JP7299273B2 - セラミックフィルタ用基材およびセラミックフィルタの製造方法 - Google Patents
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セルが互いに連通すると共にセル数が5ppi~30ppiの範囲にあるエステル系のポリウレタンフォームからなる本体部と、
セラミックフィルタ用基材のフィルタ面を囲むように前記本体部の外周に形成された外周部とを備え、
前記外周部は、溶融固化した前記ポリウレタンフォームでセラミックフィルタ用基材の周面を塞ぐ被膜面を有し、
前記外周部において、前記ポリウレタンフォームのセルに由来して該外周部にあく開口の開口率が、1%~20%の範囲であることを要旨とする。
第1の態様によれば、本体部と該本体部の外周に形成される外周部とを、同じ素材で一体化しているので、外周部が剥がれることはなく、また本体部と外周部との間に継ぎ目や段差等が発生しない。セラミックフィルタ用基材の周面をなす外周部に開口があいているので、セラミックフィルタとする際に開口を介してスラリーの含浸や除去することができ、補強部となるセラミック層の形成が簡単になる。また、外周部は、溶融固化したポリウレタンフォームからなる被膜面を有しているので、被膜面でスラリーを保持することができ、セラミックフィルタ用基材の周面に補強部を簡単に形成することができる。そして、外周部の開口の開口率が1%~20%の範囲であることで、外周部でのスラリーの保持とスラリーの浸透および除去とのバランスをとることができ、セラミックフィルタ用基材の周面に補強部を簡単に形成することができる。
第2の態様によれば、被膜面の平面度公差が0.1mm~2.0mmの範囲にあるので、周面にセラミック層を焼成した際に累積する誤差を小さくすることができ、得られるセラミックフィルタに要求される寸法精度を容易に満たすことが可能となる。
第3の態様によれば、外周部および本体部を通して測定した通気性は、本体部をなすポリウレタンフォームだけを通して測定した通気性に対して、5%~30%の範囲にあることで、外周部でのスラリーの保持とスラリーの浸透および除去とのバランスをとることができ、セラミックフィルタ用基材の周面にセラミック層からなる補強部を簡単に形成することができる。
前記セラミックフィルタ用基材は、前記フィルタ面と直交する方向へ圧縮した際の硬さが、前記ポリウレタンフォームに対して、300%以下の範囲にあることを要旨とする。
第4の態様によれば、セラミックフィルタ用基材におけるフィルタ面と直交する方向へ圧縮した際の硬さが、ポリウレタンフォームに対して、300%以下の範囲にあることで、セラミックフィルタ用基材の周面が外周部で硬くなり過ぎることを防いで、セラミックフィルタ用基材を圧縮してスラリーを除去する際に外周部が邪魔にならない。
第5の態様によれば、フィルタ面を寸法測定した実測値と設計値との寸法公差が、±1%以下の範囲にあるので、周面にセラミック層を焼成した際に累積する誤差を小さくすることができ、得られるセラミックフィルタに要求される寸法精度を容易に満たすことが可能となる。
セルが互いに連通すると共にセル数が5ppi~30ppiの範囲にあるエステル系のポリウレタンフォームを、5mm~20mmの範囲の溶融代を含んで、セラミックフィルタ用基材のフィルタ面よりも大きい相似形状で棒状に形成し、
出口が前記棒状のポリウレタンフォームの外周よりも小さく、かつセラミックフィルタ用基材のフィルタ面の寸法よりも1.001倍~1.025倍大きい相似形状で形成された型に、外周を接触させつつ該棒状のポリウレタンフォームを通し、
加熱した前記型で前記棒状のポリウレタンフォームの外周を溶融して、溶融固化した該ポリウレタンフォームでセラミックフィルタ用基材の周面を塞ぐ被膜面を有する外周部を、該周面にあく開口の開口率が1%~20%の範囲になるように形成するようにしたことを要旨とする。
