JP7302981B2 - フィルタおよびマルチプレクサ - Google Patents

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Description

本発明は、フィルタおよびマルチプレクサに関する。
圧電薄膜共振器を用いた弾性波デバイスは、例えば携帯電話等の無線機器のフィルタおよびデュプレクサとして用いられている。圧電薄膜共振器は、圧電膜を挟み下部電極と上部電極が対向する構造を有している。圧電膜を挟み下部電極と上部電極が対向する領域が共振領域である。共振領域内の外周に沿った領域の下部電極と上部電極との間に挿入膜を設けることが知られている(例えば特許文献1から3)
特開2015-95729号公報 特開2016-29766号公報 特開2018-101952号公報
挿入膜を設けることで、圧電薄膜共振器のQ値が向上する。また、共振領域内への挿入膜の挿入幅を変えることで電気機械結合係数を変えることができる。しかしながら、ラダー型フィルタの直列共振器と並列共振器とのQ値および電気機械結合係数を所望値とし、フィルタ特性を所望の特性とすることは難しい。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、フィルタ特性を所望の特性とすることを目的とする。
本発明は、基板と、前記基板上に設けられ、入力端子と出力端子との間に直列に接続され、第1下部電極と、前記第1下部電極上に設けられた第1圧電膜と、前記第1圧電膜上に設けられた第1上部電極と、前記第1圧電膜を挟み前記第1下部電極と前記第1上部電極とが対向する第1共振領域の第1中央領域に設けられておらず前記第1中央領域を囲む少なくとも一部に前記第1共振領域の第1外周を含み前記第1外周に沿って前記第1下部電極と前記第1上部電極との間に設けられた第1挿入膜と、を備え、前記第1共振領域内における前記第1外周の接線に直交する方向の前記第1挿入膜の第1幅を有する複数の第1圧電薄膜共振器と、前記基板上に設けられ、前記入力端子と前記出力端子との間に並列に接続され、第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2圧電膜と、前記第2圧電膜上に設けられた第2上部電極と、前記第2圧電膜を挟み前記第2下部電極と前記第2上部電極とが対向する第2共振領域の第2中央領域に設けられておらず前記第2中央領域を囲む少なくとも一部に前記第2共振領域の第2外周を含み前記第2外周に沿って前記第2下部電極と前記第2上部電極との間に設けられた第2挿入膜と、を備え、前記第2共振領域内における前記第2外周の接線に直交する方向の前記第2挿入膜の第2幅を有する複数の第2圧電薄膜共振器と、を備え、前記複数の第1圧電薄膜共振器の各々の前記第1幅は略一定であり、前記複数の第1圧電薄膜共振器の互いの前記第1幅は略等しく、前記複数の第2圧電薄膜共振器の各々の前記第2幅は略一定であり、前記複数の第2圧電薄膜共振器の互いの前記第2幅は略等しく、前記第1幅と前記第2幅とは異なるフィルタである。
上記構成において、前記第1幅をW1とし、前記第2幅をW2とし、前記第1共振領域における前記第1下部電極、前記第1圧電膜および前記第1上部電極の合計の厚さと、前記第2共振領域における前記第2下部電極、前記第2圧電膜および前記第2上部電極の合計の厚さとの和をλとし、任意の自然数をNとしたとき、N×λ/2-λ/8<|W1-W2|<N×λ/2+λ/8である構成とすることができる。
上記構成において、0.7λ+N×λ/2-λ/8<W1<0.7λ+N×λ/2+λ/8かつ0.7λ+N×λ/2-λ/8<W2<0.7λ+N×λ/2+λ/8である構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の第1圧電薄膜共振器および前記複数の第2圧電薄膜共振器のQ値は互いに同じである構成とすることができる。
本発明は、基板と、前記基板上に設けられ、入力端子と出力端子との間に直列に接続され、第1下部電極と、前記第1下部電極上に設けられた第1圧電膜と、前記第1圧電膜上に設けられた第1上部電極と、前記第1圧電膜を挟み前記第1下部電極と前記第1上部電極とが対向する第1共振領域の第1中央領域に設けられておらず前記第1中央領域を囲む少なくとも一部に前記第1共振領域の第1外周を含み前記第1外周に沿って前記第1下部電極と前記第1上部電極との間に設けられた第1挿入膜と、を備え、前記第1共振領域内における前記第1外周の接線に直交する方向の前記第1挿入膜の第1幅を有する複数の第1圧電薄膜共振器と、前記基板上に設けられ、前記入力端子と前記出力端子との間に並列に接続され、第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2圧電膜と、前記第2圧電膜上に設けられた第2上部電極と、前記第2圧電膜を挟み前記第2下部電極と前記第2上部電極とが対向する第2共振領域の第2中央領域に設けられておらず前記第2中央領域を囲む少なくとも一部に前記第2共振領域の第2外周を含み前記第2外周に沿って前記第2下部電極と前記第2上部電極との間に設けられた第2挿入膜と、を備え、前記第2共振領域内における前記第2外周の接線に直交する方向の前記第2挿入膜の第2幅を有する複数の第2圧電薄膜共振器と、を備え、前記複数の第1圧電薄膜共振器における前記第1下部電極が前記第1共振領域から引き出される第1下部電極引き出し領域における前記第1幅をWL1とし、前記第1上部電極が前記第1共振領域から引き出される第1上部電極引き出し領域における前記第1幅をWU1とし、前記複数の第2圧電薄膜共振器における前記第2下部電極が前記第2共振領域から引き出される第2下部電極引き出し領域における前記第2幅をWL2とし、前記第2上部電極が前記第2共振領域から引き出される第2上部電極引き出し領域における前記第2幅をWU2としたとき、前記複数の第1圧電薄膜共振器の各々の前記WL1は略一定であり、前記複数の第1圧電薄膜共振器の互いの前記WL1は略等しく、前記複数の第1圧電薄膜共振器の各々の前記WU1は略一定であり、前記複数の第1圧電薄膜共振器の互いの前記WU1は略等しく、前記複数の第2圧電薄膜共振器の各々の前記WL2は略一定であり、前記複数の第2圧電薄膜共振器の互いの前記WL2は略等しく、前記複数の第2圧電薄膜共振器の各々の前記WU2は略一定であり、前記複数の第2圧電薄膜共振器の互いの前記WU2は略等しく、前記WL1と前記WU1とは異なり、前記WL2と前記WU2とは異なり、前記WL1と前記WL2とは異なり、前記WU1と前記WU2とは異なるフィルタでaある
