JP7287752B2 - 水処理施設における運転支援装置 - Google Patents
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Description
また、前述したゲリラ豪雨のような短時間で局地的な大雨が降ると、急激な水質値の変動により、従来通りの水質管理が困難となる。
そこで、このような問題点を解決するためには、急激な水質値の変動を、表示装置を備えるコンピュータ上で模擬するようなシミュレータ(以下、プロセスシミュレータと呼ぶ)を構築する必要がある。
なお、プロセスモデルとは、浄水場内のイオン平衡のような物理現象・化学現象を適切に数式化した数式モデルをいう。
浄水場向けプロセスシミュレータは、浄水場の動作を模擬するための物理現象・化学現象を適切に数式化したプロセスモデルを有し、浄水場の動作を模擬するシミュレート機能を有する。
ここで、浄水場における運転監視で重要となる、pH、濁度、残留塩素濃度、アルカリ度、導電率等である水質値は、水中に溶け込む様々な成分の比率、及び、例えば、反応、イオン平衡のような成分間の相互干渉の結果の総称として測定されるパラメータである。そのため、水質値に関わる成分を的確にデータベースへ登録できないと、浄水場の設備内で生じる浄水プロセスに置ける水質値の変化を模擬することができない。
また、化学プロセスシミュレータの多くは石油化学プラント向けであるため、浄水場固有の水質値(pH、濁度、残留塩素濃度、アルカリ度等)の算出を行う機能がなく、水質値を算出することができない。
水処理における複数の測定装置の測定データに基づき水質管理を支援する運転支援装置において、
前記測定装置の設置地点または測定地点の所定の時刻における前記水処理の被処理水の水質を示す水質値の推定値を算出するシミュレーション部と、
前記水質値の種類を識別する識別部と、
予め記憶部に格納されている前記水質値の種別に対応する計算式における計算処理用のパラメータ、および/または、前記水処理における前記被処理水を構成する組成物を示す成分マトリクスにおける演算処理用のパラメータを設定する設定部と、
前記計算式及び前記成分マトリクスの少なくともいずれかに基づき、現在または所定の時刻における前記設置地点または前記測定地点の前記水質値の状態を算出する水質演算部と、
を具備することを特徴とする。
前記運転支援装置は、
前記推定値に基づき前記測定装置の設置地点または測定地点の所定の未来の時刻における前記水処理の被処理水の水質を示す前記水質値の予測値を演算する未来予測部と、
を具備することを特徴とする。
前記水質値は、
pH、アルカリ度、濁度、導電率の少なくともいずれかを含み、又は、前記水の組成値であることを特徴とする。
前記計算式は、
前記水質値のイオン平衡を算出するための計算式、又は、濁度を算出するための計算式を含むことを特徴とする。
前記成分マトリクスは、
前記水処理における、前記被処理水、前記水質を制御するために使用する薬剤、有機物、または、化学物質の少なくともいずれかを構成する組成物を示す成分マトリクスを含むことを特徴とする。
前記計算式および/または前記成分マトリクスに基づき算出された前記推定値又は予測値を表示画面に表示する表示制御部を備えたことを特徴とする。
本発明は、ゲリラ豪雨のような異常気象による、pH、濁度、残留塩素濃度、アルカリ度、導電率等である水質値の急激な変動を模擬する浄水場向けプロセスシミュレータを備える運転監視装置を提供することを目的とする。
また、この浄水場向けプロセスシミュレータを備える運転監視装置を提供する際、水質値の急激な挙動の変化を直観的に捉えることができ、的確な判断を行うことができる運転支援監視画面を提供する必要がある。
さらに、急激な水質値の挙動を実際の浄水場内設備に生じる挙動のように模擬するために、水質値を浄水場内の設備ごとに予測でき、浄水場設備の構成に合わせたプロセスモデルを構築できる必要がある。
実施例1では、運転監視システムまたは運転訓練支援装置として用いられるプロセスシミュレータ、特にその運転監視画面について説明する。
以下、図面をもとに本発明に係る浄水場における運転監視装置に関する詳細な説明を行う。図1は浄水場における設備及び運転監視装置の概要であり、図2は本発明である運転監視装置の構成例を示す。
