JP2004291529A - インクジェットヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】ヘッドユニット22のノズルを露出させる開口窓57を有するカバープレート23をヘッドユニット22に接着する際、接着剤が開口窓57から流れ出すことを防止し、従来のようにはみ出した接着剤がワイパーブレードにより掻き取られてノズルを塞ぐことのないようにする。
【解決手段】ヘッドユニット22は、下面に複数のノズルを有するノズルプレート39を備える。カバープレート23は、開口窓57からノズルを露出させるようにして、ヘッドユニット22の下面に、シリコン接着剤61により接着する。この際、カバープレート23上には開口窓57を囲むように凹溝状の非平滑部65が設けてあり、シリコン接着剤61が開口窓57から流れ出すのを防止することができる。また、ヘッドユニット22及びカバープレート23を本体フレーム21接着するUV接着剤62と、上記シリコン接着剤61とが近接する位置において、カバープレート23上に凹溝状の非平滑部66が設けてあり、両接着剤が混ざり合うことがない。
【選択図】 図10
【解決手段】ヘッドユニット22は、下面に複数のノズルを有するノズルプレート39を備える。カバープレート23は、開口窓57からノズルを露出させるようにして、ヘッドユニット22の下面に、シリコン接着剤61により接着する。この際、カバープレート23上には開口窓57を囲むように凹溝状の非平滑部65が設けてあり、シリコン接着剤61が開口窓57から流れ出すのを防止することができる。また、ヘッドユニット22及びカバープレート23を本体フレーム21接着するUV接着剤62と、上記シリコン接着剤61とが近接する位置において、カバープレート23上に凹溝状の非平滑部66が設けてあり、両接着剤が混ざり合うことがない。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印字面にインクを吐出するための複数のノズルが形成されたヘッドユニットと、開口窓を備えてその開口窓から複数のノズルが露出するようにヘッドユニットに接着されるカバープレートとを備えるインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印字面にインクを吐出するための複数のノズルが形成されたヘッドユニットと、開口窓を備えてその開口窓から複数のノズルが露出するようにヘッドユニットに接着されるカバープレートとを備えるインクジェットヘッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
下記特許文献1に記載されたインクジェットヘッドは、ヘッドユニットとカバープレートとが本体フレームに第1の接着剤で接着され、ヘッドユニット及びカバープレート同士は開口窓の外周部位にて第2の接着剤で接着されるものであって、本体フレームの底板には、ヘッドユニットの側縁及びカバープレートの裏面に露出する第1接着剤流し込み孔が形成されている。そして、ヘッドユニットの前面には、第2の接着剤が第1接着剤流し込み孔方向に漏出するのを防止するための溜まり溝が形成されている。これにより、第1の接着剤と第2の接着剤とが混ざり合ってしまうことを防止することを目的としている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−234144号公報(第4頁、第6頁、第6図、第7図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載のインクジェットヘッドでは、溜まり溝で堰き止めることで異質な接着剤(第1の接着剤及び第2の接着剤)同士が混ざり合うことを防止できても、ヘッドユニットとカバープレートとを接着する接着剤(第2の接着剤)がカバープレートの開口窓から流れ出すことを防止できない。このため、ヘッドユニットとカバープレートとを接着する接着剤が多量に塗布されてカバープレートの開口窓からこの接着剤がはみ出して硬化してしまった場合は、ヘッドユニットのノズル面と摺接してインクを除去するワイパーブレードによって、はみ出した状態で硬化した接着剤が掻き取られ、これがノズルに押し込まれ易い。そのため、インクの吐出不良を招いてしまうという事態が発生する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、接着剤が多量に塗布された場合においても、接着剤のノズルへの流れ出しを防止し、従来のようにワイパーブレードによって接着剤をノズルに運んでインクの吐出不良を起こすことを防止することができるインクジェットヘッドを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のインクジェットヘッドは、印字面にインクを吐出するための複数のノズルが形成されたヘッドユニットと、開口窓を有し、その開口窓から前記複数のノズルが露出するように前記ヘッドユニットに接着されるカバープレートと、を備えたインクジェットヘッドにおいて、前記カバープレート上及び前記ヘッドユニット上の少なくとも一方には、前記カバープレートと前記ヘッドユニットとの第1の接着部と、前記開口窓との間において非平滑部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によると、カバープレート及びヘッドユニット上の少なくとも一方には、カバープレートとヘッドユニットとの第1の接着部と、開口窓との間において非平滑部が形成されているので、接着剤が多量に塗布された場合においても、開口窓からの接着剤の流れ出しを非平滑部によって防止し、従来のようにワイパーブレードによって接着剤をノズルに運んでインクの吐出不良を起こすことを防止することができる。
【0009】
請求項2に記載のインクジェットヘッドは、請求項1において、底板を有する本体フレームをさらに備え、前記ヘッドユニットは、前記本体フレームの底板と第2の接着部において接着され、前記非平滑部は、前記第1の接着部と前記第2の接着部との間においても形成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によると、非平滑部は、第1の接着部と第2の接着部との間においても形成されているので、両接着部に使用する一方の接着剤が他方の接着剤へ向けて流れ出すのを防止することができ、両接着剤の混ざり合いを防止することができる。
【0011】
請求項3に記載のインクジェットヘッドは、請求項1又は2において、前記非平滑部は、凹状の溝部として形成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、接着剤は、凹状の溝部内に流動して堰き止められる。このため、接着剤のはみ出しを効果的に防止することを簡易な構造で実現できる。
【0013】
請求項4に記載のインクジェットヘッドは、請求項1又は2において、前記非平滑部は、凸状の条部として形成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によると、接着剤は、凸状の条部に堰き止められる。このため、接着剤のはみ出しを効果的に防止することを簡易な構造で実現できる。
【0015】
請求項5に記載のインクジェットヘッドは、請求項1又は2において、前記非平滑部は、表面粗さを粗くすることで形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、接着剤は、表面粗さが粗く流動抵抗の高い非平滑部で堰き止められる。このため、接着剤のはみ出しを防止することを簡易な構造で実現できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1〜図3は、本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドを例示したものであり、圧電式のインクジェットヘッド1の場合について示している。図1はインクジェットヘッド1のノズル側を上にした(上面側を上にした)斜視図を、図2はインクジェットヘッド1の分解斜視図を、図3は図2とは反対側から見た(上側から見た)分解斜視図をそれぞれ示している。
【0019】
図1〜3に示すように、インクジェットヘッド1は、ポリプロエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂材の射出成形品として構成される本体フレーム21と、本体フレーム21の下面側に設けられるヘッドユニット22と、ヘッドユニット22の下面側に設けられるカバープレート23と、を備えている。
【0020】
