JP7288197B2 - 溶接構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、コンテナ船等において利用される溶接構造体に関する。
大量の貨物を搭載する大型のコンテナ船においては、アッパーデッキ(上甲板)に、貨物の積み下ろしを行うための大きな開口部(ハッチ)が形成されている。また、アッパーデッキ上には、海水の流入防止等のために、ハッチを囲むようにハッチサイドコーミングが設けられている。アッパーデッキおよびハッチサイドコーミングはそれぞれ、複数の鋼板を溶接して構成されている。また、ハッチサイドコーミングは、アッパーデッキ上に溶接されている。
上記のような大型のコンテナ船が海上を航行する際には、波浪によって、船体全体を曲げるような荷重(縦曲げ荷重)が船体に付加される。このような荷重に対して、船体の強度(縦曲げ強度)を十分に確保するために、アッパーデッキおよびハッチサイドコーミングには、高強度の厚肉鋼板が利用されている。
また、上述のように、ハッチサイドコーミングおよびアッパーデッキはそれぞれ、複数の鋼板を溶接した構成を有している。言い換えると、ハッチサイドコーミングおよびアッパーデッキには、鋼板同士を溶接するための複数の溶接部が形成されている。溶接部で発生した亀裂は、溶接部に沿って伝播しやすい。このため、例えば、ハッチサイドコーミングの溶接部において亀裂が発生した場合、その亀裂が溶接部に沿ってアッパーデッキ側に向かって伝播する場合がある。したがって、船体の強度を十分に向上させるためには、ハッチサイドコーミングおよびアッパーデッキが、上記のような亀裂の進展を停止させることができる特性(脆性亀裂伝播停止特性)を有する必要がある。
例えば、特許文献1および2には、脆性亀裂伝播停止特性に関する溶接構造体が開示されている。
特開2007-326147号公報 特許第5365761号公報
ところで、ハッチサイドコーミングで発生し、アッパーデッキ側に向かって伝播した亀裂の進展を停止させるためには、これらの部材として、例えば、脆性亀裂伝播停止特性(アレスト性)の指標である-10℃におけるKca値が6000N/mm1.5以上の厚肉鋼板を用いる必要があることが知られている。
鋼板のKca値は、WES2815に準拠した温度勾配型ESSO試験により測定されるが、この試験では鋼板の長さまたは幅方向に伝播する亀裂に対するアレスト性を評価するものである。そのため、ハッチサイドコーミングで発生し、アッパーデッキの表面から突入する亀裂に対するアレスト性の評価には本来適していない。
そのため、従来、アッパーデッキに用いられる厚鋼板の脆性亀裂伝播停止特性を評価する場合には、大型の試験体を用いた構造モデルアレスト試験(脆性破壊伝播停止試験:試験片に脆性亀裂を人為的に発生させ、脆性亀裂を停止させる性能を評価する試験)が実施されていた。
しかしながら、大型構造アレスト試験を実施するためには、多くの時間と費用とを必要とするため、高い脆性亀裂伝播停止特性を有する厚鋼板の選別が容易でないという問題があった。そのため、より簡易な手法により低コストで優れた脆性亀裂伝播停止特性を有する溶接構造体を得る必要がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、脆性亀裂伝播停止特性に優れた溶接構造体を提供することを目的とする。
本発明は、下記の溶接構造体を要旨とする。
(1)板状の接合部材の端面が板状の被接合部材の被接合面に当接した状態で、前記接合部材が前記被接合部材に両側部分溶込み溶接されたT継手部を有する溶接構造体であって、
前記接合部材は、前記接合部材の板厚方向に垂直な第1表面および第2表面を有し、
前記第1表面および前記被接合面に垂直な断面において、
前記接合部材の板厚t(mm)および前記被接合部材の板厚t(mm)が下記(i)および(ii)式を満足し、
前記第1表面側に形成された第1溶接金属における、前記被接合部材側の溶込み深さs(mm)、および前記第2表面側に形成された第2溶接金属における、前記被接合部材側の溶込み深さs(mm)が下記(iii)および(iv)式を満足し、
前記被接合部材は、下記(a)~(d)の工程を順に実施する品質評価試験において、下記cおよびcが、下記(xi)および(xii)式を満足するものである、
溶接構造体。
(a)幅方向が前記被接合部材の板厚方向に対応し、幅方向における一方側の面が前記被接合面に対応する試験板であって、板厚がt(mm)、幅がt(mm)、長さが500mmである試験板、ならびに、
板厚がt(mm)、幅が260mm、長さが500mmであり、板厚方向に垂直な第1助走板面および第2助走板面を有し、前記幅方向における一方側にノッチが設けられ、前記幅方向における他方側の面において、前記第1助走板面側および前記第2助走板面側にそれぞれ前記長さ方向に延びる開先が形成された助走板、を用意し、
前記試験板の前記一方側の面を、前記助走板の前記他方側の面に当接した状態で、前記助走板に形成された前記開先に両側部分溶込み溶接を行い、
前記第1助走板面および前記試験板の前記一方側の面に垂直な断面において、
前記第1助走板面側に形成された第1助走板溶接金属における、前記助走板側の止端とルートとを通る線と前記試験板の前記一方側の面とがなす鋭角β(°)、前記助走板の前記板厚方向における継手の部分溶込みb(mm)、および前記試験板側の溶込み深さr(mm)ならびに、
前記第2助走板面側に形成された第2助走板溶接金属における、前記助走板側の止端とルートとを通る線と前記試験板の前記一方側の面とがなす鋭角β(°)、前記助走板の前記板厚方向における継手の部分溶込みb(mm)、および前記試験板側の溶込み深さr(mm)が、下記(v)~(x)式を満足し、
板厚がt(mm)、幅が260+t(mm)、長さが500mmの中間試験体を形成する工程。
但し、式中のαおよびdは、それぞれ、前記第1溶接金属における、前記接合部材側の止端とルートとを通る線と前記被接合面とがなす鋭角(°)、および前記板厚方向における継手の部分溶込み(mm)であり、
αおよびdは、それぞれ、前記第2溶接金属における、前記接合部材側の止端とルートとを通る線と前記被接合面とがなす鋭角(°)、および前記板厚方向における継手の部分溶込み(mm)である。
(b)板厚がt(mm)、幅が240-t(mm)、長さが500mmであり、前記幅方向における一方側の面において、開先が形成された調整板を用意し、
前記試験板の前記幅方向における他方側の面を、前記調整板の前記一方側の面に当接した状態で、前記調整板に形成された前記開先に溶接を行い、
板厚がt(mm)、幅が500mm、長さが500mmの試験体を形成する工程。
(c)前記試験体を用いて、-10℃の試験温度で、予め設定される前記被接合部材の許容応力であるσ(N/mm)を試験応力として付与した状態で、前記助走板の前記ノッチに衝撃荷重を加え、前記第1助走板溶接金属および前記第2助走板溶接金属を介して前記試験板まで亀裂を進展させる工程。
(d)前記試験板の前記一方側の面と、前記第1助走板溶接金属および前記第2助走板溶接金属のそれぞれを介して進展した前記亀裂の先端との、前記幅方向における距離c(mm)およびc(mm)を測定する工程。
≧50.0 ・・・(i)
≧50.0 ・・・(ii)
≦5.0 ・・・(iii)
≦5.0 ・・・(iv)
α-5.0≦β≦α+5.0 ・・・(v)
α-5.0≦β≦α+5.0 ・・・(vi)
≦b≦d+5.0 ・・・(vii)
≦b≦d+5.0 ・・・(viii)
≦r≦s+5.0 ・・・(ix)
≦r≦s+5.0 ・・・(x)
≦r+10.0 ・・・(xi)
≦r+10.0 ・・・(xii)