第6の態様によれば、溶融固化したポリウレタンフォームからなる外周部によって、セラミックフィルタ用基材の周面を完全に閉塞することなく、周面に所定の開口率で開口があいた外周部を備えたセラミックフィルタ用基材を簡単に形成することができる。また、溶融代を5mm~20mmの範囲に設定することで、セラミックフィルタ用基材の周面を塞ぐ被膜面を外周部にあく開口の総開口面積よりも広くなるように調節することができる。すなわち、得られる基材について、外周部にあく開口の開口率を1%~20%のような好適な範囲に設定することができる。得られるセラミックフィルタ用基材は、本体部と該本体部の外周に形成される外周部とを、同じ素材で一体化しているので、外周部が剥がれることはなく、また本体部と外周部との間に継ぎ目や段差等が発生しない。得られるセラミックフィルタ用基材は、該セラミックフィルタ用基材の周面をなす外周部に開口があいているので、セラミックフィルタとする際に開口を介してスラリーの含浸や除去することができ、補強部となるセラミック層の形成が簡単になる。また、外周部は、溶融固化したポリウレタンフォームからなる被膜面を有しているので、被膜面でスラリーを保持することができ、セラミックフィルタ用基材の周面に補強部を簡単に形成することができる。そして、外周部の開口の開口率が1%~20%の範囲であることで、外周部でのスラリーの保持とスラリーの浸透および除去とのバランスをとることができ、セラミックフィルタ用基材の周面に補強部を簡単に形成することができる。しかも、外周を接触させつつ棒状体を型に通すので、棒状体における溶融した外周を型の型面で成形して、外周部の被膜面を平滑に形成することができる。更に、外周部の成形収縮を見込んで型の出口の大きさを設定しているので、得られるセラミックフィルタ用基材の寸法精度を向上させることができる。従って、得られるセラミックフィルタ用基材は、平滑な被膜面にスラリーをのせ易く、得るべきセラミックフィルタに要求される寸法精度を容易に満たすことが可能となる。
第7の態様によれば、被膜面の平面度公差が0.1mm~2.0mmの範囲にある平滑性に優れた外周部を、簡単に形成することができる。そして、得られるセラミックフィルタ用基材は、被膜面の平面度公差が0.1mm~2.0mmの範囲にあるので、周面にセラミック層を焼成した際に累積する誤差を小さくすることができ、得られるセラミックフィルタに要求される寸法精度を容易に満たすことが可能となる。
第8の態様によれば、溶融代の設定によって、外周部の通気性を所定範囲に簡単に調節することができる。そして、得られるセラミックフィルタ用基材は、外周部および本体部を通して測定した通気性が、本体部をなすポリウレタンフォームだけを通して測定した通気性に対して、5%~30%の範囲にあることで、外周部でのスラリーの保持とスラリーの浸透および除去とのバランスをとることができ、セラミックフィルタ用基材の周面にセラミック層からなる補強部を簡単に形成することができる。
前記セラミックフィルタ用基材は、前記フィルタ面と直交する方向へ圧縮した際の硬さを、前記ポリウレタンフォームに対して、300%以下の範囲にあるように形成することを要旨とする。
第9の態様によれば、外周部によって得られるセラミックフィルタ用基材の硬さを簡単に調節することができる。そして、得られるセラミックフィルタ用基材は、フィルタ面と直交する方向へ圧縮した際の硬さが、ポリウレタンフォームに対して、300%以下の範囲にあることで、セラミックフィルタ用基材の周面が外周部で硬くなり過ぎることを防いで、セラミックフィルタ用基材を圧縮してスラリーを除去する際に外周部が邪魔にならない。
第10の態様によれば、フィルタ面の寸法公差が±1%以下の範囲にあるセラミックフィルタ用基材を簡単に形成することができる。そして、得られるセラミックフィルタ用基材は、フィルタ面を寸法測定した実測値と設計値との寸法公差が±1%以下の範囲にあるので、周面にセラミック層を焼成した際に累積する誤差を小さくすることができ、得られるセラミックフィルタに要求される寸法精度を容易に満たすことが可能となる。
第11の態様によれば、棒状のポリウレタンフォームの周面形状が多角形の場合に、該ポリウレタンフォームの角部を面取りすることで、型を通る際にポリウレタンフォームの面と角部とで変形度合いを均等にして、得られるセラミックフィルタ用基材の周面同士がなす角部の精度を向上することができる。
表1および表2に示すポリウレタンフォームの種類として、以下のものを用いている。