本体フレーム21は、底板24を有し、上側が開放された略箱状に形成されている。そして、その上方からインク供給源としての4つのインクカートリッジ(図示せず)を着脱自在に装着できる搭載部25を備え、この搭載部25には、図示しないインクカートリッジのインク放出部にそれぞれ接続できる4つのインク供給通路26(26a、26b、26c、26d)が、底板24まで貫通して設けられている。
【0021】
底板24は、搭載部25から下方に段状に突出するように略水平に形成され、底板24の下面側には、後述するヘッドユニット22を2つ並設させて当接するための2つの支持部27が段付状に形成されている。図4は、本体フレーム21の底板24を下面側から見た図であるが、各支持部27の長手方向端部の一方側には、インク供給通路26a、26b、26c、26dにそれぞれ対応する開口部28a、28b、28c、28dが設けられている。そして、各開口部28a〜dの外周を囲むように略環状の嵌合溝29がそれぞれ設けられている(図2、4参照)。各嵌合溝29には、軟質のゴム製等のシール性を発揮するリング状のパッキン30が嵌合される。
【0022】
また、底板24の各支持部27には、速硬化性を発揮するUV硬化接着剤の流し込み孔31a、31bが複数上下に貫通するように形成されている。図9は、本体フレーム21にヘッドユニット22及びカバープレート23を接着して固定する作業を説明する要部拡大断面図であって、図4のA−A線矢視位置に対応するものである。図9に示すように、本体フレーム21にヘッドユニット22等を接着する際は、流し込み孔31a、31bからUV硬化接着剤32が流し込まれる。図2、4、9に示すように、流し込み孔(31a、31b)は、1つのヘッドユニット22に対して、少なくともその四隅近傍の側部を固定する個所に形成されている。なお、本実施形態では、2つの支持部27のうち一辺(実施形態では長辺)が隣接する個所において、並設する2つのヘッドユニット22の裏面33及びカバープレートの裏面34に跨って露出するように、流し込み孔31aが広幅に形成されている。
【0023】
次に、印字面にインクを吐出するための複数のノズル35が形成されたヘッドユニット22について説明する。図5は、ヘッドユニット22の各部品の斜視図を示している。図2、3、5に示すように、ヘッドユニット22は、複数枚の金属板が積層されて構成されるキャビティプレート36と、キャビティプレート36の前面側(下面側)に接着剤にて固定されるノズルプレート39と、キャビティプレート36の上面側に接着剤または接着シートを介して接着・積層されるプレート型の圧電アクチュエータ37と、圧電アクチュエータ37の上面側に積層して設けられる外部機器と電気的接続のためのフレキシブルフラットケーブル38と、を備えている。なお、ヘッドユニット22は、後述するように、UV硬化接着剤32からなる第2の接着部62を介して本体フレーム21に接着される。
【0024】
図6はキャビティプレート36の各部品の斜視図をノズルプレート39とともに示したものであり、図7はキャビティプレート36の部分拡大断面図を示したものである。図1、2、6、7において、ノズルプレート39は、キャビティプレート36の前面(下面)の中央部に貼設されており、合成樹脂製の薄い板状に形成されている。そして、ノズルプレート39には、複数のノズル35が形成されており、この複数のノズル35は、ノズルプレート39の長手方向に沿って2列の千鳥配置状に配列されている。このノズル35から、下側に向かってインクが吐出される。なお、ノズルプレート39の両端位置には、キャビティプレート36に対して位置決めするための位置決め穴43が設けられている。
【0025】
キャビティプレート36は、図6、7に示すように、2枚のマニホールドプレート40と、スペーサプレート41と、ベースプレート42とを備えている。これらの各プレート(40〜42)は、薄い金属板で構成されており、接着剤にて重ね接合されている。
【0026】
2枚重ねの状態のマニホールドプレート40は、下側にノズルプレート39が接着され、上側にスペーサプレート41が接着されている。2枚のマニホールドプレート40には、2つのインク通路45(45a、45b)が、ノズル35の列の両側に沿って延びるように穿設されている。ただし、下側のマニホールドプレート40におけるインク通路45bは、当該マニホールドプレート40の上側にのみ開放するように凹み形成されている(図7参照)。なお、マニホールドプレート40には、ノズルプレート39を位置決めするとともに、ヘッドユニット22を本体フレーム21に対して位置決めするための位置決め穴46が設けられている。
【0027】
ベースプレート42には、その幅方向(短辺方向)に延びる細幅の圧力室50が、ベースプレート42の長手方向(長辺方向)に沿って左右2列に多数配設されている。各圧力室50は、その先端部50aが幅方向の中心付近に位置するとともに幅方向外側に向かって延びるように形成され、その先に他端部50bが設けられている。そして、幅方向の両側に並んで配置される各力室50が、ベースプレート42の長手方向に交互にずれるように配置されている(図7参照)。即ち、各圧力室50は、幅方向の中心付近に位置した先端部50aから、1つおきに幅方向の逆向きに延びるように、長手方向に沿って交互に配設されている。
【0028】
また、各圧力室50の先端部50aは、スペーサプレート41及びマニホールドプレート40に形成された貫通路47、44を介して、ノズル35と一対一に連通しており、各圧力室50の他端部50bは、スペーサプレート41に形成された貫通孔48を介してインク通路45に連通している。図8は、ヘッドユニット22の幅方向の拡大断面図を示したものであるが、各圧力室50の他端部50bは、図7、8に示すように、ベースプレート42の下面側にのみ開口するように凹み形成されている。
【0029】
なお、ベースプレート42及びスペーサプレート41には、その長手方向の一方の端部に、2つのインク通路45の端部とそれぞれ連通する供給孔51、49が穿設されている。上面の各供給孔51は、ヘッドユニット22を本体フレーム21に組み付けたときに、その周囲がパッキン30に当接するとともに、本体フレーム21のインク供給通路26とそれぞれ連通する。なお、供給孔51の上面側には、図示しないインクカートリッジから供給されるインク中の塵除去のためのフィルタ52が接着剤にて取り付けられている。
【0030】
キャビティプレート36は、上記構成を備えることで、インク供給通路26から供給されるインクが、ベースプレート42の供給孔51及びスペーサプレート41の供給孔49を経てマニホールドプレート40のインク通路45a、45bへと流入し、インク通路45a、45bからスペーサプレート41の貫通孔48を通過して各圧力室50へと各他端部50bを介して分配される。そして、各圧力室50の先端部50aからスペーサプレート41の貫通路47及びマニホールドプレート40の貫通路44を経てノズルプレート39の各ノズル35へと至る(即ち、各圧力室50に対応する各ノズル35へとインクが供給される)(図6〜8参照)。
【0031】
圧電アクチュエータ37は、図8に示すように、複数枚の圧電シート53を積層した構造で、特開平4−341851号公報に記載の構成と同様に、各圧電シート53の最下段の圧電シート53及びそれから上方へ数えて奇数番目の圧電シート53の上面側には、キャビティプレート36における複数の圧力室50全体にわたって共通のコモン電極(図示せず)が形成されている。下から偶数段目の圧電シート53の上面には、各圧力室50の個所毎に細幅の電極(図示せず)が形成されている。最上段の圧電シート53の上面には、図5に示すように、その長辺方向の端縁部に沿って、前記各個別電極の各々に対して電気的に接続した表面電極54と、前記コモン電極に対して電気的に接続した表面電極55とが設けられている。
【0032】
このプレート型の圧電アクチュエータ37は、キャビティプレート36に対して、当該圧電アクチュエータ37における各個別電極がキャビティプレート36における各圧力室50の各々に対応するように、接着シート56等を介して積層固定される(図8参照)。また、圧電アクチュエータ37の上面側に、フレキシブルフラットケーブル38が重ねて取り付けられることにより、フレキシブルフラットケーブル38における各種の配線パターン(図示せず)が、圧電アクチュエータ37の表面電極54、55に電気的に接続される(図5参照)。
【0033】
上述したヘッドユニット22において、圧電アクチュエータ37における所定の個別電極とコモン電極との間に電圧を印加することにより、圧電シート53のうち電圧を印加した個別電極に対応した部分に圧電による積層方向の歪みが発生する。この歪みにて各個別電極に対応する圧力室50の内容積が縮小されることにより、この圧力室50内のインクが、ノズル35から液滴状に吐出して、所定の印字が行われることになる。
【0034】
