JP4247430B2 - クローニングベクターと分子クローニングの方法 - Google Patents
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Description
本発明は、組換えDNA技術に関する。特に、新規クローニングベクターファミリーおよび興味ある核酸のin vitroおよびin vivoのクローニング方法が開示される。
特定の組換え酵素認識配列を用いる組換え酵素認識系の利用が提案され、それらはCre−lox(Palazzoloら,1990,Gene,88:25−36)およびGatewayTM(Life Technologies Catalogue;Walhout A.J.M.ら,2000,Methods in enzymology, 328巻:575−592;および米国特許第5888732号)として知られる。
当該技術分野では、いくつかのバックグラウンド排除の戦略が提案されている。例えば、Walhoutら(上記参照)は、GatewayTMベクター類,attP1−attPおよびattR1−attR2は、att部位とatt部位の間に、タンパク質産物がDNAジャイレース(gyrase)を妨害するccdB遺伝子(Bernard P.およびCouturier M.,1992,J.Mol.Biol.,226:735−746)も含むと報告している。組換え後は、ccdB遺伝子を失った(つまり組換え体である)プラスミドのみが、gyrAに対して変異していない大腸菌(E.coli)株で増殖可能で、従って、選択的長所を備えている。遺伝子ccdBをもつプラスミドは、gyrA遺伝子に突然変異をもちccdBに対する耐性を授かった特定の大腸菌株DB3.1中でのみ増殖可能である(Walhoutら、上記参照)。それ故、この種の組換えはプラスミドに限られる。何故なら他のベクター、例えばクローニング系で使われるλ置換ベクターは、recAタンパク質をもたないDB3.1のような細胞中では増殖および複製できないからである(recA産物は置換型バクテリオファージλの増殖に必要である:Sambrookら,1989)。
本発明は、当該技術分野のそれらの問題の解決を目的とする。
本発明のクローニングベクターは、既知の組換え系、例えばCre−loxおよび/またはGatewayTMシステムを用いて、プラスミドまたは核酸挿入体の切出しを行うことが可能である。
別の態様によれば、本発明は、本発明のベクターのRSセグメント中に、または、GatewayTMシステムの場合には、デスティネーションまたは受入れベクターのRSセグメント中に含まれる、ccdB遺伝子および/またはlox配列のようなバックグラウンド低減配列を含むクローニングベクターを提供することにより、バックグラウンドまたはコンタミネーションを低減するためのシステムに関する。ファージまたはプラスミドベクターのRSは、制限エンドヌクレアーゼにより認識される2つの非対称サイト配列により隣接されることも可能である。
本発明は、本発明のベクター類を用い、改良Cre−リコンビナーゼまたはGatewayTMシステムを提供し、プラスミドまたは興味ある核酸の効率的な切出しのための方法にも関する。
本発明は、本発明の少なくとも1つのクローニングベクターまたは少なくとも1つのベクター類のライブラリーを含むキットにも関する。
本発明は、核酸を広範なサイズで、好ましくは非常に長くかつ完全長のcDNAとしてクローニングし、切出しの高効率、および低減されたバックグラウンドとコンタミネーションを達成できる新しいファミリーのベクターを提供する。そのようなベクターを用いたクローニング方法も提供する。
本発明のベクター類のRSは、(図1、5に示すように)、2つの組換えサイトにより隣接されることが可能であるが、それら2つの組換えサイトは相互に組換えをしない。より具体的には、それらの組換えサイトは、GatewayTM方法論に従う組換え切出しを行うためのattB,attP,attL,およびattRまたはそれらの誘導体より成る群から選択される(Walhoutら,2000,上記に同じ;Life Technologies catalogue;Gateway Cloning Technologies,Instruction Manual,GibcoBRL,Life Technologies;US5888732)。Gateway組換えサイトおよび誘導体の完全リストは、上記Life Technologies参考文献に開示されている。
Cre−lox組換え系は、いくつかの先行技術文献中に記載されている、例えば、Palazzuoloら,1990(上記に同じ);Elledgeら,1991(上記に同じ);およびSummersら,1984(上記に同じ)を参照されたい。
本発明の一つの態様によれば、組換えGateway様システムに対するRSに隣接する組換えサイト、およびCre−lox,Kw,Tn3レス/レソルバーゼ、β組換え酵素およびFLP組換えに対するCSの2本のアーム中の組換えサイトの両方をベクター中に存在させて、当該ベクターをクローニング、興味ある核酸材料の転移、およびライブラリーの調製に特に適するようにする。事実、特定の場合には、最も便利な切出し系は、当該ベクターを変えたり修飾したりせずに選択可能である。
このベクターは、上記に示した群から選択された少なくとも1つの選択マーカーを含む。特に、当該少なくとも選択されるマーカーは、抗生物質耐性遺伝子、栄養要求性マーカー、毒性遺伝子、表現型マーカー、酵素切断サイト、タンパク質結合サイトより成る群およびPCRプライマー配列に相補的な配列から選択可能である。
興味ある核酸挿入体とRSとの置換の際に、置換が起らないか、不完全な連結または置換が生じる可能性がある。この場合、完全な興味ある核酸挿入体をもたないバクテリオファージまたはプラスミドのベクターが培養液中に存在することになって、バックグラウンドを与える。ccdB「自殺遺伝子」を存在下させると、バックグラウンドまたは副産物をゼロ近くまで低減できると考えられる。
本発明のバックグラウンド低減バクテリオファージまたはプラスミドクローニングベクターは、ccdB遺伝子または「第三」組換えサイトなどの存在下であっても、RS中にlacZ遺伝子を加え、または存在させてもよい。
本発明の態様のすべてで使われる興味ある核酸挿入体は、DNA,cDNA,RNA/DNAハイブリッドより成る群から選択される。有利には、長いcDNAおよび好ましくは完全長cDNAである。完全長cDNAは好ましくは均等化および/または差引き完全長cDNAである。
本発明の前記方法は、バックグラウンドを減らしたまたは無い状態で、興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製するために使用可能である。
本発明によるバックグラウンド低減系は、遺伝子ccdBまたは「第三」組換えサイト配列(CSの左右アームの中にある2つのlox組換えサイトと組換え可能な)であってよく、それは、本発明のバクテリオファージまたはプラスミドのRS中に配置される。前記「第三」組換えサイトは、好ましくはloxサイトまたはその誘導体であり、より好ましくはloxPサイトまたはその誘導体である。
前記バクテリオファージまたはプラスミドベクターまたはデスティネーションベクターは、lacZ遺伝子を含むことも可能である。
従来技術の項に記載したように、当該技術で周知(Plazzoloら,1990,Gene,88:25−36)のCreリコンビナーゼ固相in vivo切出し(図3も参照されたい)は、低いプラスミド収量(Palazzoloら,1990,上記に同じ)およびプラスミドの不安定性という欠点がある;実際、Creリコンビナーゼは構成的に発現されて、プラスミドの2量体/多量体の生成を起こして、高比率の無プラスミド細胞をもたらし、配列分析の効率を損なう(Summersら,1984,Cell,36:1097−1103)。
相互に組換えするlox組換えサイトは、上記のように、変異、修飾または誘導のいずれの型のloxサイトでもよく、好ましくはloxPであり、変異、修飾または誘導化されていてもよい(従って、通常、loxPまたはその誘導体と表示される)。
本発明者らは、新しいかつ創意に富むin vitro Cre−lox組換え法も開発した。
前記lox組換えサイトは、それらの変異、修飾、または誘導されたloxサイトでよく、好ましくはloxPまたはその誘導体でもよい。
さらに、本発明者らは、本発明のベクターからの興味ある核酸挿入体を、少なくとも1つのデスティネーション機能性ベクターヘ移すことによる、Gateway機構に基づく方法を開発した。この機能性ベクターは、さまざまな用途、例えば、配列分析、細菌または真核生物細胞中でのタンパク質の発現、タンパク質融合産物の作出、その他に利用可能である。
本発明のバクテリオファージベクターは、Gateway法の供与ベクターよりサイズが大きい(例えば、37.5kbプラス核酸挿入体)。本発明に従うCSサイズをもつベクターは、短および長挿入体を識別せず、長短両方の挿入体を含むベクター類は、同じような効率で、増幅および/または切出しされるので、短い核酸挿入体に対するバイアスはない。
前記バクテリオファージクローニングベクターまたはデスティネーションベクターのRSに隣接する、相互に組換えない2つの組換え部位は、a)attB,attP,attL,およびattRまたはそれらの誘導体より成る群から選択される組換え部位、またはb)lox組換え部位またはその誘導体、好ましくはloxPまたはその誘導体(例えば、loxPおよびloxP511)であってもよい。
cDNAライブラリー、好ましくは完全長cDNAライブラリーの均等化および/または差引き化の方法は、Carninciら,2000,Genome Res.,10:1617−1630によって開示されている。
本発明によるバクテリオファージベクターは、当該技術分野において知られているいずれかの種類のプラスミドまたはプラスミドフラグメント、例えば、pBluescript(+)、pUC、pBR322、細菌人工染色体プラスミド(pBAC)、pBeloBAC11(Kim et al., 1996, Genomics, 34:213-218)、US5,874,259号(本明細書中に援用される)による修飾または誘導体pBeloBAC11、または公共デーベースに挙げられるようなまたは上に示される Company's Catalogues より入手可能ないずれか他のプラスミドを用いて製造することができる。
−DNAフラグメントをクローン化することができる部位;
−DNAフラグメントをクローン化することができるこの部位に隣接した少なくとも1対の誘導性切除媒介部位であって、互いに相対して平行した配向で与えられていて且つDNAフラグメントをクローン化することができる部位を含む切除可能フラグメントを規定する切除媒介部位を更に含んでいてよい。この誘導性切除媒介部位の対は、例えば、互いに相対して平行した配向で与えられる部位でありうる(US5,874,259号を参照されたい)。切除媒介部位の対は、好ましくは、FRT部位である。このバクテリオファージは、切除媒介部位の対中に、配列番号45に示される配列を更に含んでいてよい(US5,874,259号による)。
