JP7298922B2 - 非破壊試験用打撃装置及びその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート等の構造物内部に生じたひび割れ、空洞などの内部欠損個所(変状部)や内部の物性について、弾性波・超音波等の検出装置を構造物表面に接触させ、構造物を破壊することなく試験する技術に係り、特に試験装置の上向き、水平、下向きの方向による打撃力が変化しないよう制御されている非破壊試験用打撃装置及びその制御方法に関する。
コンクリート構造物は、トンネル、橋梁などの大型構造物が多い。コンクリート構造物の欠陥に関しては、建設時の施工不良、建設後の静的な外力や、疲労、鉄筋腐食に伴う膨張圧などによるコンクリート内部のひび割れ、PCグラウト(プレストレストコンクリート注入材)の充填度等が評価対象となる。このような欠陥の存在はコンクリート構造物の耐荷重性能、耐久性に大きな影響を与えるものであり、内部のひび割れ等の検出はコンクリート構造物の維持に重要なことである。
コンクリート構造物の物性に関しては、コンクリート構造物を部分的に破壊して検査されることが多い。コンクリートの強度、密実さ、塩分などの有害物質の存在量等、非破壊試験により外部から調査できるものが多い。これらの情報はコンクリート構造物の現在の耐荷重性能を評価するのみならず、将来の劣化状態を推定するために重要なことである。
コンクリートの非破壊試験装置の加振源として、ソレノイド電磁ハンマーを用いている。このソレノイド電磁ハンマー(打撃装置)は、電磁ソレノイド装置により可動させることが多い。図12に示すように、非破壊試験装置に組み込まれた打撃装置51(電磁ソレノイド装置)は、筒状の電磁路ヨーク52内に、電磁コイル53を備えたボビン54が設けられ、このボビン54の内側に可動プランジャー(可動鉄心)55が可動自在に挿通されている。可動プランジャー55の先端部に打撃ハンマー56が取り付けられている。更に、この可動プランジャー55を引き戻す引き戻しバネ57を備えた装置である。電磁コイル53に通電すると電磁力により可動プランジャー55が吸引されて可動するようになる。
この引き戻しバネ57の一端に可動プランジャー55を、他端にこの引き戻しバネ57を固定する固定部として機能する止ネジ58を有する。打撃ハンマー56は、可動プランジャー55の一端に取り付けられている。打撃ハンマー56は、ハンマー保護カウリング59から出没するようになっている。
可動プランジャーを往復動させる電磁ソレノイド装置に関する技術として、例えば特許文献1の特開2009-295711公報「電磁ソレノイド装置」のように、コイルを巻回した筒状のボビンと、一端面部と前記一端面部の両側から略直角方向に延出して形成された外側面部を一体的に有し、内部に前記ボビンを収容するヨークと、前記ヨークの前記一端面部と対向する側に設けられて透孔部を形成したプレート部材と、前記ヨークの前記一端面部に一体成形により膨出状に形成されて前記ボビンの中空部に同軸的に対向する突状のコアステータと、前記プレート部材の前記透孔部から前記ボビンの前記中空部を介して軸方向に往復移動可能に挿通されて前記コイルへの通電時に生じる電磁力により前記コアステータに吸引される可動プランジャーとを備えた電磁ソレノイド装置が提案されている。
このような打撃装置は、非破壊試験装置などに搭載して使用される。トンネルの非破壊試験では、図13に示すように、この打撃装置51を上向きにして使用する場合が多い。更に、水平、下向きのあらゆる方向に向けて使用しているため、打撃装置51は入力方向による打撃力が変化しないよう制御する必要がある。
特開2009-295711公報
このような打撃装置51による非破壊試験は、試験装置の上向き、水平、下向きの方向の変化により打撃力が変化しないように試験が実施されている。しかし、打撃面のコンクリートの凹凸により、打撃ハンマー56の打撃距離が変化し加振力が変化しやすい。この加振力が変化すると正確な測定ができないという問題を有していた。
また、従来の打撃装置51は、可動プランジャー55が前後動する構成であるため、内部に埃等を吸い込みやすい。この打撃装置51の内部に侵入した埃は打撃装置51又は可動プランジャー55の故障の原因になりやすい。打撃によるコンクリートの破片粉塵などが、打撃ハンマー56のシリンダ、可動プランジャー55間に詰まり、作動不能の事態となることがあった。
打撃装置51を、非破壊試験装置などのロボットなどに搭載し、トンネルなどの広範囲な場所について無人で連続計測を行う場合に、破片粉塵などが打撃ハンマー56のシリンダ、可動プランジャー55間に詰まり、作動不能の事態になると、その非破壊試験作業を中断して復旧作業をする必要があった。その復旧にはロボットを含むシステムの総てを停止するため、重大な問題であった。
更に、コンクリート面とソレノイド電磁ハンマーとの間に、走行用のローラを設けた打撃装置も提案されている。このローラを設けた打撃装置は、ローラを支持するブラケットを打撃する構成である。このブラケットを打撃する方式ではベアリングを介して弾性波が伝播するため伝播損失が大きくなり、大きな押し付け力を必要とした。そのために、コンクリートに衝撃弾性波を安定的に与えることができないという問題を有していた。
本発明の発明者は、エネルギーが物体から物体へ移動し、又は形態が変化するときに、その総量は変化しないという「エネルギー保存の法則」に着目した。打撃ハンマーを大きく移動させなければ不具合が生じないことに着目した。打撃装置を構成する打撃ハンマーは、金属製の素材から成り、しかも重量の重いものを使用している。これを上下方向に加振していると位置が変化する。また、隙間から埃等が侵入しやすい。そこで、コンクリートの打撃部分と加振機構を分離し、加振機構を気密状態内に収納することに着目した。
