内部線量は、適応型画像形成を行うことができる、携帯型の定量的縮小SPECTを用いて、少なくとも部分的には評価される。SPECTの画像形成では、シンチレーション検出器(例えば、NaI(Tl))及び鉛(Pb)のマルチチャンネルコリメータを用いた、アンガー(Anger)方式に基づく。近年の発展によって、直接的な変換器、例えばテルル化カドミウム亜鉛(CZT)及び/又はタングステン(W)付き鉛へと検出器が置き換えられつつあるが、画像形成プロセスは変更されておらず、マルチチャンネルコリメータが依然として用いられている。多重化又は非多重化マルチピンホール等の他のコリメート画像形成の使用は、専用の臓器撮像のために確保されている。線量計測のため、全身又は少なくとも胴体が測定される。非常に小さな携帯型の形状の装置を用いて全身の撮像を行えるようにする画像形成が望まれている。
基本技術的なエネルギ伝播の計算の他、高速スキャン等を用いてできるだけ頻繁に且つ撮像者や患者に対してあまり害が及ばないようにして、放射能分布が測定されるべきである。小型で携帯可能な固体型検出器モジュールは、機械的支持具に保持又は取り付けてスキャンすることの可能な手持ち式装置として用いることもできる。携帯型検出器モジュールは、光学カメラ(三次元、4D-TOF(Time of Flight)、3D構造化光、レーザスキャナ、光学トラッカ又は赤外線)等の撮像装置(画像化装置)を用いて患者を撮像すると共に、高度に縮小した適応型画像形成を行うガンマ線撮像等の検出器を用いて患者を撮像する。
画像(イメージ)サイズが対象物の大きさよりも小さい場合に、縮小が行われる。患者からの距離が0.01mから10mまで(近視野から遠視野まで)の撮像で、対応する画角が生じ、3mm未満から3cmまでの放射能分布の解像(分解)が図られる。各スキャンでは、連続的にデータが取得され、光学センサ(又は他の任意のセンサ)が、この後に、再構成されるガンマ線データとの整合(整列、位置合わせ、レジストレーション)で放射能分布の整合したオーバーレイを取得するために、身体の動きを記録する。システムは小型のため、どのような小さな部屋でも持ち運んだり、取り付けることができるので、患者の入院を必要とすることなく、患者の放射能をモニタ(監視)し、記録し、さらに、比較的に高い解像度で時系列データセットを得ることができる。従って、患者は検査のために病院にいる必要はない。システム全体は、移動可能なプラットフォーム(例えば、移動可能なカートや、車両)に搭載してもよいし、病院外で追跡検査するべく運んだり、場合によっては、追跡検査のために画像システム全体を患者の自宅に持ち込むこともできる。
適応型画像形成によって、200keV未満から3000keV未満までの広範囲のエネルギにわたって撮像を行うことができ、この範囲において、画像形成は、物理的コリメーション(即ち、マルチチャンネル又は多重化)からコンプトンイメージングを用いる電子的コリメーションに変えることができる。階層的な情報収集において、放射能は、専用の大型設置面積のスキャナとスポットチェックを行うための小型の携帯システムとを用いて得られる画像品質で提供される。適切な画像形成を利用すると共に補助情報(追加のモーダル情報)を提供する他の波長(例えば光学)を撮像するガンマ線の固体型検出を携帯型装置へ統合することにより、この装置は、延長した期間にわたって患者を撮像するように用いることが可能になる。物理的崩壊と生体的な再分布及び排泄に起因する放射能の蓄積と減衰とを、利便性によって、より正確に追跡することが可能になる。
図1では、SPECTシステムの一実施形態が例示されている。SPECTシステムは、図3の方法又は他の方法を実装することができる。携帯型スキャナ10は、放射能の追加サンプリングを提供する線量計測のために、及び/又は、近視野撮像及び遠視野撮像のうちで選択された方での操作のために、使用される。
SPECTシステムは、携帯型スキャナ10と、画像処理装置14と、ディスプレイ16と、SPECTスキャナ15と、を含む。ただし、付加的な部品(構成要素)や異なる部品を用い、又は部品をより少なくすることも可能である。例えば、SPECTスキャナ15を設けなくてもよい。別の例として、ディスプレイ16を設けなくてもよく、この場合は、画像処理装置14からの線量の推定値が、画像化を用いることなく、追加の放射線医薬を適用するために用いられてもよい。さらに別の例では、携帯型スキャナ10、画像処理装置14、及び/又は、SPECTスキャナ15についてユーザが制御するため、ユーザ入力装置(例えば、キーボード、タッチスクリーン、タッチパッド、マウス、トラックボール、ボタン、ノブ、スライダ、及び/又は、ロッカースイッチ)が提供されてもよい。
