以下に、本発明の実施の形態に係る加湿空調システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加湿空調システムが設置された加湿対象空間の平面図である。加湿空調システム1000は、加湿装置1001,1002、空気調和装置2001,2002,2003,2004,2005,2006,2007及びシステムコントローラ300を有する。以下、加湿装置1001,1002を区別しない場合は、加湿装置100という。また、空気調和装置2001,2002,2003,2004,2005,2006,2007を区別しない場合には、空気調和装置200という。加湿装置100及び空気調和装置200の構成要素についても同様であり、各々を区別する場合は符号に添え字を付し、区別しない場合には添え字を付さない。
加湿装置100は、空気調和装置200及びシステムコントローラ300と情報のやり取りを行う。また、空気調和装置200は、加湿装置100及びシステムコントローラ300と情報のやり取りを行う。
加湿装置100は、加湿対象空間50にそれぞれ設置された第1の吸込口である吸込口104及び第1の吹出口である吹出口105と、吸込口104から加湿対象空間50の空気を吸い込み、吹出口105から加湿した空気を吹き出す本体106とを備える。加湿装置100は、吸込口104から吸い込んだ空気を加湿して、吹出口105から吹き出す。図1に示すように、吸込口1041,1042と吹出口1051,1052とは、いわゆるショートサーキットが発生しないように間隔を空けて設置されている。本体1061は、不図示のダクトを介して吸込口1041及び吹出口1051に接続されている。本体1062は、不図示のダクトを介して吸込口1042及び吹出口1052に接続されている。
空気調和装置200は、加湿対象空間50にそれぞれ設置された第2の吸込口である吸込口204及び第2の吹出口である吹出口205A,205B,205C,205Dを有する室内機202と、加湿対象空間50の外に設置された図1には不図示の室外機203とを備える。加湿対象空間50は、家屋の部屋、倉庫及びビルの一室を例示できるが、これらに限定はされない。空気調和装置200は、暖房を含む複数の運転モードを有する。空気調和装置200は、吸込口204から空気を吸い込み、吹出口205A,205B,205C,205Dから空気を吹き出して加湿対象空間50の温度を調整する。
室内機2021は、中央部に吸込口2041が配置されており、吸込口2041を囲む四辺形状に吹出口205A1,205B1,205C1,205D1が配置されている。室内機2022は、中央部に吸込口2042が配置されており、吸込口2042を囲む四辺形状に吹出口205A2,205B2,205C2,205D2が配置されている。室内機2023は、中央部に吸込口2043が配置されており、吸込口2043を囲む四辺形状に吹出口205A3,205B3,205C3,205D3が配置されている。室内機2024は、中央部に吸込口2044が配置されており、吸込口2044を囲む四辺形状に吹出口205A4,205B4,205C4,205D4が配置されている。室内機2025は、中央部に吸込口2045が配置されており、吸込口2045を囲む四辺形状に吹出口205A5,205B5,205C5,205D5が配置されている。室内機2026は、中央部に吸込口2046が配置されており、吸込口2046を囲む四辺形状に吹出口205A6,205B6,205C6,205D6が配置されている。室内機2027は、中央部に吸込口2047が配置されており、吸込口2047を囲む四辺形状に吹出口205A7,205B7,205C7,205D7が配置されている。
システムコントローラ300は、加湿装置100及び空気調和装置200を一括管理する。システムコントローラ300は加湿装置100及び空気調和装置200に操作情報を送信する。また、システムコントローラ300は、加湿装置100又は空気調和装置200から出力される運転状態等の情報を受信し、管理画面等の表示に反映したりする。なお、図1において、システムコントローラ300は、加湿対象空間50の外に設置されているが、加湿対象空間50内に設置されても構わない。
実施の形態1に係る加湿空調システム1000は、空気調和装置200が吹き出す気流の風向制御を行い、空気調和装置200が吹出口205A,205B,205C,205Dから吸込口104に向けて空気を吹き出す加湿アシスト動作を実行する。加湿アシスト動作を行うことにより、天井付近にある暖かい空気、又は暖房により暖められた空気を加湿装置100に吸込ませ、加湿装置100による加湿対象空間50の加湿量を増大させる。
図2は、実施の形態1に係る加湿空調システムの加湿ユニットの機能ブロック図である。加湿装置100は、加湿コントローラ101と、加湿対象空間50に加湿空気を供給する加湿ユニット102とを有する。加湿ユニット102には、不図示の給水配管及び排水配管が接続されている。
加湿ユニット102は、加湿対象空間50に加湿空気を供給する送風ファン120と、給水電磁弁130と、加湿装置100の吸込空気の温度を検出する温度検知部160と、加湿対象空間50の空気の湿度を検出する湿度検知部170と、制御部110とを有している。加湿ユニット102は、加湿対象空間50の天井裏に埋込状態又は吊下げ状態で設置される。なお、制御部110の動作については後述する。温度検知部160は、吸込口104から加湿装置100に吸い込まれる空気の温度を検知する第1の温度検知部である。
加湿ユニット102の送風ファン120及び給水電磁弁130は、加湿装置100の駆動部である。なお、加湿量を増やすために加湿ユニット102がヒータを備えていてもよい。加湿ユニット102がヒータを備える場合には、ヒータも駆動部に該当する。
加湿コントローラ101は、加湿装置100を動作させるのに利用されるプログラムであるアプリケーションを有している。このアプリケーションは、風量の調節、設定湿度の調節、及び給水電磁弁130の開閉の制御を行う。例えば、ユーザが加湿コントローラ101から、風量変更、設定湿度変更、又は強制加湿などを実行する操作を行うと、操作により入力された情報が制御部110の加湿コントローラ通信部111に出力される。なお、強制加湿とは、加湿対象空間50の湿度によらず強制的に加湿を行う動作である。そして、制御部110は、例えば風量変更の出力を受け取ると送風ファン120の回転速度を増減する。また、制御部110は、設定湿度変更の出力を受け取ると、検知湿度との差分に応じて、給水電磁弁130の開閉の制御などを行う。
なお、加湿コントローラ101は、加湿ユニット102に有線接続されたものとして説明するが、加湿コントローラ101は、加湿ユニット102に無線接続されて加湿装置100を遠隔操作できるリモートコントローラであってもよい。
また、システムコントローラ300のみで、加湿装置100を操作するシステム構成とする場合は、加湿コントローラ101は不要となる。
また、強制加湿は、システムコントローラ300又は加湿ユニット102への信号入力に基づいて実行されてもよい。
制御部110は、加湿コントローラ通信部111、システム通信部112、記憶部114、統括部115、出力部116及び入力部117を備えている。
加湿コントローラ通信部111は、加湿コントローラ101から出力される操作情報を受信して処理する。また、加湿コントローラ通信部111は、加湿ユニット102の情報を加湿コントローラ101に送信する処理を行う。また、システム通信部112は、システムコントローラ300又は空気調和装置200から出力される操作情報等を受信して処理する。また、システム通信部112は、加湿ユニット102の情報を、システムコントローラ300又は空気調和装置200に送信する処理を行う。ここで、加湿ユニット102から送信される情報は、例えば加湿ユニット102の各種運転状態を示す情報である。加湿ユニット102の運転状態には、発停、風量、設定湿度、検知湿度、検知温度、強制加湿入力、給水電磁弁状態、及び後述する「加湿アシスト要求レベル」を例示できる。
記憶部114は、各種の制御設定値及びプログラムを記憶する。記憶部114には、フラッシュメモリといった半導体記憶媒体を適用できる。
統括部115は、加湿コントローラ通信部111又はシステム通信部112を介して操作情報を受信したときに、記憶部114から操作情報に基づいた制御設定値又はプログラムを読み出す。統括部115は、操作情報に基づいた制御設定値を用いて演算を実行した演算結果を出力部116と、加湿コントローラ通信部111又はシステム通信部112とを介して、加湿コントローラ101、システムコントローラ300又は空気調和装置200へ出力する。
出力部116は、統括部115から演算結果を受け取り、送風ファン120及び給水電磁弁130に対し、動作指示を出力する。
入力部117は、吸込空気の温度検知部160、及び加湿対象領域にある空気の湿度検知部170の入力信号を処理して、検知温度、及び検知湿度を算出し、統括部115へ入力する。
