JP7303838B2 - エンジンの排気装置及び作業機 - Google Patents

Description

本発明は、エンジンの排気装置及び作業機に関する。

従来、エンジンには、燃焼過程で発生した排気ガスを排出するための排気装置が設けられている。排気装置は、排気ガスを通過させるための排気管や、排気ガスを浄化するための触媒や、排気音を低減するためのマフラー等を備えている。

例えば、特許文献１には、触媒コンバータを収容した排気マフラーが開示されている。この排気マフラーは、第１膨張室と、第１膨張室に第１連通管を介して連通する第２膨張室と、第２膨張室に触媒コンバータを介して連通する第３膨張室と、第３膨張室に第２連通管を介して連通する第４膨張室と、を備えている。

特開２００７－９２６６３号公報

特許文献１の排気マフラーでは、右の排気導入管からの排気ガスが第１膨張室及び第１連通管を経由して第２膨張室に流入するのに対して、左の排気導入管からの排気ガスは第１膨張室及び第１連通管を経由せずに第２膨張室に直接流入する。その関係で、右の排気導入管からの排気ガスの流路の長さと左の排気導入管からの排気ガスの流路の長さが全く異なっている。そのため、左右の排気導入管からの排気ガスの排気音をバランス良く低減することができない虞がある。

本発明は、以上の背景に鑑み、触媒を収容するマフラーを備えた排気装置において、一対の導入口から導入される排気ガスの排気音をバランス良く低減することを課題とする。

上記課題を解決するために本発明のある態様は、エンジン（１）の排気装置（５）であって、複数の隔壁（３４～３６）によって仕切られた複数の消音室（５１～５３）を有するマフラー（３３）と、前記マフラーに収容され、少なくとも一つの前記隔壁を貫通する連通管（３７）と、前記マフラーに収容され、少なくとも一つの前記隔壁を貫通する触媒（３８）と、を備え、前記複数の消音室は、排気ガスの導入口（５４）が設けられた一対の第１消音室（５１）と、前記一対の第１消音室と前記連通管を介して連通する第２消音室（５２）と、前記第２消音室と前記触媒を介して連通する第３消音室（５３）と、を含む。

この態様によれば、一対の第１消音室の導入口から導入される排気ガスは、いずれも一対の第１消音室、連通管、第２消音室、触媒、第３消音室を順次通過することになる。つまり、一対の第１消音室の導入口から導入される排気ガスは、同様の流路を通過することになる。そのため、一対の第１消音室の導入口から導入される排気ガスの排気音をバランス良く低減することが可能となる。

上記の態様において、前記一対の第１消音室は、前記マフラーの長手方向両端部に形成され、前記第２消音室及び前記第３消音室は、前記一対の第１消音室の間に形成され、前記複数の隔壁は、前記一対の第１消音室の一方と前記第２消音室を仕切る第１隔壁（３４）と、前記第２消音室と前記第３消音室を仕切る第２隔壁（３５）と、前記第３消音室と前記一対の第１消音室の他方を仕切る第３隔壁（３６）と、を含んでいても良い。

この態様によれば、簡易な構成によって、一対の第１消音室、第２消音室、及び第３消音室をマフラーの内部に形成することができる。

上記の態様において、前記第３消音室は、前記マフラーの長手方向に延びる導出管（４０）を介して、前記マフラーの長手方向一方側の外部空間（Ｓ）と連通していても良い。

この態様によれば、簡易な構成によって、第３消音室をマフラーの長手方向一方側の外部空間と連通させることができる。

上記の態様において、前記マフラーは、前記マフラーの長手方向に延びる筒部（４５）と、前記筒部の両端開口を覆う一対の蓋部（４６）と、を備え、前記導出管は、一方の前記蓋部、前記第１隔壁、及び前記第２隔壁を貫通して、前記マフラーの長手方向一方側に突出していても良い。

