB遺伝子の存在下または非存在下でも機能しうる。
好ましくは、このバックグラウンド低減「第三」組換えサイトは、上述のように、loxサイトまたはその誘導体、より好ましくは、loxPサイトまたはその誘導体、修飾体または変異体である。しかし、RS中に存在するバックグラウンド組換えサイトは、CSの両腕中に存在する2つの組換えサイトと、組換えができなければならない。従って、Creリコンビナーゼにより仲介される組換えの場合、3つのサイトはいずれも、相互に組換え可能なlox組換えまたはそれらの誘導体でなければならない。
例えば、図1,aおよび1,fにおいて、(バクテリオファージまたはプラスミドベクターの)CSの左右のアームにある2つの組換えサイトおよびRS(スタッファーI)中のバックグラウンド低減「第三」組換えサイトは、いずれもすべてloxPサイトである。
図1.i)において、「第三」組換えサイトの作用機構が説明されている。興味ある核酸挿入体が不完全連結した場合、CSのアームのloxPサイトの1つは、切出し工程の間に、「第三」loxPと好ましく組換えし、切出しプラスミドを形成するが、そのプラスミドは、ある場合にはoriを欠くので複製できず、また別の場合には選択マーカー(図中のAmp)を欠くので成長できない。
従って、本発明は、記述のように、少なくとも一つの「第三の」組換えサイトを含むバクテリオファージまたはプラスミドベクターを用いて、バックグラウンドの低いまたは無いバルクライブラリーをクローニングするか、または調製する方法にも関する。
このバックグラウンド低減「第三」組換えサイトは、lox以外のどの組換えサイトでも、例えば、上記のような組換えに使われる組換えサイトでもよい。
本発明のバックグラウンド低減バクテリオファージまたはプラスミドクローニングベクターは、ccdB遺伝子または「第三」組換えサイトなどの存在下であっても、RS中にlacZ遺伝子を加え、または存在させてもよい。
本発明のバクテリオファージまたはプラスミドクローニングベクターは、上記のようなバックグラウンド低減配列の代わりに、またはその存在下で、制限エンドヌクレアーゼ類により認識される2つの非対称サイトも含んでもよい。これら2つの非対称サイト配列は、当該ベクターのRSに隣接する(図6)。
本発明の目的に有用な非対称サイト配列は、a)2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列またはb)クラスIIS制限酵素類により認識可能な制限エンドヌクレアーゼ非対称切断サイトである。
ホーミングエンドヌクレアーゼは、New England Biolabs,Inc.Aにより販売および記載されている;前記非対称サイト配列の記述もNew England Biolabs Catalogから入手できる。これらのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列は、18から39bpである。しかしながら、本発明においては認識サイト配列はこれらの配列やこれらのサイズには限定されない。New England Biolabs Catalogは、I−Ceu−Iによる5回の繰返し消化の後、DNA断片の95%以上が、本酵素により連結および再切断可能と、報告している。
好ましくは、前記非対称サイト配列を切断できる制限ホーミングエンドヌクレアーゼ類は、I−CeuI,PI−SceI,PI−PspIおよびI−SceIより成る群から選択される。
図6,a)は、そのRSが除かれ、相互に連結しない2つのホーミングエンドヌクレアーゼ認識サイト配列をCS腕の末端部にもつようになったベクターを示す;RSは、これらのサイトの配列に特異的なホーミングエンドヌクレアーゼを用いて取り除かれた。図6,b)では、隣接して配置された一対のホーミングエンドヌクレアーゼサイト配列(これらの配列はベクターのものと同じである)をもつ興味ある核酸挿入体が、上記のRSを除去したベクターへの連結のために提供されている。図6,c)では、ベクターの1つのホーミングエンドヌクレアーゼサイト配列が、当該挿入体の相補性ホーミングエンドヌクレアーゼサイト配列を認識し、ハイブリッド形成する。図6,d)では、ベクターの第2ホーミングエンドヌクレアーゼサイト配列が、ある時間経過後、好ましくは一晩後に、興味ある挿入体のもう一方の末端部に配置された相補性ホーミングエンドヌクレアーゼサイト配列を認識し、ハイブリッド形成する。結局、本システムを用いて、ある時間の後、挿入体のすべての相補性部位配列は、ベクターの相補性サイト配列を認識し、ハイブリッド形成する。結果として、挿入体・ベクター連結が行われる。挿入体・挿入体およびベクター・ベクターの連結は、それらの末端部が相補的でないため起らず、副産物が低減する。このシステムの場合、当該ベクターに入る核酸コンタミネーションも低減される。
ホーミングエンドヌクレアーゼ認識サイト配列は、デスティネーションベクター、好ましくはプラスミド、ヘ配置も可能で、そのサブクローニング工程は、有利に実施できる。このデスティネーションベクターは、当該ベクターのものと同一の2つのエンドヌクレアーゼ認識サイト配列を隣接して配置した、興味ある核酸挿入体と連結する。
同じ工程は、クラスIISエンドヌクレアーゼ酵素類により認識される非対称サイト配列を、ホーミングエンドヌクレアーゼサイト配列の代わりに使う場合にも実施可能である。クラスIIS制限酵素類は、AlwA,AlwXI,Alw26I,BbsI,BbvI,BbvII,BcsfI,BccI,BcgI,BciVI,BinI,BmrI,BpmI,BsaI,BseRI,BsgI,BsmAI,BsmBI,BspMI,BsrDI,BstF5I,EaRI,Eco31I,Eco57I,Esp3I,FauI,FokI,GsuI,HgaI,HinGUII,HphI,Ksp632I,MboII,MmeI,MnII,NgoVIII,PleI,RlaAI,SapI,SfaNI,TaqII,TthlllII,BsnIs,BsmFI,BseMII,および同様なもの(Szybalski W.ら,1991,Gene,100,13−26;およびCatalog of New England Biolabs,Inc.)を含む。
いくつかの制限酵素の認識サイトおよび切断サイトの例(括弧内は、認識サイトおよび切断サイト)は、BbvI(GCAGC 8/12),HgaI(GACGC 5/10),BsmFI(GGGAC 10/14),SfaNI(GCATC 5/9),およびBspI(ACCTGC 4/8)である。
上述のエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列は、ccdB遺伝子、lacZ遺伝子、および/またはRS中への「第三」バックグラウンド低減組換えサイト(例えばlox)の存在下でも、本発明のバクテリオファージまたはプラスミドクローニングベクター中へ配置することが可能である。
上述のようにエンドヌクレアーゼ非対称系と連結されたベクターは、引き続いて、CS中に存在する任意の組換え系、例えばcre−lox組換え酵素、好ましくはloxP,Kw,FLP,Tn3レス/レソルバーゼ、β組換え酵素、などにより切出されることが可能である。それ故、エンドヌクレアーゼ非対称性を含む本発明のベクターは、少なくとも一対の組換えサイトもCS中に含む。
本発明のクローニングベクターのRS(またはスタッファーI)は当該ベクターにより除去され、連結工程で興味ある核酸挿入体と置換される。
本発明の態様のすべてで使われる興味ある核酸挿入体は、DNA,cDNA,RNA/DNAハイブリッドより成る群から選択される。有利には、長いcDNAおよび好ましくは完全長cDNAである。完全長cDNAは好ましくは均等化および/または差引き完全長cDNAである。
本発明に従うベクター類はいずれも、興味ある核酸のクローニングに、およびライブラリー、特に完全長cDNAライブラリー/ライブラリー類、の調製に非常に有用であることが判明した。
従って、本発明は、少なくとも1つの興味ある核酸挿入体をクローニングする、または少なくとも1つの興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、a)少なくとも1つの本発明のクローニングベクターを調製する;b)当該クローニングベクター中のRSを、興味ある核酸挿入体と置換し、興味ある核酸挿入体を含むベクターを得る;c)興味ある核酸挿入体、または興味ある核酸挿入体を含むプラスミドのin vivoまたはin vitroの切出しを行う;d)興味ある核酸挿入体をもつ(組換え体)プラスミド、または興味ある核酸挿入体をもつ(組換え体)プラスミドのライブラリーを回収する、工程を含む前記方法に関する。
所望により、工程b)およびc)の間に、クローニングベクターの増幅の工程を行うことが可能である。
本発明の前記方法は、バックグラウンドを減らしたまたは無い状態で、興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製するために使用可能である。
従って、本発明は、バックグラウンドが低いか無い状態で、興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製するための方法であって、(a)上述のように、バックグラウンド低減系を含む、本発明の少なくとも1つのクローニングベクターを調製する;(b)工程(a)のベクターのRSを興味ある核酸挿入体と置換する;(c)興味ある核酸挿入体、または興味ある核酸挿入体を含むプラスミドのin vivoまたはin vitro切出しを行う;(d)興味ある核酸挿入体をもち、またバックグラウンド低減配列を欠く(組換え体)プラスミドまたは当該プラスミドのライブラリーを回収する、工程を含む前記方法を提供する。
所望により、工程b)およびc)の間に増幅工程が行われる。
本発明によるバックグラウンド低減系は、遺伝子ccdBまたは「第三」組換えサイト配列(CSの左右アームの中にある2つのlox組換えサイトと組換え可能な)であってよく、それは、本発明のバクテリオファージまたはプラスミドのRS中に配置される。前記「第三」組換えサイトは、好ましくはloxサイトまたはその誘導体であり、より好ましくはloxPサイトまたはその誘導体である。
Gateway様の方法の場合、遺伝子ccdBは、デスティネーションベクターのRS中へ配置される。
前記バクテリオファージまたはプラスミドベクターまたはデスティネーションベクターは、lacZ遺伝子を含むことも可能である。
別途、本発明による前記バックグラウンド低減法では、バクテリオファージまたはプラスミドベクターは、RSに隣接する2つのエンドヌクレアーゼ非対称認識部位配列を含むことも可能である。
従って、本発明は、興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、(a)ベクターのRSに隣接して配置された2つのエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列を含む、少なくとも1つのバクテリオファージまたはプラスミドベクターを調製する;(b)工程a)のベクター中へ配置された2つの配列と連結できる2つのエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列を両隣に含む興味ある核酸挿入体によってRSを置換し、興味ある核酸挿入体を含むベクターを得る;(c)興味ある核酸挿入体、または興味ある核酸挿入体を含む少なくとも1つのプラスミドのin vivoまたはin vitroの切出しを行う;(d)バックグラウンドが低いか無い状態で、興味ある核酸をもつ(組換え体)切出しプラスミドまたはデスティネーションプラスミド、または当該プラスミド(類)のライブラリーを回収する、工程を含む前記方法にも関する。
さらに、本発明は、本発明のベクターを用いる、in vivoおよびin vitroのCre−lox組換え系に関する。
従来技術の項に記載したように、当該技術で周知(Plazzoloら,1990,Gene,88:25−36)のCreリコンビナーゼ固相in vivo切出し(図3も参照されたい)は、低いプラスミド収量(Palazzoloら,1990,上記に同じ)およびプラスミドの不安定性という欠点がある;実際、Creリコンビナーゼは構成的に発現されて、プラスミドの2量体/多量体の生成を起こして、高比率の無プラスミド細胞をもたらし、配列分析の効率を損なう(Summersら,1984,Cell,36:1097−1103)。
一方、Cre液相in vivo切出しの使用は、これまで成功していない。その理由は、液培養では短いプラスミドを含む細胞は非常に長いプラスミドを含む細胞より速く複製し、短いプラスミド(すなわち興味ある短い核酸挿入体)の方にバイアスを生じ、長いまたは完全長核酸挿入体を得るのが極めて難しいためである。
本発明者らは、増殖(複製)および増幅の極めて低いか無い条件下の液相でプラスミドの切出しを行い、興味ある核酸挿入体を抽出し、Creリコンビナーゼを発現しない細胞中で増殖が可能な種々のプラスミドを調製し、および固相中で(プレート上で)さらに増殖(増幅)を行わせることにより、従来技術の前述の欠点を実質的に回避できることを、意外にも見い出した。
従って、本発明は、少なくとも1つの興味ある核酸挿入体をクローニングする、または少なくとも1つの興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、a)構築セグメント(CS)および可換セグメント(RS)を含む少なくとも1つのクローニングベクターであって、当該CSがその左右アームに位置する少なくとも2つのlox組換えサイトまたはそれらの誘導体を含むバクテリオファージベクターである、前記クローニングベクターを調製する;b)当該クローニングベクター中のRSを興味ある核酸挿入体で置換する;c)当該ベクターをパッケージングする;d)cre組換え酵素を発現する少なくとも1つの細胞をin vivo液相感染させる;e)切出しプラスミドが短時間しかまたは全く増殖しない条件下で、興味ある核酸挿入体を含むプラスミドのin vivo液相切出しを行わせる;f)細胞溶解を行わせ、前記挿入体をもつプラスミドまたはそれらのプラスミドのライブラリーを回収する、工程を含む前記方法を提供する。
この方法は、所望により、g)Creリコンビナーゼを発現しない少なくとも1つの細胞を電気穿孔または形質転換し、工程f)のプラスミドを当該細胞中へ貫入させる;h)工程g)におけるように感染させた細胞をプレーティングし、興味ある核酸挿入体をもつプラスミドまたはそれらのプラスミドのライブラリーを回収する、工程を含む。
前記電気穿孔は、当該技術分野で周知の方法に従って行われる。前記形質転換は、好ましくは化学的処置、例えば、Sambrookら,1.71−1.84に従って行われる。
本方法で用いるバクテリオファージベクターは、好ましくはλバクテリオファージである。
相互に組換えするlox組換えサイトは、上記のように、変異、修飾または誘導のいずれの型のloxサイトでもよく、好ましくはloxPであり、変異、修飾または誘導化されていてもよい(従って、通常、loxPまたはその誘導体と表示される)。
本方法の工程e)は、好ましくは20〜4℃の温度で、0〜3時間で行われる。当該温度は好ましくは室温から37℃である。
本発明者らは、新しいかつ創意に富むin vitro Cre−lox組換え法も開発した。
このin vitro法では、興味ある核酸挿入体を含むバクテリオファージベクターは、in vitroで、当該技術分野で知られる(細菌用)パッケージング抽出物(エキス)(例えば、GigapackまたはGigapackgoldまたは同等物、Stratagene,US)の存在下で、パッケージされる。エキス中にあるヌクレアーゼ類は、パッケージされなかった短い核酸および核酸コンタミネーション全般を切断する。その結果、パッケージされたベクターの核酸が精製される。
5.5kbのスタッファーIIを含むベクター(または37.5kbのCSのサイズをもつバクテリオファージベクター)が使われる好ましい場合、0.5kb未満のサイズをもつ短いおよび完全長でないcDNAは、パッケージされず、エソヌクレアーゼにより除去される。その結果、短いcDNAに対するバイアスが低いか無いライブラリーが得られる。このライブラリーは、非常に長いおよび完全長cDNAの調製に非常に有用である。
従って、本発明は、少なくとも1つの興味ある核酸挿入体または少なくとも1つの興味あるバルク核酸ライブラリーをクローニングする方法であって、(a)構築セグメント(CS)および可換セグメント(RS)を含み、当該CSがその左右アームに位置する2つのlox組換えサイトまたはそれらの誘導体を含むバクテリオファージベクターである、少なくとも1つのクローニングベクターを調製する;(b)少なくとも1つのクローニングベクター中のRSを興味ある核酸挿入体で置換する;(c)パッケージングエキスの存在下で、工程b)のバクテリオファージクローニングベクターのin vitroパッケージングを行う;(d)キャプシドからバクテリオファージクローニングベクターを抽出する;(e)Creリコンビナーゼの存在下で、当該ベクターから、興味ある核酸挿入体を含むプラスミドをin vitroで切出す;(f)当該プラスミドまたはプラスミドのライブラリーを回収する、工程を含む前記方法を提供する。
本方法は、(g)Creリコンビナーゼを発現しない少なくとも1つの細胞を電気穿孔または形質転換して前記プラスミドを当該細胞へ導入する;(h)工程g)の細胞をプレーティングして、興味ある核酸挿入体をもつプラスミドまたは当該プラスミドのライブラリーを回収する、工程をさらに含んでもよい。
所望により、工程c)およびd)の間にプレート上でバクテリオファージの増幅工程を行ってもよい。
前記lox組換えサイトは、それらの変異、修飾、または誘導されたloxサイトでよく、好ましくはloxPまたはその誘導体でもよい。
このin vitro Cre−lox法で使われるバクテリオファージは、好ましくはλバクテリオファージである。
さらに、本発明者らは、本発明のベクターからの興味ある核酸挿入体を、少なくとも1つのデスティネーション機能性ベクターヘ移すことによる、Gateway機構に基づく方法を開発した。この機能性ベクターは、さまざまな用途、例えば、配列分析、細菌または真核生物細胞中でのタンパク質の発現、タンパク質融合産物の作出、その他に利用可能である。
既に述べたように、Gateway法は、プラスミドにのみ関係し、短いcDNAに強いバイアスを示す。Gateway法では、cDNAがPCRにより増幅され、プラスミドデスティネーションベクターへ挿入される。しかし、cDNAのPCR反応時間は非常に長く、一般に反応は一晩行われるが、それは効率の低くさおよびサイズバイアスを意味している。短い挿入体をもつ断片は、長い挿入体をもつ断片より、速やかに組換えする。従って、混合した場合、常にサイズバイアスがあり、最も短いものがより長いものと競合し、短い方が効率よくクローニングされ、サイズバイアスを起こす。
本発明者らは、Gateway法のこのバイアス問題を解決した。本発明の方法は、(異なるサイズの)興味ある核酸をバクテリオファージベクター中へ連結する工程を含む。
本発明のバクテリオファージベクターは、Gateway法の供与ベクターよりサイズが大きい(例えば、37.5kbプラス核酸挿入体)。本発明に従うCSサイズをもつベクターは、短および長挿入体を識別せず、長短両方の挿入体を含むベクター類は、同じような効率で、増幅および/または切出しされるので、短い核酸挿入体に対するバイアスはない。
従って、本発明は、少なくとも1つの興味ある核酸挿入体をクローニングする、または少なくとも1つの興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する、「Gateway様」方法であって、(a)構築セグメント(CS)および可換セグメント(RS)を含み、当該CSがバクテリオファージベクターセグメントであり、RSは2つの組換えサイトにより隣接され、これらの組換え体サイトが相互に組み換えをしない、少なくとも1つのクローニングベクターを調製する;(b)本発明に従い核酸挿入体で前記RSを置換する;(c)工程b)の少なくとも1つのバクテリオファージクローニングベクターをin vitroでパッケージングする;(d)工程(a)のクローニングベクターの組換えサイトと組換え可能な2つの組換えサイトに隣接されるデスティネーション可換セグメント(RS)を含む少なくとも1つのデスティネーションベクターを工程c)のクローニングベクターに提供することにより、興味ある核酸挿入体のin vitro切出しを行う;(e)興味ある前記核酸挿入体をもつ組換えプラスミドまたは当該プラスミドのライブラリーを回収する、工程を含む前記方法を提供する。
好ましくは、前記バクテリオファージはλバクテリオファージである。
前記バクテリオファージクローニングベクターまたはデスティネーションベクターのRSに隣接する、相互に組換えない2つの組換え部位は、a)attB,attP,attL,およびattRまたはそれらの誘導体より成る群から選択される組換え部位、またはb)lox組換え部位またはその誘導体、好ましくはloxPまたはその誘導体(例えば、loxPおよびloxP511)であってもよい。
興味ある核酸が、Gateway技術を使って、デスティネーションベクターに移された後、興味ある当該核酸は、図3および実施例に示されている、a)GW直接;b)GW間接;c)GW増幅法という手続きに従って、さらなるデスティネーションまたは受入れベクターへ移してもよい。
本発明に従い興味ある核酸挿入体を運ぶ前記切出しプラスミドまたはデスティネーションプラスミドは、均等化および/または差引き化法でドライバーとして使用可能である。
cDNAライブラリー、好ましくは完全長cDNAライブラリーの均等化および/または差引き化の方法は、Carninciら,2000,Genome Res.,10:1617−1630によって開示されている。
