JP7295619B2 - 電磁波シールド材料及び電磁波シールド材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軽量で優れた電磁波シールド性能を発揮することができる電磁波シールド材料、及び、該電磁波シールド材料の製造方法に関する。
従来、携帯通信機器、電子機器、家庭用電化製品では、電磁波の漏洩や侵入を防止するために、電磁波シールドを施した部材が用いられている。近年では、特に自動車における電磁波シールドの重要性が認識されるようになってきている。
現在の自動車では、エンジン、モーター、メーター、トランスミッション、ブレーキ、エアバッグ、ランプ、パワーステアリング、パワーウィンドウ、カーエアコン、電子キーの車両側受信部、カーオーディオ、カーナビゲーションといったあらゆるシステムの制御がマイクロコントローラー(マイコン)により行われている。そして、これらに対応して数十種もの専用のエレクトロニックコントロールユニット(ECU)が搭載されている。また、車種によっては、サスペンションや騒音低減にもECUが用いられている。従って、自動車の安全な運行のためには、電磁波の漏洩や侵入によって各種制御が影響されないように、確実にECUを電磁波シールドすることが極めて重要である。
従来のECUにおいては、金属からなる筐体等を用いることにより、電磁波シールドを行っていた。しかしながら、近年の激烈な燃費競争のなかで、少しでも軽量化が求められるようになってきた。そこで軽量な電磁波シールド材料として、例えば、特許文献1では金属板をインサート加工してなる電磁波シールドカバーが開示されている。しかしながら、特許文献1のような電磁波シールドカバーは、金属のみを材料とするよりは軽量であるものの、材料に金属板を用いているため、より軽量な電磁波シールド材料が望まれている。
特開2013-115231号公報
本発明は、上記現状に鑑み、軽量で優れた電磁波シールド性能を発揮することができる電磁波シールド材料、及び、該電磁波シールド材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、金属が付着した繊維基材と、前記繊維基材の片方の面に積層された樹脂層とを有し、前記樹脂層は、前記繊維基材の少なくとも一部に含浸している電磁波シールド材料である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは鋭意検討した結果、繊維からなる基材に金属を付着させ、インサート成型によって少なくとも基材の一部に樹脂が含浸した樹脂層を形成することによって、軽量かつ充分な電磁波シールド性能を有する電磁波シールド材料を得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の電磁波シールド材料は、金属が付着した繊維基材と、上記繊維基材の片方の面に積層された樹脂層とを有する。
繊維基材を用いることにより、電磁波シールド材料を様々な形状に自由に成形することができる。また、繊維基材の表面に金属を付着させ、繊維基材の片面に樹脂層を設けることで、電磁波シールド性能を発揮することができる。更に、用いる金属の量を格段に減らすことができるため、従来の金属板に樹脂層を積層した電磁波シールド材料よりも大幅に軽量化を図ることができる。
上記繊維基材の形態は上記樹脂を含浸させることができれば特に限定されず、例えば、不織布、編物、織物、ガーゼ、糸条等が挙げられる。また、これらの形態を複合化したものであってもよい。なかでも、特に断線が起こりにくいことから不織布が好適であり、捲縮加工繊維からなる不織布がより好適である。上記繊維基材の層構成は特に限定されず、1種単独の繊維基材から構成されてもよいし、2種以上の繊維基材が複数組み合わされたものであってもよい。
上記繊維基材を構成する材料は特に限定されず、例えば、エチレン重合体及び共重合体、プロピレン重合体及び共重合体、α-オレフィン重合体及び共重合体等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂が挙げられる。更に、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等のポリエーテル樹脂や、ナイロン6樹脂、ナイロン46樹脂、ナイロン66樹脂等のポリアミド樹脂等も挙げられる。なかでも、耐熱性が高いことからポリエステルが好ましい。