この態様によれば、導出管が筒部の外周面から突出するのを回避することができるため、排気装置のコンパクト化を図ることができる。

上記の態様において、前記連通管は、前記マフラーの長手方向に延びており、前記第１隔壁、前記第２隔壁、及び前記第３隔壁を貫通していても良い。

この態様によれば、第２、第３消音室によって隔てられた一対の第１消音室を簡易な構成によって連通させることができる。

上記の態様において、前記連通管の両端部には、前記一対の第１消音室と連通する連通口（５６）が設けられ、前記連通管の外周部には、前記第２消音室と連通する多数の連通穴（５７）が設けられていても良い。

この態様によれば、連通口を介して連通管に流入した排気ガスは、多数の連通穴を介して第２消音室内に拡散する。そのため、マフラーの消音性能を向上させることができる。

上記の態様において、前記触媒は、触媒ケース（３９）に収容され、前記触媒及び前記触媒ケースは、前記第２隔壁を貫通していても良い。

この態様によれば、簡易な構成によって、触媒を介して第２消音室と第３消音室を連通させることができる。

上記の態様において、前記触媒ケースは、前記マフラーの長手方向に延びて前記触媒の外周を覆う第１筒体（６１）と、前記第１筒体の一端部の外周に固定される第２筒体（６２）と、前記第１筒体の他端部の内周に固定される第３筒体（６３）と、を含み、前記第２筒体は、前記第２隔壁に支持されており、前記第３筒体は、前記第３隔壁に支持されていても良い。

この態様によれば、第２、第３隔壁によって触媒ケースをバランスよく支持することができる。

上記の態様において、前記第３筒体の一端部は、前記第１筒体の他端部の内周に固定されており、前記第３筒体の他端部は、蓋体（６４）によって覆われており、前記第３筒体の外周部には、前記第３消音室と連通する多数の外周穴（６７）が設けられていても良い。

この態様によれば、第１筒体から第３筒体に流入した排気ガスは、多数の外周穴を介して第３消音室内に拡散する。そのため、マフラーの消音性能を向上させることができる。

上記の態様において、前記第１筒体は、前記触媒に溶接され、前記第２筒体は、前記第１筒体及び前記第２隔壁に溶接され、前記第３筒体は、前記第１筒体に溶接されると共に、前記第３隔壁に摺動可能に嵌め込まれていても良い。

この態様によれば、触媒が熱膨張してマフラーの長手方向に延びた場合に、第３筒体が第３隔壁に対して摺動することで、触媒が延びた分の長さを吸収することができる。そのため、触媒や触媒ケースの破損を抑制することができる。

上記の態様において、前記複数の消音室の容積は、前記一対の第１消音室の合計の容積、前記第２消音室の容積、前記第３消音室の容積の順に小さくなっていても良い。

この態様によれば、排気方向における上流側から下流側に向かって、複数の消音室の容積を徐々に減少させることができる。そのため、マフラーの消音性能を向上させることができる。

上記の態様において、前記エンジンは、クランクシャフト（１１）を回転可能に支持するエンジン本体（３）を備え、前記エンジン本体の一方側の面には、前記クランクシャフトの出力部（１２）が突出しており、前記マフラーは、前記エンジン本体の前記一方側の面に沿って配置されていても良い。

この態様によれば、エンジン本体の一方側の面（即ち、クランクシャフトの出力部が突出する面）に沿ってマフラーを配置することができる。そのため、マフラーによって他の部品のレイアウトが制限されにくくなる。

上記課題を解決するために本発明のある態様は、作業機（Ｐ）であって、前記エンジンの排気装置を備えたエンジンを有することを特徴とする。

この態様によれば、作業機からの排気ガスの排気音をバランス良く低減することができる。

以上の態様によれば、触媒を収容するマフラーを備えた排気装置において、一対の導入口から導入される排気ガスの排気音をバランス良く低減することができる。

本発明の一実施形態に係るＶ型エンジンを示す斜視図 本発明の一実施形態に係るエンジン本体及びエアクリーナを示す斜視図 本発明の一実施形態に係る排気装置を示す正面図 本発明の一実施形態に係る排気装置を示す側面図 図４のＶ－Ｖ断面における断面図 本発明の他の実施形態に係る排気装置を示す断面図

