以下、図面を参照ながら本発明の第1~第4実施形態を説明する。第1、第3及び第4実施形態の説明では、「矩形素子」の用語を主に用い、第2実施形態及びその他の実施形態の説明では、「素子」及び「非矩形素子」の用語が出現するが、各実施形態の特徴を明確にするための説明の便宜上の用語の使い分けに過ぎない。「矩形素子」と「非矩形素子」の全体を含む上位概念としての包括的表現が「素子」であり、この「素子」の用語が本明細書の冒頭で述べた「微少素子」に対応する。図面の記載においては、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。また、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
(LEDディスプレイ)
本発明の第1~第4実施形態に係る整列トレイ、整列装置、及び整列方法等を説明する前に、これらの整列トレイ、整列装置、及び整列方法等を用いた高精細集積技術(マストランスファー技術)によって製造されるLEDディスプレイの概略を、図1A~1Dを用いて説明する。なお、図1A~1Dに示すLEDディスプレイは、第1~第4実施形態に係る整列トレイ、整列装置、及び整列方法等に関する技術的思想を理解しやすくさせる目的での例示であり、第1~第4実施形態に係る整列トレイ、整列装置、及び整列方法の適用範囲を図1A~1Dに示すLEDディスプレイに限定するものではない。第1~第4実施形態に係るLEDディスプレイは、図1Bに示すように、一辺が30μm以下の赤色LEDチップXqpR、緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBの3つのチップで1画素を構成する自己発光ディスプレイである。3つのチップに代えて黒色チップを加えて4つのチップで1画素を構成してもよい。
第1~第4実施形態に係るLEDディスプレイでは、図1Aに示すように、画素アレイ部(X11R,X11G,X11B~X1pR,X1pG,X1pB;X21R,X21G,X21B~X2pR,X2pG,X2pB;……;Xq1R,Xq1G,Xq1B~XqpR,XqpG,XqpB)と周辺回路部(91,92)を有するLEDディスプレイを例示する。図1Aに示すように、画素アレイ部(X11R,X11G,X11B~X1pR,X1pG,X1pB;X21R,X21G,X21B~X2pR,X2pG,X2pB;……;Xq1R,Xq1G,Xq1B~XqpR,XqpG,XqpB)等は、図1C及び1Dに示す実装基板7上に、位置合わせ精度を1μm以下で、赤色LEDチップXqpR、緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBを整列配置して構成される。
即ち、第1~第4実施形態に係るLEDディスプレイは、画素アレイ部(X11R,X11G,X11B~X1pR,X1pG,X1pB;X21R,X21G,X21B~X2pR,X2pG,X2pB;……;Xq1R,Xq1G,Xq1B~XqpR,XqpG,XqpB)には、2次元マトリクス状に、1万個~2万個以上の多数の画素(XqpR,XqpG,XqpB)(p=1~m,q=1~n;m,nはそれぞれ2以上の正の整数である。)が配列されており、方形状のディスプレイ領域93を構成している。ただし、図1Aに示すマトリクスは例示であり行と列の方向を入れ替えてもよい。第1~第4実施形態に係る整列トレイ、整列装置、及び整列方法等は、実装基板7上に、LEDディスプレイとして必要な、赤色LEDチップXqpR、緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBを、1万個~2万個以上整列配置する高精細集積技術として必要な技術である。図1Aでは、行方向に並んだ赤色LEDチップXqpR、緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBによって1画素を構成しているが例示に過ぎない。例えば、列方向に並んだ3つのチップで1画素を構成してもよく、3つのチップが三角形の頂点にそれぞれ位置するような配置でも構わない。
そして、この画素アレイ部(X11R,X11G,X11B~X1pR,X1pG,X1pB;X21R,X21G,X21B~X2pR,X2pG,X2pB;……;Xq1R,Xq1G,Xq1B~XqpR,XqpG,XqpB)の上辺部には水平ドライブ回路91が、それぞれ画素行X11R,X11G,X11B~X1pR,X1pG,X1pB;X21R,X21G,X21B~X2pR,X2pG,X2pB;……;Xq1R,Xq1G,Xq1B~XqpR,XqpG,XqpB方向に沿って設けられている。一方、画素アレイ部の左辺部には画素列X11R,X21R~Xq1R;X11G,X21G~Xq1G;X11B,X21B~Xq1B;……;X1pR~XqpR;X1pG~XqpG;X1pB~XqpB方向に沿って垂直ドライブ回路92が設けられている。
水平ドライブ回路91からは図1Aに示すように、赤色用列信号線A01Rが画素列X11R,X21R~Xq1Rに沿って設けられ、緑色用列信号線A01Gが画素列X11G,X21G~Xq1Gに沿って設けられ、青色用列信号線A01Bが画素列X11B,X21B~Xq1Bに沿って設けられている。更に、水平ドライブ回路91からは赤色用列信号線A0pRが画素列X1pR~XqpRに沿って設けられ、緑色用列信号線A0pGが画素列X1pG~XqpGに沿って設けられ、青色用列信号線A0pBが画素列X1pB~XqpBに沿って設けられている。一方、垂直ドライブ回路92からは図1Aに示すように、行信号線C01が画素行X11R,X11G,X11B~X1pR,X1pG,X1pBに沿って設けられ、行信号線C02が画素行X21R,X21G,X21B~X2pR,X2pG,X2pBに沿って設けられている。更に垂直ドライブ回路92からは、行信号線C0qが画素行Xq1R,Xq1G,Xq1B~XqpR,XqpG,XqpBに沿って設けられている。
水平ドライブ回路91、垂直ドライブ回路92によって画素アレイ部内の画素(XqpR,XqpG,XqpB)の駆動電圧が順次走査され、各画素(XqpR,XqpG,XqpB)におけるそれぞれの赤色LEDチップXqpR、緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBの発光強度の制御が実行される。図1Bに示すように、水平ドライブ回路91から出力される赤色用列信号線A0pRに赤色の微少素子XqpRが、列中継配線A1pRを介して接続されている。又、水平ドライブ回路91から出力される緑色用列信号線A0pGに緑色の微少素子XqpGが、列中継配線A1pGを介して接続されている。更に、水平ドライブ回路91から出力される青色用列信号線A0pBに青色の微少素子XqpBが、列中継配線A1pBを介して接続されている。
一方、垂直ドライブ回路92から出力される行信号線C0qには赤色の微少素子XqpRが、行中継配線C1qRを介して接続されている。更に、行信号線C0qには緑色の微少素子XqpGが行中継配線C1qGを介して接続され、青色の微少素子XqpBが行中継配線C1qBを介して接続されている。図1A及び1Bでは、赤色用列信号線A0pR、緑色用列信号線A0pG及び青色用列信号線A0pBのそれぞれには、赤色LEDチップXqpR、緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBを駆動するための陽極電圧が供給される。一方、行信号線C0qには赤色LEDチップXqpR、緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBを駆動するための陰極電圧が供給される場合を例示している。しかし、赤色用列信号線A0pR、緑色用列信号線A0pG及び青色用列信号線A0pBのそれぞれには、微少素子XqpR,XqpG,XqpBを駆動するための陰極電圧が供給され、行信号線C0qに微少素子XqpR,XqpG,XqpBを駆動するための陽極電圧が供給される場合であっても構わない(以下において、赤色LEDチップXqpR、緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBを、「微少素子XqpR,XqpG,XqpB」と略記する。)。
即ち、第1~第4実施形態に係るLEDディスプレイでは、各画素行X11R,X11G,X11B~X1pR,X1pG,X1pB;X21R,X21G,X21B~X2pR,X2pG,X2pB;……;Xq1R,Xq1G,Xq1B~XqpR,XqpG,XqpBのそれぞれに行信号線C01,C02,………,C0qから陰極電圧を供給し、各画素列X11R,X21R~Xq1R;X11G,X21G~Xq1G;X11B,X21B~Xq1B;……;X1pR~XqpR;X1pG~XqpG;X1pB~XqpBのそれぞれに、列信号線A01R,A01G,A01B,………,A0pR,A0pG,A0pBから陽極電圧を供給することにより、各画素(XqpR,XqpG,XqpB)のそれぞれに16階調等の多値の電圧が個別に供給され、発光強度を制御できるように構成されている。
図1Cは、図1Bに示した画素(XqpR,XqpG,XqpB)に着目した第1~第4実施形態に係るLEDディスプレイの実装構造の概略を説明する模式的な断面図であるが例示に過ぎないことに留意されたい。実装基板7はベース基板71と、ベース基板71の上に設けられたアンダーコート層72と、アンダーコート層72の上に設けられた層間絶縁膜73、層間絶縁膜73の上に設けられたパッシベーション膜74を主なる構成要素としている。ベース基板71には、例えば石英、無アルカリガラス、ポリイミド等の樹脂が採用可能である。アンダーコート層72、層間絶縁膜73及びパッシベーション膜74はシリコン酸化膜(SiO2膜)等の絶縁体(誘電体)の薄膜が好適に使用できる。なお、パッシベーション膜74はポリイミド等の樹脂膜であっても構わない。図1Cに示すように、アンダーコート層72の上には等間隔で、赤色用列信号線A0pR、緑色用列信号線A0pG及び青色用列信号線A0pが、紙面に垂直方向に設けられている。層間絶縁膜73は、赤色用列信号線A0pR、緑色用列信号線A0pG及び青色用列信号線A0pを被覆するように、アンダーコート層72の上に積層されている。
図1Dは、図1Cに示した微少素子XqpRに着目した拡大断面図であるが、赤色用列信号線A0pR上の層間絶縁膜73の開口部を介して、列中継配線A1pRが赤色用列信号線A0pRに接続され、列中継配線A1pRが層間絶縁膜73の上を走行している。同様に、緑色用列信号線A0pG上の層間絶縁膜73の開口部を介して、列中継配線A1pGが赤色用列信号線A0pGに接続され、列中継配線A1pGが層間絶縁膜73の上を走行している。更に、図1Bから分かるように、断面図上に現れない箇所で行信号線C0qに接続された行中継配線C1qRが、層間絶縁膜73の上を紙面」に垂直方向に走行している。
列中継配線A1pRには、陽極用バンプ83RAが配置され、陽極用バンプ83RAに微少素子XqpRの陽極電極82RAがバンプ接続されている。行中継配線C1qRには、陰極用バンプ83RCが配置され、陰極用バンプ83RCに微少素子XqpRの陰極電極82RCがバンプ接続されている。列中継配線A1pGには、陽極用バンプ83RGが配置され、陽極用バンプ83RGに同様に、微少素子XqpGの陽極電極82RGがバンプ接続されている。既に述べたとおり、図1Cに示す実装基板7の構造は例示に過ぎずない。例えば、陽極用バンプ83RA、陰極用バンプ83RC及び陽極用バンプ83Rさのそれぞれは、実装基板7を貫通するスルーホール等を介して、実装基板7の裏面側に配置された列中継配線A1pR、行中継配線C1qR及び列中継配線A1pGには等に電気的に接続される構造であっても構わない。
赤色用列信号線A0pR、緑色用列信号線A0pG及び青色用列信号線A0pBのそれぞれには増幅用のトランジスタ等の画素内回路を、独立して設けることも可能である。画素内回路は、実装基板7の裏面側に配置してもよい。更に各画素(XqpR,XqpG,XqpB)毎に色混合回路を設けて、各画素毎に個別の色を呈するような構成にしてもよい。これらの画素内回路や色混合回路は、実装基板7の下にバンプ接続等により電気的に接続された別の半導体チップを用いて積層構造を実現してもよい。