本発明は、基板と、前記基板上に設けられ、入力端子と出力端子との間に直列に接続され、第1下部電極と、前記第1下部電極上に設けられた第1圧電膜と、前記第1圧電膜上に設けられた第1上部電極と、前記第1圧電膜を挟み前記第1下部電極と前記第1上部電極とが対向する第1共振領域の第1中央領域に設けられておらず前記第1中央領域を囲む少なくとも一部に前記第1共振領域の第1外周を含み前記第1外周に沿って前記第1下部電極と前記第1上部電極との間に設けられた第1挿入膜と、を備え、前記第1共振領域内における前記第1外周の接線に直交する方向の前記第1挿入膜の第1幅を有する第1圧電薄膜共振器と、前記基板上に設けられ、前記入力端子と前記出力端子との間に並列に接続され、第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2圧電膜と、前記第2圧電膜上に設けられた第2上部電極と、前記第2圧電膜を挟み前記第2下部電極と前記第2上部電極とが対向する第2共振領域の第2中央領域に設けられておらず前記第2中央領域を囲む少なくとも一部に前記第2共振領域の第2外周を含み前記第2外周に沿って前記第2下部電極と前記第2上部電極との間に設けられた第2挿入膜と、を備え、前記第2共振領域内における前記第2外周の接線に直交する方向の前記第2挿入膜の第2幅を有し、前記第2幅は前記第1圧電薄膜共振器の第1幅と異なる第2圧電薄膜共振器と、を備え、前記第1圧電薄膜共振器における前記第1下部電極が前記第1共振領域から引き出される第1下部電極引き出し領域における前記第1幅と、前記第1上部電極が前記第1共振領域から引き出される第1上部電極引き出し領域における前記第1幅と、は異なり、前記第2圧電薄膜共振器における前記第2下部電極が前記第2共振領域から引き出される第2下部電極引き出し領域における前記第2幅と、前記第2上部電極が前記第2共振領域から引き出される第2上部電極引き出し領域における前記第2幅と、は異なり、前記第1下部電極引き出し領域における前記第1幅をWL1とし、前記第1上部電極引き出し領域における前記第1幅をWU1とし、前記第2下部電極引き出し領域における前記第2幅をWL2とし、前記第2上部電極引き出し領域における前記第2幅をWU2とし、前記第1共振領域における前記第1下部電極、前記第1圧電膜および前記第1上部電極の合計の厚さと、前記第2共振領域における前記第2下部電極、前記第2圧電膜および前記第2上部電極の合計の厚さと、の和をλとし、任意の自然数をNとしたとき、N×λ/2-λ/8<|WL1-WL2|<N×λ/2+λ/8かつN×λ/2-λ/8<|WU1-WU2|<N×λ/2+λ/8であるフィルタである
上記構成において、前記第1挿入膜および前記第2挿入膜の音響インピーダンスは前記第1圧電膜および前記第2圧電膜の音響インピーダンスより小さい構成とすることができる。
上記構成において、前記第1圧電膜と前記第2圧電膜とは同じ圧電材料からなり、前記第1圧電膜の厚さと前記第2圧電膜の厚さとは略等しく、前記第1挿入膜と前記第2挿入膜とは同じ材料からなり、前記第1挿入膜の厚さと前記第2挿入膜の厚さとは略等しい構成とすることができる。
本発明は、上記フィルタを含むマルチプレクサである。
本発明によれば、フィルタ特性を所望の特性とすることができる。
図1は、実施例1に係るフィルタの回路図である。 図2(a)は、実施例1における圧電薄膜共振器の平面図、図2(b)は、挿入膜の平面図、図2(c)および図2(d)は、図2(a)のA-A断面図である。 図3は、シミュレーション1における挿入幅WUおよびWLに対すQ値を示す図である。 図4(a)および図4(b)は、シミュレーション1におけるそれぞれ挿入幅WUおよびWLに対するQ値を示す図である。 図5は、シミュレーション1における挿入幅WUおよびWLに対す電気機械結合係数kを示す図である。 図6(a)および図6(b)は、シミュレーション1におけるそれぞれ挿入幅WUおよびWLに対する電気機械結合係数kを示す図である。 図7(a)および図7(b)は、実施例1における直列共振器および並列共振器の共振領域と挿入膜の平面図である。 図8(a)は、シミュレーション2におけるフィルタの通過特性を示す図、図8(b)は、通過帯域における通過特性の拡大図である。 図9(a)および図9(b)は、実施例1の変形例1における直列共振器および並列共振器の共振領域と挿入膜の平面図である。 図10(a)から図10(d)は、実施例1の変形例2から5における圧電薄膜共振器を示す断面図である。 図11(a)から図11(d)は、実施例1の変形例6から9における圧電薄膜共振器を示す断面図である。 図12(a)および図12(b)は、実施例1の変形例10および11における圧電薄膜共振器の断面図である。 図13は、実施例2に係るデュプレクサの回路図である。
以下図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
図1は、実施例1に係るフィルタの回路図である。図1に示すように、実施例1に係るフィルタでは入力端子T1と出力端子T2との間の直列に直列共振器S1からS4が接続されている。入力端子T1と出力端子T2との間の並列に並列共振器P1からP4が接続されている。並列共振器P1からP4の一端はグランド端子に接続されている。フィルタは、入力端子T1から入力した高周波信号のうち通過帯域の信号を出力端子T2に出力させ、他の周波数帯域の信号を抑圧する。