なお、プロセスシミュレータは、浄水場の運転監視用の表示装置に用意してもよいし、プロセスシミュレータ用に別途表示装置を用意してもよい。
なお、送受信部22が受信する水質値の測定値は、測定装置121から受信するものと記載したが、これに限定されるものではなく、例えば、予め設定した水質値の時間変化を定義したシナリオを用いても、キーボード、マウス、画面パネル等といった入力装置である入力部21から入力するものでもよい。
また、送受信部22が測定値を受信するタイミングは、ユーザが予め設定してもよい。
なお、送受信部22は、例えば、ネットワークインタフェースやUSBの接続口等といった、測定装置121、ネットワークケーブル、入力部21等と接続される。
また、記憶部23に水質値を格納するとき、各測定地点別と併せてpH、濁度、残留塩素濃度、アルカリ度、導電率のような水質値別にデータベースを設けてもよい。
なお、記憶部23における各測定地点における水質値の測定値の格納方法は、エンジニアリング端末25を用いて設定してもよい。
なお、記憶部23は、ローカルネットワーク上に存在しても、インターネットを介しクラウドコンピューティングを実現するシステム上に存在してもよい。
なお、送受信部22が受信する測定値は、浄水場内設備における各測定地点と測定値とが関連付けられた状態で受信するものでもよく、この場合、浄水場内設備における各測定地点と測定値とは、測定地点に設置される測定装置121に予め当該測定地点を示す固有の識別情報を設定しておくことにより関連付けが行われている。
送受信部22は、受信した測定値をシミュレーション部311及びデータ更新部312から構成される制御部31へ送信する。
また、シミュレーション部311によって算出した推定値及び予測値は、各測定地点と関連付けられた状態でデータ更新部312へ送信される。
なお、表示制御部32は、水質値の測定値、推定値、予測値と表示する正常時の水質値の種類を選択して、表示する旨の指示を表示部24に送信してもよい。
また、表示制御部32で抽出する各測定地点及び水質値の種類は、エンジニアリング端末25で予め設定してもよい。
図4では、原水の水質値であるpH、濁度、NH3(アンモニア濃度)、有機物濃度、水温、MAlk(アルカリ度)の測定値又は推定値又は予測値を実線で表示している。例えば、各パラメータはレーダーチャートの中心から離れるほど値が大きくなることを示すものでもよい。
浄水場における各測定地点に設置される、測定装置121によって測定された水質値を測定値と呼ぶ。
シミュレーション部231による各測定地点の水質値のシミュレーション結果を推定値と呼ぶ。さらに、所定の未来または将来の時刻における各測定地点の水質値のシミュレーション結果を予測値と呼ぶ。
なお、原水水質レーダーチャート41に表示する水質値は、浄水場設備に設置される測定計の種類に応じて選択・変更してもよいし、表示する水質値の種類を増減させてもよい。
なお、原水水質レーダーチャート41に表示する原水の水質値に関する測定値、推定値又は予測値は、いずれか1種類か2種類以上を同時に表示してもよい。
また、原水水質レーダーチャート41は、表示レンジを切り替えるために、拡大ボタン及び縮小ボタンを設けてもよい。
表示制御部25は、記憶部24に記憶されるプロセスフロー図43(後述)に基づき、水質プロファイルグラフ42(421-423)グラフの横軸をプロセスフロー図43に則して表示部27に表示する。また、表示制御部25は、所定の周期で、記憶部24に記憶される各水質値の測定値、推定値、予測値に基づき各値を表示部24に表示する。
図4では、濁度、pH、残留塩素濃度である水質値の測定値、推定値又は予測値のプロファイルを表示している。
なお、水質プロファイルグラフ42(421-423)グラフに表示する水質値は、浄水場における監視対象、設置される測定計の種類に応じて、例えば、水温、導電率、アルカリ度、アンモニア濃度、有機物濃度のような他の水質値を表示してもよいし、測定地点を増減させてもよい。
また、水質プロファイルグラフ42(421-323)グラフは、表示レンジを切り替えるために、拡大ボタン及び縮小ボタンを設けてもよい。
なお、水質プロファイルグラフ42(421-423)グラフのプロットを選択すると、対象となる測定地点における測定値又は推定値又は予測値を表示してもよい。