これら二つの組換え部位(a)は、互いに組換えしないlox組換え部位誘導体であってもよい。
二つのホーミングエンドヌクレアーゼ部位配列(c)は、好ましくは、I−CeuI、PI−SceI、PI−PspIおよびI−SceIからなる群より選択される。
このバクテリオファージは、少なくとも一つのバックグラウンド減少性配列、例えば、(a)ccdB遺伝子;(b)lacZ遺伝子;(c)lox配列を更に含んでいてよい。
(a)pBAC(またはpBAC誘導体)またはそのフラグメントを含むバクテリオファージクローニングベクターを製造し;
(b)このバクテリオファージクローニングベクター中に興味ある核酸を挿入し;
(c)興味ある核酸インサートを含むプラスミド(pBACまたはその誘導体)の in vivo または in vitro 切除を可能にし;そして
(d)興味ある核酸インサートを有するBACプラスミドまたはこれらBACプラスミドのライブラリーを回収する;
工程を含む方法も提供する。
本発明を、下記の実施例を参照して、さらに詳細に説明する。
以下の実施例では以下の限定的でないリストの細菌株を使用した:C600,F− thi−1 thr−1 leuB6 lacY1 tonA21 supE44−λ;XL1−Blue−MRA(P2),△(mcrA)183 △(mcrCB−hsdSMR−mrr)173 endA1 supE44 thi−1 gyrA96 relA1 lac(P2lysogen); DB3.1, F−gyrA462 endA−△(srl−recA) mcrB mrr hdsS20(rB −,mB −) supE44 ara−14 galK2 lacY1 proA2 rpsL20 xyl−5λ− leu mtl1;BNN132,e14− (McrA−)△(lac−proAB) thi−1 gyrA96 endA1 hsdR17 relA1 supE44 [F,traD36 proAB lacZ△M15]Creリコンビナーゼを構成的に発現(Elledgeら,1991,Proc.Natl.Sci.USA,88:1731−1735);およびDH10B,F− mcrA △(mrr−hsdRMS−mcrBC)Φ80lacZ△M15 △lacX74 deoR recA1 endA1 araD139(ara−leu)7697 galU galK λ− rpsL nupG(これらの細菌株はすべて商業的に入手可能である)。
本説明に使われる構築ベクターの基本的名称は完全長cDNA(full−length cDNA)に由来する;ローマ数字は次のような表示である:I、一般用;II、Gateway配列(Life Technology)の存在;III、ホーミングエンドヌクレアーゼサイトの存在。LおよびSは、当該ベクターのクローニング容量が長い(long)(サイズ選択された)または短い(short)cDNAに、より適応するかどうかを示す。B,C,D,E,およびFは、図1b−fに記載のように、スタッファーIのタイプを示す。
完全長cDNAの広サイズ指向的クローニング用の一連のλ基盤のクローニングベクターを構築した。これらのλ−FLCベクターは、約0.2から15.4kbの挿入体を名目上パッケージ可能である。
図1aは、CreリコンビナーゼまたはGateway組換えシステムを用いることによる、λ−FLCベクターのアセンブリーおよびプラスミドライブラリー中への切出しの全体スキームを示したものである。
上記λアームとプラスミドの合計算定サイズは、スタッファーI(ライブラリー中のcDNAで置換される)およびスタッファーIIを除いて、約32kbである。スタッファーIIは、「クローニングサイズレギュレーター」であり、名目上のラムダパッケージング容量に応じて挿入体のサイズを決定する(Zabarovskyら,1993,Gene,127:1−14)。ここで提示したいくつかの構築物のように、スタッファーIIが5.5kbの長さの場合、スタッファーIを除いた当該ベクターのサイズ(つまり構築セグメントCSのサイズ)は37.5kbと計算される。表1に報告されているように、5.5kbのスタッファーIIをもつベクター(37.5kbのCSサイズ)は、6kbのスタッファーIIをもつ同じベクター(38kbのCSサイズ)の使用に比べて、長いおよび完全長cDNAを選択するのに特に有用である。
I型スタッファー(図1d−f)は、バックグラウンドインディケーターLacZ、および、切出しの際抗生物質耐性遺伝子と複製起点とを分離する(図1i)、ccdB毒性エレメントまたは追加のloxPサイトのような、バックグラウンド低減エレメントを含むことが可能である。
本発明のベクターはいずれも、標準的な分子生物学技術(Sambrookら,1989)に従い、および図に示す成分を用いて作出した。本発明のベクター中のλアーム(スタッファーIの左および右側の部分)は、λ−PS(Nehlsら,1994a,上記に同じ)に由来し、原報はλ−2001(Karnら,1984,Gene,32:217−224)についての記載に見られる。λ−PSの左アームのXbaI部位中へ、マウスゲノムDNAをXbaIで切断してからAscI制限サイトを含むリンカー/プライマー アダプター(挿入体を後で除去または修飾するためのもの)を連結したDNAをPCR増幅して得られた5.5kbゲノム断片を挿入した:リンカー/プライマー上方オリゴヌクレオチドは、5“−CTAGGCGCGCCGAGAGATCTAGAGAGAGAG(配列番号9)であり;下方オリゴヌクレオチドは:5’−CTCTCTCTCTAGATCTCTCGGCGC−3'(配列番号10)である。この上方ヌクレオチドはPCR増幅にも使われる。
図1eのスタッファーIは、SalIおよびBamHI制限サイトをブランティング後、DNAリガーゼ(New England Biolabs)で連結して二量体化し、図1dのスタッファーを得た。図1fのスタッファーは、LoxPサイトを含むプライマー、5’−GAGAGAGGATCCAGAGAGATAACTTCGTATAATGTATGCTATACGAAGTTATGAGAGAGGCCAGAGAGGCCATTTAA−3'(配列番号17)(BamHI側)およびプライマー5’−GAGAGACTCGAGGTCGACGAGAGAGGCCCGGGCGGCCGCGATCGCGGCCGGCCAGTCTTTAATTAACT−3'(配列番号18)(SalI側)で、図1cのスタッファーをPCR増幅することにより得た。精製(Boomら,1990,上記に同じに従い)および制限消化後、この断片を、DNAリガーゼ(Sambrookらに従う)で前記ccdB断片へ連結し、図1fのスタッファーを産生した。
λ−FLC−I−Eは、図1eのスタッファーをλ−FLC−I−Bのものと置換することにより得た。λ−FLC−I−L−Bは、λ−FLC−I−BからスタッファーIIを除去することにより得、λ−FLC−I−L−Dは、図1eに示すスタッファーをλ−FLC−I−Bのものと置換することにより作出した。λ−FLC−II−Cは、修飾pBluescriptIIKS+(Stratageneから購入)を図1cのようなスタッファーとつなげて得た;そのベクターの他の部分はλ−FLC−I−B中のものと同じである。λ−FLC−III−Fは、プラスミド配列および図1fのスタッファーIを含む構築体(構築体は図2dに示した)を、λ−FLC−I−B由来ファージアーム(5.5−kbスタッファーIIを含む)へ、“λ−FLC−III−Cの調製”の例に記載したのと同じように(しかし、スタッファー1cの代わりにスタッファー1fを導入する)挿入して作出した。λ−FLC−III−Fもまた図7に示したように調製した。λ−FLC−III−L−Dは、λ−FLC−III−Fから、まず図1fのスタッファーIを図1dのものと置換し、次いでスタッファーIIを削除して得た。λ−FLC−III−S−Fは、λ−FLC−I−B(スタッファーIIを含まない)からのコンカテネートされたアームを、6.3Kbの長いスタッファーIIおよびλ−FLC−III−F由来の「プラスミド+スタッファーI」と、(Sambrookらに記載されているようにDNAリガーゼを用いて)連結することにより得た。ベクターλ−FLC−III−Eを、λ−FLC−III−F(およびλ−FLC−III−C)について記載されたのと同様の方法で、スタッファー1cまたは1fの代わりにスタッファー1eを導入して製造した(「スタッファー1e」は、図1eのスタッファーIを意味し、他のスタッファーについても同様である)。pBACまたはpBAC誘導体を含むベクターは、実施例20に示されるようにおよび図9〜12にしたがって製造することができる。
最終λDNA構築体は、標準法(Sambrookら,1989)またはLambda Maxi Prep Kit(#12562,Qiagen)を用いることにより調製した。10μgのλ−DNAの付着末端(cos末端)は、180μlの10mM Tris・Cl(pH7.5)/10mM MgCl2中 42℃で2時間インキュベートすることによりアニールした。次に、20μLの10xライゲーションバッファーおよび400UのT4リガーゼ(New England Biolabs)を加え、その混合液を室温で5時間インキュベートした。リガーゼは、65℃で15分間インキュベートすることにより失活させた。
λ−PSベクターをBamHI制限酵素を用いて切断し、2つの相補的オリゴヌクレオチド:上方オリゴヌクレオチド5’−GATCAGGCCAAATCGGCCGAGCTCGAATTCG−3'(配列番号19)および下方オリゴヌクレオチド5’−TCGAGAATTCGAGCTCGGCCATTTGGCCT−3'(配列番号20)を含む左リンカーアダプター、および2つの相補的オリゴヌクレオチド:上方オリゴヌクレオチド5’−GATCAGGCCCTTATGGCCGGATCCACTAGTGCGGCCGCA−3'(配列番号21)および下方オリゴヌクレオチド5’−TCGATGCGGCCGCCTAGTGGATCCGGCCATAAGGGCCT−3'(配列番号22)を含む右リンカーアダプターを使って、スタッファーIを挿入した。
このベクターからインビトロCre−loxリコンビナーゼで切出し後(後述のように)、プラスミドpFLC−I−b(図1bのスタッファーIを含む図2gのプラスミド)を得た。
上記のようにλ−FLC−I−Bの切出しから得たプラスミドpFLC−I−bを鋳型として用い、PCRにより増幅した。使用したプライマーは:T7 Rev(56mer) 5’−GTGTGATATCGCCCTATAGTGAGTCGTATTACATAGCTGTTTCCTGTGTGAAATTG−3'(配列番号23)およびT3 Fwd(70mer) 5’−GAGAGATATCTTTGTTCCCTTTAGTGAGGGTTAATTGCGCGCAATTCACTGGCCGTCGTTTTACAACGTC−3'(配列番号24)であり、直線状の“産物1”を得た。