従って、本発明は、少なくとも1つの均等化および/または差引き化ライブラリーを調製する方法であって、(a)本発明の前記方法に従って、切出される少なくとも1つのプラスミドまたは調製されるデスティネーションプラスミドを、提供する;(b)工程b)のプラスミドを核酸標的のプールへ提供する;(c)前記プラスミド/標的ハイブリッドを除去する;(d)本発明の前記プラスミドにハイブリッド形成しなかった均等化および/または差引き化核酸標的を集める、工程を含む前記方法に関する。
一つの態様によれば、工程a)のプラスミドは1本鎖とされる。例えば、それは、2本鎖プラスミドの1本鎖に少なくとも1つのニックをつくることにより処理される。次いで、ニックされた鎖は除去され、最終的に工程(c)から(d)が適用される。
好ましくは、ニックは、タンパク質GeneII(Gene−trapper Kit,Gibco,Life Technologies,US)を使って導入し、ニックされた鎖は、エクソヌクレアーゼにより除去される。そのエクソヌクレアーゼは好ましくはExoIIIである。
さらなる態様によれば、本発明は、少なくとも1つの均等化および/または差引き化ライブラリーを調製する方法であって、(a)構築セグメント(CS)および可換セグメント(RS)を含み、CSがF1のoriを含む、本発明の少なくとも1つのベクターを提供する;(b)本発明に従い興味ある核酸挿入体でRSを置換する;(c)ヘルパーファージを添加し、細胞から分泌される多数の1本鎖DNA(ssDNA)ベクターコピーをつくる;(d)工程c)からのコピーを核酸標的のプールへ提供する;(e)当該プラスミド/標的ハイブリッドを除去する;(f)当該標的とハイブリッド形成しなかった均等化および/または差引き化核酸標的を集める、工程を含む前記方法に関する。
ヘルパーファージは好ましくはStratageneから入手できる。ヘルパーファージ(Stratageneカタログ)で細菌細胞を感染し、当該細胞から分泌される1本鎖プラスミドを回収し、そのDNAを抽出し、最後に1本鎖プラスミドから当該DNAを回収することから成る、ssDNAベクターを調製する方法のより詳細な記述は、pBluescriptのStratageneユーザーマヌアルで見ることができる。ベクターを1本鎖にするためにヘルパーファージを使う方法も、(Bonaldoら,1996.Genome Res.,6:791−806)に記載されている。
f1(+)複製起点を使う場合、R408のようなヘルパーファージを使ってもよい(Shortら,1988,上記に同じ)。
本発明によるバクテリオファージベクターは、当該技術分野において知られているいずれかの種類のプラスミドまたはプラスミドフラグメント、例えば、pBluescript(+)、pUC、pBR322、細菌人工染色体プラスミド(pBAC)、pBeloBAC11(Kim et al., 1996, Genomics, 34:213-218)、US5,874,259号(本明細書中に援用される)による修飾または誘導体pBeloBAC11、または公共デーベースに挙げられるようなまたは上に示される Company's Catalogues より入手可能ないずれか他のプラスミドを用いて製造することができる。
一つの態様によれば、本発明は、少なくとも複製起点(ori)を含む細菌人工染色体(pBAC)またはpBAC誘導体またはそのセグメントを含むバクテリオファージベクターを提供する。このバクテリオファージは、好ましくは、λバクテリオファージである。このoriは、好ましくは、プラスミドを単コピーで維持することができるoriでありうる。
このバクテリオファージ中に含まれるpBACまたはそのセグメントは、
−DNAフラグメントをクローン化することができる部位;
−DNAフラグメントをクローン化することができるこの部位に隣接した少なくとも1対の誘導性切除媒介部位であって、互いに相対して平行した配向で与えられていて且つDNAフラグメントをクローン化することができる部位を含む切除可能フラグメントを規定する切除媒介部位を更に含んでいてよい。この誘導性切除媒介部位の対は、例えば、互いに相対して平行した配向で与えられる部位でありうる(US5,874,259号を参照されたい)。切除媒介部位の対は、好ましくは、FRT部位である。このバクテリオファージは、切除媒介部位の対中に、配列番号45に示される配列を更に含んでいてよい(US5,874,259号による)。
このバクテリオファージ中に含まれるpBACまたはそのセグメントは、誘導性複製起点、好ましくは、oriVを更に含んでいてよい。したがって、oriVは、BACプラスミドの多重コピーを生じるように誘導されてよい(pBACは、通常は、単コピーで存在する)。
このバクテリオファージは、本出願中に記載される1個またはそれを超える組換え部位を含むことができる。例えば、このバクテリオファージは、次の、(a)二つの組換え部位であって、どちらの部位も他方と組換えしない部位;(b)二つのlox組換え部位であって、どちらの部位も互いに組換えすることができる部位;(c)二つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識部位配列;(d)クラスIIS制限酵素によって認識可能な二つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断部位配列であって、どちらの部位配列も他方と連結する部位配列;より選択される少なくとも二つの組換え部位を含んでいてよい。
これら二つの組換え部位(a)は、attB、attP、attL、attRおよびそれらの誘導体からなる群より選択されてよい。
これら二つの組換え部位(a)は、互いに組換えしないlox組換え部位誘導体であってもよい。
これら二つの組換え部位(b)は、好ましくは、loxP部位である。
二つのホーミングエンドヌクレアーゼ部位配列(c)は、好ましくは、I−CeuI、PI−SceI、PI−PspIおよびI−SceIからなる群より選択される。
用いられる切除は、図3に記載のものが含まれる、いずれの切除システムでもありうる。
このバクテリオファージは、少なくとも一つのバックグラウンド減少性配列、例えば、(a)ccdB遺伝子;(b)lacZ遺伝子;(c)lox配列を更に含んでいてよい。
興味ある核酸をクローニングするまたは興味ある大量核酸ライブラリーを製造する方法であって、
(a)pBAC(またはpBAC誘導体)またはそのフラグメントを含むバクテリオファージクローニングベクターを製造し;
(b)このバクテリオファージクローニングベクター中に興味ある核酸を挿入し;
(c)興味ある核酸インサートを含むプラスミド(pBACまたはその誘導体)の in vivo または in vitro 切除を可能にし;そして
(d)興味ある核酸インサートを有するBACプラスミドまたはこれらBACプラスミドのライブラリーを回収する;
工程を含む方法も提供する。
本発明は、本発明に従う少なくとも1つのクローニングベクターまたは少なくとも1つのベクター類のライブラリーを、含むキットにも関する。
本発明を、下記の実施例を参照して、さらに詳細に説明する。
細菌株
以下の実施例では以下の限定的でないリストの細菌株を使用した:C600,F thi−1 thr−1 leuB6 lacY1 tonA21 supE44−λ;XL1−Blue−MRA(P2),△(mcrA)183 △(mcrCB−hsdSMR−mrr)173 endA1 supE44 thi−1 gyrA96 relA1 lac(P2lysogen); DB3.1, FgyrA462 endA△(srl−recA) mcrB mrr hdsS20(r ,m ) supE44 ara−14 galK2 lacY1 proA2 rpsL20 xyl−5λ leu mtl1;BNN132,e14 (McrA)△(lac−proAB) thi−1 gyrA96 endA1 hsdR17 relA1 supE44 [FtraD36 proAB lacZ△M15]Creリコンビナーゼを構成的に発現(Elledgeら,1991,Proc.Natl.Sci.USA,88:1731−1735);およびDH10B,F mcrA △(mrr−hsdRMS−mcrBC)Φ80lacZ△M15 △lacX74 deoR recA1 endA1 araD139(ara−leu)7697 galU galK λ rpsL nupG(これらの細菌株はすべて商業的に入手可能である)。
λ−FLCベクターの構造および命名法
本説明に使われる構築ベクターの基本的名称は完全長cDNA(ull−ength DNA)に由来する;ローマ数字は次のような表示である:I、一般用;II、Gateway配列(Life Technology)の存在;III、ホーミングエンドヌクレアーゼサイトの存在。LおよびSは、当該ベクターのクローニング容量が長い(ong)(サイズ選択された)または短い(hort)cDNAに、より適応するかどうかを示す。B,C,D,E,およびFは、図1b−fに記載のように、スタッファーIのタイプを示す。
λ−FLCベクターの基本成分
完全長cDNAの広サイズ指向的クローニング用の一連のλ基盤のクローニングベクターを構築した。これらのλ−FLCベクターは、約0.2から15.4kbの挿入体を名目上パッケージ可能である。
このλ−FLCベクターのもう1つの利点は、同一ライブラリー内の短かいおよび長いcDNAのクローニングおよびバルク切出しを、同じような効率で可能にすることである。次いでこれらのベクターを、5.5kb(37.5kbの構築セグメントCSの完全サイズである)のスタッファーIIを使うことによって、別の目的、例えば、非常に長いまたは完全長のcDNAを選択するように適合させた。
前記ベクター類を構築するために用いた成分は、図1および2に示したいくつかの構築物を産生するためにアセンブリーさせた。
図1aは、CreリコンビナーゼまたはGateway組換えシステムを用いることによる、λ−FLCベクターのアセンブリーおよびプラスミドライブラリー中への切出しの全体スキームを示したものである。
本発明のλ基盤ベクターの基本構造は、機能的にはλ−2001(Karnら,1984,Gene,32:217−224)のものと同じ、左および右λアームより成る。上記左右アームの間に、スタッファー(スタッファーI)および修飾pBluescriptまたはpBACを挿入し、その両側は、λ−PS(Nehlsら,1994a,上記に同じ)の構造に似せて、プラスミドcDNAライブラリーのバルク切出し用の2つのloxPサイトにより隣接させた。
pBluescript構築物の例は、図13および配列番号51に示した。
上記λアームとプラスミドの合計算定サイズは、スタッファーI(ライブラリー中のcDNAで置換される)およびスタッファーIIを除いて、約32kbである。スタッファーIIは、「クローニングサイズレギュレーター」であり、名目上のラムダパッケージング容量に応じて挿入体のサイズを決定する(Zabarovskyら,1993,Gene,127:1−14)。ここで提示したいくつかの構築物のように、スタッファーIIが5.5kbの長さの場合、スタッファーIを除いた当該ベクターのサイズ(つまり構築セグメントCSのサイズ)は37.5kbと計算される。表1に報告されているように、5.5kbのスタッファーIIをもつベクター(37.5kbのCSサイズ)は、6kbのスタッファーIIをもつ同じベクター(38kbのCSサイズ)の使用に比べて、長いおよび完全長cDNAを選択するのに特に有用である。
0および6.3kbまたはより大きい別のスタッファーIIも、クローニングサイズを変動させ、広範囲のサイズのcDNAを集めるために用いた。
I型スタッファー(図1d−f)は、バックグラウンドインディケーターLacZ、および、切出しの際抗生物質耐性遺伝子と複製起点とを分離する(図1i)、ccdB毒性エレメントまたは追加のloxPサイトのような、バックグラウンド低減エレメントを含むことが可能である。
切出されたプラスミドはすべて、通常の前進(Fwd)および逆(Rev)プライマー配列およびT7/T3 RNAポリメラーゼプロモーターを含み、転写シークエンシング(Sasakiら,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:3455−3460)および転写(図2g−j、下線を付した配列)が可能である。
加えて、すべてのプラスミドは1本鎖DNA(ssDNA)の産生に使うことが可能で、それらはすべてf1(+)起点をもつ(Shortら,1988,上記に同じ)。ssDNAをレスキューするためにR408(Shortら,1988,上記に同じ)のようなヘルパーファージとともにf1(+)複製起点を用いる場合、レスキューされる鎖は、図2g−jに示された鎖の反対鎖である。
構築体によっては、クローン化挿入体のバルクまたは個別の切出しのために、RSまたは興味あるcDNAに隣接するGateway配列のようなクローニングまたは組換えサイト、またはホーミングエンドヌクレアーゼ(New England Biolabs,Inc.、NEBとしても表される)用の配置サイト配列も導入した。
実施例1:ベクター構築
本発明のベクターはいずれも、標準的な分子生物学技術(Sambrookら,1989)に従い、および図に示す成分を用いて作出した。本発明のベクター中のλアーム(スタッファーIの左および右側の部分)は、λ−PS(Nehlsら,1994a,上記に同じ)に由来し、原報はλ−2001(Karnら,1984,Gene,32:217−224)についての記載に見られる。λ−PSの左アームのXbaI部位中へ、マウスゲノムDNAをXbaIで切断してからAscI制限サイトを含むリンカー/プライマー アダプター(挿入体を後で除去または修飾するためのもの)を連結したDNAをPCR増幅して得られた5.5kbゲノム断片を挿入した:リンカー/プライマー上方オリゴヌクレオチドは、5“−CTAGGCGCGCCGAGAGATCTAGAGAGAGAG(配列番号9)であり;下方オリゴヌクレオチドは:5’−CTCTCTCTCTAGATCTCTCGGCGC−3'(配列番号10)である。この上方ヌクレオチドはPCR増幅にも使われる。
PCR増幅の前に、当該ゲノムDNAはXhoI,SalI,およびSfiIでも切断し、増幅断片からこれらのサイトを除去した。増幅およびアガロースゲル精製工程(Boomら,1990,J.Clin.Microbiol.,28:495−503)は、3回繰返した。λ−FLC−I−Bベクターのためのサイズレギュレーター(スタッファーII)として5.5kb断片サイズを選び、さらに、同様に得られた約4.5から5.5kbの断片をクローニングすることによりλ−FLC−I−Bベクターの誘導体を作り、0.5kb程度に短い挿入体がクローニングできることを証明した。加えて、ポリリンカーの配列(図2の切出しプラスミド中に現れるような配列)およびスタッファーIの配列(図1)を指向クローニングに適するように変更し(例えばSambrookらの標準的な分子生物学技術により)、基本的には、制限消化に続いて所望の配列をもつリンカーを再連結し(T4 DNAリガーゼ)、それを当該ファージの元の断片の間に挿入する方法を用いた)。10kbスタッファー(図1b)はλ−PS(Nehlsら,1994a,上記に同じ)から得た。3kbの短いスタッファー断片(図1c)は、前記10kbスタッファーIをXhoIおよびSalIで消化して得た。引き続き、この3kbをプライマー5’−GAGAGACTCGAGGTCGACGAGAGAGGCCCGGGCGGCCGCGATCGCGGCCGGCCAGTCTTTAATTAACT−3'(配列番号11)および5’−GAGAGAGGATCCGAGAGAGGCCAGAGAGGCCATTTAAATGCCCGGGCTGCAGGAATTCGATAT−3'(配列番号12)で増幅し、当該3kbスタッファー(図1c)に複数の制限サイトを加えた。この修飾スタッファー(図1c)に、平滑末端LacZカセットをSwaIサイトへ挿入した。次いで、当該修飾スタッファーをSfiIで制限消化し、図1eのスタッファーIを得るために、三重連結してccdB遺伝子を挿入した。ccdB遺伝子は、大腸菌(E.coli)DB3.1(Life Technologies)中で増殖可能な鋳型pDEST−CのPCR増幅により得た;プライマーペアは、5’−GAGAGAGCGGCCGCCCGGGCCATTTAAATCCGGCTTACTAAAAGCCAGA−3'(配列番号13)および逆プライマー5’−AGCGGATAACAATTTCACACAGGA−3'(配列番号14)(pBluescript,Stratagene中のものと同様)および5’−GAGAGAGGCCTCTCTGGCCACTAGTCTGCAGACTGGCTGTGTATA−3'(配列番号15)および前進プライマー5’−TGTAAAACGACGGCCAGT−3'(配列番号16)であった。LacZカセットは、NaeIおよびAflIIでpUC18を消化し、適当な断片を、クローニング前にDNAポリメラーゼのクレノウ断片を用いて、ブランティング(平滑化)して得た。
LoxP,attB,および修飾ポリリンカー配列は、相補的オリゴヌクレオチド類をアニーリングすることにより調製した。
図1eのスタッファーIは、SalIおよびBamHI制限サイトをブランティング後、DNAリガーゼ(New England Biolabs)で連結して二量体化し、図1dのスタッファーを得た。図1fのスタッファーは、LoxPサイトを含むプライマー、5’−GAGAGAGGATCCAGAGAGATAACTTCGTATAATGTATGCTATACGAAGTTATGAGAGAGGCCAGAGAGGCCATTTAA−3'(配列番号17)(BamHI側)およびプライマー5’−GAGAGACTCGAGGTCGACGAGAGAGGCCCGGGCGGCCGCGATCGCGGCCGGCCAGTCTTTAATTAACT−3'(配列番号18)(SalI側)で、図1cのスタッファーをPCR増幅することにより得た。精製(Boomら,1990,上記に同じに従い)および制限消化後、この断片を、DNAリガーゼ(Sambrookらに従う)で前記ccdB断片へ連結し、図1fのスタッファーを産生した。
切出し後に得られるプラスミド(後記)は、pBluescript+(Stratagene)またはpBACの誘導体である。pDEST−Cベクター(Life Technologies)は、LxR反応(Gateway System, Life Technologies)の受容プラスミドであり、切出し後、pFLC−DESTを産生する(図2.j)。pDESTは、制限酵素SocIおよびKpnIでpBluescriptIISK+を消化し、当該ポリリンカーを除去することにより、pBluescriptIISK+(Stratagene)から調製した。次いでその切断末端をT4 DNAポリメラーゼ(Sambrookらに従う)でブランティングした。当該切断プラスミド中へ、Gateway Cloning System Manual,18.4版,Life Technologiesの指示に従って、前記ccdB遺伝子を含むrfB IIカセット(Life Technologiesから購入した)を挿入し、連結した。次にその連結プラスミドベクターをBssHI制限酵素で切断し、当該切断断片を逆転させ(すなわち、180度回転)、再度当該ベクターヘ入れた(既知の方法に従う、例えば、Sambrookら)。
pDEST−Cベクターは、pDEST12.2(Catalog and Instruction Manual, GatewayTM Cloning Technology,GIBCOBRL,Life Technologies)と同じように使用した。
λ−FLC−I−Bベクターは、一般に本発明の他のベクターの構築の出発点として用いた。
λ−FLC−I−Eは、図1eのスタッファーをλ−FLC−I−Bのものと置換することにより得た。λ−FLC−I−L−Bは、λ−FLC−I−BからスタッファーIIを除去することにより得、λ−FLC−I−L−Dは、図1eに示すスタッファーをλ−FLC−I−Bのものと置換することにより作出した。λ−FLC−II−Cは、修飾pBluescriptIIKS+(Stratageneから購入)を図1cのようなスタッファーとつなげて得た;そのベクターの他の部分はλ−FLC−I−B中のものと同じである。λ−FLC−III−Fは、プラスミド配列および図1fのスタッファーIを含む構築体(構築体は図2dに示した)を、λ−FLC−I−B由来ファージアーム(5.5−kbスタッファーIIを含む)へ、“λ−FLC−III−Cの調製”の例に記載したのと同じように(しかし、スタッファー1cの代わりにスタッファー1fを導入する)挿入して作出した。λ−FLC−III−Fもまた図7に示したように調製した。λ−FLC−III−L−Dは、λ−FLC−III−Fから、まず図1fのスタッファーIを図1dのものと置換し、次いでスタッファーIIを削除して得た。λ−FLC−III−S−Fは、λ−FLC−I−B(スタッファーIIを含まない)からのコンカテネートされたアームを、6.3Kbの長いスタッファーIIおよびλ−FLC−III−F由来の「プラスミド+スタッファーI」と、(Sambrookらに記載されているようにDNAリガーゼを用いて)連結することにより得た。ベクターλ−FLC−III−Eを、λ−FLC−III−F(およびλ−FLC−III−C)について記載されたのと同様の方法で、スタッファー1cまたは1fの代わりにスタッファー1eを導入して製造した(「スタッファー1e」は、図1eのスタッファーIを意味し、他のスタッファーについても同様である)。pBACまたはpBAC誘導体を含むベクターは、実施例20に示されるようにおよび図9〜12にしたがって製造することができる。
実施例2:クローニング用λアームの調製
