JP7292478B2 - フロアヒンジ - Google Patents
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Description
本発明は、フロアヒンジに関するものである。
従来から、建物の開口部に設置される扉を開口部の閉方向へ付勢した状態で回転可能に床から支持するフロアヒンジが公知である。この種のフロアヒンジは、建物の開口部の床面に埋め込まれて使用されるものであり、扉に接続する床面上に突出した回転軸と、該回転軸を扉が閉方向へ回転するように付勢した状態で回転可能に支持するヒンジケースとを有している。ヒンジケースでは、内部に油が収容されており、その油の流量を調整することにより、扉開放時に圧縮コイルばねに蓄えられた弾性力に基づく回転エネルギーによる回転軸への回転付勢力を調整する機構が設けられている。
なお、従来公知の一般的なフロアヒンジを開示するものとして、例えば、下記特許文献1などが存在している。下記特許文献1に記載されたフロアヒンジの構成は、ヒンジケース(ケーシング)の内室がピストン部材(ピストン)によって遮断された2つの圧力媒体室に分割されており、これらの圧力媒体室が、扉(ドア)の閉鎖で縮小されるべき圧力室から圧力媒体を種々異なった絞り可能に流出させるための通路を備え、さらに、ピストン部材(ピストン)内に配置されて扉(ドア)の閉鎖運動中の過圧で開く安全弁によって互いに接続可能である形式のものである。
しかしながら、上掲した特許文献1に代表される従来公知の一般的なフロアヒンジでは、逆止弁と強制閉鎖弁とを備えるピストン部材(ピストン)とロッド部材(棒)とをピストンピンで連結する構成が採用されていた。このような従来技術の構成には、産業界における恒久的な課題として、部品点数を削減して製造コストの削減を図るという要請が存在していた。
本発明は、上述した従来技術の課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、フロアヒンジを構成する部材の部品点数を削減する構成を提案することで、製造コストの削減を図った新たなフロアヒンジを提供することにある。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照番号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明に係るフロアヒンジ(10)は、作動油が充填される油室(12)を備えるヒンジケース(11)と、前記ヒンジケース(11)の一端側に配置されるとともに扉と連結されて該扉の開閉動作に伴って回転する回転軸(14)と、前記回転軸(14)に固定設置される非円形形状をしたカム部材(15)と、前記カム部材(15)の外周面と摺接可能に配置されるカムフォロワ(16)を備えることで該カム部材(15)の回転運動に伴って前記ヒンジケース(11)内を往復移動するスライドプレート(17)と、前記スライドプレート(17)に接続するロッド部材(18)と、前記ロッド部材(18)における前記スライドプレート(17)接続側とは逆側の端部に接続固定手段(20)による螺着によって設置され、前記油室(12)を第1の油室(12a)と第2の油室(12b)に2分割するとともに前記油室(12)内で往復移動自在に設置されるピストン部材(19)と、前記ロッド部材(18)における前記ピストン部材(19)の設置側に接続ピン(41)によって設置されるストッパ部材(40)と、前記油室(12)を形成する前記ヒンジケース(11)の内壁面に形成されたストッパ形状部(11a)と前記ストッパ部材(40)との間に配置され、前記ストッパ部材(40)に接触することで、前記ストッパ部材(40)に対して常時一定方向の付勢力を及ぼす圧縮コイルばね(31)と、前記ピストン部材(19)の往復移動に伴う前記第1の油室(12a)および前記第2の油室(12b)間での作動油の移動油量を調整することによって前記ピストン部材(19)の移動速度を制御し、もって前記扉の開扉速度又は閉扉速度を制御する制御機構部(11b、11c、11d、20)と、を備えることを特徴とするものである。
