JP7294855B2 - ペクチネイタス属菌を検出可能な培地、ビール混濁性有害菌の検出方法 - Google Patents

ペクチネイタス属菌を検出可能な培地、ビール混濁性有害菌の検出方法 Download PDF

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本発明は、被検体中のペクチネイタス属菌の有無の判定に使用することができる、ペクチネイタス属菌を検出可能な培地、および該培地を使用するビール混濁性有害菌の検出方法に関する。
醸造された非加熱ビールなどにおいて増殖し、濁り等を生じさせ、その商品価値に悪影響を与える細菌(ビール混濁性有害菌)の存在が知られている。
そのため、品質管理のために、接種した被検体中におけるビール混濁性有害菌の有無の判定に使用できる培地が開発されており、具体的にはチオグリコール酸培地(TGC培地)やMRS培地(非特許文献1)、SMMP培地(非特許文献2)などが使用されている。
ビール混濁性有害菌としては一部の乳酸菌が知られており、例えばラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)や、ラクトバチルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、メガスフェラ属菌(Megasphaera sp.)などがある。また、ここ30年来、偏性嫌気性細菌ペクチネイタス属菌(Pectinatus sp.)もビールに生育し、ビールを混濁することが知られるようになった。
さらに、2017年、ビール混濁性有害菌として新たに、ラクトバチルス クルタス(Lactobacillus curtus)が見出された。
J. C. DE MAN, et al., A MEDIUM FOR THE CULTIVATION OF LACTOBACILLI, J. Appl. Bact. 23, 130-135, 1960 Lee et al., SMMP - A medium for Selective Isolation of Megasphaera and Pectinatus from Brewery, Journal of American Society of Brewing Chemists, 52 (3) pp115-119 (1994)
本発明は、ペクチネイタス属菌についての検出をより容易に行うことができる新規な技術を提供することを目的とする。
嫌気性のビール混濁性有害菌の検出には嫌気性細菌の網羅的な検出培地として上述のTGC培地が使用されているが、本発明者はTGC培地を大量調製すると、ペクチネイタス属菌がうまく生育せず、検出感度が低下することに気が付いた。原因調査の結果、大量調製に伴う寒天培地調製中の酸素の巻き込みや、培地の固化、長い乾燥時間などの影響で従来のTGC培地組成では容易に検出感度が低下しやすく、また、このような検出感度の低下を抑えるためには培地調製作業の厳密な管理が必要であることが分かった。
本発明者は鋭意研究の結果、還元剤として作用するシステインおよび還元型グルタチオンのうち少なくともいずれかを培地中に含有させることで検出感度の低下を抑えることができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] ペクチネイタス属菌を検出可能な培地であって、
炭素源、窒素源、ミネラル源、チオグリコール酸またはその塩、シスチン、亜硫酸塩、およびシステインおよび/または還元型グルタチオンを含有する、培地。
[2] ソルビタンモノオレエートをさらに含有し、ペクチネイタス属菌およびラクトバチルス属菌を検出可能である[1]に記載の培地。
[3] ソルビタンモノオレエートを1.0g/L以上の含有量で含有する[2]に記載の培地。
[4] 以下の含有量で炭素源、窒素源、ミネラル源、チオグリコール酸またはその塩、シスチン、および亜硫酸塩を含有する[3]に記載の培地。
炭素源:炭水化物として11.0~15.0g/L
窒素源:全窒素として2.5~4.1g/L
ミネラル源:灰分として5.0~7.1g/L
チオグリコール酸またはその塩:0.55~0.8g/L
シスチン:0.28~0.4g/L
亜硫酸塩:0.1~0.2g/L
[5] 前記ラクトバチルス属菌が、ラクトバチルス クルタスである[2]から[4]のいずれか一つに記載の培地。
[6] 前記ペクチネイタス属菌が、ペクチネイタス フリシンジェンシスである、[1]から[5]のいずれか一つに記載の培地。
[7] ペクチネイタス属菌を検出可能な培地を使用して被検体におけるペクチネイタス属菌の存在の有無を判定することを含み、
