1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明において画像というときは、静止画だけでなく、動画を含むものとする。
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
遊技領域902には、表示装置91、始動領域904、大入賞領域906、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞領域906等の入賞領域に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否抽選手段が始動領域904(特図始動領域)への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否抽選情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否抽選結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報が存在する場合には、新たに取得された当否抽選情報は保留情報(厳密には後述する変動前保留情報)として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。
本実施形態では、保留図柄10として、当否抽選結果を報知する変動中演出(装飾図柄80(装飾図柄群80g)の変動開始から、当否抽選結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう。以下単に「変動」と称することもある)は開始されているものの、当否抽選結果の報知は完了していない当否抽選情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄11(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否抽選結果を報知する変動中演出が開始されていない当否抽選情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄12が表示される(図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄11の方が変動前保留図柄12よりも大きく表示されるが、両者の基本的な形態は同じである。変動中保留図柄11と変動前保留図柄12の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。また、変動中保留図柄11が表示されない構成としてもよい。なお、変動前保留図柄12に対応する当否抽選結果の報知が完了する順番(いわゆる保留「消化順」)は、右に位置するものほど早い。
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特図1および特図2の一方に相当する保留図柄10に関していえば、一つの変動中保留図柄11と、最大四つの変動前保留図柄12が表示されることがある(図2参照)。変動前保留図柄12は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射すべき状態(後述する通常遊技状態)であれば第一変動前保留情報(特図1保留)が変動前保留図柄12として表示され、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射すべき状態(後述する特別遊技状態)であれば第二変動前保留情報(特図2保留)が変動前保留図柄12として表示されるように設定されている。遊技状態によらず、記憶手段に記憶されている第一変動前保留情報および第二変動前保留情報のいずれにも対応する変動前保留図柄12が表示される(最大八つの変動前保留図柄12が表示される)構成としてもよい。
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される装飾図柄80(図2参照)の組み合わせによって当否抽選結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の装飾図柄80を含む装飾図柄群80g(左装飾図柄群80gL、中装飾図柄群80gC、右装飾図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各装飾図柄群80gから一の装飾図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各装飾図柄群80gから選択されて停止した装飾図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ装飾図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。装飾図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
なお、表示領域911の外縁近傍に、目立たないように各種情報を示す画像(いわゆる「小図柄」等)が表示されるようにしてもよい(各図においては当該画像の図示を省略する)。遊技者は、この種の画像を意識せずに遊技を楽しむことが可能となっている。つまり、基本的には、装飾図柄80を見て当否抽選結果を把握することが可能である。
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている(図3参照)。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態(例えば大当たり確率約1/320とされる)であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態(例えば大当たり確率約1/80とされる)であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。特別遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。
本実施形態では、全ての大当たり遊技終了後に特別遊技状態に移行する。特別遊技状態は、所定回数(例えば100回)連続して当否抽選結果がはずれとなることをもって終了する(図3参照)。特別遊技状態が終了した場合には通常遊技状態に移行する。特別遊技状態に移行してから所定回数連続してはずれとなる前に大当たりに当選した場合には再び特別遊技状態に移行する(所定回数のカウントがリセットされる)ことになる。つまり、本実施形態にかかる遊技機1は、特別遊技状態に移行してから所定回数連続してはずれとなる前に大当たりに当選することが連チャンの条件となるいわゆるST機である。なお、以下の説明において特に明示した場合を除き、当該遊技性(スペック)とすることはあくまで一例である。例えば、いわゆる確変ループ機であってもよい。また、V確変機であってもよい。また、いわゆる小当たりが搭載され、当該小当たり当選時に所定の領域に遊技球が進入することで大当たりが獲得できる遊技機(一種・二種混合機)であってもよい。また、上記通常遊技状態や特別遊技状態とは異なる遊技状態、例えば、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)とされる遊技状態が設定された構成としてもよい。
2)以下、本実施形態にかかる遊技機1が実行可能な各種演出等について説明する。なお、以下で説明する演出等の一部のみ実行可能な構成としてもよい。また、所定のモード(遊技者自らが選択可能なモードであってもよいし、自動で(遊技者が選択せずに)設定されるモードであってもよい)が設定されている場合に限り、以下で説明する演出等が発生しうる構成としてもよい。
2-1)特定演出
本実施形態にかかる遊技機1は遊技者が操作可能な操作手段20として、押ボタン21および十字キー22を備える(図1参照)。特定演出は、当該操作手段20の一種である押ボタン21を用いた演出である。原位置にある押ボタン21が押され、所定位置まで到達したことが検出された状態が操作状態、当該操作状態にない状態を非操作状態と称することもある。なお、演出に用いる操作手段20を押ボタン21とすることはあくまで一例である。例えば、上下方向ではなく、前後方向に操作されるものであってもよい。
押ボタン21は、その態様を通常態様(常態)から特殊態様に変化させることが可能なものである。当該押ボタン21の態様の変化は、遊技者の感覚(五感)で認識可能なものである。本実施形態では、押ボタン21(ボタンの本体部分)を振動させる振動装置(図示せず)が設けられており、当該振動装置が駆動していない状態(非振動状態)が通常態様として設定され、当該振動装置が駆動している状態(振動状態)が特殊態様として設定されている。つまり、押ボタン21が特殊態様にあるときに遊技者が押ボタン21に触れていれば、当該押ボタン21が振動していることを遊技者の感覚(触覚)で認識することができる。押ボタン21等の操作手段20を振動させる機構(振動装置の具体的構造)自体は周知であるから説明を省略する。なお、その他の態様変化としては、押ボタン21に発光部を設け、当該発光部の態様(当該態様には発光していない状態を含むものとする)がある態様(通常態様)から別の態様(特殊態様)に変化するものを例示することができる。つまり、遊技者の視覚により押ボタン21の態様変化を認識することができるものである。
特定演出(図4参照)は、特定事象が発生することを条件として発生しうる演出である。本実施形態では、対応する当否抽選結果が大当たりとなる当否抽選情報(保留情報)が取得されたこと(図4(b)参照)が特定事象として設定されている。以下、大当たりとなる当否抽選情報の取得を「当たり保留」の取得と称することもある。なお、記憶手段に記憶されている当否抽選情報が0である状態(変動中演出が実行されていない状態)で大当たりとなる当否抽選情報(即座に対応する変動中演出が開始されることとなる当否抽選情報)が取得されることも特定事象に含まれるものとする。始動領域904に遊技球が進入することを契機として当否抽選情報は取得されるから、始動領域904に遊技球が進入するという事象が発生したときの一部が「特定事象の発生」であるといえる。以下の説明においては、特定事象が発生した時点(すなわち当たり保留が取得される始動領域904への遊技球の進入が検出された時点)を特定時点と称することもある。始動領域904に遊技球が進入するタイミングは、遊技者が正確に予測することはできない。遊技者は始動領域904を狙って遊技球を発射しているものの、遊技球は遊技領域902を不規則に(遊技者が予測できない態様で)流下するのであるから、当該タイミングを正確に遊技者が予測する(知る)ことは事実上不可能である。上記特定事象は始動領域904に遊技球が進入しなければ生じ得ない事象であるから、特定時点を遊技者が正確に予測するのは事実上不可能であるということである。
特定演出は、特定時点にて押ボタン21が非操作状態(図4(c-2)参照)にあれば発生しないものの、特定時点にて押ボタン21が操作状態(図4(c-1)参照)にあれば発生するものである。つまり、特定演出の発生条件として「操作手段20(押ボタン21)の操作」が設定されているということである。ただし、特定演出は、遊技者に対し押ボタン21の操作が要求されることを前提とした上で発生するものではない。特定演出が発生する時点と、遊技者に対し押ボタン21の操作が要求される一般的な操作演出が発生する時点が偶然一致することはあるが、特定演出は基本的には遊技者に操作指示が出される演出ではない(図4参照)。本実施形態のように操作手段20が押ボタン21であり、当たり保留の取得が特定事象であれば、当たり保留が取得された時点で押ボタン21が押されていなければ特定演出は発生することはなく、当該時点で押ボタン21が押されていれば特定演出が発生するということである(図4(b)、(c-1)、(c-2)参照)。上述した通り、始動領域904に遊技球が進入する時点、すなわち特定事象が発生しうる時点は遊技者が正確に予測できないのであるから、特定演出を発生させるためには、事実上、押ボタン21を操作状態に維持し続けながら(押ボタン21を押し続けながら)遊技球を発射しなければならないということになる。
