JP7292285B2 - 表面プラズモン共鳴蛍光分析装置及び表面プラズモン共鳴蛍光分析方法 - Google Patents

表面プラズモン共鳴蛍光分析装置及び表面プラズモン共鳴蛍光分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面プラズモン共鳴蛍光分析装置及び表面プラズモン共鳴蛍光分析方法に関する。
臨床検査などにおいて、タンパク質やDNAなどの微量の被検出物質を高感度かつ定量的に検出することができれば、患者の状態を迅速に把握して治療を行うことが可能となる。このため、微量の被検出物質を高感度かつ定量的に検出できる分析方法及び分析装置が求められている。
被検出物質を高感度に検出できる方法として、表面プラズモン共鳴蛍光分析(表面プラズモン励起増強蛍光分光法(Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy):以下「SPFS」と略記する)が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1、2には、SPFSを利用する分析方法及び分析装置が開示されている。これらの分析方法及び分析装置では、誘電体からなるプリズムと、プリズムの一面上に形成された金属膜と、金属膜上に固定された捕捉体(例えば抗体)と、を有するセンサーチップを使用する。金属膜上に被検出物質を含む検体を提供すると、被検出物質が捕捉体により捕捉される(1次反応)。捕捉された被検出物質は、さらに蛍光物質で標識される(2次反応)。この状態で、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)が生じる角度で励起光を、プリズムを介して金属膜に照射すると、金属膜表面上に局在場光を発生させることができる。この局在場光により、金属膜上に捕捉された被検出物質を標識する蛍光物質が選択的に励起され、蛍光物質から放出された蛍光が観察される。これらの分析方法及び分析装置では、蛍光を検出して、被検出物質の存在又はその量を検出する。
SPFSを利用する分析方法及び分析装置では、検出感度及び検出精度を十分に向上させるために、蛍光強度が最大となるように金属膜に対する励起光の入射角を設定する必要がある。
特許文献1、2に記載の分析方法及び分析装置では、励起光と同じ波長を有し、SPRにより発生する散乱光(以下「プラズモン散乱光」という)の強度が最大となるときの入射角(以下「増強角」という)で励起光を照射している。
増強角は、測定の度に行われる増強角スキャンにより算出される。増強角スキャンは、ブランク測定及びシグナル測定時の投光角度(増強角)を決定するために行う測定であり、投光角度を走査して角度ごとのプラズモン散乱光の強度を測定し、強度のピークを取る角度を増強角として算出する。具体的には、まず、バンドパスフィルター(BPF)を切り替えて、プラズモン散乱光の測定を可能とする。次に、投光角度(約10°)を等間隔に移動させ、停止位置(30点)でプラズモン散乱光を測定する。そして、関数フィッティング(ピーク付近の7点を4次関数近似)により、ピーク角度を算出する。
WO2011/152064号 WO2015/119154号
しかしながら、従来技術のような多処理装置では、測定時間の短縮が要求されるが、増強角スキャンにおける各測定点(30点)において、それぞれ移動、安定待ち、測定の工程が生じるうえ、復路駆動にも時間を要するため、およそ20~30秒の時間が掛かっていた。これは、ブランク測定やシグナル測定の時間(ともに約2.5秒)と比べても、大きな時間を占めており、測定が長時間となる要因となっていた。
そこで、測定点数を従来の30点から15点程度に減らすことで、測定時間を短縮することはできる。しかしながら、増強角スキャンによるピーク角度の算出精度は、検体検査用の本測定の測定精度に影響するため、非常に要求が高い(±0.1°)という課題がある。測定時間の短縮を目的として、測定点数を従来の30点から15点程度に減らした場合、要求される測定精度を満たすことができないという課題がある。
本発明は、増強角スキャンにおける測定時間を短縮しつつ、測定精度を向上させることが可能な表面プラズモン共鳴蛍光分析装置及び表面プラズモン共鳴蛍光分析方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
金属膜を一面に有する誘電体を含む分析チップが装着され、光源から前記誘電体を介して前記金属膜に励起光を照射することで、前記金属膜上の被検出物質を標識する蛍光物質を励起させ、前記蛍光物質から放出された蛍光を検出することで、前記被検出物質の存在又はその量を検出する表面プラズモン共鳴蛍光分析装置であって、
前記誘電体を介して前記金属膜に前記励起光を照射するとともに、前記金属膜上から出射されたプラズモン散乱光の強度を検出して、前記プラズモン散乱光の強度が最大となるときの入射角である増強角を決定する増強角決定部と、
前記金属膜に対する入射角が前記増強角となるように、前記誘電体を介して前記金属膜に前記励起光を照射するとともに、前記蛍光物質から放出された蛍光の強度を検出する蛍光強度検出部と、
を備え、
前記増強角決定部は、
前記金属膜に所定の角度範囲を第1の角度間隔で前記励起光を照射して走査するとともに、前記プラズモン散乱光の強度を検出して、前記増強角を推定する先行走査部と、
前記先行走査部により推定された増強角の周辺範囲を、前記第1の角度間隔よりも狭い第2の角度間隔で前記励起光を照射して走査するとともに、前記プラズモン散乱光の強度を検出して、前記増強角を決定する本走査部と、
を備え
前記プラズモン散乱光の強度の1点当たりの検出時間は、前記本走査部よりも前記先行走査部の方が短いことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の表面プラズモン共鳴蛍光分析装置において、
前記先行走査部は、待機位置から前記光源の移動を開始して、前記所定の角度範囲を前記第1の角度間隔で前記励起光を照射して走査し、
前記本走査部は、前記先行走査部による走査の終点から前記待機位置に向けて前記光源の移動を開始して、前記先行走査部により推定された増強角の周辺範囲を前記第2の角度間隔で前記励起光を照射して走査することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の表面プラズモン共鳴蛍光分析装置において、
前記先行走査部は、待機位置の前記光源の移動方向反対側の所定位置から前記待機位置に向けて前記光源の移動を開始して、前記所定の角度範囲を前記第1の角度間隔で前記励起光を照射して走査し、
前記本走査部は、前記待機位置から前記光源の移動を開始して、前記先行走査部により推定された増強角の周辺範囲を前記第2の角度間隔で前記励起光を照射して走査することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴蛍光分析装置において、
前記先行走査部は、前記光源の移動を停止することなく、前記金属膜に前記所定の角度範囲を前記第1の角度間隔で前記励起光を照射して走査することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、
被検出物質を標識する蛍光物質が、表面プラズモン共鳴に基づく局在場光により励起されて発した蛍光を検出して、前記被検出物質の存在又はその量を検出する表面プラズモン共鳴蛍光分析方法であって、
