JP7298319B2 - ヘッドモジュール、ヘッドユニットおよび液体を吐出する装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、二つの部品の接着剤接合において、仮接合用の接着剤と本接合用の接着剤とを用いることが記載されている。
しかし、接着剤塗布領域は、ヘッドレイアウトの観点から狭い範囲であることが求められるので、硬化前の接着剤が混ざり合ってしまい、以降の硬化工程で接着不良を起こすという問題があった。
また、第1接合面と第2接合面との少なくとも一方は、第1領域、第2領域および第3領域を有する。第1領域は、第1接着剤を塗布する領域とする。第2領域は、第2接着剤を塗布する領域とする。第3領域は、第1領域と第2領域との間に設けられた領域であり、第1接着剤と第2接着剤とを隔てる。また、第3領域は、第1領域および第2領域より撥水性が高い領域とする。
接着剤を塗布する部品表面としての、第1接合面と第2接合面との少なくとも一方には、「接着剤塗布領域としての非撥水面」と、非撥水面を分割する「接着剤を塗布しない領域としての撥水面」とを設け、分割された非撥水面に2種の接着剤を塗り分ける構成とする。
これにより、塗布した2種の接着剤は、先ず常温環境下で一方の接着剤を硬化させて高精度な位置固定を行い、その後高温環境下で他方の接着剤を硬化させて耐接液性を備えたシール面を形成するので、耐接液性と高精度な位置固定を実現でき、かつ接着剤同士が混ざらずに接合不良が生じさせなくすることができる。
ヘッドモジュールは、少なくとも1つの液体吐出ヘッド(以降適宜「ヘッド」とも称する)が、カバー部材及びベース部材に取り付けられたものとする。また、ヘッドモジュールが複数集まったものをヘッドユニットとする。
個別流路板20と振動板30とは、後述する図5のアクチュエータ基板4-2を構成する。
共通流路部材70とダンパ部材60とは、後述する図5の流路板(共通流路部材とも言う)4-1を構成する。
フレーム部材80は、後述する図5のハウジングを構成する。
次に、各実施形態について説明する。
図4は、本発明の実施形態1に係る接合構造体を用いるヘッドモジュールの一例を説明する模式図である。
図4では、ヘッドモジュール1は、ヘッド2とベースユニット5とから構成され、接着剤6により接合した例を表している。
図5は、一実施形態のヘッドの一例を説明する模式図である。
図6は、一実施形態のベースユニットの一例を説明する模式図である。
液室部品4は、流路板4-1、アクチュエータ基板4-2、ノズル板4-3に分類され、ハウジング3と共に内部にはインクが流入するインク流路が形成されている。
個別液室21に到達したインクは、個別液室21の一部を形成するアクチュエータ基板4-2に形成されている圧電素子を振動し、個別液室21内の体積が変化することでノズル板4-3に形成された各々の個別液室21と対応するノズルからインクが吐出する。
ベースユニット5を構成する各部品は、何れもFeとNiを主成分とした合金からなり、線膨張係数は液室部品4のSi単結晶材と略一致しているとよい。
ノズル板4-3は、ノズル孔からのインク吐出性能の観点、インクによる汚染防止の観点から撥水膜7を形成する撥水処理がなされる。また、ノズルカバー5-2は、汚染防止の観点から撥水膜7を形成するため撥水処理がなされる。
ヘッド2のノズル板4-3とベースユニット5のノズルカバー5-2とは、接着剤6により接着される。図7では、接着剤6として、異なる特性を有する第1接着剤6-1と第2接着剤6-2とを用いる例を表している。
ここで、例えば、第1接着剤6-1は、常温環境下で硬化することが可能なものとし、第2接着剤6-2は、高温環境下のみで硬化するが耐接液性を備えるものとする。つまり、第1接着剤6-1は常温硬化型の接着剤であり、第2接着剤6-2は熱硬化型の接着剤である。第1接着剤6-1として、例えば、UV(紫外線)硬化型の接着剤、水分ないし溶剤の揮発により硬化する合成ゴム系の接着剤や、湿気と反応して硬化する瞬間接着剤が挙げられる。第2接着剤6-2として、エポキシ系の熱硬化型接着剤がある。第2接着剤6-2は、溶剤系インク、UV系インク、水系インク、油系インクに対して、耐インク性(耐食性)を有している。以降、第1接着剤6-1と第2接着剤6-2とを区別しないときは、適宜「接着剤6」と記載する。