次に、“産物1”をEcoRV制限酵素で切断し、得られた断片を(標準法に従い、Sambrookら、1989)上記のように調製した“産物2”と連結した。“産物3”と呼称する(環状の)プラスミドを得た。
pBluescriptIISK+(Stratageneより購入)をKpnIおよびNotIで消化した。当該大断片をアガロースゲル電気泳動で分離し、精製した。
AttB1リンカー:上方オリゴヌクレオチドは 5’−CGGGCCACAAGTTTGTACAAAAAAGCAGGCTCTCGAGGTCGACGAGAGGCCAGAGAGGCCGGCCGAGATTAATTAA−3'(配列番号31)、下方オリゴヌクレオチドは 5’−TTAATTAATCTCGGCCGGCCTCTCTGGCCTCTCGTCGACCTCGAGAGCCTGCTTTTTTGTACAAACTTGTGGCCCGGTAC−3'(配列番号32)。
9kb断片もλ−FLC−I−BをXbaIで切断して調製した(“断片4”)。
λ−FLC−III−Fベクターは、実施例4の最後に記載のように製造することができるが、しかしながら、他の製造方法も可能である。λ−FLC−III−F製造の一つの代替法は、本実施例に記載されるが、図7に示されている。
5’−pCGCGCTAACTATAACGGTCCTAAGGTAGCGAGTCGACGAGAGAGAGAGGATCCATCTATGTCGGGTGCGGAGAAAGAGGTAATGAAATGGCAG−3’(配列番号39)
およびオリゴヌクレオチドダウンアダプター鎖:
5’−pCGCGCTGCCATTTCATTACCTCTTTCTCCGCACCCGACATAGATGGATCCGAGAGAGAGAGTCGACTCGCTACCTTAGGACCGTTATAGTTAG−3’)(配列番号40)
を含む二本鎖のI−CeuI/PI−SceIアダプターオリゴヌクレオチドを(標準的な技法にしたがって)製造し、pBSIISK+/BssHII(NEB)/CIP(Takara, Japan)と連結させた。
5’−GAG−AGT−CTA−GAT−AAC−TTC−GTA−TAG−CAT−ACA−TTA−TAC−GAA−GTT−ATA−AAT−CAA−TCT−AAA−GTA−TAT−ATG−AGT−3’(配列番号41)
を有するXbaI−LoxP Tagプライマー3F(69mer)および配列:
5’−GAG−AGT−CTA−GAT−AAC−TTC−GTA−TAA−TGT−ATG−CTA−TAC−GAA−GTT−ATA−AAA−CTT−CAT−TTT−TAA−TTT−AAA−AGG−3’(配列番号42)
を有するXbaI−LoxP Tagプライマー3R(69mer)を用いたPCRによって(標準的な技法にしたがって)導入した。
実施例7:λ−FLC−III−Eの製造
λ−FLC−III−Eベクターは、他のFLC−IIIベクターのスタッファーIをスタッファーIeで置き換えることによって製造することができる。
実施例8:pDEST−Cの調製
pBluescriptIISK+(Stratageneより購入)をAacIおよびKpnI制限酵素で切断し、次いでT4 DNAポリメラーゼ(Sambrookら,1989)でブランティングし、2つの断片を得た。短い断片はアガロースゲル電気泳動により除去し、長い断片を精製し、回収した。精製された長い断片は、標準法(Sambrookら,1989)に従って、16℃で一晩RfBカセットと連結し、電気穿孔によりDH10B細胞中へ導入した(Sambrookら,1989)。組換え体クローンを増幅し、プラスミドを抽出した(pDEST−A)。pDEST−A中のBssHII断片を逆位させるため、pDEST−AをBssHII制限酵素で切り、フェノール/クロロホルムにより抽出し、エタノールで沈澱させ(Sambrookら,1989)、2つの断片を得た。pDEST−Aの消化産物であるこれら2つの断片は、RfBカセットを180度逆転させて16℃で一晩連結させ(Sambrookら,1989)、得られたプラスミドを電気穿孔によりDH10B細胞へ導入した。逆位された当該断片をもつクローンを、制限マッピングにより選択した(pDEST−C)(Sambrookら,1989)。
λ−FLC−II−CおよびpDONR201(Life Technologies)をBPクロナーゼ(Life Technologies)により組換えた。次に当該組換えベクターをpDEST−Cと混合し、LRクロナーゼにより組換えた。その反応溶液を電気穿孔によりDH10B細胞へ導入し、組換え体クローンをアンピシリンを含むLBプレート上で選択した。組換え体細胞を増幅し、プラスミド(pFLC−DEST)を調製した。
100ngのλ−FLC−III−Fを1UのCreリコンビナーゼ(インビトロcre−lox仲介リコンビナーゼ)により300μl中、37℃1時間処理し、FLC−III−fプラスミドを切り出した。このプラスミドを次にフェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた(Sambrookら、1989、に従う)。回収されたプラスミドは2.5kb/cmでDH10B(Life Technologies)中へ電気穿孔した。細胞をアンピシリンを含むLB寒天、X−gal(Sambrookら)上に広げ、37℃で一晩培養した。アンピシリンを含むLBプレートからの青いコロニーを拾い上げ、QIAGENキットを用いてプラスミドを調製した。
第1制限消化工程:20μlの10xI−CeuIバッファー,20μlの10xBSAおよび3UのI−CeuIの溶液(全容量200μl)をチューブ内に調製し、37℃で5時間インキュベートした。
完全長cDNAは文献記載(CarninciおよびHayashizaki,1999,上記に同じ;Carninciら,1997,DNA Res.,4:61−66)のように調製し、クローニングの前に均等化および/または差引き化した(Carninciら,2000,Genome Res.,10:1617−1630)。25UのBamHI(New England Biolabs)/μg cDNA(3’端を切断するため)および25UのXhoI(Fermentas Vilnius, Lithuania)/μg cDNA(5'端を切断するため)で消化し、当該cDNAを1.3Uの熱感受性シュリンプアルカリ性ホスファターゼ(SAP;Amersham Pharmacia Biotech)/μg cDNAで処理し、大容量クローニングベクター類を扱う場合に問題となるcDNAのコンカテマー化およびキメラ化を回避した。次いで、当該cDNAをプロテイナーゼKで処理し、フェノール/クロロホルムで抽出し、CL−4Bスピンカラム(Amersham Pharmacia Biotech)にかけた。精製されたcDNAはエタノール沈澱させる(CarninciおよびHayashizaki,1999,上記に同じ)か、サイズ分画した。アガロースゲルを使ってサイズ分画したcDNAについては、均等化/差引化は適用しなかった。この工程は、前記ベクターのλアームの単離に用いられたものと同様である:すなわち、電気泳動の方向を、短い断片が流出した後に、逆転させるものである(電気泳動を続行する前にバッファーを交換した)。cDNAは、既述のようにβアガラーゼ(New England Biolabs)を用いるか、7M塩化グアニジンの存在下で、文献記載(Boom,1990,J.Clin.Microbiol.,28:495−503)と実質的に同様に、酸で2回洗浄し、サイズ分画した珪藻土(Sigma)に結合させさせて、前記ゲルから分離した。
I)In vivo固相切出し(従来技術)
cDNAはE.coliC600細胞中で増幅した。約1〜5x104pfuをLB寒天の150mm皿上にプレートし、10mM MgSO4を含むLB寒天を上乗せし、集密状態(コンフルエント)になるまで一晩増殖させた(Sambrookら,1989,上記に同じ)。続いて、ファージ粒子をSMバッファーで溶出し、力価を測定した。次に、BNN132細胞をLBブロスおよび10mM MgSO4中で一晩増殖させた。細胞をペレット化し、10mM MgSO4中に再懸濁し、直ちにファージライブラリーに感染させ、それをin vivoでプラスミドDNAライブラリーに転換し、LBアンピシリンプレート上にプレートした。
上記のように調製した5 x 1010までのファージ粒子を、10mLの、ペレット化および10mM MgSO4に再懸濁した後、一晩増殖させたBNN132細胞(OD600= 〜0.5),に感染させ、次いで100μg/mlのアンピシリンを補給した90LB培地中で培養した。30℃または37℃で1、2、または3時間後に培養を停止し、Wizard Plus Midiprep DNA Purification System(Promega)を使ってプラスミドを抽出した。このプラスミドライブラリーを、上記のように(Shibataら,2000,上記に同じ)配列分析操作に適した2.0Kv/cmで、DH10B細胞(Life Technologies)へ電気穿孔した。
ファージcDNAライブラリーを、既述のように、C600細胞中で増幅した。その増幅ファージ溶液から、Wizard Lambda Preps DNA Purification System (Promega)を使って、ライブラリーファージDNAを単離した。得られたファージDNAの4分の1を、推奨(Novagen)されているように,300μL中37℃1時間1UのCreリコンビナーゼで処理して、プラスミドへ転換し、次いで精製した(Sambrookら、1989、に従って、プロテイナーゼK処理、フェノール/クロロホルム抽出およびエタノール沈澱)。バルク切出しプラスミドライブラリーは、2.0kV/cmでDH10B細胞(Life Technologies)中へ電気穿孔した。
16ngのライブラリーファージDNA,300ngのpDONR201(Instruction Manual,Gateway Cloning Technology,GibcoBRL,Life Technologies),4μLのBPバッファー,およびBP Clonase酵素ミックス(Life Technologies)を20μLに混合した。25℃で一晩インキュベートし、次いで0.2%SDSおよび10mM EDTAの存在下で、45℃で15分間プロテイナーゼK処理を行った。1μgのグリコーゲンを添加し、フェノール/クロロホルムおよびクロロホルムを用いて反応物を抽出した;得られた試料をイソプロパノールを用いて沈澱させた。沈澱を,300ngのpDEST12.2(Life Technologies),4μLのLRバッファー,および4μLのLR Clonase酵素ミックスと混合し、20μLの容量とした。当該試料は、プロテイナーゼK/フェノール クロロホルム抽出、次いでエタノール沈澱により、さらに精製した。
