JP7295757B2 - 目止め用樹脂組成物およびそれを用いた窯業系無機基材化粧板の製造方法 - Google Patents

目止め用樹脂組成物およびそれを用いた窯業系無機基材化粧板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面平滑性に優れた目止め用樹脂組成物と、それを用いた窯業系無機基材化粧板の製造方法に関する。
一般に窯業系無機質基材は、不燃性や断熱性に優れた建築材料として幅広く用いられている。その中で例えば珪酸カルシウム板は、珪酸質原料と石灰質原料からなる主原料に補強繊維を加えて板状に成形した基材で、比較的比重が軽く加工性に優れ、石膏ボードと比較して耐水性にも優れることから、内壁や外壁の仕上げ下地材として広く使用されている。そしてその表面の仕上げ方法としては、塗装仕上げの場合は、シーラーを塗布後に表面の凹部を目止め剤で埋めて表面研磨を行い、中塗り塗装~上塗り塗装が一般的に行われている。
こうした用途で用いられる目止め剤としては、例えば珪酸カルシウム板への浸透が少ないことを特徴とする、不飽和ポリエステル樹脂とエポキシ(メタ)アクリレート及び又はウレタンアクリレート、顔料、光開始剤およびアクリル系モノマーからなる紫外線硬化型目止め塗料組成物が提案されている(特許文献1)。しかしながら、表面の凹形状が大きい場合は、目止め剤を塗布して表面切削を行っても平滑性が不充分であるため、上塗り塗装剤を塗布した仕上がり外観でしばしば問題が発生するという課題があった。
このような問題に対し、出願人は過去にエポキシアクリレートと、多官能(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤と、充填材を含み、粘度を特定した第1(下塗り)と第2(上塗り)の2種類の目止め用樹脂組成物を用いた目止め方法を発明している(特許文献2)。この発明は凹表面に塗布した目止め樹脂の切削性が優れており、フラットな平面を得ることができるという優れたものであった。しかしながら外観を非常に重要視した化粧層を要求される場合は、上塗り塗層を行う目止め表面が非常にフラットであることが必要とされるのに対し、特に第1(下塗り)の目止め用樹脂組成物を塗布した段階で、充分な平滑性が得られない場合は、その後サンディング処理を行ってもフラットな切削面を安定して得られないという課題があり改善の余地があった。
特開2003-238844 特開2019-023276
本発明の課題は、塗布量の調整が容易で凹面に対して平滑性に優れた塗布が可能であり、特に目止め処理を2層で行う際の下地目止め剤として使用した場合には、フラットな表面を得ることができる仕上がり外観に優れる目止め用樹脂組成物を得ると共に、これを用いた窯業系無機基材化粧板の製造方法を得る事にある。
請求項1の発明は、エポキシアクリレート(A)と、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、充填材(D)とを含み、前記(D)がタルク(d1)と重質炭酸カルシウム(d2)を含み、前記(d1)の平均粒子径が5~10μmであり、配合量が(D)全量に対し40~80重量%であることを特徴とする目止め用樹脂組成物を提供する。
また請求項2の発明は、前記(A)配合量が固形物全量に対し5~20重量%であることを特徴とする。請求項1記載の目止め用樹脂組成物を提供する。
また請求項3の発明は、前記目止め用樹脂組成物の25℃における粘度が30~180Pa・sであることを特徴とする、請求項1または2いずれか記載の目止め用樹脂組成物を提供する。
また請求項4の発明は、窯業系無機基材の目止め剤であり、目止め処理を2層で行う際の下地目止め剤であることを特徴とする、請求項1~3いずれか記載の目止め用樹脂組成物を提供する。
また請求項5の発明は、窯業系無機基材上にシーラーを塗布後、その上に請求項1~3いずれか記載の目止め剤組成物を塗布して硬化後、更にその上に粘度が5~28Pa・sである目止め剤組成物を塗布して硬化させ、その後に表面切削を行い、その上から上塗り塗装剤を塗布して紫外線硬化することを特徴とする、窯業系無機基材化粧板の製造方法を提供する。
本発明の目止め用樹脂組成物は、塗布量の調整が容易で凹面に対して平滑性に優れた塗布が可能であり、特に目止め処理を2層で行う際の下地目止め剤として使用した場合には、非常にフラットな表面を得ることができ仕上がり外観に優れるため、窯業系無機基材化粧板の目止め剤として有用である。
本発明の目止め用樹脂組成物の構成は、エポキシアクリレート(A)と、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、充填材(D)を含有する。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとの双方を包含する。