携帯型スキャナ10は、ジャイロスコープ11、撮像装置13、コリメータ19、及び検出器12を含む。ただし、付加的な部品や異なる部品を用い、又は部品をより少なくすることも可能である。例えば、加速度計、磁気位置決めセンサ、及び/又は、他の位置センサ又は方位センサを含むことができる。別の例として、ジャイロスコープ11及び/又は撮像装置13は設けなくてもよい。さらに別の例では、コンプトンイメージングが行われる場合等ではコリメータ19を設けなくてもよい。
携帯型スキャナ10は、ひとり又は数人で運搬可能な大きさを有する。携帯型スキャナ10は、手に持つことができるか、又は使用の都度に搬送可能である。携帯型スキャナ10は、例えば、カートに載せたりバッグに入れて携帯可能であり、及び/又は、1つ以上のハンドルを有する形状を有していてもよい。スキャンするときには、携帯型スキャナ10は、支持具17上に設置することもでき、又は操作者が手持ちしてもよい。
一実施形態では、携帯型スキャナ10の重量は5キログラム以下である。例えば、携帯型スキャナ10は1キログラムから3キログラムまでである。ただし、より重い又はより軽い実施形態とすることは可能である。携帯型スキャナ10の大きさは、ブリーフケースサイズ(例えば、6×16×24インチ)や、シューボックスサイズ(例えば、6×8×14インチ)としてもよい(1インチは25.4ミリメートルとする)。ただし、その大きさは任意の寸法とすることができる。携帯型スキャナ10は、小型で携帯可能な固体型検出器モジュールであり、携帯型装置として使用することができ、又は支持具17(例えば、機械的支持体)に取り付けることもできる。スキャナ10が小さいため、任意の小さな部屋までスキャナ10を手で持ちこんだり、取り付けることができるので、患者の入院を必要とすることなく、患者の放射能を監視して、記録することができる。スキャナ10が小さいため、スキャナ10は、異なる時期の患者の放射能を監視し記録するための患者の入院を必要としないか、又は必要としたとしても入院の回数を比較的少なく抑えることができる。携帯型スキャナ10を用いることで、大型で固定設置型のSPECTスキャナ15のみに依存する場合と比べて、より高い解像度で時系列データセットを得ることが可能になる。患者は、任意のスキャン又は全てのスキャンに関して病院で受ける必要がなくなる。携帯型スキャナ10は、移動可能なプラットフォーム(例えば、モバイルカート又は車両)に搭載することもでき、追跡検査を病院外で行ったり、場合によっては追跡検査を患者の家で行うように、搬送することもできる。
検出器12は、患者からの放射を検出するために構成された検出器である。検出器12は、患者からの放射線を検出する。例えば、放射性崩壊からの放射が検出される。また、ガンマ線が検出される。
検出器12は、スキャナ10の重量及びスペース(占有面積)の制限に従った大きさを有する。一実施形態では、検出器12は、10x10cm、5x5cm、3x5cm又は5x7cmの面積をもつ。ただし、他の大きさとすることも可能である。また、検出器12は、正方形、長方形、又は他の形状で、平坦な又は湾曲した板状などの形態とすることができる。一実施形態では、検出器12の大きさの範囲は、25平方cm未満から500平方cmまでの面積である。ただし、より小さい又はより大きい検出器12を使用することも可能である。
検出器12は、半導体等の固体型検出器である。例えば、CZT又は他の直接変換式ガンマ線検出器が使用される。一実施形態では、室温半導体用ASICを備えたCdTeベース(例えば、CdZnTe)が使用される。他のハイZ(ハイインピーダンス)室温半導体を使用することも可能である。他の固体型検出器モジュールとしては、Si、CZT、CdTe、HPGe、TlBr、又は同様の装置を含み得る。検出器12は、例えばCZT用の約4mmの厚さなど、任意の厚さでウエハ製造で生産できる。あるいは、検出器12は別の種類のセンサでもよい。
検出器12は、処理用にフォーマットされた半導体を含むことができる。例えば、検出器12は、検出器12における電子と光子の相互作用を感知するための特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)を含む。ASICは、検出器12の画素(ピクセル)に並置される。ASICは、任意の厚さを有し得る。複数のASICを設けることができ、例えば、検出器12の3×3の格子内に9個のASICを設けることができる。