温度検知部160は、吸込口104と本体106とを接続するダクト内といった加湿ユニット102の外部に設けられてもよい。また、吸込空気の温度を検知できる加湿ユニット102以外の外部機器に温度検知部160の働きをさせてもよい。例えば、加湿ユニット102は、加湿コントローラ101に備えられた温度検知部の情報を、加湿コントローラ通信部111を介して取得するようにしてもよい。また、加湿ユニット102は、空気調和装置200が備えている後述の温度検知部260の情報を、システム通信部112を介して取得するようにしてもよい。また、加湿ユニット102は、システムコントローラ300が管理している加湿装置100、空気調和装置200、又は加湿対象空間50に別途設置された不図示の温度検知部から取得した温度情報を、システム通信部112を介して取得するようにしてもよい。なお、加湿コントローラ101に備えられた温度検知部の情報を取得する場合には、加湿コントローラ101の設置高さと、天井面に設置された加湿装置100の吸込口104の高さとの差を考慮した温度補正を行ってもよい。
湿度検知部170は、吸込口104と本体106とを接続するダクト内といった加湿ユニット102の外部に設けられてもよい。また、加湿対象空間50にある空気の湿度を検知できる加湿ユニット102以外の外部機器に湿度検知部170の働きをさせてもよい。例えば、加湿ユニット102は、加湿コントローラ101に備えられた湿度検知部の情報を、加湿コントローラ通信部111を介して取得するようにしてもよい。また、空気調和装置200が湿度検知部を備えている場合は、加湿ユニット102は、空気調和装置200の検知湿度情報を、システム通信部112を介して取得するようにしてもよい。また、加湿ユニット102は、システムコントローラ300が管理している加湿装置100、空気調和装置200、又は加湿対象空間50に別途設置された不図示の湿度検知部から取得した湿度情報を、システム通信部112を介して取得するようにしてもよい。
図3は、実施の形態1に係る加湿空調システムの加湿装置の統括部による送風ファン出力、給水電磁弁出力及び加湿アシスト要求レベルの判定例を示す図である。ここで、「加湿アシスト要求レベル」とは、加湿装置100が空気調和装置200に対して送信する情報であり、加湿アシストをどの程度の強さで行うことを要求するかを示す。すなわち、加湿アシスト要求レベルは、加湿装置100による加湿対象空間50の加湿量を増大させる必要があるか否かを示す。空気調和装置200は、「加湿アシスト要求レベル」に基づいて、管轄する空調領域の温調制御を優先するか、加湿装置100の吸込口104側の後述の風向板ユニット230を水平に向けて前述の「加湿アシスト動作」を実行するかを判定する。
加湿装置100と加湿装置100の加湿アシスト動作を行う空気調和装置200との組合せについては、実施の形態1においては、1対1での組み合わせとする。したがって、加湿装置100と空気調和装置200とは、予め加湿コントローラ101、後述の空調コントローラ201及びシステムコントローラ300のいずれかから接続設定されてペアリングされるものとする。また、以降の説明で加湿装置100と空気調和装置200との間で情報をやり取りする場合は、予め接続設定でペアリングされた相手に対して、通信を行うものとする。
実施の形態1に係る加湿空調システム1000においては、加湿装置1001の加湿アシスト動作は空気調和装置2001が行い、加湿装置1002の加湿アシスト動作は空気調和装置2002が行うものとする。なお、加湿装置100の加湿アシスト動作を行う空気調和装置200は、基本的には水平方向に吹き出した空気を最も効率的に加湿装置100の吸込口104に供給できる空気調和装置200を選定するのが望ましい。具体的には、加湿装置100の加湿アシスト動作を行う空気調和装置200は、各装置間の距離、空気調和装置200の吹出方向が加湿装置100の吸込口104に向いているか否か、加湿装置100の吸込口104の形状、及び空気調和装置200の吹出空気が加湿装置100の吹出気流を乱さないか等を考慮して決定される。
図1の例では、空気調和装置2006の吹出口205A6から吹き出される空気も吸込口1041に向かうが、空気調和装置2001と比べると吸込口1041までの距離が長いことを考慮すると、加湿装置1001の加湿アシスト動作を行う空気調和装置200には空気調和装置2001を選定する方が望ましくなる。また、空気調和装置2004の吹出口205C4から吹き出される空気も吸込口1041に向かうが、吸込口1041が位置する方向とずれており効率的に吸い込みができないことを考慮すると、加湿装置1001の加湿アシスト動作を行う空気調和装置200には空気調和装置2001を選定する方が望ましくなる。また、空気調和装置2004が左右方向の風向制御ができる場合には、吸込口1041方向に直接吹出可能であるため、吸込口1041までの距離及び加湿装置1001の吹出気流を乱さない点も考慮すると、空気調和装置2004を選定する方が望ましくなる。空気調和装置2003については、吹出口205D3から吹き出される空気が吸込口1041に向かうが、吸込口1041に到達する前に吹出口1051を通過するため、加湿装置100の吹出気流を乱すことになり加湿アシスト動作を行うには不適となる。
つまり、空気調和装置200から加湿装置100へ送風する場合、吸込口104へ向けて送風すれば加湿アシスト動作を行うことになるが、吹出口105へ向けて送風すれば天井付近の暖かい空気により加湿装置100からの吹出空気の温度が上がり、かつ相対湿度は下がることで、加湿の妨げとなる。また、空気調和装置200が吹出口105へ向けて送風すると、加湿装置100からの吹出空気の温度が上がりユーザに不快感を与えるおそれがある。
実施の形態1では、加湿アシスト動作時の空気調和装置200から加湿装置100への気流は天井面に沿っているため、空気調和装置200から送風された気流が、在室している人に直接当たって不快感を与えることはないが、加湿装置100が加湿対象空間50に床置き設置される場合には、空気調和装置200から送風された気流が、在室している人に直接当たることで不快感を与えるおそれがある。このような場合には、空気調和装置200から加湿装置100への気流がユーザに直接当たらないよう、空気調和装置200の風向を調整すればよい。
統括部115は、「発停」、「検知湿度-設定湿度」、「設定湿度未達の継続時間」、「強制加湿入力のオンオフ」の各情報を出力判定条件に用いる。「発停」は、ユーザの指示が加湿装置100を運転する指示であるか停止する指示であるかを表す。「検知湿度-設定湿度」、湿度検知部170の検知湿度と加湿コントローラ101又はシステムコントローラ300から設定される設定湿度の差分である。「強制加湿入力のオンオフ」は、加湿コントローラ101又はシステムコントローラ300から設定される。なお、「設定湿度未達の継続時間」は、加湿対象空間50の湿度が設定湿度に達するとクリアされてゼロとなる。
発停が「停止」の場合は、加湿運転する必要がないため、他の要因によらず、送風ファン出力は「オフ」、給水電磁弁出力は「オフ」、加湿アシスト要求レベルは「なし」となる。
発停が「運転」、かつ検知湿度から設定湿度を減じた差分が「0%以上」であり、ユーザが強制加湿入力をオフに指定している場合は、加湿運転する必要がないため、他の要因によらず、送風ファン出力は「オフ」、給水電磁弁出力は「オフ」、加湿アシスト要求レベルは「なし」とする。一方、発停が「運転」、かつ検知湿度から設定湿度を減じた差分が「0%以上」であり、ユーザが強制加湿入力をオンに指定している場合は、ユーザの指定の通りに加湿運転させるため、送風ファン出力は「オン」、給水電磁弁出力は「オン」、加湿アシスト要求レベルは「なし」とする。なお、強制加湿入力がオンに指定されている場合は、加湿アシスト要求レベルを必ず「あり」としてもよい。
また、発停が「運転」、かつ検知湿度から設定湿度を減じた差分が「-10%未満」である場合、送風ファン出力は「オン」、給水電磁弁出力は「オン」、加湿アシスト要求レベルは、「設定湿度未達の継続時間」が長いほど、及び「強制加湿入力」がオンとなっているほど、レベルが高くなるよう設定する。
また、発停が「運転」、かつ検知湿度から設定湿度を減じた差分が「-10%から0%」である場合、送風ファン出力は「オン」、給水電磁弁出力は「オン」とする。加湿アシスト要求レベルは、「設定湿度未達の継続時間」が長いほど、及び「強制加湿入力」がオンとなっているほど、レベルが高くなるよう設定する。
図4は、実施の形態1に係る加湿空調システムの空気調和装置の機能ブロック図である。空気調和装置200は、空調コントローラ201と、加湿対象空間50に空調空気を供給する室内機202と、加湿対象空間50外に設置される室外機203とを有している。室内機202と室外機203とは、不図示の冷媒配管で接続されている。また、室内機202は、加湿対象空間50の天井裏に埋込状態又は吊下げ状態で設置され加湿対象空間50に空調空気を供給する送風ファン220と、室内空気の温度を検出する温度検知部260と、冷媒が供給される不図示の室内熱交換器と、制御部210とを有している。温度検知部260は、吸込口204から空気調和装置200に吸い込まれる空気の温度を検知する第2の温度検知部である。吹出口205A,205B,205C,205Dには上下方向に風向を独立して制御可能な風向制御手段であるである風向板ユニット230が設置されている。なお、風向板ユニット230は、回転自在の風向板、及び風向板を回転させるモータなどから構成され、吹出風向が水平面内で90度ずつ異なる4方向を向くように設定されている。制御部210については、後述する。