(2)板状の接合部材の端面が板状の被接合部材の被接合面に当接した状態で、前記接合部材が前記被接合部材に完全溶込み溶接されたT継手部を有する溶接構造体であって、
前記接合部材は、前記接合部材の板厚方向に垂直な第1表面および第2表面を有し、
前記接合部材の板厚t(mm)および前記被接合部材の板厚t(mm)が下記(i)および(ii)式を満足し、
前記接合部材と前記被接合部材との間に形成された溶接金属における前記被接合部材側の溶込み深さs(mm)が下記(xiii)式を満足し、
前記被接合部材は、下記(a)~(d)の工程を順に実施する品質評価試験において、下記c(mm)が、下記(xv)式を満足するものである、
溶接構造体。
(a)幅方向が前記被接合部材の板厚方向に対応し、幅方向における一方側の面が前記被接合面に対応する試験板であって、板厚がt(mm)、幅がt(mm)、長さが500mmである試験板、および、
板厚がt(mm)、幅が260mm、長さが500mmであり、前記幅方向における一方側にノッチが設けられ、前記幅方向における他方側の面において、開先が形成された助走板、を用意し、
前記試験板の前記一方側の面を、前記助走板の前記他方側の面に当接した状態で、前記助走板に形成された前記開先に完全溶込み溶接を行って助走板溶接金属を形成し、
前記助走板溶接金属における前記試験板側の溶込み深さr(mm)が下記(xiv)式を満足し、
板厚がt(mm)、幅が260+t(mm)、長さが500mmの中間試験体を形成する工程。
(b)板厚がt(mm)、幅が240-t(mm)、長さが500mmであり、前記幅方向における一方側の面において、開先が形成された調整板を用意し、
前記試験板の前記板厚方向における他方側の面を、前記調整板の前記一方側の面に当接した状態で、前記調整板に形成された前記開先に溶接を行い、
板厚がt(mm)、長さが500mm、幅が500mmの試験体を形成する工程。
(c)前記試験体を用いて、-10℃の試験温度で、予め設定される前記被接合部材の許容応力であるσ(N/mm)を試験応力として付与した状態で、前記助走板の前記ノッチに衝撃荷重を加え、前記試験板まで亀裂を進展させる工程。
(d)前記試験板の前記一方側の面と、前記亀裂の先端との、前記幅方向における距離c(mm)を測定する工程。
≧50.0 ・・・(i)
≧50.0 ・・・(ii)
s≦5.0 ・・・(xiii)
s≦r≦s+5.0 ・・・(xiv)
c≦r+10.0 ・・・(xv)
(3)前記接合部材の板厚t(mm)および前記被接合部材の板厚t(mm)が下記(xvi)および(xvii)式を満足する、
上記(1)または(2)に記載の溶接構造体。
>80.0 ・・・(xvi)
>80.0 ・・・(xvii)
(4)前記被接合部材の降伏応力が400MPa以上、580MPa以下であり、引張強さが510MPa以上、750MPa以下である、
上記(1)から(3)までのいずれかに記載の溶接構造体。
(5)前記被接合部材の-10℃における全厚のKca値が6000N/mm1.5未満である、
上記(1)から(4)までのいずれかに記載の溶接構造体。
本発明によれば、脆性亀裂伝播停止特性に優れた溶接構造体を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る溶接構造体を示す斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る溶接構造体を示す斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る溶接構造体を示す斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る溶接構造体を示す斜視図である。 溶接構造体の断面図である。 本発明における品質評価試験を説明するための図である。 本発明における品質評価試験を説明するための図である。 試験体の断面図である。 脆性亀裂伝播試験を説明するための図である。 構造モデルアレスト試験体の形状を説明するための図である。 応用例における厚鋼板の品質評価方法を説明するための図である。 応用例における厚鋼板の品質評価方法を説明するための図である。 試験体の断面図である。
本発明者らが上記の課題を解決するために検討を行った結果、以下の知見を得るに至った。
上述のように、アッパーデッキに用いられる厚鋼板の脆性亀裂伝播停止特性の評価には、大型の試験体を用いた構造モデルアレスト試験が用いられるのが一般的である。しかし、より小さい試験体を用いた中型試験において脆性亀裂伝播停止特性の評価が可能であれば、溶接構造体に用いる厚鋼板の選別が容易になり、低コストで優れた脆性亀裂伝播停止特性を有する溶接構造体を製造することが可能となる。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の一実施形態に係る溶接構造体について説明する。
1.溶接構造体の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る溶接構造体を示す斜視図である。本実施形態に係る溶接構造体10は、接合部材11および被接合部材12を備えている。接合部材11は板状であり、板厚方向に垂直な第1表面11aおよび第2表面11bを有する。また、被接合部材12は板状であり、接合部材11の端面11cが当接される被接合面12aを有する。
そして、図1に示すように、溶接構造体10は、端面11cが被接合面12aに当接した状態で、接合部材11が被接合部材12に溶接されたT継手部を有する。なお、上記のT継手部を有する溶接構造体には、図1に示すようなT字状の構造体に加えて、例えば、図2および3に示す形状の構造体も含まれる。また、接合部材11には開先が設けられており、開先溶接によって接合されている。
本発明においては、厚肉の接合部材および被接合部材を対象としており、具体的には、接合部材11の板厚をt(mm)とし、被接合部材12の板厚をt(mm)とした場合に、下記(i)および(ii)式を満足する。接合部材11の板厚t(mm)および被接合部材12の板厚t(mm)は、下記(xvi)および(xvii)式を満足するのが好ましい。tおよびtの上限は特に規定する必要はないが、いずれも例えば200mm、150mm、または120mmとすることができる。
≧50.0 ・・・(i)
≧50.0 ・・・(ii)
>80.0 ・・・(xvi)
>80.0 ・・・(xvii)
接合部材11と被接合部材12とは、図1~図3に示すように、両側部分溶込み溶接によって接合されていてもよいが、図4に示すように、完全溶け込み溶接によって接合されていてもよい。それぞれの場合の溶接構造体の構成についてさらに説明する。
(1)両側部分溶込み溶接
図1~図3に示すように、接合部材11と被接合部材12とが両側部分溶込み溶接によって接合されている場合において、溶接構造体10は、第1表面11a側に形成された第1溶接金属13aおよび第2表面11b側に形成された第2溶接金属13bを有する。
接合部材11および被接合部材12の接合箇所付近について、図5を用いてさらに詳しく説明する。図5は、溶接構造体10の、第1表面11aおよび被接合面12aに垂直な断面図である。図5においては、図面が煩雑になることを避けるため、ハッチングは付していない。
図5に示すように、接合部材11および被接合部材12の接合箇所の第1表面11a側には、第1溶接金属13aが形成されている。同様に、第2表面11b側には、第2溶接金属13bが形成されている。
ここで、接合部材11から発生する亀裂は、第1溶接金属13aおよび第2溶接金属13bを経由して被接合部材12に伝播する。すなわち、溶接構造体の脆性亀裂伝播停止特性には、溶接金属の形状が影響を与えることとなる。
