以下、図面を参照しながら、各実施形態の軟水化装置を説明する。なお、各実施形態の説明および図面においては、同一の参照符号が同一の部分に付されている。同一の参照符号が付された同一の部分の説明は、後続の実施形態において繰り返されない。第1実施形態と後続の実施形態との図面の対比において、同一の参照符号が付された同一の部分は、特に説明がなければ、同一の構造および機能を有している。
(第1実施形態)
まず、図1および図2を用いて、第1実施形態にかかる軟水化装置1を説明する。
本実施形態にかかる軟水化装置1は、導入された被処理水中に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の金属イオンを被処理水から取り除き、軟水を生成するための装置である。本実施形態では、家屋やビル等の建物の入口に設置され、被処理水を処理して、軟水化された処理水を建物全体に供給することができるPOE(Point Of Entry)方式の軟水化装置1を例示している。
具体的には、軟水化装置1は、上流側が上水配管101等の被処理水供給源100に接続されており、下流側が建物内に配管された給水配管110に接続されている。そして、上水配管101から供給された被処理水に含まれる金属イオンを軟水化装置1内で除去し、金属イオンが除去された処理水(軟水)が給水配管110に供給されて、家庭内の蛇口111等から軟水が給水されるようになっている。なお、被処理水供給源100は、上水配管101に限られるものではなく、井戸、河川、池等の水源を被処理水供給源100とすることも可能である。井戸、河川、池等の水源を被処理水供給源100とした場合、水源から汲みだした水や雨水が軟水化装置1に供給される被処理水となる。
ここで、本実施形態にかかる軟水化装置1では、金属イオンを晶析させて、結晶を被処理水から分離することで被処理水を軟水化する軟水化システム10を採用している。
このような軟水化システム10を採用することで、塩水を用いずに被処理水を軟水化できるようにし、環境負荷をより低減させることができるようにしている。
この軟水化システム10は、被処理水が流れる送水経路20と、被処理水に含まれる金属イオンを析出させる晶析部30と、晶析部30を通過した被処理水を、晶析部30で析出させた結晶と軟水とに分離する分離部40と、を備えている。
晶析部30と分離部40は、上流側に晶析部30が位置し、下流側に分離部40が位置するように、送水経路20に接続されている。
すなわち、送水経路20は、晶析部30の上流側に接続されて、被処理水を晶析部30内に導入することが可能な晶析部導入経路21を有している。この晶析部導入経路21は、上流側が上水配管101等の被処理水供給源100に接続されており、被処理水供給源100から供給される被処理水は、この晶析部導入経路21を通って晶析部30内に導入される。
そして、本実施形態では、晶析部導入経路21には、上流側から順に、逆流防止弁B1、バルブE1、ポンプ(昇圧手段)P1、圧力センサS1、逆流防止弁B2が接続されている。
また、送水経路20は、晶析部30の下流側と分離部40の上流側に接続されて、晶析部30内で金属イオンを晶析させた被処理水を、分離部40内に導入することが可能な分離部導入経路22を有している。晶析部30から分離部40に供給される被処理水は、この分離部導入経路22を通って分離部40内に導入される。この分離部導入経路22には、バルブE2が接続されている。
そして、晶析部導入経路21を通って晶析部30内に供給された被処理水は、晶析部30において金属イオンが晶析される。この晶析部30において被処理水中の金属イオンを晶析させる方法としては、塩水を用いずに晶析を行うことができるものであればよく、様々な方法を用いることができる。例えば、晶析部30内に導入された被処理水に薬剤を注入して被処理水をアルカリ性にして結晶化させる方法や、電気分解によりアルカリイオン水を生成して被処理水をアルカリ性にして結晶化させる方法を用いることができる。また、被処理水中に存在するマイクロバブル(被処理水中で発生させたマイクロバブル)を利用して金属イオンを晶析させることも可能である。
そして、晶析部30内で金属イオンを晶析させた被処理水は、分離部導入経路22を通って分離部40内に導入され、分離部40によって、晶析させた金属の結晶と軟水とに分離される。
分離部40としては、例えば、サイクロン型の固液分離機を用いることができる。サイクロン型の固液分離機は、重力の代わりに遠心力を利用して、液体中に懸濁する固体の沈降を促進する装置である。
そして、分離部40の上部には、分離部40によって遠心分離された液体(処理水:軟水)が導入される処理水送水経路23が接続されており、分離部40の下部には、分離部40によって遠心分離された固体(結晶)が導入される排出路24が接続されている。
このように、本実施形態では、送水経路20は、分離部40の下流側に接続されて、処理水が導入される処理水送水経路23と、分離部40の下流側に接続されて、金属の結晶が導入される排出路24と、をさらに有している。
処理水送水経路23は、本実施形態では、下流側が給水配管110に接続されており、この処理水送水経路23には、上流側から順に、逆流防止弁B3、バルブE3、逆流防止弁B4が接続されている。そして、給水配管110の下流側に蛇口111が接続されている。
一方、排出路24には、バルブE4が接続されており、このバルブE4を閉止することで、金属の結晶が排出路24内に貯められるようになっている。そして、バルブE4を開放することで、排出路24内に貯まった金属の結晶を軟水化装置1の外部に排出することができるようになっている。
なお、軟水化システム10には、エア抜き弁A1が取り付けられており、このエア抜き弁A1によって軟水化システム10内の空気が抜かれるようにしている。本実施形態では、晶析部30にエア抜き弁A1を取り付けたものを例示している(図1および図2参照)。しかしながら、エア抜き弁A1の取付位置は、晶析部30に限られるものではなく、例えば、軟水化システム10の最上部等、様々な位置とすることができる。
ここで、本実施形態では、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成されている。
本実施形態では、略密閉・圧力印加系の送水経路は、少なくともバルブE3,E4を閉止することで得られるようにしている。
具体的には、まず、バルブE3,E4を閉止することで、送水経路20内の空間の一部が略密閉された空間となるようにしている。そして、送水経路20内の空間の一部を略密閉された空間とした状態で、ポンプ(昇圧手段)P1を作動させて、略密閉された空間内に水(被処理水)を供給することで、略密閉された空間内の圧力(水圧)を上昇させている。こうすることで、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
本実施形態では、送水経路20のうち、ポンプP1よりも下流側の晶析部導入経路21、分離部導入経路22の全体、バルブE3よりも上流側の処理水送水経路23およびバルブE4よりも上流側の排出路24が略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
そして、晶析部30および分離部40が、送水経路20における略密閉・圧力印加系の送水経路となる部位に接続されている。
したがって、晶析部30の内部空間および分離部40の内部空間も、略密閉・圧力印加系の一部を構成することになる。
このように、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成することで、建物の2階等の高い位置に配置された蛇口111からも軟水が給水されるようにしている。また、軟水化システム10を略密閉・圧力印加系とすることで、外部からの異物混入トラブルの低減が期待できる。
このとき、建物内に設けられたすべての給水口(蛇口111等)から軟水を取り出せるようにするために、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力(水圧)が所定値以上となるようにするのが好ましい。また、給水口(蛇口111等)から給水される軟水の水圧を安定させるために、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力(水圧)が略一定の値で維持されるようにするのが好ましい。
そこで、本実施形態では、軟水化システム10が、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を測定する圧力センサ(圧力測定手段)S1と、略密閉・圧力印加系の送水経路内に水を供給して昇圧させるポンプ(昇圧手段)P1と、を備えるようにしている。
そして、圧力センサS1により測定された略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が所定値よりも小さい場合には、ポンプP1を稼働させて、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を増加させるようにしている。
また、圧力センサS1により測定された略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が所定値以上の場合には、ポンプP1を停止させて、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が増大しすぎてしまうことが抑制されるようにしている。
この所定値は、軟水化装置1が設置される建物に設けられたすべての給水口(蛇口111等)から軟水を取り出すことができる最小の圧力よりも大きな値となるようにするのが好ましい。
本実施形態では、圧力センサS1は、配線H1を介してポンプP1の図示せぬ制御部に電気的に接続されており、圧力センサS1で計測された晶析部導入経路21内の水圧によって、ポンプP1の駆動が制御されるようにしている。
なお、本実施形態のように送水経路20を上水配管101に直結させた構成とすると、上水配管101から送水経路20内に供給される被処理水によって、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を所定値以上とすることができる場合がある。すなわち、上水配管101から送水経路20内に供給される水の圧力によって、建物内に設けられたすべての給水口(蛇口111等)から軟水を取り出すことができる場合もある。
そして、このような場合には、昇圧手段としてのポンプP1を設けなくてもよい。なお、ポンプP1を設けない場合には、晶析部導入経路21の全体、分離部導入経路22の全体、バルブE3よりも上流側の処理水送水経路23およびバルブE4よりも上流側の排出路24が略密閉・圧力印加系の送水経路となる。
そして、上述したような構成の軟水化装置1を用い、送水経路20の少なくとも一部を略密閉・圧力印加系の送水経路とした状態で、被処理水を晶析部30に導入することで、晶析部30によって金属イオンを晶析させている。
本実施形態では、図1に示すように、バルブE3,E4を閉止することで略密閉・圧力印加系の送水経路としつつ、バルブE2を閉止することで、晶析部30に導入された被処理水が所定時間以上晶析部30内に滞留するようにしている。このとき、バルブE1は開放されている。
そして、被処理水の硬度が所定の硬度となるまで金属イオンを晶析させる。このとき、例えば、晶析部30内に導入された被処理水の滞留時間を適宜設定することで、金属イオンの析出量が所定の量となるように調整することができる。なお、被処理水の晶析部30内への送液は、ポンプP1を稼働させることで行うことができる。この場合、ポンプP1は、被処理水の晶析部30内への送液を行う送液手段としての機能も有することになる。
そして、所定量の金属イオンを析出した後に、金属イオンの結晶が混濁した被処理水を分離部40に送水して軟水と金属イオンの結晶とに分離する。
本実施形態では、図2に示すように、バルブE4を閉止した状態で、バルブE2,E3を開放することで、被処理水が分離部40へと送られ、分離部40で分離された軟水が、処理水送水経路23を通って給水配管110に供給されるようにしている。このとき、バルブE1は開放されている。
なお、分離部40に送られた被処理水は、遠心分離によって軟水と金属イオンの結晶とに分離される。
ところで、晶析のために被処理水を晶析部30に導入する際には、水流の力はそれほど必要ないが、サイクロン型の固液分離機を用いて遠心分離を行うためには、ある程度強力な圧力と流量が必要になる。
このように、一般的には、分離部40において必要となる流量・圧力は、晶析部30で晶析させる際の流量・圧力よりも大きい。
そのため、サイクロン型の固液分離機を用いて遠心分離を行う際には、分離部40に供給される被処理水の流量・圧力がより大きくなるようにするのが好ましい。
このような構成は、ポンプP1の他に分離用のポンプ(図示せず)を用いるようにして得ることもできるし、インバータ制御などによりポンプP1の出力を向上させるようにして得ることもできる。インバータ制御などによりポンプP1の出力を向上させる場合、ポンプP1は、分離部40に被処理水を圧送する圧送手段としての機能も有することになる。
そして、分離部40によって分離された液体である軟水は、処理水送水経路23に導入され、固体である金属の結晶は、排出路24へと導入される。なお、排出路24内に貯まった金属の結晶は、バルブE4を開放することで軟水化装置1の外部に排出することができる。
一方、処理水送水経路23から給水配管110に導入された軟水は、給水配管110に接続された蛇口111を開放させることで、蛇口111から給水されることになる。
なお、軟水化装置1で得られる軟水の温度は、40℃以下となるようにするのが好ましく、30℃以下となるようにするのがより好ましい。
(第2実施形態)
次に、図3および図4を用いて、第2実施形態にかかる軟水化装置1を説明する。
本実施形態においても、家屋やビル等の建物の入口に設置され、被処理水を処理して、軟水化された処理水を建物全体に供給することができるPOE(Point Of Entry)方式の軟水化装置1を例示している。
そして、本実施形態においても、軟水化装置1では、金属イオンを晶析させて、結晶を被処理水から分離することで被処理水を軟水化する軟水化システム10を採用している。
この軟水化システム10は、被処理水が流れる送水経路20と、被処理水に含まれる金属イオンを析出させる晶析部30と、晶析部30を通過した被処理水を、晶析部30で析出させた結晶と軟水とに分離する分離部40と、を備えている。
そして、晶析部30と分離部40は、上流側に晶析部30が位置し、下流側に分離部40が位置するように、送水経路20に接続されている。晶析部30および分離部40の構成は、上記第1実施形態と同様の構成とすることができる。
また、本実施形態においても、送水経路20は、晶析部30の上流側に接続されて、被処理水を晶析部30内に導入することが可能な晶析部導入経路21を有している。この晶析部導入経路21も、上流側が上水配管101等の被処理水供給源100に接続されている。このように、本実施形態においても、軟水化装置1は、送水経路20を上水配管101に直結させた構成をしている。
ここで、本実施形態では、軟水化システム10が、送水経路20における晶析部30よりも上流側に接続され、被処理水を貯水するバッファタンク50を備えている。すなわち、本実施形態にかかる軟水化システム10の中には、ある程度の量の被処理水を貯めておくことができるバッファタンク50が設けられている。
このバッファタンク50は、晶析部導入経路21の途中に接続されている。具体的には、バッファタンク50は、バルブE1よりも下流側、かつ、ポンプP1よりも上流側の部位で晶析部導入経路21に接続されている。
したがって、本実施形態では、晶析部導入経路21には、上流側から順に、逆流防止弁B1、バルブE1、バッファタンク50、ポンプ(昇圧手段)P1、圧力センサS1、逆流防止弁B2が接続されている。
このように、本実施形態では、晶析部導入経路21は、バッファタンク50よりも上流側に位置して被処理水をバッファタンク50へと導入する導入経路21aを備えている。さらに、晶析部導入経路21は、バッファタンク50から供給された被処理水を晶析部30へと導入する導入経路21bを備えている。
また、送水経路20は、晶析部30の下流側と分離部40の上流側に接続されて、晶析部30内で金属イオンを晶析させた被処理水を、分離部40内に導入することが可能な分離部導入経路22を有している。そして、この分離部導入経路22には、バルブE2が接続されている。
さらに、本実施形態では、送水経路20は、分離部導入経路22に導入された被処理水を、バッファタンク50内に還流させることが可能な還流経路22aを有している。この還流経路22aは、上流側が、分離部導入経路22の途中に、分離部導入経路22から分岐するように接続されており、下流側がバッファタンク50に接続されている。