また、水質プロファイルグラフ42(421-423)グラフと共に、各測定地点間の水質値をバーとして表示し、このバーによって、例えば色の濃淡を利用して、直観的に各測定地点間の水質値を表示してもよい(後述)。
なお、プロセスフロー図43は、浄水場における設備の構成によって変更してもよいし、浄水場内設備の写真を用いてもよい。
このプロセスフロー図43は、本発明に係るプロセスシミュレータを備える運転監視装置の記憶部24に記憶される。表示制御部25は記憶部24に記憶されるプロセスフロー図43に基づき、浄水場設備全体、すなわち、浄水場のプロセス全体を表示部27に表示する。
なお、選択箇所に応じてレーダーチャートに表示する水質値の種類を変えてもよいし、パラメータの種類を増減してもよい。
また、任意に選択した箇所のレーダーチャートは、測定値又は推定値又は予測値が表示されてもよい。なお、表示する測定値又は推定値又は予測値は、設備の入口付近、出口付近、設備の途中若しくはシミュレータによって演算される地点の値であってもよい。
なお、任意に選択した箇所の測定値又は推定値又は予測値は、値に応じて色が変化するバーによって表示してもよい。
図6において、本発明のシミュレーション部311の一実施例を示す構成図を示す。図6における、シミュレーション部311は、主に、パラメータ変換部3111、パラメータ修正部3112、パラメータ決定部3113、プロセスシミュレーション部3114、プロセスプロセスシミュレーションモデル3115、初期値作成部3116、及び未来予測部3117から構成される。
また、パラメータ変換部3111は、変換したデータをパラメータ修正部3112に送信する。
パラメータ決定部3113は、プロセスデータとプロセスシミュレーションモデル3115の変数との相関関係から修正するパラメータを選択する。
変更されたパラメータは、パラメータ修正部3112から、プロセスシミュレーション部3114に送信される。
また、浄水場での浄水処理において測定計を設置しない箇所を演算する場合、プロセスシミュレーション部3114は、浄水場内の設備モデルを、例えば10分割に等分割にして演算を行う。これにより、浄水場内の設備における出入口で水質値の差分が小さい場合であっても、詳細に水質値の変動を把握することができる。
なお、測定装置121を設置しない箇所の推定値は、表示制御部25がプロセスシミュレーション部3114により当該場所における算出されたシミュレート値をデータ更新部312及び記憶部23を介して表示部24に表示してもよい。また、プロセスシミュレーション部3114は設備モデルを10分割して演算すると記載したが、これに限定されるものではなく、等分するものでもよいし、等分しないで演算するものでもよい。
ここで、プロセスシミュレーション部3114は、浄水場内の各設備における動作と並行したシミュレーションを行うに際し、浄水場内の設備における各測定地点からの出力とプロセスシミュレーションモデル3115の出力が近似するようにパラメータを変更する。
また、未来予測部3117は、浄水場からの実測される水質値に基づき、プロセスシミュレーションモデル3115のパラメータ(状態変数)を修正する。
本発明のシミュレーション部311は、浄水場内設備に設置される測定装置121から受信した水質値の測定値に基づき、各測定地点における水質値の推定値及び予測値を模擬する機能を有する。図7において、浄水場内設備に設置された測定装置121から受信した水質値の測定値に基づき、推定値及び予測値を演算するフローチャートを示す。
また、パラメータ変換部3111は、変換したデータをパラメータ修正部3112に送信する。
また、プロセスシミュレーション部3114は、算出した水質値の推定値を時刻データかつ測定地点データとともに、時系列及び測定地点毎に記憶部23に格納する。
なお、測定装置121を設置しない箇所の推定値は、表示制御部25がプロセスシミュレーション部3114により当該場所における算出されたシミュレート値をデータ更新部32及び記憶部23を介して表示部24に表示してもよい。また、プロセスシミュレーション部3114は設備モデルを10分割して演算すると記載したが、分割できるものであればこれに限定されるものではなく、等分するものでもよいし、等分しないで演算するものでもよい。