具体的には、第1溶接金属13aにおける被接合部材12側の溶込み深さs(mm)、および第2溶接金属13bにおける被接合部材12側の溶込み深さs(mm)が下記(iii)および(iv)式を満足するよう制御する必要がある。
≦5.0 ・・・(iii)
≦5.0 ・・・(iv)
加えて、溶接構造体の脆性亀裂伝播停止特性を評価する上では、後述する試験体に形成する溶接金属と、溶接構造体に形成する溶接金属との形状を同等にする必要がある。
本実施形態においては、後述する鋭角αおよびα、ならびに継手の部分溶込みdおよびdを、溶接金属の形状の指標として用いることとする。具体的には、第1溶接金属13aにおける、接合部材11側の止端とルートとを通る線Lと被接合面12aとがなす鋭角をα(°)とし、第2溶接金属13bにおける、接合部材11側の止端とルートとを通る線Lと被接合面12aとがなす鋭角をα(°)とする。
αおよびαの範囲については特に制限する必要はないが、それぞれ下記(xviii)および(xix)式を満足することが好ましい。
30.0≦α≦70.0 ・・・(xviii)
30.0≦α≦70.0 ・・・(xix)
第1溶接金属13aにおける接合部材11側の止端とは、第1溶接金属13aの外縁と第1表面11aとの交点Aを意味する。また、第1溶接金属13aにおける接合部材11側のルートとは、第1溶接金属13aの外縁と端面11cとの交点Bを意味する。同様に、第2溶接金属13bにおける接合部材11側の止端とは、第2溶接金属13bの外縁と第2表面11bとの交点Aを意味し、第2溶接金属13bにおける接合部材11側のルートとは、第2溶接金属13bの外縁と端面11cとの交点Bを意味する。
さらに、第1溶接金属13aの板厚方向における継手の部分溶込みをd(mm)とし、第2溶接金属13bの板厚方向における継手の部分溶込みをd(mm)とする。継手の部分溶込みdは、第1表面11aと、第1表面11aと平行でかつ接合部材11の板厚方向における第1溶接金属13aの板厚中心側の端部を通る仮想的な面11fとの距離である。また、継手の部分溶込みdは、第2表面11bと、第2表面11bと平行でかつ接合部材11の板厚方向における第2溶接金属13bの板厚中心側の端部を通る仮想的な面11gとの距離である。
なお、第1溶接金属13aおよび第2溶接金属13bと接合部材11との境界は、目視により容易に判別することが可能である。
(2)完全溶込み溶接
図4に示すように、接合部材11と被接合部材12とが完全溶込み溶接によって接合されている場合において、溶接構造体10は、接合部材11と被接合部材12との間に溶接金属13cを有する。
接合部材11から発生する亀裂は、溶接金属13cを経由して被接合部材12に伝播する。すなわち、溶接構造体の脆性亀裂伝播停止特性には、溶接金属の形状が影響を与えることとなる。具体的には、溶接金属13cにおける被接合部材12側の溶込み深さs(mm)が下記(xiii)式を満足するよう制御する必要がある。
s≦5.0 ・・・(xiii)
加えて、完全溶込み溶接の場合は、接合部材11と被接合部材12とが全面にわたって溶接金属13cによって接合されるため、後述する試験体も完全溶け込み溶接により形成する必要がある。
2.品質評価試験
本発明者らが行った研究により、後述する中型の品質評価試験によって所定の基準を満足する厚鋼板を被接合部材として用いることで、低コストで優れた脆性亀裂伝播停止特性を有する溶接構造体が得られることを見出した。
試験方法について、詳しく説明する。図6および7は、本発明における品質評価試験を説明するための図である。本発明における品質評価試験は、下記(a)~(d)の工程を順に実施するものである。各工程について、説明する。
(a)第1溶接工程
被接合部材12に用いられる厚鋼板から、板厚がt(mm)、幅がt(mm)、長さが500mmであり、板厚方向における一方側(図6および図7における上側)の面21cが、被接合面12aに対応する試験板21を採取する。すなわち、被接合部材12の板厚の方向が、試験板21の幅方向となる。
板厚がt(mm)、幅が260mm、長さが500mmであり、幅方向における他方側(図6および7における下側)の面22bにおいて、開先が形成された助走板22を用意する。開先の形状および寸法については、後述する溶接によって形成される溶接金属部の形状および寸法が規定を満足するように適宜選択すればよい。
助走板22の材質については特に制限はなく、例えば、熱処理を施して脆化した鋼板を用いることができる。また、助走板22の幅方向における一方側(図6および7における上側)には、ノッチ22aを形成しておく。ノッチの形状については特に制限はないが、図6に示す形状とすることができる。
そして、試験板21の一方側の面21cを、助走板22の他方側の面22bに当接した状態で、開先に溶接を行い、中間試験体を形成する。その後、溶接により生じた余盛については削除することが好ましい。これにより、中間試験体は、板厚がt(mm)、幅が260+t(mm)、長さが500mmの直方体状となる。
図6は、接合部材11と被接合部材12とが両側部分溶込み溶接によって接合されている場合における試験体20の概略図であり、図7は、接合部材11と被接合部材12とが完全溶込み溶接によって接合されている場合における試験体20の概略図である。
接合部材11と被接合部材12とが両側部分溶込み溶接によって接合されている場合においては、試験板21と助走板22とは両側部分溶込み溶接によって接合されている必要がある。加えて、被接合部材12に用いられる厚鋼板から採取された試験板21によって、溶接構造体10の脆性亀裂伝播停止特性の評価を行うためには、試験板21と助走板22との間に形成される溶接金属の形状の制御が重要となる。
図6に示すように助走板22は、板厚方向に垂直な第1助走板面22cおよび第2助走板面22dを有する。試験板21と助走板22との間に形成される溶接金属の形状について、図8を用いてさらに詳しく説明する。図8は、試験体20の、第1助走板面22cおよび試験板21の一方側の面21cに垂直な断面図である。図8においては、図面が煩雑になることを避けるため、ハッチングは付していない。
図8に示すように、試験板21および助走板22の接合箇所の第1助走板面22c側には第1助走板溶接金属23aが形成され、第2助走板面22d側には第2助走板溶接金属23bが形成される。
そして、第1助走板溶接金属23aにおける、助走板22側の止端とルートとを通る線Mと試験板21の一方側の面21cとがなす鋭角β(°)および第2助走板溶接金属23bにおける、助走板22側の止端とルートとを通る線Mと試験板21の一方側の面21cとがなす鋭角β(°)は、それぞれ下記(v)および(vi)式を満足する。
α-5.0≦β≦α+5.0 ・・・(v)
α-5.0≦β≦α+5.0 ・・・(vi)
第1助走板溶接金属23aにおける試験板21側の止端とは、第1助走板溶接金属23aの外縁と第1助走板面22cとの交点Cを意味する。また、第1助走板溶接金属23aにおける試験板21側のルートとは、第1助走板溶接金属23aの外縁と助走板22の他方側の面22bとの交点Dを意味する。同様に、第2助走板溶接金属23bにおける試験板21側の止端とは、第2助走板溶接金属23bの外縁と第2助走板面22dとの交点Cを意味し、第2助走板溶接金属23bにおける試験板21側のルートとは、第2助走板溶接金属23bの外縁と助走板22の他方側の面22bとの交点Dを意味する。
また、第1助走板溶接金属23aの板厚方向における継手の部分溶込みb(mm)および第2助走板溶接金属23bの板厚方向における継手の部分溶込みb(mm)は、下記(vii)および(viii)式を満足する。
≦b≦d+5.0 ・・・(vii)
