以下に添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態による炉頂装置20を含む竪型炉システム1の概略図である。図1では、原料Mの移動方向を二点鎖線の矢印で示している。また、図1では、制御信号の流れを破線の矢印で示している。
竪型炉システム1は、竪型炉10および炉頂装置20を含む。炉頂装置20は、炉頂ホッパ22、切換シュート24、コンベアヘッドプーリ26、コンベア28、集合ホッパ30、垂直シュート34、分配シュート(旋回シュート)36、分配シュート駆動装置(旋回シュート駆動装置)38を含む。
竪型炉10は、例えば、鉄鉱石およびコークスなどの原料Mから鉄を生成する高炉である。なお、竪型炉10は、高炉に限らない。竪型炉10は、概ね円筒状に形成されている。
竪型炉10の上方には、複数(例えば、3個)の炉頂ホッパ22が配置されている。炉頂ホッパ22は、中空の容器である。各炉頂ホッパ22は、竪型炉10の炉心に対して偏心して配置される。各炉頂ホッパ22は、炉心周りに等間隔(例えば、120度間隔)で並列に配置される。図1の右側の炉頂ホッパ22については、3個のうち1個の炉頂ホッパ22を断面図で示しており、図1の左側の炉頂ホッパ22については、3個のうち他の1個の炉頂ホッパ22を側面図で示している。なお、炉頂ホッパ22の数は、3個に限らず、例えば、2個であってもよい。その場合、2個の炉頂ホッパ22は、炉心周りに180度間隔で並べられる。
炉頂ホッパ22の上方には、切換シュート24が配置される。切換シュート24は、概ね炉心の延長線上に配置される。切換シュート24は、曲がった筒状に形成されている。切換シュート24は、炉心周りに回転可能となっている。なお、切換シュート24は、回転型に限らず、所謂、ダンパ型や揺動型であってもよい。切換シュート24の上方には、コンベアヘッドプーリ26が配置されている。コンベアヘッドプーリ26には、コンベア28が連結されている。コンベア28は、切換シュート24から離隔するように延びている。
コンベア28は、竪型炉10へ装入する原料Mをコンベアヘッドプーリ26に運搬する。コンベアヘッドプーリ26は、原料Mを切換シュート24へ落下させる。切換シュート24は、原料Mを複数(例えば、3個)の炉頂ホッパ22のうちのいずれかの炉頂ホッパ22に振り分ける。炉頂ホッパ22は、切換シュート24を通じて装入された原料Mを一時的に貯留する。
集合ホッパ30は、炉頂ホッパ22と竪型炉10との間に配置される。各炉頂ホッパ22の下部は、集合ホッパ30の上部に導かれる。集合ホッパ30の下部には、鉛直下方に開口する排出口32が形成されている。排出口32の中心軸は、概ね炉心および集合ホッパ30の中心軸と重なる。
垂直シュート34は、中空の筒状に形成されており、排出口32の鉛直下方に延在する。垂直シュート34における下端は、竪型炉10内に挿入されている。
分配シュート36は、竪型炉10内に位置する。分配シュート36は、例えば、筒状に形成されている。分配シュート36の一端は、垂直シュート34の下端に接続される。分配シュート36は、炉心側(垂直シュート34側)に対して炉壁側が鉛直下方に位置するように傾斜している。
分配シュート駆動装置38は、竪型炉10の上部に配置される。分配シュート36は、分配シュート駆動装置38によって、炉心に沿った回転軸を中心として旋回(回転)すると共に、炉心側を支点として炉壁側が傾動可能となっている。また、分配シュート駆動装置38は、分配シュート36の旋回方向(回転方向)を変化させることができる。
炉頂ホッパ22は、貯留している原料Mを所定のタイミングで集合ホッパ30に排出する。集合ホッパ30は、炉頂ホッパ22から供給された原料Mを、垂直シュート34を通じて分配シュート36に排出する。分配シュート36は、集合ホッパ30から供給された原料Mを、旋回および傾動しつつ竪型炉10内に装入する。竪型炉10は、装入された原料Mを還元して鉄を生成する。
集合ホッパ30には、揺動装置40が設けられる。揺動装置40は、炉頂ホッパ22から排出される原料Mに、排出口32の中心軸周り(垂直シュート34の中心軸周り)に旋回する旋回流を付与する。これにより、原料Mは、旋回しながら排出口32から排出される。また、揺動装置40は、原料Mの旋回方向を変化させることができる。
また、炉頂装置20には、揺動制御部42が設けられる。揺動制御部42は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。