また、本発明に係るフロアヒンジ(10)においては、前記ヒンジケース(11)の内部は空洞となっており、前記ヒンジケース(11)の前記ピストン部材(19)側において該空洞は開放部によって開放されており、前記開放部を埋栓部材(13)で塞ぐことで前記油室(12)が形成される構成であり、前記接続固定手段(20)は、前記開放部側から前記ロッド部材(18)の端部に螺入する際に、前記接続固定手段(20)と前記ロッド部材(18)の端部とで前記ピストン部材(19)を挟み込むことで、前記ロッド部材(18)と前記ピストン部材(19)とが接続固定される構成としてもよい。
本発明によれば、フロアヒンジを構成する部材の部品点数を削減することができるので、製造コストの削減を図った新たなフロアヒンジを提供することができる。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
まず、図1~図3を用いて、本実施形態に係るフロアヒンジ10の具体的な構成を説明する。ここで、図1は、本実施形態に係るフロアヒンジの外観形状を示す図であり、図中の分図(a)はフロアヒンジの上面視を示し、分図(b)は側面視を示している。また、図2は、本実施形態に係るフロアヒンジの具体的な構成を説明するための図であり、図中の分図(a)は図1におけるA-A断面を示し、分図(b)は図1におけるB-B断面を示している。なお、図2は、扉が全閉状態のときのフロアヒンジ10の様子を示した図である。さらに、図3は、本実施形態に係るフロアヒンジ10を構成する部材の一部を示した図であり、図中の分図(a)は図2の分図(a)に対応しており、図中の分図(b)は図2の分図(b)に対応している。
本実施形態に係るフロアヒンジ10は、作動油が充填される油室12を備えるヒンジケース11を有して構成されている。このヒンジケース11は、概略直方体形状から成る外観形状を有する部材である。ヒンジケース11の内部は作動油が充填される油室12として空洞となっており、図2における紙面右側の面には当該空洞を開放する開放部が形成されている。この開放部は、埋栓部材13によって塞がれており、空洞を閉じることによって油室12が形成されている。
ヒンジケース11の一端側(図1および図2における紙面左側)には、不図示の扉と連結されて該扉の開閉動作に伴って回転する回転軸14が回転自在な状態で配置されている。この回転軸14の略軸中央部には、非円形形状である略ハート形状をしたカム部材15が固定設置されている(図2参照)。
カム部材15の配置位置に対して図2における紙面左側の位置には、カムフォロワ16が配置されており、このカムフォロワ16はスライドプレート17に対して外輪が回転自在な状態で固定設置されている。カムフォロワ16は、カム部材15の外周面と摺接可能に配置されているので、不図示の扉が開閉動作を行うと、回転軸14とともに略ハート形状をしたカム部材15が回転し、カム部材15の外周面に摺接した状態を常時維持しながらカム部材15の外周面に沿ってカムフォロワ16の外輪が回転する。つまり、カム部材15が有する略ハート形状をしたカム形状の作用によって、カムフォロワ16とこのカムフォロワ16が固定設置されたスライドプレート17は、ヒンジケース11内を図2における紙面左右方向に向けて往復移動するように構成されている。
また、スライドプレート17には、ロッド部材18が接続されている。このロッド部材18は、スライドプレート17におけるカムフォロワ16設置側とは逆側に配置されており、図2中の分図(a)で示されたA-A断面視において、カム部材15がカムフォロワ16とロッド部材18との間に位置するように配置されている。
このロッド部材18におけるスライドプレート17接続側とは逆側の端部には、ピストン部材19が設置されている。このピストン部材19は、ヒンジケース11の内部に形成された油室12を第1の油室である作動油室12aと第2の油室である圧油室12bに2分割する機能を発揮する部材である。上述したように、不図示の扉が開閉動作を行うと、スライドプレート17はヒンジケース11内を図2における紙面左右方向に向けて往復移動するので、スライドプレート17に取り付けられたロッド部材18とピストン部材19についても、油室12内を図2における紙面左右方向に向けて往復移動することとなる。そして、図2に示すような扉が全閉状態の場合、ピストン部材19は第2の油室である圧油室12bが最も狭くなる位置に配置されるとともに、第1の油室である作動油室12aが最も広くなる位置に配置されることとなる。また、不図示の扉が全閉状態から開扉動作を行って開扉角度が大きくなるにしたがって、ピストン部材19は第2の油室である圧油室12bを広げる方向に移動するとともに、第1の油室である作動油室12aを狭める方向に移動することとなる。