いずれにせよ図1Dに示した陽極用バンプ83RAのパターンと陽極電極82RA、陰極用バンプ83RCのパターンと陰極電極82RC、陽極用バンプ83RGのパターンと陽極電極82RG等は、それぞれ、1μm以下の合わせ精度で互いに信頼性の高いバンプ接続される必要がある。このため、以下に説明する第1~第4実施形態に係る整列トレイ、整列装置、及び整列方法等が、1万個~2万個以上の微少素子XqpR,XqpG,XqpBを、高精度ピッチで一括整列配置する、信頼性の高い高精細集積技術として用いられる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る整列装置10は、1~2万個以上の微小な矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを(以下において、微小な矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを単に「矩形素子XqpR,XqpG,XqpB」と略記する。)、高精度ピッチで高精細一括整列させた後に、実装基板7にハイブリッド集積化する高精細集積技術に関する。この略記が定義する「矩形素子」は、互いに平行な主面が長方形若しくは正方形である立体形状を有する微少チップを意味し、直方体及び立方体を含む概念である。「主面」とは微少チップの厚さを定義する4つの側面よりも面積の大きな2つの面の意である。重要なことは矩形素子の4つの側面の内、互いに隣接する側面が直角に交わっている形状であることである。
第1実施形態に係る整列装置10は、図2に示すように、大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの高精細一括整列に用いる整列トレイ20aと、粗整列された大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを整列トレイ20aに一括搬送するための第1搬送ユニット30と、高精細一括整列後の大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを整列トレイ20aから一括搬送するための第2搬送ユニット40と、整列トレイ20aを駆動して大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを高精度ピッチで高精細一括整列させる駆動ユニット50と、第1搬送ユニット30及び第2搬送ユニット40及び駆動ユニットの動作を制御する制御ユニット60を備える。
整列トレイ20aは、図3A及び図3Bに示すように、隣接する側面が互いに直角に交わる4つの側面を有する複数の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを、それぞれ個別に収納する複数の凹部が、図1Cに例示したような、複数の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBが実装される箇所の実装基板7上のレイアウトに従って配列されている。なお、実装基板7上の周期的なマトリクスのレイアウトを想定しているので、図3A及び図3Bでは、マトリクス状の凹部の配列が例示されているに過ぎない。もし、実装基板7上に非周期的なレイアウトが構成される仕様であれば、その仕様の非周期的なレイアウトを投影したパターンで、整列トレイのそれぞれの凹部の配列が決定される。よって、本発明の整列トレイのそれぞれの凹部の配列パターンは、図3A及び図3Bに示す周期的なレイアウトに限定されるものではない。第1実施形態に係る整列装置10は、整列トレイ20aのそれぞれの凹部の4つの側壁面が構成する4つの内接稜の内1つを整合稜として選択している。更に、整列トレイ20aのそれぞれの凹部の整合稜に最も近い稜として、複数の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBのそれぞれ4つの側面が構成する4つの稜から、1つの稜を被整合移動部として選択する。駆動ユニット50は、複数の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBのそれぞれの被整合移動部を、整列トレイ20aのそれぞれの凹部の整合稜に向かって移動させる移動力を複数の矩形素子のそれぞれに作用させるように、整列トレイ20aを駆動する。
粗整列された大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを整列トレイ20aに一括搬送する第1搬送ユニット30、及び高精細一括整列後の大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを整列トレイ20aから一括搬送するための第2搬送ユニット40は、一つにまとめても構わない。第1搬送ユニット30及び第2搬送ユニット40を一つにまとめる場合には、実装装置の簡略化や装置コストの削減などの効果を実現でき、両者を別々にする場合には、大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを整列トレイ20aから一括搬送している最中に、別の大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを整列トレイ20aに一括搬送するといった並列処理動作によるスループットの向上といった効果を実現できる。
整列トレイ20aは、バラツキのあるピッチで粗く整列された大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを、2次元ピッチ精度を高めた高精細一括整列させるための部材であり、図3A及び図3Bに示すように、板状の本体と、本体の一面側にマトリクス状に配置され、大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBが配置される複数の凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1G,22m1Bとを備える。整列トレイ20aは、全体として焼き菓子のワッフルに似た形状となる。図3Aに示すように、整列トレイ20aは、4つの角部A,B,C,Dを有する四角形であるが、凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1G,22m1Bのサイズは、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBのサイズよりも大きいものとする。
例えば、凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1G,22m1Bのそれぞれのサイズは、平面パターンで見たときの凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1G,22m1Bのそれぞれの対角長が、対応する方向の矩形素子X(m-2)1R,………,X(m-1)1R,………,Xm1R,Xm1G,Xm1Bのそれぞれの対角長のよりもそれぞれ50%以上長く設計することが好ましい。より具体的には、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBのサイズが55μm(縦:X方向)×30μm(横:Y方向)×15μm(深さ)である場合、凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1G,22m1Bのサイズとしては、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBのサイズに対して、縦/横のサイズが2倍程度、深さがそれよりも大きくなるように、100μm(縦:X方向)×55μm(横:Y方向)×20μm(深さ)等の寸法に設定すればよい。
整列トレイ20aは、シリコン、セラミックス、金属などの加工が容易な剛体材料から構成される。図3Bに示すように、各凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1G,22m1Bは、角部A側に矩形の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの一稜が整合する整合コーナEを有する。「整合コーナE」はX軸方向に伸びる垂直側壁面と、Y軸方向に伸びる垂直側壁面とが直角に交わる4つの内接稜の内から1つ選択された「整合稜」である。以下においては、角部A側に各矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの一稜が整合する整合稜を含む整合コーナEを各凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1G,22m1Bが有する場合を例示的に説明するが、角部A側でなくても、角部B,C,Dのいずれかに矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの一稜(被整合移動部)が整合する直角の整合コーナEを有するように設計可能である。「被整合移動部」は、整合コーナEに設定された整合稜に最も近い稜として矩形素子XqpR,XqpG,XqpBのそれぞれの4つの側面が構成する4つの稜から選択される。
駆動ユニット50により整列トレイ20aを、凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1G,22m1Bのそれぞれの整合コーナEの位置が重力的な下方に位置するような配向で、上下左右に駆動することで、凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1G,22m1B内の大量の矩形素子XqpR,XqpG,Xqpの一角である被整合移動部が凹部22の整合コーナEの整合稜に整合して整列する。これにより、簡易に、1~2万個以上の大量の微小素子の実装基板7のパターンに対する位置合わせ、又は2次元ピッチ精度に優れた高精細一括整列が可能となる。第1実施形態に係る整列トレイ20aは、大量の微小素子の形状が一般的な方形であることを前提とするため、これに合わせて各凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1G,22m1Bの形状も方形となっている。
第1搬送ユニット30及び第2搬送ユニット40は、大量の微小素子の位置関係とピッチ精度を保って、これら大量の微小素子を一括搬送できるものであれば、特に、限定されることはない。例えば、静電力を使って1~2万個以上の大量の微小素子をピックアップすることが可能な静電ウェハ(静電チャック)を第1搬送ユニット30及び第2搬送ユニット40として用いることができる。また、図4Aに示す平面図及び図4AのIVB-IVB方向から見た断面図である図4Bに示すようなチャックを使用することも可能である。図4A及び図4Bのチャックはピッカーとも呼ばれるが、親水領域(保持部)38と疎水領域37を有する板状基板(本体)、例えば、プラスチック基板から構成され、静電チャックよりも簡易な構成である点に特徴を有する。親水領域38は、例えば、親水性を持つ二酸化シリコン(SiO2)膜を使って構成できる。SiO 2 膜以外にシリコン窒化膜(Si3N4)や、アルミニウムとアルミナの二層膜(Al/Al2O3)、タンタルと酸化タンタルの二層膜(Ta/Ta2O 5)等も使用可能である。疎水領域37は、単結晶シリコン(Si)、シリコーン樹脂、フッ化樹脂、ポリイミド樹脂、レジスト、ワックス、ベンゾシクロブテン(BCB)等で構成できる。