また、ステップS707において、未来予測部3117は、浄水場からの実測される水質値に基づき、プロセスシミュレーションモデル3115のパラメータ(状態変数)を修正してもよい。
ここで、本発明の浄水場における運転監視装置が、浄水場内設備に設置された測定装置121から受信した水質値の測定値、及び図7で示したシミュレーション部311よる測定値を用いて演算した推定値、予測値を、直感的に把握できる形態で表示する動作について図8を用いて説明する。図8は、浄水場内設備に設置された測定計から受信した測定値、又は測定値を用いて算出した推定値又は予測値を表示する、本発明の運転監視装置の動作を説明するフローチャートを示す。
また、ステップS801において、制御部23は、送受信部22が受信する測定値、識別信号、及び、予め記憶部23に記憶される浄水場内設備における各測定地点と測定装置121の識別情報とが関連付けられた浄水場の設備定義情報に基づき、測定値と測定地点とを関連付ける。
なお、送受信部22が受信する測定値は、浄水場内設備における各測定地点と測定値とが関連付けられた状態で受信するものでもよく、この場合、浄水場内設備における各測定地点と測定値とは、測定地点に設置される測定装置121に予め当該測定地点を示す固有の識別情報を設定しておくことにより関連付けが行われている。
なお、ステップS802において、シミュレーション部311は、算出された推定値、時刻データ及び測定地点データに基づき、浄水場での浄水処理において測定計を設置しない箇所(配管を含む)、例えば、1回の処理に時間を要す沈澱池のような箇所における水質値(pH、濁度、残留塩素濃度、アルカリ度、導電率等)を演算してもよい。
なお、記憶部23に水質値を格納するとき、各測定地点別と併せてpH、濁度、残留塩素濃度、アルカリ度、導電率等である水質値別にデータベースを設けてもよい。
ステップS805において、表示制御部32は各測定地点の測定装置121から受信又はシミュレーション部311より演算された水質値のデータベースを記憶部23から参照する(ステップS805)
ステップS807において、ステップS805で表示制御部32が表示設定を比較し、非表示にする水質値であると判断すると、表示制御部32は、判断された水質値を非表示とする(ステップS807)。ステップS807において、表示制御部32は、非表示とする水質値を、図5における表示画面における任意の箇所のレーダーチャートには表示しない。これにより、浄水場内の各設備において監視する必要がある水質値を表示することができる。
ステップS809において、ステップS808で抽出された水質値から、表示制御部32は、表示部24に表示する水質値の測定値、推定値、又は、予め設定された表示する時点の予測値を抽出する(ステップS809)。
また、図8には表記しないが、ステップS811において、水質値の測定値、推定値、予測値のうちいずれか1種類又は2種類以上の記憶部23に格納される正常時の水質値が表示されると、ステップS801へ戻ってもよい。
実施例2では、浄水場における運転支援装置または運転訓練支援装置として用いられるプロセスシミュレータ、特にその水質値から水の詳細組成値又は水の詳細組成値から水質値に変換する水質モデリング部について説明する。
以下、図面をもとに本発明に係る浄水場における運転支援装置に関する詳細な説明を行う。図9は本発明の運転支援装置における図6のパラメータ変換部3111の構成例を示す。
なお、水質値及び水の詳細組成値は上記に示すものに限られず、各地の浄水場で管理しているものであればどのような成分の水質値や原水に含まれるどのような成分であってもよい。
なお、水質モデリング部90は、上述した機能以外を有してもよい。
水質成分データベースは、成分データベース、イオン平衡計算データベースで構成されている。なお、水質成分データベースは、上記のデータベースの他に濁度計算データベース等、水質に関して模擬する場合に必要なデータベースを含んでもよい。
なお、成分データベース911は、上記の情報に限らず水の組成を表現するために必要な情報が登録されていてもよい。また、成分データベース911に予め登録されている情報に不足がある場合、ユーザは所望の成分をユーザ登録成分に追加登録できるようにしてもよい。