上記繊維基材を構成する材料の融点は、含浸させる樹脂のガラス転移温度よりも高い融点を持つものであることが好ましい。このような繊維基材を構成する材料と樹脂の組み合わせとすることによって、繊維基材の形状を維持し、かつ、樹脂を確実に繊維基材へ含浸させることができる。
上記捲縮加工繊維からなる不織布は、捲縮加工繊維を含むものであれば、特に限定されない。捲縮加工繊維からなる不織布は、捲縮加工繊維以外の成分が含まれていてもよい。その場合、不織布中の捲縮加工繊維の合計量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
上記捲縮加工繊維は、捲縮部位を有する繊維である限り、特に制限されない。捲縮加工繊維の捲縮数は2山/25mm以上であることが好ましい。捲縮数が2山/25mm以上である捲縮加工繊維を用いることにより、本発明の優れた効果をより発揮することができる。上記捲縮数は5山/25mm以上であることがより好ましく、25山/25mm以上であることが更に好ましく、50山/25mm以上であることが特に好ましく、75山/25mm以上であることが最も好ましい。上記捲縮数の上限は特に限定されないが、300山/25mm程度が実質的な上限である。
上記捲縮加工繊維は、通常、潜在捲縮繊維を加熱処理して捲縮させることにより、得ることができる。潜在捲縮繊維は、熱処理により立体捲縮を発現する繊維である。潜在捲縮繊維としては、例えば、融点の異なる複数の樹脂からなる複合繊維、単一成分からなる偏心中空繊維や繊維の一部に特定の熱履歴を施した繊維が使用される。複合繊維には、例えば、偏心型の芯鞘構造のものや、サイドバイサイド型の繊維が好適に用いられる。融点の異なる樹脂の組合せとして、ポリエステル-低融点ポリエステル、ポリアミド-低融点ポリアミド、ポリエステル-ポリアミド、ポリエステル-ポリプロピレン、ポリプロピレン-低融点ポリプロピレン、ポリプロピレン-ポリエチレンなど種々の合成樹脂を組み合わせたものが使用できる。特に、ポリエステル-低融点ポリエステル若しくはポリプロピレン-低融点ポリプロピレンの組合せからなる潜在捲縮繊維は、化学的な耐性と伸度特性の点で優れており好ましい。また、偏心中空繊維としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンやポリエチレンなどが使用できるが、特にポリエステル若しくはポリプロピレンが化学的な耐性と伸度特性の点で優れており好ましい。繊維の一部に特定の熱履歴を施した潜在捲縮繊維としては、例えば熱刃などにポリエステル、ポリアミド、ポリアクリルなどの熱可塑性樹脂からなる繊維の一側面をあてながら通過させたものが使用できる。
上記繊維基材の厚さは特に限定されず、好ましい下限は5μm、好ましい上限は50mmである。上記繊維基材の厚さがこの範囲内であると、強度と取り扱い性とに優れた電磁波シールド材料とすることができる。上記繊維基材の厚さのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は40mmである。
上記繊維基材に付着させる金属としては、充分な電磁波シールド性を発揮できるものであれば特に限定されず、例えば、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、アルミニウム、チタン、白金、鉄又は、これらの金属を含む合金等が挙げられる。なかでも、高い電磁波シールド性を発揮でき、かつ、安価で取り扱い性にも優れることから、銅、銅-ニッケル合金、銀、アルミニウム、ステンレスが好適であり、銅又は銅-ニッケル合金がより好適である。
金属層の層構成は特に制限されない。金属層は、1層からなる単層であってもよいし、同一又は異なる組成を有する複数の層であってもよい。また、防錆のために、ニッケル等の防錆性に優れる金属を最外層とする積層構造としてもよい。金属層は、本発明の好ましい一態様においては、電磁波シールド特性の観点から選択される上記金属を主成分とする金属層(金属層a)と、該金属層の片側又は両側に配置される耐腐食性の観点から選択される金属(例えば、ニッケル、チタン、クロム、シリコン、アルミ等)を主成分とする金属層(金属層b)とを含む複数の層から構成されていることが、耐久性の観点から望ましい。また、金属層は、その2つの主面の一方或いは両方において、表面が酸化皮膜等の皮膜で構成されていてもよい。金属は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