＜Ｖ型エンジン１＞
以下、図１～図５を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るＶ型エンジン１（以下、「エンジン１」と略称する）について説明する。以下、説明の便宜上、図１における図面上の左側をエンジン１の前側（正面側）と定義する。なお、本明細書中において、「ボルト（図示せず）によって固定されている」と記載する場合には、片側のみにねじ部を有する通常のボルトによって固定されている場合と、両側にねじ部を有するスタッドボルトによって固定されている場合の両方を含む。

図１を参照して、エンジン１は、作業機Ｐの動力源として使用される汎用エンジンである。例えば、作業機Ｐは、コンクリートカッター等の切断機、床面均し機等の床面処理機、高圧洗浄機、発電機等である。エンジン１は、ＯＨＶ式の空冷２気筒エンジンによって構成されている。なお、他の実施形態では、エンジン１は、ＯＨＶ式以外の形式のエンジン（例えば、ＯＨＣ式のエンジン）であっても良いし、空冷式以外の形式のエンジン（例えば、水冷式のエンジン）であっても良いし、３気筒以上の気筒数のエンジンであっても良い。更に、他の実施形態では、エンジン１は、Ｖ型エンジン以外の多気筒エンジン（例えば、直列型エンジン）であっても良い。

エンジン１は、エンジン本体３と、エンジン本体３の上方に配置されるエアクリーナ４と、エンジン本体３の後上方に配置される排気装置５と、を有する。以下、エンジン１の構成要素について順番に説明する。

＜エンジン本体３＞
図２を参照して、エンジン本体３は、クランクケース７と、クランクケース７から右上方に延びる第１シリンダバンク８と、クランクケース７から左上方に延びる第２シリンダバンク９と、を含んでいる。

クランクケース７の中央部には、クランクシャフト１１が回転可能に支持されている。クランクシャフト１１は、前後方向に延びる回転軸Ｘの周りを回転可能に設けられている。つまり、エンジン１は、クランクシャフト１１の回転軸Ｘが水平方向に延びるホリゾンタルタイプのエンジンである。なお、他の実施形態では、エンジン１は、クランクシャフト１１の回転軸Ｘが上下方向に延びるバーチカルタイプのエンジンであっても良い。この場合、例えば、作業機Ｐは乗用芝刈り機である。クランクシャフト１１の後端部には、ＰＴＯシャフト１２（パワーテイクオフシャフト：出力部の一例）が設けられている。ＰＴＯシャフト１２は、作業機Ｐの作業部（例えば、コンクリートカッターの刃）に接続されており、ＰＴＯシャフト１２の回転に応じて作業機Ｐの作業部が回転するように構成されている。ＰＴＯシャフト１２は、クランクケース７の後面７ａ（一方側の面）から後方に突出し、前後方向に延びている。クランクケース７の後面７ａの上部には、左右一対の第１固定ボス１３が設けられている。

第１、第２シリンダバンク８、９は、左右方向（エンジン本体３の幅方向）に並んでいる。第１、第２シリンダバンク８、９は、それぞれ、クランクケース７の斜め上方に設けられている。

第１、第２シリンダバンク８、９の下部（シリンダ）には、ピストン（図示せず）が往復運動可能に収容されている。ピストンは、コンロッド（図示せず）を介してクランクシャフト１１に接続されている。

第１、第２シリンダバンク８、９の上部（シリンダヘッド）は、ピストンと共に燃焼室（図示せず）を画定している。第１、第２シリンダバンク８、９の上部の左右方向内側の面には、燃焼室と連通する吸気口（図示せず）が開口されている。第１、第２シリンダバンク８、９の上部の後面には、燃焼室と連通する排気口１９が開口されると共に、排気口１９の周囲にフランジ面２０が形成されている。第１、第２シリンダバンク８、９の上部の後面には、フランジ面２０の上方に第２固定ボス２２が設けられている。

＜エアクリーナ４＞
図１、図２を参照して、エアクリーナ４は、左右方向及び前後方向に長い偏平形状（平板形状）を成している。なお、他の実施形態では、エアクリーナ４は、円筒形状（キャニスター形状）を成していても良い。エアクリーナ４は、エンジン本体３の第１、第２シリンダバンク８、９の間に配置されている。エアクリーナ４は、吸気管（図示せず）を介して第１、第２シリンダバンク８、９の吸気口（図示せず）に接続されており、エアクリーナ４によって清浄化された空気が吸気口を介して燃焼室（図示せず）に導入される。