本実施形態における特定演出は、押ボタン21が通常態様(常態)から特殊態様に変化することである。つまり、非振動状態から振動状態に変化することである(図4(c-1)参照)。特定演出は押ボタン21が操作状態にあるときに発生しうるのであるから、遊技者は押ボタン21を操作していることになり、押ボタン21に生じる振動を感じ取ることができる。すなわち、本実施形態のような構成であれば、特定演出として発生する押ボタン21の振動が発生するときには必ず遊技者は押ボタン21を操作している(操作状態にある)のであるから、押ボタン21の振動に遊技者が気づかないといった状況が発生することはない。なお、押ボタン21が振動する時間(すなわち特定演出の長さ)は予め決められている(当該時間は一定である)。本実施形態では「1秒」である。つまり、振動する時間はかなり短い。当該時間が経過した後は、押ボタン21は自動的に通常態様(非振動状態)に戻る。一方、当たり保留が取得されたとしても、当該時点(特定時点)にて押ボタン21が操作状態になければ、押ボタン21は通常態様(常態)のままである(図4(c-2)参照)。このように、「特定事象」という同じ事象が発生する状況においても、押ボタン21が操作されているか否かにより、押ボタン21の反応(振動が発生するか否か)が異なるというものである。
本実施形態では、当たり保留が取得された特定時点にて、押ボタン21が操作状態にあれば、必ず(100%の確率で)特定演出が発生するように設定されている。このようにすることで、押ボタン21を操作状態にしたまま遊技していれば、いわゆる「完全告知」の遊技性が実現されることになる。裏を返せば、押ボタン21を操作状態にしたまま遊技している場合、特定演出が発生しない限り大当たりとなることはないということである。
なお、当たり保留に対応する保留図柄10は通常態様(常態)のままであることもある(図4(c-1)、(c-2)参照)。つまり、いわゆる保留変化が発生しない(いわゆるチャンスアップ保留とならない)場合であっても、特定演出は発生する。
また、本実施形態にかかる遊技機1は、遊技者に対し、操作手段20(押ボタン21)の操作が要求される操作演出にて、実際に操作手段20が操作されてなくても仮想的な操作がなされたものとして演出に反映させる「オートボタン機能」が設けられている(当該オートボタン機能自体は公知であるから詳細な説明を省略する)。当該オートボタン機能がON(仮想的な操作が発生する状態)であっても、当たり保留が取得されたときに操作手段20(押ボタン21)が実際に操作された状態になければ特定演出は発生しないようにされている。換言すれば、特定演出の発生条件である「操作手段20の操作」には、オートボタン機能が反映されないということである。上述した通り、特定演出は、操作手段20(押ボタン21)の振動が実際に操作している遊技者に伝わるというものであるから、オートボタン機能がONとされていても、実際に操作されていないのであれば特定演出は発生しない。なお、オートボタン機能は必須の構成ではなく、オートボタン機能が設けられていない構成としてもよい。
以上の通り、本実施形態にかかる遊技機1によれば、遊技者が予測できない特定事象が発生した特定時点にて、操作手段20(押ボタン21)が非操作状態にあれば発生しないが、操作状態にあれば発生するという面白みのある演出(特定演出)を実行することが可能である。
以下、上記特定演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇具体例1-1
上記実施形態では、特定事象が発生したとき(特定時点)に押ボタン21が操作状態にあれば、100%の確率で特定演出(押ボタン21の振動)が発生することを説明したが、特定事象が発生したときに押ボタン21が操作状態にあっても特定演出が発生するとは限らない設定としてもよい。つまり、特定時点にて押ボタン21が操作状態になければ(非操作状態にあれば)特定演出は発生することはないが、押ボタン21が操作状態にあっても特定演出が発生することもあれば、発生しないこともある設定(特定時点にて操作状態にあるときに特定演出が発生する確率が100%未満である設定)としてもよい。例えば、当たり保留が取得されたときに押ボタン21が操作状態にある(図5(a)参照)ときには、所定の抽選(以下、振動抽選と称する。当該抽選に当選する確率は100%未満である)を実行し、その振動抽選に当選した場合には押ボタン21が振動する(図5(b-1)参照)ものの、その振動抽選に漏れた場合には押ボタン21が振動しない(図5(b-2)参照)構成とする。
上記実施形態のような設定であると、押ボタン21を操作状態にしたまま遊技している場合、特定演出が発生しない限り大当たりとなることはないことになる。一方、本例のようにすることで、押ボタン21を操作状態にしたまま遊技しており、特定演出が発生しないときであっても、大当たり当選の可能性がある(押ボタン21の振動は「チャンスアップ」に留まる)という遊技性が実現される。なお、特定演出が発生することが大当たり確定であることについては上記実施形態と変わりはない。
〇具体例1-2
上記実施形態では、変動中演出が実行されていない状態で大当たりとなる当否抽選情報が取得されることも特定事象に含まれるものとすることを説明したが、変動中演出が実行されている状態での大当たりとなる当否抽選情報の取得が特定事象に含まれ、変動中演出が実行されていない状態での当該当否抽選情報の取得は特定事象に含まれないものとする。換言すれば、当否抽選情報が取得された直後は、「変動前保留図柄12」として表示される当たり保留の取得のみ特定事象とされる設定とする。変動中演出が実行されていない状態で大当たりとなる当否抽選情報が取得されるということは、当該当否抽選情報に対応する変動中演出(当たり変動)が即座に開始されるということであって敢えて特定演出を発生させる必要はないと考えるのであれば本例のようにすればよい。
このようにすれば、特定演出は、対応する当否抽選結果(大当たり)についての変動中演出が開始されるよりも前に発生する(対応する当否抽選結果についての変動中演出よりも先に終了する変動中演出が実行されている最中に発生する)ことになるから、当該特定演出はいわゆる先読み演出として機能することとなる。
〇具体例1-3
上記実施形態では、大当たりとなる当否抽選情報(当たり保留)が取得されることが特定事象として設定されていることを説明したが、発生する時点が遊技者には正確に予測できないその他の事象が特定事象として設定されたものとしてもよい。例えば、変動中演出を構成する演出であって、発生するタイミングがランダムである(予測不能である)所定の演出が開始される時点を特定事象として設定することが考えられる。例えば、所定の演出画像201が表示される演出(カットイン演出)(図6(a)参照)が開始されることを特定事象として設定する(押ボタン21の操作が促される演出ではない)。当該演出画像201が表示される時点で押ボタン21が操作状態にあれば当該押ボタン21は振動する(特定演出が発生する)(図6(b-1)参照)ものの、操作状態になければ当該押ボタン21は振動しない(特定演出は発生しない)(図6(b-2)参照)。
ただし、上記実施形態のように、対象となる当否抽選情報が取得されたタイミングで特定事象が発生するものとすることで、特定演出が示唆する対象の当否抽選結果がいずれであるのか(対象の保留がいずれであるのか)が分かりやすいという利点がある。
〇具体例1-4
上記実施形態における特定演出は、押ボタン21が非振動状態から振動状態に変化するものであることを説明したが、これ以外の演出を特定演出として設定することも可能である。例えば、特定時点にて押ボタン21が非操作状態にあれば表示されないものの、特定時点にて押ボタン21が操作状態にあれば表示される特別な画像が表示領域911に表示されるものとすることが考えられる。
ただし、特定演出は、押ボタン21が操作された状態にあるか否かによって発生の有無が決まるというものであるから、押ボタン21に関わる演出であることが好ましいといえる。例えば、押ボタン21に設けられた発光部の発光態様が変化することを特定演出として設定することが考えられる。より好ましくは、特定演出が発生するときに遊技者が押ボタン21を操作していることは確実であるから、当該操作を行っている遊技者が気づく変化が起こるようにすることが好ましい。例えば、押ボタン21やその付近から空気を噴出させ、押ボタン21を操作している遊技者がそれを感じることができるような演出を特定演出として設定することが考えられる。また、押ボタン21やその付近に可動物を設け、当該可動物が変位して押ボタン21を操作している遊技者に触れるようにする演出を特定演出として設定することが考えられる。
〇具体例1-5
上記実施形態における特定演出に用いられる操作手段20(押ボタン21)は、遊技者が操作可能な物理的な構造物であるが、タッチパネル等の操作が「操作手段20の操作」(操作状態)にあたるものとして上記実施形態にて説明した特定演出が発生するようにしてもよい。また、遊技者の手等を検出することが可能なセンサを設け、当該センサに検出されることが「操作手段20の操作」(操作状態)にあたるものとして上記実施形態にて説明した特定演出が発生するようにしてもよい。
〇具体例1-6
特定演出が発生するのは、特定の遊技状態に限られているものとする。例えば、始動領域904(第一始動領域904a)に遊技球が進入する頻度(当否抽選情報が取得される頻度)が相対的に低く、一変動に要する時間が相対的に長い低ベース状態では特定演出は発生することはなく、始動領域904(第二始動領域904b)に遊技球が進入する頻度(当否抽選情報が取得される頻度)が相対的に高く、一変動に要する時間が相対的に長い高ベース状態(時短状態)にて特定演出が発生しうる設定とすることが考えられる。高ベース状態はテンポよく当否抽選情報が取得されるとともに、当否判定結果がテンポよく報知されていく(保留が消化されていく)から、押ボタン21の操作状態を維持しつつ特定演出が発生することに期待するという遊技に適しているといえる。
上記実施形態にかかる遊技機1の特別遊技状態中(いわゆるST中)(図3参照)に限り特定演出が発生しうる設定としてもよい。上記実施形態のように全ての大当たり遊技終了後に特別遊技状態に移行することになるST機は、所定回数連続してはずれとなる前に大当たりに当選することが継続(連チャン)のカギであり、大当たりに当選することは遊技者にとって喜ばしいものであるから、当該大当たりに当選したことが特定演出により知らされるようにする。いわゆる確変ループ機であると、大当たり遊技終了後に高確率状態(確率変動状態)に移行する確変大当たり以外の大当たり(通常大当たり)に当選することは遊技者にとって喜ばしくない事象であるから、通常大当たりの当選に対しては特定演出を発生させないというような設定とする必要があり制御が複雑になる。
〇具体例1-7
遊技者に対し、押ボタン21の操作が促される操作演出(図7参照)が発生しうるものとする。具体的には、操作演出は、押ボタン21の操作が有効となる(演出に反映される)操作有効期間が設定されるものであるところ、当該操作有効期間中にて押ボタン21の操作がなされている最中(操作状態にある最中)に特定事象が発生した場合(図7(b)参照)には、特定演出が発生しない(図7(c)参照)設定とする。操作有効期間中における押ボタン21の操作は、操作演出に対するものとして遊技者が行っている蓋然性が高いから、そのときに特定演出を発生させると操作演出の結果として特定演出(押ボタン21の振動)が発生したと遊技者が勘違いしてしまうおそれがある。このような状況が発生しないようにするため、操作有効期間での押ボタン21の操作中に特定事象が発生しても特定演出が発生しないようにする。
操作演出としては、操作手段20を一回だけ操作することを促す単発操作演出、連続して操作することを促す連続操作演出(操作手段20が押ボタン21であれば「連打」を促す演出)、操作した状態を維持する維持操作演出(操作手段20が押ボタン21であれば「長押し」を促す演出)等が例示されるところ、特に維持操作演出(図7参照)に関しては操作手段20(押ボタン21)が操作状態にあるときに特定事象が発生するという状況が起こる蓋然性が高いから、本例のように制御する意義が大きいといえる。また、連続操作演出にて操作手段20を維持操作した場合に仮想的な連続操作として反映させる機能(自動連打機能)が公知であるところ、このような機能が搭載されているのであれば連続操作演出においても操作手段20が操作状態にあるときに特定事象が発生するという状況が起こる蓋然性が高いから、本例のように制御する意義が大きいといえる。