次に、カバープレート23について説明する。カバープレート23は、ノズルプレート39のノズル35やその近傍の面をそれに印字用紙等が直接接触しないようにしたり、インクが圧電アクチュエータやフレキシブルフラットケーブルの電気系統の部分に侵入しないようにするために保護するためのものであり、また、ノズル35やその付近に付着したインク滓や塵を除去するためのワイパーブレードが摺接する個所となる。
【0035】
カバープレート23は、例えば金属板製であって、図1〜3に示すように、ヘッドユニット22の前面側(下面側)を保護するように設けられる。即ち、カバープレート23は、ノズル保護面58と、そのノズル保護面から折れ曲がって立ち上がった折曲部59及び60と、を備えている。そして、カバープレート23のノズル保護面58の厚みはノズルプレート39の厚みよりも僅かに厚くなるように形成されている。
【0036】
また、カバープレート23は、ノズル保護面58に形成される開口窓57を有し、この開口窓57からノズルプレート39の複数のノズル35が露出するようにヘッドユニット22に対して後述する第1の接着部61によって接着される。そして、カバープレート23の裏面側(上面側)には、図3に示すように、開口窓57の外側に非平滑部63が設けられている。なお、カバープレート23は、ヘッドユニット22とともに本体フレーム21の底板24に対しても後述する第2の接着部62によって接着される。
【0037】
次に、第1の接着部61、第2の接着部62、及び非平滑部63の構成について説明する。図10は、図4のA−A線矢視拡大断面図である。第1の接着部61は、ヘッドユニット22の前面(キャビティプレート36の前面)とカバープレート23の裏面とを接着する。即ち、第1の接着部61は、シリコン接着剤64がカバープレート23の裏面34側に塗布された後に(図9参照)、カバープレート23とヘッドユニット22とが互いに押し付けられ、硬化することで形成される。第1の接着部61が形成されることで、開口窓57の外周部分とヘッドユニット22の前面との間の隙間からインクが毛細管現象にて染み込んでしまうことを防止するシール機能が果たされる。即ち、第1の接着部61でシールすることで、ヘッドユニット22の裏面側の圧電アクチュエータ37等における電気系統の短絡が防止される。
【0038】
第2の接着部62は、ヘッドユニット22を本体フレーム21の底板24に接着するとともに、カバープレート23を底板24に接着する(図10参照)。即ち、第2の接着部62は、UV硬化接着剤32が流し込み孔31a、31bから流し込まれた後に(図9参照)、硬化することで形成される。これにより、本体フレーム21に対してヘッドユニット22及びカバープレート23が接着固定される。
【0039】
非平滑部63は、図9及び図10に示すように、カバープレート23上に(カバープレート23の裏面34側に)、エッチング加工等により、断面形状が略矩形の凹状の溝部として形成されている。そして、非平滑部63は、第1の接着部61と開口窓57との間に開口窓57の全周を囲むように形成される第1の非平滑部65と、第1の接着部61と第2の接着部62との間にヘッドユニット22の側部に対応した位置に形成されている第2の非平滑部66と、を備えている。
【0040】
第1の非平滑部65が形成されることで、第1の接着部61によるシール性を十分に確保するためにシリコン接着材64を多量に塗布してしまったような場合であっても、カバープレート23とヘッドユニット22とを接着する際開口窓57側へ向け流れ出すシリコン接着剤64を凹状の溝部に溜めて堰き止めることができる。このため、接着の際にシリコン接着剤64が開口窓57からはみ出すことを防止できる。したがって、開口窓57からはみ出した状態で硬化したシリコン接着剤64がワイパーブレードによって掻き取られてノズル35に押し込まれてしまうことも防止できる。即ち、接着剤64が多量に塗布された場合においても、接着剤64によるノズル35の閉塞を防止することができ、インクの吐出不良を防止することができる。
【0041】
また、第2の非平滑部66が形成されることで、上記シリコン接着剤64と、ヘッドユニット22等を本体フレーム21に接着する際に使用するUV接着剤32とが接近する部分において両接着剤の少なくとも一方が他方へ向けて流れ出すのを堰き止めることができる。このため、両接着剤の混ざり合いを防止することができる。
【0042】
上記のように、シリコン接着剤64がUV接着剤32と混ざり合うとUV接着剤32は硬化しないため、本体フレーム21に対してヘッドユニット22等が適切に固定されない(即ち、部分的に固定されていない個所が存在する、又は全部が固定されていない)という不具合が生じることになる。しかし、第2の非平滑部66が設けられることで、シリコン接着剤64とUV接着剤32とが混ざり合うことを防止できるため、本体フレーム21に対してヘッドユニット22等を確実に固定することができる。
【0043】
なお、非平滑部63は、凹状の溝部として形成されているため、接着剤は、凹状の溝部内に流動して堰き止められるが、接着剤のはみ出しを効果的に防止することを、凹状の溝部という簡易な構造で実現することができる。
【0044】
次に、ヘッドユニット22及びカバープレート23を本体フレーム21に固定する方法について説明する。まず、カバープレート23を位置決めのための治具67(図10中の二点鎖線)上に載置し、カバープレート23の裏面34において開口窓57の外周部分を囲むように第1の非平滑部65の外側でシリコン接着剤64を塗布する(図9参照)。
【0045】
次いで、治具67における2つの位置決めピン68(図10では一方のみを示す)に、ノズルプレート39における位置決め孔43、43(及びマニホールドプレート40の位置決め孔46、46)を嵌めて(図6参照)、2個のノズルプレート39が開口窓57から露出するように、ヘッドユニット22を配置する(図1〜3、9参照)。そして、これにより、2個のヘッドユニット22におけるノズル35の列の間隔が一定で且つ平行となるようにヘッドユニット22をセットして、各ヘッドユニット22の前面とカバープレート23の裏面34とをシリコン接着剤64で接着して第1の接着部61を形成する(図9、10参照)。なお、この接着の際、第1の非平滑部65及び第2の非平滑部66によって、シリコン接着剤64の流れ出しがそれぞれ防止される。
【0046】
そして、ヘッドユニット22とカバープレート23とを接着した上に、本体フレーム21を被せ(図3参照)、ヘッドユニット22を本体フレーム21の支持部27に対応させて(図2参照)、流し込み孔31a、31bにUV接着剤32を流し込む(図3、9、10参照)。この接着の際も、第2の非平滑部66の存在によって、シリコン接着剤64とUV接着剤32との混ざり合いが防止される。その後、紫外線を照射してUV接着剤32を硬化させ、2個のヘッドユニット22の位置を一度に固定して第2の接着部62を形成する(図10参照)。
【0047】
さらに、カバープレート23の外周と本体フレーム21との間に、シール剤(図示せず)を、前記特許文献1に記載の構成と同様に、塗布する。これにより、ヘッドユニット22の圧電アクチュエータ及びフレキシブル配線基板38の電気系統を外部に対して完全に封止し、外部からのインクや紙粉、埃等が侵入するのを防止する。
【0048】
以上により、ヘッドユニット22及びカバープレート23を本体フレーム21に接着固定して、インクジェットヘッド1とすることができる。このインクジェットヘッド1によると、シリコン接着剤64が開口窓57からはみ出すことを防止できるとともに、シリコン接着剤64とUV接着剤32とが混ざり合うことも防止でき、インクジェットヘッドの品質向上及び信頼性向上を図ることができる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施することができる。図11〜図20は、各変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図であって、上記実施形態におけるインクジェットヘッド1の図10のさらに要部を示すものに相当する。上記実施形態と同様の個所は、同一の符号を用いて説明を省略する。
【0050】
(1)図11のインクジェットヘッド2は、非平滑部63における第1の非平滑部65a及び第2の非平滑部66aともに、凸状の条部として形成されている。このため、接着剤は、凸状の条部に塞き止められる。
【0051】
