JP7296245B2 - 偏光板および光学機器、並びに偏光板の製造方法 - Google Patents

偏光板および光学機器、並びに偏光板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7296245B2
JP7296245B2 JP2019088511A JP2019088511A JP7296245B2 JP 7296245 B2 JP7296245 B2 JP 7296245B2 JP 2019088511 A JP2019088511 A JP 2019088511A JP 2019088511 A JP2019088511 A JP 2019088511A JP 7296245 B2 JP7296245 B2 JP 7296245B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polarizing plate
layer
dielectric
reflective layer
pitch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019088511A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019124970A (ja
Inventor
和幸 渋谷
重司 榊原
利明 菅原
雄介 松野
昭夫 高田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dexerials Corp
Original Assignee
Dexerials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dexerials Corp filed Critical Dexerials Corp
Priority to JP2019088511A priority Critical patent/JP7296245B2/ja
Publication of JP2019124970A publication Critical patent/JP2019124970A/ja
Priority to CN202010334397.3A priority patent/CN111913246B/zh
Priority to US16/867,146 priority patent/US11579350B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP7296245B2 publication Critical patent/JP7296245B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3025Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state
    • G02B5/3058Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state comprising electrically conductive elements, e.g. wire grids, conductive particles
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3008Polarising elements comprising dielectric particles, e.g. birefringent crystals embedded in a matrix
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3025Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state
    • G02B5/3033Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state in the form of a thin sheet or foil, e.g. Polaroid
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
    • G02F1/133Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
    • G02F1/1333Constructional arrangements; Manufacturing methods
    • G02F1/1335Structural association of cells with optical devices, e.g. polarisers or reflectors
    • G02F1/133528Polarisers
    • G02F1/133548Wire-grid polarisers
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/11Anti-reflection coatings
    • G02B1/113Anti-reflection coatings using inorganic layer materials only
    • G02B1/115Multilayers
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/11Anti-reflection coatings
    • G02B1/118Anti-reflection coatings having sub-optical wavelength surface structures designed to provide an enhanced transmittance, e.g. moth-eye structures

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Nonlinear Science (AREA)
  • Mathematical Physics (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Optical Filters (AREA)