室外機203は、ビルの屋上といった屋外に設置される。室外機203は、冷媒を減圧する絞り装置と、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒の流路を切り換える四方弁と、暖房運転時には蒸発器の働きをし、冷媒運転時には凝縮器の働きをする室外熱交換器と、室外熱交換器に付設され、室外熱交換器に空気を供給する室外送風ファンとを有している。また、室外機203は、室内機202の制御部210と電気的に接続され、制御部210と情報をやりとりする不図示の室外機制御部を有している。室外機制御部は、例えば、圧縮機などが搭載される圧縮機室の上部に配置される電気品箱に設けられる。室外機制御部は、室内機202の制御部210から受け取った情報に基づいて圧縮機の運転強度及び絞り装置の開度を制御する。なお、室外機203に絞り装置が設置されているものとして説明するが、それに限定されるものではなく、室外機203の外側に絞り装置が設けられていてもよい。
室内機202の送風ファン220、風向板ユニット230、室外機203の圧縮機、絞り装置、四方弁及び室外送風ファンは、空気調和装置200の駆動部である。なお、室内機202に備え付けられる集塵フィルタに付設されるプラズマ集塵部などを有していてもよい。なお、プラズマ集塵部は、対向電極及び電源を有する。室内機202がプラズマ集塵部を有する場合、プラズマ集塵部も駆動部に該当する。
空調コントローラ201は、空気調和装置200を動作させるのに利用されるプログラムであるアプリケーションを有している。このアプリケーションは、風量の調節、設定温度の調節、風向板ユニット230の角度の調節などを入力することができる。例えば、ユーザが空調コントローラ201から、風量変更、設定温度変更、又は風向板ユニット230の角度変更を実行する操作を行うと、操作によって入力された情報が制御部210の空調コントローラ通信部211に出力される。そして、制御部210は、例えば風量変更の出力を受け取ると、送風ファン220の回転速度を増減する。また、制御部210は、設定温度変更の出力を受け取ると、絞り装置の開度の調整及び圧縮機の運転強度の増減などを行う。さらに、制御部210は、風向板ユニット230の角度変更の出力を受け取ると、風向板ユニット230を駆動する不図示のモータを動作させる。なお、空調コントローラ201は、有線で室内機202に接続されたものとして説明するが、有線接続に限定されるものではなく、空気調和装置200に無線接続されて遠隔操作できるリモートコントローラであってもよい。なお、システムコントローラ300のみで、空気調和装置200を操作するシステム構成とする場合は、空調コントローラ201は不要となる。
制御部210は、空調コントローラ通信部211、システム通信部212、室外機通信部213、統括部215、出力部216、入力部217及び記憶部214を備えている。
空調コントローラ通信部211は、空調コントローラ201から出力される操作情報を受信し処理する。また、空調コントローラ通信部211は、室内機202の情報を空調コントローラ201に送信する。また、システム通信部212は、システムコントローラ300又は加湿装置100から出力される操作情報を受信し処理する。また、システム通信部212は、室内機202の情報を、システムコントローラ300又は加湿装置100に送信する。また、室外機通信部213は、室外機203から出力される操作情報を受信し処理する。また、室外機通信部213は、室内機202の情報を、室外機203に送信する処理を行う。ここで、室内機202から送信される情報には、室内機202の各種運転状態を示す情報を挙げられる。室内機202の運転状態には、発停、風量、設定温度、風向、吸込温度、運転モード、絞り装置の開度の調整及び圧縮機の運転強度の増減を例示できる。
記憶部214は、各種の制御設定値及びプログラムなどが記憶されている。記憶部214には、フラッシュメモリなどの半導体記憶媒体を適用できる。
統括部215は、空調コントローラ通信部211、システム通信部212、室外機通信部213を介して操作情報を受信したときなどに、記憶部214から操作情報などに基づいた制御設定値又はプログラムなどを読み出し、演算を実行した結果を示す情報を出力部216と、空調コントローラ通信部211、システム通信部212又は室外機通信部213とを介して、空調コントローラ201、システムコントローラ300、加湿装置100又は室外機203へ出力する。
出力部216は、統括部215から演算結果の情報を受け取り、送風ファン220及び風向板ユニット230に動作指示を出力する。
入力部217は、管轄する空調対象領域の空気温度を検出するための温度検知部260の入力信号を処理して、検知温度を算出し、統括部215へ入力する。
なお、温度検知部260は、室内機202の外部に設けられてもよく、空調対象領域の空気温度を検知するものであれば、室内機202以外の外部機器に温度検知部260の働きをさせてもよい。例えば、空調コントローラ201に備えられた温度検知部の情報を、空調コントローラ通信部211を介して取得してもよい。また、加湿装置100が温度検知部160を備えている場合は、加湿装置100の検知温度情報を、システム通信部212を介して取得してもよい。また、システムコントローラ300が管理している加湿装置100、空気調和装置200、又は加湿対象空間50に別途設置された不図示の温度検知部から取得した温度情報を、システム通信部212を介して取得してもよい。また、加湿装置100が備えている温度検知部160の情報を取得する場合には、温度検知部160の設置高さと、空調対象領域の高さとの差を考慮した温度補正を行ってもよい。
図5は、実施の形態1に係る加湿空調システムの空気調和装置の統括部による送風ファン出力、風向板ユニット出力及び温調能力の判定例を示す図である。風向板ユニット230は、吹出口205A,205B,205C,205Dから吹き出す空気の風向を独立して制御するため、「加湿装置の吸込口側」と「加湿装置の吸込口側以外」とで区別する。図1の例で具体的に示すと、空気調和装置2001では、吹出口205B1に設置された風向板ユニット230が「加湿装置の吸込口側」であり、空気調和装置2002では、吹出口205D2に設置された風向板ユニット230が「加湿装置の吸込口側」である。
統括部215は、「運転モード」、「加湿アシスト要求レベル」、「検知温度-設定温度」及び「設定温度未達の継続時間」を出力判定条件に用いる。「運転モード」は、ユーザの指示が暖房、冷房及び停止のいずれかであるかを示す。実施の形態1においては、「加湿アシスト要求レベル」は、加湿装置100から入力される。「検知温度-設定温度」は、温度検知部260の検知温度と空調コントローラ201又はシステムコントローラ300から設定される設定温度との差分である。「設定温度未達の継続時間」は、運転モードが「暖房」となってからの空調対象領域の検知温度が設定温度に達していない状態の継続時間である。なお、「設定温度未達の継続時間」は、空調対象領域の温度が設定温度に達するとクリアされてゼロとなる。
運転モードが「停止」の場合は、空気調和装置200の空調対象領域に対して温調制御を実行する必要はないため、空気調和装置200は、加湿装置100から加湿アシストの要求があれば、加湿アシスト動作を行う。
すなわち、「加湿アシスト要求レベル」が「なし」であれば、送風ファン出力を「停止」、吸込口104側の風向板ユニット出力を「閉」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力を「閉」、温調を「オフ」とすることで、加湿アシスト動作「なし」とする。
また、「加湿アシスト要求レベル」が「低」であれば、送風ファン出力を「弱」、吸込口104側の風向板ユニット出力を「水平」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力を「閉」、温調を「オフ」とすることで、加湿アシスト動作「あり」とする。
また、「加湿アシスト要求レベル」が「中」であれば、送風ファン出力を「弱」、吸込口104側の風向板ユニット出力を「水平」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力を「閉」、温調を「50%でオン」とすることで、加湿アシスト動作「あり」とする。なお、この場合の加湿アシスト動作は、温調により加湿能力を強化した加湿アシスト動作となる。
また、「加湿アシスト要求レベル」が「高」であれば、送風ファン出力を「弱」、吸込口104側の風向板ユニット出力を「水平」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力を「閉」、温調を「100%でオン」とすることで、加湿アシスト動作「あり」とする。なお、この場合の加湿アシスト動作は、温調により加湿能力を強化した加湿アシスト動作となる。