最終λDNA構築体は、標準法(Sambrookら,1989)またはLambda Maxi Prep Kit(#12562,Qiagen)を用いることにより調製した。10μgのλ−DNAの付着末端(cos末端)は、180μlの10mM Tris・Cl(pH7.5)/10mM MgCl中 42℃で2時間インキュベートすることによりアニールした。次に、20μLの10xライゲーションバッファーおよび400UのT4リガーゼ(New England Biolabs)を加え、その混合液を室温で5時間インキュベートした。リガーゼは、65℃で15分間インキュベートすることにより失活させた。
この時点で、当該λ−DNAは、必要な制限酵素(下記のもの;いずれもNew England Biolabsから購入)により、必要なNaCl濃度が異なるため3段階で消化した。第1段階では、50mM NaCl中、各ベクターにつき2μLの5M NaCl,6U FseI、および8U PacIの添加により制限処理を行った。試料(ベクター)は、37℃で4時間または1晩インキュベートした。第2段階は、100mM NaCl中、2μLの5M NaCl,30μLの10xNEB3バッファー,270μLのHO、および20UのSwaIを前段階からの反応物に添加し、室温で2時間インキュベートすることにより行った。この段階の後、反応チューブを65℃で15分間加熱した。最後に第3段階は、150mM NaCl中、5μLの5M NaCl,40UXhoI(λ−FLC−Iおよび−IIIベクターの場合には、E.coliゲノムDNA断片のサイズを縮めることによりバックグラウンドを低減するため;また、λ−FLC−IIベクターの場合には、クローニングサイトをつくるため)、40U SalI、および40U BamHIを前記加熱不活性化反応物に添加し、37℃で4時間インキュベートすることにより、行った。λ−FLC−IIベクターについては、SalIを省略してもよいし、あるいはXhoIクローニング部位の代替物をつくるのに使うことも可能である。FseI,PacIおよびSwaI段階は、これらの配列をもっていないλ−FLC−I−Bについては省略した。
制限処理後、DNAは、0.1%SDSおよび20mM EDTAの存在下でプロテイナーゼK処理により精製し、1:1フェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた(Sambrookら,1989)。再懸濁中の問題を避けるため、DNA濃度は20μg/mLを超えないようにした。
少なくとも30分間かけて注意深く再懸濁した後、消化したDNAを、下記の段階に従って、0.6%低融点アガロースゲル(Seaplaque,FMC)中で分離した。ウェルはゲルの中央に置いた。8V/cmで1.5時間電気泳動後、19kbより短いStyI消化λ−DNAをゲルから切り取り、廃棄した(段階1)。次いで、電気泳動バッファー1xTBE(電気泳動バッファーTris−ホウ酸−EDTA;Sambrookら、1989、を参照)を新しいバッファーと交換し、ゲル中に残っているDNAを、8V/cmで2.5時間、反対方向に電気泳動した。次いで、19kbより短いDNAを、再び廃棄した(段階2)。バッファーを再度取替えた。λアームDNAを含む領域を濃縮して反応容量を減らすため、ゲル中に残っているDNAを、段階1と同じ方向に8V/cmで30分間電気泳動した。最後に、λアームDNAを含むゲル部分を取り出し(段階3)、ゲルをTEバッファー(Sambrookら,1989)で平衡化し、λアームを、βアガラーゼ(New England Biolabs)を用いて、文献記載(CarninciおよびHayashizaki,1999, Methods Enzymology,303:19−44)の方法で精製およびチェックした。典型的回収率は、出発λ−DNAの30%から50%であった。精製λアームは、1回宛の使用量に分けて、−80℃では無期限に、+4℃では1週間まで貯蔵した。典型的なクローニング効率は、6kbのテスト挿入体の場合、1〜2x10pfu/μgλ−FLC−I−Bベクターで、1%以下の非組換え体クローンのバックグラウンドを含んでいた。
実施例3:λ−FLC−I−Bの調製
λ−PSベクターをBamHI制限酵素を用いて切断し、2つの相補的オリゴヌクレオチド:上方オリゴヌクレオチド5’−GATCAGGCCAAATCGGCCGAGCTCGAATTCG−3'(配列番号19)および下方オリゴヌクレオチド5’−TCGAGAATTCGAGCTCGGCCATTTGGCCT−3'(配列番号20)を含む左リンカーアダプター、および2つの相補的オリゴヌクレオチド:上方オリゴヌクレオチド5’−GATCAGGCCCTTATGGCCGGATCCACTAGTGCGGCCGCA−3'(配列番号21)および下方オリゴヌクレオチド5’−TCGATGCGGCCGCCTAGTGGATCCGGCCATAAGGGCCT−3'(配列番号22)を含む右リンカーアダプターを使って、スタッファーIを挿入した。
前記左アダプターの2つのオリゴヌクレオチドの各1つ、すなわち、配列番号19および配列番号20は、下記のように、KinaseによりコールドのATPで37℃,20分間処理した:1μgの各オリゴヌクレオチド,1μlのATP 5mM,2μlのPNKバッファー(New England Biolabs),0.5μlのPNK(Polynucleotide Kinase;New England Biolabs),および水で20μlとした。得られた産物は、5’リン酸化された2つの相補的オリゴヌクレオチドである。それら2つのオリゴ(配列番号19および20)溶液は一緒に混合し、終濃度100mMになるまでNaClを添加した。その混合物を65℃で15分間、次いで45℃で10分間インキュベートし、アニーリングを行った。アニールされた当該オリゴはクローニングに適する0.5ng/μlの濃度に希釈した。同じ処法をオリゴペア(配列番号21および22)についても行い、同様にアニーリングして右アダプターを形成した。
上記BamHIで切断したλ−PSベクター200ng(すなわち、左および右アーム)を0.4ngの左アダプターおよび0.4ngの右アダプター、および60ngのスタッファーIと混合し、終容量5μlとした。ライゲーションは一晩行った(またはライゲーションは16℃で2時間行ってもよい)。連結されたベクター/アダプター/スタッファーIは、当該技術分野で知られる方法(Sambrookら,1989)に従ってパッケージした。
XbaIで切断したマウスゲノムDNAのPCR増幅により得た5.5kbゲノム断片のスタッファーIIは、挿入体を後で除去または修飾するためのAscI制限部位を含むリンカー/プライマー アダプターで両端を連結した。当該リンカー/プライマーの上方オリゴヌクレオチドは:5’−CTAGGCGCGCCGAGAGATCTAGAGAGAGAG(配列番号9);下方オリゴヌクレオチドは:5’−CTCTCTCTCTAGATCTCTCGGCGC−3'(配列番号10)である。
前記アダプターをもつスタッファーIIを、上で調製したλベクターの左アームのXbaI部位に導入し、ベクターλ−FLC−I−Bを得た。
このベクターからインビトロCre−loxリコンビナーゼで切出し後(後述のように)、プラスミドpFLC−I−b(図1bのスタッファーIを含む図2gのプラスミド)を得た。
実施例4:λFLC−III−Cの調製
上記のようにλ−FLC−I−Bの切出しから得たプラスミドpFLC−I−bを鋳型として用い、PCRにより増幅した。使用したプライマーは:T7 Rev(56mer) 5’−GTGTGATATCGCCCTATAGTGAGTCGTATTACATAGCTGTTTCCTGTGTGAAATTG−3'(配列番号23)およびT3 Fwd(70mer) 5’−GAGAGATATCTTTGTTCCCTTTAGTGAGGGTTAATTGCGCGCAATTCACTGGCCGTCGTTTTACAACGTC−3'(配列番号24)であり、直線状の“産物1”を得た。
プラスミドpFLC−IIcを鋳型として用いて、PCRにより増幅して得た。使用したプライマーは:FLCIIX2(68mer) 5’−GAGAGACTCGAGGTCGACGAGAGAGGCCCGGGCGGCCGCGATCGCGGCCGGCCAGTCTTTAATTAACT−3'(配列番号25)およびプライマーFLCIIB2(63mer) 5’−GAGAGAGGATCCGAGAGAGGCCAGAGAGGCCATTTAAATGCCCGGGCTGCAGGAATTCGATAT−3'(配列番号26)である。このPCRの産物をXhoIおよびBamHI制限酵素で切断し、直線状の3kbの断片を得た。この断片を鋳型として用い、プライマー:5’I−CeuI−SalI(59mer) 5'−GTGTAACTATAACGGTCCTAAGGTAGCGAGTCGACGAGAGAGGCCCGGGCGGCCGCGAT−3’(配列番号27)および3'PI−SecI−BamHI(67mer) 5’−GCATCTATGTCGGGTGCGGAGAAAGAGGTAATGAAATGGCAGGATCCGAGAGAGGCCAGAGAGGCCA−3'(配列番号28)により、PCR増幅を行い、直線状の“産物2”を得た。
次に“産物2”をPNK−ポリヌクレオチドキナーゼおよびγ−ATPを用いて、Sambrookら、1989の方法に従ってリン酸化した。
次に、“産物1”をEcoRV制限酵素で切断し、得られた断片を(標準法に従い、Sambrookら、1989)上記のように調製した“産物2”と連結した。“産物3”と呼称する(環状の)プラスミドを得た。
プラスミド“産物3”を鋳型として用い、プライマー:XbaI−LoxP Tagプライマー3F(69mer) 5’−GAGAGTCTAGATAACTTCGTATAGCATACATTATACGAAGTTATAAATCAATCTAAAGTATATATGAGT−3'(配列番号29)およびXbaI−LoxP Tagプライマー3R(69mer) 5’−GAGAGTCTAGATAACTTCGTATAATGTATGCTATACGAAGTTATAAAACTTCATTTTTAATTTAAAAGG−3'(配列番号30)で、PCRにより増幅して直線状の産物を得て、次にこれをXbaI制限酵素で切断して、直線状の“産物4”を得た。 λ−FLC−I−BをXbaI制限酵素で切断し、標準法(Sambrookら,1989)に従って電気泳動で精製し、得られたλ左アーム、λ右アーム、およびスタッファーIIを、電気泳動による精製から回収した。200ngのλ左アーム、90ngのλ右アーム、55ngのスタッファーII、および60ngの“産物4”を、標準法(Sambrookら、1989)に従い一晩連結した。得られたベクターλ−FLC−III−Cは、当該技術分野で知られる方法(Sambrookら,1989)に従ってパッケージした。
Creリコンビナーゼでの処理により、in vitro cre−loxリコンビナーゼ切除を行い、プラスミドpFLC−III−c(図1cのスタッファーIを含む図2iのプラスミド)を得た。
他のλ−FLCベクターは、λ−FLC−III−Cベクターから出発して製造することができる。例えば、ベクターλ−FLC−III−Fまたはλ−FLC−III−Eは、λ−FLC−III−CのスタッファーIcをスタッファーIfまたはIeでそれぞれ置き換えることによって製造することができる。
実施例5:λ−FLC−II−Cの調製
pBluescriptIISK+(Stratageneより購入)をKpnIおよびNotIで消化した。当該大断片をアガロースゲル電気泳動で分離し、精製した。
λ−FLC−I−BをXhoIおよびSalIで消化し、標準法(Sambrookら,1989)に従い、T4 DNAポリメラーゼで平滑化した。3kb断片をアガロースゲルにより分離し、精製した。
次に、3つの2 本鎖リンカー(AttB1,AttB2およびLoxP)を下記のように合成した。
AttB1リンカー:上方オリゴヌクレオチドは 5’−CGGGCCACAAGTTTGTACAAAAAAGCAGGCTCTCGAGGTCGACGAGAGGCCAGAGAGGCCGGCCGAGATTAATTAA−3'(配列番号31)、下方オリゴヌクレオチドは 5’−TTAATTAATCTCGGCCGGCCTCTCTGGCCTCTCGTCGACCTCGAGAGCCTGCTTTTTTGTACAAACTTGTGGCCCGGTAC−3'(配列番号32)。
AttB2リンカー:上方オリゴヌクレオチドは 5’−GGCCATGACGGCCGAGAGATTTAAATGAGAGAGGATCCACCCAGCTTTCTTGTACAAAGTGGTCTAGACCTCTCTTGG−3'(配列番号33)、下方オリゴヌクレオチドは 5’−GAGGTCTAGACCACTTTGTACAAGAAAGCTGGGTGGATCCTCTCTCATTTAAATCTCTCGGCCGTCATGGCC−3'(配列番号34)。
LoxPリンカー:上方オリゴヌクレオチドは 5’−CCGCATAACTTCGTATAGCATACATTATACGAAGTTATGC−3'(配列番号35)、下方オリゴヌクレオチドは 5’−GGCCGCATAACTTCGTATAATGTATGCTATACGAAGTTATGCGGCCAAGA−3'(配列番号36)。
attB2リンカーの下方鎖およびLoxPリンカーの上方鎖を、λ−FLC−I−Bの調製で上述した方法に従って、ポリヌクレオチドキナーゼPNK(New England Biolabs)を用いてリン酸化した。
上記2つのオリゴ(配列番号31および32)溶液を一緒に混合し、NaClを100mMの終濃度まで添加した。混合液を65℃で15分間、次いで45℃で10分間インキュベートし、アニーリングを行った。アニールされたオリゴは、クローニングに適する0.5ng/μlに希釈した。同じ処法を上記オリゴペア(配列番号33および34;並びに配列番号35および36)について行い、それぞれアニーリングした。AttB2リンカー(0.5ng)およびLoxPリンカー(0.5ng)を容量5μl中で混合し、連結した。反応チューブを16℃でインキュベートした。20分後、attB1リンカー(0.5ng),KpnIおよびNotI(25ng)で切断したpBluescriptおよびλ−FLC−I−Bからの3kb断片(25ng)を反応チューブに添加して、10μ容量にした。これを次に16℃で一晩インキュベートし、連結断片を含むプラスミドを含むライゲーション溶液を得た。プラスミドを含むライゲーション溶液は、電気泳動によりDH10B細胞中へ導入し、培地上へプレートした。当該組換え体細胞からプラスミドを調製した。細胞を溶解し、プラスミドをXbaIで切断し、プラスミド断片(“断片1”)を得た。
上方オリゴヌクレオチド:5’−GGCCATGAGAT−3'(配列番号37)をもち、下方オリゴヌクレオチドは、5’−CTAGATCTCAT−3'(配列番号38)である結合リンカーを調製した。これら2つのオリゴヌクレオチドをアニールし、“断片2”を得た。
λ−FLC−I−BをNotIで切断し、26kb断片をアガロースゲルで分離し、精製した(“断片3”)。
9kb断片もλ−FLC−I−BをXbaIで切断して調製した(“断片4”)。
これらの断片1から4(26kb左アーム、結合リンカー、スタッファー・プラスミド、9kb右アーム)は、5μlの容量中で連結した。連結溶液をパッケージおよび増幅し、ベクターλ−FLC−II−Cを得た。これらの工程は、標準処法(Sambrookら,1989)に従って、実施した。
上記ベクターλ−FLC−II−Cから、Creリコンビナーゼ(下記参照)でインビトロ切除した後、プラスミドpFLC−II−c(図1cのスタッファーIを含む図2jのプラスミド)を得た。
実施例6:λ−FLC−III−Fの製造
λ−FLC−III−Fベクターは、実施例4の最後に記載のように製造することができるが、しかしながら、他の製造方法も可能である。λ−FLC−III−F製造の一つの代替法は、本実施例に記載されるが、図7に示されている。
λアームおよびスタッファーII(5.5kb)を得るために、10μgのλ−FLC−I−Bの付着末端を、180μlの10mMトリス・Cl(pH7.5)/10mM MgCl中において42℃で2時間インキュベートすることによってアニーリングした。次に、20μLの10x連結反応緩衝液および400UのT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)を加え、その混合物を室温で5時間インキュベートした。このリガーゼを、65℃で15分間インキュベートすることによって失活させた。鎖状体形成したλ−FLC−I−Bを、30単位のXbaI(NEB)で、1x製造者推奨緩衝液中において消化した。この試験管を37℃で2時間インキュベートした。
制限後、λ−FLC−I−B/XbaI DNAを、0.1%SDSおよび20mM EDTAの存在下におけるプロテイナーゼK(Qiagen)処理によって精製し、1:1のフェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、そしてエタノールで沈殿させた(Sambrook et al., 1989)。再懸濁の際の問題を免れるために、DNA濃度は20μg/mLを超えなかった。
少なくとも30分間注意深く再懸濁後、消化したDNAを、0.6%低融点アガロースゲル(Seaplaque(登録商標),FMC)中において8V/cmで1.5時間分離した。29kbのλDNA(LアームとRアームとの間の連結反応生成物)を含有するゲル部分および5.5kbのスタッファーIIを切り取り、TE緩衝液(Sambrook et al., 1989)で平衡させた。これらDNAを、記載されたように(Carninci and Hayashizaki, 1999, Methods Enzymology, 303:19-44)、β−アガラーゼ(New England Biolabs)を用いることによって精製し且つ調べた。
3μgのpBSIISK+(Stratagene)を、9単位のBssHII(NEB)で37℃において2時間消化し、CIP(Takara, Japan)によって脱リン酸化した(Sambrook et al., 1989, 標準的な技法)。
ホーミングヌクレアーゼ部位(I−CeuIおよびPI−SceI)をpBSIISK+中に導入するために、オリゴヌクレオチドアップアダプター鎖:
5’−pCGCGCTAACTATAACGGTCCTAAGGTAGCGAGTCGACGAGAGAGAGAGGATCCATCTATGTCGGGTGCGGAGAAAGAGGTAATGAAATGGCAG−3’(配列番号39)
およびオリゴヌクレオチドダウンアダプター鎖:
5’−pCGCGCTGCCATTTCATTACCTCTTTCTCCGCACCCGACATAGATGGATCCGAGAGAGAGAGTCGACTCGCTACCTTAGGACCGTTATAGTTAG−3’)(配列番号40)
を含む二本鎖のI−CeuI/PI−SceIアダプターオリゴヌクレオチドを(標準的な技法にしたがって)製造し、pBSIISK+/BssHII(NEB)/CIP(Takara, Japan)と連結させた。
pBSIISK+/BssHII/CIPおよびI−CeuI/PI−SceIアダプターは、100ngのpBSIISK+/BssHII/CIP、2ngのI−CeuI/PI−SceIアダプター、400単位のT4 DNAリガーゼ、1x連結反応緩衝液を、5μlの全容量で混合することによって連結した。この試験管を16℃で一晩インキュベートした。
これら連結反応生成物を、DH10B中に導入し、培養した。適当なプラスミドを含有するクローンは、プラスミドを製造することおよびI−CeuIを用いた制限によって選択した(Sambrook et al., 1989, 標準的な技法)。次に、I−CeuI/PI−SceIアダプターを、記載されるスタッファーIf(図1fのスタッファーI)と次のように置き換えた。
I−CeuI/PI−SceIアダプターを含む3μgのプラスミドを、9ユニットのSalIおよび9ユニットのBamHIで30μl中において消化した。SalI−BamHIの短いフラグメントを取り出すために、プラスミド/SalIおよびBamHIを、0.6%低融点アガロースゲル(Seaplaque(登録商標),FMC)中において8V/cmで1.5時間分離した。3kbのDNAを切り取り、TE緩衝液(Sambrook et al., 1989)で平衡させた。この3kb DNAを、記載されたように(Carninci and Hayashizaki, 1999, Methods Enzymology, 303:19-44)、β−アガラーゼ(New England Biolabs)を用いることによって精製し且つ調べた。典型的には、30%〜50%の出発DNAを回収した。
100ngのプラスミドDNAおよび140ngのスタッファーIfを、5μlの全容量中において400ユニットのT4 DNAリガーゼ、0.5μlの10x連結反応緩衝液で連結した。この試験管を16℃で一晩インキュベートした。
これら連結反応生成物を、DH10B中に導入し、培養した。適当なプラスミドを含有するクローンは、プラスミドを製造することおよびBamHIおよびSalIを用いた制限によって選択した(Sambrook et al., 1989, 標準的な技法)。
次の工程において、loxP部位を、ベクター中のamp遺伝子とoriとの間に導入した。loxPは、配列:
5’−GAG−AGT−CTA−GAT−AAC−TTC−GTA−TAG−CAT−ACA−TTA−TAC−GAA−GTT−ATA−AAT−CAA−TCT−AAA−GTA−TAT−ATG−AGT−3’(配列番号41)
を有するXbaI−LoxP Tagプライマー3F(69mer)および配列:
5’−GAG−AGT−CTA−GAT−AAC−TTC−GTA−TAA−TGT−ATG−CTA−TAC−GAA−GTT−ATA−AAA−CTT−CAT−TTT−TAA−TTT−AAA−AGG−3’(配列番号42)
を有するXbaI−LoxP Tagプライマー3R(69mer)を用いたPCRによって(標準的な技法にしたがって)導入した。