〇具体例1-8
大当たりとして複数種の大当たりが設定されている場合において、ある種の大当たりとなる当たり保留が取得された場合に操作手段20が操作状態にあれば特定演出が発生するものの、それとは別の種類の大当たりとなる当たり保留が取得された場合には操作手段20が操作状態にあっても特定演出が発生しない設定とする。例えば、大当たりとして、10ラウンド大当たり、5ラウンド大当たり、3ラウンド大当たりの三種類が設定されている場合(「ラウンド」の概念は周知であるから説明を省略する)において、10ラウンド大当たりとなる当たり保留が取得された場合には特定演出が発生しうる(操作手段20が操作状態にあれば発生する)ものの、5ラウンド大当たりや3ラウンド大当たりとなる当たり保留が取得された場合には特定演出が発生しない(操作手段20の状態に関係なく発生しない)設定とする。すなわち、大当たりのラウンド数が所定数以上となる当たり保留が取得された場合に限り特定演出が発生しうる設定とする。
また、確変大当たり(大当たり遊技終了後、高確率(通常よりも当否抽選に当選する確率が高い確率変動)状態に移行する大当たり)と通常大当たり(大当たり遊技終了後、低確率状態(高確率状態よりも当否抽選に当選する確率が低い状態)に移行する大当たり)が設定された構成において、確変大当たりとなる当たり保留が取得された場合には特定演出が発生しうるものの、通常大当たりとなる当たり保留が取得された場合には特定演出が発生しない設定とすることが考えられる。
このように、遊技者が享受する利益の期待値が異なる複数種の大当たりが設定された構成において、当該利益の期待値が基準以上であれば特定演出が発生しうる一方、基準未満であれば特定演出が発生しないようにしてもよい。大当たりの種類によっては当選することが遊技者にとってそれほど喜ばしくないといえるから、ある一定以上の利益が見込める大当たり獲得時(当たり保留取得時)のみ特定演出が発生しうるものとして、特定演出が発生したときの遊技者の期待(喜び)を裏切らないようにする。
〇具体例1-9
当たり保留が取得されたときに操作手段20が操作状態にあっても特定演出が発生しない期間(以下、禁止期間と称する)が設定された構成とする。つまり、禁止期間以外の期間(以下、対象期間と称する)中は、当たり保留が取得されたときに操作手段20が操作状態にあれば特定演出が発生するものとする。例えば、ある遊技状態に移行してから所定回数の変動中演出が実行されるまで(所定回数の変動が終了するまで)は禁止期間であり、それ以降は対象期間である構成とすることが考えられる。つまり、変動回数基準(回転数基準)で、禁止期間であるか、対象期間であるかが決まる構成とすることが考えられる。
また、例えば、一または複数の特殊な演出モード(ステージ等とも称される。このようなモード(ステージ)といった概念は周知であるから説明を省略する)である期間中は禁止期間であり、それ以外は対象期間である構成とすることが考えられる。つまり、特定演出を発生させることがふさわしくない演出状態のときには特定演出が発生することがない構成とする。
2-2)特定操作演出
本実施形態にかかる遊技機1は、遊技者に対し操作手段20の一つである押ボタン21の操作を促す操作演出の一種として、特定操作演出(図8参照)を実行することが可能である。当該特定操作演出は、変動中演出の一部を構成する演出として発生しうるものである。なお、本実施形態における特定操作演出は単発操作演出であるが、連続操作演出や維持操作演出にて以下で説明するような構成とすることを否定するわけではない。
特定操作演出は、当該特定操作演出後に発生する事後演出を示唆するものである。特定操作演出では、一般的な操作演出と同様に、押ボタン21を操作すべき状況であることを遊技者に対して示すために、操作対象の押ボタン21を表した操作画像25が表示領域911に表示される(図8(a)参照)。操作画像25は、操作対象の押ボタン21(操作手段20)を表したものであると遊技者が認識できる範囲で変形等されてもよいものとする。なお、本実施形態では、操作画像25とともに、操作有効期間の残り(経過)を示すメータ画像26が表示される(図8(a)参照)。つまり、操作画像25は、少なくとも操作有効期間中に表示されるものである。本実施形態における特定操作演出は単発操作演出であるから、操作有効期間中に押ボタン21が操作されることをもって操作有効期間が終了する。また、操作有効期間を通じて押ボタン21が操作されない場合には、操作有効期間が終了することをもって押ボタン21が操作されたものとみなす(操作有効期間の終了を契機として押ボタン21が操作されたときと同様に制御する)。
特定操作演出においては、上記操作画像25とともに、事後演出を示唆する事後演出画像28が表示される(図8(a)参照)。つまり、操作有効期間中に事後演出画像28が表示される。事後演出画像28は、示唆対象の事後演出を示唆しているものであると遊技者が認識可能な要素を含むものであるとよい。例えば、事後演出が「○○○演出」と名付けられているのであれば、事後演出画像28は「○○○」の文字を含むものとされる。また、図示しないが、事後演出として表示される画像が、事後演出画像28として表示されるものとすることも考えられる。
事後演出の具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、所定の画像が表示されることが事後演出として設定されている(図8(c)参照)。ある変動中演出にて事後演出が発生した場合には、発生しない場合に比して当該変動中演出に対応する対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)が高くなるものである。つまり、事後演出は、いわゆるチャンスアップ演出の一種である。当該事後演出は、特定操作演出の発生を条件とするものではない。つまり、特定操作演出が発生しない変動中演出においても事後演出は発生しうる。
本実施形態では、特定操作演出が発生し、操作有効期間にて押ボタン21の操作(単発操作)がなされた(図8(b)参照)場合、それを契機として必ず事後演出が発生する(操作直後に発生する)(図8(c)参照)ように設定されている。操作有効期間にて押ボタン21の操作がなされなかった場合には操作有効期間の終了を契機として押ボタン21の操作がなされたものとされるから、その場合も操作有効期間の終了直後に事後演出が発生することになる。つまり、特定操作演出の発生は、必ず事後演出の発生に結びつく(同じ変動にて特定操作演出と事後演出が発生する)ものとされている。ただし、遊技を通じて、特定操作演出が発生した場合必ず事後演出が発生するということは遊技者に対し示されないから、特定操作演出が発生して事後演出画像28が表示された際には、遊技者は事後演出が発生することに期待しつつ押ボタン21を操作することになる。なお、事後演出は、(チャンスアップ演出ではあるが)大当たり確定の演出ではない。したがって、事後演出の発生に結びつく特定操作演出の発生は、大当たり確定の演出ではない。当否抽選結果がはずれとなる変動中演出でも特定操作演出や事後演出は発生しうる。
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、遊技者に対し押ボタン21の操作が促される段階から、その後発生する演出(事後演出)が示唆されるという面白みのある操作演出(特定操作演出)を実行することが可能である。
以下、上記特定操作演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇具体例2-1
上記実施形態では、特定操作演出(単発操作演出)における操作有効期間中に押ボタン21の操作がなされなかった場合には、操作有効期間の終了を契機として事後演出が発生することを説明したが、特定操作演出の操作有効期間中(図9(a)参照)に押ボタン21の操作がなされた場合(図9(b-1)参照)には事後演出が発生する(図9(c-1)参照)ものの、操作有効期間中に押ボタン21の操作がなされなかった場合(図9(b-2)参照)には事後演出が発生しない(図9(c-2)参照)設定とする。このようにすることで、事後演出が実行されるためには押ボタン21の操作(単発操作)がなされることが条件となるから、操作演出(特定操作演出)における操作の促進に資することになる。特定操作演出にて押ボタン21の操作がなされるかどうかは、対象当否抽選結果の大当たり信頼度に影響を与えるものではない。
なお、押ボタン21が操作されて事後演出が発生した場合、当該事後演出が終了した後は、押ボタン21が操作されずに事後演出が発生しなかったと仮定した場合と同様の演出(図9(d)参照)が実行されることになる。つまり、特定操作演出終了後の所定期間中は、操作の有無に応じて事後演出が実行される場合と、実行されない場合とに分かれる(図9(c-1)の場合と(図9(c-2)の場合とに分かれる)ものの、それ以降は同じ流れで変動中演出が進行する。
特定操作演出を、連続操作演出や維持操作演出とするのであれば、操作有効期間中における連続操作や維持操作が所定条件を満たすものとなるか否かに応じ、事後演出が発生するか否かが決まる設定とすればよい。すなわち、操作有効期間が終了するまでに所定条件を満たす操作がなされた場合には事後演出が発生するものの、所定条件を満たす操作がなされなかった場合には事後演出が発生しない設定とする。所定条件は予め定められた(変化しない)条件であってもよいし、特定操作演出が発生する度に変化しうる条件であってもよい。また、条件を満たすか否かの抽選が実行されるものとしてもよい。
〇具体例2-2
上記実施形態では、特定操作演出が発生した場合、操作有効期間中の押ボタン21の操作または操作有効期間の終了を契機として事後演出(所定の画像の表示)が発生することが確定するものであることを説明したが、特定操作演出が発生した場合であっても、事後演出が発生する蓋然性が高いに留まり、事後演出が発生するとは限らない(事後演出の発生確率が100%未満である)構成としてもよい。
このように、特定操作演出が発生しても事後演出が発生するとは限らない構成とする場合において、特定操作演出とは異なる操作演出、具体的には操作画像25は表示される(遊技者に対し、押ボタン21の操作が促される)ものの、事後演出画像28は表示されない通常操作演出が発生しうるものであり、事後演出は、当該通常操作演出における操作有効期間中の押ボタン21の操作または操作有効期間の終了を契機として発生することもあるものとする。これを前提として、通常操作演出後よりも、特定操作演出後の方が、事後演出が発生する蓋然性が高い設定であるとする。つまり、操作演出にて事後演出画像28が表示される特定操作演出が発生することは、事後演出画像28が表示されない通常操作演出に比して、事後演出が発生する蓋然性が高いことを示唆するに留まる構成としてもよい。
このようにすることで、操作演出での事後演出画像28の表示の有無により、事後演出が発生する蓋然性(の高低)が示唆されるという分かりやすい遊技性とすることができる。
〇具体例2-3
特定操作演出において表示されうる事後演出画像28の種類が複数であるとする。例えば、事後演出画像28として第一事後演出画像281が表示される特定操作演出(第一特定操作演出)となるケースもあれば、第二事後演出画像282(第一事後演出画像281とは態様が異なる)が表示される特定操作演出(第二特定操作演出)となるケースもある構成とする。この場合において、特定操作演出にて第一事後演出画像281が表示された場合(第一特定操作演出が発生した場合)(図10(a)参照)よりも、第二事後演出画像282が表示された場合(第二特定操作演出が発生した場合)(図10(b)参照)の方が、当該特定操作演出後に事後演出が発生する蓋然性が高い設定とする。第二特定操作演出が発生した場合には、事後演出が発生することが確定する設定としてもよいし、第二特定操作演出が発生した場合であっても事後演出が発生するとは限らない(発生確率が100%未満である)設定としてもよい。なお、第一特定操作演出の発生時における事後演出の発生確率は、(第二特定操作演出の発生時における事後演出の発生確率よりも低いのであるから)必ず100%未満であるということになる。