本発明に使用されるエポキシアクリレート(A)は、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と共に反応して樹脂硬化皮膜を形成する主要成分であり、多官能エポキシ樹脂とアクリル酸を反応させ製造する強靭性や耐熱性に優れるオリゴマーである。多官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型またはその水添化物、ビスフェノールF型またはその水添化物、ネオペンチルグリコール-エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂、1,6-ヘキサンジオール-エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂などがあるが、硬度や凝集力の点でビスフェノールA型タイプが好ましい。また官能基数は、反応性と硬化収縮のバランスが良い2官能が好ましい。
前記(A)の全固形分に対する配合量は、5~20重量%が好ましく、6~15重量%が更に好ましい。5重量%以上とすることで充分な凝集力を確保することができ、20重量%以下とすることで塗布した際に充分な平滑性を確保できる。
本発明に使用される多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)は、高粘度の(A)を希釈する反応性希釈剤であると同時に、(A)と反応して硬化皮膜を形成する主要成分である。硬化物の凝集力を向上させるため、反応物の構造が網目構造となる多官能であり、特に基材が無機質でアルカリ性となる場合には、白華防止の観点から3官能以上のモノマーを含むことが望ましい。
前記(B)の全固形分に対する配合量は、20~40重量%が好ましく、25~35重量%が更に好ましい。20重量%以上とすることで塗布した際に充分な平滑性を確保することができ、40重量%以下とすることで基材への浸透量をコントロールできる。また(A)100重量部に対する(B)の配合量は150-450重量部が好ましく、200-400重量部が更に好ましい。この範囲とすることで、塗布量の調節や、表面の平滑性をバランスよく確保できる。
前記(B)としては、例えば2官能ではトリエチレングルコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3-メチル-1.5ペンタンジオールジアクリレート、1.4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1.6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、4.6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1.9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1.10-デカンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレートがあり、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。これらの中では(A)との相溶性および低粘度である点でトリプロピレングリコールジアクリレートが好ましい。
前記(B)として、例えば3官能ではトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートがある。更に4官能以上の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等があり、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。これらの中では(A)との相溶性が良好である点でトリメチロールプロパントリアクリレートが好ましい。
本発明で使用される光重合開始剤(C)は、紫外線や電子線などの活性エネルギー線照射でラジカルを生じ、そのラジカルが重合反応のきっかけとなるもので、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系等汎用の光重合開始剤が使用できる。重合開始剤の光吸収波長を任意に選択することによって、紫外線領域から可視光領域にいたる広い波長範囲にわたって硬化性を付与することができる。具体的にはベンジルケタール系として2.2-ジメトキシ-1.2-ジフェニルエタン-1-オンが、α-ヒドロキシアセトフェノン系として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン及び1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンが、α-アミノアセトフェノン系として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンが、アシルフォスフィンオキサイド系として2.4.6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びビス(2.4.6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド等があり、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中では高い反応性を有し黄変しにくいα-ヒドロキシアセトフェノン系を含むことが好ましく、市販品としてはOmnirad184(商品名:IGM Resins社製)、DAIDO CURE#174(商品名:大同化成工業社製)などが挙げられる。