図4Bでは親水領域38が凹部39i(j-1),39ij,39i(j+1),39i(j+2)の内壁に設けられた例を示したが、親水領域38は疎水領域37と同一の平面レベルであっても構わない。疎水領域37を有する板状基板(本体)、例えば、プラスチック基板から構成され、静電チャックよりも簡易な構成である点に特徴を有する。図4Cには、図4Bに示した親水領域38に、液体Wi(j-1),Wij,Wi(j+1),Wi(j+2)を塗布し、液体Wi(j-1),Wij,Wi(j+1),Wi(j+2)によって微小素子を吸着/保持可能にした例を示している。第1実施形態に係るチャックでは、親水領域38の形状、位置、面積等は、整列トレイ20aの凹部22の配列に対応したピッチのマトリクスを構成するように、板状基板の一面側に配置され、それ以外は、疎水領域37となっている。
第1搬送ユニット30及び第2搬送ユニット40には、上述した静電チャックや液体を用いるチャックの他に、ピック&プレイス方式の高速ボンダ用搬送手段、スタンプ方式による搬送手段、レーザによる選択リフトオフ方式による搬送手段、ローラーを用いたロール搬送手段なども採用できる。第1搬送ユニット30にスタンプ方式を採用する場合は、ピックアップする矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの位置にポリジメチルシロキサン(PDMS)などの材料での凸部を作り、ウェハ全体から一括してピックアップする際に、間引く方法が適用できる。ピックアップした矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの位置は、ダイシング直後の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBのピッチの整数倍となる。従って、第1搬送ユニット30にスタンプ方式を採用して、大量のチップを整列トレイ20aの凹部22内に一括搬送する場合には、元の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBのピッチに対して数倍~数十倍のピッチとなるように間引いてピックアップして一括搬送すれば、整列トレイ20aの1つの凹部22に2つ以上のチップが入ることがないようにできる。
制御ユニット60は、第1搬送ユニット30及び第2搬送ユニット40及び駆動ユニットの動作を制御する。そのプログラムは、制御ユニット60内、又は整列装置10内の記憶ユニット(図示せず)に記憶されていてもよいし、整列装置10以外の別の装置や記憶媒体などに記憶されていてもよい。制御ユニット60は、整列装置10内に配置されているが、整列装置10外に設けてリモート制御することも可能である。
本発明の第1実施形態に係る整列方法は、ダイシングされた1~2万個以上の大量の微小素子を、実装基板7のパターンに対する合わせ精度1μm以下を可能にする高精度ピッチに高精細一括整列させることを目的とする。以下の工程断面図では、主に3つの矩形素子XqpR,XqpG,XqpBのみに着目した表現になっているが、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBが大量の微小素子を代表する微小素子であると簡略化して、第1実施形態に係る整列方法を説明する。例えばp=1~m,q=1~nとし、m=n=100とすれば、微小素子の総数は3万個になる。或いはm=n=1000とすれば、微小素子の総数は3百万個になる。なお、以下の説明で引用する工程断面図は、大きく分けると、図5A~図5Jに示す粗整列された大量の微小素子を整列トレイ20aに一括搬送する工程を示す一連の工程断面図と、図5K~図5Nに示す整列トレイ20aを駆動し、整列トレイ20a内の大量の微小素子の高精細一括整列を行う工程を示す一連の工程断面図と、図5O~図5Rに示す整列トレイ20aから高精細一括整列された大量の微小素子を一括搬送して実装する工程を示す一連の工程断面図に分類される。
前提として、図5Aに示すように、粗整列された大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBは、第1の基体としてのダイシングテープT1上に、粗い目標ピッチpで粗整列されて配置されているものとする。但し、図5Aに示す段階での矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの位置精度は十分でなく、例えば、目標ピッチpに対して誤差σ1,σ2を有しているものとする。第1実施形態に係る整列方法は、図5K~図5Nに示す整列方法を用いて、図5Aに示す段階での誤差σ1,σ2を修正し、高精細一括整列後の大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBが第2の基体としての実装基板7上に、精度1μm以下の正確な目標ピッチpで高精度に配置されるようにする。
まず、図5Aに示すように、ダイシング直後は、ダイシングテープT1上に矩形素子XqpR,XqpG,XqpBは、陽極電極82RA,82GA,82BA及び陰極電極82RC,82GC,82BCが形成される面を上側として配置されている。次に、図5Bに示すように、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBは、が粘着された側の面が下になるように、ダイシングテープT1の上下を反転し、フリップチップ配置された矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを別の反転用粘着テープT2上に移動する。次に、図5Cに示すように、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの陽極電極82RA,82GA,82BA及び陰極電極82RC,82GC,82BCが形成される面を反転用粘着テープT2上に粘着させる。その後、ダイシングテープT1を矩形素子XqpR,XqpG,XqpBから剥離すると、図5Dに示すように、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBは、陽極電極82RA,82GA,82BA及び陰極電極82RC,82GC,82BCを下側(テープ側)として反転用粘着テープT2上に配置された形となる。
次に、図5Eに示すように、第1搬送ユニット30として、図4A及び図4Bに示したチャック30aを、反転用粘着テープT2上に配列された矩形素子XqpR,XqpG,XqpB上に移動させる。なお、図5Eに示す第1搬送ユニット30としてのチャック30aは例示であり、図4A及び図4Bに示したチャック30aに代える静電チャック等を用いても良い。そして、図5Fに示すように、チャック30aを反転用粘着テープT2に向けて下降させ、チャック30aの親水領域に分離塗布された液体のそれぞれを、反転用粘着テープT2上の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBにの表面に密着させる。チャック30aの親水領域に塗布された液体のそれぞれが、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの表面に密着すると、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBのそれぞれが液体の表面張力を介してチャック30aに独立してピックアップされる。矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの位置と親水領域に塗布された液体の位置が少しずれても、表面張力の作用によって、図5Fに示すように、親水領域の位置に対して自動的に整合する。そして、図5Gに示すように、チャック30aを反転用粘着テープT2に対し、相対的に上昇させれば、チャック30aにピックアップされた矩形素子XqpR,XqpG,XqpBが、反転用粘着テープT2上から離脱する。
その後、図5Hに示すように、チャック30aを整列トレイ20a上に移動させる。そして、チャック30aを整列トレイ20aに対して相対的に下降させ、整列トレイ20aの表面(上面)にチャック30aを最接近させる。整列トレイ20aの表面(上面)にチャック30aを最接近させる際には、図3A及び図3Bに示した複数の凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1G,22m1Bの位置と、チャック30aにピックアップされた矩形素子XqpR,XqpG,XqpBが、位置合わせされるようにレーザ干渉計や光学顕微鏡等を用いて、相対的位置を調整する。整列トレイ20aの凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1G,22m1Bの位置と、チャック30aにピックアップされた矩形素子XqpR,XqpG,XqpBが、位置合わせされたら、チャック30aを加熱し、水を蒸発させれば、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを離脱する。チャック30aから矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを離脱させれば、図5Iに示すように、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBが整列トレイ20aの凹部22qpR,22qpG,22qpB内に配置する。
図5Iに示すように、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBは、陽極電極82RA,82GA,82BA及び陰極電極82RC,82GC,82BCを下側(底側)にして凹部22qpR,22qpG,22qpB内に配置される。このとき、矩形素子XqpRの右側の端部は、凹部22qpRの右側の側面から距離δ1だけ離間している。又、図5Iに示すように矩形素子XqpGの右側の端部は、凹部22qpGの右側の側面から距離δ2だけ離間し、矩形素子XqpBの右側の端部は、凹部22qpBの右側の側面から距離δ3だけ離間している。図5Iでは、δ1>δ2>δ3の場合を例示しているが例示に過ぎない。例えば、δ2>δ1>δ3やδ3>δ2>δ1等の様々な態様で、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBは凹部22qpR,22qpG,22qpB内に粗い精度で配置されるので、図5Iに示す段階では、位置合わせ精度は1μmを超えたバラツキが発生している。図5Jは、図3AのX-X方向に沿った凹部22m1R,22m1G,22m1B内に矩形素子Xm1R,Xm1G,Xm1Bが、位置合わせ精度は1μmを超えたバラツキで配置された様子を示している。整列トレイ20aの角部Aの近傍の凹部22m1R,22m1G,22m1B内等の内部の様子を示している。
図5Kは、角部A側の端部に設けられたY軸に沿って設けられたピッチ軸26Xを回転軸として、整列トレイ20aを揺動駆動する場合の模式図である。ピッチ軸26Xは図3Aに示した角部Aから角部Dに向かう方向である。一方、図5Lは、角部A側の端部に設けられたX軸に沿ったロール軸26Yを回転軸として、整列トレイ20aを揺動駆動する場合の模式図である。ロール軸26Yは図3Aに示した角部Aから角部Bに向かう方向である。なお、ここでの「ピッチ軸26X」及び「ロール軸26Y」は、航空機や自動車において、ロール軸をx軸、ピッチ軸をy軸、ヨー軸をz軸に取る例に習って定義している。図5Kに示すように、ピッチ軸26Xを回転軸として、ピッチ軸26Xの位置が常に下になるようにして、ピッチ角揺動駆動ユニット50Xを用いて整列トレイ20aを揺動駆動すれば、矩形素子Xm1R,Xm1G,Xm1Bが、矩形素子Xm1R,Xm1G,Xm1Bのそれぞれの一角である被整合移動部が、凹部22m1R,22m1G,22m1Bのそれぞれに設けられた90度に交わる垂直側壁面で構成された整合コーナEに設定された整合稜に整合して、整列する。
