JP7288479B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池は、既存の電池に比べて軽量かつエネルギー密度が高いことから、車両搭載用の高出力電源、あるいは、パソコンおよび携帯端末の電源として好ましく利用されている。この種の二次電池に備えられる正極および負極(以下、正負極を特に区別しない場合は単に「電極」という。)の典型的な構造として、箔状の電極集電体の片面もしくは両面に電極活物質を主成分とする電極活物質層が形成されているものが挙げられる。かかる電極活物質層は、電極活物質、結着材(バインダ)、導電材等の固形分を所定の溶媒中に分散して調製したスラリー(ペースト)状の電極材料を集電体の表面に塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥させた後、プレス圧をかけて所定の密度、厚さとすることにより形成される。
二次電池の高性能化の一つの方針として、かかる電極活物質層の密度を向上させることにより、高エネルギー密度化させることが行われている。電極活物質層の密度を向上させた場合には、例えば二次電池の充放電をする際に発生し得るガスが電極活物質層内で滞留して、外部に排出され難くなる傾向にある。このようにガスが該活物質層内に滞留することにより、二次電池の性能低下の要因となることがあった。例えば、特許文献1では、電極活物質層の表面および/または内部にガス流路を設けてガスの滞留を抑制する電極が開示されている。
特開2018-98211号公報
ところで、二次電池のさらなる高エネルギー密度化のために、比較的小さい平均粒径(例えば10μm以下)の電極活物質を用いて電極活物質層の密度をさらに向上させることや、該活物質層の膜厚を厚くすることが行われている。このように比較的小さい電極活物質を用いて、電極活物質層の膜厚を厚くした際には、高エネルギー密度を実現することができる一方で、上述したガスが滞留しやすい傾向にある。本発明者の検討によれば、ガスの発生が顕著である初期の充放電において、ガスが滞留することに起因する充放電カーブの挙動異常や充放電効率の低下が発生することを見出した。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、初期の充放電においても充放電効率に優れる非水電解質二次電池を提供することにある。
上記目的を実現するべく、ここに開示される非水電解質二次電池が提供される。ここに開示される非水電解質二次電池は、正極および負極を有する電極体と、非水電解質と、を備える非水電解質二次電池であって、前記正極は、正極集電体と該集電体上に形成された正極活物質層とを備えており、前記正極活物質層は、平均膜厚が100μm以上であり、前記正極活物質層は、平均粒径が10μm以下の正極活物質と、導電材としてカーボンナノチューブおよび他の導電性炭素材と、を含んでいる。前記カーボンナノチューブの平均長さが1μm以上2μm以下であり、平均直径が10nm以下である。ここで、前記正極活物質層の断面電子顕微鏡画像において、前記導電材が分散していることを特徴とする。
かかる構成によれば、比較的平均粒径が小さい正極活物質を含む正極活物質層を平均膜厚100μm以上で形成しても、導電材が分散し、導電性を有するネットワークを形成することにより、充放電をする際に発生し得るガスを正極活物質層の外に好適に排出することができる。これにより、ガスの発生が比較的顕著である初期の充放電においても充放電効率に優れる二次電池を実現することができる。
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、前記正極活物質層の50μm四方の断面電子顕微鏡画像において、該断面電子顕微鏡画像を均等にn等分したときのそれぞれの領域において前記導電材が占める面積をS1、S2・・・Sn(%)としたときに(ここで、nは6~8の自然数である)、それぞれの領域において前記導電材が占める面積S1、S2・・・Sn(%)のばらつきが15%以内である。また別の好ましい一態様では、前記導電材が占める面積S1、S2・・・Sn(%)の平均値が6~9%である。
かかる構成によれば、導電材が分散し、上記導電性を有するネットワークが好適に形成された状態である。これにより、初期の充放電においても充放電効率がより優れる非水電解質二次電池を提供することができる。
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、前記他の導電性炭素材が、カーボンブラックである。