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、加振方向が上向き、水平、下向きの方向による変化に対応でき、コンクリートの凹凸面に影響を受けることなく一定の加振力をコンクリートに与えることができ、コンクリートの破片粉塵などの侵入を防止して、再現性が高く安定して計測することができる非破壊試験用打撃装置及びその制御方法を提供することにある。
本発明の非破壊試験用打撃装置は、構造物(C)と常に接触しながら該構造物(C)内部の欠陥を非破壊試験する際に、該構造物(C)に弾性波を入力する非破壊試験用打撃装置(1)であって、
コイルを巻回した電磁コイル(8)と、該電磁コイル(8)を収容する、略筒形状の電磁路ヨーク(6)とを具備した電磁ソレノイド部(2)と、
前記電磁ソレノイド部(2)内に往復動自在に取り付けられた、磁性を有する筒形状のハンマープランジャー(9)の一端に打撃部(3a)を、他端に該打撃部(3a)を引き戻す引き戻しバネ(11)を具備した可動プランジャー部(3)と、
前記電磁ソレノイド部(2)に軸方向に隣接して取り付けられた、構造物(C)に当てるローラ(14)と、該ローラ(14)を打撃するために、伝振ロッド用貫通孔(15)内に摺動自在になる伝振ロッド(16)を具備したハンマーヘッド部(4)と、を備え、
前記電磁ソレノイド部(2)とハンマーヘッド部(4)内に略気密状に取り付けられた前記可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の打撃部(3a)が、前記伝振ロッド(16)を打撃すると、該伝振ロッド(16)の打撃を受けた前記ローラ(14)から構造物(C)に弾性波が伝播され
前記ハンマープランジャー(9)の打撃部(3a)が伝振ロッド(16)を打撃したときに、打撃部(3a)から伝振ロッド(16)へ流れる電流をセンサが検知し、この検知した電気信号を測定開始信号とするように構成された、ことを特徴とする。
前記伝振ロッド(16)は、
前記伝振ロッド用貫通孔(15)に取り付けられた、略円形状の平板に開けられた円形孔(17a)に、該円形孔(17a)の円周から該円形孔(17a)の中心方向に向けて複数本形成された爪(17b)から成る板バネ(17)が取り付けられ、
該伝振ロッド(16)の先端部(16a)が、前記ローラ(14)から常時離れないように保持されている。
前記電磁ソレノイド部(2)に軸方向に隣接して、有底円筒形状の調整部(5)を取り付け、
該調整部(5)に、前記ハンマーヘッド部(4)の打撃方向が、上下方向、水平状態、傾斜方向で変化する際に、該可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の自重による位置変化を確認するために、該ハンマープランジャー(9)の変位位置を測定する位置センサ(21)を設けることができる。
前記調整部(5)に、前記ハンマープランジャー(9)が往復動する際に、前記電磁路ヨーク(6)とハンマーヘッド部(4)内において変化する内圧を調整する、一方向のみに開くリード弁(31)を設けることができる。
本発明の制御方法は、構造物(C)に弾性波を発生させる際に用いる打撃装置を制御する、非破壊試験用打撃装置(1)の制御方法であって、
コイルを巻回した電磁コイル(8)と、該電磁コイル(8)を収容する、略筒形状の電磁路ヨーク(6)とを具備した電磁ソレノイド部(2)と、前記電磁ソレノイド部(2)内に往復動自在に取り付けられた、磁性を有する筒形状のハンマープランジャー(9)の一端に打撃部(3a)を、他端に該打撃部(3a)を引き戻す引き戻しバネ(11)を具備した可動プランジャー部(3)と、前記電磁ソレノイド部(2)に軸方向に隣接して取り付けられた、構造物(C)に当てるローラ(14)と、該ローラ(14)を打撃するために、伝振ロッド用貫通孔(15)内に摺動自在になる伝振ロッド(16)を具備したハンマーヘッド部(4)と、を備えた非破壊試験用打撃装置(1)を用いて非破壊試験する際に、
前記電磁路ヨーク(6)とハンマーヘッド部(4)内に略気密状に取り付けられた前記可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の打撃部(3a)が、前記伝振ロッド(16)を打撃すると、該伝振ロッド(16)の打撃を受けた前記ローラ(14)から構造物(C)に弾性波を伝播させ、
前記可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の自重による位置変化を測定する位置センサ(21)により、該ハンマープランジャー(9)の上下方向、水平状態、傾斜方向への変位位置を確認し、該ハンマープランジャー(9)の打ち出し強度を調整
前記ハンマープランジャー(9)の打撃部(3a)が伝振ロッド(16)を打撃したときに、打撃部(3a)から伝振ロッド(16)へ流れる電流をセンサが検知し、この検知した電気信号を測定開始信号とする、ことを特徴とする。
前記位置センサ(21)は発光部(23)と受光部(24)とから成り、該位置センサ(21)が前記可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の変位位置の認識範囲量を測定し、
前記非破壊試験用打撃装置(1)が上下方向、水平状態、傾斜方向の状態の何れかであると判定し、前記電磁コイル(8)の励磁力を調整し、該可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の打ち出し強度を調整する。