(2)図12のインクジェットヘッド3は、非平滑部63における第1の非平滑部65b及び第2の非平滑部66bともに、表面粗さ(粗度)を粗くすることで形成されている。表面粗さの程度を表す指標としては、例えば、2次元表面粗さ(Ra)、3次元表面粗さ(SRa)、10点平均表面粗さ(Rz)、最大表面粗さ(Rmax)などの数値化指標を用いることができ、これらの指標の値に、非平滑部とその他の部分(平滑な部分)とで大小関係が生じるようにすることで、表面粗さを粗くする設定を定量的に行うことができる。なお、表面粗さを粗くする処理は、例えば、サンドブラスト等の処理をカバープレート23の裏面に部分的に施すことで行われる。表面粗さの高い非平滑部65b、66bが形成されることで、接着剤は、表面粗さが粗く流動抵抗の高い非平滑部(65b、66b)で堰き止められる。
【0052】
(3)図13のインクジェットヘッド4は、非平滑部63における第1の非平滑部65c及び第2の非平滑部66cともに、カバープレート23上ではなくヘッドユニット22上に(ヘッドユニット22の前面に)凹状の溝部として形成されている。
【0053】
(4)図14のインクジェットヘッド5は、非平滑部63における第1の非平滑部65d及び第2の非平滑部66dともに、ヘッドユニット22上に(ヘッドユニット22の前面に)凸状の条部として形成されている。
【0054】
(5)図15のインクジェットヘッド6は、非平滑部63における第1の非平滑部65e及び第2の非平滑部66eともに、ヘッドユニット22上に(ヘッドユニット22の前面に)部分的にサンドブラスト等により表面粗さを粗くした部分を設けることで形成されている。
【0055】
(6)図16のインクジェットヘッド7の非平滑部63は、第1の非平滑部65fのみが凹状の溝部としてカバープレート23上に(カバープレート23の裏面に)形成され、第2の非平滑部は形成されていない。
【0056】
(7)図17のインクジェットヘッド8は、非平滑部63における第1の非平滑部65g及び第2の非平滑部66gは、カバープレート23上に(カバープレート23の裏面に)に凹状の溝部として形成されている。そして、第1の非平滑部65h及び第2の非平滑部66hが、ヘッドユニット22に(ヘッドユニット22の前面に)凹状の溝部として形成されている。即ち、カバープレート23及びヘッドユニット22の両方ともに非平滑部63が形成されている。
【0057】
(8)図18のインクジェットヘッド9の非平滑部63における第1の非平滑部65i及び第2の非平滑部66iは、カバープレート23上に(カバープレート23の裏面に)に凹状の溝部として形成されている。そして、第1の非平滑部65j及び第2の非平滑部66jが、ヘッドユニット22に(ヘッドユニット22の前面に)凸状の条部として形成されている。
【0058】
(9)図19のインクジェットヘッド10の非平滑部63における第1の非平滑部65k及び第2の非平滑部66kは、カバープレート23上に(カバープレート23の裏面に)に凹状の溝部として形成されている。しかし、断面形状が略矩形でなく、略三角形に形成されている。このように、凹状の溝部の断面形状としては、種々の形態をとることができる。
【0059】
(10)図20のインクジェットヘッド11の非平滑部63における第1の非平滑部65l及び第2の非平滑部66lは、カバープレート23上に(カバープレート23の裏面に)に凹状の溝部として2個ずつ形成されている。なお、第1の非平滑部65l及び第2の非平滑部66lの個数は、3個以上であってもよく、また、第1の非平滑部65lと第2の非平滑部66lとで、形成される個数が異なっていてもよい。この場合も、同様の作用効果を奏することができる。
【0060】
(11)カバープレート23は、図21に示すように、ノズル保護面58の全周において折れ曲がった側部59aを有する箱状に形成し、本体フレーム21に底板24全体を包むようにして取り付けることもできる。
【0061】
(12)また、図21に示すように、ヘッドユニット22は4個配置し、開口窓57もそれに対応する個数設けることができる。なお、並置するヘッドユニット22の個数は、1個以上、使用するインクの数に応じて任意に決めることができる。
【0062】
(13)ヘッドユニット22は、上記実施形態の圧電アクチュエータのほか、静電気、あるいはヒータなど公知の各種の駆動手段によってインクを吐出させることができる。
【0063】
(14)第1の接着部形成する接着剤は、主としてヘッドユニット22とカバープレート23との間の隙間をシールすることが大きな目的であるので、本体フレーム21とカバープレート23との接着強度を第2の接着部で保つようにすれば、第1の接着部形成する接着剤はシリコン接着剤のように硬化状態において機械的強度が小さいものであっても差し支えない。第2の接着部は、ノズルの位置を正確に保つために、速乾性があって機械的な強度が大きいものが望ましい。第1及び第2の接着部形成する接着剤の組み合わせは、公知の各種のものから選択することができる。
【0064】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、カバープレート及びヘッドユニット上の少なくとも一方には、カバープレートとヘッドユニットとの第1の接着部と、開口窓との間において非平滑部が形成されているので、接着剤が多量に塗布された場合においても、接着剤が開口窓から流れ出すのを防止することができ、従来のようにワイパーブレードによって接着剤をノズルに運んでインクの吐出不良を起こすことを防止することができる。
【0065】
請求項2に記載の発明によると、非平滑部は、第1の接着部と第2の接着部との間においても形成されているので、両接着部に使用する一方の接着剤が他方の接着剤へ向けて流れ出すのを防止することができ、両接着剤の混ざり合いを防止することができる。
【0066】
請求項3に記載の発明によると、接着剤は、凹状の溝部内に流動して堰き止められる。このため、接着剤のはみ出しを効果的に防止することを簡易な構造で実現できる。
【0067】
請求項4に記載の発明によると、接着剤は、凸状の条部に堰き止められる。このため、接着剤のはみ出しを効果的に防止することを簡易な構造で実現できる。
【0068】
請求項5に記載の発明によると、接着剤は、表面粗さが粗く流動抵抗の高い非平滑部で堰き止められる。このため、接着剤のはみ出しを防止することを簡易な構造で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドを例示した斜視図であり、インクジェットヘッドのノズル側を上にした(下面側を上にした)図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図3】図1に示すインクジェットヘッドの分解斜視図であって、図2とは反対側から見たものである。
【図4】図1に示すインクジェットヘッドの本体フレームの底板を下面側から見た図である。
【図5】図1に示すインクジェットヘッドのヘッドユニットにおける各部品の斜視図である。
【図6】図5に示すヘッドユニットのキャビティプレートにおける各部品の斜視図をノズルプレートとともに示した図である。
【図7】図6に示すキャビティプレートの部分拡大断面図である。
【図8】図3に示すヘッドユニットの幅方向の拡大断面図である。
【図9】図3に示す本体フレームにヘッドユニット及びカバープレートを接着して固定する作業を説明する要部拡大断面図であって、図4のA−A線矢視位置に対応する図である。
【図10】図4のA−A線矢視拡大断面図である。
【図11】第1の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図12】第2の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図13】第3の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図14】第4の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図15】第5の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図16】第6の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図17】第7の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図18】第8の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図19】第9の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図20】第10の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図21】変形例に係るカバープレート及びヘッドユニットの斜視図である。
【符号の説明】
1〜11 インクジェットヘッド
22 ヘッドユニット