また、本実施形態に係るピストン部材19には、逆止弁と強制閉鎖弁という2つの機能を1部材で持ち合わせた弁部材20が設置されている。弁部材20は、第1の油室である作動油室12aから第2の油室である圧油室12bに対して作動油が流入することを許容する一方で、逆の作動油の流れを停止する逆止弁の機能を有した弁体である。したがって、不図示の扉が図2で示す全閉状態から開扉動作を行ってピストン部材19が油室12内を図2における紙面右側から左側に向けて移動するときに、弁部材20は、第1の油室である作動油室12aから第2の油室である圧油室12bに対して作動油が流入することを許容することで、ピストン部材19が油室12内を移動することを阻害しないように構成している。一方、不図示の扉が開扉状態から図2で示す全閉状態へと閉扉動作を行うときには、ピストン部材19が油室12内を図2における紙面左側から右側に向けて移動するが、このときには、弁部材20は作動油の流通を許可しない。
また、弁部材20が有する強制閉鎖弁としての機能は、後述する制御機構部が機能しないときなど、油室12内の作動油に対して異常な油圧が生じたときに稼働する機能であり、本実施形態に係るフロアヒンジ10において安全装置的な機能を発揮することもできるようになっている。
ここで、図4を参照図面に加えて、本実施形態に係る弁部材20の具体的な構成を説明する。図4は、本実施形態に係る弁部材を示す断面図であって、図中の分図(a)は閉扉動作において逆止弁の機能を有する弁部材が閉じた状態を示し、分図(b)は開扉動作時において逆止弁の機能を有する弁部材が開いた状態を示している。
本実施形態に係る弁部材20は、断面略T字形をした弁座23を有している。この弁座23は、略T字形の縦棒の中心を貫通するように貫通孔23aを有しており、この貫通孔23aには、これまた断面略T字形をした弁体22が挿入設置されている。弁体22には、Oリング24が設置されており、弁体22が貫通孔23aを塞ぐように設置される際に、Oリング24が弁座23と弁体22との間で貫通孔23aを閉鎖して、弁座23と弁体22との間での作動油の流通を阻害するように構成されている。
弁体22についても、略T字形の縦棒の中心を貫通するように内側通路27が形成されている。この内側通路27は、弁体22を貫通するように形成されている。また、弁体22には、内側通路27の貫通方向に直交する方向に側孔25が形成されており、内側通路27だけでなく、この側孔25からも作動油が流通できるように構成されている。また、内側通路27の内部形状は、内径が広い部分と狭い部分とで構成されており、内径が広い部分には、安全弁29とコイルばね28が配置されている。コイルばね28は、弁体22に設置されたストッパピン26によって一方側の端部を固定され、他方側の端部を安全弁29の頭で挟み込まれた状態で設置されている。したがって、コイルばね28は、内側通路27の内部で安全弁29に対して常時ばねの弾性力を及ぼしており、常には、安全弁29がコイルばね28によって押圧され、安全弁29の頭が内側通路27における内径の狭くなる箇所を押すことで、内側通路27を閉鎖するように構成されている。また、弁体22に設置されたストッパピン26は、弁体22の可動範囲を規制する部材としても用いられており、弁座23が有する貫通孔23a内を移動する弁体22の抜け止めとしての機能を有している。
本実施形態に係る弁部材20は、以上説明した構成を備えることから、ピストン部材19が第2の油室である圧油室12bを狭くする方向に動く閉扉動作時には、図4中の分図(a)のように、弁体22が第2の油室である圧油室12b側の油圧を受けて弁座23に対して相対的に第1の油室である作動油室12a側に移動した状態にあり、Oリング24が弁座23の端面に当接して側孔25は閉じた状態になる。ピストン部材19が第1の油室である作動油室12a側に動く開扉動作時には、図4中の分図(b)のように、弁体22が第1の油室である作動油室12a側の油圧を受けて弁座23に対して相対的に第2の油室である圧油室12b側に移動した状態にあり、弁体22のストッパピン26が弁座23の端面に当接し、Oリング24が弁座23の端面から第2の油室である圧油室12b側に離れて側孔25は開いた状態となり、弁体22の内側通路27から側孔25を通って第1の油室である作動油室12a側の作動油が第2の油室である圧油室12b側へと流れることができる。