試料は、BP Clonase反応までは、前のプロトコール(Gateway仲介バルク切出し「間接的」)のときと同様に処理した。20μLの反応物のうち1μLをDH10B細胞へ電気穿孔した。細胞を、カナマイシンを含むLB上に広げ、得られたコロニーをプラスミド抽出(Sambrookら,1989)に付した。調製されたプラスミドは、個々にLR Clonaseと反応させ、前と同じように精製および電気穿孔した。
処法は、BP Clonase反応(Life Technologies)までは、前記間接的プロトコールと同じである。次に、450ngのPDEST12.2,6μLのLR Clonase酵素ミックス、および1μLの0.75M NaClを、前記チューブ(全容量30μL)に加えた。この試料を、既述のように、LR Clonaseで処理し、精製した。当該BP/LR反応試料は、滅菌水に溶解し、DH10B細胞中へ電気穿孔した。形質転換細胞は、アンピシリンまたはカナマイシンを含むLBプレート上に広げ、37℃で一晩培養した。
(1)インサートcDNA標品
cDNAライブラリーは、ホーミングエンドヌクレアーゼI−CeuIおよびPI−SceI(New England Biolabs)を両側のクローニング部位(SalIおよびBamHI)に有するλ−FLC−III−Fベクター(実施例6)中に、cDNA(Carninci et al., 2000, Genome Research, 10:1617-1630 の場合のように製造される)をクローニングすることによって製造した。これらホーミングエンドヌクレアーゼは、それぞれ、26bpおよび39bpの配列を認識し且つ切断するが、マウスゲノムを切断しない(事実、これらホーミングエンドヌクレアーゼは、統計的には、それぞれ、1.8x1018塩基対毎に1回および1.2x1024塩基対毎に1回切断し、したがって、Human および Mouse のような、全サイズが約3x109塩基対であるきわめて複雑なゲノムをちょうど1回で切断するとは全く考えられない)。したがって、それらは、ライブラリー中の幾万ものクローンのいずれかを内部切断することなくcDNAをサブクローニングするのに最適である。
λ−FLCIII−Fベクター(実施例6)を、in vitro cre−lox媒介リコンビナーゼで切除した。最初に、100ngのλ−FLCIII−Fを、1Uのcre−リコンビナーゼで、300μlの最終容量中、37℃において1時間処理した。次に、フェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、イソプロパノールで沈殿させた(Sambrook et al., 1989)。これらプラスミドを、大腸菌(E.coli)DH10B(Life Technologies)中に、製造者の指示にしたがって2.5kv/cmでエレクトロポレーションした。細胞を、50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天(Sambrook et al., 1989)上に塗抹した。LacZスタッファーIを有するプラスミドを比色分析検出して、後のバックグラウンド識別を容易にするために、9cmペトリ皿中のアガロース表面に、40マイクロリットルの2%X−galおよび7マイクロリットルの200mM IPTGも加えた(理論的考察について:Sambrook et al., 1989)。このプレートを37℃で一晩培養し、その後日(the day after)に数十個のコロニーが現れる。一つの青色コロニーを上のLBから採取し、50mlのLB培養液/50マイクログラム/mlアンピシリン中に接種し、そして300rpmで振とうしながら一晩成長させた(Sambrook et al., 1989)。翌日、QIAprepスピンミニプレプキット(QIAGEN)によってプラスミドDNAを製造した。
この工程は、組み換えを最大限にするために、スタッファーI(この場合、図1fのスタッファー)を欠いたプラスミド(この場合、pFLC−III−f)を製造するためである。
7.5ngの製造されたインサートと、上の工程(3)で製造された100ngのpFLCIII−fプラスミドベクターとを、10xT4 DNAリガーゼ緩衝液(New England Biolabs)および200UのT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)も含有する100μlの最終容量で混合し、16℃で一晩インキュベートした。連結されたプラスミドを、DH10B中に製造者の指示にしたがって2.5Kv(Kilovolt)/cm(Invitrogen)でエレクトロポレーションした。細胞を、(上のように)アンピシリンを含有するLB上に塗抹し、37℃で一晩培養した。次に、無作為に12コロニーを採取し、プラスミドを製造し(3mlのLB培養液/50マイクログラム/mlアンピシリン中に接種)、そして300rpmで振とうしながら一晩成長させた(Sambrook et al., 1989)。プラスミドDNAを、Quiagen プラスミドDNA抽出キットで製造した。
力価:pFLCIII−f+インサート(cDNA):2.1x104pfu/ml
インサートサイズ検査(平均サイズ)
ここで示される切除プロトコール:3.07kb
in vitro Cre−lox媒介リコンビナーゼ(対照実験):3.1kb。
この対照実験では、実施例12のような後述のプロトコールにしたがって Cre−loxで切除されるのと同じライブラリーが構成された(番号III,in vitro Cre−lox媒介切除)。
図1および2に示すλ−FLC−I−Bおよび他のベクター類は、完全長マウスcDNAのライブラリーの調製に使われて成功し、〜0.2から15.4kb cDNAのクローニング容量をもつことが示された。
図1d−fに示した、テストしたバックグラウンド低減スタッファーはいずれも、非組換え体ベクターに由来するバックグラウンドを検出可能な程度に産生しなかったので、互換性があると考えられる。λ−FLC−I−E,λFLC−C−F,λ−FLC−III−D,λ−FLC−III−S−F,およびλ−FLC−I−L−Dなどのベクターの場合、そのバックグラウンドは環境DNAコンタミネーションによる。あるテスト実験では、λ−FLC−I−Eに何のcDNAも連結しなかった。λプレーティング段階では、低減すべきバックグラウンドがなかったので、得られた8.4 x 104pfu/μgベクターという値は、非組換え体ベクターの寄与を含んでおり、これに対して、正のコントロールの代表的な値は >107pfu/μgであった。当該バックグラウンドプラークを増幅し、プラスミドを切出し、12クローンを分析し、異なる電気泳動パターンを示す代表的な試料の配列分析を行った。選択後に残ったバックグラウンドクローンは、ベクターDNA調製中の死んだE.coli細胞からの残物と思われるE.coliゲノム由来のものだけで、どの挿入体にもベクター配列は見られなかった。それ故、バックグラウンドを完全に無くすのが目標であれば、すべてのコンタミゲノムDNAをλDNA調製物から排除しなければならないし、恐らくさらに重要なことは、cDNAが、容易にクローニングできるように、無傷の末端をもたなければならないことである。
スタッファーIに関連するバックグラウンド低減は、λ−FLC−I−Eのスタッファーの場合と異なる。ccdBの単一コピーおよびスタッファーIに挿入した追加のloxPサイト(図1f)を用いて、二重の戦略を独立にテストしたためである。その切出し過程の際、図1iに示すように、第3のloxPサイトは、bla(アンピシリンに耐性を付与するためのβラクタマーゼ遺伝子)からの複製起点の分離を生じやすい。この問題を解決するため、λベクター中のプラスミド配列とloxPエレメントの順序を操作して、スタッファーI上のloxPがblaと複製起点の間になるようにした。これにより、どの欠陥切出しプラスミドも、複製または抗生物質耐性の獲得が不可能になる(図1i)。
バルク切出し前に、標準法(Sambrookら,1989)に従って、cDNAライブラリーを固相培地上で場合により増幅した。この方法は、cDNAライブラリーのサイズを減少しないが、長いファージを選択的にパッケージするため、約≦0.5kbのcDNA挿入体をもつファージの頻度を(排除はしないが)減少させる。C600細胞中での増幅は、cDNAのクローニングに使われるヘミメチル化(CarninciおよびHayashizaki,1999,上記に同じ)を排除する。一次cDNAライブラリーのヘミメチル化cDNAは,BNN132中のin vivo切出し(後記)の際に切断されると思われる。
In vivo固相切出し法(図3)(本分野の現行技術を代表する)は、増幅されたcDNAライブラリーを、構成的にCreリコンビナーゼを発現するBNN132細菌株(Elledgeら,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:1731−5)へ感染させるだけなので、簡単のように思える。しかしこの方法は、プラスミドの不安定性(Summersら,1984,上記に同じ)およびプラスミドの低収量(Palazzoloら,1990,上記に同じ)のため、推奨できない。実際、Creリコンビナーゼが構成的に発現され、プラスミドの2量体や多量体を形成させ、高率の無プラスミド細胞を生成し(Summersら,1984,上記に同じ)、配列決定の効率を損なう。cDNAライブラリーの宿主株としてBNN132を用いると、決まって、プラスミドは低収量で、長期の培養後に消失することが確かめられている。
In vivo液相切出し法は、長期培養後のプラスミドの消失および低収量の問題を克服した:すなわち、30℃または37℃で短期培養後、切出しプラスミドcDNAライブラリーを抽出し、DH10Bなどのいずれか適当なE.coli株へ電気穿孔する。当該プラスミドを低コピー数に保つことにより、ライブラリーのサイズを非バイアスに保持すると考えられる30℃(Lin−Chaoら,1992,Mol.Microbiol.,6:3385−3393)またはプラスミドが高いコピー数で発現される37℃で、1、2、または3時間の培養/切出し後に、切出しライブラリーのサイズについて同じような結果が得られた。コピー数は、cDNA挿入体のサイズに逆比例することも認められた。λ−FLC−I−B中にクローニングされたcDNAライブラリーを切出した場合、切出し後の最終力価は、30℃で1時間培養後2.4 x 108cfu/μg、30℃で2時間後9.1 x 108cfu/μg、および30℃で3時間後1.4 x 109cfu/μgであった。37℃での増殖後の力価は、1時間のインキュベーション後1.5 x 109cfu/μg、2時間後9.8 x 108cfu/μg、および3時間後2.8 x 109cfu/μgであった。平均挿入体サイズはそれぞれ、30℃で1、2、および3時間の場合4.1,3.9,および3.3kb、および37℃で1、2、および3時間の場合2.9,3.6,および3.8kbであった。これらの結果は、挿入体の長さまたはBNN132E.coli培養の温度および期間に関し、特記するような切出し関連の問題がないことを示唆している。当該Cre−lox切出し系に関連するサイズバイアスをよりよく定量するため、10kbスタッファーをもつ同数の非組換え体λ−FLC−I−Bベクターを、増幅cDNAライブラリーからのファージと混合し、細胞に感染させた。10kb挿入体を含むクローンの割合は、上記条件のすべてで50%近くであった。この結果から、当該Cre−lox切出し系のサイズバイアスに対する強健さが確かめられた。本in vivo液相切出し法の長所のなかには、高いDNA収量があり、それは、増幅されたライブラリーのサイズを減らす恐れがあるプラスミド増幅工程を避けながら、現存cDNAライブラリーのさらなる均等化/差引き化(Bonaldoら,1996,Genome Res.,6:791−806)に使える、GeneII−ExoIIIを用いる終始一貫した量の1本鎖プラスミドDNAの産生のような、下流操作を容易にする。