上記金属層bを構成する金属としては、例えば、ニッケル、クロム、チタン、シリコン、アルミニウム等が挙げられる。なお、上記金属層bを構成する金属がニッケルを含む場合、上記金属層bにおけるニッケルの含有率は、防錆等の耐久性向上の観点から、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上であり、好ましくは95重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
金属層の厚みは、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上、更に好ましくは200nm以上、特に好ましくは300nm以上、最も好ましくは300である。耐久性の観点からは、より厚い(例えば200nm以上、300nm以上等である)ことが好ましい。上記金属層の厚みの上限は、好ましくは1000nm、より好ましくは600nm、更に好ましくは500nmである。上記厚みの上限以下であることで、成形性が向上する。この結果、電磁波シールドのシールド性が一層向上する。
金属層において、上記した金属層aの厚みは、好ましくは50~300nm、より好ましくは80~200nmである。また、上記した金属層bの厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは30nm以上、特に好ましくは50nm以上である。上記金属層bの厚みの上限は、好ましくは200nm、より好ましくは150nm、更に好ましく100nmである。
金属層の厚みは、蛍光X線分析により求めることができる。具体的には、以下の方法で測定することができる。
走査型蛍光X線分析装置(例えば、リガク社製走査型蛍光X線分析装置 ZSX PrimusIII+もしくは、同等品)を用いて加速電圧は50kV、加速電流は50mA、積分時間は60秒として分析する。測定対象の成分のKα線のX線強度を測定し、ピーク位置に加えてバックグラウンド位置での強度も測定し、正味の強度が算出できるようにする。あらかじめ作成した検量線から、測定した強度値を厚みに換算することができる。同一のサンプルに5回分析を行い、その平均値を平均厚みとする。
上記繊維基材は、上記繊維基材の上記樹脂層と接する側とは反対側の面の抵抗値が500Ω以下であることが好ましい。抵抗値が500Ω以下であることで充分な電磁波シールド性能を発揮することができる。抵抗値のより好ましい上限は100Ωである。なお、上記抵抗値は、後述するように繊維基材の少なくとも一部に樹脂を含浸させた樹脂層を形成することによって達成することができる。繊維基材の抵抗値は、例えば、表面抵抗計(MITSUBISHI CHEMICAL ANALYTECH 社製、商品名:Loresta-EP、又はその同等品)を用いて4端子法により測定することができる。
上記繊維基材の表面に金属を付着させる方法は特に限定されず、無電解金属メッキ、金属蒸着、スパッタリング加工等の従来公知の方法を用いることができる。なかでも、膜厚制御性の観点及び電磁波シールド性能をより向上させることができることから、スパッタリングが好適である。スパッタリング法としては、特に限定されないが、例えば、直流マグネトロンスパッタ、高周波マグネトロンスパッタ及びイオンビームスパッタ等が挙げられる。また、スパッタ装置は、バッチ方式であってもロール・ツー・ロール方式であってもよい。
上記樹脂層は、上記繊維基材の少なくとも一部に含浸している。
本発明の電磁波シールド材料は、上記樹脂層を上記繊維基材の少なくとも一部に含浸させるように形成することではじめて電磁波シールド性能を発揮する。樹脂層を形成せず、単に繊維基材に金属を付着させた場合や、樹脂層を形成していても繊維基材に樹脂が含浸していない場合は、電磁波シールド材料として用いるのに充分な抵抗値を達成することができない。樹脂層を繊維基材の少なくとも一部に含浸させることで電磁波シールド性能を発揮する原因は不明であるが、繊維基材の厚さ方向全体に分散している金属が樹脂を介して圧縮されることで、繊維基材の表面付近に金属が凝集して抵抗値が下がることと、その後樹脂が硬化することで凝集した状態が固定されことが原因ではないかと考えられる。樹脂が繊維基材の少なくとも一部に含浸している樹脂層を形成する方法としては、インサート成型が挙げられる。なお、本明細書中で「含浸している」とは、上記繊維基材中の繊維間の空間に上記樹脂層を構成する樹脂が浸入している状態を意味する。