Description

本発明は、偏光板および光学機器、並びに偏光板の製造方法に関する。
従来、偏光素子として、使用帯域の光の波長より小さいピッチの金属格子を基板上に形成し、当該金属格子上に誘電層等を形成することにより、金属格子から反射した光を干渉効果により打ち消すとともに、もう一方の偏光成分を透過させる吸収型のワイヤグリッド型偏光素子が提案されている。
ワイヤグリッド型偏光素子のピッチは、使用波長の1/2未満とすることが好ましく、これを超える場合には回折光が発生する。このため、一般的には、200nm以下のピッチとなっている。そして、基板上に形成される金属格子の間隙は、空気となっているのが通常である。
このような偏光素子に対しては、近年の液晶プロジェクタの高輝度化に伴い、高い耐熱性が要求されつつある。しかし、従来タイプのワイヤグリッド型偏光素子は、金属格子と空気層からなる構造であるため、例えば、350℃を超える高温環境下では、金属グリッドが劣化し、偏光特性が低下することが懸念されていた。
そこで、埋め込み型のワイヤグリッド偏光素子が提案されている(特許文献1参照)。すなわち、ワイヤグリッド偏光素子の金属格子の空隙の空気層を、樹脂等で埋め込んだ態様のワイヤグリッド偏光素子である。
しかしながら、ワイヤ間の空隙が埋め込まれたワイヤグリッド偏光素子は、偏光特性が大きく低下する。例えば、ピッチ150nmのワイヤ構造の空隙を埋め込んで、同等の偏光特性を発現させるためには、ワイヤのアスペクト比を100程度と非常に大きくせねばならず、既存の製造技術では作成不可能な状況にあった。
また、偏光素子に対しては、近年の液晶プロジェクタの高精細化に伴って、より高い偏光特性への要求が続いている。ここで、ワイヤグリッド型偏光素子においてより高い偏光を実現する方法としては、細いワイヤを小さいピッチで配列する方法が挙げられる。
しかしながら、細いワイヤは物理的な損傷を受けやすいという問題があった。そこで、ワイヤグリッド偏光板のそれぞれのワイヤの側面に沿って、サイドバーを配置する偏光板が提案されている(特許文献2参照)。さらに特許文献2においては、ワイヤ間の空隙を埋め込む態様についても示されている。
特許文献2に記載されたサイドバーを備える偏光板によれば、偏光板の耐久性を向上させることができる。また、当時の製造限界に近い、小さいピッチのワイヤグリッド偏光板を実現できる。
しかしながら、サイドバーを存在させるワイヤ構成は、製造が複雑となる問題があった。また、さらなる小さいピッチへの対応も困難であった。
特開2012-173441号公報 特表2016-536651号公報
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐熱性を有するとともに優れた偏光特性を有し、小さいピッチで細いワイヤの構造であっても耐久性を有するワイヤグリッド偏光板およびその偏光板を備える光学機器を提供することにある。
本発明者らは、小さいピッチの偏光板を実現するにあたり、自己組織化性能による配列形成に着目した。そして、自己組織化性能により配列を形成する材料を用いて、周期的なラメラ構造を形成した後にこれを金属化することで、小さいピッチで配列した金属ワイヤを作成し、得られたワイヤを誘電材料によって固定すれば、耐熱性を有するとともに優れた偏光特性を有し、小さいピッチで細いワイヤの構造であっても耐久性を有するワイヤグリッド偏光板が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、ワイヤグリッド構造を有する偏光板であって、透明基板と、30nm以上100nm以下のピッチで前記透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるアレイと、を備え、前記凸部は、少なくとも反射層を含み、隣接する前記凸部の間隙には、誘電材料が充填されており、前記アレイは、前記誘電材料からなる誘電層内に固定されている偏光板である。
隣接する前記凸部の間隙には、前記誘電材料の中に、所定方向に延在する気体の層を有していてもよい。
前記誘電層は、表面に、所定方向に延在する複数の凹部を有していてもよい。
さらに、反射防止層を有していてもよい。
前記凸部は、さらに誘電吸収層を有していてもよい。
前記凸部は、アスペクト比が3以上15以下であってもよい。
光が入射する前記偏光板の表面は、誘電体からなる保護膜により覆われていてもよい。
光が入射する前記偏光板の表面は、有機系撥水膜により覆われていてもよい。
また別の本発明は、前記偏光板を備える光学機器。
また別の本発明は、ワイヤグリッド構造を有する偏光板の製造方法であって、透明基板および反射層を含む積層体の反射層の上に、自己組織化性能により配列を形成するブロック共重合体を自己組織化させて、周期的なラメラ構造を形成するブロック共重合体配列工程と、配列した前記ブロック共重合体の特定のポリマーブロック鎖を選択的に除去することにより、30nm以上100nm以下のピッチで配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるマスクを形成するマスク形成工程と、前記マスクを使用してエッチングを行うことにより、少なくとも反射層を含み、30nm以上100nm以下のピッチで配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるアレイを形成するアレイ形成工程と、少なくとも反射層を含む凸部からなる前記アレイを、誘電材料からなる誘電層内に固定する凸部固定工程と、を有する偏光板の製造方法である。
本発明によれば、耐熱性を有するとともに優れた偏光特性を有し、小さいピッチで細いワイヤの構造であっても耐久性を有するワイヤグリッド偏光板およびその偏光板を備える光学機器を提供できる。具体的には、優れた偏光特性を発現するに十分なアスペクト比を有するワイヤ構造を備えるとともに、小さいピッチで細いワイヤの構造でありながら耐久性を有するともに耐熱性を有する、ワイヤグリッド偏光板およびその偏光板を備える光学機器を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る偏光板を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る偏光板を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る偏光板を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る偏光板を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る偏光板を示す断面模式図である。 本発明の偏光板を製造する工程模式図である。 本発明の偏光板を製造する工程模式図である。 ピッチとアスペクト比との関係を示すグラフである。 波長と透過軸透過率との関係を示すグラフである。 波長と吸収軸透過率との関係を示すグラフである。 アスペクト比と吸収軸透過率との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る偏光板を示す断面模式図である。 波長と透過率または反射率との関係を示すグラフである。 波長と透過軸透過率または吸収軸透過率との関係を示すグラフである。 波長と透過軸透過率または吸収軸透過率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
[偏光板]
本発明の偏光板は、透明基板と、30nm以上100nm以下のピッチで前記透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるアレイと、を備え、前記凸部は、少なくとも反射層を含み、隣接する前記凸部の間隙には、誘電材料が充填されており、前記アレイは、前記誘電材料からなる誘電層内に固定されている偏光板である。なお、本発明の偏光板は、本発明の効果を発現する限りにおいて、透明基板、反射層、誘電層、以外の層が存在していてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る偏光板100を示す断面模式図である。図1に示すように、偏光板100は、使用帯域の光に透明な透明基板1と、透明基板1の一方の面上に30nm以上100nm以下のピッチで、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるアレイと、を備える。凸部は、少なくとも反射層2を有し、隣接する凸部の間隙は、誘電材料が充填されている。そして、凸部からなるアレイは、凸部の間隙に充填された誘電材料からなる誘電層4に内包されて固定されている。
ここで、図1に示すように凸部の延在する方向(所定方向)を、Y軸方向と称する。また、Y軸方向に直交し、透明基板1の主面に沿って凸部が配列する方向を、X軸方向と称する。この場合、偏光板100に入射する光は、透明基板1の凸部が形成されている側において、好適にはX軸方向およびY軸方向に直交する方向から入射する。
ワイヤグリッド構造を有する偏光板は、透過、反射、干渉および光学異方性による偏光波の選択的光吸収の4つの作用を利用することで、Y軸方向に平行な電界成分をもつ偏光波(TE波(S波))を減衰させ、X軸方向に平行な電界成分をもつ偏光波(TM波(P波))を透過させる。従って、図1においては、Y軸方向が偏光板の吸収軸の方向であり、X軸方向が偏光板の透過軸の方向である。
図1に示される偏光板100の凸部が形成された側から入射した光Lは、誘電層4を通過する際に一部が吸収されて減衰する。誘電層4を透過した光のうち、偏光波(TM波(P波))は高い透過率で反射層2を透過する。一方、誘電層4を透過した光のうち、偏光波(TE波(S波))は反射層2で反射される。反射層2で反射されたTE波は、誘電層4を通過する際に一部は吸収され、一部は反射して反射層2に戻る。反射層2で反射されたTE波は、誘電層4を通過する際に干渉して減衰する。以上のようにTE波の選択的減衰を行うことにより、偏光板100は、所望の偏光特性を得ることができる。
本発明の偏光板における格子状の凸部は、図1に示すように各一次元格子の延在する方向(所定方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、少なくとも反射層2を有する。反射層以外の層を有していても問題はなく、図1に示される偏光板100においては、凸部は、反射層2以外に金属酸化膜3を有する。
ここで本明細書における寸法につき、図1を用いて説明する。高さとは、図1における透明基板1の主面に垂直な方向の寸法を意味する。幅とは、凸部の延びる方向に沿うY軸方向から見たときに、高さ方向に直交するX軸方向の寸法を意味する。また、偏光板100を凸部の延びる方向に沿うY軸方向から見たときに、凸部のX軸方向の繰り返し間隔を、ピッチと称する。本明細書における図面においては、Hは反射層の高さ、Pは凸部のピッチ、Wは凸部のライン幅、そしてSは凸部のスペース幅を示す。
(透明基板)
透明基板(図1における透明基板1)としては、使用帯域の光に対して透光性を示す基板であれば特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。「使用帯域の光に対して透光性を示す」とは、使用帯域の光の透過率が100%であることを意味するものではなく、偏光板としての機能を保持可能な透光性を示せばよい。使用帯域の光としては、例えば、波長380nm~810nm程度の可視光が挙げられる。
透明基板の主面形状は特に制限されず、目的に応じた形状(例えば、矩形形状)が適宜選択される。透明基板の平均厚みは、例えば、0.3mm~1mmが好ましい。
透明基板の構成材料としては、屈折率が1.1~2.2の材料が好ましく、ガラス、水晶、サファイア等が挙げられる。コストおよび透光率の観点からは、ガラス、特に石英ガラス(屈折率1.46)やソーダ石灰ガラス(屈折率1.51)を用いることが好ましい。ガラス材料の成分組成は特に制限されず、例えば光学ガラスとして広く流通しているケイ酸塩ガラス等の安価なガラス材料を用いることができる。
また、熱伝導性の観点からは、熱伝導性が高い水晶やサファイアを用いることが好ましい。これにより、強い光に対して高い耐光性が得られ、発熱量の多いプロジェクタの光学エンジン用の偏光板として好ましく用いられる。