検出器12は、任意の計数率(カウントレート)で動作することができる。放射線との相互作用に基づいて、画素で電気が発生する。この電気は、ASICによって感知される。その位置、時間、及び/又は、エネルギが感知される。感知結果の信号は、調整(例えば増幅)して無線通信の通信装置(トランシーバ)へ送ることができる。
コリメータ19は、検出器12の中に含まれていてもよい。マルチチャンネルコリメータ、多重化コリメータ、又は時間符号化(Time-Encoded)の多重化コリメータ等、任意の種類のコリメータ19を使用することができる。あるいは、コンプトンイメージングによって電子的コリメーションが行われる場合には、コリメータを用いなくてもよい。
検出器12は、異なるエネルギの放射を検出することができる。同じ検出器12を用いて、異なるエネルギ又はエネルギ範囲で放射を検出することができる。例えば、検出器12は、200keV未満から3000keV未満までのエネルギとして放射線を検出できる、適応型画像形成に用いられてもよい。あるいは、検出器12は、511keV付近等の特定のエネルギ範囲のエネルギを検出するように設計されていてもよい。画像形成は、異なるエネルギに対して違う方式になっていてもよく、例えば、撮像時のエネルギ範囲に基づいて、物理的コリメーション(例えば、マルチチャンネル又は多重化)から、コンプトンイメージングを用いる電子的コリメーションに変更する、などである。例えば、コリメータ19による物理的コリメーションは、511keV以下、400keV以下、又は600keV以下のエネルギ用に提供され得る。電子的コリメーションは、より高いエネルギについて使用される。一実施形態では、検出器12は、662keVで、1%未満のエネルギ分解能を有する。
検出器12は、1mm以下の空間分解能等の、任意の空間分解能を有する。検出器12は、縮小に適応した画像形成で、ガンマ線撮像を行うために用いられる。画像サイズが対象物サイズよりも小さい場合に縮小が行われる。例えば、スキャナ10は、患者から0.01mから10mまでの距離(近視野から遠視野まで)で配置され、対応する画角を生じ、3mm未満から3cmまでの放射能分布の解像(分解)が図られる。この場合、対象物の大きさは、対象となる解剖学的構造の大きさである。1mmよりも大きな空間分解能を用いることも可能である。縮小を行う画像形成方法には、マルチチャンネルコリメーション、多重化、時間符号化多重化、又は固有センサのコンプトンイメージングが含まれる。
SPECT撮像に関し、検出された放射のLORを定めるために、患者に対する検出器12の位置及び方向が決定される。それに替えて、又はそれに加えて、患者に対する検出器の位置及び方向は、動き補正、経時的な放射能の空間整合(例えば、トラッキング)、再構成の箇所による減衰の推定、及び/又は、他の用途のために用いられてもよい。例えば、撮像装置13は、後に、再構成されるガンマ線データとの整合(整列、位置合わせ、レジストレーション)で放射能分布の整合したオーバーレイを取得するために、身体の動きを記録する。携帯型スキャナ10は、検出器12及び/又は患者の位置及び方向を決定するために、撮像装置13及び/又はジャイロスコープ11を含む。
撮像装置13は、患者をスキャンするためのスキャナであって、例えば、透過型のスキャナ等である。携帯型スキャナ10に適合するように十分に小さい任意のスキャナを使用することができ、例えば、超音波のスキャナを使用することができる。一実施形態では、撮像装置13は、光学カメラ又は赤外線カメラである。カメラは、立体カメラ等のように、深さ(奥行き、depth)情報を決定することができる。4D-TOFカメラ、三次元表面を推定可能な構造化光を使用するカメラ、レーザスキャナ、又は光学トラッカを使用することも可能である。
ジャイロスコープ11は、固体型ジャイロスコープである。他の位置センサ及び/又は方向センサを使用することができ、例えば、レンジ(範囲)センサ、磁気測位センサ、加速度計、及び/又は、GPS(Global Positioning Sensor)センサを使用することができる。撮像装置13と共にジャイロスコープ11及び/又は他のセンサは、患者及び/又は環境に対するスキャナ10の正確な位置と方向の判定を可能にする。精度を向上させるため、スキャナ10から離した固定基準ユニットを使用してもよい。