ノズル板4-3は、撥水膜7のうち、部分的な一領域を、二次処理によって除去し非撥水面を形成する。つまり、非撥水面ではノズル板4-3の基材が露出している。
ノズルカバー5-2は、撥水膜7のうち部分的な二領域を、二次処理によって除去し非撥水面を形成する。つまり、非撥水面ではノズルカバー5-2の基材が露出している。形成された二つの非撥水面の領域は、接着剤が塗布される、第1領域8aおよび第2領域8bとして機能する。図7では、例えば、第1領域8aは、第1接着剤6-1を塗布する領域とし、第2領域8bは、第2接着剤6-2を塗布する領域として説明する。また、第1接着剤6-1と第2接着剤6-2とが塗布された二つの領域の間(第1領域と第2領域との間)に撥水膜7が設けられている撥水面(ノズル板4-3に対向する撥水膜7の表面)は、第1接着剤6-1と第2接着剤6-2とを隔てる第3領域8cとして機能する。
また、撥水膜7が形成された領域を「撥水領域」、非撥水面の領域を「非撥水領域」とも称する。
接着剤塗布工程では、一度に双方の接着剤6(第1接着剤6-1および第2接着剤6-2)を塗布した後、ノズル板4-3を接着剤6へ押し当てる(B)。ノズル板4-3で押し当てられた接着剤6は潰され広がるが、第3領域(撥水膜7の撥水面)8cを避けるように広がり双方の接着剤6が混ざり合わず、適切な塗布状態が実現できる。
更に次の高温環境での接着剤硬化工程では第2接着剤6-2が硬化し、耐接液性を備えたシール面が形成される(D)。
なお、接合構造体で用いる接着剤、各部品の構造等に応じて、両方の接合面に第3領域を設けても良い。
なお、耐接液性を有する接着剤は、耐接液性を備えない接着剤よりノズル板4-3のノズル孔に近い位置に塗布することが、接着部にインクの侵入を防ぐ点から好ましい。
本実施形態では、接合構造体として、第1部品をノズルカバーとし、第2部品をアクチュエータ基板とする一態様について説明する。
図9は、本発明の実施形態2に係る接合構造体を用いたヘッドモジュールの一例を説明する模式図である。
図10は、図9に示すヘッドモジュールのヘッドとベースユニットとの接着部の一例を拡大した模式図である。
図9では、ヘッドモジュール1aは、ヘッド2aとベースユニット5とから構成され、接着剤6により接合した例を表している。
ヘッド2aは、ノズル板4-3aの幅が、図5に示すノズル板4-3より縮小されたことを除いて、図5と同様である。つまり、本実施形態ではノズル板4-3aはアクチュエータ基板4-2よりも外形を小さくしている。
ベースユニット5は、図6と同様である。
ノズルカバー5-2は、実施形態1と同様に、撥水膜7が形成される領域の内、部分的な二領域に二次処理を施して非撥水面を形成している。形成された二つの非撥水面の領域は、実施形態1と同様に、第1接着剤6-1を塗布する第1領域8a、および、第2接着剤6-2を塗布する第2領域8bとして機能し、第1接着剤6-1と第2接着剤6-2とが塗布された二つの領域の間に存在する撥水膜7が設けられた面は、第3領域8cとして機能する。
ここで、例えば、第1接着剤6-1は、常温環境下で硬化することが可能なものとし、第2接着剤6-2は、高温環境下のみで硬化するが耐接液性を備えるものとする。つまり、第1接着剤6-1は常温硬化型の接着剤であり、第2接着剤6-2は熱硬化型の接着剤である。
また、図10では、実施形態1と同様に、第1領域8aおよび第2領域8bの外側に撥水膜7が存在することにより、塗布した接着剤が外側に広がることを防ぐことができる。
本実施形態では、第1領域8aおよび第2領域8bの外側の領域に非撥水面を設ける一態様について説明する。第1領域8aおよび第2領域8bの外側は、実施形態1と同様であり、第1領域8aの外側は、第1領域8aの第3領域8cとは反対側とし、第2領域8bの外側は、第2領域8bの第3領域8cとは反対側とする。