≦b≦d+5.0 ・・・(viii)
継手の部分溶込みbは、第1助走板面22cと、第1助走板面22cと平行でかつ助走板22の板厚方向における第1助走板溶接金属23aの板厚中心側の端部を通る仮想的な面22fとの距離である。また、継手の部分溶込みbは、第2助走板面22dと、第2助走板面22dと平行でかつ助走板22の板厚方向における第2助走板溶接金属23bの板厚中心側の端部を通る仮想的な面22gとの距離である。
さらに、第1助走板溶接金属23aの試験板21側の溶込み深さr(mm)および第2助走板溶接金属23bの試験板21側の溶込み深さr(mm)は、下記(ix)および(x)式を満足する。
≦r≦s+5.0 ・・・(ix)
≦r≦s+5.0 ・・・(x)
一方、接合部材11と被接合部材12とが完全溶込み溶接によって接合されている場合においては、試験板21と助走板22とは完全溶込み溶接によって接合されている必要がある。そして、試験板21と助走板22との間に形成された助走板溶接金属23cにおける試験板21側の溶込み深さr(mm)が下記(xiv)式を満足する。
s≦r≦s+5.0 ・・・(xiv)
(b)第2溶接工程
板厚がt(mm)、幅が240-t(mm)、長さが500mmであり、幅方向における一方側(図6および7における上側)の面24aにおいて、開先が形成された調整板24を用意する。開先の形状、寸法および形成箇所については特に制限はない。
そして、試験板21の板厚方向における他方側の面21dを、調整板24の一方側の面24aに当接した状態で、開先に溶接を行い、試験体20を形成する。その後、溶接により生じた余盛については削除することが好ましい。これにより、試験体20は、板厚がt(mm)、長さが500mm、幅が500mmの直方体状となる。
調整板24は、試験体20の寸法を調整するためのものであるため、溶接方法については特に制限はなく、試験板21と調整板24とは完全溶込み溶接によって接合されていてもよいし、両側部分溶込み溶接によって接合されていてもよい。また、調整板24の材質については特に制限はなく、任意の鋼板を用いることができるが、強度は試験板21に近いものが好ましい。
(c)脆性亀裂伝播試験工程
試験体20を用いて、-10℃の試験温度で、予め設定される被接合部材12の許容応力であるσ(N/mm)を試験応力として付与した状態で、助走板22に設けられたノッチ22aに衝撃荷重を加え、試験板21まで亀裂を進展させる。
なお、上記の予め設定される被接合部材の許容応力として、例えば、溶接構造体が船舶用である場合には、被接合部材がアッパーデッキとなる。アッパーデッキの許容応力は、船級協会が定める規則により決められているため、その値を採用すればよい。試験体の温度は所定の試験温度で均一とし、助走板22の温度は特に規定しない。その他の条件については、亀裂が試験板21まで進展する限り制限はないが、WES2815に準拠すればよい。
図9は、脆性亀裂伝播試験を説明するための図である。図9に示すように、試験体20の長さ方向における両端に治具24a,24bを溶接により接合し、両側から長さ方向に引張応力を付与することで、試験体20に上述した試験応力を付与することができる。
また、本工程においては、少なくとも試験板まで亀裂を進展させる必要があるため、衝撃荷重を付与した際に、助走板または溶接金属で亀裂が停止してしまわないような材質を選択する必要がある。
(d)脆性亀裂測定工程
上記(a)~(c)の工程を順に実施した後の試験板21について、亀裂の進展状況を調査する。具体的には、接合部材11と被接合部材12とが両側部分溶込み溶接によって接合されている場合においては、試験板21の一方側の面21cと、第1助走板溶接金属23aおよび第2助走板溶接金属23bのそれぞれを介して進展した亀裂の先端との、幅方向における距離c(mm)およびc(mm)を測定する。
一方、接合部材11と被接合部材12とが完全溶込み溶接によって接合されている場合においては、試験板21の一方側の面21cと、助走板溶接金属23cを介して進展した亀裂の先端との、幅方向における距離c(mm)を測定する。
本発明に係る溶接構造体10に用いられる被接合部材12は、上述した(a)~(d)の工程を順に実施する品質評価試験において、接合部材11と被接合部材12とが両側部分溶込み溶接によって接合されている場合は、下記(xi)および(xii)式を満足し、接合部材11と被接合部材12とが完全溶込み溶接によって接合されている場合は、下記(xv)式を満足する必要がある。これにより、優れた脆性亀裂伝播停止特性を有する溶接構造体10が得られる。
≦r+10.0 ・・・(xi)
≦r+10.0 ・・・(xii)
c≦r+10.0 ・・・(xv)
3.接合部材の機械的特性
本発明の溶接構造体に用いられる接合部材の機械的特性について、特に制限は設けない。しかし、溶接構造体をコンテナ船等において利用する場合においては、被接合部材の降伏応力は400MPa以上、580MPa以下であるのが好ましく、引張強さは510MPa以上、750MPa以下であるのが好ましい。なお、接合部材の降伏応力は410MPa以上、570MPa以下であるのがより好ましく、引張強さは520MPa以上、740MPa以下であるのがより好ましい。
また、コスト的な観点からは、-10℃における全厚のKca値が6000N/mm1.5未満である被接合部材を用いることが好ましい。なお、上記のKca値は、WES2815規格に準拠した温度勾配型ESSO試験により求めることが可能である。
4.溶接構造体の製造方法
溶接構造体の製造方法について、特に制限は設けないが、例えば、品質評価試験による評価結果が上述した条件を満足する被接合部材を選別する工程と、接合部材を当該被接合部材に溶接する工程を行うことにより、製造することが可能である。
溶接工程においては、上述の被接合部材の被接合面に接合部材の端面を突き合わせた状態で、端面に沿って溶接することで製造することができる。この際、接合部材の被接合部材側を開先加工しておく。開先加工は、接合部材の端面全体にわたって施してもよいが、被接合部材との接合箇所にのみ施してもよい。
また、溶接方法についても特に制限はなく、CO溶接または被覆アーク溶接(SMAW)等の公知の方法を採用すればよい。また、入熱量は、例えば、0.5kJ/mm以上、3.0kJ/mm以下とすることが好ましい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す板厚t(mm)を有する各種鋼板を用意した。その後、それぞれの鋼板から、鋼板の板厚方向が試験板の長さ方向となるように、板厚が100(mm)、幅がt(mm)、長さが500mmの試験板を採取した。
Figure 0007288197000001
続いて、板厚が100mm、幅が260mm、長さが500mmであり、板厚方向に直交する第1助走板面および第2助走板面を有する助走板を用意した。助走板としては、1200℃で加熱した後に空冷することで脆化させた鋼板を用いた。そして、助走板の長さ方向における一方側には、図6に示す形状のノッチを設けた。助走板の幅方向における他方側の面において、第1助走板面側および第2助走板面側にそれぞれ長さ方向に延びる開先を形成した。
そして、試験板の一方側の面を、開先を形成した助走板の他方側の面に当接した状態で、開先に両側部分溶込み溶接または完全溶け込み溶接を行った。溶接条件は表2に示すとおりである。表2における「CO」はCO溶接を意味し、「SMAW」は被覆アーク溶接を意味する。その後、溶接により生じた余盛は削除した。
Figure 0007288197000002