このようにすることで、特定操作演出が発生したときの事後演出画像28の種類(態様)にも遊技者が注目する演出態様となる。つまり、上述した通り事後演出はチャンスアップ演出であるから、特定操作演出が発生して事後演出の発生に期待がもてる状況となることを遊技者は望むところ、当該特定操作演出が発生するのであればそれが第二特定演出となること(第二事後演出画像282が表示されること)を遊技者が願うという遊技性が実現される。
〇具体例2-4
特定操作演出が発生する遊技性とするか否かを遊技者が任意に選択できる構成とする。例えば、通常モードと特定モードが設定され、特定モードが設定されている場合には特定操作演出が発生しうる(事後演出画像28が表示される操作演出が発生しうる)ものの、通常モードが設定されている場合には特定操作演出が発生することはない(事後演出画像28が表示されることはない)構成とする。モードの選択方法はどのようなものであってもよい。待機状態(変動中演出が実行されていない状態)にて押ボタン21や十字キー22等を操作することにより好みのモードを選択できるものとする。このようにすることで、操作演出が発生した際に、事後演出の発生が予告される遊技性とするかどうかを遊技者が任意に選択できることになる(事後演出が発生することを予告して欲しくない遊技者は通常モードを選択すればよい)。
特定モードが設定されている場合には、事後演出の発生を伴う操作演出は、必ず特定操作演出となる(必ず事後演出画像28が表示される)設定としてもよい。つまり、特定操作演出であれば事後演出が発生し、特定操作演出以外の操作演出であれば事後演出が発生しないという、事後演出の「完全告知モード」が特定モードである構成としてもよい。
2-3)選択演出
本実施形態にかかる遊技機1は、変動中演出を構成する演出として選択演出(ただし全ての変動にて発生するわけではない)を実行することが可能である。なお、変動中演出が実行されていない状態、例えば大当たり遊技状態にて以下で説明するような選択演出が実行されるものとしてもよい。
選択演出(図11参照)は、表示領域911に複数の選択肢が示され、操作手段20(押ボタン21、十字キー22)の操作により当該複数の選択肢のうちから好みの選択肢を選択するよう遊技者に促すことを基本的な態様とするものである。表示領域911には、選択肢を示す選択肢画像30が表示される。選択肢画像30は、選択しそれぞれの内容等を把握することができるような態様とされるものであればよい。選択演出は、毎回同じ選択肢が表示されるものであってもよいし、都度選択肢が変化するものであってもよい。また、複数種の選択肢のうち、同じ種類の選択肢が二以上表示されうる構成であってもよい。選択肢の内容等はどのようなものであってもよいから説明を省略する。本実施形態における選択演出は変動中演出を構成するものであるが、遊技者の選択が当否抽選結果に影響を及ぼすことはない。選択に応じ、その後の展開(変動中演出の態様)が変化するだけである。以下の説明においては、選択肢としてキャラクタA~Dの四種類が表示され、遊技者に対し、好みのキャラクタを選択するよう促す選択演出が発生するものとする。選択演出後には、選択されたキャラクタに応じた演出(例えば、選択されたキャラクタが何らかのセリフを発する演出)が発生するものとする。
選択演出は、第一期間(前半部分)(図11(a)参照)およびそれに続く第二期間(後半部分)(図11(b)参照)に区分けされる。
第一期間(図11(a)参照)においては、各選択肢に対応する選択肢画像30とともに、選択演出の内容(遊技者に対し要求される内容)を示す画像(以下、指示画像32と称する)が表示領域911に表示される。本実施形態では、「好きなキャラを選べ」という文言を含む指示画像32が表示される。これにより、遊技者は、選択肢として示されるキャラクタのうちから好みのキャラクタを選べばよいことを把握することができる。
また、複数の選択肢(選択肢画像30)のうちの一つは、他の選択肢よりも強調された強調状態とされる。後述するように、当該強調状態とされる選択肢は、決定操作により選択を決定する対象となるものを示すものである。本実施形態では、複数の選択肢画像30のうちの一つにカーソルCが合わせられた状態とされる。当該カーソルCが合わせられたものが強調状態にある選択肢(選択肢画像30)である。選択演出の開始時点(第一期間の開始時点)においては、キャラクタAの選択肢画像30が強調状態とされる(カーソルCの初期位置はキャラクタAである)(図11(a)参照)。なお、当該強調状態を作り出す手法は種々考えられる。ある選択肢画像30を他の選択肢画像30よりも大きく表示する、ある選択肢画像30の色を他の選択肢画像30の色と異ならせるといった手法が考えられる。また、本実施形態における選択演出は、最終的に一つの選択肢が選択されるものであるが、二以上の選択肢が選択されるものであってもよい。この場合には、二以上の選択肢画像30が強調状態とされる。
第一期間の終了後、第二期間に移行する。第二期間(図11(b)参照)では、操作手段20の操作に関する操作説明画像34が表示領域911に表示される。操作説明画像34は、遊技者が好みの選択肢を選択する上で、どのように操作手段20を操作すればよいかを示す画像である。本実施形態では、十字キー22(十字キー22の左右キー)によりカーソルCを移動させる、すなわち強調状態とする選択肢画像30を変化させ(以下、当該操作を選択操作と称する)、押ボタン21の操作により強調状態とされた選択肢の選択を決定(選択を確定)する(以下、当該操作を決定操作と称する)ものであるところ、当該十字キー22や押ボタン21の操作を説明する画像を操作説明画像34として表示する。少なくとも、操作説明画像34は、選択操作や決定操作に必要な操作手段20を表す画像(操作手段20の外観を表したものであってもよいし、操作手段20の名称を表した文字等であってもよい)を含むものとされる。このような操作説明画像34を見た遊技者は、選択操作および決定操作をどのように行えばよいのか容易に把握することができる。
ここで、本実施形態における選択演出では、操作説明画像34が表示されるよりも前の段階、すなわち第一期間から、強調状態とされる選択肢を変化させる選択操作が有効である。つまり、操作説明画像34は、操作手段20の一つである十字キー22の操作により強調状態とされる選択肢を変化させることが可能であることを示すものであるところ、当該操作説明画像34が表示されていない状態である第一期間中も強調状態とされる選択肢を変化させる、すなわち選択操作を行う(本実施形態ではカーソルCを移動させる)ことが可能である(図12参照)。ただし、第一期間中は、決定操作を行うことはできない。つまり、第一期間中に押ボタン21の操作がなされたとしても決定操作はなされない(決定操作が有効となることはない)。
操作説明画像34が表示された後、すなわち第二期間に移行した後は、第一期間に引き続き、十字キー22の操作による選択操作が可能である(図13(b)(c)参照)。また、第二期間に移行した後は、押ボタン21の操作による決定操作が可能である(図13(d)(e)参照)。つまり、操作説明画像34により表される操作が有効となる。まとめると、第一期間中は「選択操作が有効」であり、第二期間中は「選択操作および決定操作が有効」であるということである。なお、第二期間に移行してから所定時間(決定操作有効時間)が経過したときには、押ボタン21の操作がなされなくても自動で決定操作がなされる。具体的には、決定操作有効時間の終了時点にて強調状態とされている選択肢の選択が自動的に確定する。
上記選択演出では、操作説明画像34が表示される前の第一期間中から、選択肢画像30が表示され、いずれかの選択肢画像30が強調状態とされるのであるから、好みの選択肢を選択することが促されていることを把握できる遊技者も多いと考えられる。特に、本実施形態のように第一期間中に指示画像32が表示されるものである場合には、上記のように理解する遊技者が多くなることが予想される。また、操作手段20は遊技している遊技者が視認可能な位置に設けられているのであるから、遊技者の多くはその存在を把握していることが想定され、選択肢画像30が表示された場合には操作説明画像34が表示されていなくても操作手段20を操作して強調状態とされる選択肢画像30を変化させる(カーソルCを移動させる)ことを試みることが考えられる。特に、本実施形態のように十字キー22が設けられているのであれば、操作説明画像34が表示されていなくとも当該十字キー22の操作により選択操作がなされるのではないかと考える遊技者が多いことが想定される。
このような点に鑑み、本実施形態では、操作説明画像34が表示される前の段階から、選択操作を行うことが可能である(十字キー22による選択操作が有効となる)構成としている(図12参照)。つまり、操作説明画像34が表示される前の段階から好みの選択肢を選択する演出であることを把握し、操作手段20(十字キー22の操作)の操作を試みた遊技者に対しては、その操作が有効となるようにして、当該操作が無駄にならないように(操作が有効とならず遊技者が苛立ってしまうことを抑制するように)している。さらに、このようにすることで、決定操作が有効となる第二期間に移行するよりも前に、好みの選択肢を選んだ状態(好みの選択肢画像30を強調状態とした状態)とすることができるから、選択演出にて選択肢を決定するに至るまでの時間が短くなるという利点もある。
一方、第一期間中においては、操作説明画像34が表示されていないのであるから、選択が確定することはないと遊技者が考える可能性がある。つまり、第一期間中にて決定操作(押ボタン21の操作)まで有効としてしまうと、好みではない選択肢の選択を決定させてしまうという状況が生じるおそれがある。そのため、選択肢の決定(選択の確定)に関しては、操作説明画像34が表示された(押ボタン21の操作により選択が決定されることが遊技者に示された)状態となってはじめて有効となるようにしている。
以下、上記選択演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇具体例3-1
第二期間においては、選択演出の終了までの時間(残り時間)、具体的には決定操作が有効となる時間(決定操作有効時間)を示す時間画像36が表示されるものとする。当該時間を示す手法(時間画像36の態様)は種々考えられる。例えば、時間経過とともに変化するメータが時間画像36として表示される(図示せず)ものとしてもよいし、残り時間を示す数値(カウントダウンされる数値)が時間画像36として表示されるものとしてもよい(図14(b)参照)。時間画像36は、第一期間、すなわち操作説明画像34が表示される前の状態においては表示されるものではない(図14(a)参照)。また、時間画像36は、操作説明画像34の表示開始(第二期間の開始)と同時に表示されるものとしてもよいし、操作説明画像34の表示開始(第二期間の開始)から所定時間経過後に表示されるものとしてもよい。
本例のようにすることで、選択演出は、時間画像36が表示されない状態(図14(a)参照)から時間画像36が表示された状態(図14(b)参照)に移行する態様となる。時間画像36が表示された状態は決定操作が可能な状態であるから、当該時間画像36が新たに表示されることにより、「決定できない状態」から「決定できる状態」に移行したことが分かりやすく示されることになる。また、時間画像36は(決定操作を行うための)「残り時間」を示すものである(だんだんと時間が少なくなっていくことを示すものである)ため、遊技者は決定操作が促されていることを感覚的に認識することになる。
〇具体例3-2
上記実施形態では、好みの選択肢を強調状態とした上で(第二期間中に)決定操作を行うことで当該選択肢の決定が確定するものであることを説明したが、このような操作手段20(押ボタン21)の「操作」による決定を前提とした構成ではなくてもよい。例えば、第二期間に移行してから規定時間経過した時点(タイムアップ時点)で強調状態とされている選択肢が決定される(選択が確定する)ものとする。つまり、遊技者は、タイムアップ時点までに好みの選択肢を強調状態とし、後は時間経過を待つことで当該選択肢の選択が決定されるという構成とする。規定時間の残りを示す画像(規定時間画像)が表示されるようにするとよい。