揺動制御部42は、分配シュート駆動装置38による分配シュート36の駆動制御に基づいて、揺動装置40を制御する。例えば、揺動制御部42は、分配シュート36の旋回方向と原料Mの旋回方向とが等しくなる(同方向となる)ように、揺動装置40を制御する。揺動装置40および揺動制御部42については、後に詳述する。
また、炉頂ホッパ22内には、落下位置調整部44が設けられてもよい。落下位置調整部44は、板状に形成されており、炉頂ホッパ22に投入される原料Mの落下経路の途中に設けられる。落下位置調整部44は、傾斜方向および傾斜角度を変更することで、炉頂ホッパ22内における原料Mの落下位置を調整することができる。
図2は、集合ホッパ30の側面図であり、図3は、集合ホッパ30の斜視図であり、図4は、集合ホッパ30の平面図である。図2では、排出口32の中心軸を一点鎖線C1で示している。集合ホッパ30は、円錐部50、曲面部52、平面部54およびスカート部56を含む。
円錐部50は、鉛直下方に向かうにしたがって水平方向の断面積が漸減する中空の円錐状に形成されている。曲面部52は、円錐部50の上端から円錐部50の内面の延長方向に延在する。曲面部52は、集合ホッパ30の中心軸周りに湾曲しており、集合ホッパ30の中心軸周りに等間隔に3箇所設けられる。平面部54は、隣接する曲面部52の間に設けられ、曲面部52および円錐部50に連続する。つまり、円錐部50の上端は円形状に形成されるが、集合ホッパ30の上端は、概ね三角形状に形成される。円錐部50の下端には開口部58が形成される。
スカート部56は、中空の円筒状に形成されており、鉛直方向に延在する。スカート部56の上端は、円錐部50の下端の開口部58に連続している。スカート部56の下端には、排出口32が形成される。開口部58の水平断面積は、排出口32の水平断面積と大凡等しい。
図2に示すように、炉頂ホッパ22の下端には、鉛直下方に開口する炉頂ホッパ排出口62が設けられる。炉頂ホッパ排出口62は、集合ホッパ30の鉛直上方(集合ホッパ30の内面の鉛直上方)に位置する。炉頂ホッパ排出口62には、炉頂ホッパ排出口62を開閉するシール弁64が設けられる。シール弁64が開状態となると、炉頂ホッパ22内の原料Mは、炉頂ホッパ排出口62を通じて集合ホッパ30に排出される。
また、図4では、炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面A10を二点鎖線の閉曲線で示している。炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面A10は、円形に形成され、炉頂ホッパ22から排出される原料Mの落下位置に相当する。炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面A10は、集合ホッパ30の曲面部52に位置する。つまり、3個の鉛直投影面A10は、3個の曲面部52にそれぞれ対応している。
また、図2~図4に示すように、集合ホッパ30には、炉頂ホッパ22の数と同数(図2~図4では、3個)の揺動装置40が設けられる。各揺動装置40は、共通の構成となっている。
揺動装置40は、回転軸70、揺動板72、モータ74を含む。回転軸70は、円柱状に形成される。回転軸70は、集合ホッパ30の内面に対して垂直に延在しており、集合ホッパ30を貫通する。回転軸70は、その中心軸周りに回転(揺動)可能に支持される。
以後、炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面A10の中心と、排出口32の中心軸とを通る平面を基準平面と呼ぶ。図4では、基準平面を一点鎖線A12で示している。
回転軸70は、集合ホッパ30の内面における円錐部50に設けられる。具体的には、回転軸70は、基準平面上であり、炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面A10と集合ホッパ30の排出口32との間(基準平面方向の間および鉛直方向の間)に位置する。
揺動板72は、集合ホッパ30内において回転軸70の端部に連結されている。揺動板72は、集合ホッパ30の内面から起立するように設けられている。揺動板72は、集合ホッパ30の内面に沿って設けられる。揺動板72は、回転軸70に対して鉛直投影面A10側に延びており、円錐部50から曲面部52に亘って延在する。