上記樹脂は特に限定されないが、成形性の観点から、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としてはポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート、ポリフェニルサルファイド又はこれらのうち少なくとも2種の共重合体等が挙げられる。なかでも、成形性が良好であることから、ポリオレフィンが好ましい。また、ポリオレフィンのなかでも、融点が低く、成形性に優れることからポリプロピレン樹脂が好ましい。なお、上述のように本発明では繊維基材に樹脂を含浸させるため、上記樹脂は上記繊維基材の融点よりも低いガラス転移温度を持つものを選択することが好ましい。
本発明の電磁波シールド材料を用いることで、軽量かつ優れた電磁波シールド性能を有する電磁波シールド部材を得ることができる。なかでも、エレクトロニックコントロールユニット等の電子デバイスを周囲から発せられる電磁波から遮蔽するための筐体として好適に用いることができる。
ドライプロセスで繊維基材に金属を付着させる金属付着繊維基材作成工程と、前記金属付着繊維基材をインサート成型するインサート成型工程とを有する電磁波シールド材料の製造方法もまた本発明の1つである。
本発明の電磁波シールド材料の製造方法は、まず、ドライプロセスで繊維基材に金属を付着させる金属付着繊維基材作成工程を行う。
上記繊維基材は、上述の繊維基材と同様の材料及び形態のものを用いることができる。また、上記ドライプロセスとしては、上述の上記繊維基材の表面に金属を付着させる方法と同様の方法を用いることができる。
本発明の電磁波シールド材料の製造方法は、次いで、上記金属付着繊維基材をインサート成型するインサート成型工程を行う。
本発明ではインサート成型が重要であり、インサート成型によって材料を成形することで金属付着繊維基材表面の抵抗値が低下し、金属付着繊維基材に電磁波シールド性能を付与することができる。インサート成型によって金属付着繊維基材表面の抵抗値が下がる理由は不明であるが、インサート成型時の熱と圧力によって、金属付着繊維基材の厚み方向に分布した金属が金属付着繊維基材表面に凝集し、含浸、硬化した樹脂によって凝集状態が固定されるためではないかと考えられる。そのため、単に熱プレスによって熱と圧力をかけるだけでは金属付着繊維基材表面の抵抗値は低下せず、インサート成型でなければ金属付着繊維基材に電磁波シールド性能を付与することができない。
上記インサート成型は上記金属付着繊維基材の上記ドライプロセスを施された側とは反対側の面から行われることが好ましい。金属付着繊維基材のドライプロセスを施された側とは反対側から溶融した樹脂を含浸させることによって金属付着繊維基材の表面により多くの金属を凝集させることができる。その結果、金属付着繊維基材表面の抵抗値をより下げることができるため、得られる電磁波シールド材料は優れた電磁波シールド性能を発揮することができる。
本発明によれば、軽量で優れた電磁波シールド性能を発揮することができる電磁波シールド材料、及び、該電磁波シールド材料の製造方法を提供できる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
(1)繊維基材の製造
以下の方法により、繊維基材を得た。
単繊維状態にて180℃、3分間の熱処理を行うと捲縮数が平均50山/25mmとなる繊度2.5デニール、繊維長51mmの高潜在捲縮性ポリエチレンテレフタレート繊維(ユニチカ社製、ポリエステルC-81、初期捲縮数10山/25mm)を用い、該高潜在捲縮性ポリエチレンテレフタレート繊維を用いて75g/mの編物を調製した。得られた編物の一方面よりニードリング(針密度282本/cd、針深さ11mm)を行い、不織布を得た。得られた不織布に加熱収縮機を用いて温度185℃で熱処理して、不織布を構成する繊維の潜在捲縮を発現させると同時に繊維シートの縦及び横の長さを約13%収縮させて繊維基材を得た。厚み測定器(尾崎製作所社製、ダイヤルシックネスゲージ)を用いて得られた繊維基材の厚みを測定したところ、1mmであった。
(2)電磁波シールド材料の製造