本実施形態では、還流経路22aの上流側は、バルブE2よりも上流側で分離部導入経路22に接続されている。そして、バルブE2を閉止した際に、導入経路21bと還流経路22aとで、被処理水をバッファタンク50と晶析部30との間で循環させる循環経路が形成されるようにしている。また、還流経路22aの途中には、バルブE5が接続されている。
このように、本実施形態では、金属イオンの晶析を行う際には、バッファタンク50に被処理水をある程度貯めた状態で、バッファタンク50に貯められた被処理水を、循環経路内で周回させるようにしている。こうすることで、被処理水内の金属イオンを晶析させるための時間を稼いで、所望の硬度の軟水が生成されるようにしている。
このように、金属イオンを晶析させる過程で、被処理水を循環経路内で周回させるようにすれば、ワンパスで金属イオンを晶析させる場合と較べて、より確実に所望の硬度の軟水とすることができるようになる。
また、本実施形態においても、送水経路20は、分離部40の下流側に接続されて、処理水が導入される処理水送水経路23と、分離部40の下流側に接続されて、金属の結晶が導入される排出路24と、を有している。
処理水送水経路23は、下流側が給水配管110に接続されており、この処理水送水経路23には、上流側から順に、逆流防止弁B3、バルブE3、逆流防止弁B4が接続されている。そして、給水配管110の下流側に蛇口111が接続されている。
一方、排出路24には、バルブE4が接続されており、このバルブE4を閉止することで、金属の結晶が排出路24内に貯められるようになっている。そして、バルブE4を開放することで、排出路24内に貯まった金属の結晶を軟水化装置1の外部に排出することができるようになっている。
さらに、本実施形態では、送水経路20が、処理水送水経路23に導入された軟水を、バッファタンク50内に還流させることが可能な還流経路23aを有している。この還流経路23aは、上流側が、処理水送水経路23の途中に、処理水送水経路23から分岐するように接続されており、下流側がバッファタンク50に接続されている。
本実施形態では、還流経路23aの上流側は、バルブE3よりも上流側かつ逆流防止弁B3よりも下流側で、処理水送水経路23に接続されている。こうすることで、バルブE3を開放しつつ蛇口111を開放させて、蛇口111から軟水を給水する際に、処理水送水経路23に導入された軟水の一部を還流経路23aからバッファタンク50内に戻すことができるようにしている。なお、還流経路23aの途中には、バルブE7が接続されている。
また、バルブE3を閉止した際には、軟水をバッファタンク50から晶析部30および分離部40を通って循環させる循環経路が形成されるようにしている。こうすれば、軟水をバッファタンク50から晶析部30および分離部40を通って循環させるようにすることができる。この場合、軟水化された水がバッファタンク50内に貯められることになる。
また、送水経路20は、排出路24に導入された軟水を、導入経路21bに還流させることが可能な還流経路24aを有している。この還流経路24aは、上流側が、排出路24の途中に、排出路24から分岐するように接続されており、下流側がポンプP1よりも上流側の導入経路21bに接続されている。
本実施形態では、還流経路24aの上流側は、バルブE4よりも上流側で、排出路24に接続されている。そして、バルブE4を閉止して、金属の結晶を排出路24内に貯めるようにした状態で、分離されずに金属の結晶とともに排出路24に導入された液体(軟水)を、固液分離処理を行う経路に戻すようにしている。なお、還流経路24aの途中には、上流側から順に、逆流防止弁B5、バルブE6が接続されている。
このように、本実施形態では、分離されずに金属の結晶とともに排出路24に導入された液体(軟水)を、固液分離処理を行う経路に戻すようにしている。こうすることで、生成された軟水が、排出路24から軟水化装置1の外部に排出されてしまうことを抑制できるようにしている。
また、本実施形態においても、晶析部30にエア抜き弁A1が取り付けられており、このエア抜き弁A1によって軟水化システム10内の空気が抜かれるようにしている。ただし、エア抜き弁A1の取付位置は、晶析部30に限られるものではなく、例えば、バッファタンク50や軟水化システム10の最上部等、様々な位置とすることができる。
ここで、本実施形態においても、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成されている。
本実施形態では、略密閉・圧力印加系の送水経路は、少なくともバルブE3,E4を閉止することで得られるようにしている。
具体的には、まず、バルブE3,E4を閉止することで、送水経路20内の空間の一部が略密閉された空間となるようにしている。そして、送水経路20内の空間の一部を略密閉された空間とした状態で、ポンプ(昇圧手段)P1を作動させて、略密閉された空間内に水(被処理水)を供給することで、略密閉された空間内の圧力(水圧)を上昇させている。こうすることで、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
本実施形態では、送水経路20のうち、ポンプP1よりも下流側の導入経路21b、分離部導入経路22の全体、バルブE3よりも上流側の処理水送水経路23およびバルブE4よりも上流側の排出路24が略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
また、送水経路20のうち、還流経路22aの全体、還流経路23aの全体、還流経路24aの全体も、略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
そして、晶析部30および分離部40が、送水経路20における略密閉・圧力印加系の送水経路となる部位に接続されており、晶析部30の内部空間および分離部40の内部空間も、略密閉・圧力印加系の一部を構成している。
このように、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成することで、建物の2階等の高い位置に配置された蛇口111からも軟水が給水されるようにしている。また、軟水化システム10を略密閉・圧力印加系とすることで、外部からの異物混入トラブルの低減が期待できる。
このとき、建物内に設けられたすべての給水口(蛇口111等)から軟水を取り出せるようにするために、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力(水圧)が所定値以上となるようにするのが好ましい。また、給水口(蛇口111等)から給水される軟水の水圧を安定させるために、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力(水圧)が略一定の値で維持されるようにするのが好ましい。
そこで、本実施形態においても、軟水化システム10が、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を測定する圧力センサ(圧力測定手段)S1と、略密閉・圧力印加系の送水経路内に水を供給して昇圧させるポンプ(昇圧手段)P1と、を備えるようにしている。
そして、圧力センサS1により測定された略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が所定値よりも小さい場合には、ポンプP1を稼働させて、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を増加させるようにしている。
また、圧力センサS1により測定された略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が所定値以上の場合には、ポンプP1を停止させて、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が増大しすぎてしまうことが抑制されるようにしている。
この所定値は、軟水化装置1が設置される建物に設けられたすべての給水口(蛇口111等)から軟水を取り出すことができる最小の圧力よりも大きな値となるようにするのが好ましい。
本実施形態では、圧力センサS1は、配線H1を介してポンプP1の図示せぬ制御部に電気的に接続されており、圧力センサS1で計測された晶析部導入経路21内の水圧によって、ポンプP1の駆動が制御されるようにしている。
なお、本実施形態においても、送水経路20を上水配管101に直結させた構成としている。そのため、上水配管101から送水経路20内に供給される被処理水によって、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を所定値以上とすることができる場合がある。したがって、このような場合には、昇圧手段としてのポンプP1を設けなくてもよい。ポンプP1を設けない場合には、晶析部導入経路21の全体も略密閉・圧力印加系の送水経路となる。
そして、上述したような構成の軟水化装置1を用い、送水経路20の少なくとも一部を略密閉・圧力印加系の送水経路とした状態で、被処理水を晶析部30に導入することで、晶析部30によって金属イオンを晶析させている。
本実施形態では、図3に示すように、バルブE3,E4を閉止することで略密閉・圧力印加系の送水経路としつつ、バルブE2,E6を閉止することで、略密閉・圧力印加系の送水経路に、バッチ式に軟水を生成するラインが形成されるようにしている。このとき、バルブE1,E5,E7が開放されている。なお、バルブE7は閉止されていてもよい。
そして、被処理水の硬度が所定の硬度となるまで金属イオンを晶析させる。このとき、例えば、被処理水のバッファタンク50と晶析部30との間での循環量(循環時間や循環回数)を適宜設定すれば、金属イオンの析出量が所定の量となるように調整することができる。なお、晶析処理の終了は、バッファタンク50の容量に応じた時間で判断してもよいし、硬度センサや濁度センサなどで検知された出力により判断してもよい。
また、被処理水の送液(循環経路内で循環させること)は、ポンプP1を稼働させることで行うことができる。この場合、ポンプP1は、被処理水を晶析部30とバッファタンク50との間で循環させる送液手段としての機能も有することになる。
そして、所定量の金属イオンが析出されると、金属イオンの結晶が混濁した被処理水を分離部40に送水して軟水と金属イオンの結晶とに分離する。
本実施形態では、図4に示すように、バルブE3,E4を閉止することで略密閉・圧力印加系の送水経路としつつ、バルブE2を開放することで、被処理水が分離部40へと送られるようにしている。このとき、バルブE5が閉止されており、バルブE1,E6、E7が開放されている。なお、バルブE6は閉止されたままでもよい。
そして、分離部40に送られた被処理水は、遠心分離によって軟水と金属イオンの結晶とに分離される。
なお、晶析のために被処理水を循環させる際には、水流の力はそれほど必要ないが、サイクロン型の固液分離機を用いて遠心分離を行うためには、ある程度強力な圧力と流量が必要になる。
このように、一般的には、分離部40において必要となる流量・圧力は、晶析のために被処理水を循環させる際の流量・圧力よりも大きい。
そのため、サイクロン型の固液分離機を用いて遠心分離を行う際には、分離部40に供給される被処理水の流量・圧力がより大きくなるようにするのが好ましい。
このような構成は、ポンプP1の他に分離用のポンプ(図示せず)を用いるようにして得ることもできるし、インバータ制御などによりポンプP1の出力を向上させるようにして得ることもできる。ポンプP1の出力を向上させる場合、ポンプP1は、分離部40へと送られる被処理水の送水圧力・流量を、晶析部30とバッファタンク50との間を循環する被処理水の圧力・流量よりも向上させる圧送手段としての機能も有することになる。
そして、分離部40によって分離された液体である軟水は、処理水送水経路23に導入され、固体である金属の結晶は、排出路24へと導入される。このとき、分離されずに金属の結晶とともに排出路24に導入された液体(軟水)は、還流経路24aを通って、固液分離処理を行う経路に戻される。なお、排出路24内に貯まった金属の結晶は、バルブE4を開放することで軟水化装置1の外部に排出することができる。
一方、処理水送水経路23に導入された軟水は、還流経路23aを通って、バッファタンク50内に導入される。そして、バッファタンク50内の水が、固液分離処理を行う経路を周回(循環)している。こうすることで、軟水化された処理水(軟水)がバッファタンク50内に貯められることになる。
そして、バッファタンク50内に貯められた軟水は、バルブE3を開放させつつ、給水配管110に接続された蛇口111を開放させるようにすることで、蛇口111から給水されることになる。
ところで、分離部40で軟水を分離するためには、所定値以上の流量で水(被処理水や軟水)を分離部40へと導入させる必要がある。そのため、蛇口111から給水される軟水の給水量(使用量)が少ない場合には、分離部40で分離された軟水の一部のみが蛇口111から給水されることになる。すなわち、分離部40で分離された軟水の一部は、蛇口111から給水されず、処理水送水経路23内に残ってしまう。
そこで、本実施形態では、蛇口111から軟水を給水する際には、バルブE7も開放させるようにしている。こうすることで、蛇口111から給水される軟水の給水量(使用量)が少ない場合には、給水されずに余った軟水が還流路23aを通ってバッファタンク50内に戻されるようにしている。
また、金属イオンの結晶が混濁した被処理水を分離部40に送水して軟水と金属イオンの結晶とに分離する際に、バルブE2,E3を開放しつつ、バルブE7を閉止することも可能である。こうすれば、金属イオンの結晶が混濁した被処理水が分離部40へと送られ、分離部40で分離された軟水が、処理水送水経路23を通って給水配管110に直接供給されるようになる。
なお、金属イオンの結晶が混濁した被処理水を分離部40に送水して軟水と金属イオンの結晶とに分離する際に、バルブE2,E3,E7を開放させるようにすることも可能である。こうすれば、分離部40で分離された軟水を処理水送水経路23から直接給水配管110に供給させるようにしつつ、軟水の使用量が少ない場合には、余った軟水を還流路23aからバッファタンク50内に戻すことができるようになる。
また、例えば、バルブE1,E2,E3を開放し、バルブE4,E5,E6,E7を閉止するようにすれば、被処理水のワンパスでの処理が可能となる。
このような構成とすれば、バッファタンク50がなくても軟水を生成することが可能となる。
なお、本実施形態においても、軟水化装置1で得られる軟水の温度は、40℃以下となるようにするのが好ましく、30℃以下となるようにするのがより好ましい。
(第3実施形態)
次に、図5および図6を用いて、第3実施形態にかかる軟水化装置1を説明する。
本実施形態においても、家屋やビル等の建物の入口に設置され、被処理水を処理して、軟水化された処理水を建物全体に供給することができるPOE(Point Of Entry)方式の軟水化装置1を例示している。
そして、本実施形態においても、軟水化装置1では、金属イオンを晶析させて、結晶を被処理水から分離することで被処理水を軟水化する軟水化システム10を採用している。
この軟水化システム10は、被処理水が流れる送水経路20と、被処理水に含まれる金属イオンを析出させる晶析部30と、晶析部30を通過した被処理水を、晶析部30で析出させた結晶と軟水とに分離する分離部40と、を備えている。
そして、晶析部30と分離部40は、上流側に晶析部30が位置し、下流側に分離部40が位置するように、送水経路20に接続されている。晶析部30および分離部40の構成は、上記第1実施形態と同様の構成とすることができる。
また、本実施形態においても、送水経路20は、晶析部30の上流側に接続されて、被処理水を晶析部30内に導入することが可能な晶析部導入経路21を有している。
ここで、本実施形態では、軟水化システム10が、略密閉・圧力印加系の送水経路に流入させる被処理水を貯水するメインタンク60を備えている。そして、晶析部導入経路21の上流側がこのメインタンク60に接続されている。
このメインタンク60は、上水配管101等の被処理水供給源100から取り出された水を、被処理水として貯留させるためのタンクである。
そして、このような軟水化装置1を用いることで、送水経路20を上水配管101に直結させることが難しい場合であっても、上水配管101から取水される水を軟水化させて、建物内の給水配管110に供給させることができるようになる。
また、本実施形態においても、軟水化システム10は、送水経路20における晶析部30よりも上流側に接続され、被処理水を貯水するバッファタンク50を備えている。したがって、本実施形態においても、晶析部導入経路21は、バッファタンク50よりも上流側に位置して被処理水をバッファタンク50へと導入する導入経路21aを備えている。さらに、晶析部導入経路21は、バッファタンク50から供給された被処理水を晶析部30へと導入する導入経路21bを備えている。