以後、揺動板72における鉛直投影面A10側に位置する端部を上流側端76と呼び、揺動板72における排出口32側に位置する端部を下流側端78と呼ぶ。
また、揺動板72の両側面には、集合ホッパ30の内面に大凡垂直な板面80が形成される。なお、板面80は、集合ホッパ30の内面に垂直な面に対して傾斜してもよい。
モータ74は、集合ホッパ30外において回転軸70の端部に接続されている。モータ74は、回転軸70を回転させることで、揺動板72を回転軸70の中心軸周りに揺動(回転)させる。つまり、モータ74は、破線の両矢印A14で示すように、揺動板72を基準平面に対して傾斜させる。
例えば、揺動板72における上流側端76を、基準平面に対して集合ホッパ30の上方からみて時計回り方向に揺動させると、下流側端78は、上流側端76に対して反時計回り側に位置する。この場合、揺動板72における反時計回り側の板面80が、鉛直投影面A10に対向する。以後、反時計回り側の板面80が鉛直投影面A10に対向するように傾斜した状態を第1傾斜状態と呼ぶ。図3は、揺動板72が第1傾斜状態で示されている。
一方、揺動板72における上流側端76を、基準平面に対して反時計回りに揺動させると、下流側端78は、上流側端76に対して時計回り側に位置する。この場合、揺動板72における時計回り側の板面80が、鉛直投影面A10に対向する。以後、時計回り側の板面80が鉛直投影面A10に対向するように傾斜した状態を第2傾斜状態と呼ぶ。
また、揺動板72は、上流側端76の揺動角度にしたがって、揺動板72(鉛直投影面に対向する板面80)の傾斜角度が変更可能となっている。
また、揺動板72は、時計回り方向および反時計回り方向に揺動させた場合に、揺動板72が鉛直投影面A10の外側に位置するような角度まで揺動可能である。つまり、炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面A10は、揺動板72の揺動範囲内に位置する。
また、揺動板72の長さ(上流側端76から下流側端78に至る長さ)は、例えば、炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面A10の直径以上である。
揺動制御部42は、モータ74に供給する電力を制御することで、回転軸70の回転を制御する。つまり、揺動制御部42は、モータ74および回転軸70を通じて、揺動板72の揺動方向(傾斜方向)および揺動角度(傾斜角度)を制御する。揺動制御部42は、原料Mを炉頂ホッパ22から集合ホッパ30に排出する前に、揺動板72の揺動方向および揺動角度を設定する。
揺動制御部42は、分配シュート36の旋回方向と揺動板72の揺動方向とを対応付けて揺動板72を制御する。具体的には、揺動制御部42は、分配シュート36の旋回方向が反時計回り方向の場合、揺動板72を基準平面に対して時計回り方向に揺動させて第1傾斜状態にさせる。また、揺動制御部42は、分配シュート36の旋回方向が時計回り方向の場合、揺動板72を基準平面に対して反時計回り方向に揺動させて第2傾斜状態にさせる。
また、揺動制御部42は、揺動板72の揺動方向および揺動角度を、複数の揺動板72で共通にさせる。
また、図3に示すように、集合ホッパ30の内面と揺動板72との間には、ベース部82が設けられる。ベース部82は、揺動板72に対向する平面を有する。ベース部82は、揺動板72の揺動範囲内において、円錐部50および曲面部52の湾曲した内面を埋める。つまり、ベース部82は、集合ホッパ30の内面と揺動板72の底面との隙間を所定範囲内にさせる。
図5は、揺動装置40の詳細な構成を説明する断面図であり、図6は、揺動装置40の詳細な構成を説明する平面図である。図6では、揺動板72を揺動させた状態を二点鎖線で示している。また、図6では、揺動方向を破線の両矢印A14で示している。
集合ホッパ30の側壁は、ホッパ鉄皮102およびライニング104を含む。ホッパ鉄皮102は、炉頂ホッパ22の外壁として機能する。ライニング104は、ホッパ鉄皮102の内面に設けられる。ライニング104は、耐摩耗性の材料によって構成される。ホッパ鉄皮102およびライニング104には、貫通孔106が設けられる。貫通孔106付近において、ホッパ鉄皮102には、外面から張り出すフランジ部108が溶接などで接続されている。
回転軸70は、略円筒状の軸支持部110に挿入されている。軸支持部110は、フランジ部108に接続される。軸支持部110と回転軸70との間には、軸受112およびガスシール114が設けられる。軸支持部110は、軸受112を通じて回転軸70を、その中心軸周りに回転可能に支持する。ガスシール114は、軸支持部110と回転軸70との間にダストが進入することを防止する。