例えば、図5Kに示すように、ピッチ軸26Xを通る水平面に対し、例えばピッチ角θX=40°になるまで、整列トレイ20aを傾斜させて、角部Bから角部Cに向かう辺B-Cの位置を例えば上昇させる。整列トレイ20aをピッチ角θX=40°になるまで傾斜させると、図5Kに示した矩形素子Xm1R,Xm1G,Xm1Bのそれぞれは、凹部22m1R,22m1G,22m1Bのそれぞれのピッチ軸26Xに平行な側壁に密着するように、ピッチ軸26X方向に移動する。更に角度θX=40°を中心として、例えばピッチ角θX=45°とピッチ角θX=35°の間で振動させてもよい。その後、ピッチ角θX=40°の傾斜を維持したまま、図5Lに示すように、ロール軸26Yを回転軸として、ロール軸26Yの位置が常に下になるようにしてロール角揺動駆動ユニット50Yを用いて整列トレイ20aを揺動駆動させる。
例えば、図5Lに示すように、ロール軸26Yを通る水平面に対し、例えばロール角θY=40°になるまで整列トレイ20aを傾斜し、図3Aに示した角部Dから角部Cに向かう辺D-Cの位置を上昇させる。ロール軸26Yを下にして、ロール角θY=40°になるまで整列トレイ20aが傾斜すると、図5Lに示した矩形素子X(m-2)1R,X(m-1)1R,Xm1Rのそれぞれは、凹部22(m-2)1R,22(m-1)1R,22m1Rのそれぞれのロール軸26Yに平行な側壁に密着するように、ロール軸26Y方向に移動する。更に角度θY=40°を中心として、例えばロール角θY=45°とロール角θY=35°の間で振動させてもよい。
このように、図5Jに示す粗配置された状態から、ピッチ軸26Xとロール軸26Yを用いた2軸揺動駆動を、角部A側が常に下に位置するようにして行う。2軸揺動駆動を実施することにより、1~2万個以上の大量の矩形素子X(m-2)1R,X(m-1)1R,Xm1R,Xm1G,Xm1Bのそれぞれが、矩形素子X(m-2)1R,X(m-1)1R,Xm1R,Xm1G,Xm1Bのそれぞれの一稜(被整合移動部)を、凹部22(m-2)1R,22(m-1)1R,22m1R,22m1G,22m1Bのそれぞれの整合コーナEが構成する整合稜の稜線に整合するように整列する。2軸揺動駆動は、ロール軸26Yを中心とするロール回転を先に行い、ピッチ軸26Xを中心とするピッチ回転を後に行ってもよい。又、ロール回転とピッチ回転を同時に行ってもよい。
或いは図5Mに示すように、X軸とY軸の対角線方向に垂直な回転軸26Wを角部A付近に設け、回転軸26Wを中心として、角部Aが他の角部B,C,Dよりも低くなるように揺動駆動ユニット(図示省略)で整列トレイ20aを1軸揺動駆動させてもよい。即ち、回転軸26Wを水平面に平行に維持し、回転軸26Wが常に下になるようにして角部Bから角部Dに向かう対角線B-Dが上になるように、整列トレイ20aを傾斜させる1軸揺動駆動によっても、1~2万個以上の大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBのそれぞれの被整合移動部を凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1R,22m1G,22m1Bのそれぞれの整合コーナEが構成する整合稜の稜線に整合させて、一定ピッチの整列配置を実現することができる。
2軸揺動駆動でも1軸揺動駆動でも同様であるが、整列トレイ20aの傾斜を水平に戻すと、図5N(a)に示すように、X-X方向に関しては、矩形素子Xm1R,Xm1G,Xm1Bのそれぞれの被整合移動部が凹部22m1R,22m1G,22m1Bの整合コーナEが構成する整合稜の稜線に整合した状態となる。又、図5N(b)に示すように、Y-Y方向に関しては、矩形素子X(m-2)1R,X(m-1)1R,Xm1Rのそれぞれの被整合移動部が凹部22(m-2)1R,22(m-1)1R,22m1Rの整合コーナEが構成する整合稜の稜線に整合した状態となる。図5K~5Lに示すように、重力の効果を利用することで、矩形素子X(m-2)1R,………,X(m-1)1R,………,Xm1R,Xm1R,Xm1G,Xm1Bは、整列トレイ20aの凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1R,22m1G,22m1Bの整合コーナEのピッチと同一ピッチで高精度な一括整列が可能となる。
次に、図5Oに示すように、第2搬送ユニット40としての図4A及び図4Bのチャック30aと同様な構造をしたチャック40bを、整列トレイ20aの凹部22qpR,22qpG,22qpB内の矩形素子XqpR,XqpG,XqpB上に移動させる。チャック40bの親水領域には、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを吸着するための液体WqpR,WqpG,WqpBが付着している。そして、液体WqpR,WqpG,WqpBの位置を、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの位置に位置合わせする。凹部22qpR,22qpG,22qpBの整合コーナEのピッチと同一ピッチで矩形素子XqpR,XqpG,XqpBが配列されているので、この液体WqpR,WqpG,WqpBの位置と矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの位置との位置合わせは容易かつ正確に実現できる。液体WqpR,WqpG,WqpBの位置と矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの位置との位置合わせが終わったら、図5Pに示すように、チャック40bを整列トレイ20aに対して相対的に下降させ、液体WqpR,WqpG,WqpBを矩形素子XqpR,XqpG,XqpBに密着させ、チャック40bに矩形素子XqpR,XqpG,XqpBをピックアップさせる。
チャック40bが矩形素子XqpR,XqpG,XqpBをピックアップしたら、図5Qに示すように、チャック40bを整列トレイ20aに対して相対的に上昇させ、整列トレイ20aの凹部22qpR,22qpG,22qpBを空にする。次に、図5Rに示すように、チャック40bを第2の基体としての実装基板7上に移動させる。第2の基体としての実装基板7は、マイクロチップディスプレイの製造プロセスにおけるターゲットバックプレーンや再構成ウェハであってもよい。既に図1C及び図1Dを用いて説明したように、実装基板7の赤色用列信号線A0pRに接続された列中継配線A1pRには陽極用バンプ83RAが配置されている。又、緑色用列信号線A0pGに接続された列中継配線A1pGには、陽極用バンプ83RGが配置され、行信号線C0qに接続された行中継配線C1qRには陰極用バンプ83RCが配置されている。
図5K~5Lに示した工程によって、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBの配列が同一ピッチで精密に決められているので、矩形素子XqpRの陽極電極82RAは、陽極用バンプ83RAにバンプ接続可能なように、1μm以下の高精度で位置合わせ可能である。同様に、矩形素子XqpRの陰極電極82RCは、陰極用バンプ83RCにバンプ接続可能なように高精度な位置合わせ可能である。又、矩形素子XqpGの陽極電極82GAは、陽極用バンプ83GAにバンプ接続可能なように高精度な位置合わせ可能である。位置合わせが完了したら、チャック40bを加熱し、液体WqpR,WqpG,WqpBを蒸発させれば、矩形素子XqpR,XqpG,XqpBがチャック40bから、それぞれ離脱する。この後、超音波を印加若しくは加熱等の処理を実施することにより、矩形素子XqpRの陽極電極82RAと陽極用バンプ83RAがバンプ接続され、陰極電極82RCと陰極用バンプ83RCがバンプ接続される。同時に矩形素子XqpGの陽極電極82GAと陽極用バンプ83GAがバンプ接続される。なお、液体WqpR,WqpG,WqpBの蒸発はバンプ接続の際の熱を利用してもよい。
このように、第1実施形態に係る整列方法によれば、整列トレイ20aを用いることで、1~2万個以上の大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBが同一ピッチで配列されるように、高精細一括整列させる作業が、簡易かつ高精度に行うことができる。従って、歩留まりやスループットを低下させることなく、大量の矩形素子XqpR,XqpG,XqpBを実装基板7のパターンに対して高精度に位置合わせして、ハイブリッド集積回路を実装することが、簡易な構成で可能な高精細集積技術を確立することができる。
(第2実施形態)
図示を省略しているが、本発明の第2実施形態に係る整列装置は、図2に示した構造と同様に、素子XqpR,XqpG,XqpBの高精細一括整列に用いる整列トレイ20bと、粗整列された素子XqpR,XqpG,XqpBを整列トレイ20bに一括搬送するための第1搬送ユニットと、高精細一括整列後の素子XqpR,XqpG,XqpBを整列トレイ20bから一括搬送するための第2搬送ユニットと、整列トレイ20bを駆動して素子XqpR,XqpG,XqpBを高精度ピッチで高精細一括整列させる駆動ユニットと、第1及び第2搬送ユニット及び駆動ユニットの動作を制御する制御ユニットを備える点では第1実施形態に係る整列装置と、概略としては、ほぼ同様である。しかし、第2実施形態に係る整列トレイ20bの構造が、第1実施形態に係る整列トレイ20aとは異なる。
全体図の表示を省略しているが、第2実施形態に係る整列トレイ20bは、図3Aに示した斜視図の構造と同様に、4つの角部A,B,C,Dを有する四角形である。更に、四角形の一方の主面側に矩形の凹部をマトリクス状に配置したワッフル型の構造である特徴は図3Bに示した構造と同様である。しかし、図6に示すように、それぞれの凹部22qpRbVの底部に、素子XqpRの陽極電極82RA又は陰極電極82RCの一稜の位置決めをする直方体状の窪み23qpRVを更に備えている。平面パターンで見たときの整列トレイ20bの凹部22qpRbVのそれぞれの対角長が、対応する方向の素子XqpRのそれぞれの対角長のよりもそれぞれ50%以上長く設計されることは第1実施形態と同様である。
下面図を省略しているが、陽極電極82RA及び陰極電極82RCは、平面パターンが互いに合同な長方形となる薄い直方体のパターンである。陽極電極82RA及び陰極電極82RCのそれぞれは、互いに隣接する側面が互いに直角に交わる外接稜を構成する4つの側面を有する電極である。「外接稜」とは外側に自由空間を有するように、側面と側面が交わってできる突部である。図6では陽極電極82RA及び陰極電極82RCの短辺に沿った側面が断面に現れているものとする。したがって、陽極電極82RA及び陰極電極82RCを構成している長方形の長辺に沿った側面は紙面に垂直方向である。図6の「素子XqpR」の下付の添え字のRは赤色を示しているが、図6の素子XqpRは、図1A~1Dに示した赤色LEDチップXqpR、緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBの3種類の多数のチップを包括的に表現している。即ち、図6の素子XqpRは、1~2万個以上の3種類の微少チップのうちの1個を代表として選んだ表示であり、図6は他に素子XqpG及び素子XqpBの等が存在することを前提としている。
図6では陽極電極82RAの長辺に沿った側面の一方(図6において左側の側面)が窪み23qpRVの左側に位置している垂直内壁面に接している場合を示している。窪み23qpRVは、平面パターンが長方形となる薄い直方体である。窪み23qpRVの平面パターンを構成している長方形は、陽極電極82RA及び陰極電極82RCの占有面積よりも大きな長方形であり、陽極電極82RA及び陰極電極82RCの周りにクリアランスを設けて、内部に陽極電極82RA及び陰極電極82RCのパターンを収納できるように設計されている。直方体であるので窪み23qpRVの4つの内壁面うちの隣接する2つの内壁面は、それぞれ内接稜を構成している。「内接稜」とは内側に自由空間を有するように、内壁面と内壁面が交わってできる凹部である。図1Dには、微少素子XqpGの陽極電極82RGを示したが、図示を省略した緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBの下面にも、陽極電極82RA及び陰極電極82RCと同一サイズ、同一形状の陽極電極及び陰極電極が設けられていることは勿論である。よって、図示を省略した緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBの下面の陽極電極及び陰極電極に関しても、陽極電極及び陰極電極の周りにクリアランスを設けて、同様な窪みがそれぞれ設けられている。