得られたPCR産物(7.2kb)3μgを用いて、このPCR産物を、9ユニットのXbaIで37℃において1時間消化した(Sambrook et al.,)。PCR産物/XbaIから得られた短いDNAフラグメントを取り出すために、この消化産物を、0.6%低融点アガロースゲル(Seaplaque(登録商標),FMC)中において8V/cmで1.5時間分離した。7.2kbのDNAを切り取り、TE緩衝液(Sambrook et al., 1989)で平衡させた。この7.2kb DNAを、記載されたように(Carninci and Hayashizaki, 1999, Methods Enzymology, 303:19-44)、β−アガラーゼ(New England Biolabs)を用いることによって精製し且つ調べた。
この7.2kb PCR産物、精製されたアームおよびスタッファーII(5.5k)を、25ng:100ng:19ngの比率で、400ユニットのT4 DNAリガーゼで連結した(Sambrook et al., 1989)。
この連結反応溶液をパッケージングし且つ増幅させて、ベクターλ−FLC−III−Fを得た。これら工程は、標準法(Sambrook et al., 1989)にしたがって行った。
実施例7:λ−FLC−III−Eの製造
λ−FLC−III−Eベクターは、他のFLC−IIIベクターのスタッファーIをスタッファーIeで置き換えることによって製造することができる。
本実施例において、λ−FLC−III−Eは、次の工程にしたがって、実施例6で製造されたλ−FLC−III−FベクターのスタッファーIfをスタッファーIe(すなわち、図1eのスタッファーI)で置き換えることによって得た。
10μgのλ−FLC−III−Fの付着末端を、180μlの10mMトリス・Cl(pH7.5)/10mM MgCl中において42℃で2時間インキュベートすることによってアニーリングした。次に、20μLの10x連結反応緩衝液および400UのT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)を加え、その混合物を室温で5時間インキュベートした。このリガーゼを、65℃で15分間インキュベートすることによって失活させた。
この時点で、鎖状体形成したλ−FLC−III−Fを、必要な制限酵素で、30ユニットのBamHI、30ユニットのSalIおよび40μlの10xBamHI緩衝液(全て、New England Biolabs より購入される)を400μlの全容量で加えることにより消化した。この試験管を37℃で2時間インキュベートした。
制限後、DNAを、0.1%SDSおよび20mM EDTAの存在下におけるプロテイナーゼK(Qiagen)処理によって精製し、1:1のフェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、そしてエタノールで沈殿させた(Sambrook et al., 1989)。再懸濁の際の問題を免れるために、このDNA濃度は20μg/mLを超えなかった。
少なくとも30分間注意深く再懸濁した後、消化したDNAを、0.6%低融点アガロースゲル(Seaplaque(登録商標),FMC)中において8V/cmで1.5時間分離した。λDNAを含有するゲル部分を切り取り、TE緩衝液(Sambrook et al., 1989)で平衡させた。このλDNAを、記載されたように(Carninci and Hayashizaki, 1999, Methods Enzymology, 303:19-44)、β−アガラーゼ(New England Biolabs)を用いることによって精製し且つ調べた。典型的には、30%〜50%の出発λ−DNAを回収した。
スタッファーIe(図1e)を得るために、10ngのλ−FLC−I−Eを、30ユニットのBamHI、30ユニットのSalIで、200μlの1xBamHI緩衝液中において消化した。この試験管を37℃で2時間インキュベートした。
制限後、5kbのDNAフラグメントを、0.6%低融点アガロースゲル(Seaplaque(登録商標),FMC)中において8V/cmで1.5時間分離した。この5kb DNA(スタッファーIe)を切り取り、TE緩衝液(Sambrook et al., 1989)で平衡させた。この5kb DNAを、記載されたように(Carninci and Hayashizaki, 1999, Methods Enzymology, 303:19-44)、β−アガラーゼ(New England Biolabs)を用いることによって精製し且つ調べた。典型的には、30%〜50%の出発DNAを回収した。
スタッファーIfが取り出されたλ−FLC−III−Fと、スタッファーIe(上のように製造される)とを、10μlの1x連結反応緩衝液(NEB)中において400ユニットのT4 DNAリガーゼと混合することにより連結した(比率は210ng対30ngであった)。この試験管を16℃で一晩インキュベートした。
この連結溶液をパッケージングし且つ増幅させて、ベクターλ−FLC−III−Eを得た。これら工程は、標準法(Sambrook et al., 1989)にしたがって行った。
実施例8:pDEST−Cの調製
pBluescriptIISK+(Stratageneより購入)をAacIおよびKpnI制限酵素で切断し、次いでT4 DNAポリメラーゼ(Sambrookら,1989)でブランティングし、2つの断片を得た。短い断片はアガロースゲル電気泳動により除去し、長い断片を精製し、回収した。精製された長い断片は、標準法(Sambrookら,1989)に従って、16℃で一晩RfBカセットと連結し、電気穿孔によりDH10B細胞中へ導入した(Sambrookら,1989)。組換え体クローンを増幅し、プラスミドを抽出した(pDEST−A)。pDEST−A中のBssHII断片を逆位させるため、pDEST−AをBssHII制限酵素で切り、フェノール/クロロホルムにより抽出し、エタノールで沈澱させ(Sambrookら,1989)、2つの断片を得た。pDEST−Aの消化産物であるこれら2つの断片は、RfBカセットを180度逆転させて16℃で一晩連結させ(Sambrookら,1989)、得られたプラスミドを電気穿孔によりDH10B細胞へ導入した。逆位された当該断片をもつクローンを、制限マッピングにより選択した(pDEST−C)(Sambrookら,1989)。
実施例9:pFLC−DESTの調製
λ−FLC−II−CおよびpDONR201(Life Technologies)をBPクロナーゼ(Life Technologies)により組換えた。次に当該組換えベクターをpDEST−Cと混合し、LRクロナーゼにより組換えた。その反応溶液を電気穿孔によりDH10B細胞へ導入し、組換え体クローンをアンピシリンを含むLBプレート上で選択した。組換え体細胞を増幅し、プラスミド(pFLC−DEST)を調製した。
実施例10:精製pFLC−III−fの調製
100ngのλ−FLC−III−Fを1UのCreリコンビナーゼ(インビトロcre−lox仲介リコンビナーゼ)により300μl中、37℃1時間処理し、FLC−III−fプラスミドを切り出した。このプラスミドを次にフェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた(Sambrookら、1989、に従う)。回収されたプラスミドは2.5kb/cmでDH10B(Life Technologies)中へ電気穿孔した。細胞をアンピシリンを含むLB寒天、X−gal(Sambrookら)上に広げ、37℃で一晩培養した。アンピシリンを含むLBプレートからの青いコロニーを拾い上げ、QIAGENキットを用いてプラスミドを調製した。
このプラスミドは以下の工程により、制限酵素(I−CeuI,PI−SceI)で消化した。
第1制限消化工程:20μlの10xI−CeuIバッファー,20μlの10xBSAおよび3UのI−CeuIの溶液(全容量200μl)をチューブ内に調製し、37℃で5時間インキュベートした。
第2制限消化工程:22.5μlの10xPI−SecIバッファーおよび3UのPI−SceIを加え、得られた溶液を37℃で5時間インキュベートした。この工程の後、チューブを65℃で15分間加熱した。次に、消化DNAをプロテイナーゼK処理(Sambrookら、1989)により精製し、フェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた(Sambrookら、1989、に記載のとおり)。慎重に再懸濁した後、消化DNAは、以下のように0.8%低融点アガロースゲル中で分離した。50Vで1.5時間電気泳動後、DNA断片(2.9kb)をゲルから切り出し、回収した。それらはQIAGEN QIAquick Gel Extraction キットで精製し、次いでライゲーションに使用した。
実施例11:cDNAの調製およびクローニング
完全長cDNAは文献記載(CarninciおよびHayashizaki,1999,上記に同じ;Carninciら,1997,DNA Res.,4:61−66)のように調製し、クローニングの前に均等化および/または差引き化した(Carninciら,2000,Genome Res.,10:1617−1630)。25UのBamHI(New England Biolabs)/μg cDNA(3’端を切断するため)および25UのXhoI(Fermentas Vilnius, Lithuania)/μg cDNA(5'端を切断するため)で消化し、当該cDNAを1.3Uの熱感受性シュリンプアルカリ性ホスファターゼ(SAP;Amersham Pharmacia Biotech)/μg cDNAで処理し、大容量クローニングベクター類を扱う場合に問題となるcDNAのコンカテマー化およびキメラ化を回避した。次いで、当該cDNAをプロテイナーゼKで処理し、フェノール/クロロホルムで抽出し、CL−4Bスピンカラム(Amersham Pharmacia Biotech)にかけた。精製されたcDNAはエタノール沈澱させる(CarninciおよびHayashizaki,1999,上記に同じ)か、サイズ分画した。アガロースゲルを使ってサイズ分画したcDNAについては、均等化/差引化は適用しなかった。この工程は、前記ベクターのλアームの単離に用いられたものと同様である:すなわち、電気泳動の方向を、短い断片が流出した後に、逆転させるものである(電気泳動を続行する前にバッファーを交換した)。cDNAは、既述のようにβアガラーゼ(New England Biolabs)を用いるか、7M塩化グアニジンの存在下で、文献記載(Boom,1990,J.Clin.Microbiol.,28:495−503)と実質的に同様に、酸で2回洗浄し、サイズ分画した珪藻土(Sigma)に結合させさせて、前記ゲルから分離した。
cDNAおよびベクターの連結は常に(CarninciおよびHayashizaki,1999,Methods Enzymology,303:19−44)に従って、T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)を含む5μL反応液中で等モル比で行った。cDNAの量は、第1および第2鎖の合成の際に取り込ませた放射能により推定した(CarninciおよびHayashizaki,1999,上記に同じ)。ベクター上のクローニング部位はSalI(XhoAとの付着末端)およびBamHI部位を用いたが、λ−FLC−II−CベクターについてのみはXhoIおよびBamHI部位を用いた。
cDNA配列分析は、文献記載(Shibataら,2000,Genome Res.,10:1757−1771)のように行い、配列分析およびクラスタリングは、文献記載(konndoら,2001,Genome Res,11:281−289)のように実施した。
実施例12:cDNAライブラリーのバルク切出し
I)In vivo固相切出し(従来技術)
cDNAはE.coliC600細胞中で増幅した。約1〜5x10pfuをLB寒天の150mm皿上にプレートし、10mM MgSOを含むLB寒天を上乗せし、集密状態(コンフルエント)になるまで一晩増殖させた(Sambrookら,1989,上記に同じ)。続いて、ファージ粒子をSMバッファーで溶出し、力価を測定した。次に、BNN132細胞をLBブロスおよび10mM MgSO中で一晩増殖させた。細胞をペレット化し、10mM MgSO中に再懸濁し、直ちにファージライブラリーに感染させ、それをin vivoでプラスミドDNAライブラリーに転換し、LBアンピシリンプレート上にプレートした。
II)In vivo液相切出し
上記のように調製した5 x 1010までのファージ粒子を、10mLの、ペレット化および10mM MgSOに再懸濁した後、一晩増殖させたBNN132細胞(OD600= 〜0.5),に感染させ、次いで100μg/mlのアンピシリンを補給した90LB培地中で培養した。30℃または37℃で1、2、または3時間後に培養を停止し、Wizard Plus Midiprep DNA Purification System(Promega)を使ってプラスミドを抽出した。このプラスミドライブラリーを、上記のように(Shibataら,2000,上記に同じ)配列分析操作に適した2.0Kv/cmで、DH10B細胞(Life Technologies)へ電気穿孔した。
III)In vitro Cre−lox仲介切出し
ファージcDNAライブラリーを、既述のように、C600細胞中で増幅した。その増幅ファージ溶液から、Wizard Lambda Preps DNA Purification System (Promega)を使って、ライブラリーファージDNAを単離した。得られたファージDNAの4分の1を、推奨(Novagen)されているように,300μL中37℃1時間1UのCreリコンビナーゼで処理して、プラスミドへ転換し、次いで精製した(Sambrookら、1989、に従って、プロテイナーゼK処理、フェノール/クロロホルム抽出およびエタノール沈澱)。バルク切出しプラスミドライブラリーは、2.0kV/cmでDH10B細胞(Life Technologies)中へ電気穿孔した。
IV)Gateway仲介バルク切出し(「間接的」)プロトコール
16ngのライブラリーファージDNA,300ngのpDONR201(Instruction Manual,Gateway Cloning Technology,GibcoBRL,Life Technologies),4μLのBPバッファー,およびBP Clonase酵素ミックス(Life Technologies)を20μLに混合した。25℃で一晩インキュベートし、次いで0.2%SDSおよび10mM EDTAの存在下で、45℃で15分間プロテイナーゼK処理を行った。1μgのグリコーゲンを添加し、フェノール/クロロホルムおよびクロロホルムを用いて反応物を抽出した;得られた試料をイソプロパノールを用いて沈澱させた。沈澱を,300ngのpDEST12.2(Life Technologies),4μLのLRバッファー,および4μLのLR Clonase酵素ミックスと混合し、20μLの容量とした。当該試料は、プロテイナーゼK/フェノール クロロホルム抽出、次いでエタノール沈澱により、さらに精製した。
V)「増幅間接的」プロトコール
試料は、BP Clonase反応までは、前のプロトコール(Gateway仲介バルク切出し「間接的」)のときと同様に処理した。20μLの反応物のうち1μLをDH10B細胞へ電気穿孔した。細胞を、カナマイシンを含むLB上に広げ、得られたコロニーをプラスミド抽出(Sambrookら,1989)に付した。調製されたプラスミドは、個々にLR Clonaseと反応させ、前と同じように精製および電気穿孔した。
VI)「1チューブ」(「直接的」)プロトコール
処法は、BP Clonase反応(Life Technologies)までは、前記間接的プロトコールと同じである。次に、450ngのPDEST12.2,6μLのLR Clonase酵素ミックス、および1μLの0.75M NaClを、前記チューブ(全容量30μL)に加えた。この試料を、既述のように、LR Clonaseで処理し、精製した。当該BP/LR反応試料は、滅菌水に溶解し、DH10B細胞中へ電気穿孔した。形質転換細胞は、アンピシリンまたはカナマイシンを含むLBプレート上に広げ、37℃で一晩培養した。
各切出し法の転換頻度を査定するため、LBプレートの60のランダムコロニーからプラスミドを調製した。それらのプラスミドをPvuIIで切断し、挿入体のサイズを0.8%アガロースゲルを用いて分析した。なお、転換効率は、アンピシリンまたはカナマイシン含有プレート上にできるコロニーを計数することによっても算定できる。
実施例13:ホーミングエンドヌクレアーゼ系:挿入体のライゲーション仲介転移用ベクター:λ−FLC−III−F
(1)インサートcDNA標品
cDNAライブラリーは、ホーミングエンドヌクレアーゼI−CeuIおよびPI−SceI(New England Biolabs)を両側のクローニング部位(SalIおよびBamHI)に有するλ−FLC−III−Fベクター(実施例6)中に、cDNA(Carninci et al., 2000, Genome Research, 10:1617-1630 の場合のように製造される)をクローニングすることによって製造した。これらホーミングエンドヌクレアーゼは、それぞれ、26bpおよび39bpの配列を認識し且つ切断するが、マウスゲノムを切断しない(事実、これらホーミングエンドヌクレアーゼは、統計的には、それぞれ、1.8x1018塩基対毎に1回および1.2x1024塩基対毎に1回切断し、したがって、Human および Mouse のような、全サイズが約3x10塩基対であるきわめて複雑なゲノムをちょうど1回で切断するとは全く考えられない)。したがって、それらは、ライブラリー中の幾万ものクローンのいずれかを内部切断することなくcDNAをサブクローニングするのに最適である。
ファージcDNAライブラリーを、キャップ・トラッパー技術(Carninci et al., 2000, Genome Research, 10:1617-1630)の一つの変法にしたがって製造し、λ−FLC−III−F中にクローン化し、そしてC600細胞中で増幅させた(Sambrook et al., 1989)。1mlの増幅ファージ溶液から、Wizard Lambda Preps DNA Purification System(Promega)を用いることにより、ライブラリーファージDNAを単離した。精製されたライブラリーファージDNAを、制限酵素(I−CeuI,PI−SceI)で消化した。第一制限工程:5μlの10xI−CeuI緩衝液、5μlの10xBSAおよび2.5UのI−CeuIの溶液(全容量50μl)を、試験管中で調製し、37℃で4時間インキュベートした。
この工程後、この制限試験管を、65℃で15分間加熱した。消化したDNAを、プロテイナーゼK処理(Sambrook et al., 1989)によって精製し、フェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、イソプロパノールで沈殿させ、そしてきわめて注意深く再懸濁させた。第二工程制限は、次のように行った。40μlの水中にDNAを再溶解させ、5μlの10xPI−SceI緩衝液および4UのPI−SceI(New England Biolabs,全容量50μl)を加え、37℃で4時間インキュベートする。この工程後、この制限試験管を、65℃で15分間加熱した。消化したDNAを、プロテイナーゼK処理によって精製し、フェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、イソプロパノールで沈殿させ、そしてきわめて注意深く再懸濁させた(Sambrook et al., 1989 の場合のように)。
(2)pFLCIII−f標品
λ−FLCIII−Fベクター(実施例6)を、in vitro cre−lox媒介リコンビナーゼで切除した。最初に、100ngのλ−FLCIII−Fを、1Uのcre−リコンビナーゼで、300μlの最終容量中、37℃において1時間処理した。次に、フェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、イソプロパノールで沈殿させた(Sambrook et al., 1989)。これらプラスミドを、大腸菌(E.coli)DH10B(Life Technologies)中に、製造者の指示にしたがって2.5kv/cmでエレクトロポレーションした。細胞を、50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天(Sambrook et al., 1989)上に塗抹した。LacZスタッファーIを有するプラスミドを比色分析検出して、後のバックグラウンド識別を容易にするために、9cmペトリ皿中のアガロース表面に、40マイクロリットルの2%X−galおよび7マイクロリットルの200mM IPTGも加えた(理論的考察について:Sambrook et al., 1989)。このプレートを37℃で一晩培養し、その後日(the day after)に数十個のコロニーが現れる。一つの青色コロニーを上のLBから採取し、50mlのLB培養液/50マイクログラム/mlアンピシリン中に接種し、そして300rpmで振とうしながら一晩成長させた(Sambrook et al., 1989)。翌日、QIAprepスピンミニプレプキット(QIAGEN)によってプラスミドDNAを製造した。
(3)プラスミドベクター標品(スタッファーIの除去)(図8も参照されたい)
この工程は、組み換えを最大限にするために、スタッファーI(この場合、図1fのスタッファー)を欠いたプラスミド(この場合、pFLC−III−f)を製造するためである。
