JP2018174739A - 直鎖状dnaの製造および供給を目的としたプラスミドベクター - Google Patents

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Tetsushi Suyama
哲志 陶山
尚宏 野田
Naohiro Noda
尚宏 野田
関口 勇地
Yuji Sekiguchi
勇地 関口
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【課題】 任意の長さのDNA標準物質をクローン化・増幅・切り出し・精製するのに適したプラスミドベクターを提供する。【解決手段】 本発明のベクターによれば、特定のタイプIIS制限酵素の認識配列の位置および数が調整されているため、当該タイプIIS制限酵素の認識配列を塩基配列中に含まないあらゆる長さのDNA断片のクローン化と切り出し精製が容易に可能となる。【選択図】図2

Description

本発明は、直鎖状二本鎖DNAの製造および供給を目的としたプラスミドベクターに関する。
DNA標準物質は配列、分子量、分子数(濃度)等の物理・化学的な性質や量が既知であり、常に一定の品質を保証できる物であることが望ましい。その製造にあたっては化学合成、ポリメレース・チェーン・リアクション(PCR)、生物細胞による生産等の方法が考えられるが、現在の知見に照らして最もエラーが少なく品質が揃ったDNA分子を生産する方法はクローニングした遺伝子断片を含むプラスミドを大腸菌等の細胞の中で複製させる方法である。産業技術総合研究所ではDNA標準物質として平滑末端の二本鎖DNAをプラスミドの複製を利用した方法で生産し供給している。例えば、特許文献1には、配列中のGC含量のバラツキや高次構造の形成を抑えることによりPCR増幅等への影響がなく、天然に存在する目的以外のDNAの誤増幅・誤検出の問題がない核酸標準物質を開示している。
タイプIISの制限酵素であるMlyIは認識配列から5塩基離れた位置を平滑末端になるように切断する特徴を有する。このため、任意の配列(例えばDNAの標準物質)の両末端にMlyIの認識配列を付加し、これをプラスミドにクローン化して増幅した後に切り出すという工程からなる直鎖状DNAの製造方法に用いるには好都合である。
ところが、従来のpUC19プラスミドベクターからMlyIによって目的の直鎖状DNAを切り出すという製造工程を考えた場合、ベクター本体にもMlyIの認識配列が存在するため、例えばマルチクローニングサイトのPstI-XmaI切断サイトの位置に当該DNA断片を挿入した場合、目的のDNA断片以外に466塩基対、522塩基対、約1400塩基対、約300塩基対の4本のベクター由来の余計なDNA断片が生じてしまう。
このため、目的のDNA断片がベクター由来のDNA断片と似たような長さであった場合、MlyIで切断しても容易には分離精製できず、他の制限酵素で切断が可能である場合には、ベクターの断片だけをさらに細かく切断するなどしてから精製する必要があり、余計な工程が増えてしまう、また場合によってはこの方法が利用できないという欠点があった。
特開2010−119331号公報
任意の長さのDNA標準物質を、簡便に、クローン化・増幅・切り出し・精製することができるプラスミドベクターの提供を課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者は、ベクターに含まれるタイプIIS制限酵素の認識配列に着目し、鋭意検討の結果、例えば、DNA標準物質の増幅に簡便なベクターの構築に至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
本発明の一態様によれば、
〔1〕タイプIIS制限酵素の認識配列を含まない、または、1つのみ含むベクターに関する。
また、本発明のベクターは、一実施の形態において、
〔2〕上記〔1〕に記載のベクターであって、配列の両末端にタイプIIS制限酵素の認識配列を有する外来DNA挿入用であることを特徴とする。
また、本発明のベクターは、一実施の形態において、
〔3〕上記〔1〕または〔2〕に記載のベクターであって、前記ベクターに挿入される直鎖状の外来DNA断片の切り出しを、外来DNA内に存在するタイプIIS制限酵素で行うことを特徴とする。
また、本発明のベクターは、一実施の形態において、
〔4〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のベクターであって、
前記タイプIIS制限酵素が、認識配列外の位置でDNAを平滑末端に切断する酵素であって、直鎖状平滑末端のDNA断片の切り出しに有効であることを特徴とする。
また、本発明のベクターは、一実施の形態において、
〔5〕上記〔4〕に記載のベクターであって、前記タイプIIS制限酵素がMlyIであることを特徴とする。
また、本発明のベクターは、一実施の形態において、
〔6〕上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のベクターであって、pUC19を基に作成したものであることを特徴とする。