前記培地が素源、窒素源、ミネラル源、チオグリコール酸またはその塩、シスチン、亜硫酸塩、およびシステインおよび/または還元型グルタチオンを含有するビール混濁性有害菌の検出方法。
[8] 前記培地がソルビタンモノオレエートをさらに含有し、ペクチネイタス属菌およびラクトバチルス属菌を検出可能であり、
前記検出方法において被検体におけるペクチネイタス属菌およびラクトバチルス属菌の存在の有無を判定する、[7]に記載の検出方法。
[9] 前記培地がソルビタンモノオレエートを1.0g/L以上の含有量で含有する[8]に記載の検出方法。
[10] 以下の含有量で前記培地が炭素源、窒素源、ミネラル源、チオグリコール酸またはその塩、シスチン、および亜硫酸塩を含有する[9]に記載の検出方法。
炭素源:炭水化物として11.0~15.0g/L
窒素源:全窒素として2.5~4.1g/L
ミネラル源:灰分として5.0~7.1g/L
チオグリコール酸またはその塩:0.55~0.8g/L
シスチン:0.28~0.4g/L
亜硫酸塩:0.1~0.2g/L
[11] 前記ラクトバチルス属菌が、ラクトバチルス クルタスである[8]から[10]のいずれか一つに記載の検出方法。
[12] 前記ペクチネイタス属菌が、ペクチネイタス フリシンジェンシスである、[7]から[11]のいずれか一つに記載の検出方法。
本発明によれば、ペクチネイタス属菌についての検出をより容易に行うことができる新規な技術を提供することができる。
以下、本発明の1つの実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態はペクチネイタス属菌を検出可能な培地に関し、該培地は炭素源、窒素源、ミネラル源、チオグリコール酸またはその塩、シスチン、および亜硫酸塩と、システインおよび/または還元型グルタチオンとを含有する。
なお、本明細書において検出可能とは、対象となる菌(例えばペクチネイタス属菌)が生育可能であり、接種した被検体中における当該菌の有無の判定に使用できることを意味する。
検出対象とすることができるペクチネイタス属菌としては、例えばペクチネイタス フリシンジェンシス(Pectinatus frisingensis)、ペクチネイタス セレビシフィラス(Pectinatus cerevisiiphilus)、ペクチネイタス ハイカラエ (Pectinatus haikarae)などが挙げられる。このうち本発明の構成を適用することで検出感度をより改善することができるため、ペクチネイタス フリシンジェンシスが好ましい。
本実施形態の培地に含まれる炭素源、窒素源、ミネラル源は資化可能である限り特に限定されず当業者が適宜設定することができる。
炭素源としては、例えばブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)などが挙げられる。
窒素源としては、例えばカゼイン製ペプトン、ダイズ製ペプトン、酵母エキスなどが挙げられる。
ミネラル源としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムなどが挙げられる。
亜硫酸塩についても特に限定されず、例えば亜硫酸ナトリウムなどを挙げることができる。
シスチンもL体、D体のいずれであってもよい。
本実施形態の培地に含まれるこれら各成分の含有量はペクチネイタス属菌を検出可能である限り特に限定されず、当業者が適宜設定できる。
また、本実施形態の培地は、システインおよび還元型グルタチオンのうち少なくともいずれかを含有する。システインおよび/または還元型グルタチオンを含有することで、これらを含まない場合と比較して、ペクチネイタス属菌の検出感度を高めることができる。システインはL体、D体のいずれであってもよく、システインの塩やそれらの水和物であってもよい。例えば、L-システイン塩酸塩一水和物を挙げることができる。
システイン、還元型グルタチオンの含有量は当業者が適宜設定でき、特に限定されないが、ペクチネイタス属菌の検出感度をより高めることができる観点から、システインについては0.5g/L以上、還元型グルタチオンについては1.0g/L以上が好ましい。なお、これらの上限値については特に限定されないが、調製コストの観点から、システインについては5.0g/L以下、還元型グルタチオンについては10g/L以下が好ましい。
また、本実施形態の培地は、ソルビタンモノオレエートをさらに含むことが好ましい。ソルビタンモノオレエートとして、例えばTween(登録商標、以下略)80を挙げることができる。ソルビタンモノオレエートを含むことで、本実施形態の培地はペクチネイタス属菌と共にラクトバチルス属菌をも検出可能である。