成分データベース911における水に係る情報(成分種別・基本成分)は、詳細成分(H2O)、分子量(18)、密度(100kg/m3)等の物性値を含み、その他粘度係数等の水に関する物性値が成分データベース911に予め登録されていてもよく、また、ユーザが追加登録してもよい。
なお、成分データベース911における水中のイオン種、薬液成分、有機物は、上記に記載したもの以外でもよく、原水等の成分に応じて変更してもよいし、足りない成分があれば、ユーザが成分データベース911に追加登録してもよい。
また、イオン平衡計算データベース912は、上記に記載したもの以外でもよく、不足する平衡式若しくは平衡定数があれば、ユーザがイオン平衡計算データベース912に追加登録してもよい。
本発明のパラメータ変換部3111における水質モデリング部90は、記憶部23から受信した水質値の測定値を水の詳細組成値に変換する機能を有する。また、水質モデリング部90は、プロセスシミュレーション部又は未来予測部から受信した水の詳細組成値の推定値若しくは予測値を水質値に変換する機能を有する。図11において、パラメータ変換部3111における水質モデリング部によって、水質値から水の詳細組成値に変換又は水の詳細組成値から水質値に変換するフローチャートを示す。
なお、ステップS1103において、水質モデリング部90は、成分データベース911に格納される組成値に関するパラメータから、水の詳細組成値に応じたパラメータを計算式に入力してもよい。
ここで、水質モデリング部90が収束計算を行う方法として、例えば、ニュートン法等が挙げられる。また、水質モデリング部が最適化計算を行う方法として、例えば、ニュートン法、ダウンヒルシンプレックス法等が挙げられる。
図11において、本発明である水質モデリング部90が水質値又は水の詳細組成値の入力に基づき、演算を行い、水の詳細組成値又は水質値を算出する動作について記載した。そこで次項より具体的な水の詳細組成値からpH・アルカリ度・導電率を演算する動作について説明する。図12において、水質モデリング部90が水の詳細組成値からpH・アルカリ度・導電率を演算するフローチャートを示す。
なお、ステップS1202において、水質モデリング部90は、成分データベース911に格納される組成値に関するパラメータから、水質モデリング部90に入力された水の詳細組成値に関するパラメータを計算式に入力してもよい。
なお、水質モデリング部90が収束計算を行う方法について、ニュートン法を提示したが、その他の収束計算を行う方法を用いてもよい。
また、pHを演算する場合、電気的中性条件に基づく収束計算を用いて演算を実行したが、演算方法は本実施例の方法に限られることはない。
図12において、本発明の水質モデリング部90が、プロセスシミュレーション部3114又は未来予測部3117から受信した水の詳細組成値の推定値若しくは予測値に基づき、pH・アルカリ度・導電率を演算する動作フローを説明した。図13において、記憶部23から取得したpH、アルカリ度及び水質成分データベースに格納される計算式に基づき、水の詳細組成値を算出する動作フローを示す。
なお、ステップS1305において、水質モデリング部90は、成分データベース911に基づき、演算結果から水の詳細組成値を決定し、パラメータ修正部3112へ送信してもよい。
実施例3では、浄水場における運転支援装置または運転訓練支援装置として用いられるプロセスシミュレータ、特に設備モジュール、すなわち、浄水場における設備に応じたシミュレーションモデル及びその構築方法について説明する。
以下、図面をもとに本発明に係る浄水場における運転支援装置に関する詳細な説明を行う。図14は、本発明の運転支援装置における図6のプロセスシミュレーション部3114の図示しない記憶部に格納される設備モジュール14a、14b、14cの構成例を示す。また、この図示しない記憶部には、設備モジュールから構成されたプロセスシミュレーションモデル3115も記憶されている。
なお、プロセスシミュレーション部3114の図示しない記憶部は、図14で例示した以外の設備モジュールを格納してもよく、各浄水場の設備形態と合わせたプロセスシミュレーションモデルを格納してもよい。
図15における、設備モジュール14cは流入接続部1401、流出接続部1402、ユニットシンボル1403から構成される。