In vivo液相切出し法は、サイズバイアスを示さないが、なお短いラウンドのライブラリー増幅が含まれ、それが配列特異的、再現的バイアスの原因となる可能性がある。そこで、Cre仲介組換えに基づくin vitro切出し法を開発した。この切出し系は、増幅cDNAライブラリーからの精製λDNAを使い、続いて電気穿孔を行うものである。その適用に当っては、長いBAC挿入体について記載された電気穿孔条件をテストした(Shengら,1995,Nucl.Acids Res.,23:1990−1996)。PvuIIによる制限消化後の60プラスミドのサイズ分析の結果に照らすと、1.7から2.5kV/cmのパルスを用いた場合、プラスミドcDNAライブラリーの最終サイズに有意な差は認められなかった。本Cre−lox in vitro切出しプロトコールは、BNN132中でcDNAライブラリーの短期増幅工程さえ必要とせず、サイズバイアスに関して優れており、さらに、ここに記載されているすべてのベクターで使用可能なため、ここでテストした中では最適と考えられた。
λ−FLC−II−Cの場合、pFLC−IIプラスミド切出しのCre−lox切出しプロトコール(図2h)に加えて、Gateway系に基づくバルク切出し用のプロトコールを開発した。
前記Gateway仲介バルク切出しプロトコールはいずれも、前記Cre−loxバルク切出し処法の代わりとして有効である。事実、対照のCre−lox反応(in vitro Creリコンビナーゼプロトコール)の場合、切出しcDNAサブライブラリーからの60クローンの平均サイズは2.3kbであり、「間接」プロトコールの場合2.4kbで、「増幅間接」プロトコールの場合2.5kbで、「直接」プロトコールの場合3.3kbであった。切出し前のこのcDNAの平均サイズは3.7kbであった。その最終サイズがゲル上のmRNAの平均サイズに近いことを考えると、本切出し系は満足できるものである。いずれにせよ、当該Gateway仲介切出し系は、Gateway切出しプロトコールの使用が可能なλ−FLC−II−C中へのクローニングに十分量のcDNAが利用できる場合には、極めて魅力的である。ここでは、シークエンス操作の必要性に照らして、デスティネーションベクターとしてpFLC−DEST(図2j)を使用した。
1)ベクター構築
5.5KbのスタッファーIIをもつλ−FLC−Iを、上記実施例で既に述べたように構築した。そのクローニングサイズを比較するため、6.0KbのスタッファーIIをもつλ−FLC−Iを構築した。当該5.5KbスタッファーIIにHindIIIサイト中の0.5Kb断片を加えた。0.5Kb断片は、マウスゲノムDNAのHindIIIによる制限消化で得た。マウスゲノムDNAをHindIIIで消化し、0.5Kb断片をゲル電気泳動により分離した。当該断片は、pBluescript + (stratagene)中へサブクローニングし、HindIIIにより切断し、そのpBluescript中へサブクローニングした5.5KbスタッファーII上のHindIIIサイトへ挿入した。前記6.0KbのスタッファーIIは、AscIの制限消化により回収し、10KbスタッファーIおよびpBluescriptとともに、左アームおよび右アームへ連結した。
λDNAは、QIAGEN lambda Midi kit(#12543)により調製した。
250bpテスト挿入体
λDNAをPstIで消化し、2%低融点アガロースゲル中で電気泳動した。200−300bpバンドをカットオフし、QIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen)により精製した。200−300bpのPstI断片をpBluescript中へサブクローニングし、BamHIおよびSalIで消化した。250bp BamHI−SalI断片を2.0%低融点アガロースゲル中で分離し、切り取って、Qiagen Kitで精製した。
2.0KbマウスcDNAを含むプラスミドをPCR鋳型として用いた。2Kb挿入体を1stBSプライマーおよび2ndXプライマーで増幅し、0.1%SDSおよび20mM EDTAの存在下で、Proteinase K処理により精製し、フェノール/クロロホルムおよびクロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた(Sanbrookら,1989,上記に同じ)。PCR産物は、BamHIおよびXhoI(SalIとの付着末端)で消化し、上記のように精製した。
6Kbテスト挿入体は、前記各挿入体についての記載と同様に調製した。
10Kbテスト挿入体
10KbスタッファーIをもつp−FLC−IをBamHIおよびSalIで消化し、上記のようにproteinase Kで精製した。当該10KbのBamHI−SalI断片は、0.7%低融点アガロースゲル電気泳動で分離し、TEバッファー(Sambrookら,1989)でゲルを平衡化後、βアガラーゼ(NEB)でゲルから分離した。
4種類のテスト挿入体を,5.5KbスタッファーIIを有するλ−FLC−Iへ、および6.0KbスタッファーIIを有するλ−FLC−Iへ連結した。200bp,2Kb,6Kbおよび10Kbのテスト挿入体は、それぞれ両ベクターへ1:1:1:1または3:1:1:1の比率で連結した。次いで、パッケージング反応を、MaxPlax Lambda Packaging Extract (Epicentre Technologies)を用いて行った。ファージ溶液はC600細胞中で増幅した。1x104pfuをLB寒天の90mm皿にプレートし、10mM MgSO4を含むLB寒天を上乗せし、一晩増殖させて集密状態(コンフルエント)にした(Sambrookら,1989)。ファージ粒子をSMバッファーで溶出させ、力価を測定した。ファージDNAは、推奨されているように(Novagen,Madison,WI,USA),300μL中、1UのCreリコンビナーゼにより37℃1時間抽出し、プラスミドへ転換し、S400スパンカラム(Pharmacia)により精製した。切り出されたプラスミドは、2.5KV/cmでDH10B細胞(Life Technologies)中へ電気穿孔し、100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天プレート上へプレートした。各96コロニーを取り上げ、プラスミド調製を、KURABOによるプラスミド抽出自動装置、溶液類およびプロトコールにより行った(しかし、プラスミドの他の任意の精製法、例えばSambrookら、1989、の方法に従ってもよい)。プラスミドはPvuIIで消化し、挿入体サイズをアガロースゲル電気泳動によりチェックした。
I)ライゲーション仲介クローン転移によるクローニングサイズ選択性cDNA用のベクター:λ−FLC−III−L−D(図2e)
λ−FLC−I−L−Bおよびλ−FLC−I−L−Dと同様に、λ−FLC−III−L−Dは、スタッファーIIをもたないため、大きい挿入体をもつcDNAライブラリーに使われる。このベクターは、λ−FLC−I−L−Dと同じバックグラウンド低減エレメントをもつが、λ−FLC−III−L−Dからの切り出しは、cDNAの内部切断なしのサブクローニングに適するpFLCIII−dプラスミド(図1dのスタッファーIを含む図2iのプラスミド)を生じる点で、λ−FLC−I−L−Dと異なる。
Arabidopsis thaliana(シロイヌナズナ)およびOryza sativa(イネ)のような脊椎動物から進化的に遠い多くの生物のmRNAは、脊椎動物のものより短い(典型的には、アガロースゲル上で1から1.5kb)。無脊椎動物を扱う場合、既述のすべての実施例で使われたようなサイズ選択は、当初のmRNAを代表しないと思われる長い挿入体にバイアスする可能性がある。λ−FLC−I−Bを使っても、3つのイネライブラリーからの遺伝子発見は優れていたが、この問題の解決のために、λ−FLC−III−S−Fを調製した。λ−FLC−III−S−Fは既述のλ−FLC−III−Fと同じだが、長いスタッファーII(6.3kb)をもっている。6.3kbスタッファーIIの場合、名目のクローニングサイズは0から14.9kbで、比較的短いcDNAのクローニングに便利である。λ−FLC−III−S−Fのバックグラウンド低減エレメントは図1fに示され、このベクターは、切出し後、pFLCIII−fプラスミド(図1fのスタッファーIを含む図2iのプラスミド)を産生する。
ここで用いた完全長cDNAは、文献記載(CarninciおよびHayashizaki,1999,上記に同じ)のように調製し、均等化/差引化した(Carninciら,2000,Genome Res.,10:1617−1630)。他の任意の技術により調製されたcDNAでも、制限サイトが適合し、ベクターが適切に修飾されていれば、λ−FLCベクターへ正しい向きにクローニングが可能である。λ−FLC−I−BへクローニングされたcDNAの平均挿入体サイズは、他のベクター類へクローニングされた同じcDNAのものに比べて常に長かった(表2;種々のベクターを用いたcDNAライブラリーの平均サイズ)。
(1)「成分1」(図9)の製造
10μgのpFLC−III−eと称されるプラスミドを、10ユニットの制限酵素BssHII(NEBとしても示される New England Biolabs)で、20μlの1x供給(supplied)緩衝液(NEB)中において37℃で1時間消化した。pFLC−III−e/BssHIIを、TAE(トリス−アセテート−EDTA緩衝液,Sambrook et al., 1989)0.8%低融点アガロースゲル(SeaPlaque,FMC)で50Vにおいて1時間分離した(Sambrook et al., 1989 を参照されたい)。このプラスミドバンドを、ゲルから切り取り、β−アガラーゼ(New England Biolabs)で、製造者によって示唆されるように消化した(或いは、Sambrook et al., 1989 に記載される標準的な技法を用いることもできる)。