導電性に非常に優れるカーボンブラックを導電材として採用することで、放電容量を向上させ、充放電効率を高めることができる。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を模式的に示す説明図である。 例1に係る初期充放電カーブを示す図である。 例2に係る初期充放電カーブを示す図である。 例3に係る初期充放電カーブを示す図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、ここに開示される技術の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって実施に必要な事柄(例えば、非水電解質二次電池の一般的な構成や構築プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここに開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、寸法関係(長さ、幅、高さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
なお、本明細書において範囲を示す「A~B(ただし、A、Bは任意の値。)」の表記は、A以上B以下を意味するものとする。
本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電が可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池(化学電池)と、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)と、を包含する概念である。「非水電解質二次電池」とは、電荷担体として非水電解質を用い、正負極間の電荷担体の移動に伴って繰り返しの充放電が可能な電池一般をいう。「電極活物質(すなわち正極活物質または負極活物質)」は、電荷担体となる化学種(リチウムイオン二次電池においてはリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出可能な化合物をいう。
ここに開示される非水電解質二次電池は、正極および負極を有する電極体と、非水電解質とを備えている、特に限定することを意図したものではないが、以下では、一実施形態として、扁平形状の捲回電極体と非水電解質とを備えるリチウムイオン二次電池を例として、ここに開示される技術を詳細に説明する。
図1に示すリチウムイオン二次電池100は、密閉可能な箱型電池ケース30に、扁平形状の捲回電極体20と、非水電解質(図示せず)とが、収容されて構築される。電池ケース30には、外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁32とが設けられている。また、電池ケース30には、非水電解質を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。正極端子42と正極集電板42aは、電気的に接続されている。負極端子44と負極集電板44aは、電気的に接続されている。電池ケース30の材質は、高強度であり軽量で熱伝導性が良い金属製材料が好ましく、このような金属材料として、例えば、アルミニウムやスチール等が挙げられる。
捲回電極体20は、典型的には長尺シート状の正極(以下、正極シート50という。)と、長尺シート状の負極(以下、負極シート60という。)とが長尺シート状のセパレータ70を介して重ね合わせられ長手方向に捲回された形態を有する。正極シート50は、長尺シート状の正極集電体52の片面もしくは両面に長手方向に沿って正極活物質層54が形成された構成を有する。負極シート60は、長尺シート状の負極集電体62の片面もしくは両面に長手方向に沿って負極活物質層64が形成された構成を有する。
捲回電極体20の捲回軸方向の両端から外方にはみ出すように形成された正極集電体露出部56(すなわち、正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した部分)と、負極集電体露出部66(すなわち、負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した部分)には、それぞれ正極集電板42aおよび負極集電板44aが接合されている。
正極シート50は、正極集電体52上に正極活物質層54を備えている。正極集電体52としては、例えば、良好な導電性を有するアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等の金属材が挙げられる。なかでも、特にアルミニウム(例えばアルミニウム箔)が好ましい。正極集電体52の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば5μm以上35μm以下であり、好ましくは7μm以上20μm以下である。
正極活物質層54に含まれる正極活物質は、典型的には平均粒径が10μm以下である。例えば、平均粒径は0.5μm以上10μm以下であってよく、1μm以上9μm以下であってよい。正極活物質の平均粒径を上記の範囲内とすることで、導電材との接触面積を好適に確保し得るため電子伝導性を高めることができ、正極活物質層54内において良好な導電パスが形成される。
なお、本明細書において、「平均粒径」とは、一般的なレーザ回折・光散乱法に基づく体積基準の粒度分布において、粒径が小さい微粒子側からの累積頻度50体積%に相当する粒径(D50、メジアン径ともいう。)をいう。