前記電磁ソレノイド部(2)は、前記位置センサ(21)が前記打撃装置の姿勢を測定し、その姿勢に応じて該電磁ソレノイド部(2)に流れる電流時間(加速時間)を自動的に補正する。
前記ハンマープランジャー(9)の打撃部(3a)が伝振ロッド(16)を打撃したときに、流れる電流をセンサーが検知し、この検知した電気信号を測定開始信号とする。
上記構成の非破壊試験用打撃装置(1)では、可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の打撃部(3a)が、ハンマーヘッド部(4)の伝振ロッド(16)を打撃すると、この伝振ロッド(16)はローラ(14)を打撃し、加振されたローラ(14)から構造物(C)に弾性波が伝播される。非破壊試験用打撃装置(1)として弾性波を構造物(C)に入力させることができる。コンクリート等の構造物(C)の凹凸面に影響を受けることなく、一定の弾性波を構造物(C)に極めて安定して与えることができる。弾性波発生点の情報を出力し、受信装置(41)からの情報処理の基準時点とすることができる。
この可振する可動プランジャー部(3)が電磁ソレノイド部(2)とハンマーヘッド部(4)内に略気密状に取り付けられているので、可動プランジャー部(3)が外部から埃等を吸い込むことがない。そこで、非破壊試験用打撃装置(1)が埃等の吸い込みよる作動不能になることを回避することができる。極めて再現性の高い安定した衝撃弾性波の発生が可能となる。
なお、伝振ロッド(16)は板バネ(17)により、この伝振ロッド(16)の先端部(16a)がローラ(14)に触れるように保持されているが、この板バネ(17)の弾性力は弱いので、ローラ(14)の回転を阻害することはない。
また、加振する際も伝振ロッド(16)の先端部(16a)がローラ(14)に打撃する時間は瞬時のため、ローラ(14)の回転を阻害しない。
位置センサ(21)は、可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の変位位置を測定することにより、非破壊試験用打撃装置(1)が下向き状態か上向き状態か傾斜状態かの別を判定でき、更にハンマープランジャー(9)の変位位置の認識範囲量を測定することができる。その判定結果に基づき、電磁コイル(8)への電力の強弱を調整することで、非破壊試験用打撃装置(1)の下向き又は上向きのいずれの状態でも正確に試験をすることができる。
電磁コイル(8)の通電時に可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)が往復動する際に、調整部(5)のリード弁(31)により、電磁ソレノイド部(2)(電磁コイル(8))内の空気が逃げ出さず、その空気抵抗によりエアダンパー効果を生じる。そこで、可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)を引き戻す際に、電磁ソレノイド部(2)内部に埃を引き込みづらくなる。
上記構成の制御方法では、調整部(5)(位置センサ(21))によりハンマーヘッド部(4)のローラ(14)が上向きか下向きか傾斜状態かの別を判定し、その向きに応じて電磁コイル(8)の励磁力を調整する。そこで、ハンマーヘッド部(4)が下向き又は上向きのいずれの状態でも、コンクリート構造物などの壁面(W)に対してハンマーヘッド部(4)のローラ(14)の押圧力を均一にして非破壊試験用打撃装置(1)を作動させることができる。
コンクリート等の構造物(C)面を試験移動する走行中のローラ(14)は、伝振ロッド(16)を介して可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の打撃部(3a)が当たる構成になる。このハンマープランジャー(9)の打撃部(3a)が伝振ロッド(16)に打撃する衝突速度が、作業方向(上向き、水平、下向き)によらず、一定の衝撃弾性波生成となるよう自動制御することができる。
本発明の非破壊試験用打撃装置を示す側断面図である。 本発明の非破壊試験用打撃装置を示す正断面図である。 本発明の打撃装置を示す正断面図であり、(a)は可動プランジャーの打撃部が伝振ロッドを打撃する前の状態、(b)は可動プランジャーの打撃部が伝振ロッドを打撃した状態である。 板バネの一例を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図である。 位置センサを示す概略説明平断面図である。 位置センサとハンマープランジャーとの位置関係を示す断面図であり、(a)はハンマーヘッド部が下向き状態、(b)はハンマーヘッド部が水平状態、(c)はハンマーヘッド部が上向き状態である。 ハンマ指令とハンマ作動時間との関係を示すグラフであり、(a)はハンマーヘッド部が下向きのハンマ作動時間、(b)はハンマーヘッド部が水平状態のハンマ作動時間、(c)はハンマーヘッド部が上向きのハンマ作動時間である。 調整部のリード弁の一例を示し、(a)は拡大断面図、(b)は拡大正面図である。 リード弁の動作状態を示し、(a)はハンマープランジャーの動作で電磁ソレノイド部内が負圧状態、(b)は加圧状態である。 本発明の打撃装置を動作させるシステムの一例を示す系統図である。 本発明の打撃装置の動作状態を示す動作フロー図である。 従来の打撃装置を示す正断面図である。 従来の打撃装置を示す正断面図である。