排気装置５は、エンジン本体３から排出される排気ガスをエンジン１の外部に排出する装置である。以下、上流又は下流と記載する場合には、排気方向（即ち、排気装置５内において排気ガスが流れる方向）における上流又は下流を示す。各図に適宜付される一点鎖線矢印は、排気方向を示している。

図３～図５を参照して、排気装置５は、第１、第２排気管３１、３２と、マフラー３３と、複数の隔壁３４～３６と、連通管３７と、触媒３８と、触媒ケース３９と、導出管４０と、カバー部材４１（図１参照）と、を備えている。以下、排気装置５の構成要素について順番に説明する。

＜第１、第２排気管３１、３２＞
図３、図４を参照して、排気装置５の第１、第２排気管３１、３２は、左右方向に並んでいる。第１、第２排気管３１、３２の前部（上流側の部分）は、前方から後方に直線状に延びている。第１、第２排気管３１、３２の後部（下流側の部分）は、湾曲しつつ下方から上方に延びている。

第１排気管３１の前端部（上流側の端部）の外周には、第１固定フランジ４３が設けられている。第１固定フランジ４３は、第１シリンダバンク８のフランジ面２０（図２参照）に一対のボルト（図示せず）によって固定されている。これにより、第１排気管３１の前端部が第１シリンダバンク８の排気口１９（図２参照）に接続されている。

図３を参照して、第２排気管３２の前端部（上流側の端部）の外周には、第２固定フランジ４４が設けられている。第２固定フランジ４４は、第２シリンダバンク９のフランジ面２０（図２参照）に一対のボルト（図示せず）によって固定されている。これにより、第２排気管３２の前端部が第２シリンダバンク９の排気口１９（図２参照）に接続されている。

＜マフラー３３＞
図１を参照して、排気装置５のマフラー３３は、エアクリーナ４の後方に配置されている。マフラー３３は、ＰＴＯシャフト１２の上方に配置されており、クランクケース７の後面７ａ（一方側の面）よりも後方に突出している。マフラー３３は、第１、第２シリンダバンク８、９の後面に沿って配置されている。マフラー３３は、第１シリンダバンク８の上端側（先端側）から第２シリンダバンク９の上端側（先端側）まで左右方向に延びている。

図３～図５を参照して、マフラー３３は、左右方向に長い円筒状を成している。つまり、本実施形態では、マフラー３３の長手方向は左右方向である。なお、他の実施形態では、マフラー３３は、円筒状以外の形状（例えば、角筒状）を成していても良い。

マフラー３３は、左右方向に延びる筒部４５と、筒部４５の両端開口を覆う一対の蓋部４６と、を含んでいる。筒部４５の外周面の左右方向中央部には、固定ブラケット４８が前方に向かって突出している。固定ブラケット４８は、クランクケース７の左右一対の第１固定ボス１３（図２参照）に一対のボルト（図示せず）によって固定されている。筒部４５の外周面の左右両側部には、左右一対の固定ステー４９が前方に向かって突出している。各固定ステー４９は、第１、第２シリンダバンク８、９の第２固定ボス２２（図２参照）にボルト（図示せず）によって固定されている。

図５を参照して、マフラー３３の内部には、複数の消音室５１～５３が形成されている。複数の消音室５１～５３は、マフラー３３の左右両端部（長手方向両端部）に形成される一対の第１消音室５１と、一対の第１消音室５１の間に形成される第２消音室５２及び第３消音室５３と、を含んでいる。複数の消音室５１～５３の容積は、一対の第１消音室５１の合計の容積、第２消音室５２の容積、第３消音室５３の容積の順に小さくなっている。つまり、一対の第１消音室５１の合計の容積＞第２消音室５２の容積＞第３消音室５３の容積となっている。

図３を参照して、一対の第１消音室５１の前下部には、排気ガスの導入口５４が設けられている。導入口５４は、マフラー３３の筒部４５に設けられた穴によって構成されている。右側の第１消音室５１の導入口５４には第１排気管３１の後端部（下流側の端部）が接続されており、左側の第１消音室５１の導入口５４には第２排気管３２の後端部（下流側の端部）が接続されている。