平面パターンで説明すると、例えば、窪み23qpRVの垂直内壁面と垂直内壁面がなす内接稜の稜線に整合している陽極電極82RAの頂角から最も遠い陰極電極82RCの頂角までの対角長よりも、窪み23qpRVの平面パターンを構成している長方形の対角長の方が約1μm長い。第1実施形態に係る整列トレイ20aでは、四角形の角部A側に矩形素子XqpRの一稜が整合する整合コーナEを、X軸方向に伸びる垂直側壁面と、Y軸方向に伸びる垂直側壁面とが直角に交わるコーナとして有していた。しかし、第2実施形態に係る整列トレイ20bは、図3Bに示した構造と類似な構造を基本としているものの、第1実施形態で定義した整合コーナEには、素子XqpRの稜が整合しないようにしている点が異なる。窪み23qpRVの深さも、陽極電極82RA及び陰極電極82RCの厚さよりも深く設計されている。
素子XqpRのような陽極電極82RA及び陰極電極82RCを備えた微細なチップの場合、チップサイズがダイシングのばらつきによって数%ばらついているときがある。チップサイズのばらつきがある場合、仮に複数の素子XqpRが同一ピッチで配列されたとしても、図5Rに示した工程において、素子XqpRの陽極電極82RAと陽極用バンプ83RAの高精度位置合わせや、陰極電極82RCと陰極用バンプ83RCの高精度位置合わせが保証されない。このため、第2実施形態に係る整列トレイ20bでは、陽極電極82RA又は陰極電極82RCに対応する窪み23qpRVを設けて、陽極電極82RA又は陰極電極82RC の外接稜と窪み23qpRVの内接稜との整合により位置合わせを行うことで、高精度な位置合わせを可能としている。即ち、第2実施形態に係る整列トレイ20bにおいては、真の整合コーナEは窪み23qpRVの内壁面と内壁面が交わる内接稜に設定されている。
第2実施形態に係る整列トレイ20bにおいて、X方向のチップサイズX0のばらつきの最大値及び最小値を、
X0+Δx1 ………(1a)
X0-Δx2 ………(1b)
Δx1≒Δx2 ………(1c)
と表すとする。チップサイズX0のばらつきΔx1,Δx2がある場合、素子XqpRの端部が凹部22qpRbVの側壁に接してしまうと、素子XqpRの陽極電極82RAと陽極用バンプ83RAの高精度位置合わせや、陰極電極82RCと陰極用バンプ83RCの高精度位置合わせが保証されない。よって、素子XqpRの端部が凹部22qpRbVの側壁に接しないようなギャップGの設定が必要になる。素子XqpRの陽極電極82RA又は陰極電極82RCの端部がチップエッジからa1である場合、窪み23qpRVの左側の垂直内壁面と凹部22qpRbVの間のギャップGを、
G~ a1+Δx1/2 ………(2)
に設定すれば、チップサイズのばらつきΔx1,Δx2があっても、素子XqpRの端部が凹部22qpRbVの側壁に接しないようにできる。Y方向も同様である。更に図示を省略した緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBの陽極電極及び陰極電極に関しても同様である。
第1実施形態に係る整列方法の図5Aから5Jに示した工程と、第2実施形態に係る整列方法は同一である。第1実施形態で図5Jに示した工程の後、第2実施形態に係る整列方法は、図5Kに示した構成と同様に、ピッチ軸を回転軸として、ピッチ軸の位置が常に下になるようにして、ピッチ角揺動駆動ユニットを用いて整列トレイ20bを揺動駆動する。整列トレイ20bを揺動駆動することにより、複数の素子XqpRが、素子XqpRのそれぞれの陽極電極82RACの端部が、凹部22qpRbVのそれぞれに設けられた窪み23qpRVの垂直内壁面に接して整列する。なお、図6では素子XqpRの陽極電極82RACの端部が、凹部22qpRbVの窪み23qpRVの垂直内壁面に接する場合を示しているが例示にすぎない。素子XqpRの設計により、図6に示した構成において、陰極電極82RCを陽極電極82RACの左側に位置するように設定した場合は、陰極電極82RCの端部を窪み23qpRVの垂直内壁面に接するようになることは勿論である。
いずれにせよ、第2実施形態に係る整列トレイ20bにおいては、複数の素子XqpRの端部や側面は図6に示すように、凹部22qpRbVの側壁には接しない。例えば、図5Kに示した構成と同様に、ピッチ軸を通る水平面に対し、例えばピッチ角θX=40°になるまで、整列トレイ20bを傾斜させて、角部Bから角部Cに向かう辺B-Cの位置を例えば上昇させる。整列トレイ20bをピッチ角θX=40°になるまで傾斜させると、図5Kに示した素子XqpRのそれぞれの陽極電極82RAの端部は、凹部22qpRのそれぞれに設けられた窪み23qpRVの垂直内壁面に密着するように、ピッチ軸方向に移動する。更に角度θX=40°を中心として、例えばピッチ角θX=45°とピッチ角θX=35°の間で振動させてもよい。その後、ピッチ角θX=40°の傾斜を維持したまま、図5Lに示した構成と同様に、ロール軸を回転軸として、ロール軸の位置が常に下になるようにしてロール角揺動駆動ユニットを用いて整列トレイ20bを揺動駆動させる。
例えば、図5Lに示した構成と同様に、ロール軸を通る水平面に対し、例えばロール角θY=40°になるまで整列トレイ20bを傾斜し、図3Aに示した角部Dから角部Cに向かう辺D-Cの位置を上昇させる。ロール軸を下にして、ロール角θY=40°になるまで整列トレイ20bが傾斜すると、図5Lに示した素子XqpRのそれぞれの陽極電極82RAの端部は、凹部22qpRのそれぞれに設けられた窪み23qpRVの垂直内壁面に密着するように、ロール軸方向に移動する。更に角度θY=40°を中心として、例えばロール角θY=45°とロール角θY=35°の間で振動させてもよい。
このように、図5Jに示す粗配置された状態から、ピッチ軸とロール軸を用いた2軸揺動駆動を、整列トレイ20bの角部A側が常に下に位置するようにして行う。2軸揺動駆動を実施することにより、1~2万個以上の大量の素子XqpRのそれぞれが、陽極電極82RAの端部を、凹部22qpRのそれぞれに設けられた窪み23qpRVの垂直内壁面と垂直内壁面が交わる内接稜に整合するように整列する。2軸揺動駆動は、ロール軸を中心とするロール回転を先に行い、ピッチ軸を中心とするピッチ回転を後に行ってもよく、ロール回転とピッチ回転を同時に行ってもよい。或いは図5Mに示した構成と同様に、X軸とY軸の対角線方向に垂直な回転軸26Wを角部A付近に設け、回転軸26Wを中心として、角部Aが他の角部B,C,Dよりも低くなるように揺動駆動ユニット(図示省略)で整列トレイ20bを1軸揺動駆動させてもよい。このように、図5K~5Nに示した構成と同様に、重力の効果を利用することで、素子XqpRの陽極電極82RAは、整列トレイ20bの凹部22qpRのそれぞれに設けられた窪み23qpRVの垂直内壁面のピッチと同一ピッチで高精度な一括整列が可能となる。素子XqpRが高精度に一括整列された後の工程は、既に第1実施形態に係る整列方法で図5O~5Rを用いて説明した工程と実質的に同一であるので、重複した説明を省略する。
第2実施形態に係る整列方法によれば、1~2万個以上の大量の素子XqpR,XqpG,XqpBの高精細集積技術において、整列トレイ20bを用いることで、チップサイズがダイシングのばらつきによって多様な値を有する場合であっても、大量の素子XqpR,XqpG,XqpBの一括移動を高精度に行うことができる。従って、チップサイズのばらつきがあっても、歩留まりやスループットを低下させることなく、簡易な構成で高精度に位置合わせ、又は2次元ピッチ精度に優れた高精細一括整列をすることが可能な高精細集積技術を確立することができる。
また、第2実施形態に係る整列トレイ、整列装置、又は整列方法を用いれば、一度に素子XqpR,XqpG,XqpBの位置合わせができるので、スループットの低下もない。例えば、並列処理プロセスと組み合わせた場合、スループットは、90シート/時間(1シート/40秒)を実現できる。図5A~5Oに示した工程の各ステップで10%のタイムロスが発生したと仮定した場合でも、70~80シート/時間を実現できることが、プロトタイプで確認できている。、各ステップでのタイムロスを最小化し、かつ各ステップに要する時間を最適化することにより、スループットを100シート/時間以上とすることも十分に可能である。
第1施形態に係る整列方法では、素子XqpRが直方体形状であることを前提として説明したが、第2実施形態に係る整列方法では、素子XqpRは、直方体形状以外の多角形柱状や円柱状の立体形状であっても構わない。素子XqpRが円柱状の立体形状の場合は、円柱の側面を構成する母線の1本において、X軸方向に伸びる垂直側壁面に近接し、他の母線の1本がY軸方向に伸びる垂直側壁面に近接するが、接することはない。即ち、素子XqpRが、円柱状である場合は、整合コーナEにおいて、円柱の側面が2箇所で内接に近い近接状態になるが、接することにはならない。第1施形態に係る整列方法の場合、素子XqpRが円柱状の立体形状の場合は、整合コーナEにおいて円柱の側面が2箇所で内接するが、円柱の中心軸に関して回転の自由度がある。第2実施形態に係る整列方法では、整合コーナEにおいて円柱の側面が2箇所で近接する場合であっても、図6に示すように、凹部22qpRbVの底部に素子XqpRの陽極電極82RA又は陰極電極82RCの頂角に整合する垂直内壁面を有する窪み23qpRVを設けておくことにより、陽極電極82RA又は陰極電極82RCのパターンの位置と配向の方向の両方を正確に制御できる。
第1施形態に係る整列方法では、図3A及び図3Bを例示して説明したように、整列トレイ20aは、凹部22(m-2)1R,………,22(m-1)1R,………,22m1R,22m1G,22m1Bのサイズが矩形素子X(m-2)1R,………,X(m-1)1R,………,Xm1R,Xm1G,Xm1Bよりも大きい直方体であるとしたが、素子XqpR等が円柱状の立体形状の場合は、凹部22qpRbVの側壁は円筒状の曲面であってもよい。素子XqpR等が五角形柱や六角形柱等の多角形柱状の立体形状の場合であれば、凹部22qpRbVの側壁は素子XqpRの外形に相似な多角形の側壁で構成すればよい。この場合も、凹部22qpRbVのサイズは、非矩形の種々の素子XqpR等のサイズより大きいことが必要なのは、第1施形態に係る整列方法と同様である。
(第2実施形態の変型例)
全体図の表示を省略しているが、第2実施形態の変型例に係る整列トレイ20cの基本形状は、図3Aに示した斜視図の構造と同様に、4つの角部A,B,C,Dを有する四角形の一方の主面側に矩形の凹部22qpRbTをマトリクス状に配置したワッフル型の構造である。しかし、図7に示すように、それぞれの凹部22qpRbTの底部に、素子XqpRの陽極電極82RA及び陰極電極82RCの位置決めをする逆四角推台状の窪み23qpRTを更に備えている。図7の「素子XqpR」の添え字のRは赤色を示しているが、図1A~1Dに示した赤色LEDチップXqpR、緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBの3種類のセットを1画素とする多数のチップを包括的に表現していることは、図6で説明したのと同様である。なお、陽極電極82RA及び陰極電極82RCは、平面パターンが互いに合同な長方形となる薄い直方体のパターンであり、図7では陽極電極82RA及び陰極電極82RCの短辺に沿った側面が断面に現れている。そして、図7では陽極電極82RAの長辺に沿った側面の一方(図7において左側の側面)が窪み23qpRTの左側に位置している傾斜内壁面(テーパ面)に接している場合を示している。
