JP7299752B2 - 飲料、および飲料の嗜好性向上方法 - Google Patents

飲料、および飲料の嗜好性向上方法 Download PDF

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Description

本発明は、飲料、および飲料の嗜好性向上方法に関する。
従来、オレンジなどの柑橘類の果汁を含む飲料が広く親しまれているが、果汁含有率としては、数パーセントのものから、100パーセントのものまで様々であり、それに応じて飲料に求められる嗜好性も多様である。
たとえば、特許文献1には、果汁率を30~70%とした柑橘類果汁飲料が開示されている。特許文献1によれば、特定のエステル物質と、特定のテルペン系炭化水素類とを含むことによって、生の柑橘類果汁に近似した風味を得る技術が開示されている。
特開2011-167171号公報
特許文献1記載の飲料は、果汁率が30~70%であるにも関わらず、果汁率が100パーセントの飲料において得られるようなコクや満足感を得ることに着目したものであった。
これに対し、本発明者らは、果汁率が100パーセント未満の飲料において求められるスッキリとした飲みやすさに着目した。しかしながら、果汁率を下げることでスッキリ感は得られやすくなるものの、果汁感も低下してしまうため、スッキリ感と果汁飲料らしいおいしさを得ることは従来トレードオフの関係にあった。そこで、本発明者らは鋭意検討を重ね、果汁率(ストレート果汁換算)が1w/w%以上、80w/w%以下である飲料において、リナロールと、特定のエステル類香気成分とを組み合わせ、これらの濃度を特定範囲に制御することで、スッキリ感と果汁飲料らしいおいしさとのバランスを向上できることを見出した。
本発明によれば、
柑橘類果汁と、以下の成分(a)、(b)を含み、前記柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)が1w/w%以上、80w/w%以下である、飲料が提供される。
(a)リナロールを0.4ppm以上、5.0ppm以下。
(b)酪酸メチル、酪酸エチル、2-メチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、および3-ヒドロキシヘキサン酸エチルからなる群より選ばれる1種または2種以上を0.7ppm以上、2.5ppm以下。
本発明によれば、
柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)が1w/w%以上、80w/w%以下である飲料の嗜好性向上方法であって、
前記柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)を1w/w%以上、80w/w%以下となるように調製する工程と、
(a)リナロール濃度を0.4ppm以上、5.0ppm以下、(b)酪酸メチル、酪酸エチル、2-メチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、および3-ヒドロキシヘキサン酸エチルからなる群より選ばれる1種または2種以上の濃度を0.7ppm以上、2.5ppm以下となるように調製する工程と、
を含む、飲料の嗜好性向上方法が提供される。
本発明によれば、スッキリ感と果汁飲料らしいおいしさとのバランスが向上された飲料に関する技術を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。
[果汁含有飲料]
本実施形態の果汁含有飲料は、柑橘類果汁を含有する飲料であり、具体的には、柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)が1w/w%以上、80w/w%以下であり、好ましくは10w/w%以上、40w/w%以下であり、より好ましくは15w/w%以上、35w/w%以下である。
当該果汁率を、上記下限値以上とすることにより、果汁らしいおいしさが得られやすくなる。一方、果汁率を、上記上限値以下とすることにより、スッキリ感が得られやすくなる。
なお、果汁率とは、柑橘類を搾汁して得られ、濃縮等の処理を行っていない柑橘類の搾汁(ストレート果汁)のBrix値または酸度を100%としたときの相対濃度である。果汁率をBrix値または酸度のいずれに基づいて算出するかはJAS規格に基づき柑橘類の種類ごとに定められている。また、果汁の果汁率をJAS規格のBrix値に基づいて換算する場合、果汁に加えられた糖類、はちみつ等のBrix値は除いて算出される。
[柑橘類果汁]
柑橘類果汁とは、柑橘類を破砕して搾汁したり、あるいは裏ごししたりするなどして得られる液体成分をいう。また、柑橘類の果汁には、当該液体成分を濃縮したものや、これらの希釈還元物も含まれてもよく、パルプ分を含むもの、または、ろ過や遠心分離等の処理によりパルプ分を除去したものあってもよい。