前記(C)のラジカル重合性成分100重量部に対する配合量は、2~10重量部が好ましく、3~8重量部が更に好ましい。2重量部以上とすることで充分な硬化性を確保でき、10重量部以下とすることで過剰添加とならずコストの上昇を抑えることができる。
本発明に使用される充填材(D)は、基材凹部への目止め効果の主体となるものであり、タルク(d1)と重質炭酸カルシウム(d2)を少なくとも含む。その他の充填材としては、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、カオリンクレー、マイカ、シリカ、珪藻土、ガラスビーズ、有機微粒子などの公知の充填材をあげることができる。(D)の全固形分に対する配合量は40~60重量%が好ましく、45~55重量%が更に好ましい。40重量%以上とすることで充分な平滑性を確保することができ、60重量%以下とすることで充分な切削性を確保することができる。
本発明に使用されるタルク(d1)は、含水ケイ酸マグネシウムからなる柔らかな鉱物で、耐熱性に優れた化学的に安定したフィラーであり、硬度が低いため切削性が良好でフラットな表面仕上げにすることができる。(d1)を配合することで、平滑性を維持したまま粘度とTI値を上げて、基材への塗布量を確保することができる。(d1)を配合せずに塗布量を確保するため粘度を上げるには、分子量の大きい(A)の配合量を増加させる方法があるが、塗布時の平滑性が低下したり、サンディング処理での切削性が低下して、フラットな表面が得られにくい。また平滑性を上げるため粘度を下げると、基材への塗布量確保が難しくなり、トップコート後の仕上がり外観に凹凸感が残る。そのため(d1)を配合することにより、基材への塗布量確保と、塗布時の平滑性維持を両立させることができる。
前記(d1)の平均粒子径は5~10μmであり、6~9μmが好ましい。5μm未満では粘度が高くなりすぎ塗布自体が難しくなり、10μm超では充分な塗布量を確保することができない。(d1)の(D)全量に対する配合量は、40~80重量%であり、45~75重量%が好ましい。40重量%未満では粘度が低くなり塗布量が調節できず、80重量%超では粘度が高くなりすぎ塗布自体が難しくなる。なお平均粒子径は、マイクロトラック・ベル社製のマイクロトラックMT3000-2シリーズを用いてレーザー回折・散乱法により測定した体積平均粒子径のメジアン径(d=50)とする。
本発明に使用される重質炭酸カルシウム(d2)は、石灰石を粉砕・分級したフィラーで前記(d1)と共に併用することで基材凹部への目止め効果を向上させることができる。(d2)の平均粒子径は1~30μmが好ましく、5~20μmが更に好ましい。1μm以上とすることで目止め効果が期待でき、30μm以下とすることでフラットな仕上げが可能となる。
本発明の目止め用樹脂組成物の粘度は30~180Pa・sが好ましく、30~100Pa・sが更に好ましい。またTI値は3.0~5.0が好ましく、3.5~4.5が更に好ましい。この範囲内とすることで、塗布時の平滑性と塗布量の調節がバランス良く可能となる。なお粘度は、25℃にてBH型粘度計でNo7ローター、20rpmで測定した値とし、TI値は同ローター、2rpmで測定した粘度を、20rpmで測定した粘度で割った値とする。
本発明の粘着剤組成物には性能を損なわない範囲で、必要によりポリオール等の粘度調整剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、難燃剤、重合禁止剤等の各種添加剤が含まれていても良い。粘度調整剤のポリオールは、硬化皮膜を硬くすることなく組成物の粘度を上げることが可能である。
本発明の目止め用樹脂組成物を塗布する基材としては、合板、配向性ストランドボード、パーティクルボード、ファイバーボード等の木質材料、珪酸カルシウム板、石膏ボード、発泡コンクリート等の窯業系材料などが挙げられる。特にこれらの中では、窯業系材料である珪酸カルシウム板が寸法変化や反りが少なく品質が安定しているため、本発明の目止め用樹脂組成物を使用した化粧板用の基材として好適に用いることができる。