上記の通り、空気調和装置200の運転モードが「停止」であっても、加湿装置100の「加湿アシスト要求レベル」に合わせて、送風ファン220、風向板ユニット230及び暖房を制御することで、天井付近にある暖かい空気、又は暖房により暖められた空気を加湿装置100に吸込ませることが可能となるため、加湿装置100による加湿量がアップし、加湿対象空間50の湿度を迅速に設定湿度へ到達させることができる。
また、風向板ユニット230を「加湿装置の吸込口側」と「加湿装置の吸込口側以外」とで独立に制御し、運転モードが「停止」の場合は、「加湿装置の吸込口側以外」を「閉」としたことで、空調対象領域に居るユーザに、吹き出し空気が当たる違和感を与えずに、加湿量を増大させる効果のみ得ることができる。さらに、ユーザに直接吹き出し空気が当たらないため、空調対象領域に吹き出した場合にはユーザが暑すぎると感じる温度まで加温した空気を加湿装置100に吸い込ませることも可能となる。
また、運転モードが「冷房」の場合は、加湿装置100が冷却された空気を吸込むと加湿装置100による加湿量が落ちてしまうため、加湿装置100の吸込口104に向けて気流を吹き出すための風向制御は行わない。つまり、空気調和装置200は、運転モードが「冷房」の場合は、空調対象領域の状態のみで、運転状態を決定すればよく、「加湿アシスト要求レベル」によらず、送風ファン出力を「操作値」、吸込口104側の風向板ユニット出力を「操作値」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力を「操作値」とし、温調は「検知温度-設定温度」が高いほど能力を上げることにより、加湿アシスト動作「なし」とする。なお、送風ファン出力の操作値は「強」、吸込口104側の風向板ユニット出力の操作値は「スイング」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力の操作値は、「スイング」とする。
上記の通り、空気調和装置200の運転モードが「冷房」の場合は、加湿装置100の吸込口104に向けて空気調和装置200が気流を吹き出しても加湿量を向上させる効果は見込めないため、常に空調対象領域の温度の快適性を優先した動作を行う。
また、運転モードが「暖房」で、加湿装置100からの「加湿アシスト要求レベル」が「なし」の場合は、加湿装置100において検知湿度が設定湿度を満足しているか、又は加湿装置100が「停止」状態となっているため、空気調和装置200は、空調対象領域の状態のみで、運転状態を決定する。すなわち、送風ファン出力は、「検知温度-設定温度」が「0℃以上」であれば、送風による冷風感を抑制するため「停止」とし、「0℃未満」であれば、「操作値」とする。また、吸込口104側の風向板ユニット出力は「操作値」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「操作値」とし、温調は、「検知温度-設定温度」が低いほど能力を上げる。したがって、加湿アシスト動作は「なし」となる。
上記の通り、空気調和装置200の運転モードが「暖房」で、「加湿アシスト要求レベル」が「なし」の場合は、加湿装置100の加湿対象空間50の湿度は満足されているため、常に空調対象領域の温度の快適性を優先した動作を行う。
また、運転モードが「暖房」で、加湿装置100からの「加湿アシスト要求レベル」が「低」の場合は、加湿装置100が給水電磁弁130をオンしてから、設定湿度未達の継続時間が「30分未満」であれば、空気調和装置200の加湿アシスト動作がなくても設定湿度に到達する可能性がある状態のため、基本的には、加湿アシスト動作を行う必要はないが、空調対象領域の状態が「快適」で温調を「オフ」とする場合は、加湿アシスト動作を行う。
具体的には、「検知温度-設定温度」が「0℃以上」であれば、送風ファン出力は「弱」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「水平」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「閉」、温調は「オフ」とすることで、加湿アシスト動作「あり」とする。
図6は、実施の形態1に係る加湿空調システムが加湿アシスト動作を行う状態の一例を示す図である。温調が「オフ」であるため、空気調和装置200から吸込口104に向かって天井付近に溜まった暖かい空気が送られ、加湿装置100による加湿量が増大する。
「検知温度-設定温度」が「-3℃から0℃」であれば、送風ファン出力は「操作値」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「操作値」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「操作値」、温調は「50%でオン」とすることで、加湿アシスト動作を「なし」とする。
「検知温度-設定温度」が「-3℃未満」であれば、送風ファン出力は「操作値」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「操作値」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「操作値」、温調は「100%でオン」とすることで、加湿アシスト動作を「なし」とする。
図7は、実施の形態1に係る加湿空調システムが加湿アシスト動作を行っていない状態の一例を示す図である。空気調和装置200から下向きに空気が吹き出され、空気調和装置200から吸込口104に向けて空気が吹き出されていない。したがって、加湿装置100には、天井付近に溜まった暖かい空気以外の空気が吸い込まれるため、空気調和装置200が吹き出す空気の影響で加湿装置100による加湿量が増大することはない。
上記の通り、空気調和装置200の運転モードが「暖房」で、「加湿アシスト要求レベル」が「低」の場合は、空気調和装置200の空調対象領域で「検知温度-設定温度」が「0℃以上」の状態にある時のみ、加湿アシスト動作を行う。つまり、加湿対象空間50の湿度が一時的に低いような状況では、空調対象領域の温度の快適性が満足されている場合のみ、空調対象領域の温度の快適性よりも、加湿対象空間50の湿度の快適性の向上を優先する。
ただし、空調対象領域の温度の快適性が満足されなくなった場合には、空調対象領域の温度の快適性の向上を、加湿対象空間50の湿度の快適性よりも優先する。言い換えると、空調対象領域の温度の快適性と、加湿対象空間50の湿度の快適性とのバランスを考慮した上で、加湿アシスト動作を実行させる。
また、空気調和装置200の空調対象領域で「検知温度-設定温度」が「0℃以上」の状態にある時は、天井付近にある暖かい空気を加湿装置100に吸込ませることが可能となるため、加湿装置100の加湿量がアップし、加湿対象空間50の湿度を迅速に設定湿度へ到達させることができる。
また、風向板ユニット230を「加湿装置の吸込口側」と「加湿装置の吸込口側以外」とで独立に制御し、加湿アシスト動作「あり」の場合でも「加湿装置の吸込口側以外」は操作値のままとすることで、加湿アシスト動作「あり」時でも、「加湿装置の吸込口側以外」の空調対象領域における温度の快適性を保つことができる。
運転モードが「暖房」で、加湿装置100からの「加湿アシスト要求レベル」が「中」の場合は、加湿装置100が給水電磁弁130をオンしてから、設定湿度未達の継続時間が30分以上になっているなど、空気調和装置200が加湿アシスト動作の優先度を上げて実行する必要があるため、空調対象領域での「検知温度-設定温度」が「0℃以上」の状態であれば、加湿アシスト動作を行う。空調対象領域での「検知温度-設定温度」が「-3℃から0℃」の状態であれば、加湿アシスト動作を行うが、「設定温度未達の継続時間」が長くなった場合は、空調対象領域の温調制御を優先する。空調対象領域での「検知温度-設定温度」が「-3℃未満」の状態であれば、空調対象領域の温調制御を優先する。
具体的には、「検知温度-設定温度」が「0℃以上」であれば、送風ファン出力は「弱」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「水平」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「閉」、温調は「50%でオン」とすることで、加湿アシスト動作「あり」とする。なお、この場合の加湿アシスト動作は、温調により加湿能力を強化した加湿アシスト動作となる。
また、「検知温度-設定温度」が「-3℃から0℃」であり、かつ「設定温度未達の継続時間」が「30分未満」であれば、送風ファン出力は「操作値」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「水平」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「操作値」、温調は「50%でオン」とすることで、加湿アシスト動作「あり」とする。