そして、本実施形態では、導入経路21aの逆流防止弁B1よりも上流側に、ポンプ(昇圧手段)P2および圧力センサ(圧力測定手段)S1が接続されている。
本実施形態では、圧力センサS1は、配線H1を介してポンプP2の図示せぬ制御部に電気的に接続されており、圧力センサS1で計測された晶析部導入経路21内の水圧によって、ポンプP2の駆動が制御されるようにしている。
また、本実施形態においても、バッファタンク50は、バルブE1よりも下流側、かつ、ポンプP1よりも上流側の部位で晶析部導入経路21に接続されている。なお、本実施形態では、ポンプP1の下流側には圧力センサS1が設けられていない。
したがって、本実施形態では、晶析部導入経路21には、上流側から順に、ポンプP2、圧力センサS1、逆流防止弁B1、バルブE1、バッファタンク50、ポンプ(昇圧手段)P1、逆流防止弁B2が接続されている。
また、送水経路20は、晶析部30の下流側と分離部40の上流側に接続されて、晶析部30内で金属イオンを晶析させた被処理水を、分離部40内に導入することが可能な分離部導入経路22を有している。
さらに、送水経路20は、分離部導入経路22に導入された被処理水を、バッファタンク50内に還流させることが可能な還流経路22aを有している。
また、送水経路20は、分離部40の下流側に接続されて、処理水が導入される処理水送水経路23と、分離部40の下流側に接続されて、金属の結晶が導入される排出路24と、を有している。
そして、本実施形態においても、送水経路20は、処理水送水経路23に導入された軟水を、バッファタンク50内に還流させることが可能な還流経路23aを有している。また、送水経路20は、排出路24に導入された軟水を、導入経路21bに還流させることが可能な還流経路24aを有している。
ここで、本実施形態では、送水経路20が、晶析部30および分離部40を経由せずに被処理水を流出させるバイパス経路25を備えている。
このバイパス経路25は、上流側が導入経路21aの途中に接続されており、下流側が処理水送水経路23の途中に接続されている。具体的には、バイパス経路25の上流側は、圧力センサS1よりも下流側かつ逆流防止弁B1よりも上流側で導入経路21aに接続されている。一方、バイパス経路25の下流側は、逆流防止弁B4よりも下流側で処理水送水経路23に接続されている。
そして、このバイパス経路25には、上流側から順に、バルブE8、逆流防止弁B6が接続されている。
このようなバイパス経路25を設けることで、軟水化システム10が正常に作動しない場合であっても、被処理水を蛇口111から取り出せるようにしている。
また、本実施形態においても、晶析部30にエア抜き弁A1が取り付けられており、このエア抜き弁A1によって軟水化システム10内の空気が抜かれるようにしている。ただし、エア抜き弁A1の取付位置は、晶析部30に限られるものではなく、例えば、バッファタンク50や軟水化システム10の最上部等、様々な位置とすることができる。
ここで、本実施形態においても、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成されている。
本実施形態では、略密閉・圧力印加系の送水経路は、少なくともバルブE3,E4,E8を閉止することで得られるようにしている。
具体的には、まず、バルブE3,E4,E8を閉止することで、送水経路20内の空間の一部が略密閉された空間となるようにしている。そして、送水経路20内の空間の一部を略密閉された空間とした状態で、ポンプ(昇圧手段)P2を作動させて、略密閉された空間内に水(被処理水)を供給することで、略密閉された空間内の圧力(水圧)を上昇させている。こうすることで、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
本実施形態では、送水経路20のうち、ポンプP2よりも下流側の晶析部導入経路21、分離部導入経路22の全体、バルブE3よりも上流側の処理水送水経路23およびバルブE4よりも上流側の排出路24が略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
また、送水経路20のうち、還流経路22aの全体、還流経路23aの全体、還流経路24aの全体、バルブE8よりも上流側のバイパス経路25も、略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
そして、晶析部30および分離部40が、送水経路20における略密閉・圧力印加系の送水経路となる部位に接続されており、晶析部30の内部空間および分離部40の内部空間も、略密閉・圧力印加系の一部を構成している。
このように、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成することで、建物の2階等の高い位置に配置された蛇口111からも軟水が給水されるようにしている。また、軟水化システム10を略密閉・圧力印加系とすることで、外部からの異物混入トラブルの低減が期待できる。
このとき、建物内に設けられたすべての給水口(蛇口111等)から軟水を取り出せるようにするために、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力(水圧)が所定値以上となるようにするのが好ましい。また、給水口(蛇口111等)から給水される軟水の水圧を安定させるために、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力(水圧)が略一定の値で維持されるようにするのが好ましい。
そこで、本実施形態では、軟水化システム10が、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を測定する圧力センサ(圧力測定手段)S1と、略密閉・圧力印加系の送水経路内に水を供給して昇圧させるポンプ(昇圧手段)P2と、を備えるようにしている。
そして、圧力センサS1により測定された略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が所定値よりも小さい場合には、ポンプP2を稼働させて、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を増加させるようにしている。
また、圧力センサS1により測定された略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が所定値以上の場合には、ポンプP2を停止させて、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が増大しすぎてしまうことが抑制されるようにしている。
この所定値は、軟水化装置1が設置される建物に設けられたすべての給水口(蛇口111等)から軟水を取り出すことができる最小の圧力よりも大きな値となるようにするのが好ましい。
そして、上述したような構成の軟水化装置1を用い、送水経路20の少なくとも一部を略密閉・圧力印加系の送水経路とした状態で、被処理水を晶析部30に導入することで、晶析部30によって金属イオンを晶析させている。
本実施形態では、図5に示すように、バルブE3,E4,E8を閉止することで略密閉・圧力印加系の送水経路としつつ、バルブE2,E6を閉止することで、略密閉・圧力印加系の送水経路に、バッチ式に軟水を生成するラインが形成されるようにしている。このとき、バルブE1,E5,E7が開放されている。なお、バルブE7は閉止されていてもよい。
そして、被処理水の硬度が所定の硬度となるまで金属イオンを晶析させる。このとき、例えば、被処理水のバッファタンク50と晶析部30との間での循環量(循環時間や循環回数)を適宜設定すれば、金属イオンの析出量が所定の量となるように調整することができる。なお、晶析処理の終了は、バッファタンク50の容量に応じた時間で判断してもよいし、硬度センサや濁度センサなどで検知された出力により判断してもよい。
また、被処理水の送液(循環経路内で循環させること)は、ポンプP1を稼働させることで行うことができる。この場合、ポンプP1は、被処理水を晶析部30とバッファタンク50との間で循環させる送液手段としての機能も有することになる。
そして、所定量の金属イオンが析出されると、金属イオンの結晶が混濁した被処理水を分離部40に送水して軟水と金属イオンの結晶とに分離する。
本実施形態では、図6に示すように、バルブE3,E4,E8を閉止することで略密閉・圧力印加系の送水経路としつつ、バルブE2を開放することで、被処理水が分離部40へと送られるようにしている。このとき、バルブE5が閉止されており、バルブE1,E6、E7が開放されている。なお、バルブE6は閉止されたままでもよい。
そして、分離部40に送られた被処理水は、遠心分離によって軟水と金属イオンの結晶とに分離される。
なお、晶析のために被処理水を循環させる際には、水流の力はそれほど必要ないが、サイクロン型の固液分離機を用いて遠心分離を行うためには、ある程度強力な圧力と流量が必要になる。
そのため、サイクロン型の固液分離機を用いて遠心分離を行う際には、分離部40に供給される被処理水の流量・圧力がより大きくなるようにするのが好ましい。
このような構成は、ポンプP1の他に分離用のポンプ(図示せず)を用いるようにして得ることもできるし、インバータ制御などによりポンプP1の出力を向上させるようにして得ることもできる。ポンプP1の出力を向上させる場合、ポンプP1は、分離部40へと送られる被処理水の送水圧力・流量を、晶析部30とバッファタンク50との間を循環する被処理水の圧力・流量よりも向上させる圧送手段としての機能も有することになる。
そして、分離部40によって分離された液体である軟水は、処理水送水経路23に導入され、固体である金属の結晶は、排出路24へと導入される。このとき、分離されずに金属の結晶とともに排出路24に導入された液体(軟水)は、還流経路24aを通って、固液分離処理を行う経路に戻される。なお、排出路24内に貯まった金属の結晶は、バルブE4を開放することで軟水化装置1の外部に排出することができる。
一方、処理水送水経路23に導入された軟水は、還流経路23aを通って、バッファタンク50内に導入される。そして、バッファタンク50内の水が、固液分離処理を行う経路を周回(循環)している。こうすることで、軟水化された処理水(軟水)がバッファタンク50内に貯められることになる。
そして、バッファタンク50内に貯められた軟水は、バルブE3を開放させつつ、給水配管110に接続された蛇口111を開放させるようにすることで、蛇口111から給水されることになる。
本実施形態においても、蛇口111から軟水を給水する際には、バルブE7も開放させるようにしている。こうすることで、蛇口111から給水される軟水の給水量(使用量)が少ない場合には、給水されずに余った軟水が還流路23aを通ってバッファタンク50内に戻されるようにしている。
また、金属イオンの結晶が混濁した被処理水を分離部40に送水して軟水と金属イオンの結晶とに分離する際に、バルブE2,E3を開放しつつ、バルブE7を閉止することも可能である。こうすれば、金属イオンの結晶が混濁した被処理水が分離部40へと送られ、分離部40で分離された軟水が、処理水送水経路23を通って給水配管110に供給されるようになる。
なお、金属イオンの結晶が混濁した被処理水を分離部40に送水して軟水と金属イオンの結晶とに分離する際に、バルブE2,E3,E7を開放させるようにすることも可能である。こうすれば、分離部40で分離された軟水を処理水送水経路23から直接給水配管110に供給させるようにしつつ、軟水の使用量が少ない場合には、余った軟水を還流路23aからバッファタンク50内に戻すことができるようになる。
また、例えば、バルブE1,E2,E3を開放し、バルブE4,E5,E6,E7を閉止するようにすれば、被処理水のワンパスでの処理が可能となる。
このような構成とすれば、バッファタンク50がなくても軟水を生成することが可能となる。
なお、本実施形態においても、軟水化装置1で得られる軟水の温度は、40℃以下となるようにするのが好ましく、30℃以下となるようにするのがより好ましい。
(第4実施形態)
次に、図7および図8を用いて、第4実施形態にかかる軟水化装置1を説明する。
本実施形態においても、家屋やビル等の建物の入口に設置され、被処理水を処理して、軟水化された処理水を建物全体に供給することができるPOE(Point Of Entry)方式の軟水化装置1を例示している。
そして、本実施形態においても、軟水化装置1では、金属イオンを晶析させて、結晶を被処理水から分離することで被処理水を軟水化する軟水化システム10を採用している。
この軟水化システム10は、被処理水が流れる送水経路20と、被処理水に含まれる金属イオンを析出させる晶析部30と、晶析部30を通過した被処理水を、晶析部30で析出させた結晶と軟水とに分離する分離部40と、を備えている。
そして、晶析部30と分離部40は、上流側に晶析部30が位置し、下流側に分離部40が位置するように、送水経路20に接続されている。晶析部30および分離部40の構成は、上記第1実施形態と同様の構成とすることができる。
また、本実施形態においても、送水経路20は、晶析部30の上流側に接続されて、被処理水を晶析部30内に導入することが可能な晶析部導入経路21を有している。
また、本実施形態においても、軟水化システム10が、略密閉・圧力印加系の送水経路に流入させる被処理水を貯水するメインタンク60を備えている。そして、晶析部導入経路21の上流側がこのメインタンク60に接続されている。
このメインタンク60は、上水配管101等の被処理水供給源100から取り出された水を、被処理水として貯留させるためのタンクである。
そして、このような軟水化装置1を用いることで、送水経路20を上水配管101に直結させることが難しい場合であっても、上水配管101から取水される水を軟水化させて、建物内の給水配管110に供給させることができるようになる。
また、本実施形態においても、軟水化システム10は、送水経路20における晶析部30よりも上流側に接続され、被処理水を貯水するバッファタンク50を備えている。したがって、本実施形態においても、晶析部導入経路21は、バッファタンク50よりも上流側に位置して被処理水をバッファタンク50へと導入する導入経路21aを備えている。さらに、晶析部導入経路21は、バッファタンク50から供給された被処理水を晶析部30へと導入する導入経路21bを備えている。
そして、本実施形態では、導入経路21aの逆流防止弁B1よりも上流側に、ポンプ(昇圧手段)P2および圧力センサ(圧力測定手段)S1が接続されている。
本実施形態では、圧力センサS1は、配線H1を介してポンプP2の図示せぬ制御部に電気的に接続されており、圧力センサS1で計測された晶析部導入経路21内の水圧によって、ポンプP2の駆動が制御されるようにしている。
また、本実施形態においても、バッファタンク50は、バルブE1よりも下流側、かつ、ポンプP1よりも上流側の部位で晶析部導入経路21に接続されている。なお、本実施形態では、ポンプP1の下流側には圧力センサS1が設けられていない。
したがって、本実施形態では、晶析部導入経路21には、上流側から順に、ポンプP2、圧力センサS1、逆流防止弁B1、バルブE1、バッファタンク50、ポンプ(昇圧手段)P1、逆流防止弁B2が接続されている。
また、送水経路20は、晶析部30の下流側と分離部40の上流側に接続されて、晶析部30内で金属イオンを晶析させた被処理水を、分離部40内に導入することが可能な分離部導入経路22を有している。
さらに、送水経路20は、分離部導入経路22に導入された被処理水を、バッファタンク50内に還流させることが可能な還流経路22aを有している。
また、送水経路20は、分離部40の下流側に接続されて、処理水が導入される処理水送水経路23と、分離部40の下流側に接続されて、金属の結晶が導入される排出路24と、を有している。
ここで、本実施形態では、軟水化システム10が、分離部40で分離された軟水に含まれる残留粒子を取り除くフィルタ(第2分離部)80を備えている。本実施形態では、このフィルタ80は、逆流防止弁B3よりも下流側かつバルブE3よりも上流側で処理水送水経路23に接続されている。このようなフィルタ80としては、従来公知のものを用いることができる。なお、第2分離部としてサイクロン型の固液分離機を用いることも可能である。すなわち、第2分離部は、軟水に含まれる残留粒子を取り除くことができるものであればよく、フィルタに限られるものではない。
このように、本実施形態では、処理水送水経路23には、上流側から順に、逆流防止弁B3、フィルタ(第2分離部)80、バルブE3、逆流防止弁B4が接続されている。このとき、フィルタ80が処理水送水経路23に着脱可能に接続されるようにするのが好ましい。こうすれば、フィルタの洗浄や交換を容易に行うことができ、残留粒子の除去性能が低下してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