さらに、板厚が100mm、幅が240-t(mm)、長さが500mmである調整板を用意した。調整板としては、試験板と同等の強度グレードの鋼板を用いた。調整板の幅方向における一方側の面において、開先を形成した。そして、試験板の他方側の面を、開先を形成した調整板の一方側の面に当接した状態で、開先に両側部分溶込み溶接を行った。その後、溶接により生じた余盛は削除した。これにより、板厚が100mm、長さが500mm、幅が500mmの直方体状の試験体を作製した。
試験体においては、試験板および助走板の接合箇所の第1助走板面側には第1助走板溶接金属が形成され、第2助走板面側には第2助走板溶接金属が形成された。その後、各試験体を用いて、試験温度は-10℃とし、表2に示す被接合部材の許容応力σ(N/mm)に相当する試験応力を負荷した状態で、助走板の長さ方向における一方側のノッチに衝撃荷重を加え、試験板まで亀裂を進展させた。
試験終了後、試験体に荷重を負荷して強制破断させることで破面出しを実施し、試験板に突入した亀裂の進展状況の調査を行った。その後、試験体の荷重方向の中心位置から左右に200mm離れた位置において、試験板と助走板の溶接金属(第1試験溶接金属および第2試験溶接金属)の断面を切り出した。これらの2カ所の溶接継手断面の写真をデジタルカメラによりそれぞれ撮影し、写真画像から溶接金属の形状を測定し、2カ所の測定結果の平均値を求めた。それらの結果を表2に併せて示す。
続いて、各鋼板の板厚の1/4位置から圧延方向に直角な方向にJIS Z 2241:2011に記載の4号引張試験片を採取し、JIS Z 2241:2011に準拠して引張試験を行い、降伏応力(YS)、引張強さ(TS)および全伸び(EL)を測定した。
さらに、各鋼板の-10℃における全厚のKca値を、WES2815規格に準拠した温度勾配型ESSO試験により求めた。それらの結果を表1に併せて示す。
その後、上記の各種鋼板を試験板(被接合部材42)とし、図10に示す構造モデルアレスト試験体を作製して試験を実施した。板厚100mmの鋼板をCO溶接により接合した溶接継手を助走溶接継手(接合部材41)とし、表3に示す条件でCO溶接または被覆アーク溶接(SMAW)により溶接構造体40を作製した。その際、接合部材41に板厚の1/3の深さの両側開先を設け、接合部材41と被接合部材42とを開先溶接により接合した。
Figure 0007288197000003
その後、溶接構造体40のフュージョンライン部46aにノッチ46bを導入した。そして、溶接構造体40を船舶設計温度である-10℃に冷却し、被接合部材42の許容応力であるσ(N/mm)を試験応力として負荷し、ノッチ部近傍だけを-50℃程度に急冷し、ノッチ部に楔を介して打撃を加えて脆性亀裂を発生、伝播させた。
試験後の構造モデルアレスト試験体を使用し、試験体の荷重方向の中心位置から左右に250mm離れた位置において、接合部材と被接合部材との一方側(第1表面側)および他方側(第2表面側)の溶接金属(第1溶接金属および第2溶接金属)の断面を切り出した。これらの2カ所の溶接継手断面の写真をデジタルカメラによりそれぞれ撮影し、写真画像から溶接金属の形状を測定し、2カ所の測定結果の平均値を使用した。
測定された溶接金属の形状、および上記の構造モデルアレスト試験体を用いた試験の結果を表3に併せて示す。脆性亀裂が試験板で停止した場合は「停止」、試験板を破断した場合は「伝播」と判定した。
表3から明らかなように、本発明の規定を満足する被接合部材を用いた場合には、優れた脆性亀裂伝播停止特性を得られたのに対して、本発明の規定を満足しない比較例の被接合部材を用いた場合には、脆性亀裂が被接合部材まで伝播する結果となった。
5.厚鋼板の品質評価方法
以上のように、本発明に係る溶接構造体10においては、被接合部材12は、上述した条件での品質評価試験によって評価される。なお、当該品質評価試験は、厚鋼板の品質評価方法として応用可能である。応用例としての厚鋼板の品質評価方法は、以下に記載する(付記1)~(付記4)によって表現することができる。
(付記1)
板状の接合部材の端面が板状の被接合部材の被接合面に当接した状態で、前記接合部材が前記被接合部材に両側部分溶込み溶接されたT継手部を有する溶接構造体に用いられ、前記被接合部材となる厚鋼板の品質評価方法であって、
前記接合部材は、前記接合部材の板厚方向に垂直な第1表面および第2表面を有し、
前記第1表面および前記被接合面に垂直な断面において、
前記接合部材の板厚t(mm)および前記被接合部材の板厚t(mm)が下記(i)および(ii)式を満足し、
前記第1表面側に形成された第1溶接金属における、前記被接合部材側の溶込み深さs(mm)、および前記第2表面側に形成された第2溶接金属における、前記被接合部材側の溶込み深さs(mm)が下記(iii)および(iv)式を満足し、
下記(a)~(d)の工程を備える、
厚鋼板の品質評価方法。
(a)幅方向が前記被接合部材の板厚方向に対応し、幅方向における一方側の面が前記被接合面に対応する試験板であって、板厚がt(mm)、幅がt(mm)、長さが500mmである試験板、ならびに、
板厚がt(mm)であり、板厚方向に垂直な第1助走板面および第2助走板面を有し、前記幅方向における一方側にノッチが設けられ、前記幅方向における他方側の面において、前記第1助走板面側および前記第2助走板面側にそれぞれ前記長さ方向に延びる開先が形成された助走板、を用意し、
前記試験板の前記一方側の面を、前記助走板の前記他方側の面に当接した状態で、前記助走板に形成された前記開先に両側部分溶込み溶接を行い、
前記第1助走板面および前記試験板の前記一方側の面に垂直な断面において、
前記第1助走板面側に形成された第1助走板溶接金属における、前記助走板側の止端とルートとを通る線と前記試験板の前記一方側の面とがなす鋭角β(°)、前記助走板の前記板厚方向における継手の部分溶込みb(mm)、および前記試験板側の溶込み深さr(mm)ならびに、
前記第2助走板面側に形成された第2助走板溶接金属における、前記助走板側の止端とルートとを通る線と前記試験板の前記一方側の面とがなす鋭角β(°)、前記助走板の前記板厚方向における継手の部分溶込みb(mm)、および前記試験板側の溶込み深さr(mm)が、下記(v)~(x)式を満足させる工程。
但し、式中のαおよびdは、それぞれ、前記第1溶接金属における、前記接合部材側の止端とルートとを通る線と前記被接合面とがなす鋭角(°)、および前記板厚方向における継手の部分溶込み(mm)であり、
αおよびdは、それぞれ、前記第2溶接金属における、前記接合部材側の止端とルートとを通る線と前記被接合面とがなす鋭角(°)、および前記板厚方向における継手の部分溶込み(mm)である。
(b)板厚がt(mm)であり、前記幅方向における一方側の面において、開先が形成された調整板を用意し、
前記試験板の前記幅方向における他方側の面を、前記調整板の前記一方側の面に当接した状態で、前記調整板に形成された前記開先に溶接を行う工程。
(c)前記(a)および(b)の工程を経て形成された板厚がt(mm)である試験体を用いて、前記助走板の前記ノッチに衝撃荷重を加え、前記第1助走板溶接金属および前記第2助走板溶接金属を介して前記試験板まで亀裂を進展させる工程。
(d)前記亀裂の進展状況に基づき、前記厚鋼板が脆性亀裂伝播停止特性に優れるか否かの判定を行う工程。
≧50.0 ・・・(i)
≧50.0 ・・・(ii)
≦5.0 ・・・(iii)
≦5.0 ・・・(iv)
α-5.0≦β≦α+5.0 ・・・(v)
α-5.0≦β≦α+5.0 ・・・(vi)
≦b≦d+5.0 ・・・(vii)
≦b≦d+5.0 ・・・(viii)
≦r≦s+5.0 ・・・(ix)
≦r≦s+5.0 ・・・(x)
(付記2)