図8は、実施の形態1に係る加湿空調システムが加湿アシスト動作を行う状態の一例を示す図である。空気調和装置200から吸込口104に向かって暖房によって暖められた空気が送られるため、温調が「オフ」の場合よりも加湿装置100による加湿量がさらに増大する。
また、「検知温度-設定温度」が「-3℃から0℃」であり、かつ「設定温度未達の継続時間」が30分以上であれば、送風ファン出力は「操作値」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「操作値」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「操作値」、温調は「50%でオン」とすることで、加湿アシスト動作を「なし」とする。
また、「検知温度-設定温度」が「-3℃未満」であれば、送風ファン出力は「操作値」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「操作値」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「操作値」、温調は「100%でオン」とすることで、加湿アシスト動作を「なし」とする。
上記の通り、空気調和装置200の運転モードが「暖房」で、「加湿アシスト要求レベル」が「中」の場合は、空気調和装置200の空調対象領域での「検知温度-設定温度」が「0℃以上」の状態にある時に加え、空調対象領域での「検知温度-設定温度」が「-3℃から0℃」の状態にある場合にも、加湿アシスト動作を実行させる。つまり、加湿対象空間50の湿度が一定期間、設定湿度を満足しない状況のため、空調対象領域の温度の快適性がやや不快なレベルにある場合には、空調対象領域の温度の快適性よりも、加湿対象空間50の湿度の快適性の向上を優先する。
ただし、空調対象領域の温度の快適性が不快なレベルである場合、及び「設定温度未達の継続時間」が一定時間を越えた場合には、空調対象領域の温度の快適性の向上を、加湿対象空間50の湿度の快適性よりも優先する。言い換えると、空調対象領域の温度の快適性と、加湿対象空間50の湿度の快適性とのバランスを考慮した上で、加湿アシスト動作を実行させる。
また、空気調和装置200の空調対象領域での「検知温度-設定温度」が「0℃以上」の状態にある時は、天井付近にある暖かい空気を温調することで温度を高め、加湿装置100に吸込ませることが可能となるため、温調せずに加湿アシスト動作を行う時と比べ、加湿装置100の加湿量が大幅に向上し、加湿対象空間50の湿度を迅速に設定湿度へ到達させることができる。言い換えると、空気調和装置200が加湿装置100の加湿能力を大幅に向上させることができる。
また、風向板ユニット230を「加湿装置の吸込口側」と「加湿装置の吸込口側以外」とで独立に制御し、加湿アシスト動作「あり」の場合でも「加湿装置の吸込口側以外」は操作値である下向きのままとすることにより、「加湿装置の吸込口側以外」の空調対象領域に居るユーザにとっての温度の快適性を、加湿アシスト動作「あり」時でも保つことができる。
運転モードが「暖房」で、加湿装置100からの「加湿アシスト要求レベル」が「高」の場合は、加湿装置100が給水電磁弁130をオンしてから、設定湿度未達の継続時間が「1時間以上」になっているなど、空気調和装置200が加湿アシスト動作の優先度をさらに上げる必要があるため、空調対象領域の状態によらず加湿アシスト動作を行うが、「設定温度未達の継続時間」が長くなった場合は、空調対象領域の温調制御を優先する。
具体的には、「検知温度-設定温度」が「0℃以上」であれば、送風ファン出力は「弱」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「水平」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「閉」、温調は「100%でオン」とすることで、加湿アシスト動作「あり」とする。なお、この場合の加湿アシスト動作は、温調により加湿能力を強化した加湿アシスト動作となる。
「検知温度-設定温度」が「-3℃から0℃」であり、かつ「設定温度未達の継続時間」が「30分未満」であれば、送風ファン出力は「操作値」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「水平」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「操作値」、温調は「100%でオン」とすることで、加湿アシスト動作「あり」とする。なお、この場合の加湿アシスト動作は、温調により加湿能力を強化した加湿アシスト動作となる。
「検知温度-設定温度」が「-3℃から0℃」であり、かつ「設定温度未達の継続時間」が「30分以上」であれば、送風ファン出力は「操作値」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「操作値」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「操作値」、温調は「50%でオン」とすることで、加湿アシスト動作を「なし」とする。
「検知温度-設定温度」が「-3℃未満」であり、かつ「設定温度未達の継続時間」が「15分未満」であれば、送風ファン出力は「操作値」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「水平」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「操作値」、温調は「100%でオン」とすることで、加湿アシスト動作「あり」とする。
「検知温度-設定温度」が「-3℃未満」であり、かつ「設定温度未達の継続時間」が「15分以上」であれば、送風ファン出力は「操作値」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「操作値」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「操作値」、温調は「100%でオン」とすることで、加湿アシスト動作を「なし」とする。
上記の通り、空気調和装置200の運転モードが「暖房」で、「加湿アシスト要求レベル」が「高」の場合は、「設定温度未達の継続時間」が一定時間を越えた場合を除いて加湿アシスト動作を実行させる。つまり、加湿対象空間50の湿度が著しく低下している場合、又は長期間、設定湿度を満足しない状況が続いている場合は、空調対象領域の温度の快適性が満足されていない場合でも、空調対象領域の温度の快適性よりも、加湿対象空間50の湿度の快適性の向上を優先する。
ただし、「設定温度未達の継続時間」が一定時間を越えた場合には、空調対象領域の温度の快適性の向上を、加湿対象空間50の湿度の快適性よりも優先する。言い換えると、空調対象領域の温度の快適性と、加湿対象空間50の湿度の快適性とのバランスを考慮した上で、加湿アシスト動作を実行させる。
また、空気調和装置200の空調対象領域での「検知温度-設定温度」が0℃未満の状態にある時は、天井付近にある暖かい空気を温調することで温度を高め、加湿装置100に吸込ませることが可能となるため、温調せずに加湿アシスト動作を行う時と比べ、加湿装置100の加湿量が大幅に向上し、加湿対象空間50の湿度を迅速に設定湿度へ到達させることができる。言い換えると、空気調和装置200が加湿装置100の加湿能力を大幅に向上させることができる。
また、風向板ユニット230を「加湿装置の吸込口側」と「加湿装置の吸込口側以外」とで独立に制御し、加湿アシスト動作「あり」の場合でも「加湿装置の吸込口側以外」は操作値である下向きのままとすることにより、「加湿装置の吸込口側以外」の空調対象領域に居るユーザにとっての温度の快適性を、加湿アシスト動作「あり」時でも保つことができる。
また、加湿アシスト動作時に、加湿装置100の吸込口104側の風向板ユニット230を水平方向にすることで加湿対象空間50内に気流が発生するため、空間内の温度ムラ及び湿度ムラを解消する効果も得られる。なお、加湿アシスト動作の要否を判定するにあたり、加湿対象空間50内の温度ムラ又は湿度ムラが発生している必要はなく、温度ムラ又は湿度ムラがない状態であっても、実施の形態1に係る加湿空調システム1000は、空調対象領域の温度の快適性と、加湿対象空間50の湿度の快適性とのバランスを考慮した上で、加湿アシスト動作を実行させ、加湿対象空間50の湿度を迅速に設定湿度へ到達させることができる。
なお、以下に、空気調和装置200の統括部215による送風ファン出力、風向板ユニット出力及び温調能力の判定の変形例について記載するが、判定結果パターンの何れにしたがって空気調和装置200を動作させるかをユーザが予め、加湿コントローラ101、空調コントローラ201、システムコントローラ300及び加湿ユニット102が備える不図示の機能設定スイッチ又は室内機202が備える不図示の機能設定スイッチ等から設定できるようにしてもよい。