前記被検出物質を、誘電体の一面上に配置された金属膜上に配置する配置工程と、
前記誘電体を介して前記金属膜に励起光を照射するとともに、前記金属膜上から出射されたプラズモン散乱光の強度を検出して、前記プラズモン散乱光の強度が最大となるときの入射角である増強角を決定する増強角決定工程と、
前記金属膜に対する入射角が前記増強角となるように、前記誘電体を介して前記金属膜に前記励起光を照射するとともに、前記蛍光物質から放出された蛍光の強度を検出する蛍光強度検出工程と、
を含み、
前記増強角決定工程は、
前記金属膜に所定の角度範囲を第1の角度間隔で前記励起光を照射して走査するとともに、前記プラズモン散乱光の強度を検出して、前記増強角を推定する先行走査工程と、
前記先行走査工程で推定された増強角の周辺範囲を、前記第1の角度間隔よりも狭い第2の角度間隔で前記励起光を照射して走査するとともに、前記プラズモン散乱光の強度を検出して、前記増強角を決定する本走査工程と、
を含み、
前記プラズモン散乱光の強度の1点当たりの検出時間は、前記本走査工程よりも前記先行走査工程の方が短いことを特徴とする。
本発明によれば、増強角スキャンにおける測定時間を短縮しつつ、測定精度を向上させることができる。
本実施形態に係るSPFS装置の構成を示す模式図である。 本実施形態に係るSPFS装置の動作手順の一例を示すフローチャートである。 増強角の測定時の動作手順の一例を示すフローチャートである。 プラズモン散乱光の検出を説明するための図である。 蛍光の検出を説明するための図である。 測定時間と測定点数の関係を示す図である。 測定点数が15点の場合のプラズモン散乱光のピーク位置算出時の関数近似のイメージ図である。 測定点数が20点の場合のプラズモン散乱光のピーク位置算出時の関数近似のイメージ図である。 測定点数が25点の場合のプラズモン散乱光のピーク位置算出時の関数近似のイメージ図である。 測定点数が30点の場合のプラズモン散乱光のピーク位置算出時の関数近似のイメージ図である。 実施例1におけるピーク位置のばらつきの一例を示す図である。 実施例1におけるピーク位置の平均値の誤差の一例を示す図である。 実施例1におけるピーク位置の誤差の合計値の一例を示す図である。 実施例2におけるピーク位置のばらつきの一例を示す図である。 実施例2におけるピーク位置の平均値の誤差の一例を示す図である。 実施例2におけるピーク位置の誤差の合計値の一例を示す図である。 実施例3におけるピーク位置のばらつきの一例を示す図である。 実施例3におけるピーク位置の平均値の誤差の一例を示す図である。 実施例4におけるピーク位置のばらつきの一例を示す図である。 実施例4におけるピーク位置の平均値の誤差の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(SPFS装置の構成)
まず、本発明の実施形態に係る表面プラズモン共鳴蛍光分析装置(以下「SPFS装置」ともいう)について説明する。
SPFS装置は、誘電体と、誘電体の一面に形成された金属膜と、を有する分析チップが装着された状態で使用される。金属膜上に被検出物質を含む検体を提供すると、被検出物質が捕捉体により捕捉される。このとき、被検出物質は蛍光物質で標識されていてもよいし、標識されていなくてもよい。捕捉された被検出物質が蛍光物質で標識されていない場合は、捕捉された被検出物質は、さらに蛍光物質で標識される。この状態で、表面に金属膜を有するプリズムに対して全反射条件となるように励起光を照射する。これにより、励起光及び金属膜中の自由電子の相互作用(表面プラズモン共鳴)が生じ、局在場光が発生する。一般にこの局在場光は、「増強電場」又は「増強されたエバネッセント光」とも呼ばれ、金属膜の表面近傍の物理量変動を測定することが可能である。この局在場光により、金属膜上に捕捉された被検出物質を標識する蛍光物質が選択的に励起され、蛍光物質から放出された蛍光が観察される。SPFS装置は、蛍光の光量を測定して、被検出物質の存在又はその量を検出する。
SPFS装置100は、図1に示すように、分析チップ10を着脱可能に保持するためのチップホルダー12と、分析チップ10に励起光αを照射するための励起光学系ユニット120と、分析チップ10から放出された光(プラズモン散乱光β及び蛍光γ)を検出するための受光光学系ユニット140と、これらを制御する制御部160と、を有する。SPFS装置100は、チップホルダー12に分析チップ10を装着した状態で使用される。そこで、分析チップ10について先に説明し、その後にSPFS装置100の各構成要素について説明する。
分析チップ10は、入射面21、成膜面22及び出射面23を有する誘電体20と、成膜面22に形成された金属膜30と、成膜面22又は金属膜30上に配置された流路蓋40と、を有する。通常、分析チップ10は、分析のたびに交換される。
誘電体20は、励起光αに対して透明な部材(プリズム)からなる。誘電体20は、入射面21、成膜面22及び出射面23を有する。入射面21は、励起光学系ユニット120からの励起光αを誘電体20の内部に入射させる。成膜面22の上には、金属膜30が形成される。誘電体20の内部に入射した励起光αは、金属膜30で反射する。より具体的には、誘電体20と金属膜30との界面(成膜面22)で反射する。出射面23は、金属膜30で反射した励起光αを誘電体20の外部に出射させる。誘電体20の形状は、特に限定されない。本実施形態では、誘電体20の形状は、台形を底面とする柱体である。台形の一方の底辺に対応する面が成膜面22であり、一方の脚に対応する面が入射面21であり、他方の脚に対応する面が出射面23である。底面となる台形は、等脚台形であることが好ましい。これにより、入射面21と出射面23とが対称になり、励起光αのS波成分が誘電体20内に滞留しにくくなる。入射面21は、励起光αが励起光学系ユニット120に戻らないように形成される。励起光αが励起光源であるレーザーダイオードに戻ると、レーザーダイオードの励起状態が乱れてしまい、励起光αの波長や出力が変動してしまうからである。そこで、理想的な増強角を中心とする走査範囲において、励起光αが入射面21に垂直に入射しないように、入射面21の角度が設定される。例えば、入射面21と成膜面22との角度及び成膜面22と出射面23との角度は、いずれも約80°である。誘電体20の材料の例には、樹脂及びガラスが含まれる。誘電体20の材料は、好ましくは、屈折率が1.4~1.6であり、かつ複屈折が小さい樹脂である。
金属膜30は、誘電体20の成膜面22上に形成されている。金属膜30を設けることで、成膜面22に全反射条件で入射した励起光αの光子と、金属膜30中の自由電子との間で相互作用(表面プラズモン共鳴;SPR)が生じ、金属膜30の表面上に局在場光を生じさせることができる。金属膜30の素材は、表面プラズモン共鳴を生じさせる金属であれば特に限定されない。金属膜30の素材の例には、金、銀、銅、アルミ、これらの合金が含まれる。本実施の形態では、金属膜30は、金薄膜である。金属膜30の形成方法は、特に限定されない。金属膜30の形成方法の例には、スパッタリング、蒸着、メッキが含まれる。金属膜30の厚みは、特に限定されないが、30~70nmの範囲内が好ましい。
また、特に図示しないが、金属膜30の誘電体20と対向しない面には、被検出物質を捕捉するための捕捉体が固定されていてもよい。捕捉体を固定することで、被検出物質を選択的に検出することが可能となる。本実施の形態では、金属膜30上の所定の領域に、捕捉体が均一に固定されている。捕捉体の種類は、被検出物質を捕捉することができれば特に限定されない。例えば、捕捉体は、被検出物質に特異的な抗体又はその断片である。