第2実施形態の変型例に係る整列トレイ20cの窪み23qpRTは、底面の平面パターンが長方形となる薄い逆四角推台である。逆四角推台は面積の大きな上面が上に位置し、面積の小さな底面が下に位置する。逆四角推台の上面となる長方形は、陽極電極82RA及び陰極電極82RCの占有面積よりも大きな長方形であり、上面の位置の水平レベルにおいては、陽極電極82RA及び陰極電極82RCの周りにクリアランスが存在するが、逆四角推台にそって下降すると、逆四角推台の傾斜内壁面の途中において、陽極電極82RA及び陰極電極82RCのパターンの端部が傾斜内壁面に接して整合されるように設計されている。
例えば、逆四角推台の上面の長方形の一つの頂点の位置に対応する陽極電極82RAの頂角から最も遠い陰極電極82RCの頂角までの対角長よりも、上面をなす長方形の対角長の方が約1μm長い。しかし、逆四角推台の傾斜内壁面(テーパ面)にそって下降するにしたがい、陽極電極82RA及び陰極電極82RCの周りのクリアランスが消失する。窪み23qpRTの深さも、陽極電極82RA及び陰極電極82RCの厚さよりも深く設計されている。
図5Kに示した構成と同様に、ピッチ軸を回転軸として、ピッチ軸の位置が常に下になるようにして、ピッチ角揺動駆動ユニットを用いて整列トレイ20cを揺動駆動する。整列トレイ20cを揺動駆動することにより、複数の素子XqpRが、素子XqpRのそれぞれの陽極電極82RAC及び陰極電極82RCの端部が、凹部22qpRbTのそれぞれに設けられた窪み23qpRTの傾斜側壁に接して整列する。例えば、図5Kに示した構成と同様に、ピッチ軸を通る水平面に対し、例えばピッチ角θX=40°になるまで、整列トレイ20cを傾斜させて、角部Bから角部Cに向かう辺B-Cの位置を例えば上昇させる。整列トレイ20cをピッチ角θX=40°になるまで傾斜させると、図5Kに示した素子XqpRのそれぞれの陽極電極82RA及び陰極電極82RCの端部は、凹部22qpRのそれぞれに設けられた窪み23qpRTの傾斜側壁に密着するように、ピッチ軸方向に移動する。更に角度θX=40°を中心として、例えばピッチ角θX=45°とピッチ角θX=35°の間で振動させてもよい。
その後、ピッチ角θX=40°の傾斜を維持したまま、図5Lに示した構成と同様に、ロール軸を回転軸として、ロール軸の位置が常に下になるようにしてロール角揺動駆動ユニットを用いて整列トレイ20cを揺動駆動させば、素子XqpRのそれぞれの陽極電極82RA及び陰極電極82RCの端部は、凹部22qpRのそれぞれに設けられた窪み23qpRTの傾斜側壁に密着するように、ロール軸方向に移動する。しかし、逆四角推台の傾斜側壁の性質から、第2実施形態の変型例に係る整列トレイ20cによれば、ピッチ角の揺動だけでも、所望の位置に整合できる。或いは図5Mに示した構成と同様に、X軸とY軸の対角線方向に垂直な回転軸26Wを角部A付近に設け、回転軸26Wを中心として、角部Aが他の角部B,C,Dよりも低くなるように揺動駆動ユニット(図示省略)で整列トレイ20cを1軸揺動駆動させてもよい。このように、重力の効果を利用することで、素子XqpRの陽極電極82RA及び陰極電極82RCは、整列トレイ20cの凹部22qpRのそれぞれに設けられた窪み23qpRTの垂直内壁面のピッチと同一ピッチで高精度な一括整列が可能となる。
(第3実施形態)
図8では図示を省略しているが、本発明の第3実施形態に係る整列装置も、図2に示した構造と同様に、整列トレイ20t1と、粗整列された直方体形状の矩形素子Xij1を整列トレイ20t1に一括搬送するための第1搬送ユニットと、高精細一括整列後の矩形素子Xij1を整列トレイ20t1から一括搬送するための第2搬送ユニットと、整列トレイ20t1に遠心力Foが印加されるように回転駆動して、多数の矩形素子Xij1のそれぞれを高精度ピッチで高精細一括整列させる駆動ユニットと、第1及び第2搬送ユニット及び駆動ユニットの動作を制御する制御ユニットを備える点で、第1及び第2実施形態に係る整列装置と、概略の構成はほぼ類似している。しかし、第3実施形態に係る整列装置は、整列トレイ20t1の整合コーナEに向かって、多数の矩形素子Xij1のそれぞれを移動させて、高精細一括整列させる遠心力Foを付与する技術と、そのための円板37や円板37の駆動ユニットが、第1及び第2実施形態に係る整列トレイ20aとは異なる。
第3実施形態に係る整列トレイ20t1は、図3Aに示した斜視図の構造と同様に、4つの角部A,B,C,Dを有する四角形である。なお、角部A,B,C,Dの定義は図3Aと同様であり、図8ではA,B,C,Dの表記を省略している。又、四角形の一方の主面側に矩形の凹部をマトリクス状に配置したワッフル型の構造である特徴は図3Bに示した構造と同様であるが、図8では3×3のマトリクスに簡略表示されている。現実には300×100や3000×1000、更にはこれ以上のマトリクスになる。図8の矩形素子Xij1は、図1A~1Dに示した赤色LED矩形素子XqpR、緑色LED矩形素子XqpG及び青色LED矩形素子XqpBの3種類の多数の矩形素子を包括的に表現しているが、全部で3万個~300万個以上になる3種類の微少矩形素子のうちの1個を代表として選んだ表示である。平面パターンで見たときの整列トレイ20t1の凹部のそれぞれの対角長は、対応する方向の矩形素子Xij1のそれぞれの対角長のよりもそれぞれ50%以上長く設計することは第1及び第2実施形態と同様である。
第1実施形態に係る整列方法の図5Aから5Jに示した工程と、第3実施形態に係る整列方法は同一である。しかし、第1実施形態と同様な図5Jに示した工程の後、第3実施形態に係る整列方法では、図8に示すように、円板37の上に、角部Aが最外周になり、角部A対角となる角部Cが最も中心に近いように整列トレイ20t1が配置される。角部Cから角部Aは円板37の半径方向である。図3Aで定義している角部Aは、図3Bに示した整合コーナEが存在する、矩形素子Xij1の整合する方向の角部である。角部Aを最外周になり、角部Cを最も中心に近いように整列トレイ20t1を円板37の上に配置すると、角部Bと角部Dは円板37の1/2程度となる中心からの等距離の位置に設定されて、整列トレイ20t1が円板37の上に配置される。円板37の上には、整列トレイ20t1が着脱可能に嵌合される溝が掘られ、整列トレイ20t1が遠心力で移動しないように設計されている。或いは、角部A,B,C及びDに対応する位置にフックを設けて整列トレイ20t1が遠心力で移動しないように固定してもよい。円板37に整列トレイ20t1を接着等の手法で固定してもよく、円板37と整列トレイ20t1を一体で成形してもよい。図8に示すように、角部Aが最外周の位置となる配向で整列トレイ20t1を円板37の上に配置し、図示を省略した駆動ユニットを用いて、円板37を回転させると、それぞれの矩形素子Xij1に対し、円周方向に向かう遠心力Foが印加され、矩形素子Xij1の4つの側面が構成する4つの稜の内から選ばれた1つの稜である被整合移動部が整合コーナEの整合稜に向かって移動する移動力が作用する。なお、整列トレイ20t1の凹部は、第1実施形態と同様に4つの側壁面から構成される矩形の空間を構成しており、4つの側壁面の内の互いに隣接する2つの側壁面が互いに直交して、それぞれ4つの稜を構成している。
このように、図5Jに示す粗配置された状態から、ワッフル型の整列トレイ20t1のマトリクスを構成しているそれぞれの凹部に、矩形素子Xij1のそれぞれを収納した後、整列トレイ20t1の角部A側が常に最外周に位置するように円板37の上に配置し、円板37を回転させる。円板37に遠心力を付与する回転駆動を実施することにより、3~300万個以上の大量の矩形素子Xij1のそれぞれが、凹部のそれぞれに設けられた整合コーナEに整合するように整列する。第1実施形態では、図5K~5Nに示した構成で重力の効果を利用したが、第3実施形態に係る整列装置では、整列トレイ20t1に遠心力が作用するように整列トレイ20t1を回転させることで、大量矩形素子Xij1を、整列トレイ20t1の凹部のピッチと同一ピッチで高精度な一括整列が可能となる。矩形素子Xij1が高精度に一括整列された後の工程は、既に第1実施形態に係る整列方法で図5O~5Rを用いて説明した工程と実質的に同一であるので、重複した説明を省略する。
第3実施形態に係る整列方法によれば、3~300万個以上の大量の矩形素子Xij1の高精細集積技術において、円板37の上に搭載された整列トレイ20t1を回転することで、大量の矩形素子Xij1の一括移動を高精度に行うことができる。従って、歩留まりやスループットを低下させることなく、簡易な構成で高精度に位置合わせ、又は2次元ピッチ精度に優れた高精細一括整列をすることが可能な高精細集積技術を確立することができる。また、第3実施形態に係る整列トレイ、整列装置、又は整列方法を用いれば、一度に矩形素子Xij1の位置合わせができるので、スループットの低下もない。
(第3実施形態の変型例)
図9では図示を省略しているが、本発明の第3実施形態の変型例に係る整列装置も、図2に示した構造と同様に、4つの整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4と、粗整列された直方体形状の矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4を整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4に順に一括搬送するための第1搬送ユニットと、高精細一括整列後の矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4を整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4から順に一括搬送するための第2搬送ユニットと、4つの整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4のそれぞれに遠心力Foが印加されるように4つの整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4のそれぞれを同時に回転駆動して、多数の矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4のそれぞれを高精度ピッチで高精細一括整列させる駆動ユニットと、第1及び第2搬送ユニット及び駆動ユニットの動作を制御する制御ユニットを備える。第3実施形態の変型例に係る整列装置は、整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4のそれぞれの凹部に設定された整合コーナEに設定された整合稜に向かって、多数の矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4のそれぞれの側面が定義する4つの稜の内から選択された1つの稜である被整合移動部を移動させて、高精細一括整列させる遠心力Foを、4つの整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4のそれぞれに付与する技術と、そのための円板37や円板37の駆動ユニットを備える。
第3実施形態の変型例に係る整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4のそれぞれは、図3Aに示した斜視図の構造と同様に、4つの角部A,B,C,Dを有する四角形であるが、角部A,B,C,Dの定義は図3Aと同様であり、図9ではA,B,C,Dの表記を省略している。又、四角形の一方の主面側に矩形の凹部をマトリクス状に配置したワッフル型の構造である特徴は図3Bに示した構造と同様であるが、図9では、それぞれ3×3のマトリクスに簡略表示されている。整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4のそれぞれは、現実には300×100や3000×1000、更にはこれ以上のマトリクスになるのでこの4倍の個数の矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4が収納される。図9の矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4は、図1A~1Dに示した赤色LED矩形素子XqpR、緑色LED矩形素子XqpG及び青色LED矩形素子XqpBの3種類の多数の矩形素子を包括的に表現しているが、4つの整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4の全部で12万個~1200万個以上になる3種類の微少矩形素子のうちの4個を代表として選んだ表示である。