図2(a)は、実施例1における圧電薄膜共振器の平面図、図2(b)は、挿入膜の平面図、図2(c)および図2(d)は、図2(a)のA-A断面図である。図2(c)は、直列共振器を、図2(d)は並列共振器を示している。
図2(a)および図2(c)を参照し、直列共振器S1からS4の構造について説明する。シリコン(Si)基板である基板10上に、下部電極12が設けられている。基板10の平坦主面と下部電極12との間にドーム状の膨らみを有する空隙30が形成されている。ドーム状の膨らみとは、例えば空隙30の周辺では空隙30の高さが小さく、空隙30の内部ほど空隙30の高さが大きくなるような形状の膨らみである。空隙30は、圧電膜14に励振された弾性波を反射する音響反射層として機能する。下部電極12は下層12aと上層12bとを含んでいる。下層12aは例えばクロム(Cr)膜であり、上層12bは例えばルテニウム(Ru)膜である。
下部電極12上に、(0001)方向を主軸とする(すなわちC軸配向性を有する)窒化アルミニウム(AlN)を主成分とする圧電膜14が設けられている。圧電膜14は、下部圧電膜14aおよび上部圧電膜14bを備えている。下部圧電膜14aは下部電極12上に設けられ、上部圧電膜14bは下部圧電膜14aと上部電極16との間に設けられている。下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとの間に挿入膜28が設けられている。
圧電膜14の少なくとも一部を挟み下部電極12と対向する共振領域50を有するように圧電膜14上に上部電極16が設けられている。共振領域50は、楕円形状を有し、厚み縦振動モードの弾性波が共振する領域である。平面視において空隙30は共振領域50を含み共振領域50より大きく設けられる。これにより、圧電膜14に励振された弾性波は空隙30により反射される。上部電極16は下層16aおよび上層16bを含んでいる。下層16aは例えばルテニウム膜であり、上層16bは例えばクロム膜である。
上部電極16上に周波数調整膜24として酸化シリコン膜が形成されている。共振領域50内の積層膜18は、下部電極12、圧電膜14、上部電極16および周波数調整膜24を含む。周波数調整膜24はパッシベーション膜として機能してもよい。
図2(b)に示すように、挿入膜28は、共振領域50の中央領域54に設けられておらず、外周領域52に設けられている。すなわち挿入膜28は、中央領域54を囲む少なくとも一部に共振領域50の外周51を含み外周51に沿って設けられている。挿入膜28は、例えばリング状またはリング状の一部がカットされた形状である。中央領域54は、共振領域50内の領域であって、共振領域50の中央を含む領域である。中央は幾何学的な中心でなくてもよい。
共振領域50における外周51の接線に直交する方向の挿入膜28の幅は挿入幅である。共振領域50のうち下部電極12が引き出される側の領域を領域56L(下部電極引き出し領域)とし、上部電極16が引き出される側の領域を領域56U(上部電極引き出し領域)とする。下部電極12と上部電極16の合わせずれが生じても共振領域50の面積が変わらないように、領域56U以外では下部電極12は共振領域50より大きく形成されている。これにより、領域56U以外の領域は領域56Lとなる。すなわち共振領域50を囲む領域は領域56Uまたは56Lのいずれかである。領域56Lにおける挿入膜28の挿入幅をWLとし、領域56Uにおける挿入膜28の挿入幅をWUとする。挿入幅WLとWUとは同じでもよく、異なっていてもよい。
下部電極12の引き出し領域56Lにおいて、上部圧電膜14bの端面の上端は共振領域50の輪郭に略一致し、上部圧電膜14bの端面は下端が外側に位置するように傾斜している。下部圧電膜14aの端面は共振領域50の輪郭より外側に位置する。これにより、Q値等の特性が向上する。
図2(a)のように、下部電極12には犠牲層をエッチングするための導入路33が形成されている。犠牲層は空隙30を形成するための層である。導入路33の先端付近は圧電膜14で覆われておらず、下部電極12は導入路33の先端に孔部35を有する。
図2(d)を参照し、並列共振器P1からP4の構造について説明する。並列共振器P1からP4は直列共振器S1からS4と比較し、上部電極16の下層16aと上層16bとの間に、チタン(Ti)層からなる質量負荷膜20が設けられている。よって、積層膜18は直列共振器S1からS4の積層膜に加え、共振領域50内の全面に形成された質量負荷膜20を含む。その他の構成は直列共振器S1からS4の図2(c)と同じであり説明を省略する。
直列共振器S1からS4と並列共振器P1からP4との共振周波数の差は、質量負荷膜20の膜厚を用い調整する。直列共振器S1からS4と並列共振器P1からP4との両方の共振周波数の調整は、周波数調整膜24の膜厚を調整することにより行なう。
基板10としては、シリコン基板以外に、サファイア基板、アルミナ基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、ガラス基板、セラミック基板またはGaAs基板等を用いることができる。下部電極12および上部電極16としては、ルテニウムおよびクロム以外にもアルミニウム(Al)、チタン、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはイリジウム(Ir)等の単層膜またはこれらの積層膜を用いることができる。例えば、上部電極16の下層16aをRu、上層16bをMoとしてもよい。