貫通孔106付近のホッパ鉄皮102の内面には、ベース部82が設けられる。ベース部82は、例えば、ライニング104と同様に耐摩耗性の材料によって構成される。貫通孔106は、ベース部82も貫通している。貫通孔106付近において、ホッパ鉄皮102に対するベース部82の高さは、ライニング104よりも高い。
回転軸70は、貫通孔106に挿入されている。揺動板72は、回転軸70における集合ホッパ30の内側端に連結される。図示は省略するが、回転軸70における軸支持部110側の端部には、モータ74が連結される。
なお、集合ホッパ30内の粒径の小さい原料M(ダスト)が貫通孔106の隙間から排出されることを防止するために、貫通孔106の隙間を通じて、集合ホッパ30内に不活性ガス(例えば、窒素ガス)を供給してもよい。
揺動板72は、基板120、側面部122、天面部124、後面部126および底面部128を含む。基板120は、ライニング104から離隔する方向に起立しており、炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面に向かって延在する。2枚の基板120は、回転軸70を間に挟んで回転軸70に連結される。2枚の基板120は、上流側端76側において互いに接触し、下流側端78側において互いに離隔する。
側面部122、天面部124、後面部126および底面部128は、ライニング104と同様に耐摩耗性の材料によって構成される。側面部122は、基板120の外側面を覆うように固定される。また、側面部122は、基板120における上流側端76側も覆う。側面部122の外側面は、板面80として機能する。
天面部124は、基板120および側面部122の上部を塞ぐように固定される。後面部126は、基板120の下流側端78を塞ぐように固定される。底面部128は、ベース部82に対向する底面を塞ぐように固定される。
上流側端76の幅(側面部122の外側面間の距離)は、下流側端78の幅よりも狭い。また、下流側端78の高さ(底面部128の外側面と天面部124の外側面との間の距離)は、上流側端76の高さよりも高い。
図7は、上流側端76を時計回り方向に揺動させた場合の作用を説明する平面図である。図7では、揺動板72が第1傾斜状態となっている。図7では、原料Mの流れの方向を二点鎖線の矢印A20で示している。
炉頂ホッパ22から排出された原料Mは、鉛直投影面A10内に落下する。鉛直投影面A10内に落下した原料Mは、集合ホッパ30の内面の傾斜にしたがって開口部58に向かって滑落する。そうすると、原料Mは、揺動板72における鉛直投影面A10に対向する反時計回り側の板面80に当たり、板面80に沿って滑落する。これにより、原料Mは、矢印A20で示すように、反時計回り方向に旋回しながら開口部58に向かって滑落する。その結果、原料Mは、排出口32の中心軸に対して反時計回り方向に旋回しながら排出口32から排出される。
図8は、原料Mの旋回方向および分配シュート36の旋回方向がともに反時計回り方向である場合における原料Mの移動を説明する平面図である。図8では、排出口32(垂直シュート34)の鉛直投影面A22を二点鎖線の閉曲線で示している。また、図8では、原料Mの旋回方向を二点鎖線の矢印A24で示し、分配シュート36の旋回方向を実線の矢印A26で示している。
集合ホッパ30の排出口32から排出された原料Mは、垂直シュート34を通じて分配シュート36における鉛直投影面A22内に落下する。この際、原料Mは、二点鎖線の矢印A24で示すように、反時計回り方向に旋回しながら分配シュート36に落下する。
分配シュート36は、実線の矢印A26で示すように、原料Mの旋回方向と等しい方向である反時計回り方向に旋回している。この場合、分配シュート36の旋回速度に対する原料Mの旋回方向の速度の差が小さい。これにより、分配シュート36に落下した原料Mは、分配シュート36の幅方向(図8の左右方向)にはあまり移動しない。つまり、原料Mは、二点鎖線の矢印A28で示すように、分配シュート36上を分配シュート36の延在方向に沿って滑落する。その結果、原料Mは、分配シュート36の先端において、幅方向の中央付近から竪型炉10に装入される。