本例のようにする場合、「決定操作」が不要になるため、選択演出にて遊技者が操作すべき操作手段20は「選択操作」を行うもののみとなる。上記実施形態のように十字キー22により選択操作が行われる構成とするのであれば、当該十字キー22を操作してタイムアップ時点までに好みの選択肢を強調状態とすればよい。上記実施形態と同様、第一期間中においても当該選択操作は有効である。つまり、上記規定時間が表示される前の状態から選択操作(カーソルCの移動)を行うことができる。
〇具体例3-3
上記実施形態では、操作説明画像34が表示される前は、選択操作は可能であるものの決定操作はできないことを説明したが、操作説明画像34が表示される前においても決定操作が可能である(決定操作が有効となる)構成とする。上記実施形態に即していえば、操作説明画像34が表示されていない状態で押ボタン21の操作がなされた場合には、その時点で強調状態とされている選択肢の選択が決定する。操作説明画像34が表示される前の状態で決定操作がなされた(選択が確定した)場合には、当該選択演出を通じて操作説明画像34は表示されない。操作説明画像34は、選択操作や決定操作を説明するものであるため、決定操作がなされた場合には表示する必要がないからである。換言すれば、本例の選択演出は、操作説明画像34が表示される前の状態で決定操作がなされなかった場合に、操作説明画像34が表示されるということである。
上記実施形態においても説明した通り、操作説明画像34が表示される前の状態から、選択肢画像30が表示され、いずれかの選択肢画像30が強調状態とされるのであるから、好みの選択肢を選択することが促されていることを把握できる遊技者も多いと考えられる。ここまで選択演出の内容を把握している遊技者は、操作説明画像34が表示される前の状態で選択操作のみならず決定操作までも実行しようとすることが考えられるから、決定操作も有効とされる構成とする。換言すれば、操作説明画像34は、選択演出の内容の把握ができない遊技者のために表示されるものであるといえる。
ただし、操作説明画像34が表示されていない状態においては選択が確定することはないと遊技者が考え、本例のようにすると好みではない選択肢の選択を決定させてしまうという状況が生じるおそれがある。このような状況が生じるのを避けるのであれば、上記実施形態のような設定(操作説明画像34が表示されていない状態では選択が確定しない設定)とすればよい。
2-4)遊技説明演出および好機演出
本実施形態にかかる遊技機1は、変動中演出を構成する演出として遊技説明演出および好機演出(ただし、これらの演出は全ての変動にて発生するわけではない)を実行することが可能である(図15参照)。詳細について後述する通り、好機演出は、遊技説明演出の存在を前提として設けられたものである。
遊技説明演出は、表示領域911に遊技説明画像51が表示される演出である(図15(a)参照)。遊技説明画像51(図15(b)参照)は、遊技機1の遊技に関する説明を表す画像である。本実施形態における遊技説明画像51は、方形を呈する枠(外形)の内側に遊技に関する説明が記載されたものである。遊技に関する説明としては種々考えられる。変動中演出を構成するものとして発生しうる演出を説明するもの、大当たり遊技に関するもの、特別遊技状態に関するもの、遊技機1のモチーフとなった原作の漫画等に関するもの等、遊技機1を遊技する上で遊技者の遊技を助ける(趣向性を高める)ための種々の画像が考えられる。なお、本実施形態における遊技説明演出は、大当たり信頼度を示唆するものではない。つまり、遊技説明演出を含む変動中演出は、含まないものに比して大当たり信頼度が高いというわけではない。遊技説明演出を実行するか否かの抽選、および、どの種の遊技説明演出を実行するかの抽選は、当否抽選結果に関係なく実行される(抽選のテーブルは「大当たり」の場合と「はずれ」の場合とで変わりはない)。
本実施形態における遊技説明画像51には、「番号」が付されている(方形の枠の内側に「番号」が表される)。異なる種類の遊技説明画像51(異なる内容を説明する画像)には、異なる番号が付されている。つまり、遊技説明画像51毎に固有の番号(数字)が付されている。本実施形態では、「No.○」(○が「番号」である)という態様で番号を示す(図15(b)参照)。換言すれば、遊技説明画像51は、その種類によらず「No.」という共通する要素(以下、特定要素50cと称する)を含むということである。ある程度継続的に遊技した遊技者は、当該「No.」が付された画像が表示される演出を遊技説明演出と捉えるようになる。
好機演出は、表示領域911に好機画像52が表示される演出である(図15(a)参照)。好機画像52(図15(c)参照)は、現在実行されている変動中演出に対応する対象当否抽選結果の大当たり信頼度が高まったことを示唆する、いわゆるチャンスアップ演出である。すなわち、好機画像52(好機演出)は、上記遊技説明画像51(遊技説明演出)とは異なり、大当たり信頼度を示唆するものである。大当たり確定の好機画像52(好機演出)が設定された構成としてもよい。
好機画像52は、方形の枠(外形)の内側に大当たり信頼度を示唆するような表示を含むものである。大当たり信頼度の示唆の具体的態様はどのようなものであってもよい。「好機」「チャンス」「激熱」といった信頼度を示唆するような文言が直接表されたものとしてもよいし、「この後の展開に注目」といったように、現在実行中の変動中演出がチャンスであることを暗示するような態様としてもよい。また、好機画像52の枠(外形)と遊技説明画像51の枠(外形)は同一形状を呈する(枠の色や太さ等も同じである)。好機画像52と遊技説明画像51が一緒に表示されることはないが、仮に両者を重ねたとすれば枠(外形)はぴったり一致するものとされる。
遊技説明画像51と同様、当該好機画像52にも「No.○」(○は番号(数字))が付されている。上述した通り、「No.」は、遊技説明画像51の種類によらず付される共通する要素(特定要素50c)である。当該特定要素50cが好機画像52にも付されているということである(図15(c)参照)。すなわち、遊技説明画像51と好機画像52はその性質が異なるものであるにもかかわらず、「No.」という共通する要素を含む。なお、本実施形態では、遊技説明画像51と好機画像52とで、「No.」が付される位置は同じである。好機画像52と遊技説明画像51が一緒に表示されることはないが、仮に外形(枠)を一致させるようにして両者を重ねたとすれば、「No.」の文字が重なることになる。
本実施形態では、遊技説明演出にて表示領域911における遊技説明画像51が表示される範囲と、好機演出にて表示領域911における好機画像52が表示される範囲とは同じである。上述した通り、遊技説明画像51の外形と好機画像52の外形は同じであるところ、表示領域911における所定範囲(遊技説明画像51および好機画像52の外形と同じ形状の範囲)に好機画像52や遊技説明画像51が表示される(遊技説明演出および好機演出のいずれが発生する場合であっても、図15(a)に示す範囲に遊技説明画像51または好機画像52が表示される)。遊技説明演出と好機演出が同時期に発生することはないため、遊技説明演出発生時には当該所定範囲に遊技説明画像51が表示され、好機演出発生時には当該所定範囲に好機画像52が表示されることになる。なお、本実施形態では、遊技説明画像51や好機画像52を構成する画像レイヤは最前とされる。そのため、他の画像により遊技説明画像51や好機画像52が見えにくくなってしまうことはない。
遊技説明画像51に付される「No.」の後の番号(数字)と、好機画像52に付される「No.」の後の番号(数字)とは重複しないものとされる。本実施形態では、計45種類の遊技説明画像51と、計5種の好機画像52が用意されている。つまり、遊技説明画像51と好機画像52は合わせて計50種存在する。当該50種のそれぞれに異なる番号が付される。本実施形態では、計5種の好機画像52のそれぞれには、No.7、No.15、No.28、No.32、No.46という固有の番号が付されている(図15(c)参照)。計45種類の遊技説明画像51にはそれ以外の番号が付されている。つまり、遊技説明画像51についても、種類ごとに固有の番号が付されている。まとめると、遊技説明画像51と好機画像52にはあたかも「通し番号」に見えるような数字が付されているということである。
本実施形態では、ある一の変動中演出にて、遊技説明演出と好機演出の両方が発生することはない。つまり、遊技説明演出と好機演出の一方が発生することが決定された場合には、他方が発生することはないようにされている。本実施形態では、対象当否抽選結果を踏まえ、当該対象当否抽選結果についての変動中演出にていわゆるチャンスアップ演出である好機演出を発生させるか否かが抽選により決定され、当該抽選により好機演出の発生が決定された場合には、当該変動中演出にて遊技説明演出を実行するか否かの抽選は実行されない(遊技説明演出が実行されることはない)ように設定されている。なお、上述した通り、遊技説明演出を含む変動中演出は、含まないものに比して大当たり信頼度が高いというわけではない。よって、好機演出が発生しない場合において実行される遊技説明演出を実行するか否かの抽選や、遊技説明演出を実行することが決定された場合にどの種の遊技説明演出を実行するかの抽選は、当否抽選結果に関係がないものとされる(抽選のテーブルは「大当たり」の場合と「はずれ」の場合とで変わりはない)。
また、ある変動中演出にて、遊技説明演出が発生する確率(1変動あたりの発生確率)は、好機演出が発生する確率よりも高い。つまり、ある程度継続的に遊技した場合、好機演出よりも遊技説明演出に接する機会の方が多くなる。
遊技説明演出および好機演出による作用は次のようなものである。遊技説明画像51が表示される遊技説明演出に接した遊技者は、当該遊技説明画像51により説明を受けつつ遊技することになる。遊技説明画像51には共通する要素(特定要素50c)である「No.」が付されているため、当該「No.」が付されているものが遊技説明画像51であるという印象を遊技者は受けることになる(当該「No.」の数分の種類の遊技説明演出が存在するように考える)。このような構成の遊技説明演出が発生することを前提とし、本実施形態では、好機画像52が表示される好機演出が発生する。好機画像52は、遊技説明画像51と同じ「No.」(特定要素50c)が付されたものであるから、遊技者は好機画像52を遊技説明画像51と見間違える可能性がある。つまり、好機演出の発生を遊技説明演出の発生と捉える可能性がある。しかし、好機画像52は大当たり信頼度を示唆するような文言等を含むものであるため、良く見れば当該好機画像52が信頼度を示唆していると遊技者は把握することができる。このように、本実施形態では、好機演出の態様を、遊技説明演出と見間違える可能性があるようなものとすることで、好機演出が発生していること(遊技説明画像51とは異なる好機画像52が表示されていること)に気づいた遊技者のみが好機演出による信頼度示唆作用(チャンスアップ示唆作用)を享受できるという面白みのあるものとしている。なお、好機演出が発生していることに気付くかどうかは、本質的な利益(出玉)について差を生じさせるものではない。
特に、本実施形態では、遊技説明画像51と好機画像52には、あたかも「通し番号」であるようにみえる数字が付されているため、遊技者が好機画像52を遊技説明画像51と捉える(両画像を同系統の画像と捉える)蓋然性がより高くなる。
さらに、本実施形態では、遊技説明演出にて遊技説明画像51が表示される表示領域911における範囲と、好機演出にて好機画像52が表示される表示領域911における範囲とは同じであるため、遊技者が好機画像52を遊技説明画像51と捉える蓋然性がより高くなる。