本発明の非破壊試験用打撃装置は、コンクリート等の構造物と常に接触しながら構造物に弾性波を入力する打撃装置であり、コイルを巻回した電磁コイルと、この電磁コイルを収容する、略筒形状の電磁路ヨークとを具備した電磁ソレノイド部と、この電磁ソレノイド部内に往復動自在に取り付けられた、磁性を有する筒形状のハンマープランジャー内の一端に打撃部を、他端に打撃部を引き戻す引き戻しバネを具備した可動プランジャー部と、電磁ソレノイド部に隣接して取り付けられた、構造物に当てるローラと、このローラを打撃する、往復動自在になる伝振ロッドを具備したハンマーヘッド部と、を備えた打撃装置である。
電磁ソレノイド部とハンマーヘッド部内に略気密状に取り付けられたハンマープランジャーの打撃部が、伝振ロッドを打撃すると、同時にこの伝振ロッドの打撃を受けたローラから構造物に弾性波が伝播される。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の非破壊試験用打撃装置を示す側断面図である。図2は本発明の非破壊試験用打撃装置を示す正断面図である。
本発明の非破壊試験用打撃装置1は、鉄道のトンネル、高速道路のトンネル、コンクリート等の建造物などのコンクリート等の構造物Cの壁面Wに生じたひび割れ、気泡などの劣化を検査する際に用いる試験装置である。この非破壊試験用打撃装置1は、弾性波の入力装置として用いられ、非破壊試験装置に取り付けられる。この非破壊試験装置をコンクリート等の壁面Wに沿って走行させながら広範囲に非破壊試験を行う。
本発明の非破壊試験用打撃装置1の打撃により検査対象物のコンクリート等の構造物C内で伝播した弾性波は、受信装置41が受信する。受信装置としては加速度センサが用いられる。この受信した弾性波について、反射エコーや波の周波数、位相などを分析し、構造物内部の欠陥CR、背面空洞Sの有無、その欠陥の位置までの距離を測定する。なお、これらの実施例では、コンクリート製の構造物Cについて説明しているが、本発明の検査対象物はこのコンクリート製の構造物に限定されない。鋼橋の金属製構造物についても検査対象物となる。
本発明の非破壊試験用打撃装置1は、主に電磁ソレノイド部2、可動プランジャー部3、ハンマーヘッド部4と調整部5とから構成されている。このハンマーヘッド部4のローラ14をコンクリート壁面wに当て、その打撃による振動を捉えてコンクリート壁面W内部の不具合、欠損か所を試験する。
<電磁ソレノイド部の構成>
電磁ソレノイド部2は、円筒形状の電磁路ヨーク6の内部に、ボビン7にコイルを巻回した電磁コイル8を備えた部材である。電磁路ヨーク6は、磁性体である筒状の鋼材で形成され、一端面部に調整部5が着脱自在に取り付けられ、他端面部に電磁路ヨークフランジを介在させて、ハンマーヘッド部4が取り付けられる。
本発明の非破壊試験用打撃装置1を他の部材又は部品に取り付けるときは、例えば電磁路ヨーク6の外周に、固定用フランジを形成する。この固定用フランジにはネジ用挿通孔を開ける。
電磁ソレノイド部2には、電磁コイル8の内径より短い外径を有し、ハンマープランジャー9の外径より長い内径を有するプランジャーシリンダ10が備えられている。このプランジャーシリンダ10内において可動プランジャー部3(ハンマープランジャー9)を円滑に往復動させるようになっている。円筒形のプランジャーシリンダ10には、位置センサ21の発光部23と受光部24の受発光を遮断しないように透光窓18が2カ所開けられている。
<可動プランジャー部の構成>
可動プランジャー部3は、両底に開口を有する円筒形状のプランジャーシリンダ10の内部に、引き戻し用のコイルスプリング等の引き戻しバネ11を備えた部材である。この引き戻しバネ11の一端にハンマーヘッド部4の伝振ロッド16の後端部16bに打撃する打撃部3aを、他端にこの引き戻しバネ11を固定する固定部として機能するバネ固定ネジ12を有する。打撃部3aは、ハンマープランジャー9の一方の開口(図1と図2では下部)に固定されている。図示例ではネジ止めするようになっている。これでハンマープランジャー9と打撃部3aとは一体で動作するようになる。
ハンマープランジャー9は、電磁ソレノイド部2の電磁コイル8内に同心的で軸方向に往復動自在に挿通されている。電磁コイル8の通電時に電磁路ヨーク6及びハンマープランジャー9等の磁気関連部材に磁気回路が生じ、ハンマープランジャー9が励磁力により電磁コイル8内に吸引されて移動する。この繰り返しで非破壊試験用打撃装置1の打撃ハンマーとして機能する。
一方、引き戻しバネ11のバネ固定ネジ12は調整部5に固定される。この引き戻しバネ11は、ハンマープランジャー9の他方の開口には固定されていない。打撃部3aと同時にハンマープランジャー9が移動動作できるように、引き戻しバネ11で伸縮する動作を干渉しないようにするためである。図示例では、ハンマープランジャー9は打撃部3aに固定されている。
可動プランジャー部3のハンマープランジャー9の周囲に滑動リング13が2個取り付けられている。この滑動リング13は、プランジャーシリンダ10内においてハンマープランジャー9を円滑に往復動させる機能を有する。図示例では2個の滑動リング13が示されているが、この個数に限定されないことは勿論である。
<ハンマーヘッド部の構成>
図3は本発明の打撃装置を示す正断面図であり、(a)は可動プランジャーの打撃部が伝振ロッドを打撃する前の状態、(b)は可動プランジャーの打撃部が伝振ロッドを打撃し、そのエネルギーがローラに伝播した状態である。
本発明の非破壊試験用打撃装置1のハンマーヘッド部4は、構造物を打撃し、構造物に弾性波を伝播させる部材である。ハンマーヘッド部4は、例えば電磁路ヨーク6の他端面部に電磁路ヨークフランジを介在させて取り付けられている。