また、本実施形態においても、送水経路20は、処理水送水経路23に導入された軟水を、バッファタンク50内に還流させることが可能な還流経路23aを有している。さらに、送水経路20は、排出路24に導入された軟水を、導入経路21bに還流させることが可能な還流経路24aを有している。
また、本実施形態では、送水経路20が、晶析部30、分離部40およびフィルタ80を経由せずに被処理水を流出させるバイパス経路25を備えている。
このバイパス経路25は、上流側が導入経路21aの途中に接続されており、下流側が処理水送水経路23の途中に接続されている。具体的には、バイパス経路25の上流側は、圧力センサS1よりも下流側かつ逆流防止弁B1よりも上流側で導入経路21aに接続されている。一方、バイパス経路25の下流側は、逆流防止弁B4よりも下流側で処理水送水経路23に接続されている。
そして、このバイパス経路25には、上流側から順に、バルブE8、逆流防止弁B6が接続されている。
このようなバイパス経路25を設けることで、軟水化システム10が正常に作動しない場合であっても、被処理水を蛇口111から取り出せるようにしている。
また、本実施形態においても、晶析部30にエア抜き弁A1が取り付けられており、このエア抜き弁A1によって軟水化システム10内の空気が抜かれるようにしている。ただし、エア抜き弁A1の取付位置は、晶析部30に限られるものではなく、例えば、バッファタンク50や軟水化システム10の最上部等、様々な位置とすることができる。
ここで、本実施形態においても、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成されている。
本実施形態では、略密閉・圧力印加系の送水経路は、少なくともバルブE3,E4,E8を閉止することで得られるようにしている。
具体的には、まず、バルブE3,E4,E8を閉止することで、送水経路20内の空間の一部が略密閉された空間となるようにしている。そして、送水経路20内の空間の一部を略密閉された空間とした状態で、ポンプ(昇圧手段)P2を作動させて、略密閉された空間内に水(被処理水)を供給することで、略密閉された空間内の圧力(水圧)を上昇させている。こうすることで、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
本実施形態では、送水経路20のうち、ポンプP2よりも下流側の晶析部導入経路21、分離部導入経路22の全体、バルブE3よりも上流側の処理水送水経路23およびバルブE4よりも上流側の排出路24が略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
また、送水経路20のうち、還流経路22aの全体、還流経路23aの全体、還流経路24aの全体、バルブE8よりも上流側のバイパス経路25も、略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
そして、晶析部30、分離部40およびフィルタ80が、送水経路20における略密閉・圧力印加系の送水経路となる部位に接続されている。したがって、晶析部30の内部空間、分離部40の内部空間およびフィルタ80の内部空間も、略密閉・圧力印加系の一部を構成している。
このように、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成することで、建物の2階等の高い位置に配置された蛇口111からも軟水が給水されるようにしている。また、軟水化システム10を略密閉・圧力印加系とすることで、外部からの異物混入トラブルの低減が期待できる。
このとき、建物内に設けられたすべての給水口(蛇口111等)から軟水を取り出せるようにするために、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力(水圧)が所定値以上となるようにするのが好ましい。また、給水口(蛇口111等)から給水される軟水の水圧を安定させるために、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力(水圧)が略一定の値で維持されるようにするのが好ましい。
そこで、本実施形態では、軟水化システム10が、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を測定する圧力センサ(圧力測定手段)S1と、略密閉・圧力印加系の送水経路内に水を供給して昇圧させるポンプ(昇圧手段)P2と、を備えるようにしている。
そして、圧力センサS1により測定された略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が所定値よりも小さい場合には、ポンプP2を稼働させて、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を増加させるようにしている。
また、圧力センサS1により測定された略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が所定値以上の場合には、ポンプP2を停止させて、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が増大しすぎてしまうことが抑制されるようにしている。
この所定値は、軟水化装置1が設置される建物に設けられたすべての給水口(蛇口111等)から軟水を取り出すことができる最小の圧力よりも大きな値となるようにするのが好ましい。
そして、上述したような構成の軟水化装置1を用い、送水経路20の少なくとも一部を略密閉・圧力印加系の送水経路とした状態で、被処理水を晶析部30に導入することで、晶析部30によって金属イオンを晶析させている。
本実施形態では、図7に示すように、バルブE3,E4,E8を閉止することで略密閉・圧力印加系の送水経路としつつ、バルブE2,E6を閉止することで、略密閉・圧力印加系の送水経路に、バッチ式に軟水を生成するラインが形成されるようにしている。このとき、バルブE1,E5,E7が開放されている。なお、バルブE7は閉止されていてもよい。
そして、被処理水の硬度が所定の硬度となるまで金属イオンを晶析させる。このとき、例えば、被処理水のバッファタンク50と晶析部30との間での循環量(循環時間や循環回数)を適宜設定すれば、金属イオンの析出量が所定の量となるように調整することができる。なお、晶析処理の終了は、バッファタンク50の容量に応じた時間で判断してもよいし、硬度センサや濁度センサなどで検知された出力により判断してもよい。
また、被処理水の送液(循環経路内で循環させること)は、ポンプP1を稼働させることで行うことができる。この場合、ポンプP1は、被処理水を晶析部30とバッファタンク50との間で循環させる送液手段としての機能も有することになる。
そして、所定量の金属イオンが析出されると、金属イオンの結晶が混濁した被処理水を分離部40に送水して軟水と金属イオンの結晶とに分離する。
本実施形態では、図8に示すように、バルブE3,E4,E8を閉止することで略密閉・圧力印加系の送水経路としつつ、バルブE2を開放することで、被処理水が分離部40へと送られるようにしている。このとき、バルブE5が閉止されており、バルブE1,E6、E7が開放されている。なお、バルブE6は閉止されたままでもよい。
そして、分離部40に送られた被処理水は、遠心分離によって軟水と金属イオンの結晶とに分離される。
なお、晶析のために被処理水を循環させる際には、水流の力はそれほど必要ないが、サイクロン型の固液分離機を用いて遠心分離を行うためには、ある程度強力な圧力と流量が必要になる。
そのため、サイクロン型の固液分離機を用いて遠心分離を行う際には、分離部40に供給される被処理水の流量・圧力がより大きくなるようにするのが好ましい。
このような構成は、ポンプP1の他に分離用のポンプ(図示せず)を用いるようにして得ることもできるし、インバータ制御などによりポンプP1の出力を向上させるようにして得ることもできる。ポンプP1の出力を向上させる場合、ポンプP1は、分離部40へと送られる被処理水の送水圧力・流量を、晶析部30とバッファタンク50との間を循環する被処理水の圧力・流量よりも向上させる圧送手段としての機能も有することになる。
そして、分離部40によって分離された液体である軟水は、処理水送水経路23に導入され、固体である金属の結晶は、排出路24へと導入される。このとき、分離されずに金属の結晶とともに排出路24に導入された液体(軟水)は、還流経路24aを通って、固液分離処理を行う経路に戻される。なお、排出路24内に貯まった金属の結晶は、バルブE4を開放することで軟水化装置1の外部に排出することができる。
一方、処理水送水経路23に導入された軟水は、フィルタ80を通ることで、分離部40では処理しきれなかった残留粒子(例えば、比較的小さな金属イオンの結晶など)が軟水から取り除かれる。その後、還流経路23aを通って、バッファタンク50内に導入される。そして、バッファタンク50内の水が、固液分離処理を行う経路を周回(循環)している。こうすることで、軟水化された処理水(軟水)がバッファタンク50内に貯められることになる。
そして、バッファタンク50内に貯められた軟水は、バルブE3を開放させつつ、給水配管110に接続された蛇口111を開放させるようにすることで、蛇口111から給水されることになる。
本実施形態においても、蛇口111から軟水を給水する際には、バルブE7も開放させるようにしている。こうすることで、蛇口111から給水される軟水の給水量(使用量)が少ない場合には、給水されずに余った軟水が還流路23aを通ってバッファタンク50内に戻されるようにしている。
また、金属イオンの結晶が混濁した被処理水を分離部40に送水して軟水と金属イオンの結晶とに分離する際に、バルブE2,E3を開放しつつ、バルブE7を閉止することも可能である。こうすれば、金属イオンの結晶が混濁した被処理水が分離部40へと送られ、分離部40で分離された軟水が、処理水送水経路23を通って給水配管110に供給されるようになる。
なお、金属イオンの結晶が混濁した被処理水を分離部40に送水して軟水と金属イオンの結晶とに分離する際に、バルブE2,E3,E7を開放させるようにすることも可能である。こうすれば、分離部40で分離された軟水を処理水送水経路23から直接給水配管110に供給させるようにしつつ、軟水の使用量が少ない場合には、余った軟水を還流路23aからバッファタンク50内に戻すことができるようになる。
また、例えば、バルブE1,E2,E3を開放し、バルブE4,E5,E6,E7を閉止するようにすれば、被処理水のワンパスでの処理が可能となる。
このような構成とすれば、バッファタンク50がなくても軟水を生成することが可能となる。
なお、本実施形態においても、軟水化装置1で得られる軟水の温度は、40℃以下となるようにするのが好ましく、30℃以下となるようにするのがより好ましい。
(第5実施形態)
次に、図9および図10を用いて、第5実施形態にかかる軟水化装置1を説明する。
本実施形態においても、家屋やビル等の建物の入口に設置され、被処理水を処理して、軟水化された処理水を建物全体に供給することができるPOE(Point Of Entry)方式の軟水化装置1を例示している。
そして、本実施形態においても、軟水化装置1では、金属イオンを晶析させて、結晶を被処理水から分離することで被処理水を軟水化する軟水化システム10を採用している。
この軟水化システム10は、被処理水が流れる送水経路20と、被処理水に含まれる金属イオンを析出させる晶析部30と、晶析部30を通過した被処理水を、晶析部30で析出させた結晶と軟水とに分離する分離部40と、を備えている。
そして、晶析部30と分離部40は、上流側に晶析部30が位置し、下流側に分離部40が位置するように、送水経路20に接続されている。晶析部30および分離部40の構成は、上記第1実施形態と同様の構成とすることができる。
また、本実施形態においても、送水経路20は、晶析部30の上流側に接続されて、被処理水を晶析部30内に導入することが可能な晶析部導入経路21を有している。この晶析部導入経路21も、上流側が上水配管101等の被処理水供給源100に接続されている。このように、本実施形態においても、軟水化装置1は、送水経路20を上水配管101に直結させた構成をしている。
また、本実施形態においても、軟水化システム10は、送水経路20における晶析部30よりも上流側に接続され、被処理水を貯水するバッファタンク50を備えている。
このバッファタンク50は、バルブE1よりも下流側、かつ、ポンプP1よりも上流側の部位で晶析部導入経路21に接続されている。
したがって、本実施形態では、晶析部導入経路21には、上流側から順に、逆流防止弁B1、バルブE1、バッファタンク50、ポンプ(昇圧手段)P1、圧力センサS1、逆流防止弁B2が接続されている。
このように、本実施形態では、晶析部導入経路21は、バッファタンク50よりも上流側に位置して被処理水をバッファタンク50へと導入する導入経路21aを備えている。
さらに、晶析部導入経路21は、バッファタンク50から供給された被処理水を晶析部30へと導入する導入経路21bを備えている。
また、送水経路20は、晶析部30の下流側と分離部40の上流側に接続されて、晶析部30内で金属イオンを晶析させた被処理水を、分離部40内に導入することが可能な分離部導入経路22を有している。そして、この分離部導入経路22には、バルブE2が接続されている。
さらに、送水経路20は、分離部導入経路22に導入された被処理水を、バッファタンク50内に還流させることが可能な還流経路22aを有している。この還流経路22aは、上流側が、分離部導入経路22の途中に、分離部導入経路22から分岐するように接続されており、下流側がバッファタンク50に接続されている。
本実施形態においても、還流経路22aの上流側は、バルブE2よりも上流側で分離部導入経路22に接続されている。そして、バルブE2を閉止した際に、導入経路21bと還流経路22aとで、被処理水をバッファタンク50と晶析部30との間で循環させる循環経路が形成されるようにしている。また、還流経路22aの途中には、バルブE5が接続されている。
このように、本実施形態では、金属イオンの晶析を行う際には、バッファタンク50に被処理水をある程度貯めた状態で、バッファタンク50に貯められた被処理水を、循環経路内で周回させるようにしている。こうすることで、被処理水内の金属イオンを晶析させるための時間を稼いで、所望の硬度の軟水が生成されるようにしている。
このように、金属イオンを晶析させる過程で、被処理水を循環経路内で周回させるようにすれば、ワンパスで金属イオンを晶析させる場合と較べて、より確実所望の硬度の軟水とすることができるようになる。
また、本実施形態においても、送水経路20は、分離部40の下流側に接続されて、処理水が導入される処理水送水経路23と、分離部40の下流側に接続されて、金属の結晶が導入される排出路24と、を有している。
本実施形態では、軟水化システム10が、分離部40で分離された軟水を貯留する軟水タンク70を備えている。そして、処理水送水経路23の下流側が、この軟水タンク70に接続されており、分離部40で分離された軟水が処理水送水経路23を通って軟水タンク70に貯留されるようになっている。
本実施形態では、軟水タンク70には、軟水タンク70に貯留された軟水の水位を検知する水位センサが設けられている。具体的には、軟水タンク70には、軟水タンク70に貯留された軟水の水位の低下を検知する低水位センサS2と、軟水タンク70に貯留された軟水の水位の上昇を検知する高水位センサS3と、が設けられている。
また、本実施形態では、送水経路20は、上流側が軟水タンク70に接続される給水経路26を備えている。この給水経路26は、下流側が給水配管110に接続されている。
そして、本実施形態では、処理水送水経路23には、上流側から順に、逆流防止弁B3、バルブE3が接続されている。また、給水経路26には、上流側から順に、ポンプP3、逆流防止弁B4が接続されており、給水配管110の下流側には、蛇口111が接続されている。
一方、排出路24には、バルブE4が接続されており、このバルブE4を閉止することで、金属の結晶が排出路24内に貯められるようになっている。そして、バルブE4を開放することで、排出路24内に貯まった金属の結晶を軟水化装置1の外部に排出することができるようになっている。
さらに、本実施形態では、送水経路20は、排出路24に導入された軟水を、導入経路21bに還流させることが可能な還流経路24aを有している。この還流経路24aは、上流側が、排出路24の途中に、排出路24から分岐するように接続されており、下流側がポンプP1よりも上流側の導入経路21bに接続されている。
本実施形態では、還流経路24aの上流側は、バルブE4よりも上流側で、排出路24に接続されている。そして、バルブE4を閉止して、金属の結晶を排出路24内に貯めるようにした状態で、分離されずに金属の結晶とともに排出路24に導入された液体(軟水)を、固液分離処理を行う経路に戻すようにしている。なお、還流経路24aの途中には、上流側から順に、逆流防止弁B5、バルブE6が接続されている。