また、本発明のベクターは、一実施の形態において、
〔7〕配列番号2または3に示される塩基配列からなることを特徴とする。
また、本発明のベクターは、一実施の形態において、
〔8〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のベクターであって、DNA標準物質増幅用であることを特徴とする。
また、本発明は、別の態様において、
〔9〕上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のベクターであって前記認識配列を含まないベクターと、
上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のベクターであって前記認識配列を1つのみ含むベクターと
を含むベクターシステムに関する。
また、本発明は、別の態様において、
〔10〕上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のベクターを用いた外来DNAの増幅方法に関する。
また、本発明は、別の態様において、
〔11〕上記〔1〕に記載のベクターの製造方法であって、
前記ベクターにおけるタイプIIS制限酵素の認識配列を除去する工程であって、前記タイプIIS制限酵素とは異なる酵素であり、かつ、前記認識配列内の領域を切断可能な制限酵素を用いて除去する工程
を含むベクターの製造方法に関する。
ここで、本発明のベクターの製造方法は、一実施の形態において、
〔12〕上記〔11〕に記載のベクターの製造方法であって、
前記タイプIIS制限酵素の認識配列を除去する工程が、
(a)前記ベクターを前記認識配列内の領域を切断可能な制限酵素により切断し、直鎖状になったベクターを回収する工程と
(b)前記直鎖状のベクターの末端を1本鎖特異的ヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼにより部分消化する工程と
(c)前記部分消化した末端を修復して、セルフライゲーションによりベクターを環状にする工程と
(d)クローニングにより複製能および薬剤耐性能を保持するベクターを選別する工程と
を含むことを特徴とする。
また、本発明のベクターの製造方法は、一実施の形態において、
〔13〕上記〔12〕に記載のベクターの製造方法であって、
(e)前記(a)〜(d)の工程を、除去したい認識配列の数だけ繰り返す工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明のベクターによれば、特定のタイプIIS制限酵素の認識配列の位置および数が調整されているため、当該タイプIIS制限酵素の認識配列を塩基配列中に含まないあらゆる長さのDNA断片のクローン化と切り出し精製が容易に可能となる。
図1は、認識配列外の位置でDNAを切断するタイプIIS制限酵素(MlyI)を用いた、目的DNAの切り出しを示す概念図である。 図2は、pUC19プラスミドベクターを示す。図2中、黒三角はMlyIが切断する位置を示す。また、括弧書きはMlyI処理によって生じるベクター部分のDNA断片サイズを示す。 図3は、本発明の一実施の形態である、MlyI認識配列をすべて除去したpUC19プラスミドベクターを示す。この実施形態のプラスミドベクターは、目的のDNA断片の他に約2500塩基対のベクター部分の断片が生じる。また、従来のベクターに比べて目的部分の断片の分離・精製が容易である。 図4は、本発明の一実施の形態である、MlyI認識配列を1箇所だけ残したpUC19プラスミドベクターを示す。この実施形態によれば、MlyI認識配列をすべて除去したpUC19プラスミドベクターと組み合わせて使用することにより、あらゆる長さの断片の切り出しに対応できる。 図5は、pUC19プラスミドおよび600bpのDNA標準物質の断片を含むpUC19プラスミドと本発明のMlyI認識配列をすべて除去したプラスミドをMlyI酵素で処理したDNA断片の電気泳動結果を示す。レーン1は、pUC19プラスミドをMlyIで処理したDNA断片を示す。レーン2は、600bpのDNA標準物質の両端にMlyI切断サイトを付与した断片をpUC19プラスミドのPstI-XmaIサイトにクローニングして大腸菌で増幅し、抽出精製後にMlyIで処理したDNA断片を示す。レーン3は、600bpのDNA標準物質の両端にMlyI切断サイトを付与した断片を本発明のpUC19_Mly1×0プラスミドのPstI-XmaIサイトにクローニングして大腸菌で増幅し、抽出精製後にMlyIで処理したDNA断片を示す。レーン4は、1kb DNA Step ladder(プロメガ社製)のマーカーであり、下から順に1kb, 2kb, 3kb, 4kb〜10kbのバンドを示す。また、図中の矢印は、目的のDNA標準物質(600bp)に相当するDNA断片のバンドを示す。本発明のpUC19_Mly1×0プラスミドでは容易に分離できるが、従来のpUC19プラスミドでは似た長さのベクターの断片が生じてしまうため、ワンステップで目的の断片だけ純粋に分離することは困難であった。