前記(d)の工程において、前記試験板の前記一方側の面と、前記第1助走板溶接金属および前記第2助走板溶接金属のそれぞれを介して進展した前記亀裂の先端との、前記幅方向における距離をc(mm)およびc(mm)とした時に、cおよびcが、下記(xi)および(xii)式を満足する場合に、前記厚鋼板が脆性亀裂伝播停止特性に優れると判定する、
付記1に記載の厚鋼板の品質評価方法。
≦r+10.0 ・・・(xi)
≦r+10.0 ・・・(xii)
(付記3)
板状の接合部材の端面が板状の被接合部材の被接合面に当接した状態で、前記接合部材が前記被接合部材に完全溶込み溶接されたT継手部を有する溶接構造体に用いられ、前記被接合部材となる厚鋼板の品質評価方法であって、
前記接合部材は、前記接合部材の板厚方向に垂直な第1表面および第2表面を有し、
前記接合部材の板厚t(mm)および前記被接合部材の板厚t(mm)が下記(i)および(ii)式を満足し、
前記接合部材と前記被接合部材との間に形成された溶接金属における前記被接合部材側の溶込み深さs(mm)が下記(xiii)式を満足し、
下記(a)~(d)の工程を備える、
厚鋼板の品質評価方法。
(a)板厚がt(mm)、幅がt(mm)であり、幅方向における一方側の面が、前記被接合面に対応する試験板、および、
板厚がt(mm)であり、前記幅方向における一方側にノッチが設けられ、前記幅方向における他方側の面において、開先が形成された助走板、を用意し、
前記試験板の前記一方側の面を、前記助走板の前記他方側の面に当接した状態で、前記助走板に形成された前記開先に完全溶込み溶接を行って助走板溶接金属を形成し、
前記助走板溶接金属における前記試験板側の溶込み深さr(mm)が下記(xiv)式を満足させる工程。
(b)板厚がt(mm)であり、前記幅方向における一方側の面において、開先が形成された調整板を用意し、
前記試験板の前記幅方向における他方側の面を、前記調整板の前記一方側の面に当接した状態で、前記調整板に形成された前記開先に溶接を行う工程。
(c)前記(a)および(b)の工程を経て形成された板厚がt(mm)である試験体を用いて、前記助走板の前記ノッチに衝撃荷重を加え、前記試験板まで亀裂を進展させる工程。
(d)前記亀裂の進展状況に基づき、前記厚鋼板が脆性亀裂伝播停止特性に優れるか否かの判定を行う工程。
≧50.0 ・・・(i)
≧50.0 ・・・(ii)
s≦5.0 ・・・(xiii)
s≦r≦s+5.0 ・・・(xiv)
(付記4)
前記(d)の工程において、前記試験板の前記一方側の面と、前記亀裂の先端との、前記幅方向における距離c(mm)が、下記(xv)式を満足する場合に、前記厚鋼板が脆性亀裂伝播停止特性に優れると判定する、
付記3に記載の厚鋼板の品質評価方法。
c≦r+10.0 ・・・(xv)
応用例における厚鋼板の品質評価方法について説明する。上記の品質評価方法は、溶接構造体に用いられ、被接合部材となる厚鋼板の品質を評価する方法である。品質評価対象となる溶接構造体の構成については、上述のとおりであるため、説明は省略する。
図11および図12は、応用例における厚鋼板の品質評価方法を説明するための図である。上記の品質評価方法は、下記(a)~(d)の工程を備える。各工程について、説明する。
(a)第1溶接工程
厚鋼板から試験板31を採取する。試験板31は、幅方向における一方側(図11および図12における上側)の面31cが、被接合面12aに対応する。すなわち、被接合部材12の板厚の方向が、試験板31および後述する試験体30の幅方向となる。
試験板31の板厚は接合部材11の板厚と同じであり、すなわちt(mm)である。また、試験板31の幅は被接合部材12となる厚鋼板の板厚と同じであり、すなわちt(mm)である。試験板31の長さについては特に制限はないが、300mm以上、2000mm以下とすることが好ましい。小さすぎると正確な品質の評価が難しくなり、大きすぎると低コストでの品質の評価が行えなくなる場合があるためである。
試験板31と同じ厚さであり、同じ長さを有する助走板32を用意する。すなわち、助走板32の厚さはt(mm)である。助走板32の長さは試験板31の長さと同一であるため、300mm以上、2000mm以下とすることが好ましい。また、助走板32の幅は150mm以上、1600mm以下とすることが好ましい。助走板32の幅が小さすぎると、助走板32から試験板31に亀裂が突入する際の駆動力が十分に得られなくなるおそれがあり、大きすぎると低コストでの品質の評価が行えなくなる場合があるためである。
また、助走板32の幅方向における他方側(図11および12における下側)の面32bには、開先を形成しておく。開先の形状および寸法については、後述する溶接によって形成される溶接金属部の形状および寸法が規定を満足するように適宜選択すればよい。
助走板32の材質については特に制限はなく、例えば、熱処理を施して脆化した鋼板、亀裂の進展領域が溶接部である突合せ溶接接手、または亀裂の進展領域を電子ビーム溶接により脆化させた鋼板等を用いることができる。また、助走板32の幅方向における一方側(図11および図12における上側)には、ノッチ32aを形成しておく。ノッチの形状については特に制限はないが、図11に示す形状とすることができる。
さらに、助走板32が有する、厚さ方向に直交する一対の表面(第1助走板面22cおよび第2助走板面22d)のうち、一方または両方に図11および図12に示すような、サイドグルーブを形成しておいてもよい。サイドグルーブを有することにより、亀裂がサイドグルーブに沿って進展し、試験板31に突入しやすくなる。なお、図11に示す構成のように、サイドグルーブは、助走板32の幅方向における一方側から他方側まで全ての長さにおいて形成してもよいし、図12に示す構成のように、その一部についてのみ形成してもよい。
そして、試験板31の幅方向における一方側の面31cを、助走板32の幅方向における他方側(図11および図12における下側)の面32bに当接した状態で、開先に溶接を行う。その後、溶接により生じた余盛については削除することが好ましい。
図11は、接合部材11と被接合部材12とが両側部分溶込み溶接によって接合されている場合における試験体30の概略図であり、図12は、接合部材11と被接合部材12とが完全溶込み溶接によって接合されている場合における試験体30の概略図である。
接合部材11と被接合部材12とが両側部分溶込み溶接によって接合されている場合においては、試験板31と助走板32とは両側部分溶込み溶接によって接合されている必要がある。加えて、被接合部材12に用いられる厚鋼板に用いられる厚鋼板から採取された試験板31によって、溶接構造体10の脆性亀裂伝播停止特性の評価を行うためには、試験体30に形成される溶接金属の形状の制御が重要となる。試験体30に形成される溶接金属の形状について、図13を用いてさらに詳しく説明する。図13は、試験体30の、第1助走板面32cおよび試験板31の一方側の面31cに垂直な断面図である。図13においては、図面が煩雑になることを避けるため、ハッチングは付していない。
図13に示すように、試験板31および助走板32の接合箇所の第1助走板面32c側には第1助走板溶接金属33aが形成され、第2助走板面32d側には第2助走板溶接金属33bが形成される。
そして、第1助走板溶接金属33aにおける、助走板32側の止端とルートとを通る線Mと試験板31の一方側の面31cとがなす鋭角β(°)および第2助走板溶接金属33bにおける、助走板32側の止端とルートとを通る線Mと試験板31の一方側の面31cとがなす鋭角β(°)は、それぞれ下記(v)および(vi)式を満足する。
α-5.0≦β≦α+5.0 ・・・(v)
α-5.0≦β≦α+5.0 ・・・(vi)