なお、水晶等の光学活性の結晶からなる透明基板を用いる場合には、結晶の光学軸に対して平行方向または垂直方向に凸部を配置することが好ましい。これにより、優れた光学特性が得られる。ここで、光学軸とは、その方向に進む光のO(常光線)とE(異常光線)の屈折率の差が最小となる方向軸である。
(格子状の複数の凸部からなるアレイ)
本発明の偏光板において、格子状の複数の凸部からなるアレイは、透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなる。具体的には、透明基板の片側面に形成され、吸収軸であるY軸方向に、帯状に延びた凸部が配列されたアレイである。
格子状の複数の凸部からなるアレイは、少なくとも反射層を含み、反射層以外の層や膜を含んでいてもよい。また、反射層以外の層や膜は、透明基板に水平に備えられる場合に限られず、例えば垂直等に形成されていてもよい。例えば、図1に示される偏光板100は、凸部を構成する必須の層となる反射層2が、金属酸化膜3で被覆されたものである。
ワイヤグリッド偏光板において、格子状の凸部のピッチは、使用波長の1/2未満とすることが好ましく、これを超える場合には回折光が発生する。このため、200nm以下のピッチとなっていることが一般的である。
しかしながら、本発明の偏光板においては、格子状凸部のピッチ(図1における凸部のピッチP)は、30nm以上100nm以下である。本発明のワイヤグリッド偏光板は、格子状凸部のピッチが小さいことを特徴とする。ピッチが十分に小さい凸部とすることにより、所望の偏光特性を実現するにあたり、凸部のアスペクト比を小さい数値とすることが可能となる。なお、30nmを下回るピッチで格子状凸部を形成することは困難であり、一方で、100nmを上回ると光学特性が悪化する。
格子状の凸部のピッチは、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡で観察することにより測定できる。例えば、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて、任意の4箇所についてピッチを測定し、その算術平均値を凸部のピッチとすることができる。以下、この測定方法を電子顕微鏡法と称する。
凸部の幅(図1における凸部のライン幅W)は、ピッチとの関係にもよるが、例えば、ピッチに対する割合として、20~70%であることが好ましい。なお、これらの幅は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
格子状の複数の凸部からなるアレイの膜厚は、必要とする偏光特性を発現できる範囲において特に制限されず、例えば、110nm~450nmとすることが好ましい。なお、アレイの膜厚は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
なお、本発明の偏光板は、隣接する凸部の間隙に誘電材料が充填されており、複数の凸部からなるアレイは、当該誘電材料からなる誘電層内に固定される。このように凸部を誘電材料に埋め込む場合には、偏光特性が低下し、特に、凸部の延在する方向(長手方向)に直交する方向に電界成分をもつ偏光波(TM波(P波))の透過率が減少するため、コントラストが低下する。したがって、埋め込み型のワイヤグリッド偏光板に十分な偏光特性を発現させるためには、凸部の高さを十分に備えさせることが必要となり、すなわち、格子状の複数の凸部からなるアレイの膜厚を大きくする必要がある。その結果、アスペクト比の大きな凸部の形成が必要となり、現行の製造技術では限界に到達していた。これに対して本発明においては、凸部のピッチを小さくすることで、凸部の高さが製造限界を超えない範囲に抑えて、優れた偏光特性を発現させる。
格子状の凸部のアスペクト比(凸部の高さ/凸部のライン幅)は、3以上15以下とすることが好ましい。アスペクト比が3未満の場合には十分な偏光特性が発現せず、また、15を超える場合は、現在の製造技術では困難なレベルとなる。
(反射層)
格子状の複数の凸部の必須の構成層となる反射層(図1における反射層2)は、透明基板上に配列され、所定方向に延在して、格子状の複数の凸部を形成する。具体的には、透明基板の片側面に形成され、吸収軸であるY軸方向に、帯状に延びた配列された金属膜である。なお、本発明においては、透明基板と反射層との間に、他の層が存在していてもよい。
反射層は、ワイヤグリッド型偏光子としての機能を発現に寄与し、反射層の延在する方向(長手方向)に平行な方向に電界成分をもつ偏光波(TE波(S波))を減衰させ、反射層の延在する方向(長手方向)に直交する方向に電界成分をもつ偏光波(TM波(P波))を透過させる。
反射層の構成材料としては、使用帯域の光に対して反射性を有する材料であれば特に制限されず、例えば、Al、Pt、Ag、Cu、Mo、Cr、Ti、Ni、W、Fe、Si、Ge、Te等の元素単体、またはこれらの1種以上の元素を含む合金が挙げられる。中でも、本発明の偏光板を可視光用途に用いる場合には、反射層は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成することが好ましい。なお、これらの金属材料以外にも、例えば着色等により表面の反射率が高く形成された金属以外の無機膜や樹脂膜で構成してもよい。
反射層の膜厚(図1における反射層の高さH)は、必要とする偏光特性を発現できる範囲において特に制限されず、アスペクト比にもよるが、例えば、100nm~400nmとすることが好ましく、120nm~180nmであることがさらに好ましい。なお、反射層の膜厚は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
(金属酸化膜)
金属酸化膜(図1における金属酸化膜3)は、本発明においては、任意の層である。図1に示される構成の偏光板100においては、金属酸化膜3は、反射層2を被覆する状態で存在している。
金属酸化膜となる金属は、上記した反射層を構成する材料の酸化物であり、自然酸化膜として形成される。また、その厚みは特に限定されるものではないが、通常、5nm以下である。
(誘電層)
誘電層(図1における誘電層4)は、格子状の複数の凸部からなるアレイを固定する層である。誘電層は誘電材料からなり、当該誘電材料は隣接する凸部の間隙に少なくとも充填され、存在している。凸部の間隙に誘電材料が充填されて凸部を固定することにより、本発明の偏光板は、耐熱性を有するとともに、小さいピッチで細いワイヤの構造であっても耐久性を有するものとなる。
誘電層を構成する材料は、特に限定されるものではないが、偏光すべき光線の偏光板における不要な反射等を抑える観点から、例えば、SiO等のSi酸化物、AlF、BaF、CeF、LaF、LiF、MgF、NdF、NaF、YF等が挙げられる。これらの中では、屈折率が1.30~1.70の物質が好ましく、さらには、SiO等のSi酸化物で構成されることが好ましい。誘電層の材料の選択により、偏光特性を制御することができる。
本発明の偏光板における誘電層は、少なくとも隣接する凸部の間隙を埋め込んで凸部を固定する目的で存在していればよいが、格子状の複数の凸部からなるアレイそのものを内包していてもよい。複数の凸部からなるアレイを内包する場合には、誘電層に固定される凸部の頂上から誘電層の表面までの高さ(例えば、図2における凸部頂上からの誘電層の高さHa)は、5nm~150nmの範囲とすることが好ましい。
誘電層の凸部の頂上からの膜厚を適宜設定することにより、反射層で反射したTE波の一部を反射層に戻すことができ、光を減衰させることができる。このようにしてTE波の選択的減衰を行うことで、所望の偏光特性を得ることに貢献できる。なお、凸部頂上からの誘電層の厚みは、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
(保護膜)
また、本発明の偏光板は、光学特性の変化に影響を与えない範囲において、光の入射側の表面が、誘電体からなる保護膜により覆われていてもよい。保護膜は、誘電体膜で構成される。
(有機系撥水膜)
さらに、本発明の偏光板は、光の入射側の表面が、有機系撥水膜により覆われていてもよい。有機系撥水膜は、例えば、FOPA、ODPA、FDPA等のホスホン酸誘導体や、FDTS、FSAM等のフッ素系シラン化合物等で構成される。これにより、偏光板の耐湿性等の信頼性を向上できる。
なお、本発明は図1に示される上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形および改良は、本発明に含まれる。
図2は、本発明の実施形態の一つに係る偏光板200を示す断面模式図である。図2に示される偏光板200は、透明基板1と、透明基板1の一方の面上に30nm以上100nm以下のピッチで、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるアレイと、を備える。凸部は、金属酸化膜3で被覆された反射層2で構成され、隣接する凸部の間隙には、誘電材料が充填されている。そして、凸部からなるアレイは、凸部の間隙に充填された誘電材料からなる誘電層4に内包されて固定されている。
図2における本発明の実施形態の一つに係る偏光板200は、隣接する凸部の間隙に充填された誘電材料に、空気層5を有することを特徴とする。空気層5は、透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部を形成する層となっている。本実施形態においては、空気層5を存在させることにより、透過軸透過率を向上させ、吸収軸透過率を低下させることができる。空気層の幅は3~10nm、高さは凸部と略同程度とすることが好ましい。
図3は、本発明の実施形態の一つに係る偏光板300を示す断面模式図である。図3に示される偏光板300は、透明基板1と、透明基板1の一方の面上に30nm以上100nm以下のピッチで、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるアレイと、を備える。
図3における偏光板300においては、金属酸化膜3で被覆された反射層2の上に誘電吸収層6が積層され、反射層2と金属酸化膜3と誘電吸収層6とで凸部が形成されることを特徴とする。誘電材料は、隣接する凸部の空隙における反射層2と金属酸化膜3のみならず、誘電吸収層6の間にも充填され、凸部の高さ全体が誘電層4内に固定されている。
図3に示される偏光板300の凸部を構成する誘電吸収層6は、金属酸化膜3で被覆された反射層2上に、透明基板1の面方向に対して垂直に積層されており、格子状の凸部の延在する方向(所定方向:Y軸方向)から見たとき、すなわち所定方向に直交する断面視で、矩形状を有する。また誘電吸収層6の幅は、下層に位置する金属酸化膜3で被覆された反射層2における長方形部分の幅と略同一である。
(誘電吸収層)
誘電吸収層(図3における誘電吸収層6)は、金属酸化膜3で被覆された反射層2上に形成され、吸収軸であるY軸方向に帯状に延びて配列される。そして、誘電吸収層は、反射層2と金属酸化膜3とともに、凸部の一部を形成する。
本発明において誘電吸収層を設ける場合には、誘電膜と吸収膜とが境界をもって存在し、多層膜となっている場合、あるいは、誘電性と吸収性の両者を有する一体化層となっている場合のいずれであってもよい。また、誘電性と吸収性の両者を有する一体化層となっている場合には、膜組成が層中で変化せず略均一となっている混合膜であっても、あるいは、膜の組成が膜厚方向に変化するグラデーション膜であってもよい。
誘電吸収層6を、誘電膜と吸収膜とを個別に設けて多層膜とする場合には、金属酸化膜3で被覆された反射層2上に誘電膜を設け、その上に吸収膜を積層することが好ましい。さらに好ましくは、反射層2上に誘電膜を設け、その上に吸収膜を積層し、さらにその上に誘電膜を積層することが好ましい。
誘電膜を構成する材料としては、SiO等のSi酸化物、Al、酸化ベリリウム、酸化ビスマス、等の金属酸化物、MgF、氷晶石、ゲルマニウム、二酸化チタン、フッ化マグネシウム、窒化ボロン、酸化ボロン、酸化タンタル、酸化ハフニウム、またはこれらの組み合わせ等の一般的な材料が挙げられる。中でも、誘電膜は、Si酸化物で構成されることが好ましい。