さらに、本実施形態では、同じ変動中演出にて、遊技説明演出と好機演出の両方ともが発生することはない(遊技説明画像51と好機画像52の両方が表示されることはない)。同じ変動中であると、先に発生した遊技説明演出と好機演出の一方と、後に発生した他方とを比較しやすくなり、違う演出が発生していることに遊技者が気付きやすくなるから、それを避けるため一の変動中演出中に遊技説明演出と好機演出の両方が発生することがないようにしている。
以下、上記遊技説明演出および好機演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇具体例4-1
上記実施形態では、遊技説明画像51に付される番号(数字)と、好機画像52に付される番号(数字)とは重複しないものとされることを説明したが、重複するものとしてもよい。すなわち、一または複数種の好機画像52のうちの一部に付された番号と、ある種の遊技説明画像51に付された番号とは一致するものとする(図16参照)。
このようにすることで、ある番号が付された遊技説明画像51が表示される遊技説明演出に接したことのある遊技者は、それと同じ番号が付されているにもかかわらず内容が異なる画像(好機画像52)が表示された場合に違和感を覚え、好機演出が発生していることに気付く蓋然性が高まる。つまり、好機演出が発生していることに気付くきっかけの一つとして「番号」の重複が設定された構成とする。
〇具体例4-2
好機画像52に付される番号に「法則」が設けられたものとする。例えば、上記実施形態のように計5種の好機画像52が設けられた構成である場合において、当該好機画像52のそれぞれには、No.7、No.17、No.27、No.37、No.47の番号が付されたものとする(図17参照)。つまり、下一桁(1の位)の数字が「7」であるのが好機画像52であり、それ以外が遊技説明画像51であるとする。つまり、本例は、好機画像52を遊技説明画像51の一種であるかのように見せるために付した番号を、好機画像52と遊技説明画像51を区別する要素として利用するという斬新なものである。別の見方をすれば、各種好機画像52は、「7」の数字という共通する要素(遊技説明画像51が含まない要素)を含むということである。このようにすることで、好機演出の発生に遊技者が気付くきっかけになる。また、当該法則を見出した者であれば、好機画像52と遊技説明画像51の区別が容易になる。
本例のようにする場合、各種好機画像52が含む共通する要素(「7」の数字)以外の要素(好機画像52の種類毎に異なる要素)により、発生したときの信頼度の高低が示唆される構成としてもよい。例えば、二桁目の数字(「7」以外の数字)が大きいほど、表示されたときの信頼度が高いものとする。図17に示した例でいえば、No.7、No.17、No.27、No.37、No.47(最も高い)の順で高信頼度となる(「No.7」の場合、二桁目の数字は「0」とみなす)。
〇具体例4-3
遊技説明画像51と好機画像52の両方が有する要素の態様を異ならせることで、好機演出の発生に気付きやすくする。例えば、遊技説明画像51の枠と好機画像52の枠の態様を異ならせることが考えられる。ただし、枠全体の大きさ(両画像の外形)を異ならせると、両画像の違いが顕著となって、遊技説明演出と好機演出とが全く別の演出となってしまうから、枠全体の大きさ(両画像の外形)が同じであることは維持されるものとする。枠の態様を異ならせる例としては、一方の画像の枠と他方の画像の枠の太さを異ならせる(例;遊技説明画像51よりも好機画像52の枠の方が太い)ことが考えられる(図18参照)。また、図示しないが、一方の画像の枠と他方の画像の枠の色を異ならせる(例;遊技説明画像51「黒」、好機画像52は「赤」)ことが考えられる。
また、上記実施形態では、表示領域911における遊技説明画像51が表示される範囲と好機画像52が表示される範囲とは一致することを説明したが、遊技説明画像51が表示される範囲と好機画像52が表示される範囲とを異ならせてもよい。つまり、画像が表示される範囲(位置)の違いにより、好機演出が発生していることを気づきやすくしてもよい。
〇具体例4-4
上記実施形態では、遊技説明画像51と好機画像52の両方が含む共通の要素(特定要素50c)が「No.」であることを説明したが、特定要素50cとして設定するものはこれに限られない。例えば、遊技説明画像51(図19(a)参照)のみならず、好機画像52も「説明」、「ポイント」、「レクチャー」、「アドバイス」といった文言を含む(図19(b)参照)ものとする。好機画像52は、信頼度示唆の画像であって遊技に関する説明を行う画像ではなく、その点に鑑みれば好機画像52が「説明」等の文言を含むことは適切ではないといえるが、好機画像52を遊技説明画像51に見せるという作用を高めるため、遊技説明画像51であることを示すような文言を特定要素50cとして好機画像52にも含ませる。
このようにすることで、好機演出が発生していることに気付きにくい(好機演出の発生に気付く遊技者が少なくなるという)遊技性が実現される。
2-5)画像演出
本実施形態にかかる遊技機1は、変動中演出を構成する演出として画像演出(ただし、全ての変動にて発生するわけではない)を実行することが可能である。以下説明する通り、画像演出(図20参照)は、第一段階~第三段階の態様を含むものである。
第一段階(図20(a)参照)は、複数種の候補画像60が変動表示される段階である。複数種の候補画像60のそれぞれは、画像演出が発生する変動中演出に対応する当否抽選結果(対象当否抽選結果)を示唆する要素を含む。なお、当該候補画像60は、当否抽選結果を報知するための図柄(本実施形態でいう装飾図柄80等ではない)。対象当否抽選結果の報知が完了する(対象当否抽選結果を示す装飾図柄80の組み合わせが示される)よりも前に、対象当否抽選結果の大当たり信頼度を示唆する(厳密には、後述する決定画像64とされてはじめて「示唆」するものである)ものである。なお、当該「示唆」には、画像演出終了後に発生する演出等の示唆(今後の展開の示唆)を含むものとする。
候補画像60の例としては次のようなものが考えられる。いわゆる疑似連続演出(当該疑似連続演出自体は公知であるから説明を省略する)が発生することを示す「NEXT」、所定のリーチ演出に移行することを示す「発展」、大当たり信頼度が高まったことを示唆する「チャンス」、「チャンス」よりも大当たり信頼度が高いことを示唆する「激熱」、対象当否抽選結果が大当たりであることが確定する「確定」、対象当否抽選結果がはずれであることが確定する「×」といったものを例示することができる。なお、後述する決定画像64とされた際における大当たり信頼度の低いものから順に並べると「×」(信頼度0%)、「発展」、「チャンス」、「NEXT」、「激熱」、「確定」(信頼度100%)、という順となる。これ以外の候補画像60が設定された構成としてもよいし、上記例示した候補画像60の一部が設定されていない構成としてもよい。
本実施形態における画像演出の第一段階においては、計四つの候補画像60が表示領域911にて変動表示される。当該四つの候補画像60の組み合わせ(パターン)は画像演出の度に変化しうる。後述する決定画像64は、第一段階にて示された四つの候補画像60からしか選択されない。つまり、第一段階にて示されなかった候補画像60が決定画像64となることはない。なお、本実施形態では、四つの候補画像60のうちの二以上が同じ種類となることもある。この場合には、当該二以上の候補画像60が決定画像64として選択される蓋然性(当該候補画像60が一つのみ示された場合よりも選択される蓋然性)が高い。
第一段階にて変動表示される候補画像60の外形(大きさ)は同じである。第一段階においては、四つの候補画像60としてどのような種類のものが表示されているかを把握できるように各候補画像60が変動表示される。
第一段階の後の第二段階(図20(b)参照)においては、変動表示されている複数(本実施形態では四つ)の候補図柄を覆う被覆画像62が表示領域911に表示される。本実施形態では、左右から中央に向かって進出してくる「扉」のような画像が被覆画像62として表示され、候補画像60を覆う。候補画像60が被覆画像62に覆われたことを示すため、候補画像60の「陰影」を表すような画像(以下、影画像61と称する)が表示される。影画像61は候補画像60の大きさと同じである。候補画像60は、被覆画像62に覆われた後も変動が継続しているかのように表示される。つまり、第一段階にて示された候補画像60と同数の影画像61が変動表示される。なお、このように影画像61(陰影)として表示されるため、各画像がどのような内容を示唆する候補画像60であるかは把握できない。つまり、仮に第一段階を見ていないとすれば、候補画像60の種類がどのようなものであるか把握できない。
上述した通り、候補画像60はその種類によらず「外形」が同じものであるから、影画像61の態様は候補画像60の種類によって変化するというものではない(どのような種類の候補画像60であっても被覆画像62に覆われる「陰影」は同じである)。本実施形態では、第一段階にて変動表示される候補画像60の組み合わせは変化するが、その数(四つ)は同じである。そのため、第二段階における影画像61の変動態様は毎回同じにすることができる。つまり、第一段階にて示される候補画像60の種類の組み合わせに合わせた第二段階での画像制御が不要になるという利点がある。すなわち、第一段階にて示された候補画像60の種類によらず、第二段階においては毎回同じ画像(影画像61や被覆画像62といった画像演出用に表示される画像をいい、保留図柄10や装飾図柄80を除く)を表示領域911に表示すればよい。
第二段階の後の第三段階(図20(c)参照)においては、第一段階にて示された複数(本実施形態では四つ)のうちの一つが決定画像64として表示領域911に表示される。具体的には、第二段階にて示された被覆画像62が消去されることで、複数の候補画像60のうちの一つが決定画像64として表示される(それ以外の候補画像60は第三段階で表示されない)。本実施形態では、被覆画像62である「扉」が幅方向外側に向かって移動するかのような変化が生じた上で、当該「扉」が表示領域911に表示されない状態となる。
当該第三段階にて示された決定画像64(候補画像60のうちの一つ)により対象当否抽選結果が示唆される。例えば、「NEXT」が決定画像64として表示された場合には、その後疑似連続演出が発生する。換言すれば、第三段階にて示される決定画像64は、画像演出の「結果」を示すものであるといえる。
このように、本実施形態における画像演出は、変動する候補画像60(信頼度示唆の候補)が表示された上で、それが一旦隠され、表れたときには一つの画像(決定画像64)のみが表示されている(当該決定画像64により信頼度(今後の展開)が示唆される)という分かりやすいものである。
また、画像演出では、第二段階にて候補画像60の数分の影画像61が表示されるため、候補画像60が覆われたという状況が明確になる。
以下、上記画像演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇具体例5-1
第二段階にて示される影画像61の態様により、画像演出の結果、すなわち第三段階にて示される決定画像64が遊技者に有利なもの(大当たり信頼度が高いもの)となる蓋然性が示唆される構成とする。例えば、影画像61として、第一影画像611が表示される場合と、当該第一影画像611とは異なる態様の第二影画像612が表示される場合があるものとする。第二段階にて第一影画像611が表示された場合よりも、第二影画像612が表示された場合の方が、第三段階にて示される決定画像64が大当たり信頼度の高いものとなる蓋然性が高い構成とする。例えば、第一影画像611は「黒」の陰影(図21(a)参照)、第二影画像612は「赤」の陰影である(図21(b)参照)構成とする。
影画像61は、被覆画像62に覆われた候補画像60の「陰影」を示すものであるから、候補画像60の種類(示唆内容)に応じた態様とする必要がない。つまり、候補画像60の外形に合わせた形状とすればよいだけであり、基本的態様が簡易なものである。このような基本的態様が簡易なものであると、結果示唆のために複数の態様(第一影画像611、第二影画像612)のそれぞれをデザインするのも容易である。すなわち本例は、影画像61が被覆画像62に覆われたことを示す「陰影」であることを利用し、結果示唆のための画像作成が容易になるようにしたものである。