得られた繊維基材の片面に、マグネトロンスパッタリングにより、アルゴン流量350SCCMにて銅-ニッケル合金(金属層1、Cu:40%、Ni:60%)、銅(金属層2)、及び銅-ニッケル合金(金属層3、Cu:40%、Ni:60%)を、出力をそれぞれ8kW、11kW、8kWにて堆積させ、金属付着繊維基材を得た。蛍光X線分析によって金属層1~3の厚みを求めたところ、それぞれ50nm、200nm、50nmであった。次いで、得られた金属付着繊維基材に熱プレスを行い成形した。その後、金属付着繊維基材のマグネトロンスパッタリングを施さなかった面から、ポリプロピレン樹脂を用いてインサート成型し、半径8cm,厚さ3cmの円盤状の電磁波シールド材料を得た。
(実施例2~4)
表1に記載の通り、金属の種類、厚みを変える以外は、実施例1と同様にして、電磁波シールド材料を得た。
(比較例1)
実施例1と同様にして得られた金属付着繊維基材に熱プレスを行った後、樹脂をインサート成型せずに電磁波シールド材料を製造した。
(比較例2)
実施例1と同様にして金属付着繊維基材を製造し、得られた金属付着繊維基材について、熱プレスと樹脂のインサート成型を行わずに電磁波シールド材料を製造した。
(3)抵抗値の測定
得られた電磁波シールド材料の金属付着繊維基材について、ポリプロピレン樹脂をインサートした面とは反対側の面の抵抗値を表面抵抗計(MITSUBISHI CHEMICAL ANALYTECH社製、商品名:Loresta-EP)を用いて4端子法により測定した。なお、比較例においては、金属が付着している面の抵抗値を測定した。
(評価)
実施例及び比較例で得られた電磁波シールド材料について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
(電磁波シールド性の評価)
得られた電磁波シールド材を切り出して15cm四方の試験片を作製した。その後、KEC法に準拠して、KEC法シールド材測定システム(日本テクノシステム社製)にて、周波数0.1MHz~1000MHzにおける電磁波シールド特性(電界シールド特性)を測定し、以下の基準により評価した。
◎:各周波数でシールド効果(単位:dB)が30dB以上
○:各周波数でシールド効果(単位:dB)が20dB以上、30dB未満
×:各周波数、又は一部の周波数でシールド効果(単位:dB)が20dB未満
なお、KEC法とは、関西電子工業振興センター(Kansai Electronic Industry Development Center)で開発した電磁波シールド効果測定装置を用いて、材料の電磁波シールド効果を測定評価する方法である。
Figure 0007295619000001
本発明によれば、軽量で優れた電磁波シールド性能を発揮することができる電磁波シールド材料、及び、該電磁波シールド材料の製造方法を提供できる。

Claims (5)

  1. 金属層と、繊維基材と、前記繊維基材の片方の面に積層された樹脂層とを有し、前記樹脂層は、前記繊維基材の少なくとも一部に含浸しており、前記金属層は、前記繊維基材の前記樹脂層が積層された面とは反対側の面に積層されており、前記金属層は前記繊維基材の厚さ方向全体に分散して付着した前記金属層を構成する金属が前記樹脂層を介して圧縮されてなることを特徴とする電磁波シールド材料。
  2. 繊維基材は不織布であることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールド材料。
  3. 繊維基材の樹脂層と接する側とは反対側の面の抵抗値が500Ω以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の電磁波シールド材料。
  4. 金属層の厚みが50nm以上、1000nm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の電磁波シールド材料。
  5. ドライプロセスで繊維基材に金属を付着させ金属層を形成する金属付着繊維基材作成工程と、前記金属付着繊維基材をインサート成型するインサート成型工程とを有し、前記インサート成型は前記金属付着繊維基材の前記ドライプロセスを施された側とは反対側の面から行われることを特徴とする電磁波シールド材料の製造方法。
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