すなわち、弁体22の内側通路27と側孔25が、第1の油室である作動油室12aと第2の油室である圧油室12bとを連通する連通孔を構成することになる。なお、弁体22の内側通路27は弁体22における第1の油室である作動油室12a側の端面のみならず第2の油室である圧油室12b側の端面にも開口しているが、該圧油室12b側の開口部は常にはコイルばね28によって圧油室12b側に押圧付勢されている安全弁29によって閉鎖されており、扉が外力によって強制的に閉じられて第2の油室である圧油室12b側の油圧が急激に高くなった場合には、高くなった圧油室12bの油圧によって安全弁29がコイルばね28の付勢力に抗してコイルばね28を圧縮させつつ作動油室12a方向に移動して内側通路27における圧油室12b側の開口部を開けることとなる。
さて、以上のような構成と動作を有する弁部材20であるが、本実施形態に係る弁部材20は、取付方法についても特徴を有している。すなわち、本実施形態に係る弁部材20は、断面略T字形状をした弁座23の略T字形の縦棒の外周面にねじ溝23bが形成されている。そして、このねじ溝23bは、図3に示すように、ロッド部材18におけるピストン部材19設置側の軸端部に形成されたねじ孔18aに螺入できるように構成されている。そして、弁部材20をロッド部材18に螺入接合する際には、ロッド部材18の軸端部と弁部材20とでピストン部材19を挟み込むことで、ロッド部材18に対するピストン部材19の固定を行うことができる。つまり、本実施形態に係る弁部材20は、逆止弁と強制閉鎖弁という2つの機能を1部材で有するだけでなく、ロッド部材18とピストン部材19との接続固定手段としての機能をも兼用できる部材となっている。かかる構成は、従来技術に比べてフロアヒンジ10を構成する部材の部品点数の削減につながるものであり、製造コストの削減効果と組立性の向上効果を実現するものである。
また、図2に示すように、ヒンジケース11には、弁部材20といった機構部材の他に、第2の油室である圧油室12bと第1の油室である作動油室12aとを接続する1速流路11bや2速流路11c、第2の油室である圧油室12bと第1の油室である作動油室12aとを接続する1速流路11bとは別の独自の流路であるDA流路11dなどが形成されている。これらの機構部材や流路によって、本実施形態に係る制御機構部が形成されており、ピストン部材19の往復移動に伴う第1の油室である作動油室12aおよび第2の油室である圧油室12b間での作動油の移動油量を調整することによってピストン部材19の移動速度を制御し、もって扉の開扉速度又は閉扉速度を制御することができるようになっている。
ここで、油室12を形成するヒンジケース11の内壁面には、ストッパ形状部11aが形成されている(図2中の分図(b)参照)。このストッパ形状部11aは、スライドプレート17とロッド部材18との接続位置から僅かにピストン部材19側に離れた位置に形成されている。そして、このストッパ形状部11aとピストン部材19との間には、ピストン部材19に対して常時一定方向の付勢力を及ぼす圧縮コイルばね31が配置されている。すなわち、本実施形態に係る圧縮コイルばね31は、扉が全閉状態のときには、図2における紙面左側のコイル端部をストッパ形状部11aに当接しており、また、図2における紙面右側のコイル端部をピストン部材19に当接しているので、ピストン部材19を図2における紙面右方向に向けて常時押圧するように構成されている。この圧縮コイルばね31によって及ぼされる付勢力の方向は、不図示の扉が全閉状態から開扉動作を行うに際して当該開扉動作に対して負荷を与える方向となっており、不図示の扉に対して常時一定の力を及ぼす機構となっている。
ここで、本実施形態では、圧縮コイルばね31を設置するための構成として、圧縮コイルばね31の端部と接触する部材の断面形状が、圧縮コイルばね31が及ぼす付勢力の方向に対して傾斜した斜面形状又は曲面形状を有しているという特徴を備えている。その特徴について、図3を参照して具体的に説明する。
まず、本実施形態では、ロッド部材18におけるピストン部材19設置側で圧縮コイルばね31の端部と接触する部材が、円錐台形状部40aを備えたストッパ部材40として構成されている。このストッパ部材40は、接続ピン41を介してロッド部材18の軸端部に固定設置されており、ストッパ部材40が有する円錐台形状部40aの一部が圧縮コイルばね31の内周部に挿入されることで、円錐台形状部40aの表面の傾斜した斜面がコイル状の圧縮コイルばね31に対して調芯作用を及ぼすことでロッド部材18の軸中心と圧縮コイルばね31の付勢方向を概略揃え、圧縮コイルばね31の位置決めを行うことを実現している。