このハンマーヘッド部4は、加振部分となるローラ14が回動自在に取り付けられている。本発明の非破壊試験用打撃装置1を備えた非破壊試験装置は、コンクリート構造物C、例えばトンネル、鉄道用、自動車道路用の何れの場合にも使用される。試験対象が広範囲に及ぶので、非破壊試験用打撃装置1を移動させながら打撃する場合が多い、そこで、ハンマーヘッド部4が移動しながらでも正確かつ円滑に打撃できるように、打撃部としてローラ14が取り付けられている。このローラ14の回転軸のベアリングは、ボールベアリングより、ニードルベアリングが好ましい。回転軸に「点接触」ではなく「線接触」の方が弾性波を確実に伝播しやすいからである。
このハンマーヘッド部4には、その軸方向に伝振ロッド用貫通孔15がローラ14に向けて開けられている。この伝振ロッド用貫通孔15内に伝振ロッド16が往復動自在に取り付けられている。伝振ロッド16は略円柱状の部材であり、その一端に先端部16aが、他端に後端部16bが形成されている。伝振ロッド16の後端部16bは可動プランジャー部3のハンマープランジャー9の打撃部3aにより打撃される部分であり、先端部16aはローラ14を打撃して加振する部分である。本発明では、コンクリート面Cに接触したローラ14を伝振ロッド16で直接打撃するため弾性波の伝搬損失は軽微となる。従来のようにローラのベアリングを介在して間接的に打撃する打撃装置に比較して、大きな押し付け力を必要としない。極めて安定した衝撃弾性波をコンクリートに与えることができる。
また、伝振ロッド16には、周囲にリング状に溝が形成されている。この溝に滑動リング16cが2個取り付けられている。この滑動リング16cは、伝振ロッド用貫通孔15内において。伝振ロッド16を円滑に往復動させる機能を有する。滑動リング16c又はダイアフラムによる隔壁を設けることにより、外気を遮断しコンクリートの破片、粉塵の侵入を防止することができる。図示例では2個の滑動リング16cが示されているが、この個数に限定されないことは勿論である。
図4は板バネの一例を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
伝振ロッド16は、その先端部16aがローラ14から常時離れないように付勢する板バネ17で保持されている。板バネ17は、図示するように、略円形状の平板に円形の17aが開けられ、この円形孔17aの円周に、中心方向に向けて複数本の爪17bが形成されている。各爪17bの先端は同一方向に傾斜して形成されている。各爪17bは、図4(a)に示すように、やや上向きに曲げられ、伝振ロッド16を引き戻すようになっている。図示例に示される複数の円形の孔はネジ止め用の挿通孔である。
この板バネ17は、例えば、ハンマーヘッド部4に開けた伝振ロッド用貫通孔15の一端(図1と図2では上部)に、ネジ止めで取り付けられている。伝振ロッド16は、複数本の爪17bの先端に挟まれるように保持されている。
この非破壊試験用打撃装置1の試験中にローラ14は回転するが、伝振ロッド16の先端部16aは、板バネ17の付勢力により軽くローラ14に接しているので、ローラ14の回転を阻害することがない。また、加振する際も伝振ロッド16の先端部16aがローラ14に触れる(打撃する)時間は瞬時のため、ローラ14の回転を阻害しない。
伝振ロッド16の先端部16aは金属材質が望ましい。金属製のローラ14を打撃し、この伝振ロッド16の打撃エネルギーをローラ14に損失なく移動させるためである。エネルギーを保存させるべく、伝振ロッド16の先端部16aの金属材質は、ローラ14の金属材質と同じものが良い。
なお、伝振ロッド16の後端部16bは、その一部に打撃部3aが当たる位置に、金属以外の他の素材で構成することができる。これは打撃部3aが金属同士であると、一方又は両方が摩耗、あるいは火花を発しやすいからである。但し、弾性波をコンクリート等の構造物Cに伝播しやすいようにある程度の硬度は必要である。
このように本発明の非破壊試験用打撃装置1は、構造物Cの面とソレノイド電磁ハンマ間に、走行用のローラ14を設け、このローラ14により構造物Cと接触部の背面を伝振ロッド16の後端部16bを、可動プランジャー部3のハンマープランジャー9の打撃部3aで打撃して加振する構成である。従来の車輪ブラケットの打撃方式では、ローラのベアリングを介し弾性波が伝搬するため伝搬損失と大きな押し付け力を必要とせず、安定性が向上する。
ハンマープランジャー9の打撃部3aと伝振ロッド16とを電気的に絶縁された状態にしておき、この打撃部3aが伝振ロッド16を打撃したとき、即ち打撃部3aと伝振ロッド16が接触したときに、電流が流れる構成にすることができる。このように打撃部3aが伝振ロッド16を打撃したときに、流れる電流をセンサ(図示せず)が検知し、このセンサからの電気信号を測定開始信号とすることで、極めて安定した計測ができる。
<位置センサの構成>
図5は位置センサを示す概略説明平断面図である。図6は位置センサとハンマープランジャーとの位置関係を示す断面図であり、(a)はハンマーヘッド部が下向き状態、(b)はハンマーヘッド部が水平状態、(c)はハンマーヘッド部が上向き状態である。
位置センサ21は、図示するように、可動プランジャー部3のハンマープランジャー9の位置を確認する位置計測窓18がプランジャーシリンダ10に2か所設けられている。非破壊試験ではハンマーヘッド部4(ローラ14)を常に下向き状態で検査するのではなく、ハンマーヘッド部4(ローラ14)を上向き状態、更には水平状態、傾斜状態で試験することが多い。このとき重量がある可動プランジャー部3のハンマープランジャー9(打撃部3a)は引き戻しバネ11で支持されているために、可動プランジャー部3(ハンマープランジャー9の打撃部3a)の位置が異なる。このとき電磁コイル8への電力量を調整することで、非破壊試験用打撃装置1の下向き又は上向き、又は水平状態、傾斜状態のいずれの状態でも打撃して正確に弾性波を構造物Cに入力することができる。