流路蓋40は、金属膜30の誘電体20と対向しない面上に、流路41を挟んで配置されている。金属膜30が誘電体20の成膜面22の一部にのみ形成されている場合は、流路蓋40は、流路41を挟んで成膜面22上に配置されていてもよい。流路蓋40は、金属膜30(及び誘電体20)とともに、検体や蛍光標識液、洗浄液などの液体が流れる流路41を形成する。捕捉体は、流路41内に露出している。流路41の両端は、流路蓋40の上面に形成された注入口及び排出口(いずれも図示省略)とそれぞれ接続されている。流路41内へ液体が注入されると、流路41内において、これらの液体は捕捉体に接触する。流路蓋40は、金属膜30の誘電体20と対向しない面及びその近傍から放出された光(プラズモン散乱光β及び蛍光γ)に対して透明な材料からなる。流路蓋40の材料の例には、樹脂が含まれる。これらの光を受光光学系ユニット140に導くことができれば、流路蓋40の一部は、不透明な材料で形成されていてもよい。流路蓋40は、例えば、両面テープ又は接着剤による接着や、レーザー溶着、超音波溶着、クランプ部材を用いた圧着などにより金属膜30又は誘電体20に接合されている。
図1に示されるように、誘電体20へ導かれた励起光αは、入射面21から誘電体20内に入射する。誘電体20内に入射した励起光αは、誘電体20と金属膜30との界面(成膜面22)に全反射角度(表面プラズモン共鳴が生じる角度)となるように入射する。界面からの反射光は、出射面23から誘電体20外に出射される(図示省略)。一方、表面プラズモン共鳴が生じる角度で励起光αが界面に入射することで、金属膜30及びその近傍からは、プラズモン散乱光β及び/又は蛍光γが、受光光学系ユニット140の方向へ出射される。
次に、SPFS装置100の各構成要素について説明する。前述のとおり、SPFS装置100は、チップホルダー12、励起光学系ユニット120、受光光学系ユニット140及び制御部160を有する。
チップホルダー12は、所定の位置で分析チップ10を保持する。分析チップ10は、チップホルダー12に保持された状態で、励起光学系ユニット120からの励起光αを照射される。このとき、金属膜30の誘電体20と対向しない面及びその近傍からは、励起光αと同一波長のプラズモン散乱光βや蛍光物質から放出された蛍光γなどが上方に放出される。また、励起光αは、誘電体20と金属膜30との界面で反射して、誘電体20の外部に出射される(図示省略)。
励起光学系ユニット120は、励起光αを出射する光源ユニット(光源)121と、誘電体20と金属膜30との界面(成膜面22)に対する励起光αの入射角を調整する角度調整部122と、を有する。
光源ユニット121は、励起光源としてレーザーダイオード(以下「LD」と略記する)を有し、チップホルダー12に保持された分析チップ10の入射面21に向けて励起光α(シングルモードレーザー光)を出射する。より具体的には、光源ユニット121は、分析チップ10の誘電体20と金属膜30との界面(成膜面22)に対して励起光αが全反射角度となるように、界面に対するP波のみを入射面21に向けて出射する。例えば、光源ユニット121は、LDユニット、整波器及び整形光学系(いずれも図示省略)を有する。
LDユニットは、コリメートされ、かつ波長及び光量が一定の励起光αを、誘電体20と金属膜30との界面(成膜面22)における照射スポットの形状が略円形となるように出射する。LDユニットは、励起光源としてのLDと、LDから出射された励起光αをコリメートするコリメーターと、励起光αの光量を一定にするための温度調整回路と、を有する。LDから出射される励起光αは、コリメートされてもその輪郭形状が扁平である。このため、界面(成膜面22)における照射スポットの形状が略円形となるように、LDは所定の姿勢で保持されるか、又は後述の整形光学系に所定形状のスリットが挿入される。また、LDから出射される励起光αの波長及び光量は、温度によって変化する。このため、温度調整回路は、コリメートされた後の励起光αから分岐させた光の光量をフォトダイオードなどにより監視し、励起光αの波長及び光量が一定となるようにヒーターやペルチェ素子などを用いてLDの温度を調整する。
整波器は、バンドパスフィルター(以下「BPF」と略記する)及び直線偏光フィルター(以下「LP」と略記する)を含み、LDユニットから出射された励起光αを整波する。LDユニットからの励起光αは、若干の波長分布幅を有しているため、BPFは、LDユニットからの励起光αを中心波長のみの狭帯域光にする。また、LDユニットからの励起光αは、完全な直線偏光ではないため、LPは、LDユニットからの励起光αを完全な直線偏光の光にする。整波器は、金属膜30にP波成分が入射するように励起光αの偏光方向を調整する半波長板を含んでいてもよい。
整形光学系は、誘電体20と金属膜30との界面(成膜面22)における照射スポットの形状が所定サイズの円形となるように、励起光αのビーム径や輪郭形状などを調整する。整形光学系から出射された励起光αは、分析チップ10の誘電体20に照射される。整形光学系は、例えばスリットやズーム手段などである。
なお、光源ユニット121に含まれる光源の種類は、特に限定されず、LDでなくてもよい。光源の例には、発光ダイオード、水銀灯、その他のレーザー光源が含まれる。光源から出射される光がビームでない場合は、光源から出射される光は、レンズや鏡、スリットなどによりビームに変換される。また、光源から出射される光が単色光でない場合は、光源から出射される光は、回折格子などにより単色光に変換される。さらに、光源から出射される光が直線偏光でない場合は、光源から出射される光は、偏光子などにより直線偏光の光に変換される。
角度調整部122は、金属膜30(誘電体20と金属膜30との界面(成膜面22))への励起光αの入射角を調整する。角度調整部122は、励起光αを、誘電体20を介して金属膜30(成膜面22)の所定の位置に所定の入射角で照射するために、励起光αの光軸とチップホルダー12とを相対的に回転させる。本実施の形態では、角度調整部122は、光源ユニット121を励起光αの光軸と直交する軸を中心として回転させる。このとき、入射角を走査しても金属膜30(成膜面22)上での照射位置がほとんど移動しないように、回転軸の位置を設定する。例えば、回転中心の位置を、入射角の走査範囲の両端における2つの励起光αの光軸の交点近傍(成膜面22上の照射位置と入射面21との間)に設定することで、照射位置のズレを極小化することができる。
受光光学系ユニット(受光光学系)140は、チップホルダー12に保持された分析チップ10の金属膜30の誘電体20と対向しない面に対向するように配置されている。受光光学系ユニット140は、金属膜30上から出射される光(プラズモン散乱光β又は蛍光γ)を検出する。受光光学系ユニット140は、第1レンズ141、絞り142、フィルターホルダー143、励起光カットフィルター144、第2レンズ145、光センサー146及び透過調整部147を有する。第1レンズ141、絞り142、フィルターホルダー143、励起光カットフィルター144、第2レンズ145及び光センサー146は、金属膜30の表面と対向するように、金属膜30側からこの順番で配置されている。