正極活物質は、平均粒径が10μm以下である限りに特に限定されるものではなく、従来からこの種の二次電池の正極に用いられてきた正極活物質を用いることができる。具体的には、リチウムニッケル系複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物や、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムリン酸化合物等が挙げられる。なかでも、ここに開示される技術においては、正極活物質として、リチウムリン酸化合物を用いることが好ましい。
リチウムリン酸化合物は、一般式:Li1+yMPOで表される組成を有し、構成元素としてリチウム元素と、少なくとも一種の遷移金属元素とを含み、かつオリビン型結晶構造のリン酸塩である。上記一般式において、yは0.05≦y≦0.3を満たす値であり、Mは、Fe、Mn、Co、Ni、Mg、Zn、Cr、TiおよびVからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり得る。このようなリチウムリン酸化合物は、従来から非水電解質二次電池に用いられる一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。具体例としては、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸ニッケルリチウム(LiNiPO)等が挙げられる。なかでも、リン酸鉄リチウム(LiFePO)を含むことが好ましい。リン酸鉄リチウムは、リン酸が安定した構造を形成するために高温になっても酸素が放出され難く、熱安定性に優れる。また、他の化合物と比べて資源が豊富な鉄を用いているため、比較的安価である。かかるリン酸鉄リチウムはさらにカーボン膜でコートされていてもよい。
正極活物質層54に含まれる導電材としては、典型的にはカーボンナノチューブと他の導電性炭素材とを含む。本発明者が鋭意検討とした結果によれば、カーボンナノチューブと他の導電性炭素材とを含むことによって、平均粒径が比較的小さい正極活物質(例えば平均粒径10μm以下)を含む正極活物質層を100μm以上の平均膜厚で形成しても、充放電効率に優れる二次電池を実現することができる。この理由については特に限定されるものではないが、以下のように推察される。
導電材は、この種の二次電池において従来から使用され得るが、電極活物質層内において均一に分散しないことにより、反応ムラの発生の原因となり得る。例えば、一般的な導電材として使用され得るカーボンブラックは、平均粒径が小さいほど純度が高くより優れた導電性を発揮する一方で、凝集力が大きくなり均一な分散が難しくなる傾向にある。また、平均粒径が比較的小さい正極活物質(例えば10μm以下)を用いた際には、電極活物質層をプレスすることにより固体粒子同士(典型的には活物質同士)の密度を好適に上昇させることができる。その一方で該活物質同士の隙間(空隙)が非常に小さくなるため、充放電をする際に発生し得るガスが電極活物質層の内部で滞留して排出され難くなる。ガスが電極活物質層の内部に滞留することにより、電極活物質と非水電解質との接触面積が減少し、Liイオンの脱挿入が阻害され得る。したがって、放電容量が低下し、充放電効率が低下すると推察される。特にガスの発生が顕著な初期の充放電においては、充放電効率の低下が発生しやすい。
これに対して、ここに開示される技術においては、導電材としてカーボンナノチューブと他の導電性炭素材とを含むことによって、導電性と分散性とを両立し、正極活物質層内において導電性と空隙を有するネットワークが形成されることを見出した。これにより、特にガス発生が顕著である初期の充放電においても、電極活物質層内にガスが滞留することを抑制し、充放電効率に優れる非水電解質二次電池を実現することができる。
カーボンナノチューブ(以下、CNTともいう。)は、導電性を有しており、かつタップ密度が高く凝集しても高い空隙率(例えば30~70%程度)を維持することができる。したがって、電極活物質層内において、好適な導電性を有するネットワークが形成されやすく、ガスが発生した際にはかかるネットワークを通して該活物質層の外部へガスを排出することができる。これにより、放電容量と充放電効率を向上させることができる。
CNTとしては、一枚の円筒形のグラフェンシートからなる単層カーボンナノチューブ(SWNT)であってもよいし、異なる二つのSWNTが入れ子状になった2層のカーボンナノチューブ(DWNT)であってもよいし、異なる三つ以上のSWNTが入れ子状になった多層カーボンナノチューブ(MWNT)であってもよい。凝集した際の空隙率の確保の観点からは、多層カーボンナノチューブ(MWNT)であることが好ましい。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザアブレーション法、化学気相成長法等により製造されたものであってよい。