このように、本実施形態では、分離されずに金属の結晶とともに排出路24に導入された液体(軟水)を、固液分離処理を行う経路に戻すようにしている。こうすることで、生成された軟水が、排出路24から軟水化装置1の外部に排出されてしまうことが抑制されるようにしている。
また、本実施形態においても、晶析部30にエア抜き弁A1が取り付けられており、このエア抜き弁A1によって軟水化システム10内の空気が抜かれるようにしている。ただし、エア抜き弁A1の取付位置は、晶析部30に限られるものではなく、例えば、バッファタンク50や軟水化システム10の最上部等、様々な位置とすることができる。
ここで、本実施形態においても、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成されている。
本実施形態では、略密閉・圧力印加系の送水経路は、少なくともバルブE3,E4を閉止することで得られるようにしている。
具体的には、まず、バルブE3,E4を閉止することで、送水経路20内の空間の一部が略密閉された空間となるようにしている。そして、送水経路20内の空間の一部を略密閉された空間とした状態で、ポンプ(昇圧手段)P1を作動させて、略密閉された空間内に水(被処理水)を供給することで、略密閉された空間内の圧力(水圧)を上昇させている。こうすることで、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
本実施形態では、送水経路20のうち、ポンプP1よりも下流側の導入経路21b、分離部導入経路22の全体、バルブE3よりも上流側の処理水送水経路23およびバルブE4よりも上流側の排出路24が略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
また、送水経路20のうち、還流経路22aの全体、還流経路24aの全体も、略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
そして、晶析部30および分離部40が、送水経路20における略密閉・圧力印加系の送水経路となる部位に接続されており、晶析部30の内部空間および分離部40の内部空間も、略密閉・圧力印加系の一部を構成している。
このように、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成することで、建物の2階等の高い位置に配置された蛇口111からも軟水が給水されるようにしている。また、軟水化システム10を略密閉・圧力印加系とすることで、外部からの異物混入トラブルの低減が期待できる。
このとき、建物内に設けられたすべての給水口(蛇口111等)から軟水を取り出せるようにするために、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力(水圧)が所定値以上となるようにするのが好ましい。また、給水口(蛇口111等)から給水される軟水の水圧を安定させるために、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力(水圧)が略一定の値で維持されるようにするのが好ましい。
そこで、本実施形態においても、軟水化システム10が、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を測定する圧力センサ(圧力測定手段)S1と、略密閉・圧力印加系の送水経路内に水を供給して昇圧させるポンプ(昇圧手段)P1と、を備えるようにしている。
そして、圧力センサS1により測定された略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が所定値よりも小さい場合には、ポンプP1を稼働させて、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を増加させるようにしている。
また、圧力センサS1により測定された略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が所定値以上の場合には、ポンプP1を停止させて、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が増大しすぎてしまうことが抑制されるようにしている。
この所定値は、軟水化装置1が設置される建物に設けられたすべての給水口(蛇口111等)から軟水を取り出すことができる最小の圧力よりも大きな値となるようにするのが好ましい。
本実施形態では、圧力センサS1は、配線H1を介してポンプP1の図示せぬ制御部に電気的に接続されており、圧力センサS1で計測された晶析部導入経路21内の水圧によって、ポンプP1の駆動が制御されるようにしている。
なお、本実施形態においても、送水経路20を上水配管101に直結させた構成としている。そのため、上水配管101から送水経路20内に供給される被処理水によって、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を所定値以上とすることができる場合がある。したがって、このような場合には、昇圧手段としてのポンプP1を設けなくてもよい。ポンプP1を設けない場合には、晶析部導入経路21の全体も略密閉・圧力印加系の送水経路となる。
そして、上述したような構成の軟水化装置1を用い、送水経路20の少なくとも一部を略密閉・圧力印加系の送水経路とした状態で、被処理水を晶析部30に導入することで、晶析部30によって金属イオンを晶析させている。
本実施形態では、図9に示すように、バルブE3,E4を閉止することで略密閉・圧力印加系の送水経路としつつ、バルブE2,E6を閉止することで、略密閉・圧力印加系の送水経路に、バッチ式に軟水を生成するラインが形成されるようにしている。このとき、バルブE1,E5が開放されている。
そして、被処理水の硬度が所定の硬度となるまで金属イオンを晶析させる。このとき、例えば、被処理水のバッファタンク50と晶析部30との間での循環量(循環時間や循環回数)を適宜設定すれば、金属イオンの析出量が所定の量となるように調整することができる。なお、晶析処理の終了は、バッファタンク50の容量に応じた時間で判断してもよいし、硬度センサや濁度センサなどで検知された出力により判断してもよい。
また、被処理水の送液(循環経路内で循環させること)は、ポンプP1を稼働させることで行うことができる。この場合、ポンプP1は、被処理水を晶析部30とバッファタンク50との間で循環させる送液手段としての機能も有することになる。
そして、所定量の金属イオンが析出されると、金属イオンの結晶が混濁した被処理水を分離部40に送水して軟水と金属イオンの結晶とに分離する。
本実施形態では、図10に示すように、バルブE4を閉止した状態で、バルブE2,E3を開放することで、被処理水が分離部40へと送られ、分離部40で分離された軟水が、処理水送水経路23を通って給水配管110に供給されるようにしている。このとき、バルブE5が閉止されており、バルブE1,E6が開放されている。なお、バルブE6は閉止されたままでもよい。
そして、分離部40に送られた被処理水は、遠心分離によって軟水と金属イオンの結晶とに分離される。
なお、晶析のために被処理水を循環させる際には、水流の力はそれほど必要ないが、サイクロン型の固液分離機を用いて遠心分離を行うためには、ある程度強力な圧力と流量が必要になる。
そのため、サイクロン型の固液分離機を用いて遠心分離を行う際には、分離部40に供給される被処理水の流量・圧力がより大きくなるようにするのが好ましい。
このような構成は、ポンプP1の他に分離用のポンプ(図示せず)を用いるようにして得ることもできるし、インバータ制御などによりポンプP1の出力を向上させるようにして得ることもできる。ポンプP1の出力を向上させる場合、ポンプP1は、分離部40へと送られる被処理水の送水圧力・流量を、晶析部30とバッファタンク50との間を循環する被処理水の圧力・流量よりも向上させる圧送手段としての機能も有することになる。
そして、分離部40によって分離された液体である軟水は、処理水送水経路23に導入され、固体である金属の結晶は、排出路24へと導入される。このとき、分離されずに金属の結晶とともに排出路24に導入された液体(軟水)は、還流経路24aを通って、固液分離処理を行う経路に戻される。なお、排出路24内に貯まった金属の結晶は、バルブE4を開放することで軟水化装置1の外部に排出することができる。
一方、処理水送水経路23に導入された軟水は、還流経路23aを通って、軟水タンク70内に導入される。
そして、上記の動作を軟水タンク70が満水になるまで繰り返す。本実施形態では、軟水タンク70内の軟水の液面が所定の水位(上限の水位)まで上昇したことを高水位センサS3が検知したときに、満水であると判断し、軟水タンク70内への軟水の供給を停止するようにしている。
そして、軟水タンク70内に貯められた軟水は、ポンプP3を稼働させつつ、給水配管110に接続された蛇口111を開放させるようにすることで、蛇口111から給水されることになる。
なお、本実施形態においても、軟水化装置1で得られる軟水の温度は、40℃以下となるようにするのが好ましく、30℃以下となるようにするのがより好ましい。
ここで、本実施形態にかかる軟水タンク70には、上述したように、高水位センサS3だけでなく、軟水タンク70に貯留された軟水の水位の低下を検知する低水位センサS2も設けられている。
この低水位センサS2は,軟水タンク70内の軟水の液面が所定の水位(下限の水位)よりも低くなったことを検知するためのセンサである。
ここで、本実施形態では、軟水タンク70内の軟水を使用して、軟水タンク70に貯留された軟水の水位が低下すると、軟水化装置1が作動して、軟水タンク70内に軟水が補給されるようにしている。
そのため、通常の使用時には、軟水タンク70内の軟水の液面は、下限の水位から上限の水位までの間で推移することになる。
しかしながら、多量の軟水を一気に使用し、軟水の生成が追い付かない場合や、何らかの不具合により軟水化システム10が作動しなかった場合等に、軟水タンク70内の軟水の液面が下限の水位よりも下方に低下してしまう場合がある。
そして、軟水タンク70内の軟水の液面が下限の水位よりも下方に低下した状態で、軟水化装置1を使用すると、軟水タンク70内の軟水が枯渇してしまい、蛇口111から水が出なくなってしまうおそれがある。
このように、生成された軟水を軟水タンク70に貯留し、軟水タンク70内に貯留された軟水を供給するようにした軟水化装置1では、安定的に水を供給することができなくなってしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、軟水タンク70を用いた軟水化装置1であっても、より安定して水を供給することができるようにした。
具体的には、軟水タンク70内に貯留された軟水の水位が所定の水位(下限の水位)よりも低下した場合には、分離部40で分離された軟水よりも硬度レベルが高い水を供給できるようにしている。
本実施形態では、略密閉・圧力印加系の送水経路には、バッチ式に軟水を生成するラインが形成されている。そして、通常の処理により軟水タンク70内に貯留される軟水は、バッチ式に軟水を生成するラインに被処理水を複数回通すことで、所定の硬度となるようにしたものである。
ここで、本実施形態では、軟水タンク70内に貯留された軟水の水位が所定の水位(下限の水位)よりも低下した場合には、バッチ式に軟水を生成するラインを被処理水がワンパスで通過するようにしている。
すなわち、軟水タンク70内に貯留された軟水の水位が所定の水位(下限の水位)よりも低下したことを低水位センサS2が検知した場合に、バッチ式に軟水を生成するラインを被処理水がワンパスで通過するようにしている。
こうすることで、通常の処理により生成される軟水よりも硬度レベルが高い水が軟水タンク70内に供給されるようにし、より安定して水を蛇口111等から供給できるようにしている。
(第6実施形態)
次に、図11および図12を用いて、第6実施形態にかかる軟水化装置1を説明する。
本実施形態においても、家屋やビル等の建物の入口に設置され、被処理水を処理して、軟水化された処理水を建物全体に供給することができるPOE(Point Of Entry)方式の軟水化装置1を例示している。
そして、本実施形態においても、軟水化装置1では、金属イオンを晶析させて、結晶を被処理水から分離することで被処理水を軟水化する軟水化システム10を採用している。
この軟水化システム10は、被処理水が流れる送水経路20と、被処理水に含まれる金属イオンを析出させる晶析部30と、晶析部30を通過した被処理水を、晶析部30で析出させた結晶と軟水とに分離する分離部40と、を備えている。
そして、晶析部30と分離部40は、上流側に晶析部30が位置し、下流側に分離部40が位置するように、送水経路20に接続されている。晶析部30および分離部40の構成は、上記第1実施形態と同様の構成とすることができる。
また、本実施形態においても、送水経路20は、晶析部30の上流側に接続されて、被処理水を晶析部30内に導入することが可能な晶析部導入経路21を有している。
ここで、本実施形態では、軟水化システム10が、略密閉・圧力印加系の送水経路に流入させる被処理水を貯水するメインタンク60を備えている。そして、晶析部導入経路21の上流側がこのメインタンク60に接続されている。
このメインタンク60は、上水配管101等の被処理水供給源100から取り出された水を、被処理水として貯留させるためのタンクである。
そして、このような軟水化装置1を用いることで、送水経路20を上水配管101に直結させることが難しい場合であっても、上水配管101から取水される水を軟水化させて、建物内の給水配管110に供給させることができるようになる。
また、本実施形態においても、軟水化システム10は、送水経路20における晶析部30よりも上流側に接続され、被処理水を貯水するバッファタンク50を備えている。したがって、本実施形態においても、晶析部導入経路21は、バッファタンク50よりも上流側に位置して被処理水をバッファタンク50へと導入する導入経路21aを備えている。さらに、晶析部導入経路21は、バッファタンク50から供給された被処理水を晶析部30へと導入する導入経路21bを備えている。
そして、本実施形態では、導入経路21aの逆流防止弁B1よりも上流側に、ポンプ(昇圧手段)P2および圧力センサ(圧力測定手段)S1が接続されている。
本実施形態では、圧力センサS1は、配線H1を介してポンプP2の図示せぬ制御部に電気的に接続されており、圧力センサS1で計測された晶析部導入経路21内の水圧によって、ポンプP2の駆動が制御されるようにしている。
また、本実施形態においても、バッファタンク50は、バルブE1よりも下流側、かつ、ポンプP1よりも上流側の部位で晶析部導入経路21に接続されている。なお、本実施形態では、ポンプP1の下流側には圧力センサS1が設けられていない。
したがって、本実施形態では、晶析部導入経路21には、上流側から順に、ポンプP2、圧力センサS1、逆流防止弁B1、バルブE1、バッファタンク50、ポンプ(昇圧手段)P1、逆流防止弁B2が接続されている。
また、送水経路20は、晶析部30の下流側と分離部40の上流側に接続されて、晶析部30内で金属イオンを晶析させた被処理水を、分離部40内に導入することが可能な分離部導入経路22を有している。そして、この分離部導入経路22には、バルブE2が接続されている。
さらに、送水経路20は、分離部導入経路22に導入された被処理水を、バッファタンク50内に還流させることが可能な還流経路22aを有している。この還流経路22aは、上流側が、分離部導入経路22の途中に、分離部導入経路22から分岐するように接続されており、下流側がバッファタンク50に接続されている。
本実施形態においても、還流経路22aの上流側は、バルブE2よりも上流側で分離部導入経路22に接続されている。そして、バルブE2を閉止した際に、導入経路21bと還流経路22aとで、被処理水をバッファタンク50と晶析部30との間で循環させる循環経路が形成されるようにしている。また、還流経路22aの途中には、バルブE5が接続されている。
このように、本実施形態では、金属イオンの晶析を行う際には、バッファタンク50に被処理水をある程度貯めた状態で、バッファタンク50に貯められた被処理水を、循環経路内で周回させるようにしている。こうすることで、被処理水内の金属イオンを晶析させるための時間を稼いで、所望の硬度の軟水が生成されるようにしている。
このように、金属イオンを晶析させる過程で、被処理水を循環経路内で周回させるようにすれば、ワンパスで金属イオンを晶析させる場合と較べて、より確実所望の硬度の軟水とすることができるようになる。
また、本実施形態においても、送水経路20は、分離部40の下流側に接続されて、処理水が導入される処理水送水経路23と、分離部40の下流側に接続されて、金属の結晶が導入される排出路24と、を有している。