23 カバープレート
35 ノズル
57 開口窓
61 第1の接着部
62 第2の接着部
63 非平滑部
65、65a〜l 第1の非平滑部
66、66a〜e、66g〜l 第2の非平滑部
【発明の属する技術分野】
本発明は、印字面にインクを吐出するための複数のノズルが形成されたヘッドユニットと、開口窓を備えてその開口窓から複数のノズルが露出するようにヘッドユニットに接着されるカバープレートとを備えるインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印字面にインクを吐出するための複数のノズルが形成されたヘッドユニットと、開口窓を備えてその開口窓から複数のノズルが露出するようにヘッドユニットに接着されるカバープレートとを備えるインクジェットヘッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
下記特許文献1に記載されたインクジェットヘッドは、ヘッドユニットとカバープレートとが本体フレームに第1の接着剤で接着され、ヘッドユニット及びカバープレート同士は開口窓の外周部位にて第2の接着剤で接着されるものであって、本体フレームの底板には、ヘッドユニットの側縁及びカバープレートの裏面に露出する第1接着剤流し込み孔が形成されている。そして、ヘッドユニットの前面には、第2の接着剤が第1接着剤流し込み孔方向に漏出するのを防止するための溜まり溝が形成されている。これにより、第1の接着剤と第2の接着剤とが混ざり合ってしまうことを防止することを目的としている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−234144号公報(第4頁、第6頁、第6図、第7図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載のインクジェットヘッドでは、溜まり溝で堰き止めることで異質な接着剤(第1の接着剤及び第2の接着剤)同士が混ざり合うことを防止できても、ヘッドユニットとカバープレートとを接着する接着剤(第2の接着剤)がカバープレートの開口窓から流れ出すことを防止できない。このため、ヘッドユニットとカバープレートとを接着する接着剤が多量に塗布されてカバープレートの開口窓からこの接着剤がはみ出して硬化してしまった場合は、ヘッドユニットのノズル面と摺接してインクを除去するワイパーブレードによって、はみ出した状態で硬化した接着剤が掻き取られ、これがノズルに押し込まれ易い。そのため、インクの吐出不良を招いてしまうという事態が発生する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、接着剤が多量に塗布された場合においても、接着剤のノズルへの流れ出しを防止し、従来のようにワイパーブレードによって接着剤をノズルに運んでインクの吐出不良を起こすことを防止することができるインクジェットヘッドを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のインクジェットヘッドは、印字面にインクを吐出するための複数のノズルが形成されたヘッドユニットと、開口窓を有し、その開口窓から前記複数のノズルが露出するように前記ヘッドユニットに接着されるカバープレートと、を備えたインクジェットヘッドにおいて、前記カバープレート上及び前記ヘッドユニット上の少なくとも一方には、前記カバープレートと前記ヘッドユニットとの第1の接着部と、前記開口窓との間において非平滑部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によると、カバープレート及びヘッドユニット上の少なくとも一方には、カバープレートとヘッドユニットとの第1の接着部と、開口窓との間において非平滑部が形成されているので、接着剤が多量に塗布された場合においても、開口窓からの接着剤の流れ出しを非平滑部によって防止し、従来のようにワイパーブレードによって接着剤をノズルに運んでインクの吐出不良を起こすことを防止することができる。
【0009】
請求項2に記載のインクジェットヘッドは、請求項1において、底板を有する本体フレームをさらに備え、前記ヘッドユニットは、前記本体フレームの底板と第2の接着部において接着され、前記非平滑部は、前記第1の接着部と前記第2の接着部との間においても形成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によると、非平滑部は、第1の接着部と第2の接着部との間においても形成されているので、両接着部に使用する一方の接着剤が他方の接着剤へ向けて流れ出すのを防止することができ、両接着剤の混ざり合いを防止することができる。
【0011】
請求項3に記載のインクジェットヘッドは、請求項1又は2において、前記非平滑部は、凹状の溝部として形成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、接着剤は、凹状の溝部内に流動して堰き止められる。このため、接着剤のはみ出しを効果的に防止することを簡易な構造で実現できる。
【0013】
請求項4に記載のインクジェットヘッドは、請求項1又は2において、前記非平滑部は、凸状の条部として形成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によると、接着剤は、凸状の条部に堰き止められる。このため、接着剤のはみ出しを効果的に防止することを簡易な構造で実現できる。
【0015】
請求項5に記載のインクジェットヘッドは、請求項1又は2において、前記非平滑部は、表面粗さを粗くすることで形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、接着剤は、表面粗さが粗く流動抵抗の高い非平滑部で堰き止められる。このため、接着剤のはみ出しを防止することを簡易な構造で実現できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1〜図3は、本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドを例示したものであり、圧電式のインクジェットヘッド1の場合について示している。図1はインクジェットヘッド1のノズル側を上にした(上面側を上にした)斜視図を、図2はインクジェットヘッド1の分解斜視図を、図3は図2とは反対側から見た(上側から見た)分解斜視図をそれぞれ示している。
【0019】
図1〜3に示すように、インクジェットヘッド1は、ポリプロエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂材の射出成形品として構成される本体フレーム21と、本体フレーム21の下面側に設けられるヘッドユニット22と、ヘッドユニット22の下面側に設けられるカバープレート23と、を備えている。
【0020】
本体フレーム21は、底板24を有し、上側が開放された略箱状に形成されている。そして、その上方からインク供給源としての4つのインクカートリッジ(図示せず)を着脱自在に装着できる搭載部25を備え、この搭載部25には、図示しないインクカートリッジのインク放出部にそれぞれ接続できる4つのインク供給通路26(26a、26b、26c、26d)が、底板24まで貫通して設けられている。
【0021】
底板24は、搭載部25から下方に段状に突出するように略水平に形成され、底板24の下面側には、後述するヘッドユニット22を2つ並設させて当接するための2つの支持部27が段付状に形成されている。図4は、本体フレーム21の底板24を下面側から見た図であるが、各支持部27の長手方向端部の一方側には、インク供給通路26a、26b、26c、26dにそれぞれ対応する開口部28a、28b、28c、28dが設けられている。そして、各開口部28a〜dの外周を囲むように略環状の嵌合溝29がそれぞれ設けられている(図2、4参照)。各嵌合溝29には、軟質のゴム製等のシール性を発揮するリング状のパッキン30が嵌合される。
【0022】
また、底板24の各支持部27には、速硬化性を発揮するUV硬化接着剤の流し込み孔31a、31bが複数上下に貫通するように形成されている。図9は、本体フレーム21にヘッドユニット22及びカバープレート23を接着して固定する作業を説明する要部拡大断面図であって、図4のA−A線矢視位置に対応するものである。図9に示すように、本体フレーム21にヘッドユニット22等を接着する際は、流し込み孔31a、31bからUV硬化接着剤32が流し込まれる。図2、4、9に示すように、流し込み孔(31a、31b)は、1つのヘッドユニット22に対して、少なくともその四隅近傍の側部を固定する個所に形成されている。なお、本実施形態では、2つの支持部27のうち一辺(実施形態では長辺)が隣接する個所において、並設する2つのヘッドユニット22の裏面33及びカバープレートの裏面34に跨って露出するように、流し込み孔31aが広幅に形成されている。