3μgのプラスミドcDNAを、制限酵素(I−CeuI,PI−SceI)で消化した。第一工程において、制限は、50μlの全容量において、5μlの10xI−CeuI緩衝液(New England Biolabs)、5μlの10xBSA(New England Biolabs によって供給される、酵素を含むウシ血清アルブミン)および4UのI−CeuI(New England Biolabs)の存在下で行い、37℃で4時間インキュベーションした。この工程後、この制限試験管を、65℃で15分間加熱した。消化したDNAを、プロテイナーゼK処理によって精製し、フェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、イソプロパノールで沈殿させ、そしてきわめて注意深く再懸濁させた(Sambrook et al., 1989)。第二制限工程は、5μlの10xPI−SceI緩衝液(New England Biolabs)、4UのPI−SceI(New England Biolabs)を補足された50μlの全容量で行い、37℃で4時間インキュベートした。この工程後、この制限試験管を、65℃で15分間加熱した。消化したDNAを、プロテイナーゼK処理によって精製し、フェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、イソプロパノールで沈殿させた(Sambrook et al., 1989)。きわめて注意深く再懸濁した後、消化したDNAを、TAE(トリス−アセテート−EDTA;Sambrook et al., 1989 を参照されたい)で緩衝化された0.8%低融点アガロースゲル(seaplaque アガロースFMC)中で分離した。引き続きの工程において、50Vで1.5時間の電気泳動後、エンプティープラスミドベクター(2.9kb)に該当するDNAフラグメントをゲルから切り取り、QIAGEN QIAquick Gel Extraction キット(QIAGEN)によって精製した。
(4)切断されたプラスミドpFLC−III−fおよびcDNAインサートの連結反応(図8も参照されたい)
7.5ngの製造されたインサートと、上の工程(3)で製造された100ngのpFLCIII−fプラスミドベクターとを、10xT4 DNAリガーゼ緩衝液(New England Biolabs)および200UのT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)も含有する100μlの最終容量で混合し、16℃で一晩インキュベートした。連結されたプラスミドを、DH10B中に製造者の指示にしたがって2.5Kv(Kilovolt)/cm(Invitrogen)でエレクトロポレーションした。細胞を、(上のように)アンピシリンを含有するLB上に塗抹し、37℃で一晩培養した。次に、無作為に12コロニーを採取し、プラスミドを製造し(3mlのLB培養液/50マイクログラム/mlアンピシリン中に接種)、そして300rpmで振とうしながら一晩成長させた(Sambrook et al., 1989)。プラスミドDNAを、Quiagen プラスミドDNA抽出キットで製造した。
これらプラスミドを、1X PvuII緩衝液の存在下においてPvuII(New England Biolabs)で切断し、それらのインサートサイズを、臭化エチジウムで染色された0.8%TBEアガロースゲルを用いて分析した(Sambrook et al., 1989)。
(5)結果
力価:pFLCIII−f+インサート(cDNA):2.1x10pfu/ml
インサートサイズ検査(平均サイズ)
ここで示される切除プロトコール:3.07kb
in vitro Cre−lox媒介リコンビナーゼ(対照実験):3.1kb。
この対照実験では、実施例12のような後述のプロトコールにしたがって Cre−loxで切除されるのと同じライブラリーが構成された(番号III,in vitro Cre−lox媒介切除)。
当該技術分野において、制限酵素の使用が高いサイズバイアスを与えるということは知られている。事実、連結反応によって製造されるプラスミドライブラリーは、通常は、λ切除cDNAライブラリーの半分のサイズを示す(表2において、小脳ライブラリーは、pBluescript中の1.4Kbであるが、λ−FLC−I−Bについては3.36Kbである。このサイズは、41.6%にすぎないので、きわめて有効ではない)。
この実施例においては、代わりに、ホーミングヌクレアーゼを含むサイズは、3.0kbに対して3.07kbであり、その99%は、ほとんど関係のないサイズ偏向である(1%のサイズ偏向は、統計的変動に入る)。結論として、本発明者は、ホーミングエンドヌクレアーゼ制限酵素を用いた切除システムが有効な切除システムであるということを証明した。
実施例14:サイズ選択用ベクターおよびバックグラウンド低減系
図1および2に示すλ−FLC−I−Bおよび他のベクター類は、完全長マウスcDNAのライブラリーの調製に使われて成功し、〜0.2から15.4kb cDNAのクローニング容量をもつことが示された。
強く差引き化されたキャップトラップドcDNAのクローニングを試みたとき(Carninciら,2000,Genome Res.,10:1617−1630に記載の方法)、cDNA不足(10ng以下)のため、λ−FLC−I−Bの使用は、ある種のバックグラウンドをもたらした。このバックグラウンドが20ないし30%を超えると、後の大規模配列決定操作のコスト性能に影響した。より低いバックグラウンドのベクターを開発するため、プラスミド中へ切出されるλファージライブラリーのバックグラウンドを減らすための新しい非常に有効な方法を開発した。すなわち、λ−FLC−I−B中のスタッファーIを,図1e中のものと置換し、λ−FLC−I−Eを産生した。このベクターのスタッファーは、「自殺遺伝子」ccdB(BernardおよびCouturier,1992,J.Mol.Biol.,226:735−745)の2コピーおよびブルー・ホワイト選択用の機能性LacZとをもっている(図1f)。pBluescript由来断片中にあるLacZは、スタッファーIまたはクローン化cDNAのいずれかにより破断されるので、非機能性であることに注目すべきである。興味深いことに、ccdB遺伝子をもつλファージは、E.coliC600中で複製できる;このことは、ccdB遺伝子産物の標的であるDNAジャイレースは、λファージの溶解サイクルの際には存在する必要がないことを示唆している。
前記切出し手順の後、切出しベクター(挿入体なし)の300pgまでに相当する量をプレートしたが、コロニーは全く得られなかった。それに対する対照実験で、3.6kb挿入体をもつが、スタッファーの代わりのccdBをもたない同様な構築体の〜3.5pgに相当する量をプレートしたところ、1175以上のコロニー(バックグラウンドに相当)を得た。この差は、λ−FLC−III−F(後述)の場合と同様に、少なくとも105倍という圧倒的なバックグラウンド低減を示している。
実施例15:DNAコンタミネーションバックグラウンド
図1d−fに示した、テストしたバックグラウンド低減スタッファーはいずれも、非組換え体ベクターに由来するバックグラウンドを検出可能な程度に産生しなかったので、互換性があると考えられる。λ−FLC−I−E,λFLC−C−F,λ−FLC−III−D,λ−FLC−III−S−F,およびλ−FLC−I−L−Dなどのベクターの場合、そのバックグラウンドは環境DNAコンタミネーションによる。あるテスト実験では、λ−FLC−I−Eに何のcDNAも連結しなかった。λプレーティング段階では、低減すべきバックグラウンドがなかったので、得られた8.4 x 10pfu/μgベクターという値は、非組換え体ベクターの寄与を含んでおり、これに対して、正のコントロールの代表的な値は >10pfu/μgであった。当該バックグラウンドプラークを増幅し、プラスミドを切出し、12クローンを分析し、異なる電気泳動パターンを示す代表的な試料の配列分析を行った。選択後に残ったバックグラウンドクローンは、ベクターDNA調製中の死んだE.coli細胞からの残物と思われるE.coliゲノム由来のものだけで、どの挿入体にもベクター配列は見られなかった。それ故、バックグラウンドを完全に無くすのが目標であれば、すべてのコンタミゲノムDNAをλDNA調製物から排除しなければならないし、恐らくさらに重要なことは、cDNAが、容易にクローニングできるように、無傷の末端をもたなければならないことである。
実施例16:バックグラウンド低減loxP系
スタッファーIに関連するバックグラウンド低減は、λ−FLC−I−Eのスタッファーの場合と異なる。ccdBの単一コピーおよびスタッファーIに挿入した追加のloxPサイト(図1f)を用いて、二重の戦略を独立にテストしたためである。その切出し過程の際、図1iに示すように、第3のloxPサイトは、bla(アンピシリンに耐性を付与するためのβラクタマーゼ遺伝子)からの複製起点の分離を生じやすい。この問題を解決するため、λベクター中のプラスミド配列とloxPエレメントの順序を操作して、スタッファーI上のloxPがblaと複製起点の間になるようにした。これにより、どの欠陥切出しプラスミドも、複製または抗生物質耐性の獲得が不可能になる(図1i)。
予備実験で、スタッファーとして図1iのバックグラウンド低減配列のみを含み、ccdB遺伝子のないλ−FLC−III型ベクターを構築した。当該切出しプラスミドの〜3.5pgから43コロニーを得たが、これに比べて、loxPバックグラウンド低減配列およびccdB遺伝子の両方を欠く、同じサイズのコントロール切出しプラスミドの〜3.5pgからは771コロニーが得られた。従って、当該loxPバックグラウンド低減配列は、バックグラウンドの94.4%を排除したことになる。ccdBを当該loxP含有スタッファーに加えたところ、得られたベクターは、図1fのようにバックグラウンド低減エレメントをもつ切出しプラスミドを350pgまでも電気穿孔した場合でも、全くコロニーを生じなかった。この結果は、少なくとも7.7 x 104倍のバックグラウンド低減に相当し、この数値は、前記λ−FLC−I−Eベクターのバックグラウンド低減エレメントで得られたものと同様である。λ−FLC−III−Fおよびλ−FLC−I−Eの両ベクターのバックグラウンド低減系は、完全長cDNAクローニングの目的に十分と考えられた。
実施例17:cDNAライブラリーのバルク切出し
バルク切出し前に、標準法(Sambrookら,1989)に従って、cDNAライブラリーを固相培地上で場合により増幅した。この方法は、cDNAライブラリーのサイズを減少しないが、長いファージを選択的にパッケージするため、約≦0.5kbのcDNA挿入体をもつファージの頻度を(排除はしないが)減少させる。C600細胞中での増幅は、cDNAのクローニングに使われるヘミメチル化(CarninciおよびHayashizaki,1999,上記に同じ)を排除する。一次cDNAライブラリーのヘミメチル化cDNAは,BNN132中のin vivo切出し(後記)の際に切断されると思われる。
I)Cre−loxに基づく切出し−In vivo固相切出し
In vivo固相切出し法(図3)(本分野の現行技術を代表する)は、増幅されたcDNAライブラリーを、構成的にCreリコンビナーゼを発現するBNN132細菌株(Elledgeら,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:1731−5)へ感染させるだけなので、簡単のように思える。しかしこの方法は、プラスミドの不安定性(Summersら,1984,上記に同じ)およびプラスミドの低収量(Palazzoloら,1990,上記に同じ)のため、推奨できない。実際、Creリコンビナーゼが構成的に発現され、プラスミドの2量体や多量体を形成させ、高率の無プラスミド細胞を生成し(Summersら,1984,上記に同じ)、配列決定の効率を損なう。cDNAライブラリーの宿主株としてBNN132を用いると、決まって、プラスミドは低収量で、長期の培養後に消失することが確かめられている。
II)Cre−loxに基づく切出し−In vivo液相切出し
In vivo液相切出し法は、長期培養後のプラスミドの消失および低収量の問題を克服した:すなわち、30℃または37℃で短期培養後、切出しプラスミドcDNAライブラリーを抽出し、DH10Bなどのいずれか適当なE.coli株へ電気穿孔する。当該プラスミドを低コピー数に保つことにより、ライブラリーのサイズを非バイアスに保持すると考えられる30℃(Lin−Chaoら,1992,Mol.Microbiol.,6:3385−3393)またはプラスミドが高いコピー数で発現される37℃で、1、2、または3時間の培養/切出し後に、切出しライブラリーのサイズについて同じような結果が得られた。コピー数は、cDNA挿入体のサイズに逆比例することも認められた。λ−FLC−I−B中にクローニングされたcDNAライブラリーを切出した場合、切出し後の最終力価は、30℃で1時間培養後2.4 x 10cfu/μg、30℃で2時間後9.1 x 10cfu/μg、および30℃で3時間後1.4 x 10cfu/μgであった。37℃での増殖後の力価は、1時間のインキュベーション後1.5 x 10cfu/μg、2時間後9.8 x 10cfu/μg、および3時間後2.8 x 10cfu/μgであった。平均挿入体サイズはそれぞれ、30℃で1、2、および3時間の場合4.1,3.9,および3.3kb、および37℃で1、2、および3時間の場合2.9,3.6,および3.8kbであった。これらの結果は、挿入体の長さまたはBNN132E.coli培養の温度および期間に関し、特記するような切出し関連の問題がないことを示唆している。当該Cre−lox切出し系に関連するサイズバイアスをよりよく定量するため、10kbスタッファーをもつ同数の非組換え体λ−FLC−I−Bベクターを、増幅cDNAライブラリーからのファージと混合し、細胞に感染させた。10kb挿入体を含むクローンの割合は、上記条件のすべてで50%近くであった。この結果から、当該Cre−lox切出し系のサイズバイアスに対する強健さが確かめられた。本in vivo液相切出し法の長所のなかには、高いDNA収量があり、それは、増幅されたライブラリーのサイズを減らす恐れがあるプラスミド増幅工程を避けながら、現存cDNAライブラリーのさらなる均等化/差引き化(Bonaldoら,1996,Genome Res.,6:791−806)に使える、GeneII−ExoIIIを用いる終始一貫した量の1本鎖プラスミドDNAの産生のような、下流操作を容易にする。
III)Cre−loxに基づく切出し−In vitro切出し
In vivo液相切出し法は、サイズバイアスを示さないが、なお短いラウンドのライブラリー増幅が含まれ、それが配列特異的、再現的バイアスの原因となる可能性がある。そこで、Cre仲介組換えに基づくin vitro切出し法を開発した。この切出し系は、増幅cDNAライブラリーからの精製λDNAを使い、続いて電気穿孔を行うものである。その適用に当っては、長いBAC挿入体について記載された電気穿孔条件をテストした(Shengら,1995,Nucl.Acids Res.,23:1990−1996)。PvuIIによる制限消化後の60プラスミドのサイズ分析の結果に照らすと、1.7から2.5kV/cmのパルスを用いた場合、プラスミドcDNAライブラリーの最終サイズに有意な差は認められなかった。本Cre−lox in vitro切出しプロトコールは、BNN132中でcDNAライブラリーの短期増幅工程さえ必要とせず、サイズバイアスに関して優れており、さらに、ここに記載されているすべてのベクターで使用可能なため、ここでテストした中では最適と考えられた。
IV)Gateway TM 系仲介切出し
λ−FLC−II−Cの場合、pFLC−IIプラスミド切出しのCre−lox切出しプロトコール(図2h)に加えて、Gateway系に基づくバルク切出し用のプロトコールを開発した。
挿入体をまずエントリーベクターpDONR201(Life Technologies)に移入し、次いでデスティネーションベクターpDEST12.2(Life Technologies,構造は示されていない)に移した。
ここで調製したλ−FLC−II−Cベクターは、個々のクローンまたはバルクライブラリーを、異なる機能性ベクター(図2c)中へまたはシークエンスのためにpFLC−DEST(図2j)中へ移入するためのGateway aatB1およびattB2配列(Waihoutら,2000,上記に同じ)をもっている。
3つのGateway切出しプロトコール(「間接」、「増幅間接」、「直接」プロトコール)は、図3に概要を示し、上記実験の部に記載してある。
前記Gateway仲介バルク切出しプロトコールはいずれも、前記Cre−loxバルク切出し処法の代わりとして有効である。事実、対照のCre−lox反応(in vitro Creリコンビナーゼプロトコール)の場合、切出しcDNAサブライブラリーからの60クローンの平均サイズは2.3kbであり、「間接」プロトコールの場合2.4kbで、「増幅間接」プロトコールの場合2.5kbで、「直接」プロトコールの場合3.3kbであった。切出し前のこのcDNAの平均サイズは3.7kbであった。その最終サイズがゲル上のmRNAの平均サイズに近いことを考えると、本切出し系は満足できるものである。いずれにせよ、当該Gateway仲介切出し系は、Gateway切出しプロトコールの使用が可能なλ−FLC−II−C中へのクローニングに十分量のcDNAが利用できる場合には、極めて魅力的である。ここでは、シークエンス操作の必要性に照らして、デスティネーションベクターとしてpFLC−DEST(図2j)を使用した。
実施例18:6.0kbおよび5.5kbスタッファーIIベクター間の比較例
1)ベクター構築
5.5KbのスタッファーIIをもつλ−FLC−Iを、上記実施例で既に述べたように構築した。そのクローニングサイズを比較するため、6.0KbのスタッファーIIをもつλ−FLC−Iを構築した。当該5.5KbスタッファーIIにHindIIIサイト中の0.5Kb断片を加えた。0.5Kb断片は、マウスゲノムDNAのHindIIIによる制限消化で得た。マウスゲノムDNAをHindIIIで消化し、0.5Kb断片をゲル電気泳動により分離した。当該断片は、pBluescript + (stratagene)中へサブクローニングし、HindIIIにより切断し、そのpBluescript中へサブクローニングした5.5KbスタッファーII上のHindIIIサイトへ挿入した。前記6.0KbのスタッファーIIは、AscIの制限消化により回収し、10KbスタッファーIおよびpBluescriptとともに、左アームおよび右アームへ連結した。
2)クローニング用のアームの調製
λDNAは、QIAGEN lambda Midi kit(#12543)により調製した。
10μgの当該ラムダDNAの付着末端を、180μlの10mM Tris−Cl pH7.5,10mM MgCl2中、42℃で2時間インキュベートによりアニールし、20μlの10xライゲーションバッファーおよび400単位のT4 Ligase(いずれもNEB Kit)を加え、室温で7時間インキュベートし、次いで65℃で15分間リガーゼを不活性化した。上記λDNAは、50mM,100mM、および150mMのNaCl(3工程のそれぞれの終濃度)を添加する3工程で、制限酵素(すべてNew England Biolabs, Inc.より購入)で消化した。第1工程の制限消化は、両ベクターにつき、50mM NaCl中で、2μlの5M NaCl,10μlのNEB2バッファー,73μlのH2O,40単位のXhoI,20単位のSpeIおよび32単位のPacIの添加により行い、次いで試料を37℃で2時間インキュベートした。第2工程は、100mM NaCl中で、2μlの5M NaCl,20μlの10xNEB3バッファー,180μlのH2Oおよび20単位のSwaIの添加により行い、室温で2時間インキュベートした。この工程後、反応チューブを65℃で15分間加熱した。最後に、第3工程は、150mM NaCl中で、5μlの5M NaCl、60単位のSalIおよび60単位のBamHIの添加により行い、37℃で4時間インキュベートした。制限消化後、DNAは、0.1%SDSおよび20mM EDTAの存在下でProteinase K処理により精製し、フェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた(Sambrookら,1989)。DNA濃度は、再懸濁問題を避けるために、20μg/mlを超えないようにした。少なくとも30分間かけて、極めて慎重に再懸濁した後、当該消化DNAを、下記の工程で、0.7%低融点アガロースゲル(Seaplaque,FMC)中で分離した。8V/cmで1.5時間電気泳動後、StyI消化λDNAの19Kbより短いDNA断片は、ゲルからカットオフされた(工程1)。次に、その電気泳動バッファー(1xTBE)を新しいものと替え、ゲル中に残ったDNAを8V/cmで2.5時間逆方向に電気泳動した。この時点で19kbより短いDNAは、再度カットオフされた(工程2)。バッファーを再び替えた。ゲル中に残ったDNAを、より短い反応容量のλアームDNAを含む領域をコンパクトにするために、8V/cmで30分間、工程1と同じ方向に電気泳動した。最後に、λアームDNAをカットオフし(工程3)、ゲルをTEバッファーで平衡化後(Sambrookら,1989)、βアガラーゼ(NEB)で、既報(CarninciおよびHayashizaki,1999,上記に同じ)のように精製およびチェックした。
3)テスト挿入体の構築
250bpテスト挿入体