一方、本実施形態では、ロッド部材18における反ピストン部材設置側で圧縮コイルばね31の端部と接触する部材が、R形状部18bを備える構成が採用されている。このR形状部18bは、ロッド部材18におけるスライドプレート17との設置側の軸端部側に設けられた形状であり、当該R形状部18bの一部が圧縮コイルばね31の内周部に挿入されることで、圧縮コイルばね31の位置決めがなされる構成となっている。なお、このR形状部18bについては、本実施形態に係るフロアヒンジ10が完成して稼働する際には圧縮コイルばね31と接触することは無く、フロアヒンジ10の組立ての際に圧縮コイルばね31をロッド部材18の軸心に対して調芯させる機能を発揮できる点において有用である。
上述した本実施形態の構成は、圧縮コイルばね31の端部と、当該圧縮コイルばね31の端部と接触する部材(ストッパ部材40の円錐台形状部40a、ロッド部材18のR形状部18b)とが、線接触するように構成されているということができる。このような構成を備えることで、ピストン部材19の軸心から圧縮コイルばね31がずれてしまう現象が生じることの無い構成を実現できるので、圧縮コイルばね31が安定して弾性力を生じさせることができるようにしたフロアヒンジ10を提供することができる。また、本実施形態に係るフロアヒンジ10が前記構成を備えることで、組立性に優れたフロアヒンジ10を提供することが可能となっている。
特に、従来技術では、ピストン部材がロッド部材に対して接続ピンにより直接接続され、ロッド部材に対して揺動可能な状態で圧縮コイルばねからの弾性力を受ける構成であったため、フロアヒンジの組み立ての際にピストン部材がずれてしまい、容易に組み立てることができないといった不具合が生じていた。しかし、本実施形態では、圧縮コイルばね31が接触する部材をピストン部材19とは別体のストッパ部材40とし、かつ、ロッド部材18に対するピストン部材19の取り付けが弁部材20により行われているので、組み立ての際にピストン部材19がずれることが無く、組み立てが容易なフロアヒンジ10が実現されている。
以上、本実施形態に係るフロアヒンジ10の具体的な構成を説明した。次に、図5~図10を参照図面に加えて、本実施形態に係るフロアヒンジ10の動作説明を行う。ここで、図5~図10は、本実施形態に係るフロアヒンジの動作説明を行うための図であり、特に、図5は扉が全開状態のときのフロアヒンジを示しており、図6は不図示の扉が95度の開扉角度まで閉扉動作を行った途中の状態のときのフロアヒンジを示しており、図7は不図示の扉が90度の開扉角度まで閉扉動作を行った途中の状態のときのフロアヒンジを示しており、図8は不図示の扉が74度の開扉角度まで閉扉動作を行ってDAモードが終了して1速モードが開始される状態のときのフロアヒンジを示しており、図9は不図示の扉が15度の開扉角度まで閉扉動作を行って1速モードが終了して2速モードが開始される状態のときのフロアヒンジを示しており、図10は不図示の扉が全閉扉角度まで閉扉動作を行った状態のときのフロアヒンジを示している。
まず、不図示の扉が全開状態にあるとき、本実施形態に係るフロアヒンジ10では、ピストン部材19は第2の油室である圧油室12bが最も広くなる位置に配置されるとともに、第1の油室である作動油室12aが最も狭くなる位置に配置されている。このとき、圧縮コイルばね31は最も圧縮された状態となっているが、圧縮コイルばね31の一端側(図5における紙面右側)はストッパ部材40の円錐台形状部40aによって線接触で保持されているので、調芯作用による位置決め効果によって、圧縮コイルばね31が位置ずれや座屈を起こしたりすることが無い。
図5の状態から不図示の扉の閉扉動作を続けると、図6、図7、図8で示すように、略ハート形状をしたカム部材15の形状作用によってロッド部材18やピストン部材19等が図6乃至図8における紙面右側に移動する。このとき、弁部材20は、第2の油室である圧油室12bから第1の油室である作動油室12aに対して作動油が流入することを許容ぜず、作動油の流通はDA流路11dによって行われる。したがって、不図示の扉が全開状態の図5から、不図示の扉が74度の開扉角度まで閉扉動作を行ってDAモードが終了して1速モードが開始される状態の図8までの間は、不図示の扉がゆっくりと閉まるDA(ディレイドアクション)モードが実行されることとなる。