＜複数の隔壁３４～３６＞
図５を参照して、排気装置５の複数の隔壁３４～３６は、マフラー３３に収容されている。複数の隔壁３４～３６は、左右方向に間隔をおいて配置されている。複数の隔壁３４～３６は、左側の第１消音室５１と第２消音室５２を左右方向に仕切る第１隔壁３４と、第２消音室５２と第３消音室５３を左右方向に仕切る第２隔壁３５と、第３消音室５３と右側の第１消音室５１を左右方向に仕切る第３隔壁３６と、を含んでいる。

＜連通管３７＞
図５を参照して、排気装置５の連通管３７は、マフラー３３に収容されている。連通管３７は、左右方向に延びており、第１～第３隔壁３４～３６を貫通している。連通管３７の左右両端部には、一対の第１消音室５１と連通する連通口５６が設けられている。連通管３７の外周部には、第２消音室５２と連通する多数の連通穴５７が設けられている。以上のような構成により、一対の第１消音室５１と第２消音室５２が連通管３７を介して連通している。

＜触媒３８＞
図５を参照して、排気装置５の触媒３８は、左右方向に長い円柱状を成している。つまり、本実施形態では、触媒３８の長手方向は左右方向である。例えば、触媒３８は、三元触媒によって構成されている。触媒３８は、エンジン本体３から第１、第２排気管３１、３２を介して排出される排気ガスの有害成分を化学反応によって無害成分に変化させることで、排気ガスを浄化する。

触媒３８は、マフラー３３に収容されている。触媒３８は、左右方向に延びており、第２隔壁３５を貫通している。そのため、第２消音室５２と第３消音室５３が触媒３８を介して連通している。

＜触媒ケース３９＞
図５を参照して、排気装置５の触媒ケース３９は、左右方向に長い円筒状を成している。つまり、本実施形態では、触媒ケース３９の長手方向は左右方向である。なお、他の実施形態では、触媒ケース３９は、円筒状以外の形状（例えば、角筒状）を成していても良い。触媒ケース３９は、マフラー３３に収容されており、触媒３８を収容している。触媒ケース３９は、左右方向に延びており、第２、第３隔壁３５、３６を貫通している。

触媒ケース３９は、第１筒体６１と、第２筒体６２と、第３筒体６３と、蓋体６４と、を含んでいる。

第１筒体６１は、左右方向に延びており、第２隔壁３５を貫通している。第１筒体６１は、触媒３８の外周を覆っている。第１筒体６１の内周面は、触媒３８の外周面に溶接によって固定されている。第１筒体６１の左端部（上流側の端部）には、第２消音室５２と連通する流入口６５が設けられている。第１筒体６１の右端部（下流側の端部）は、第３消音室５３内に位置している。

第２筒体６２は、左右方向に延びており、第２隔壁３５を貫通している。第２筒体６２の右端部（下流側の端部）の外周は、第２隔壁３５に溶接によって固定されている。これにより、第２筒体６２が第２隔壁３５によって支持されている。第２筒体６２は、第１筒体６１の外周に配置されている。第２筒体６２の左側部には、右側（下流側）から左側（上流側）に向かって縮径する縮径部６６が設けられている。第２筒体６２の左端部の内周は、縮径部６６よりも左側（上流側）において、第１筒体６１の左端部の外周に溶接によって固定されている。

第３筒体６３は、左右方向に延びており、第３隔壁３６を貫通している。第３筒体６３の右端部は、第３隔壁３６に摺動可能に嵌め込まれている。これにより、第３筒体６３が第３隔壁３６によって支持されている。第３筒体６３の左端部の外周は、第１筒体６１の右端部の内周に溶接によって固定されている。第３筒体６３の外周部には、第３消音室５３と連通する多数の外周穴６７が設けられている。

蓋体６４は、多数の外周穴６７よりも右側（下流側）において、第３筒体６３の右端部の内周に溶接によって固定されている。これにより、蓋体６４が第３筒体６３の右端部を覆っている。