〇具体例5-2
第二段階にて示される被覆画像62の態様により、画像演出の結果、すなわち第三段階にて示される決定画像64が遊技者に有利なもの(大当たり信頼度が高いもの)となる蓋然性が示唆される構成とする。例えば、被覆画像62として、第一被覆画像621が表示される場合と、当該第一被覆画像621とは異なる態様の第二被覆画像622が表示される場合があるものとする。第二段階にて第一被覆画像621が表示された場合よりも、第二被覆画像622が表示された場合の方が、第三段階にて示される決定画像64が大当たり信頼度の高いものとなる蓋然性が高い構成とする。例えば、第一被覆画像621は「白」の扉(図22(a)参照)、第二被覆画像622は「赤」の扉(図22(b)参照)を表すものである構成とする。
被覆画像62は、候補画像60を一旦覆い隠すために表示されるものであるから、第一段階にて示される候補画像60の種類(示唆内容)に応じた態様とする必要がない。つまり、第一段階にて示される候補画像60の種類によらず、第一被覆画像621が表示される第二段階用の画像と、第二被覆画像622が表示される第二段階用の画像とを用意しておけばよいだけであるから、制御が容易になるという利点がある。
〇具体例5-3
第二段階(図23(a)参照)から第三段階(図23(b-1)参照)への移行が生じない、すなわち決定画像64が表示されないケース(図23(b-2)参照)も発生しうるものとする。例えば、被覆画像62である「扉」が開かず(被覆画像62が消去されずに残り)、決定画像64が表示されずに画像演出が終了するケースも発生しうるものとする。図示しないが、第二段階においては、被覆画像62である扉が開きそうになる「煽り演出」が発生するようにするとよい。このような決定画像64が表示されずに終了する画像演出の結果は、遊技者にとって不利な結果とするとよい。つまり、対象当否抽選結果がはずれとなることが確定する結果とするとよい。
このようにすることで、画像演出は、まずは被覆画像62が消去されて(「扉」が開いて)決定画像64が表示されることを遊技者が願い、決定画像64が表示されるのであれば信頼度が高い画像が表示されることを遊技者が願うという演出形態となる。
3)進入口への遊技球の誘導構造
遊技領域902に設けられた遊技球が進入可能な領域(対象領域)に対し、遊技球を誘導する構造として、次のような構造を採用することが可能である。本実施形態では、大入賞領域906を対象領域として当該構造(図1、図24参照)が採用されている。大入賞領域906はいわゆる「右打ち」により発射された遊技球が進入可能な領域である(遊技領域902の右側に設けられたものである)。
対象領域(大入賞領域906)の入口を進入口62とする。つまり、対象領域に進入する遊技球は当該進入口62を通過することになる。進入口62が形成された構造物を進入口構造体60とする。当該進入口構造体60は遊技球が進入可能な遊技領域902に配置されている。進入口構造体60は、上下方向に沿う縦壁面61(左右方向に略直交する面)を有する。当該縦壁面61に進入口62(左側に向かって開放された穴)が形成されている。すなわち、進入口62は、その開口縁が上下方向に平行な平面に沿って形成された穴である(図24参照)。
進入口62に近接する位置に誘導部材71および開閉部材72が設けられている。誘導部材71は、前後方向にスライドする板状の部材である。具体的には、原位置(常態における位置)(図24(b-1)参照)とそれよりも前方の進出位置(図24(b-2)参照)との間を往復することが可能なものである。原位置においては、遊技盤の前面(遊技釘等が立設される面)よりも後方に位置しており、流下する遊技球が誘導部材71に接触することはない。進出位置においては、遊技盤の前面よりも前方に向かって突出する。誘導部材71の上面は進入口62に向かって下るように傾斜した形状を呈する。本実施形態では、右側に向かって下るように傾斜している(図24(a)参照)。進出位置に位置した誘導部材71の進入口62側端縁と、縦壁面61(進入口62)との隙間は遊技球が通過不能な大きさとされる。そのため、誘導部材71が進出位置に位置した状態において、当該誘導部材71に向かって流下してきた遊技球は、誘導部材71の上面に受け止められ、そのまま進入口62に向かって誘導されることになる。
開閉部材72は、進入口62を閉鎖する閉位置(常態における位置)(図24(b-1)参照)と開放する開位置(図24(b-2)参照)との間を往復することが可能なものである。開閉部材72が閉位置に位置するとき、当該開閉部材72の少なくとも一部が進入口62の手前(誘導部材71側)に位置し、進入口62を遊技球が通過できない状態となる。つまり、進入口62における開閉部材72に覆われない範囲の大きさは遊技球の大きさよりも小さいから、遊技球が進入口62を通過することは不可能である。一方、開閉部材72が開位置に位置する状態では、当該開閉部材72は進入口62を覆わないから、進入口62を遊技球が通過できることになる。
誘導部材71が原位置に位置するときには開閉部材72が閉位置に位置し、誘導部材71が進出位置に位置するときには開閉部材72が開位置に位置するように制御される。本実施形態では、誘導部材71と開閉部材72のそれぞれを駆動させる別個の電気的駆動源が設けられている。電気的駆動源としては、ソレノイドやモータを例示することができる。
誘導部材71が進出位置に位置するときには、開閉部材72が開位置に位置する(図24(b-2)に示す状態となる)から、誘導部材71(の上面)に到達した遊技球は、そのまま進入口62を通過する。一方、誘導部材71が原位置に位置するときには、遊技球を進入口62に向かって誘導する部材は存在しない。しかしながら、不規則に跳ねる等した遊技球が進入口62を通過してしまう可能性があるため、開閉部材72を開位置に位置させ(図24(b-1)に示すような状態とし)、このような事象が発生した場合であっても遊技球が進入口62を通過することがないようにしている。
本実施形態では、誘導部材71の上側(上流側)には、上流側誘導部65が設けられている。当該上流側誘導部65は、進入口構造体60により構成されるものである。具体的には、進入口構造体60の左側面が上述した縦壁面61であり、上側面が上流側誘導部65とされている(図24参照)。当該上流側誘導部65(進入口構造体60の上側面)は、左側に向かって下るように傾斜した形状を呈する(図24(a)参照)。したがって、上流側誘導部65に到達した遊技球は、左側に向かって誘導されることになる。誘導部材71が進出位置に位置するときには、上流側誘導部65の末端(左側端部)から出た遊技球は下方に落下し、誘導部材71(の上面)に到達することになる(図24(a)参照)。なお、本実施形態では、「右打ち」された遊技球は、各種入賞領域等に進入したものを除き、全て上流側誘導部65(の上面)に到達することになる(図1参照)。
このように、本実施形態によれば、対象領域に進入する遊技球が通過する進入口62が、遊技領域902に配置された構造物(進入口構造体60)の縦壁面61に沿うように形成されたものであるから、対象領域に遊技球を誘導するための構造の配置スペースを小さくすることができる。
また、上流側誘導部65から進入口62まで誘導される遊技球の動きは、右から左(上流側誘導部65上での流れ)→左から右(誘導部材71上での流れ)というようになる(遊技球の流れが「C」字状になる)(図24(a)参照)。つまり、上流側誘導部65上で右から左に向かう遊技球をそのままの流れで進入口62(対象領域)に誘導するのではなく、遊技球が移動する方向を変えて(左から右に変えて)進入口62(対象領域)に誘導する。このような誘導構造を採用することで、遊技球を進入口62(対象領域)まで誘導するための構造(遊技球の導線)がコンパクトにまとまることになる。
特に本実施形態では、上流側誘導部65および進入口62が同じ構造物(進入口構造体60)により形成されたものであるところ、当該進入口構造体60の上側面を転動した遊技球が、当該進入口構造体60の左側面(縦壁面61)に形成された進入口62に誘導されるという斬新なものである(通常は、ある構造物の上面を転動した遊技球が当該構造物の側面(上下方向に沿う面)に形成される穴に誘導されるようにすることは想定されない)。
なお、本実施形態では、大入賞領域906を対象領域とする(進入口62は大入賞領域906の入口である)ものであるが、始動領域904や普通始動領域905等を対象領域とすることが可能である。また、いわゆるV確変機における「V領域」、一種二種混合機における「二種当たり領域」を対象領域とすることも可能である。また、本実施形態では、進入口62(対象領域)はいわゆる「右打ち」領域に配置されたものであるが、「左打ち」領域に配置されたものであってもよい。
以下、上記進入口62への遊技球の誘導構造に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇具体例6-1
上記実施形態では、遊技球を進入口62に誘導する誘導部材71と、進入口62を開閉する開閉部材72が設けられていることを説明したが、開閉部材72が設けられていない構成としてもよい。上述した通り、進入口62は上下方向に沿う縦壁面61に形成されたものであるから、誘導部材71が原位置に位置している状態では余程のことがない限り進入口62を遊技球が通過することはないとし、開閉部材72を設けず、進入口62が常時開放されている構成とする。
〇具体例6-2
誘導部材71および開閉部材72の両方は、一の電気的駆動源により変位させられるものとする。例えば、一の電気的駆動源としてソレノイドを用い、誘導部材71は、当該ソレノイドのプランジャの前進・後退動作がそのまま伝達されて前進(原位置から進出位置への前進)・後退(進出位置から原位置への後退)動作するものとする。一方、開閉部材72は、誘導部材71が原位置から進出位置に向かうことにより閉位置から開位置に変位し、誘導部材71が進出位置にから原位置に向かうことにより開位置から閉位置に変位するものとされる。つまり、誘導部材71と開閉部材72に互いに係合する係合部を設け、当該係合部の係合により、誘導部材71に伝達された動力が開閉部材72にも伝わる構成とする。また、電気的駆動源に加え、誘導部材71や開閉部材72を一方の位置に向けて付勢するばね等の付勢部材を用いた構成としてもよい。
誘導部材71が進出位置であるときには開閉部材72は開位置とされ、誘導部材71が原位置であるときには開閉部材72は閉位置とされるべきものであるところ、誘導部材71および開閉部材72のそれぞれについて電気的駆動源を設けた場合、当該位置関係が担保されるように二つの電気的駆動源を制御しなければならない。本例のように一の電気的駆動源を用い、一方の部材の位置に応じて必然的に他方の部材の位置が決まるものとすることで、制御が容易になるという利点がある。
〇具体例6-3
上記実施形態では、上流側誘導部65から進入口62まで誘導される遊技球の動きは、右から左(上流側誘導部65上の流れ)→左から右(誘導部材71上の流れ)というもの(遊技球の流れが「C」字状になるもの)であることを説明したが、左右の関係が逆である構成としてもよい。すなわち、上流側誘導部65は右に向かって下るように傾斜するものとし、誘導部材71は左に向かって下るように傾斜するものとすることで、上流側誘導部65から進入口62まで誘導される遊技球の動きが、左から右(上流側誘導部65上の流れ)→右から左(誘導部材71上の流れ)というもの(遊技球の流れが「コ」字状になるもの)としてもよい。誘導部に誘導された遊技球は、進入口構造体60の右側面(縦壁面61)に形成された進入口62を通過する。
4)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上記実施形態にて説明した事項は、ぱちんこ遊技機特有の構成を利用した点を除いて、回胴式遊技機等その他の遊技機にも適用することが可能である。
上記実施形態にて説明した当否抽選結果が「大当たり」となる蓋然性(大当たり信頼度)を示唆する演出については、いわゆる「小当たり」となる蓋然性を示唆するものとして用いることもできる。
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
・手段1-1