第1助走板溶接金属33aにおける試験板31側の止端とは、第1助走板溶接金属33aの外縁と第1助走板面32cとの交点Cを意味する。また、第1助走板溶接金属33aにおける試験板31側のルートとは、第1助走板溶接金属33aの外縁と助走板32の他方側の面32bとの交点Dを意味する。同様に、第2助走板溶接金属33bにおける試験板31側の止端とは、第2助走板溶接金属33bの外縁と第2助走板面32dとの交点Cを意味し、第2助走板溶接金属33bにおける試験板31側のルートとは、第2助走板溶接金属33bの外縁と助走板32の他方側の面32bとの交点Dを意味する。
また、第1助走板溶接金属33aの板厚方向における継手の部分溶込みb(mm)および第2助走板溶接金属33bの板厚方向における継手の部分溶込みb(mm)は、下記(vii)および(viii)式を満足する。
≦b≦d+5.0 ・・・(vii)
≦b≦d+5.0 ・・・(viii)
継手の部分溶込みbは、第1助走板面32cと、第1助走板面32cと平行でかつ助走板32の板厚方向における第1助走板溶接金属33aの板厚中心側の端部を通る仮想的な面32fとの距離である。また、継手の部分溶込みbは、第2助走板面32dと、第2助走板面32dと平行でかつ助走板32の板厚方向における第2助走板溶接金属33bの板厚中心側の端部を通る仮想的な面32gとの距離である。
さらに、第1助走板溶接金属23aの試験板21側の溶込み深さr(mm)および第2助走板溶接金属23bの試験板21側の溶込み深さr(mm)は、下記(ix)および(x)式を満足する。
≦r≦s+5.0 ・・・(ix)
≦r≦s+5.0 ・・・(x)
(b)第2溶接工程
試験板31と同じ厚さであり、同じ長さを有する調整板34を用意する。すなわち、調整板34の厚さはt(mm)である。調整板34の長さは試験板31の長さと同一であるため、300mm以上、2000mm以下とすることが好ましい。また、調整板34は試験体30の幅を調整するためのものであるため、所望の試験体30の幅に応じて、調整板34の幅を決定すればよい。
また、調整板34の幅方向における一方側(図11および図12における上側)の面34aには、開先を形成しておく。開先の形状、寸法および形成箇所については特に制限はない。
そして、試験板31の板厚方向における他方側の面31dを、調整板34の一方側の面34aに当接した状態で、開先に溶接を行う。その後、溶接により生じた余盛については削除することが好ましい。
調整板34は、試験体30の寸法を調整するためのものであるため、溶接方法については特に制限はなく、試験板31と調整板34とは完全溶込み溶接によって接合されていてもよいし、両側部分溶込み溶接によって接合されていてもよい。また、調整板34の材質については特に制限はなく、任意の鋼板を用いることができるが、強度は試験板31に近いものが好ましい。
(c)脆性亀裂伝播試験工程
上記の(a)および(b)の工程を経ることにより、板厚がt(mm)の直方体状の試験体30が得られる。なお、(a)の工程および(b)の工程について順序は問わず、(a)の工程に続いて(b)の工程を行ってもよいし、(b)の工程に続いて(a)の工程を行ってもよい。
試験体30の幅については特に制限はないが、300mm以上、2600mm以下とすることが好ましい。また、試験体30の長さは、試験板31および助走板32の長さと同一であるため、300mm以上、2000mm以下とすることが好ましい。
さらに、試験板31と調整板34との合計幅と助走板32の幅は同程度とすることが好ましく、助走板32の幅をL(mm)とし、試験体30の幅、すなわち、試験板31、助走板32および調整板34の合計幅をW(mm)とした場合に、0.4≦L/W≦0.7を満足することが好ましい。
そして、試験体30を用いて、所定の試験温度で、所定の試験応力として付与した状態で、助走板32のノッチ32aに衝撃荷重を加え、試験板31まで亀裂を進展させる。試験温度については特に制限はなく、溶接構造体10の使用温度以下とすることが好ましく、例えば、-10℃以下とすることが好ましい。また、試験体30に付与する試験応力についても特に制限はなく、例えば、予め設定される被接合部材12の許容応力であるσ(N/mm)が試験応力となるよう設定してもよい。
なお、上記の予め設定される被接合部材の許容応力として、例えば、溶接構造体が船舶用である場合には、被接合部材がアッパーデッキとなる。アッパーデッキの許容応力は、船級協会が定める規則により決められているため、その値を採用すればよい。試験体の温度は所定の試験温度で均一とし、助走板の温度は特に規定しない。その他の条件については、WES2815に準拠することが好ましい。
また、本工程においては、少なくとも試験板まで亀裂を進展させる必要があるため、衝撃荷重を付与した際に、助走板または溶接金属で亀裂が停止してしまわないような材質を選択する必要がある。
(d)判定工程
上記(a)~(c)の工程を順に実施した後の試験板31について、亀裂の進展状況を調査する。そして、当該調査結果に基づいて、厚鋼板が脆性亀裂伝播停止特性に優れるか否かの判定を行う。
具体的な判定方法については特に制限はないが、例えば、接合部材11と被接合部材12とが両側部分溶込み溶接によって接合されている場合においては、試験板31の一方側の面31cと、第1助走板溶接金属33aおよび第2助走板溶接金属33bのそれぞれを介して進展した亀裂の先端との、幅方向における距離c(mm)およびc(mm)を測定する。
一方、接合部材11と被接合部材12とが完全溶込み溶接によって接合されている場合においては、試験板31の一方側の面31cと、助走板溶接金属33cを介して進展した亀裂の先端との、幅方向における距離c(mm)を測定する。
そして、接合部材11と被接合部材12とが両側部分溶込み溶接によって接合されている場合においては、下記(xi)および(xii)式を満足する場合に、前記厚鋼板が脆性亀裂伝播停止特性に優れると判定し、接合部材11と被接合部材12とが完全溶込み溶接によって接合されている場合においては、下記(xv)式を満足する場合に、前記厚鋼板が脆性亀裂伝播停止特性に優れると判定することができる。
≦r+10.0 ・・・(xi)
≦r+10.0 ・・・(xii)
c≦r+10.0 ・・・(xv)
以上のように、本発明によれば、脆性亀裂伝播停止特性に優れた溶接構造体を得ることができる。
10 溶接構造体
11 接合部材
11a 第1表面
11b 第2表面
11c 端面
11f~11i 仮想的な面
12 被接合部材
12a 被接合面
13 溶接金属
13a 第1溶接金属
13b 第2溶接金属
13c 溶接金属
20 試験体
21 試験板
21c 一方側の面
22 助走板
22a ノッチ
22b 他方側の面
22c 第1助走板面
22d 第2助走板面
22f,g 仮想的な面
23 試験溶接金属
23a 第1助走板溶接金属
23b 第2助走板溶接金属
23c 助走板溶接金属
24a,b 治具
30 試験体
31 試験板
31c 一方側の面
32 助走板
32a ノッチ
32b 他方側の面
32c 第1助走板面
32d 第2助走板面
32f,g 仮想的な面
33 試験溶接金属
33a 第1助走板溶接金属
33b 第2助走板溶接金属
33c 助走板溶接金属
40 溶接構造体
41 接合部材
42 被接合部材
43 溶接金属
46a フュージョンライン部
46b ノッチ

Claims (5)

  1. 板状の接合部材の端面が板状の被接合部材の被接合面に当接した状態で、前記接合部材が前記被接合部材に両側部分溶込み溶接されたT継手部を有する溶接構造体であって、
    前記接合部材は、前記接合部材の板厚方向に垂直な第1表面および第2表面を有し、