誘電膜の屈折率は、1.0より大きく、2.5以下であることが好ましい。凸部下部に存在する反射層の光学特性は、周囲の屈折率によっても影響を受け、誘電膜の材料を選択することにより、偏光板特性を制御できる。
また、誘電膜の膜厚や屈折率を適宜調整すれば、反射層で反射したTE波について、吸収膜を透過する際に一部を反射して反射層に戻すことができるため、吸収層を通過した光を干渉により減衰させることができる。このようにしてTE波の選択的減衰を行うことができ、その結果、所望の偏光特性を得ることに貢献する。
誘電膜の膜厚は、吸収膜で反射した偏光に対して、吸収膜を透過して反射層で反射した偏光の位相が半波長ずれる範囲で形成される。具体的には、誘電膜の膜厚は、偏光の位相を調整して干渉効果を高めることが可能な1~500nmの範囲で適宜設定することが好ましい。なお、誘電体層の膜厚は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
吸収膜の構成材料としては、金属材料や半導体材料等の光学定数の消衰定数が零でない、光吸収作用を持つ物質の1種以上が挙げられ、適用される光の波長範囲によって適宜選択される。金属材料としては、Ta、Al、Ag、Cu、Au、Mo、Cr、Ti、W、Ni、Fe、Sn等の元素単体、またはこれらの1種以上の元素を含む合金が挙げられる。また、半導体材料としては、Si、Ge、Te、ZnO、シリサイド材料(β-FeSi、MgSi、NiSi、BaSi、CrSi、CoSi、TaSi等)が挙げられる。これらの材料を用いることにより、得られる偏光板は、適用される可視光域に対して高い消光比が得られる。中でも、吸収膜は、FeまたはTaを含むとともに、Siを含んで構成されることが好ましい。
吸収膜として半導体材料を用いる場合には、吸収作用に半導体のバンドギャップエネルギーが関与するため、バンドギャップエネルギーが使用帯域以下とする。例えば、可視光で使用する場合、波長400nm以上での吸収、即ち、バンドギャップとしては3.1ev以下の材料を使用する。
吸収膜の膜厚は、特に制限されず、例えば、10nm~100nmが好ましい。なお、吸収層の膜厚は、例えば上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
なお、吸収層は、蒸着法やスパッタ法により、高密度の膜として形成することも可能である。また、吸収層は、構成材料の異なる2層以上から構成されていてもよい。
図4は、本発明の実施形態の一つに係る偏光板400を示す断面模式図である。図4に示される偏光板400は、透明基板1と、透明基板1の一方の面上に30nm以上100nm以下のピッチで、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるアレイと、を備える。凸部は、金属酸化膜3で被覆された反射層2で構成され、隣接する凸部の間隙には、誘電材料が充填されている。そして、凸部からなるアレイは、凸部の間隙に充填された誘電材料からなる誘電層4に内包されて固定されている。
図4における本発明の実施形態の一つに係る偏光板400は、誘電層4の表面に、所定方向に延在する複数の凹部7を有することを特徴とする。凹部7は、誘電層4の表面に形成され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部と略平行に存在する。本実施形態においては、誘電層4の表面に凹部7を存在させることにより、透過軸透過率を向上させ、吸収軸透過率を低下させることができる。凹部の幅は凸部の幅と略同一とし、深さは10~50nm程度とすることが好ましい。
図5は、本発明の実施形態の一つに係る偏光板500を示す断面模式図である。図5に示される偏光板500は、透明基板1と、透明基板1の一方の面上に30nm以上100nm以下のピッチで、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるアレイと、を備える。凸部は、金属酸化膜3で被覆された反射層2で構成され、隣接する凸部の間隙には、誘電材料が充填されている。そして、凸部からなるアレイは、凸部の間隙に充填された誘電材料からなる誘電層4に内包されて固定されている。
図5における偏光板500は、誘電層4の上に、反射防止層10を有することを特徴とする。反射防止層10は、低屈折率層8と高屈折率層9とが、交互に積層された多層膜となっている。図5における偏光板500においては、反射防止層10は、3層の低屈折率層8と2層の高屈折率層9とで構成されている。しかしながら、反射防止層10を構成する層の数は特に限定されるものではなく、所望の偏光特性に影響を与えない程度の層数と厚さで構成することができる。本実施形態においては、誘電層4の表面に反射防止層10を存在させることにより、入射光の反射を抑制し、光学特性の向上を図ることができる。
低屈折率層を構成する材料としては、高屈折率層を構成する材料よりも屈折率の小さいものであれば特に限定されるものではないが、例えば、SiO、AlF、BaF、CeF、LaF、LiF、LiF、MgF、NdF、NaF、YF等が挙げられる。
高屈折率層を構成する材料としては、低屈折率層を構成する材料よりも屈折率の大きいものであれば特に限定されるものではないが、例えば、Al、CeO、Cr、HfO、In、La、MgO、Nb、Nd、Sb、SnO、TiO、TiO、Ti、Ta、WO、Y、ZrO、ZnO、ZnS等が挙げられる。
[偏光板の製造方法]
本発明の偏光板は、小さいピッチを実現するため、自己組織化性能により配列を形成する材料を用いて製造する。自己組織化を進行させて周期的なラメラ構造を形成し、小さいピッチの格子状の凸部を作成した後に、得られた複数の凸部からなるアレイを誘電材料によって固定する。
自己組織化性能により配列を形成する材料としては、ブロック共重合体が挙げられる。本発明の偏光板を得るにあたっては、例えば、ポリメチルメタクリル酸からなる分子鎖とポリスチレンからなる分子鎖とを含むブロック共重合体を用いることが好ましい。ポリメチルメタクリル酸からなる分子鎖とポリスチレンからなる分子鎖とを含むブロック共重合体は、ラメラのような規則的なドメインを有する構造に相分離して、周期的なパターンを形成する。該ブロック共重合体の設計によって、ドメインの形状や寸法を調整することができ、ナノスケールの周期的なラメラ構造によるパターンも実現可能となる。
すなわち、本発明の偏光板を製造する方法は、透明基板および反射層を含む積層体の反射層の上に、自己組織化性能により配列を形成するブロック共重合体を自己組織化させて、周期的なラメラ構造を形成するブロック共重合体配列工程と、配列したブロック共重合体の特定のポリマーブロック鎖を選択的に除去することにより、30nm以上100nm以下のピッチで配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるマスクを形成するマスク形成工程と、マスク形成工程で形成されたマスクを使用してエッチングを行うことにより、少なくとも反射層を含み、30nm以上100nm以下のピッチで配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるアレイを形成するアレイ形成工程と、形成された、少なくとも反射層を含む凸部からなるアレイを、誘電材料からなる誘電層内に固定する凸部固定工程と、を少なくとも有する。上記の工程以外の工程を含んでいてもよい。
なお、本発明においては、小さいピッチを実現するために上記の工程は必須であるが、上記以外の工程を含んでいてもよい。例えば、ブロック共重合体の配列を容易とする目的で、ブロック共重合体配列工程の前に、ガイドパターンを作成する工程や、特定のポリマーブロック鎖と親和性を有する中性層のパターンを作成する工程等が存在していてもよい。
(ブロック共重合体配列工程)
ブロック共重合体配列工程では、透明基板および反射層を含む積層体の反射層の上に、自己組織化性能により配列を形成するブロック共重合体を自己組織化させて、30nm以上100nm以下のピッチにて周期的なラメラ構造を形成する。
{ブロック共重合体}
本発明において、小さいピッチを実現するために用いるブロック共重合体は、自己組織化性能により配列を形成するブロック共重合体である。自己組織化するものであれば、特に限定されるものではない。2種類のポリマーブロック鎖からなるものであってもよく、3種類以上のポリマーブロック鎖からなるものであってもよいが、好ましくは2種類のポリマーブロック鎖からなるジブロック共重合体である。ジブロック共重合体において、各ポリマーブロック鎖の体積分率は約50%である。
好ましいジブロック共重合体としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルからなる分子鎖とポリスチレンからなる分子鎖とを含むブロック共重合体、ポリメタクリル酸エチルからなる分子鎖とポリスチレンからなる分子鎖とを含むブロック共重合体、ポリメタクリル酸t-ブチルからなる分子鎖とポリスチレンからなる分子鎖とを含むブロック共重合体、ポリアクリル酸メチルからなる分子鎖とポリスチレンからなる分子鎖とを含むブロック共重合体、ポリアクリル酸エチルからなる分子鎖とポリスチレンからなる分子鎖とを含むブロック共重合体、ポリアクリル酸t-ブチルからなる分子鎖とポリスチレンからなる分子鎖とを含むブロック共重合体、ポリブタジエンからなる分子鎖とポリスチレンからなる分子鎖とを含むブロック共重合体、ポリイソプレンからなる分子鎖とポリスチレンからなる分子鎖とを含むブロック共重合体、等が挙げられる。なかでは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖とポリスチレン(PS)からなる分子鎖とを含むブロック共重合体(PMMA-b-PS)が好ましい。
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖とポリスチレン(PS)からなる分子鎖とを含むブロック共重合体(PMMA-b-PS)は、ラメラのような規則的なドメインを有する構造に相分離して、周期的なパターンを形成する。該ブロック共重合体の設計によって、ドメインの形状や寸法を調整することができ、ナノスケールの周期的なラメラ構造によるパターンも実現可能となる。
加えて、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)は、カルボニル基を含む繰り返しユニットを有するため、当該カルボニル基に、塩化チタン(TiCl)、塩化アルミニウム(AlCl)、トリメチルアルミニウム(Al(CH)等の金属酸化物前駆体を結合させ、当該結合部を酸化させて金属酸化物化することにより、エッチング耐性の高いマスクを得ることも可能となる。
自己組織化を進行させる方法としては、熱処理が挙げられる。本発明における処理の条件は、ブロック共重合体が配列してラメラ構造を形成する条件であれば特に制限されるものではないが、ブロック共重合体のガラス転移温度または溶融温度より高く、かつ、ブロック共重合体が熱分解しない温度で行うことが好ましい。PMMA-b-PSの場合であれば、例えば、70℃~130℃で0.1時間~24時間程度の熱処理を実施する。
また、上記したように、ブロック共重合体の配列を容易とする目的で、ブロック共重合体配列工程の前に、ガイドパターンを作成する工程や、特定のポリマーブロック鎖と親和性を有する中性層のパターンを作成する工程等が存在していてもよい。
(マスク形成工程)
マスク形成工程では、ブロック共重合体配列工程で配列したブロック共重合体の特定のポリマーブロック鎖を選択的に除去することにより、30nm以上100nm以下のピッチで配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるマスクを形成する。
透明基板および反射層を含む積層体の反射層の上に、自己組織化性能により周期的なラメラ構造を形成するように配列されたブロック共重合体のうち、いずれかのポリマーブロック鎖の領域を選択的に除去することで、残りのポリマーブロック鎖の領域が、30nm以上100nm以下のピッチで配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部形状のマスクとして残る。