遊技者が操作可能な操作手段と、発生する時点が正確に予測できない特定事象が発生した特定時点にて前記操作手段が操作された状態になければ発生しないものの、当該特定時点にて前記操作手段が操作された状態にあれば発生する特定演出を実行する演出実行手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機が実行可能な特定演出は、特定時点にて操作手段が操作されていなければ発生せず、操作されていれば発生するという面白みのあるものである。
・手段1-2
前記操作手段は、通常態様から、当該通常態様とは異なる態様であることを遊技者の感覚で認識可能な特殊態様に自動的に変化することが可能なものであり、前記特定演出は、前記特定時点にて前記操作手段が操作された状態にあれば前記操作手段が前記通常態様から前記特殊態様に変化するものであることを特徴とする手段1-2に記載の遊技機。
特定時点にて操作手段が操作されていることが特定演出の発生条件となるのであるから、当該特定演出は操作手段の態様の変化とすることが好ましい。
・手段1-3
前記操作手段が非振動状態にあることが前記通常態様として、振動状態にあることが前記特殊態様として設定されていることを特徴とする手段1-2に記載の遊技機。
特定演出が発生するということは特定時点にて操作手段が操作されているということであるから、操作手段の振動が特定演出として設定された構成とすれば、特定演出の発生に遊技者が気づくことになる。
・手段1-4
所定領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否抽選情報に基づき当否抽選を実行する当否抽選手段を備え、前記特定事象は、当否抽選結果が当たりとなる前記当否抽選情報の取得であることを特徴とする手段1-1から手段1-3のいずれか一項に記載の遊技機。
このようにすることで、操作手段を操作し続けながら遊技することで、いち早く当選に気付くことができるという遊技性が実現される。
・手段2-1
表示手段と、遊技者が操作可能な操作手段と、遊技者に対し前記操作手段の操作を促す演出であって、前記操作手段を表した操作画像とともに、演出後に発生しうる事後演出を示唆する事後演出画像が前記表示手段に表示される特定操作演出を実行する演出実行手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、遊技者に対し操作手段の操作が促される段階から、その後発生する演出(事後演出)が示唆されるという面白みのある操作演出(特定操作演出)を実行することが可能である。
・手段2-2
前記特定操作演出での前記操作手段の操作が所定条件を満たすものとなった場合には当該特定操作演出後に前記事後演出が発生するものの、当該所定条件を満たすものとならなかった場合には当該特定操作演出後に前記事後演出は発生しないことを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このようにすることで、事後演出を発生させるためには操作手段を操作しなければならないから、遊技者の操作意欲の向上に資する。
・手段2-3
前記操作画像は表示されるものの前記事後演出画像は表示されない通常操作演出が実行可能であるとともに、前記事後演出は当該通常操作演出後にも発生しうるものであり、前記通常操作演出が発生した場合よりも、前記特定操作演出が発生した場合の方が、前記事後演出が発生する蓋然性が高いことを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このようにすることで、操作演出での事後演出画像の表示の有無により、事後演出が発生する蓋然性が示唆されるという分かりやすい遊技性とすることができる。
・手段2-4
前記事後演出画像として前記特定操作演出にて表示されうる画像として、第一事後演出画像と、当該第一事後演出画像とは態様が異なる第二事後演出画像が設定されており、前記特定操作演出にて前記第一事後演出画像が表示された場合よりも、前記第二事後演出画像が表示された場合の方が、当該特定操作演出後に前記事後演出が発生する蓋然性が高いことを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このようにすることで、特定操作演出が発生したときに、事後演出画像の態様にも遊技者が注目することになる遊技性が実現される。
・手段3-1
表示手段と、遊技者が操作可能な操作手段と、前記表示手段に複数の選択肢が示され、前記操作手段の操作により当該複数の選択肢のうちから好みの選択肢を選択するよう遊技者に促す選択演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記選択演出は、ある選択肢の選択が決定されるに際し、当該ある選択肢を他の選択肢よりも強調された強調状態とすることが必要となるものであり、前記選択演出にて前記操作手段の操作に関する操作説明画像が前記表示手段に表示されるよりも前に、前記強調状態とされる選択肢を変化させる選択操作が可能であることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、遊技者の操作が無駄になりにくく、円滑に進行しやすい選択演出とすることができる。
・手段3-2
前記選択演出における遊技者の前記操作手段の操作は、前記選択操作、および、前記強調状態とされた選択肢の選択を決定する決定操作に区分けされ、前記選択演出は、前記選択操作は可能であるが前記決定操作はできない第一期間、および、当該第一期間の経過後の期間であって前記操作説明画像が表示された上で前記選択操作および前記決定操作のいずれも可能である第二期間を含むことを特徴とする手段3-1に記載の遊技機。
操作説明画像が表示される前の状態(第一期間)においては、選択肢の決定がなされることはないと遊技者が考える可能性があるから、選択操作はできても決定操作はできないようにすることが好ましい。
・手段3-3
前記選択演出は、当該選択演出の終了までの時間を示す時間画像が表示されるものであり、前記操作説明画像の表示前には前記時間画像が表示されず、前記操作説明画像の表示と同時または表示後に前記時間画像が表示されることを特徴とする手段3-1または手段3-2に記載の遊技機。
このようにすることで、選択演出は、時間画像が表示されない状態から表示された状態に移行するというものになるから、時間画像の表示が選択肢の決定を促しているかのように見える演出態様となる。
・手段4-1
表示領域を有する表示手段と、装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果を示す態様で停止するまでの変動中演出を構成するものとして、前記表示領域に遊技説明画像を表示して遊技に関する説明を行う遊技説明演出を実行する遊技説明演出実行手段と、前記変動中演出を構成するものとして、当否抽選結果が当たりとなる蓋然性が高まったことを、前記表示領域に好機画像を表示して示唆する好機演出を実行する好機演出実行手段と、を備え、前記遊技説明画像は、その種類によらず共通する特定要素を含むものであり、前記好機画像は、前記特定要素を含むものであることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、一瞥すると遊技説明画像に見える好機画像によりいわゆるチャンスアップが示唆される(好機画像が遊技説明画像とは違うものであることに気付いた遊技者のみが好機画像による示唆作用を享受できる)という面白みのある遊技性が実現される。
・手段4-2
前記遊技説明画像のそれぞれは、固有の番号が付されたものであり、前記好機画像のそれぞれは、前記遊技説明画像に付された番号と重複しない番号が付されたものであることを特徴とする手段4-1に記載の遊技機。
このようにすることで、遊技説明画像と好機画像とが同じ系統の画像であるかのような印象を受けやすくなる(好機画像が遊技説明画像であるかのように見えやすくなる)。
・手段4-3
前記遊技説明演出にて前記表示領域における前記遊技説明画像が表示される範囲と、前記好機演出にて前記表示領域における前記好機画像が表示される範囲とは同じであることを特徴とする手段4-1または手段4-2に記載の遊技機。
このようにすることで、好機画像が遊技説明画像であるかのように見えやすくなる。
・手段4-4
一の前記変動中演出にて、前記遊技説明演出と前記好機演出の両方とも発生することがないように設定されていることを特徴とする手段4-1から手段4-3のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、遊技説明演出(遊技説明画像)と好機演出(好機画像)とが違う演出であることに気付きにくくなる。
・手段5-1
装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果を示す態様で停止するまでの変動中演出を構成する演出として、それぞれが当否抽選結果が当たりとなる蓋然性を示唆する要素を含む複数の候補画像を変動表示する第一段階と、前記第一段階の後、複数の前記候補図柄を覆う被覆画像を表示する第二段階と、前記第二段階の後、複数の前記候補図柄のうちの一つが決定画像として表示され、当該決定画像により当否抽選結果が当たりとなる蓋然性が示唆される第三段階と、を含む画像演出を実行することを特徴とする遊技機。
上記画像演出は、変動する候補画像が表示された上で、それが一旦隠され、表れたときには信頼度を示唆する決定画像が表示されているという分かりやすいものである。
・手段5-2
前記第二段階にて前記被覆画像に覆われた複数の前記候補画像が変動表示されていることを示す影画像が表示されることを特徴とする手段5-1に記載の遊技機。
このような影画像が表示されるようにすることで、候補画像が隠されたという状況を分かりやすく示すことが可能である。
・手段5-3
前記第二段階にて前記影画像として第一影画像が表示された場合よりも当該第一影画像とは異なる態様の第二影画像が表示された場合の方が、前記第三段階にて表示される前記決定画像が遊技者に有利なものとなる蓋然性が高いことを特徴とする手段5-2に記載の遊技機。
このように、影画像を利用して演出の結果(決定画像)を示唆することができる。
・手段5-4
前記第二段階にて前記被覆画像として第一被覆画像が表示された場合よりも当該第一被覆画像とは態様が異なる第二被覆画像が表示された場合の方が、前記第三段階にて表示される前記決定画像が遊技者に有利なものとなる蓋然性が高いことを特徴とする手段5-1から手段5-3のいずれかに記載の遊技機。
このように、被覆画像を利用して演出の結果(決定画像)を示唆することができる。
・手段6-1
遊技球が進入可能な遊技領域内に配置されたものであって、上下方向に沿う縦壁面を有し、当該縦壁面に遊技球が進入可能な進入口が形成された進入口構造体と、原位置よりも前方である進出位置に位置した状態にて遊技球を前記進入口に向けて誘導する部材であって、上面が前記進入口に向かって傾斜した形状を呈する誘導部材と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、進入口まで遊技球を誘導する構造を配置するスペースを小さくすることができる。
・手段6-2
前記遊技領域における前記誘導部材の上流側に位置し、前記誘導部材が前記進出位置に位置するときには末端から出た遊技球が当該誘導部材に到達するように設けられた上流側誘導部を備え、前記誘導部材の上面は左右方向における一方側に向かって下るように傾斜した形状を呈し、前記上流側誘導部の上面は左右方向における他方側に向かって下るように傾斜した形状を呈することを特徴とする手段6-1に記載の遊技機。
このようにすることで、進入口まで遊技球を誘導する構造がコンパクトにまとまる。
・手段6-3
前記誘導部材が前記原位置に位置するときには前記進入口を遊技球が通過不可能な状態とする閉位置に位置し、前記誘導部材が前記進出位置に位置するときには前記進入口を遊技球が通過可能な状態とする開位置に位置する開閉部材を備えることを特徴とする手段6-1または手段6-2に記載の遊技機。
このようにすることで、誘導部材が原位置に位置するとき(遊技球を進入口に誘導すべきではないとき)に進入口を遊技球が通過してしまうことが防止される。