＜導出管４０＞
図５を参照して、排気装置５の導出管４０は、左右方向に延びており、マフラー３３の左側の蓋部４６と第１、第２隔壁３４、３５を貫通している。導出管４０の外周部には、第３消音室５３と連通する多数の流通穴７１が設けられている。導出管４０の左端部は、マフラー３３の左側（左右方向一方側）に突出している。導出管４０の左端部には、マフラー３３の左側（左右方向一方側）の外部空間Ｓと連通する導出口７２が設けられている。以上のような構成により、第３消音室５３とマフラー３３の左側の外部空間Ｓが導出管４０を介して連通している。

なお、他の実施形態では、導出管４０がマフラー３３の右側に突出していても良い。更に、他の実施形態では、図６に示されるように、導出管４０が屈曲されてマフラー３３の筒部４５を貫通し、筒部４５の外周面から突出していても良い。このように、導出管４０の構成や配置は、作業機Ｐの構成等に応じて選択可能である。

＜カバー部材４１＞
図１を参照して、排気装置５のカバー部材４１は、マフラー３３の外面（エンジン本体３に対向する面とは反対側の面）を覆っている。カバー部材４１は、マフラー３３に複数のボルト（図示せず）によって固定されている。カバー部材４１には、全域に亘って多数のパンチ穴（図示せず）が設けられている。

＜排気ガスの流れ＞
図５を参照して、エンジン１の駆動時には、第１、第２シリンダバンク８、９の排気口１９から排気ガスが排出される。排気口１９から排出された排気ガスは、第１、第２排気管３１、３２を通過した後、導入口５４を介してマフラー３３の一対の第１消音室５１に流入する。一対の第１消音室５１に流入した排気ガスは、一対の第１消音室５１を通過した後、連通口５６を介して連通管３７に流入する。連通管３７に流入した排気ガスは、多数の連通穴５７を介してマフラー３３の第２消音室５２に流入する。第２消音室５２に流入した排気ガスは、第２消音室５２を通過した後、流入口６５を介して触媒ケース３９の第１筒体６１に流入する。触媒ケース３９の第１筒体６１に流入した排気ガスは、触媒ケース３９の第１筒体６１及び第３筒体６３を順次通過した後、多数の外周穴６７を介してマフラー３３の第３消音室５３に流入する。このように排気ガスが触媒ケース３９を通過することで、触媒ケース３９に収容された触媒３８によって排気ガスが浄化される。

マフラー３３の第３消音室５３に流入した排気ガスは、第３消音室５３を通過した後、多数の流通穴７１を介して導出管４０に流入する。導出管４０に流入した排気ガスは、導出管４０を通過した後、導出口７２を介してマフラー３３の左側の外部空間Ｓに排出される。このように排気ガスがマフラー３３を通過することで、排気音が低減される。

＜効果＞
複数の消音室５１～５３は、排気ガスの導入口５４が設けられた一対の第１消音室５１と、一対の第１消音室５１と連通管３７を介して連通する第２消音室５２と、第２消音室５２と触媒３８を介して連通する第３消音室５３と、を含む。このような構成を採用することで、一対の第１消音室５１の導入口５４から導入される排気ガスは、いずれも一対の第１消音室５１、連通管３７、第２消音室５２、触媒３８、第３消音室５３を順次通過することになる。つまり、一対の第１消音室５１の導入口５４から導入される排気ガスは、同様の流路を通過することになる。そのため、一対の第１消音室５１の導入口５４から導入される排気ガスの排気音をバランス良く低減することが可能となる。

また、複数の隔壁３４～３６は、左側の第１消音室５１と第２消音室５２を仕切る第１隔壁３４と、第２消音室５２と第３消音室５３を仕切る第２隔壁３５と、第３消音室５３と右側の第１消音室５１を仕切る第３隔壁３６と、を含んでいる。このような構成を採用することで、簡易な構成によって、一対の第１消音室５１、第２消音室５２、及び第３消音室５３をマフラー３３の内部に形成することができる。

また、第３消音室５３は、マフラー３３の長手方向に延びる導出管４０を介して、マフラー３３の左側（長手方向一方側）の外部空間Ｓと連通している。このような構成を採用することで、簡易な構成によって、第３消音室５３をマフラー３３の左側の外部空間Ｓと連通させることができる。