本実施形態では、軟水化システム10が、分離部40で分離された軟水を貯留する軟水タンク70を備えている。そして、処理水送水経路23の下流側が、この軟水タンク70に接続されており、分離部40で分離された軟水が処理水送水経路23を通って軟水タンク70に貯留されるようになっている。
本実施形態では、軟水タンク70には、軟水タンク70に貯留された軟水の水位を検知する水位センサが設けられている。具体的には、軟水タンク70には、軟水タンク70に貯留された軟水の水位の低下を検知する低水位センサS2と、軟水タンク70に貯留された軟水の水位の上昇を検知する高水位センサS3と、が設けられている。
また、本実施形態では、送水経路20は、上流側が軟水タンク70に接続される給水経路26を備えている。この給水経路26は、下流側が給水配管110に接続されている。
そして、本実施形態では、処理水送水経路23には、上流側から順に、逆流防止弁B3、バルブE3が接続されている。また、給水経路26には、上流側から順に、ポンプP3、逆流防止弁B4が接続されており、給水配管110の下流側には、蛇口111が接続されている。
一方、排出路24には、バルブE4が接続されており、このバルブE4を閉止することで、金属の結晶が排出路24内に貯められるようになっている。そして、バルブE4を開放することで、排出路24内に貯まった金属の結晶を軟水化装置1の外部に排出することができるようになっている。
さらに、本実施形態では、送水経路20は、排出路24に導入された軟水を、導入経路21bに還流させることが可能な還流経路24aを有している。この還流経路24aは、上流側が、排出路24の途中に、排出路24から分岐するように接続されており、下流側がポンプP1よりも上流側の導入経路21bに接続されている。
本実施形態では、還流経路24aの上流側は、バルブE4よりも上流側で、排出路24に接続されている。そして、バルブE4を閉止して、金属の結晶を排出路24内に貯めるようにした状態で、分離されずに金属の結晶とともに排出路24に導入された液体(軟水)を、固液分離処理を行う経路に戻すようにしている。なお、還流経路24aの途中には、上流側から順に、逆流防止弁B5、バルブE6が接続されている。
このように、本実施形態では、分離されずに金属の結晶とともに排出路24に導入された液体(軟水)を、固液分離処理を行う経路に戻すようにしている。こうすることで、生成された軟水が、排出路24から軟水化装置1の外部に排出されてしまうことが抑制されるようにしている。
また、本実施形態では、送水経路20が、晶析部30および分離部40を経由せずに被処理水を流出させるバイパス経路25を備えている。
このバイパス経路25は、上流側が導入経路21aの途中に接続されており、下流側が給水経路26の途中に接続されている。具体的には、バイパス経路25の上流側は、圧力センサS1よりも下流側かつ逆流防止弁B1よりも上流側で導入経路21aに接続されている。一方、バイパス経路25の下流側は、逆流防止弁B4よりも下流側で給水経路26に接続されている。
そして、このバイパス経路25には、上流側から順に、バルブE8、逆流防止弁B6が接続されている。
このようなバイパス経路25を設けることで、軟水化システム10が正常に作動しない場合であっても、被処理水を蛇口111から取り出せるようにしている。
また、本実施形態においても、晶析部30にエア抜き弁A1が取り付けられており、このエア抜き弁A1によって軟水化システム10内の空気が抜かれるようにしている。ただし、エア抜き弁A1の取付位置は、晶析部30に限られるものではなく、例えば、バッファタンク50や軟水化システム10の最上部等、様々な位置とすることができる。
ここで、本実施形態においても、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成されている。
本実施形態では、略密閉・圧力印加系の送水経路は、少なくともバルブE3,E4,E8を閉止することで得られるようにしている。
具体的には、まず、バルブE3,E4,E8を閉止することで、送水経路20内の空間の一部が略密閉された空間となるようにしている。そして、送水経路20内の空間の一部を略密閉された空間とした状態で、ポンプ(昇圧手段)P2を作動させて、略密閉された空間内に水(被処理水)を供給することで、略密閉された空間内の圧力(水圧)を上昇させている。こうすることで、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
本実施形態では、送水経路20のうち、ポンプP2よりも下流側の晶析部導入経路21、分離部導入経路22の全体、バルブE3よりも上流側の処理水送水経路23およびバルブE4よりも上流側の排出路24が略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
また、送水経路20のうち、還流経路22aの全体、還流経路24aの全体、バルブE8よりも上流側のバイパス経路25も、略密閉・圧力印加系の送水経路となるようにしている。
そして、晶析部30および分離部40が、送水経路20における略密閉・圧力印加系の送水経路となる部位に接続されており、晶析部30の内部空間および分離部40の内部空間も、略密閉・圧力印加系の一部を構成している。
このように、送水経路20の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成することで、建物の2階等の高い位置に配置された蛇口111からも軟水が給水されるようにしている。また、軟水化システム10を略密閉・圧力印加系とすることで、外部からの異物混入トラブルの低減が期待できる。
このとき、建物内に設けられたすべての給水口(蛇口111等)から軟水を取り出せるようにするために、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力(水圧)が所定値以上となるようにするのが好ましい。また、給水口(蛇口111等)から給水される軟水の水圧を安定させるために、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力(水圧)が略一定の値で維持されるようにするのが好ましい。
そこで、本実施形態においても、軟水化システム10が、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を測定する圧力センサ(圧力測定手段)S1と、略密閉・圧力印加系の送水経路内に水を供給して昇圧させるポンプ(昇圧手段)P2と、を備えるようにしている。
そして、圧力センサS1により測定された略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が所定値よりも小さい場合には、ポンプP2を稼働させて、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を増加させるようにしている。
また、圧力センサS1により測定された略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が所定値以上の場合には、ポンプP2を停止させて、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が増大しすぎてしまうことが抑制されるようにしている。
この所定値は、軟水化装置1が設置される建物に設けられたすべての給水口(蛇口111等)から軟水を取り出すことができる最小の圧力よりも大きな値となるようにするのが好ましい。
そして、上述したような構成の軟水化装置1を用い、送水経路20の少なくとも一部を略密閉・圧力印加系の送水経路とした状態で、被処理水を晶析部30に導入することで、晶析部30によって金属イオンを晶析させている。
本実施形態では、図11に示すように、バルブE3,E4,E8を閉止することで略密閉・圧力印加系の送水経路としつつ、バルブE2,E6を閉止することで、略密閉・圧力印加系の送水経路に、バッチ式に軟水を生成するラインが形成されるようにしている。このとき、バルブE1,E5が開放されている。
そして、被処理水の硬度が所定の硬度となるまで金属イオンを晶析させる。このとき、例えば、被処理水のバッファタンク50と晶析部30との間での循環量(循環時間や循環回数)を適宜設定すれば、金属イオンの析出量が所定の量となるように調整することができる。なお、晶析処理の終了は、バッファタンク50の容量に応じた時間で判断してもよいし、硬度センサや濁度センサなどで検知された出力により判断してもよい。
また、被処理水の送液(循環経路内で循環させること)は、ポンプP1を稼働させることで行うことができる。この場合、ポンプP1は、被処理水を晶析部30とバッファタンク50との間で循環させる送液手段としての機能も有することになる。
そして、所定量の金属イオンが析出されると、金属イオンの結晶が混濁した被処理水を分離部40に送水して軟水と金属イオンの結晶とに分離する。
本実施形態では、図12に示すように、バルブE4,E8を閉止した状態で、バルブE2,E3を開放することで、被処理水が分離部40へと送られ、分離部40で分離された軟水が、処理水送水経路23を通って給水配管110に供給されるようにしている。このとき、バルブE5が閉止されており、バルブE1,E6が開放されている。なお、バルブE6は閉止されたままでもよい。
そして、分離部40に送られた被処理水は、遠心分離によって軟水と金属イオンの結晶とに分離される。
なお、晶析のために被処理水を循環させる際には、水流の力はそれほど必要ないが、サイクロン型の固液分離機を用いて遠心分離を行うためには、ある程度強力な圧力と流量が必要になる。
そのため、サイクロン型の固液分離機を用いて遠心分離を行う際には、分離部40に供給される被処理水の流量・圧力がより大きくなるようにするのが好ましい。
このような構成は、ポンプP1の他に分離用のポンプ(図示せず)を用いるようにして得ることもできるし、インバータ制御などによりポンプP1の出力を向上させるようにして得ることもできる。ポンプP1の出力を向上させる場合、ポンプP1は、分離部40へと送られる被処理水の送水圧力・流量を、晶析部30とバッファタンク50との間を循環する被処理水の圧力・流量よりも向上させる圧送手段としての機能も有することになる。
そして、分離部40によって分離された液体である軟水は、処理水送水経路23に導入され、固体である金属の結晶は、排出路24へと導入される。このとき、分離されずに金属の結晶とともに排出路24に導入された液体(軟水)は、還流経路24aを通って、固液分離処理を行う経路に戻される。なお、排出路24内に貯まった金属の結晶は、バルブE4を開放することで軟水化装置1の外部に排出することができる。
一方、処理水送水経路23に導入された軟水は、還流経路23aを通って、軟水タンク70内に導入される。
そして、上記の動作を軟水タンク70が満水になるまで繰り返す。本実施形態では、軟水タンク70内の軟水の液面が所定の水位(上限の水位)まで上昇したことを高水位センサS3が検知したときに、満水であると判断し、軟水タンク70内への軟水の供給を停止するようにしている。
そして、軟水タンク70内に貯められた軟水は、ポンプP3を稼働させつつ、給水配管110に接続された蛇口111を開放させるようにすることで、蛇口111から給水されることになる。
なお、本実施形態においても、軟水化装置1で得られる軟水の温度は、40℃以下となるようにするのが好ましく、30℃以下となるようにするのがより好ましい。
ここで、本実施形態においても、軟水タンク70内の軟水を使用して、軟水タンク70に貯留された軟水の水位が低下すると、軟水化装置1が作動して、軟水タンク70内に軟水が補給されるようにしている。
そして、軟水タンク70を用いた軟水化装置1であっても、より安定して水を供給することができるようにしている。
具体的には、軟水タンク70内に貯留された軟水の水位が所定の水位(下限の水位)よりも低下した場合には、分離部40で分離された軟水よりも硬度レベルが高い水を供給できるようにしている。
本実施形態では、略密閉・圧力印加系の送水経路には、バッチ式に軟水を生成するラインが形成されている。そして、通常の処理により軟水タンク70内に貯留される軟水は、バッチ式に軟水を生成するラインに被処理水を複数回通すことで、所定の硬度となるようにしたものである。
ここで、本実施形態では、軟水タンク70内に貯留された軟水の水位が所定の水位(下限の水位)よりも低下した場合には、バッチ式に軟水を生成するラインを被処理水がワンパスで通過するようにしている。
すなわち、軟水タンク70内に貯留された軟水の水位が所定の水位(下限の水位)よりも低下したことを低水位センサS2が検知した場合に、バッチ式に軟水を生成するラインを被処理水がワンパスで通過するようにしている。
こうすることで、通常の処理により生成される軟水よりも硬度レベルが高い水が軟水タンク70内に供給されるようにし、より安定して水を蛇口111等から供給できるようにしている。
また、本実施形態では、軟水タンク70内に貯留された軟水の水位が所定の水位(下限の水位)よりも低下した場合には、被処理水がバイパス経路25を通るようにすることもできる。
すなわち、軟水タンク70内に貯留された軟水の水位が所定の水位(下限の水位)よりも低下したことを低水位センサS2が検知した場合には、バルブE1を閉止しつつバルブE8を開放することで、被処理水がバイパス経路25を通るようにしている。
そして、バイパス経路25を通過した被処理水が、給水配管110に供給されて蛇口111等から供給されるようにしている。
こうすることでも、通常の処理により生成される軟水よりも硬度レベルが高い水を蛇口111まで供給することができるため、より安定して水を蛇口111等から供給できるようになる。
(作用、効果)
以上説明したように、本実施形態の軟水化システム10は、被処理水が流れる送水経路20と、被処理水に含まれる金属イオンを析出させる晶析部30と、を備えている。また、軟水化システム10は、晶析部30を通過した被処理水を、晶析部30で析出させた結晶と軟水とに分離する分離部40を備えている。そして、送水経路20は、少なくとも一部が略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成されており、送水経路20における略密閉・圧力印加系の送水経路となる部位に、晶析部30および分離部40が接続されている。
そして、本実施形態の軟水化装置1は、上記軟水化システム10を採用したものである。
こうすれば、塩水を使わないで軟水を生成することができるようになるため、環境負荷をより低減させることが可能となる。
このように、本実施形態によれば、環境負荷をより低減させることが可能な軟水化システム10および軟水化装置1を得ることができる。
また、略密閉・圧力印加系の送水経路となる部位に、晶析部30および分離部40を接続することで、軟水の供給時の圧力や流量を高めることが可能となる。その結果、本実施形態の軟水化システム10を採用したPOE(Point Of Entry)方式の軟水化装置1とすることができる。
また、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力を測定する圧力測定手段S1と、略密閉・圧力印加系の送水経路内に水を供給して昇圧させる昇圧手段P1,P2と、を有していてもよい。そして、昇圧手段P1,P2が、圧力測定手段により測定された略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力が所定値よりも小さい場合に稼働し、所定値以上の場合に停止するようにしてもよい。
こうすれば、略密閉・圧力印加系の送水経路内の圧力がほぼ一定の値となるように制御することができ、軟水をより安定的に供給することができるようになる。
また、送水経路20における晶析部30よりも上流側に接続され、被処理水を貯水するバッファタンク50をさらに備えるようにしてもよい。
さらに、略密閉・圧力印加系の送水経路が、晶析部30を通過した被処理水をバッファタンク50内に還流させることが可能な還流経路22aを備えていてもよい。そして、略密閉・圧力印加系の送水経路に、被処理水を晶析部30とバッファタンク50との間で循環させる送液手段P1が接続されていてもよい。
こうすれば、ワンパスで金属イオンを晶析させる場合と較べて、より確実に所望の硬度の軟水とすることができるようになる。
また、略密閉・圧力印加系の送水経路には、分離部40へと送られる被処理水の送水圧力・流量を、晶析部30とバッファタンク50との間を循環する被処理水の圧力・流量よりも向上させる圧送手段P1が接続されていてもよい。
こうすれば、分離部40において必要となる流量・圧力を確保することが可能となって、分離部40での固液分離をより確実に行うことができるようになる。
また、分離部40で分離された軟水に含まれる残留粒子を取り除く第2分離部80をさらに備えていてもよい。
こうすれば、晶析部30で析出させた結晶をより確実に軟水から取り除くことができるようになる。