圧電膜14は、窒化アルミニウム以外にも、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛(PbTiO3)等を用いることができる。また、例えば、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、共振特性の向上または圧電性の向上のため他の元素を含んでもよい。例えば、添加元素として、スカンジウム(Sc)、2族元素と4族元素との2つの元素、または2族元素と5族元素との2つの元素を用いることにより、圧電膜14の圧電性が向上する。このため、圧電薄膜共振器の実効的電気機械結合係数を向上できる。2族元素は、例えばカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)または亜鉛(Zn)である。4族元素は、例えばチタン、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)である。5族元素は、例えばタンタル、ニオブ(Nb)またはバナジウム(V)である。さらに、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、ボロン(B)を含んでもよい。
挿入膜28は、圧電膜14よりヤング率および/または音響インピーダンスが小さい材料である。挿入膜28は、酸化シリコン以外に、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅、チタン、白金、タンタルまたはクロム等の単層膜またはこれらの積層膜を用いることができる。
周波数調整膜24としては、酸化シリコン膜以外にも窒化シリコン膜または窒化アルミニウム膜等を用いることができる。質量負荷膜20としては、チタン以外にも、下部電極12および上部電極16として例示した金属膜、または窒化シリコンまたは酸化シリコン等の絶縁膜を用いることもできる。
[シミュレーション1]
挿入膜28の挿入幅WLおよびWUを変えてQ値および電気機械結合係数を有限要素法を用い2次元シミュレーションした。
シミュレーション条件は以下である。
下部電極12の下層12a:厚さが99nmのクロム膜
下部電極12の上層12b:厚さは198nmのルテニウム膜
下部圧電膜14a:厚さが623nmの窒化アルミニウム膜
上部圧電膜14b:厚さが623nmの窒化アルミニウム膜
上部電極16の下層16a:厚さが238nmのルテニウム膜
上部電極16の上層16b:厚さは35nmのクロム膜
挿入膜28:厚さが150nmの酸化シリコン膜
共振領域50:長さが84μm
下部電極12、圧電膜14および上部電極16の合計の厚さがほぼ弾性波の波長の1/2となる。よって、弾性波の波長λは約3632nmである。
図3は、シミュレーション1における挿入幅WUおよびWLに対すQ値を示す図である。図4(a)および図4(b)は、シミュレーション1におけるそれぞれ挿入幅WUおよびWLに対するQ値を示す図である。図4(a)は、図3の直線59Uにおける挿入幅WLが2.2μmのときのWUに対するQ値、図4(b)は、図3の直線59Lにおける挿入幅WUが2.8μmのときのWLに対するQ値を示す図である。Qaは反共振周波数におけるQ値である。
図3から図4(b)に示すように、Q値は挿入幅WLおよびWUに対し周期的に変動する。変動の周期はほぼλ/2、すなわち約1.816μmである。挿入幅WUが最も小さいQ値のピークは、WUが約2.7μm(約0.74λ)のときである。挿入幅WLが最も小さいQ値のピークは、WLが約2.5μm(約0.69λ)のときである。このように、挿入幅WLおよびWUが約0.7λのとき、Q値の最初のピークとなる。
図5は、シミュレーション1における挿入幅WUおよびWLに対す電気機械結合係数kを示す図である。図6(a)および図6(b)は、シミュレーション1におけるそれぞれ挿入幅WUおよびWLに対する電気機械結合係数kを示す図である。図6(a)は、図5の直線59Uにおける挿入幅WLが2.2μmのときのWUに対する電気機械結合係数k、図6(b)は、図5の直線59Lにおける挿入幅WUが2.8μmのときのWLに対する電気機械結合係数kを示す図である。
図5から図6(b)に示すように、電気機械結合係数kは挿入幅WLおよびWUが大きくなると一様に小さくなる。Q値のような挿入幅に対する変動はほとんと観察されない。
シミュレーション1のように、挿入幅WLおよびWUをQ値がピークとなるように選択すれば、Q値を低下させずに、電気機械結合係数kを所望の値とすることができる。
図7(a)および図7(b)は、実施例1における直列共振器および並列共振器の共振領域と挿入膜の平面図である。図7(a)に示すように、直列共振器S1からS4では、挿入幅WU1とWL1とは略等しい。図7(b)に示すように、並列共振器P1からP4では、挿入幅WU2とWL2とは略等しい。
[シミュレーション2]
直列共振器S1からS4の挿入幅WU1およびWL1と並列共振器P1からP4の挿入幅WU2およびWL2とを異ならせて、フィルタの通過特性をシミュレーションした。
シミュレーション条件は以下である。
実施例1
直列共振器S1からS4の挿入幅WU1およびWL1:2.8μm
並列共振器P1からP4の挿入幅WU2およびWL2:6.5μm
比較例1
直列共振器S1からS4の挿入幅WU1およびWL1:2.8μm
並列共振器P1からP4の挿入幅WU2およびWL2:2.8μm
その他の条件はシミュレーション1と同じである。
実施例1では直列共振器S1からS4と並列共振器P1からP4との挿入幅の差は3.7μmでありほぼλである。比較例1では直列共振器S1からS4と並列共振器P1からP4との挿入幅は同じである。
実施例1および比較例1における直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP4の共振周波数におけるQ値Qr、反共振周波数におけるQ値Qaおよび電気機械結合係数kを示す図である。
Figure 0007302981000001
表1に示すように、実施例1では、並列共振器P1からP4の電気機械結合係数kを比較例1より低くでき、かつQrおよびQaを比較例1と同程度にできる。
図8(a)は、シミュレーション2におけるフィルタの通過特性を示す図、図8(b)は、通過帯域における通過特性の拡大図である。図8(a)に示すように、実施例1と比較例1とでは通過特性および減衰特性はほぼ同程度である。図8(b)に示すように、実施例1では比較例1に比べ通過帯域における損失が小さい。さらに、実施例1の通過帯域の低周波数端は比較例1より低い。