また、導出管４０は、マフラー３３の左側の蓋部４６と第１、第２隔壁３４、３５を貫通して、マフラー３３の左側（長手方向一方側）に突出している。このような構成を採用することで、導出管４０がマフラー３３の筒部４５の外周面から突出するのを回避することができるため、排気装置５のコンパクト化を図ることができる。

また、連通管３７は、マフラー３３の長手方向に延びており、第１～第３隔壁３４～３６を貫通している。このような構成を採用することで、第２、第３消音室５２、５３によって隔てられた一対の第１消音室５１を簡易な構成によって連通させることができる。

また、連通管３７の左右両端部には、一対の第１消音室５１と連通する連通口５６が設けられ、連通管３７の外周部には、第２消音室５２と連通する多数の連通穴５７が設けられている。このような構成を採用することで、連通口５６を介して連通管３７に流入した排気ガスは、多数の連通穴５７を介して第２消音室５２内に拡散する。そのため、マフラー３３の消音性能を向上させることができる。

また、触媒３８及び触媒ケース３９は、第２隔壁３５を貫通している。このような構成を採用することで、簡易な構成によって、触媒３８を介して第２消音室５２と第３消音室５３を連通させることができる。

また、触媒ケース３９の第２筒体６２は第２隔壁３５に支持されており、触媒ケース３９の第３筒体６３は第３隔壁３６に支持されている。このような構成を採用することで、第２、第３隔壁３５、３６によって触媒ケース３９をバランスよく支持することができる。

また、第３筒体６３の左端部は、第１筒体６１の右端部の内周に固定されており、第３筒体６３の右端部は、蓋体６４によって覆われており、第３筒体６３の外周部には、第３消音室５３と連通する多数の外周穴６７が設けられている。このような構成を採用することで、第１筒体６１から第３筒体６３に流入した排気ガスは、多数の外周穴６７を介して第３消音室５３内に拡散する。そのため、マフラー３３の消音性能を向上させることができる。

また、第３筒体６３は、第１筒体６１に溶接されると共に、第３隔壁３６に摺動可能に嵌め込まれている。このような構成を採用することで、触媒３８が熱膨張してマフラー３３の長手方向に延びた場合に、第３筒体６３が第３隔壁３６に対して摺動することで、触媒３８が延びた分の長さを吸収することができる。そのため、触媒３８や触媒ケース３９の破損を抑制することができる。

また、複数の消音室５１～５３の容積は、一対の第１消音室５１の合計の容積、第２消音室５２の容積、第３消音室５３の容積の順に小さくなっている。このような構成を採用することで、上流側から下流側に向かって、複数の消音室５１～５３の容積を徐々に減少させることができる。そのため、マフラー３３の消音性能を向上させることができる。

また、エンジン本体３の後面（詳細には、クランクケース７の後面７ａ）には、ＰＴＯシャフト１２が突出しており、マフラー３３は、エンジン本体３の後面（詳細には、第１、第２シリンダバンク８、９の後面）に沿って配置されている。このような構成を採用することで、エンジン本体３の後面（即ち、ＰＴＯシャフト１２が突出する面）に沿ってマフラー３３を配置することができる。そのため、マフラー３３によって他の部品のレイアウトが制限されにくくなる。

以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。

１ Ｖ型エンジン
３ エンジン本体
５ 排気装置
１１ クランクシャフト
１２ ＰＴＯシャフト（出力部の一例）
３３ マフラー
３４ 第１隔壁
３５ 第２隔壁
３６ 第３隔壁
３７ 連通管
３８ 触媒
３９ 触媒ケース
４０ 導出管
４５ 筒部
４６ 蓋部
５１ 第１消音室
５２ 第２消音室
５３ 第３消音室
５４ 導入口
５６ 連通口
５７ 連通穴
６１ 第１筒体
６２ 第２筒体
６３ 第３筒体
６４ 蓋体
６７ 外周穴
Ｓ 外部空間

Claims (12)