【0023】
次に、印字面にインクを吐出するための複数のノズル35が形成されたヘッドユニット22について説明する。図5は、ヘッドユニット22の各部品の斜視図を示している。図2、3、5に示すように、ヘッドユニット22は、複数枚の金属板が積層されて構成されるキャビティプレート36と、キャビティプレート36の前面側(下面側)に接着剤にて固定されるノズルプレート39と、キャビティプレート36の上面側に接着剤または接着シートを介して接着・積層されるプレート型の圧電アクチュエータ37と、圧電アクチュエータ37の上面側に積層して設けられる外部機器と電気的接続のためのフレキシブルフラットケーブル38と、を備えている。なお、ヘッドユニット22は、後述するように、UV硬化接着剤32からなる第2の接着部62を介して本体フレーム21に接着される。
【0024】
図6はキャビティプレート36の各部品の斜視図をノズルプレート39とともに示したものであり、図7はキャビティプレート36の部分拡大断面図を示したものである。図1、2、6、7において、ノズルプレート39は、キャビティプレート36の前面(下面)の中央部に貼設されており、合成樹脂製の薄い板状に形成されている。そして、ノズルプレート39には、複数のノズル35が形成されており、この複数のノズル35は、ノズルプレート39の長手方向に沿って2列の千鳥配置状に配列されている。このノズル35から、下側に向かってインクが吐出される。なお、ノズルプレート39の両端位置には、キャビティプレート36に対して位置決めするための位置決め穴43が設けられている。
【0025】
キャビティプレート36は、図6、7に示すように、2枚のマニホールドプレート40と、スペーサプレート41と、ベースプレート42とを備えている。これらの各プレート(40〜42)は、薄い金属板で構成されており、接着剤にて重ね接合されている。
【0026】
2枚重ねの状態のマニホールドプレート40は、下側にノズルプレート39が接着され、上側にスペーサプレート41が接着されている。2枚のマニホールドプレート40には、2つのインク通路45(45a、45b)が、ノズル35の列の両側に沿って延びるように穿設されている。ただし、下側のマニホールドプレート40におけるインク通路45bは、当該マニホールドプレート40の上側にのみ開放するように凹み形成されている(図7参照)。なお、マニホールドプレート40には、ノズルプレート39を位置決めするとともに、ヘッドユニット22を本体フレーム21に対して位置決めするための位置決め穴46が設けられている。
【0027】
ベースプレート42には、その幅方向(短辺方向)に延びる細幅の圧力室50が、ベースプレート42の長手方向(長辺方向)に沿って左右2列に多数配設されている。各圧力室50は、その先端部50aが幅方向の中心付近に位置するとともに幅方向外側に向かって延びるように形成され、その先に他端部50bが設けられている。そして、幅方向の両側に並んで配置される各力室50が、ベースプレート42の長手方向に交互にずれるように配置されている(図7参照)。即ち、各圧力室50は、幅方向の中心付近に位置した先端部50aから、1つおきに幅方向の逆向きに延びるように、長手方向に沿って交互に配設されている。
【0028】
また、各圧力室50の先端部50aは、スペーサプレート41及びマニホールドプレート40に形成された貫通路47、44を介して、ノズル35と一対一に連通しており、各圧力室50の他端部50bは、スペーサプレート41に形成された貫通孔48を介してインク通路45に連通している。図8は、ヘッドユニット22の幅方向の拡大断面図を示したものであるが、各圧力室50の他端部50bは、図7、8に示すように、ベースプレート42の下面側にのみ開口するように凹み形成されている。
【0029】
なお、ベースプレート42及びスペーサプレート41には、その長手方向の一方の端部に、2つのインク通路45の端部とそれぞれ連通する供給孔51、49が穿設されている。上面の各供給孔51は、ヘッドユニット22を本体フレーム21に組み付けたときに、その周囲がパッキン30に当接するとともに、本体フレーム21のインク供給通路26とそれぞれ連通する。なお、供給孔51の上面側には、図示しないインクカートリッジから供給されるインク中の塵除去のためのフィルタ52が接着剤にて取り付けられている。
【0030】
キャビティプレート36は、上記構成を備えることで、インク供給通路26から供給されるインクが、ベースプレート42の供給孔51及びスペーサプレート41の供給孔49を経てマニホールドプレート40のインク通路45a、45bへと流入し、インク通路45a、45bからスペーサプレート41の貫通孔48を通過して各圧力室50へと各他端部50bを介して分配される。そして、各圧力室50の先端部50aからスペーサプレート41の貫通路47及びマニホールドプレート40の貫通路44を経てノズルプレート39の各ノズル35へと至る(即ち、各圧力室50に対応する各ノズル35へとインクが供給される)(図6〜8参照)。
【0031】
圧電アクチュエータ37は、図8に示すように、複数枚の圧電シート53を積層した構造で、特開平4−341851号公報に記載の構成と同様に、各圧電シート53の最下段の圧電シート53及びそれから上方へ数えて奇数番目の圧電シート53の上面側には、キャビティプレート36における複数の圧力室50全体にわたって共通のコモン電極(図示せず)が形成されている。下から偶数段目の圧電シート53の上面には、各圧力室50の個所毎に細幅の電極(図示せず)が形成されている。最上段の圧電シート53の上面には、図5に示すように、その長辺方向の端縁部に沿って、前記各個別電極の各々に対して電気的に接続した表面電極54と、前記コモン電極に対して電気的に接続した表面電極55とが設けられている。
【0032】
このプレート型の圧電アクチュエータ37は、キャビティプレート36に対して、当該圧電アクチュエータ37における各個別電極がキャビティプレート36における各圧力室50の各々に対応するように、接着シート56等を介して積層固定される(図8参照)。また、圧電アクチュエータ37の上面側に、フレキシブルフラットケーブル38が重ねて取り付けられることにより、フレキシブルフラットケーブル38における各種の配線パターン(図示せず)が、圧電アクチュエータ37の表面電極54、55に電気的に接続される(図5参照)。
【0033】
上述したヘッドユニット22において、圧電アクチュエータ37における所定の個別電極とコモン電極との間に電圧を印加することにより、圧電シート53のうち電圧を印加した個別電極に対応した部分に圧電による積層方向の歪みが発生する。この歪みにて各個別電極に対応する圧力室50の内容積が縮小されることにより、この圧力室50内のインクが、ノズル35から液滴状に吐出して、所定の印字が行われることになる。
【0034】
次に、カバープレート23について説明する。カバープレート23は、ノズルプレート39のノズル35やその近傍の面をそれに印字用紙等が直接接触しないようにしたり、インクが圧電アクチュエータやフレキシブルフラットケーブルの電気系統の部分に侵入しないようにするために保護するためのものであり、また、ノズル35やその付近に付着したインク滓や塵を除去するためのワイパーブレードが摺接する個所となる。
【0035】
カバープレート23は、例えば金属板製であって、図1〜3に示すように、ヘッドユニット22の前面側(下面側)を保護するように設けられる。即ち、カバープレート23は、ノズル保護面58と、そのノズル保護面から折れ曲がって立ち上がった折曲部59及び60と、を備えている。そして、カバープレート23のノズル保護面58の厚みはノズルプレート39の厚みよりも僅かに厚くなるように形成されている。
【0036】
また、カバープレート23は、ノズル保護面58に形成される開口窓57を有し、この開口窓57からノズルプレート39の複数のノズル35が露出するようにヘッドユニット22に対して後述する第1の接着部61によって接着される。そして、カバープレート23の裏面側(上面側)には、図3に示すように、開口窓57の外側に非平滑部63が設けられている。なお、カバープレート23は、ヘッドユニット22とともに本体フレーム21の底板24に対しても後述する第2の接着部62によって接着される。
【0037】