シミュレーション2のように、並列共振器P1からP4の電気機械結合係数kを低くすることで通過帯域の他周波数端を低くし、広帯域化できる。
ラダー型フィルタでは、直列共振器S1からS4の電気機械結合係数kを大きくすると、通過帯域の高周波数端の急峻性が高くなり、小さくすると、通過帯域の高周波数端が広帯域化できる。並列共振器P1からP4の電気機械結合係数kを大きくすると、通過帯域の低周波数端の急峻性が高くなり、小さくすると、通過帯域の低周波数端が広帯域化できる。直列共振器S1からS4の電気機械結合係数kを大きくすると、通過帯域の高周波数端の急峻性が高くなり、小さくすると、通過帯域の高周波数端が広帯域化できる。
実施例1によれば、直列共振器S1からS4(1または複数の第1圧電薄膜共振器)では、挿入膜28(第1挿入膜)は、中央領域54(第1中央領域)を囲む少なくとも一部に共振領域50(第1共振領域)の外周51(第1外周)に沿って下部電極12(第1下部電極)と上部電極16(第1上部電極)との間の圧電膜14(第1圧電膜)に挿入されている。共振領域50内における外周51の接線に直交する方向の挿入膜28の挿入幅(第1幅)はWL1およびWU1である。
並列共振器P1からP4(1または複数の第2圧電薄膜共振器)では、挿入膜28(第2挿入膜)は、中央領域54(第2中央領域)を囲む少なくとも一部に共振領域50(第2共振領域)の外周51(第2外周)に沿って下部電極12(第2下部電極)と上部電極16(第2上部電極)との間の圧電膜14(第2圧電膜)に挿入されている。共振領域50内における外周51の接線に直交する方向の挿入膜28の挿入幅(第2幅)はWL2およびWU2である。並列共振器P1からP4の挿入幅WL2およびWU2は、直列共振器S1からS4の全ての挿入幅WL1およびWU1と異なる。これにより、フィルタ特性を所望の特性とすることができる。
直列共振器S1からS4の各々の挿入幅WU1およびWL1は略一定であり、複数の直列共振器S1からS4の各々の互いの挿入幅WU1およびWL1は略等しい。並列共振器P1からP4の各々の挿入幅WU2およびWL2は略一定であり、複数の並列共振器P1からP4の各々の互いの挿入幅WU2およびWL2は略等しい。これにより、直列共振器S1からS4をほぼ同じ特性とし、並列共振器P1からP4をほぼ同じ特性とすることができる。なお、挿入幅が略一定であり、略等しいとは、例えば±λ/16の範囲のばらつきを許容し、±λ/32の範囲のばらつきを許容する。
直列共振器S1からS4の挿入幅WU1およびWL1をW1とし、並列共振器P1からP4の挿入幅WU2およびWL2をW2とする。Nを自然数としたとき、N×λ/2-λ/8<|W1-W2|<N×λ/2+λ/8とする。これにより、W1とW2とはほぼλ/2×Nとなる。よって、直列共振器S1からS4と並列共振器P1からP4とのQ値を同程度とし、直列共振器S1からS4と並列共振器P1からP4との電気機械結合係数kを異ならせることができる。これにより、フィルタ特性を所望の特性とすることができる。
共振領域50に主に励振される厚み縦振動モードの弾性波の波長は、積層膜18の厚さ×2である。積層膜18の厚さはほとんど下部電極12、圧電膜14および上部電極16の厚さの合計である。弾性波の波長λを直列共振器S1からS4と並列共振器P1からP4との弾性波の波長の平均とする。このとき、λは、直列共振器S1からS4の共振領域50における下部電極12、圧電膜14および上部電極16の合計の厚さと並列共振器P1からP4の共振領域50における下部電極12、圧電膜14および上部電極16の合計の厚さとの和となる。
W1-W2としては、N×λ/2-λ/16<|W1-W2|<N×λ/2+λ/16がより好ましい。
図3から図4(b)のように、最初のQ値のピークはほぼ0.7λである、そこで、0.7λ+N×λ/2-λ/8<W1<0.7λ+N×λ/2+λ/8かつ0.7λ+N×λ/2-λ/8<W2<0.7λ+N×λ/2+λ/8とする。これにより、直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP4のQ値を高くできる。よって、通過帯域の損失を抑制できる。0.7λ+N×λ/2-λ/16<W1<0.7λ+N×λ/2+λ/16かつ0.7λ+N×λ/2-λ/16<W2<0.7λ+N×λ/2+λ/16が好ましい。
[実施例1の変形例1]
図9(a)および図9(b)は、実施例1の変形例1における直列共振器および並列共振器の共振領域と挿入膜の平面図である。図9(a)に示すように、直列共振器S1からS4では、挿入幅WU1はWL1より広い。図9(b)に示すように、並列共振器P1からP4では、挿入幅WU2はWL2より広い。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
一例として、WU1=3.2μm、WL1=2.6μm、WU2=6.8μm、WL2=6.2μmである。WU2-WU1=WL2-WL1=3.6μmであり、ほぼλである。図3から図4(b)のように、領域56Uと56LとでQ値がピークとなる導入幅が少しずれることがある。これは、領域56Lと56Uとで共振領域50の外周51の構造が異なるためである。例えば図2(a)から図2(d)では、領域56Uでは圧電膜14は共振領域50の外周に端面を有していないが、領域56Lでは圧電膜14は共振領域50の外周付近に端面を有している。
このような場合、直列共振器S1からS4の各々におけるWU1(第1上部電極引き出し領域における第1幅)とWL1(第1下部電極引き出し領域における第1幅)とを異ならせ、並列共振器P1からP4の各々におけるWU2(第2上部電極引き出し領域における第2幅)とWL2(第2下部電極引き出し領域における第2幅)とを異ならせる。直列共振器S1からS4の互いのWU1は略等しく、WL1は略等しいことが好ましく、並列共振器P1からP4の互いのWU2は略等しく、WL2は略等しいことが好ましい。