1.エステル系
・セル数8ppi:商品名 モルトフィルター MF-8(株式会社イノアックコーポレーション製、密度:30±5kg/m3、セル数:8±2ppi)
・セル数13ppi:商品名 モルトフィルター MF-13(株式会社イノアックコーポレーション製、密度:30±5kg/m3、セル数:13±3ppi)
・セル数20ppi:商品名 モルトフィルター MF-20(株式会社イノアックコーポレーション製、密度:30±5kg/m3、セル数:20±4ppi)
・セル数30ppi:商品名 モルトフィルター MF-30(株式会社イノアックコーポレーション製、密度:30±5kg/m3、セル数:30±4ppi)
・セル数40ppi:商品名 モルトフィルター MF-40(株式会社イノアックコーポレーション製、密度:30±5kg/m3、セル数:40±4ppi)
2.エーテル系
比較例9-セル数13ppi:商品名 モルトフィルター CFH-13(株式会社イノアックコーポレーション製、密度:30±5kg/m3、セル数:13±3ppi)
外周部における開口の開口率は、 KEYENCE社製のデジタルマイクロスコープ(VHX-5000)を用いて基材の周面に形成された外周部を観察し、外周部にあいた開口の総面積を算出した。そして、開口の総面積を、基材の周面に形成された外周部の総面積で除して、外周部に占める開口の割合を算出した。判定は、スラリー中に各基材を浸漬してスラリーを含浸させた後に、圧延によって外周部からスラリーが排出されるか否かで判断した。すなわち、スラリーが外周部から排出される場合は、「〇」と判定した。そして、含浸したスラリーが本体部や外周部に過剰に残っている場合は、「×」と判定した。スラリーは、約60%の炭化ケイ素、15%のアルミナ、5%のシリカ、10%のレオロジー改質剤(抗泡剤、分散剤、安定剤、バインダなど)を含み、水の量で適当な粘度になるように調整されている。なお、以降のスラリーを用いる試験でも同じものを使用している。
前記[0057]で説明した四角形の棒状体を、長手方向に裁断して、厚み方向の片面に溶融固化したポリウレタンフォームからなる外周部を有する試験片(50mm角×厚み10mm)を作成した。また、前記棒状体と同じポリウレタンフォームからなり、外周部を有していない通風基準片(50mm角×厚み10mm)を、試験片と同じ大きさで作成した。測定の有効面積が30mmφとなる治具で試験片または通風基準片の厚み方向両側から挟み、試験片について外周部が介在する場合の通気試験を行い、通風基準片についてポリウレタンフォームのみの場合の通気試験を行った。なお、JIS L1096:2010 A法に基づき、テクステスト社製の通気性試験機(FX3300)を用いて行った。試験片で測定した値を対応する通風基準片で測定した値で除して、本体部をなすポリウレタンフォームに対する外周部の通気性(%)を算出した。判定は、スラリー中に各基材を浸漬してスラリーを含浸させた後に、圧延によって外周部からスラリーが排出されるか否かで判断した。すなわち、スラリーが外周部から排出される場合は、「〇」と判定し、特に排出が円滑である場合は、「◎」と判定した。そして、含浸したスラリーが本体部や外周部に過剰に残っている場合は、「×」と判定した。
前記[0057]で説明したように形成した基材を用意する。また、各実施例および比較例と対応するポリウレタンフォームから、外周部を有していない硬さ基準片(50mm角×厚み10mm)を基材と同じ大きさで作成した。基材および硬さ基準片よりも大きな圧縮板によって、基材および硬さ基準片のそれぞれを厚み方向に圧縮し、硬さをそれぞれ測定する。なお、測定条件は、前圧縮無しで、100mmφの圧縮板で圧縮速度10mm/minで圧縮した場合であり、厚みの50%まで圧縮した際の25%圧縮時の数値を測定した。なお、測定は、島津製作所社製のオートグラフ(AGS-J)を用いて行った。基材を測定した値を対応する硬さ基準片を測定した値で除して、基材におけるフィルタ面と直交する方向へ圧縮した際の硬さを、ポリウレタンフォームに対する割合で算出した。基材の硬さがポリウレタンフォームに対して300%より大きいとスラリーを絞りにくくなるのが判っているので、基材の硬さが300%よりも大きい場合を「×」とし、基材の硬さが201%~300%である場合を「〇」とし、基材の硬さが200%以下である場合を「◎」と判定した。