図5において、加湿アシスト動作「あり」時に、送風ファン出力が「弱」である箇所は、空気調和装置200の風向板ユニット230から加湿装置100の吸込口104までの距離が近く、強風量では空気調和装置200からの吹出空気を効率的に吸込めない場合を想定している。このため、空気調和装置200の風向板ユニット230から、加湿装置100の吸込口104までの距離にあわせて、空気調和装置200からの吹出空気が、効率的に加湿装置100に吸い込まれる風量という観点で、「強」又は「中」にしてもよい。つまり、空調コントローラ201、又はシステムコントローラ300からの風量操作値から適宜変更すればよい。また、省エネルギー性を考慮して、操作値から風量アップしないように、又は操作値によらず最低風量で動作させてもよい。
また、加湿アシスト動作「あり」時に、吸込口104側の風向板ユニット出力は「水平」としたが、左右風向調整も可能であれば、加湿装置100の吸込口104へ吹き出せるよう調整してもよい。これにより、空気調和装置200からの吹出空気がより効率的に加湿装置100に吸い込まれるため、加湿量を増大させる効果が高まる。
また、いわゆる一方向吹出しの天井カセット型等の加湿装置100では、吸込口104と吹出口105が非常に近くなる場合がある。このような場合、加湿アシスト動作「あり」時に、吸込口104側の風向板ユニット出力は、左右風向については加湿装置100の吸込口104に向かって直線的に吹き出さずに、吹出口105から遠ざかる方向に、角度をずらすよう調整する。これにより、空気調和装置200からの吹出空気が加湿装置100からの吹出し気流を乱すことなく、言い換えると加湿対象空間50に居るユーザの快適性を損ねることなく、加湿量を増大させる効果を得ることが可能となる。なお、左右方向にずらす角度は空気調和装置200と加湿装置100の距離に応じて適宜調整されればよい。また、空気調和装置200の吹出口205A,205B,205C,205Dと、加湿装置100の吸込口104との間に別の装置の吹出し口が存在する場合にも、同様に吹出し気流を乱さないよう左右風向の調整を適宜実行すればよい。
また、運転モード「停止」で加湿アシスト動作「あり」時は、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は、空気を吹き出す必要がないので「閉」としたが、「水平」方向等に吹き出したとしても、空調対象領域に居るユーザに吹き出し空気が当たる違和感を与えずに加湿量を増大させる効果は得られる。
また、運転モード「停止」で加湿アシスト動作「あり」時は、温調制御に関しては、加湿量を増大させる効果を高めるため「加湿アシスト要求レベル」が「低」、「中」、「高」と高くなるにつれ、「オフ」、「50%でオン」、「100%でオン」としたが、加湿効率アップを最優先にする場合は、「100%でオン」、「100%でオン」、「100%でオン」としてもよいし、省エネルギー性を考慮し、「オフ」、「オフ」、「50%でオン」、又は「オフ」、「オフ」、「オフ」としてもよい。送風ファン220を作動させかつ吸込口104側の風向板ユニット出力を「水平」としていれば、天井付近に溜まった暖かい空気を利用して、加湿量を増大させる効果を得ることができる。
また、運転モード「停止」の場合は、停止していた空気調和装置200が、加湿アシスト動作を実行するために運転することで、ユーザが違和感を持つ可能性があるため、運転モードが「停止」の場合は、そもそも加湿アシスト動作を実行しないようにしてもよいし、加湿アシスト要求レベルが「高」の場合のみ加湿アシスト動作を実行させるようにしてもよい。
また、運転モード「冷房」の場合は、加湿アシスト動作を「なし」としたが、空気調和装置200の空調対象領域が「快適」の場合は、温調が「オフ」となるため、加湿装置100が冷やされた空気を吸込むことはなくなる。よって、天井付近にたまった暖かい空気を利用し、加湿アシスト動作を行えるようにしてもよい。この場合、送風ファン出力は「弱」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「水平」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「操作値」、温調は「オフ」とすることで、加湿アシスト動作「あり」とする。
さらに、運転モードを「冷房」から「暖房」に自動的に切り換えた上で、温調制御することにより、「暖房」による温調でさらに暖められた空気を加湿装置100に吸込ませることが可能となる。この場合、送風ファン出力は「弱」、吸込口104側の風向板ユニット出力は「水平」、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「閉」、温調は「オン」とすることにより、加湿アシスト動作「あり」とする。なお、この場合の加湿アシスト動作は、温調により加湿能力を強化した加湿アシスト動作となる。運転モードを「冷房」から「暖房」に自動的に切り換える場合には、ユーザ操作は元々「冷房」モードであったため、ユーザが求めていた「冷風」ではない「温風」がユーザに当たらないよう、吸込口104側以外の風向板ユニット出力は「閉」としておく。
オフィスオートメーション機器の発熱により室内温度が上昇したために冷房運転を実行している冬季のオフィスのようなケースでは、加湿対象空間50の湿度が著しく低下している場合、又は設定湿度を満足しない状況が長期間続いている場合には、空調対象領域の温度の快適性よりも、加湿対象空間50の湿度の快適性の向上を優先する。ただし、空調対象領域の温度の快適性が不快なレベルまで落ちている場合、及び「設定温度未達の継続時間」が一定時間を越えた場合には、空調対象領域の温度の快適性の向上を、加湿対象空間50の湿度の快適性よりも優先するように戻せばよい。言い換えると、空調対象領域の温度の快適性と、加湿対象空間50の湿度の快適性とのバランスを考慮した上で、加湿アシスト動作を実行させる。
この際、風向板ユニット230は全ての方向で「水平」又は「閉」としたため、空調対象領域に居るユーザに、吹き出し空気が当たることによる違和感を与えずに、天井付近にある暖かい空気を暖房で温調することでさらに温度を高めてから、加湿装置100に吸込ませることが可能となる。したがって、温調せずに加湿アシスト動作を行う時と比べ、加湿装置100による加湿量が大幅に向上し、加湿対象空間50の湿度を迅速に設定湿度へ到達させることができる。言い換えると、空気調和装置200が加湿装置100の加湿能力を大幅に向上させることができる。さらに、ユーザに直接吹き出し空気が当たらないため、空調対象領域に吹き出した場合にはユーザが暑すぎると感じる温度まで加温した空気を加湿装置100に吸い込ませることも可能となる。
以上のように、実施の形態1に係る加湿空調システム1000では、加湿装置100は、加湿装置100の発停状態、加湿対象空間50の検知湿度と加湿装置100の設定湿度との差、加湿対象空間50の検知湿度が加湿装置100の設定湿度に到達していない時間、及び加湿装置100への強制加湿入力に基づいて、加湿アシスト要求レベルを決定する。また、空気調和装置200は、空気調和装置200の運転モード、加湿アシスト要求レベル、空調対象領域の検知温度と空気調和装置200の設定温度との差、及び空調対象領域の検知温度が空気調和装置200の設定温度に到達していない時間に基づいて、加湿アシスト動作を適宜実行する。このため、空調対象領域の温度の快適性と、加湿対象空間50の湿度の快適性とのバランスを考慮した上で、加湿対象空間50の湿度を迅速に設定湿度へ到達させることが可能となる。
また、空気調和装置200の風向板ユニット230を、加湿装置100の吸込口104側と吸込口104側以外とで独立に制御することにより、加湿装置100側の吸込口104以外の空調対象領域に関しては、加湿アシスト動作に関わらず、常に温度の快適性を優先した動作が可能である。
また、実施の形態1に係る加湿空調システム1000において、加湿装置100は、加湿装置100の発停状態、加湿対象空間50の検知湿度と加湿装置100の設定湿度との差、加湿対象空間50の検知湿度が加湿装置100の設定湿度に到達していない時間、及び加湿装置100への強制加湿入力に基づいて、加湿アシスト要求レベルを決定していたが、少なくとも加湿装置100の発停状態、加湿対象空間50の検知湿度と加湿装置100の設定湿度との差、の二つの情報があれば、加湿アシスト要求レベル「なし」を判定することは可能である。これにより、不要な加湿アシスト動作を回避可能である。
実施の形態1に係る加湿空調システム1000において、加湿装置100は、加湿対象空間50の外に設置された第3の吸込口である外部吸込口及び第3の吹出口である外部吹出口を備え、吸込口104から吸い込んで外部吹出口から吹き出す排気流と、外部吸込口から吸い込んで吹出口105から吹き出す給気流との間で熱交換を行い、熱交換後の空気を加湿する熱交換換気装置であってもよい。空気調和装置200によって加熱された空気を吸込口104から吸い込んで排気流を形成することにより、排気流との間で熱交換が行われる給気流の温度が上昇する。したがって、加湿装置100が熱交換換気装置である場合も、加湿量を増大させることができる。