また、柑橘類果汁としては、ストレート果汁、濃縮果汁、濃縮還元果汁などを用いてもよい。
柑橘類とは、ミカン科ミカン亜科に属する植物の果実を意味する。具体的な柑橘類としては、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、ブラッドオレンジなどのオレンジ類、うんしゅうみかん、マンダリンオレンジ、ぽんかん、紀州みかん、アンコール、ダンゼリン、コウジ、シークワーサー、タチバナ、不知火などのみかん類、ナツダイダイ、はっさく、ヒュウガナツ、サンボウカン、河内晩柑、キヌカワ、ナルトなどの雑柑類、タンカン、いよかん、マーコット、清見、オーランド、ミネオラ、セミノール等のタンゴール・タンゼロ類、メキシカンライム、タヒチライム等のライム類、リスボンレモン、ユーレカレモン、ディアマンテ、エトローグ等のレモン類、バンペイユ、土佐ブンタン等のブンタン、ダンカン、マーシュ、トムソン、ルビーレッド等のグレープフルーツ類、ゆず、カボス、スダチ、ハナユ、キズ等のユズ類、キンカン、カラタチが挙げられる。
なかでも、果汁らしいおいしさとスッキリ感とを向上させる観点から、オレンジ類、みかん類、雑柑類、タンゴール・タンゼロ類、ライム類、ユズ類、レモン類、およびグレープフルーツ類からなる群から1種または2種以上選択される柑橘類の果汁が含有されることが好ましく、オレンジ類、みかん類、レモン類、グレープフルーツ類からなる群から1種または2種以上選択される柑橘類の果汁が含有されることがより好ましく、オレンジ類および/またはみかん類の果汁が飲料中に含有されることがさらに好ましい。
本実施形態に係る柑橘類果汁の調製に用いることのできる柑橘類について、その品種、産地、熟度、大きさなどは特に限定されず、適宜設定することができる。
また、柑橘類果汁として市販のジュースや濃縮ジュース、ペーストなどを用い、本実施形態の柑橘類果汁含有飲料を調製するようにしてもよい。具体的には、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)で指定されたジュースや濃縮ジュースを挙げることができ、例えばこれらのうち1種または2種以上を本実施形態の柑橘類の果汁含有飲料調製のために用いることができる。
[香気成分]
本実施形態の飲料は、以下の香気成分(a)、(b)を含む。
(a)リナロール、(b)酪酸メチル(methyl butyrate)、酪酸エチル(ethyl butyrate)、2-メチル酪酸エチル(ethyl 2-methyl butyrate)、ヘキサン酸エチル(ethyl hexanoate)、ヘキサン酸アリル(allyl hexanoate)、および3-ヒドロキシヘキサン酸エチル(ethyl 3-hydroxy hexanoate)からなる群より選ばれる1種または2種以上のエステル類と、を含む。
香気成分(a)のリナロールは、モノテルペンアルコールの一種であり、リンゴ、ブドウ、柑橘類等の果実やトマトなどの果菜類などに含まれる。典型的には、柑橘類果実風味の芳香を有する。
リナロール濃度は0.4ppm以上、5.0ppm以下であり、好ましくは1.0ppm以上、3.0ppm以下である。リナロールと、後述する香気成分(b)とを組み合わせ、濃度を特定の数値範囲とすることで、スッキリ感と果汁飲料らしいおいしさとのバランスを向上できる。
香気成分(a)は、柑橘類果汁に含まれているものに限られず、飲料に添加される香料に含まれるものであってもよい。例えば、果汁率が40w/w%以下の場合は、香料を添加することが好ましい。
香気成分(b)は、エステル類であり、主に、リンゴ、バナナなどに含まれ、甘い芳香を呈する傾向がある。
香気成分(b)濃度は、0.7ppm以上、2.5ppm以下である。すなわち、酪酸メチル、酪酸エチル、2-メチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、および3-ヒドロキシヘキサン酸エチルからなる群より選ばれる1種または2種以上の合計の濃度が、0.7ppm以上、2.5ppm以下である。
香気成分(b)濃度は、好ましくは、1.0ppm以上、2.0ppm以下である。
香気成分(b)と、リナロール(a)とを組み合わせ、濃度を特定の数値範囲とすることで、スッキリ感と果汁飲料らしいおいしさとのバランスを向上できる。なかでも、香気成分(b)としては、酪酸メチル、2-メチル酪酸エチル、およびヘキサン酸エチルであることが好ましい。
香気成分(b)の濃度は、柑橘類果汁に含まれているものに加え、別途香料を添加することによって初めて、上記数値範囲を実現できる。