λDNAをPstIで消化し、2%低融点アガロースゲル中で電気泳動した。200−300bpバンドをカットオフし、QIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen)により精製した。200−300bpのPstI断片をpBluescript中へサブクローニングし、BamHIおよびSalIで消化した。250bp BamHI−SalI断片を2.0%低融点アガロースゲル中で分離し、切り取って、Qiagen Kitで精製した。
2kbテスト挿入体
2.0KbマウスcDNAを含むプラスミドをPCR鋳型として用いた。2Kb挿入体を1stBSプライマーおよび2ndXプライマーで増幅し、0.1%SDSおよび20mM EDTAの存在下で、Proteinase K処理により精製し、フェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた(Sanbrookら,1989,上記に同じ)。PCR産物は、BamHIおよびXhoI(SalIとの付着末端)で消化し、上記のように精製した。
6Kbテスト挿入体
6Kbテスト挿入体は、前記各挿入体についての記載と同様に調製した。
10Kbテスト挿入体
10KbスタッファーIをもつp−FLC−IをBamHIおよびSalIで消化し、上記のようにproteinase Kで精製した。当該10KbのBamHI−SalI断片は、0.7%低融点アガロースゲル電気泳動で分離し、TEバッファー(Sambrookら,1989)でゲルを平衡化後、βアガラーゼ(NEB)でゲルから分離した。
4)挿入体サイズチェック
4種類のテスト挿入体を,5.5KbスタッファーIIを有するλ−FLC−Iへ、および6.0KbスタッファーIIを有するλ−FLC−Iへ連結した。200bp,2Kb,6Kbおよび10Kbのテスト挿入体は、それぞれ両ベクターへ1:1:1:1または3:1:1:1の比率で連結した。次いで、パッケージング反応を、MaxPlax Lambda Packaging Extract (Epicentre Technologies)を用いて行った。ファージ溶液はC600細胞中で増幅した。1x10pfuをLB寒天の90mm皿にプレートし、10mM MgSOを含むLB寒天を上乗せし、一晩増殖させて集密状態(コンフルエント)にした(Sambrookら,1989)。ファージ粒子をSMバッファーで溶出させ、力価を測定した。ファージDNAは、推奨されているように(Novagen,Madison,WI,USA),300μL中、1UのCreリコンビナーゼにより37℃1時間抽出し、プラスミドへ転換し、S400スパンカラム(Pharmacia)により精製した。切り出されたプラスミドは、2.5KV/cmでDH10B細胞(Life Technologies)中へ電気穿孔し、100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天プレート上へプレートした。各96コロニーを取り上げ、プラスミド調製を、KURABOによるプラスミド抽出自動装置、溶液類およびプロトコールにより行った(しかし、プラスミドの他の任意の精製法、例えばSambrookら、1989、の方法に従ってもよい)。プラスミドはPvuIIで消化し、挿入体サイズをアガロースゲル電気泳動によりチェックした。
結果を表1に示す。
5.5kbのスタッファーIIをもつベクターは、6kbの挿入体を43例、10kbの挿入体を5例で受け入れ可能であった。6および10kbの挿入体は、長いそして完全長のcDNAに相当する。
この結果は、5.5kbのスタッファーIIを含むベクターが、6.0kbのスタッファーIIを含むベクターより、長いサイズ(6.0および10.0kb)のcDNA挿入体の効率的な挿入が可能であることを証明している。37.5kbのCS(すなわち5.5kbのスタッファーII)をもつベクターは、30kbのサイズのCS(すなわち6kbのスタッファーII)をもつベクターより、完全長cDNAライブラリーの調製に有利である。
実施例19:遺伝子発見はcDNAライブラリーの平均挿入体サイズに相関している
I)ライゲーション仲介クローン転移によるクローニングサイズ選択性cDNA用のベクター:λ−FLC−III−L−D(図2e)
λ−FLC−I−L−Bおよびλ−FLC−I−L−Dと同様に、λ−FLC−III−L−Dは、スタッファーIIをもたないため、大きい挿入体をもつcDNAライブラリーに使われる。このベクターは、λ−FLC−I−L−Dと同じバックグラウンド低減エレメントをもつが、λ−FLC−III−L−Dからの切り出しは、cDNAの内部切断なしのサブクローニングに適するpFLCIII−dプラスミド(図1dのスタッファーIを含む図2iのプラスミド)を生じる点で、λ−FLC−I−L−Dと異なる。
II)短いcDNAおよび挿入体のライゲーション仲介転移用のベクター:λ−FLC−III−S−F(図2f)
Arabidopsis thaliana(シロイヌナズナ)およびOryza sativa(イネ)のような脊椎動物から進化的に遠い多くの生物のmRNAは、脊椎動物のものより短い(典型的には、アガロースゲル上で1から1.5kb)。無脊椎動物を扱う場合、既述のすべての実施例で使われたようなサイズ選択は、当初のmRNAを代表しないと思われる長い挿入体にバイアスする可能性がある。λ−FLC−I−Bを使っても、3つのイネライブラリーからの遺伝子発見は優れていたが、この問題の解決のために、λ−FLC−III−S−Fを調製した。λ−FLC−III−S−Fは既述のλ−FLC−III−Fと同じだが、長いスタッファーII(6.3kb)をもっている。6.3kbスタッファーIIの場合、名目のクローニングサイズは0から14.9kbで、比較的短いcDNAのクローニングに便利である。λ−FLC−III−S−Fのバックグラウンド低減エレメントは図1fに示され、このベクターは、切出し後、pFLCIII−fプラスミド(図1fのスタッファーIを含む図2iのプラスミド)を産生する。
III)完全長cDNA
ここで用いた完全長cDNAは、文献記載(CarninciおよびHayashizaki,1999,上記に同じ)のように調製し、均等化/差引化した(Carninciら,2000,Genome Res.,10:1617−1630)。他の任意の技術により調製されたcDNAでも、制限サイトが適合し、ベクターが適切に修飾されていれば、λ−FLCベクターへ正しい向きにクローニングが可能である。λ−FLC−I−BへクローニングされたcDNAの平均挿入体サイズは、他のベクター類へクローニングされた同じcDNAのものに比べて常に長かった(表2;種々のベクターを用いたcDNAライブラリーの平均サイズ)。
λ−FLC−I−Bライブラリーの平均挿入体サイズは、λ−ZapIIライブラリーのものより1.8倍大きく、プラスミドcDNAライブラリーのものより2.4倍大きかった。
表3および図4に、各cDNAライブラリーの平均挿入体サイズを、当該ライブラリーの複雑度と相関させて示した。実際、これらのライブラリーは、完全長cDNAエンサイクロペディアの構築の際、当該遺伝子発見プログラム用に配列分析をした(RIKEN mouse cDNA encyclopedia,RIKEN and Fantom Consortium, Nature,409巻:685−690)。同一末端をもつランダムに拾い上げたクローンおよびクラスタークローンのシークエンスにより得られた重複性(Konnoら,2001,上記に同じ)を、λ−ZapII(従来ベクター)中にクローニングされた7つのcDNAライブラリーおよびλ−FLC−I−B中にクローニングされた9つのcDNAライブラリーを使って比較した(表3)。これらのライブラリーの複雑度の差異の比較を容易にするために、あるライブラリーのシークエンスの終了後のクラスターデータだけでなく、5000シークエンスに最も近い有効回数後のクラスターの数を示した。従来ベクターは、どの組織からも複雑で低重複性のcDNAライブラリーを与えなかった。これに対して、λ−FCL−A−B中へクローニングされた均等化/差引き化cDNAライブラリーはすべて、従来ベクターでの均等化/差引き化されたライブラリー(平均、2089クラスター/4773反応;重複性、2.28)より、高い複雑度(平均、3392クラスター/4826反応;重複性、1.42)を示した。特定の器官における遺伝子発現の多様性(複雑度)を予測によって知ることは期待できないとしても、プールされた全「胎児10+11」ライブラリー(表3)については、複雑度は非常に高いと推定された。しかし、λ−FLC−I−Bへクローニングされ、比較的限られた生体現象をカバーする「胎児13前肢」ライブラリーは、多くの発生中の器官やニューロン性組織を含むため、遺伝子の多様性も高いはずの「胎児10+11」ライブラリーより高い複雑度を示した。
より直接的な比較は、胚性幹細胞(ES細胞)由来のライブラリーから得られる;これらのライブラリーはすべて、出発源を同じくするRNAから調製されたものである。5104シークエンス反応後のクラスターの数(シークエンスしたサンプルの全体の数)は、λ−FLC−I−Bクローン化cDNAの場合、3068であるが、従来ベクター中のライブラリーの場合、5160シークエンス反応後2362に過ぎなかった。すなわち、λ−FLC−I−Bを使うことによって31%多いクラスターが発見された。この差は、さらにシークエンス反応回数が加わると、一層顕著になる:λ−FLC−I−Bに基づくライブラリーの場合、10514シークエンス反応の後に4971クラスターがカテゴリー化され、そして、従来のZAPベクターライブラリーでは10492シークエンス反応の後に3795クラスターのみであり(図14参照);そして従来のZAPベクターライブラリーでは15520シークエンス経過で(48%多)、わずか4566クラスター(9%少)であった(図14参照)。また、両ES細胞ライブラリーは、同じドライバーにより均等化および軽度に差引き化されたにもかかわらず、C3ライブラリー(λ−FLC−I−B中にあった)は、既にカテゴリー化された遺伝子類により差引かれたことも付記したい。強く差引かれたライブラリーは、遺伝子の種類が少ないであろうと予測されたが、そうではなかった。
これらのデータは、長いcDNAをクローニングする容量が、完全長アプローチが使われる場合、新しい遺伝子の発見を加速するという考えを支持している。加えて、マウスcDNAエンサイクロペディアの調製の過程で、λ−FCLベクターを導入したことが、高率の遺伝子発見を回復した(表3)。
また、λ−FLCに基づくライブラリーの5’端の読みにより同定された新遺伝子の割合が増加したことは、従来利用されているクローニングプロトコールやベクターは、短いcDNAの遺伝子発見にバイアスしていたことを示唆している。
本発明のλ−FLCベクターファミリーは、完全長cDNAの高効率クローニング、遺伝子発見、および発現ベクターのような機能分析用のベクター中へ選択されたcDNAクローンをバルク転移するための、強力なツールであることが証明された。
実施例20:λ−BACベクター構築
(1)「成分1」(図9)の製造
10μgのpFLC−III−eと称されるプラスミドを、10ユニットの制限酵素BssHII(NEBとしても示される New England Biolabs)で、20μlの1x供給(supplied)緩衝液(NEB)中において37℃で1時間消化した。pFLC−III−e/BssHIIを、TAE(トリス−アセテート−EDTA緩衝液,Sambrook et al., 1989)0.8%低融点アガロースゲル(SeaPlaque,FMC)で50Vにおいて1時間分離した(Sambrook et al., 1989 を参照されたい)。このプラスミドバンドを、ゲルから切り取り、β−アガラーゼ(New England Biolabs)で、製造者によって示唆されるように消化した(或いは、Sambrook et al., 1989 に記載される標準的な技法を用いることもできる)。
5kbのスタッファーIを、ゲルから切り取り、スライスした。このゲルを、1mlの1xβ−アガラーゼ緩衝液(NEB)と混合した。このゲルが入った試験管を氷上に30分間置いて、1xβ−アガラーゼ緩衝液で平衡させた。この緩衝液を、ピペッティングによって試験管から除去し、新しい1xβ−アガラーゼ緩衝液を入れた。試験管を氷上に30分間置いた。この緩衝液交換サイクルをもう1回繰り返した。緩衝液を除去し、試験管を65℃で5分間インキュベートして、ゲルを溶融させた。10ユニットのβ−アガラーゼ(NEB)をこの試験管に加え、5時間インキュベートした。標準的な技法(Sambrook et al., 1989)にしたがって、フェノール/クロロホルム抽出を行い、エタノールで沈殿させた。沈殿した5kbフラグメントを、5μlのTE(10mMトリス−HCl,1mM EDTA,pH7.5)で溶解させ、「成分1」と表示した。
(2)「成分2」(図9)の製造
US5,874,259号(本明細書中に援用される)の図1にしたがって製造されるpBeloBAC11誘導体を、次の「成分2の製造」実験で用いた。US5,874,259号の説明にしたがって、基本のpBeloBAC11(Kim et al., 1996, Genomics, 34:213-218)を、次のようにして修飾した。oriV要素(配列番号43)およびFRT要素(配列番号44)を互いに連結し、そして得られたフラグメントをブラントにし且つ末端にした後、ブラント末端にされたXhoI部位中に連結した。二つの連結されたフラグメントの配向は、フラグメントがXhoI部位中にクローン化された場合に、oriが、近くのFRT部位とインサートクローニング部位との間に物理的に位置しているようにある。
3μgのこのpBeloBAC11誘導体(図9)を、10Uの制限酵素SalI(NEB)で、製造者によって推奨されるように30μl中(供給緩衝液中、37℃)で切断した後、1ユニットのCIP(Calf Intestinal Phosphatase)(Takara, Japan)を加えることによって37℃で30分間脱リン酸化し(クローニングバックグラウンドを減少させるための脱リン酸化の一般的な使用は、Sambrook et al., 1989 に開示されている)、次に、TAE 0.8%低融点アガロース(SeaPlaque,FMC)を用いて50Vで1時間分離した(標準的な技法,Sambrook et al., 1989)。
図9に「成分2」として示されている6.7kbのプラスミドフラグメントを含有するアガロースゲル領域を、ゲルから切り取り(約200マイクロリットル)、10ユニットのβ−アガラーゼ(NEB)で5時間消化し、フェノール/クロロホルムで抽出後、エタノール沈殿を成分1の場合に示されたのと同様に行った。
(3)「成分3」(図9)の製造
5’末端がリン酸化された上方鎖:5’−pTCGAAGCTTCCG−3’(配列番号45)および下方鎖5’−CGCGCGGAAGCT−3’(配列番号46)を含む二本鎖オリゴヌクレオチド「アダプター」(図9)を、自動合成機(標準的なプロトコールおよび試薬を用いるEXPEDITE8909)を用いてオリゴ合成して製造した。
(4)「成分1、2および3」の連結(図9)
「成分1」(pFLC−III−e/BssHIIフラグメント)、「成分2」および「成分3」を、50ng:37ng:0.1ngの比率で、1x緩衝液(製造者NEBによって供給される10x原液から1/10への希釈によって調製される)、400ユニットのT4 DNAリガーゼ(NEB)の存在下の5μlの最終容量反応(1x希釈緩衝液,DNA,アダプター,DNAリガーゼ)中において互いに混合した。
この混合物を16℃で一晩インキュベートして、連結反応を完了させた。
この連結反応中に0.2M最終濃度でNaClを添加後、これら連結反応生成物を、標準的な技法(Sambrook et al., 1989)にしたがって、2容量の96%エタノールおよび1μgの Glycogen(Roche)で沈殿させ、そして連結した生成物を、標準的なプロトコール(Sambrook et al., 1989)にしたがってエタノール沈殿によって回収した。これら連結反応生成物を、10μlのHO中に溶解させた。
1μlの回収された連結反応生成物を、20μlのDH10Bエレクトロコンポーネント細胞(Invitrogen)中に2.5KV.cm(Invitrogen の指示による)でエレクトロポレーション後、エレクトロポレーションされたプラスミド細胞を、50μg/mlのアンピシリンを添加したLB寒天上にプレーティングした。修飾pBACを有する、所望のインサートを含むコンストラクト(「成分1」)を有するポジティブクローンを選択するために、無作為に採取されたクローンを培養し且つプラスミドを調べた(リコンビナントプラスミドを選択し且つ分析する一般的な戦略については、Sambrook et al. を参照されたい)。図1eにインサートとして示されているスタッファーIを有するプラスミド(図9の修飾pBAC)を、次の工程のために選択した。
(5)loxP部位およびXbaI部位の導入(図10)
上のように製造された修飾pBAC中にloxP部位およびXbaI部位を導入するために、1μgの修飾pBACを、0.5μMの「プライマー1」
(5’−AGAGAGAGAGATCTAGAATAACTTCGTATAATGTATGCTATACGAAGTTATCTGTCAAACATGAGAATTG−3’)(配列番号47)、0.5μMの「プライマー2」:
(5’−GAGAGAGAGATCTAGATAACTTCGTATAGCATACATTATACGAAGTTATCGAATTTCTGCCATTCAT−3’)(配列番号48)、125μMのdNTP混合物、1x「GC緩衝液1」(Takara, Japan)、5ユニットのLA−Taq(Takara, Japan)と一緒に50μLの容量で混合した。
次に、次のPCR増幅サイクルを25回繰り返した。工程1:94℃5秒間;工程2:50℃5秒間、72℃12分間。
増幅後、1μlの0.5M EDTA、1μlの10%SDSおよび1μlのプロテイナーゼK(10mg/ml原液)(Sigma)を、得られたPCR産物に加え、45℃で15分間インキュベートした後、フェノール/クロロホルム処理、クロロホルム抽出、次にエタノール沈殿を行った(Sambrook et al., 1989)。エタノール沈殿後、ペレットを水で溶解させ、そして製造者(NEB)によって供給される緩衝液中において5ユニットの制限酵素XbaI(NEB)で切断した。TAE 0.8%低融点アガロースゲル(SeaPlaque,FMC)での50Vにおいて1時間の電気泳動分離後、PCR産物を精製した(Sambrook et al., 1989)。このPCR産物を切断し、製造者によって示唆されるように10ユニットのβ−アガラーゼ(NEB)で消化した(或いは、Sambrook et al., 1989 に開示される標準的な技法を用いることもできる)。
11.7kbのPCR産物を、ゲルから切り取り、スライスした。このゲルを、1mlの1xβ−アガラーゼ緩衝液(NEB)と混合した。このゲルが入った試験管を氷上に30分間置いて、1xβ−アガラーゼ緩衝液で平衡させた。この緩衝液を試験管から除去し、新しい1xβ−アガラーゼ緩衝液を入れた。試験管を氷上に30分間置いた。この緩衝液交換サイクルをもう1回繰り返した。緩衝液を除去し、試験管を65℃で5分間インキュベートして、ゲルを溶融させた。10ユニットのβ−アガラーゼ(NEB)をこの試験管に加え、5時間インキュベートした。標準的な技法(Sambrook et al., 1989)にしたがって、フェノール/クロロホルム抽出を行い、エタノールで沈殿させた。沈殿した11.7kbフラグメントを、5μlのTE(10mMトリス−HCl,1mM EDTA,pH7.5)で溶解させ、「成分4」と表示した(図10)。
(6)スタッファーII(「成分5」)の製造(図11)
サイズバランサーとしての1.8kbスタッファー(「スタッファーII」としても示される)を製造するために、3μgのマウスゲノムDNAを、20ユニットのSau3AIおよび1x供給緩衝液(Nippon Gene, Japan)で、20μlの容量中において37℃で2時間消化した。消化したDNAを、λ/StyI分子マーカー(Nippon Gene, Japan)と共に1.2%低融点アガロースゲルで、50Vにおいて2時間分離した。約1 1.8kbのサイズを示す、移動したDNAフラグメントを、ゲルから切り取り、スライスした。このゲルを、1mlの1xβ−アガラーゼ緩衝液(NEB)と混合した。このゲルが入った試験管を氷上に30分間置いて、1xβ−アガラーゼ緩衝液で平衡させた。この緩衝液を試験管から除去し、新しい1xβ−アガラーゼ緩衝液を入れた。試験管を氷上に30分間置いた。この緩衝液交換サイクルをもう1回繰り返した。緩衝液を除去し、試験管を65℃で5分間インキュベートして、ゲルを溶融させた。10ユニットのβ−アガラーゼ(NEB)をこの試験管に加え、5時間インキュベートした。標準的な技法(Sambrook et al., 1989)にしたがって、フェノール/クロロホルム抽出を行い、エタノールで沈殿させた。沈殿した1.8kbスタッファーII DNAを、10μlのTE(10mMトリス−HCl,1mM EDTA,pH7.5)で溶解させた。
精製された1.8kb DNA(100ng)と、上方鎖:5’−GAGAGAGAGATCTAGAAAGCTCCA−3’(配列番号49)および下方鎖:5’−GATCTGGAGCTT−3’(配列番号50)を含む10ngのSau3AI/XbaIアダプターとを、1x連結反応緩衝液(上記のように原液を希釈した)および400ユニットのT4 DNAリガーゼ(NEB)の存在下、5μlの最終容量中において16℃で16時間連結した。65℃で5分間のリガーゼ失活後、これら連結反応生成物を、TAE 1.2%低融点アガロースゲル(SeaPlaque,FMC)によって50Vで1時間分離し(Sambrook et al., 1989)、再度、1.8kb DNAを切り出し、製造者によって示唆されるようにβ−アガラーゼ(NEB)で消化した(或いは、Sambrook et al., 1989 に記載される技法を用いることができる)。