また、N×λ/2-λ/8<|WL1-WL2|<N×λ/2+λ/8かつN×λ/2-λ/8<|WU1-WU2|<N×λ/2+λ/8とする。直列共振器S1からS4と並列共振器P1からP4とのQ値を同程度とし、直列共振器S1からS4と並列共振器P1からP4との電気機械結合係数kを異ならせることができる。N×λ/2-λ/16<|WL1-WL2|<N×λ/2+λ/16かつN×λ/2-λ/16<|WU1-WU2|<N×λ/2+λ/16が好ましい。
同一基板10上に直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP4を形成すると、直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP4の圧電膜14は同じ圧電材料からなり、圧電膜14の厚さは製造誤差程度に略等しくなる。また、直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP4の挿入膜28は同じ材料からなり、挿入膜28の厚さは製造誤差程度に略等しくなる。これにより、WU1とWU2との差をほぼλ/2×Nとし、WL1とWL2との差をほぼλ/2×Nとすることで、直列共振器S1からS4と並列共振器P1からP4とのQ値をほぼ同程度とすることができる。
また、直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP4の下部電極12は同じ金属材料からなり、下部電極12の厚さは製造誤差程度に略等しくなる。直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP4の上部電極16は同じ金属材料からなり、上部電極16の厚さは製造誤差程度に略等しくなる。
図10(a)から図11(d)は、実施例1の変形例2から9における圧電薄膜共振器を示す断面図である。図10(a)に示すように、実施例1の変形例2では、挿入膜28は圧電膜14と上部電極16との間に設けられている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。図10(b)のように、実施例1の変形例3では、挿入膜28は領域56Uに設けられ、領域56Lに設けられていない。その他の構成は実施例1の変形例2と同じであり説明を省略する。
図10(c)に示すように、実施例1の変形例4では、挿入膜28は下部電極12と圧電膜14との間に設けられている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。図10(d)のように、実施例1の変形例5では、挿入膜28は領域56Uに設けられ、領域56Lに設けられていない。その他の構成は実施例1の変形例4と同じであり説明を省略する。
図11(a)に示すように、実施例1の変形例6では、挿入膜28は下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとの間および圧電膜14と上部電極16との間に2層設けられている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。図11(b)のように、実施例1の変形例7では、挿入膜28は領域56Uに設けられ、領域56Lに設けられていない。その他の構成は実施例1の変形例6と同じであり説明を省略する。
図11(c)に示すように、実施例1の変形例8では、挿入膜28は下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとの間および下部電極12と圧電膜14との間に2層設けられている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。図11(d)のように、実施例1の変形例9では、挿入膜28は領域56Uに設けられ、領域56Lに設けられていない。その他の構成は実施例1の変形例8と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例2および5のように、1または複数の挿入膜28は下部電極12と上部電極16との間のいずれかに設けられていればよい。
実施例1の変形例3、5、7および9のように、挿入膜28は、中央領域54を囲む少なくとも一部に設けられていればよい。領域56Lに挿入膜28が設けられていない場合、圧電膜14の端面は上部電極16の端面より内側に位置することが好ましい。これにより、Q値を向上できる。
実施例1の変形例6から9のように、挿入膜28は圧電膜14の厚さ方向に2層以上設けられていてもよい。挿入膜28が2層以上設けられている場合、全ての挿入膜28が実施例1およびその変形例1で示した挿入幅の関係を有することが好ましいが、少なくとも1層が実施例1およびその変形例1で示した挿入幅の関係を有していればよい。
[実施例1の変形例10]
図12(a)は、実施例1の変形例10における圧電薄膜共振器の断面図である。図12(a)に示すように、基板10の上面に窪みが形成されている。下部電極12は、基板10上に平坦に形成されている。これにより、空隙30が、基板10の窪みに形成されている。空隙30は共振領域50を含むように形成されている。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。空隙30は、基板10を貫通するように形成されていてもよい。なお、下部電極12の下面に絶縁膜が接して形成されていてもよい。すなわち、空隙30は、基板10と下部電極12に接する絶縁膜との間に形成されていてもよい。絶縁膜としては、例えば窒化アルミニウム膜を用いることができる。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
[実施例1の変形例11]