その後、図8から図9で示した状態までは、1速流路11bが作動油を流通させることで不図示の扉を早めに動作させ、さらに、図9から図10で示した全閉状態まではゆっくり確実に不図示の扉を動作させて扉の確実な閉扉状態を実現するための2速流路11cを利用した閉扉動作が実行される。図5~図10を用いて説明した動作状態のいずれにおいても、本実施形態に係るフロアヒンジ10では、圧縮コイルばね31の端部と、当該圧縮コイルばね31の端部と接触するストッパ部材40の円錐台形状部40aとが線接触するように構成されているので、ピストン部材19の軸心から圧縮コイルばね31がずれてしまう現象が生じることが無く、安定した動作を実行することが可能となっている。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10 フロアヒンジ、11 ヒンジケース、11a ストッパ形状部、11b 1速流路(制御機構部の一部)、11c 2速流路(制御機構部の一部)、11d DA流路(制御機構部の一部)、12 油室、12a 作動油室(第1の油室)、12b 圧油室(第2の油室)、13 埋栓部材、14 回転軸、15 カム部材、16 カムフォロワ、17 スライドプレート、18 ロッド部材(圧縮コイルばねの端部と接触する部材)、18a ねじ孔、18b R形状部(曲面形状)、19 ピストン部材、20 弁部材(制御機構部の一部)、22 弁体、23 弁座、23a 貫通孔、23b ねじ溝、24 Oリング、25 側孔、26 ストッパピン、27 内側通路、28 コイルばね、29 安全弁、31 圧縮コイルばね、40 ストッパ部材(圧縮コイルばねの端部と接触する部材)、40a 円錐台形状部(斜面形状)、41 接続ピン。
Claims (2)
- 作動油が充填される油室を備えるヒンジケースと、
前記ヒンジケースの一端側に配置されるとともに扉と連結されて該扉の開閉動作に伴って回転する回転軸と、
前記回転軸に固定設置される非円形形状をしたカム部材と、
前記カム部材の外周面と摺接可能に配置されるカムフォロワを備えることで該カム部材の回転運動に伴って前記ヒンジケース内を往復移動するスライドプレートと、
前記スライドプレートに接続するロッド部材と、
前記ロッド部材における前記スライドプレート接続側とは逆側の端部に接続固定手段による螺着によって設置され、前記油室を第1の油室と第2の油室に2分割するとともに前記油室内で往復移動自在に設置されるピストン部材と、
前記ロッド部材における前記ピストン部材の設置側に接続ピンによって設置されるストッパ部材と、
前記油室を形成する前記ヒンジケースの内壁面に形成されたストッパ形状部と前記ストッパ部材との間に配置され、前記ストッパ部材に接触することで、前記ストッパ部材に対して常時一定方向の付勢力を及ぼす圧縮コイルばねと、
前記ピストン部材の往復移動に伴う前記第1の油室および前記第2の油室間での作動油の移動油量を調整することによって前記ピストン部材の移動速度を制御し、もって前記扉の開扉速度又は閉扉速度を制御する制御機構部と、
を備えることを特徴とするフロアヒンジ。 - 前記ヒンジケースの内部は空洞となっており、前記ヒンジケースの前記ピストン部材側において該空洞は開放部によって開放されており、前記開放部を埋栓部材で塞ぐことで前記油室が形成される構成であり、
前記接続固定手段は、前記開放部側から前記ロッド部材の端部に螺入する際に、前記接続固定手段と前記ロッド部材の端部とで前記ピストン部材を挟み込むことで、前記ロッド部材と前記ピストン部材とが接続固定されることを特徴とする請求項1に記載のフロアヒンジ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022113578A JP7292478B2 (ja) | 2018-11-08 | 2022-07-15 | フロアヒンジ |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018210303A JP7109342B2 (ja) | 2018-11-08 | 2018-11-08 | フロアヒンジ |
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