位置センサ21は、例えば発光部23の赤外線LEDを発光し、これを受光部24で受光し、受光センサが感知することで、可動プランジャー部3(ハンマープランジャー9)が存在しないことを意味する。逆に受光部24で受光しないときは、発光が可動プランジャー部3で遮断されたことを意味する。これにより、可動プランジャー部3の位置を確認することができる。なお、図5の平断面図に示すように、発光部23と受光部24の発光線を、円形の中心を通らない位置に配置したのは、この部分に引き戻しバネ11が存在するからである。この引き戻しバネ11の構成に対応して発光部23と受光部24の配置状態が決められる。
なお、受光部24に代えて反射部(図示していない)を用いてもよい。このときは位置計測窓22に位置センサ21(発光部23)から発光し、これを反射部で反射すれば、可動プランジャー部3のハンマープランジャー9が存在しないことを意味する。逆に反射部で反射しないときは、発光がハンマープランジャー9で遮断されたことを意味する。これにより、ハンマープランジャー9の位置を確認することができる。
例えば、ハンマーヘッド部4(ローラ14)が下向き状態のときは、図6(a)に示すように、位置センサ21を用いてハンマープランジャー9の位置を確認する。このときは、ハンマープランジャー9はその自重で引き戻しバネ11が伸長する状態になり、位置センサ21からこれを視認したときに、ハンマープランジャー9の変位位置を確認する。この図示例ではハンマープランジャー9が下端まできた状態を示している。
位置センサ21がハンマープランジャー9の変位位置を認識しないときは、非破壊試験用打撃装置1が下向きの状態にあると判定し、電磁ソレノイド部2の励磁力を調整する。可動プランジャー部3(ハンマープランジャー9)打ち出し強度を調整する。
一方、ハンマーヘッド部4(ローラ14)が上向き状態のときは、図6(c)に示すように、位置センサ21を用いてハンマープランジャー9の位置を確認する。このときは、ハンマープランジャー9はその自重で引き戻しバネ11が収縮する状態になり、位置センサ21から視認したときに、ハンマープランジャー9の変位位置を確認する。また、ハンマーヘッド部4(ローラ14)が水平状態又は傾斜状態のときも、図6(b)に示すように、位置センサ21はハンマープランジャー9を視認しやすい。
位置センサ21がハンマープランジャー9の変位位置を認識しないときは、非破壊試験用打撃装置1が下向きの状態にあると判定し、電磁ソレノイド部2の励磁力を調整して可動プランジャー部3の打ち出し強度を調整する。
このように、本発明の非破壊試験用打撃装置1は調整部5(位置センサ21)を有するので、打撃操作でハンマーヘッド部4が上向き、又は下向きと向きが異なるときに、電磁コイル8への励磁力を調整する。そこで、非破壊試験用打撃装置1の下向き又は上向きのいずれの状態でも正確に振動検出(打音検査)をすることができる。
更に、非破壊試験用打撃装置1の水平状態、傾斜状態についても、この位置センサ21が可動プランジャー部3(ハンマープランジャー9)の変位位置の認識範囲量を測定することにより、変位状態を確認することができる。このときも非破壊試験用打撃装置1が傾斜した状態にあると判定し、電磁コイル8の励磁力を調整し、可動プランジャー部3(ハンマープランジャー9)の打ち出し強度を調整する。
図7はハンマ指令とハンマ作動時間との関係を示すグラフであり、(a)はハンマーヘッド部が下向きのハンマ作動時間、(b)はハンマーヘッド部が水平状態のハンマ作動時間、(c)はハンマーヘッド部が上向きのハンマ作動時間である。
図6(a)に示すようにハンマーヘッド部4が下向きの場合は、既にハンマープランジャー9の自重が加わるため、これを吸引する電磁ソレノイド部2の通電時間は自重分を考慮して調整する(t1)。そこで、下向きハンマ作動時間は、図7(a)に示すような時間で通電するように電磁ソレノイド部2の励磁力を調整する。
図6(b)に示すようにハンマーヘッド部4が水平状態の場合は、ハンマープランジャー9の自重と関係なく、これを吸引する電磁ソレノイド部2の通電時間は、下向きの場合と比べて長く調整する(t2)。水平状態のハンマ作動時間は、図7(b)に示すような時間で通電するように電磁ソレノイド部2の励磁力を調整する。
図6(c)に示すハンマーヘッド部4が上向きの場合は、ハンマープランジャー9の自重により、下向きの荷重がかかり、これを吸引する電磁ソレノイド部2の通電時間は、下向きの場合と比べて更に長く調整する(t3)。水平状態のハンマ作動時間は、図7(c)に示すような時間で通電するように電磁ソレノイド部2の励磁力を調整する。
ここでハンマ指令とはハンマ制御からの打撃指令パルスで、ハンマープランジャー9が伝振ロッド16と打撃部3aを打撃する指令パルスである。ハンマープランジャー9が伝振ロッド16を打撃する最長作動時間より長い。
ハンマ作動時間とは、ハンマーヘッド部4の姿勢により位置センサ21が作動するまでの時間をいう、ハンマーヘッド部4の姿勢による加速時間が自動的に変化し、衝突時の速度が一定となるように制御する。そこで、位置センサ21の作動位置と、伝振ロッド16と打撃部3aとの間距離は一定になる。吸引トルクが一定になる。
<リード弁(逆止弁)の構成>
図8は調整部のリード弁の一例を示し、(a)は拡大断面図、(b)は拡大正面図である。図9はリード弁の動作状態を示し、(a)はハンマープランジャーの動作で電磁ソレノイド部内が負圧状態、(b)は加圧状態である。