CNTの平均長さは、適度な分散と凝集とを達成する観点から、典型的には1μm以上2μm以下である。かかる範囲の平均長さを有することにより、電極活物質間に好適な導電性を有するネットワークを形成し得る。また、CNTの平均直径は、典型的には10nm以下である。例えば1nm以上10nm以下であってよく、2nm以上9nm以下であってよい。
なお、CNTの平均長さおよび平均直径は、例えば電子顕微鏡観察に基づく測定で得られた値を採用することができる。
CNTの純度は、特に限定されるものではないが、純度が高いほうが好適な導電性を有するため、典型的には85%以上であることが好ましい。好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。CNTの純度の上限は特に限定されないが、製造の容易性から典型的には99%以下であってよく、98%以下であってよい。
なお、本明細書において「CNTの純度」は、熱重量分析(TGA)によって求めることができる。
他の導電性炭素材としては、従来からこの種の二次電池において導電材として用いられてきた導電性炭素材を特に制限なく使用することができる。具体的には、カーボンブラック、コークス、活性炭、黒鉛(天然黒鉛およびその改質体、人造黒鉛)、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、フラーレン、グラフェン等が挙げられる。なかでも、導電性が非常に優れるカーボンブラックを好ましく採用することができる。
カーボンブラックの性状は特に限定されるものではないが、平均粒径が小さいものほど比表面積が広く、上記正極活物質との接触面積をより広く確保することができ、導電性を向上させるのに有利である。一方で、平均粒径が小さすぎる場合には嵩高くなる傾向にあるため、エネルギー密度を低下させる虞がある。かかる観点から、カーボンブラックの平均粒径は典型的には1~200nm(例えば10~100nm)の範囲であるとよい。かかるカーボンブラックの具体例としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック等が挙げられる。なかでも、非常に導電性に優れ、二次電池の高出力化に寄与するため、アセチレンブラックが好ましい。
導電性と分散性とを両立する観点から、カーボンナノチューブと他の導電性炭素材との質量比は適宜調整され得る。特に限定されるものではないが、カーボンナノチューブ(CNT)と他の導電性炭素材との質量比は、CNT:他の導電性炭素材=90:10~50:50であることが好ましい。かかる混合比で含むことにより、上述した効果がより一層発揮され得る。
ここに開示される技術においては、電子顕微鏡(走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡のいずれも使用可能である。)により取得される該活物質層の断面画像において、上記導電材が分散していることが求められる。分散している状態とは、例えば、導電材や結着材等がある一部に偏在することなく存在すること、すなわち電極内の任意の範囲において活物質に対して平均的な体積比率で存在しており、かつ導電助剤が電極の厚み方向や面方向に対して連続的につながっている状態をいう。これにより、電極活物質層内に発生したガスを好適に排出しつつ、導電性を確保し得るネットワークを形成することができ、優れた充放電効率を有する二次電池を実現することができる。
好適な一態様では、正極活物質層の50μm四方の断面電子顕微鏡画像をn等分し(このときnは6~8の自然数)、各領域において導電材の占める面積の割合(S1~Sn)を算出したときに、該面積率S1~Snのばらつきが15%以内であることが好ましい。より好ましくは14%以内であり、特に好ましくは12%以内である。本発明者が鋭意検討した結果によれば、各領域において導電材が占める面積率(S1~Sn)のばらつきが上記範囲内である場合には、導電材が適度に分散し、導電性を有するネットワークが好適に形成されていることを見出した。
また、正極活物質層54において上記導電材が占める面積率(S1~Sn)の平均値は、6~9%であることが好ましい。かかる範囲内であれば、正極活物質層54における正極活物質と導電材とのバランスが好適に調整されており、二次電池の出力特性を向上させ得る。
正極活物質層内における導電材が占める面積率(S1~Sn)のばらつきと面積率の平均値は、例えば以下のようにして求めることができる。電子顕微鏡を用いて50μm四方の正極活物質層の断面画像を複数(例えば5枚以上)取得する。得られた複数の断面画像において、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて炭素元素をマッピングし、導電材が存在する領域(典型的には、炭素元素の濃度が12%以上の領域)を特定する。これにより、導電材が存在する領域と他の固形成分(典型的には正極活物質)が存在する領域とを区別することができる。かかる断面画像をn等分(nは6~8の自然数)して、各領域において導電材が占める面積率(S1~Sn)と該面積率のばらつきを算出することができる。面積率のばらつきと面積率を、上記複数の断面画像において同様に算出してその平均値を求めることで、ここでの正極活物質層における導電材が占める面積率のばらつきと面積率の平均値を、求めることができる。