第1レンズ141及び第2レンズ145は、迷光の影響を受けにくい共役光学系を構成する。第1レンズ141と第2レンズ145との間を進行する光は、略平行光となる。第1レンズ141及び第2レンズ145は、金属膜30上から放出される蛍光γを光センサー146の受光面上に結像させる。
絞り142は、第1レンズ141及びフィルターホルダー143の間に配置されている。絞り142は、絞り孔151を介して、第1レンズ141によりコリメートされた光(プラズモン散乱光β及び/又は蛍光γ)の少なくとも一部を透過させる。絞り142を透過した光は、励起光カットフィルター144の蛍光透過領域156に到達する。ここで、「蛍光透過領域」とは、蛍光γの検出時において、絞り142(又は第1貫通孔152)によって制御された蛍光γが透過する励起光カットフィルター144の一部の領域を意味する。絞り孔151の平面視形状は、特に限定されない。蛍光透過領域156の平面視形状は、絞り142の絞り孔151の平面視形状と同じである。
フィルターホルダー143は、励起光カットフィルター144を保持しており、絞り142及び第2レンズ145の間に配置されている。フィルターホルダー143の形状は、励起光カットフィルター144を保持することができれば、特に限定されない。フィルターホルダー143の形状には、励起光カットフィルター144を下側から保持する形状、励起光カットフィルター144の外縁部を把持する形状などが含まれる。本実施の形態では、フィルターホルダー143は、励起光カットフィルター144より大きく形成されており、励起光カットフィルター144を下側から保持する。
フィルターホルダー143は、第1貫通孔152及び第2貫通孔153を有する。第1貫通孔152は、フィルターホルダー143の中央部分に配置されている。本実施の形態では、第1貫通孔152は、絞り142の絞り孔151より大きく形成されている。第1貫通孔152は、絞り142で絞られた光(プラズモン散乱光β及び/又は蛍光γ)を透過させる。第1貫通孔152を透過した光は、励起光カットフィルター144の裏面に到達する。第2貫通孔153は、励起光カットフィルター144を避けるようにフィルターホルダー143に配置されている(図1参照)。詳細は後述するが、第2貫通孔153は、蛍光透過領域156の端部から蛍光透過領域156の直径より短い位置に配置されている。第2貫通孔153は、プラズモン散乱光βを透過させる散乱光透過部として機能し、後述の増強角の決定時に用いられる。第2貫通孔(散乱光透過部)153を透過した光は、第2レンズ145を介して光センサー146に到達する。なお、散乱光透過部153は、プラズモン散乱光βを透過させることができれば、蛍光γを透過させてもよい。散乱光透過部153を平面視したときの面積は、特に限定されないが、蛍光透過領域156を平面視したときの面積の1/1000以下であることが好ましい。ここで、「平面視」とは、金属膜30から見た場合のことを意味する。
励起光カットフィルター144は、絞り142及び第2レンズ145の間に配置されている。励起光カットフィルター144は、蛍光透過領域156を含む。蛍光透過領域156は、金属膜30上から出射された蛍光の少なくとも一部を透過させ、励起光の少なくとも一部の波長の光を遮断する。励起光カットフィルター144は、励起光αの波長の光(プラズモン散乱光β)を反射又は吸収する一方で蛍光γを透過させることで、光センサー146に蛍光γの波長以外の光が到達することを防ぐ。すなわち、励起光カットフィルター144は、光センサー146に到達する光からノイズ成分を除去し、微弱な蛍光γの検出精度及び感度の向上に寄与する。
励起光カットフィルター144は、蛍光成分のみを光センサー146に導き、高いS/N比で当該蛍光成分を検出するために、励起光成分(プラズモン散乱光β)を除去する。励起光カットフィルター144の例には、励起光反射フィルター、短波長カットフィルター及びバンドパスフィルターが含まれる。励起光カットフィルター144は、例えば、所定の光成分を反射することで除去する多層膜からなるフィルターであるが、所定の光成分を一般的には吸収することで除去する色ガラスフィルターであってもよい。
光センサー146は、金属膜30上から出射される蛍光γ又はプラズモン散乱光βを検出する。例えば、光センサー146は、感度及びSN比が高い光電子増倍管である。光センサー146は、アバランシェ・フォトダイオード(APD)又はフォトダイオード(PD)などであってもよい。なお、金属膜30の一方の面(誘電体20と対向する面)における励起光αの照射スポットの大きさは、金属膜30の他方の面(第1レンズ141と対向する面)における光センサー146による測定領域の大きさよりも小さくなるように調整される。このようにすることで、誘電体20の各パラメータの誤差により照射スポットがわずかに位置ずれした場合であっても、照射スポットが測定領域から外れることを防止できる。
透過調整部147は、光センサー146がプラズモン散乱光βを検出する時には、散乱光透過部153を受光光学系ユニット140内の光路上に移動させ、光センサー146が蛍光γを検出する時には、蛍光透過領域156を受光光学系ユニット140の光路内に移動させると同時に、散乱光透過部153を受光光学系ユニット140内の光路外に移動させる。透過調整部147は、フィルターホルダー143を支持するステージ154と、ステージ154を介してフィルターホルダー143(散乱光透過部153)を移動させる駆動源となるモーター155と、を有する。詳細は後述するが、透過調整部147は、散乱光透過部153を受光光学系ユニット140の光路の内部又は外部に移動させることで、フィルターホルダー143及び励起光カットフィルター144を大きく移動させることなく、増強角を求めることができる。
制御部160は、各駆動部の制御や、光センサー146における受光量の定量化などを一元的に行う。本実施の形態では、制御部160は、光源ユニット121を制御する光源制御部161と、光センサー146を制御する光センサー制御部162と、モーター155を制御するモーター制御部163と、制御処理部164と、を有する。制御処理部164は、光源制御部161、光センサー制御部162及びモーター制御部163を包括的に制御して、SPFS装置100全体の動作を制御する。制御部160は、例えば、ソフトウェアを実行するコンピュータである。後述するように、制御部160(制御処理部164)は、光センサー146によるプラズモン散乱光βの測定結果に基づいて、蛍光測定時の金属膜30(成膜面22)に対する励起光αの入射角を制御する。
(SPFS装置の動作)
次に、SPFS装置100の検出動作について説明する。図2は、SPFS装置100の動作手順の一例を示すフローチャートである。図3は、増強角の測定時の動作手順の一例を示すフローチャートである。図4は、プラズモン散乱光の検出を説明するための図である。図5は、蛍光の検出を説明するための図である。
まず、測定の準備をする(工程S10)。具体的には、SPFS装置100の所定の位置に分析チップ10を設置する。また、分析チップ10の流路41内に保湿剤が存在する場合は、捕捉体が適切に被検出物質を捕捉できるように、流路41内を洗浄して保湿剤を除去する。
次いで、検体中の被検出物質と捕捉体とを反応させる(1次反応、工程S20)。具体的には、流路41内に検体を注入して、検体と捕捉体とを接触させる。検体中に被検出物質が存在する場合は、被検出物質の少なくとも一部は捕捉体により捕捉される。この後、流路41内を緩衝液などで洗浄して、捕捉体に捕捉されなかった物質を除去する。検体の種類は、特に限定されない。検体の例には、血液や血清、血漿、尿、鼻孔液、唾液、精液などの体液及びその希釈液が含まれる。