図12(b)は、実施例1の変形例11における圧電薄膜共振器の断面図である。図12(b)に示すように、共振領域50の下部電極12下に音響反射膜31が形成されている。音響反射膜31は、音響インピーダンスの低い膜30aと音響インピーダンスの高い膜30bとが交互に設けられている。膜30aおよび30bの膜厚は例えばそれぞれほぼλ/4(λは弾性波の波長)である。膜30aと膜30bの積層数は任意に設定できる。音響反射膜31は、音響特性の異なる少なくとも2種類の層が間隔をあけて積層されていればよい。また、基板10が音響反射膜31の音響特性の異なる少なくとも2種類の層のうちの1層であってもよい。例えば、音響反射膜31は、基板10中に音響インピーダンスの異なる膜が一層設けられている構成でもよい。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1およびその変形例1から9において、実施例1の変形例10と同様に空隙30を形成してもよく、実施例1の変形例11と同様に空隙30の代わりに音響反射膜31を形成してもよい。
実施例1およびその変形例1から10のように、圧電薄膜共振器は、共振領域50において空隙30が基板10と下部電極12との間に形成されているFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)でもよい。また、実施例1の変形例11のように、圧電薄膜共振器は、共振領域50において下部電極12下に圧電膜14を伝搬する弾性波を反射する音響反射膜31を備えるSMR(Solidly Mounted Resonator)でもよい。共振領域50を含む音響反射層は、空隙30または音響反射膜31を含めばよい。
共振領域50が楕円形状の例を説明したが、他の形状でもよい。例えば、共振領域50は、四角形または五角形等の多角形でもよい。
実施例2は、実施例1およびその変形例のフィルタを用いたデュプレクサの例である。図13は、実施例2に係るデュプレクサの回路図である。図13に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ40が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ42が接続されている。送信フィルタ40は、送信端子Txから入力された信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ42は、共通端子Antから入力された信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ40および受信フィルタ42の少なくとも一方を実施例1およびその変形例のフィルタとすることができる。
マルチプレクサとしてデュプレクサを例に説明したがトリプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 基板
12 下部電極
14 圧電膜
14a 下部圧電膜
14b 上部圧電膜
16 上部電極
24 周波数調整膜
28 挿入膜
30 空隙
31 音響反射膜
40 送信フィルタ
42 受信フィルタ
50 共振領域
52 外周領域
54 中央領域
56U、56L 領域

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられ、入力端子と出力端子との間に直列に接続され、第1下部電極と、前記第1下部電極上に設けられた第1圧電膜と、前記第1圧電膜上に設けられた第1上部電極と、前記第1圧電膜を挟み前記第1下部電極と前記第1上部電極とが対向する第1共振領域の第1中央領域に設けられておらず前記第1中央領域を囲む少なくとも一部に前記第1共振領域の第1外周を含み前記第1外周に沿って前記第1下部電極と前記第1上部電極との間に設けられた第1挿入膜と、を備え、前記第1共振領域内における前記第1外周の接線に直交する方向の前記第1挿入膜の第1幅を有する複数の第1圧電薄膜共振器と、
    前記基板上に設けられ、前記入力端子と前記出力端子との間に並列に接続され、第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2圧電膜と、前記第2圧電膜上に設けられた第2上部電極と、前記第2圧電膜を挟み前記第2下部電極と前記第2上部電極とが対向する第2共振領域の第2中央領域に設けられておらず前記第2中央領域を囲む少なくとも一部に前記第2共振領域の第2外周を含み前記第2外周に沿って前記第2下部電極と前記第2上部電極との間に設けられた第2挿入膜と、を備え、前記第2共振領域内における前記第2外周の接線に直交する方向の前記第2挿入膜の第2幅を有する複数の第2圧電薄膜共振器と、
    を備え、
    前記複数の第1圧電薄膜共振器の各々の前記第1幅は略一定であり、前記複数の第1圧電薄膜共振器の互いの前記第1幅は略等しく、
    前記複数の第2圧電薄膜共振器の各々の前記第2幅は略一定であり、前記複数の第2圧電薄膜共振器の互いの前記第2幅は略等しく、
    前記第1幅と前記第2幅とは異なるフィルタ。
  2. 前記第1幅をW1とし、前記第2幅をW2とし、前記第1共振領域における前記第1下部電極、前記第1圧電膜および前記第1上部電極の合計の厚さと、前記第2共振領域における前記第2下部電極、前記第2圧電膜および前記第2上部電極の合計の厚さと、の和をλとし、任意の自然数をNとしたとき、
    N×λ/2-λ/8<|W1-W2|<N×λ/2+λ/8
    である請求項に記載のフィルタ。
  3. 0.7λ+N×λ/2-λ/8<W1<0.7λ+N×λ/2+λ/8かつ
    0.7λ+N×λ/2-λ/8<W2<0.7λ+N×λ/2+λ/8
    である請求項に記載のフィルタ。
  4. 前記複数の第1圧電薄膜共振器および前記複数の第2圧電薄膜共振器のQ値は互いに同じである請求項3に記載のフィルタ。
  5. 基板と、