香気成分の定量は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS、アジレント・テクノロジー社製、7890GC/5975MSD)を用いた固相マイクロ抽出法(SPME)法により行うことができる。定量には、標準添加法を用いることができるが、必要に応じて絶対検量線法を用いてもよい。なお、上記測定サンプルについて3サンプルずつ準備し、その定量結果の平均値を測定結果とすることができる。準備した測定サンプルを含む20mLバイアル瓶を、50℃で10分間の加熱処理を施した後、当該バイアル瓶の気相部分にシグマアルドリッチ社製のSPMEファイバー(DVB/CAR/PDMS)を挿入し、5分間、揮発成分を捕集した。このSPMEファイバーをGC/MSに設置し、300秒間焼成することにより、捕集した揮発成分を脱離することができる。
本実施形態の飲料は、100パーセント未満の特定の果汁率の果汁飲料において、リナロールを0.4ppm以上、5.0ppm以下と、酪酸メチル、酪酸エチル、2-メチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、および3-ヒドロキシヘキサン酸エチルからなる群より選ばれる1種または2種以上を0.7ppm以上、2.5ppm以下とを組み合わせることで、スッキリ感と果汁飲料らしいおいしさとのバランスを向上できる。かかるメカニズムの詳細は明らかではないが、果汁率を低くすることで低下する果汁感に対し、エステル類により果汁らしい満足感、コク感等が適度に得られつつ、リナロールによる柑橘類らしいさっぱり感、さわやかさが得られ、両者のバランスが良好になることで、飲料として摂取したときにスッキリ感と果汁飲料らしいおいしさが両立できると推測される。
[その他成分]
本実施形態の飲料は、本発明の効果が得られる限りにおいて、上記以外の種々の成分を含んでもよい。例えば、甘味料、酸味料、香料、pH調整剤、上記以外の果汁、各種栄養成分、着色料、希釈剤、酸化防止剤、増粘安定剤等を含んでもよい。
上記の甘味料としては、公知のものを使用することができ、たとえば、ショ糖、ブドウ糖、グラニュー糖、果糖、乳糖、麦芽糖、果糖ブドウ糖液糖等の糖類、糖アルコール、ならびに、タウマチン、ステビア抽出物、グリチルリチン酸二ナトリウム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、およびサッカリンナトリウム等の高甘味度甘味料などが挙げられる。甘味料は1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記の酸味料としては、例えば、無水クエン酸、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、フィチン酸、アスコルビン酸、リン酸又はそれらの塩類等が挙げられる。なかでも、柑橘類果実らしい風味を得る観点から、無水クエン酸およびその塩が好ましい。
上記の香料としては、天然香料および合成香料が挙げられ、柑橘類果実風味を呈する香料、その他果実風味を呈する香料が挙げられる。柑橘類としては、上述した柑橘類を想起させるものであれば特に限定されない。
[酸度]
本実施形態の飲料は、クエン酸酸度が0.22g/100ml以上、0.45g/100ml以下であることが好ましい。
酸度を、上記下限値以上とすることにより、おいしさが得られるようになる。一方、酸度を、上記上限値以下とすることにより、過度な酸味を抑制し、さっぱり感とおいしさを両立できる。
酸度は、100ml中に含まれる有機酸量をクエン酸に換算した場合のグラム数(無水クエン酸g/100ml)で表すことができる。酸度もまた、JAS規格の酸度測定法で定められた方法、具体的には0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。
[pH]
本実施形態の飲料の20℃におけるpHは、2.8~4.6であることが好ましく、3.1~4.2であることがより好ましく、3.3~4.0であることがさらに好ましい。これにより、さっぱり感とおいしさを良好に保持できる。
なお、pHの測定は、市販のpH測定器を用いるなどして行うことができる。pHの調整は、例えば、特定酸の量を変えることや、pH調整剤を用いることなどにより行うことができる。
[製造方法]
本実施形態の飲料は、常法にしたがって製造することができる。例えば、冷凍濃縮オレンジジュース(FCOJ)を原料として用い、飲料製造後の果汁率が所定の数値範囲となるようにFCOJを水で希釈するとともに、必要に応じて、リナロール、および酪酸メチル、酪酸エチル、2-メチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、および3-ヒドロキシヘキサン酸エチルからなる群より選ばれる1種または2種以上を配合して、飲料を調製することができる。