スキャナ10は、画像処理装置14と通信する。画像処理装置14は、スキャナ10内に統合されてもよく、又は、それを備えていてもよい。あるいは、スキャナ10と画像処理装置14との間に有線又は無線の通信が設けられる。画像処理装置14は、SPECTスキャナ15の一部であってもよいし、別個のワークステーション又はサーバであってもよい。通信は、検出された信号(例えば、放射又は減衰事象)、及び/又は、位置及び方向の測定値を送信するために用いられる。あるいは、再構成された放射能分布が送信される。送信は、画像処理装置14等のマスタ装置(例えば、画像処理装置14をホストする、コンピュータ、タブレット、又はワークステーション)に向けられる。
支持具(又は取付具)17は、それ自体が携帯可能であってもよい。支持具17は、スキャンの最中にスキャナ10を所定の位置に保持するためのスタンド、三脚、又は他の構造体である。支持具17はスキャナ10と接続可能であり、例えば、ラッチ、スナップ嵌め、スライダ及びピン、又は別の取り外し可能な接続を使用することができる。近視野撮像のため、患者に対して別々の位置からスキャンするように、スキャナ10を移動させるための1つ以上のモーターを含むことができる。また、支持具17は、遠視野撮像のため、スキャナ10を1つの位置で保持することができる。他の実施形態では、支持具17を設けなくてもよい。患者をスキャンするため、使用者が携帯型スキャナ10を保持してもよい。
画像処理装置14は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ、グラフィック処理ユニット、デジタル回路、アナログ回路、及び/又は、断層撮影(トモグラフィ)を実行するための現在公知又は将来的に開発され得る別のプロセッサでもよい。画像処理装置14は複数の装置から構成されてもよく、例えば、事象(イベント)を検出して事象ごとに患者に関するLORを決定するASIC、断層撮影形態の再構成及び線量推定用の汎用プロセッサ、断層撮影形態に生成された物体内の表現から画像をレンダリングするグラフィック処理ユニット等から構成されてもよい。並列及び/又は直列で処理を行ってもよい。画像処理装置14は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又は、ソフトウェアによって構成することができる。
画像処理装置14は、断層撮影法と共に放射能分布を生成するように構成される。患者に対する検出器12のカウント及び位置(即ち、LORを示す位置)は、患者の二次元又は三次元の放射能表現を再構成するために使用される。各スキャンについて、放射能分布を断層撮影形態に整合させるが、その際、(1)固体型検出器12によって患者から検出された放射線の検出結果と、(2)撮像装置の出力とを用いる。あらゆる既知の再構成又は将来的に開発され得る再構成を使用することができる。例えば、400keV未満のエネルギについては画像形成に物理的コリメーションが用いられ、そして、400keVを超えるエネルギでの放射からの再構成にはコンプトンイメージングが用いられる。コリメータ19は、検出器12に対するLORの方向を示すことができる。検出器12は、広範囲のエネルギ(例えば、200keV未満から3000keV未満まで)にわたって放射線を検出するため、画像形成は、閾値エネルギ(例えば、400、500、510、512又は600keV)にて、物理的コリメーション(例えば、マルチチャンネル又は多重化)から、コンプトンイメージングを用いる電子的コリメーションへと変化する。
ある時期(即ち、スキャン完了の時)の放射能分布の再構成のため、画像処理装置14は、測定値についてLORを決定する(例えば、エネルギを伴う又は伴わない放射発生)。画像処理装置14は、撮像装置13、ジャイロスコープ11、及び/又は、他のセンサからの位置及び方向の情報から、信号に関してLORを識別するように構成されている。検出された各放射について、患者及び/又は検出器12の移動、又は、位置及び方向が決定されて、患者内で生じた放射線の沿うLORを画定するために使用される。携帯型スキャナ10の1つの位置又は複数の位置は、カメラの出力(即ち、光学的画像又は深さ画像)から決定される。検出器12に対する患者の位置が決定されるため、放射線を感知する検出器画素を起点とするLORの、患者を通過する位置及び方向が決定される。
一実施形態では、撮像装置13及び/又はジャイロスコープ11の出力は、マルチモーダル再構成において使用される。例えば、患者の事前スキャンに、コンピュータ断層撮影(CT:Computer Tomography)スキャンを含む。スキャナ10に対する患者の位置及び方向は、減衰補正及び/又は構造/組織に特化した再構成に使用されるCTデータを整合(例えば、モーフィング)させるために使用される。マルチモーダル再構成のための出力に基づいて患者の内部構造が推定される。別の実施形態では、距離情報の有無にかかわらず、光学的画像を用いて患者のCTデータの推定値を生成するが、このCTデータは、マルチモーダル再構成で使用される。