また、他の好適な一態様においては、上記取得した正極活物質層の断面画像において、任意の直線を複数本設定して、それぞれの直線上において導電材の存在する領域の長さd1(μm)と他の固形成分の存在する領域の長さd2(μm)とを測定したときに、d2に対するd1の比(d1/d2)が0.1以上0.3以下である。また、特に限定されるものではないが、d1は0.5~3μm程度であるよい。かかる構成によれば、電極活物質層内に発生したガスを好適に排出し、電極活物質と非水電解質との接触が阻害されることを抑制する。これにより、放電容量と充放電効率を向上させることができる。
導電材の存在する領域の長さd1(μm)と他の固形成分の存在する領域の長さd2(μm)は、例えば以下のようにして求めることができる。上述のように正極活物質層の断面画像を複数(例えば5枚以上)取得する。該複数の断面画像において上述したように電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)で解析し、導電材が存在する領域と他の固形成分が存在する領域とを区別する。該断面画像上に任意の複数の直線(例えば対角線)を設定して、複数の直線上に存在するd1およびd2のそれぞれの平均値を算出する。d1およびd2の値を上記複数の断面画像において同様に算出してその平均値を求めることで、ここでのd1およびd2の値と、d2に対するd1の比(d1/d2)とを求めることができる。
正極活物質層54は、上記正極活物質および導電材以外の任意の成分を必要に応じて含み得る。かかる任意の成分としては、バインダ等が挙げられる。バインダとしては使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
正極活物質層54中の正極活物質の含有量(すなわち、正極活物質層の全質量に対する正極活物質の割合)は、エネルギー密度の観点から、概ね60質量%以上であることが好ましい。例えば75質量%~90質量%であることがより好ましく、80質量%~90質量%であることがさらに好ましい。また、正極活物質層54中の導電材の含有量は、例えば、1質量%~10質量%であることが好ましく、1質量%~8質量%であることがより好ましい。正極活物質層54中のバインダの含有量は、例えば、0.5質量%~5質量%であることが好ましく、1質量%~3質量%であることがより好ましい。また、増粘剤等の各種添加剤を含ませる場合、正極活物質層54中の添加物の含有量は、例えば、7質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
正極活物質層54の平均厚み(正極集電体52の片面当たりの厚み)は、高容量化を実現する観点から、100μm以上であることが求められる。正極活物質層54の平均厚みは、100μm以上200μm以下であってよく、110μm以上190μm以下であってよい。正極集電体52の単位面積当たりに設けられる正極活物質層54の質量(目付量)は、高エネルギー密度を実現する観点から、正極集電体52の片面当たり20mg/cm以上(例えば25mg/cm以上、典型的には27mg/cm以上)とするとよく、典型的には60mg/cm以下(例えば55mg/cm以下)にするとよい。また、正極活物質層54の密度は、ガスの排出とエネルギー密度とを実現する観点から2.0g/cm以上3.0g/cm以下であることが好ましく、2.1g/cm以上2.5g/cm以下であることより好ましい。
負極シート60は、負極集電体62上に負極活物質層64を備えている。負極集電体62としては、例えば、良好な導電性を有する銅や銅を主体とする合金、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等の金属材から構成される。なかでも、特に銅(例えば銅箔)を好ましく採用し得る。負極集電体62の厚みは、例えば、概ね5μm~20μmであってよく、好ましくは8μm~15μmであってよい。
負極活物質層64は、少なくとも負極活物質を含んでいる。負極活物質としては、この種の二次電池の負極活物質として知られている材料を1種または2種以上を採用することができる。好適例として、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料が挙げられる。負極活物質は、典型的には粒子状である。粒子状負極活物質の平均粒径は、特に限定されないが、50μm以下が適当であり、典型的には20μm以下、例えば1μm~20μmである。
負極活物質層64には、上記負極活物質に加えて一般的な非水電解質二次電池において負極活物質層の構成成分として使用され得る材料を必要に応じて含ませることができる。そのような材料の例として、バインダや各種添加剤が挙げられる。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。その他、増粘剤、分散材、導電材等各種添加剤を適宜使用することができ、例えば増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)等を好適に用いることができる。