例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖とポリスチレン(PS)からなる分子鎖とを含むブロック共重合体(PMMA-b-PS)を用いる場合には、エッチングレートの差を利用して、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖を有する領域を、酸素プラズマエッチングによって除去することができる。これにより、ポリスチレン(PS)からなる分子鎖を有する領域を、30nm以上100nm以下のピッチにて、ラインアンドスペース形状のマスクとして残留させることができる。
また、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖とポリスチレン(PS)からなる分子鎖とを含むブロック共重合体(PMMA-b-PS)を用いる別の例としては、上記したように、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)のカルボニル基に、トリメチルアルミニウム(Al(CH)塩化チタン(TiCl)、塩化アルミニウム(AlCl)、等の金属酸化物前駆体を結合させ、結合部を酸化させて金属酸化物化することにより、エッチング耐性の高いマスクを得ることができる。
金属酸化物前駆体としてトリメチルアルミニウム(Al(CH)、を用いた場合には、最終的な金属酸化物は酸化アルミニウム(Al)となり、塩化チタン(TiCl)を用いた場合には、最終的な金属酸化物は酸化チタン(TiO)となる。
上記のように、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖を有する領域を金属酸化物に変換させる場合には、金属酸化物となった領域をマスクとして残し、ポリスチレン(PS)からなる分子鎖を有する領域のほうを、薬品やプラズマエッチング等によって除去する。これにより、金属酸化物をマスクとすることができるため、高いエッチング選択性に起因して、高いアスペクト比を有する凸部を備える偏光板を実現することが可能となる。
(アレイ形成工程)
アレイ形成工程では、マスク形成工程で形成されたマスクを使用してエッチングを行うことにより、少なくとも反射層を含み、30nm以上100nm以下のピッチで配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるアレイを形成する。
エッチングの方法は、特に限定されるものではなく、マスク材料とエッチング対象とに基づいて、適宜選択することができる。なお、エッチングにより形成される凸部の形状は、得られる偏光板の偏光特性に大きく影響を及ぼす。
(凸部固定工程)
凸部固定工程では、アレイ形成工程で形成された、少なくとも反射層を含む凸部からなるアレイを、誘電材料からなる誘電層内に固定する。
本発明の偏光板においては、隣接する凸部の間隙に誘電材料が充填されることにより、所定方向に延在する格子状の複数の凸部が、誘電材料からなる誘電層内に固定されることを特徴とする。固定する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記した誘電材料を用いて、湿式のゾルゲル法、物理的製膜法であるスパッタ法や蒸着法、化学的製膜方法であるCVD法やALD法等が挙げられる。これらの中では、グリッド側壁にも製膜が可能な化学的製膜方法であるCVD法やALD法を用いることが好ましく、特にALD法によれば、空隙(ボイド)なく誘電材料を埋め込むことが可能となる。
(保護膜付与工程)
本発明の偏光板の製造方法は、光の入射側の表面を誘電体からなる保護膜により被覆する保護膜付与工程を有していてもよい。例えば偏光板の表面(ワイヤグリッドが形成された面)上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)やALD(Atomic Layer Deposition)を利用して形成することができる。
(有機系撥水膜付与工程)
さらに、本発明の偏光板の製造方法は、光の入射側の表面を有機系撥水膜により被覆する有機系撥水膜付与工程を有していてもよい。有機系撥水膜は、例えば上述のCVDやALDを利用することにより形成可能である。
[中性層を用いた自己組織化の例]
図6および図7に、中性層を用いて、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖とポリスチレン(PS)からなる分子鎖とを含むブロック共重合体(PMMA-b-PS)を自己組織化させて、周期的なラメラ構造を形成させる一形態について示す。図6および図7に示されるプロセスにおいては、特定のポリマーブロック鎖と親和性を有する中性層を用いるが、上述の通り、中性層やガイドタパーンを用いる工程は、ブロック共重合体の配列を容易とする目的で実施するものであり、本発明においては任意の工程である。
図6(A)に示されるように、まず透明基板1を準備する。続いて、図6(B)に示されるように、透明基板1上に反射層2を形成して、透明基板1と反射層2からなる積層体を構成する。図6および図7に示される態様においては、透明基板1はガラス、水晶、サファイア等であり、反射層2はアルミニウムである。
続いて、図6(C)に示されるように、反射層2の上に、SoC(Spin On Carbon)材料を塗布して乾燥させてSoC11の層を形成し、引き続き、SoG(Spin On Glass)材料またはSiARC(Silicon-containing Anti-Reflective Coating)材料を塗布して乾燥させてSoGまたはSiARC12の層を積層する。SoC11、およびSoGまたはSiARC12の層は、後述するフォトリソグラフィ処理において露光光の反射を抑制する反射防止層となる。ここで、SoCとはスピノカーボン、SoGとはスピンオングラス材料、SiARCとはシリコンを含有する有機系の材料である。
続いて、図6(D)に示されるように、形成した反射防止層の上に第1中性層13を形成する。さらに、図6(E)に示されるように、第1中性層13の上にフォトレジストを塗布して乾燥させ、レジスト14の層を積層する。フォトレジスト組成物としては特に制限されず、ポジ型であってもネガ型であってもよい。
ここで、第1中性層の材料としては、自己組織化性能を有するブロック共重合体の各ポリマーブロック鎖に親和性を有するランダム共重合体が挙げられる。したがって、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖とポリスチレン(PS)からなる分子鎖とを含むブロック共重合体(PMMA-b-PS)を用いる場合には、第1中性層13の材料として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)とポリスチレン(PS)とのランダム共重合体(PS-r-PMMA)を用いる。
次いで、図6(F)に示されるように、レジスト14を露光および現像して、所定のピッチ間隔を有するラインアンドスペース状のフォトレジストパターンを形成する。フォトレジストパターンのピッチは、100nm以上の周期であって、かつ、ブロック共重合体が整列できるように、最終的な偏光板における格子状の複数の凸部のピッチの整数倍とすることが好ましい。なお、ピッチは、上述の電子顕微鏡法により測定可能である。
レジスト14の露光方法は特に制限されず、フォトマスクを介する方法であっても、フォトマスクを介さない方法であってもよい。その中でも、比較的大面積のパターン形成に適している点から、干渉露光法が好ましい。また、レジスト14の現像方法は特に制限されず、アルカリ現像液等の公知の現像液を用いることができる。なお、現像後には水等によりリンス処理を行ってもよい。
次いで、図7(G)に示すように、レジスト14のパターンをマスクとして、第1中性層13をエッチングし、所定のピッチ間隔を有するラインアンドスペース状のパターンを形成する。ポリメタクリル酸メチル(PMMA)とポリスチレン(PS)とのランダム共重合体(PS-r-PMMA)からなる第1中性層13のエッチングにあたっては、酸素プラズマを用いる。
次いで、図7(H)に示すように、レジスト14を除去する。レジスト14を除去する結果、SoGまたはSiARC12の層上には、所定のピッチ間隔を有するラインアンドスペース状の第1中性層13のガイドパターンが存在することになる。
レジスト14を除去する方法は特に限定されるものではなく、例えば、公知のレジスト剥離液に浸漬する方法が挙げられる。その際、除去を容易にするために超音波を照射してもよい。
次いで、図7(I)に示すように、第1中性層13のガイドパターンを有する積層体上に、第2中性層15の材料を塗布して乾燥することにより、第1中性層13のガイドパターンの空隙に第2中性層15を埋め込む状態で、第2中性層15を形成する。したがって、SoGまたはSiARC12の層の上には、所定の間隔にてライン状に配置された第1中性層13と第2中性層15とが交互に隣接して存在することとなる。
ここで、第2中性層の材料としては、自己組織化性能を有するブロック共重合体としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖とポリスチレン(PS)からなる分子鎖とを含むブロック共重合体(PMMA-b-PS)を用いる場合には、ポリスチレンブロック鎖に親和性を有するポリマーを用いる。例えば、ポリスチレン、ポリスチレンの組成比の高いブロックコポリマーやランダムコポリマー等を用いることができる。
次いで、第1中性層13と第2中性層15とが交互にライン状に配置された面の上に、自己組織化性能を有するブロック共重合体としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖とポリスチレン(PS)からなる分子鎖とを含むブロック共重合体(PMMA-b-PS)を塗布して、ブロック共重合体からなる層を形成する。
次いで、ブロック共重合体からなる層を熱処理することにより、ブロック共重合体の自己組織化により、ラメラ界面が透明基板1に対して垂直方向に配向した周期的なラメラ構造を形成させる。具体的には、図7(J)に示されるように、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖とポリスチレン(PS)からなる分子鎖とを含むブロック共重合体(PMMA-b-PS)を、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖を有する領域16と、ポリスチレンからなる分子鎖を有する領域17とに相分離させ、本発明のブロック共重合体配列工程を完了させる。
図7(J)に示される態様においては、第1中性層13上に、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖を有する領域16の2ラインと、ポリスチレンからなる分子鎖を有する領域17の1ラインが配置され、第2中性層15上に、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖を有する領域16の1ラインと、ポリスチレンからなる分子鎖を有する領域17の2ラインが配置される。すなわち、第1中性層13と第2中性層15のガイドパターンのそれぞれの上に、30nm以上100nm以下のピッチの範囲で3ラインずつが配置されることになる。
この後は、本発明の必須の工程である、マスク形成工程、アレイ形成工程、および凸部固定工程を実施することにより、最終的に本発明の偏光板を得る。
具体的には、マスク形成工程では、上記したブロック共重合体配列工程で作成された、周期的なラメラ構造のポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖を有する領域16と、ポリスチレンからなる分子鎖を有する領域17のうち、いずれか一方のポリマーブロック鎖を選択的に除去して、30nm以上100nm以下のピッチで配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるマスクを形成する。