別の実施形態では、所定のスキャン期間中に患者及び/又はスキャナ10は動き得る。撮像装置13及び/又はジャイロスコープ11からの位置及び方向の情報は、検出された各放射線についてLORを決定するために使用される。患者が動いたときの患者に関するLORが決定される。
他の実施形態では、位置及び/又は方向の情報は、異なるスキャン及びその時期から再構成される放射能分布を整合させるために、使用される。上記各実施形態の組み合わせを使用することも可能である。
画像処理装置14は、LORに基づく放射能分布の二次元的表現又は三次元的表現を断層撮影形態で再構成するように、構成されている。断層撮影形態の再構成であればいずれも使用することができる。測定空間から対象物又は画像空間への順投影及び逆投影を用いるなどの逐次プロセスでは、対象物の空間表現が最適化されて生成される。スキャナ10は、再構成において使用されるシステムモデルとして表現される。画像処理装置14は、信号及びシステムモデルに基づいて空間分布を決定する。空間分布は二次元的分布又は三次元的分布である。患者の内部領域における放射能の二次元的表現又は三次元的表現は、検出器12の信号に基づく断層撮影法によって生成される。SPECT用に、放射の場所が示される。
断層撮影形態の再構成では、近視野近似又は遠視野近似を用いることができる。遠視野ベース撮像又は近視野ベース撮像のいずれの場合でも同一の検出器12及びスキャナ10を用いることができる。検出器の近視野での感知又は遠視野での感知に基づいて、ある時期(時点)での患者内の放射能分布が断層撮影形態で決定される。患者は、検出器12の近視野又は遠視野のいずれかにある。図2Aでは、近視野の感知20について例示しており、この場合、コリメータ19及び/又は検出器12の感度の画角(破線を参照)が、対象となる患者の一部のみ又は患者の一部の細部を感知する。例えば、検出器12及びスキャナ10は、患者から1メートル以内にある。その結果、近視野での再構成は、患者に対して異なる位置及び/又は方向においた検出器12によって検出される放射を用いる。検出器12及びスキャナ10は、異なる位置及び/又は方向から放射線を検出するために、移動させる。患者全体及び/又は関心領域(例えば胴体)をスキャンするために、スキャン期間中、別々の時点で異なる領域から放射を検出するように、検出器12を移動させてもよい。また、同じ箇所について異なる方向から放射線を検出するように、検出器12を移動させてもよい。
図2Bでは、遠視野の感知22について例示しており、この場合、検出器12及び/又はコリメータ19の画角は、関心領域全体(例えば、全身又は胴体全体)からの放射線を感知する。検出器12は、患者に対して1つの位置及び方向で保持されていてもよい。結果として再構成される放射能分布は、放射線を検出するために単一の位置及び方向を使用するため、検出器12に対して横方向よりも深さ方向で分解能がより低くなる可能性がある。異なる方向からの遠視野の感知を行うことで、解像度を向上させることは可能である。
遠視野又は近視野を特定するユーザ入力によって、遠視野と近視野とが区別されてもよい。あるいは、撮像装置13が、例えばステレオカメラ、TOF、又は他の三次元的な撮像を使用するなどして距離を感知するために、使用される。画像処理装置14は、遠視野又は近視野での感知に基づいて再構成を行うように構成される。再構成の種類及び/又は再構成のための利用可能なデータは、遠視野と近視野とでは相違する。
図1を参照すると、画像処理装置14は、表現から画像18を生成するように構成することができる。三次元表現のため、体積、表面、又は他のレンダリングを実行することができる。所定の視線方向から表示するために、二次元画像18に対して3次元分布がレンダリングされる。あるいは、二次元画像18を形成するようにデータを選択するため、三次元表現中に表されたスライス又は平面が用いられる。二次元分布又は表現については、二次元画像18が生成される。所定の時期の放射能分布の画像は、同じ時点又は別の時点の撮像装置13からの画像上にオーバレイすることができる。
画像処理装置14は、別々の時点の各スキャンによる放射能に基づいて生成される時間放射能曲線から、内部線量を決定するように構成される。時間放射能曲線は、別々の時点の放射能にあてはめられる。あてはめられた時間放射能曲線又はその特性(例えば、その曲線下の積分)は、線量を示す。所定の箇所の放射能を、例えば撮像装置13からの画像又はデータと整合させる。1つの箇所又は連続する箇所の集まり(例えば、臓器又は組織の領域)に関し整合させた放射能が加算又は平均されて、曲線のあてはめのために用いられる。