[容器]
本実施形態の飲料は、加熱殺菌され、容器に詰められた状態の容器詰め飲料としてもよい。このときの容器としては、ガラス、紙、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート等)、アルミ、およびスチール等の単体もしくはこれらの複合材料又は積層材料からなる密封容器が挙げられる。また、容器の種類は、特に限定されるものではないが、たとえば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。
さらに飲料を外観から観察し、透明性、色などを確認できる観点から、容器は透明であることが好ましく、具体的にはペットボトルまたは無着色の瓶が好ましい。また、取扱性、流通性、携帯性等の観点から、容器はペットボトルであることが好ましい。
[飲料の嗜好性向上方法]
本実施形態の飲料の嗜好性向上方法は、柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)が1w/w%以上、80w/w%以下である飲料の嗜好性向上方法であって、前記柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)を1w/w%以上、80w/w%以下となるように調製する工程と、(a)リナロール濃度を0.4ppm以上、5.0ppm以下、(b)酪酸メチル、酪酸エチル、2-メチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、および3-ヒドロキシヘキサン酸エチルからなる群より選ばれる1種または2種以上の濃度を0.7ppm以上、2.5ppm以下となるように調製する工程と、を含むものである。これにより、飲料のスッキリ感と果汁飲料らしいおいしさとのバランスを向上できる。なお、飲料としては、上述した飲料を用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 柑橘類果汁と、以下の成分(a)、(b)を含み、前記柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)が1w/w%以上、80w/w%以下である、飲料。
(a)リナロールを0.4ppm以上、5.0ppm以下。
(b)酪酸メチル、酪酸エチル、2-メチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、および3-ヒドロキシヘキサン酸エチルからなる群より選ばれる1種または2種以上を0.7ppm以上、2.5ppm以下。
2. 前記柑橘類果汁が、オレンジ類、みかん類、雑柑類、タンゴール・タンゼロ類、ライム類、ユズ類、レモン類、およびグレープフルーツ類からなる群から1種または2種以上から選ばれる柑橘類の果汁を含有する、1.に記載の飲料。
3. 前記柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)が10w/w%以上、40w/w%以下である、1.または2.に記載の飲料。
4. クエン酸酸度が0.22g/100ml以上、0.45g/100ml以下である、1.乃至3.いずれか一つに記載の飲料。
5. (a)リナロールを1.0ppm以上、3.0ppm以下含む、1.乃至4.いずれか一つに記載の飲料。
6. 柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)が1w/w%以上、80w/w%以下である飲料の嗜好性向上方法であって、
前記柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)を1w/w%以上、80w/w%以下となるように調製する工程と、
(a)リナロール濃度を0.4ppm以上、5.0ppm以下、(b)酪酸メチル、酪酸エチル、2-メチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、および3-ヒドロキシヘキサン酸エチルからなる群より選ばれる1種または2種以上の濃度を0.7ppm以上、2.5ppm以下となるように調製する工程と、
を含む、飲料の嗜好性向上方法。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実験1]リナロールと酪酸エチルの濃度の違いによる影響の検証
<実施例1~8、比較例1~8>
果糖ぶどう糖液糖110g/L、オレンジ混濁濃縮果汁36g/L(ブリックス値64°)、無水クエン酸1.4g/L、オレンジ香料0.5g/Lとし、果汁率20%、酸度0.28の試験液を調合し、リナロールと酪酸エチルを表1,2に示す濃度となるように配合して果汁含有飲料を得た。飲料のpHは、3.6であった。
<対照例>