次に、第1の接着部61、第2の接着部62、及び非平滑部63の構成について説明する。図10は、図4のA−A線矢視拡大断面図である。第1の接着部61は、ヘッドユニット22の前面(キャビティプレート36の前面)とカバープレート23の裏面とを接着する。即ち、第1の接着部61は、シリコン接着剤64がカバープレート23の裏面34側に塗布された後に(図9参照)、カバープレート23とヘッドユニット22とが互いに押し付けられ、硬化することで形成される。第1の接着部61が形成されることで、開口窓57の外周部分とヘッドユニット22の前面との間の隙間からインクが毛細管現象にて染み込んでしまうことを防止するシール機能が果たされる。即ち、第1の接着部61でシールすることで、ヘッドユニット22の裏面側の圧電アクチュエータ37等における電気系統の短絡が防止される。
【0038】
第2の接着部62は、ヘッドユニット22を本体フレーム21の底板24に接着するとともに、カバープレート23を底板24に接着する(図10参照)。即ち、第2の接着部62は、UV硬化接着剤32が流し込み孔31a、31bから流し込まれた後に(図9参照)、硬化することで形成される。これにより、本体フレーム21に対してヘッドユニット22及びカバープレート23が接着固定される。
【0039】
非平滑部63は、図9及び図10に示すように、カバープレート23上に(カバープレート23の裏面34側に)、エッチング加工等により、断面形状が略矩形の凹状の溝部として形成されている。そして、非平滑部63は、第1の接着部61と開口窓57との間に開口窓57の全周を囲むように形成される第1の非平滑部65と、第1の接着部61と第2の接着部62との間にヘッドユニット22の側部に対応した位置に形成されている第2の非平滑部66と、を備えている。
【0040】
第1の非平滑部65が形成されることで、第1の接着部61によるシール性を十分に確保するためにシリコン接着材64を多量に塗布してしまったような場合であっても、カバープレート23とヘッドユニット22とを接着する際開口窓57側へ向け流れ出すシリコン接着剤64を凹状の溝部に溜めて堰き止めることができる。このため、接着の際にシリコン接着剤64が開口窓57からはみ出すことを防止できる。したがって、開口窓57からはみ出した状態で硬化したシリコン接着剤64がワイパーブレードによって掻き取られてノズル35に押し込まれてしまうことも防止できる。即ち、接着剤64が多量に塗布された場合においても、接着剤64によるノズル35の閉塞を防止することができ、インクの吐出不良を防止することができる。
【0041】
また、第2の非平滑部66が形成されることで、上記シリコン接着剤64と、ヘッドユニット22等を本体フレーム21に接着する際に使用するUV接着剤32とが接近する部分において両接着剤の少なくとも一方が他方へ向けて流れ出すのを堰き止めることができる。このため、両接着剤の混ざり合いを防止することができる。
【0042】
上記のように、シリコン接着剤64がUV接着剤32と混ざり合うとUV接着剤32は硬化しないため、本体フレーム21に対してヘッドユニット22等が適切に固定されない(即ち、部分的に固定されていない個所が存在する、又は全部が固定されていない)という不具合が生じることになる。しかし、第2の非平滑部66が設けられることで、シリコン接着剤64とUV接着剤32とが混ざり合うことを防止できるため、本体フレーム21に対してヘッドユニット22等を確実に固定することができる。
【0043】
なお、非平滑部63は、凹状の溝部として形成されているため、接着剤は、凹状の溝部内に流動して堰き止められるが、接着剤のはみ出しを効果的に防止することを、凹状の溝部という簡易な構造で実現することができる。
【0044】
次に、ヘッドユニット22及びカバープレート23を本体フレーム21に固定する方法について説明する。まず、カバープレート23を位置決めのための治具67(図10中の二点鎖線)上に載置し、カバープレート23の裏面34において開口窓57の外周部分を囲むように第1の非平滑部65の外側でシリコン接着剤64を塗布する(図9参照)。
【0045】
次いで、治具67における2つの位置決めピン68(図10では一方のみを示す)に、ノズルプレート39における位置決め孔43、43(及びマニホールドプレート40の位置決め孔46、46)を嵌めて(図6参照)、2個のノズルプレート39が開口窓57から露出するように、ヘッドユニット22を配置する(図1〜3、9参照)。そして、これにより、2個のヘッドユニット22におけるノズル35の列の間隔が一定で且つ平行となるようにヘッドユニット22をセットして、各ヘッドユニット22の前面とカバープレート23の裏面34とをシリコン接着剤64で接着して第1の接着部61を形成する(図9、10参照)。なお、この接着の際、第1の非平滑部65及び第2の非平滑部66によって、シリコン接着剤64の流れ出しがそれぞれ防止される。
【0046】
そして、ヘッドユニット22とカバープレート23とを接着した上に、本体フレーム21を被せ(図3参照)、ヘッドユニット22を本体フレーム21の支持部27に対応させて(図2参照)、流し込み孔31a、31bにUV接着剤32を流し込む(図3、9、10参照)。この接着の際も、第2の非平滑部66の存在によって、シリコン接着剤64とUV接着剤32との混ざり合いが防止される。その後、紫外線を照射してUV接着剤32を硬化させ、2個のヘッドユニット22の位置を一度に固定して第2の接着部62を形成する(図10参照)。
【0047】
さらに、カバープレート23の外周と本体フレーム21との間に、シール剤(図示せず)を、前記特許文献1に記載の構成と同様に、塗布する。これにより、ヘッドユニット22の圧電アクチュエータ及びフレキシブル配線基板38の電気系統を外部に対して完全に封止し、外部からのインクや紙粉、埃等が侵入するのを防止する。
【0048】
以上により、ヘッドユニット22及びカバープレート23を本体フレーム21に接着固定して、インクジェットヘッド1とすることができる。このインクジェットヘッド1によると、シリコン接着剤64が開口窓57からはみ出すことを防止できるとともに、シリコン接着剤64とUV接着剤32とが混ざり合うことも防止でき、インクジェットヘッドの品質向上及び信頼性向上を図ることができる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施することができる。図11〜図20は、各変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図であって、上記実施形態におけるインクジェットヘッド1の図10のさらに要部を示すものに相当する。上記実施形態と同様の個所は、同一の符号を用いて説明を省略する。
【0050】
(1)図11のインクジェットヘッド2は、非平滑部63における第1の非平滑部65a及び第2の非平滑部66aともに、凸状の条部として形成されている。このため、接着剤は、凸状の条部に塞き止められる。
【0051】
(2)図12のインクジェットヘッド3は、非平滑部63における第1の非平滑部65b及び第2の非平滑部66bともに、表面粗さ(粗度)を粗くすることで形成されている。表面粗さの程度を表す指標としては、例えば、2次元表面粗さ(Ra)、3次元表面粗さ(SRa)、10点平均表面粗さ(Rz)、最大表面粗さ(Rmax)などの数値化指標を用いることができ、これらの指標の値に、非平滑部とその他の部分(平滑な部分)とで大小関係が生じるようにすることで、表面粗さを粗くする設定を定量的に行うことができる。なお、表面粗さを粗くする処理は、例えば、サンドブラスト等の処理をカバープレート23の裏面に部分的に施すことで行われる。表面粗さの高い非平滑部65b、66bが形成されることで、接着剤は、表面粗さが粗く流動抵抗の高い非平滑部(65b、66b)で堰き止められる。
【0052】
(3)図13のインクジェットヘッド4は、非平滑部63における第1の非平滑部65c及び第2の非平滑部66cともに、カバープレート23上ではなくヘッドユニット22上に(ヘッドユニット22の前面に)凹状の溝部として形成されている。
【0053】
(4)図14のインクジェットヘッド5は、非平滑部63における第1の非平滑部65d及び第2の非平滑部66dともに、ヘッドユニット22上に(ヘッドユニット22の前面に)凸状の条部として形成されている。
【0054】
(5)図15のインクジェットヘッド6は、非平滑部63における第1の非平滑部65e及び第2の非平滑部66eともに、ヘッドユニット22上に(ヘッドユニット22の前面に)部分的にサンドブラスト等により表面粗さを粗くした部分を設けることで形成されている。
【0055】
(6)図16のインクジェットヘッド7の非平滑部63は、第1の非平滑部65fのみが凹状の溝部としてカバープレート23上に(カバープレート23の裏面に)形成され、第2の非平滑部は形成されていない。
【0056】