目的遺伝子の切り出しに使用する制限酵素の認識配列をベクターから除去する。例えばpUC19からMlyIの認識配列をすべて除いたプラスミドベクターならばMlyI処理で生じるDNAの断片は約2500塩基対のベクター部分と目的のDNA標準物質の2本になる。このため目的DNA配列が約2500塩基対である場合を除きMlyIの認識配列を含まないすべてのDNA標準物質の製造に使用できる。また、MlyIのサイトを1つだけ残したプラスミドベクターでマルチクローニングサイトのPstI-XmaI切断サイトの位置に当該DNA断片を挿入した場合、ベクター部分は約1400塩基対と約1100塩基対の2本のDNA断片となり、それ以外の長さでMlyIの認識配列を含まないすべてのDNA標準物質の製造に使用できる。
本発明のMlyI認識配列の除去方法を利用すれば、ほとんどすべてのプラスミドベクターからMlyI認識配列を除去したベクターを製造することが可能である。また、MlyI以外でPleI、AlwI、AclWI、BinI、BspPI、BbvI、Bst71I、BspCNI、FauI、EciI、BfuAI、BspMI、BveI、BmrI、BmuI、BpuEI、Bce83I、BtgZI、MmeI、AceIIIといったタイプIIS制限酵素の認識配列をプラスミドベクターから除去することも可能である。
本発明のベクターは、マルチクローニングサイトまたは任意の制限酵素サイトに目的DNA断片をクローン化し切り出す用途に利用できる。その際、目的配列の両端に切り出しに必要なタイプIIS制限酵素の認識配列を付与したものをクローン化するか、プラスミドにDNA断片を導入するサイトに予めタイプIIS制限酵素の認識配列を付与したベクターを構築しておく必要がある。ただしタイプIIS制限酵素で切断したDNAの末端は特定の決まった配列を有しないため、後者よりも前者の「タイプIIS制限酵素の認識配列を付与したものをクローン化する」という方法がより好ましい実施形態と考えられる。このような実施形態においては、本発明のベクターに挿入される外来DNAはその配列の両末端にタイプIIS制限酵素の認識配列を有する。例えば、外来DNAの増幅後には、外来DNA上のタイプIIS制限酵素の認識配列を用いて本発明のベクターから切り出すことができる。
本発明のベクターには、複製起点、薬剤耐性遺伝子等、一般的なプラスミドベクターに必須な要素がすべて含まれる。また、本発明のベクターは、市販や公知のベクターを基に作成することもできる。好ましい実施の形態としては、例えば、pUCベクター、pETベクター、pGEMベクターなどを基に設計したベクターである。特に、pUC19ベクターをはじめとするpUC系のoriを持つプラスミドを基に設計した場合、DNAの複製効率の高さの点において好ましい。具体的にpUC19のベクターから作成した本発明のベクターとしては、配列番号2・配列番号3に示すpUC19_MlyI×0ベクターおよびpUC19_MlyI×1ベクターを挙げることができる。
また、本明細書において、「タイプIIS制限酵素」とは、認識部位より外側でDNA2本鎖のうち少なくとも片方を切断する制限酵素を意味する。また、本発明に用いることのできる「タイプIIS制限酵素」としては、例えば、MlyI、PleI、AlwI、AclWI、BinI、BspPI、BbvI、Bst71I、BspCNI、FauI、EciI、BfuAI、BspMI、BveI、BmrI、BmuI、BpuEI、Bce83I、BtgZI、MmeI、AceIIIを挙げることができる。それぞれの制限酵素に対する認識配列は公知であり、当業者は選択した制限酵素ごとに適宜認識配列を決定することができる。なお、MlyIによる認識配列は公知であり、配列番号1に記載の塩基配列(5’-GAGTCNNNNN-3’)の3’末端とその相補鎖とからなる配列を認識し、5’-NNNNNGACTC-3’の配列の5’末端に相当する位置を平滑に切断する。
本発明のベクターにおいては、特定のタイプIIS制限酵素に対する認識配列を含まないため、複製起点や薬剤耐性等の遺伝子以外の任意の位置に外来DNAを挿入することができ、かつ、外来DNAのみからなる核酸をベクターから切り出すことができるように、外来DNA挿入領域の上流および下流に1つずつ切り出しに利用するタイプIIS制限酵素の認識配列を付加したものを挿入する必要がある。また、クローニング用のサイトとして予めタイプIIS制限酵素の認識配列を付加したベクターを構築することも可能である。
ここで、「外来DNA」とは、増幅のために本発明のベクターへ挿入されるDNAである。この外来DNAは、任意の塩基配列を有するDNAとすることができる。好ましい実施の形態においては、外来DNAの両末端には、特定のタイプIIS制限酵素の認識配列が配置される。
本発明のベクターは、「特定の制限酵素サイトを含まない」という特徴以外、従来のプラスミドベクターと同じ特徴を有しているため、DNA標準物質の増幅以外にも一般的な用途として使用することも可能である。