1.8kbのPCR産物を、ゲルから切り取り、スライスした。このゲルを、1mlの1xβ−アガラーゼ緩衝液(NEB)と混合した。このゲルが入った試験管を氷上に30分間置いて、1xβ−アガラーゼ緩衝液で平衡させた。この緩衝液を試験管から除去し、新しい1xβ−アガラーゼ緩衝液を入れた。試験管を氷上に30分間置いた。この緩衝液交換サイクルをもう1回繰り返した。緩衝液を除去し、試験管を65℃で5分間インキュベートして、ゲルを溶融させた。10ユニットのβ−アガラーゼ(NEB)をこの試験管に加え、5時間インキュベートした。標準的な技法(Sambrook et al., 1989)にしたがって、フェノール/クロロホルム抽出を行い、エタノールで沈殿させた。沈殿した1.8kbフラグメントを、5μlのTE(10mMトリス−HCl,1mM EDTA,pH7.5)で溶解させた。
1.8kbの精製DNAを、0.5μMのXbaIプライマー(5’−GAGAGAGAGATCTAGAAAGCTCCA−3’)(配列番号49)、125μMのdNTP混合物、1xGC緩衝液I(Takara, Japan)、5ユニットのLA−Taq(Takara)を用いて50μLの最終容量中で増幅させた。
DNAのPCR増幅のために、次のサイクルを25回繰り返した。工程1:94℃5秒間;工程2:68℃1.5分間。
増幅後、1μlの0.5M EDTA、1μlの10%SDSおよび1μlのプロテイナーゼK(10mg/ml原液)(Qiagen)を、得られたPCR産物に加え、45℃で15分間インキュベートした後、フェノール/クロロホルム処理、クロロホルム抽出、次にエタノール沈殿を行った(Sambrook et al., 1989)。エタノール沈殿後、ペレットを水で溶解させ、そして製造者(NEB)によって供給される緩衝液中において15ユニットの制限酵素XbaI(NEB)で切断した。
PCR産物/XbaIを、TAE 0.8%低融点ゲルで50Vにおいて1時間分離し、1.8kb DNAフラグメントを切り取った。このDNAフラグメントを、製造者によって示唆されるようにβ−アガラーゼ(NEB)で消化した。
1.8kbのPCR産物を、ゲルから切り取り、スライスした。このゲルを、1mlの1xβ−アガラーゼ緩衝液(NEB)と混合した。このゲルが入った試験管を氷上に30分間置いて、1xβ−アガラーゼ緩衝液で平衡させた。この緩衝液を試験管から除去し、新しい1xβ−アガラーゼ緩衝液を入れた。試験管を氷上に30分間置いた。この緩衝液交換サイクルをもう1回繰り返した。緩衝液を除去し、試験管を65℃で5分間インキュベートして、ゲルを溶融させた。10ユニットのβ−アガラーゼ(NEB)をこの試験管に加え、5時間インキュベートした。標準的な技法(Sambrook et al., 1989)にしたがって、フェノール/クロロホルム抽出を行い、エタノールで沈殿させた。沈殿した1.8kbフラグメントを、5μlのTE(10mMトリス−HCl,1mM EDTA,pH7.5)で溶解させた。
精製されたPCR産物/XbaIを、「成分5」と命名した(図11を参照されたい)。
(7)「成分6」の製造(図12)
10μgの(直鎖状)λ−FLC−I−E(図2a)の付着末端(cos末端)は、180μlの10mMトリス・Cl(pH7.5)、10mM MgCl、およびNEBによって提供される20μLの10x連結反応緩衝液中において42℃で2時間のインキュベーションによってアニーリングした(二つの相補的cos末端およびこれら末端は、この処理後に互いにアニーリングするが、これは、後の工程での連結効率を増加させ且つ追加の手順を簡単にする)。400ユニットのT4 DNAリガーゼ(NEB)をこの溶液に加え、そしてこの試料を室温で5時間インキュベート後、65℃で15分間のリガーゼ失活を行った。前の工程で連結されたcos末端を含むλDNAを、5ユニットのXbaI(Nippon Gene, Japan)、1x製造者供給緩衝液で、50μlの容量中において37℃で2時間消化した。消化後、1μlの0.5M EDTA、1μlの10%SDSおよび1μlのプロテイナーゼK(10mg/ml原液)(Qiagen)を、得られたDNAに加え、45℃で15分間インキュベートした後、フェノール/クロロホルム処理、クロロホルム抽出、次にエタノール沈殿を行った(Sambrook et al., 1989)。エタノール沈殿後、試験管を氷上で保持しながら、ペレットを水で30分間溶解させ、消化したDNAを、TAE 0.6%低融点アガロースゲル中において50Vで5時間分離した。cos連結フラグメント(29kbp)を、ゲルから切り取り、スライスした。このゲルを、1mlの1xβ−アガラーゼ緩衝液(NEB)と混合した。このゲルが入った試験管を氷上に30分間置いて、1xβ−アガラーゼ緩衝液で平衡させた。この緩衝液を試験管から除去し、新しい1xβ−アガラーゼ緩衝液を入れた。試験管を氷上に30分間置いた。この緩衝液交換サイクルをもう1回繰り返した。緩衝液を除去し、試験管を65℃で5分間インキュベートして、ゲルを溶融させた。10ユニットのβ−アガラーゼ(NEB)をこの試験管に加え、5時間インキュベートした。標準的な技法(Sambrook et al., 1989)にしたがって、フェノール/クロロホルム抽出を行い、エタノールで沈殿させた。沈殿した29kbのcos連結フラグメントを、5μlのTE(10mMトリス−HCl,1mM EDTA,pH7.5)で溶解させ、「成分6」と命名した(図12)。
(8)「成分4、5および6」の連結(図12)
「成分4」(修飾pBAC)、「成分5」(スタッファー)および「成分6」(アーム)を、次の、120ng:19ng:300ngの比率で、1x連結反応緩衝液(NEB連結反応緩衝液)および400ユニットのT4 DNAリガーゼNEBの存在下の5μl中において16℃で16時間混合した。
in vitro パッケージング("MaxPlaxTM Lambda Packaging Extract", EPICENTRE TECHNOLOGIES,Madison WI,US)およびリコンビナントλファージ(Sambrook et al., 1989 に記載のような)のプレーティング後、数百プラークのλファージを得た。
Sambrook et al., 1989 に記載の方法にしたがって、5クローン(ファージプラーク)を無作為に選択した。
これら採取されたファージプラークを、SM緩衝液(Sambrook et al., 1989)中に入れ、室温で1時間放置した。次に、溶離したファージ溶液を用いて、C600細胞に感染させ、そして標準的なプロトコール(Sambrook et al., 1989)にしたがって増幅させた。
5クローンの内の3クローンにおいて、本発明者は、制限酵素(XbaI+BamHI+SalI,XbaI+BamHI,XbaI+SalI)での分析によって所望のインサート(「成分1」に該当する)を得た(Sambrook et al., 1989)。このクローンの内の一つは、λ−FLC−III−pBAC(図12)と称され、他の記載されたλベクター(例えば、λ−FLC−I−B、λ−FLC−II−C、λ−FLC−III−F)の同じクローニング領域を示し、0.2〜15.4kbであった。

図1は本発明のベクターファミリーの全体図である。本研究では、下記の機能性エレメント(尺度どおりでない)を産生した。図1(a)には、ベクター構築セグメント(CS)の機能性エレメントが示され、それらは:左および右アーム;クローニングサイズレギュレーター(またはスタッファーII);pBluescriptのプラスミド誘導体;およびバルク切出しエレメント(組換えサイト)loxPであり;構築セグメント(CS)のサイズは32から38.3kbの間である。可換ベクターセグメント(スタッファーIまたはRSとして示す)は、切出しGatewayTMセグメント(attB1およびattB2)により隣接されている;これはcDNAにより交換されるセグメントである。 図1(a)の右側には、cre−lox系によるプラスミド切出しの機構、またはGatewayTM系によるデスティネーションまたは受取りベクターへのcDNA挿入体の切出しを示す。 図1(b)−(f)には、スタッファーI(RS)のさまざまな構築およびサイズを示し:(b)はλ−PSベクターからの10Kbである;(c)はアーム精製を簡略化するためのスタッファーIの短縮版である;(d)はバックグラウンドをカットするため4つのccdBおよび2つのLacZをもつ10Kbスタッファーである;(e)は2つのccdBおよび1つのLacZをもつ5Kbスタッファーである;(f)はccdBおよびloxP二重バックグラウンドカッティング用のスタッファーである。 特に、(g)には、増殖を阻害するccdB遺伝子を含むが、一方、LacZ(h)は色選択を可能にする、非組換え体プラスミドを示す。(i)には、複製起点と耐性遺伝子とを分離するloxPサイトを用いたバックグラウンド低減系を示す。 略号:Sw=SwaI,Sf=SfiI,Sp=SpeI,Fs=FseI,Pa=PacI,Xa=XbaI。 PacI,FseI,SfiI,SwaI,およびクローニングサイトは、示されたサイトのみを切断し、ベクター中の他の部位は切断しない。 本発明のベクターのいくつかの構築を、簡略化のために、λ−FLCの属名を使って示す。(a)それぞれ図1bおよびの1eスタッファーIをもつλFLC−I−Bおよびλ−FLC−I−E。(b)スタッファーIIを欠き、それぞれ図1bおよび1dのスタッファーIをもつλ−FLC−I−L−Bおよびλ−FLC−I−L−Dで、(a)と同じクローニングサイトをもつ。(c)クローンのバルク転移用のGatewayTMattB1およびattB2配列をもつλ−FLC−II−C;これは図1cと同様のスタッファーIをもつ。(d)バックグラウンド低減用に図1fと同様なスタッファーIをもつλ−FLC−III−F。(e)スタッファーIIを欠き、図1dと同様なスタッファーIをもつλ−FLC−III−L−D。(f)図1fと同様なスタッファーIをもつが、より長いスタッファーII(6.3Kb)をもつλ−FLC−III−S−F。 ベクター(d−e)これらのベクターは、挿入体の他のベクターへの転移を容易にするために、クローニングサイトの隣にホーミングエンドヌクレアーゼ用のサイト(I−CeuIおよびPI−SceI)をもつ;当該クローニングサイトは(d)にのみ示す。 ベクター(g−j)は、スタッファーI(図1b−fに示した)またはcDNA(星印の配列で示される)に隣接して左右に位置するポリリンカー配列を示す。当該ポリリンカー中の下線配列はプライマー、組換えサイト、制限サイトなどを表す。これらの制限サイトは、当該λベクターまたはプラスミドの他の部位を全く切断しない。より具体的には、pFLC−I中で、左ポリリンカー(配列番号1)は:Forward(Fwd) M13プライマーサイト、T7ポリメラーゼ用のサイト、組換えサイトloxP、制限サイトSfiIおよびSalIを含み;右ポリリンカー(配列番号2)は:制限サイトBamHIおよびSfiI、T3ポリメラーゼ用のサイト、Reverse(Rev) M13プライマーサイトを含む。pFLC−II中では、左ポリリンカー(配列番号3)は:Fwd M13プライマーサイト、T7,attB1,XhoIおよびSalIを;右ポリリンカー(配列番号4)は:BamHI,attB2,loxP,T3,Rev M13プライマーサイトを含む。pFLC−IIIでは、左ポリリンカー(配列番号5)は:Fwd M13プライマーサイト、T3,I−CeuI,SalI;右ポリリンカー(配列番号6)は:BamHI,PI−SceT7,Rev M13プライマーサイトを含む。pFLC−DESTでは、左ポリリンカー(配列番号7)は:Fwd M13プライマーサイト、T3,attB1,XhoI,SalI;右ポリリンカー(配列番号8)は:BamHI,attB2,T7,Rev M13プライマーサイトを含む。 図2hの一般のpFLC−II(すなわち、特定のスタッファーIまたは“挿入体cDNA”には言及しない)は修飾pBluescriptII SKを用いて構築することができる。この構築体を有する一般のpFLC−IIは図13に示し、そして全体の配列(スタッファーIまたは“挿入体cDNA”は除く)は配列番号51に示した。 ベクター(g−j)は、スタッファーI(図1b−fに示した)またはcDNA(星印の配列で示される)に隣接して左右に位置するポリリンカー配列を示す。当該ポリリンカー中の下線配列はプライマー、組換えサイト、制限サイトなどを表す。これらの制限サイトは、当該λベクターまたはプラスミドの他の部位を全く切断しない。より具体的には、pFLC−I中で、左ポリリンカー(配列番号1)は:Forward(Fwd) M13プライマーサイト、T7ポリメラーゼ用のサイト、組換えサイトloxP、制限サイトSfiIおよびSalIを含み;右ポリリンカー(配列番号2)は:制限サイトBamHIおよびSfiI、T3ポリメラーゼ用のサイト、Reverse(Rev) M13プライマーサイトを含む。pFLC−II中では、左ポリリンカー(配列番号3)は:Fwd M13プライマーサイト、T7,attB1,XhoIおよびSalIを;右ポリリンカー(配列番号4)は:BamHI,attB2,loxP,T3,Rev M13プライマーサイトを含む。pFLC−IIIでは、左ポリリンカー(配列番号5)は:Fwd M13プライマーサイト、T3,I−CeuI,SalI;右ポリリンカー(配列番号6)は:BamHI,PI−SceT7,Rev M13プライマーサイトを含む。pFLC−DESTでは、左ポリリンカー(配列番号7)は:Fwd M13プライマーサイト、T3,attB1,XhoI,SalI;右ポリリンカー(配列番号8)は:BamHI,attB2,T7,Rev M13プライマーサイトを含む。 図2hの一般のpFLC−II(すなわち、特定のスタッファーIまたは“挿入体cDNA”には言及しない)は修飾pBluescriptII SKを用いて構築することができる。この構築体を有する一般のpFLC−IIは図13に示し、そして全体の配列(スタッファーIまたは“挿入体cDNA”は除く)は配列番号51に示した。 切出しプロトコールを示す。左から右へ、in vivo固相Creリコンビナーゼ(現行技術)、in vivo液相Creリコンビナーゼ、in vitro Creリコンビナーゼの各プロトコールが示され、さらにそれらの右側に、GatewayTM(GW)配列により仲介される「直接」、「間接」、「増幅間接」プロトコールが示されている。in vitro切出し用の酵素類も示されている。 λ−ZapIIまたはλ−FLC−I−Bにより調製され、得られたcDNAライブラリーの平均サイズを示す。 図5は、本発明の可能なベクター構築を示す。 本発明のベクターは、構築セグメント(CS)として示される第1セグメントおよび可換セグメント(RS)として示される第2セグメントを含み、環状または直線状でもよい。直線状の形態では、ベクターの構築セグメント(CS)は左セグメントおよび右セグメントを含んで示されている。RSは、興味ある核酸挿入体、例えば、完全長cDNAで交換される。 本は発明のベクターは、環状または直線状でもよい。 (a)および(b)には、GatewayTM組換え/切出し系(GatewayTM Cloninng Technology Manual, GIBCOBRL,Life Technologies)に従い、RSに隣接し、相互に組換えない組換えサイト(ここでは一般的にatt1およびatt2と示す)を示す。 (c)および(d)では、Cre−lox組換え機構のために相互に組換えする組換えサイト(この場合はloxサイト)がCS中に存在する。 (e)および(f)では、RSに隣接するGateway様サイトとloxサイト((c)および(d)に示す)ような組換えサイトは、同時に存在することが可能であることが示されている。 (g)では、RSに隣接する組換えサイトは、相互に組換えしない2つのloxサイトである。それらはGatewayサイトと同様に働く。 (h)には、バックグラウンド低減配列として、RS中の遺伝子ccdBの存在を示す。 (i)には、CS中のloxサイト配列と組換えができるバックグラウンド低減配列として、「第3の」lox組換えサイトの存在を示す。 2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列(a)の作用の機構を示す。相互に連結できないこれら2つの配列は、連結過程の際にRSに隣接して位置される。これらの配列のそれぞれは、興味ある核酸挿入体(b)に隣接する1つの配列を認識して連結する。ベクター・挿入体連結のみが許容される。挿入体・挿入体またはベクター・ベクター連結は、このように避けられる。 図7は、λ−FLC−III−Fの製造例を記載している。スタッファーIfは、図1fのスタッファーIである。 図8は、ホーミングエンドヌクレアーゼI−CeuIおよびPI−SceIを用いた具体的な実施例における非対称認識部位配列の切除例を開示している。 図9は、λ−BACベクターの製造用の修飾pBACの製造を記載している。このプロセスの詳細な説明は、実施例20に開示されている。 図10は、図7の修飾pBAC中へのloxP部位およびXbaI部位の挿入を記載している。このプロセスの詳細な説明は、実施例20に開示されている。 図11は、スタッファーII(「成分5」)の製造工程を含むチャートを記載している。このプロセスの詳細な説明は、実施例20に開示されている。 図12は、λ−FLC−III−pBACの製造工程を含むチャートを記載している。このプロセスの詳細な説明は、実施例20に開示されている。 図13は、図2hに記載のような一般的なpFLC−IIの一例の完全ヌクレオチド配列を(すなわち、スタッファーIまたは「インサートcDNA」の配列を示すことなく)報告している。「インサートcDNA」またはスタッファーI(図2hに星印の線で示される)は、図13に、配列CTCGAG------GGATCCの間の線で示されている。一般的なpFLC−IIのこのコンストラクトは、修飾pBluescriptII SK(+)である。 図13のプラスミドの配列は、配列番号51に、配列GGATCC(上記)から出発し且つ配列CTCGAG(上記)で終結する単一配列として、したがって、具体的なスタッファーIまたはクローニングcDNAの配列を示すことなく示されている。 図14は、本発明のクローニングベクターλ−FLC−I−Bと慣用的なZAPベクターとを、クローニング効率について比較しているグラフである。

Claims (63)

  1. 以下:
    (a)構築セグメント(CS)、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つのlox組換えサイトをさらに含み、当該lox組換えサイトは相互に組換えできる;および
    (b)興味ある核酸挿入体により置換された又は置換される可換セグメント(RS)、ここで当該RSは以下:
    i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列;
    ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列;
    iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト;および
    iv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト;
    からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
    を含む、バクテリオファージクローニングベクター。
  2. CSが37.5kbである、請求項1に記載のクローニングベクター。
  3. CSが、5.5kbの外来セグメントを含む、請求項2に記載のクローニングベクター。
  4. バクテリオファージがλである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
  5. CSが、少なくともoriを有するプラスミドセグメントをさらに含むバクテリオファージベクターセグメントである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
  6. 少なくともoriを有するプラスミドセグメントが、pBluescript(+)、pUC、pBR322、およびpBACの群から選ばれる、請求項5に記載のクローニングベクター。
  7. 有毒な化合物に対する耐性を付与する産物をコードするDNAセグメント;遺伝子産物の活性を抑圧する産物をコードするDNAセグメント;識別可能な産物をコードするDNAセグメント;細胞機能を阻害する産物をコードするDNAセグメント;所望の分子の単離を可能にするためのDNAセグメント;および、酵素により認識される特定のヌクレオチド認識配列をコードするDNAセグメント;からなる群より選択される少なくとも一つの選択マーカーを、CSがさらに含む、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
  8. 選択マーカーが、抗生物質耐性遺伝子、栄養要求性マーカー、毒性遺伝子、表現型マーカー、酵素切断サイト、タンパク質結合サイト、およびPCRプライマー配列に相補的な配列、からなる群より選択される少なくとも一つのマーカーを含む、請求項7に記載のクローニングベクター。
  9. RSが、a)ccdB遺伝子、b)lacZ遺伝子、およびc)組換えサイトからなる群より選択される、少なくとも1つのバックグラウンド低減配列をさらに含む、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