また、実施の形態1に係る加湿空調システム1000において、空気調和装置200は、空気調和装置200の運転モード、加湿アシスト要求レベル、空調対象領域の検知温度と空気調和装置200の設定温度との差、及び、空調対象領域の検知温度が空気調和装置200の設定温度に到達していない時間に基づいて、加湿アシスト動作を適宜実行するようにしていたが、少なくとも空気調和装置200の運転モード、及び加湿アシスト要求レベル、の二つの情報があれば、不要な加湿アシスト動作を回避可能である。
また、実施の形態1に係る加湿空調システム1000においては、加湿装置100が加湿アシスト要求レベルを判定していたが、空気調和装置200又はシステムコントローラ300が加湿アシスト要求レベルを判定してもよい。具体的には、空気調和装置200が判定する場合、空気調和装置200は、加湿装置100の発停状態、加湿対象空間50の検知湿度、加湿対象空間50の設定湿度、及び強制加湿入力の情報を、システム通信部212を介して取得し、加湿アシスト要求レベルを判定すればよい。また、システムコントローラ300が判定する場合、システムコントローラ300は、加湿装置100の発停状態、加湿対象空間50の検知湿度、加湿対象空間50の設定湿度、及び強制加湿入力の情報を取得し、加湿アシスト要求レベル判定の上、空気調和装置200へ判定結果を送信すればよい。
また、実施の形態1に係る加湿空調システム1000において、空気調和装置200が加湿アシスト動作を実行するか否かを判定していたが、加湿アシスト動作を実行するか否かを加湿装置100又はシステムコントローラ300が判定してもよい。具体的には、加湿装置100が判定する場合、加湿装置100は、空気調和装置200の運転モード、空調対象領域の検知温度、及び空調対象領域の設定温度を、システム通信部112を介して取得し、加湿アシスト動作内容を判定し、判定結果を空気調和装置200へ送信すればよい。また、システムコントローラ300が判定する場合、システムコントローラ300は、加湿装置100から加湿アシスト要求レベルを取得し、空気調和装置200から、空気調和装置200の運転モード、空調対象領域の検知温度、及び空調対象領域の設定温度を取得し、加湿アシスト動作内容を判定し、判定結果を空気調和装置200へ送信すればよい。
なお、実施の形態1に係る加湿空調システム1000において、加湿装置100が加湿アシスト動作を実行するか否かを判定する際、検知湿度と設定湿度とを相対湿度にて判定していたが、加湿アシスト動作時は空気調和装置200から暖められた空気を吸込むことになり、相対湿度は下がってしまうため、適宜絶対湿度による判定を行ってもよい。
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2に係る加湿空調システムの空気調和装置の統括部による送風ファン出力、風向板ユニット出力及び温調能力の判定例を示す図である。なお、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能及び構成については同一の符号を用いて述べる。また、実施の形態1と同一の機能及び構成についての説明は省略する。実施の形態1に係る加湿空調システム1000との相違点は、空気調和装置200の統括部215が、加湿アシスト動作における温調能力の判定を空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度との差分情報を加えて行う点にある。
実施の形態1に係る加湿空調システム1000では、空気調和装置200の運転モードが「停止」時、又は空気調和装置200の空調対象領域の検知温度が設定温度に到達している場合に、加湿アシスト要求レベルが「あり」となったら、温調を「オン」に切り換えて加湿アシスト動作を行っていた。しかし、空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度との差分が規定値以上の場合は、天井付近に溜まった暖かい空気を利用しても加湿量アップが見込める。このため、実施の形態2に係る加湿空調システム1000は、温調が「オフ」のまま加湿アシスト動作を実行する。一方、空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度との差分が規定値未満の場合は、天井付近に溜まった空気を温調することで、加湿装置100が吸込む空気の温度を積極的に上げ、加湿アシスト効果を高める。これにより、温調が「オン」となるケースを抑制しながら、加湿アシスト動作を実行可能となるため、より省エネルギーで加湿対象空間50の湿度を迅速に設定湿度へ到達させることを可能とした。
また、加湿アシスト要求レベルが高くなる場合は、加湿対象空間50の湿度をより迅速に設定湿度へ上げる必要があるため、温調のオンオフを判断する閾値を変更し、より温調がオンになりやすいようにした。
以上のように、実施の形態2に係る加湿空調システム1000では、空気調和装置200が、空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度との差分にも基づいて加湿アシスト動作時に温調をオンするか否かを判断するようにしたため、加湿アシスト動作のために、温調が「オフ」から「オン」に切り換えることを低減できる。つまり、より省エネルギーで加湿対象空間50の湿度を迅速に設定湿度へ到達させることを可能とした。
なお、実施の形態2に係る加湿空調システム1000においては、加湿アシスト要求レベルが高い場合、加湿対象空間50の湿度をより迅速に設定湿度へ上げる必要があるため、温調をオンするか否かを判断する閾値を変更し、より温調がオンになりやすいようにしていたが、温調をオンするか否かを判断する閾値は、加湿アシスト要求レベルによらず固定であってもよい。例えば、温調をオンするか否かを判断する閾値を1℃に固定にすると、空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度との差が1℃未満になるまで、温調が「オフ」での加湿アシスト動作を続けることが可能となるため、消費電力を抑制できる。また、温調をオンするか否かを判断する閾値を3℃に固定にすると、空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度の差が3℃未満になると、温調がオンでの加湿アシスト動作となるため、天井付近に溜まった空気を暖めることで、加湿装置100が吸込む空気の温度を積極的に上げ、加湿量を増大させる効果をより高めることが可能となる。
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3に係る加湿空調システムの空気調和装置の統括部による送風ファン出力、風向板ユニット出力及び温調能力の判定例を示す図である。なお、特に記述しない項目については実施の形態2と同様とし、同一の機能及び構成については同一の符号を用いて述べる。また、実施の形態2と同一の機能及び構成についての説明は省略する。
実施の形態2に係る加湿空調システム1000との相違点は、空気調和装置200の統括部215が、加湿アシスト動作における温調能力の判定を空気調和装置200に接続されている室外機203の稼動状態にも基づいて行う点にある。
実施の形態2に係る加湿空調システム1000は、加湿アシスト要求レベルが「あり」となった場合、空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度との差分が規定値以上であれば、天井付近に溜まった暖かい空気を利用して加湿量アップが見込めるため、温調が「オフ」のまま加湿アシスト動作を実行する。また、空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度との差分が規定値未満であれば、天井付近に溜まった空気を温調することで、加湿装置100が吸込む空気の温度を積極的に上げ、加湿量を増大させる効果を高める。
しかし、1台の室外機203に複数の空気調和装置200が接続されたシステム構成を想定すると、一つの空気調和装置200が温調が「オフ」であった場合でも、他の空気調和装置200の温調状態によっては、接続される室外機203が「圧縮機オン」の状態もありえる。
よって、実施の形態3に係る加湿空調システム1000においては、空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度との差分が規定値以上の場合であっても、接続されている室外機203の稼動状態が「圧縮機オン」であった場合は、天井付近に溜まった空気をさらに温調することで、加湿装置100が吸込む空気の温度を積極的に上げ、加湿量を増大させる効果を高める。一方、「圧縮機オフ」の場合は、無理に室外機203を再稼動せずに、元々暖かい天井付近に溜まった空気を利用して、加湿アシスト動作を行う。
これにより、空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度との差分が規定値以上の場合であっても、室外機203の再稼動に伴う多大な消費電力アップを起こすことなく、積極的に天井付近の空気をさらに暖めることで、加湿対象空間50の湿度をより迅速に設定湿度へ到達させることができる。