調整部5には、可動プランジャー部3(ハンマープランジャー9)が電磁コイル8内で往復動する際に変化する内圧を調整するために、一方向のみに開くリード弁(逆止弁)31が設けられている。このリード弁31は、有底筒状の調整部5の一部に円周方向の周囲に軸方向に対して垂直に開けられた貫通孔32に取り付けられている。リード弁31は、この貫通孔32と、透孔33を有する弁座34の間に挟まれた状態にある。
リード弁31は図示するように、可撓性を有するシート材の一部に通気孔35が数か所開けられた部材である。各通気孔35は、調整部5の貫通孔32側では通気可能な位置にあるが、弁座34側では透孔33の周囲に配置されるようになり、所定の圧力が掛かり、撓んだ状態にならないと、外部の空気がこのリード弁31を通過しないようになっている。
図9(a)に示すように、弁座34側からの空気は吸入するが、逆に図9(b)に示すように、調整部5内からの空気は通気できない。但し、このシート材から成るリード弁31は、ある程度の可撓性を有するので、電磁ソレノイド部2内での可動プランジャー部3が往復動することに支障はない。
このリード弁31により、電磁コイル8の通電時にハンマープランジャー9が往復動する際に、電磁ソレノイド部2(電磁コイル8)内の空気が逃げ出さず、その空気抵抗によりエアダンパー効果を生じる。そこで、ハンマープランジャー9を緩慢に引き戻すことができ、電磁ソレノイド部2内部に埃を引き込みづらくなる。更に非破壊試験用打撃装置1自身による衝突音の発生を低減することができる。
<システムの構成>
図10は本発明の非破壊試験用打撃装置を動作させるシステムの一例を示す系統図である。図11は本発明の打撃装置の動作状態を示す動作フロー図である。
コンクリート壁面Wに、本発明の非破壊試験用打撃装置1のハンマーヘッド部4の打撃部となるローラ14をコンクリート壁面Wに接触させる。このローラ14でコンクリート壁面Wを打撃する。この打撃により構造物Cに弾性波を入力する。この弾性波は構造物Cに伝播し、加速度センサなどの受信装置41が受信する。受信装置41で受信した弾性波を電気信号に変換する。この電気信号から所定の周波数成分を取り出し、取り出した波形をパソコン42に表示して解析する。その波形の解析の結果で変状部の有無と、その大小を判断する。コンクリート内のひび割れ、空洞、劣化等の変状部Aについて、弾性波の波長の変化で発見する。
本発明の非破壊試験用打撃装置1による試験方法では、弾性波を入力するローラ14を伝振ロッド16で直接打撃するため弾性波の伝搬損失は軽微となる。ハンマープランジャー9と伝振ロッド16は電気的に絶縁しており、打撃による伝振ロッド16とローラ14が接触した瞬間をセンサ(図示せず)が電気信号として検知することができる(符号25、26)。このセンサからの電気信号を測定開始信号とすることで、極めて安定した計測ができる。
図10に示すように、非破壊試験用打撃装置1と受信装置41は一般的に規定距離に配置する。静止時の受信装置41(センサ)の出力と移動時の受信装置41(センサ)の出力に差異が生じる問題がある。弾性波は単発波で反射しながら受信装置41(センサ)に到達する拡散形減衰波形である、従って非破壊試験用打撃装置1が移動することでビームの中心から外れることにより、受信装置41(センサ)の出力の低下が発生する。例えば、MAX400mm/secの場合4mm/10msec中心から外れる反射距離が短いほど影響が大きい。その解決の方法として接触信号時の移動速度で増幅器43の利得を自動的に制御する方法、これは手動で移動する速度変化が激しい場合に有効である。また、ロボット等で移動する場合にも同様に接触瞬時のロボットからの速度情報で、増幅の利得を制御することで解決できる。
更に、位置センサ21では、ハンマーヘッド部4(ローラ14)について下向き、上向き、水平状態又は傾斜状態の別を感知し、これを電気信号に変換する。この電気信号を増幅器43で増幅し、増幅器43で増幅された信号を整流器44で直流に変換する。この電気信号から必要な電力量を解析して非破壊試験用打撃装置1の向きに応じて電磁コイル8への電力の強弱を調整する。これにより、打撃装置の下向き、上向き又は傾斜状態のいずれの状態でも正確に非破壊試験をすることができる。
なお、本発明は、水平、下向きの方向による変化に対応でき、コンクリート等の構造物Cの凹凸面に影響を受けることなく一定の加振力をコンクリート等の構造物Cに与えることができ、コンクリートの破片粉塵などの侵入を防止して、再現性が高く安定して計測することができれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
本発明は、高速道路、鉄道のトンネル、建造物に限定されず、コンクリートその他の非破壊検査に利用することができる。
1 非破壊試験用打撃装置
2 電磁ソレノイド部
3 可動プランジャー部
3a 打撃部
4 ハンマーヘッド部
5 調整部
6 電磁路ヨーク
8 電磁コイル
9 ハンマープランジャー
11 引き戻しバネ
12 バネ固定ネジ
14 ローラ
15 伝振ロッド用貫通孔
16 伝振ロッド
16a 伝振ロッドの先端部
16b 伝振ロッドの後端部
17 板バネ
17a 円形
17b 爪
21 位置センサ
23 発光部
24 受光部
31 リード弁
C 構造物

Claims (7)

  1. 構造物(C)と常に接触しながら該構造物(C)内部の欠陥を非破壊試験する際に、該構造物(C)に弾性波を入力する非破壊試験用打撃装置(1)であって、
    コイルを巻回した電磁コイル(8)と、該電磁コイル(8)を収容する、略筒形状の電磁路ヨーク(6)とを具備した電磁ソレノイド部(2)と、