一実施形態では、SPECTスキャナ15は、フルサイズのSPECTスキャナである。SPECTスキャナ15は、専用の部屋の床又は運搬車に設置される。このSPECTスキャナは、マルチモーダル再構成のためにCT撮像装置を含むことができる。SPECTスキャナ15は、スキャナ専用のベッド(台)を含む。SPECTスキャンを行う際、患者は、そのベッドの上に載せられる。結果として得られる放射能分布は、検出器12を使用する場合と比べて、より大きな空間分解能を有し得る。患者の経時的な放射能のサブサンプリング又は処理も可能であり、これにより、SPECTスキャナ15からの放射能分布と、別々の時期又は時点での検出器12のスキャンから再構成された1つ又は複数の放射能分布とに対して、曲線のあてはめがなされる。検出器12及びSPECTスキャナ15からの放射能分布の任意の組み合わせを用いることができる。そのあてはめには、1つ又は複数(例えば、5個以上、10個等)の各スキャン及びその時期に基づく任意の数の放射能分布を用いることができる。
ディスプレイ16は、CRT、LCD、投影装置(プロジェクタ)、印刷機(プリンタ)、又は他のディスプレイである。ディスプレイ16は、断層撮影形態の画像18及び/又は推定された線量(例えば、線量値又は時間放射能曲線)を表示するように構成される。線量、及び/又は、1つの画像18又は複数の画像18は、ディスプレイプレーンバッファ内に記憶されて、ディスプレイ16に読み出される。複数の画像18は、別々のスキャンで生成された一連の画像であってもよい。1つの画像18又は複数の画像18は、患者の内部領域における放射能の二次元的表現又は三次元的表現であるため、患者の体内ビューを表す。撮像装置13からのビューなど、外観を表す画像を生成することも可能である。線量は、さらなる投薬決定を調節するために表示されてもよい。
図3は、SPECTにおける内部線量評価の方法についての一実施形態をフローチャートで例示した図である。この方法では階層的な情報収集が用いられている。専用の大設置面積を有するSPECTスキャナが用いられて、患者内の放射能サンプリングを1回又は複数回行う。例えば、患者が最初に放射性医薬品を投薬されるときや、その他にも患者が別の機会で病院又は撮像の場所/施設にいるときに行う。1回又は複数回の別の機会に、放射能をサンプリングするスポットチェックを行うために、小型で携帯可能なSPECTスキャナが使用される。例えば、患者が定期的に薬局を訪れるとき、自宅でスキャンするとき、又は携帯型のSPECTスキャナをレンタルするとき等である。携帯型のSPECTスキャナを使用することで、撮像時の労力を省き、患者の放射能分布をより長く経時的にサンプリングすることを可能にする。
本方法は、図1に例示したシステム又は別の構成を用いて実施することができる。SPECTスキャナ15を用いてステップ30が実行される。携帯型スキャナ10を用いてステップ34が実行される。画像処理装置及び/又はユーザ入力を用いてステップ32及び36が実行される。画像処理装置は、ステップ30及び34の一部を行ってもよく、例えば、LORを推定し、検出された放射線から再構成を行う。ステップ38で、ディスプレイ16が用いられる。他のシステム又は装置を使用することも可能である。
各ステップは、図示の順序(即ち、上から下へ、又は数字順)で行われるが、他の順序で行うことも可能である。例えば、ステップ30、32、及び34は、任意の順序で行うことができる。ステップ30及び/又はステップ32及び34は、任意の回数で反復することができる。
追加のステップ、異なるステップを行い、又はステップを減らすことも可能である。例えば、ステップ32を実行しない等である。別の例では、ステップ38が実行されず、例えば、画像を表示しない線量計測で推定線量が用いられる等のようにする。さらに別の例では、ユーザ入力と制御のステップが用意される。別の例では、ステップ30が行われない。代わりに、放射能のすべてのサンプリングのために携帯型スキャナが用いられる。
ステップ30では、フルサイズのSPECTスキャナ及び/又は画像処理装置が、SPECTスキャナのベッド上の患者についてのSPECTスキャンを用いて、患者内の放射能分布を決定する。SPECTスキャンは、マルチモーダル再構成のためにCTスキャンを含むことができる。患者の関心領域又は患者全身について、放射能分布が決定される。スキャンは、放射が検出される期間の中で行われる。これら放射線は、放射能分布を再構成するために使用され、所定の時点における患者内の放射能を表す。