US5,874,259号(本明細書中に援用される)の図1にしたがって製造されるpBeloBAC11誘導体を、次の「成分2の製造」実験で用いた。US5,874,259号の説明にしたがって、基本のpBeloBAC11(Kim et al., 1996, Genomics, 34:213-218)を、次のようにして修飾した。oriV要素(配列番号43)およびFRT要素(配列番号44)を互いに連結し、そして得られたフラグメントをブラントにし且つ末端にした後、ブラント末端にされたXhoI部位中に連結した。二つの連結されたフラグメントの配向は、フラグメントがXhoI部位中にクローン化された場合に、oriが、近くのFRT部位とインサートクローニング部位との間に物理的に位置しているようにある。
5’末端がリン酸化された上方鎖:5’−pTCGAAGCTTCCG−3’(配列番号45)および下方鎖5’−CGCGCGGAAGCT−3’(配列番号46)を含む二本鎖オリゴヌクレオチド「アダプター」(図9)を、自動合成機(標準的なプロトコールおよび試薬を用いるEXPEDITE8909)を用いてオリゴ合成して製造した。
「成分1」(pFLC−III−e/BssHIIフラグメント)、「成分2」および「成分3」を、50ng:37ng:0.1ngの比率で、1x緩衝液(製造者NEBによって供給される10x原液から1/10への希釈によって調製される)、400ユニットのT4 DNAリガーゼ(NEB)の存在下の5μlの最終容量反応(1x希釈緩衝液,DNA,アダプター,DNAリガーゼ)中において互いに混合した。
この連結反応中に0.2M最終濃度でNaClを添加後、これら連結反応生成物を、標準的な技法(Sambrook et al., 1989)にしたがって、2容量の96%エタノールおよび1μgの Glycogen(Roche)で沈殿させ、そして連結した生成物を、標準的なプロトコール(Sambrook et al., 1989)にしたがってエタノール沈殿によって回収した。これら連結反応生成物を、10μlのH2O中に溶解させた。
上のように製造された修飾pBAC中にloxP部位およびXbaI部位を導入するために、1μgの修飾pBACを、0.5μMの「プライマー1」
(5’−AGAGAGAGAGATCTAGAATAACTTCGTATAATGTATGCTATACGAAGTTATCTGTCAAACATGAGAATTG−3’)(配列番号47)、0.5μMの「プライマー2」:
(5’−GAGAGAGAGATCTAGATAACTTCGTATAGCATACATTATACGAAGTTATCGAATTTCTGCCATTCAT−3’)(配列番号48)、125μMのdNTP混合物、1x「GC緩衝液1」(Takara, Japan)、5ユニットのLA−Taq(Takara, Japan)と一緒に50μLの容量で混合した。
増幅後、1μlの0.5M EDTA、1μlの10%SDSおよび1μlのプロテイナーゼK(10mg/ml原液)(Sigma)を、得られたPCR産物に加え、45℃で15分間インキュベートした後、フェノール/クロロホルム処理、クロロホルム抽出、次にエタノール沈殿を行った(Sambrook et al., 1989)。エタノール沈殿後、ペレットを水で溶解させ、そして製造者(NEB)によって供給される緩衝液中において5ユニットの制限酵素XbaI(NEB)で切断した。TAE 0.8%低融点アガロースゲル(SeaPlaque,FMC)での50Vにおいて1時間の電気泳動分離後、PCR産物を精製した(Sambrook et al., 1989)。このPCR産物を切断し、製造者によって示唆されるように10ユニットのβ−アガラーゼ(NEB)で消化した(或いは、Sambrook et al., 1989 に開示される標準的な技法を用いることもできる)。
サイズバランサーとしての1.8kbスタッファー(「スタッファーII」としても示される)を製造するために、3μgのマウスゲノムDNAを、20ユニットのSau3AIおよび1x供給緩衝液(Nippon Gene, Japan)で、20μlの容量中において37℃で2時間消化した。消化したDNAを、λ/StyI分子マーカー(Nippon Gene, Japan)と共に1.2%低融点アガロースゲルで、50Vにおいて2時間分離した。約1 1.8kbのサイズを示す、移動したDNAフラグメントを、ゲルから切り取り、スライスした。このゲルを、1mlの1xβ−アガラーゼ緩衝液(NEB)と混合した。このゲルが入った試験管を氷上に30分間置いて、1xβ−アガラーゼ緩衝液で平衡させた。この緩衝液を試験管から除去し、新しい1xβ−アガラーゼ緩衝液を入れた。試験管を氷上に30分間置いた。この緩衝液交換サイクルをもう1回繰り返した。緩衝液を除去し、試験管を65℃で5分間インキュベートして、ゲルを溶融させた。10ユニットのβ−アガラーゼ(NEB)をこの試験管に加え、5時間インキュベートした。標準的な技法(Sambrook et al., 1989)にしたがって、フェノール/クロロホルム抽出を行い、エタノールで沈殿させた。沈殿した1.8kbスタッファーII DNAを、10μlのTE(10mMトリス−HCl,1mM EDTA,pH7.5)で溶解させた。
増幅後、1μlの0.5M EDTA、1μlの10%SDSおよび1μlのプロテイナーゼK(10mg/ml原液)(Qiagen)を、得られたPCR産物に加え、45℃で15分間インキュベートした後、フェノール/クロロホルム処理、クロロホルム抽出、次にエタノール沈殿を行った(Sambrook et al., 1989)。エタノール沈殿後、ペレットを水で溶解させ、そして製造者(NEB)によって供給される緩衝液中において15ユニットの制限酵素XbaI(NEB)で切断した。
(7)「成分6」の製造(図12)
10μgの(直鎖状)λ−FLC−I−E(図2a)の付着末端(cos末端)は、180μlの10mMトリス・Cl(pH7.5)、10mM MgCl2、およびNEBによって提供される20μLの10x連結反応緩衝液中において42℃で2時間のインキュベーションによってアニーリングした(二つの相補的cos末端およびこれら末端は、この処理後に互いにアニーリングするが、これは、後の工程での連結効率を増加させ且つ追加の手順を簡単にする)。400ユニットのT4 DNAリガーゼ(NEB)をこの溶液に加え、そしてこの試料を室温で5時間インキュベート後、65℃で15分間のリガーゼ失活を行った。前の工程で連結されたcos末端を含むλDNAを、5ユニットのXbaI(Nippon Gene, Japan)、1x製造者供給緩衝液で、50μlの容量中において37℃で2時間消化した。消化後、1μlの0.5M EDTA、1μlの10%SDSおよび1μlのプロテイナーゼK(10mg/ml原液)(Qiagen)を、得られたDNAに加え、45℃で15分間インキュベートした後、フェノール/クロロホルム処理、クロロホルム抽出、次にエタノール沈殿を行った(Sambrook et al., 1989)。エタノール沈殿後、試験管を氷上で保持しながら、ペレットを水で30分間溶解させ、消化したDNAを、TAE 0.6%低融点アガロースゲル中において50Vで5時間分離した。cos連結フラグメント(29kbp)を、ゲルから切り取り、スライスした。このゲルを、1mlの1xβ−アガラーゼ緩衝液(NEB)と混合した。このゲルが入った試験管を氷上に30分間置いて、1xβ−アガラーゼ緩衝液で平衡させた。この緩衝液を試験管から除去し、新しい1xβ−アガラーゼ緩衝液を入れた。試験管を氷上に30分間置いた。この緩衝液交換サイクルをもう1回繰り返した。緩衝液を除去し、試験管を65℃で5分間インキュベートして、ゲルを溶融させた。10ユニットのβ−アガラーゼ(NEB)をこの試験管に加え、5時間インキュベートした。標準的な技法(Sambrook et al., 1989)にしたがって、フェノール/クロロホルム抽出を行い、エタノールで沈殿させた。沈殿した29kbのcos連結フラグメントを、5μlのTE(10mMトリス−HCl,1mM EDTA,pH7.5)で溶解させ、「成分6」と命名した(図12)。
「成分4」(修飾pBAC)、「成分5」(スタッファー)および「成分6」(アーム)を、次の、120ng:19ng:300ngの比率で、1x連結反応緩衝液(NEB連結反応緩衝液)および400ユニットのT4 DNAリガーゼNEBの存在下の5μl中において16℃で16時間混合した。
これら採取されたファージプラークを、SM緩衝液(Sambrook et al., 1989)中に入れ、室温で1時間放置した。次に、溶離したファージ溶液を用いて、C600細胞に感染させ、そして標準的なプロトコール(Sambrook et al., 1989)にしたがって増幅させた。
Claims (63)
- 以下:
(a)構築セグメント(CS)、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つのlox組換えサイトをさらに含み、当該lox組換えサイトは相互に組換えできる;および
(b)興味ある核酸挿入体により置換された又は置換される可換セグメント(RS)、ここで当該RSは以下:
i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列;
ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列;
iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト;および
iv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト;
からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
を含む、バクテリオファージクローニングベクター。 - CSが37.5kbである、請求項1に記載のクローニングベクター。
- CSが、5.5kbの外来セグメントを含む、請求項2に記載のクローニングベクター。
- バクテリオファージがλである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
- CSが、少なくともoriを有するプラスミドセグメントをさらに含むバクテリオファージベクターセグメントである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
- 少なくともoriを有するプラスミドセグメントが、pBluescript(+)、pUC、pBR322、およびpBACの群から選ばれる、請求項5に記載のクローニングベクター。