(7)図17のインクジェットヘッド8は、非平滑部63における第1の非平滑部65g及び第2の非平滑部66gは、カバープレート23上に(カバープレート23の裏面に)に凹状の溝部として形成されている。そして、第1の非平滑部65h及び第2の非平滑部66hが、ヘッドユニット22に(ヘッドユニット22の前面に)凹状の溝部として形成されている。即ち、カバープレート23及びヘッドユニット22の両方ともに非平滑部63が形成されている。
【0057】
(8)図18のインクジェットヘッド9の非平滑部63における第1の非平滑部65i及び第2の非平滑部66iは、カバープレート23上に(カバープレート23の裏面に)に凹状の溝部として形成されている。そして、第1の非平滑部65j及び第2の非平滑部66jが、ヘッドユニット22に(ヘッドユニット22の前面に)凸状の条部として形成されている。
【0058】
(9)図19のインクジェットヘッド10の非平滑部63における第1の非平滑部65k及び第2の非平滑部66kは、カバープレート23上に(カバープレート23の裏面に)に凹状の溝部として形成されている。しかし、断面形状が略矩形でなく、略三角形に形成されている。このように、凹状の溝部の断面形状としては、種々の形態をとることができる。
【0059】
(10)図20のインクジェットヘッド11の非平滑部63における第1の非平滑部65l及び第2の非平滑部66lは、カバープレート23上に(カバープレート23の裏面に)に凹状の溝部として2個ずつ形成されている。なお、第1の非平滑部65l及び第2の非平滑部66lの個数は、3個以上であってもよく、また、第1の非平滑部65lと第2の非平滑部66lとで、形成される個数が異なっていてもよい。この場合も、同様の作用効果を奏することができる。
【0060】
(11)カバープレート23は、図21に示すように、ノズル保護面58の全周において折れ曲がった側部59aを有する箱状に形成し、本体フレーム21に底板24全体を包むようにして取り付けることもできる。
【0061】
(12)また、図21に示すように、ヘッドユニット22は4個配置し、開口窓57もそれに対応する個数設けることができる。なお、並置するヘッドユニット22の個数は、1個以上、使用するインクの数に応じて任意に決めることができる。
【0062】
(13)ヘッドユニット22は、上記実施形態の圧電アクチュエータのほか、静電気、あるいはヒータなど公知の各種の駆動手段によってインクを吐出させることができる。
【0063】
(14)第1の接着部形成する接着剤は、主としてヘッドユニット22とカバープレート23との間の隙間をシールすることが大きな目的であるので、本体フレーム21とカバープレート23との接着強度を第2の接着部で保つようにすれば、第1の接着部形成する接着剤はシリコン接着剤のように硬化状態において機械的強度が小さいものであっても差し支えない。第2の接着部は、ノズルの位置を正確に保つために、速乾性があって機械的な強度が大きいものが望ましい。第1及び第2の接着部形成する接着剤の組み合わせは、公知の各種のものから選択することができる。
【0064】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、カバープレート及びヘッドユニット上の少なくとも一方には、カバープレートとヘッドユニットとの第1の接着部と、開口窓との間において非平滑部が形成されているので、接着剤が多量に塗布された場合においても、接着剤が開口窓から流れ出すのを防止することができ、従来のようにワイパーブレードによって接着剤をノズルに運んでインクの吐出不良を起こすことを防止することができる。
【0065】
請求項2に記載の発明によると、非平滑部は、第1の接着部と第2の接着部との間においても形成されているので、両接着部に使用する一方の接着剤が他方の接着剤へ向けて流れ出すのを防止することができ、両接着剤の混ざり合いを防止することができる。
【0066】
請求項3に記載の発明によると、接着剤は、凹状の溝部内に流動して堰き止められる。このため、接着剤のはみ出しを効果的に防止することを簡易な構造で実現できる。
【0067】
請求項4に記載の発明によると、接着剤は、凸状の条部に堰き止められる。このため、接着剤のはみ出しを効果的に防止することを簡易な構造で実現できる。
【0068】
請求項5に記載の発明によると、接着剤は、表面粗さが粗く流動抵抗の高い非平滑部で堰き止められる。このため、接着剤のはみ出しを防止することを簡易な構造で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドを例示した斜視図であり、インクジェットヘッドのノズル側を上にした(下面側を上にした)図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図3】図1に示すインクジェットヘッドの分解斜視図であって、図2とは反対側から見たものである。
【図4】図1に示すインクジェットヘッドの本体フレームの底板を下面側から見た図である。
【図5】図1に示すインクジェットヘッドのヘッドユニットにおける各部品の斜視図である。
【図6】図5に示すヘッドユニットのキャビティプレートにおける各部品の斜視図をノズルプレートとともに示した図である。
【図7】図6に示すキャビティプレートの部分拡大断面図である。
【図8】図3に示すヘッドユニットの幅方向の拡大断面図である。
【図9】図3に示す本体フレームにヘッドユニット及びカバープレートを接着して固定する作業を説明する要部拡大断面図であって、図4のA−A線矢視位置に対応する図である。
【図10】図4のA−A線矢視拡大断面図である。
【図11】第1の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図12】第2の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図13】第3の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図14】第4の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図15】第5の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図16】第6の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図17】第7の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図18】第8の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図19】第9の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図20】第10の変形例に係るインクジェットヘッドの要部拡大断面図である。
【図21】変形例に係るカバープレート及びヘッドユニットの斜視図である。
【符号の説明】
1〜11 インクジェットヘッド
22 ヘッドユニット
23 カバープレート
35 ノズル
57 開口窓
61 第1の接着部
62 第2の接着部
63 非平滑部
65、65a〜l 第1の非平滑部
66、66a〜e、66g〜l 第2の非平滑部
Claims (5)
- 印字面にインクを吐出するための複数のノズルが形成されたヘッドユニットと、
開口窓を有し、その開口窓から前記複数のノズルが露出するように前記ヘッドユニットに接着されるカバープレートと、
を備えたインクジェットヘッドにおいて、
前記カバープレート上及び前記ヘッドユニット上の少なくとも一方には、前記カバープレートと前記ヘッドユニットとの第1の接着部と、前記開口窓との間において非平滑部が形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 底板を有する本体フレームをさらに備え、
前記ヘッドユニットは、前記本体フレームの底板と第2の接着部において接着され、
前記非平滑部は、前記第1の接着部と前記第2の接着部との間においても形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。 - 前記非平滑部は、凹状の溝部として形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
- 前記非平滑部は、凸状の条部として形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
- 前記非平滑部は、表面粗さを粗くすることで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
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