第1実施形態に係る整列方法の図5Aから5Jに示した工程と、第3実施形態の変型例に係る整列方法は同一である。しかし、第1実施形態と同様な図5Jに示した工程の後、第3実施形態の変型例に係る整列方法では、図9に示すように、円板37の上に、それぞれの角部Aが最外周になり、角部A対角となるそれぞれの角部Cが最も中心に近いように4つの整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4が、4つの象限に均等配置される。4つの整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4のそれぞれの角部Cからそれぞれの角部Aは円板37の半径方向である。図3Aで定義している角部Aは、図3Bに示した整合コーナEが存在する、矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4の整合する方向の角部である。それぞれの角部Aを最外周になり、それぞれの角部Cを最も中心に近いように4つの整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4を円板37の上に均等配置すると、それぞれの角部Bとそれぞれの角部Dは円板37の1/2程度となる中心からの等距離の位置に設定されて、整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4が円板37の4つの象限上にそれぞれ配置される。
円板37の上には、整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4が着脱可能に嵌合される溝を設ける等の、整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4が遠心力で移動しないような機構が設けられている。或いは、円板37に整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4を接着等の手法で固定してもよく、円板37と整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4を一体で成形してもよい。図9に示すように、角部Aが最外周の位置となる配向で整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4を円板37の4象限上に配置し、図示を省略した駆動ユニットを用いて、円板37を回転させると、それぞれの矩形素子,Xij1,Xij2,Xij3,Xij4に対し、円周方向に向かう遠心力Foがそれぞれ印加され、矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4が、4つの整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4のそれぞれの整合コーナEに向かって、それぞれ移動する。
このように、図5Jに示す粗配置された状態から、ワッフル型の整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4のマトリクスを構成しているそれぞれの凹部に、矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4のそれぞれを順に収納した後、整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4のそれぞれの角部A側が常に最外周に位置するように円板37の上に均等配置し、円板37を回転させる。円板37に遠心力を付与する回転駆動を実施することにより、3~300万個以上の大量の矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4のそれぞれが、整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4のそれぞれの凹部のそれぞれに設けられた整合コーナEに整合するように整列する。第3実施形態の変型例に係る整列装置では、整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4に遠心力が作用するように、均等配置された4つの整列トレイ,20t1,20t2,20t3,20t4を同時に回転させることで、大量矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4を、整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4のそれぞれの凹部のピッチと同一ピッチで高精度な一括整列が可能となる。矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4が高精度に一括整列された後の工程は、整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4のそれぞれから順に一括搬送する工程を除けば、既に第1実施形態に係る整列方法で図5O~5Rを用いて説明した工程と実質的に同一であるので、重複した説明を省略する。
第3実施形態の変型例に係る整列方法によれば、12~1200万個以上の大量の矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4の高精細集積技術において、円板37の上に搭載された4つの整列トレイ20t1,20t2,20t3,20t4を同時に回転することで、大量の矩形素子Xij1,Xij2,Xij3,Xij4の一括移動を高精度に行うことができる。従って、第3実施形態に係る整列方法の4倍のスループットで、高精度に位置合わせ、又は2次元ピッチ精度に優れた高精細一括整列をすることが可能な高精細集積技術を確立することができる。
(第4実施形態)
図10では図示を省略しているが、本発明の第4実施形態に係る整列装置も、図2に示した構造と同様に、整列トレイ20iと、粗整列された矩形素子Xij(imp)を整列トレイ20iに一括搬送するための第1搬送ユニットと、高精細一括整列後の矩形素子Xij(imp)を整列トレイ20iから一括搬送するための第2搬送ユニットと、整列トレイ20iに衝撃力Fimpが印加されるように整列トレイ20iを打撃して、多数の矩形素子Xij(imp)のそれぞれに衝撃力Fimpの反作用としての慣性力Finrtを生じさせて、矩形素子Xij(imp)のそれぞれを移動させ、高精度ピッチで高精細一括整列させる駆動ユニットと、第1及び第2搬送ユニット及び駆動ユニットの動作を制御する制御ユニットを備える点で、第1~第3実施形態に係る整列装置と、概略の構成はほぼ類似している。しかし、第4実施形態に係る整列装置は、整列トレイ20iの整合コーナEが定義する整合稜に向かって、多数の矩形素子Xij(imp)のそれぞれの4つの側面が構成する4つの稜の内から選ばれた1つの稜である被整合移動部を移動させる慣性力Finrtを発生させるために、整列トレイ20iに衝撃力Fimpを付与する技術と、そのために整列トレイ20iの角部Aに打撃を加える衝撃力発生装置(駆動ユニット)4を有する特徴が、第1~第3実施形態に係る整列トレイ20aとは異なる。なお、整列トレイ20iの凹部は、第1実施形態と同様に4つの側壁面から構成される矩形の空間を構成しており、4つの側壁面の内の互いに隣接する2つの側壁面が互いに直交して、それぞれ4つの稜を構成している。図示を省略しているが、整列トレイ20iを搭載するテーブルには、整列トレイ20iが衝撃力Fimpの方向と同一方向に移動するようなガイドが設けられている。
図10に示す衝撃力発生装置4は先端が細い棒状になったプランジャー部47と、プランジャー部47の太い円柱状の部分を囲む電磁ソレノイド部48と、電磁ソレノイド部48を囲みプランジャー部47が出入り可能な孔を有した筐体49を備えて、第4実施形態に係る整列装置の駆動ユニットを構成している。電磁ソレノイド部48に電流を流すことにより、プランジャー部47が右方向に加速度α1でインパルス的に移動する。プランジャー部47の角部Aに与える右方向に向かう衝撃力Fimpは、整列トレイ20iを搭載するテーブルとの間の、整列トレイ20iの移動に伴う摩擦力を無視すれば、
Fimp=m1α1≒m2α2 ………(3)
となる。式(3)では、プランジャー部47の質量をm1、整列トレイ20iとすべての矩形素子Xij(imp)の質量を合計した全質量をm2、整列トレイ20iの移動の加速度α2としている。
質量m1及び質量m2並びに打撃の際のプランジャー部47の移動距離を考慮したエネルギ保存則から、整列トレイ20iの移動距離Δxが決まる。整列トレイ20iの移動距離Δxは、矩形素子Xij(imp)の寸法程度若しくは、矩形素子Xij(imp)の整合に必要な移動の距離程度の値に設定するのが好ましい。矩形素子Xij(imp)のそれぞれの重量をW(kg)、重力の加速度をg(m/s2)とすると、1個の矩形素子Xij(imp)に左方向に働く見かけ上の慣性力Finrtは、矩形素子Xij(imp)に作用する摩擦力等を無視すれば、
Finrt≒(W/g)α2 ………(4)
と表現できる。
第4実施形態に係る整列トレイ20iは、図3Aに示した構造と同様に、4つの角部A,B,C,Dを有する四角形であるが、図10に示す構造では、角部Aにプランジャー部47で打撃を加えるために角部を、プランジャー部47の頭の直径が含まれる大きさの面取りしている構造を例示している。ただし、角部を面取りせず、角部Aが直角に側面が交わる稜線を構成していても構わない。なお、角部A,B,C,Dの定義は図3Aと同様であるので、図10ではA,B,C,Dの表記を省略している。又、四角形の一方の主面側に矩形の凹部をマトリクス状に配置したワッフル型の構造である特徴は図3Bに示した構造と同様であるが、図10では3×3のマトリクスに簡略表示されている。現実には300×100や3000×1000、更にはこれ以上のマトリクスになる。図10の矩形素子Xij(imp)は、図1A~1Dに示した赤色LED矩形素子XqpR、緑色LED矩形素子XqpG及び青色LED矩形素子XqpBの3種類の多数の矩形素子を包括的に表現しているが、全部で3万個~300万個以上になる3種類の微少矩形素子のうちの1個を代表として選んだ表示である。平面パターンで見たときの整列トレイ20iの凹部のそれぞれの対角長が、対応する方向の素子Xij(imp)のそれぞれの対角長のよりもそれぞれ50%以上長く設計されることは第1~第3実施形態と同様である。
第1実施形態に係る整列方法の図5Aから5Jに示した工程に関しては、第4実施形態に係る整列方法は同一である。第1実施形態と同様な5I及び図5Jに示した工程と同様に、第4実施形態に係る整列方法では、整列トレイ20iのワッフル型を構成している凹部の内部に矩形素子Xij(imp)が収納される。そして、第1実施形態と同様な図5Jに示した工程の後、図10に示すように、整列トレイ20iの角部Aに、第4実施形態に係る整列装置の駆動ユニットを構成する衝撃力発生装置4のプランジャー部47の頭を対向させる。そして、整列トレイ20iの左側に突出した角部Aを、プランジャー部47の頭で打撃し、図10の右方向に向かう衝撃力Fimpをインパルスとして印加すると、矩形素子Xij(imp)のそれぞれには、左方向に向かう慣性力Finrtが働く。図10に示す整列トレイ20iにおいても、それぞれの凹部の角部A側には、図3Bに示した整合コーナEが存在するので、慣性力Finrtが矩形素子Xij(imp)に印加され、矩形素子Xij(imp)の被整合移動部がそれぞれの凹部の整合コーナEの整合稜に向かって移動する。