ついで、アレイ形成工程にて、マスク形成工程で形成された、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖を有する領域16か、ポリスチレンからなる分子鎖を有する領域17のいずれかからなるマスクを使用してエッチングを行い、図7(K)で示されるような、反射層2からなる、30nm以上100nm以下のピッチで配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるアレイを形成する。
最後に、凸部固定工程において、図7(L)に示されるように、30nm以上100nm以下のピッチで配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなる反射層2のアレイを、誘電材料からなる誘電層4内に固定する。
[光学機器]
本発明の光学機器は、上述した本発明に係る偏光板を備える。光学機器としては、液晶プロジェクタ、ヘッドアップディスプレイ、デジタルカメラ等が挙げられる。本発明に係る偏光板は、耐熱性を有するとともに優れた偏光特性を有し、小さいピッチで細いワイヤの構造であっても耐久性を有するため、種々の用途に利用することが可能である。また、有機材料からなる有機偏光板に比べて、耐熱性に優れる無機偏光板であるため、耐熱性が要求される液晶プロジェクタ、ヘッドアップディスプレイ等の用途に特に好適である。
本発明に係る光学機器が複数の偏光板を備える場合、複数の偏光板の少なくとも1つが本発明に係る偏光板であればよい。例えば、本実施形態に係る光学機器が液晶プロジェクタである場合、液晶パネルの入射側および出射側に配置される偏光板の少なくとも一方が、本発明に係る偏光板であればよい。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[シミュレーション方法]
実施例1~5においては、偏光板の光学特性について、RCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)法による電磁界シミュレーションにより検証を行った。シミュレーションには、Grating Solver Development社のグレーティングシミュレータGsolverV5.1を用いた。
波長と吸収軸透過率との関係の検証にあたっては、格子状凸部の延在する方向(長手方向)に平行な方向に電界成分をもつ偏光波(TE波(S波))を入射させたときの透過率を検証した。また、波長と吸収軸反射率との関係の検証にあたっては、格子状凸部の延在する方向(長手方向)に平行な方向に電界成分をもつ偏光波(TE波(S波))を、入射角5°で入射させたときの反射率を検証した。波長と透過軸透過率または透過軸反射率との関係の検証にあたっては、格子状凸部の延在する方向(長手方向)に直交する方向に電界成分をもつ偏光波(TM波(P波))を入射させたときの透過率または反射率を検証した。
<実施例1>
図1に示す構造を有する偏光板100について、凸部のピッチP、凸部のライン幅W、凸部の高さを変化させてシミュレーションに供し、青色帯域(波長λ=430~510nm)、緑色帯域(波長λ=520~590nm)、赤色帯域(波長λ=600~680nm)における、透過軸透過率(P偏光透過率)と吸収軸透過率(S偏光透過率)を得た。結果を表1に示す。
透明基板1は厚み0.7mmの無アルカリガラス、反射層2の材料はアルミニウム、金属酸化膜3は酸化アルミニウム、凸部を固定する誘電層4の誘電材料はSiOとして、シミュレーションに供した。なお、反射層2を被覆する金属酸化膜3の厚みは、5nmとした。
市販されているワイヤグリッド偏光板の一般的な偏光特性は、緑色帯域(波長λ=520~590nm)における透過軸透過率が88%以上、吸収軸透過率が0.3%以下である。したがって、表1に示すシミュレーション結果は、現行の市販品の性能を満足させるものである。シミュレーションで得られた現行の市販品の性能を満たす偏光板について、ピッチ幅とアスペクト比との関係を図8に示す。また、波長と透過軸透過率(P偏光透過率)との関係を図9に、波長と吸収軸透過率(S偏光透過率)との関係を図10に示す。
表1および図8より、現行の市販品と同等の偏光特性を発現し、アスペクト比の観点から製造が実現できる凸部のピッチ幅は、30nm~100nmの範囲であることが判る。また、実施例1の設計においては、ピッチ幅50nmのときに最小のアスペクト比となることが判る。
Figure 0007296245000001
<参考例>
市販のワイヤグリッド偏光板A、偏光板B、および偏光板Cにつき、凸部のピッチ幅、ライン幅、高さ、を測定し、凸部のアスペクト比(グリッド高さ/グリッド幅)を求めた。結果を表2に示す。市販されているワイヤグリッド偏光板は、製造の困難性から、凸部のアスペクト比が4~6の範囲にあることが判る。
Figure 0007296245000002
<実施例2>
図1に示す構造を有する偏光板100について、凸部のピッチPを50nmに固定して、凸部のライン幅W、および高さを変化させてシミュレーションに供し、青色帯域(波長λ=430~510nm)、緑色帯域(波長λ=520~590nm)、赤色帯域(波長λ=600~680nm)における、透過軸透過率(P偏光透過率)と吸収軸透過率(S偏光透過率)を得た。結果を表3に示す。また、アスペクト比と緑色帯域(波長λ=520~590nm)における吸収軸透過率(S偏光透過率)との関係を、図11に示す。
なお、実施例1と同様に、透明基板1は厚み0.7mmの無アルカリガラス、反射層2の材料はアルミニウム、金属酸化膜3は酸化アルミニウム、凸部を固定する誘電層4の誘電材料はSiOとして、シミュレーションに供した。なお、反射層2を被覆する金属酸化膜3の厚みは、5nmとした。
表3および図11より、現行の市販品と同等の偏光特性である、緑色帯域(波長λ=520~590nm)における透過軸透過率88%以上、吸収軸透過率0.3%以下とするためには、凸部のアスペクト比を3以上とする必要があることが判る。
Figure 0007296245000003
<実施例3>
実施例3においては、図12に示す構造を有する偏光600を設計した。実施例3において設計した偏光板600は、金属酸化膜3で被覆された反射層2の上に、吸収層22が2層のギャップ層21に挟まれた3層の多層膜となっている誘電吸収層を形成した構成である。すなわち、金属酸化膜3で被覆された反射層2上に、誘電膜となるギャップ層21を設け、その上に吸収層22を積層し、さらにその上にギャップ層21が積層されている。
透明基板1は厚み0.7mmの無アルカリガラス、反射層2の材料はアルミニウム、金属酸化膜3は酸化アルミニウム、ギャップ層21の材料はSiO、吸収層22の材料はSiとFeの合金(FeSi)、凸部を固定する誘電層4の誘電材料はSiOとして、シミュレーションに供した。なお、反射層2を被覆する金属酸化膜3の厚みは、5nmとした。
また、偏光板600の凸部のピッチPの幅は50nm、凸部のライン幅Wは25nm、凸部のスペース幅Sは25nm、凸部の高さは150nm(金属酸化膜3の高さ5nmを含む)、ギャップ層21の厚みは5nm、吸収層22の厚みは25nm、に設定した。したがって、凸部のアスペクト比は6である。
偏光板600についてシミュレーションに供し、透過軸透過率(Tp)、吸収軸透過率(Ts)、透過軸反射率(Rp)、吸収軸反射率(Rs)を得た。波長と透過軸透過率(Tp)との関係を図13(a)に、波長と吸収軸透過率(Ts)との関係を図13(b)に、波長と吸収軸反射率(Rs)との関係を図13(c)に、波長と吸収軸反射率(Rs)との関係を図13(d)に示す。
金属酸化膜3で被覆された反射層2の上に誘電吸収層を形成することにより、偏光特性を制御することができ、実施例3で設計した偏光板600においては、緑色帯域(波長λ=520~590nm)にS偏光の吸収を持たせ、緑色帯域(波長λ=520~590nm)において吸収軸反射率(Rs)が低くなっていることが判る。
<実施例4>
実施例4においては、図2に示す構造を有する偏光板200を設計した。凸部を金属酸化膜3で被覆された反射層2で構成し、隣接する凸部の間隙に充填された誘電材料の中に、空気層5を有する構成である。空気層5は、透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部を形成する層となっている。
透明基板1は厚み0.7mmの無アルカリガラス、反射層2の材料はアルミニウム、金属酸化膜3は酸化アルミニウム、凸部を固定する誘電層4の誘電材料はSiOとして、シミュレーションに供した。なお、反射層2を被覆する金属酸化膜3の厚みは、5nmとした。
また、偏光板200の凸部のピッチPの幅は50nm、凸部のライン幅Wは25nm、凸部のスペース幅Sは25nm、凸部の高さは140nm(金属酸化膜3の高さ5nmを含む)、凸部頂上からの誘電層の高さHaは10nm、空気層5の幅は5nm、空気層5の高さは140nm、に設定した。したがって、凸部のアスペクト比は5.6である。
偏光板200についてシミュレーションに供し、透過軸透過率(P偏光透過率)および吸収軸透過率(S偏光透過率)を得た。また同時に、比較のために、空気層を有しない以外は偏光板200と同一の設計の偏光板100についてもシミュレーションに供し、透過軸透過率(P偏光透過率)および吸収軸透過率(S偏光透過率)を得た。波長と透過軸透過率(P偏光透過率)との関係を図14(a)に、波長と吸収軸透過率(S偏光透過率)との関係を図14(b)に示す。
図14(a)および(b)より、実施例4では、偏光板の凸部の間隙に空気層5を存在させることにより、透過軸透過率(P偏光透過率)を向上させ、吸収軸透過率(S偏光透過率)を低下させることができることが判る。
<実施例5>
実施例5においては、図4に示す構造を有する偏光板400を設計した。凸部を金属酸化膜3で被覆された反射層2で構成し、隣接する凸部の間隙には誘電材料が充填され、凸部からなるアレイは、凸部の間隙に充填された誘電材料からなる誘電層4に・内包されて固定される。そして、誘電層4の表面に、所定方向に延在する複数の凹部7を有する。複数の凹部7は、誘電層4の表面に形成され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部と略平行に存在する。
透明基板1は厚み0.7mmの無アルカリガラス、反射層2の材料はアルミニウム、金属酸化膜3は酸化アルミニウム、凸部を固定する誘電層4の誘電材料はSiOとして、シミュレーションに供した。なお、反射層2を被覆する金属酸化膜3の厚みは、5nmとした。
また、偏光板400の凸部のピッチPの幅は50nm、凸部のライン幅Wは25nm、凸部のスペース幅Sは25nm、凸部の高さは160nm(金属酸化膜3の高さ5nmを含む)、凸部頂上からの誘電層の高さHbは140nm、凹部7の高さは20nm、凹部7の幅は25nm、に設定した。したがって、凸部のアスペクト比は6.4である。
偏光板400についてシミュレーションに供し、透過軸透過率(P偏光透過率)および吸収軸透過率(S偏光透過率)を得た。また同時に比較のために、複数の凹部7を有しない以外は偏光板400と同一の設計の偏光板100についてもシミュレーションに供し、透過軸透過率(P偏光透過率)および吸収軸透過率(S偏光透過率)を得た。波長と透過軸透過率(P偏光透過率)との関係を図15(a)に、波長と吸収軸透過率(S偏光透過率)との関係を図15(b)に示す。
図15(a)および(b)より、実施例5では、誘電層4の表面に凹部7を存在させることにより、透過軸透過率(P偏光透過率)を向上させ、吸収軸透過率(S偏光透過率)を低下させることができることが判る。
100、200、300、400、500、600 偏光板
1 透明基板
2 反射層
3 金属酸化膜
4 誘電層
5 空気層
6 誘電吸収層
7 凹部
8 低屈折率層
9 高屈折率層
10 反射防止層
11 SoC
12 SoG/SiARC
13 第1中性層
14 レジスト
15 第2中性層
16 ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる分子鎖を有する領域
17 ポリスチレンからなる分子鎖を有する領域
21 ギャップ層
22 吸収層
P 凸部のピッチ
W 凸部のライン幅
S 凸部のスペース幅
H 反射層の高さ
Ha 凸部頂上からの誘電層の高さ
Hb 凹部の高さ
Hc 凸部頂上からの誘電層の高さ