負極活物質層64中の負極活物質の含有量は、エネルギー密度の観点から、概ね60質量%以上であることが好ましい。例えば90質量%~99質量%であることがより好ましく、95質量%~99質量%であることがさらに好ましい。また、バインダを使用する場合には、負極活物質層64中のバインダの含有量は、例えば、1質量%~10質量%であることが好ましく、1質量%~5質量%であることがより好ましい。増粘剤を使用する場合には、負極活物質層64中の増粘剤の含有量は、例えば1質量%~10質量%であることが好ましく、1質量%~5質量%であることがより好ましい。
負極活物質層64の平均厚みは、高容量化を実現する観点から、100μm以上200μm以下であってよく、110μm以上190μm以下であってよい。負極集電体62の単位面積当たりに設けられる負極活物質層64の質量(目付量)は、高エネルギー密度を実現する観点から、負極集電体62の片面当たり5mg/cm以上(例えば7mg/cm以上、典型的には10mg/cm以上)とするとよく、典型的には20mg/cm以下(例えば15mg/cm以下)にするとよい。また、負極活物質層64の密度は、1.0g/cm以上2.0g/cm以下であってよく、1.1g/cm以上1.8g/cm以下であってよい。
上記正極と負極とは、電荷担体の受入特性の違い等から、容量比を調製することができる。具体的には、正極容量C(Ah)と負極容量C(Ah)との比(C/C)を、1.0~2.0とすることが適切であり、1.5~1.9とすることが好ましく、1.2~1.3とすることがより好ましい。なお、正極容量C(Ah)は、正極活物質の単位質量当たりの理論容量(Ah/g)と該正極活物質の質量(g)との積として規定される。また、負極容量C(Ah)も同様に、負極活物質の単位質量当たりの理論容量(Ah/g)と該負極活物質の質量(g)との積として規定される。
セパレータ70としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂からなる多孔性シート(フィルム)が挙げられる。かかる多孔質シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。セパレータ70は、耐熱層(HRL)を設けられていてもよい。
非水電解質としては、典型的には非水溶媒中に支持塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等。リチウムイオン二次電池ではリチウム塩。)を溶解または分散させた液状のもの(非水電解液)が用いられる。あるいは、非水電解液にポリマーが添加され、固体状(典型的には、いわゆるゲル状)となったものでもよい。
支持塩としては、従来のこの種の二次電池に用いられる支持塩を特に制限することなく用いることができる。例えば、LiPF,LiBF,LiAsF,LiCFSO,LiCSO,LiN(CFSO,LiC(CFSO等のリチウム塩を用いることができる。なかでも、LiPFを好ましく用いることができる。支持塩の濃度は、例えば0.7mol/L以上1.3mol/L以下にするとよい。
非水溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非水溶媒を、特に制限することなく用いることができる。具体的には、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F-DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)等の非水溶媒を好ましく用いることができる。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、本実施形態に係る非水系二次電池の非水電解液は、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、例えば、ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等のガス発生剤;被膜形成剤;分散剤;増粘剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
ここで開示される非水電解質二次電池は、各種用途に利用可能である。例えば、ここで開示される非水電解質二次電池は、高エネルギー密度化が実現され、かつ、初期の充放電においても充放電効率が優れることを特徴とする。したがって、このような特徴を活かして、例えばプラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)等に好ましく活用され得る。なお、かかる非水電解質二次電池は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態で使用され得る。