次いで、図4に示されるように、制御処理部164は、フィルターホルダー143を移動させて、散乱光透過部153を受光光学系ユニット140内の光路上に配置する(工程S30)。そして、励起光αを金属膜30(成膜面22)の所定の位置に照射しながら、金属膜30(成膜面22)に対する励起光αの入射角を走査して、最適な入射角を決定する(工程S40)。すなわち、制御処理部164は、本発明の増強角決定部として機能する。
工程S40において増強角の測定を行う際、まず、制御処理部164は、大まかに増強角(プラズモン散乱光βの強度のピーク角度)を推定するためのプレスキャンを行う(工程S41)。すなわち、制御処理部164は、本発明の先行走査部として機能する。具体的には、制御処理部164は、光源ユニット121及び角度調整部122を制御して、金属膜30(成膜面22)に所定の角度範囲(10°)を第1の角度間隔で励起光αを照射して走査しながらプラズモン散乱光βを検出し、強度を測定する。以下、走査しながらプラズモン散乱光の検出を行うことを、単に「プラズモン散乱光の検出」と略記することがある。このとき、制御処理部164は、待機位置から光源ユニット121の移動を開始して、所定の角度範囲を第1の角度間隔で励起光αを照射して走査した後、光源ユニット121を待機位置に移動する。ここで、所定の角度範囲は、増強角が誘電体20の素材及び形状、金属膜30の厚み、流路41内の液体の屈折率などにより変動的に決まることから、10°の範囲を確保することが好ましい。なお、工程S41では、第1の角度間隔で分割された各測定点において、測定前に光源ユニット121の「停止」及び「安定待ち」の工程が行われる。ここで、測定前の「安定待ち」には、2つの目的がある。1つ目は、メカが動作して停止した後にメカが揺れるため、その揺れが収まる(安定する)のを待つという目的である。2つ目は、測定した電気信号が、励起光αの照射後に正規の信号となるまでしばらく時間がかかる(ノイズ除去のために入っているノイズフィルターの時定数に応じた待ち時間が必要である)ため、待つという目的である。また、制御処理部164は、光センサー146が金属膜30上(金属膜30表面及びその近傍)からのプラズモン散乱光βを検出するように、光センサー制御部162を制御する。金属膜上(金属膜30表面及びその近傍)からのプラズモン散乱光βは、第1レンズ141によりコリメートされ、散乱光透過部153を介して光センサー146に到達する。これにより、制御処理部164は、励起光αの入射角とプラズモン散乱光βの強度との関係を含むデータを得る。そして、制御処理部164は、データを解析して、プラズモン散乱光βの強度が最大となる入射角(増強角)を推定する。
次に、制御処理部164は、プレスキャンにより推定された増強角の周辺を高密度に測定するための本スキャンを行う(工程S42)。すなわち、制御処理部164は、本発明の本走査部として機能する。具体的には、制御処理部164は、光源ユニット121及び角度調整部122を制御して、工程S41で推定された増強角の周辺範囲を、第1の角度間隔よりも狭い第2の角度間隔で励起光αを照射して走査する。このとき、制御処理部164は、待機位置から光源ユニット121の移動を開始して、推定された増強角の周辺範囲を第2の角度間隔で励起光αを照射して走査した後、光源ユニット121を待機位置に移動する。なお、工程S42では、第2の角度間隔で分割された各測定点において、測定前に「停止」及び「安定待ち」の工程が行われる。また、制御処理部164は、光センサー146が金属膜30上(金属膜30表面及びその近傍)からのプラズモン散乱光βを検出するように、光センサー制御部162を制御する。金属膜上(金属膜30表面及びその近傍)からのプラズモン散乱光βは、第1レンズ141によりコリメートされ、散乱光透過部153を介して光センサー146に到達する。これにより、制御処理部164は、励起光αの入射角とプラズモン散乱光βの強度との関係を含むデータを得る。そして、制御処理部164は、データを解析して、プラズモン散乱光βの強度が最大となる入射角(増強角)を決定する。なお、増強角は、基本的には、誘電体20の素材及び形状、金属膜30の厚み、流路41内の液体の屈折率などにより決まるが、流路41内の蛍光物質の種類及び量、誘電体20の形状誤差などの各種要因によりわずかに変動する。このため、分析を行うたびに増強角を決定することが好ましい。増強角は、0.1°程度のオーダーで決定される。
工程S41で行われるプレスキャンは、工程S42で行われる本スキャンよりも測定点1点当たりのプラズモン散乱光βの強度の検出時間を短くするようにしている。例えば、プレスキャンの場合、測定点1点当たりの検出時間が1~100msecであるのに対し、本スキャンの場合、測定点1点当たりの検出時間が500msecとなっている。ここで、本スキャンにおける測定点1点当たりの検出時間を長くとっているのは、振動ノイズの平均化を目的としているからである。ここで、振動ノイズとは、メカが揺れることによるノイズのことではなく、電気信号が暴れることによるノイズのことである。しかしながら、測定点1点当たりの検出時間を1msec程度に短くしたとしても、最大ノイズは最大シグナルに対して0.5%程度の振動ノイズであり、概算のピーク算出には影響しないため、プレスキャンにおいては測定点1点当たりの検出時間を短くすることで、測定時間の短縮を図っている。
次いで、図2に戻り、金属膜30(成膜面22)に対する励起光αの入射角を、前の工程で決定した増強角に設定する(工程S50)。具体的には、制御処理部164は、角度調整部122を制御して、金属膜30(成膜面22)に対する励起光αの入射角を増強角に設定する。以後の工程では、金属膜30(成膜面22)に対する励起光αの入射角は、増強角のままである。
次いで、図5に示されるように、制御処理部164は、フィルターホルダー143を移動させて、蛍光透過領域156を受光光学系ユニット140の光路内に配置するとともに、散乱光透過部153を受光光学系ユニット140内の光路外に配置する(工程S60)。そして、励起光αを金属膜30(成膜面22)に照射して、蛍光γと同じ波長の光の強度(光学ブランク値)を測定する(工程S70)。具体的には、制御処理部164は、光源制御部161を制御して、光源ユニット121に励起光αを出射させる。同時に、制御処理部164は、光センサー146が蛍光γと同じ波長の光の強度を検出するように、光センサー制御部162を制御する。このとき、励起光カットフィルター144は、プラズモン散乱光βを透過させない。よって、光センサー146は、正確にノイズとなる光の強度(光学ブランク値)を測定することができる。測定値は、制御処理部164に送信され、光学ブランク値として記録される。
次いで、捕捉体に捕捉された被検出物質を蛍光物質で標識する(2次反応、工程S80)。具体的には、流路41内に蛍光標識液を注入する。蛍光標識液は、例えば、蛍光物質で標識された抗体(2次抗体)を含む緩衝液である。蛍光標識液が流路41に注入されると、蛍光標識液が被検出物質に接触し、被検出物質が蛍光物質で標識される。この後、流路41内を緩衝液などで洗浄し、遊離の蛍光物質などを除去する。