また、空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度との差分が規定値以上の場合は、そもそも天井付近に溜まった空気の温度は高い状態にあるため、加湿アシスト動作時に温調をオンする場合でも、温調能力を「50%でオン」とすることで、システム全体での消費電力アップを必要最小限に抑制する。
以上のように、実施の形態3に係る加湿空調システム1000では、空気調和装置200が、空気調和装置200に接続される室外機203の稼動状態にも基づいて加湿アシスト動作時に温調をオンするか否かを判断するため、室外機203の再稼動に伴う多大な消費電力アップを起こすことなく、積極的に天井付近の空気をさらに暖めることで、加湿対象空間50の湿度をより迅速に設定湿度へ到達させることができる。
なお、実施の形態3に係る加湿空調システム1000において、空気調和装置200は、室外機203の稼動状態、すなわち圧縮機のオンオフに応じて、温調のオンオフを判断していたが、室外機203における圧縮機の運転周波数とエネルギー効率との関係から、より細かく温調能力を決定するようにしてもよい。
具体的には、空気調和装置200が室外機203から現在の運転周波数とエネルギー効率が最大となる運転周波数との情報を取得し、エネルギー効率が上がる方向になる場合は、温調をオンし、エネルギー効率が下がる方向になる場合は、エネルギー効率が規定値以上になるのであれば温調をオンし、エネルギー効率が規定値未満になるのであれば温調をオフするように制御する。さらに実施の形態3においては、温調オンの能力を50%と100%との2値としたが、より細かく温調能力を設定できる場合には、温調能力を調整して、エネルギー効率が規定範囲になるよう調整してもよい。これにより、室外機203のエネルギー効率に応じて、加湿アシスト動作を行うことが可能となり、システム全体での消費電力アップを必要最小限に抑制可能となる。
また、実施の形態3に係る加湿空調システム1000において、空気調和装置200は、空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度との差分に基づいて温調をオンするか否かを判断していたが、空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度との差分は使わずに温調能力を決定するようにしても同様の効果が得られる。
実施の形態4.
図11は、本発明の実施の形態4に係る加湿空調システムの空気調和装置の統括部による送風ファン出力、風向板ユニット出力、及び温調能力の判定例を示す図である。なお、特に記述しない項目については実施の形態3と同様とし、同一の機能及び構成については同一の符号を用いて述べる。また、実施の形態3と同一の機能及び構成についての説明は省略する。図11中の人感センサが「在」の欄は、空気調和装置200の空調対象領域に人が存在することを人感センサが検知したことを表す。図11中の人感センサが「不在」の欄は、空気調和装置200の空調対象領域に人が存在することを人感センサが検知しなかったことを表す。
実施の形態3に係る加湿空調システム1000との相違点は、空気調和装置200の統括部215が、加湿アシスト動作における温調能力の判定を空気調和装置200に別途接続される人感センサの検知状態にも基づいて行う点にある。なお、人感センサは、接続される空気調和装置200の空調対象領域に存在する人を検知可能である。実施の形態4に係る加湿空調システム1000においては、4箇所の吹出口205A,205B,205C,205Dのそれぞれにおける空調対象領域で人が存在するかを検知できるものとする。
実施の形態3では、空調対象領域の検知温度と空気調和装置200の設定温度との差と、空調対象領域の検知温度が空気調和装置200の設定温度に到達していない時間とから、空調対象領域の温度の快適性の向上を、加湿対象空間50の湿度の快適性よりも優先するようにしていた条件においても、実施の形態4では、空気調和装置200の空調対象領域に人が存在することを人感センサが検知しなかった場合には、加湿アシスト動作「あり」とする。言い換えれば、空調対象領域の温度の快適性よりも、加湿対象空間50の湿度の快適性の向上を優先する。なお、空調対象領域の温度の快適性の向上を、加湿対象空間50の湿度の快適性よりも優先するようにしていた条件とは、例えば、加湿アシスト要求レベルが「低」、かつ空調対象領域での「検知温度-設定温度」が「-3℃から0℃」の場合である。
これにより、空調対象領域に人が不在である場合に、積極的に加湿アシスト動作を行うことが可能となり、加湿対象空間50の湿度をより迅速に設定湿度へ到達させることができる。
以上のように、実施の形態4に係る加湿空調システム1000では、空気調和装置200が、空気調和装置200に接続される人感センサの検知状態を加えて加湿アシスト動作を判定するようにしたため、空調対象領域に人が不在である場合に、積極的に加湿アシスト動作を行うことが可能となり、加湿対象空間50の湿度をより迅速に設定湿度へ到達させることができる。
また、実施の形態4に係る加湿空調システム1000において、空気調和装置200は、空気調和装置200の運転モードが「暖房」時に、加湿アシスト要求レベルが「あり」となった場合、空調対象領域の検知温度が空気調和装置200の設定温度に到達していない時間、空気調和装置200の検知温度と加湿装置100の検知温度の差分情報、及び空気調和装置200に接続される室外機203の稼動状態に基づいて、加湿アシスト動作を判定していたが、上記の情報を使わずに、空調対象領域の検知温度と空気調和装置200の設定温度との差、及び人感センサの検知結果のみで加湿アシスト動作を決定するようにしても同様の効果は得られる。
上記の実施の形態1から実施の形態4に係る制御部110,210の機能は、処理回路により実現される。処理回路は、専用のハードウェアであっても、記憶装置に格納されるプログラムを実行する処理装置であってもよい。制御部110,210には、マイクロコントローラを適用可能であるが、これに限定されない。
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又はこれらを組み合わせたものが該当する。図12は、実施の形態1から実施の形態4に係る加湿装置又は空気調和装置の制御部の機能をハードウェアで実現した構成を示す図である。処理回路29には、制御部110,210の機能を実現する論理回路29aが組み込まれている。
処理回路29が処理装置の場合、制御部110,210の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
図13は、実施の形態1から実施の形態4に係る加湿装置又は空気調和装置の制御部の機能をソフトウェアで実現した構成を示す図である。処理回路29は、プログラム29bを実行するプロセッサ291と、プロセッサ291がワークエリアに用いるランダムアクセスメモリ292と、プログラム29bを記憶する記憶装置293を有する。記憶装置293に記憶されているプログラム29bをプロセッサ291がランダムアクセスメモリ292上に展開し、実行することにより、制御部110,210の機能が実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラム言語で記述され、記憶装置293に格納される。プロセッサ291は、中央処理装置を例示できるがこれに限定はされない。記憶装置293は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、又はEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった半導体メモリを適用できる。半導体メモリは、不揮発性メモリでもよいし揮発性メモリでもよい。また記憶装置293は、半導体メモリ以外にも、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク又はDVD(Digital Versatile Disc)を適用できる。なお、プロセッサ291は、演算結果といったデータを記憶装置293に出力して記憶させてもよいし、ランダムアクセスメモリ292を介して不図示の補助記憶装置に当該データを記憶させてもよい。
処理回路29は、記憶装置293に記憶されたプログラム29bを読み出して実行することにより、制御部110,210の機能を実現する。プログラム29bは、制御部110,210の機能を実現する手順及び方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。
なお、処理回路29は、制御部110,210の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、制御部110,210の機能の一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。
このように、処理回路29は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。