    前記第1表面および前記被接合面に垂直な断面において、
    前記接合部材の板厚t(mm)および前記被接合部材の板厚t(mm)が下記(i)および(ii)式を満足し、
    前記第1表面側に形成された第1溶接金属における、前記被接合部材側の溶込み深さs(mm)、および前記第2表面側に形成された第2溶接金属における、前記被接合部材側の溶込み深さs(mm)が下記(iii)および(iv)式を満足し、
    前記被接合部材は、下記(a)~(d)の工程を順に実施する品質評価試験において、下記cおよびcが、下記(xi)および(xii)式を満足するものである、
    溶接構造体。
    (a)幅方向が前記被接合部材の板厚方向に対応し、幅方向における一方側の面が前記被接合面に対応する試験板であって、板厚がt(mm)、幅がt(mm)、長さが500mmである試験板、ならびに、
    板厚がt(mm)、幅が260mm、長さが500mmであり、板厚方向に垂直な第1助走板面および第2助走板面を有し、前記幅方向における一方側にノッチが設けられ、前記幅方向における他方側の面において、前記第1助走板面側および前記第2助走板面側にそれぞれ前記長さ方向に延びる開先が形成された助走板、を用意し、
    前記試験板の前記一方側の面を、前記助走板の前記他方側の面に当接した状態で、前記助走板に形成された前記開先に両側部分溶込み溶接を行い、
    前記第1助走板面および前記試験板の前記一方側の面に垂直な断面において、
    前記第1助走板面側に形成された第1助走板溶接金属における、前記助走板側の止端とルートとを通る線と前記試験板の前記一方側の面とがなす鋭角β(°)、前記助走板の前記板厚方向における継手の部分溶込みb(mm)、および前記試験板側の溶込み深さr(mm)ならびに、
    前記第2助走板面側に形成された第2助走板溶接金属における、前記助走板側の止端とルートとを通る線と前記試験板の前記一方側の面とがなす鋭角β(°)、前記助走板の前記板厚方向における継手の部分溶込みb(mm)、および前記試験板側の溶込み深さr(mm)が、下記(v)~(x)式を満足し、
    板厚がt(mm)、幅が260+t(mm)、長さが500mmの中間試験体を形成する工程。
    但し、式中のαおよびdは、それぞれ、前記第1溶接金属における、前記接合部材側の止端とルートとを通る線と前記被接合面とがなす鋭角(°)、および前記板厚方向における継手の部分溶込み(mm)であり、
    αおよびdは、それぞれ、前記第2溶接金属における、前記接合部材側の止端とルートとを通る線と前記被接合面とがなす鋭角(°)、および前記板厚方向における継手の部分溶込み(mm)である。
    (b)板厚がt(mm)、幅が240-t(mm)、長さが500mmであり、前記幅方向における一方側の面において、開先が形成された調整板を用意し、
    前記試験板の前記幅方向における他方側の面を、前記調整板の前記一方側の面に当接した状態で、前記調整板に形成された前記開先に溶接を行い、
    板厚がt(mm)、幅が500mm、長さが500mmの試験体を形成する工程。
    (c)前記試験体を用いて、-10℃の試験温度で、予め設定される前記被接合部材の許容応力であるσ(N/mm)を試験応力として付与した状態で、前記助走板の前記ノッチに衝撃荷重を加え、前記第1助走板溶接金属および前記第2助走板溶接金属を介して前記試験板まで亀裂を進展させる工程。
    (d)前記試験板の前記一方側の面と、前記第1助走板溶接金属および前記第2助走板溶接金属のそれぞれを介して進展した前記亀裂の先端との、前記幅方向における距離c(mm)およびc(mm)を測定する工程。
    ≧50.0 ・・・(i)
    ≧50.0 ・・・(ii)
    ≦5.0 ・・・(iii)
    ≦5.0 ・・・(iv)
    α-5.0≦β≦α+5.0 ・・・(v)
    α-5.0≦β≦α+5.0 ・・・(vi)
    ≦b≦d+5.0 ・・・(vii)
    ≦b≦d+5.0 ・・・(viii)
    ≦r≦s+5.0 ・・・(ix)
    ≦r≦s+5.0 ・・・(x)
    ≦r+10.0 ・・・(xi)
    ≦r+10.0 ・・・(xii)
  2. 板状の接合部材の端面が板状の被接合部材の被接合面に当接した状態で、前記接合部材が前記被接合部材に完全溶込み溶接されたT継手部を有する溶接構造体であって、
    前記接合部材は、前記接合部材の板厚方向に垂直な第1表面および第2表面を有し、
    前記接合部材の板厚t(mm)および前記被接合部材の板厚t(mm)が下記(i)および(ii)式を満足し、
    前記接合部材と前記被接合部材との間に形成された溶接金属における前記被接合部材側の溶込み深さs(mm)が下記(xiii)式を満足し、
    前記被接合部材は、下記(a)~(d)の工程を順に実施する品質評価試験において、下記c(mm)が、下記(xv)式を満足するものである、
    溶接構造体。
    (a)幅方向が前記被接合部材の板厚方向に対応し、幅方向における一方側の面が前記被接合面に対応する試験板であって、板厚がt(mm)、幅がt(mm)、長さが500mmである試験板、および、
    板厚がt(mm)、幅が260mm、長さが500mmであり、前記幅方向における一方側にノッチが設けられ、前記幅方向における他方側の面において、開先が形成された助走板、を用意し、
    前記試験板の前記一方側の面を、前記助走板の前記他方側の面に当接した状態で、前記助走板に形成された前記開先に完全溶込み溶接を行って助走板溶接金属を形成し、
    前記助走板溶接金属における前記試験板側の溶込み深さr(mm)が下記(xiv)式を満足し、
    板厚がt(mm)、幅が260+t(mm)、長さが500mmの中間試験体を形成する工程。
    (b)板厚がt(mm)、幅が240-t(mm)、長さが500mmであり、前記幅方向における一方側の面において、開先が形成された調整板を用意し、
    前記試験板の前記板厚方向における他方側の面を、前記調整板の前記一方側の面に当接した状態で、前記調整板に形成された前記開先に溶接を行い、
    板厚がt(mm)、長さが500mm、幅が500mmの試験体を形成する工程。
    (c)前記試験体を用いて、-10℃の試験温度で、予め設定される前記被接合部材の許容応力であるσ(N/mm)を試験応力として付与した状態で、前記助走板の前記ノッチに衝撃荷重を加え、前記試験板まで亀裂を進展させる工程。
    (d)前記試験板の前記一方側の面と、前記亀裂の先端との、前記幅方向における距離c(mm)を測定する工程。
    ≧50.0 ・・・(i)
    ≧50.0 ・・・(ii)
    s≦5.0 ・・・(xiii)
    s≦r≦s+5.0 ・・・(xiv)
    c≦r+10.0 ・・・(xv)
  3. 前記接合部材の板厚t(mm)および前記被接合部材の板厚t(mm)が下記(xvi)および(xvii)式を満足する、
    請求項1または請求項2に記載の溶接構造体。
    >80.0 ・・・(xvi)
    >80.0 ・・・(xvii)
  4. 前記被接合部材の降伏応力が400MPa以上、580MPa以下であり、引張強さが510MPa以上、750MPa以下である、
    請求項1から請求項3までのいずれかに記載の溶接構造体。
  5. 前記被接合部材の-10℃における全厚のKca値が6000N/mm1.5未満である、
    請求項1から請求項4までのいずれかに記載の溶接構造体。
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