  10. 組換えサイトがlox組換えサイトである、請求項9に記載のクローニングベクター。
  11. lox組換えサイトがloxPサイトである、請求項10に記載のクローニングベクター。
  12. RSに隣接する2つの切出しエレメントが、i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列;またはii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列;である、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
  13. ホーミングエンドヌクレアーゼが、I−CeuI、PI−SceI、PI−PspI、およびI−SceIからなる群より選択される、請求項1ないし12のい ずれか1項に記載のクローニングベクター。
  14. ホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列が、18から39bpの配列である、請求項1ないし12のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
  15. RSに隣接する2つのatt組換えサイトが、attB、attP、attL、およびattRからなる群より選択される、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
  16. RSに隣接する2つのlox組換えサイトが、loxPサイトである、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
  17. CSに含まれる2つのlox組換えサイトがloxPサイトである、請求項1ないし16のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
  18. CSに含まれる2つのlox組換えサイトがloxPサイトであり、そしてRSがバックグラウンド低減配列としてlox組換えサイトをさらに含む、請求項1ないし17のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
  19. 直鎖状である、請求項1ないし18のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
  20. 核酸挿入体が、DNA、cDNAおよびRNA/DNAハイブリッドからなる群より選択される、請求項1ないし19のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
  21. 核酸挿入体が完全長cDNAである、請求項1ないし19のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
  22. 完全長cDNAが、均等化および/または差引き化完全長cDNAである、請求項21に記載のクローニングベクター。
  23. 以下:
    (a)構築セグメント(CS)、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つのlox組換えサイトをさらに含み、当該lox組換えサイトは相互に組換えできる;および
    (b)興味ある核酸挿入体により置換された又は置換される可換セグメント(RS)、ここで当該RSは以下:
    i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列;
    ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列;
    iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト;および
    iv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト;
    からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
    を含むバクテリオファージクローニングベクターであって、
    ここで当該RSはcDNAにより置換される第一のスタッファーセグメントを含み、そして当該CSは6.0kbまでの第二のスタッファー断片を含んでいても、含んでいなくてもよく、そしてここで当該バクテリオファージクローニングベクターは、当該第二のスタッファー断片が5.5kbの長さである場合に6kbないし10kbの長さのcDNAを優先的にクローニングし、そして当該第二のスタッファー断片が6.0kbの長さである場合に2kbの長さのcDNAを優先的にクローニングする、
    前記バクテリオファージクローニングベクター。
  24. 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
    (1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えできるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切 断サイト配列、iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト、およびiv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト、からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
    (2)前記クローニングベクター中のRSを、興味ある核酸挿入体と置換する;
    (3)興味ある核酸挿入体、または興味ある核酸挿入体を含むプラスミドの、in vivoまたはin vitro切出しを行う;
    (4)興味ある核酸挿入体をもつ(組換え体)プラスミドまたはそれらのプラスミドのライブラリーを回収する;
    工程を含む、前記方法。
  25. 工程(2)および(3)の間に当該クローニングベクターの増幅の工程が行われる、請求項24に記載の方法。
  26. 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
    (1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えできるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSはccdB遺伝子を含み、そしてRSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列、iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト、およびiv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト、からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
    (2)当該クローニングベクター中へ興味ある核酸挿入体でRSを置換する;
    (3)興味ある核酸挿入体、または興味ある核酸挿入体を含むプラスミドの、in vivoまたはin vitro切出しを行う;
    (4)興味ある核酸挿入体をもち、かつccdB遺伝子を欠く(組換え体)プラスミドまたはそれらのプラスミドのライブラリーを回収する;
    工程を含む、前記方法。
  27. 工程(3)において、相互に連結または組換えを起こさない2つの組換えサイトにより隣接されしかもccdB遺伝子を含むデスティネーション可変セグメント(RS)、を含む少なくとも1つのデスティネーションベクターを工程(2)のクローニングベクターに配備することにより、興味ある核酸挿入体のin vitro切出しを可能にし、そして工程(4)において前記興味ある核酸挿入体をもち、前記ccdB遺伝子を欠く組み換え体プラスミドまたは当該プラスミドのライブラリーを回収することを特徴とする、請求項26に記載の方法
  28. 工程(2)および(3)の間に当該クローニングベクターの増幅の工程が行われる、請求項26または27に記載の方法。
  29. 工程(1)のクローニングベクターおよび工程(4)のデスティネーションベクターの両者のRSに隣接する前記2つの組換えサイトが、attB,attP,attL,およびattRからなる群より選択された組換えサイトに由来する、請求項27または28に記載の方法。
  30. RSに隣接する組換えサイトが、lox組換えサイトであり、かつ相互に組換えを起こさない、請求項27または28に記載の方法。
  31. lox組換えサイトがloxPサイトである、請求項30に記載の方法。
  32. 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
    (1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えで きるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSはCS中へ置かれる前記2つのlox組換えサイトの1つと組換え可能な組換えサイトを含み、そしてRSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列、iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト、およびiv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト、からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
    (2)前記クローニングベクター中のRSを、興味ある核酸挿入体で置換する;
    (3)興味ある核酸挿入体、または興味ある核酸挿入体を含むプラスミドの、in vivoまたはin vitro切出しを行う;
    (4)興味ある核酸挿入体をもつ(組換え体)プラスミドまたはそれらのプラスミドのライブラリーを回収する;
    工程を含む、前記方法。
  33. 前記CSおよびRS中に含まれるlox組換えサイトがloxPサイトである、請求項32に記載の方法。
  34. 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
    (1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えできるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、またはii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列、から選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
    (2)興味ある核酸挿入体であって、当該興味ある挿入体に隣接する2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、または、クラスIIS制限酵素類により認識される2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列を含み、当該配列が工程(1)のベクター中へ挿入された2つの配列と連結できる、前記挿入体でRSを置換し、そして前記興味ある核酸挿入体を含むベクターを得る;
    (3)興味ある核酸挿入体、または興味ある核酸挿入体を含むプラスミドの、in vivoまたはin vitro切出しを行う;
    (4)興味ある核酸挿入体を含む(組換え体)切出しプラスミド、デスティネーションプラスミド、または前記プラスミドのライブラリーを回収する;
    工程を含む、前記方法。
  35. 前記非対称サイト配列を切断できるホーミングエンドヌクレアーゼ類が、I−CeuI,PI−SceI,PI−PspIおよびI−SceIからなる群より選択される、請求項34に記載の方法。
  36. 前記ホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列が18から39bpである、請求項34に記載の方法。
  37. 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
    (1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えできるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列、iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト、およびiv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト、からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
    (2)当該クローニングベクター中のRSを興味ある核酸挿入体で置換する;
    (3)当該ベクターをパッケージングする、
    (4)Creリコンビナーゼを発現する少なくとも1つの細胞をin vivoで液相感染させる;
    (5)切出しプラスミドが短期増殖するまたは増殖しない条件下で、興味ある核酸挿入体を含む少なくとも1つのプラスミドのin vivo液相切出しを行う;
    (6)細胞溶解、および挿入体をもつプラスミドまたは当該プラスミドのライブラリーの回収を行う;
    工程を含む、前記方法。
  38. さらに以下の工程:
    (7)Creリコンビナーゼを発現しない少なくとも1つの細胞を電気穿孔するかまたは形質転換して、当該細胞中へ工程(6)のプラスミドを貫入させる、
    (8)工程(7)におけるように感染された細胞を平板培養(プレーティング)し、興味ある核酸挿入体をもつプラスミドまたは当該プラスミドのライブラリーを回収する;
    を含む、請求項37に記載の方法。
  39. バクテリオファージがλである、請求項37または38に記載の方法。
  40. 前記CSに含まれるlox組換えサイトがloxPサイトである、請求項37ないし39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 工程(3)および(4)の間にパッケージされたベクターの増幅が行われる、請求項37ないし40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 工程(5)が、20から45℃の温度において、0から3時間行われる、請求項37ないし41のいずれか1項に記載の方法。
  43. 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
    (1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えできるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列、iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト、およびiv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト、からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
    (2)前記クローニングベクター中のRSを興味ある核酸挿入体で置換する;
    (3)パッケージングエキスの存在下での、工程(2)のバクテリオファージクローニングベクターのin vitroパッケージング;
    (4)キャプシドからのバクテリオファージクローニングベクターの抽出;
    (5)Creリコンビナーゼの存在下でベクターから、興味ある核酸挿入体を含むプラスミドのin vitro切出し;
    (6)当該プラスミドまたはプラスミドライブラリーの回収;
    の工程を含む、前記方法。
  44. さらに以下の工程:
    (7)Creリコンビナーゼを発現しない少なくとも1つの細胞を電気穿孔するかまたは形質転換して、当該細胞中へプラスミドを導入する;
    (8)工程(7)の細胞をプレーティングし、興味ある核酸挿入体をもつプラスミドまたは当該プラスミドのライブラリーを回収する;
    を含む、請求項43に記載の方法。
  45. 工程(3)および(4)の間にプレート上でバクテリオファージの増幅工程が行われる、請求項43または44に記載の方法。
  46. CSに含まれるlox組換えサイトがloxPサイトである、請求項 3ないし45のいずれか1項に記載の方法。
  47. 前記バクテリオファージがλである、請求項43ないし46のいずれか1項に記載の方法。
  48. 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
    (1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えできるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列、iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト、およびiv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト、からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
    (2)前記RSを核酸挿入体と置換する;
    (3)工程(2)のバクテリオファージクローニングベクターをin vitroパッケージングする;
    (4)工程(3)のクローニングベクターに、2つの組換えサイトにより隣接され当該2つの組換えサイトが相互に組換えをしないデスティネーション可換セグメントを含む少なくとも1つのデスティネーションベクターを提供することにより、興味ある核酸挿入体のin vitro切出しを行う、
    (5)興味ある核酸挿入体をもつ組換え体プラスミドまたは当該プラスミドのライブラリーを回収する;
    工程を含む、前記方法。
  49. 前記バクテリオファージがλである、請求項48に記載の方法。
  50. 工程(1)のクローニングベクターおよび工程(4)のデスティネーションベクターの両方のRSに隣接する前記2つの組換えサイトが、attB,attP,attL,およびattRからなる群より選択される組換えサイトに由来する、請求項48または49に記載の方法。
  51. 工程(1)および工程(4)の両方のRSに隣接する前記2つの組換え体サイトが、相互に組換えをしないlox組換えサイトである、請求項48または49に記載の方法。
  52. 前記lox組換えサイトがloxPサイトである、請求項51に記載の方法。
  53. 工程(4)のデスティネーションベクターの前記RSが少なくともccdB遺伝子をさらに含む、請求項48ないし52のいずれか1項に記載の方法。
  54. クローニングベクターのCSが選択マーカーをさらに含む、請求項48ないし53のいずれか1項に記載の方法。
  55. さらに以下の工程:
    (6)2つの組換えサイトにより隣接されたデスティネーション可換セグメント(RS)を含む少なくとも1つの第2のデスティネーションベクターであって、当該2つの組換えサイトが、工程(5)のプラスミドと接触しても、相互に組換えをしない、前記第2のデスティネーションベクターを備える;
    をさらに含む請求項48ないし54のいずれか1項に記載の方法。
  56. さらに以下の工程:
    (7)少なくとも1つの細胞を電気穿孔し、工程(5)または(6)で得られたプラスミドを当該細胞中に導入し;次いで
    (8)工程(7)の細胞をプレーティングし、挿入体をもつプラスミドまたはプラスミド類を回収する;
    をさらに含む、請求項48ないし55のいずれか1項に記載の方法。
  57. 請求項1ないし23のいずれか1項に記載のクローニングベクター、または当該ベクター類のライブラリーを含むキット。
  58. 均等化および/または差引き化ライブラリーを調製する方法であって、(a)請求項24ないし56のいずれか1項に記載の方法に従って調製された切出しプラスミドまたはデスティネーションプラスミドを用意する、(b)工程(a)のプラスミドを核酸標的のプールへ提供する、(c)ハイブリッド体を除く、(d)均等化および/または差引き化された核酸標的を集める、工程を含む前記方法。
  59. 工程(b)のプラスミドに対し、1)2本鎖プラスミドの1本のみに少なくとも1つの切れ目(ニック)をつくる、2)ニックされたプラスミド断片を除き、3)ニックされていない1本鎖を集める、処置を行い、そして、工程(c)から(d)を適用する、請求項58に記載の方法。
  60. GeneIIタンパク質を用いることによりニックが導入される、請求項59の方法。
  61. ニックされた鎖がエキソヌクレアーゼにより除去される、請求項59の方法。
  62. エキソヌクレアーゼがExoIIIである、請求項61の方法。
  63. 均等化および/または差引き化ライブラリーを調製する方法であって、(a)ベクターのCSがF1 oriを含む請求項1ないし23のいずれか1項に記載のベクターを提供する、(b)興味ある核酸挿入体でRSを置換する、(c)ヘルパーファージを添加し、多数の1本鎖プラスミドベクターコピーを産生する、(d)工程(c)のコピーを核酸標的のプールへ提供する、(e)ハイブリッドを除く、(f)均等化および/または差引き化核酸標的を集める、工程を含む前記方法。
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