検出された放射線から、放射能分布が決定される。検出器は、患者からの放射線(例えば、ガンマ線)を感知する。例えば、患者は、放射性医薬品を経口摂取するか、又は注射される。崩壊による放射線が検出される。患者を通過する各LORに沿った放射線がカウント(計測)される。各サンプリング箇所から検出された事象(イベント)が、カウント又は収集される。各事象が生じたLOR又はラインが、再構成において使用される。LORは、事象が生じたときの検出器と患者との位置及び/又は角度に基づく。患者からの放射線の三次元的な分布は、事象と対応するLORとから再構成されてもよい。
画像処理装置は、感知された放射線に基づいて患者の内部領域の放射能分布を断層撮影形態で再構成する。LORと事象とが、患者内の放射能の二次元的表現又は三次元的表現を再構成するために用いられる。再構成は、一次元的でもよく、あるいは、領域又は臓器についての値でもよく、例えば、臓器ごとの該当放射能を示した臓器のリスト等でもよい。任意のSPECT再構成を用いることができる。反復最適化を行う場合には、検出された信号から、放射の位置が決定される。断層撮影形態の再構成は、放射性同位元素の位置を再構成するために用いられる。
ステップ32では、使用者又は画像処理装置が、携帯可能な固体型検出器について、近視野スキャン又は遠視野スキャンを選択する。携帯型SPECTスキャナは、環境に応じて、患者からの様々な距離でスキャンするために配置することができる。例えば、検出器は、患者から0.01メートルから10メートルまでで離れた位置に配置されてもよい。検出器及び/又はコリメータの有効な感知角度に基づいて、検出用に形成される角度は、所与の距離で患者の関心領域の一部のみをカバーしてもよい。この例では近視野スキャンが選択される。検出用に形成された角度が、その距離で患者の関心領域の全てをカバーする場合、遠視野スキャンが選択される。この選択は、別のSPECTスキャンでは相違してもよい。
この選択は、例えば、カメラを用いて患者を検知し距離を測定すること(例えば、デプスカメラを使用すること)等に基づくことができる。画像処理装置は自動的に距離を決定し、選択を行う。あるいは、使用者が距離を測定又は推定してもよい。ユーザ入力により、選択的に距離を入力する、または選択を行うようにしてもよい。
遠視野スキャンの場合、検出器を1つの位置に保持してもよい。患者からの放射線を検出するため、使用者又は支持具によって検出器を保持させる。検出器は、異なる方向の放射線を検出するために患者の周囲を移動させ得るが、患者内の異なる箇所からの放射線を検出するために移動させることはない。近視野スキャンの場合、患者内の異なる箇所をサンプリングするために、検出器を移動させる。あらゆる所定の箇所又は箇所の集まりについて、検出器は、各方向の放射線を検出するために、位置を移動させ得る。
ステップ34では、患者のSPECTスキャンで患者内の放射能分布を決定するために、人によって持ち運び可能な検出器(携帯型スキャナ)が用いられる。各時期又は時点について、患者内の放射能が決定される。ステップ30での放射能の決定から数時間又は数日あけて、患者の現在の放射能を決定するために携帯型スキャナが使用される。SPECTスキャンが、放射能をサンプリングするために行われる。
放射線を測定するため、選択された近視野スキャン又は遠視野スキャンが行われる。使用者は、近視野スキャン又は遠視野スキャンに基づいて、患者に対する携帯型スキャナの動き及び/又は位置について指示することができる。患者内の対象となるすべての箇所から放射を検出するため、検出器を上昇、下降、回転、近づける、遠ざける、及び/又は左右に動かすことが可能である。
携帯型の検出器では、SPECT検出器に対するベッドの固定配置が提供されないので、カメラ、ジャイロスコープ、加速度計、他のセンサ、及び/又は、それらの組み合わせを用いて、患者に対する検出器の位置及び方向が決定される。放射線ごとに、患者を通過するLORが決定される。患者に対する検出器の位置及び方向は、カメラ及び/又は他のセンサに基づいて特定される。再構成のために、患者を通るLORの箇所(位置及び方向)が用いられる。LORの箇所は、カメラ及び/又は他のセンサを用いて、画像処理装置によって特定される。近視野スキャン又は遠視野スキャンでの検出器の各位置及び方向について、放射線に関するLORの箇所が、放射線を患者に整合させるように決定される。