検出対象とすることができるラクトバチルス属菌としては、例えばラクトバチルス クルタス(Lactobacillus curtus)、ラクトバチルス カゼイ (Lactobacillus casei), ラクトバチルス プランタラム (Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス ブレビス (Lactobacillus brevis)等が挙げられる。このうち、ソルビタンモノオレエートをさらに含む好ましい態様の本実施形態の培地を用いることで検出が特に容易にできるようになるため、検出対象としてラクトバチルス クルタスが好ましい。
ソルビタンモノオレエートを含有する場合、ラクトバチルス属菌についても検出可能である限りその含有量は特に限定されないが、コロニーの確認がより容易となるため、1.0g/L以上の含有量であることが好ましい。なお、ソルビタンモノオレエートの含有量の上限値は特に限定されないが、調製コストが高額になるため、5.0g/L以下が好ましい。
また、ソルビタンモノオレエートを1.0g/L以上含有するときにペクチネイタス属菌について、検出自体は可能であるが、1.0g/L未満の含有量である場合と比較してその生育が阻害される傾向がある。この点、以下の含有量で培地成分を含有することでソルビタンモノオレエートを1.0g/L以上含むときにもペクチネイタス属菌の生育が改善するため、より好ましい。
炭素源:炭水化物として11.0~15.0g/L
窒素源:全窒素として2.5~4.1g/L
ミネラル源:灰分として5.0~7.1g/L
チオグリコール酸またはその塩:0.55~0.8g/L
シスチン:0.28~0.4g/L
亜硫酸塩:0.1~0.2g/L
炭素源の炭水化物としての含有量は、培地の全質量から、たんぱく質、脂質、灰分及び水分量を除いて算出する。たんぱく質はケルダール法や燃焼法により、脂質はエーテル抽出法(0.1%未満 ソックスレー抽出法)により、灰分は直接灰化法により求めることができる。また、水分量は常圧加熱乾燥法により求めることができるほか、粉体の培地調製用組成物等から求める場合には水分は実質含まれないとみなすこともできる。
窒素源の全窒素としての含有量は、ケルダール法や燃焼法により測定することができる。(なお、タンパク質の換算係数は、本願の場合6.25である)
また、本明細書において、ミネラル源の灰分としての含有量は、直接灰化法による強熱残分を意味する。
なお、これらの測定は、消費者庁 食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン 別添 栄養成分等の分析方法に記載の方法などに基づき行うことができる。
本実施形態の培地は本発明の目的を達成できる範囲で上記以外の他の成分を含んでいてもよく、特に限定されない。具体的な他の成分としては、寒天などを挙げることができる。
本実施形態の培地の作成方法としては特に限定されず、例えば常法により調製することができる。
例えば、上記各培地組成成分に精製水等を添加し混合攪拌した後、オートクレーブ等で滅菌し、これを分注し、冷却又は放冷するなどすればよい。また、市販のTGC培地や変法TGC培地(m-TGC培地)を使用し、これにシステインおよび/または還元型グルタチオンを添加して本実施形態の培地を調製するようにしてもよい。pHなども特に限定されず、例えばpH5.0~7.0とすることができる。
本実施形態の培地は従来のTGC培地等と同様の方法でペクチネイタス属菌など検出対象となるビール混濁性有害菌の検出に用いることができる。
例えば被検体を本実施形態の培地に接種した後、所定の条件にて培養し、続いてメンブランフィルタ法などにより菌の有無を判定することができる。また、菌の同定は目視やPCRにより行うことができる。
被検体としては、特に限定されないがビール、発泡酒などの麦をその原料の一つとする醸造酒、醸造場の環境採取サンプルなどが挙げられ、そのまま、またはこれを濃縮或いは希釈して本実施形態の培地に接種して培養してもよい。接種法も特に限定されず、当業者が適宜設定できる。
培養条件は、検出対象となる菌を培養可能である嫌気性雰囲気(酸素が実質的に含まれない環境。例えば窒素90~95%、水素2~4%、二酸化炭素3~5%)とすることができ、特に限定されない。培養温度は特に限定されないが、例えば25~30℃とすることができる。培養時間も特に限定されず、例えば5~14日とすることができる。