    前記基板上に設けられ、入力端子と出力端子との間に直列に接続され、第1下部電極と、前記第1下部電極上に設けられた第1圧電膜と、前記第1圧電膜上に設けられた第1上部電極と、前記第1圧電膜を挟み前記第1下部電極と前記第1上部電極とが対向する第1共振領域の第1中央領域に設けられておらず前記第1中央領域を囲む少なくとも一部に前記第1共振領域の第1外周を含み前記第1外周に沿って前記第1下部電極と前記第1上部電極との間に設けられた第1挿入膜と、を備え、前記第1共振領域内における前記第1外周の接線に直交する方向の前記第1挿入膜の第1幅を有する複数の第1圧電薄膜共振器と、
    前記基板上に設けられ、前記入力端子と前記出力端子との間に並列に接続され、第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2圧電膜と、前記第2圧電膜上に設けられた第2上部電極と、前記第2圧電膜を挟み前記第2下部電極と前記第2上部電極とが対向する第2共振領域の第2中央領域に設けられておらず前記第2中央領域を囲む少なくとも一部に前記第2共振領域の第2外周を含み前記第2外周に沿って前記第2下部電極と前記第2上部電極との間に設けられた第2挿入膜と、を備え、前記第2共振領域内における前記第2外周の接線に直交する方向の前記第2挿入膜の第2幅を有する複数の第2圧電薄膜共振器と、
    を備え、
    前記複数の第1圧電薄膜共振器における前記第1下部電極が前記第1共振領域から引き出される第1下部電極引き出し領域における前記第1幅をWL1とし、前記第1上部電極が前記第1共振領域から引き出される第1上部電極引き出し領域における前記第1幅をWU1とし、
    前記複数の第2圧電薄膜共振器における前記第2下部電極が前記第2共振領域から引き出される第2下部電極引き出し領域における前記第2幅をWL2とし、前記第2上部電極が前記第2共振領域から引き出される第2上部電極引き出し領域における前記第2幅をWU2としたとき、
    前記複数の第1圧電薄膜共振器の各々の前記WL1は略一定であり、前記複数の第1圧電薄膜共振器の互いの前記WL1は略等しく、
    前記複数の第1圧電薄膜共振器の各々の前記WU1は略一定であり、前記複数の第1圧電薄膜共振器の互いの前記WU1は略等しく、
    前記複数の第2圧電薄膜共振器の各々の前記WL2は略一定であり、前記複数の第2圧電薄膜共振器の互いの前記WL2は略等しく、
    前記複数の第2圧電薄膜共振器の各々の前記WU2は略一定であり、前記複数の第2圧電薄膜共振器の互いの前記WU2は略等しく、
    前記WL1と前記WU1とは異なり、前記WL2と前記WU2とは異なり、
    前記WL1と前記WL2とは異なり、前記WU1と前記WU2とは異なるフィルタ
  6. 基板と、
    前記基板上に設けられ、入力端子と出力端子との間に直列に接続され、第1下部電極と、前記第1下部電極上に設けられた第1圧電膜と、前記第1圧電膜上に設けられた第1上部電極と、前記第1圧電膜を挟み前記第1下部電極と前記第1上部電極とが対向する第1共振領域の第1中央領域に設けられておらず前記第1中央領域を囲む少なくとも一部に前記第1共振領域の第1外周を含み前記第1外周に沿って前記第1下部電極と前記第1上部電極との間に設けられた第1挿入膜と、を備え、前記第1共振領域内における前記第1外周の接線に直交する方向の前記第1挿入膜の第1幅を有する第1圧電薄膜共振器と、
    前記基板上に設けられ、前記入力端子と前記出力端子との間に並列に接続され、第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2圧電膜と、前記第2圧電膜上に設けられた第2上部電極と、前記第2圧電膜を挟み前記第2下部電極と前記第2上部電極とが対向する第2共振領域の第2中央領域に設けられておらず前記第2中央領域を囲む少なくとも一部に前記第2共振領域の第2外周を含み前記第2外周に沿って前記第2下部電極と前記第2上部電極との間に設けられた第2挿入膜と、を備え、前記第2共振領域内における前記第2外周の接線に直交する方向の前記第2挿入膜の第2幅を有し、前記第2幅は前記第1圧電薄膜共振器の第1幅と異なる第2圧電薄膜共振器と、
    を備え、
    前記第1圧電薄膜共振器における前記第1下部電極が前記第1共振領域から引き出される第1下部電極引き出し領域における前記第1幅と、前記第1上部電極が前記第1共振領域から引き出される第1上部電極引き出し領域における前記第1幅と、は異なり、
    前記第2圧電薄膜共振器における前記第2下部電極が前記第2共振領域から引き出される第2下部電極引き出し領域における前記第2幅と、前記第2上部電極が前記第2共振領域から引き出される第2上部電極引き出し領域における前記第2幅と、は異なり、
    前記第1下部電極引き出し領域における前記第1幅をWL1とし、前記第1上部電極引き出し領域における前記第1幅をWU1とし、前記第2下部電極引き出し領域における前記第2幅をWL2とし、前記第2上部電極引き出し領域における前記第2幅をWU2とし、前記第1共振領域における前記第1下部電極、前記第1圧電膜および前記第1上部電極の合計の厚さと、前記第2共振領域における前記第2下部電極、前記第2圧電膜および前記第2上部電極の合計の厚さと、の和をλとし、任意の自然数をNとしたとき、
    N×λ/2-λ/8<|WL1-WL2|<N×λ/2+λ/8かつ
    N×λ/2-λ/8<|WU1-WU2|<N×λ/2+λ/8
    であるフィルタ
  7. 前記第1挿入膜および前記第2挿入膜の音響インピーダンスは前記第1圧電膜および前記第2圧電膜の音響インピーダンスより小さい請求項1から6のいずれか一項に記載のフィルタ。
  8. 前記第1圧電膜と前記第2圧電膜とは同じ圧電材料からなり、前記第1圧電膜の厚さと前記第2圧電膜の厚さとは略等しく、前記第1挿入膜と前記第2挿入膜とは同じ材料からなり、前記第1挿入膜の厚さと前記第2挿入膜の厚さとは略等しい請求項および6のいずれか一項に記載のフィルタ。
  9. 請求項1からのいずれか一項に記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
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