また、分離部40で分離された軟水を貯留する軟水タンク70をさらに備えていてもよい。
こうすれば、生成した軟水を取り出し可能な状態で貯めることが可能となって、好きな時に軟水を取り出すことができるようになる。その結果、軟水化装置1の使い勝手をより向上させることができる。
また、軟水タンク70内に貯留された軟水の水位が所定の水位よりも低下した場合には、分離部40で分離された軟水よりも硬度レベルが高い水を供給できるようにしてもよい。
こうすれば、軟水化システム10が正常に作動しない場合等であっても、より安定して水を供給することができるようになる。
また、略密閉・圧力印加系の送水経路には、バッチ式に軟水を生成するラインが形成されていてもよい。また、軟水タンク内に貯留される軟水は、バッチ式に軟水を生成するラインに被処理水を複数回通すことで、所定の硬度となるようにしてもよい。そして、軟水よりも硬度レベルが高い水の供給は、バッチ式に軟水を生成するラインに被処理水をワンパスで通すことによりなされるようにしてもよい。
こうすれば、未処理の被処理水と較べて若干軟水化された水が導入されることになるため、軟水タンク70内に貯留された軟水の硬度が上昇してしまうことを抑制することができるようになる。
また、送水経路20は、晶析部30および分離部40を経由せずに被処理水を流出させるバイパス経路25を備えていてもよい。そして、軟水よりも硬度レベルが高い水の供給は、バイパス経路25に被処理水を通すことによりなされるようにしてもよい。
こうすれば、軟水化システム10が正常に作動しない場合でも、水を供給することができるようになる。
また、略密閉・圧力印加系の送水経路に流入させる被処理水を貯水するメインタンク60をさらに備えるようにしてもよい。
こうすれば、送水経路20を上水配管101に直結させることが難しい場合にも使用することができる。
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記各実施形態で示した構成を適宜組み合わせた構成とすることが可能である。
また、上記各実施形態で説明したバルブの開閉状態は、一例であり、処理の用途やバルブが設けられる場所等に基づき、適宜設定することが可能である。
また、送水経路や昇圧手段、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)を適宜に変更することが可能である。
(第7実施形態)
まず、図13及び図14を用いて、第1実施形態に係る軟水化装置1を説明する。
本実施形態に係る軟水化装置201は、導入された被処理水中に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の金属イオンを被処理水から取り除き、軟水を生成するための装置である。本実施形態では、家屋やビル等の建物の入口に設置され、被処理水を処理して、軟水化された処理水を建物全体に供給することができるPOE(Point Of Entry)方式の軟水化装置201を例示している。
具体的には、軟水化装置201は、上流側が上水配管101等の被処理水供給源100に接続されており、下流側が建物内に配管された給水配管110に接続されている。そして、上水配管101から供給された被処理水に含まれる金属イオンを軟水化装置201内で除去し、金属イオンが除去された処理水(軟水)が給水配管110に供給されて、家庭内の蛇口111等から軟水が給水されるようになっている。なお、被処理水供給源100は、上水配管101に限られるものではなく、井戸、河川、池等の水源を被処理水供給源100とすることも可能である。井戸、河川、池等の水源を被処理水供給源100とした場合、水源から汲みだした水や雨水が軟水化装置201に供給される被処理水となる。
ここで、本実施形態にかかる軟水化装置201では、金属イオンを晶析させて、結晶を被処理水から分離することで被処理水を軟水化する軟水化システム210を備えている。このような軟水化システム210を備えることで、塩水を用いずに被処理水を軟水化できるようにし、環境負荷をより低減させることができるようにしている。
軟水化システム210は、金属イオンを含有する被処理水中の金属イオンを結晶として析出させる晶析部230を備える。また、晶析部230で析出した結晶を濾材により濾過して分離する分離部240を備える。さらに、分離部240の濾材に付着した結晶を逆洗により系外に排出する際に、分離部240で分離した結晶を含む被処理水を、小サイズの結晶を含む被処理水と、大サイズの結晶を含む被処理水とに分級分離する分級分離部250を備える。小サイズの結晶は、分離部240の濾材を通過する結晶であり、大サイズの結晶は当該濾材を通過しない結晶である。さらに、分級分離部250で分級分離した被処理水のうち、小サイズの結晶を含む被処理水を晶析部230に返送する返送経路224を備える。
晶析部230、分離部240及び分級分離部250は、上流側から順に、晶析部230と、分離部240と、分級分離部250とが位置するように、送水経路220に接続されている。
すなわち、送水経路220は、晶析部230の上流側に接続されて、被処理水を晶析部230内に導入することが可能な晶析部導入経路221を有している。晶析部導入経路221は、上流側が上水配管101等の被処理水供給源100に接続されており、被処理水供給源100から供給される被処理水は、晶析部導入経路221を通って晶析部230内に導入される。
そして、本実施形態では、晶析部導入経路221には、上流側から順に、逆流防止弁B11、バルブE11、ポンプP11、圧力センサS11、逆流防止弁B12が接続されている。
また、晶析部導入経路221は、バルブE11の上流において逆洗用経路226に分岐し、逆洗用経路226は分離部240に接続されている。すなわち、送水経路220は、晶析部230の上流側に接続されて、被処理水を分離部240内に導入することが可能な逆洗用経路226をさらに有している。
そして、本実施形態では、逆洗用経路226には、上流側から順に、バルブE16と、ポンプP12と、逆流防止弁B16とが接続されている。
また、送水経路220は、晶析部230の下流側と分離部240の上流側に接続されて、晶析部230内で金属イオンを晶析させた被処理水を、分離部240内に導入することが可能な分離部導入経路222を有している。晶析部230から分離部240に供給される被処理水は、分離部導入経路222を通って分離部240内に導入される。
そして、晶析部導入経路221を通って晶析部230内に供給された被処理水は、晶析部230において金属イオンが晶析される。晶析部230において被処理水中の金属イオンを晶析させる方法としては、塩水を用いずに晶析を行うことができるものであればよく、様々な方法を用いることができる。例えば、晶析部230内に導入された被処理水に薬剤を注入して被処理水をアルカリ性にして結晶化させる方法や、電気分解によりアルカリイオン水を生成して被処理水をアルカリ性にして結晶化させる方法を用いることができる。また、被処理水中に存在するマイクロバブル(被処理水中で発生させたマイクロバブル)を利用して金属イオンを晶析させることも可能である。
そして、晶析部230内で金属イオンを晶析させた被処理水は、分離部導入経路222を通って分離部240内に導入され、分離部240によって、晶析させた金属の結晶と軟水とに分離される。
分離部240としては、晶析部で析出した結晶を濾過により分離する機能を有する。すなわち、分離部240の内部には濾材を有する。濾材としては結晶を濾過して固液分離が可能であればその形態は問わない。例えば、フィルタ状、粒状のものが挙げられるが、本実施形態においてはそれらに限定されるものではない。
そして、分離部240の上部には、分離部240によって結晶が除去された被処理水(軟水)が導入される処理水送水経路225が接続されている。また、分離部240の上部であって、処理水送水経路225の接続位置とは異なる位置に、分離部240内の濾材を洗浄する逆洗時に、濾材から離脱した結晶を含む被処理水が導入される分級分離部導入経路223が接続されている。なお、逆洗時の被処理水は、逆洗用経路226を通って導入される。
このように、本実施形態では、送水経路220は、分離部240の下流側に接続されて処理水が導入される処理水送水経路225と、分離部240の下流側に接続されて逆洗時に結晶を含む被処理水が導入される分級分離部導入経路223と、をさらに有している。
そして、本実施形態では、分級分離部導入経路223には、バルブE12が接続されている。また、処理水送水経路225は、本実施形態では、下流側が給水配管110に接続されており、処理水送水経路225には、上流側から順に、逆流防止弁B14、バルブE13、処理水の使用水量を計量する流量センサS12が接続されている。そして、給水配管110の下流側に蛇口111が接続されている。
分級分離部250は、分離部240で分離した結晶を含む被処理水を、分離部240の濾材を通過する小サイズの結晶を含む被処理水と、濾材を通過しない大サイズの結晶を含む被処理水とに分級分離する。ここで、以下において、分離部240の濾材を通過する小サイズの結晶を、単に「小サイズの結晶」と呼び、濾材を通過しない大サイズの結晶を、単に「大サイズの結晶」と呼ぶ。このような分級分離は、高速旋回流による遠心力により行うことができる。例えば、サイクロン型の固液分離機を用いることができる。サイクロン型の固液分離機は、重力の代わりに遠心力を利用して、分離部240で分離した結晶を含む被処理水を、小サイズの結晶を含む被処理水と、大サイズの結晶を含む被処理水とに分級分離する装置である。
なお、分級分離部250における、小サイズの結晶を含む被処理水と、大サイズの結晶を含む被処理水とへの分級分離は必ずしも厳密なものではない。すなわち、小サイズの結晶を含む被処理水に大サイズの結晶を含むことがあるし、大サイズの結晶を含む被処理水に小サイズの結晶を含むことがある。換言すると、分級分離部250は、あくまでも、大サイズの結晶よりも小サイズの結晶を多く含む被処理水と、小サイズの結晶よりも大サイズの結晶を多く含む被処理水とに分級分離する。
分級分離部250における結晶の分級分離は、分離部240の濾材を結晶が通過するか否かを基準として行われる。すなわち、上記の通り、分離部240の濾材を通過する結晶は小サイズの結晶であり、当該濾材を通過しない結晶は大サイズの結晶である。そして、分離部240の濾材を結晶が通過するか否かを基準に分級するに当たり、分級分離部250において発生させる高速旋回流の流量及び/又は流速を適宜設定することで、大サイズの結晶と小サイズの結晶とに分級される結晶サイズを調整することができる。
ここで、小サイズの結晶及び大サイズの結晶の具体的なサイズの一例を示す。例えば、濾材として粒状の濾材を用いる場合を考える。濾材に存在する空隙は、経験則上、粒状の濾材の平均粒径の約0.15倍とされている。従って、濾材として粒状の濾材を用いる場合においては、粒状の濾材の平均粒径の約0.15倍以下のものが小サイズの結晶であり、同平均粒径の0.15倍を超えるものが大サイズの結晶である。例えば、粒状の濾材の平均粒径が例えば100μmの場合、濾材に存在する空隙のサイズは15μm程度と考えられる。そして、そのような空隙サイズを通過する小サイズの結晶の平均粒径は15μm未満であり、大サイズの結晶の平均粒径は15μm以上となる。
なお、「平均粒径」は、レーザー回折・散乱法により測定される体積基準の平均粒径であり、より具体的には、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定で得られた粒度分布に基づいて得られる、小粒径側からの累積が10%となるときの粒子径(d10%)である。
逆洗用経路226から分離部240に導入される被処理水の濾材に対する流通方向は、分離部導入経路222を通って分離部240に導入される被処理水の濾材に対する流通方向とは正反対である。すなわち、逆洗用経路226から分離部240に導入される被処理水の流通方向は、濾材に付着した結晶を離脱させる方向である。
分級分離のために被処理水を循環させる際には、比較的大きな流量・圧力が必要になる。そのため、ポンプP12は、被処理水を循環させるポンプP11よりも高出力である必要がある。
分級分離部250の上部には 分級分離部250によって遠心分離された小サイズの結晶を含む被処理水を晶析部230に返送する返送経路224が接続されている。また、分級分離部250の下部には、分級分離部250によって遠心分離された大サイズの結晶を含む被処理水が導入される排出路227が接続されている。
このように、本実施形態では、送水経路220は、返送経路224と、排出路227とをさらに有している。また、本実施形態では、返送経路224には、逆流防止弁B13が接続されている
なお、軟水化システム210には、エア抜き弁A11が取り付けられており、エア抜き弁A11によって軟水化システム210内の空気が抜かれるようにしている。本実施形態では、晶析部230にエア抜き弁A11を取り付けたものを例示している(図13及び図14参照)。しかしながら、エア抜き弁A11の取付位置は、晶析部230に限られるものではなく、例えば、軟水化システム210の最上部等、様々な位置とすることができる。
本実施形態の軟水化装置201においては、水(軟水)を使用するときと、分離部240の濾材の洗浄を行う逆洗時とで各バルブの開閉状態が異なる。以下に、水(軟水)を使用するときのモード、及び分離部240の濾材の洗浄を行う逆洗するときのモードのそれぞれにおいてバルブの開閉状態及びそれに伴う被処理水の流れについて説明する。
まず、本実施形態の軟水化装置201において、水を使用するときのモードについて説明する。図13は、軟水化装置201が、晶析処理をしながら水を使用するときのモードを示す。図13に示す状態は、バルブE11及びE13が開放され、バルブE12が閉止された状態である。図13に示す状態において、上水配管101から導入される被処理水は、晶析部導入経路221及び分離部導入経路222を通って晶析部230と、分離部240とを通過し、さらに処理水送水経路225を通って蛇口111に導かれる。すなわち、上水配管101から導入される被処理水は晶析部230において金属イオンを結晶として析出させ、分離部240において当該結晶を分離し、結晶を分離した被処理水は軟水として蛇口111から給水される。なお、図13において、建物の2階等の高い位置に配置された蛇口111からも軟水が給水する場合など、上水配管101から供給される被処理水の水圧が低い場合、ポンプP11を稼働する。
一方、軟水化処理の継続に従い、分離部240内の濾材には、金属イオンに由来する結晶が付着するため洗浄する必要がある。そこで、本実施形態においては、図14に示すように、逆洗をすることで分離部240内の濾材に付着した結晶を除去する。すなわち、図14は、分離部240の濾材の洗浄を行う逆洗するモードを示す。
図14は、バルブE12が開放され、バルブE11及びE13が閉止された状態を示す。図14に示す状態において、上水配管101から導入される被処理水は、逆洗用経路226を介して分離部240を通過し、分級分離部250に導かれる。分離部240においては、導入された被処理水により濾材に付着した結晶が離脱し、被処理水に混入する。そして、結晶を含む被処理水は分級分離部250に導入される。ここで、図14に示す状態においては、ポンプP12を稼働して被処理水を高圧とし、分級分離部250において高速旋回流を発生させる。すると、分級分離部250に導入された、結晶を含む被処理水は、遠心力により小サイズの結晶(軽いもの)は上方に、大サイズのもの(重いもの)は下方に振り分けられる。すなわち、分級分離部250において、結晶を含む被処理水は、大サイズの結晶を含むものと、小サイズの結晶を含むものとに分けられる。
そして、大サイズの結晶を含む被処理水は、排出路227を通過して系外に排出される。一方、小サイズの結晶を含む被処理水は、分級分離部250の上方に位置する返送経路224を通って、晶析部230に返送される。そして、晶析部230において、返送された被処理水中の小サイズの結晶は種結晶として晶析の促進に寄与する。
このように、逆洗時において、大サイズの結晶を含む被処理水は排水されるが、小サイズの結晶を含む被処理水は晶析部230において再利用される。従って、逆洗時における捨て水を低減することができる。また、小サイズの結晶を種結晶として再利用される。
一方、本実施形態の軟水化装置において、大サイズの結晶を含む被処理水が排出路227から系外に多量に排出される場合、系外の配管等の閉塞が懸念される。そこで、大サイズの結晶を含む被処理水を系外に排出する排出動作を繰り返し行うに当たり、一定の排出動作回数毎に、分級分離部に供給される被処理水に占める系外に排出する被処理水量の割合を増加させることが好ましい。具体的には、分離部240で分離した結晶を系外に排出する排出動作を繰り返す際に、例えば5回の排出動作毎に1回など、一定の排出動作回数毎に、分級分離部250に供給される処理水に占める系外に排出する水量の割合を増加させる。これは、晶析部230に返送される返送経路224にバルブなどを設けて返送流量を減らしたり、分級分離部250に送る流量・圧力を低減し、高速旋回流による分離機能を低下させ排出側により多くの水を送ったりすることなどで実現することができる。