図11に示す接着部は、第1接着剤6-1の外側の撥水膜7を部分的に除去しているので、この箇所へ第1接着剤6-1が塗れ広がっている。
図12に示す接着部は、第2接着剤6-2の外側の撥水膜7を部分的に除去しているので、この箇所へ第2接着剤6-2が塗れ広がっている。
図13に示す接着部は、第1接着剤6-1の外側、および、第2接着剤6-2の外側の撥水膜7を部分的に除去しているので、これら箇所へ第1接着剤6-1および第2接着剤6-2が塗れ広がっている。
これに対してヘッドレイアウトの観点から、接着剤6の塗布領域は微細領域に微小量塗布することが望ましい。一方で、ディスペンサによる塗布量を考慮すると微小量の塗布調節が困難であり、接着剤固有の粘度、接触角などによって挙動が異なり、各々の接着剤に最適な塗布管理ができない事によって、微細領域に多量の接着剤を塗布してしまう場合がある。その結果接着剤の過剰な弾力によって接合不良を生じる懸念がある。
また、接着剤塗布領域(例えば、第1領域8aまたは第2領域8b)以外の撥水膜7を、一部または全部の撥水成分を除去することにより、接着剤の塗布量が多くなったとしても、非撥水面上に塗れ広がるので、接着剤の塗布量を容易に管理することが可能になる。
本実施形態では、第1部品と第2部品との少なくとも一方が、他方の接合面からの距離が異なる二つ以上の段差面を含む段差形状を有する一態様を説明する。接合面(「対向面」とも称する)は、第1部品と第2部品とが相互対向する面であり、接着剤が塗布され、二つの部品が接合する面となる。
本実施形態では、ノズルカバー5-2bは、アクチュエータ基板4-2の接合面からの距離が異なる二つ以上の段差面を含む段差形状を有する。ノズルカバー5-2bは、第1接着剤6-1を塗布する第1領域と第2接着剤6-2を塗布する第2領域とを、アクチュエータ基板4-2の接合面からの距離が異なる段差面に配置している。
本実施形態では、撥水膜7を、第1領域8aと第2領域8bとの間の領域(8cの領域)、第2領域8bに対してノズル板4-3a側の領域、及び第1領域8aに対してノズル板4-3a側とは反対側の領域に設けている。
次に、本実施形態では、実施形態4と同様に、一方の接合面に段差形状を有する接合構造体を用いたヘッドモジュールであって、1つのヘッドに1つのノズルカバーを接合することでヘッドモジュールを構成する例について説明する。
図15は、本発明の実施形態5に係る接合構造体を用いたヘッドモジュールの一例を説明する模式図である。
ヘッドモジュール200は、アクチュエータ基板4-2c、ノズル板4-3c、ノズルカバー5-2c、フレーム(ハウジング)201、保持基板(サブフレーム)202を少なくとも有する。
図16は、図15に示すヘッドモジュールのアクチュエータ基板4-2cとノズルカバー5-2cとの接着部を拡大した模式図であり、図15の左側の点線で示す部分の要部を拡大している。
本実施形態では、ノズルカバー5-2cは、アクチュエータ基板4-2cの接合面からの距離が異なる二つ以上の段差面を含む段差形状を有する。ノズルカバー5-2cは、第1接着剤6-1を塗布する第1領域と第2接着剤6-2を塗布する第2領域とを、アクチュエータ基板4-2cの接合面からの距離が異なる段差面に配置している。
また、図16の構成では、実施形態4と同様の効果を奏することができる。
実施形態6では、複数のヘッドモジュールを接合するように構成したノズルカバーの接合面の一例について説明する。
図17は、図16に示すノズルカバーの吐出面とは反対側の面(つまり、接合面)を説明する図である。図17では、図16に示す接着構造体のノズルカバーが複数のヘッドモジュール200を接着するように構成した例を示す。
図16では、ノズルカバー5-2cに、撥水領域としての第3領域8cと、非撥水領域としての第1領域8a、第2領域8bとを形成した状態を表している。
第1領域8a、第2領域8bは、ノズルカバー5-2cに形成した撥水膜7を部分的に除去して非撥水面とした領域であり、接着剤を塗布する塗布領域となる。例えば、第1領域8aには、第1接着剤6-1が塗布され、第2領域8bには、第2接着剤6-2が塗布される。