図8の状態から分配シュート36の旋回方向が時計回り方向に変更されたとする。図9は、原料Mの旋回方向が反時計回り方向であり、分配シュート36の旋回方向が時計回り方向である場合における原料Mの移動を説明する平面図である。図9では、原料Mの旋回方向を二点鎖線の矢印A24で示し、分配シュート36の旋回方向を実線の矢印A36で示している。
分配シュート36は、実線の矢印A36で示すように、原料Mの旋回方向とは異なる方向(逆方向)である時計回り方向に旋回している。この場合、分配シュート36に落下した原料Mは、二点鎖線の矢印A38で示すように、分配シュート36の旋回方向とは反対側の側面(図8における右側面)に移動しつつ、分配シュート36上を滑落する。その結果、原料Mは、分配シュート36の先端において、分配シュート36の旋回方向とは反対側の側面付近から竪型炉10に装入される。
また、この場合、分配シュート36の旋回方向と原料Mの旋回方向とが等しい態様に比べ、分配シュート36上における原料Mの滑走距離が長く、分配シュート36から装入される原料Mの速度が低下する。
これらの結果、分配シュート36の旋回方向と原料Mの旋回方向とが等しい場合と、分配シュート36の旋回方向とが異なる場合とでは、竪型炉10における原料Mの堆積状態に差が生じる。原料Mの堆積状態に差が生じると、竪型炉10で生成される製品の品質に影響を及ぼすおそれがある。
そこで、本実施形態の炉頂装置20では、分配シュート36の旋回方向の変更にしたがって、原料Mの旋回方向を変更する。例えば、分配シュート36の旋回方向および原料Mの旋回方向がともに反時計回り方向である状態から、分配シュート36の旋回方向が時計回り方向に変更された場合、炉頂装置20では、原料Mの旋回方向を時計回り方向に変更させる。
原料Mの旋回方向を時計回り方向にさせる場合、揺動制御部42は、揺動板72の上流側端76を反時計回り方向に揺動させる。図10は、上流側端76を反時計回り方向に揺動させた場合の作用を説明する平面図である。図10では、揺動板72が第2傾斜状態となっている。図10では、原料Mの流れの方向を二点鎖線の矢印A40で示している。
炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面A10内に落下した原料Mは、集合ホッパ30の内面の傾斜にしたがって開口部58に向かって滑落する。そうすると、原料Mは、揺動板72における鉛直投影面に対向する時計回り側の板面80に当たり、板面80に沿って滑落する。これにより、原料Mは、二点鎖線の矢印A40で示すように、時計回り方向に旋回しながら開口部58に向かって滑落する。その結果、原料Mは、排出口32の中心軸に対して時計回り方向に旋回しながら排出口32から排出される。
図11は、分配シュート36の旋回方向および原料Mの旋回方向がともに時計回り方向である場合における原料Mの移動を説明する説明図である。図11では、原料Mの旋回方向を二点鎖線の矢印A44で示し、分配シュート36の旋回方向を実線の矢印A46で示している。
原料Mは、二点鎖線の矢印A44で示すように、分配シュート36の旋回方向と等しい方向である時計回り方向に旋回して分配シュート36に落下する。この場合、分配シュート36の旋回速度に対する原料Mの旋回方向の速度の差が小さい。これにより、分配シュート36に落下した原料Mは、分配シュート36の幅方向(図11の左右方向)にはあまり移動しない。つまり、原料Mは、二点鎖線の矢印A48で示すように、分配シュート36上を分配シュート36の延在方向に沿って滑落する。その結果、原料Mは、分配シュート36の先端において、幅方向の中央付近から竪型炉10に装入される。
つまり、分配シュート36の旋回方向および原料Mの旋回方向がともに時計回り方向の場合には、分配シュート36の旋回方向および原料Mの旋回方向がともに反時計回り方向の場合と同様の状態で、原料Mが竪型炉10に装入される。これにより、本実施形態の炉頂装置20では、分配シュート36の旋回方向が時計回り方向である場合と、分配シュート36の旋回方向が反時計回り方向である場合とで、竪型炉10内の原料Mの堆積状態に差が生じることを抑制できる。
以上のように、本実施形態の炉頂装置20では、集合ホッパ30の内面に垂直な回転軸周りに揺動可能な揺動板72が設けられる。本実施形態の炉頂装置20では、揺動板72を揺動させることで、分配シュート36に排出される原料Mの旋回方向を変えることができる。
したがって、本実施形態の炉頂装置20によれば、分配シュート36の旋回方向に起因する原料Mの堆積状態の差を抑制することが可能となる。