本発明の目止め用樹脂組成物は、2層で塗布する目止め剤の下地目止め剤(以下、第1の目止め用樹脂組成物)として使用することが好ましい。この場合、その上に塗布する目止め剤(以下、第2の目止め用樹脂組成物)の粘度は5~28Pa・sが好ましく、そのTI値は2.5以下が好ましい。この範囲とすることでサンディング後の平滑性が向上し、上塗り塗装剤(トップコート)を塗布した後の外観を各段に向上させることができる。また第2の目止め用樹脂組成物の配合は、第1の目止め用樹脂組成物と同じ(A)と(B)と(C)と(d1)と(d2)を含むことが好ましく、特に(A)と(B)を同じ樹脂成分とすることで、異なる2層間でも密着性と切削性を安定させることが可能となる。なおこの場合、(d1)の粒子径は特に限定されない。
本発明の塗料組成物を珪酸カルシウム板などの窯業系無機質基材に塗布する前には、目止め剤との密着性向上、基材への反応性希釈剤の吸い込みを低減する目的で、シーラーを塗布することが好ましい。シーラー塗料は特に指定はなく、水系、溶剤系、無溶剤系いずれでも良い。水系および溶剤系は塗布後に乾燥させる必要があり、生産性の面では無溶剤系のプライマーが好適である。シーラー層の塗布量は乾燥塗膜で15~100g/mが好ましい。
本発明の塗料組成物を珪酸カルシウム板などの窯業系無機質基材に塗布する塗布方法としては、ロールコート、バーコート、ブレードコートなど公知の塗工方法でよい。特にロールコート法では、ナチュラルリバースロールコーター、ナチュラルロールコーター、リバースロールコーターなどがあるが、本組成物の塗布には塗工表面の平滑化の点でナチュラルリバースロールコーターが好ましく、また第2の目止め用樹脂の塗布方法も同様である。第1の目止め用樹脂組成物の塗布量は65~85g/m2が好ましく、第2の目止め用樹脂組成物の塗布量も同様に65~85g/m2が好ましい。第1および第2の目止め用樹脂組成物の塗布量の各下限以上とすることで基材凹部の目止めを行うことができ、各上限以下とすることで上塗りの化粧面と基材との密着性確保し、また不燃性を維持できる。
本発明の目止め用樹脂組成物を塗布後、紫外線硬化させる場合は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電ランプ等の公知の光源を使用できる。第1の目止め用樹脂組成物の積算光量として30~200mJ/cmが好ましく、この範囲に保つことで硬化が進みすぎることなく第2の目止め組成物と良好な密着性を確保できる。
本発明の塗料組成物を紫外線硬化後には、表面の平滑性を向上させるためベルトサンダー等により切削処理を行う事が好ましい。ベルトサンダーの荒さとしては♯120~♯400が好ましく、♯200~♯300が更に好ましい。また異なる荒さのベルトサンダーを荒いものから細かいものへ順番に複数連結してサンディングすることで、表面の仕上がりを更に平滑化できる。
上記切削処理後、仕上げ加工としてトップコートを行う。トップコート塗料は特に指定はなく紫外線硬化型、熱硬化型いずれでも良いが、生産性の面では紫外線硬化型が好適である。トップコートをすることで、表面の保護だけでなく、着色剤を添加することにより装飾性を付与することも可能である。またトップコートは、様々な表面特性を付与するため複数回塗布することも可能であり、こうした方法により窯業系無機機材化粧板を製造することができる。
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。なお表記が無い場合は、室温は25℃相対湿度65%の条件下で測定を行い、配合量は重量部を示す。
実施例1~4
(A)としてPE210(商品名:Miwon社製、ビスフェノールA型エポキシジアクリレート)を、(B)としてM220(商品名:Miwon社製、トリプロピレングリコールジアクリレート)及びM300(商品名:Miwon社製、トリメチロールプロパントリアクリレート)を、(C)としてDAIDO CURE#174(商品名:大同工業社製)を、(d1)としてタルクFH108(商品名:富士タルク工業社製、平均粒子径8μm)を、(d2)として重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、平均粒子径12μm)を、ポリオールとしてHSポリオール2000(商品名:豊国製油社製、ポリエステルポリオール)を、分散剤としてDISPERBYK180(商品名:ビックケミー・ジャパン社製)を用い、表1の配合にて遮光ビンに入れ均一になるまで撹拌脱泡し、実施例1~4の目止め用樹脂組成物を調整した。
比較例1~6
タルクとしてタルクFH104(商品名:富士タルク工業社製、平均粒子径4μm)及びタルクML11 0(商品名:富士タルク工業社製、平均粒子径11μm)を、重質炭酸カルシウムとしてスーパーS(商品名:丸尾カルシウム社製、平均粒子径6.3μm)及びスーパーSS(商品名:丸尾カルシウム社製、平均粒子径3.4μm)を用い、表1の配合にて遮光ビンに入れ均一になるまで撹拌脱泡し、比較例1~6の目止め用樹脂組成物を調整した。
表1
Figure 0007295757000001
第2の目止め樹脂組成物の調製
実施例で使用したPE210を15.2部、M300を15.7部、M220を10.1部、重炭酸カルシウムを28.5部、DISPERBYK180を0.3部と、タルクRS515(商品名:富士タルク工業社製、平均粒子径15μm)を28.5部を用い、遮光ビンに入れ均一になるまで撹拌脱泡し、