1. エンジンの排気装置であって、
   複数の隔壁によって仕切られた複数の消音室を有するマフラーと、
   前記マフラーに収容され、少なくとも一つの前記隔壁を貫通する連通管と、
   前記マフラーに収容され、少なくとも一つの前記隔壁を貫通する触媒と、を備え、
   前記複数の消音室は、
   排気ガスの導入口が設けられた一対の第１消音室と、
   前記一対の第１消音室と前記連通管を介して連通する第２消音室と、
   前記第２消音室と前記触媒を介して連通する第３消音室と、を含み、
   前記一対の第１消音室は、前記マフラーの長手方向両端部に形成され、
   前記第２消音室及び前記第３消音室は、前記一対の第１消音室の間に形成され、
   前記複数の隔壁は、
   前記一対の第１消音室の一方と前記第２消音室を仕切る第１隔壁と、
   前記第２消音室と前記第３消音室を仕切る第２隔壁と、
   前記第３消音室と前記一対の第１消音室の他方を仕切る第３隔壁と、を含んでいることを特徴とするエンジンの排気装置。
2. 前記第３消音室は、前記マフラーの長手方向に延びる導出管を介して、前記マフラーの長手方向一方側の外部空間と連通していることを特徴とする請求項１に記載のエンジンの排気装置。
3. 前記マフラーは、前記マフラーの長手方向に延びる筒部と、前記筒部の両端開口を覆う一対の蓋部と、を備え、
   前記導出管は、一方の前記蓋部、前記第１隔壁、及び前記第２隔壁を貫通して、前記マフラーの長手方向一方側に突出していることを特徴とする請求項２に記載のエンジンの排気装置。
4. 前記連通管は、前記マフラーの長手方向に延びており、前記第１隔壁、前記第２隔壁、及び前記第３隔壁を貫通していることを特徴とする請求項１～３のいずれか１項に記載のエンジンの排気装置。
5. 前記連通管の両端部には、前記一対の第１消音室と連通する連通口が設けられ、
   前記連通管の外周部には、前記第２消音室と連通する多数の連通穴が設けられていることを特徴とする請求項４に記載のエンジンの排気装置。
6. 前記触媒は、触媒ケースに収容され、
   前記触媒及び前記触媒ケースは、前記第２隔壁を貫通していることを特徴とする請求項１～５のいずれか１項に記載のエンジンの排気装置。
7. 前記触媒ケースは、
   前記マフラーの長手方向に延びて前記触媒の外周を覆う第１筒体と、
   前記第１筒体の一端部の外周に固定される第２筒体と、
   前記第１筒体の他端部の内周に固定される第３筒体と、を含み、
   前記第２筒体は、前記第２隔壁に支持されており、
   前記第３筒体は、前記第３隔壁に支持されていることを特徴とする請求項６に記載のエンジンの排気装置。
8. 前記第３筒体の一端部は、前記第１筒体の他端部の内周に固定されており、
   前記第３筒体の他端部は、蓋体によって覆われており、
   前記第３筒体の外周部には、前記第３消音室と連通する多数の外周穴が設けられていることを特徴とする請求項７に記載のエンジンの排気装置。
9. 前記第１筒体は、前記触媒に溶接され、
   前記第２筒体は、前記第１筒体及び前記第２隔壁に溶接され、
   前記第３筒体は、前記第１筒体に溶接されると共に、前記第３隔壁に摺動可能に嵌め込まれていることを特徴とする請求項７又は８に記載のエンジンの排気装置。
10. 前記複数の消音室の容積は、前記一対の第１消音室の合計の容積、前記第２消音室の容積、前記第３消音室の容積の順に小さくなっていることを特徴とする請求項１～９のいずれか１項に記載のエンジンの排気装置。
11. 前記エンジンは、クランクシャフトを回転可能に支持するエンジン本体を備え、
    前記エンジン本体の一方側の面には、前記クランクシャフトの出力部が突出しており、
    前記マフラーは、前記エンジン本体の前記一方側の面に沿って配置されていることを特徴とする請求項１～１０のいずれか１項に記載のエンジンの排気装置。
12. 請求項１～１１のいずれか１項に記載のエンジンの排気装置を備えたエンジンを有することを特徴とする作業機。

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