すなわち、流入接続部1401の他の設備モジュールからの入力(具体的には、水質値又は水の詳細組成値)に基づき、プロセスシミュレーション部3114は、設備モジュール内の水質値又は水の詳細組成値に関する動的挙動(具体的には、濃度伝搬、物質収支等)を模擬することができる。
なお、流入接続部1401を介して接続される他の設備モジュールは、どんな設備モジュールであってもよく、各浄水場の設備形態に合わせて接続されてもよい。
すなわち、流出接続部1402は、流入接続部1401と同様に、設備モジュールで模擬した水質値又は水の詳細組成値を、他の設備モジュールへ送信する。そして、プロセスシミュレーション部3114は、流出接続部1402により接続される他の設備モジュールからの入力に基づき、水質値又は水の詳細組成値に関する動的挙動(具体的には、濃度伝搬、物質収支等)を模擬することができる。
なお、流出接続部1402を介して接続される他の設備モジュールは、どんな設備モジュールであってもよく、各浄水場の設備形態に合わせて接続されてもよい。
なお、流入情報は、接続先である他の設備モジュールの情報を含んでもよい。
なお、流出情報は、接続先である他の設備モジュールの情報を含んでもよい。
設備寸法パラメータは、実際の浄水場における設備の大きさ(長さ及び幅及び高さ)、及び/又は、実際の浄水場における設備の配管位置情報(流入管高さ及び流出管高さ)等を含む。また、設備寸法パラメータは、浄水場設備の設計情報に基づいて、ユーザが入力部21の他に、エンジニアリング端末25を用いて設定してもよい。
設備モジュール14cは、例えば、下記のようなイオン種・解離平衡を考慮するイオン平衡計算式が予め格納される。プロセスシミュレーション部3113は、このイオン平衡計算式に基づき、水の詳細組成値に含まれる各イオン種(例えば、水の溶存炭酸類(HCO3 -、CO3 2-、CO2)、ナトリウムイオン(Na+)、硬度物質イオン(Mg2+、Ca2+)のイオン価数等)の濃度を主流入接続部から受信し、pH、アルカリ度、導電率等を演算し模擬する。
なお、設備モジュールに薬液接続部1404が設けられる場合、プロセスシミュレーション部3113は、(2)式、及び、(3)式に関する連立方程式を解き、演算結果をpH演算に反映させてもよい。
なお、イオン平衡式は上述した式に限られず、プロセスシミュレーション部3113によって、設備内の水質値を模擬するために必要な他の計算式が含まれていてもよい。
設備モジュール14cは、例えば、ベルヌーイの式等の流体力学に係る方程式を水流バランス式として予め格納される。プロセスシミュレーション部3113は、水流バランス計算式に対象設備の設備寸法、設備における保有水量、配管圧損係数等を入力して、対象設備モジュール14c及び流入接続部1401若しくは流出接続部1402等に係る流量及び配管圧力を演算する。
設備モジュール14cは、例えば、設備における流入量、流出量、蓄積量等のバランスを演算する物質収支に関する計算式が予め格納される。プロセスシミュレーション部3113は、この物質収支に関する計算式に基づき、設備における水の流入量、流出量、蓄積量等のバランスを演算し模擬する。下記に物質収支に関する計算式の具体例を示す。
また、(4)式に係る設備内での化学反応による物質収支は、次亜塩素酸の消費反応の次亜塩素酸とアンモニア、有機物が反応することで次亜塩素酸及びアンモニア・有機物の分解に関するものであってもよい。
なお、上述した計算式に限られず、設備における物質収支を演算できる計算式であれば、どの計算式を用いてもよい。
なお、上述した計算式に限られず、水中の各成分(水質値又は水の詳細組成値)における物質収支を演算できる計算式であれば、どの計算式を用いてもよい。
なお、ろ過池を表す設備モジュール14cは、計算式だけでなく演算に必要なパラメータを予め設定し、含んでもよい。
図14及び図15において、本発明である設備モジュール14cの構成例や設備モジュール14cに含まれるユニットパラメータ若しくは計算式等について記載した。そこで次項より具体的な設備モジュール14a、14b、14cによるプロセスシミュレーションモデル3115の構築方法について説明する。図16において、ユーザが入力部21を介し、又は、エンジニアリング端末25等を用いて、設備モジュール14a、14b、14cに基づき浄水場におけるプロセスシミュレーションモデル3115を構築するフローチャートを示す。