本発明のベクターは、特定のタイプIIS制限酵素の認識配列を含まない、または、特定のタイプIIS制限酵素の認識配列を1つのみ含む。特定のタイプIIS制限酵素の認識配列を含まない形態は、ベクターと増幅・精製すべき外来DNAの長さに十分な差がある場合において当該目的に利用することが出来、ベクター部分も再利用が可能な点において好ましい実施形態と言える。
一実施の形態においては、挿入する外来DNAの両端以外の領域に、特定のタイプIIS制限酵素の認識配列を任意の数だけ備えることができる。これにより、ベクターと増幅・精製すべき外来DNAの長さが近接している場合にもベクター側を断片化することにより容易に分別することができ好ましい実施形態となり得る。
本発明の別の態様は、上記本発明に係るベクターの製造方法を提供する。当該製造方法は、ベクターの特定のタイプIIS制限酵素の認識配列を除去する工程であって、タイプIIS制限酵素とは異なる酵素であり、かつ、認識配列内の領域を切断可能な制限酵素を用いて除去する工程を含む簡便確実なベクターの製造方法である。
「タイプIIS制限酵素とは異なる酵素であり、かつ、認識配列内の領域を切断可能な制限酵素」は、選択した特定のタイプIIS制限酵素により決まる認識配列ごとに適宜選択することができる。例えば、タイプIIS制限酵素としてMlyIを選択した場合、5’-GAGTC-3)とその相補鎖とからなるDNA二重鎖を切断できる酵素であるHinfI(G/ANTCをスラッシュの位置で切断)を用いることができる。当業者であれば任意の制限酵素を用いて、タイプIIS制限酵素に対する認識配列を除去する条件を適宜設定し、実施することができる。
なお、特定のタイプIIS制限酵素の認識配列を除去する工程は、より具体的には、下記工程を含む:
(a)ベクターを、特定のタイプIIS制限酵素の認識配列内の領域を切断可能な制限酵素により切断し、直鎖状になったベクターを回収する工程と
(b)直鎖状のベクターの末端を1本鎖特異的ヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼにより部分消化する工程と
(c)前記部分消化した末端を修復して、セルフライゲーションによりベクターを環状にする工程と
(d)クローニングにより複製能および薬剤耐性能を保持するベクターを選別する工程。
上記(a)〜(d)の工程に用いられる酵素や試薬等の試料、具体的な条件を含む方法は、公知の方法および技術常識に準じて適宜実施することができる。
なお、ベクター内に特定のタイプIIS制限酵素に対する認識配列が複数存在する場合には、上記(a)〜(d)の工程を必要な回数繰り返すことにより、当該認識配列を除去することができる。
本発明は、別の態様として、上記に記載する本発明のベクターであって認識配列を含まないベクターと、上記に記載する本発明のベクターであって、認識配列を1つのみ含むベクターとを含むベクターシステムを提供する。
このようなベクターシステムを用いれば、任意の長さの目的DNAの断片をクローン化、増幅し、特定のタイプIIS制限酵素で切断後に目的DNAの断片を容易に分離精製することができる。
(参考例)
600塩基対のDNA標準物質をpUC19にクローン化した場合、このプラスミドをMlyIで処理すると466塩基対、522塩基対、約1400塩基対、約300塩基対の余計なDNA断片が生じてしまい、特に466塩基対と522塩基対の断片を600塩基対のDNA標準物質から除去することは困難であった。
(実施例1)
pUC19を材料に(1)HinfIで部分消化し、直鎖状になったベクターを回収する工程、(2)S1 nucleaseによりDNAの1本鎖突出部分を除去する工程、(3)Klenow酵素により末端を修復し、セルフライゲーションにより環状プラスミドに戻す工程、(4)大腸菌に形質転換し、アンピシリンを含む培地中で健全に保持されるベクターを選別する工程の4つの工程を繰り返し、MlyIの認識配列をすべて除去したプラスミドベクターと、1か所だけMlyIの認識配列が残っているプラスミドベクターの2つのベクターを作成した。これらを使用してPstI-XmaIサイトに600塩基対のDNA標準物質をクローン化したところ、前者のベクターはMlyI処理により600塩基対と約2500塩基対の2本のみの断片が生じた。また、アガロースゲル電気泳動等により600塩基対の断片を容易に分離精製することが可能であった。同様に、後者のベクターであれば、600塩基対と約1100塩基対・約1400塩基対の3本の断片のみが生じることが理解できる。
pUC19以外のほとんどのプラスミドからも、HinfI(G/ANTC)を使った同じ方法で、MlyI(GAGTC(N)5/)またはPleI(GAGTC(N)4/)の認識配列を除去したプラスミドベクターを作ることが可能である。