    前記電磁ソレノイド部(2)内に往復動自在に取り付けられた、磁性を有する筒形状のハンマープランジャー(9)の一端に打撃部(3a)を、他端に該打撃部(3a)を引き戻す引き戻しバネ(11)を具備した可動プランジャー部(3)と、
    前記電磁ソレノイド部(2)に軸方向に隣接して取り付けられた、構造物(C)に当てるローラ(14)と、該ローラ(14)を打撃するために、伝振ロッド用貫通孔(15)内に摺動自在になる伝振ロッド(16)を具備したハンマーヘッド部(4)と、を備え、
    前記電磁ソレノイド部(2)とハンマーヘッド部(4)内に略気密状に取り付けられた前記可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の打撃部(3a)が、前記伝振ロッド(16)を打撃すると、該伝振ロッド(16)の打撃を受けた前記ローラ(14)から構造物(C)に弾性波が伝播され
    前記ハンマープランジャー(9)の打撃部(3a)が伝振ロッド(16)を打撃したときに、打撃部(3a)から伝振ロッド(16)へ流れる電流をセンサが検知し、この検知した電気信号を測定開始信号とするように構成された、ことを特徴とする非破壊試験用打撃装置。
  2. 前記伝振ロッド(16)は、
    前記伝振ロッド用貫通孔(15)に取り付けられた、略円形状の平板に開けられた円形孔(17a)に、該円形孔(17a)の円周から該円形孔(17a)の中心方向に向けて複数本形成された爪(17b)から成る板バネ(17)が取り付けられ、
    該伝振ロッド(16)の先端部(16a)が、前記ローラ(14)から常時離れないように保持されている、ことを特徴とする請求項1に記載の非破壊試験用打撃装置。
  3. 前記電磁ソレノイド部(2)に軸方向に隣接して、有底円筒形状の調整部(5)を取り付け、
    該調整部(5)に、前記ハンマーヘッド部(4)の打撃方向が、上下方向、水平状態、傾斜方向で変化する際に、該可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の自重による位置変化を確認するために、該ハンマープランジャー(9)の変位位置を測定する発光部(23)と受光部(24)とから成る位置センサ(21)を設けた、ことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の非破壊試験用打撃装置。
  4. 前記調整部(5)に、前記ハンマープランジャー(9)が往復動する際に、前記電磁路ヨーク(6)とハンマーヘッド部(4)内において変化する内圧を調整する、一方向のみに開くリード弁(31)を設けた、ことを特徴とする請求項3に記載の非破壊試験用打撃装置。
  5. 構造物(C)に弾性波を発生させる際に用いる打撃装置を制御する、非破壊試験用打撃装置(1)の制御方法であって、
    コイルを巻回した電磁コイル(8)と、該電磁コイル(8)を収容する、略筒形状の電磁路ヨーク(6)とを具備した電磁ソレノイド部(2)と、前記電磁ソレノイド部(2)内に往復動自在に取り付けられた、磁性を有する筒形状のハンマープランジャー(9)の一端に打撃部(3a)を、他端に該打撃部(3a)を引き戻す引き戻しバネ(11)を具備した可動プランジャー部(3)と、前記電磁ソレノイド部(2)に軸方向に隣接して取り付けられた、構造物(C)に当てるローラ(14)と、該ローラ(14)を打撃するために、伝振ロッド用貫通孔(15)内に摺動自在になる伝振ロッド(16)を具備したハンマーヘッド部(4)と、を備えた非破壊試験用打撃装置(1)を用いて非破壊試験する際に、
    前記電磁路ヨーク(6)とハンマーヘッド部(4)内に略気密状に取り付けられた前記可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の打撃部(3a)が、前記伝振ロッド(16)を打撃すると、該伝振ロッド(16)の打撃を受けた前記ローラ(14)から構造物(C)に弾性波を伝播させ、
    前記可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の自重による位置変化を測定する位置センサ(21)により、該ハンマープランジャー(9)の上下方向、水平状態、傾斜方向への変位位置を確認し、該ハンマープランジャー(9)の打ち出し強度を調整
    前記ハンマープランジャー(9)の打撃部(3a)が伝振ロッド(16)を打撃したときに、打撃部(3a)から伝振ロッド(16)へ流れる電流をセンサが検知し、この検知した電気信号を測定開始信号とする、ことを特徴とする非破壊試験用打撃装置の制御方法。
  6. 前記位置センサ(21)は発光部(23)と受光部(24)とから成り、該位置センサ(21)が前記可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の変位位置の認識範囲量を測定し、
    前記非破壊試験用打撃装置(1)が上下方向、水平状態、傾斜方向の状態の何れかであると判定し、前記電磁コイル(8)の励磁力を調整し、該可動プランジャー部(3)のハンマープランジャー(9)の打ち出し強度を調整する、ことを特徴とする請求項5に記載の非破壊試験用打撃装置の制御方法。
  7. 前記電磁ソレノイド部(2)は、前記位置センサ(21)が前記打撃装置の姿勢を測定し、その姿勢に応じて該電磁ソレノイド部(2)に流れる電流時間(加速時間)を自動的に補正する、ことを特徴とする請求項6に記載の非破壊試験用打撃装置の制御方法。
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