- 有毒な化合物に対する耐性を付与する産物をコードするDNAセグメント;遺伝子産物の活性を抑圧する産物をコードするDNAセグメント;識別可能な産物をコードするDNAセグメント;細胞機能を阻害する産物をコードするDNAセグメント;所望の分子の単離を可能にするためのDNAセグメント;および、酵素により認識される特定のヌクレオチド認識配列をコードするDNAセグメント;からなる群より選択される少なくとも一つの選択マーカーを、CSがさらに含む、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
- 選択マーカーが、抗生物質耐性遺伝子、栄養要求性マーカー、毒性遺伝子、表現型マーカー、酵素切断サイト、タンパク質結合サイト、およびPCRプライマー配列に相補的な配列、からなる群より選択される少なくとも一つのマーカーを含む、請求項7に記載のクローニングベクター。
- RSが、a)ccdB遺伝子、b)lacZ遺伝子、およびc)組換えサイトからなる群より選択される、少なくとも1つのバックグラウンド低減配列をさらに含む、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
- 組換えサイトがlox組換えサイトである、請求項9に記載のクローニングベクター。
- lox組換えサイトがloxPサイトである、請求項10に記載のクローニングベクター。
- RSに隣接する2つの切出しエレメントが、i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列;またはii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列;である、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
- ホーミングエンドヌクレアーゼが、I−CeuI、PI−SceI、PI−PspI、およびI−SceIからなる群より選択される、請求項1ないし12のい ずれか1項に記載のクローニングベクター。
- ホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列が、18から39bpの配列である、請求項1ないし12のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
- RSに隣接する2つのatt組換えサイトが、attB、attP、attL、およびattRからなる群より選択される、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
- RSに隣接する2つのlox組換えサイトが、loxPサイトである、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
- CSに含まれる2つのlox組換えサイトがloxPサイトである、請求項1ないし16のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
- CSに含まれる2つのlox組換えサイトがloxPサイトであり、そしてRSがバックグラウンド低減配列としてlox組換えサイトをさらに含む、請求項1ないし17のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
- 直鎖状である、請求項1ないし18のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
- 核酸挿入体が、DNA、cDNAおよびRNA/DNAハイブリッドからなる群より選択される、請求項1ないし19のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
- 核酸挿入体が完全長cDNAである、請求項1ないし19のいずれか1項に記載のクローニングベクター。
- 完全長cDNAが、均等化および/または差引き化完全長cDNAである、請求項21に記載のクローニングベクター。
- 以下:
(a)構築セグメント(CS)、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つのlox組換えサイトをさらに含み、当該lox組換えサイトは相互に組換えできる;および
(b)興味ある核酸挿入体により置換された又は置換される可換セグメント(RS)、ここで当該RSは以下:
i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列;
ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列;
iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト;および
iv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト;
からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
を含むバクテリオファージクローニングベクターであって、
ここで当該RSはcDNAにより置換される第一のスタッファーセグメントを含み、そして当該CSは6.0kbまでの第二のスタッファー断片を含んでいても、含んでいなくてもよく、そしてここで当該バクテリオファージクローニングベクターは、当該第二のスタッファー断片が5.5kbの長さである場合に6kbないし10kbの長さのcDNAを優先的にクローニングし、そして当該第二のスタッファー断片が6.0kbの長さである場合に2kbの長さのcDNAを優先的にクローニングする、
前記バクテリオファージクローニングベクター。 - 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
(1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えできるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切 断サイト配列、iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト、およびiv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト、からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
(2)前記クローニングベクター中のRSを、興味ある核酸挿入体と置換する;
(3)興味ある核酸挿入体、または興味ある核酸挿入体を含むプラスミドの、in vivoまたはin vitro切出しを行う;
(4)興味ある核酸挿入体をもつ(組換え体)プラスミドまたはそれらのプラスミドのライブラリーを回収する;
工程を含む、前記方法。 - 工程(2)および(3)の間に当該クローニングベクターの増幅の工程が行われる、請求項24に記載の方法。
- 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
(1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えできるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSはccdB遺伝子を含み、そしてRSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列、iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト、およびiv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト、からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
(2)当該クローニングベクター中へ興味ある核酸挿入体でRSを置換する;
(3)興味ある核酸挿入体、または興味ある核酸挿入体を含むプラスミドの、in vivoまたはin vitro切出しを行う;
(4)興味ある核酸挿入体をもち、かつccdB遺伝子を欠く(組換え体)プラスミドまたはそれらのプラスミドのライブラリーを回収する;
工程を含む、前記方法。 - 工程(3)において、相互に連結または組換えを起こさない2つの組換えサイトにより隣接されしかもccdB遺伝子を含むデスティネーション可変セグメント(RS)、を含む少なくとも1つのデスティネーションベクターを工程(2)のクローニングベクターに配備することにより、興味ある核酸挿入体のin vitro切出しを可能にし、そして工程(4)において前記興味ある核酸挿入体をもち、前記ccdB遺伝子を欠く組み換え体プラスミドまたは当該プラスミドのライブラリーを回収することを特徴とする、請求項26に記載の方法。
- 工程(2)および(3)の間に当該クローニングベクターの増幅の工程が行われる、請求項26または27に記載の方法。
- 工程(1)のクローニングベクターおよび工程(4)のデスティネーションベクターの両者のRSに隣接する前記2つの組換えサイトが、attB,attP,attL,およびattRからなる群より選択された組換えサイトに由来する、請求項27または28に記載の方法。
- RSに隣接する組換えサイトが、lox組換えサイトであり、かつ相互に組換えを起こさない、請求項27または28に記載の方法。
- lox組換えサイトがloxPサイトである、請求項30に記載の方法。
- 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
(1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えで きるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSはCS中へ置かれる前記2つのlox組換えサイトの1つと組換え可能な組換えサイトを含み、そしてRSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列、iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト、およびiv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト、からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
(2)前記クローニングベクター中のRSを、興味ある核酸挿入体で置換する;
(3)興味ある核酸挿入体、または興味ある核酸挿入体を含むプラスミドの、in vivoまたはin vitro切出しを行う;
(4)興味ある核酸挿入体をもつ(組換え体)プラスミドまたはそれらのプラスミドのライブラリーを回収する;
工程を含む、前記方法。 - 前記CSおよびRS中に含まれるlox組換えサイトがloxPサイトである、請求項32に記載の方法。
- 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