また、DpnI(GA/TC)、DpnII(/GATC)、BfuCI(/GATC)、MboI(/GATC)またはSau3AI(/GATC)を使ってAlwI・AclWI・BinIまたBspPI (GGATC(N)4/)の認識配列を除去したプラスミドベクターを作ること、TseI(G/CWGC)、ApeKI(G/CWGC)、Fnu4HI(GC/NGC) を使ってBbvI(GCAGC(N)8/)またはBst71I(GCAGC(N)8/)の認識配列を除去したプラスミドベクターを作ること、DdeI(C/TNAG)を使ってBspCNI(CTCAG(N)9-10/)の認識配列を除去したプラスミドベクターを作ること、AciI(C/CGC)を使ってFauI(CCCGC(N)4/)またはEciI(GGCGGA(N)11/)の認識配列を除去したプラスミドベクターを作ること、SetI(ASST/)を使ってBfuAI(ACCTGC(N)4/)、BspMI(ACCTGC(N)4/) またはBveI(ACCTGC(N)4/)の認識配列を除去したプラスミドベクターを作ること、BsrI(ACTGGN/)を使ってBmrI(ACTGGG(N)5/)またはBmuI(ACTGGG(N)5/)の認識配列を除去したプラスミドベクターを作ること、SmlI(C/TYRAG) を使ってBpuEI(CTTGAG(N)16/) またはBce83I(CTTGAG(N)16/)の認識配列を除去したプラスミドベクターを作ること、CdiI(C/GATG) を使って BtgZI(GCGATG(N)10/)の認識配列を除去したプラスミドベクターを作ること、Hpy188I(TCN/GA)を使ってMmeI(TCCRAC(N)20/)の認識配列を除去したプラスミドベクターを作ること、およびAluI(AG/CT)、CviKI-1(RG/CY)、またはSetI(ASST/)を使ってAceIII(CAGCTC(N)7/)の認識配列を除去したプラスミドベクターを作ることが可能であり、類似の用途に使用可能である。

Claims (13)

  1. タイプIIS制限酵素の認識配列を含まない、または、1つのみ含むベクター。
  2. 請求項1に記載のベクターであって、配列の両末端にタイプIIS制限酵素の認識配列を有する外来DNA挿入用であるベクター。
  3. 請求項1または2に記載のベクターであって、前記ベクターに挿入される直鎖状の外来DNA断片の切り出しを、外来DNA内に存在するタイプIIS制限酵素で行う、ベクター。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のベクターであって、
    前記タイプIIS制限酵素が、認識配列外の位置でDNAを平滑末端に切断する酵素であって、直鎖状平滑末端のDNA断片の切り出しに有効なベクター。
  5. 請求項4に記載のベクターであって、前記タイプIIS制限酵素がMlyIであるベクター。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のベクターであって、pUC19を基に作成したベクター。
  7. 配列番号2または3に示される塩基配列からなるベクター。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のベクターであって、DNA標準物質増幅用である、ベクター。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のベクターであって前記認識配列を含まないベクターと、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載のベクターであって前記認識配列を1つのみ含むベクターと
    を含むベクターシステム。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のベクターを用いた外来DNAの増幅方法。
  11. 請求項1に記載のベクターの製造方法であって、
    前記ベクターにおけるタイプIIS制限酵素の認識配列を除去する工程であって、前記タイプIIS制限酵素とは異なる酵素であり、かつ、前記認識配列内の領域を切断可能な制限酵素を用いて除去する工程
    を含むベクターの製造方法。
  12. 請求項11に記載のベクターの製造方法であって、
    前記タイプIIS制限酵素の認識配列を除去する工程が、
    (a)前記ベクターを前記認識配列内の領域を切断可能な制限酵素により切断し、直鎖状になったベクターを回収する工程と
    (b)前記直鎖状のベクターの末端を1本鎖特異的ヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼにより部分消化する工程と
    (c)前記部分消化した末端を修復して、セルフライゲーションによりベクターを環状にする工程と
    (d)クローニングにより複製能および薬剤耐性能を保持するベクターを選別する工程と
    を含むベクターの製造方法。
  13. 請求項12に記載のベクターの製造方法であって、
    (e)前記(a)〜(d)の工程を、除去したい認識配列の数だけ繰り返す工程をさらに含む、
    ベクターの製造方法。
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