最後に、制御処理部164は、励起光αを金属膜30(成膜面22)に照射して、金属膜30(金属膜30表面及びその近傍)上から放出される蛍光γの強度を測定する(工程S90)。すなわち、制御処理部164は、本発明の蛍光強度検出部として機能する。具体的には、制御処理部164は、光源制御部161を制御して、光源ユニット121に励起光αを出射させる。同時に、制御処理部164は、光センサー146が金属膜(金属膜30及びその近傍)上から放出される蛍光γを検出するように、光センサー制御部162を制御する。このとき、励起光カットフィルター144はプラズモン散乱光βを透過させないため、蛍光γのみが光センサー146に検出される。制御処理部164は、測定値から光学ブランク値を引き、被検出物質の量に相関する蛍光強度を算出する。蛍光強度は、必要に応じて、被検出物質の量や濃度などに換算される。
以上の手順により、蛍光γを検出用の蛍光透過領域156を有する励起光カットフィルターの近傍のフィルターホルダー143に、プラズモン散乱光βを検出用の散乱光透過部153が配置されているため、励起光カットフィルター144を大きく移動させることなく、検体中の被検出物質の存在又は被検出物質の量を検出することができる。
次に、本実施の形態のSPFS装置100の種々の実施例(実施例1~4)について説明する。
SPFS装置100の増強角スキャンは、分析チップ10の依存のばらつきや検査の多項目に対応するため、±5°の範囲を走査して最適角度を求めている。本実施形態では、プラズモン散乱光βの強度のピーク位置(増強角)の存在範囲を66°±3°と想定し、さらに、近似に必要なため、2°両側に広げて(すなわち±5°)走査する。
従来技術では、測定点を30点(0.35°刻み)で測定していた。この場合、測定精度の要求性能(±0.1°)を満たすことはできるが、測定時間が長くなるという課題がある。なお、要求性能は最終的なシステムによって定義されるが、本実施形態のシステム(SPFS装置100)では、超高感度の測定を目的としているため、かなり厳しい要求(±0.1°)となっている。
一方、測定点を15点(0.71°刻み)で測定した場合、測定精度の要求性能(±0.1°)に対して、十分なノイズマージンが得られないという課題がある。そこで、測定時間を延ばさずに、要求性能を改善することが求められる。
ピーク位置算出の精度に関わるパラメータは、高次関数の近似を行うための測定点の測定範囲(角度)及び測定密度(角度/点)である。
また、ピーク位置算出精度の評価量は、ピーク位置からの誤差を表している。誤差には、ばらつき(σ)とばらつきの中心値(平均値)とがあり、それらを足した値で評価される。
増強角スキャンの測定は、増強角の走査範囲である10°(±5°)を、等分割して行われる。測定時間は、図6に示すように、測定点数に比例する。すなわち、測定点数が増えれば増えるほど、測定時間は長くなる。
また、1%の正規分布ノイズを付加した上で、測定点数を振ってみると、算出したピーク位置のばらつき(σ)は、測定ピッチに相関して変化する。ここでは、ノイズは正規分布のランダムノイズ1%(実機で想定される最大ノイズの2倍程度を想定)、近似(4次式)に使う範囲はピーク位置付近の5°の範囲、ばらつきを求めるための繰り返し回数は1000回でシミュレーションを行っている。図7は、プラズモン散乱光のピーク位置算出時の関数近似のイメージ図であり、図7Aは測定点数が15点、図7Bは測定点数が20点、図7Cは測定点数が25点、図7Dは測定点数が30点の場合を示している。
算出したピーク位置のばらつき(σ)の目標値は、0.1°以内とする。ただし、マージンを見て、ばらつき(σ)=0.08°以下を目標とする。近似範囲が片側2°と狭くなるケースがあるが、そのときでもばらつきが0.1°以内であることを目標とする。
測定ピッチは、0.345°/点(測定点数が30点)、0.417°/点(測定点数が25点)、0.526°/点(測定点数が20点)、0.714°/点(測定点数が15点)とする。
なお、近似の多項式の次数を高くすると、ばらつき、平均誤差は減少する傾向にあるが、正確な近似に必要な測定点数も多く必要になる傾向があるため、測定時間が長くなる傾向がある。
以下、本実施の形態のSPFS装置100の種々の構成例(実施例1~4)について説明する。各実施例は、測定ピッチ(測定点数)と近似に使う測定範囲を振ったシミュレーションである。ノイズは、正規分布1%のランダムノイズを付加し、1000回測定のばらつきと平均値で評価する。
[実施例1]
まず、図8~図10を参照して、本実施の形態におけるSPFS装置100の実施例1(4次の関数近似を行う構成)を説明する。図8は、実施例1におけるピーク位置のばらつき(σ)の一例を示す図である。図9は、実施例1におけるピーク位置の平均値(平均角度)の誤差の一例を示す図である。図10は、実施例1におけるピーク位置の誤差の合計値(ばらつき(図8参照)と平均誤差(図9参照)の加算値)の一例を示す図である。以降、図中の符号L1は測定点数が15点の場合の測定値、符号L2は測定点数が20点の場合の測定値、符号L3は測定点数が25点の場合の測定値、符号L4は測定点数が30点の場合の測定値を示すものとする。
図10に示すように、実施例1の構成では、近似に使用する角度範囲が5°の場合において、測定点数が15点(測定ピッチが0.714°/点)及び20点(測定ピッチが0.526°/点)の場合に、算出したピーク位置の想定誤差が0.08°を超える値となっている。一方、測定点数が25点(測定ピッチが0.417°/点)及び30点(測定ピッチが0.345°/点)の場合に、算出したピーク位置の想定誤差が0.08°以下となっている。したがって、実施例1の構成では、測定点数が25点以上の場合に、測定精度の要求性能を満たすことがわかる。
[実施例2]
次に、図11~図13を参照して、本実施の形態におけるSPFS装置100の実施例2(5次の関数近似を行う構成)を説明する。図11は、実施例2におけるピーク位置のばらつき(σ)の一例を示す図である。図12は、実施例2におけるピーク位置の平均値(平均角度)の誤差の一例を示す図である。図13は、実施例2におけるピーク位置の誤差の合計値(ばらつき(図11参照)と平均誤差(図12参照)の加算値)の一例を示す図である。
図13に示すように、実施例2の構成では、近似に使用する角度範囲が5°の場合において、測定点数が15点(測定ピッチが0.714°/点)、20点(測定ピッチが0.526°/点)及び25点(測定ピッチが0.417°/点)の場合に、算出したピーク位置の想定誤差が0.08°を超える値となっている。一方、測定点数が30点(測定ピッチが0.345°/点)の場合に、算出したピーク位置の想定誤差が0.08°以下となっている。したがって、実施例2の構成では、測定点数が30点以上の場合に、測定精度の要求性能を満たすことがわかる。
[実施例3]
次に、図14及び図15を参照して、本実施の形態におけるSPFS装置100の実施例3(2次の関数近似を行う構成)を説明する。図14は、実施例3におけるピーク位置のばらつき(σ)の一例を示す図である。図15は、実施例3におけるピーク位置の平均値(平均角度)の誤差の一例を示す図である。
図15に示すように、実施例3の構成では、近似に使用する角度範囲が5°の場合において、測定点数にかかわらず、算出したピーク位置の平均値(平均角度)の誤差が0.1°を超える値となっている。したがって、実施例3の構成では、いずれの測定点数においても、測定精度の要求性能を満たさないことがわかる。
[実施例4]