このように、図5Jに示すように、ワッフル型の整列トレイ20iのマトリクスを構成しているそれぞれの凹部に、矩形素子Xij(imp)のそれぞれを粗配置した後、整列トレイ20iの角部A側が慣性力Finrtを与え、矩形素子Xij(imp)に逆向きの慣性力Finrtを働かせることにより、3~300万個以上の大量の矩形素子Xij(imp)のそれぞれの被整合移動部が、凹部のそれぞれに設けられた整合コーナEの整合稜に整合するように整列する。第1実施形態では、図5K~5Nに示した構成で重力の効果を利用したが、第4実施形態に係る整列装置では、整列トレイ20iに慣性力Finrtが作用するように整列トレイ20iに慣性力Finrtを与えることで、大量矩形素子Xij(imp)を、整列トレイ20iの凹部のピッチと同一ピッチで高精度な一括整列が可能となる。矩形素子Xij(imp)が高精度に一括整列された後の工程は、既に第1実施形態に係る整列方法で図5O~5Rを用いて説明した工程と実質的に同一であるので、重複した説明を省略する。
第4実施形態に係る整列方法によれば、3~300万個以上の大量の矩形素子Xij(imp)の高精細集積技術において、慣性力Finrtが作用するように整列トレイ20iに慣性力Finrtを与えることで、大量の矩形素子Xij(imp)の一括移動を高精度に行うことができる。従って、歩留まりやスループットを低下させることなく、簡易な構成で高精度に位置合わせ、又は2次元ピッチ精度に優れた高精細一括整列をすることが可能な高精細集積技術を確立することができる。また、第4実施形態に係る整列トレイ、整列装置、又は整列方法を用いれば、一度に3~300万個以上の矩形素子Xij(imp)の位置合わせができるので、スループットの低下もない。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の第1~第4実施形態を説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替的な実施の形態、実施例、及び運用技術が明らかとなろう。例えば本発明の対象とする微少チップ(マイクロチップ)とは、第1~第4実施形態を説明したLEDチップに限定されるものではなく、検出器チップでもよい。赤色LEDチップXqpR、緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBの3色セットと同様に、材料の異なる複数種類の検出器チップのセットで1画素を構成すれば、テラヘルツ帯から紫外線まで検出可能なイメージセンサが可能になる。また、LEDチップの代わりに微少なレンズ、微少な鏡、微少な光学フィルタを配列すれば、マイクロレンズアレイ、マイクロミラーアレイ、マイクロフィルタアレイが構成できる。
例えば図5A~図5Jに示した工程で、赤色LEDチップXqpR、緑色LEDチップXqpG及び青色LEDチップXqpBを整列トレイ20aの凹部22qpR,22qpG,22qpB内に同時に配置する例を示したが例示に過ぎない。図5A~図5Jに示した手順に代えて、例えば、図11(a)に示すように赤色LEDチップXqpR,Xq(p+1)R毎、図11(b)に示すように緑色LEDチップXqpG,Xq(p+1)G毎、及び図11(c)に示すように青色LEDチップXq(p-1)B,XqpB,Xq(p+1)B毎と、3回に分けて整列トレイ20aの凹部22内に搬送してもよい。3回に分けて搬送するにあたり、例えばPDMSで凸部を設けたスタンプ方式を用い、先ず整列トレイ20aの凹部のピッチを考慮して赤色LEDチップXqpRを間引いてピックアップする。その後、整列トレイ20aの凹部のピッチを考慮して緑色LEDチップXqpGをスタンプ方式で間引いてピックアップし、更に整列トレイ20aの凹部のピッチを考慮して青色LEDチップXqpBをスタンプ方式で間引いてピックアップする等の種々のピックアップ方式が採用可能である。この際、青色LEDチップXq(p-1)B,XqpB,Xq(p+1)Bを最初に整列トレイ20aの凹部に配置しても、緑色LEDチップXqpG,Xq(p+1)Gを最初に整列トレイ20aの凹部に配置してもよく、図11の(a)~(c)の順序は問わない。
現在のマイクロLEDディスプレイには、光強度、中央の波長、発光波長の幅がばらつくという課題がある。マイクロLEDディスプレイに用いられるLEDチップの特性は結晶成長の際のわずかな膜厚の変化によって変動するため、LEDチップの光強度、中央の波長、発光波長の幅が、それぞればらつくためである。したがって、従来のマイクロLEDディスプレイにおいては、色ムラ等のばらつきを防ぐため、製造工程直後のウェハ上のチップ領域からダイシングされたLEDチップを、そのまま実装基板に実装するので無く、ダイシングされたLEDチップを、一度シャッフルして実装基板上に搭載して、実装基板上の電極に電気的に接合することが望まれている。
第1~第4実施形態に係る整列トレイを用いれば、レーザーリフトオフ法やピックアンドプレース(Pick &Place)法等を用いて、複数のウェハから任意の位置のLEDチップをピックアップして、図11に例示したような整列トレイ20aの任意の凹部に、時分割で順次収納できるので、LEDチップのシャッフルと同じ効果を得ることができる。例えば、実際の複数のLEDチップの特性バラツキを、例えば光強度l、中央の波長m、発光波長nで数値化し、l×m×n個の分類(l,m,n)を作る。例えば、分類(l,m,n)が50の場合は、50個の凹部を一ブロックとして、分類の異なるLEDを一ブロックに収めるように、図11に例示したように順次収納すれば、シャッフルする以上に、光強度、中央の波長、発光波長の幅のばらつきを低減できる。多数の凹部を一ブロックとするような場合には、第1~第4実施形態において開示した整列トレイの技術的思想を用いて、現在困難とされている一辺が30μm以下の超微細素子の一括整列をし、一ブロックの大きさを小さくすることが望ましい。よって、一辺が30μm以下等の超微細素子を一括整列をすることにより、色むらのない、極めて顕著な超精細集積技術としての効果を奏することができる。
本明細書の冒頭部分で、「微少素子」とは、大量の素子を一括で実装するのが困難になる微少なサイズを有した特定の機能を備えた素子を意味すると定義した。例えば、屋外ディスプレイなどの大型ディスプレイの製造工程においては、チップの対角線長が150μmを超えるサイズの大量の素子を一括で実装したい場合もある。チップの対角線長が150μmを超える半導体チップ等も、1~2万個等以上のレベルの大量の素子を一括で扱ってスループットを向上させたい状況において、大型ディスプレイの大きさに比して、各半導体チップの大きさは、相対的に「微小素子」に該当する。よって、本明細書の冒頭で定義した「微少素子」の概念は、大型ディスプレイの実装技術に用いられる半導体チップであっても、本発明の「素子」として好適に採用可能である。より包括的に定義すると、本発明の「素子」とは、一括で大量に実装するのが困難になるレベルのサイズと個数を有した特定の機能を備えた部材の集合の要素を意味する。大型ディスプレイの実装に際しては、大型ディスプレイと同程度の大きさを有した巨大な整列トレイが用いられることになる。
第2実施形態に係る整列方法で、多角形柱状や円柱状の立体形状のような回転の自由度がある場合は、窪み23qpRVを設けておくことにより、陽極電極82RA又は陰極電極82RCのパターンの位置と配向の方向の両方を正確に制御できることを説明した。しかし、図12に示すように、陽極電極85RA又は陰極電極85RCの平面パターンが回転対称性を有している非矩形素子XqpRcであれば、多角形柱状や円柱状の非矩形素子XqpRcに回転の自由度があっても、図13(b)に示すように整列トレイ20sの凹部のコーナに整合させることで、目的とする実装基板のバンプ等に正確に位置合わせして実装できる。図示を省略しているが、非矩形素子が六角形柱や八角形柱の場合、陽極電極や陰極電極のパターンは、六回回転対称や八回回転対称であれば、環状に連続しているパターンに限らず、不連続な周期的パターンであってもよい。なお、図12(b)は、図12(a)に示した平面図の中心を通る直径に沿って切断した断面図であるが、簡略化された模式表現がされている。即ち、図12(b)では円柱状に構成された半導体層を層87と層88の2層構造に簡略化表現して示しているが、図12は、非矩形素子XqpRcのLEDとしての概念的な構造を説明する模式図に過ぎない。非矩形素子XqpRcの主領域を示す半導体部分の構造は、実際には組成の異なる多元系半導体層のダブルヘテロ構造を含むような複雑な多層円柱構造であり、絶縁膜等の表示等も省略している。
図13(a)は、整列トレイ20sの凹部に円柱形状の非矩形素子XqpRcを粗配置した状態を示す。図13(a)において、整列トレイ20sの凹部を4×4のマトリクスに簡略表示されている。現実には整列トレイ20sの凹部は300×100や3000×1000、更にはこれ以上のマトリクスになる。例えば、図5K及び図5Lに示した2軸揺動駆動や、図5Mに示した1軸揺動駆動等の重力の分力による移動力を作用させた後、整列トレイ20sの傾斜を水平に戻すと、図13(b)に示すように、非矩形素子XqpRcのそれぞれの被整合移動部が、それぞれの凹部にそれぞれ定義される整合コーナに整合した状態となる。非矩形素子XqpRcが円柱形状の場合は、整列トレイ20sのそれぞれの凹部の内部において、非矩形素子XqpRcの側面の母線の1本が整列トレイ20sの凹部のX軸方向に伸びる垂直側壁面に内接し、他の母線の1本がY軸方向に伸びる整列トレイ20sの凹部垂直側壁面に内接する。非矩形素子XqpRcが整合コーナに整合した状態において2つの母線内接部と整合コーナに設定される内接稜で囲まれた空間に露出する非矩形素子XqpRcの側面が、非矩形素子XqpRcが円柱形状の場合の「被整合移動部」として定義される。このように、非矩形素子XqpRcが円柱形状や多角形柱状の場合においては、整合稜に近い部位として非矩形素子XqpRcの立体形状を定義する側面の一部から、被整合移動部が選択される。
図5K~5Mに示すように、重力の分力の効果を利用しても、第3実施形態の遠心力を利用しても、第4実施形態の衝撃力を利用しても、図13(a)に示した粗整列の非矩形素子XqpRcは、整列トレイ20sの凹部の整合コーナのピッチと同一ピッチで高精度な一括整列が可能となる。非矩形素子XqpRcの場合は、非矩形素子XqpRcの実装基板に接続される予定の電極の平面パターンが回転対称もしくは回転対称に近い対称性を有していれば、整列トレイ20sの中で非矩形素子XqpRcが自由に回転しても良い。したがって、非矩形素子XqpRcを用いる場合は、図13に示すように、整列トレイ20sの凹部のサイズを大きくして入れやすいようにできる。例えば、第1~第4実施形態では、平面パターンで見たときの整列トレイの凹部のそれぞれの対角長を、対応する方向の矩形素子のそれぞれの対角長のよりもそれぞれ50%以上長く設計される例を説明したが、非矩形素子XqpRcを用いる場合は、非矩形素子XqpRcの対角長の80%~100%以上長く設計しても構わない。即ち、非矩形素子XqpRcの場合は、整列トレイ20sの内部に多数の非矩形素子XqpRcを収納するプロセスで、凹部への合わせ誤差が大きくても凹部のサイズが大きいため、凹部への位置合わせが可能になり、スループットの向上にも有利であるという、矩形素子に比して有利な効果を奏することができる。
又、第1~第4の実施の形態で説明したそれぞれの技術的思想を、可能な範囲で適宜、互いに組み合わせてもよい。例えば、第2の実施の形態の変型例で図7を用いて説明した逆四角推台状の窪み23qpRTを有する整列トレイ20cの構造を、第3の実施の形態で説明した整列トレイ20t1として用いてもよく、第4の実施の形態で説明した整列トレイ20iとして用いてもよい。その他、上記の実施の形態において説明される各構成を任意に応用した構成等、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。