Claims (10)

  1. ワイヤグリッド構造を有する偏光板であって、
    透明基板と、
    30nm以上100nm以下のピッチで前記透明基板上に配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるアレイと、を備え、
    前記凸部は、少なくとも反射層を含み、
    隣接する前記凸部の間隙には、誘電材料が充填されており、
    前記アレイは、前記誘電材料からなる誘電層内に固定されており、
    前記誘電層は、表面に、所定方向に延在する複数の凹部を有する偏光板。
  2. 隣接する前記凸部の間隙には、前記誘電材料の中に、所定方向に延在する気体の層を有する請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記複数の凹部は、前記複数の凸部が延在する方向に対して、略平行に延在する請求項1または2記載の偏光板。
  4. 前記誘電層の上に、さらに、反射防止層を有する請求項1から3いずれか記載の偏光板。
  5. 前記凸部は、前記反射層の上に、さらに誘電吸収層を有する請求項1から4いずれか記載の偏光板。
  6. 前記凸部は、アスペクト比が3以上15以下である請求項1から5いずれか記載の偏光板。
  7. 光が入射する前記偏光板の表面は、誘電体からなる保護膜により覆われている請求項1から6いずれか記載の偏光板。
  8. 光が入射する前記偏光板の表面は、有機系撥水膜により覆われている請求項1から7いずれか記載の偏光板。
  9. 請求項1から8いずれか記載の偏光板を備える光学機器。
  10. ワイヤグリッド構造を有する偏光板の製造方法であって、
    透明基板および反射層を含む積層体の反射層の上に、自己組織化性能により配列を形成するブロック共重合体を自己組織化させて、周期的なラメラ構造を形成するブロック共重合体配列工程と、
    配列した前記ブロック共重合体の特定のポリマーブロック鎖を選択的に除去することにより、30nm以上100nm以下のピッチで配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるマスクを形成するマスク形成工程と、
    前記マスクを使用してエッチングを行うことにより、少なくとも反射層を含み、30nm以上100nm以下のピッチで配列され、所定方向に延在する格子状の複数の凸部からなるアレイを形成するアレイ形成工程と、
    少なくとも反射層を含む凸部からなる前記アレイを、誘電材料からなる誘電層内に固定する凸部固定工程と、を有し、
    前記誘電層は、表面に、所定方向に延在する複数の凹部を有する偏光板の製造方法。
JP2019088511A 2019-05-08 2019-05-08 偏光板および光学機器、並びに偏光板の製造方法 Active JP7296245B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019088511A JP7296245B2 (ja) 2019-05-08 2019-05-08 偏光板および光学機器、並びに偏光板の製造方法
CN202010334397.3A CN111913246B (zh) 2019-05-08 2020-04-24 偏光板和光学设备、以及偏光板的制造方法
US16/867,146 US11579350B2 (en) 2019-05-08 2020-05-05 Wire grid polarization plate having dielectric layer with concave portions