次に、図16及び図17を参照して、本実施の形態におけるSPFS装置100の実施例4(2次の関数近似を行う構成、ただし、3%のノイズを付加)を説明する。図16は、実施例4におけるピーク位置のばらつき(σ)の一例を示す図である。図17は、実施例4におけるピーク位置の平均値(平均角度)の誤差の一例を示す図である。
図17に示すように、実施例4の構成では、近似に使用する角度範囲が5°の場合において、測定点数にかかわらず、算出したピーク位置の平均値(平均角度)の誤差が0.1°を超える値となっている。したがって、実施例4の構成では、いずれの測定点数においても、測定精度の要求性能を満たさないことがわかる。
実施例1~実施例4を比較した結果、実施例1の構成では、測定点数が25点以上の場合に、測定精度の要求性能を満たすことがわかる。また、実施例2の構成では、測定点数が30点以上の場合に、測定精度の要求性能を満たすことがわかる。一方、実施例3及び実施例4の構成では、測定点数にかかわらず、測定精度の要求性能を満たさないことがわかる。
測定時間は測定点数に比例するため、測定時間を短縮するためには測定点数が少ない構成を選択することが好ましい。したがって、測定精度の要求性能を満たしつつ、測定時間を短縮するためには、実施例1(4次の関数近似を行う構成)の測定点数が25点(測定ピッチが0.417°/点)の構成を選択することが好ましい。
以上より、本実施形態では、0.417°/点のピッチ(測定点数25点)で、約5°の範囲の測定点(13点)を用いて4次の関数近似を行う構成が、最適であることがわかった。
一般に、システム(SPFS装置100)に応じて要求される性能は異なるが、測定精度の誤差性能と測定時間とはトレードオフの関係となる。
本実施形態では、増強角スキャン時に、プレスキャン(工程S41)を行うことで、大まかなピーク位置を求めることができる。これにより、ピーク位置周辺のみを高密度で測定しつつ、本スキャン(工程S42)時の測定点数を減らすことができる。よって、近似点の測定時間を短縮することができる。
例えば、実施例1(4次の関数近似を行う構成)の測定点数が25点(測定ピッチが0.417°/点)の構成では、本スキャンにおける測定点13点の測定時間が9.65秒である。一方、従来のように、測定ピッチが0.417°/点で10°を走査すると、25点の測定が必要となるため、18.05秒の時間が必要となる。よって、実施例1(4次の関数近似を行う構成)の測定点数が25点(測定ピッチが0.417°/点)の構成を採用することで、大幅な時間削減を実現することができる。
また、プレスキャンの際に、各測定点の測定時間を短くした場合、ノイズ量は3倍程度となることが想定される。例えば、10°に対して5点測定した場合、誤差は0.5°程度となる(ノイズ3倍で、2次近似のケース)。プレスキャン時の5点の測定に掛かる時間は、約1.8秒であるため、増強角スキャンに掛かる時間は、本スキャンの9.65秒と合わせて、11.5秒となる。いずれにしても、従来の18.05秒と比べ、大幅な時間削減を実現することができる。
以上のように、本実施形態に係る表面プラズモン共鳴蛍光分析装置(SPFS装置)100は、誘電体20を介して金属膜30に励起光αを照射するとともに、金属膜30上から出射されたプラズモン散乱光βの強度を検出して、プラズモン散乱光βの強度が最大となるときの入射角である増強角を決定する増強角決定部(制御処理部164)と、金属膜30に対する入射角が増強角となるように、誘電体20を介して金属膜30に励起光αを照射するとともに、蛍光物質から放出された蛍光γの強度を検出する蛍光強度検出部(制御処理部164)と、を備える。また、増強角決定部は、金属膜30に所定の角度範囲を第1の角度間隔で励起光αを照射して走査するとともに、プラズモン散乱光βの強度を検出して、増強角を推定する先行走査部(制御処理部164)と、先行走査部により推定された増強角の周辺範囲を、第1の角度間隔よりも狭い第2の角度間隔で励起光αを照射して走査するとともに、プラズモン散乱光βの強度を検出して、増強角を決定する本走査部(制御処理部164)と、を備える。
したがって、本実施形態に係るSPFS装置100によれば、全体の測定点数を減らしつつ、ピーク位置付近の測定点数を増やすことができるので、増強角スキャンにおける測定時間を短縮しつつ、測定精度を向上させることできる。
また、本実施形態に係るSPFS装置100によれば、先行走査部は、本走査部よりも1点当たりのプラズモン散乱光βの強度の検出時間が短い。
したがって、本実施形態に係るSPFS装置100によれば、概算のピーク算出に悪影響を及ぼすことなくプレスキャン時の測定点1点当たりの検出時間を短くすることができるので、測定精度を確保しつつ、測定時間を短縮することができる。
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態では、工程S41で行われるプレスキャン及び工程S42で行われる本スキャンのいずれにおいても、待機位置から光源ユニット121の移動を開始して走査するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、プレスキャンにおいては、実施形態と同様、待機位置から光源ユニット121の移動を開始して走査するようにし、本スキャンにおいては、プレスキャンによる走査の終点から待機位置に向けて光源ユニット121の移動を開始して走査するようにしてもよい。
このように、先行走査部が、待機位置から光源ユニット121の移動を開始して、所定の角度範囲を第1の角度間隔で励起光αを照射して走査し、本走査部が、先行走査部による走査の終点から待機位置に向けて光源ユニット121の移動を開始して、先行走査部により推定された増強角の周辺範囲を第2の角度間隔で励起光αを照射して走査することで、プレスキャン後に待機位置まで戻る操作を利用して本スキャンを実施することができるので、測定時間を短縮することができる。
また、プレスキャンにおいては、待機位置の光源ユニット121の移動方向反対側の所定位置から待機位置に向けて光源ユニット121の移動を開始して走査するようにし、本スキャンにおいては、実施形態と同様、待機位置から光源ユニット121の移動を開始して走査するようにしてもよい。なお、予めの(プレスキャン前の)上記所定位置への移動は、測定の空き時間で行われる。
このように、先行走査部が、待機位置の光源ユニット121の移動方向反対側の所定位置から待機位置に向けて光源ユニット121の移動を開始して、所定の角度範囲を第1の角度間隔で励起光αを照射して走査し、本走査部が、待機位置から光源ユニット121の移動を開始して、先行走査部により推定された増強角の周辺範囲を第2の角度間隔で励起光αを照射して走査することで、本スキャンにおいて、以降に行われる工程S70及び工程S90と同じ移動方向(待機位置→測定位置)で光源ユニット121を移動させることができる。したがって、光源ユニット121の位置決め精度を向上させることができるので、測定精度を向上させることができる。
また、上記実施形態では、工程S41で行われるプレスキャンにおいて、各測定点における測定前に光源ユニット121の「停止」及び「安定待ち」の工程を行うようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、光源ユニット121の移動を停止することなく、励起光αを照射して走査するようにしてもよい。また、光源ユニット121の安定待ちをすることなく、励起光αを照射して走査するようにしてもよい。また、光源ユニット121の移動を停止することなく、かつ、安定待ちをすることなく、励起光αを照射して走査するようにしてもよい。