以下、ここで開示される非水電解質二次電池に関する実施例を説明するが、ここで開示される技術をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<正極の作製>
(例1)
正極活物質としてのレーザ回折・散乱方式に基づく平均粒径(D50)が6μmであるLiFePO粉末(LFP)と、導電材としての平均長さ2μm、平均直径8nmであるカーボンナノチューブ(CNT)およびアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、を用意した。これらの材料を質量比がLFP:CNT:AB:PVdF=92:2.5:2.5:3となるように秤量し、溶媒としてのN-メチルピロリドン(NMP)と混合して、固形分率が50%となるように正極スラリーを調製した。この正極スラリーを長尺状のアルミニウム箔(正極集電体)の両面にそれぞれ100μm以上となるように塗布し、80℃で15分間乾燥した。乾燥後、正極活物質層の密度がそれぞれ2.2g/cmとなるようにプレスを行った。これにより、正極集電体上に正極活物質層を備えた正極シートを得た。
(例2)
正極活物質としてのレーザ回折・散乱方式に基づく平均粒径(D50)が6μmであるLiFePO粉末(LFP)と、導電材としての平均長さ2μm、平均直径8nmであるカーボンナノチューブ(CNT)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、を用意した。これらの材料を質量比がLFP:CNT:PVdF=91:6:3となるように秤量し、溶媒としてのN-メチルピロリドン(NMP)と混合して、固形分率が50%となるように正極スラリーを調製した。該正極スラリーを用いたこと以外は例1と同様にして、正極シートを得た。
(例3)
正極活物質としてのレーザ回折・散乱方式に基づく平均粒径(D50)が6μmであるLiFePO粉末(LFP)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、を用意した。これらの材料を質量比がLFP:AB:PVdF=89:8:3となるように秤量し、溶媒としてのN-メチルピロリドン(NMP)と混合して、固形分率が50%となるように正極スラリーを調製した。該正極スラリーを用いたこと以外は例1と同様にして、正極シートを得た。
(参考例)
正極活物質としてのレーザ回折・散乱方式に基づく平均粒径(D50)が6μmであるLiFePO粉末(LFP)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、を用意した。これらの材料を質量比がLFP:AB:PVdF=90:7:3となるように秤量し、溶媒としてのN-メチルピロリドン(NMP)と混合して、固形分率が50%となるように正極スラリーを調製した。該正極スラリーを用いて平均膜厚が100μm以下となるように集電体上に塗布したこと以外は例1と同様にして、正極シートを得た。
<正極活物質層の評価>
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、上記作製した例1~3および参考例の正極活物質層の50μm四方の断面画像(300倍)を5枚取得した。得られた複数の観察画像を電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)で解析して、炭素元素をマッピングした。炭素元素の濃度が12%以上の領域を導電材が存在する領域として、該導電材が存在する領域と他の固形成分とが存在する領域とを区別した。
かかる断面画像を6等分して、各領域において導電材が占める面積率(S1~S6)のばらつきを算出した。複数の断面画像における面積率のばらつきの値を求め、該ばらつきの平均値を算出した。S1~S6の値のばらつきが15%以内である場合には、正極活物質と導電材との分散状態が良好であると評価することができる。導電材の分散状態が良好である場合には「○」、偏在している場合には「×」として、結果を表1に示す。
また、各例についてそれぞれ導電材が占める面積率の平均値を算出した。結果を表1に示す。
上記取得し、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)で解析した複数の断面画像において、導電材が存在する領域の長さ(d1)と他の固形成分が存在する領域の長さ(d2)とを測定した。該断面画像上に対角線を設定して、導電材の長さd1(μm)と他の固形成分の長さd2(μm)とを測定した。対角線上に存在するd1およびd2のそれぞれの平均値を算出し、d2に対するd1の比(d1/d2)を求めた。複数の断面画像におけるd1およびd2の値を求め、d2に対するd1の比(d1/d2)の平均値を算出した。結果を表1に示す。
<リチウムイオン二次電池の作製>
負極活物質としての黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)と、を用意した。これらの材料を質量比がC:SBR:CNC:=98:1:1となるように秤量し、溶媒としての蒸留水と混合して、固形分率が52%となるように負極スラリーを調製した。この負極スラリーを長尺状の銅箔(正極集電体)の両面に塗布した。負極集電体上の負極スラリーを80℃で15分間乾燥した。乾燥後、負極活物質層の密度が1.3g/cmとなるようにプレスを行った。これにより、負極集電体上に負極活物質層を備えた負極シートを得た。