リナロール、酪酸エチルを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、果汁含有飲料を得た。
得られた果汁含有飲料について、以下の測定・評価を行った。結果を表1,2に示す。
<測定>
・香気成分の定量:香気成分を、固相マイクロ抽出-質量分析計付きガスクロマトグラフィー(Solid Phase MicroExtraction-Gas Chromatography-Mass Spectrometry:SPME-GC-MS)法により定量した。具体的な分析条件の例は以下のとおりである。
[香気成分含有量の分析条件]
分析対象である飲料10mLを、あらかじめ3.5gのNaClを入れた固相マイクロ抽出(SPME)用バイアルに入れ、密栓した。各バイアルを70℃で10分間振盪した後、SPME用ファイバー(DVB/CAR/PDMS,Stableflex 23Ga(Gray)50/30μm:SIGMA-ALDRICH社製)をバイアル中のヘッドスペースに露出させた。70℃で5分間、揮発性成分をファイバーに吸着させた後、注入口で5分間脱着させ、GC/MSにより分析を行った。検量線は標準添加法にて作成し、内標としてn-ブチルベンゼンを用いた。
[GC/MSの分析条件]
GC:Agilent Technologies社製7890B。
MS:Agilent Technologies社製5977A MSD。
カラム:AgilentTechnologies社製DB-WAX UI 30m×0.25mm、膜厚0.25μm。
流量:1.0ml/min。
注入法:スプリット(50:1)。
スプリット流量:50ml/min。
キャリアガス:He。
注入口温度:240℃。
トランスファーライン:240℃。
オーブン温度:40℃(5min)→5℃/min→240℃(0min)、ポストラン240℃(5min)。
MS条件:SIM 5.9min 酪酸エチル m/z88、21.2min リナロール m/z121、14.2min n-ブチルベンゼン(内標)m/z92。
<評価>
・官能評価:実施例および比較例の飲料(20℃)それぞれを、熟練した4名(A~D)の開発者が試飲し、以下の評価基準に従い、「すっきりしている」、「おいしさ」それぞれについて、7段階(1~7点)評価を実施するとともに、その平均点を求めた。また、開発者A~Dの個別の評価結果も併せて表中に示した。なお、評価する際は、対照例の飲料を対照品(基準値4点)として評価を実施した。
・評価基準
「すっきりしている」
7点・・・対照品よりも非常にすっきりしている
6点・・・対照品よりもすっきりしている
5点・・・対照品よりもややすっきりしている
4点・・・対照品と同等の強さ
3点・・・対照品よりもややすっきりしていない
2点・・・対照品よりもすっきりしていない
1点・・・対照品よりも非常にすっきりしていないか全くすっきりしていない
「おいしさ」
7点・・・対照品よりも非常においしい
6点・・・対照品よりもおいしい
5点・・・対照品よりもややおいしい
4点・・・対照品と同等の強さ
3点・・・対照品よりもややおいしくない
2点・・・対照品よりもおいしくない
1点・・・対照品よりも非常においしくないか全くおいしくない
Figure 0007299752000001
Figure 0007299752000002
[実験2]酸度の違いによる影響の検証
<実施例4,9,10>
果糖ぶどう糖液糖110g/L、オレンジ混濁濃縮果汁36g/L(ブリックス値64°)、オレンジ香料0.5g/L、リナロール1.81ppm、酪酸エチル1.00ppm、果汁率20%の試験液を調合し、酸度が表3に示す数値となるように無水クエン酸を配合して果汁含有飲料を得た。
得られた果汁含有飲料について、実験1と同様の測定・評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0007299752000003
[実験3-1]酸度0.40における果汁率の違いによる影響の検証
<実施例4,11~13>
オレンジ香料0.5g/Lに、Bx、果汁率、酸度、リナロールおよび酪酸エチル濃度が表4に示す数値となるように、果糖ぶどう糖液糖、オレンジ混濁濃縮果汁、無水クエン酸、リナロールおよび酪酸エチルを配合して果汁含有飲料を得た。
得られた果汁含有飲料について、実験1と同様の測定・評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0007299752000004
[実験3-2]酸度0.28における果汁率の違いによる影響の検証
<実施例4,実施例14~16>
オレンジ香料0.5g/Lに、Bx、果汁率、酸度、リナロールおよび酪酸エチル濃度が表5に示す数値となるように、果糖ぶどう糖液糖、オレンジ混濁濃縮果汁、無水クエン酸、リナロールおよび酪酸エチルを配合して果汁含有飲料を得た。