このように、先行走査部が、光源ユニット121の移動を停止することなく、金属膜30に所定の角度範囲を第1の角度間隔で励起光αを照射して走査することで、プレスキャン時の工程を減らすことができるので、測定時間を短縮することができる。
また、工程S41で行われるプレスキャンは、測定時間短縮の観点から、工程S42で行われる本スキャンよりも測定点数が少なくなることが好ましい。しかしながら、上記の構成は必須ではなく、本スキャンと測定点数が同数であってもよいし、本スキャンよりも測定点数が多くなってもよい。
また、励起光カットフィルター144は、蛍光γの少なくとも一部を透過させ、励起光αの少なくとも一部の波長の光を遮断する蛍光透過領域156を有するが、励起光αの少なくとも一部を遮断するということは、励起光αの一部が透過することがあることを意味する。励起光αはプラズモンであり、プラズモン散乱光βも透過してくるということは、原理的には、励起光カットフィルター144がある状態でも増強角ピーク検出のための測定を行うことができる。ただし、現実的には、励起光カットフィルター144を透過する励起光αはごくわずか(0.01%以下)であるので、測定は困難である。
また、上記実施形態では、プラズモン散乱光βの強度を用いて増強角ピークを算出するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、プラズモン散乱光βの代わりに、蛍光γを用いて増強角ピークを算出することも可能である。本質的には、測定光の強度が最大となるときの入射角(投光角度)が増強角であるため、蛍光γを用いて増強角ピークを算出することが可能であれば、最も好ましい。ただし、現実的には、蛍光信号は、励起光αを当て続けると退色して(蛍光量が減って)しまうため、蛍光シグナルを測定するときに、蛍光γが減ってしまうという課題がある。したがって、本実施形態では、退色を避けるために、蛍光標識される前のプラズモン散乱光βを用いて増強角ピークを算出するようにしている。
その他、SPFS装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
本発明は、表面プラズモン共鳴蛍光分析装置及び表面プラズモン共鳴蛍光分析方法に利用することができる。
10 分析チップ
12 チップホルダー
20 誘電体
21 入射面
22 成膜面
23 出射面
30 金属膜
40 流路蓋
41 流路
100 表面プラズモン共鳴蛍光分析装置(SPFS装置)
120 励起光学系ユニット
121 光源ユニット(光源)
122 角度調整部
140 受光光学系ユニット
141 第1レンズ
142 絞り
143 フィルターホルダー
144 励起光カットフィルター
145 第2レンズ
146 光センサー
147 透過調整部
151 絞り孔
152 第1貫通孔
153 第2貫通孔(散乱光透過部)
154 ステージ
155 モーター
156 蛍光透過領域
160 制御部
161 光源制御部
162 光センサー制御部
163 モーター制御部
164 制御処理部(増強角決定部、先行走査部、本走査部、蛍光強度検出部)
α 励起光
β プラズモン散乱光
γ 蛍光

Claims (5)

  1. 金属膜を一面に有する誘電体を含む分析チップが装着され、光源から前記誘電体を介して前記金属膜に励起光を照射することで、前記金属膜上の被検出物質を標識する蛍光物質を励起させ、前記蛍光物質から放出された蛍光を検出することで、前記被検出物質の存在又はその量を検出する表面プラズモン共鳴蛍光分析装置であって、
    前記誘電体を介して前記金属膜に前記励起光を照射するとともに、前記金属膜上から出射されたプラズモン散乱光の強度を検出して、前記プラズモン散乱光の強度が最大となるときの入射角である増強角を決定する増強角決定部と、
    前記金属膜に対する入射角が前記増強角となるように、前記誘電体を介して前記金属膜に前記励起光を照射するとともに、前記蛍光物質から放出された蛍光の強度を検出する蛍光強度検出部と、
    を備え、
    前記増強角決定部は、
    前記金属膜に所定の角度範囲を第1の角度間隔で前記励起光を照射して走査するとともに、前記プラズモン散乱光の強度を検出して、前記増強角を推定する先行走査部と、
    前記先行走査部により推定された増強角の周辺範囲を、前記第1の角度間隔よりも狭い第2の角度間隔で前記励起光を照射して走査するとともに、前記プラズモン散乱光の強度を検出して、前記増強角を決定する本走査部と、
    を備え
    前記プラズモン散乱光の強度の1点当たりの検出時間は、前記本走査部よりも前記先行走査部の方が短い表面プラズモン共鳴蛍光分析装置。
  2. 前記先行走査部は、待機位置から前記光源の移動を開始して、前記所定の角度範囲を前記第1の角度間隔で前記励起光を照射して走査し、
    前記本走査部は、前記先行走査部による走査の終点から前記待機位置に向けて前記光源の移動を開始して、前記先行走査部により推定された増強角の周辺範囲を前記第2の角度間隔で前記励起光を照射して走査する請求項1に記載の表面プラズモン共鳴蛍光分析装置。
  3. 前記先行走査部は、待機位置の前記光源の移動方向反対側の所定位置から前記待機位置に向けて前記光源の移動を開始して、前記所定の角度範囲を前記第1の角度間隔で前記励起光を照射して走査し、
    前記本走査部は、前記待機位置から前記光源の移動を開始して、前記先行走査部により推定された増強角の周辺範囲を前記第2の角度間隔で前記励起光を照射して走査する請求項1に記載の表面プラズモン共鳴蛍光分析装置。
  4. 前記先行走査部は、前記光源の移動を停止することなく、前記金属膜に前記所定の角度範囲を前記第1の角度間隔で前記励起光を照射して走査する請求項1~のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴蛍光分析装置。
  5. 被検出物質を標識する蛍光物質が、表面プラズモン共鳴に基づく局在場光により励起されて発した蛍光を検出して、前記被検出物質の存在又はその量を検出する表面プラズモン共鳴蛍光分析方法であって、
    前記被検出物質を、誘電体の一面上に配置された金属膜上に配置する配置工程と、
    前記誘電体を介して前記金属膜に励起光を照射するとともに、前記金属膜上から出射されたプラズモン散乱光の強度を検出して、前記プラズモン散乱光の強度が最大となるときの入射角である増強角を決定する増強角決定工程と、
    前記金属膜に対する入射角が前記増強角となるように、前記誘電体を介して前記金属膜に前記励起光を照射するとともに、前記蛍光物質から放出された蛍光の強度を検出する蛍光強度検出工程と、
    を含み、
    前記増強角決定工程は、
    前記金属膜に所定の角度範囲を第1の角度間隔で前記励起光を照射して走査するとともに、前記プラズモン散乱光の強度を検出して、前記増強角を推定する先行走査工程と、
    前記先行走査工程で推定された増強角の周辺範囲を、前記第1の角度間隔よりも狭い第2の角度間隔で前記励起光を照射して走査するとともに、前記プラズモン散乱光の強度を検出して、前記増強角を決定する本走査工程と、
    を含み、
    前記プラズモン散乱光の強度の1点当たりの検出時間は、前記本走査工程よりも前記先行走査工程の方が短い表面プラズモン共鳴蛍光分析方法。
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