以上、本実施形態によれば、炭素源、窒素源、ミネラル源、チオグリコール酸またはその塩、シスチン、亜硫酸塩に加えてシステインおよび/または還元型グルタチオンを含有する培地とすることで、煩雑な操作や厳格な調製工程の管理を行わなくとも、ペクチネイタス属菌の検出感度の低下を抑えることができる。そのため、ペクチネイタス属菌についての検出を、手間を少なくしてより容易に行うことができ、ビール等の品質管理の負担軽減などに寄与することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、以下の試験例においては、下記の組成を有する市販の変法-TGC培地調製用組成物(粉末試薬、以下、m-TGC培地と称す)にMilli-Q(登録商標、以下略。滅菌イオン交換水、1L)と寒天(合計で15g/Lとなる量)を添加したもの(基礎培地組成物)を用いた。
カゼイン製ペプトン:17.0g/L
ダイズ製ペプトン:3.0g/L
ブドウ糖:6.0g/L塩化ナトリウム:2.5g/L
寒天:0.7g/L
チオグリコール酸ナトリウム:0.5g/L
L-シスチン:0.25g/L
亜硫酸ナトリウム:0.1g/L(窒素源:全窒素として2.3g/L)
(炭素源:炭水化物として9.5g/L)
(ミネラル源:灰分として4.7g/L)
炭素源の炭水化物としての含有量は、粉体である培地調製用組成物の全質量から、たんぱく質、脂質、および灰分を除いて算出した。たんぱく質は燃焼法により、脂質はエーテル抽出法(0.1%未満 ソックスレー抽出法)により、灰分は直接灰化法により測定を行った。
窒素源の全窒素としての含有量は、燃焼法により測定した。
ミネラル源の灰分としての含有量は、直接灰化法により得られた灰分量である。
[試験例1]
試験例1、2では、実施例においては基礎培地組成物にL-システイン塩酸塩一水和物(0.5g/L)または還元型グルタチオン(1.0g/L)をさらに含有させた。
実施例に係わる培地組成物および対照として用いた培地組成物は、混合攪拌した後、121℃15分間滅菌し、分注した後、放冷した。
得られた培地を無菌下で9時間大気放置し、ペクチネイタス フリシンジェンシス(以下、P菌と称す)に対する検出感度の変化をメンブランフィルタ法により評価した。
生理食塩水に200コロニー程度の菌数を懸濁させて、メンブラン吸引後、メンブランを上記の大気放置した培地に貼り付けて10日間、25℃で嫌気培養した。10日間培養後、菌の検出を行った。
結果を表1に示す。
Figure 0007294855000001
表1から理解できるとおり、大気解放することでP菌に対する検出菌数の減少が認められた。一方で、還元剤添加の効果を調査した結果、システインおよび還元型グルタチオンが、大気放置による検出力低下を抑制する効果が認められた。
[試験例2]
培地を調製する際の酸素の巻き込みの影響を調べるため、調製において121℃5分間滅菌を3回繰り返し、その都度取り出した後スターラーで5分間撹拌を行い培地に酸素と接触させ、培地調製を行った。なお、培地組成は試験例1と同様とした(すなわち、実施例1Aと1B、実施例2Aと2B、比較例1Aと1B、および対照Aと対照Bは組成は同じであり、滅菌処理の条件が異なる)。
培地調製後、試験例1と同様の方法でP菌の接種、および菌の検出を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007294855000002
表2から理解できるとおり、酸素の巻き込みによるP菌に対する検出菌数の減少が認められた。還元剤添加の効果を調査した結果、システインおよび還元型グルタチオンについて、酸素巻き込みの処理を行わなかった対照試験区の検出菌数には及ばないものの、酸素接触による検出力低下を抑制する効果が認められた。
[試験例3]
試験例3ではP菌と共にラクトバチルス クルタス(以下、L菌と称す)の検出についてメンブランフィルタ法により評価を行った。
実施例1Aと同じ組成の培地にその成分の混合段階においてソルビタンモノオレエート(Tween 80)を表3、4に示す含有量でさらに添加した点と大気開放していない点の2点以外は実施例1Aと同様の方法で調製した培地(実施例3~5の培地)を使用した。対照として大気開放していない点以外は実施例1Aと同様の組成、方法で調製した培地を用いた。
生理食塩水に所定の菌数(P菌:200コロニー程度出現する菌体量、L菌:100~200コロニー程度出現する菌体量)を懸濁させて、メンブラン吸引後、メンブランを培地に貼り付けて10日間嫌気培養した。10日間培養後、メンブランフィルタ法により菌の検出を行った。
結果を表3、表4に示す。
Figure 0007294855000003