(1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えできるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、またはii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列、から選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
(2)興味ある核酸挿入体であって、当該興味ある挿入体に隣接する2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、または、クラスIIS制限酵素類により認識される2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列を含み、当該配列が工程(1)のベクター中へ挿入された2つの配列と連結できる、前記挿入体でRSを置換し、そして前記興味ある核酸挿入体を含むベクターを得る;
(3)興味ある核酸挿入体、または興味ある核酸挿入体を含むプラスミドの、in vivoまたはin vitro切出しを行う;
(4)興味ある核酸挿入体を含む(組換え体)切出しプラスミド、デスティネーションプラスミド、または前記プラスミドのライブラリーを回収する;
工程を含む、前記方法。 - 前記非対称サイト配列を切断できるホーミングエンドヌクレアーゼ類が、I−CeuI,PI−SceI,PI−PspIおよびI−SceIからなる群より選択される、請求項34に記載の方法。
- 前記ホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列が18から39bpである、請求項34に記載の方法。
- 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
(1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えできるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列、iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト、およびiv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト、からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
(2)当該クローニングベクター中のRSを興味ある核酸挿入体で置換する;
(3)当該ベクターをパッケージングする、
(4)Creリコンビナーゼを発現する少なくとも1つの細胞をin vivoで液相感染させる;
(5)切出しプラスミドが短期増殖するまたは増殖しない条件下で、興味ある核酸挿入体を含む少なくとも1つのプラスミドのin vivo液相切出しを行う;
(6)細胞溶解、および挿入体をもつプラスミドまたは当該プラスミドのライブラリーの回収を行う;
工程を含む、前記方法。 - さらに以下の工程:
(7)Creリコンビナーゼを発現しない少なくとも1つの細胞を電気穿孔するかまたは形質転換して、当該細胞中へ工程(6)のプラスミドを貫入させる、
(8)工程(7)におけるように感染された細胞を平板培養(プレーティング)し、興味ある核酸挿入体をもつプラスミドまたは当該プラスミドのライブラリーを回収する;
を含む、請求項37に記載の方法。 - バクテリオファージがλである、請求項37または38に記載の方法。
- 前記CSに含まれるlox組換えサイトがloxPサイトである、請求項37ないし39のいずれか1項に記載の方法。
- 工程(3)および(4)の間にパッケージされたベクターの増幅が行われる、請求項37ないし40のいずれか1項に記載の方法。
- 工程(5)が、20℃から45℃の温度において、0から3時間行われる、請求項37ないし41のいずれか1項に記載の方法。
- 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
(1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えできるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列、iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト、およびiv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト、からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
(2)前記クローニングベクター中のRSを興味ある核酸挿入体で置換する;
(3)パッケージングエキスの存在下での、工程(2)のバクテリオファージクローニングベクターのin vitroパッケージング;
(4)キャプシドからのバクテリオファージクローニングベクターの抽出;
(5)Creリコンビナーゼの存在下でベクターから、興味ある核酸挿入体を含むプラスミドのin vitro切出し;
(6)当該プラスミドまたはプラスミドライブラリーの回収;
の工程を含む、前記方法。 - さらに以下の工程:
(7)Creリコンビナーゼを発現しない少なくとも1つの細胞を電気穿孔するかまたは形質転換して、当該細胞中へプラスミドを導入する;
(8)工程(7)の細胞をプレーティングし、興味ある核酸挿入体をもつプラスミドまたは当該プラスミドのライブラリーを回収する;
を含む、請求項43に記載の方法。 - 工程(3)および(4)の間にプレート上でバクテリオファージの増幅工程が行われる、請求項43または44に記載の方法。
- CSに含まれるlox組換えサイトがloxPサイトである、請求項4 3ないし45のいずれか1項に記載の方法。
- 前記バクテリオファージがλである、請求項43ないし46のいずれか1項に記載の方法。
- 興味ある核酸挿入体をクローニングする、または興味あるバルク核酸ライブラリーを調製する方法であって、
(1)構築セグメント(CS)および興味ある核酸挿入体により置換される可換セグメント(RS)を含むバクテリオファージクローニングベクターを調製する、ここで当該CSのサイズは36.5kb≦CS<38kbであり、そしてCSは2つの相互に組換えできるlox組換えサイトをさらに含み、そしてここで当該RSは以下:i)相互に連結しない、2つのホーミングエンドヌクレアーゼ非対称認識サイト配列、ii)相互に連結せず、クラスIIS制限酵素類により認識される、2つの制限非対称エンドヌクレアーゼ切断サイト配列、iii)相互に組換えをしない、2つのatt組換えサイト、およびiv)相互に組換えをしない、2つのlox組換えサイト、からなる群より選択される2つの切出しエレメントにより隣接される;
(2)前記RSを核酸挿入体と置換する;
(3)工程(2)のバクテリオファージクローニングベクターをin vitroパッケージングする;
(4)工程(3)のクローニングベクターに、2つの組換えサイトにより隣接され当該2つの組換えサイトが相互に組換えをしないデスティネーション可換セグメントを含む少なくとも1つのデスティネーションベクターを提供することにより、興味ある核酸挿入体のin vitro切出しを行う、
(5)興味ある核酸挿入体をもつ組換え体プラスミドまたは当該プラスミドのライブラリーを回収する;
工程を含む、前記方法。 - 前記バクテリオファージがλである、請求項48に記載の方法。
- 工程(1)のクローニングベクターおよび工程(4)のデスティネーションベクターの両方のRSに隣接する前記2つの組換えサイトが、attB,attP,attL,およびattRからなる群より選択される組換えサイトに由来する、請求項48または49に記載の方法。
- 工程(1)および工程(4)の両方のRSに隣接する前記2つの組換え体サイトが、相互に組換えをしないlox組換えサイトである、請求項48または49に記載の方法。
- 前記lox組換えサイトがloxPサイトである、請求項51に記載の方法。
- 工程(4)のデスティネーションベクターの前記RSが少なくともccdB遺伝子をさらに含む、請求項48ないし52のいずれか1項に記載の方法。
- クローニングベクターのCSが選択マーカーをさらに含む、請求項48ないし53のいずれか1項に記載の方法。
- さらに以下の工程:
(6)2つの組換えサイトにより隣接されたデスティネーション可換セグメント(RS)を含む少なくとも1つの第2のデスティネーションベクターであって、当該2つの組換えサイトが、工程(5)のプラスミドと接触しても、相互に組換えをしない、前記第2のデスティネーションベクターを備える;
をさらに含む請求項48ないし54のいずれか1項に記載の方法。 - さらに以下の工程:
(7)少なくとも1つの細胞を電気穿孔し、工程(5)または(6)で得られたプラスミドを当該細胞中に導入し;次いで
(8)工程(7)の細胞をプレーティングし、挿入体をもつプラスミドまたはプラスミド類を回収する;
をさらに含む、請求項48ないし55のいずれか1項に記載の方法。 - 請求項1ないし23のいずれか1項に記載のクローニングベクター、または当該ベクター類のライブラリーを含むキット。
- 均等化および/または差引き化ライブラリーを調製する方法であって、(a)請求項24ないし56のいずれか1項に記載の方法に従って調製された切出しプラスミドまたはデスティネーションプラスミドを用意する、(b)工程(a)のプラスミドを核酸標的のプールへ提供する、(c)ハイブリッド体を除く、(d)均等化および/または差引き化された核酸標的を集める、工程を含む前記方法。
- 工程(b)のプラスミドに対し、1)2本鎖プラスミドの1本のみに少なくとも1つの切れ目(ニック)をつくる、2)ニックされたプラスミド断片を除き、3)ニックされていない1本鎖を集める、処置を行い、そして、工程(c)から(d)を適用する、請求項58に記載の方法。
- GeneIIタンパク質を用いることによりニックが導入される、請求項59の方法。
- ニックされた鎖がエキソヌクレアーゼにより除去される、請求項59の方法。
- エキソヌクレアーゼがExoIIIである、請求項61の方法。
- 均等化および/または差引き化ライブラリーを調製する方法であって、(a)ベクターのCSがF1 oriを含む請求項1ないし23のいずれか1項に記載のベクターを提供する、(b)興味ある核酸挿入体でRSを置換する、(c)ヘルパーファージを添加し、多数の1本鎖プラスミドベクターコピーを産生する、(d)工程(c)のコピーを核酸標的のプールへ提供する、(e)ハイブリッドを除く、(f)均等化および/または差引き化核酸標的を集める、工程を含む前記方法。
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