図17において、第3領域8cは、撥水膜7のうち、第1領域8aと第2領域8bとを隔てる撥水膜7として機能する撥水面(撥水膜7の表面)であり、他の撥水膜7と異なる符号を用いて表している。
図17に示すように、ノズルカバー5-2cは、ノズル露出孔9を囲むように非撥水領域としての第1領域8a、第2領域8bが配置される。
図17では、ノズル露出孔9の周囲に存在する第1領域8a、第2領域8bおよび第3領域8cを、一例として、三つ示している。ノズルカバー5-2cは、ヘッドモジュール200の数に応じたノズル露出孔9を有する。
上記各実施形態では、以下のような特徴を有する接合構造体を用いる液体吐出ヘッドについて説明した。
接合構造体は、第1部品と第2部品とが接合され、第1部品と第2部品とが互いに対向する接合面は、第1接着剤と第1接着剤とは異なる種類の第2接着剤とで接合される。第1部品の接合面(対向面)と第2部品の接合面との少なくとも一方には、第1接着剤が塗布されている第1領域と第2接着剤が塗布されている第2領域との間には、第1領域および第2領域よりも、撥水性が高い第3領域が設けられており、第3領域を挟んで第1領域と第2領域とが区画される。また、接合構造体は、さらに次の特徴を有するとよい。
接合構造体は、例えば、第1領域及び第2領域の外側領域は、撥水性が低い領域を設けるとよい。また、接合構造体は、例えば、第1部品及び第2部品の内、少なくとも一方には、2面以上からなる段差形状が設けられ、各々の段差部に第1接着剤と第2接着剤が塗布されているとよい。これにより、接着剤の特性により挙動が異なる塗れ広がり量に対応することができる。
また、図4または図9に示すヘッドモジュール1、1aは、複数のヘッド2、2aと、複数のヘッド2、2aを配列設置するベースユニット5を有する構成であり、ヘッドモジュールの一例とする。
ヘッドモジュールは、少なくとも一つの液体吐出ヘッドと、少なくとも一つの液体吐出ヘッドに接着接合するカバー部材と、を少なくとも有する。
ヘッド2は、液体吐出ヘッドを構成する部品とし、図5の構成は一例である。
2、2a、101、101a ヘッド
3 ハウジング
4 液室部品
4-1 流路板
4-2、4-2c アクチュエータ基板
4-3、4-3a、4-3c、10 ノズル板
5 ベースユニット
5-1 ベース基板
5-2、5-2b、5-2c ノズルカバー
6-1 第1接着剤
6-2 第2接着剤
7 撥水膜
8a 第1領域
8b 第2領域
8c 第3領域
9 ノズル露出孔
11、11c ノズル
102 ベース部材
500 液体を吐出する装置(印刷装置)
550 ヘッドユニット
Claims (4)
- 液体を吐出するノズルが形成されたノズル板と、前記ノズルから前記液体を吐出するエネルギーを発生するアクチュエータが設けられたアクチュエータ基板とを有する液体吐出ヘッドが、前記ノズル板のノズルを露出する開口が設けられたカバー部材に取り付けられたヘッドモジュールであって、
前記カバー部材と前記ノズル板とは、第1接着剤と該第1接着剤とは異なる第2接着剤により接合されており、
前記カバー部材の前記ノズル板との接合面と前記ノズル板の前記カバー部材との接合面の少なくとも一方には、
前記第1接着剤が設けられた第1領域と、
前記第2接着剤が設けられた第2領域と、
前記第1領域と前記第2領域との間に設けられ、前記第1領域および前記第2領域よりも撥水性が高い第3領域と、
を有することを特徴とするヘッドモジュール。 - 前記カバー部材には前記液体吐出ヘッドが複数取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドモジュール。
- 請求項2に記載のヘッドモジュールを複数備えるヘッドユニット。
- 請求項1または2に記載のヘッドモジュールと、請求項3に記載のヘッドユニットとのいずれかを備える液体を吐出する装置。
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