また、ステップS1605において、ユーザが設備モジュール14a、14b、14c間を接続した時点又はユーザが予め設定したタイミングで、各設備モジュール14a、14b、14cは流入情報及び流出情報を更新してもよい。
また、ステップS1606において、ユニットパラメータを調整することは、ユーザが入力部21の他にエンジニアリング端末25を介して行ってもよいし、パラメータ変換部3111等で行わせてもよい。
本発明は、浄水場向けプロセスシミュレータを備える運転監視装置における運転支援監視画面に、原水水質レーダーチャート、水質プロファイルグラフ、プロセスフローを表示する。これにより、ユーザが運転監視画面を監視することで、水質値の急激な挙動の変化を直観的に捉えることができ、的確な判断を行うことができる運転支援監視画面を提供することができる。また、運転支援監視画面が水質値の急激な挙動の変化を直観的に捉えられるので、業務経験が浅い運転員に対して効率の良い教育訓練を行うことができ、効率の良い技術伝承が可能となる。
111-114 浄水場設備
121-124 水質値を測定する測定装置
131 有線又は無線ネットワーク
141 表示装置
21 入力部
22 送受信部
23 記憶部
24 表示部
25 エンジニアリング端末
3 演算制御装置
31 制御部
311 シミュレーション部
312 データ更新部
32 表示制御部
3111 パラメータ変換部
3112 パラメータ修正部
3113 パラメータ決定部
3114 プロセスシミュレーション部
3115 プロセスシミュレーションモデル
3116 初期値作成部
3117 未来予測部
90 水質モデリング部
91 水質成分データベース
Claims (4)
- 水処理施設における複数の測定装置で測定される被処理水の水質を示す水質値に基づき水質管理を支援する運転支援装置において、
前記測定装置の設置地点または測定地点の現在または所定の過去の時刻における前記被処理水の組成値の推定値を算出するプロセスシミュレーション部と、
前記測定装置で測定された前記水質値または前記プロセスシミュレーション部で算出された前記組成値の推定値が入力されるパラメータ入力部と、
前記パラメータ入力部に入力された値を識別する識別部と、
前記識別部で識別された値に応じた計算式と、前記計算式における計算処理用のパラメータ、および/または、前記被処理水を構成する組成物を示す成分マトリクスにおける演算処理用のパラメータとを設定する設定部と、
前記計算式および前記パラメータを用いて、前記組成値の推定値から前記水質値の推定値を求め、または、前記水質値から組成値を求める水質演算部と、
を具備し、
前記プロセスシミュレーション部は、前記水質演算部が求める前記組成値を用いて、前記被処理水の組成値の推定値を算出し、
前記水質値は、pH、アルカリ度および導電率の少なくともいずれかであり、
前記組成値は、前記被処理水の構成成分であり、
前記計算式は、イオン平衡計算式を含む、
ことを特徴とする運転支援装置。 - 前記運転支援装置は、
前記組成値の推定値に基づき前記測定装置の設置地点または測定地点の所定の未来の時刻における前記組成値の予測値を演算する未来予測部を備え、
前記水質演算部は、前記未来予測部で算出された前記組成値の予測値が前記パラメータ入力部に入力された場合には、前記組成値の予測値から前記水質値の予測値を求める、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。 - 前記成分マトリクスは、
水、前記水質を制御するために使用する薬剤、有機物、または、イオン種の少なくともいずれかを構成する組成物を示す成分マトリクスを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。 - 前記水質演算部で算出された前記水質値の推定値または予測値を表示画面に表示する表示制御部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の運転支援装置。
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