得られた果汁含有飲料について、実験1と同様の測定・評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 0007299752000005
[実験4]香気成分(b)の種類の違いによる影響の検証
<実施例4,17~26、比較例9,10>
果糖ぶどう糖液糖110g/L、オレンジ混濁濃縮果汁36g/L(ブリックス値64°)、オレンジ香料0.5g/L、酸度0.28となるように無水クエン酸を配合し、果汁率20%の試験液を調合し、リナロールと、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、2‐メチル酪酸エチルを表6に示す濃度となるように配合して果汁含有飲料を得た。飲料のpHは、3.6であった。
得られた果汁含有飲料について、実験1と同様の測定・評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 0007299752000006

Claims (8)

  1. 柑橘類果汁と、以下の成分(a)、(b)を含み、前記柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)が1w/w%以上、40w/w%以下である、飲料(ただし、乳清ミネラル0.5質量%を含む飲料を除く)
    (a)リナロールを0.4ppm以上、5.0ppm以下。
    (b)酸エチル、2-メチル酪酸エチル、およびヘキサン酸エチからなる群より選ばれる1種または2種以上を0.7ppm以上、2.5ppm以下。
  2. 柑橘類果汁と、以下の成分(a)、(b)を含み、前記柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)が1w/w%以上、80w/w%以下である、飲料(ただし、乳清ミネラル0.5質量%を含む飲料を除く)。
    (a)リナロールを1.0ppm以上、5.0ppm以下。
    (b)酪酸エチル、2-メチル酪酸エチル、およびヘキサン酸エチルからなる群より選ばれる1種または2種以上を0.7ppm以上、2.5ppm以下。
  3. 前記柑橘類果汁が、オレンジ類、みかん類、雑柑類、タンゴール・タンゼロ類、ライム類、ユズ類、レモン類、およびグレープフルーツ類からなる群から1種または2種以上から選ばれる柑橘類の果汁を含有する、請求項1または2に記載の飲料。
  4. 前記柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)が10w/w%以上、40w/w%以下である、請求項1乃至3いずれか一項に記載の飲料。
  5. クエン酸酸度が0.22g/100ml以上、0.45g/100ml以下である、請求項1乃至いずれか一項に記載の飲料。
  6. (a)リナロールを1.0ppm以上、3.0ppm以下含む、請求項1乃至いずれか一項に記載の飲料。
  7. 柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)が1w/w%以上、40w/w%以下である飲料の嗜好性向上方法であって、
    前記柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)を1w/w%以上、40w/w%以下となるように調製する工程と、
    (a)リナロール濃度を0.4ppm以上、5.0ppm以下、(b)酸エチル、2-メチル酪酸エチル、およびヘキサン酸エチからなる群より選ばれる1種または2種以上の濃度を0.7ppm以上、2.5ppm以下となるように調製する工程と、
    を含む、飲料の嗜好性向上方法(ただし、乳清ミネラル0.5質量%を含む飲料の嗜好性向上方法を除く)
  8. 柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)が1w/w%以上、80w/w%以下である飲料の嗜好性向上方法であって、
    前記柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)を1w/w%以上、80w/w%以下となるように調製する工程と、
    (a)リナロール濃度を1.0ppm以上、5.0ppm以下、(b)酪酸エチル、2-メチル酪酸エチル、およびヘキサン酸エチルからなる群より選ばれる1種または2種以上の濃度を0.7ppm以上、2.5ppm以下となるように調製する工程と、
    を含む、飲料の嗜好性向上方法(ただし、乳清ミネラル0.5質量%を含む飲料の嗜好性向上方法を除く)。
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