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019088511A JP7296245B2 (ja) 2019-05-08 2019-05-08 偏光板および光学機器、並びに偏光板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019124970A JP2019124970A (ja) 2019-07-25
JP7296245B2 true JP7296245B2 (ja) 2023-06-22

Family

ID=67398709

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019088511A Active JP7296245B2 (ja) 2019-05-08 2019-05-08 偏光板および光学機器、並びに偏光板の製造方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US11579350B2 (ja)
JP (1) JP7296245B2 (ja)
CN (1) CN111913246B (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PH12020050192A1 (en) * 2019-07-17 2021-05-17 Moxtek Inc Reflective wire grid polarizer with transparent cap
CN111822313B (zh) * 2020-07-23 2021-11-09 北京理工大学 基于金属丝阵电爆炸的水中声源与冲击波源
US20220166533A1 (en) * 2020-11-20 2022-05-26 Ayar Labs, Inc. Low-Power Optical Input/Output Chiplet for Ethernet Switches (TeraPHYe)
JP7055494B1 (ja) * 2021-02-08 2022-04-18 東海光学株式会社 光学製品の製造方法
JP7274799B2 (ja) * 2021-02-08 2023-05-17 東海光学株式会社 光学製品
CN113376716B (zh) * 2021-06-21 2022-12-30 中国科学院光电技术研究所 一种衍射光学器件表面增透膜的镀膜方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007128086A (ja) 2005-10-31 2007-05-24 Toshiba Corp 短波長用偏光素子及び偏光素子製造方法
JP2014134564A (ja) 2013-01-08 2014-07-24 Canon Inc 吸収型ワイヤグリッド偏光素子および光学機器
CN105700056A (zh) 2014-12-10 2016-06-22 三星显示有限公司 偏振板、包括该偏振板的tft基板及制造该偏振板的方法
JP2016126291A (ja) 2015-01-08 2016-07-11 デクセリアルズ株式会社 無機偏光板
WO2018097873A1 (en) 2016-11-22 2018-05-31 Moxtek, Inc. Overcoat wire grid polarizer

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004072692A2 (en) * 2003-02-10 2004-08-26 Nanoopto Corporation Universal broadband polarizer, devices incorporating same, and method of making same
JP4425059B2 (ja) * 2003-06-25 2010-03-03 シャープ株式会社 偏光光学素子、およびそれを用いた表示装置
JP4412372B2 (ja) * 2007-09-12 2010-02-10 セイコーエプソン株式会社 偏光素子の製造方法
JP2010066571A (ja) * 2008-09-11 2010-03-25 Sony Corp 偏光素子及びその製造方法、並びに液晶プロジェクタ
JPWO2012105555A1 (ja) * 2011-02-01 2014-07-03 株式会社クラレ 波長選択フィルタ素子、その製造方法及び画像表示装置
JP2012173441A (ja) 2011-02-21 2012-09-10 Asahi Kasei E-Materials Corp ワイヤグリッド偏光板
US9632223B2 (en) 2013-10-24 2017-04-25 Moxtek, Inc. Wire grid polarizer with side region
WO2015060941A1 (en) 2013-10-24 2015-04-30 Moxtek, Inc. Polarizer with wire pair over rib
JP2016038537A (ja) * 2014-08-11 2016-03-22 旭硝子株式会社 ワイヤグリッド型偏光子、光源モジュールおよび投射型表示装置
KR20170079671A (ko) * 2015-12-30 2017-07-10 코오롱인더스트리 주식회사 와이어 그리드 편광판 및 이를 포함한 액정표시장치
US20190154904A1 (en) * 2017-11-21 2019-05-23 Wuhan China Star Optoelectronics Technology Co., Ltd. Array substrate and fabricating method thereof, flexible display panel, and flexible display device
JP2019109375A (ja) * 2017-12-19 2019-07-04 セイコーエプソン株式会社 偏光素子、偏光素子の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007128086A (ja) 2005-10-31 2007-05-24 Toshiba Corp 短波長用偏光素子及び偏光素子製造方法
JP2014134564A (ja) 2013-01-08 2014-07-24 Canon Inc 吸収型ワイヤグリッド偏光素子および光学機器
CN105700056A (zh) 2014-12-10 2016-06-22 三星显示有限公司 偏振板、包括该偏振板的tft基板及制造该偏振板的方法
JP2016126291A (ja) 2015-01-08 2016-07-11 デクセリアルズ株式会社 無機偏光板
WO2018097873A1 (en) 2016-11-22 2018-05-31 Moxtek, Inc. Overcoat wire grid polarizer

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019124970A (ja) 2019-07-25
US11579350B2 (en) 2023-02-14
US20200355860A1 (en) 2020-11-12
CN111913246A (zh) 2020-11-10
CN111913246B (zh) 2023-02-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7296245B2 (ja) 偏光板および光学機器、並びに偏光板の製造方法
CN108139531B (zh) 偏振元件及其制造方法
KR102364526B1 (ko) 편광판, 및 편광판의 제조 방법
WO2012118204A1 (ja) 偏光素子
JP6410906B1 (ja) 偏光素子及び光学機器
JP2006106758A (ja) ワイヤーグリッド偏光子及びその製造方法
JP7372494B2 (ja) 偏光板及び偏光板の製造方法
JP6577641B2 (ja) 偏光板及びその製造方法、並びに光学機器
JP5936727B2 (ja) 偏光素子
WO2012105555A1 (ja) 波長選択フィルタ素子、その製造方法及び画像表示装置
WO2020017455A1 (ja) 偏光板
JP6527211B2 (ja) 偏光板、及び偏光板の製造方法
US10859742B2 (en) Polarizing plate and optical device
WO2019230475A1 (ja) 偏光板及びその製造方法、並びに光学機器
JP7333168B2 (ja) 偏光素子、偏光素子の製造方法及び光学機器
JP7394020B2 (ja) 偏光板及びその製造方法、ならびに光学機器
JP7075372B2 (ja) 偏光板及びその製造方法、並びに光学機器
JP7219735B2 (ja) 偏光板及びその製造方法、並びに光学機器
JP7320461B2 (ja) 偏光板、光学機器及び偏光板の製造方法
JP7144968B2 (ja) 無機波長板の製造方法
JP2019091026A (ja) 偏光板及び偏光板の製造方法
WO2019139116A1 (ja) パターン形成方法及び偏光板の製造方法
JP2019061218A (ja) 偏光素子及びその製造方法、並びに光学機器
JP2017009659A (ja) 偏光解消板及びその製造方法、並びにそれを用いた光学機器及び液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220425

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230307

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230427

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230530

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230612

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7296245

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150