粘度が8.2Pa・s、TI値が1.31の第2の目止め用樹脂組成物を得た。
評価基材の作成
ヒシタイカ(商品名:アイカテック建材社製、厚さ6mm珪酸カルシウム板)上にシーラーとしてウレタン樹脂を45g/m2塗布し24時間室温放置後、バーコーターを用いて目止め樹脂組成物を70~80g/m塗布し、アイグラフィック社製の露光装置アイミニグランテージECS-151Uを用い、高圧水銀灯光源で出力110mW/cm2、積算光量60mJ/cm2で紫外線照射して硬化させた。
無機基材化粧板の作成
ヒシタイカ(商品名:アイカテック建材社製、厚さ6mm珪酸カルシウム板)上にシーラーを上記と同条件で塗布し24時間室温放置後、ナチュラルリバースロールコーターを用い第1の目止め樹脂組成物(実施例1~4及び比較例1~6)を70~80g/m塗布し、高圧水銀灯光源を用い出力110mW/cm、積算光量60mJ/cmで紫外線照射して硬化させ、その上からナチュラルリバースロールコーターを用い第2の目止め樹脂組成物を70~80g/m塗布し、同じく高圧水銀灯光源により出力380mW/cm2、積算光量440mJ/cm2で紫外線照射して硬化し24時間室温放置した。その後#220と♯280のベルトサンダーを用いサンディング処理行い、その上からトップコートとしてアクリル樹脂を塗装した。
硬化性:前記評価基材を用い、紫外線照射にて硬化後、塗膜上の状態を指触で確認し、タック感の無い状態を○、タック感が残っている状態を×とした。
表面平滑性:前記評価基材の仕上がり外観について、表面平滑性と目止め効果について目視で評価し、フラットな仕上がり感を○、凹凸のある仕上がり感を×とした。
塗布量調整:目止め樹脂組成物をナチュラルリバースロールコーターで塗布する際の塗布量調節の容易さと塗布面の仕上がりの面から塗工適正について評価し、適正塗布量での塗布が可能な場合を○、塗布量調節が困難で適正塗布量での塗布が出来ない場合を×とした。
鉛筆硬度:東洋精機製作所製の鉛筆引っかき塗膜硬さ試験機を用い、JIS5600-5-4に準拠して測定した。試験片としては前記切削性評価基材を用いた。
粘度:トキメック社製のBH型粘度計DVH-B-4-2を用い、No.7ローターで25±1℃、回転数20rpmで測定した。
TI値:上記BH型粘度計DVH-B-4-2を用い、上記で測定した粘度をaとし、No.7ローターで25±1℃、回転数2rpmで測定した粘度をbとして、TI値=b/aにて算出し、3.0~4.5を◎、それ以外を×とした。
化粧板外観:上記で作成した無機基材化粧板の表面状態を目視で観察し、凹凸を感じず非常にフラットな仕上がり外観を◎、フラットな仕上がりであるがわずかに凹凸感があるものを○、フラットな仕上がりでない場合を×とした。
評価結果を表2に示す。
表2
Figure 0007295757000002
実施例の目止め用樹脂組成物を塗布した各評価結果はいずれも良好であった。
一方、タルクの配合量が多い比較例1は塗布量の調節が悪く、配合量が少ない比較例2、タルク粒子径が小さい比較例3は粘度が高すぎて塗装が出来ず、タルク粒子子径が大きい比較例4、タルクを含まない比較例5及び6はTI値が×で塗布量調節ができず、いずれも本願発明に適さないものであった。
本発明の目止め用樹脂組成物は、塗布量の調整が容易で凹面に対して平滑性に優れた塗布が可能であり、特に目止め処理を2層で行う際の下地目止め剤として使用した場合には、非常にフラットな表面を得ることができ仕上がり外観に優れるため、窯業系無機基材化粧板の目止め剤として有用である。




Claims (5)

  1. エポキシアクリレート(A)と、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、充填材(D)とを含み、前記(D)がタルク(d1)と重質炭酸カルシウム(d2)を含み、前記(d1)の平均粒子径が5~10μmであり、配合量が(D)全量に対し40~80重量%であることを特徴とする目止め用樹脂組成物。
  2. 前記(A)配合量が固形物全量に対し5~20重量%であることを特徴とする。請求項1記載の目止め用樹脂組成物。
  3. 前記目止め用樹脂組成物の25℃における粘度が30~180Pa・sであることを特徴とする、請求項1または2いずれか記載の目止め用樹脂組成物。
  4. 窯業系無機基材の目止め剤であり、目止め処理を2層で行う際の下地目止め剤であることを特徴とする、請求項1~3いずれか記載の目止め用樹脂組成物。
  5. 窯業系無機基材上にシーラーを塗布後、その上に請求項1~4いずれか記載の目止め剤組成物を塗布して硬化後、更にその上に粘度が5~28Pa・sである目止め剤組成物を塗布して硬化させ、その後に表面切削を行い、その上から上塗り塗装剤を塗布して紫外線硬化することを特徴とする、窯業系無機基材化粧板の製造方法。
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