セパレータシートとしては、PE/PP/PEの三層構造を有する多孔性ポリオレフィンシートを用意した。
作製した正極シート(例1~3および参考例)と負極シートを、用意したセパレータシートを介して積層して、電極体を作製した。次に、電極体に正極端子および負極端子を接続し、非水電解液と共にラミネートケースに収容した。なお、非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを30:40:30の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。これにより、例1~3および参考例のリチウムイオン二次電池を得た。
<リチウムイオン二次電池の評価>
各例のリチウムイオン二次電池を25℃の環境下に置いた。0.33Cのレートで4.0Vまで定電流(CC)充電した後に10分間休止し、0.33Cのレートで2.5Vまで定電流(CC)放電した後に10分間休止した。このときの最初の充電開始から終了までの充電容量と、放電開始から終了までの放電容量とを求めた。かかる充電容量および放電容量を正極活物質層の重量(g)で割った値を正極の充電および放電比容量(mAh/g)とした。また、充電比容量に対する放電比容量の比を充放電効率(%)として算出した。結果を表1に示す。
なお、「1C」とは、活物質の理論容量により予測した電池容量(Ah)を1時間で充電できる電流値(電流密度)を意味する。したがって、例えば、1/3Cとは、当該電池容量を3時間で充電できる電流値を意味し、20Cとは当該電池容量を20分の1時間で充電できる電流値を意味する。
また、各例のリチウムイオン二次電池について、初回の充放電カーブ(電池電圧の推移)を取得し、電圧の挙動異常の有無を評価した。結果を表1および図2~4に示す。
Figure 0007288479000001
表1および図2に示すように、正極活物質と導電材が良好に分散している例1では、平均膜厚が100μm以上であっても、初回充電時の電圧の挙動異常は確認されなかった。また、充放電効率も90%以上となることがわかる。
一方、例2および例3については、それぞれ図3、図4に示すような電圧の挙動異常が見られた。また、充放電効率も90%以下であった。
したがって、平均粒径が10μm以下の正極活物質を含む正極活物質層を平均膜厚が100μm以上で形成しても、平均長さが1μm以上2μm以下であり、平均直径が10nm以下であるカーボンナノチューブと、他の導電性炭素材とを含み、該導電材が正極活物質層内において分散していることによって、初期の充放電においても充放電効率に優れる非水電解質二次電池を実現することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定
するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、
変更したものが含まれる。
20 捲回電極体
30 電池ケース
32 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極シート
52 正極集電体
54 正極活物質層
56 正極集電体露出部
60 負極シート
62 負極集電体
64 負極活物質層
66 負極集電体露出部
70 セパレータ
100 リチウムイオン二次電池

Claims (2)

  1. 正極および負極を有する電極体と、非水電解質と、を備える非水電解質二次電池であって、
    前記正極は、正極集電体と該集電体上に形成された正極活物質層とを備えており、
    前記正極活物質層は、平均膜厚が110μm以上であり、
    前記正極活物質層は、平均粒径が10μm以下の正極活物質と、導電材としてカーボンナノチューブおよび他の導電性炭素材としてのカーボンブラックと、を含み、
    前記カーボンナノチューブと前記カーボンブラックとの質量比は、90:10~50:50であり、
    前記カーボンナノチューブの平均長さが1μm以上2μm以下であり、
    前記カーボンナノチューブの平均直径が10nm以下であり、
    ここで、前記正極活物質層の50μm四方の断面電子顕微鏡画像において、該断面電子顕微鏡画像を均等にn等分したときのそれぞれの領域において前記導電材が占める面積をS1、S2・・・Sn(%)としたときに(ここで、nは6~8の自然数である)、
    それぞれの領域において前記導電材が占める面積S1、S2・・・Sn(%)のばらつきが15%以内である、非水電解質二次電池。
  2. 前記導電材が占める面積S1、S2・・・Sn(%)の平均値が6~9%である、請求項に記載の非水電解質二次電池。
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