平面度公差を測定する場合は、90°の角度で直交する2本の真っ直ぐな金属片を有する測定治具を、四角形の基材における外周部の隣り合う2辺に接触させる。基材における外周部の一辺において対向する金属片と接触する部位を最凸部とし、この最凸部を基準(ゼロ)として、基材における外周部の一辺において対向する金属片から最も離れている部位を最凹部として測定を行い、最凸部と最凹部との間隔を求める。外周部における他の辺についても、同様の手順で最凸部と最凹部との間隔を求める。4辺の最凸部と最凹部との間隔の平均値(N=4)を算出し、これを平面度公差とする。真円度公差は、基材10の任意の5箇所の直径をデジタルノギスで測定を行い、得るべき基材の直径と測定結果との差を求めた。そして、5箇所の差の平均値(N=5)を算出し、これを真円度公差とする。平面度公差および真円度公差は、基材に要求されている精度を満たす2.0mm以下である場合を「〇」と判定し、特に良好な1.0mm以下である場合を「◎」と判定し、2.0mmより大きい場合を「×」と判定する。
基材におけるフィルタ面の寸法公差は、多角形の場合、外周部の隣り合う辺同士がなす角から、この角が対向する辺に直交するように引いたラインで寸法をデジタルノギスで角の数だけ測り、平均値を算出する。そして、平均値と得るべき基材のフィルタ面の寸法(設計値)との誤差(平均値/設計値×100(%))を求め、これを寸法公差とする。ここで、四角形の基材の場合は、対向する面間の距離を測っている。また、円形の場合は、基材10の任意の5箇所の直径をデジタルノギスで測定を行い、得るべき基材の直径と測定結果との差を求めた。そして、5箇所の差の平均値(N=5)を算出し、フィルタ面の寸法(設計値)との誤差(平均値/設計値×100(%))を求め、これを寸法公差とする。寸法公差は、基材に要求されている精度を満たす±1.0%以下である場合を「〇」と判定し、特に良好な±0.5%以下である場合を「◎」と判定し、±1.0%より大きい場合を「×」と判定する。
前述した構成に限定されず、例えば以下のようにも変更することができる。
(1)型は、通孔の全体が得るべきセラミックフィルタ用基材の周面形状と相似形状にすることに限らず、棒状体に対する接触解除位置となる出口で少なくとも相似形状となっていればよい。
(2)型の出口は、型面と棒状体との接触が解除される位置を指し、棒状体との接触解除位置から下流側へ向けて型面を広がるように形成してもよい。
(3)型の入口は、型面と棒状体との接触が開始される位置を指し、棒状体との接触開始位置の上流側に入口へ向かうにつれて狭くなるように、型面を設けてもよい。型における入口の上流側を、溶融代に応じて加えた寸法から更に1mm~10mm程度大きく設定し、棒状体よりも大きくしてもよい。つまり、型における棒状体の導入口は、棒状体に対して、同じかやや大きく設定することが望ましい。型の入口の上流側に型面を設けることで、棒状体の型への導入が容易となり、該型面から棒状体を予熱することができる。
14 外周部,14a 開口,14b 被膜面,26 型,27 出口,S 溶融代
Claims (4)
- セラミックフィルタのフィルタ面に置き換えられる上面及び下面と、セラミックフィルタの周面に置き換えられる側面とを備える、ポリウレタンフォーム製のセラミックフィルタ用基材であって、
前記上面及び下面の通気性に対する前記側面の通気性が5%~30%の範囲内である
ことを特徴とするセラミックフィルタ用基材。 - 前記側面が、溶融固化したポリウレタンフォームで形成されている請求項1記載のセラミックフィルタ用基材。
- 請求項1または2記載のセラミックフィルタ用基材に、セラミック材料を含むスラリーを含浸させ、加熱焼結する
ことを特徴とするセラミックフィルタの製造方法。 - 前記スラリーを含浸させた前記セラミックフィルタ用基材を圧縮して、余分なスラリーを除去する請求項3記載のセラミックフィルタの製造方法。
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