(第2実施形態)
次に、図15~図17を参照して、第2実施形態の軟水化装置201について説明する。第1実施形態と第2実施形態との主な相違点は、第2実施形態ではバッファタンク及びバイパス経路並びにそれらの周辺部材を有する点である。図15~図17において第1実施形態のおける構成要素と実質的に同じ構成要素には同じ符号を付しており、以下において説明を一部省略している構成要素があるが、当該構成要素の説明は、第1実施形態での説明がそのまま当てはまる。
図15~図17に示す軟水化システム210は、金属イオンを含有する被処理水中の金属イオンを結晶として析出させる晶析部230を備える。また、晶析部で析出した結晶を濾材により濾過して分離する分離部240を備える。さらに、分離部の濾材に付着した結晶を逆洗により系外に排出する際に、分離部240で分離した結晶を含む被処理水を、小サイズの結晶を含む被処理水と、大サイズの結晶を含む被処理水とに分級分離する分級分離部250を備える。小サイズの結晶は、分離部240の濾材を通過する結晶であり、大サイズの結晶は当該濾材を通過しない結晶である。さらに、分級分離部で分級分離した被処理水のうち、小サイズの結晶を含む被処理水を晶析部230の上流側に位置するバッファタンク260に返送する返送経路229を備える。
晶析部230、分離部240及び分級分離部250は、上流側から順に、晶析部230と、分離部240と、分級分離部250とが位置するように、送水経路220に接続されている。晶析部230、分離部240及び分級分離部250の構成は、上記第1実施形態と同様の構成とすることができる。従って、晶析部230、分離部240及び分級分離部250についての詳細な説明は省略する。
また、本実施形態においても、送水経路220は、晶析部230の上流側に接続されて、被処理水を晶析部230内に導入することが可能な晶析部導入経路221を有している。晶析部導入経路221は、上流側が上水配管101等の被処理水供給源100に接続されており、被処理水供給源100から供給される被処理水は、晶析部導入経路221を通って晶析部230内に導入される。
ここで、本実施形態では、軟水化システム210が、送水経路220における晶析部230よりも上流側に接続され、被処理水を貯水するバッファタンク260をさらに備えている。そして、バッファタンク260は、返送経路229を介して分級分離部250に接続されている。すなわち、本実施形態にかかる軟水化システム210の中には、ある程度の量の被処理水を貯めておくことができるバッファタンク260が設けられている。
バッファタンク260は、晶析部導入経路221の途中に接続されている。具体的には、バッファタンク260は、バルブE11よりも下流側、かつ、ポンプP11及びP12よりも上流側の位置で晶析部導入経路221に接続されている。
バッファタンク260の下流側には、晶析部導入経路221の延長経路228と、分離部240に接続される逆洗用経路226とが接続されている。
従って、本実施形態では、晶析部導入経路221には、上流側から順に、バルブE11、逆流防止弁B11、バッファタンク260、ポンプ(昇圧手段)P11、逆流防止弁B12が接続されている。また、逆洗用経路226には、ポンプP12、逆流防止弁B16が接続されている。
このように、本実施形態では、晶析部導入経路221は、バッファタンク260よりも上流側に位置して被処理水をバッファタンク260へと導入する部分と、バッファタンク260から供給された被処理水を晶析部230へと導入する延長経路228とを備える。
また、送水経路220は、晶析部230の下流側と分離部240の上流側に接続されて、晶析部230内で金属イオンを晶析させた被処理水を、分離部240内に導入することが可能な分離部導入経路222を有している。
そして、分離部240の上部には、分離部240によって結晶が除去された被処理水(軟水)が導入される処理水送水経路225が接続されている。また、処理水送水経路225に導入された被処理水を、バッファタンク260内に還流させることが可能な還流経路231を有している。還流経路231には、バルブE14及び逆流防止弁B17が接続されている。還流経路231により、分離部240によって結晶が除去された軟水をバッファタンク260に導くことができ、バッファタンク260内には軟水を貯水することができる。
また、分離部240の上部であって、処理水送水経路225の接続位置とは異なる位置に、分離部240内の濾材を洗浄する逆洗時に、濾材から離脱した結晶を含む被処理水が導入される分級分離部導入経路223が接続されている。なお、逆洗時の被処理水は、逆洗用経路226を通って導入される。
このように、本実施形態では、送水経路220は、分離部240の下流側に接続されて、処理水が導入される処理水送水経路225と、分離部240の下流側に接続されて、逆洗時に結晶を含む被処理水が導入される分級分離部導入経路223と、をさらに有している。
そして、本実施形態では、分級分離部導入経路223には、バルブE12が接続されている。また、処理水送水経路225は、本実施形態では、下流側が給水配管110に接続されており、処理水送水経路225には、上流側から順に、バルブE13、逆流防止弁B15、処理水の使用水量を計量する流量センサS12が接続されている。そして、給水配管110の下流側に蛇口111が接続されている。
分級分離部250の上部には 分級分離部250によって遠心分離された小サイズの結晶を含む被処理水をバッファタンク260に返送する返送経路229が接続されている。また、分級分離部250の下部には、分級分離部250によって遠心分離された大サイズの結晶を含む被処理水が導入される排出路227が接続されている。
このように、本実施形態では、送水経路220は、返送経路229と、排出路227とをさらに有している。また、本実施形態では、返送経路224には、逆流防止弁B13が接続されている
一方、本実施形態では、送水経路220が、晶析部230、分離部240及び分級分離部250を経由せずに被処理水を流出させるバイパス経路232を備えている。バイパス経路232は、上流側が晶析部導入経路221の途中に接続されており、下流側が処理水送水経路225の途中に接続されている。具体的には、バイパス経路232の上流側は、上水配管101よりも下流側、かつ、バルブE11よりも上流側で晶析部導入経路221に接続されている。一方、バイパス経路232の下流側は、逆流防止弁B15よりも下流側で処理水送水経路225に接続されている。
そして、バイパス経路232には、上流側から順に、バルブE15、逆流防止弁B19が接続されている。このようなバイパス経路232を設けることで、軟水化システム210が正常に作動しない場合であっても、被処理水を蛇口111から取り出せるようにしている。
本実施形態の軟水化装置201においては、次の3つのモードで稼働することができる。1つめは、バッファタンク260と、晶析部230と、分離部240との間において被処理水を循環させ、軟水を生成してバッファタンク260内に貯水するモードAである。2つ目は、生成した軟水を蛇口111から給水して使用するモードBである。3つ目は、分離部240内の濾材に付着した結晶を逆洗により除去するモードCである。以下に、各モードにおいてバルブの開閉状態及びそれに伴う被処理水の流れについて説明する。
[モードA]
図15は、軟水化装置201におけるモードAを実行する状態を示している。図15に示す状態においては、バルブE11及びE14は開放され、バルブE12及びE13が閉止された状態である。この状態では、バッファタンク260と、晶析部230と、分離部240との間で被処理水を循環させる循環経路をなしている。そして、ポンプP11を稼働し、バッファタンク260と、晶析部230と、分離部240との間において被処理水を循環させ、晶析部230と、分離部240とを経て生成した軟水をバッファタンク260内に貯水することができる。すなわち、モードAは、バッファタンク260と、晶析部230と、分離部240とにおいて被処理水を循環させて軟水化を実行する循環動作モードをなす。
このように、本実施形態では、金属イオンの晶析を行う際には、バッファタンク260に被処理水をある程度貯めた状態で、バッファタンク260に貯められた被処理水を、循環経路内で周回させるようにしている。こうすることで、被処理水内の金属イオンを晶析させるための時間を稼いで、所望の硬度の軟水が生成されるようにしている。このように、金属イオンを晶析させる過程で、被処理水を循環経路内で周回させるようにすれば、ワンパスで金属イオンを晶析させる場合と比較して、より確実に所望の硬度の軟水とすることができるようになる。
さらに、モードA(循環動作モード)において、被処理水の循環流量、及び分離部240前後の圧力差の少なくとも一方を測定することが好ましい。そして、被処理水の循環流量が予め定めた量から一定範囲以上の低下が測定されたとき、又は分離部前後の圧力差が予め定めた量から一定範囲以上の増加が測定されたときに、大サイズの結晶を含む被処理水を系外に排出する動作を行うことが好ましい。すなわち、分離部240の濾材に付着した結晶が被処理水の流れを阻害するから、被処理水の循環流量が低下した場合、及び分離部240前後の圧力差が増加した場合、分離部240の濾材に結晶が一定量捕捉されたと考えられる。そこで、分離部240の逆洗、すなわちモードCを行い、分離部240の濾材に付着した結晶を除去することが好ましい。なお、被処理水の循環流量は、循環経路内の任意の位置に流量計の配備し、当該流量計により測定することができる。また、分離部240前後の圧力差は、分離部導入経路222及び分級分離部導入経路223のそれぞれに圧力計を配備し、当該圧力計により測定することができる。
あるいは、使用水量を計量する使用水量計量部を配備、一定の使用水量ごとに排出動作を行ってもよい。図15~図17においては、使用水量計量部として、処理水送水経路225の最も下流側に流量センサS12を備え、流量センサS12により使用水量が計量される。従って、流量センサS12で計量される水量に基づいて排出動作を行うことができる。
[モードB]
図16は、軟水化装置201におけるモードBを実行する状態を示している。図16に示す状態においては、バルブE11及びE13が開放され、バルブE12及びE14が閉止された状態である。モードBにおいては、バッファタンク260内に貯水された水(被処理水若しくは処理水、又はそれらの混合水)は、ポンプP11の稼働により晶析部230及び分離部240を通過し、さらに処理水送水経路225を通って蛇口111に導かれる。そして、蛇口111を開放することで軟水が使用に供される。すなわち、被処理水を軟水化する際には、モードA及びBにおいて、晶析部230と分離部240とに被処理水を少なくとも1回通過させる。
[モードC]
図17は、軟水化装置201におけるモードCを実行する状態を示している。図17に示す状態においては、バルブE11及びE12は開放され、バルブE13及びE14は閉止された状態である。この状態では、送水経路220内の空間の一部と、バッファタンク260と、分離部240と、分級分離部250とで構成される空間が略密閉された空間となる。この状態で、ポンプ(昇圧手段)P2を稼働させて、略密閉された空間内に水(被処理水)を供給する。すると、まず分離部240内の濾材に付着した結晶が供給された水により離脱する。次いで、離脱した結晶を含む水は分級分離部250に導かれ高速旋回流による遠心力により小サイズの結晶を含む水と大サイズの結晶を含む水とに分級分離される。そして、大サイズの結晶を含む水は排出路227から排出される。一方、小サイズの結晶を含む水は返送経路229を介してバッファタンク260に返送され、小サイズの結晶は種結晶として晶析のために利用される。このように、逆洗時において使用する水の一部は排出されるものの、それ以外はバッファタンク260に返送されるため、捨て水を低減することができる。その上、バッファタンク260に返送される、小サイズの結晶を含む水は、晶析部230に再度導入されたとき、被処理水中の小サイズの結晶は種結晶として晶析の促進に寄与する。
一方、本実施形態の軟水化装置において、第1実施形態と同様に、大サイズ結晶を含む被処理水が排出路227から系外に多量に排出される場合、系外の配管等の閉塞が懸念される。そこで、大サイズの結晶を含む被処理水を系外に排出する排出動作を繰り返し行うに当たり、一定の排出動作回数毎に、分級分離部に供給される被処理水に占める系外に排出する被処理水量の割合を増加させることが好ましい。具体的には、分離部240で分離した結晶を系外に排出する排出動作を繰り返す際に、例えば5回の排出動作毎に1回など、一定の排出動作回数毎に、分級分離部250に供給される処理水に占める系外に排出する水量の割合を増加させる。これは、バッファタンク260に返送される返送経路229にバルブなどを設けて返送流量を減らしたり、分級分離部250に送る流量・圧力を低減し、高速旋回流による分離機能を低下させ排出側により多くの水を送ったりすることなどで実現することができる。
(第3実施形態)
次に、図18~図20を参照して、第3実施形態の軟水化装置201について説明する。第3実施形態は、メインタンク及びポンプ並びにそれらの周辺部材を有する点のみにおいて第2実施形態と異なり、それ以外の構成は第2実施形態と同様である。従って、図18~図20において第2実施形態のおける構成要素と実質的に同じ構成要素には同じ符号を付し、説明を省略するが、以下において説明を省略している構成要素の説明は、第1及び第2実施形態での説明がそのまま当てはまる。
第3実施形態では、軟水化システム210が、送水経路220に流入させる被処理水を貯水するメインタンク270を備えている。そして、晶析部導入経路221の上流側がメインタンク270に接続されている。メインタンク270は、上水配管101等の被処理水供給源100から取り出された水を、被処理水として貯留させるためのタンクである。そして、このような軟水化装置201を用いることで、送水経路220を上水配管101に直結させることが難しい場合であっても、上水配管101から取水される水を軟水化させて、建物内の給水配管110に供給させることができるようになる。
本実施形態では、晶析部導入経路221のバルブE11よりも上流側に、ポンプP13及び圧力センサS11が接続されている。本実施形態では、圧力センサS11は、配線H11を介してポンプP13の図示せぬ制御部に電気的に接続されており、圧力センサS11で計測された晶析部導入経路221内の水圧によって、ポンプP13の駆動が制御されるようにしている。
一方、本実施形態においても、第2実施形態と同様に、送水経路220が、晶析部230、分離部240及び分級分離部250を経由せずに被処理水を流出させるバイパス経路232を備えている。バイパス経路232は、上流側が晶析部導入経路221の途中に接続されており、下流側が処理水送水経路225の途中に接続されている。具体的には、バイパス経路232の上流側は、圧力センサS11よりも下流側、かつ、バルブE11よりも上流側で晶析部導入経路221に接続されている。一方、バイパス経路232の下流側は、逆流防止弁B15よりも下流側、かつ、流量センサS12よりも上流側で処理水送水経路225に接続されている。
そして、バイパス経路232には、上流側から順に、バルブE15、逆流防止弁B19が接続されている。このようなバイパス経路232を設けることで、軟水化システム210が正常に作動しない場合であっても、被処理水を蛇口111から取り出せるようにしている。
第3実施形態においては、メインタンク270及びその周辺について説明したが、それ以外の構成は第2実施形態と同様である。すなわち、第3実施形態においても、モードA~Cの3つのモードで稼働することができる。また、本実施形態においては、ポンプP3を稼働させることで、ポンプP3の下流側の送水経路220の少なくとも一部を略密閉・圧力印加系として使用される。このように、送水経路220の少なくとも一部が、略密閉・圧力印加系の送水経路となるように構成することで、建物の2階等の高い位置に配置された蛇口111からも軟水を給水することができる。また、軟水化システム210を略密閉・圧力印加系とすることで、外部からの異物混入トラブルの低減が期待できる。
なお、第3実施形態はメインタンク270を有する点において第2実施形態とは主に異なり、それ以外の構成は第2実施形態と同様である。従って、第2実施形態と同様に、分離部240の濾材に付着した結晶の逆洗時において捨て水を低減することができる。また、バッファタンク260に返送される、小サイズの結晶を含む水は、晶析部230に再度導入されたとき、被処理水中の小サイズの結晶は種結晶として晶析の促進に寄与する。
特願2019-118783号(出願日:2019年6月26日)、特願2019-140592号(出願日:2019年7月31日)、特願2019-226563号(出願日:2019年12月16日)の全内容は、ここに援用される。