画像処理装置は、別々の時点で検出された放射線及び/又は再構成された放射能を整合させるために、カメラ及び/又は他のセンサを用いることができる。同様に、放射線又は再構成された放射能は、例えばカメラ画像と整合させるなど、他の装置の撮像又は座標系と整合させることができる。これに替えて又はこれに加えて、整合は、マルチモーダル再構成のために、推定又は測定された減衰又は解剖学的構造を整合させるために用いることができる。整合は、患者及び/又はスキャナが移動するときの動き補正用でもよい。
画像処理装置は、検出された放射線及びLORから、患者内の放射能の二次元的分布又は三次元的分布を再構成する。再構成では、減衰等、各種の整合させたマルチモーダル情報を用いることができる。ステップ34で放射能分布を再構成するために、ステップ30で実行されるのと同じ再構成又は別の再構成が用いられる。
携帯型の検出器が用いられるため、再構成された放射能分布は、ステップ30でのフルサイズSPECTスキャナにより提供される場合と比較してより低い空間分解能であり得る。放射線を検出するために患者に対して単一方向で遠視野スキャンが用いられる場合、三次元再構成用の深さ分解能は、横方向分解能よりも低下し得る。異なる分解能の放射能分布のために上方又は下方のサンプリングを用いて線量を推定することも可能である。
使用する再構成は、エネルギに基づいて変化し得る。511keV又は別の閾値(例えば、400keVや600keV)以下の放射線で再構成が行われる場合、物理的コリメーションが用いられる。LORは、少なくとも部分的に、例えば多重化コリメータ又はマルチチャンネルコリメータ等、コリメータに基に基づく。エネルギが閾値以上の場合、再構成のためにコンプトンイメージングが行われる。再構成に電子的コリメーションが用いられる。
ステップ32及び34は、繰り返されてもよい。別の時期又は時点の放射能分布が何回か繰り返して測定される。例えば、患者は、日ごと、週ごと、又は他の頻度でスキャンの予約を取る。各予約で、患者をスキャンするために携帯型スキャナが用いられて、各予約について放射能分布が提供される。ステップ30は、繰り返されてもよい。各時点で患者を表現する一連の放射能が提供される。
ステップ36では、画像処理装置又は別の処理装置(プロセッサ)によって、患者の内部線量が推定される。内部線量は、あてはめられた時間放射能曲線として推定される。あるいは、線量は、あてはめられた時間放射能曲線の積分として推定される。
患者内の所定の箇所で、放射能は経時的に変化する。別々の時点の放射能分布の位置を整合させた後、各放射能分布における患者の同じ箇所が同定される。時間放射能曲線は、時系列で(即ち、スキャン時期ごとに)、当該箇所の放射能に対してあてはめられる。一群の箇所の場合は、時間放射能曲線は、各時期又は各時点におけるそれらの箇所の放射能の平均又は合計にあてはめられる。組織の種類又は特定の臓器についての線量を決定することができる。
あてはめは、任意の数の放射能に対するものである。1つの時期の放射能でも用いることができる。より正確な線量の推定のためには、5から10の時期など、2つ以上の時期の放射能を用いることができる。
ステップ38では、ディスプレイに画像が表示される。画像処理装置は、再構成された表現(放射能分布)及び/又は推定された線量のうちの1つ又は複数から画像を生成する。特定の時点の放射能分布を表示するために、二次元表示用の画像が、表現から形成されるか、又はレンダリングされる。画像は、補間、表示値(例えば、カラー)マッピング、フィルタリング、及び/又は、他の画像処理によって形成することができる。ガンマ線放射に関して、画像は放射の空間分布を表すことができる。結果として、患者内の摂取マップを得ることができる。放射能分布は、例えば、ステップ30のスキャンによるCT画像及び/又はステップ34のスキャンに用いられたスキャナによる光学的画像など、別の画像の色分けされたオーバレイとすることができる。画像は、ディスプレイ画面上に表示される。あるいは、画像は印刷又は投影される。
線量を示すために、放射能分布の画像には、線量を示す値又はチャートを加えることができる。あるいは、画像には、放射能分布を示すことなく、線量を示すことができる。
以上、本発明について、様々な実施形態を参照して説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更、修正を行うことができることを理解されたい。従って、上記説明は、本発明を限定するものではなく、例示とみなされるべきである。そして、本発明の技術思想及び範囲は、添付された特許請求の範囲によって定められ、その特許請求の範囲には、全ての均等物が含まれることを理解されたい。