また、本実施形態の炉頂装置20では、揺動板72の揺動方向が分配シュート36の旋回方向に対応付けられて設定される。具体的には、揺動板72の揺動方向は、集合ホッパ30から排出される原料Mの旋回方向が分配シュート36の旋回方向に等しくなるように設定される。このため、本実施形態の炉頂装置20では、分配シュート36の旋回方向に起因する原料Mの堆積状態の差を、より確実に抑制することが可能となる。また、本実施形態の炉頂装置20では、原料Mの旋回方向と分配シュート36の旋回方向とを等しくすることで、原料Mを円滑に竪型炉10に挿入することができる。
また、本実施形態の炉頂装置20では、揺動板72の回転軸70が、炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面A10と集合ホッパ30の排出口32との間に位置し、炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面A10が、揺動板72の揺動範囲内に位置する。このため、本実施形態の炉頂装置20では、炉頂ホッパ22から排出された原料Mに、確実に旋回流を付与することができる。
また、本実施形態の炉頂装置20では、揺動板72の上流側端76の幅が下流側端78の幅よりも狭い。このため、本実施形態の炉頂装置20では、鉛直投影面A10に対向する板面80の基準平面に対する角度を、揺動板72の揺動角度よりも大きくすることができ、揺動板72を駆動させるエネルギーを抑えることが可能となる。
また、揺動板72の下流側端78付近では、上流側端76から揺動板72に沿って滑落する原料Mと、鉛直投影面A10から直接的に下流側端78付近に滑落する原料Mとが合流する。このため、揺動板72の下流側端78付近では、上流側端76付近に比べ、揺動板72が受ける原料Mの量が多い。
本実施形態の炉頂装置20では、揺動板72の下流側端78の高さが、上流側端76の高さよりも高い。このため、本実施形態の炉頂装置20では、揺動板72が原料Mを、より確実に受けることができる。
また、本実施形態の炉頂装置20では、集合ホッパ30の内面と揺動板72との間にベース部82が設けられる。このため、本実施形態の炉頂装置20では、揺動板72を揺動させる際に、集合ホッパ30の内面と揺動板72との間で原料Mが噛み込まれるのを抑制することができる。
なお、本実施形態の炉頂装置20では、分配シュート36の旋回方向によらず、分配シュート36の旋回方向と原料Mの旋回方向とを等しい方向にさせていた。しかし、分配シュート36の旋回方向によらず、分配シュート36の旋回方向と原料Mの旋回方向とを異なる方向にさせてもよい。具体的には、分配シュート36の旋回方向が反時計回り方向の場合に、原料Mの旋回方向を時計回り方向にさせるように揺動板72を揺動させ、かつ、分配シュート36の旋回方向が時計回り方向の場合に、原料Mの旋回方向を反時計回り方向にさせるように揺動板72を揺動させてもよい。
また、揺動板72の傾斜角度は、すべての揺動板72で共通となっていた。しかし、揺動板72の傾斜角度は、複数の揺動板72のうち一部の揺動板72でのみ共通となっていてもよく、あるいは、すべての揺動板72で異なっていてもよい。この態様では、例えば、炉頂ホッパ22ごとに異なる原料Mを集合ホッパ30で混合して竪型炉10に装入する場合において、原料Mの混合割合などを調整することが可能となる。
また、揺動板72は、集合ホッパ30の内面における炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面A10と排出口32との間に回転軸70が位置するように設けられていた。しかし、揺動板72は、炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面A10の外側であり、その鉛直投影面A10の下端よりも集合ホッパ30の上端側に回転軸70が位置するように設けられてもよい。この場合、揺動板72は、炉頂ホッパ排出口62の鉛直投影面A10に対して時計回り側および反時計回り側の双方に設けられる。例えば、鉛直投影面A10に対して時計回り側に位置する揺動板72を揺動させると、原料Mは反時計回り方向に旋回し、鉛直投影面A10に対して反時計回り側に位置する揺動板72を揺動させると、原料Mは時計回り方向に旋回する。
以上、添付図面を参照しながら一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。