実施例1Aの培地には、L菌は生育しなかった。一方、ソルビタンモノオレエートを添加した実施例3~5の培地においてはP菌に加えてL菌の生育が確認できた。
なお、実施例4、5の培地を使用した場合には、L菌についてコロニーの確認が容易であった(実施例4、5については目視による確認が可能。一方、実施例3については目視での確認が困難であるほど、コロニーが小さかった。)。一方で実施例4、5の培地の場合については実施例1A、3の培地の場合と比較して、P菌の検出率が下がる傾向にあった。
[試験例4]
試験例4では、ソルビタンモノオレエートの含有量を増加させた以外は実施例5の培地と同様の組成、方法で調製した実施例7~9の培地について、試験例3と同様の評価を行った。
結果を表4に示す。
Figure 0007294855000004
表4から、ソルビタンモノオレエートの含有量を増加させてもP菌、L菌とも検出できることが理解できる。
[試験例5]
試験例5では、表5に示す組成を有する実施例9~11の培地に対しP菌、L菌を接種し、メンブランフィルタ法により菌の検出を行った。
実施例10、11の培地は、表5に示す成分を混合攪拌した後、121℃15分間滅菌し、分注した後、放冷して培地とした。実施例10、11の培地はTween80を2g/l含有させた。また、実施例10、11の培地を調製するために使用した市販のm-TGC培地は試験例1と同様のものを使用しており、実施例9の培地に対し実施例10ではその使用量を1.2倍量とし、実施例11ではその使用量を1.5倍量とした。
P菌は、300コロニー程度出現する菌体量を生理食塩水に懸濁させ、メンブラン吸引後、メンブランを培地に貼り付けた。L菌は、MRS培地で、50コロニー程度出現する菌体量を生理食塩水に懸濁後、メンブラン吸引した。メンブランは培地に貼り付けた。嫌気状態で10日間培養し、培養後、メンブランフィルタ法により菌の検出を行った。
結果を表5に示す。
Figure 0007294855000005
表5から理解できるとおり、実施例9の培地を使用した場合にはL菌は生育しなかったが、Tween 80を添加した実施例10、11の培地を使用した場合には、L菌が生育、検出できた。L菌の検出コロニー数は培地成分濃度を1.2倍~1.5倍としても検出できた。またP菌はTween80を添加しても、培地成分濃度1.2~1.5倍にすることで、検出感度が低下することなく、Tween 80を添加しない場合と同等に検出できた。

Claims (6)

  1. ペクチネイタス属菌およびラクトバチルス属菌を検出可能な培地であって、
    炭素源、窒素源、ミネラル源、チオグリコール酸またはその塩、シスチン、および亜硫酸塩を以下の含有量で含有し、
    システインおよび/または還元型グルタチオンを含有し、
    その含有量が1.0g/L以上であるソルビタンモノオレエートをさらに含有する培地。
    炭素源:炭水化物として11.0~15.0g/L
    窒素源:全窒素として2.5~4.1g/L
    ミネラル源:灰分として5.0~7.1g/L
    チオグリコール酸またはその塩:0.55~0.8g/L
    シスチン:0.28~0.4g/L
    亜硫酸塩:0.1~0.2g/L
  2. 前記ラクトバチルス属菌が、ラクトバチルス クルタスである請求項に記載の培地。
  3. 前記ペクチネイタス属菌が、ペクチネイタス フリシンジェンシスである、請求項1または2に記載の培地。
  4. 炭素源、窒素源、ミネラル源、チオグリコール酸またはその塩、シスチン、および亜硫酸塩を以下の含有量で含有し、システインおよび/または還元型グルタチオンを含有し、その含有量が1.0g/L以上であるソルビタンモノオレエートをさらに含有し、ペクチネイタス属菌およびラクトバチルス属菌を検出可能な培地を使用して、被検体におけるペクチネイタス属菌およびラクトバチルス属菌の存在の有無を判定することを含む、ビール混濁性有害菌の検出方法。
    炭素源:炭水化物として11.0~15.0g/L
    窒素源:全窒素として2.5~4.1g/L
    ミネラル源:灰分として5.0~7.1g/L
    チオグリコール酸またはその塩:0.55~0.8g/L
    シスチン:0.28~0.4g/L
    亜硫酸塩:0.1~0.2g/L
  5. 前記ラクトバチルス属菌が、ラクトバチルス クルタスである請求項に記載の検出方法。
  6. 前記ペクチネイタス属菌が、ペクチネイタス フリシンジェンシスである、請求項4または5に記載の検出方法。
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